看取り介護・ターミナルケアは、医師の専門的知見からの終末期診断によって行われる。

その際に余命診断を同時に行い、関係者にその診断結果を伝えることはとても重要なことである。(参照余命診断が行われていない看取り介護はあり得ない

なぜならそのことによって、看取る人が愛する人の命の期限を意識して関りを持つことができるからだ。

そうした意識が生まれるからこそ、残された時間が看取られる人・看取る人の双方にとって意味があるように、様々なエピソードを刻むことができる。

遠く離れた場所に住み、何年も逢っていなかった子や孫や親類が、お別れの時間を過ごすために看取り介護対象者がいる場所に足を運び、最期のエピソードを刻むことができるのである。

そこで与えられた別れを云えるチャンス天からの贈り物に他ならないと思う。

勿論、看取り介護対象者の中には、自分が終末期であると伝えられていない人もいるだろう。その際に、看取る人々だけが看取り介護対象者の命の期限を知っておくことは意味があることだ。その場合には、声に出さずに心の中でそっとお別れの声をかけよう。

そっと心の中で「この世で逢えてありがとう。」とつぶやこう。その思いはきっと何らかの形で伝わると信じよう。
看取りのエピソードづくりの重要性
上の画像は、白寿(99歳)のお祝いの直前に看取り介護になった方の最期の誕生会の場面である。

登別市内の特養で看取り介護を受けることになった方の、息子さん・娘さんは全国各地に散らばって住んでいた。

本当の誕生日の日までお祝いを延ばすと、看取り介護対象者の意識レベルがかなり低下することが予測されたため、実際より早く誕生祝を行うことの承諾を得るために、全国に散らばっている子供さんたちに連絡した。すると兄弟姉妹全員がそのお祝いに参加したいと希望し、登別の特養に駆けつけて祝っている場面だ。

本ケースの看取り介護対象者に終末期宣告はしていない。その為、本人はこれが最期の誕生会になることを知らない。だが周囲の人々は、みなそのことを意識してお別れの気持ちを込めて最期の誕生祝をしている場面である。

こんなふうに心の中で母親に別れを云えるチャンスが与えられるのだ。

だからこそ、看取り介護は人としてこの世に生きる全ての人に愛を注ぐことのできる介護であり、介護の使命を果たすことができる介護であると云えるのである。

そうした看取り介護を、するとか・しないとか、出来るとか・出来ないというのはどうかしている・・・看取り介護は、日常介護の延長線上にごく普通に存在するものであって、看取り介護スキルとは、すべての介護関係者が得ておくべき基本スキルである。

だからどうぞ、お別れを云えることを大切に思う人でいてください。
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