今月3日〜厚労省はLIFE科学的介護情報システム)を詳しく解説する動画をYouTubeの公式チャンネルで公開している。

動画の延べ配信時間は1時間57分44秒もあり、見るに辛い動画でとなっている。これでは相当忍耐力のある人ではないと、すべてを視聴しようとは思わないだろう。・・・もう少しコンパクトにまとめられなかったのだろうか。

それはともかく、冒頭では新しくなったフィードバックについて、「フィードバックにより実態とデータの違いに気づき、評価基準の統一に向けた取り組みが可能となる」と説明している。

新しいフィードバックを行われる前は、ADLの改善状況などを各自が漠然と捉えていたために、人によって改善・維持・悪化などという評価が異なり、統一した取り組みができなかったと云いたいわけである。

そして全国平均値と、データ提出事業所の平均値及び利用者別の数値の比較は、そうした曖昧さを排除するという意味では十分効果があると結論付けている。

本当にそうだろうか・・・。

新しいフィードバックの現実は、状態が改善しているのか、維持されているのか、はたまた悪化しているのかということが数値的に明らかになるだけである。しかしそこに一番肝心となるその原因が示されていない。

何らかの原因を導き出すのは、あくまでもフィードバックを受けた事業所担当者の判断ということになる。

そうなると異なる事業所が、それぞれ同じような結果のフィードバックを受けたとしても、その結果を見ての対策はまったく異なったものになる可能性もある。いや同じような対策にはならない可能性の方が高いというしかなくなる・・・それは科学ではないのだから、科学的介護にはつながらないとしか言いようがない。
masaの語るエビデンスのある介護
もともとLIFE科学的介護情報システム)は、介護のエビデンスを生み出すために必要とされていたのではなかったのか。

それは身体機能の向上・維持などのいわゆる自立支援が、ある特定の要素と因果関係があることを明らかにして、こうしたらこうなるという具体的方法を見出し、それに沿った介護実践ができるようになるということではなかったのか?

現に2021年02月05日に更新アップしたフィードバックって何さ?が問われるLIFE要件で紹介している国資料(2020年の介護給付費分科会資料)の中で示されていたフィードバックのイメージ図では、栄養改善と身体機能の改善には因果関係があるという具体的エビデンスをLIFEがデータ読み込みから抽出し、データ提出事業所にフィードバックできるとしていた。

こうした科学は導き出せない・導かないという結論が示されたのが、3日にアップされたYouTube動画の結論であると言える。

この背景には、2020年当時の資料を作成した際にLIFEシステムを構築・運営していた企業は東芝であり、それが現在NECに担当が変わって、システムも再構築されてしまったという経緯があることは理解している。

だから当初の目論見や目的とは変化しているとされるのかもしれない。しかし一番肝心な介護のエビデンスを導き出す目的が失われているとしたら、これは詐欺行為に等しくなる。

一体どれだけのお金をかけてこのシステムを構築・運営しているのだと云いたくなる。

どちらにしても介護という行為の結果に結びつく因果関係は、このシステムでは見いだせないことははっきりした。

よってLIFEというシステムが科学的介護を生み出すということも幻想の世界で終わる・・・それを踏まえたうえで、介護事業者はLIFEというシステムは、それに関連する加算を取得するアリバイ作りのシステムだと割り切ればよい。

よって懸命に正しいデータを提出しようなんて思わずに、できる範囲で適当に情報提出しておけばよいだろう・・・国のルールに沿った正しい情報とは何だろうという考える無駄な時間は削減した方が良いのである・・・。
本日のおまけ動画



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