masaの介護福祉情報裏板

介護や福祉への思いを中心に日頃の思いを綴ってみました。表の掲示板とは一味違った切り口で、福祉や介護の現状や問題について熱く語っています!!表板は業界屈指の情報掲示板です。

介護事業経営

収益構造の再構築はできているか

介護事業経営を直撃する諸般の物価高と人件費の高騰。それによって介護事業者の運営経費はかつてないほど上昇している。

公費による収入を主として経営する介護事業者にとって、公費が経費増に応じて上がらないのだから、それは深刻な問題となっている。

介護事業経営者は、その激流に呑み込まれない介護事業経営戦略を練り直していかねばならない。

その時に勘違いしてはならないことは、収益構造を再構築して収益率を高めていく際の目標はコスト削減ではなく収益増加であるということだ。
コスト削減より収益増加が重要
経営者にとって無駄と思われるコストが、実は従業員にとって欠かせない職場環境に繋がっており、それによって定着率が高まっていることがある。そうしたコストの安易な削減は、従業員の職場離れを助長するだけではなく、職場にとどまる従業員のパフォーマンスも低下させ、結果的に生産性の低下や介護サービスの質の劣化につながりかねない。

さらにコスト削減は、実際に必要な未来への投資を捨て去ることにつながりかねない。ICTやAIを導入して使いこなすためには、そこに必要な知識と技術の開発に、それなりの資金投資が必要であることを理解せねばならない。

そもそもコスト削減には限界があり、今まで様々なコストを削減してきている介護事業者が多いはずだ。これ以上の収益構造再構築につながるコストは見当たらないというところも少なくないだろう。

それより必要なのは収益増加である。どこに収益を求めたらよいのかという声が聴こえてきそうだが、取りこぼしている介護報酬がないかを確認してほしい。

介護報酬にはたくさんの複雑な加算が存在するが、それを取りこぼしている介護事業者がまだ多数存在する。そのことを鑑みると、まずは算定可能な加算を取得し、利用者一人当たりの単価を上げる努力が必要だ。

さらに顧客確保を最大限の努力で行う必要がある。空席を最小限に抑え、可能な限り定員上限に近い状態で運営しなければならない。

そして要介護度が高い人の顧客単価が高いという当たり前のことに着目して、より高いケアニーズを持つ利用者構成に最適化する努力をしなければならない。

例えば科学的介護推進体制加算は、LIFEからのフィードバックをPDCA活用するという要件はあるものの、それ以外は3月に一度LIFEに指定データを送るだけで算定できる加算であり、事務管理部門でデータ送信をルーティン化するだけで算定できる加算ともいえる。よってこの加算の取得漏れは、事務管理部門の怠慢と云われても過言ではない。

さらに生産性向上推進体制加算は、新処遇改善加算�気離蹇↓兇離蹐痢�上乗せ加算)の算定要件ともなっている重要な加算である。よってこの加算については、最低限�兇了残蠅�求められると考え、何が何でも取得に向かうべきである。

通所サービスや訪問サービスも、要介護度が高い人を手間がかかると敬遠することがないように努めなければならない。

ショートスティなどの滞在サービスは、認知症の人などを受け入れるノウハウを獲得したうえで、それらの人や重介護者の方々を積極的に受け入れていく努力が必要だ。

そうした努力と理解のない介護事業経営者は、今後の介護事業経営には向かないといわざるを得ない。
※メディカルサポネットの連載、「菊地雅洋の一心精進」の第18回連載記事、「令和8年度介護報酬定期改定に立ちはだかる財務省の高い壁〜「利益が高い」とされる根拠は適切か―収支差率の構造と介護経営の実情から改定議論を読み解く〜」が本日午前中にアップされました。
激動時代の介護経営
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若者が元気を失う介護に明日はあるのか。



他産業との平均給与差が広がり、更なる介護人材不足が懸念される介護業界。

あらゆる知恵と方法を酷使して、介護職員をはじめとした専門職の給与・待遇改善は必ず成し遂げなければならない。

だがそれだけで人材が集まるかと言えばそうではない。

そもそも縁あって介護事業に携わった人たちの中に、短期間で就職先を去り、さらには介護業界そのものから去っている人がいることに目を向けねばならない。

その中には介護福祉士養成校の卒業生も含まれている・・・介護の仕事に就きたいという動機づけを持ち、2年間専門学校で頑張ってきた人たちが、なぜ短期間でそうした状態に陥るのだろうか。

