制度改正の度にケアマネジメントの質が議論されるが、2027年度改正議論の中でも同じような議論が行われている。

その中でも特に問題になっているのが、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの集合住宅での、「囲い込み過剰サービス」である。

サ高住の入居要件として併設居宅介護支援事業所と契約することを求め、その居宅ケアマネが入居後に利用する訪問介護・通所介護等も自社内のサービスに限定して区分支給限度額ぎりぎりまでのサービスプランを組むなどが不適切とみなされているわけである。

その為、居宅介護支援費の「同一建物減算」を現行の5%減算から減算幅を大幅に引き上げてはどうかという問題提起がされている。

その実現可能性は極めて高いのではないだろうか。
ケアマネジメントの独立性
これはケアマネジメントの独立性という問題である。

だがそれは居宅介護支援事業所が大手法人の一事業所として存在することを否定するものではない。仮に大手企業内の居宅介護支援事業所であったとしても、利用者の暮らしの質を高めるためのケアマネジメント・利用者本位のケアプランという本質を忘れず、自社サービスへの囲い込みありきのケアプランからの脱却を求めるものである。

そしてそのことは集合住宅に居住する利用者のプラン作成に限った問題でもない。例えば先日、下記のような指定取り消しケースが報道された。
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先月5/30に和歌山市は介護保険法に基づき、有限会社「LOHAS」が市内で運営する2つの介護保険サービス事業所の指定を取り消した。指定が取り消されたのは、「福祉用具ステーション Stand up」(福祉用具貸与・特定福祉用具販売、介護予防も)と「ほっとケアマネステーション」(居宅介護支援・介護予防支援)。

和歌山市によると、「福祉用具ステーション Stand up」は2021年6月に指定を受けたが、指定申請の際、虚偽の勤務形態一覧表を提出し、福祉用具専門相談員の人員基準を満たしているかのように装った。

事業開始後も、人員基準を満たしていない状態が続いていたが、併設する「ほっとケアマネステーション」のケアマネジャーは、不正を認識していながら給付管理を行っていた。この事業所はまた、一部の利用者のサービス担当者会議を開催しないなど、運営基準に違反していたが、請求時に減算していなかった。

不正受給された介護給付費は合計約1560万円。生活保護受給者の公費負担分を含めると、約3620万円に達した。
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このように自社の他事業所の不正に加担する居宅サービス計画書を作成、給付管理していたというのだ。自分が所属する会社であるから不正に加担せざるを得ないという考え方は、自分を犯罪者に貶める考え方であると気づいてほしい。

勿論、一ケアマネでしかない立場で、会社のトップはじめ管理職などに楯突くことは難しいという気持ちも理解できる。だがその場合は、もっと柔らかく「不正は必ず明るみになるので、その場合罰則金も含めて莫大な支出が必要になるので、そういうことはしてはなりません。」と嗜める姿勢はあって当然だろう。

そもそもケアマネが足りない現状で、居宅ケアマネは引く手あまたである。そのような不正に手を貸して犯罪者の烙印を押される前に、そんな会社にはさっさと見切りをつけて、法令に沿った正しい仕事ができる事業所を探したほうが良いと思う。そうすれば不正に手を貸すというストレスも解消されるのだ。

ケアマネは、利用者本位という言葉を建前ではなく本音に変える代弁者であり、ケアプランは、その宣言書であることを決して忘れてはならない。
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