LIFE(科学的介護情報システム)は、昨日をもって旧システムのサービスが終了し、本日午前9時から新システムが本格稼働した。
このことについて国は、介護保険最新情報Vol.1292を発出して、新システムによる変更点は以下であるとアナウンスしている。(※新LIFEシステム:操作マニュアル・よくあるご質問等はこちらをクリックしてご覧ください)
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〇 令和6年度介護報酬改定に対応した様式情報の登録(直接登録、CSV 連携登録)が可能
〇 様式情報の入力支援機能の追加
〇 管理ユーザだけでなく操作職員においても利用者情報の編集(個人情報除く)が可能
〇 様式情報入力/変更時、利用者情報にも存在する一部重複項目(要介護度等)の更新が可能
〇 リハ・個別機能、栄養、口腔の一体的計画書の出力機能が追加
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これによってデータ入力の手間が少しでも減るのであれば、それに越したことはない。
だが、LIFEはそもそも何のためにあるのかということを考えてほしい。
このシステムは決して、介護事業者から国に情報を送ることを最大の目的としたシステムではないのである。
LIFE(科学的介護情報システム)は、科学的エビデンスに基づいた介護実践を実現するために創られたシステムである・・・日本全国の介護事業者の膨大なデータを国が一元管理して、それを解析し、こうすればこういう結果に結びつくという根拠ある方法論を導き出すために、莫大な費用をかけて創設したのである。
その為にはLIFEから介護事業者に対するフィードバックが重要になる。
このフィードバックについて国は、「提出されたデータについて、集計・分析を行って10月頃から新たな機能のフィードバックを提供する予定」と説明している。
そして新たなるフィードバックは、旧システムで明らかになっていた集計の不具合も修正され、集計項目も改善され、重複項目も整理されており、事業所フィードバックについては、都道府県、事業所規模、平均要介護度の各項目を設定できるなど、地域や事業所の特性も反映されているものになっているという。
果たしてこれが科学的エビデンスのある介護実践に結びつくだろうか・・・。
しかしそれが実現されるためには、単にデータの平均値を事業者に示して終わりでは意味がない。フィードバックするだけで、介護の科学的エビデンスを生み出すことなんてあり得ないのである。
このことについて国は当初、何らかの科学的エビデンスを情報解析によって導き出して、それを事業者にフィードバックすると言っていたではないか。
例えばそれは、栄養状態を改善することで、確実に歩行能力が向上する人がいて、それらの人に栄養改善の方策を計画してサービス提供せよというふうに・・・。
しかしLIFEのフィードバックは、いつの間にか国が解析したデータを送るのではなく、国が集めたデータの平均値を事業者に示すだけになり、それをフィードバックされた事業者が解析しなさいというふうに、解析主体がすり替えられている。
科学的エビデンスのある介護実践ができるかどうかという結果は、介護事業者に丸投げされた形で、それが実現できない責任は、フィードバックを解析してケアに生かすことができない介護事業者自身にあるんでしょうと云われるのである・・・これほど無責任なことはないのではないだろうか?
データをいくら細かく平均化したところで、それがなんの意味があるのか・・・それがどのように介護実践の方法論を導き出す数値とみなすことができるのだろう。
その問いかけに答えてくれ。具体的に数値をどのような実践法に結びつけるかのヒントでも良いから示してくれ・・・でもそれはできないだろう。
ひとり一人感情を持ち、性格も感性も異なる人間に対して行う行為を定型化できるわけがないからだ。
ということでLIFEというシステムが新しくなったところで、介護実践のあり様が大きく変わるわけがない。・・・それによって科学的エビデンスが導き出されるわけがないからだ。
いや介護は変わる、変えられると言っている人間は、対人援助の実践をしたことがない評論家だけである。
どちらにしてもLIFE(科学的介護情報システム)は、介護事業者の業務を増やすだけで、何のメリットも与えない金食い虫である。
これも国民の税金を財源としていることを考えると、本当に国費は必要なところには使われず、無駄なところにばかり使われているとつくづく思う。
税金を支払う意欲も奪われるよなと云いたくなってくる・・・全く馬鹿げたシステムを創り出したものである。
※CBニュースの連載、「快筆乱麻・masaが紐解く介護の今」の最新コラムが7/31に配信されました。
今回のテーマは、「ケアマネの担い手づくりを阻む2つの現実」です。文字リンクをクリックしてご覧ください。
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