それらの実情に目を向けなければ、人材が充足する職場を創ることなんて不可能だ。

介護福祉士養成校の臨時講師を務めている僕は、教え子が卒業後に会うたびにが元気を失っている姿を見て辛くなることがしばしばある。

希望に燃えて就職した卒業生が、短期間のうちにその職場から去ってしまう実情を目の当たりにすることも少なくない。
今いる場所で咲く花
今いる場所で懸命に咲こうとしている若者たちに必要な光も水も与えず、「理想と現実は違う」という言葉を使って、自分たちの程度の低い現実を若者に押し付けている介護職員が少なからず存在していることが問題だ。

そうした介護事業者に限って、アットホームな環境とか、家庭的で温かい介護とかいう理念を掲げていることが多い。

しかしその言葉は介護のプロになり切れない従業員が、アットホーム・家庭的という言葉に甘えて、家族同然のぞんざいな態度で利用者対応することを許しておくだけの品質の低い介護を生み出している。

そこでは介護実践の根拠も示せないベテランが、経験則だけで身に着けた介護の仕方を後輩に押し付ける指導しかしないために、介護方法の統一も図れずに、各自ばらばらのやり方で仕事が行われている。そういう職場に就職した介護福祉士養成校卒業生は、「介護技術を教えてくれない。根拠のない指導に終始する先輩しかいない。」と卒業生が悩みを打ち明けにくる。

その中には、『利用者への対応が流れ作業になってしまっている。こんなやり方が、利用者のためになっているとは思えない』と言いながら、『介護の仕事は人の役に立てる職業だと思って選んだのに、そうではなかった。』といって、介護の仕事をやめてしまう卒業生も少なくない。

卒業生がそのように元気を失って、仕事をやめてしまう原因は、就職した介護事業者の貧困ケアが原因といって過言ではないのである。

この状態を改善しない限り介護人材が充足することはない。

介護事業における生産性の向上を実現する最たるものとは、介護実務に精通した職員を育てて定着させることなのだから、就職した介護人材が短期間に辞めていく職場の生産性は永遠に向上しない。

だからこそ利用者の尊厳を護る高品質ケアを創り出すサービスマナー教育と、介護人材マネジメントはセットで教育していく必要がある。

家庭的とか、アットホームという昭和の遺物的理念は必要ないものとして切り捨て、対人援助のプロとしての知識と技術を備えた支援者により、お客様一人一人に安心で豊かな暮らしを提供できる介護事業にしていかねばならない。

そういう環境づくりができて初めて、介護事業者に就職した若者たちが元気にその場所で、小さくとも美しい花を咲かせることができるのである。
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期中改定の期待に冷や水を浴びせるもの



第3者の目や耳が届かない場所で、利用者に1対1で相対する介護支援者には、善なる性質が求められる。

人間の性が善なのか悪なのか、はたまた無なのかは知らないが、対人援助という職業を選び、そこで利用者に向かい合う際には、プロとしての使命感を持つと同時に、ひたすら善意で関りを持つ必要がある。そこは忘れてはならないところだ。

だが介護事業はと考えると、それは善意だけでは経営が成り立たない。経営者には相応の能力と期を見る感覚が求められる。

会社経営を続けるためにも、従業員や家族の暮らしを護るためにも収益を出す必要がある。

しかも護るべき従業員や家族の暮らしは、食べてさえいければよいという程度であってはならない。

介護事業とは、社会のセーフティネットという重要な役割を担うものだ。そういう仕事に就きたいと思う人材が枯渇することがないようにするためにも、介護という仕事を何とか食えるだけという底辺職業にしてはならないのである。

少なくともその職業に就けば、全産業平均並みの年収・待遇が得られるようにすべきであり、昨今の物価高や人件費高騰に応じた介護報酬の期中改定を求めることは、決して過度でも不当でもない正当で当然の要求だ。
介護支援者に求められるもの
来月示される政府の「骨太の方針」には「公定価格の引き上げを含む」と明記されそうだ。当然それは介護報酬の引き上げも視野に入った表現だろう。

これに関連して厚労相は、「次期報酬改定などにおいて、経営の安定や現場で働く幅広い職種の賃上げに確実につながる対応が必要。あわせて、それまでの間も必要な対応を行っていく」と次期改定前の期中改定もにおわせる発言をしている。財務省はそのことを強く否定するが、ぜひ実現してほしいとことである。

だがそうした要求を度を越したものであると烙印付けするような出来事も起きている。

それは介護事業における利用者虐待・不適切対応であり、それが様々なマスメディアを通じて報道されることだ。

介護サービス利用者に対する暴力や暴言、窃盗事件などが利用者と1対1で向か合う場面で起きている。認知症などで自らの危機を訴えられない利用者に対し、他者の眼のない密室化した場面で卑劣な行為が起きている。

