最新の「介護労働実態調査」によると、昨年度の介護職員の離職率は12.4%。過去最低の水準を維持し、全産業平均の14.2%も下回っていることが明らかになった。

もはや介護事業は立派な人材定着産業なのだろうか・・・。

しかし介護事業関係者にその実感はあまりない。その理由は人手が足りない、仕事が回らないという状況がさっぱり好転していないからだ。

離職率が低下しても人手が足りないということになれば、それは介護事業に必要な実務者の絶対数の確保ができていない状態で、ずっと事業運営だけが続けられているという意味だ。その状態はいつパンクするかわからないタイヤの摩耗状態と同じである。

だからこそ離職率の低下が数字で表れている今だからこそ、それを武器にして募集に応募が増え、介護実務者の絶対数が増える対策が必要不可欠であると云わざるを得ない。

その為には全産業平均所得より月額8万円も下回っている介護職員の給与改善が必要不可欠であり、来年度の介護報酬改定で早急にそれが実現できるように、思い切った処遇改善加算の上乗せが求められる。

そのような中で、介護職員の就職経路のトップは「友人・知人からの紹介」となっている。いわゆるリファラル採用の割合が最も高くなっているのである。

そのことは、『令和7年度「介護労働実態調査」結果の概要について』の1ページにも記されている。(下記参照
-----------------------------------------
(2)労働者が就職した主な経路・経緯(P15)
労働者が現在の法人に就職した主な経路・経緯は、「友人・知人からの紹介」が33.8%と最も高く、次いで「ハローワーク」が19.4%となっている。
勤続 1 年未満の者に限ると、最も高いのは同様に「友人・知人からの紹介」(29.3%)だが、次いで「求人情報サイト」(21.3%)となっている。
-----------------------------------------
リファラル採用は、英語の「Referral(紹介)」と「Recruiting(採用)」を組み合わせた「Referral Recruiting」に由来し、社員が自社に合いそうな人材を推薦・紹介し、通常の選考プロセスを経て採用する方法で、多くの場合、社員の友人・知人である。

だがそれって肯定的に受け止めてよいことなのか・・・採用方法が多角化することは悪いことではないのだから、リファラル採用という方法自体を否定するつもりはないが、その方法による採用者が増えるということは、他の採用方法が手詰まりであるという意味でもある。

社員の知り合いが入職してくる職場である反面、それ以外の伝手はないに等しいということにもつながりかねない・・・人材確保の網が広がらないということだ。

従業員採用をリファラル採用が採用経路の一番手となり、その状態が恒常化して従業員採用をリファラル採用に頼り切ってしまう結果になれば、早晩人材確保の手詰まりにつながることになり、長期的な事業経営戦略にはなり難い問題だ。
リファラル採用
そもそもリファラル採用は、現に勤めている人の友人・知人が同じ職場内で一緒に働くことになるのだから、必然的に派閥的な友人関係のネットワークが生まれることにつながる。複数の関係者のリファラル採用者が、それぞれ職場内でネットワークをつくることによって、ネットワークを別にする集団間で対立関係も生まれる危険性もある。

よって管理職や上司は、リファラル採用によって職場内に変な派閥ができないように目配り・注意を怠らないことも必要となるだろう。

またリファラル採用が増えることのもう一つのデメリットは、ファラル採用に関わった友人・知人の誰か一人でも職場に不満をもって辞めることになったときに、ファラル採用仲間が集団で退職行動をとることにもつながる恐れがあることだ。

それを考えたときリファラル採用した場合は、元から働いていた紹介者と、新たにリファラル採用した人については、同じ事業所に配置しないような工夫も必要である。

どちらにしても不特定多数に呼びかける従業員募集が功を奏さず、リファラル採用が就職の第一経路になることは喜ばしいことではない。

介護事業経営者や管理職は、その部分で勘違いをしてはならないのである。
9/4(金)13:30〜90分の予定で無料配信されるオンラインセミナー、次期改定の波を読み解き、人材不足時代を生き抜く!〜次期介護報酬改定の方向性と介護施設が取るべき経営戦略の詳細は文字リンク先をクリックして確認したうえで、同ページのセミナーお申し込みフォームから申し込みください。
次期介護報酬改定の方向性と介護施設が取るべき経営戦略
2027年度の介護報酬改定の方向性と介護生産性向上のための取り組み情報を伝えます。
筆者の講演予定はこちらからご覧ください。講演依頼はあかい花公式Web右上のをクリックしてお気軽に相談・お申し込みください。

※別ブログ「masaの血と骨と肉」もあります。お暇なときに覗きに来て下さい。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。

masaの看取り介護指南本看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。