厚生労働省は1月29日、2027年度の介護報酬改定に向けた議論の基礎資料となる令和8年度介護事業経営実態調査を、今年5月に実施することを明らかにした。
今回は訪問介護について、より精緻なデータを収集するために調査設計を見直すとしており、有効回答数や結果の精度を確保するため調査対象の抽出率を従来の、「10分の1」から「8分の1」へ引き上げるとしている。
それらを含めた結果については今年10月頃を予定しているそうである。
しかしその結果は本当に信用が置けるのか。抽出方法に何らかの操作はないのか・・・。
例えば介護保険施設であれば、事業年数に関係なく収入となる介護給付費の額は(※地域区分を除くと)同じであるために、おのずと事業年数が長く従業員の雇用年数が長い施設ほど人件費がかさみ収支差率は低くなる。
これらの違いをどう平均値として抽出するのだろうか。そこはブラックボックスである。
そう考えると、国が集めるデータの読み方は、国の裁量でどうにでもなるというふうに思える。

例えば先日アップした、「居住費の基準費用は何故見直されないのか?」という記事で指摘した通り、国が示しているデータには納得がいかない。
例えば国が示した食費のデータは、2020年と2024年を比較して1日100円しか上がっていないとしている。昨今の米をはじめとした食材料費の高騰の実態とそれは乖離した数値ではないのか。
居住費に含まれる光熱・水道費に至っては、2024年以降高齢者一人当たりの支出額は横ばいとしている。では2024年と比較してガス・水道・電気料金が確実に上がっているわけだが、その支出は何故国のデータに反映されていないのか・・・こんなふうに国が根拠としているデータそのものに疑問を持たざるを得ないのである。
だが僕たちは国が示したデータに反論する根拠を持たされていない。家計調査にしても介護事業経営調査にしても、そのデータはすべて国が握っているからだ。僕たちが観ることができるのは、国がそこから抽出して分析した後のデータでしかなく、抽出方法も分析の仕方も全てブラックボックスだ。
科学的介護情報システム(LIFE)についても同じことが言え、膨大な介護事業者のデータを管理する国は、そのデータをどのように読み取って、関係者にどのように示すのかも自由だ。都合の悪いデータは闇に葬ることさえ可能である。
こんなふうに情報は力でもある。その力がさらに強まる。今、国はケアプランデータ連携システムを処遇改善加算の要件とするなど普及を進めているが、そこでやり取りするデータはシステム管理者が自由に取り込むことができるものでもある。それは安全に管理されるのか・・・。
さらに来年度以降に稼働し始める介護情報基盤とは、事業所・施設・医療機関・自治体・利用者といった関係者が、それぞれ必要な情報をいつでも引き出せる新しいインフラとされている。
これによって紙ベースの業務をDXで効率化し、職員の事務負担の軽減や情報共有の迅速化、サービスの質の向上につなげることを目的として構築しているとされ、居宅介護支援事業所と他の介護サービス事業所とのケアプランや利用票などのやり取りを、オンラインで安全に効率化するケアプランデータ連携システムを新システムと統合することにもなっている。
そうなれば自治体・介護事業者・医療機関などの全ての介護データを国が握ることになる。それが性善説に基づいて運用されるわけだが、本当にそれで大丈夫なのか。
国が握った巨大なデータによって僕たちはいつの間にか、国にとって都合の良い方向に踊らされていくことになるのではないのか・・・。
それはあり得ないと言い切れる関係者はどれだけいるのだろう。とても心配である。
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