例えば訪問介護において、日中独居になる高齢者宅は密室化されているといってよい。そこでヘルパーが悪意を持って、利用者の所持金や貴重品を盗むという事件が起きている。認知能力の低下した要介護高齢者は、そうした被害を受けたことすら理解できずに、誰も犯罪行為が行われたことに気が付かない。

しかし自分の親に少なくない金銭を渡しているはずなのに、いつも残金がない状態に疑問を持った家族が、隠し撮りを行って犯罪行為が明らかになるというケースが何件も報道されている。

そのようなことが繰り返し報道されれば、そうした虐待や犯罪行為が氷山の一角で、介護事業であれば多かれ少なかれ似たような行為が行われていると考える国民は増えるし、そんな事業にこれ以上公費をかけてはならず、底辺職業に陥ってやむを得ないという声が出てしまう・・・それは介護報酬の引き上げに対する一番の足かせと言ってよい。期中改定などもってのほかと言われてしまうだろう。

ほとんどの介護事業者において不適切対応が行われているという事実はなくとも、そのように思ってしまう人が増えているという事実を、介護事業関係者は認識して対策を立てなければならない。

だからこそ人材マネジメントは、優秀な人材を育て定着させるだけではなく、対人援助に向かない人材を排除することも念頭に置きながら考えていかねばならない。

介護サービス利用者が顧客であると意識させ、単にサービス提供して良しと終わらせず、お客様に対しておもてなしの精神=ホスピタリティ精神をもって対応するための基盤となるサービスマナー教育は不可欠である。

27日に財政制度等審議会がまとめた提言(建議)を受け取った財務大臣政務官は、「今後の生産年齢人口の減少を踏まえれば、介護分野にばかり人材が集中するのは適切でない。」と語ったそうである。

介護職員の平均年収が、全産業平均年収より低いままでよいとするようなそのような発言は許されないが、そうした発言がおかしいという問題提起に、全国民が賛同してくれるような介護事業にしていかねばならない。

介護事業の経営能力として、いかに従業員がサービス利用者に顧客意識を持ってホスピタリティ精神を養えるかということが問われていることを理解する必要がある。

いかに収益が上がっていても、ひとたび人権侵害事件を起こした場合は、すべてを失うという危機意識を持って経営に当たってほしい。
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安定的成長を目指す介護事業の経営戦略



僕は今、札幌に向かって自家用車を走らせている・・・というか、その途中で昼食休憩をとりながら、この記事を更新している。

向かっているのは札幌市発寒にある株式会社279・居宅介護支援事業所つなぐ手ケアマネセンターである。

ケアマネジャーの新しい働き方を開拓する事業所として、テレワーク型のケアマネジメントを展開している同事業所で、今日14時からオンライン講演を配信する予定になっている。そのことは、「居宅及び施設ケアマネ・居宅サービス計画担当者に伝えたいこと」という記事の中で詳しく解説しているので参照してほしいが、どなたでも下記IDとパスコードを入力することで、Zoomに入室して視聴できるので、是非ご利用いただきたい。
ID:992 2241 6607
パスコード:279279
上記の講演に引き続いて、来週3月21日(金)13:30〜15:00も無料オンライン講演を配信予定である。

そのポスターが下記画像である。
無料配信オンラインセミナー安定的成長を目指す介護事業の経営戦略
このように本セミナーはビズアップ人事コンサルティング(株)主催の介護事業経営支援セミナーである。

講演テーマは、「安定的成長を目指す介護事業の経営戦略」とし、配信時間は90分を予定している。

介護事業経営の課題について、収益をどのように確保していくのか、介護人材が今よりさらに減少する社会において、どのように介護事業を経営していくのか、介護生産性向上とはどのように実現すべきかなどについて伝えたいと思っている。

介護という職業の特性を考えたとき、機械が人に替わって行うことができない利用者対応が多いう現状がある。その為、テクノロジーを導入するだけだと生産性向上の効果はあまり上がらないことに留意する必要がある。そのこともしっかり理解できるように話をしたいと思っている。

この講演も無料視聴できるが、事前申し込みが必要である。希望される方はセミナーお申し込みフォームの文字リンクをクリックして申し込んでいただきたい。

来週も画面を通じて愛ましょう。


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経営者は従業員に収益を挙げる動機づけを与えてください



「厳しさを増す介護事業〜経営者に求められるもの」から続く

特養の収支差率が下がった一番の原因は、介護報酬の引き下げであることに間違いはないが、ベッドの稼働率の低下も大きな要因の一つである。

その事実を示すものとして、福祉医療機構が2023年4月公表した調査結果が公表されており、それによると特養(従来型)の4割強の施設が単年度赤字となっているが、その半数以上が空床ありとなっている。

