masaの介護福祉情報裏板

介護や福祉への思いを中心に日頃の思いを綴ってみました。表の掲示板とは一味違った切り口で、福祉や介護の現状や問題について熱く語っています!!表板は業界屈指の情報掲示板です。

看取り介護

肩の力を抜いて考えてほしい看取り介護



看取り介護は、日常介護と異なる特別な方法論だと考えている人が多い。

しかし利用者の人権を尊重し、豊かな暮らしを送ることができるように手を差し伸べる方法論が、時期によって変わるはずはない。

看取り介護が、日常介護と異なる点はただ一つ。命の期限がある程度予測されているということだけである。だからこその期間を意識し、この世で縁を結んだ様々な人との最期のエピソードを刻むことができるわけである・・・そのことをポジティブに考えてほしい。

看取り介護に暗いイメージを抱いている人も少なくない。

看取り介護対象者を、ただただ安静にさせて、その死を看取るというイメージしか抱いていない人がいる。そのために看取り介護対象者を遮光カーテンを閉じたままの部屋で、日中でも陽を入れず真っ暗な状態にして、訪室者もほとんどない状態で孤独のうちに旅立たせることが看取り介護だとされている人もいる。

それは看取り介護ではなく孤独死への誘導に他ならない・・・それは介護とは言わない。

そもそも看取り介護とは死にゆくための支援行為ではなく、死の瞬間まで生きることを支える支援であるのだ。そこを勘違いしてはならない。

命が尽きる瞬間まで人としての尊厳を護り、命の炎を燃やし続けることを愛しく思い、安心と安楽のうちに旅立つために手を差し出すのが看取り介護である。そうした行為に悲壮感など存在しない。

限りあるい餅が尽きようとしている人の最期の瞬間まで真摯に寄り添うことができれば、介護という職業の使命と誇りを感じ続けられるだろう。そうした行為が看取り介護なのである。
看取りを支える介護実践裏表紙
上の画像は、僕の著作本「看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」の裏表紙
このところ5年ほど続けて行っている京都地域包括ケア推進機構、一般社団法人京都府老人福祉施設協議会、 一般社団法人京都市老人福祉施設協議会共催・施設看取り介護導入研修アンケート結果が届いた。

そこには次のような意見が書かれている。

「看取り介護」は特別なものではなく、人に寄り添う為の普段の介護の延長線である事が分かりました。

看取り介護の基本とは日常のケアの延長線上にあり、命の期限を見据えて真摯に関わりたいと思います。

終末期と言われる段階になると個室にて出来る限り臥床して安楽に過ごしていただき他利用者との関りのない生活というイメージをもっていたが、その方の望む生活を出来る限り実現しレクリエーションに参加したりご飯を食べれなくても出来るがあるのだという事を学びました。出来ないことよりも出来る事を考えるのが専門職であるということを普段の仕事で意識していきたいです。その為にもご本人や家族のニーズに併せ多職種との連携が大事になると思います。

伝えたいことが確かに伝わっていると安心した。このブログ読者の皆様にも、その思いを感じ取ってほしいのでアンケート結果の文字リンクをクリックして参照願いたい。

そしてあなた自身も、誰かの終末期の心に咲くあかい花になるように寄り添ってほしい。
メディカルサポネットの連載、一心精進・激動時代の介護経営最新記事が2/21アップされました。
一心精進・激動時代の介護経営
今回のテーマは、「離職防止〜従業員の定着率が向上する職場環境」です。文字リンクをクリックして参照ください。


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告白



三十数年前の話であるが、看護師から告白されたことがある。

とはいっても愛の告白ではなく、「さっきまだ息があると云いましたが、実はあれ嘘だったんです」という告白である。

看取り介護の対象者である女性が、数日小康状態を保っていたのに急変したケースがあった。

その女性の死期が迫っているということで、2日間施設内に宿泊していた長女が小康状態の今は何事もないだろうと考え、家の用事を済ませてくると言って一旦自宅に帰った直後の急変であった。

長女の携帯電話にすぐ連絡を入れて、長女が駆けつけるのを待つ間に、看護職員や介護職員は看取り介護対象者のベッドサイドに集まって、「娘さんが、今すぐ来ますから頑張ってください」などと声を掛ける姿がそこにあった。

死期が迫っている女性の意識はなく、反応もないが、聴覚障害がない限り耳は最期の瞬間まで聴こえていると云われるので、それを知っている職員は懸命に声を掛け続けた。

やがて娘さんの乗った乗用車がホームに到着したが、女性利用者の呼吸が止まったのは、娘さんが車を降りてホームの玄関に入り居室に向かう途中のことであった。

その時、看取り介護対象者である女性の手を握り、呼吸と脈拍を確認していた看護師は、女性が息を止めた瞬間にも手を放さず、話しかけることもやめなかった。そして女性の娘さんが「母さん」と言いながら居室に入って、母親の手を取った直後に、「あっ、今呼吸が止まりました・・・きっと娘さんが来るのを待っていたんですね。」と云った。

厳密に言えば、これは事実と異なることだろう。しかしそれは許される範囲の脚色ではないだろうか・・・もともと看護職員に、死の判定を行う権限はない。それは医師が行うものであって、その場に医師がいない場合は、周囲の人々から情報を得て、総合的な判断から死亡時刻は決定される。

しかし実際には、医療機関で0時の見回りに息をしていた人が、3時の見回りには息が止まっていたので、死亡時刻は2時30分にしようなどという判断は普通に行われていることだ。

