masaの介護福祉情報裏板

介護や福祉への思いを中心に日頃の思いを綴ってみました。表の掲示板とは一味違った切り口で、福祉や介護の現状や問題について熱く語っています!!表板は業界屈指の情報掲示板です。

介護待遇改善

職員を大切にする事業母体が求められます


暦の上では3連休の最終日である今日は、「敬老の日」である。

老人をことさら敬う日を創らねばならない国は、日ごろの敬老精神が欠けている証明ともいわれることがあるが、長寿を寿ぎ、多年社会に貢献して生きてきたとして高齢者に敬意を払う日があっても悪くはない。

そんな日であるから、高齢者施設では敬老の日を祝う行事を行っているところもあるだろう。世間一般の勤労者が、「今週は、火・水・木の3日勤務すれば終わりだ」と言っている中で、介護事業者の職員はシフト勤務で休みなく働いておられる人が多い。

介護事業経営者の給与も、そういう人が居てくれるからいただけるわけで、休日や祝日の日にはそのことに感謝して、従業員の方々に少しでも手渡せる労働対価を増やすための事業戦略を練る工夫をしたいものだ。
北海道の風景
ところで、総務省が18日公表した人口推計によると、65歳以上の高齢者は前年より6万人多い3627万人で過去最多を更新したそうである。

75歳以上は72万人増の1937万人で、対総人口の割合が初めて15%を超えた。そのような中で出生率は6年連続過去最低を更新し続けているのだから、要介護高齢者を支える人材の確保は、介護事業者の最大課題だ。

ただ9/16公表の「厚生労働白書」を見ると、介護事業者の離職者数は低下傾向にあり、全産業の平均離職率とほぼ差がないことがわかっている。

ただし介護事業者間で離職率に大きな格差が存在することも事実で、今後はこの格差を埋めて、定着率をさらに向上させるための個別の事案検証が必要になる。

だが全体的な流れは、介護職員処遇改善加算の効果が一定程度はあったことを証明するものである。岸田政権は、介護職員の更なる待遇改善を公約として掲げているので、2024年度の介護報酬改定でも、処遇改善加算の再構築(上乗せなど)が期待できる。

それに先駆けて来月からは、時限措置だった介護職員処遇改善支援補助金に替って、「介護職員等ベースアップ等支援加算」が新設されることになり、処遇改善関連加算はそれぞれ配分ルール等が異なる3区分の加算となる。

その算定・支給ルールは複雑化する一方だし、事務作業も増える一方ではあるが、それにめげずにきちんとすべての加算を、しかも最上位加算を算定し、従業員に考え得る最大の対価を与えるように努めるのが、介護事業経営者の責任だ。

支給ルールが不公平だとか、いろいろな理由をつけて加算算定をせず、職員に与える得る対価を放棄している経営者は、従業員を大切にしていない、知恵と努力に欠ける経営者だと言われても仕方がない。

配分ルールが不公平と思うなら、配分が足りていない職員には、加算とは関係のない事業収益をより多く配分する経営努力をすればよいのだ。

そのようにしない介護事業者は、よりスキルの高い職員からは見放されるのが正常な状態と思っている。だから介護職員の方に対しては、「処遇改善最上位加算を算定し手渡さない事業者には見切りをつけよう」という記事を書いて、ポジティブな転職を推奨させていただいている。(※リンクを貼った記事をぜひ参照ください。)

介護市場は、今後20年間は毎年1兆円以上費用がそこに落ちてくる拡大市場だ。ここに介護職員だけではなく、他職種の給与改善原資も転がっているということだ。

それを獲得して、さらによりスキルの高い職員を確保・定着させることで、財源はさらに張り付いてくるという好循環を生む経営は可能であることを理解しなければならない。

しかしそれは、他の介護事業所と同じことをしていては実現するはずもないのである。

どこをどう差別化していくのかという知恵と経営手腕が求められる問題であることをいち早く知った介護事業経営者と介護事業者が生き残っていくのである。
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割を食うのは非介護職員


黄金の3年は介護業界にとっての暗黒の3年にならないか?より続く)
今回の参議院選挙で落選した園田修光氏は、2021年度の改定で介護報酬のプラス改定を強く訴えるなど、介護業界にとっては頼りになる政治家であった。

3年前の参議院議員選では、介護業界の利益を代表してくれる議員を国会に送り出せなかったのだから、園田氏は貴重な存在で、介護業界の防波堤の役割を担ってくれていた。

その人が国政の場から去ることになった今、介護業界は厳しい逆風をはねつける術(すべ)を失ったと言える。

その状態でいよいよ次期制度改正と報酬改定議論が本格化するのである。それは介護業界にとっていばらの道を進むに等しい厳しい戦いとなる。
いばらの道
それを心配する声もあちらこちらで聴こえ始めた。例えば昨日僕のFBには、「園田修光さんの落選は激震が走りました。処遇改善加算はこれからどうなるんでしょう?」というコメントを書いてくださった関係者がおられる。

しかし処遇改善加算自体は、今年10月から新設される介護職員等ベースアップ等支援加算に加えて、更なる上乗せがされるものと想像している。そのため僕は下記のようにコメントを返した。

介護職員の更なる処遇改善は岸田内閣の方針で、骨太改革にも入っていますので、そこは報酬改定でさらに上積みが期待できる部分だと思いますが、その上積み分、基本サービス費などは厳しく削減という形になりかねないと思います。

それを証明するかのように昨日、岸田首相が記者会見を開き「今後の重点施策」を説明する中で、「民間が賃上げをしやすい雰囲気を作っていく」とし、先月に閣議決定した新しい資本主義の「実行計画」の中で、介護職員、障害福祉職員の追加の処遇改善を検討していくと明記されていることに触れて、その実現を図る決意を述べている。

要するに介護職員の処遇改善は、福祉政策ではなく経済政策であるということだ。

岸田内閣の掲げる最も重要なスローガンである、「成長と分配の好循環による新しい資本主義」の実現のためには、210万人以上という団塊の職種である介護職員の給与改善が必須で、そのことが経済政策としての成果に結びつくと考えられているのである。

しかしその見返りとして、基本サービス費は非常に厳しい逆境にさらされかねない。

特に2024年の介護報酬改定は、診療報酬改定とのダブル改定になるのだ。それは限られた財源を、医療と介護で仲良く分け合うという構図ではなく、お互いがお互いの利益を図って足の引っ張り合いをしなければならないということだ。 

その時思い浮かぶことは、園田氏が落選した自民党の比例代表では、日本医師連盟が推した自見英子氏と、日本看護連盟が推した友納理緒氏が当選しているという事実だ。

医師会と看護連盟が推す議員は、3年前の参議院議員選でも当選しており、衆議院議員の中にもいるのだ。さすれば医療と介護の政治的な力関係は、語るまでもない状態になっている。

そこの部分だけをみれば、介護報酬が診療報酬より優遇される要素も、介護報酬が上がる要素も皆無である。

そう考えると24年の介護報酬改定は、15年度のマイナス2.27%並みかそれ以上の厳しい改定予測が成り立つ。大きなダウンを処遇改善加算の上乗せ分でカバーして、大削減の実態が隠されて終わるのではないだろうか。

そうなると多くの介護事業者で事業収入自体は減ることになるだろう。すると今までは、介護職員の給与改善原資が加算で手当てできた分、事業収益から他の職種の給与改善原資として回せる分は増えているのだから、そのことを踏まえて他職種の給与改善を図るということも可能だったわけであるが、そうもいっていられなくなる。

事業経営を続けるためには、一定の収益を出し続ける必要があるわけで、背に腹は代えられないとのことで、加算で手当てできない介護職員以外の職種の給与は上げることができないという事態になりかねないのである。

というより介護職員ほどには上げられない介護事業者が大部分を占めることになるだろう。

LIFEの情報入力で業務負担が増えている事務職員は、24年度の改定ではさらにLIFE要件が増えると予想されていることで、業務負担が益々増えることになるが、その仕事に見合った給与改善を望んでも、それは実現しないことになる。

選挙の敗北という結果の割を食うのは、このように非介護職員ということになってしまうのである。

政治力という問題を軽視して、職員に推薦候補の投票を強力に呼びかけることがなかったつけが、まさに今、介護事業者を襲おうとしているのである・・・。
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経営者の矜持が問われる給与改善に対する考え方


今現在及び今後の介護事業経営を考えたとき、一番重要となるものは、「人材マネジメント」である。

経営者がどんなに素晴らしい経営能力を持っていても、事業運営に必要な人材がいなくてはどうにもならない。特に介護サービスは人手を掛けずに提供できないものである。しかし生産年齢人口が減り続け、介護人材対策も有効な手立てが打てない状況で、すべての介護事業者が必要な人材を確保する見込みは立っていない。

そこで何を考えるべきか・・・。マイナビが運営するメディカルサポネットで、今日から6月17日までの限定公開で、この問題に関するオンライン講演が配信されている。「介護事業における人材マネジメント〜採用と育成で重視すべきこと」は、張り付いた文字リンクをクリックしてご覧になっていただきたい。

無料登録するだけでどなたでも視聴できるので、登録がお済みでない方も、早めに登録を行って視聴願いたい。

ところで人材マネジメントに関連しては、従業員全体の処遇改善をどう考えるかという問題がある。

10月から介護職員処遇改善支援補助金が、「介護職員等ベースアップ等支援加算」に変わり、処遇改善関連加算は3種類となることは何度もアナウンスしてきた。(参照:介護職員等ベースアップ等支援加算が新設されます

職員の給与改善原資となる加算が、随時積み上げられてきた結果とは言え、なんとも複雑な加算構造になったものだ。

次期報酬改定では、この3つの加算を統合してもっと簡素化できないかということも議論の俎上に上ると思われる。

しかし一番古くからある処遇改善加算は介護職員にしか支給できないのに対して、特定加算介護職員等ベースアップ等支援加算は、支給対象事業内の職員であれば介護職員以外にも配分してよいルールになっている。ただし特定加算には、その配分に細かいルール(制限)が設けられているが、介護職員等ベースアップ等支援加算は、事業者の裁量で自由に配分できるという違いがある。

つまりこの3つの加算は、似て非なる加算であり、一つに統合するためには、一度すべての加算構造を崩したうえで再構築する必要があるのだ。

それは非常に難しく時間がかかる作業にならざるを得ない。しかもそうすることで既得権の一部が消滅することにもなる。介護職員以外の職種に配分幅を広げると、介護職員の既得権が侵されることになり、介護職員以外の配分制限を強化すれば、その他の職種の既得権が侵されるからだ。

よって今までのそれぞれの加算ルールを踏襲したまま、配分ルールも申請もそれぞれ別に行うという現行ルールも変わらないのではないかというのが、現時点での僕の予想だ。

しかもそれに加えて5月24日に論評した、介護職員の更なる処遇改善が行われることになる。(参照:介護職員の更なる処遇改善の見込みについて

これが現行の3つの加算のどれかに上乗せされるだけなのか、あるいは4つ目の処遇改善加算となるのか、はたまた既得権云々もすべて無視して全部を一度崩して再構築するのかは、まだ何とも言えない。(※おそらく介護職員のみに配分される処遇改善加算に積み上げられる可能性が高いと予想している。

どちらにしても処遇改善に関連する加算はなくなることはないし、上乗せされて更なる給与改善の原資が増やされることも間違いのないことである。

ところでこの加算の最上位区分を算定していない介護事業者がまだ少なくない。最上位区分はキャリアパス要件のすべてを満たさねばならないなどのハードルがあるとはいっても、それは乗り越えるのが困難なハードルではない。
介護職員の処遇改善
むしろ今後も解決の見込みがない介護人材不足を考えると、最上位区分に求められている要件をクリアしない事業者は、人材確保がこんなとなるという危機感をもって、積極的にハードルを越える必要があるというものだ。

ところが最上位区分を算定しない事業所の中に、その理由が職員間の不公平を挙げているところがあるから驚きだ。

要するにこの加算が、介護職員だけに手厚く配分される加算であるために、介護職員だけ他の職種より優遇されて給与が上がるのが不公平だから、いっそのこと加算の下位区分しか算定せず、介護職員の給与アップをできるだけ抑えることで、他の職種との均等を図ろうという考え方である。

しかしこの考え方をとる事業者の経営者は、その経営能力と経営センスが問われると思う。情けない考え方だ。

そもそも平等・均等を低い基準に合わせてどうするのだと言いたい。そういう職場では、職員全部の待遇改善は至極困難にならざるを得ず、安い賃金で酷使されかねない状態を、「当然」と刷り込まれる状態に陥る。

そもそも処遇改善加算が介護職員への支給が優先されるとはいっても、それによって介護職員の定期昇給原資は手当されるのだから、事業収益をそこに充てる必要はなくなったと考えることができる。

そうであれば処遇改善に関連する加算を算定することで、事業収益から介護職員以外の職種へ回すことができる定期昇給の原資は増えていると言えるのである。その分を他の職種の給与改善に回して、介護職員との格差が生じないようにすることが本来の公平性担保である。

現に国も、他の職種の給与改善は加算以外の収益から行うべきと言っているのだ。

それをしようとせず、国の定めたルールがおかしいと不満を訴えるばかりで、なおかつ算定できる加算を無視して給与改善に後ろ向きな介護事業経営者は、経営者としての矜持が問われると思う。

介護事業にとって何より大切なものは、その事業を支える全ての従業員の方々である。それらの方々に対して、より良い労働環境を与えるのが経営者の務めである。

労働対価としても給与も、その重要な要素であるということを、経営者は強く自覚する必要がある。
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介護職員の更なる処遇改善の見込みについて


先週19日、都内の通所介護事業所を視察した岸田首相は、視察後に記者団に対し介護職の更なる処遇改善に向けた施策を検討していく意向を明らかにした。

首相は記者団に、「人材の確保をめぐる厳しい状況を伺った。介護を必要とする人の増加が見込まれるなかで、質の高い介護サービスを提供していくためには、介護現場で働く皆さんにいきいきと不安なく働いて頂くことが重要」と述べたうえで、「今後も人材の職場への定着、更には経験・技能の高度化につながる処遇改善のあり方を引き続き検討し続けていきたい」と表明。「他の分野と比較しても遜色ないようなところまで引き上げるべく今後とも努力をしていく、ということが大事なのではないか」と言明した。

次期介護報酬改定の論点一つとして、「対象外となった職種の検証も含む処遇改善の検証」が挙げられており(3/24・社会保障審議会介護保険部会)、この発言はその議論に影響を与えることは必至と思われる。
介護職の更なる処遇改善
そのため更なる介護職員の処遇改善・賃金引き上げに期待を高める関係者は多いことだろう。

しかし介護事業経営者は、このことに諸手を挙げて喜んではいられない。

コロナ禍という状況に終息が見られない情勢であるが、今後の我が国の予算編成は、ウイズコロナの視点から、新しいステージで行われることになる。アフターコロナと言える状態にならなくとも次のステージに進むことを理解せねばならない。

次期介護報酬改定は、そのような財政措置が取られる中で、診療報酬とのダブル改定として行われるのだ。

つまりコロナ禍による財政悪化と経済停滞の復興を目的とした予算組の中で議論される制度改正報酬改定という意味になる。

このようにウイズコロナの最大のテーマは経済復興なのだから、社会保障関連費用は2の次、3の次とされる可能性もあって、2015年度のマイナス2.27%並みかそれ以上の厳しい改定予測が成り立つのである。

その中での、「介護職員の更なる処遇改善」である。このことは社会保障政策ではなく、岸田内閣が掲げる、「成長と分配の新しい資本主義」という政策の中で実行されるから、骨太の改革の治外法権なのである。

さすればその財源はどこから手当てするのか・・・。一番考えられるのは、度重なるプラス改定とコロナ補助金で潤ったとされる介護事業者から取ればよいという話になるのではないのか・・・。

つまり基本サービス費は大幅に下げて、その分を新たな処遇改善に回すという意味である。

そういう意味では、介護事業経営者にとって、その手腕が問われる厳しい報酬改定となることを視野に入れることになる。

そこで考えなければならないことは、どの部分の報酬が手厚く護られるかということだ。そこを確実に算定できる準備をしておかねばならない。

当然のことながら、昨年度の報酬改定で新設されたLIFE関連加算については、今後も拡充・重視された報酬体系になることは間違いのないところであり、現行のLIFE関連加算・LIFE関連上位区分加算を確実に算定しておく必要がある。

この加算について、事務処理が大変なわりに算定単位はあまり高くないとして無視している事業者は、次の報酬改定で泣きを見ることになる。そうならない準備が今から求められるのである。

