masaの介護福祉情報裏板

介護や福祉への思いを中心に日頃の思いを綴ってみました。表の掲示板とは一味違った切り口で、福祉や介護の現状や問題について熱く語っています!!表板は業界屈指の情報掲示板です。

介護事業のBCP(業務継続計画)

介護サービス別のBCP要点(その1)

先月(4/22)、「BCPの実効性を高めるために」という記事を書いたが、BCPは介護事業というくくりだけでは実効性が高まらない。

同じ介護事業であっても、サービスの特性を考慮しないと事業継続はままならなくなるのでサービス種類別に要点整理が必要だ。
BCPシミュレーション
例えば通所サービスの場合は、サービス提供中だけでなく、車両での送迎中に地震や水害に遭遇するリスクが非常に高いのが特徴である。その為、車両内での安全確保と情報伝達が課題となる。

あの東日本大震災・3.11を思い出してほしい。地震が発生したのは2011年3月11日(金曜日)14時46分18.1秒であった。そして第1波の津波到達までかかった時間は、気仙沼広田湾内で8分、宮古で15分などと地域によって異なる時間で到達した。

そして第一波の後により、第二波・第三波の方が高い波となった地点も少なくなかった。

その時、多くの通所サービス事業所ではサービス提供の真っ最中で、地震が起きた瞬間にその後の対応判断が求められた。

その判断の中には、サービスを中止して利用者を自宅に帰そうとするものもあった。そして利用者を送迎バスに乗せ、自宅まで送ろうとした途中に津波に巻き込まれて失われた命も多数存在したのである。

そのことを考えると、サービスを中断・終了したあとに、利用者の安全をどう確保するかという具体策を想定しておく必要がある。例えば安全な避難場所を確認する必要もあるし、その場合の誘導経路を確認しておく必要もある。

通所サービス事業所の立地条件によっては、そこに踏みとどまって安全確保に努めるという判断もあるだろう。そうしたことをハザードマップを確認しながら想定しておく必要がある。

そうなると災害発生により、利用者を自宅へ送り返すことができない(帰宅困難)事態を想定し、通所サービス事業所内での宿泊対応を計画する必要があり、寝具などを装備しておく必要もあるだろう。

このように通所サービスでは、送迎中における安全確保策の明文化は欠かせない。具体的には次の3点をBCPに明文化しておく必要がある。
ハザードマップのルート反映:日常の送迎ルート上の危険箇所(アンダーパス、崖崩れ危険箇所)を把握し、迂回ルートを設定する。
車載備品の配備:全送迎車両に、緊急用防災セット(水、防寒着、簡易トイレ、救急セット)、紙の利用者リスト、事業所周辺地図を常備する。
連絡体制のルール化:地震発生時は安全な場所に停車し、事業所(対策本部)へ安否報告を行うルールを徹底する。

事業所内での留め置き対応としては、次の2点を明文化しておきたい。
臨時宿泊の備え:利用者が帰宅できない場合に備え、毛布、マット、簡易ベッドなどの就寝具、および3食分の非常食と飲料水を事業所内に備蓄しておくこと
服薬・医療的ケアへの対応:通所サービス利用者は1日分の薬しか持参していないことが多いため、留め置き時の予備薬の確認や、かかりつけ医への連絡体制を整備しておくこと。

営業休止・再開の判断基準も明文化が必要だ。
休止基準の明確化:「特別警報発令時」「警戒レベル4(避難指示)発令時」「公共交通機関計画運休時」など、主観を排した明確な休業基準を事前に策定する。
利用者・家族への周知:休業を決定した際の、利用者や家族、担当ケアマネジャーへの迅速な連絡網(一斉メールや電話連絡ツリー)を整備する。
再開の判断:建物の安全性確認、スタッフの確保状況、ライフラインの復旧状況を総合的に判断し、段階的な再開(時短営業など)も検討する

次に訪問サービス・居宅介護支援・施設サービス別にBCP策定の要点を考えてみたいが、長くなりそうなので、それは明日更新のブログ記事で詳しく解説したい。
介護サービス別のBCP要点(その2)に続く】
メディカルサポネットの連載、「菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営」の第17回配信記事が5/21午前中にアップされました
菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営〜Vol.17
今回のテーマは、「厳しい物価高に介護事業者はどのように対応すべきか」です。文字リンク先を参照願います。
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BCPの実効性を高めるために

