masaの介護福祉情報裏板

介護や福祉への思いを中心に日頃の思いを綴ってみました。表の掲示板とは一味違った切り口で、福祉や介護の現状や問題について熱く語っています!!表板は業界屈指の情報掲示板です。

スーパービジョン

介護事業者は職員のスキルアップを自己責任に転嫁できない。


政府が勧める、「働き方改革」が、本当に日本の将来のためになるもので、求められる改革なのかは議論のあるところであるが、確実にそれは日本の様々な職場に影響を与えていくだろう。

大手企業ではすでに年功序列賃金を廃止しているところもあるが、その流れはこの改革で広がる可能性が高いと思う。それだけではなく日本型の終身雇用制度も徐々に失われていくのではないだろうか。

そんな中で企業は、採用した職員をじっくり育てて将来の戦力にしていこうという動機づけを失っていくかもしれない。最初から戦略となる職員を採用して、使えなければやめてもらうという企業体質が強くなっていくのではないかと懸念している。

そうなるとこれからの企業は、職員のスキルアップを会社を挙げて取り組むより、スキルアップは従業員の自己責任として、会社はそれに見合った対価しか与えないという風に流れていくと予測できる。

雇用される側は、自分の価値を上げるために自分自身でスキルを高めて、自分個人を企業に売るというふうに意識変化が求められるかもしれない。

介護事業にとっても、「働き方改革」の影響は決して小さくはない。

有給休暇の新規定は、大きな事業者ならばすでにクリアしているところも多いだろうが、小規模事業所はその対応のために人を増やさねばならないかもしれない。(参照:年次有給休暇の改正対応はできていますか

どちらにしても人材がさらに求められる中で、職員に与えなければならない休日規定によって、さらに少ない人数で業務を回さなければならないという介護事業者も増えることが予測される。

そうなると職員教育の必要性は理解していても、研修のためにとれる時間は減るので、就業時間中に職員教育の時間が取れないという事業者も多くなるし、外部研修にも職員を派遣できなくなったり、派遣人数を減らしたりという事業者も多くなるかもしれない。

だからと言って大手営利企業のように、スキルアップは自己責任・他人任せにして、スキルのある人材だけを雇用し、それに見合った対価を支払うことで、スキルのない従業員が淘汰されていくなんて現象は、経営体力の弱い介護事業者で起きるはずがない。

そもそも介護事業は、機械に変わることができない人の力で成り立つ部分が多く、人材集めが何よりの課題であるが、収益は介護給付費という国定費用が中心である。よって大手営利企業のように、求められる人物には莫大な費用をかけて雇用するということは不可能だ。これは規模が大きな法人でも同じことで、物が売れれば青天井で利益が出る企業と、国定費用という天井のある事業を中心に主益を得る事業との大きな違いである。

むしろ介護事業にとっては、教育システムを従業員の自己責任にしたり、人任せにすることは、長期的にみれば事業損失であるし、事業経営危機にもつながりかねない。

このブログで何度も指摘しているように、人材は国の政策で何とかなる問題ではないので、事業者独自で人を集め、定着させないと事業継続ができなくなるのである。そのアイテムとなる重要なパーツが、「魅力ある教育システム」である。

そもそも対人援助の仕事は、人の暮らしに深く介入していくもので、その品質を左右する職員の質の担保を、職員自身の責任に転嫁したり、他者に委ねるなんてことになれば、それは責任放棄と言われかねない問題だ。

介護の仕事とは単純労働ではなく、決まった作業対象に対して同じ手順で結果の分かった作業を行うものではない。対人援助においては、マニュアルや手順に沿った業務を行っていても、人によって結果が変わってくるという特徴がある。正しい手順で業務が行えるようになったからといって、必ず目標が達せられ、利用者の課題が解決できるとは限らないのである。

だからこそ実際の仕事は、一人一人の授業員が自分の頭で考え、自分の判断で行動しなければならない場面が多々生ずる。経験の浅い職員は、そこで迷い悩むことが多いために、適切な助言・指導・支持を受ける必要があるのだ。それがなければバーンアウトしてしまう確率が高まるので、介護事業者は、その教育や指導をおざなりにはできないのである。この部分は従業員の自己責任とか、人任せにしてはならないのである。