またここ数回の報酬改定を見ると、利用者のADL口腔機能栄養状態などの改善を図る、「アウトカム評価」の拡大傾向が見られるので、この部分も確実に算定していきたい。

施設・居住系サービスについては、多死社会に備えて看取り介護・ターミナルケアが今後も確実に重要視されていくので、看取り介護加算・ターミナルケア加算をとるために、職員全員の看取り介護スキルを向上させていかねばならない。

なぜならそうしたスキルを与えないまま、加算算定だけを目的化している施設・居住系サービスでは、知識と技術のつたない状態での看取り介護の実施によって、職員の混乱と疲弊が見られ、退職者が相次ぐという事態になりかねないからだ。(参照:看取り介護教育が不十分な事業者が多い現状(後編)

逆に、看取り介護のスキルを充実させて、本物の看取り介護ができる場所では、職員の定着率が上がることが実証されている。(参照:職員の意欲と定着率を向上させる看取り介護・ターミナルケア

どちらにしても厳しい制度改正・報酬改定となることを想定しながら、その逆風にも負けない経営体力をつけておくことが重要である。

結果的に予想に反してプラス改定になったならば、それに越したことはないのであるのだから・・・。
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処遇改善加算を算定しない理由に正論は存在しない


10月に臨時の介護報酬改定が行われる予定になっているが、それは介護職員処遇改善支援補助金が、「介護職員等ベースアップ等支援加算」に変わることによるもので、結果的にそれは1.13%のプラス改定となる。

これによって処遇改善のための加算は、介護職員処遇改善加算介護職員等特定処遇改善加算介護職員等ベースアップ等支援加算が加わることで3段階となり、介護報酬体系はますます複雑化することになる。

2024年度の報酬改定では、この3段階の加算を一本にまとめることができるかどうかが大きな論点の一つになると思われるが、それぞれに微妙に算定ルールや配分ルールが異なっており、統一はかなり困難だと言えそうだ。

どちらにしても今後の介護事業経営を考えれば、その3つの加算はすべて算定しなければならないし、それも最上位区分を算定したうえで、職員に配分していく必要がある。

これらの加算は算定額を下回った配分は許されないが、だからと言って算定額を超えた配分が求められているわけではない。算定額=配分額とすることも可とされるのであるし、定期昇給分も給与改善額として認められるので、この加算を算定することは、定期昇給原資を収益以外から得る結果ともなるために、介護事業経営上のデメリットはないと言って過言ではない。

よって介護事業者がこれらの加算を算定しないという選択肢はあり得ない。・・・本来ならば、そう考えるのが普通の考え方である。

しかし必ずしもそうなっていないことについては、先週木曜日に公表された、第34回社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会(web会議)資料の中の、2021年9月30日時点での介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算の加算届比率(取得率)を見ると明らかである。

その資料を読んで考えたことを、「きみの職場は見限るべき職場になってはいないか」という記事にまとめたのが3/25であった。

ここで書いたように、同じ法人内であっても介護保険事業者内だけの問題であれば、加算配分が出いる職員の定期昇給原資を加算に求め、それによって加算算定前に収益から介護職員の定期昇給原資としていた分を、加算配分ができない職員の原資に回すことで、その他の職種の定期昇給額も引き上げることができ、職種間格差は縮小できる可能性もある。

ところが問題は経営母体が介護施設でない場合の障壁である。

例えば医療機関が母体であって、老健や通所リハ事業所などを経営しているケースが問題となる。介護職員の給与原資となる加算については、介護報酬には存在していても診療報酬にはそれがないのだから、経験年数が同じ介護職員であっても母体医療機関と関連介護事業者間では給与格差が生ずることになる。
処遇改善に医療の壁
この差を埋めようとすればどうしても母体医療機関の持ち出しが増えることになり、その額は母体の規模が大きければ大きいほど多額になる。よってそれはできないと考えて、なおかつそうした所属事業者の違いによるだけの給与格差は不公平だと考えて、介護事業者においてあえて処遇改善関連加算を算定しない=加算による給与改善を行わないとしている法人も少なくない。

加算取得率の低さは、こうした一面も影響しているのである。

しかしその状況をやむを得ないとか、経営上仕方がないと考えている経営者や管理職がいるとしたら、それらの人たちの経営センスは、かなりやばいレベルだと言いたい。

介護職員の人材確保の困難さは、今後ますます増大するのだ。(参照:人材確保が益々難しくなる時代の介護事業戦略

処遇改善関連加算を算定しない事業者と算定・配分する事業者の介護職員の月額給与格差は3万円以上となるだろう。労働者は決してバカではないのだから、この格差にいつまでも目をつぶってくれるわけがない。

そもそも介護福祉士養成校は、この加算を算定配分しない介護事業者に卒業生を紹介しない方針を打ち出しているところもあるのだ。

こうした状況から考えても、加算をあえて算定しないという事業者には、人材は集まらないし離職者も増えるだろう。それは最大の事業危機であることに気づかない経営者や管理職は、その能力が問われるだろう。

母体医療機関と介護事業者の給与格差は、診療報酬と介護報酬の仕組みや、国の政策を懇切丁寧に職員に対し説明すればよいのである。給与格差は、介護職員のステータスを介護事業者で就業できる動機づけに昇華したり、定期的な人事異動などで縮小を図るなどの工夫をするなどして、なんとしても加算算定=給与改善を行わねばならないのだ。

そもそも一部の職員だけが昇給する不公平を唱える人が多いが、もともと医療機関では医師とその他の職員には大きな給与差が存在しているし、看護職員と介護職員にも大きな給与差が存在している。その差が少し埋まるだけの加算配分であり、その他の職員の給与が下げられるわけではないのだから、この加算だけを取り上げて不公平だとする論調自体がおかしいのである。

他人の給料が上がって、自分が上がらないことをいちいち問題視するようなせこいことを言うなと言いたい。そんな了見で人としての成長があるのかと言いたい。

一部の職員の給与改善は、他の職員の給与改善の始まりであると捉えればよいだけの話ではないか。

処遇改善加算は、国が国費や保険料を利用して、介護職員の給与改善を行うために設置している加算であり、それぞれの所属事業者で算定配分する仕組みとしているのだから、事業者はその責任を果たせと言いたい。

それを理解しようとしない介護事業者に未来はない。

勝手な理屈でその責任を果たそうとしない介護事業者は、労働者から搾取していると言われても言い訳ができない。そういう事業者に努めている介護職員の方々は、一日も早く転職先を探したほうが良いだろう。(参照:従業員を愛し大切にする職場を選んでください
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きみの職場は見限るべき職場になってはいないか


厚労省が24日公式サイトに、第34回社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会(web会議)資料を掲載している。

その内容は、介護職員の給与水準の把握を目的とする調査(処遇状況等調査)の最新の結果を示すものであるが、2021年9月30日時点での介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算の加算届比率が示されている。
2021年9月30日時点での、介護職員処遇改善加算届出の状況
介護職員処遇改善加算届出率
介護職員処遇改善加算については、全体で94.1%の事業者が届け出ており、このうち加算気79.8%の届出率となっている。特養に限って言えば全体で99.5%、加算気92.9%である。

この数字を見て思うことは、この加算を取得しない事業者がまだこれほどあるんだなということだ。そこの介護職員の待遇はどうなっているのだろうか、どのように介護職員を確保しているのか不思議である。

介護職員処遇改善加算に限って言えば、最上位区分の気鮖残蠅靴毒枴するか、気鮖残蠅靴覆ぞ豺腓任△辰討眛伴の改善額を含んで賃金改善を気稜枴並みにしないと、今後はますます職員確保は難しい状況になると思う。

同時に介護職員の皆様には、自分が所属する事業所が加算気鮖残蠅靴毒枴する努力をしない事業者は、自分を大事にしてくれない事業者であると見限って、別の職場を探すのも選択肢の一つであることを真剣に考えてもらいたいと思う。(参照:従業員を愛し大切にする職場を選んでください

介護職員処遇改善加算(供砲鮗萋澄米禄弌砲靴討い觧業所における加算(機砲鮗萋世垢襪海箸困難な理由をみると、「職種間・事業所間の賃金のバランスがとれなくなることが懸念されるため」が49.5%、「昇給の仕組みを設けるための事務作業が煩雑であるため」が40.2%となっている。

しかしその理由も正論とはいいがたい。職種間格差については、加算の配分対象職員の昇給原資が加算で算定できるのだから、配分対象ではない職員については、収益の中から配分できる分が増えていると考えて、そちらから厚く手当して格差縮小に努めればよいだけの話である。経営努力が足りないという理由にしか思えない。

ましてや事務作業が煩雑という理由で加算算定しない事業者は、事務責任を果たしていない事業者であるとしか思えない。事務員の仕事の放棄といっても良い問題であり、そういう事業者に介護職員はしがみついている必要はなく、一日も早く転職先を探すべきである。

2019年10月に新設された「特定処遇改善加算」の取得率については、さらに低いものになっており、かつサービスごとに大きな格差があると報告されている。
特定処遇改善加算の算定率(2021年9月30日時点)
全体で31.7%もの事業者が、この加算を算定していないことの方が驚きである。
(※資料では、「特定処遇改善加算」を取っている施設・事業所で、常勤として月給制で働いている介護職員の給与の平均は、昨年9月時点で月32万3190円。前年同月と比較して7780円高くなっていたことも記されている。)

加算気鉢兇琉磴い楼焚爾猟未蠅任△襪里濃仮箸靴討曚靴ぁ
加算(機介護職員等特定処遇改善加算の算定要件を満たし、サービス提供体制強化加算等の最も上位の区分を算定している場合。
加算(供介護職員等特定処遇改善加算の算定要件を満たしているが、サービス提供体制強化加算等の最も上位の区分を算定していない場合

加算を算定していない理由は以下のように示されている。
特定加算を算定しない理由
これも事務業務責任の放棄が一番の理由となっている。事業経営に対する危機意識や、事業を継続する責任はないのかと言いたくなる問題である。

賃金改善の仕組みをどう定めたらいいか分からない(33.9%)」などは、経営戦略につながる問題であり、それが理解できないなら事業経営者としての能力欠如だろうというしかない。

職種間の賃金バランスが取れなくなる(40.2%)」については、配分ルールが他職種は、経験ある介護職員の1/4未満、その他の介護職員の1/2未満となっている点をいうのだろうが、特定加算は逆に、その分は配分できるのだと考えれば、介護職員処遇改善加算よりは格差が少ないと考えられる。

あとは経営努力で収益を上げて、収益の中からその他の職種への配分を厚くすればよいだけの話である。

そういう意味では理由にならない理由を挙げて、これらの加算を取得していない事業者がまだ多いという実態が浮き彫りになった調査結果といえると思う。

加算取得していない事業者=職員を大切にしようとしない経営者の行っている事業=経営センスのない事業者=近い将来の廃業予備軍であり、そういう事業者については一日も早く見切りをつけた方が良いと思うのである。
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介護職員等ベースアップ等支援加算が新設されます


介護職員の月額給与を約9千円アップする目的で2月給与支給分から交付される、「介護職員処遇改善支援補助金」は、9月までの時限措置となっている。

そのため10月以降も給与改善を恒久化するために、介護職員処遇改善加算の新区分を新設することが決まっており、そのために介護報酬を10月から1.13%引き上げるという臨時改定が行われる。

第208回社会保障審議会介護給付費分科会(持ち回り)資料は、そのことを示したものだが、介護報酬の算定構造介護報酬の見直し案に記されているように新加算の正式名称は、「介護職員等ベースアップ等支援加算」とされている。
介護職員等ベースアップ等支援加算
相も変わらずセンスのない命名である。(上の図は、訪問介護の新加算要件)

巷ではこの加算の略称を、「ベースアップ加算」とか「ベア加算」とか言っている人も居るが、僕自身はこの加算の略称を、「等等加算」と呼ぶことにした。

これは僕が管理する表の掲示板のスレッドの中で、pokoさんという方が命名した略称である。それがとても気に入ったというか、言い得て妙と思ったので、そのまま使わせてもらうことにした。

等等加算」は、「などなど加算」とも読めるが、あえて僕は、「とうとう加算」と読むことにしている。

それは、「補助金は、とうとう加算にされたか」という意味であり、「全額国庫負担で国家の財を庶民に回すと言っていたのに、利用者自己負担など庶民の痛みにとうとう置き換えるのか」という意味を服持つ略称である。

補助金が介護報酬の加算に置き換わった瞬間に、利用者自己負担が発生するのはもちろんのこと、介護保険料もアップし、その額は単純計算で1月約70円になるが、このように国民負担増によって、介護職員等の給与改善原資が維持されていくことは、大きな矛盾にもつながるのではないだろうか。

もともと介護職等の給与改善は、「成長と分配の好循環」を生み出すための経済政策として行われるものだ。岸田内閣はこのことを、「新しい資本主義」と名付けている。

この政策における、「分配」とは、社会の財の再分配を意味し、富める者の資産や資金を国が集めて財政支出するという形で国民全体に回すことを指すものだ。そのようにして経済活動を活性化させるとともに、貧富格差の解消にもつなげようという政策である。

しかしその財源が介護給付費に変えられた瞬間から、40歳以上の国民が平等に負担する介護保険料や、利用者の自己負担金が財源となるわけであり、結果的に富裕層ではない人の負担増につながることになる。

それだけではなく介護保険財源の確保という名目で、自己負担割合2割・3割負担者の増加や、給付制限の拡大につながることにもなりかねない。これでは財の分配効果は薄くなってしまう。

そういう意味では、10月以降の給与改善分が保険給付化されることは、政策主旨と矛盾するといえるだろう。

岸田内閣の看板政策も、とうとう加算に置き換わって、痛みを負うのはいつも国民ばかりとなってしまう。その痛みに一番苦しむのは格差社会の助長でその数が増えている所得の低い人たちである。

そんなふうにして社会の底辺で暮らす貧しき庶民が、一番苦しむことになるのである。

日本は、とうとうそんな社会になってしまったという意味である。

ただし補助金が報酬加算に変わることで、介護事業者には一つだけメリットが生ずる。

介護職員処遇改善支援補助金は、2月分の給与改善のために補助を受けない場合、途中から補助を受けることはできないが(新設事業者を除く)、新加算に変更後は算定要件をクリアすれば、その時点から加算算定が可能となるからである。

例えば本年2月時点で、処遇改善加算()〜()のいずれかを取得できていない介護事業者は、補助金の交付が受けられず、3月以降に同加算のいずれかを算定できるようになっても、補助金の中途交付は受けられなかった。

しかし加算に変更後はこの要件がクリアできていることで、「等等加算」は算定できるようになるのである。

その点は介護事業者にとってのメリットといえるであろう。
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補助金配分で頭の痛い130万円の壁問題


カップラーメンの出来上がりを待つ3分は、とてつもなく長い時間に感ずるが、仕事に没頭する数時間はあっという間である。

今日は予定が詰まっているために、午前中の早い時間までに片付けようと思っていた仕事が思った以上に時間がかかり、いつの間にかお昼になってしまった。

13時からは、オンライン講演を配信せねばならないので、あまり時間がない。この記事もそんなあわただしい中で更新しているので、誤字・脱字などはご容赦いただきたい。

今日の講演は、「処遇改善支援補助金」に関してであるが、昨日の更新記事に書いた新解釈も含めて講演スライドを修正し、今日の朝になって講演事務局に送付したところだ。
処遇改善支援補助金講演スライド
ところでこの補助金については時限措置なので、10月以降は新処遇改善加算に切り替わることが決まっている。そのことについて今朝5時にCBニュースにアップされた、快筆乱麻・masaが読み解く介護の今では、「処遇改善財源の介護保険給付化、政策の趣旨と矛盾」というテーマで論評している。

10月から補助金が加算に変わる理由とその意味。介護事業者として備えておくべきこと。加算になることのメリットとデメリットなどを解説しているので、そちらも参照願いたい。

さてこれらの補助金や加算は、いうまでもなく介護職員等の給与改善に使われるものだ。

そこで一つ、介護事業経営者にとって頭の痛い大きな問題が生じてくる。

いうなでもなく介護事業を支える人材は、正職員のみに限らない。

正社員以外の職員も大切な戦力であり、その中には短時間パート職員も含まれる。しかし短時間パート職員を雇用する場合に、事業者にとって一つの壁となっているのが、「年収130万円の壁」である。

年収130万円というのは、いわゆる社会保険の壁や扶養の壁と言われている収入である。具体的には年収130万円を超えなければ被扶養者となることができ、社会保険料を支払わずに済むのだ。