介護事業者には、従業員に対して特定のテーマの研修を定期的に実施する義務が課せられている。

それを踏まえて介護事業者は従業員研修の年間スケジュールを立てて、義務研修を漏れなく従業員に受講させるように努める必要がある。それをしていなければ運営基準違反で指導対象だ。

僕が顧問を務める介護事業者では、それらの法定研修を僕が講師となって行っている。

感染症予防・身体拘束廃止・認知症のケアなど介護実務に即した研修テーマのほか、介護事業経営・労務管理等に関連するテーマまで幅広い法定研修のすべての講義を行うことができるのは、相談援助職の実務から管理職〜介護事業経営まで全ての実務を経験した僕ならではの特技と言ってよいかもしれない。

そんな講演の一環として先週末の土曜日から、自然災害対応BCP業務継続計画)策定の要点をテーマにした講演スライドを作成中である。
BCPシミュレーション
今回の講演アジェンダ(進行計画)は以下の6つのセクションに分けている。
BCPの基礎知識と策定義務
BCP未策定減算の具体的内容と対象サービス
自然災害対応BCPの共通コア・コンテンツ
サービス別要点(通所介護・訪問介護・居宅介護支援・施設居住系サービス)
BCPの運用:様式例・研修・訓練・関係機関との連携
重要業務の継続記入例
自然災害対応BCPの講演スライド
ちょうどそのスライドを作成している最中の一昨日(4/20)午後4時52分、「北海道・三陸沖後発地震注意」が起こった。僕が住む登別市は震度3で、かなりの横揺れを結構長く感じた。(実際には数秒だったのだろう)。津波注意報も出たが避難指示はなく、何事もなく自宅で過ごすことができた。

しかし津波警報が出た地域では、介護施設の入所者等も一時避難を余儀なくされた。その時にBCPは役に立ったであろうか・・・。

BCPを最初に策定する際は厚生労働省のWEBサイトにて「介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドライン」および、穴埋め式のExcel・Word様式が無料で公開されているので、それをそのまま利用すればよくゼロから作る必要はない。

だがひな形を埋めるだけでは実効性があるBCPとはならない。

その為自事業者向けの実質化魂を入れるという作業が不可欠で、厚労省サイトのひな型で作成した当初BCPについては、「事業者周辺のハザードマップ」・「従業員の連絡網」・「実際の備蓄量」などのリアルな数字と手順に書き換える作業が不可欠だ。

さらに実際の訓練(シミュレーション)によって不具合の修正を繰り返して、自然災害が起こった際に実効性のあるBCPに進化させる必要がある。

一昨日の地震の際に、避難を経験した事業者においては、その際の教訓を大いに生かしていただきたい。

なおBCPについては2024年3月末をもって策定を猶予する経過措置期間が切れ、全ての介護事業者において自然災害と感染症に対するBCPの両方を策定していないと、「BCP策定未実施減算」が適用されることになる。

このことについて令和6年度介護報酬改定に関するQ&A vol.1では次のように示されている。
感染症若しくは災害のいずれか又は両方の業務継続計画が未策定の場合や、当該業務継続計画に従い必要な措置が講じられていない場合に減算の対象となる。
なお、令和3年度介護報酬改定において業務継続計画の策定と同様に義務付けられた、業務継続計画の周知、研修、訓練及び定期的な業務継続計画の見直しの実施の有無は、業務継続計画未策定減算の算定要件ではない。

このように周知・研修・訓練・計画見直しは実施できていなくとも減算対象ではないが、運営基準違反となる。それは地域の信頼を失うこととイコールなので、確実に研修や訓練等を繰り返していただきたい。

なお「当該業務継続計画に従い必要な措置が講じられていない場合」とは、例えばBCPにおいて、「飲料水や非常食について、3日分の備蓄を行う」と定めている場合に、その備蓄が行われていなければ、「必要な措置が講じられていない」として減算対象になると解釈できる。

くれぐれもそのようなことがないように、BCPに沿った対策を講じてもらいたい。
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