ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会は居宅介護支援事業所の介護支援専門員(以下、居宅ケアマネと略)のケアマネジメント業務について検討する場である。
ここでは居宅ケアマネ業務ではシャドウワークが多いということが問題点として取り上げられた。(参照:シャドウワークの本来の意味は「必要な仕事」)
このことに関しては老健局長も、ケアマネジャーのシャドウワークが多い点を認め、「それが本当にそのままでよいのかどうかという点を含めて、ケアマネ業務の整理が必要」という趣旨の発言をしている。
ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会の中間整理で、ケアマネ業務を「法定業務」・「保険外サービスとして対応し得る業務」・「他機関につなぐべき業務」・「対応困難な業務」と分類して示しているのも、シャドウワークをできるだけなくそうという意味だろう。(参照:ケアマネジャーの業務分類によって変化は起きるか?)
しかし実際には居宅ケアマネのシャドウワークは減っていないし、むしろ増えている。
例えば昨年度から新しくなったケアマネジャーの法定研修プログラムでは、「仕事と介護の両立支援」や「ヤングケアラーへのアプローチ」といった新たな役割を担うスキルを求めている・・・しかしそれらの役割を果たすことに対する対価は存在していない。
これによってシャドウワークが新たに作られた結果となっているのだ。
加えて本来業務の負担も増加している。2025年4月から、サービス利用票(別表)の様式が変更され、福祉用具貸与に関する「用具名称(機種名)」および「TAIS・届出コード」の記載欄が追加されている。

これはケアプランデータ連携標準仕様に準じたCSVファイルでデータ連携を行うための変更である。
居宅介護支援事業所と福祉用具貸与事業所間で取り扱う項目を統一し、効率的なデータ連携を行えるようにする観点から追加したものであるため、データ連携を行わない場合は、当該項目を空白として差し支えないとされている。
逆にいえば、ケアプランデータ連携システムを利用している場合は、毎月当該項目を埋めなければならない・・・これは大きな業務負担だ。
だからと言って、この業務によって利用者や居宅介護支援事業所にメリットがあるかと言えば、そんなものは何もないもないと言える。
ただただケアプランデータ連携システムというオンボロシステムの運用のためだけに増やされている業務である・・・だからといって居宅介護支援費にこの業務対価は新たに追加されるわけでもない。
居宅ケアマネとしての本来業務が増えるのに対価は据え置きである。シャドウワークがどんなに見直されても、本来業務が増やされ対価は据え置きでは意味がないと思うのは僕だけだろうか。
このことにクレームをつけられず、反対の声も挙げることができない日本介護支援専門員協会は、やはり国におんぶにだっこしているだけの組織で、圧力団体とはなりえないことも証明している・・・そんなところに会費を払っている介護支援専門員もどうかしているとしか思えない。
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