よって夫の扶養となっている方で、介護事業者で短時間パートとして働いている人は、この壁を超えないように希望する人が多く、そういう人たちの希望に応えて給与計算をする必要もある。

この壁を超えそうな人は年末の12月に勤務調整して、休みが多いシフトを組んで、その壁を超えないようにしなければならない。年末の忙しい時期なのに、さらに人手が足りなくなる状況を生んでいる原因が、「年収130万円の壁」でもあるのだ。

この状況にさらに拍車がかかる恐れがあるのが、介護職員処遇改善支援補助金の支給問題である。

この補助金の支給対象となる介護職員には、当然のことながらパート等の従業員も含まれ、基本給が時給制の職員についてその時給を引き上げることや、基本給が日給制の職員についてその日給を引き上げることは、ベースアップ等の引上げに当たるとされている。

よって正職員以外の職員を含め、すべての介護職員を給与改善の対象としたいところだが、時給を上げることによって、今と同じ勤務時間だと130万の壁を越えてしまうために、勤務時間を減らさねばならない人も出てくる。

人材不足・人員不足に悩む介護事業者にとって、今いる職員の勤務時間をさらに減らさねばならないことは大きな問題である。それによって勤務している職員の業務負担が増えて、疲弊してバーンアウトしてしまえば大きな損失となるだけではなく、人員不足にさらに拍車がかかるからだ。

一部の職員の勤務時間が減ることで、介護業務自体が回らなくなって、できないことが増えることで介護サービスの品質劣化につながることも懸念される。

そのため130時間の壁を越えたくない職員の時給に限って、「1円引き上げ」などと時給改善幅を抑える事業者もあるかもしれない。

そうするにしても、それに該当する職員に不満が生じないかを確認する必要があるし、事前の説明・合意は欠かせないだろう。

130時間の壁の範囲で働きたいとする職員は、今回の補助金で勤務時間が減っても、現行の収入水準が守られることをメリットを感じる職員がいて、時給自体が上がるのは歓迎しているかもしれないからだ。

ちなみに岡山県のQ&Aでは次のような考えからが示されている。
Q23. 介護職員の中に賃上げを実施しない職員がいても問題ないか。
A23. 問題なし。

働き方改革で、パート職といっても不合理な給与差別は禁止されているが、長時間パートの時給と短時間パートの時給に差をつけたり、経験による差をつけることは認められるだろう。

社会全体が、「働き方改革」を求められている中で、短時間・有期雇用労働法第8条及び第9条並びに労働者派遣法第 30条の3及び第 30 条の4の規定は、雇用管理区分が複数ある場合であっても、通常の労働者のそれぞれと短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者との間の不合理と認められる待遇の相違の解消等を求めるものであるとされていることに配慮が必要ではあるが、その精神と規定を侵さない範囲で、130時間問題をクリアしてなおかつ従業員全体のモチベーションを下げないように、介護事業経営者は頭を絞っていることと思う。

この部分で法的問題が生じないかなどは、公認会計士や行政書士等の専門家にアドバイスを得ておくことも一つの手だろうと思う。

どちらにしても介護事業経営者にとって頭の痛い問題であるが、職場内の和を護ることを第一に、その方針を決定する必要があるのではないだろうか。
悩む介護事業経営者
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処遇改善支援補助金の更なる新解釈が示されました。


祝日前日の2/22の夕方、「介護職員処遇改善支援補助金に関するQ&A(Vol.2)」が発出された。

このQ&Aがインターネットにアップされたのは、日勤業務が終了する間際の時間だったため、発出文書を確認しないままそのまま帰宅した人が多いかもしれない。今日は祝日でゆっくり休んでいる人も多いだろうから、その内容を読んでいない人も多いのではないだろうか。

わずか2問の疑義解釈であるが、介護事業者にとって問1の新解釈は重要なもので、大いなる驚きをもって見ている。下記参照願いたい。(※問2については、介護事業者の問題ではなく、都道府県事務の問題であり見ておくだけで良いだろう)

問1. 令和4年2月分及び3月分について一時金で賃金改善を行った場合、当該改善分をベースアップ等による賃金改善として取り扱うことは可能か。

(答). 令和4年2月分及び3月分について一時金で賃金改善を行った場合においても、当該対応が、単に就業規則等の改定がなされていないことのみの違いであるなど、同年4月分以降に行うベースアップ等による賃金改善を見越した対応である場合には、2月分及び3月分の一時金による賃金改善のうち、同年4月分から9月分までの間のベースアップ等による賃金改善分に相当する額をベースアップ等による賃金改善分に含めることとして差し支えない。
<例>
4月以降のベースアップ等による賃金改善額の平均が各月 7,000 円であって、2月分及び3月分の一時金による賃金改善が 18,000 円である場合、ベースアップ等による賃金改善分に含めることが可能なのは、2か月分の 14,000 円(7,000 円×2)までとなる。

↑このようにされている。例示のケースで言えば、例えば2月と3月分の一時金合計が10.000円とされた場合は、全額がベースアップ等による賃金改善分とみてよいことになるのだろう。

今回の補助金については、賃金改善額の2/3以上を毎月のベースアップ等に充てなければならないというルールになっているので、2月と3月分の一時金支払い分が、「ベースアップ等による賃金改善分」とみなされるかどうかは重大な問題である。そのベースアップ該当部分の解釈が今回の疑義解釈によって広まったといえるので、これは介護事業者にとってありがたいことだと思う。

なお厚労省サイトに、「介護職員処遇改善支援補助金について」という特設ページが設けられているが、ここに「よくある質問」という部分がある。ここではQ&Aとして発出されていない解釈等が載せられているので、確認が必須だ。

例えば補助金について、「要件を満たさなかった場合は補助金を返還」として、要件を満たさないは部分返還ではなく、全額返還を示唆した内容となっているので注意が必要だ。

また、「令和4年2月分から賃金改善を行っているにもかかわらず未報告であった場合には、処遇改善計画書の提出時(4月15日提出期限)に併せて報告を行ってください」という特例届のアナウンスも、ここでしかされていないように思う。

この補助金に関連して、僕は明日午後から長崎県五島(五島市と新上五島町)に向けたオンライン講演を配信予定である。そのため今日までに確認できた新解釈を講演スライドに反映しなければならない。
補助金講演スライド
祝日明けはオンライン連載記事の〆切日でもあるので、今日も休んでいる暇はない。・・・がそれは決して苦痛ではない。楽しくスライドを創ったりしている。

僕の講演を聴いてくださる方がいるのだから、できるだけ最新の情報を、正確にわかりやすく伝えるのが僕の務めである。

決して使いまわしの講演スライドでお茶を濁すようなことせず、講演主催者や受講者の方々の要望とニーズに合ったものをその都度作成しているので、講演を希望される方は、ぜひお気軽にメール等で連絡してほしい。

メールは、「北海道介護福祉道場あかい花」のページ上部のグレーの帯に掲載しているので、参照していただきたい。
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支援補助金の矛盾に泣く居宅ケアマネ


法令や制度に完全形がないように、補助金の支給要件も全ての人が不満なく納得できる完全形はないといえる。

そのため介護職員処遇改善支援補助金にも、いくつかの矛盾点が含まれている。

例えば、「給料が月額9千円上がると思っている人に伝えなければならないこと」で指摘しているように、補助金の交付率は、介護職員の配置基準を根拠の一つとして決められているために、配置基準を超えた介護職員を配置している事業者においては、一人の介護職員に配分される金額は減ってしまうことになり、配置実人員が多くなるほど、給与改善額は月額9,000円からどんどん遠ざかっていくことになる。

事業収益が減って補助金額が減ることは、経営努力が足りないという意味であるともいえ、ある程度納得できる部分もあるが、品質の高いサービスを提供するために、人員配置を手厚くしている施設や事業所の職員給与改善額が下がるのは、大いなる矛盾だろうと思っている。

それにも増して矛盾を感じるのは、この補助金の配分ルールである。

介護職員処遇改善支援補助金については、法人単位での支給が認められている。どういう意味かといえば、法人内の施設・事業所の補助金を一括管理して、補助総額を法人の裁量で各事業職員に配分することができるのである。

特養と通所介護事業所と訪問介護事業所と居宅介護支援事業所を運営している社会福祉法人であれば、特養と通所介護と訪問介護の職員に補助金の配分が可能で、法人裁量で介護職員だけではなく、1施設2事業所の全職員に補助金の配分が可能である。(※居宅介護支援事業所の専任職員だけが除外される

この場合に、特養で交付を受ける補助金全額を特養職員に配分する必要はなく、その一部を通所介護や訪問介護の職員に回しても良いことになっている。

そのようにして法人内の補助対象事業に従事する職員全員の給与改善額を同じ額とすることも可能となっているのだ。

だがこの場合でも、居宅介護支援事業所の専任ケアマネジャーは、補助金配分の対象職員には該当せず、そのため居宅ケアマネだけ給与改善が行われないというケースも十分想定できる。

この件に関連して、「介護職員処遇改善支援補助金に関するQ&A(令和4年1月31日)」の問12をご覧になってほしい。

ここでは補助金の介護職以外の配分について、「本部の人事、事業部等で働く者など、法人内で介護に従事していない職員の取扱いについては、2019 年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)(令和元年7月 23 日)問 13を参照されたい。」としている。

つまりそのQ&Aに準拠して、「法人事務担当でも算定対象サービス事業所における業務を行っていると判断できる場合には、その他の職種に含めて補助金を配分できる。」という意味になるのだ。

しかし法人事務担当者にはこのように補助金を配分する一方で、同じ法人内の居宅介護支援事業所専任のケアマネは配分支給対象外となっている。法人内のデイサービス利用者のプランを何件も担当したとしても、デイサービス職員ではないので補助金による給与改善はされないのだ。これって大きな矛盾ではないだろうか・・・。

なぜ居宅ケアマネは、ここまで冷遇されなければならないのだろう。地域包括ケアシステムを担う人材として必要不可欠な居宅ケアマネが報われないのは納得できない。

法人内一括処理が可能なんだから、せめて補助対象外事業所も含めて配分を認めればよいのにと思うのは、僕だけなんだろうか・・・。

どちらにしても今回はそうしたルールになってしまっている。そのルール等を改めて確認するための講演を依頼されており、そのスライドも下記の画像のようにほぼ完成している。
処遇改善支援補助金講演スライド
そこでは表の掲示板で皆様から配分の方法をどうするかという情報をいただいており、その結果も示したうえで解説を行う予定である。

表の掲示板に寄せられた情報の中で、配分方法として意味が分かる22事業所の情報については、「介護職員処遇改善支援補助金の配分方法」としてグラフ化しているので張り付いた文字リンク先を参照いただきたい。

金額はそれぞれの事業収入で異なるので、それを除いた配分の考え方の骨子だけで区分しているグラフである。

残念ながら、補助対象事業の全職員の給与改善を行う事業者のうち、居宅ケアマネの給与を持ち出しで改善する事業者は、22事業者中3事業者しかなく、居宅ケアマネは給与改善の対象外とする8事業者よりその数が下回っている。

なおこの中には、「全職種の職員に配分し、介護職以外に多く配分」としている事業者がある。しかしこれは補助金資料等で、「その他の職員の給与改善等に充てる場合は、介護職員の給与改善を目的としたものであることを踏まえた配分をお願いします」とアナウンスされているので、そうした極端な配分は指導対象になると思う。

そうなれば補助金受給途中あるいは新加算に変更後に、配分額を変更せざるを得なくなるので、事業者内の混乱のもとになる。この点にくれぐれもご注意ねがいたい。
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処遇改善支援補助金の新解釈が確定


まずは明日に迫った、「きみの介護に根拠はあるか〜本物の科学的介護とは 出版記念オンラインセミナー」のお知らせをします。

どなたでも無料で受講できるセミナーの申し込みはまだ間に合います。時間は短いけれど内容を濃くしてお届けしますので、申し込みがお済みでない方は張り付いた文字リンクから申込ください。

さて話は変わって、ここからが今日の本題。

介護職員処遇改善支援補助金は、2月から給与改善する事業者にしか支払われないことになっている。

例えば来年度の4月の定期昇給に合わせて、補助金による給与改善を始めようとしても、2月から補助金交付を受け給与改善していないとそれも認められず、途中からの算定は一切認めないというルールになっている。(※ただし本年3月以降に開設した事業者については、他の要件をクリアすれば開設月から算定可能

さらにこの補助金は、介護職員処遇改善加算..靴里い困譴を算定していることが交付要件なので、同加算を2月までに算定できていない介護事業者も補助を受けられないことになる。

2月からの給与改善について、当初国が発出した資料を見ると、給与規定等の見直しが間に合わないことを想定し、2月分と3月分をまとめて3月に全額一時金として支払うことを認めているが、支給の遅れはあくまで2月のみで、4月にずれ込んで支給することはできないように読めた。多くの関係者がそうした共通認識を持っていたのである。

しかし1/31に発出されたQ&Aの問2では、次のような疑義解釈が示されている。

問2.「○月分の賃金改善」というのは、「○月に支払われる賃金を引き上げる」ということか。

回答.賃金改善対象期間は、原則、令和4年2月分から9月分までとしており、「○月の労働に対する賃金を引き上げる」又は「○月に支払われる賃金を引き上げる」のいずれの方法もとりうるものであるが、現行の処遇改善加算等と異なる取扱いとならないよう、各事業所において適切にご対応いただきたい。

このように示され、現行の処遇改善加算等と同じくしなければならないという解釈が混乱を呼んだ。なぜなら現行の処遇改善加算等は介護報酬なので、対象月の2月後に支払わえれているために、加算による改善分も、実際にサービス提供した2月後の給与に反映している事業者が多いからだ。

この問題を各自治体も疑問に感じて国に問い合わせたと見えて、各県より独自のQ&Aが示されている。例えば東京都のQ&Aは以下のとおりである。
Q.厚労省介護保険最新情報Vol.1031「介護職員処遇改善支援補助金に関するQ&A(令和4年1月31日)」)(以下「Q&A(R040131)」という。)問2では、「賃金改善対象期間は、原則、令和4年2月分から9月分までとしており、「○月の労働に対する賃金を引き上げる」又は「○月に支払われる賃金を引き上げる」のいずれの方法もとりうるものであるが、現行の処遇改善加算等と異なる取扱いとならないよう、各事業所において適切にご対応いただきたい。」とある。

当法人の現行の処遇改善加算に対応する賃金改善の支払いは2か月遅れ(4月加算分については6月給与にて支払)で対応している。令和4年2月・3月分補助金に対応する改善給与支払いは、現行の処遇改善加算に合わせ、2月分は4月支給、3月分は5月支給で良いか。


A.賃金改善の支払い時期については、従来の処遇改善加算と同様、2か月遅れで良い。

Q.法人の給与規定によって給与の支払月がサービス提供月の二か月後である場合、令和4年2月分の賃金改善額の支払いが令和4年4月となっても、当該補助金の要件を満たすことができるのか

A.法人の給与規定等に基づいて、2月、3月サービス提供分の賃金の支払いが4月以降となっている場合は、令和3年度中に賃金改善としての支払いが無くても構わない(一時金であっても同様)。

Q.令和4年2月分の給与を令和4年4月以降に支払うとき、介護職員処遇改善支援補助金計画書(案)」(別紙様式2−1)の2ぁ嵎篏金による賃金改善実施期間」に記入する開始月は、いつにすれば良いのか?

