masaの介護福祉情報裏板

介護や福祉への思いを中心に日頃の思いを綴ってみました。表の掲示板とは一味違った切り口で、福祉や介護の現状や問題について熱く語っています!!表板は業界屈指の情報掲示板です。

身体拘束

虐待防止研修に必要な視点



1月20日付で発出された介護保険最新情報Vol.1345は、「高齢者虐待防止措置未実施減算、身体拘束廃止未実施減算の取扱いに係るQ&Aの周知について」であった。

この中で高齢者虐待防止未実施減算の適用を受けないようにするための要件の一つである、「定期的な研修の実施」とは年に何回行う必要があるのかを問う疑義解釈が示されている。

定期研修実施回数については、施設サービス及び居住系サービス年2回以上その他の居宅サービス年1回以上とされている。

そのことは既に解釈通知で示されている問題ではあるが、間違った回数把握で減算適用されてしまっている介護事業者が存在するために、今回改めて疑義解釈という形で回数確認を促したものだろうと思う。

そうした要件理解は不可欠ではあるが、それより大事なことは虐待防止の定期研修の内容だ。

虐待をしてはならないなんてことは誰しも理解している問題で、ことさらそのことを強調しても意味はない。年度ごとの虐待件数を知らせても、それは受講者にとっては、右の耳から入って左の耳から抜けていく無意味な情報でしかない。

それより必要なことは、誰しもが悪行だと考える虐待行為がなくならない原因を考えて、そこに有効な対策を示すことだ。机上の空論ではなく、介護の実践論・実務論としての虐待防止策が求められているのだ。

例えば、ネグレクトを含む心理的虐待の中には、虐待している当事者が、「そんなつもりはなかった」という無意識の虐待も含まれている。

それは何故かということを具体的なケースを示して説明する必要がある。
2024.2/21に発覚した函館市恵楽園の身体拘束
上の画像は2024.2/21に発覚した函館市恵楽園の身体拘束の状態画像だ。同年12月に函館市は、日常的に行われていた身体拘束を虐待と認定して運営指導を行った。
横柄な態度や無礼な言葉遣いは、しばしば人権侵害につながる問題を引き起こしている実態を振り返って、介護従事者は、態度や言葉を丁寧に利用者対応することで利用者がよそよそしさを感じることを恐れるより、無礼で馴れ馴れしい対応で、利用者の尊厳や誇りを奪い、心を殺してしまうことを恐れる気持ちを持つように教育すべきである。

先日(1/17)名古屋市高齢者虐待防止講演会としてオンライン配信した、「高齢者虐待防止〜身体も心も護るケア」がテーマのアンケート結果が届けられた。文字リンクをクリックして参照いただきたい。

来週(2/21)にも愛知県蒲郡市主催・蒲郡市内介護事業関係者向け講演として、「高齢虐待防止〜不適切ケアを防ぐサービスマナー」というテーマでオンライン講演を配信する予定になっている。

ただし同じ虐待防止講演といっても、名古屋と蒲郡の講演内容は同じではない。それぞれの主催者の方から重点的に話してほしいことや、話題として入れてほしいことを事前に確認して講演プロットを立てているため、名古屋講演はカスタマーハラスメント対策も含めた内容にし、蒲郡講演では身体拘束が虐待認定を受ける事例と、それをしなくて済む対策を入れている。

このように主催者の希望に沿った実務論を伝えられるので、講演希望の方は是非メール等で連絡いただきたい。

ところで蒲郡市の講演の受講対象者は東三河地区の介護事業者だそうである。東三河は豊橋市(とよはし)・豊川市(とよかわ)・蒲郡市(がまごおり)・新進市(しんしろ)・田原市(たはら)・設楽町(したら)・東栄町(とうえい)・豊根村(とよね)の8市町村を指すそうであるが、それらの地域の介護関係者にエールを送る動画、「LOVE明日へつなぐ介護・東三河編」を作成したので下記参照願いたい。



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胃婁チューブ引き抜き防止の拘束は有りか?