いくら加算を細かく拾っても、肝心のベッド稼働率が下がってしまえば収益が下がるのは当然である。それに加えて物価高と人件費高騰が収支差率の更なる悪化につながっているわけであるが、根底にある空きベッド問題を放置していては収支改善は不可能だ。

勿論、空床を埋められないのは利用者がいないという理由だけではなく、従業員の確保ができずにサービス提供に支障をきたしているために、一部のベッドを空けておかねばならないという事情があるのかもしれない。
紅葉
どちらにしても空床が生じている原因を精査して、その状況を改善させることが、介護報酬の引き上げを求める前にすべきことである。

同時にショートの稼働率をアップさせる必要がある。ショートの場合(※一般入所も同様であるが)、退所後の空きベットに、同日にショート新規受け入れができれば1日に1ベッドで二人分の介護給付費を算定でき、収益増に直結する。

しかもこうしたベッドコントロールを行っても定員超過にはならない、なぜなら下記の規定があるからだ。

・老企第40号解釈通知・1通則(2)入所等の日数の数え方について
�じ�生労働大臣が定める利用者等の数の基準及び看護職員等の員数の基準並びに通所介護費等の算定方法(平成十二年厚生省告示第二十七号。以下「通所介護費等の算定方法」という。)の適用に関する平均利用者数等の算定においては、入所等した日を含み、退所等した日は含まないものとする。

こうした法令ルールも利用しながら収益確保に努めなければならない。

しかし、従業員に対して収支改善のために収益を挙げるように訴え、その方向に向けて指揮・命令を行うことが、利用者を無視した営利主義だとか、利用者の福祉をないがしろにすると非難されることがある。

これに対して経営者はどう対処すればよいのだろうか。

重要なことは収益を挙げなければならない理由を、従業員に丁寧に説明することだ。そこでは収益の悪化は経営側の問題にとどまらないことを強調する必要がある。

その際にまずは厳しい社会情勢の下で、介護事業経営が困難で事業廃止も現実的問題となってきている点をしっかりと伝えなければならない。

そして施設が経営継続できなくなれば利用者が一番困るということを強調すべきだ。なぜなら暮らしの場がなくなる利用者は次の生活場所を簡単に探し出せないからだ。特に重介護者を受け入れてくれる施設は限られており、結果的に行き場のない要介護高齢者を大量に生む恐れがある。

収益を挙げ続ける介護事業経営を考えることは、そうした介護難民の発生を防ぐという意味もあり、それは利用者福祉の低下を招かないことであるという説明が必要だ。

さらに従業員のデメリットも伝えてほしい。

廃業しても従業員は転職先に困らないというが、しかし職種によっては他事業者への転職はままならないし、転職に困らない介護職員であっても、転職先では待遇が下がるケースが大多数であることも説明しておきたい。

加えて従業員が収益を挙げる動機づけを与えてほしい。そこでは従業員の待遇に直結する問題として、処遇改善加算の仕組みを丁寧に説明する必要がある。

この加算は算定額全てを従業員に手渡さねば返還指導を受けるもので、経営者が自分の懐に横流しできないし、事業経営の支出にも使うことができない純然たる従業員の給与改善原資である。

そしてこの加算は、毎月の収入に対して加算率を掛けるのである。つまり空きベッドが生じて、収入が減れば処遇改善加算の算定額が減ってしまい、従業員に手渡す金額も減ってしまうのだ。

この仕組みを知らされていない介護職員が少なくない・・・収入が上がれば、処遇改善加算の算定額も挙がり、従業員に支払われる改善額も増えるということを伝えるだけで、収入をアップさせる動機づけにつながるのだ。

逆に言えば、経営者がこうした説明責任を果たしていないことそのものが、従業員が収入増・収益増を図る動機づけを奪う一番の原因と言ってよい。

それは介護事業経営を危うくする一番の要因でもある。介護事業経営者の方々には、その自覚を強くもっていただきたい。


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厳しさを増す介護事業〜経営者に求められるもの



今から12年前・・・2012年の介護事業経営実態調査の結果、収支差率が+10%を大きく超えていた特養は、非課税法人であることを利用して内部に多額の留保金を抱えていると批判された。

繰越金と呼ばれていたものが、内部留保と呼ばれ始めたのもこの時からである。

その為、介護報酬改定では、「もうけ過ぎている特養の報酬は削られて当然」という流れが創られて、マイナス改定が続いた。

同時に社会福祉法の改正により、一定額以上の繰越金は社会福祉充実残額と規定され、社会福祉充実残額が生じた社会福祉法人には、社会福祉充実計画に基づく社会福祉事業および公益事業もしくは地域貢献事業などの実施が義務付けられた。

