masaの介護福祉情報裏板

介護や福祉への思いを中心に日頃の思いを綴ってみました。表の掲示板とは一味違った切り口で、福祉や介護の現状や問題について熱く語っています!!表板は業界屈指の情報掲示板です。

ケアプラン

ケアプラン適正化という名の権利侵害を許すな



介護保険各種サービス事業者に対する運営指導は、行政職員によって行われる。それは行政職員が法令に精通した役人であるというのが前提となっているからだろう。

しかしそうした行政職員の中には、法令を拡大解釈あるいは縮小解釈し、勝手な理屈を創り出して、己の価値観によってルールをゆがめる輩も混じっている。そしてサービス利用者やサービス提供事業者に対して制限を課すことがケアプラン適正化事業の目的であると勘違いしている輩が存在する。

そのような輩は行政指導ができるという権力に酔った馬鹿どもと言って過言ではないか、そうした馬鹿どもによって制度は歪められている。そんな実例を紹介したい。

(株)内田洋行が管理するU+(ユープラス)というサイトに、「masaの介護・福祉よもやま話」というコラム記事を連載している。

最初の連載記事は2011年8月に配信されているから、もう13年近く連載しており、記事数も145回に達している。

その連載読者の方からU+(ユープラス)編集担当者に、次のようメールが送られてきたそうである・・・ケアプラン適正化事業を曲解した不適切指導としか思えない行政指導に悩まされてる人からの相談といったところである。下記参照願いたい。
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メール内容を転載
第69回 週2回の入浴という基準をどう考えるかの記事を読ませていただきました。
現在、介護保険課より、週3回の入浴(デイケアで週2回、訪問介護で週1回)は正しい給付でない・本人が希望するだけではダメ・どうしても週3回必要な理由は何か示しなさいと言われているところです。
色々調べているうちにこちらの記事にあたりました。見解は、まさしくそのとおりだと思います。
もしよろしければ、その後どうなったか・指導が不適切であったことが公になったなどを教えていただければと思います。よろしくお願いします。今、区からの指導で困っているところです。
転載ここまで
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まったく開いた口が塞がらないとはこのことである。この指導担当者は、自分自身が週2回しか入浴していないのだろうか・・・それ以上の回数入浴することが贅沢だとでも思っているのだろうか。
Mr.ハラスメント長谷川岳
その威圧的指導はMr.ハラスメント長谷川 岳(はせがわ がく)と同レベルだ。

そもそも訪問介護の入浴支援に標準回数など存在しない。必要な入浴支援は身体状況だけではなく、本人の生活習慣や希望によっても左右されてしかるべきである。

特養等の入浴支援の基準は週2回以上となっているが、だからと言って週2回を超えて入浴支援を行ってはならないわけではない。週2回というのはあくまで最低基準であり、それを下回ってはならないという基準だ・・・しかもそれは1963年に老人福祉法が制定された当時からの古い基準を引き継いでいるにしか過ぎず、現在の世相や生活習慣とは異なる中で規定された大昔の基準である。

一般家庭に内風呂がなかった時代は、週2回程度の入浴習慣しかなかった人も少なくないのかもしれないが、現代社会で週2回しか入浴していない人は極めて少ない。高齢者の多くも毎日あるいは隔日ごとに入浴している人が多いのである。

そうであるにも関わらず、要介護者の入浴支援プランを週2回を基準にするというのは、要介護者に対する差別でしかない。

こうした指導を受けた場合、必ずしなければならないことは法的根拠を確認することだ。ただ闇雲に運営指導だから言うことをきかねばならないという筋合いのものではない。

きちんと法的根拠を確認して納得した場合のみ、その指導に従えばよいのである。今回のケースについてはその法的根拠は存在しないだろう。

この場合、納得しないとして指導を受け入れず、引き続き必要な回数の入浴支援計画を継続すればよいのだ。それに対して行政が介入して、介護給付費を返還するように指導してきた場合は、毅然と訴訟などで対抗すればよいと思う。

現に、『寝屋川市の理不尽指導に屈しなかった居宅介護支援事業所』で情報提供したように、理不尽な運営指導に毅然と向き合って、裁判で勝訴した例もある。

今回のケースは明らかに運営指導の根拠と正当性に欠けるので、裁判を行ったら居宅介護支援事業所側が勝訴するだろう・・・そもそも法的根拠を示すことができない時点で、運営指導担当者はそれ以上の横車は押せなくなると思う。

どちらにしても横暴なローカルルールに泣いて終わるではなく、毅然と立ち向かうことがケアマネジャーという専門職に求められる態度である。


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孤独なケアマネジャーの支援が重要


我が国の社会福祉援助の領域で、ケアマネジメントが一般的な技法と認知され浸透してきたのは、なんだかんだ言っても介護保険制度以降だろう。

それ以前は、ケースマネジメントとケアマネジメントは違うのか、同じものなのかという変な議論さえあったのだから、ケアマネジメントの認識度はかなり低かったと言わざるを得ない。
※ちなみにケースマネジメントとケアマネジメントは同じものだ。ケースマネジメントという言葉と手法はアメリカ合衆国で誕生したが、イギリスでコミュニティケア法を制定する際に、ケースマネジメントという言葉は冷たい語感があるとして、ケアマネジメントという言葉に置き換えられ、それが浸透していったに過ぎない。

