masaの介護福祉情報裏板

介護や福祉への思いを中心に日頃の思いを綴ってみました。表の掲示板とは一味違った切り口で、福祉や介護の現状や問題について熱く語っています!!表板は業界屈指の情報掲示板です。

人材育成

叱れない=教え導くことができない介護事業者の末路


特養で92歳の女性を暴行死させ、指名手配されていた犯人は、9/25(日)札幌市白石区のマンション非常階段で逮捕されたが、その後の取り調べで、「20分間くらい暴行を加えた」・「顔を殴り、両腕を折った。反応がなくなり、目を覚ますためにお湯をかけた」・「頭を2回叩いたら、『叩いたな、覚えておく』と言われて殴り殺した」と供述しているそうだ。(参照:夜勤専任者が指名手配された特養の評判とその教訓

余りにも酷い供述内容に、開いた口が塞がらないと感じた人も多いことだろう。

この事件は、9/15夜中から16未明にかけて東京都北区浮間の特別養護老人ホーム「浮間こひつじ園」で92歳の入所女性が殺害されたというものだが、犯人の菊池隆容疑者は、事件当日、被害女性から「痛いところがある」と相談されたのに異状を見つけられず、「馬鹿」と言われて暴行に至ったらしい。

その際に、過去に蹴られたり挑発されたことを思い出し怒りがエスカレートして残虐な殺人事件に発展したものだが、それはアンガーマネジメントがどうのこうのという問題をとうに通り越して、人間性そのものが疑われる残虐性が認められる。

こうした人物は、そもそも人に相対して、その人が他人に知られたくない・見られたくない恥部も全部さらけ出して援助を受けなければならない領域に踏み込んで、個人の尊厳に配慮して仕事をするという適正に欠けていた人ではないのだろうか。

果たして採用時の人材の見極めや、試用期間中の適性判断は行われていたのだろうか・・・。
怒りの感情を鎮めるスキル
被害女性の状況がどうだっかかわかっていないが、認知機能に障害のある利用者は、介護職員の善意の行動を理解できず、攻撃されていると思い込んで、抵抗することがよくある。そのことにいちいち腹を立てていたら介護の仕事は始まらないし、そういう行動が起きた場合、介護職員は自分が支援行為をするに際して説明が足りなかったのではないかと反省するのが普通だ。

僕も介護の場で、自分がかけていた眼鏡を割られた経験を持っているが、それを利用者のせいにしてもしょうがないと思う。自分の行動に、そうした暴力を受ける要素がなかったのかを考えなければ、対人援助のプロとしての成長はないのだ。(参照:介護現場で芽生えた?眼鏡趣味。

50歳で独身のこの犯人は、5年ほど前から介護の仕事を始めたという。浮間こひつじ園では、夜勤専任者として週5回の勤務を行っていたそうであるが、インタビューされた同僚は、「短気な人だった」と評している。

さすれば仕事中に短期な場面がしばしば見られたのだろうし、今回の犯行の詳細がわかるにつれ、その短気な性格は利用者対応にも現れていたのではないかと容易に想像がつく。

仕事中に短気さが見て取れる場面に出くわした時に、管理職なり上司が、その報告を受けてきちんと注意をしているだろうか。

夜勤専任者である犯人に対して、叱ったり注意をしたりすればへそを曲げてやめてしまうことがあったら、夜勤業務が回らなくなるのではないかと、そのことを恐れて必要な注意をしていなかったようなことはないのだろうか。

夜勤専門職ということで、何もかも本人に丸投げして、事務管理部門の人事評価や労務管理がおざなりになってはいなかったのではないだろうか・・・検証しなければならないことは多々ある。

それと同時に、「介護事業におけるサービスマナー意識の向上」ということが、やはり大切なテーマになることを改めて感じる。利用者を顧客として遇する気持ちがあれば、利用者からなじられても、簡単に怒ることにはならず、お客様からなじられるのは、従業員の対応の仕方に問題があるのではないかという意識に繋がって、怒りの感情を抑えるブレーキにもなるからだ。