これによって社会福祉法人内の繰越金が一定額を超えたら吐き出す仕組みが法的に規定されたわけである。

僕は収支差率10%超の批判が強まった時期に、社会福祉法人の特養施設長に任命され、内部留保を吐き出させる政策誘導の中で、その逆風をもろに受けながら施設経営を行ってきたので、その流れは良く記憶している。

そのような流れの中で、特養の収支差率は年々低下していったわけであるが、ついに2022年度の介護事業経営実態調査で、特養の決算収支差率は−1.0%と2001年の調査開始以降で初めてマイナスに陥ったのである。
介護事業経営実態調査
当然物価高と人件費高騰の波がさらに強まっている2023年度決算数字はそれよりもっと厳しくなるはずだ。だが今年度の介護報酬改定は、わずか+1.59%でしかなかった。

そうした中で介護事業関係者からは、物価高に対応した政府支出による臨時の介護報酬改定を求める声が挙がっているが、財務省の姿勢は厳しい。

10/16に行われた財政審(財政制度分科会)で財務省の担当者は、「一般に物価上昇局面では、政府支出による対応を求める声が増加することの認識はあるが、医療や介護など社会保障費の膨張を加速させる懸念がある。」・「物価や賃金の伸びを給付に反映した場合、保険料率のますますの上昇につながり、現役世代の負担が更に増えることにも留意が必要。」として、介護関係者の要望に対し実質的なゼロ回答を示している。

厚労大臣は11/6に、政府が今月中にまとめる新たな経済対策をめぐり、介護・福祉職の賃上げを盛り込む方向で検討する方針を表明してはいるが、それとて介護事業者の収益には結びつかないものである。

このように、以前として介護事業経営者にとっては明るい兆しは見えてこない。

そのような中、東京商工リサーチがまとめた11月1日時点の集計(速報値)によると、今年1月から10月の介護事業者の倒産件数は144件で、これまで最も多かった2022年の143件を早くも上回ったことが明らかになった。

倒産事業者のサービス種別をみると、訪問介護が71件・通所・短期入所が48件・有料老人ホームが11件、その他が14件で、これらは全て前年を上回っている。

倒産件数の急増の背景には、深刻な人手不足、物価の高騰、利用者獲得をめぐる競争の激化などがあると思われるが、今年度の介護報酬改定が事業者に打撃を与えた可能性も否定できない。

特にマイナス改定となった訪問介護は、収益悪化が見込まれる中で、訪問介護員の確保もますます難しくなったとして事業経営者が先の見込みが立たないことから、経営者が事業継続意欲を失ったケースも少なくないと思われる。

今年はまだ2ヵ月残っており、数字はこれから更に大きくなる見通しだ。

このような事実と向き合った時に、介護事業経営者はどのように対策を考えたらよいのだろうか。

ということで、ここから本題に入りたいところであるが、少し文章が長くなり過ぎた。また僕はこれから北海道を代表するカリスマ介護事業経営者の方とお会いする予定がある。

その為、今日のブログ記事はここでいったん締めて、明日続きを書きたい。

明日の記事タイトルは、「経営者は従業員に収益を挙げる動機づけを与えてください」とする予定だ。是非そちらも参照してほしい。

それでは明日の記事更新をお楽しみに。


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C-MAS全国大会2024〜今年も登壇します。



先週金曜日に行った、大阪市老連主催の看取りケアとターミナルケア研修会のアンケート結果が送られてきました。

受講者の皆様の生の声が聴こえてきそうな感想・意見がたくさん書かれていますので、文字リンクをクリックしてご参照ください。
(※ご意見の中に、「早口で伝わりにくい」というものもありましたが、これ直せません。意識しても無理です。ごめんなさい。)

さて話題を変えて、毎年たくさんの介護事業関係者の方が首を長くして待っている大会のご案内をさせていただきます。

介護事業経営支援の専門家が年に1度集って話し合う大会、C-MAS全国大会2024の開催時期が近づいてきました。

今年の開催日時は、11月15日(金)13:00〜17:30(12:30受付開始)、会場はTKP東京駅カンファレンスセンター(東京都中央区八重洲1丁目8−16)のホール1Bとなっています。(※アクセスマップはこちらをクリックしてご覧ください。)

プログラム等の詳細はこちらをクリックしてDLし確認のうえ、同サイトよりお申し込みください。

リンク先の案内にあるように、前半〜中盤までは3つのシンポジューム構成となっています。いつものように錚々たるメンバーが登壇しますので、最新の情報に基づく熱い議論が交わされることと思います。

そのような中で僕も登壇しますが、今年は大会の最後を締める基調講演という大役を頂きました。
C-MAS全国大会2024
事務局より講演テーマは、『Masa流!次期制度改正の大胆予想!と本日の総括』というものを頂戴いたしましたが、いったい何を話したらよいでしょうか?