しかしケアマネジメントが理解され浸透してきたと言っても、それは介護保険制度のルールの中の、「日本型ケアマネジメント」に過ぎないともいえなくもない。マクロ的概念としてのケアマネジメントとは、介護保険制度の規定と関連しない場所でも、社会資源と利用者を最も適切に、かつ効率的につなぐ手法として存在することを理解せねばならない。

とはいっても介護支援専門員という資格については、まさに介護保険制度が生んだものなので、そこで仕事をする以上は、介護保険制度上のケアマネジメント実務を理解し、法令に沿った仕事の方法論を知らなければどうしようもないのも事実だ。だからこそまずそこからケアマネジメントを理解する必要もあるだろう。

特に介護保険制度以後に創設された居宅介護支援事業というサービスについては、行うべきルーチンワークも制度規定と連動しているし、お金の計算と国保連への報告も、「給付管理」と名付けられ、その業務もケアマネジメント実務の中に取り込むという独特の方法をとっているので、居宅介護支援事業としての一連業務を法令に沿って理解することがまず求められる。

そのため制度施行直前から、居宅介護支援におけるケアマネジメントについては、全国各地でそのことに関連する研修会が開催され、今でもそれは続いている。職場の中でケアマネジャーの数が少なく、学びの機会も少ないと言われるケアマネジャーではあるが、居宅介護支援業務については、外部研修の機会が比較的多いのである。

それに比較すると、施設ケアマネジメントに特化された研修会は制度開始当初から今に至っても少ないままである。

その理由は、施設ケアマネジメント自体は、制度施行以前から相談援助職が行っていた業務と大きく変わることはなく、それを介護保険制度上の法令に沿った方法と時期に行うことで事足りるので、改めてその実務を伝える研修の必要性が、居宅介護支援よりも高くなかったという理由だろう。

だがその弊害は、施設ケアマネジメントの法令ルールは、居宅マネジメントのそれとは異なっていることなどの理解が浸透せず、施設ケアマネジメントの効率化が図れなくなっていることなどにみられる。例えば施設ケアマネジメントにおける、「サービス担当者会議」の開催は、照会と同列であり、初めから担当者会議を開かないことを前提にプランニングしてよいケースがあることを利用していない施設ケアマネが多かったりしている。(参照:ケアプランはサービス種別によって作成ルールが異なる

しかも施設ケアマネの業務内容は、施設の事情によって異なってくるという実態がある。なぜなら横断援助職と介護支援専門員の業務分掌は事実上困難なので、その分掌は施設ごとに異なるからだ。(参照:施設ケアマネジャーは、相談援助職でありソーシャルワーカーですよ

特に施設の介護支援専門員は他の職種と兼務しても常勤1とされるために専従しているとは限らない。よって兼務しているのか、専従しているのかでも業務内容が異なってくる。

どちらにしても施設ケアマネ業務については、各施設の事情に左右される部分が多く、一般化が難しいことから、その講師を務める人材も限られてくるために、施設ケアマネを対象にした外部研修機会が少ないという事情もある。

ちなみに施設ケアマネジメントを講義できる人材の一人が僕である。施設ケアマネジャー向け研修講師を探している方は、是非声を掛けていただきたい。・・・おっと話が逸れた。

そんな事情もあって、施設の介護支援専門員の中には、いきなり任命されて業務内容も誰からも教えられることなく、自分でルーチンワークを作らざるを得ない人も多い。それらの人は今行っている業務が、法令に即しているのか不安を持ちながら日々の業務をこなしていたりする。そこで自分の能力と資質に自信を持てなくなってしまう人も多い。

しかも施設ケアマネの配置規準は、利用者100人に対して1名で良いことになっている。そこでは誰にも相談できないで悩む、孤独な施設ケアマネが生まれかねない。そんな中で介護業務まで担うことも求められているケースさえある。それはもってのほかだ。(参照:頭脳が手足となる弊害

居宅介護支援事業所のケアマネの場合は、一人ケアマネ事業所であっても、OJTの機会が十分でない介護支援専門員に対して、地域の主任介護支援専門員が同行して指導・支援を行う研修(地域同行型実地研修)を受けることもできる。(参照:問われる主任介護支援専門員の資質と力量

しかしこれは施設ケアマネジャーを対象にした研修ではない。そのため自分のスキルアップや知識獲得のために、どこに相談すればよいのかさえ分からない施設ケアマネが存在する。

そんな悩みを持つ孤独なケアマネが集い、話し合える場所は必要不可欠だ。地域のケアマネ会なども、施設ケアマネに特化した研修や話し合いの場を、もっと数多く創ってほしいと願うばかりである。

