6月24日に公布された、「社会福祉法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第51号)の中には、民法改正も含まれている。

そこでは介護事業者に関連深い変更が行われており、特に重要な点として成年後見制度に関連して、「後見・補佐・補助」という従来の画一的区分が廃止され、「補助」に一元化されている。

これによって本人の能力の程度に関わらずに、必要な特定行為についてのみ代理権や同意権(取消権)を付与することができるようになった。そのため必要以上の権利制限が防止できることになる。

また事理弁識能力(※物事の道理・善悪・結果をわきまえて判断する能力)が回復していない場合でも、家庭裁判所が認めれば、制度利用を終了できることができる。

また支援者の選任時には、「本人の意見」が最優先の考慮要素とされ、かつ職務追考における、「意向把握義務」も明文化された。

この改正の背景には、現行制度は権利制限が強く利用が進まないとの批判があった。そのため本人の意思尊重・自己決定を重視し、必要最小限の支援にとどめる方向へ転換していることがわかり、成年後見を必要とする人の権利を、出来る限り護る方向に変えられているといってよいだろう。

また認知症高齢者の増加などを踏まえ、利用しやすく柔軟な制度にする狙いも感じ取ることができる。

なお成年後見制度に関する部分の施行日は「公布の日から2年6月以内の政令で定める日」とされ、現時点では具体日付は政令待ちである。
被成年後見人の介護サービス利用
このように判断能力の衰えが生じた人に対する権利擁護が推進されている。

しかし法律がいかに権利を護る方向に変えられようとも、それを運用する人間の意識が低いままでは何も変わらない。

一元化された「補助」の支援を受ける人が利用する介護サービス等を提供する側の権利擁護の意識が低ければ、直接介護場面等の様々な場面で、利用者の権利は侵害されていく。

利用者をまるで子ども扱いするかのような対応・対話しかできない介護職員は、利用者の権利侵害の最たるものだ。

顧客である利用者に対し、家族のような遠慮ない言葉遣いをすることが親しみの表現と勘違いする介護関係者は、介護サービスっ利用者に対する日々の会話や声掛けのたびに、無礼な言葉を投げつけ、心に深い傷を負わせている。

こうした状態をなくしていかない限り、制度改正で護られる人権は、絵に描いた餅にしか過ぎなくなる。

だからこそ介護事業経営者や管理職の皆様には介護サービスの割れ窓理論を理解して、従業員に対して介護事業におけるサービスマナー意識の向上を図ることに努めていただきたい。
※CBニュースの連載、「快筆乱麻masaが読み解く介護の今129〜ケアマネ資格更新制度廃止で研修受講ルール厳格化」がアップされました。
快筆乱麻masaが読み解く介護の今
資格更新制度を廃止したと言っても、研修受講義務が残され、しかもその義務がさらに厳格化されているのですから、更新制度廃止は意味のないものとなっています。こちらから記事参照ください。
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