先週木曜日に配信したオンライン講演、「身体拘束廃止マネジメント」は、お盆の真っ最中にも関わらず300人を超える皆様が視聴してくださり大盛況だった。

スマートホンから繋げていた方が多いので、もしかしたらお盆休みに合間に、休養中の場所で配信講演を視聴くださってくれた方も居られるのかもしれない。ありがたいことである。

ご覧になった方は、どのような感想を持っただろうか・・・。(その講演のアーカイブ配信動画を下に張り付けているので、興味のある方はご覧いただきたい。

そこでも解説したが、原則禁止されている身体拘束には、「例外規定」が設けられている。

身体拘束は、「当該入所者(利用者)又は他の入所者(利用者)等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合」に、「切迫性」「非代替性」「一時性」の3つの要件を満たしたうえで、なおかつ、下記で図解しているような手順を踏んで例外的に拘束を行うことができるとしている。
例外的な身体拘束を行わざるを得ないことを確認する行程
つまり例外とは、要件手順の両方をクリアして初めて適用されるのである。

しかしこうした例外であるはずの身体拘束が、あまりにも安易に行われていると思われるケースがある。

その中には要件に該当しているのか首を傾げるケースや、要件に該当していても例外適応の手順を踏んでいないとみられるケースがある。

それらが運営指導で不適切とみなされれば、身体拘束廃止未実施減算の対象となるので注意が必要だ。

例えば胃婁チューブ(カテーテル)を抜去してしまうケースはどうだろう・・・チューブを抜いてしまうからと言って、そのことが直接生命の危険性に結びつくことは考えにくい。ただし抜き方によっては胃壁などを傷つける恐れはあるので身体を保護するため緊急やむを得ない場合に該当するケースはあるだろう。

その場合でも拘束はあくまで一時的でなければならない。

しかし一時性を拡大解釈して、「胃婁増設している最中だけ拘束する」というのは問題だ。そのような状態は一時性には該当しない・・・なぜならば、その人が胃瘻造設のまま死を迎えるとしたら、死ぬまで拘束し続けられるという意味だからである。

よって一時性要件をクリアしようとするなら、胃瘻造設中も拘束しない時間帯を設ける必要もあろうし、身体拘束に代わって取り得るほかの方法を考えなければならないということになる。

漫然と胃瘻造設中に身体拘束をし続けておれば、当然減算を適用しなければならないのである。

だからと言って減算しておれば良いという考えも間違っている。減算は罰則であり、罰せられる状態をなくしていこうと考えなければ介護のプロとは言えない。

そもそも拘束される人の身になって考えなければならない。行動を制限されることは、どのような理由があろうと非常に大きなストレスでしかない。その状態をなくそうとしないのは、介護のプロ云々という前に、人の道を外れているとしか言いようがない。

例えば胃婁を増設されたアルツハイマー型認知症の人で、チューブを引きぬこうとしない人の方が少ない。それだけ胃婁チューブは違和感のあるものなのだ。

それを引き抜かないように何らかの拘束を受ける認知症の方々の困った表情嫌だという訴え助けてくれという声なき声を無視して良いのだろうか・・・。

この場合はチューブ抜去をどうするかという観点ではなく、そもそも身体拘束をしなければならなくなった根本原因である胃婁からの栄養補給は必要なのかということも考慮に入れる必要がある。

アルツハイマー型認知症は、脳細胞が減り続け、その過程で口や喉の筋肉の動きをコントロールできなくなるためむせやすくなるのである。

この状態になった当初は、食事形態をソフト食などに変更するなどの工夫で、しばらくの間はむせないで食べることができる。しかし口や喉の筋肉の動きは低下し続け、やがてソフト食もむせるようになる。

さらにこの状態は進行し続け、口を開けなくなったり、咀嚼せず、いつまでも口の中に食べ物をためたりするようになる・・・この状態の人にまで、胃婁を増設する必要性・必然性はあるのだろうか。

こうした状態は、体が食べ物を必要としなくなっている状態といえるのではないのだろうか・・・それは終末期ケアを受けるという選択肢のひとつといえないのだろうか?

さすればこうした状態になった時には、胃婁なんか造らずに拘束も受けることがないように、安楽に最期の時を過ごして、この世で縁を結んだ方々とのエピソード作りに重点を置くという考え方があっても良いのではないだろうか。

本当の意味での身体拘束廃止とは、拘束という行動制限を行わざるを得ない理由にまでアプローチして、その原因を創り出す行為をなくしたり、変えたりする必要があるのだろうと思う。

人生会議(アドバンス・ケア・プランニング)の過程では、こうした部分の話し合いも必要になると思う。
8月15日にオンライン配信した、「身体拘束廃止マネジメント〜2024年改定対応」ですが、下記からアーカイブ配信動画を視聴できます。興味がある方は下記YouTubeを参照願いします。



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