我が国はかつてない多死社会の中で、医療機関の病床削減が政策的に進められることが決まっている。

必然的に医療機関で死ぬことができない人が増えることになる。そうした方々が「看取り難民」とならないように、暮らしの場で終末期の医療やケアが適切に提供されなければならない。

そのため終末期ケアの担い手としての介護関係者の役割が、今以上に求められてくることになり、特に高齢者介護事業においては全ての介護関係者が看取り介護スキルを獲得していく必要がある。

そのことを考えると、介護事業の経営戦略として規模拡大・多角経営を図る中で、ホスピスの機能を持つサービス資源を備えおくことは重要な視点であることを、「多死社会の介護事業戦略〜欠かせないホスピス経営」という記事を書いて解説した。

このことについて一歩進めて、逆に介護事業の規模拡大・多角化をホスピス機能なしで実現した場合にどうなるかを考えてほしい。

自らが所属する事業者内で、居宅サービスから施設サービスあるいは居住系サービスを横断的に利用してくれた要介護者の方が、いよいよ終末期を迎えた際に、その方を自ら所属する介護事業者から放り出して、他の事業主体に委ねざるを得なくなるということだ。

長い期間、高齢者の方々の人生に寄り添ってきて、信頼関係を築いた従業員と要介護者の方々・・・そうであるにもかかわらず終末期という時期に、その大切な絆を断ち切って、他の事業者に利用者の方々を委ねる・・・それは自らの事業から利用者を放り出すということだ。

それは高齢者介護に携わる者の責任放棄であり、使命感や誇りを持つことができない介護事業経営ではないかと思う。

そうしないために是非、ホスピス機能を持ったサービスを組み込むことを介護事業経営戦略の中に、取り入れてほしい。

僕が顧問を務める日本介護センターは、そうしたホスピス機能を自社サービスの中に組み入れている。それがメディケアホームかなうという住宅型有料老人ホームである。

その一番新しい施設、「メディケアホームかなう川口」が9/1埼玉県川口市に開設予定だ。
かなう川口OPEN記念講演
そのオープニングスタッフの研修を兼ねた記念講演会『「死」を語ることは、「愛」を語ることに他ならない』を8/22(金)18:00〜19:30までの予定で新設ホーム内で行う予定である。

この講演会はどなたでも無料参加できるオープン講演会だが、会場の広さの関係で事前申し込み先着50名限定の席しか確保できない。

その為是非お早めにこちらのチラシをDLしたうえでQRコードを読み取って申し込んでほしい。

住宅型有料老人ホームにホスピスケアが可能となるフロアを持つという意味は、そこで暮らしている方に対して、看取り介護・ターミナルケアを実施するという意味にとどまらない。

様々な居所で暮らしている方が終末期となった際に、暮らしていた場所で最期の時間を過ごすのに不安があったり、何らかの事情で十分な医療やケアが提供できないような支障がある場合に、看取り介護を受けるという目的だけのために入所できる住宅型有料老人ホームという意味がある。

終末期の1週間〜半年間という短期間だけ、看取り介護・ターミナルケアを受けるために入所できる有料老人ホーム・・・そうした機能も求められている時代なのである。

高齢者の一番多い死因は老衰死であるが、それは自然死なのである。それは延命治療は必要な状態で、いたずらに延命治療を行うと不自然な身体状況を生み、苦痛を与え、人の尊厳さえも奪いかねない状態で生かされている状態を創りだす。

そうしないために、終末期の自然死に適切に対応する知識と能力を得たスタッフを育て、ホスピスケアを提供できるケアを事業者機能として持つ必要があるのだ。

上記で紹介したセミナーでは、介護サービスの場で即、実践できる実務論を伝えるので、是非会場にお越しいただきたい・・・それでは川口市で愛ましょう。
メディカルサポネットの連載、菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営の最新記事が8/4更新アップされています。
菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営〜Vol.8
今回のテーマは、「(第8回)介護事業の命運を左右する職員研修の在り方」ですので参照ください。


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