C-MAS代表の小濱道博先生からは、「テーマはそうなっているけど、何を話しても良い」と云われています。

次期改正は、今回積み残された2割負担者の増加策や居宅介護支援費の自己負担導入・通所介護や訪問介護の生活援助の軽介護者の地域支援事業化などが再検討されるとともに、財務省の考え方が反映されて、給付抑制・国民負担増の新たな視点も議論されることになるでしょうが。しかし今から確実にこうなるとは言えるものは何もないために、そこは可能性として示すにとどめ、介護の本来の在り方という違った切り口で迫ろうかなとも考えています。

例えば新たなステージ入った介護人材対策・・・生産性向上対策はどうあるべきか。はたまた国の予測を超えて死者数が増えている中で、介護事業者が担うべき看取り介護やターミナルケアのあり方を示す内容でも良いのではないでしょうか。

本来は介護実務ではなく、介護事業経営に関する話が求められる大会ですが、それは3つのシンポジュームで、その道の専門家の方々が十分伝えてくださると思います。もうお腹いっぱいという感じのところで、別腹の話をしても良いように思いましたが、いかがでしょう?

今週末〜来週にかけて、プロットを立ててPPTスライド作りにかかりたいと思います。

それでは皆さん、11/15(金)はTKP東京駅カンファレンスセンターでお愛しましょう。
※メディカルサポネットの連載、「菊地雅洋の波乱万丈!選ばれる介護経営」、第10回は「利用者ニーズをどのように捉え、どう応えるべきかを考える」がテーマです。
菊地雅洋の選ばれる介護事業経営
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他者を幸せにできる条件



福祉や介護という言葉からイメージする言葉の一つに、自己犠牲というものがあるとすれば、それは間違ったイメージであると云いたい。

困っている人が居るときに、自分が手を差し伸べることができるのであれば、手助けするのは当たり前のことだ。だからと言って手助けするものが自己犠牲を強いられるわけではない。できる範囲で、できることをすればよいのである。

また福祉援助によって対価を得ることを心苦しく感ずる必要もない。

ずっと昔、福祉が貧困を救うこと(救貧)を中心に考えられていた時代であれば、お金に余裕がある人が、自分の財産をなげうって、貧困者に手を差し伸べればよかっただろう。そこに心身の障害がある人も存在したとすれば、ボランティア精神で、対価を求めず手を差し伸べることが求められたであろう。

しかし現代社会の福祉ニーズは多様化している。特に高齢者が増える社会では、自然現象である「老い」に向かい合って、様々なニーズが生じ、それに対して多様なサービスが求められる。

そこでは義務や責任が伴わない奉仕の精神で行われるボランティア活動ではなく、知識と技術を提供して対価を得ると同時に、義務と責任が伴うプロフェッショナルが求められるのである。

プロは金銭で出力するのだから、より高品質なサービスに対しては、より多くの対価を支払うという考えが生じても何ら不思議はない。

一方で、国家はすべての国民の福祉を考える義務があるのだから、サービスを買う対価を持たない人、支払う対価に乏しい人に、国としてどう手当てするのかを考えなければならない。社会福祉の光は、そのようにして社会の隅々まで届けられるべきであり、その際にきちんと選択肢が広げられれば良いだけの話である。

対人援助の場面では、ひとり一人の人間やその暮らしに向かい合って、その時々で自分自身が判断して行わねばならないことが多々ある。その判断に迷ったときに道しるべにすべきは、「良心」である。

しかし良心といっても、それは自分をないがしろにした思いのことではない。

良心・・・一つにそれは、人のためにいいことをしたいと願う心であり、もう一つには、自分が幸福になりたいと願う心でもある。
幸福
そのように書くと疑問を持つ人が居るかもしれない・・・例えば、もし誰もかれもが自分が幸福になることばかり考えていたら、世の中はどんどん悪くなるんじゃないかという風にだ。

もしも自分の幸福だけを考えるなら、そういう事態も起こってくるかもしれない。しかし一方で、自分が不幸にうちひがれているとしたら、他人に何かをしてやろうとは思えないだろう。

