国は介護保険制度が施行された2000年にあわせて、身体拘束ゼロ作戦という取り組みを進めてきました。
身体拘束ゼロ作戦会議による「身体拘束ゼロへの手引き〜高齢者ケアに関わるすべての人に〜」が示されたのは2001年3月でした。)

そして介護保険指定基準に、『サービスの提供にあたっては、当該入所者(利用者)又は他の入所者(利用者)等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他入所者(利用者)の行動を制限する行為を行ってはならない』という身体拘束禁止規定を設けたのです。

さらに2006年(平成18年)には、介護保険施設に「身体拘束廃止未実施減算」を新設しました。

その際に設けた「身体拘束廃止未実施減算」は、2018年度(平成30年度)の介護報酬改定で身体拘束廃止委員会の開催などの新要件を設けたうえで、減算対象種別を特定施設やGHに拡大し、減算単位も5単位/日〜10%減算/日とするなどの規定強化が図られました。

そして今年度(2024年度)の介護報酬改定では、減算対象種別を短期入所系サービス・多機能系サービスにも広げるとともに、減算規定のない訪問・通所系サービス、福祉用具貸与・販売、居宅介護支援事業所の省令改正を行い、緊急やむを得ない場合以外身体拘束を行ってはならないことと、身体拘束を行う場合には緊急やむを得ない理由等を記録する義務を明記するなどして、更なる規定強化を図っています。

このように身体拘束ゼロの取り組みが進められて24年以上経っているのに、いまだに身体拘束に対する罰則規定がなぜ強化され続けているのでしょうか・・・それはとりもなおさず身体拘束がなくなっていないからです。

例えば今年2月には、北海道函館市の特別養護老人ホーム「恵楽園」で、日常的に身体拘束が行われていたことが大きな問題となって報道されました。(参照:身体拘束は虐待ではないと強弁する恵山恵愛会・理事長 ・ その点滴や経管栄養は本当に必要なのかという視点

こうした問題が未だに解決されていないことや、身体拘束が存在し続けていることを、私たちは恥と考える必要があるのではないでしょうか。

全ての介護関係者には、利用者の行動を制限しない方法で、様々な課題に対処し解決に結びつけるという高い意識とスキルが求められるのではないでしょうか。

そのような目的意識をもって、8/15(木)13:30〜15:00の予定で、「身体拘束廃止マネジメント」をテーマにしたオンライン講演を配信します。
身体拘束防止マネジメント研修
このオンライン講演は、僕の顧問先である完全リモートワークで働くことができる居宅介護支援事業所・つなぐ手ケアマネセンターが主催する無料配信オープンセミナーです。

講師は同社顧問である僕が勤めます。認知症高齢者の徘徊や経管栄養のチューブ抜去、歩行不安定な方の転倒防止などについて、行動を制限せずに対応するためのマネジメントの視点などを解かりやすくお伝えしたいと思います。

どなた様でも事前申し込みなしで無料で視聴可能です。視聴希望の方は8/15・午後1時30分までに下記IDとパスコードでZoomにお入りください。
ID:825 3862 0465
パスコード:279279

なお、減算規定のあるサービス事業種別については、身体拘束などの適正化のための研修を定期的(年2回及び新規採用時)に実施することとされていますが、この研修を受けることによって、その規定研修を実施したことになります。

お盆の真っ最中になりますが、どうぞお見逃しなく。

CBニュースの連載、「快筆乱麻・masaが紐解く介護の今」の最新コラムが7/31に配信されました。
CBニュース・masaが読み解く介護の今
今回のテーマは、「ケアマネの担い手づくりを阻む2つの現実」です。文字リンクをクリックしてご覧ください。


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