なお僕は、施設ケアマネ実務について、数週間単位でマンツーマンで教育指導する依頼も受けている。その施設の業務実態に合わせて、施設ケアマネ業務を見直しながら、法令に沿った業務を行なえるように指導できるので、希望のある施設関係者は是非ご相談願いたい。

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研修の成果がみえるケアプラン

介護サービスの現場は、毎日解決しなければならない様々な問題が起こるので、日々勉強の繰り返しである。

立ち止まっている暇はないので、いつも新しい知識を求めて学び続けなければならない。だから外部の研修や、OJT、OFF-JTは不可欠である。加えて定期的な職場内研修は欠かせない。僕の職場では、この職場内研修(当施設では園内研修と称している)は毎月行うことを原則としている。

しかし職場内研修で何をテーマにするかということはいつも悩みの種である。例えば「看取り介護研修」は、この加算を算定している施設は定期的に行うことが義務付けられているので、最低でも年1回しなければならないし、感染予防や褥創予防についても国からの通知文で実施義務が定められているから必ず年間研修計画等に盛んでいるが、そうしたテーマの繰り返しばかりでも知識の広がりはないし、現場で生きる知識を獲得しようと考えれば考えるほど、このテーマ創りは難しくなる。

そこで、一つの方法としては、現場で何が一番困っていて、そのことに対してどういう方向から考えれば問題解決に繋がるかということを、僕自身が考えながらテーマ決定することが多くなっている。だからと言って研修内容が現場のサービスに生きているという「成果」が見えないことも多いし、ある意味目に見えない感性を伸ばすという部分に期待しているものもあり、なかなかその評価は難しい。

しかし中には「やってよかった」と結果が見えるものもある。

2月の定期研修会では「認知症高齢者のケア」に関連してタクティールケアをテーマにした。これは「守ってあげたい」で取り上げた方のケアに関連して、何をしても落ち着いてくれない時に、せめて手を包み込むように優しく触りながら「〇〇さん、ごめんよ。〇〇さんが困っているのに何もできなくて。でもずっと僕らはここで○○さんを守っているからね」ということを伝えることも大事なのではないかと思い取り上げたものだ。

タクティールケアとは、もともとスゥーデンで生まれた「緩和ケア」の方法論だから、ターミナルケアの現場での方法論と言えるだろう。しかしこの方法が認知症の高齢者の方々にも効果があると言われており、例えば攻撃性のあるアルツハイマー型認知症の男性が、タクティールを受けるうちに静かで調和的になったり、不穏状態にあった女性が、タクティールケアを受けている間は静かに眠ることが出来るなどの効果が報告されている。

その方法は、対象者の手などを柔らかく包み込むように触れる方法で、指圧や手技療法とは根本的に異なるものだ。

その効果は科学的にも証明されていると言われており、それは皮膚への柔らかな刺激をすることで、接触受容体を刺激し、さらに知覚神経を介してオキシトシンの分泌を促し、オキシトシンが脳下垂体後葉から分泌されることによって、オキシトシンは血管内に放出され、体全体に効果を生み、鎮静化の作用を起こす。そのことにより、安心と信頼の感情が引き起こされ、それに伴って、良い気分になったり、不安感や恐怖感の緩和をすることが出来るものとされている。

だから方法としては、対象者の手を均一に柔らかく、しかもしっかり、ゆっくりとタッチして、同一の動きで皮膚の接触受容体を刺激し、脳下垂体からのオキシトシン分泌を促すことが大事だとされている。

具体的には、こちら「ヨミドクターのタクティールケアって? 触れて和らぐ不安感(動画あり)」を参照してもらうとよいと思う。

しかし我々の介護の現場では、ほんとに一人ひとりに向かいあう真の関係性を築く方法論のひとつと考えてもよいように思う。

だからタクティールケアが方法としてうまくできているかということより、そういう方法があるということを知って、それを現場のケアに生かす視点があって、いよいよ行動・心理症状に手が届かず困ったケースについて、最後は優しく手をさすって言葉をかけるということであってもよいと思っている。

そういう気持ちで施設内研修において、このテーマを取り上げたのだが、多くの職員がそれまでタクティールケアという方法があることも知らず、そういう言葉さえも知らなかった。

しかし先週ケアカンファレンスを行い、ケアプランを更新したケースの「サービス担当者会議の要点」を読んでいて、ケアプランにこの方法がしっかり取り入れられているのを確認して、テーマが生きていると感じた。

対象となった方は、96歳の女性で、検討内容として「認知症の進行・見当識低下により何をしてよいかわからないと困惑することが多くなり、心気症状や不安の訴えがある。話を傾聴することで落ち着くことも多いが不穏や不眠が見られるようになった。」とされ、対応方法として「タクティールケアを取り入れたコミュニケーションを充実させ、心理的安定を図るとともに、体調・睡眠状態の観察を行い不安感解消に努める。」と書かれている。

この方法はケアプランの一部にしか過ぎないし、その方法が必ず効果があるとは言い切れないが、施設内研修で勉強した方法論を、早速ケアプランに取り入れようとする姿勢は大いに評価してよいだろうと思う。

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