A.補助金の交付対象期間に合わせ、「令和4年2月」を賃金改善実施期間の開始月としていただきたい。

↑このようにされており、他県のQ&Aも同じ考え方が示されている。よってこの問題は解決されたといってよいだろう。

つまり現行の処遇改善加算による給与改善を、加算対象月の2か月後に行っている介護事業者については、実際に給与が改善されるのは、2月からではなく4月からでよいということになり、今年度中の給与改善をしなくてもよくなるのである。この場合も給与改善開始は、「令和4年2月」となるので、都道府県への改善実施の報告は2月末までに行わねばならないのだろう。(※メールで可)

なお現行の処遇改善加算の支給を、年度末に一時金で行っている場合や、賞与のみで支給している場合などは、必ず2月分の給与から改善しなければならないことも理解せねばならない・

あくまで処遇改善加算を2月遅れで毎月の給与に反映して支給している事業者のみが、4月からの給与改善開始となるわけである。そしてそんな事業者も少なからず存在するのである。

だから4月まで給与が変わらないという人も少なくないと思われる。それに該当する人は、ちょっと損した感覚になるかもしれない・・・。

なお2/3以上を毎月のベースアップ等に充てなければならないというルールについては、現行の処遇改善加算の支給に合わせる形で2月分を4月に給与に上乗せする形で毎月支給する分にはベースアップとされ、2/3以上部分に該当させられる。

一方で就業規則等の変更を行い、3月の給与で2月分のベースアップ分を支払った場合、2月分は一時金となり、3月分は毎月の支払われる給与となる(※3月の給与のみ2/3以上の部分に該当厚労省コールセンター確認事項)とのことである。

勿論、3月に2・3月分をまとめて支給する際に、ベースアップとしてではなく、一時金としての支給であれば、両月支給分共に1/3の方に該当するとされるので、支給の方法も関連してくることを理解しなければならない。

このあたりはかなり複雑で矛盾もあるように思うが、ルールであるからやむを得ない。とにもかくにも一応疑問は解決したといえるようである。
講演スライド作成中
これらの最新情報を盛り込んで、2月24日(木)13:00〜14:30・長崎県五島市と新上五島町に向けてオンライン講演を配信する予定となっている。そのため先ほどまで講演スライドづくりを行っていたところだ。

この講演では、単に処遇改善支援補助金の仕組みやルールを説明するだけではなく、補助金の配分によって職場の和が乱れないように配慮することや、補助金から加算に替る10月への備えについても説明したい。さらに今回の給与改善が次の報酬改定や制度改正にどのような影響を与えるのかも解説する予定である。

経営者や管理職の方々が受講対象者ということなので、介護事業経営というマクロの視点から、補助金の配分を考えられるようにすることも大事だと思え、そのあたりの話の工夫もしようと頭をひねっているところだ。

五島市や新上五島町には、過去に一度お邪魔したことがあるが、海の中にある島だけに、真っ青な海がきれいで自然もいっぱいの風光明媚な場所である。海の幸はもちろん、五島牛や五島うどんも名物で、おいしい食べ物もたくさんある。勿論おいしいお酒もあるので、本当は現地に行って話したいところである。しかし今般の状況ではそれもままならない。

それだけが残念であるが、今度またお邪魔する機会があることを願いながら、魂を込めてお話ししたいと思う。五島市と新上五島町の皆さん、来週オンラインでお愛しましょう。よろしくお願いします。
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期待通りに進まない居宅ケアマネの待遇改善


今月9日に公表された最新の「介護給付費等実態統計」によると、今年度の居宅介護支援費に新設された、「逓減制の緩和」が適用される区分の居宅介護支援費(II)の算定割合は、全体の9.7%にとどまっていることがわかりました。

今年度の介護報酬改定議論では、介護支援専門員の処遇改善がテーマの一つになり、特に特定加算の配分も受けられない居宅介護支援事業所の介護支援専門員については、介護施設の介護支援専門員より給与改善が難しい状況も指摘され、「介護支援専門員を対象とした処遇改善加算の新設」という訴えも挙がっていました。

しかし結局のところそれは実現せず、その代わりに居宅介護支援費の引き上げと、加算の新設によって、居宅介護支援事業所の収益アップを図り、その部分を居宅ケアマネに還元することで、給与アップを図るという結論になりました。

しかし基本サービス費や新設加算のみでは、それをすべて介護支援専門員の給与に回したとしても、改善額は極めて低いものになるために、逓減性を緩和して担当利用者を増やすことで収益を上げ、その分を含めて介護支援専門員の給与に反映することで、期待に沿う額の給与改善を実現しようとしたものです。

実際に逓減性の緩和を利用し、居宅介護支援費(II)を算定できれば、一人の介護支援専門員につき、月額53.800円〜69.900円の収益増となり、さらに基本部分の増収分7.410円〜9.750円を含めると、月額で61.210円〜79.650円の増収が期待でき、その分を給与改善額とすることも可能となることは、「経費をかけずに逓減性緩和適用し給与アップを・・・。」で指摘したとおりです。

ところが今回の調査で、居宅介護支援費(II)の算定率が、全体の1割にも満たない実態が明らかにされています。

ということはこの低減制度を利用した、居宅ケアマネの給与改善が行われている居宅介護支援事業所も、全体の1割にも満たないという意味です。

処遇改善支援補助金の対象にもなっていない居宅ケアマネの給与改善は、非常に困難になっているといってよいでしょう。

今年度については、居宅介護支援費(II)を算定しなくても、基本サービス費等の引き上げ分を、給与改善原資にしたとしても、それで改善できる給与はわずか月額1万円にも満たない額です・・・。来年度以降はそうした原資もないということになり、ますます居宅ケアマネの給与改善は困難となります。

しかし居宅介護支援事業所の介護支援専門員は、介護保険制度における居宅サービスにおいては、利用者を支援するチームの要の役割を担います。

それはチーム内の上下の関係を表すものではありませんが、チームのまとめ役、人と人・人と社会資源等をつなげる調整役としての重たい責任を担う役割でもあります。

そうした重要な役割を担い、重たい責任を負うべき仕事の対価が、チーム内でも低い方に属するとしたら、そのような仕事に就きたいと思う人が益々減ってしまいます。

ここは改善のソーシャルアクションが必要な部分です。

同時に担当利用者を増やして、居宅介護支援費(II)を算定できるようにする努力も怠ってはならないと思います。

勿論、その算定が進んでいない理由は、ケアマネジメントの質を落としたくないとして、キャパを超える利用者増に二の足を踏んでいるからであるということも理解しています。

しかし居宅ケアマネの処遇改善策として、国が定めた方向性を多くの居宅介護支援事業所が無視するような状態を放置して、国が新たな居宅ケアマネの処遇改善対策に乗り出すことは考えにくいのです。

だからこそ居宅介護支援費(II)を算定する事業所が増える必要もあり、そのうえでさらなるケアマネの処遇改善策を求めていくという姿勢が必要です。

そのためには現行のケアマネ業務の見直しを図って、業務の効率化を実現する必要もあります。

例えばメディカルサポネットの僕の連載記事のなかに、『介護事業所で活用される ICT〜その期待と懸念〜』というものがありますが、そこの「使いこなしてほしいガジェット記録」で書いているように、無駄な移動時間を削減できれば担当利用者を増やすことも容易になるかもしれません。

業務の効率化ができ、事務員等を増やさずに収益を増やすことができれば、居宅ケアマネに配分される費用の額も大きくなります。是非そうした方向に目を向けてほしいと思います。

同時に介護支援専門員とは、ポロシャツとスラックスというカジュアルな服装で仕事をするような必要があるわけではないという意識をもって、きちんとスーツを着て利用者宅を訪問する介護支援専門員が増えないと、社会的な評価も上がらないという意識も持つべではないでしょうか。
ケアマネジャーの服装
案外社会全体の価値観というものは、そうした形の評価から創られることもあるのではないかと思います。このことは後日詳しく論じた記事を書く予定です。

スーツは利用者が堅苦しいと感じるから、対人援助者にはふさわしくないという誤解を、ビジネスマナー・サービスマナーという観点から論じてみたいと思います。

ちなみに僕は、施設長になる前は、ソーシャルワーカー兼ケアマネジャー(施設も居宅も両方の経験あり)でしたが、毎日スーツにネクタイで仕事をしていました。勿論、それが堅苦しいと、利用者から苦情を受けたことはありません。
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補助金配分で労働法規違反とならない注意が必要


介護保険最新情報Vol.1031は、「介護職員処遇改善支援補助金に関するQ&A(令和4年1月 31 日)」となっている。
タイトルなし
問1では、令和4年2月分及び3月分の賃金改善は一時金等での対応も可となっているが、だからといって補助金の月割り全額分をこの月に支給している必要はなく、3月に2・3月分として何らかの手当を支給しておれば問題なく、賃金改善実施期間全体で、補助金の合計額を上回る賃金改善を行えばよいことを示している。

令和4年2月と3月の2月間については、2/3ルールも適用されないので臨機応変に考えてよいだろう。

問2について、「現行の処遇改善加算等と異なる取扱いと
ならないよう、各事業所において適切にご対応いただきたい
」とされている部分については、国にその意味を問い合わせた方がいて、表の掲示板のスレッド、「介護職員処遇改善支援補助金のQ&Aが発出されました。」でその回答を示してくれてるので、ここの No.4のアルミンさんの回答を参照してもらいたい。

問6では、令和4年2月及び3月に、ベースアップ等以外の賃金項目について賃金改善を行った場合であっても、同年4月から9月までの6か月間において、同年2月から9月までの8か月間全体の賃金改善額の3分の2以上はベースアップ等に充てられている必要があるとされたので、注意が必要だ。

さらに問7では、ベースアップ等に係る要件については、「介護職員」と「その他の職員」のグループごとに満たす必要があるとしている。

なおこの件に関連して問 12 では、その他の職員の範囲は、事業所の判断で決められ、介護職員とその他の職員について、配分割合等のルールは設けられてはいないが、「その他の職員にも配分を行う場合は、介護職員の処遇改善を目的とした補助金であることを十分に踏まえた配分をお願いしたい。」と釘を刺している。

問8では、賃金改善額に「法定福利費等の事業主負担の増加分を含む」としているが、同時にこの部分は、「ベースアップ等に充てた額以外の分として賃金改善に含めることは可能である。」として1/3未満の部分に該当するとしている。

ざっと見て多くの疑義に回答されているように思えるので、それぞれの事業者で担当者は十分に確認してもらいたい。

ところでこの補助金の配分に関連して、懸念される問題がある。

表の掲示板の、「処遇改善支援補助金の配分方法について、皆さんの職場ではどうする方針か情報をください。」というスレッドに、多くの方が情報を寄せてくださっているが、その中には補助金による給与改善について、「正職員だけを対象とし、パート職の改善は行わない」としている事業者がある。

これは社会保険法律改正などの影響で、時給を上げることで給与改善してしまうと、夫の扶養から外れるなどの問題も生じ、結果的に月の出勤に数を減らす必要が生じて、人員不足に陥るためだろうと思われる。

しかしここには大きな問題が生じてくると思う。

正職員とパート職の業務が、後者は間接介助業務のみであるなどの場合は、両者の待遇に違いがってよいため、補助金の配分にも差をつけてよいが。しかし両者の業務が実質同じであるなら、パート職だけ補助金配分を行わないのは大きな問題となると思う。

働き方改革の影響で、正職員とパート職の間に、不合理な待遇差は認められなくなったからである。

そのことは、「介護事業者に吹く逆風に立ち向かう工夫と備え」でも指摘しているので、参照してほしい。

パートタイム・有期雇用労働法の新規定は、中小企業でも昨年から適用になっており、補助金配分の差が問題となって、労働法規違反が問われるという問題になりかねないのだ。

その場合でも、労働法規違反の罰則はないから良いとするのは大きな問題だ。それは介護労働の社会的信用を失わせる行為であり、労働法規を守らない事業者が多い職業に、国費を投入してよいのかという議論につながりかねないからである。

この点にも十分注意して、コンプライアンスの視点を忘れずに対応していただきたい。

まずは発出されたQ&Aを読み込んで、疑問の解決に努めてほしい。疑義があれば、表の掲示板で議論しましょう。
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給与改善の補助金のスケジュールと解消された疑問


今週木曜日(1/27)に示された、「令和4年度(令和3年度からの繰越分)介護職員処遇改善支援事業(令和3年度補正予算分)の実施について」によって、介護職員処遇改善支援補助金の疑問があらかた解消されましたね。

ただしこの通知は、(案)という文字がとれておらず、発出日等も入れられていません。今後、詰めの調整を経て正式に通知するとしていますので、その際に案の変更がないのかを確認する必要がありますので、その点はじゅれぐれもご注意ください。

賃上げの見込み額や実施方法などを記す計画書の提出期限は4月15日とされました。その他、スケジュールを下記の図表にまとめてみましたので参照してください。(※計画書様式例こちら
介護職員処遇改善支援補助金スケジュール
2月と3月の給与改善については、全額一時金として支払うことができることから、この間の支払いを補助金受領後に行おうとしている事業者がありますが、要綱では、「令和4年2月分から賃金改善を実施しなければならない。ただし、就業規則等の改定に時間を要するなど、やむを得ない場合は、同月分を令和4年3月分とまとめて支払うこととしても差し支えない。」として今年度中の支払いを義務付けています。ご注意願います。

なおこのことについては、厚労省のYouTubeの公式チャンネルに27日アップされた動画の中で、老健局長が補助金等の説明を行っています。その動画の2分7秒くらいからの説明を聞いてください。そこでも、『原則として2月から賃金改善を、遅くとも3月から賃金を引き上げていただく』という説明がされています。

そもそも今回の給与改善は、民間企業の給与改善に先駆けて2月分から実施し、経済の活性化を図るのが趣旨で、いつまでも支給時期を遅らせないように、4月以降分は4月からの支給を基本としており、2月分のみ支給の遅れを1月だけ認めるという意味ですので、この点をお間違いのないようにしてください。

4月以降の、「賃金改善の合計額の3分の2以上は、基本給又は決まって毎月支払われる手当の引上げに充てる」というルールについては、「介護サービス事業者等」という表現で括られているように思われますので、法人単位でみてよいという意味ではないかと考えられます。(※というか、この部分ははっきり示してほしいですよね・・・。

また(別紙1)の注として、「 介護予防・日常生活支援総合事業(指定サービス)を実施する事業所は、通所型は通所介護と、訪問型は訪問介護と同じとする。」として地域支援事業の訪問・通所サービスも補助対象になっている旨が示されています。

なお今年度から賃上げを開始した旨を記載した用紙は、2月末日までに提出を求めていますが、この様式例は近く公表予定だそうです。

2023年1月末日までに提出する実績報告書については、様式例の案が示されています。

賃上げについては、「基本給、手当、賞与などのうち対象とする賃金項目を特定した上で行うものとし、この場合、特定した賃金項目を含め、賃金水準を低下させてはならない」と釘を刺しています。

ただし当該法人の収支(介護事業に限る。)について、サービス利用者数の大幅な減少などにより経営が悪化し、一定期間にわたり収支が赤字である、資金繰りに支障が生じるなどで、やむを得ず賃金水準を下げたうえで賃上げを図る場合については、様式例に沿った「特別事情届出書」を提出することで特例として認めることも通知されています。

各事業者に裁量権がある補助金の配分については、僕の管理サイト掲示板の、「処遇改善支援補助金の配分方法について、皆さんの職場ではどうする方針か情報をください。」に様々な考え方が書き込まれていますので参照ください。

今日現在の情報で言えば、このスレッドに書き込まれた中で、給与改善額が月9千円に達しているのは1事業者のみです。

多くの事業者は、全職種・全職員への配分と決定しているようです。

なおこの補助金に関連しては、CBニュースの連載、「快投乱筆masaが読み解く介護の今(73)」に「補助金で『経営者の搾取』といわれないために」を書いて、昨日アップされていますので、そちらも参照ください。
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補助金や加算が搾取されていると思われないように対応してください


2月以降の給与改善のために交付される介護職員処遇改善支援補助金は、賃金改善額を記載した計画書を提出したうえで交付を受け、賃金改善期間後、処遇改善実績報告書を提出して補助金の交付額を上回って職員に支給していることを証明しなければならない。

もし職員に支給している額が交付額を下回った場合は、差額を返還するのではなく、補助金全額の返還指導を受けるのが基本原則である。

これは本年10月以降、介護職員処遇改善支援補助金が新処遇改善加算に変更された後も同じ扱いで、従前からの処遇改善加算及び特定加算も、ほぼ同様のルールである。

つまりこれらの補助金や加算は、1円も事業者収入となり得ないものであり、それどころか職員への支給金額が補助金額等を下回らないように、事業者負担(持ち出し)を行ったうえで補助金交付を受けたり、加算算定するものである。

この補助金の配分に関しては、僕が管理する介護福祉情報掲示板に、「処遇改善支援補助金の配分方法について、皆さんの職場ではどうする方針か情報をください。」というスレッドを立て、情報提供を呼び掛けており、続々と情報が寄せられている。

それを読んでわかるように、多くの介護事業者では事業者持ち出しを含めて給与改善に努めているのである。中には補助金支給対象事業所以外の職員の待遇も改善しようとして、多額の事業者負担(持ち出し)を予定しているところもある。

ところがこの補助金や従前からの加算について、「経営者の搾取はないのか?」などと疑問を投げかけてくる人がいる。

補助金や加算の算定要件等の、「仕組み」を知る人なら、そんなことはあり得ないと理解できるはずであるが、そういう疑いの声が消えないのも事実である。

だからこそ介護関係者は、補助金や加算がすべて従業員に配分されているという事実を伝えるべきであり、同時に従業員の処遇改善内容を世間に広く周知するための情報発信にも努めるべきである。