そのためには職場内教育システムの確立が急がれる。

一例を挙げれば、新任教育としての基礎教育(基本的に座学)をプログラム化し、それを終えた後期間を定めたOJTを行う必要がある。その際に計画的に根拠ある指導を行うためのOJTツールの作成は不可欠である。さらにOJTを終えた後の継続的指導としてのスーパービジョン(以下:SV)を業務に組み入れる必要がある。

そしてSV終結後にも、職員はスーパーバイザー(以下:SVR)にいつでも相談できる体制を維持し、必要に応じてSVを受けられるようにする仕組みも重要となる。

そうであればSVRが誰であるのかを定め置き、各セクションごとにそのことを周知しておくことが大事になる。

このときSVRは職種によって決まるものではなく(※例えば主任ケアマネが必ずSVRとなるということにはならない)、職能と職制によって決められるものであるという理解が必要である。基本的にはその役割を担うべきは各職種のリーダーであり、直属の上司であることが望ましい。

よって介護施設等の介護職員のSVRは介護主任などのリーダーになるだろうし、居宅介護支援事業所の場合は、管理者がその任に当たるのが最善である。

今月17日(金)の福井県介護支援専門員協会主催・介護支援専門員資質向上研修研修、「スーパービジョンとOJTでは、このあたりのことを詳しく伝える予定である。

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知恵を集めた介護事業者しか残らない


厚生労働省が昨年のクリスマスイブの日に発表した2019年の人口動態統計の年間推計で、日本人の国内出生数は86万4千人となった。

この数字は前年比で5.92%減と急減し、1899年の統計開始以来初めて90万人を下回ることを示している。出生数が死亡数を下回る人口の「自然減」も51万2千人と初めて50万人を超え、政府の対策にもかかわらず少子化・人口減が加速している。

つまり日本の少子高齢化は相変わらず振興の一途をたどり、20年後の生産年齢人口も今よりさらに減ることを意味しており、介護事業者にもそのことは色濃く影響してくることは確実だ。

そうであるからこそ国の施策によって介護労働力不足が解消するとことは期待できないと考えるべきだ。地域全体の介護事業者の人手が充足することは考えにくいのだから、人材確保という面での勝ち組と負け組に分かれることは必然であり、どういう事業者に若者が魅力を感じて職員募集に応募してくるのか、どんな職場にそうした人材が定着しているのかを真剣に考えなければならない。

一つ言えることは介護の職業に魅力を感じて就業する人は、きとんと教育すれば人材になる確率が高いということである。

他にどこも採用してくれないから、募集がある介護の仕事でもするかという動機づけの人は、教育の手が及ばない人も多い。そういう人たちと違って、熱い思いを持って介護の職業を目指す人たちは確実に人材として育っていくのだから、そういう人たちの動機づけが護られて、そういう人たちのモチベーションが維持できる職場にしていくことが大事だ。そうすればそこには、さらに介護の仕事に魅力を感じている人が集まってくるのだから、人材が育ち定着するという好循環が生まれる。

だからこそ介護の仕事をしたいという動機づけを持つ人たちにとって魅力のある職場となっていかねばならない。

そんな介護事業者とは、品質が高い介護サービスを提供できる介護事業者であり、そこで働くと高い介護技術が得られる場所である。さらに介護支援を必要とする人の役に立ち、そのことで自身のアイデンティティーが確立できる場所でもある。

自分が働く職場を、そういう場所に変えるためには知恵が必要だ。

知恵のない介護施設では、「人手が足りないから頻繁な着替えの介助はできない。」という。「人手が足りないから、入浴支援は週2回が精いっぱいだ」という。そんなことを言っている介護施設からは今に、「人手が足りないから1日3回も食事提供できない」と言い出す輩が出てくるんじゃないか。全く馬鹿げている。

分業をせずマンツーマン介護を基本とすれば、業務ロスが減り仕事は効率化できる。そもそも分業する場合は、分業する業務の数だけ人がいないと一人のケアもできないが、分業しないマンツーマン介護であれば、一人の職員でカバーできる業務範囲は増えるのである。誰か一人の担当者がいれば入浴支援ができるから、毎日入浴介助することも可能になるのだ。

シフトを工夫してモーニングケアやイブニングケアに人手をかけることもできる。早出が朝食介助の時間から勤務がスタートする必要なないし、遅出は夕食が終わる時間を終業時間とする必要はなく、夕食が終わりイブニングケアが終わる時間までを勤務としても良いわけである。