そしてそうした感情を抑えられない職員がいた場合、職場全体でそうした職員をチェックし、注意するという習慣が生まれるのである。

事件があった特養浮間こひつじ園は、そうしたマナー意識に欠けて、職員同士の態度のチェックや注意が全く行われていない職場環境だったのではないだろうか。

この施設では2020年7月にも派遣スタッフが入所者を小突く事案があり、管轄する北区に虐待と認定されていた。それを受けた職員研修を行っていたというが、それが生きていない実態は、研修内容が職場環境の改善意識に繋がるものではなかったということと、実務に即したマナー研修が行われておらず、形式的なものにとどまっていたということを表している。

虐待防止の意識は、サービスマナー意識が基盤になってはじめて強固になるし、マナーは実務の場で繰り返し注意を行ってはじめて身に付くのだ。それができていなかったのではないか・・・。

というのも、昨今の介護施設では人材不足の施設に限って、今いる職員は辞めることを恐れて、「叱れない施設」・「叱ることを恐れる上司」が増えているからだ。

しかし叱らないことで、働き続ける職員とは、決してスキルが高いとは言えず、そこに有能な介護職員が張り付くことはない。有能な職員ほど、職場環境の悪さにあきれてやめてしまうことが多い。叱ることができない介護施設で、職員が充足したという話は聞いたことがないのである。

そもそも叱ることと、怒ることは違うのである。感情をぶつけるのが「怒る」、相手を良い方向に導くのが「叱る」である。

「叱る」のは、相手をより良い方向に導こうとするために注意やアドバイスをすることである。つまり「叱る」という行為は教育課程では避けて通れない行為なのである。

それができないということは適切な人材教育ができないという意味でしかなく、そうした事業者に良い人材が張り付いて定着することはなく、人材確保はますます難しくなり、人材の囲い込み競争の中で敗北し、廃業するしかないという道をまっしぐらに進んでいるとしか言えない。

そういう職場からは、賢い職員は一日も早く離れることが、自分を護る一番の方法である。

自分の職場はそうなってはいないかを確認したうえで、「処遇改善最上位加算を算定し手渡さない事業者には見切りをつけよう」も参照にしながら、自分の将来というものを真剣に考えてほしい。

それにしても、虐待認定とその改善指導を受けたにもかかわらず、その教訓が生かされず、施設内で勤務中の職員が残虐な暴行死事件を起こしたこの施設は、看板を掲げたまま出直しを図ることが許されるのだろうか・・・。

それはあまりにも甘い対応だろうと思えてならず、僕個人としては、看板を下ろして廃業を選ぶのが道義的責任を果たす唯一の道だろうと思うのである。
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読まれる介護マニュアルを作るコツ


最近テレビを見る機会がめっきりと減り、その代わりと言っては何だが、ユーチューブ等のネット動画配信サイトを視聴する機会が増えた。

視聴するジャンルは特に決まっていないが、年と共に体重の維持が難しくなってきているので、家でできるエクササイズの動画を観ることが多い。実践するのが億劫にならず、かつ楽に続けられる楽しいエクササイズであれば何度も実践できるので、そうした動画を探している。

すると筋力をつけて代謝が良くなり、太りにくい体を創るためのエクササイズ動画は無数にあることがわかるが、エクササイズの方法は似通っている。よってそれなりに効果がある方法というのは、ほぼ出し尽くされた方法の中から絞られているのだろうと思う。

だからその中からどれを選ぶのかという問題だが、視聴して嫌気がさすのは、肝心のエクササイズにたどり着く前の説明が長い動画だ。筋肉の仕組みとか、太りずらい体を創るための理屈を説明したいのはわかる。正しい理論に基づいているからこそ効果があるのだと言いたいのだと思う。

しかし視聴者は、そのような理屈より結果を求めているのだ。難しいことはともかく自分が取り組んで続けられる方法かということが一番の興味であり、まずはどんなエクササイズなのかを見せてほしい。そのエクササイズにたどり着く前振りが長い動画は、それだけで見る気がうせてしまうのである。