ただし補助金や加算を利用して、裏技的に事業収益を増加させるなどの対応が行われているとしたら話は別である。そんなことがあっては、経営者の従業員からの搾取といわれても仕方がないことになってしまう。

例えば今回の補助金は本年2月から従業員に配分すべきものだが、2月と3月は一時金として支給すればよく、月額給与のベースアップ等で、毎月補助額の2/3以上が従業員に配分されるのは4月からとなっている。

そのため3月に2・3月分を一時金として一括支給して、基本給をそのままにしていた事業者において、4月から一時金として配分していた分を基本給に上乗せするだけで、それをもって定期昇給とした場合、補助金以外で改善する分以外の昇給はされていないということになってしまう。

つまり補助金の配分をそのまま定期昇給分として、この補助金支給が想定されていなかった当時に予定していた、補助金によらない定期昇給分から補助金改善分を差し引いて定期昇給額をカットしたり、補助金改善分以外の定期昇給を見送ってしまうとすれば、それは予定していた定期昇給分を事業者利益として内部留保を増やしているとか、経営者が搾取しているとか言われてしまうわけである。
従業員から搾取するブラック企業
そんなことがあってはならない。半年前にはこのような補助金が交付されることは予定になかったが、その時から予定されていた定期昇給分もしっかり従業員に上乗せして手渡すべきである。

4月からの給与月額については、補助金を配分する全職種について、(補助金による改善分)+(介護事業者の資金による定期昇給)とする必要があると思うのである。

そもそも今回の補助金や、10月以降の新処遇加算は、全産業平均給与と介護職の平均給与との格差を埋めようとするものだ。

4月以降他産業では給与改善が行われるのである。現に労働組合の中央組織「連合」は、今年の春闘で定期昇給と「ベースアップ」に相当する分として、合わせて4%程度の賃金引き上げを要求する方針を正式決定している。

2月からの改善額をそのまま定期昇給分として、4月以降にそれに上乗せをしないとしたら、2月と3月にいったん縮小された格差は、4月以降再び広がることになる。それは補助金主旨に反する結果になるといえるわけであり、本年4月以降については、介護職員処遇改善支援補助金で引き上げた給与にさらに、本来事業者の資金から手当てすべき定期昇給額を上乗せするようにしないと、「経営者の搾取」という誹りは免れないといえるのではないだろうか。

介護事業経営者の方々には、この点に十分注意を払っていただきたい。
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処遇改善支援補助金配分方法の情報交換をしています


介護事業関係者にとって今一番の話題といえば、「介護職員処遇改善支援補助金」による給与改善がどうなるかということではないだろうか。

自分の給料が本当に月額9千円上がるのかと期待と不安をもって、どうなるかという情報を待っている人がたくさんおられると思う。しかし「給料が月額9千円上がると思っている人に伝えなければならないこと」で指摘したように、実際に給与改善額が9千円となる人はさほど多くならないと思う。

そしてそれは経営者が搾取しているという意味ではないことを理解していただきたい。

どちらにしても介護事業経営者にとって補助金については、「配分をどうするのか」ということが大きな悩みでもある。せっかく給料を上げても、上げ方に不満があるとしてしこりが残ってはたまらないのである。落としどころをどこにするのかは難しい判断である。

今の時期は、すでに配分方法を決めている事業者が多いだろうが、これから最終決定するという事業者もあるだろう。

2月と3月分は全額一時金で支給してよいことになっているため、支給時期を遅らせて4月以降に支払う事業者も多いと思う。そのため配分額もその時に知らせればよいのだから、年度内に配分方法を決定すればよいだろうと考えているとしたら、それはあまりにも無責任だ。

自分の労働対価が月額いくらであるのかということは労働条件でもあるのだから、労働者は事前に知る権利があるのだ。そういう意味で、2月に入る前に従業員にきちんと補助金の配分方法と金額を知らしめる責任が、介護事業経営者にはあると考えるべきではないだろうか。

だからこそ配分方法及び給与改善額を全職員(改善されない職員がいた場合でも、その職員を含めて全員)に示して、その決定過程・理由について丁寧に説明しなければならない。

この問題について僕が管理する表の掲示板に、「処遇改善支援補助金の配分方法について、皆さんの職場ではどうする方針か情報をください。」というスレッドを立てて、情報を集めている最中だ。

すでに複数の方々が決定された配分方法をお知らせくださっている。

様々な考え方が示されており、介護職員のみに配分する事業者がある一方で、全職員まで支給範囲を広げるとしているところもある。

今のところ職種を広げて配分するという事業者が多いようだ。その中には支給対象ではない在宅ケアマネ等にも、事業者負担で配分するとしているところもある。

この配分方法に正解は存在しない。全職員が不満を持たない配分方法も存在しないだろう。
職場説明
それぞれの介護事業者の組織風土なども、職員のとらえ方に関係してくるものと思える。どちらにしても前述したように、より良い方向を目指して、経営者が真剣に考えた結果が、今回決定された配分方法であることを説明し、職員に理解を求める姿勢が不満を最小限にとどめる方法だろうと思う。

ここは覚悟を決めて経営判断として決断しなければならないところだ。そして一度決断して説明を行った後は、その決定をベストと信じて、配分方法の不満を職場で基地にしないというルールを設け、そのことが後々まで尾が引かないように切り替えるように促し、職員一丸となるように日々の仕事に邁進することしかできない。

なお表の掲示板では、まだしばらく情報を集めたいと思う。

皆さんの職場で決定した配分方法を是非教えていただきたい。それを多くの方が参考にして、自分の職場にとって参考になる考え方を見つけていただきたいと思う。

どうぞご協力をお願いいたします。
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処遇改善支援補助金から新処遇改善加算へ


1/12に第206回社会保障審議会介護給付費分科会(Web会議)資料が公開された。

来月(2022年2月)から介護職員の月額9000円ほどの賃上げを実施するために、「介護職員処遇改善支援補助金」が交付されるが、この補助金給付は9月までの時限措置となっているため、10月以降も給与改善を恒久化するために、臨時の介護報酬改定を行って、介護職員処遇改善加算の新区分を新設することが決まっており、今回の資料はその内容を示したものである。

10月から介護報酬が1.13%引き上げらるという報道がされているが、これは新処遇改善加算の分が1.13%に該当するという意味だと解釈できる。

厚労省の資料説明では、新たな加算の申請手続きの受け付けは8月から始めるとされ、補助金と同様に計画書・実績報告書の提出を求めていく方針も示された。

資料内容を読むと、補助金の仕組みを基本的に踏襲していることがわかる。(参照:介護職員処遇改善支援補助金資料

そのため加算要件として現行の処遇改善加算機銑靴里い困譴を取得している必要があるし、賃上げ効果の継続に資するよう、補助額の2/3は介護職員等のベースアップ等(基本給又は決まって毎月支払われる手当)の引上げに使用するという要件も補助金と同じである。

ただしサービス種別ごとに異なる補助金の交付率と新加算に変更後の加算率は微妙にことなっており、一部のサービスが同率ではあるが、ほとんどのサービスは新処遇改善加算の加算率の方が高い数字になっている。下記は補助金と新加算の資料を参考に、僕が作成した%の比較表である。
補助金交付率と新加算率の比較
これは計算式の違いによるもので、補助金が総報酬に補助率を乗じる仕組み(総単位数+処遇加算+特定加算×地域単価×交付率=補助金額)となっているのに対して、新加算は総報酬から既存の処遇改善加算、特定処遇改善加算の分を除いた点数に加算率を乗じる仕組になっていることの違いによるものである。

これにより%は変わっても、一人が月9.000円の給与改善される金額は変わっていないと説明されている。担当者の方はこの違いを十分理解して計算にあたってほしい。(※わかっているとは思うが、あえて老婆心から書いておきます。

なお事業所の判断により、他の職員の処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用が認められているが、その配分方法については特定加算のようなルールが現時点でも示されていないことから、事業所の裁量で全職員同額とするなどの決定を行ってよいし、年収440万円以上は配分対象とできないなどの縛りもないものと理解している。

ただし注意が必要なことがある。それはこの改善によってはじめて年収440万を超える職員については、10月以降特定加算の配分ができなくなるので、逆に給与減とならないように配分額を調整する必要があることだ。

補助金から処遇改善加算の新区分に変わるということは、現行の処遇改善加算と矛盾が生じないように、法定福利費の事業主負担増の分も改善額に含めてよいということだろう。

それにしても処遇改善加算・特定加算・新処遇改善加算という3階建ての加算体系は複雑で、事務処理も煩雑だ。一本化してほしいと思うが、それは2024年度の報酬改定まで待たねばならないのだろうか・・・。

ところでこの給与改善は2月からの補助金が最初になるが、実際に職員に改善分をいつ手渡せばよいかという問題がある。

補助金については本年4月から受付が開始され、2月の改善分は6月から交付されることになるからだ。そこまで待ってもよいのかという問題がある。

2月と3月分は一時金で良いということになっているので規定改正が間に合わない場合、この一時金は今年3月中に、今年2月分も含めた賃金改善を行うことも可だそうだ。受けた補助金が職員に対して一時金として、きちんと2月分から支給されているという証明さえできれば良いのではないだろうか。

しかし、4月以降は補助額の2/3以上は介護職員等のベースアップ等にしなければならないので、4月からの給与はこの分を含めてアップして支給する必要がある。繰り返しになるが補助額の2/3以上は毎月従業員に手渡していく必要があるということなのだ。(※毎月ごとの補助金総額:10月以降は毎月ごとの新処遇改善加算総額の2/3以上をベースアップ等分として、従業員に毎月支給するという意味

この際に、収入となる介護給付額が確定していないので、実際の補助額がわからないことを考慮して、ベースアップ等分は2/3以上とされているのではないだろうか。つまり残りの1/3未満の分を一時金として保留にしておいて、この部分で確定後に調整できるということだ。

よって概算で介護給付費総額を計算したうえで、毎月のベースアップ等に資する分はぎりぎり2/3にしないで、下回らないように余裕をもって設定して、実際の給付額との差額は一時金で調整していくという考え方が良いのではないか。このあたりは各事業者で十分に検討する必要がある。

ところでこの改善費用が国庫負担の補助金から、10月時点で介護給付費に変えられるのわけであるが、そこには大きな矛盾が生まれてくるように思う。

もともと介護職等の給与改善が行われるのは、「成長と分配の好循環」を生み出すための経済政策として行われるものだ。

この政策における、「分配」とは社会の財の再分配を意味し、富める者の資産や資金を国が集めて財政支出するという形で、国民全体に回すことで経済活動を活性化させるとともに、貧富格差の解消にもつなげようというものだ。

しかしその財源が介護給付費に変えられた瞬間から、40歳以上の国民が平等に負担する介護保険料や、利用者の自己負担金が財源となるわけであり、結果的に富裕層ではない人の負担増につながるだけではなく、介護保険財源の確保という名目で、自己負担割合2割・3割負担者の増加や、給付制限の拡大につながることになる。

そういう意味では、10月以降の給与改善分が保険給付化されるということは、政策主旨と非常に矛盾するといえるのではないのだろうか。

国民の利益は、いつも国民の痛みによってもたらされているように思え、僕はこの点いまいち納得できないでいるのである。
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給料が月額9千円上がると思っている人に伝えなければならないこと


介護事業経営者の中には、年末年始の休み期間に、「処遇改善補助金」の配分をどうしようかと悩んでいた人が多いだろう。

なぜなら目前に迫っている2月から賃上げを実施していないと、補助金の交付が受けられなくなるからだ。(※補助額の3分の2以上はベースアップに使用することとされているが、2月、3月の賃上げに限り、就業規則の改正などに要する時間も考慮し、一時金のみによる賃上げも認められている。

実際の申請は都道府県における準備等を勘案し、令和4年4月から受付を開始して、6月から補助金を毎月分交付することになるが、事前に補助金額を計算して、2月からいくら配分できるのかというシミュレーションをしておく必要がある。

補助金対象となっている事業所については、他の職員の処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用が認められているので、その判断もしなければならない。そのうえで2月に、誰と誰にいくら一時金等として支給すべきかという決定を、今月中にしなければならないだろう。

その答えを出すために、実際に自分が経営する事業所が、いくらの補助金を受け取ることができるのかを計算した人も多いだろう。

そしてその中には、「月額9.000円も給与上げられないじゃないか!!」と憤っている人も多いと思う。

そこで補助金の計算式を改めてみてみよう。

処遇改善補助金は、介護職員処遇改善加算とは計算方法が異なり、総報酬に交付率を乗じるため、総単位数+処遇加算+特定加算×地域単価×交付率補助金額となる。ここを間違えないようにしてほしい。(※交付率は、こちらの資料の最終ページに掲載されている。

この計算式に数字を当てはめてみると、とてもじゃないけど月9.000円の改善額にならない事業者が多くなるはずである。

なぜなら国は補助金の交付率を、平均給付費金額と最低人員配置基準をもとにして決めているからである。

つまり平均給付費より少ない(要するに収益が平均以下)もしくは、人員配置基準より上回った職員数を配置している場合は、その分だけ9千円から、どんどん遠ざかった額になっていくのである。

しかし最低人員配置基準で運営している事業者はほとんどないと言えるのではないだろうか。

例えば特養の場合、「介護職員及び看護職員の総数は、常勤換算方法で、入所者の数が三又はその端数を増すごとに一以上」であり、このうち看護職員は、「入所者の数が三十を超えて五十を超えない指定介護老人福祉施設にあっては、常勤換算方法で、二以上」である。

よって最低基準配置であれば、介護職員15人+看護職員2人で良いわけであり、ベッド稼働率が全国平均を下回らずに運営したうえで、15人の介護職員に補助金をすべて均等に配分するとすれば、9.000円に近い数字になるわけである。

しかし50人定員の特養で、介護職員を常勤換算15人しか配置していない施設はほとんど見当たらない。20人を超えて配置している施設がほとんどだろう。

同じことは他の介護施設や、居宅サービス事業所にも言えるわけで、実際に配置している介護職員の数が補助金の算出根拠より数が多いので、仮に補助金を他の職種に回さずに、介護職員だけに均等分配した場合でも、介護職員全員の給与を月額9千円上げることができるというのは、机上の空論でしかない。
処遇改善補助金
売り上げによっては、その数字は5千円程度まで落ちてしまうであろう。しかも職場内のチームワーク等を考慮して、介護職以外の職員にも均等配分しようとすれば、一人に配分される金額はさらに減ることになり、事業所によっては給与改善月額が2千円程度でしかなくなるというケースも十分あり得るのだ。

しかし多くの介護職員が、そのような事情を知らないでいる。

世間では広く、『2月から介護職員の給料が月額9千円上がる』という報道がされており、自分の給料も2月から確実に9千円は上がると考えている介護職員は多いのである。さらにその人たちの一部からは、「月額9000円の賃上げでは不十分だ。インパクトも乏しく、現状と特に変わらない。」との声も聴こえてきている。

にもかかわらず給与改善額が月額9千円にはるかに届かないことが明らかになると、給与改善されたという事実を喜ぶ声はほとんどなくなり、国が示した改善額を下回った支給しか受けられないことへの失望感が大きくなるだろう。

失望した人の中からは、介護事業経営者が補助金を搾取し、介護職員に手当てするべき額を回していないのではないかと疑う人も出てくるだろう。その疑いの気持ちが経営者や管理職への不信感へと繋がり、さらに事業者への不信感となって、職場を去ろうとする人が出てくるかもしれない。

そんなふうに今回の補助金による給与改善が介護人材対策にはならず、逆に離職動機につながるという、まったくおかしな現象が生まれかねないのである。

だからこそ介護事業経営者には、介護職等に対する丁寧でわかりやすい説明が重要になるという自覚を持ってほしい。

担当者に補助金額を算出させて、その額に基づいた配分方法を決定したうえで、今回の補助金の仕組み・月額9千円の給与アップがあるという数字のカラクリ・当該事業所の配分方針・補助金のすべてを職員の配分に回しているという事実等を丁寧に説明しないとならない。

それを怠る事業者においては、人間関係を中心にした職場環境の著しい悪化、あるいは崩壊が起こる可能性が高い。

介護事業経営者は、今回の補助金の申請と配分問題を、今後の事業経営を左右するほどの大きな問題と考えて、今から準備を進めて、これでもかというほど丁寧な対応が必要になると考えるべきである。

