介護職員の離職率が低下している。
介護労働安定センターが28日に公表した最新の「介護労働実態調査」昨年度の離職率は12.4%となっており、過去最低だった前年度から更に0.7ポイント低下し、現在の調査方法となった2005年度以降で最も低くなった。
介護職員の離職率のピークは2016年の16.7%・・・それ以降はわずかに上がった2022年を除いて年々下がり続けている。
厚労省の毎月勤労統計調査の2025年1月時点での全産業平均離職率は13.9%であるから、(※比較時期が異なると云えど)介護職員の離職率は全産業平均よりかなり低いと云えるだろう。
この理由は介護人材不足対策として、多くの介護事業者で働きやすい職場環境の整備、業務負担の軽減などで人材の定着を図る取り組みが進められていることが最大の理由と思う。

事業所内に従業員の専用ラウンジを創り、ドリンクサーバーを置いて、無料フリードリンクとしている介護事業者なども増えている。かつては職員が食事をとる場所もないという介護施設等が多かった環境と比較すると、それは大きな職場環境の改善であると云える。それはとても重要な事なので、今後もさらに取り組みを進めなければならない。
同時にハード面だけではなく、ソフト面でも「人の役に立つ介護の仕事」という実感を持つことができる職場環境整備に努めたいものだ。
利用者を物のように扱う場所で、介護の仕事の使命や誇りが感じられるわけもなく、離職率は低下しないことを忘れてはならない。
現に事業者間の離職率の格差が大きい状況に変化はないことにも注目してほしい。離職率10%未満の介護事業者が53.6%と半数を超える一方で、おおむね4分の1の24.1%が20%を超えているという実態がある。
さすれば全国の介護事業者は平均離職率12.4%という数字を一つの目安にして、自分が所属する職場の離職率を割り出して、その数字と比較することをしなければならない。
平均値より離職率が高い職場は、その原因を割り出して対策を急ぐ必要があるということだ。
同時に離職率が低下しても、介護職員の総数は減っているという事実も把握しておく必要がある。「介護人材は不足から枯渇の流れに・・・。」という記事で指摘したように2023年10月10日現在の介護事業者に所属する介護職員数が約212.6万人となり、前年比で2.9万人減少しているのだ。
離職率が低下しているのに、介護職員が減っているという意味は、介護職員の成り手が減っているということで、それは我が国における労働力全般が減っていることと無縁ではない。
そうであるからこそそれぞれの企業努力で、外国人介護人材の確保に努めることも必要だ。そのためには翻訳機などの多言語対応のICTツールの導入は不可欠である。
どちらにしても今後の介護人材確保は、多角的・大局的・俯瞰的に様々な知恵を使って考えていかねばならない・・・まずは自分が所属する職場の離職率を全国平均以下にする努力から始めよう。
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感動の完結編。
