我が国の社会福祉援助の領域で、ケアマネジメントが一般的な技法と認知され浸透してきたのは、なんだかんだ言っても介護保険制度以降だろう。

それ以前は、ケースマネジメントとケアマネジメントは違うのか、同じものなのかという変な議論さえあったのだから、ケアマネジメントの認識度はかなり低かったと言わざるを得ない。
※ちなみにケースマネジメントとケアマネジメントは同じものだ。ケースマネジメントという言葉と手法はアメリカ合衆国で誕生したが、イギリスでコミュニティケア法を制定する際に、ケースマネジメントという言葉は冷たい語感があるとして、ケアマネジメントという言葉に置き換えられ、それが浸透していったに過ぎない。

しかしケアマネジメントが理解され浸透してきたと言っても、それは介護保険制度のルールの中の、「日本型ケアマネジメント」に過ぎないともいえなくもない。マクロ的概念としてのケアマネジメントとは、介護保険制度の規定と関連しない場所でも、社会資源と利用者を最も適切に、かつ効率的につなぐ手法として存在することを理解せねばならない。

とはいっても介護支援専門員という資格については、まさに介護保険制度が生んだものなので、そこで仕事をする以上は、介護保険制度上のケアマネジメント実務を理解し、法令に沿った仕事の方法論を知らなければどうしようもないのも事実だ。だからこそまずそこからケアマネジメントを理解する必要もあるだろう。

特に介護保険制度以後に創設された居宅介護支援事業というサービスについては、行うべきルーチンワークも制度規定と連動しているし、お金の計算と国保連への報告も、「給付管理」と名付けられ、その業務もケアマネジメント実務の中に取り込むという独特の方法をとっているので、居宅介護支援事業としての一連業務を法令に沿って理解することがまず求められる。

そのため制度施行直前から、居宅介護支援におけるケアマネジメントについては、全国各地でそのことに関連する研修会が開催され、今でもそれは続いている。職場の中でケアマネジャーの数が少なく、学びの機会も少ないと言われるケアマネジャーではあるが、居宅介護支援業務については、外部研修の機会が比較的多いのである。

それに比較すると、施設ケアマネジメントに特化された研修会は制度開始当初から今に至っても少ないままである。

その理由は、施設ケアマネジメント自体は、制度施行以前から相談援助職が行っていた業務と大きく変わることはなく、それを介護保険制度上の法令に沿った方法と時期に行うことで事足りるので、改めてその実務を伝える研修の必要性が、居宅介護支援よりも高くなかったという理由だろう。

だがその弊害は、施設ケアマネジメントの法令ルールは、居宅マネジメントのそれとは異なっていることなどの理解が浸透せず、施設ケアマネジメントの効率化が図れなくなっていることなどにみられる。例えば施設ケアマネジメントにおける、「サービス担当者会議」の開催は、照会と同列であり、初めから担当者会議を開かないことを前提にプランニングしてよいケースがあることを利用していない施設ケアマネが多かったりしている。(参照:ケアプランはサービス種別によって作成ルールが異なる

しかも施設ケアマネの業務内容は、施設の事情によって異なってくるという実態がある。なぜなら横断援助職と介護支援専門員の業務分掌は事実上困難なので、その分掌は施設ごとに異なるからだ。(参照:施設ケアマネジャーは、相談援助職でありソーシャルワーカーですよ

特に施設の介護支援専門員は他の職種と兼務しても常勤1とされるために専従しているとは限らない。よって兼務しているのか、専従しているのかでも業務内容が異なってくる。

どちらにしても施設ケアマネ業務については、各施設の事情に左右される部分が多く、一般化が難しいことから、その講師を務める人材も限られてくるために、施設ケアマネを対象にした外部研修機会が少ないという事情もある。

ちなみに施設ケアマネジメントを講義できる人材の一人が僕である。施設ケアマネジャー向け研修講師を探している方は、是非声を掛けていただきたい。・・・おっと話が逸れた。

そんな事情もあって、施設の介護支援専門員の中には、いきなり任命されて業務内容も誰からも教えられることなく、自分でルーチンワークを作らざるを得ない人も多い。それらの人は今行っている業務が、法令に即しているのか不安を持ちながら日々の業務をこなしていたりする。そこで自分の能力と資質に自信を持てなくなってしまう人も多い。

しかも施設ケアマネの配置規準は、利用者100人に対して1名で良いことになっている。そこでは誰にも相談できないで悩む、孤独な施設ケアマネが生まれかねない。そんな中で介護業務まで担うことも求められているケースさえある。それはもってのほかだ。(参照:頭脳が手足となる弊害

居宅介護支援事業所のケアマネの場合は、一人ケアマネ事業所であっても、OJTの機会が十分でない介護支援専門員に対して、地域の主任介護支援専門員が同行して指導・支援を行う研修(地域同行型実地研修)を受けることもできる。(参照:問われる主任介護支援専門員の資質と力量

しかしこれは施設ケアマネジャーを対象にした研修ではない。そのため自分のスキルアップや知識獲得のために、どこに相談すればよいのかさえ分からない施設ケアマネが存在する。

そんな悩みを持つ孤独なケアマネが集い、話し合える場所は必要不可欠だ。地域のケアマネ会なども、施設ケアマネに特化した研修や話し合いの場を、もっと数多く創ってほしいと願うばかりである。

なお僕は、施設ケアマネ実務について、数週間単位でマンツーマンで教育指導する依頼も受けている。その施設の業務実態に合わせて、施設ケアマネ業務を見直しながら、法令に沿った業務を行なえるように指導できるので、希望のある施設関係者は是非ご相談願いたい。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
TSUTAYAのサイトからは、お店受け取りで送料無料で購入できます。
キャラアニのサイトからも送料無料になります。
医学書専門メテオMBCからも送料無料で取り寄せ可能です。
アマゾンでも送料無料で取り寄せられます。