そのような知恵を使わないから工夫が生まれないのだ。知恵を使って工夫すれば新たな方法論が生まれる。その時必要となる道具をそろえたり、システムを変更したりすることは、事業者全体で取り組むべき問題で、全員が知恵を絞ることで解決できる問題は多々ある。そして必要なケアにお金をかけることはあっても良いわけである。

そうした知恵を生む人材を育てるためには、正しい職員教育が必要不可欠だ。OJTとスーパービジョンはその基本でもある。

OJTとスーパービジョンとコンサルティングの違いを知りながら、それぞれどのように教育システムに取り込んでいくかが問題となるのである。しかしスーパービジョンに関して言えば、そもそもスーパーバイザーになり得る人材を育成しているのかが問題である。スーパーバイザーは経験だけで自然発生しないからだ。

職員が育ち定着するための教育システムは、労務管理の一環として構築していかねばならない。そのためには教えるべき労務が言語化されていなければならない。観て覚えろという、「職人技」はOJTにならないし、一方的にしかりつけてものを教える行為は、スーパービジョンと相反する方法論だ。

そのためにもティーチング(指導する)からコーチング(相手に考えさせる・気づかせる)ができるリーダーを育てる職場のシステムが必要になるわけである。

愚痴をこぼすばかりで、仕事の手を動かさない職場に人材は育たない。愚痴を言う暇があれば、知恵を働かせて工夫をしろと言う労務管理が不可欠だ。

この部分を高い木の上から見て、全体を指揮するのが施設長や管理者の務めである。そのヒントを与えるのが僕の仕事でもある。今年もそんなヒントを伝え続ける予定なので、気軽に声を掛けていただきたい。
知恵


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ソーシャルワークの本質


正月2日と3日の愉しみは、「箱根駅伝」だ。そのため毎年、元旦は早めに寝て、2日の朝は7時前に起きて、日本テレビの駅伝中継開始から終了まで、テレビの前にかじりついて観ている。

今年も1区から様々なドラマのような展開になって、心躍りながら観戦途中である。特に応援する大学があるわけではなく、その時々に感動を与えてくれる、「走り」を応援している。そんな中、今年も北海道出身の選手たちが頑張ってくれているので、うれしい限りだ。

現在4区も終盤に入って、青山学院大学がトップで5区へのタスキ渡しをしそうであるが、これから山登りに入ってゴールに向け、どんなドラマが展開されるのかワクワクである。

それはさておき本題に入る。

僕の専門分野でもあるソーシャルワークとは、援助に携わる者が、援助を必要とする利用者との間で、「援助関係」を築くところがスタートになる。より良い援助関係を築くことが、より良い結果に結び付くともいえる。

しかしその時の考え方が問題である。

関係を良好に築き、その関係を維持しながら、援助技術を使って支援を展開する過程では、「利用者にどのように働きかけるのか」ということが、援助技術としては最も重要だと考える人がいる。

そういう人たちは、どのような助言を行って利用者に働きかけるのか、どの様に共感の態度を示して利用者に働きかけるのかということを重視しようとする。確かにそういう働きかけは、より良い援助関係を築いて保持するためには必要な態度と言えるだろう。

しかしソーシャルワークで、最も重視されなければならないことは、「利用者への働きかけ」ではなく、「ソーシャルワーカー自分自身に働きかけること」であるということに気が付いてほしい。

ソーシャルワークの中核となる実践技術は、「自身への働きかけ」なのである。

「相手への働きかけ」を中核と考えてしまえば、うまく働きかけることにこだわりすぎて、働きかけても何も変わらない、良い結果にならないことに、ワーカー自身がプレッシャーを感じ、ソーシャルワークの本質である、利用者自身が答えを見つけるということを忘れて、ワーカーの価値観を押し付けてしまう結果になりかねない。

そもそも人間は複雑な存在で、働きかけて結果が必ず出るとは限らないのである。

そうであるからこそ、ソーシャルワーカーは自身に働きかけて、利用者に対する偏見や苦手意識を自己覚知することが大事である。それができてこそ無理やごまかしのない、「自然な援助の態度」に至るのである。

援助対象者の中には、「気難しくて苦手な人」も存在するだろう。そういう人に関わることに抵抗を感ずることは決して恥ずかしいことではなく、ごく普通の人間の感情としての自己防衛である。