自分が幸福だと感じられたときに、人は優しい気持ちになることができて、自分の幸福を他人に分けてやることができるだけのゆとりを持つことができるのではないか。

だから自分自身を幸せにすることはとても大切なことだと思う。自分が不幸な人と比べて、裕福であったり、恵まれた環境にあることに罪悪感を持つ必要はない。

対人援助に携わるプロフェッショナルにとって、それはとても大事な事である。例えば、手を差し伸べるべき人に対し、その置かれた環境に嫉妬を覚えるほど劣悪な状態にいる人が、適切な支援行為を行うことができるだろうか・・・それは至難の業である。

介護事業経営者は、そうした側面からも従業員の生活レベルを考えなければならない。人に支援の手を差し伸べるにふさわしい精神状態を保つことができる生活の糧を渡しているのかということは、常に関心事項に入れておかねばならない問題である。

そもそも労使の関係は、winwinの関係でなければならない。

お互いが調和を図り、双方がハッピーになるために必要とされるのが労務管理であることを忘れてはならない。

そうであるからこそ、必要な対価を渡す方法、その対価の財源となる収益を得る方法を、労使共通意識をもって考えることができる環境づくりに努めていかねばならない。

だからこそ収益・お金の話をすることを避ける必要はないし、自分自身の幸福追求など下世話な問題だと卑下する必要もないのである。

きちんと対価を得て、自分自身が幸福になった状態で、人としてごく当たり前に、困難な状況に置かれている人・おかれる可能性のある人に、自分のでき得る範囲で手を差し伸べれば良いのである。

背伸びも無理強いもすることなく、ごく自然にすべての人々が、そう考える世の中になってほしいものである。


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常識が通用しないクレーマーの存在を意識しなければならない時代


介護事業者側に非がなくとも、いわれなきクレームが利用者やその家族から挙がってくることがある。

その際にも真摯に対応し、説明責任をきちんと果たそうとする姿勢は必要だろう。

しかしそれにもおのずと限度というものがある。過度にへりくだって必要以上の対応になってしまえば、結果的に不当なクレームを挙げている当事者が勘違いをして、その要求がさらに過激なものに結びつく恐れがある。

そういう意味で、真摯さや丁寧さのさじ加減も必要になってくるのではないかと思う。

そこで思い出してほしい事件がある。それは、「介護事業者にとって他人ごとではない『たてこもり殺人事件』」でも論評した、今年2月に埼玉県ふじみ野市で起きた殺人事件である。

被害者が殺害された現場は亡くなった患者宅である。懸命に治療にあたっていたものの、その甲斐なく死亡した患者の息子が、対応が気にくわなかったとして、葬儀が行われていた自宅まで医師ら治療スタッフを呼び出し、医師を猟銃で撃ち殺したという事件である。

犯人は、母親がサービスを受けていた様々な事業者にクレームを挙げ続けていた人物だそうだ。

そのような人物の呼び出しに応じて、真摯に説明しようとした被害者には何の落ち度もない。地域では親切で腕が良いと評判だった医師が犠牲となったこの事件は、被害者やその関係者にとっては理不尽極まりないものである。

このようなことが二度と起きないように、事業者側も対策を練っておく必要がある。

仮に事業者側に非があって、顧客がそのことに正当なクレームを挙げたとしても、そのことに対する謝罪対応などの要求が、社会通念に照らして相当でない場合はカスタマーハラスメントに該当するのである。

ましてや前述した事件のように、事業者側に非がないケースについては、クレームそのものが、カスタマーハラスメントである。

よって利用者宅に呼び出された場合は、いかなる状況であっても、その要求には応じてはならない。

クレーム対応は密室化しない場所(事業者の応接室など)で受けるべきで、どうしてもそれに応じない顧客に対しては、しかるべき機関(※介護保険サービスの場合は、国保連や都道府県・市町村に苦情受付窓口が設置されている)に訴えるように通告すべきである。

これらの対応について、7/26(水)15:00〜16:00アクセス札幌で、「理不尽なクレームから施設と職員を守るカスタマーハラスメント対策」をテーマに講演を行う予定だ。(※参加申し込みはこちらから。事前登録で無料入場できます)
CareTEX 札幌2023講演
ケアテック札幌2023
ケアテック札幌2023 - コピー
この講演は、北海道の介護業界においても最大級の商談型展示会となるCareTEX札幌2023の中で行われるセミナーである。

事前登録することで無料入場できるそうなので、是非お早めに登録して、当日会場で僕の講演を聴くほかに、最新の介護機器等の情報を仕入れていただきたい。

カスタマーハラスメント対策は、介護事業経営を行う上で最重要なリスクヘッジである。この対策をしっかり取ることで従業員が護られ、働きやすい職場環境も生まれる。そういう意味では人材マネジメント対策の一つともいえる。

