僕は今、富良野行きの列車の中でこの記事を更新アップしている。今朝8:25に東室蘭駅を経って、札幌と旭川で列車を乗り換えて、最終目的地に向かっている最中だ。
今日と明日の2日間、中富良野町の特養の職員研修として、「虐待を予防し、身体拘束をしないケア」をテーマにした講演を行う。(参照:masaの講演予定)
その講演を前にして、タイムリーな話題といっては失礼だが、道内函館市で不適切な身体拘束が行われていたことが発覚し、「身体拘束は虐待ではないと強弁する恵山恵愛会・理事長」という記事を書いて批判した。
この記事を書いたその日に、事態は再び動いた。
身体拘束は虐待ではないと強弁していた恵山恵愛会の菅龍彦理事長が、そのインタビュー映像が流された翌日に記者会見に応じ、「短時間ならよいという甘い考えがあった」と述べたのである。一応の謝罪といってよい。
だが同時に、職員が新型コロナに感染して人数が減り、「こういう対応をせざるを得なかったというのがあったと思う。人手不足の中(身体拘束をする際は同意を得るなどの)手順を飛ばしてしまった」と語るなど、言い訳がましい会見に終始している。
事の重大さを理解していないとしか思えない。「私自身が利用者、職員とのコミュニケーションを取ることが必要。事例の周知や外部研修への参加を促したい。信頼を取り戻してもらえるよう、地道な努力をしていきたい」と語っているが、本当にこうした人物の元で、人権を尊重するケアが実現するのだろうか・・・大いに疑わしく思う。
※画像は、シーツを体にまいた身体拘束について記者に説明する恵山恵愛会の菅龍彦理事長
しかし介護関係者の中には、「身体拘束はゼロを目指している。ただ、人手不足が深刻化する中(恵楽園の件は)理解できないわけではない」とマスメディアのインタビューにコメントする輩もいる。
なんでも人手不足のせいにして有りとする考え方は、人権侵害をもたらすこともやむを得ない場合があるという誤解や意識低下を助長するだけで、マスメディアに向けてこうした発言をすることは軽率すぎると思う。こうしたコメントをするや輩は知性が足りない・見識が低いと言わざるを得ない。
勿論、やむを得ない身体拘束はあり得る。しかしそれは人手不足に対応するものではなく、切迫性・非代替性・一時性の3要素が備わって緊急やむを得ず行うことが認めらえているだけだ。人手が足りないなら、ベッドの一部を休止するなど、不足に対応してできるサービスを考えるのが先である。
切迫性・非代替性・一時性の3要素が備わって身体拘束を行わざるを得ない行為の代表的なものは、経験栄養や点滴のチューブを引き抜く行為だろう。この行為を注意して止めてくれる人はいないため、やむを得ず一時的に手を縛る拘束などが行われる。
しかしそれは本当に必要な経管栄養や点滴なのだろうか?老衰は自然死なのである。その自然死に向かっている人に、経管栄養や点滴は必要がないだけではなく、かえって苦しめる要素にしかならないことは、このブログで何度も指摘している。不必要な点滴で痰を作って、その痰を吐き出せずに苦しむ人が、さらに喀痰吸引によって苦しめられながら終末期を過ごして、そのままの状態で死んでいく・・・こんな悲惨な死があってはならないのだ。
終末期以外の経管栄養にも、不必要なものが少なくない。医療機関から特養に入所してくる人で、どうしてこんな人が経管栄養で栄養補給させられているんだろうと首を傾げるケースに何例であったことか・・・それはまるで看護師の食事介助の手間を省くためだけに、経管栄養にさせられているとしか思えない状態である。
僕が総合施設長を務めていた特養でも、入所時から胃瘻造設しており、胃ろう部をいじる行為が頻繁に見られた方がいた。その方については日中の活動性を高め、離床して胃ろう部に意識が向かないよう、洗濯物畳みなどを手伝ってもらうなどしたことに加え、医師に相談し看護職員が摂食機能訓練を行うこととした。すると訓練実施から2月後に全粥・ソフト食が食べられるようになった。
今日と明日は、こうしたケースをいくつか紹介して、身体拘束をしなくてよい知恵を授けてくる予定である。
職員研修は、このように具体的に実践できる内容を伝えなければ意味がない。
ということで徹底した実践論・実務論を学びたい方、職員に学ばせたい方は、是非気軽にメールで連絡してくれると対応できる。まずは問い合わせから始めてください。連絡お待ちしています。
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