先週結果が公表されたワムネットの調査では、全国の特養の半数が外国人材を受け入れていることが明らかになっている。
この結果は決してポジティブな意味ではないように思われる。つまり外国人介護人材を受け入れないと必要な人員配置がままならないという特養が、都市部と農村部という違いを超えて全国で津々浦々で増えているという意味だろうと思う。介護人材不足はそれほど深刻化しているということだ。
そういう意味で既に特養にとっては、外国人材は貴重な戦力と言ってよい。それらの人がいないと業務が廻らなくなっているのである。
しかし外国人材の数にも限りがある。しかも今後は訪問介護等の居宅サービスにも外国人材配置が可能となることは確実で、それは早ければ来年度の基準改正時に、省令を改正して実施される可能性が高い。
すると国内の介護事業所間での外国人介護人材の取り合いが今以上に激しくなることが予測できる・・・その状況で、特養は益々人材難がすすむことになるのではないか。
このような日本全体の介護人材不足は解消の手立てが見えない。国の施策も手詰まりである。
だからこそ生産性の向上が叫ばれているわけで、人に替わるテクノロジーを導入して働き方を変えていくという介護DXも求められていくわけである。
その為には、介護業務の負担軽減につながる機器導入も積極的に行うべきだということは、「使える機器導入は介護事業経営者と管理職の責務」でも解説している。
特に見守りセンサーは劇的に進化しており、誤作動もなく的確に利用者の動きをとらえてくれるため、設置しているフロアでは夜間等の見守り巡回が必要無くなるために、業務負担は大幅に削減でき、導入施設の職員から歓迎されている。
その証拠に厚労省調査では、2022年度まで入所・泊まり・居住系の施設の30.0%が、見守り支援機器を導入済みである。そして導入施設の機器使用頻度は、「ほぼ毎日」が91.1%を占めていた。
この結果は、見守り支援機器が倉庫に眠っていないこと=使いこなせる機器であることを示している。倉庫に眠って使われない移乗用リフトとは使い勝手に大きな違いがあるのだ。そしてそのことが職員の負担軽減・業務の効率化・介護事故の防止・ケアの質の向上という結果につながるのである。
ところが4/8までに明らかになった厚労省の委託調査結果によると、全国の入所・短期利用滞在施設の66.7%が見守りセンサーを導入していないとされている。こんなに便利で、導入施設の職員の大多数が歓迎している機器を、これほど多くの施設がなぜ導入をためらうのだろうか。
導入していない施設の理由は、導入費用が高額(64.6%)となっており、それに次いで職員が使いこなせるか不安・設置場所や準備・点検、維持管理が大変そうという回答となっている。
こんなことを本気で思っているとしたら馬鹿丸出しだ。そういう施設の経営者・管理職は、その任に堪える能力もセンスもゼロであると言いたい。
導入費用が高額だというが、だからこそ見守りセンサー導入に補助金が支給される今のうちに、必要台数を揃えおくと考えるのが経営者の務めではないか。
使いこなせるか不安なんていう理由は、導入しないために無理やりとってつけた理由にしか聞こえない。なぜならセンサーは、勝手にしかも正確に動いてくれるので、使いこなす必要なんてないからだ。導入した施設の職員は使いこなし方を考える必要もなく、センサー反応に対応するだけでよいのだ。
維持管理が大変だというが、どれほどの手間がかかるかわかっているのだろうか。定期的な点検なんてほぼ必要にない機器である。準備と言うが、準備なんて必要なく、設置すればよいだけだ。
勿論、機械だから故障はあるだろう。その修繕費も必要だろう。しかしこれらの機器は、人手が十分確保できない状況の施設業務を軽減する目的で設置するものだ。それによって職員の業務負担が軽減され、少ない人数で業務が廻る結果をもたらすのだ。
ここに経費をかけるのは当たり前ではないか。そのような経費を惜しんで、業務負担が軽減できる機器の導入をためらう経営者や管理職は、職員に対する背信行為を行っているのと同じである。
従業員の方々には、そういう経営者や管理職しかいない施設からは一日も早く逃げ出して、もっと自分を大切に思ってくれて、業務負担軽減につながる機器導入に積極的な施設に転職することをお勧めしたい。
それが自分の身を護る方法でもある。
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