ソーシャルワークの基本原則が、「丁寧な傾聴」と「受容」であることはわかりきったことではあるが、感情のある人間が常に、何の障壁もなく相手を受け入れられるとは限らない。ワーカーが利用者にマイナス感情を抱くことは有り得ることなのである。

それを克服するための、「自身への働きかけ」は必要不可欠であるが、そうした過程において、自信への働きかけと自己覚知を、すべて自分だけで行う必要はなく、適切な援助やアドバイスを求めることも大事である。

そのためにワーカーが、自分より経験と力量があり、適切なアドバイスができる他のワーカーに援助してもらう過程が、「スーパービジョン」である。

今月1月17日(金)10:00〜16:30の予定で、福井県自治会館で行われる、福井県介護支援専門員協会主催の介護支援専門員資質向上研修研修、「スーパービジョンとOJT」では、『すべての「人財力」を活かす魅力ある職場つくりのために』をテーマに講演予定が入っているが、当日はスーパービジョンを中心にした、ケアマネジャー教育について語りたい。

そのため正月返上で、現在講演スライドづくりをしている最中だ。

なお翌日の1月18日(土)10:00〜16:30は、丸岡総合保健福祉センターいきいきプラザ霞の郷・多目的ホールで行われる、福井県介護支援専門員協会さかい支部主催研修で、『介護保険制度の今後の動向と介護支援専門員に求められる役割〜医療・介護連携からターミナルケアまで』をテーマにした講演も予定している。

福井の皆さん、年明けはどちらかの会場でお愛しましょう。

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ケアマネに対するスーパービジョンに必要なスキル


新人職員を教育する過程で、必要な援助過程としてOJTやスーパービジョン(以下SVと略)、コンサルティング等がある。

この中で専門職が成長動機を持った時に、その動機付けを支持し、専門職として一段高いレベルに引き上げることに有効に作用するのがSVである。しかし日本の介護事業者におけるSVは体系化がされておらず、その過程が存在しない職場が多い。それが介護支援専門員のバーンアウトにもつながっている。そこで今日は介護支援専門員を育てるためのSVについて考えてみたい。

そのためにはまず初めに、OJTとSVの違いを明確にしておく必要がある。

OJTとは、On-the-Job Training(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)の略称で、実際の職場で実務を通して学ぶ訓練のことである。そしてOJTは、ほとんどの職場で新人教育として行われていると思われている。しかし本来のOJTとは意図的・計画的・継続的なものである。

職場全体でOJTに対するそのような理解がなく、トレーニングすべき側の先輩職員にOJTツールが与えられていない状態で、伝え教えるべき知識や技術の根拠も説明できない状態で、単純に作業労働の手順を教えるやり方というのはOJTとは言えない。

自分の仕事ぶりを見せて仕事を覚えさせるのは職人技の世界であり、介護事業者の教育方法としては不適切である。きちんとOJTツールを作って、それに沿って計画的に介護知識と技術を伝えていかねばならない。そのことがサービスの品質の基盤になっていく。

つまり多くの職場においては、作業指導しか行われていないのが実態で、専門技術の指導の基本となる教育課程が存在していないのである。そのような職場においては、良い人材は偶然でしか育たない。よってこの部分からの改善が急がれているといって過言ではない。

ただし介護支援専門員を含めたソーシャルワーカー等の専門職は、OJTだけでは育成できないことにも留意が必要だ。

専門職は単に仕事の手順を教わるだけではなく、スキルアップの動機づけを与えながら自己成長を促す過程が必要不可欠なのである。特に自らのスキルを疑いながら成長しようとする過程が必要で、その時に必要とされる教育課程がSVであり、SVが機能してこそ成長動機を持つ人の背を押すことができて、専門職が一段高いステージに登ることができるのである。

しかしそのSVが存在しない介護事業者の方が多いのが実態である。そのことが日本の介護事業者で介護支援専門員を含めたソーシャルワーカーが育ち難くさせている大きな要因でもある。

介護支援専門員という職種は存在していても、その職種に対して社会が要請する能力に応えられる十分なスキルを持った存在がいない職場では、このSVが存在していないか、機能していない場合がほとんどだ。

ではSVとは何だろうか?