そもそも事件や事故ではない自然死の場合、死亡時刻などは余り大きな問題ではなく、1分2分の違いが何かに影響するなんてことはない。

さすれば前述したケースで、娘さんがあと一歩間に合わず、娘さんが母親の手を取る前に息が止まったという事実を伝えることに、どれほどの意味があるだろう・・・。

現にこの娘さんは、自分が駆け付けるまで母親が待っていてくれたと信じ、そのことを葬儀の席でも親族に話して、「母さん、ありがとう」と涙していた。

遺された遺族がそうした思いを持つことは、逝った母親にとっても本望ではないのか・・・。

看取り介護の場面では、実にいろいろなことが起きる。その時々で判断に迷うことも少なくない。そうしたエピソードをデスカンファレンスで話し合って、教訓を得て次の機会に生かすことは大事だが、瞬間瞬間に判断しなければならないこともある。
虚構と真実
その時、二つの選択肢があり、どちらの道を選ばなければならない際に、何を判断基準にすべきだろうか・・・僕の答えは、「できるだけ、愛がある方向を選ぼう」である。

2日前から泊って看取ろうと頑張っていたのに、小康状態だからと家の用事を済ますために、母親の元から少しだけ離れたその時間に、母親が旅立って看取ることができなかったという後悔の念を抱くより、一瞬母親の元を離れたけれど、息を止める瞬間には間に合った。間に合うように母は頑張ってっ私を待ってくれた・・・そんなふうに考えられる方が、愛がある方向なのではないだろうか。

そんなふうに誰かができるだけ幸せや笑顔になれる方法を選ぶ方が良いに決まっている。

だからあの日の看護師の言葉は嘘ではなく、看取り介護対象者とその遺族を愛で包む言葉であったと思う。


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10年ぶりの再会と別れ



看取り介護とは、この世で燃やし続けた命の灯(ともしび)が消えゆく瞬間をある程度予測できる時期に行われる介護である。

そこで行うべきケアとは、日常的ケアと何ら変わるものはない。

ただし看取り介護であるからこそできる介護もある。

それは人生の最終ステージを生きる期限が、あとどのくらいかということを意識するからこそ実現できること・・・それは限りある期限の中で、看取り介護対象者と遺される者の双方に意味がある、最後のエピソードづくりである。

看取り介護に関わる介護関係者には、このエピソードづくりのための支援の重要性を意識してほしい。

そういう意味では、看取り介護とは最期のエピソードづくりの支援行為であると言い切っても良いと思う。

僕が総合施設長を務めていた社会福祉法人の特養では、そうした支援行為は頻繁に、かつ積極的に行われていた。

その一例を紹介しよう。
看取り介護とは最後のエピソードづくりの支援行為
89歳の女性入所者・カツコさんが看取り介護対象となった際のエピソードである。その女性の身元引受人でキィーパーソンだったのは60代の長女であった。

その長女に看取り介護計画の同意を頂いた際に、相談されたことがある。

その内容とは、カツコさんは、6人兄弟の下から2番目の長女として出生したが、その下にとても可愛がっていた妹がいる。もう兄弟で残っているのは、この二人の姉妹だけである。しかしお互い家庭を持つ身になってから家も決して近くにないし、年を取って体も丈夫でないことから、もう10年も逢っていない・・・でもカツコさんが看取り介護を受けることになった今、その妹に連絡すべきかどうか悩んでいる。なぜなら妹も病気持ちで、姉の死期が近いことを知ればショックを受け、病気が悪化しても困ると思うというものだ。

だが僕は長女に連絡した方が良いと云った・・・その妹が愛する姉の死を後から知らされる方が辛いと思うし、姉妹共に高齢で病弱の身となった今、きっと姉がどのように暮らしているか心配しているのではないか。その方がよほど体に悪いのではないかとアドバイスしたのである。

そのアドバイスを受け入れた長女は、僕の施設から約300キロ離れた地域に住むカツコさんの妹宅に連絡を入れた。その結果、妹の長男が電話を受け、カツコさんが登別市の特養で暮らしながら、もう少しで命の灯が消えようとしているという内容を妹に取り次いでくれた。

その結果、連絡から3日後に妹さんは長男の送迎で僕の施設にやってきた。そして姉・カツコさんが暮らす居室を訪れ、最後の別れの時間を持つことができた。

残念ながらその時期には、すでにカツコさんの意識はぜい弱な状態になっており、会話はできなかった。しかし妹さんの、「姉さん、会いに来たよ。会いたかったよ。」という声はきっと届いていたのではないだろうか・・・。

少なくとも、病弱な身を顧みることなく遠くからわざわざ足を運んできた妹さんにとって、その再会の時は意味あるものとなったであろう・・・こういう機会をつくる支援も私たちの大切な役割であり、使命である。

こうしたとき特養に初めて訪れた家族の方々に、馴れ馴れしい無礼なタメ口で接する従業員が誰一人としていないことにホッとしたものである。

看取り介護対象者の方に対しても、きちんと丁寧な言葉遣いで接し続ける従業員を育てていたから、遠くから始めて特養に訪れた方々も、タメ口対応などに憤慨するようなことがなく、悔いのないお別れができることを誇りにも思った。

こうしたサービスマナーに徹した対応も、日常介護から看取り介護までつながって続いていくものである。

それは看取り介護の場を哀しくさせないために必要不可欠な態度であり、看取り介護の場を逝く人・遺される人、双方にとって意味のある場にするための唯一無二の態度だと思っている。


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