厚生労働省が6/2に公表した、「人生の最終段階の医療・ケアに関する意識調査」では、「人生会議をよく知っている」と答えた介護支援専門員は、全体の半数未満にとどまると報告されている。

つまり、「人生会議をよく知らない」という介護支援専門員が過半数を占めているという意味である。

これは極めて残念な結果である。人生会議とは、「本人・家族や医療と介護の関係者と連携し、話し合いを重ね、人生の最終段階における医療・ケアについて決めておく過程」であると同時に、そこで人生の最終段階につながる準備をしておくことを考える、「終活」にもつながる過程であるからだ。

つまり人生会議を積極的に行うように支援することは、利用者が人生の最終ステージに向かって、より豊かな暮らしを送るように支援することなのである。人生会議についてよく知らなければ、そうした支援行為自体ができなくなってしまう。

例えば、「終活は生きてきた軌跡を遺す意味でもある」でも指摘しているように、終活は単に死の準備ではないのだ。それは最後まで自分らしい人生を送るための準備として「終活」はとても重要になる。

しかし実際に、「終活」として何をどのように行うのかということを知らない人が多いのも事実だ。

そうであるからこそ、対人援助の専門家である介護支援専門員が知識として、「終活」についてしっかり理解し、人生会議という場を利用者に積極的に創り出す支援を行ってほしいのである。

それが質の高いケアマネジメントにつながると自覚してほしい。

だからこそ、「人生会議についてよくわからない」という状態を放置せず、しっかりと勉強して誰よりも人生会議の意味や方法を理解してほしい。

そしてケアマネジャーが人生会議という過程を通して、終活として「できること」を伝えることが、自分の担当利用者が人生を最期の瞬間まで豊かに送ることに繋がることを忘れないでほしい。
人生会議
そもそも高齢者の方々が、自分の死に関連する話題を日常の中で話し合える機会を持つことは少ない。そうした機会があったとしても、そこに関係する人は限られてくる。

仮に終活の必要性を自ら感じている人がいたとしても、医師や看護師にそのことを相談できる機会は意外と少ないのである。重篤な病気になって、その治療過程でないと医師や看護師は、人生会議という過程まで踏み込まないことが多いからだ。

しかし居宅介護支援の利用者の方々は、介護サービスを利用しながら自宅で日常生活を送る方々である。それらの方々は重篤な病気に罹る以前に終活を意識することもあり得るし、そうした場合には、自ら活動できる人が多いのである。

そういう人達は、介護支援専門員という対人援助のプロのアドバイスを何よりも求めているのである。

介護支援専門員が人生会議というものを十分理解し、その過程の中で、利用者に終活の重要性にも気が付いてもらえるように支援を行う・・・居宅介護支援事業所のケアマネジャーの方々は、このことを重く受け止めてほしい。

なぜならそのことで、利用者の方々の人生の最終ステージへ向かって生きる過程が、より豊かで心安やかなものになるかもしれないからである。

僕が講師を務める、「終活セミナー」には、70歳代・80歳代の高齢者の方々がたくさん受講しに来られる。そこで僕の話を聴いて、感銘を受けたと言って、さっそく終活ノート(※エンディングノート:人生ノートなどとも言われる)を記し始める人も多い。

そういう方々に対し、終活ノートに書くべきことも伝え、書き方のレクチャーも行っている。そうした過程を経て人生ノートを書き終えた方が、再度僕の終活セミナーに来場して、「ノートを書き終えて安心した。良かった。」と涙ながらに語られたりしている。

日常支援に携わる担当ケアマネジャーの方々が、そのような役割を担ってほしいと思う。

人生会議を積極的に支援できるケアマネジャーがいることで、終活という活動の存在も知らなかった方が、その必要性に気が付いて、自分の人生の最終ステージをどう生きるかを積極的に考えてくれるようになるのである。

こうしたケアマネジャーの役割を果たすことが、ターミナルケアマネジメントにもつながっていくことを理解してほしい。
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