そしてこの問題では、経営者としてのスキルを問われる重要な判断を行わねばならないことを十分自覚すべきである。
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介護職員処遇改善支援補助金は来年2月から実施が原則


今朝5時にCBニュースの僕の連載、「快筆乱麻・masaが読み解く介護の今」がアップされた。
masaが読み解く介護の今
今回は、「介護職員処遇改善支援補助金」について、年末・年始に介護事業経営者が考えねばならないこと・対策しておかねばならないことについて考察した内容となっている。

今の時期にできる限りのことをしておかないと、職員の定着率を下げる結果になって、後悔する介護事業経営者も多くなると思う。そうならないために是非参照してほしい。

この記事は有料記事なので、読むことができないという人もいるが、自分にとって有益な情報は、お金を払って買うものである。

会員登録に必要な費用は、年額プランなら月4千円にも満たないが額である。これを介護事業者負担で個人登録すれば、そこの職員全員がIDとパスワードを共有して情報を手にすることができるのだから、登録しない手はないと思う。

そこには僕だけではなく多数の著名人が連載記事を書いていて、様々な有益情報が載せられている。それを手に入れることができるのだから、決してその金額は高くない。その費用を惜しむのはどうかしていると思うのは僕だけだろうか。

それはさておき、介護職員処遇改善支援補助金については、追加通知が12/27付で、「介護保険最新情報Vol.1026」として発出された。

24日の介護給付費分科会資料と比べると、新たな交付要件として次の2点が加えられている。
-----------------------------------------------------------
・来年2月、3月(今年度中)から実際に賃上げを行っていること
○ 原則として来年2月から賃上げを実施していることを補助金の交付要件とする。
○ 就業規則などの改正が間に合わない場合は、来年3月に、2月分も含めた賃上げを実施することも可能とする。
・補助額の3分の2以上はベースアップに使用すること
○ ベースアップの範囲は基本給、あるいは毎月決まって支払う手当とする。
○ 介護職員とその他の職員のそれぞれについて、賃上げ額の3分の2以上をベースアップに充てる必要がある。
○ 来年2月、3月の賃上げに限り、就業規則の改正などに要する時間も考慮し、一時金のみによる賃上げも認める。
-----------------------------------------------------------
このように事務作業の遅れを理由にして、2月以降の別な月を起点として補助金の交付を受けることは不可とされたのである。そうであれば、この補助金の交付を受けていなければ、来年10月に行われることになった臨時の報酬改定時に、引き上げ分を算定することもできないということになる。

よってすべての介護事業者が、その事務作業を急がねばならない。それが遅れて補助金による給与改善ができなくなった場合、その事業者からは、より給与の高い事業者への職員の大量流出が避けられなくなる。それは介護事業経営危機に直結するものだから絶対に避けねばならない。

しかし新たに示された要件を満たすためには、ほぼすべての介護事業者で給与規定の改定が必要になるだろう。そして改定には理事会の議決が不可欠となる。

そのため今から、4月のベースアップに向けて新給与規定案を定めて、理事会を開催する準備を行う必要がある。その場合、3月は事業計画や予算案を審議ずる定例理事会の時期だから、それに合わせ行おうと考えている事業者が多いだろう。

しかし介護職員処遇改善支援補助金の交付を受けるためには、2月中に処遇改善計画書を提出する必要がある。その際には、新たな給与規定に基づく改善額を一時金として2・3月に支払うことが前提になるのだから、給与改善案を審議・決定する理事会も計画書提出前の2月中に行わねばならないのではないだろうか・・。そう考えると改定給与規定案を作成する事務担当者は年末・年始に休みを取れなくなるかもしれない。お気の毒なことだ・・・。

基本給のベースアップを行なおうとすれば、給料表を抜本的に見直し必要があり、タイムリミットを考えるとそれは蒸すかしいと思える。さすれば、「毎月決まって支払う手当」として金額を定めるのが事務作業としても楽で、そうする事業者が多くなると思える。

補助金の申請については、各事業所において、都道府県に介護職員・その他職員の月額の賃金改善額を記載した計画書を提出しなければならず、賃金改善期間経過後、計画の実績報告書も提出する必要があるが、処遇改善計画書と実績報告書には、「月額の賃金改善額の総額」を記載するだけで良いことになっており、個々人の賃上げ額の記載までを求めるものではないこともアナウンスされている。

前述したように、介護職員処遇改善支援補助金の交付を受けようとする全ての介護事業者は、来年2月中に処遇改善計画書を提出しなければならない。その事務作業負担を考慮して、本来2月に提出しなければならない既存の処遇改善加算、特定処遇改善加算の計画書については、提出期限を4月まで遅らせる方向で調整が進められているそうだ。・・・当然のことだと思う。そうしないと事務担当者は倒れてしまう。

補助金申請の担当者にとって、この年末・年始は、精神的に十分休養が取ることは難しい状態ではないか。それらの方々が給与改善の蚊帳の外に置かれるとしたら、「やってられない」と思ってしまうかもしれない。そうなってはあまりにも可哀想だ。

介護事業経営者の方々はその点も十分考慮して、事業者内での配分ルールを定めていただきたい。
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介護職員処遇改善支援補助金について


本日(12/24)、厚生労働省の、第205回社会保障審議会介護給付費分科会は、「持ち回り」で行われている。

つまり実質的に審議がなく、各委員は厚労省の担当者の訪問を受けて、その内容を承認するだけの、「手続き」で終わるのである。その手続き承認がされる内容とは、「介護職員処遇改善支援補助金について(報告)」である。

先ほど厚労省の公式サイトに資料がアップされたので、その内容を確認してみよう。

今回の国費による給与改善は交付金によるものとされていたが、その正式名称は、「介護職員処遇改善支援補助金」とされている。そのため今後は補助金と表記を統一することとする。

補助金は処遇改善加算機銑靴里い困譴を取得している事業所を対象とし、現行の介護職員処遇改善加算等と同様、介護サービス種類ごとに介護職員数に応じて設定された一律の交付率を介護報酬に乗じる形で各事業者に交付するとされた。今回の資料3頁にサービス種別毎の交付率が示されているので参照してほしい。

今回の資料では、補助金の新たに支給要件として下記の内容が付け加えられている。

賃上げ効果の継続に資するよう、補助額の2/3以上は介護職員等のベースアップ等()の引上げに使用することを要件とする(4月分以降。基本給の引き上げに伴う賞与や超過勤務手当等の各種手当への影響を考慮しつつ、就業規則(賃金規程)改正に一定の時間を要することを考慮して令和4年2・3月分は一時金による支給を可能とする。)
※ 「基本給」又は「決まって毎月支払われる手当」

↑このことは一昨日の大臣折衝で合意した内容で、昨日の記事でも説明している。

そこでも書いたが、給与改善分を基本給に入れてしまうと、賞与にも影響してくるので、処遇改善手当などの名目で、「決まって毎月支払われる手当」として支給する事業者が多くなるだろうし、そうすればよいという意味では、この要件は極めて低いハードルと言えよう。

申請・交付スケジュールは下記の通りである。
・賃上げ開始月(2・3月)に、その旨の用紙を都道府県に提出
・実際の申請は、都道府県における準備等を勘案し、令和4年4月から受付、6月から補助金を毎月分交付
・賃金改善期間後、処遇改善実績報告書を提出。
介護職員処遇改善支援補助金執行イメージ
なお、「事業所の判断により、他の職員の処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認める。」という部分については、今回の資料でも配分ルール(※特定加算のように、介護職員等をグループ分けして、AグループはBグループの2倍以上の改善としなければならない等)は示されなかった。

配分割合についても、事業所の裁量でけていできるということだろうか・・・。日程から鑑みれば、年内や年明け早々に新しい通知がされることはないと思え、2月に都道府県への書類提出をしなければならない点を考えると、今後新たなルールは示されることはないように思う。

ということで本日の資料には、特に目新しい内容は載せられていない。前回発出された資料内容に加えて、昨日まで報道されていた内容が追記されているだけのようだ。「なるほど〜」と思うような記述事項はないと言えるだろう。

ところで介護職員の処遇改善に関連して、政府の「公的価格評価検討委員会」が22日にまとめた「中間整理」では、「国民の保険料や税金が効率的に使用され、一部の職種や事業者だけでなく、現場で働く方々に広く行き渡るようになっているかどうか、費用の使途の見える化を通じた透明性の向上が必要」と記載されている。

賃上げの原資を事業者が適切に還元しているか確かめるべきだという指摘である。

しかし介護職員処遇改善加算にしても特定加算にしても、給与改善した額が算定した金額を1円でも下回った場合に、加算全額の返金指導を受けることになっている。

その確認のために介護事業者は、自治体に給与改善計画と、実績報告書を提出して、加算算定金額より給与改善額支出分が上回っている証明をしなければならない義務を負っているのだ。

それでもなおかつ「費用の使途の見える化が不十分だ」とでもいうのだろうか。これ以上の何を行なえと言うのだろう。

そもそも公的価格評価検討委員会の委員は、こうしたルールの存在や、実際の事務処理手順を確認して中間整理をまとめているのだろうか?大いに疑問である。

現状の事務処理以上の透明化を求められた場合、それは提出書類・証明書類をさらに増やすということにならざるを得ず、事務担当者の大幅な業務負担を強いる結果になる。それはあまりに無駄というものである。

幸いなことに今回示された資料では、来年2月〜9月までの補助金も、従前の加算と同じ手続となっているようだ。

今後はこの手順を見直して、更なる提出書類の簡素化に努めてほしい。そう考えるのは決して僕だけではあるまい・・・。
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介護給与改善恒久化のため臨時報酬改定を来年10月に実施へ


介護職員等の給与を月額9.000円引き上げるための予算措置を含めた補正予算が12/20に成立したことにより、来年2月〜9月までの給与改善交付金の支給が正式決定されました。

政府はその後10月以降の更なる対応については、令和4年度予算編成過程において検討し、必要な措置を講ずるとしていましたが、昨日(12/22)になって、給与改善を恒久化するために、2022年10月に臨時の介護報酬改定を行う方針を決定しました。

これを受けて昨日、鈴木財務相と後藤厚労相が閣僚折衝を行い、臨時の介護報酬改定について合意に至りました。
介護給与改善
臨時の介護報酬改定後は、賃上げの合計額の3分の2以上を基本給、あるいは毎月決まって支払われる手当ての増額に充てることなども求めていくことになります。多くの事業者は、交付金も手当で支給するケースが多いので、これは問題ではないでしょう。

要件を満たす施設・事業所であれば、職場内の多職種にリソースを配分する柔軟な運用も認められるのは、9月までの交付金と同様ですが、配分率などが指定されるのかどうかは、明日(12/24)持ち回りで行われる介護給付費分科会で示される可能性が高いので、注目してほしいと思います。

厚労省の公式サイトに資料アップされるのは、午前10時くらいになると思われます。

昨日の閣僚折衝では、介護報酬に給与改善分を上乗せする際には、既存の「処遇改善加算」の取得を要件とすることも確認されました。これも交付金支給要件と同じです。そのためこれを取得できない居宅介護支援・福祉用具貸与・訪問看護・訪問リハビリテーション・地域包括支援センターなどは、来年10月以降も引き続き賃上げの対象外とされる見通しとなっています。

つまり臨時の介護報酬改定でも、居宅ケアマネ等は賃上げ対象にならないために、居宅介護支援事業所等の報酬は据え置かれるということになります。

ただし詳細は年明けからの社会保障審議会・介護給付費分科会で詰めることになっており、今後の議論で何らかの軌道修正がされるなど、居宅ケアマネ等を賃上げの対象に含まれる可能性もゼロではないという見解も示されています。

今後の職能団体等の働きかけがどうなるかを注目すべきですね。もしかしたらこのことが職能団体の存在意義を問われる問題となる可能性だってあります。国の補助金を受けて、国に物申せない職能団体に会費を支払う無駄だけが浮き彫りにならなければよいのですけどね。

ところで、臨時の介護報酬改定には150億円ほどの国費を投入することになります。しかもそれを介護報酬として事業者に支払うことになるのですから、赤字国債を主たる財源としている交付金とは大いに異なる点があります。つまり来年10月以降は、給与改善費部分に対しても利用者自己負担が生ずるし、保険料財源も使われることになります。

経済政策としての分配を最大の目的としている給与改善の財源が、社会的弱者を含めた国民の負担になってしまうのは大きな矛盾であるように思えます。

またそのことが財源論にすり替わってしまうことによって、今後の介護サービス利用者への給付抑制につながらないのかなどの懸念もありますよね。

介護職の給与が上がることは歓迎されることですが、他職種との待遇差も含めて、簡単に解決できない問題と矛盾を抱えたままの給与改善策になっていると言えそうです。
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いろいろあった今週の介護業界


今週月曜日にマイナビが運営する、「メディカルサポネット」の「菊地雅洋の激アツ介護経営塾〜選ばれる介護事業者であり続けよ」の連載記事で、介護職員等の給与改善交付金について論評した。

そこでは、「介護職員がいない事業所(居宅介護支援や福祉用具貸与など)は対象外とする方針が示されていることに不満の声も挙がっていますが、この問題の決着も先送りされています。」と書いた。

しかし8日に行われた介護給付費分科会資料では、介護職員の月額平均9.000円の賃上げ交付金については、既存の「処遇改善加算(I)から(III)」のいずれかを取得していることを要件とし、介護職員の配置義務のない訪問看護・訪問リハビリテーション・福祉用具貸与・特定福祉用具販売・居宅療養管理指導・居宅介護支援は対象外と明記されている。(※介護予防も含めて対象外

これによって日本介護支援専門員協会等の要望はまったく無視される形で、居宅ケアマネの交付金支給による給与改善は実現不可能となった。

ただし資料では対象となる職種を、「介護職員」としているものの、但し書きとして、「※事業所の判断により、他の職員の処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認める。」としているため、交付金が支給される介護施設等については他職種への配分は可能となった。

このため施設併設の居宅介護支援事業所の場合は、施設のケアマネには配分があって給与が上がるのに、居宅ケアマネは配分がなく給与も据え置きということになり、特定加算の時と同様の不公平が生ずることになる。僕個人としては非常に残念な決定だと思う。

国の論理は、今回の交付金は人材不足に対応するという意味もあり、足りていないのは介護職員なのだし、居宅ケアマネについては介護報酬を給与引き上げができる方向で改定したのだから、それでカバーしてほしいということである。

報酬改定で引き上げられた分と言っても、それは主に担当者を従前より多く抱えて逓減性緩和を適用されたことによる分だから、仕事量が大幅に増えた上での給与増である。それは労働対価として当然のことなのだから、それを理由に今回の交付金から除外されるのは納得いかないと思う人も多いだろう。その考えは正論であると思う。

また今回の交付金から居宅ケアマネが外されたことは、逆に24年の報酬改定には順風で、そこで居宅介護支援費の更なる引き上げが期待できるとする向きもあるが、そんなに先の不確定要素に期待しても始まらないと思う。そうした見方はまったく意味がないと指摘しておく。

交付金の配分ルールは今後示されることになるが、10日の参議院本会議で岸田首相は、事業者が交付金原資を全て賃上げに充てたかどうかを、自治体において確認する仕組みとすることを表明している。

これは自治体の仕事が増えることを意味すると同時に、自治体に実績報告する事務担当者の業務増をも意味している。そういう人たちにも報いる形で、配分をしていただきたいと思う。

介護給付費分科会では交付金の財源について、保険料・利用者負担の増加を牽制する声が相次いで上がったが、このことについては、メディカルサポネットの連載記事で評論しているので、そちらを参照してほしい。

さてそのほか今週介護業界を賑わせたニュースと言えば、「3月しか勤務していない老健で何があったのか?〜空気注入殺人事件」で評論した事件である。

その記事に追記しているが、事件があった老健施設では他に複数の入所者の不審死が確認されているそうだ。それも当該職員が手に掛けたとすれば、今後過去に例のない利用者連続殺人事件に発展するかもしれない。続報に注目する必要がある。

他にも介護事業者の世間の信頼を揺るがすニュースが続いた。

東京都立川市の有料老人ホームで介護職員として働いていた松本昌伸容疑者(42)=東京都東久留米市弥生1丁目=が窃盗容疑で逮捕され、容疑を認めているという。
松本容疑者逮捕
事件は、松本容疑者が8月2日〜9月8日の間、自ら勤務する有料老人ホームの入居男性のキャッシュカードを使い、計23回にわたって現金計850万2千円を引き出したというものだ。