SVとは、「熟練した専門職員が、初級職員等に行う職務能力を向上させるために行う支援」のことである。

社会福祉援助を必要とする人は、それぞれ様々な生活史を持ち、能力や個性も異なる。そうした人が抱える生活課題も多種多様で、生活課題に結び付く原因も生活環境も様々である。だからこそ支援する側が専門的な勉強とトレーニングを積み重ねても、解決困難な事柄がたくさん出てくる。経験を積むだけでは課題解決には限界が生ずるのである。

だからこそ自分より熟練した同じ専門職により、アドバイスや支援を受けられることが重要であり、SVが求められてくるわけである。よってSVにおける指導者(上司・先輩)には経験だけではなく、経験を糧にした熟練の知識と技術を持つことが求められるのである。そうした指導者にSVを受けたいと思う人が、適切にその過程を踏むことが出来る職場が、安定的に専門職を育てることが出来るわけである。

つまりOJTとSVの違いとは、OJTが職場の求める業務を追行できる職員を育てるために行う過程であり、職員がOJTを求めているか否かにかかわらず実施されるプログラムであるのに対して、SVは、上司が部下に対して行う場合であっても、上司(スーパーバイザー:以下SVRと略)が、部下(スーパーバイジー:以下SVEと略)の求めに応じて行うもので、SVを求めるSVEがいない限り成立しない過程である。

またOJTは即戦力の育成を目的として、即実践が前提であり、期間を定めて行うのが普通であるが、SVはSVEの学習速度に合わせて進められ、SVRはそれに寄り添うことが求められ、急がず期間も定められないのが普通である。そういう意味では、SVにおけるSVRとは、「教える」・「導く」人ではなく、SVEに焦点を当て、「丁寧に聞き」・「語りを促す」役割を持つ人と言える。

どちらにしてもSVは、単に仕事ができる人を育てる過程ではなく、より良い仕事を目指す動機づけを持つ人を成長させる過程なのである。

そしてSVRには、SVEが目指す以上の仕事の熟練が求められるだけではなく、SVEが指導を受けたいと思えるような人間的魅力も備えていないとならない。なぜならSVは、職場が命令して受けされるものではなく、SVEが望んで受けるものであり、指導者も職場が決めるのではなく、SVE自らが選ぶというのが基本だからである。

介護支援専門員に対するSVであれば、何よりも介護保険法における介護支援専門員の位置づけを知る人でなければSVRにはなれないし、居宅介護支援におけるケアマネジメントにしても、施設ケアマネジメントにしても、法令・運営基準をしっかり把握していないとSVはできない。

ソーシャルワークとは何ぞやという知識があっても、介護支援専門員の業務の大部分は、制度の中で動くことになるのであるから、制度のルールが把握できていない状態で、SVRの役割は果たせないのである。

ソーシャルワークの原理原則とは関係しない、ケアプラン作成上の担当者会議の法令ルールにおいて、居宅サービスと施設サービスにおいては、異なったルールがあるということなど、細かなルールを知っておかねば本当の意味でのSVはできないものと考えている。

よって昨日までSVができるSVRであっても、明日もその状態でいられる保証はないということだ。毎日変化する社会のニーズや、定期・不定期に更新される法令ルールにも対応しておく気構えとスキルがないと、SVRの役割は果たせない。そういう意味では、情報や知識を常に吸収するエネルギーを持った人しか、SVRの役割は果たせないといえるのである。

ちなみにコンサルテーションとは、独立して職務を遂行できる能力がある専門家が、ある特定の専門領域の秘術や知識について、助言を得る必要があるときに、その領域の専門家に相談し、助言を受ける過程を言う。

つまりコンサルテーションを受ける両者に、上司と部下のような上下関係が存在するものではなく、任意な対等の関係の上で行われる。つまり両者はパートナーの関係であり、SVのように評価の責任を負うものではない。そして一般的にはSVが同一職種間で行われるのに対し、コンサルティングは他職種との間で行われることが多い。(※例外はある。同一職種間でも得意分野が異なればコンサルティングは成立するからだ。)

どちらにしてもSVを有効にするSVRとは、専門知識と技術を持ち、それを生かした熟練の仕事ができる人であり、かつ指導者として人間的魅力にあふれたスキルを持った人が、それにふさわしいと言えよう。

知識や技術や実績があっても、部下を感情的に怒る上司は、その役割を担う存在にはなり得ないといえるのではないだろうか。

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