その対策を充実させることが、介護事業経営主体の体力を強化することは間違いのないところで、当日の講演を聴いて、是非今後の介護事業経営に生かしていただきたい。

それでは当日7/26会場で愛ましょう。
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管理職の重要な役割を知ってください。


財源抑制・物価高・人手不足等の影響を受け、益々厳しさを増す介護事業経営であるが、介護給付費自体は右肩上がりである。

要介護者は今後20年程度は増え続けるため、介護給付費自体は毎年1兆円ほど増え続けるとみられている。保険内費用だけでこれだけのお金が落ちてくるのだから介護市場は巨大マーケットである。

この費用を効率的に拾って事業経営を安定化させるためには、介護事業者は事業規模の拡大と多角経営化を図る必要があるわけである。

しかし事業規模を拡大・多角経営化させるためには、それぞれの事業所を管理する有能な人材が必要となる。

組織を取りまとめるには指揮官が必要になるが、小さな組織であれば経営者自身が指揮官となって組織をまとめることも可能だろう。しかし組織が大きくなると経営者だけで組織内全ての指揮を取ることは不可能になる。

そのため経営者は組織を細分化し、それぞれの部門に管理責任を持つ指揮官を配置することになる。その際に配置される各部門(事業所)の指揮官が管理職(あるいは管理者)である。

管理職には任された組織を統括するために、経営者から必要な権限が与えられることになる。

しかし権限の行使には、同時に責任がともなうことを忘れてはならない。

その責任の最たるものが成果(収益)を挙げるということだ。経営者から与えられた権限の範囲内で判断をして、人や予算などを使いながら効率よく成果を出していくことが求められるのだ。管理職の評価は事業所の成果によってなされるのである。ここは介護事業経営の現実問題としてしっかり把握・理解せねばならない部分だ。

組織が小さなころは、経営者が管理職と共に現場で汗を流して働く姿があったかもしれない。そこで経営者と一体感をもって働くことにやりがいを感じていた人も多かったろう。介護サービスの場で、経営者が自分の働きぶりを見て評価してくれることをモチベーションとしていた人も少なくないと思う。

そういう人たちが、やがて組織が大きくなるにつれ一つの部門を任される管理職になっていく。

それにつれて、介護サービスの場から経営者の姿が消えていくことを嘆く管理職の人も居るかもしれない。

しかし組織がある程度大きくなったら、経営者がサービス現場で管理者や職員の動きを見つめる機会がなくなることは当然である。

世の中は正論だけでは動かない。世の中を動かす大きな力は人脈なのである。組織を大きくした後の経営者は、組織を護り、さらに発展させるために世間全般に働きかける必要がある。その為の人脈作りに奔走しなければならない。介護サービスの場に張り付いて仕事をしている暇はなくなるのだ。

それは経営者が様々なステージで様々な動きをしながら、組織の未来を創るために奔走しているという意味だ。

その時、各部門を束ねる管理職は、組織に今存在する課題を解決する役割を持つことを自覚してほしい。経営者と管理職の役割の違いをしっかり理解して、自らの役割を全うする必要があるのだ。
経営者と管理職の役割
だからこそ管理職は、経営者の目と耳の役割を果たし、経営者が本部で経営に専念できるようにすることが大事なのである。

企業において管理職とは、一般職員と区分され、労働組合の会員資格を失うことは多くの方がご存じだろう。つまり管理職は、経営側の視点に立って組織運営を行う責任を持つ立場なのである。

経営者の視点は、「鳥の目」と表現される。経済状況や会社の方向性・日本だけでなく海外の情勢など、大きな船のかじを取るために、木ではなく森全体を見ることが求められるからだ。

一方で管理職は、経営者の「鳥の目」が何をとらえているかを意識しつつ、現場にフォーカスして「蟻の目」で実態を把握することが求められることになる。

森を構成している、木の一本一本の生育を観察し、少しの変化も見逃さない「蟻の目」で現場を把握し、必要に応じて提案を求められるのが管理職なのである。

そういう意味では、管理職は経営者の鳥の目でとらえた視点からの情報を部下に伝えるとともに、経営者に対しては、今の課題を解決するために何をすべきかという現状を伝える能力も求められてくる。

部下へ仕事の内容を教えたり、経営層へ自分の部署の成果を報告したりというコミュニケーション能力が常に求められるのが管理職である。

その為には自分の言葉を持たねばならない。自分の言葉とは、何事も根拠に基づいて説明する癖をつけることによって獲得できるものであることを決して忘れてはならないのである。
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