事件が発覚したきっかけは、9月に被害男性が亡くなったことだ。被害者は生前、預金残高は何百万円もあると言っていたにもかかわらず、死亡月の利用料が残高不足になり11月に自動引き落としされなかったため、それを不審に思った別の職員からの通報ということになっている。

しかし死亡者の口座を放置して、2月も後にそこから引き落とされた利用料が支払われるのを待っているということにも問題があるのではないだろうか。

容疑者がキャッシュカードと暗証番号をどう手に入れたのかを明らかにすることも必要であるし、この施設全体の利用者金銭の管理がずさんだったのではないかという検証が必要だと思う。

どちらにしても利用者の暮らしを護り、生活の質を向上させるべき場所で、命や財産が奪われることは大問題だ。そんなことがあっては利用者は安心してサービス利用ができなくなってしまう。

そんな業界に国民の血税を使って、給与改善のための交付金を支給してよいのかという議論にもつながりかねない。

そうならないように、介護事業経営者はより一層の、ガバナンスとコンプライアンスの確立に努めなければならない。

できることは自らの組織を律することであり、そのためには自らが介護事業経営者として職員に範を示すことができるように、己を律することである。

日大前理事長のように、汚れた裸の王様にならないように気を付けたいものだ。

今週はmasaの徒然草も久しぶりに更新した。職場改革につながる示唆も含んでいるので、「街を飾るイルミネーションのように輝くために」も参照いただきたい。
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居宅ケアマネ専任者は給与改善対象外の方針にどう対処すべきか


最初にお知らせです。昨日出版社より、1月に行う出版記念セミナーの詳細決定と、参加申し込み受付が開始されたという連絡が入りました。

2022年1月28日(金)14:00〜僕の新刊【きみの介護に根拠はあるか〜本物の科学的介護とは】の出版記念セミナー、『今こそ、介護の行方を問う』は、予定通り人形町の日本橋社会教育会館 8階ホールで行います。

セミナーのプログラムと申し込みは、張り付いた文字リンク先からダウンロードできますので 、今からシフト調整して、ぜひ当日会場までお越しください。よろしくお願いします。

さて今日の本題に移ります。

26日の臨時閣議で決定された今年度の補正予算案には、介護職の給与を来年2月から月額3%程度(9000円)引き上げる財源も盛り込まれています。

ただしこれはあくまで新経済政策です。看護師・介護職員・保育士等の給与は国が責任をもって増額し、それらの「分配」政策で上がった賃金が消費の増加につながることで経済活性化をもたらし、その結果生じる税収増などをさらに「分配」して次の成長につなげることを意図した政策なのです。

分配は来年2月〜9月までは「交付金」として各事業者に支給され、来年10月以降は診療報酬や介護報酬にその財源を組み入れる方針が示されていますが、国はこれらの給与アップ分を介護職員以外の他職種にも配分する柔軟な運用を認めるとアナウンスしてきました。

しかし昨日突然、介護職員がいない事業所(居宅介護支援や福祉用具貸与など)は対象外とする方針とすることを表明しました。

そうした方針を含めて特定処遇改善加算(以下、特定加算と表示)に準じたルールとする方向で調整を進めており、施設などでは介護支援専門員を含めて多職種に配分できる形を想定しているそうですが、居宅介護支援事業所は特定加算に続いて蚊帳の外とする方針のようです。

もし特定加算の配分ルールと同様ということになれば、特養の介護支援専門員には支給可能ですが、特養併設の居宅介護支援事業所の介護支援専門員として専従している者は支給対象外となります。

特定加算の場合、そのことによる不公平感をなくすために、居宅介護支援事業所の専従介護支援専門員には、法人持ち出しで別途給与アップを図った事業者が多かったがようですが、それと同じことを行わねば、居宅介護支援事業所の専従者には不平・不満がたまりますよね。

有識者と呼ばれる人の中には、『居宅専従ケアマネの給料が上がらないと言っても、下がるわけではないんだから、他職種の給与アップをひがむようなせこい主張をするな』と言う人もいますが、同じ法人・事業者内で同じように仕事に汗しているにもかかわらず、ある日突然、能力や努力と関係ないところでその労働対価に差がつくというのは納得しきれないでしょう。それが人情というものです。

介護人材不足とは、介護職員の人材が不足しているという意味で、その人材を増やすためには、介護職の給与を最優先して上げる必要はあることは理解しています。

しかし介護事業は決して介護職員だけが支えているのではありません。介護職だけ給与改善して、他の職員が給与改善の蚊帳の外に置かれることは、職場の人間関係やチーム連携のうえで決して良い結果を生まないと思うのです。

特に介護支援専門員は、その成り手も減ってきています。2017年のケアマネ試験の受験者数が131,560人でしたが、2020年にはその数が46,415人となっていることを見てもわかるように、資格を取ろうという動機づけを持つ人が大幅に減っているのです。

介護職との給与格差が広がれば、この傾向がさらに助長されるのではないかということも懸念されます。

居宅介護支援事業には、今年度から利用者の受診同行に加算が新設されました。つまりケアマネは単に相談援助だけをしているのではなく、ケースに応じて介護と同様の行為を行っているという意味にもなります。そうした人材を給与改善の蚊帳の外に置き続けて良いのでしょうか・・・。

僕はそれで良いとは思いません。ただし今回の方針は決定事項ではありません。

詳細な配分ルールについて国は固めておらず、今後も検討を深めていくことになっています。

補正予算案は臨時国会で審議されますが、その審議過程では居宅介護支援事業所の専任介護支援専門員らが支給対象から除外されることも論点の1つとなると思われます。

野党は介護職等の給与改善自体には賛成の立場をとるものと思われますが、その改善対象から居宅介護支援事業所の専任介護支援専門員らが除外されることに異を唱える可能性が高いと思います。

与党議員のすべてが、昨日アナウンスされた国の案に納得しているとも限りません。ですから交付金の配分から除外される事業や職種がないようにしてほしいという要望が高まり、それが国民の声として国会に届けられるのならば、まだ逆転の目はあると言えるのではないでしょうか。

だからこそ審議が始まる前に、声を挙げていく必要があるのです。

今こそ居宅介護支援事業所の介護支援専門員の皆様の、「発信力」が問われてくることを忘れてはなりません。
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介護職等の給与改善策に対する的外れな批評について


社会全体で格差が広がっていると言われることが多い。

それがあたかも、長期政権となった前安倍政権の「負の遺産」のように語られることがある。特に社会保障政策について、前政権は十分な対策をしてこなかったような論評に出くわすことがあるが、そうした論調には違和感を抱かざるを得ない。

前政権は消費税を10%に引き上げることが出来たこともあって、高齢化の進行に対応する形で政府の規模を大きくして、社会保障の充実に取り組んだのである。

その他、高齢者に偏っていた社会保障を「全世代型」に切り替え、欧米のような格差拡大を何とか防いできたのである。その実績は決して否定できない。

安倍首相が抱いていた本来の理想は、「小さな政府」の実現により、財政の健全化を図るというものであったろうと思うが、前述したように前政権下では不本意ながら、「大きな政府」となることによって社会保障政策を推進したのである。

特に政権の終盤時期に起きた予想外のコロナ禍で経済が停滞する中、大きな財政出動をせざるを得なかったが、それによって介護業界も恩恵を受けて、「コロナ倒産」がほとんど起きなかったという評価はあってしかるべきである。

それでも格差が広がっていると感じるのは、経済成長の歪みが起因していると思える。アベノミクスの恩恵が大きかった場所と、そんな恩恵がちっとも与えられなかった場所との差が、大きな格差につながっているのではないのか。

さすれば格差は社会保障政策によって生ずるのではなく、経済政策が大きく影響すると言えるのではないか。

そもそも社会保障政策とは、市場経済で生じた歪みを是正する目的で対策されるセーフティネットなのだから、社会保障政策で社会の格差をすべて消滅させるということは不可能である。

少なくともそれは資本主義社会の論理にはなり得ない。

ところで岸田内閣は、前政権の経済政策を引き継いでいないことは、今更言うまでもないことだろう。

新政権は新自由主義的な経済政策から転換し、成長と分配をすすめ中間層を拡大していく、「新しい資本主義」を掲げているのである。

その政策における格差解消策とは、社会の「」の再分配政策と、分配された財によって消費拡大と経済活性化という循環を創り出すというものだ。

その一環として介護職員等の給与改善交付金が補正予算に組み込まれるのである。

だから今回話題になっている介護職員等の給与改善策も経済対策であるという理解が必要だ。

この対策によってもなお、全産業平均給与と介護職の平均給与との差は埋まらず、介護人材対策になっていないと批判する人がいるが、それは的外れな批判だ。

この政策は経済政策であって、この政策によって他産業との平均給与格差を完全になくそうとしているわけでも、介護人材対策を完結させようとしているわけでもないのである。

だからこそ我々介護関係者は、今回の補正予算措置で、介護職員の給与改善は完結するわけではなく、道半ばであるという理解を促す努力をしつつ、今回の給与改善策とは別に、一日も早く介護職員の平均給与を全産業平均並みに引き上げるように訴えていくべきである。

そこでは介護は社会の重要なセーフティネットであり、経済市場を支える要素でもあることを強調する必要がある。そこにお金をかけるということは、決して無駄な支出ではないという情報発信が求められるのだ。

そしてその財源は、財の財分配機能が発揮できる形で、社会的弱者や中間層が負担することがないように、富裕層が負担する形にすべきことも提言していかねばならない。

そういう意味では全額国庫負担が正しい方法であるし、それが来年10月以降に介護報酬財源からの支出になることは問題であると反対の声を挙げるべきなのである。

なぜなら介護報酬財源に移行された途端、そこでは被保険者負担が伴うことになる。

すると財源確保のために自己負担割合が2割や3割の層を拡大するという、決して富裕層とは言えない被保険者のさらなる負担増が行われたり、介護給付から地域支援事業化するサービスを拡大するなどの、介護支援を必要とする社会的弱者の給付制限につながりかねないからだ。

そうした情報発信や提言を行わないで、批判と文句ばかり垂れ流してもしょうがないし、そんなことでは何も変わらないのである。
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介護職らの賃上げの配分方法は今後の調整課題に


政府は昨日(11/19)、新たな経済対策を閣議決定したが、その対策をまとめた文書には、「介護・障害福祉職員を対象に、賃上げ効果が継続される取り組みを行うことを前提として、収入を3%程度(月額9000円)引き上げるための措置を、来年2月から前倒しで実施する」と明記されている。

給与改善の対象職種や金額については、多業種に比べ処遇改善が遅れている保育士と介護職(以下、介護職等と表記)の全員の賃金を月額3%程度に当たる約9千円引き上げを先行実施すると報道され、それに加えて救急医療を担う病院などに勤務する看護師のみを対象として、当面は月額4千円の改善を行い、幼稚園教諭の賃上げも実施するとしていた。

これに対して医療・介護関連団体からは、それらの職種に限って配分することに反対する要望書等が国に提出されていた。主たる要望内容と要望団体は以下の通りである。

・「介護現場では多職種によるチームケアが中心となるため、職種に限定された処遇改善は公平性の観点から現場に大きな不協和音を招いている。限定的なルールではなく、事業者の分配裁量権の拡大を求める」(日本デイサービス協会

・「介護支援専門員の業務が拡大しているなかで、人材の確保は深刻な状況。その一因として業務量と賃金の不均衡が言われてきている。業務に見合う処遇の問題が放置されれば、介護支援専門員、主任介護支援専門員の人材確保、さらに優秀な人材の確保は困難になるのではと危機感を抱いている」(日本介護支援専門員協会

・「病院で働いている看護補助者・介護職に対する処遇改善の仕組みがない。病院が地域医療を提供していくうえで、看護補助者・介護職は必要不可欠な職種。現状では多くの病院が看護補助者・介護職の確保に苦慮している。介護施設の介護職と同様の交付金、もしくは診療報酬により処遇を改善する対応が欠かせない」(四病院団体協議会

・「対象職員を限定せず、現に雇用されている職員全員を対象とするとともに、介護保険以外の財源による養護・軽費ケアハウスなどの施設の職員の給与への配慮も必要」(全国老施協

これらの声を受ける形で、新たな経済対策としてまとめられた文書には、「他の職員の処遇改善に充てることができるよう柔軟な運用を認める」とも書き込まれた。

そのため配分方法の詳細については今後さらに調整を重ねることになり、現時点ではどの職種に、どの程度の給与引き上げが実現するのかは不透明だ。

特定加算のように一定のルール化で介護事業者の裁量を広く認めたうえで、介護職員以外にも配分されることになれば、給与改善がされない職種の不公平感はいくらかでもぬぐうことができる。しかし当初言われていた介護職全員を対象とした月9.000円の給与改善は難しくなるだろうから、そのことに不満を抱く介護職員も出てくるだろう。

どちらにしても支給方法が明確になった後の、各事業者における職員への丁寧な説明と、職場内コンセンサスの形成という大きな課題が、介護事業経営者や管理職に背負わされることになる。この部分は丁寧に行いたいものだ。

それは職場の人間関係や、チーム連携にも影響を与えかねない問題だからである。

しかし、この給与改善によってもなお、介護職等の給与については全産業平均の月額給与の水準には追い付かない。
職種別の平均賃金
確かに介護職員処遇改善加算・特定処遇改善加算などを重ねて介護職員の給与改善は少しずつ上がっているのは事実だが、その状態は戦力の逐次投入のようであり、介護人材確保などにつながる効果にはつながっていない。

だからと言って、報酬改定とは直接関連しない時期に、診療報酬や介護報酬財源とは別に財政措置を行って、介護事業者等の職員給与が少しでも改善されることは歓迎されてしかるべきである。

今後は、今回の給与改善が行われてもなおかつ、介護職全体の月額給与が、全産業平均より5万円以上低いということを問題視して、その差を一気に埋めるような思い切った給与改善を求めるアクションが必要だろう。

しかし今後予測される緊縮財政の中で、介護職等の給与改善が、基本サービス費の引き下げという人質を取られて行われることになっては、介護事業経営自体が成り立たなくなる恐れがある。

介護事業の安定経営と介護人材確保は、「介護難民を生み出さない」という国民全体の利益につながる問題なのだから、介護人材の処遇改善費用は、全額国庫負担による交付金方式で行うようにするなど対策が必要ではないだろうか。

保険・医療・福祉・介護は社会のお荷物ではなく、重要なセーフティネットなのである。それにお金をかけるということは決して無駄な支出ではなく、経済市場を支える支出なのである。

岸田首相の看板政策は、成長と分配をすすめ、中間層を拡大していくというものなのだから、税負担のあり方も見直すなどして、富裕層の負担で経済的弱者の所得を増やしていくという考え方があっても良いのではないかと思うのである。
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介護職賃金月額9千円引き上げの波紋


岸田首相が、就任直後から明言している介護職員の賃上げの内容と財源・方法等が11日に示された。

これは政府が19日に決定する経済対策に盛り込まれるもので、多業種に比べ処遇改善が遅れている保育士と介護職(以下、介護職等と表記)の全員の賃金を月額3%程度に当たる約9千円引き上げるというものである。

そのほか地域の救急医療を担う看護師の収入を3%程度増やし、幼稚園教諭の賃上げも実施する。

介護職等の賃上げについては、岸田首相の『社会の財の再分配』政策に沿ったもので、経済対策として30兆円の財政支出を行う中で取り組むものであり、2021年度の補正予算として裏付けを急ぐとしている。

補正予算では介護職等の賃上げ原資を交付金とするとしており、来年2月〜9月分を確保する予定である。ただし申請手続き等が必要なために、介護職等の手元に引き上げ分が届けられるのは来春(2022年4月)以降となる見込みである。

来年10月以降は、診療報酬や介護報酬で対応するとしており、処遇改善交付金(2022年2月〜9月)〜処遇改善加算の上乗せ(2022年10月以降)という形で、引き上げ分が各事業者に支払われることとなりそうである。

一連の報道記事を読むと、当初給与改善は看護職・介護職・保育士とされていたが、月額一律9000円の賃金の引き上げが行われるのは介護職と保育士だけのように読める。看護職は救急医療担当の看護師のみと読み取れるが、間違いないだろうか・・・。

今回の引き上げは、ボーナス等を含めた職種別の月額平均給与が、全産業平均で35万2千円なのに対し、保育士が30万3千円、介護職が29万3千円と低かったことによる対策とされており、一方で看護師は39万4千円と全産業平均より高いことで、救急医療以外の看護師が除かれたということなのかもしれない。

看護師の給与が医師の4割程度にとどまっているという点は、この改善の理由にはならないということのようだ。

残念ながら介護事業者に所属する他の職種については、この引き上げ対象にはなっていない。職場内の人間関係とか、チームワークを考えたとき、それは大きな問題だと感じている人も多いだろうが、政府の方針なのでどうしようもないところだ。

新しい交付金によって、介護職の給与改善原資は、処遇改善加算+特定加算+交付金という3重構造となり、それぞれに手続きを要することになる。さらに来年10月以降は、現行の処遇改善加算に9千円分が上乗せされる形になるのだろう。その手続きも必要になる。
給与格差
そのため今回の対策によって一番大変なのは担当事務員であると言える。申請業務だけでも大変な業務負担増にならざるを得ない。しかしそれは他人の懐を豊かにするだけの業務負担であり、そのことが自分の懐にまったく跳ね返ってこないことに納得いかない人も出てくるだろう。不満や不定の声が聴こえてきて当然のことと思う。

介護事業経営者の方々には、今回の給与改善の対象にならない職員に対し、事業収益の中からできるだけ給与に反映できる分を回していくという考え方も必要になるだろう。だからこそしっかりとした経営意識をもって、収益確保の対策を講じなければならない。

今後、こうした財源支出に対する抵抗勢力の逆襲も予測される。財務省は特定加算を介護職以外の職員に支給していることにお冠のようだから、2024年の介護報酬改定に向けてその運用の変更を求めてくるかもしれない。

変な抵抗意見も既にある。

例えば9日に開かれた、「公的価格評価検討委員会」では、内閣府の担当者が会合後、「今までの処遇改善の取り組みがしっかりと賃上げにつながっているかどうかみる」と説明している。

同じような考え方として、8日の「財政制度等審議会」でも財務省が、「処遇改善加算は事業者の収入にはなっても、必ずしも介護職の賃上げにつながらなかったとの指摘もある」と説明する場面があった。

しかし処遇改善加算は、算定費用の全額を介護職員に手渡していなければ不正請求であり、1円でも事業者の収益に計上しておれば加算費用を全額返還しなければならないものだ。

よって内閣府や財務省の担当者の説明は、算定要件を理解していない、空想としか言えない。介護職員に支給せず事業者収入になんてできない仕組みになっているという当たり前のことを、きちんと理解したうえで議論の場に臨んでいただきたい。

介護職員の給与が上がることは良いことだ。それによって他産業から介護業界に転職する人が増え、介護人材不足を少しだけ改善に向かわせることができれば、それは国民全体の利益だ。

しかし介護事業は、決して介護職員だけが支えているのではないことも理解してほしい。

介護職だけが給与改善しても、介護事業経営の基盤を支える事務職員や、介護職以外の専門職である相談援助職や栄養士等が、給与改善の蚊帳の外に置かれることは、決して良い結果を生まないと思うのである。

介護事業の全職員の処遇改善こそが、日本の介護を支える礎(いしづえ)になると思うのは、僕だけであろうか・・・。
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SOMPOケアの介護職給与改善の続報


このブログのアクセス数は、平日の平均が2.000件〜3.000件で推移している。

ところがこのアクセス数の推移に、先週大きな変化が見られた。
ブログアクセス数の推移
上記画像でわかる通り、18日は月曜日のアクセス数としてはほぼ平均数であるが、19日〜その数が一気に増えている。

おもしろいことにデスクトップからのアクセス数とプレビュー数はほとんど変わりないが、モバイルからのそれが一気に増えているのだ。

この現象は、僕のブログをお気に入りに入れるなどしている常連さん以外で、普段僕のブログを見たことがない人が、スマホやタブレットでこのブログにつなげてきたことを現わしている。

その人たちに関係する話題がこのブログで論じられているという情報が伝わって、それを確認しようとした人が多かったという意味だ。

それは何なのかといえば、19日の更新記事だと思う。「介護職員の賃上げ競争に現実味」という記事の中で、「SOMPOケア」が正職員である介護職員の給与を年収ベースで50万円引き上げることを決め、看護職員並みの給与ベースとすることを論評した記事を確認しようとしてつなげてきた人が多かったのだろう。

その記事が介護関係者の関心を引いたという意味ではなく、その記事に全国にたくさん居られる、「SOMPOケア」の従業員の方々が反応したのではないかと想像する。

それが証拠に、同社の社員の方からコメントが書き込まれている。

そのコメントを読むと、報道記事を読んでその事実を知ったSOMPOケアの従業員以外の介護関係者と、同社の社員の捉え方は微妙に違っているようだ。

報道では、「介護職員約1千人の給与を来年4月に引き上げる方針」・「対象の正社員の年収水準を50万円ほど引き上げ」とされているので、まるで同社の正社員である介護職員すべてが給与引き上げの恩恵を受けて、年収が50万円アップするかのような印象を受けるが、どうやらそうではないらしい。

そのためコメントには、「給与が上がるのは各ホームのリーダー職のみ」・「実際現場で頑張っている大勢のスタッフは全く関係ないのです。」・「世間に誤解を与えるような記事はやめてもらいたい。」という言葉が書かれている。

僕も含めて、あまり大きな規模の経営主体で働いた経験のない人にとって、「介護職員約1千人」というのは、すごい数であるという印象しかないが、全国展開している同社の規模からすれば、その数は正規介護職員の一部でしかないらしい。

そうであるがゆえに、今回報道された給与改善の恩恵を受けない正規職員の介護職員の皆様にとっては、リーダー職の給与が大幅にアップされる中で、今と変わらない待遇に据え置かれるということが、「介護の場で、同じように頑張って働いているのに」という不公平感につながってしまうのだろう。

同時に報道内容について、プロパガンダではないかというふうに、ある種の『うさん臭さ』を感じてしまうのだろう。

頑張っているのに給与面で報われない人が、そのように感じてしまうことはやむを得ないことである。

それと同時に、こうした形で給与改善しても、全職員のモチベーションアップにつながらず、むしろ一部の職員のモチベーションが低下してしまうという事実は、介護事業経営上の極めて難しい課題であるといえる。

同社がやろうとしていることは、決して悪いことではないからだ。

一部のリーダー職の給与改善でしかないと言っても、その数は約1千人にものぼるわけであるし、今その対象になっていない人も、今後の努力次第でその立場になることができれば、その恩恵を受けることができるのだから、まったく自分だけが給与改善の蚊帳の外というわけでもないはずだからである。

ただ従業員数が多いだけに、そこにたどり着くのは至難の業であると言えるわけで、そのような一部の職員だけの給与を改善して、介護サービスの場で毎日必死に汗をかいている自分たちに恩恵がないことを嘆く気持ちは理解できるのである。

このギャップについて、外野から何を言っても無意味であろうが、コメントのような声があることを、このブログで広く伝えるとともに、今回の報道が同社の全部の介護職員を対象にしたものではないという事実だけは、正確に伝えておきたいと思う。

このことについて意見がある方は、同社の社員あるいは社員以外の方を含めて、コメント欄に忌憚のない意見を寄せていただきたいと思う。
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高まる介護職員賃上げの期待値


今日はプロ野球ドラフト会議の日である。

毎年多くのドラマが生まれる会議を前に、自分の働き場所を選ぶことができず、職場から選ばれるのを待つ選手の気分はいかがなものだろうと想像してしまう。

もともとこの会議は、金満球団に有力選手が集中して戦力が他の球団と大きく開かないようにするために行われるようになったものだ。勢力バランスを均等化してペナントレースを戦った方が面白く、強いてはプロ野球というスポーツが長く国民やファンの支持を得られるという意味だ。

介護事業もサービスの品質の凸凹が問題となり、最低限の質の担保が叫ばれているのだから、国民に広く支持を得て介護保険制度が長く続くことを目的に、介護職員ドラフト会議を開催して、介護事業者が職員を選ぶようにしたらどうなるだろう。

良い職員を探して、全国の介護福祉士養成校をスカウトが巡回し、金の卵を発掘しつつ、介護職を目指す人は、希望の事業者に選ばれようとして切磋琢磨しながら自らをアピールする。ドラフトにかからなかった人は、「育成契約」を介護事業者と交わし、3年後までにものにならなかったらそのまま退職しなければならない・・・。そんなあり得ない妄想をしてみたが、介護事業者や介護職員の方々には、朗報と言えるニュースが先週にかけて伝えられている。

先週金曜日(10月8日)、岸田文雄首相が衆院本会議で就任後初の所信表明演説を行い、「新型コロナウイルス、そして、少子高齢化への対応の最前線にいる皆さんの収入を増やしていく。そのために、公的価格評価検討委員会を設置し、公的価格のあり方を抜本的に見直す」と述べた。

先の自民党総裁就任演説に引き続き、社会の財の分配政策の柱の1つとして介護職らの賃上げを行うと重ねて明言し、介護報酬の見直しなどを議論していく方針を打ち出したのである。(参照:介護業界は新首相に期待を寄せて良いのか・・・。

矢野財務次官がこうした政策について、「バラマキ的な政策論議」と批判しているように、今後財務省が強く抵抗することも予想される。

それに対して自民党の高市早苗政務調査会長は10日のNHK「日曜討論」で、財務次官の寄稿について、「大変失礼な言い方」と不快感を示したうえで、「基礎的財政収支にこだわって本当に困っている方を助けない、未来を担う子供たちに投資しない、これほどばかげた話はないと思っている」と批判した。

さらに プライマリーバランス(基礎的財政収支:PB)の黒字化目標について、「一時的に凍結に近い状況が出てくる」との見方を示した。

もともと彼女の政策は、物価安定目標のインフレ率2%を達成するまで国と地方のPBを巡る規律を凍結するというものであり、国の借金問題については、「名目成長率が名目金利を上回っていたら財政は改善していく」・「自国通貨建ての国債なのでデフォルト(債務不履行)も起こらない」という立場である。

内閣を支える与党の有力役員が首相とタッグを組んで、財務省という伏魔殿と戦う姿勢を示したわけである。

介護職員等の賃上げ方針についてはこのほか、後藤厚労相や山際全世代型社会保障改革担当相なども協力・推進の立場で発言しており、今後の新たな財政出動が現実的になってきたように思う。

その具体策は示されていないが、介護職等の収入を増やすために、「公的価格のあり方を抜本的に見直す」としているのだから、来年4月に控えている診療報酬改定や、2024年度の介護・診療ダブル改定における報酬引き上げが見据えられていると思う。

しかしそれは果たして基本報酬の見直しにつながるのか、それとも処遇改善加算の積み上げだけにとどまるのかということが、介護事業経営者にとっては気になることだろう。

後者であれば、直接的な事業収益にはつながらないのだから、いかに収益を確保して、事業を継続させていくのかという戦略を練っていく必要がある。

ただ一つ言えることは、介護サービス利用者の数は、今後最低でも20年以上増え続けるということだ。顧客は今よりもっと増えるのだから、事業を続けていくことによって、介護市場に落ちる巨額なお金を得ることができるのである。

しかし生産年齢人口は減り続けている。そのため外国人労働者の雇用のハードルが下げられ、雇用しやすくなってはいるが、生産年齢人口の減少を補うほどの数の確保は困難である。

よって介護事業経営の最大の課題は、事業を継続・拡大するための労働力の確保であることに何ら変わりはない。だからこそ新しい国の政策の中で、どのような形で介護職員等の収入増加が図られるのかという情報をいち早くキャッチする必要がある。

というのもその方向性や具体策が決まったならば、体力のある介護事業者は、その対策がとられる前に、その対策がとられることを前提に、同じ方向で先行して職員の収入増加策を図る戦略が成り立つからだ。

全サービス事業者に、均等に人材が回るということはあり得ないのだから、そうした事業戦略の下で、人材を囲い込んだ事業者が勝ち組となり、拡大し続ける介護市場で大きな収益を挙げることができることを理解しているだろうか。

ここに対策をいち早く取ることができる事業経営者の下に、有能な人材と巨額な資金が集まっていくことに気づかねばならない。

だからこそ情報は金を支払ってでも、いち早く正確にキャッチする必要があるのだ。

同時に偽物の情報を見抜く力が、介護事業経営戦略部門には求められていることも忘れてはならない。
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介護業界は新首相に期待を寄せて良いのか・・・。


一国の政権トップが変わるということは非常に大きな出来事である。

それは国の政治体制が変わるのみにとどまらず、様々な仕組みが変わるかもしれないことを意味しており、一人一人の国民の暮らしに直接影響が及ぶ可能性もある出来事でもある。だから決して他人事とは言えない。

一方で我が国においては、「誰がトップに立っても、自分の暮らしに影響はない」・「世の中も大して変わりないだろう」・「結局は同じこと」と冷めた見方をする人も多い。

介護業界も、政治トップが変わるたびに何かを期待し、何かを裏切られてきた歴史がある。そのことを思い浮かべて、過度な期待をしない人が多い。

過去を振り返ると、自民党から民主党に政権交代が行われた際、介護業界には大きな変革の期待があった。

その時政権党となった民主党は野党時代に、「介護職員の給与を月額5万円アップする」と言っていたからだ。しかし政権を取った途端にそれは反故にされてしまった。

その後の介護を巡る政策は、自民党政権時代とほとんど変わりなく、政治家はパフォーマンスに終始するだけで、実質の改革には全く手を出さなかった印象が強い。

つまるところ事実上、この国やこの国の制度を動かしているのは、「官僚」であるということが、改めてクローズアップされる結果となっただけの話である。

そんな苦い思いから、政治に何も期待しないとして、選挙の際に投票に行かない介護関係者は実に多い。そんなふうに政治や政局に興味のない人も数多く働いているのが介護業界の一面でもある。

ところで、100代目の内閣総理大臣となる岸田文雄・自民党新総裁は、政策として社会の『財』の再分配を政策に掲げている人だ。

そのため一昨日の総裁就任後の記者会見では、「公的価格の見直しを訴えてきた。看護師、介護士、保育士の方々の給料は、仕事の大変さに比べて低いのではないか」と指摘したうえで、「こうした方々の給料は国で決められる。国が率先して公的価格を適正に引き上げることを考えたらどうか。それを呼び水として、民間の給料の引き上げにも広げていくことができるのではないか」と発言し、数十兆円の経済対策を行い、広く国民所得を引き上げることを表明している。

歴代の総裁で、就任会見時に介護の話題に触れた人はいただろうか。僕自身はあまり記憶にない。

そういう意味で、すこし毛色の違った会見内容に介護関係者の期待は膨らんでいると思う。SNSでも関係者が、今後の政治は介護業界に順風となるだろうと期待する声がたくさん書き込まれている。

本当にそうなればよいが、果たしてその期待に応える結果が示されるだろうか。

自民党の副総裁には、財政中立を頑として守り、プライマリーバランスの黒字化を目指す麻生太郎氏が座って、長老として睨みを利かせていくのである。そのような中で、介護関連支出の大盤振る舞いといういうことはあり得ないと思うのは僕だけではないだろう。

新総裁が給与所得に関して、看護師と介護職員を同列に語っているのも気になる。看護師は国民の平均給与所得より高い年収を得ているにに比べ、介護職員と保育士の年収は、それを大きく下回っているという相違がある。

それを同列に論じられてしまえば、介護職員の待遇改善は、看護師の高給与に飲み込まれて玉虫色となっていく。その結果、どこかの段階でお茶を濁して終わりということになりかねない。

そんな疑念はぬぐえないものの、コロナ禍の中で頑張っている介護職員の姿もクローズアップされている今だからこそ、新しい政治の光が介護業界を照らすことを期待したい。

アフターコロナは、経済対策がまず優先だという人が多いが、国の経済を支えるのは、国民が安心して暮らすことができるセーフティネットがあってこそのものであることを忘れてはならない。

今日のグローバル社会は、雇用・年金・医療・福祉・介護といったセーフティネットが制度として機能していないと、財政を支える国の市場経済そのものが破綻する可能性が高いもので、国が責任を持って国民の暮らしを支える仕組みを整える必要がある。

そういう意味では、「大きな政府か小さな政府か」・「官か民か」・「競争か平等か」といった旧来の二分法とは別の「第三の道」として、「福祉を拡充する小さな政府」を目指していくことが今後求められるのではないかと思う。

新しい政治には、その方向に舵取りすることを大いに期待したいところだ。

それにしても各報道に見られる、「介護士」という言い方は何とかしてほしい。そんな職名も資格も存在していない。資格を示す言葉なら、「介護福祉士」であるし、職種を示すなら、「介護職員」である。勝手に職名をつけるなと言いたい。
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