と・・・ここまで書いて、自分の前振りも長くなりすぎていることに気が付いた。今日は介護マニュアルの話を書こうと思っているのだった・・・。

読まれない介護マニュアルは、使えない介護マニュアルであり、それは存在しないのと同じ意味である。

介護の仕事に必要なはずの介護マニュアルが、なぜ読まれなくなるかと言えば、文字や文章を読むことが好きな人は意外と少ないし、読むことが好きな人であっても、「仕事の手順」を確認するために読むという行為は面倒くさいのである。

よってどんな仕事であっても、マニュアルを読みたいと思う人はまずいないと考えてよい。これが人間の本質なのだ。
マニュアルを読む
必要に迫られて嫌々読むのがマニュアル本なのである。そうして嫌々読み始めたマニュアルが、前置きばかりで本題になかなかたどり着かないとしたら、読む気力を持ち続けることなんてできるはずがない。

だからこそ僕は、介護マニュアル3亳続説を唱えている。

介護実務において、利用者に提供する行為は根拠に基づいた方法になっていなければならないが、介護初心者や実務未経験者に介護実務を教える際には、「まずすべきこと」・「行為や動作そのもの」から教えるべきである。

根拠から説明しても、実務経験がない者は実務動作のイメージなんて沸きようがないのである。

だから新人教育に使う介護マニュアルには、介護職員として行う行為のみを書けばよい。僕が、「キャリア段位制度の段位認定の(基本介護技術)を、そのまま介護マニュアルに置き換える」という方法を推奨しているのは、まさに介護職員の行う行為をストレートに確認できるからである。(参照:不足感が増す介護人材をどう確保するのか(中編)

実務経験のない職員・正しい実務を教えられていない我流ケアしかできない職員に対しては、正しい基本動作を基礎座学でしっかりマニュアルを読ませて確認させた後、実務を通して教えるOJT過程で、その根拠や身体のメカニズムを教えればよいのである。

つまり根拠を事細かく記しておくべきなのは、「教本」である。介護実務を指導するリーダーがそれを読みこなして居ればよい話である。

小中学生の先生が持つ教本は、生徒が持つ教科書より厚みがある本となっていることを思い出してほしい。生徒が教本を読む必要なんてないわけである。

だからこそクドクドと御託を並べるマニュアルを見直し、一目でやらねばならないことがわかる全体で3ミリ以下の厚さのマニュアルに作り替えよう。それこそが、読まれて・使えて・存在するマニュアルになる一番の早道である。

CBニュースの連載、快筆乱麻・masaが読み解く介護の今の今月の記事は、「居宅介護支援自己負担巡る財務省の横車と全国老施協の迷走」です。こちらも是非参照ください。
快筆乱麻・masaが読み解く介護の今
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たった12日の研修を「12日間も」と思うことで失われるもの


今日8月12日は、僕の誕生日です。

ただし3年前に、西宮の幸地社長(グローバルウォーク)が、僕の還暦祝いを北海道で開催してくださる予定だったところ、コロナ禍によって延期となっていることから、3年前の59歳から年を取らないことになっております。

晴れて、「masa 60th Anniversary 」が開催された暁には、そこから60歳が始まることになりますので、よろしくお願いいたします。
masaの誕生日
さてそんな12日ですので、今日は12という数字にちなんだ話題を書きます。(※ちなみにこの記事は12:12にアップした。

ということでここからが本題・・・。

介護事業者の、「あるある」・・・。その一つに、職員応募に募集があった人を、誰でも彼でも闇雲に採用するということがある。

同時にそうして採用した人を、就業初日に介護の場に放り出して、金魚の糞のように先輩職員のお尻について歩かせて、仕事を見て覚えろ的な指導しかしていないところがある。それも事前に基礎教育を全く行わずにである・・・。

そのような状態は職員教育とは言えないし、将来法人の財産となる職員を育成しているとも言い難い。そんなやりかたでは、職員が戦力になるかどうかは博打のようなものにしかならない。育つも八卦・育たぬも八卦といったろころだろう。

せっかく縁あって雇用した人を、そのような状態で現場に放り出してバーンアウトさせては余りにも勿体ないと思う。

貴重な人材が、長きにわたって法人の戦力となって活躍できるようにするためには、就業時にいかに職員育成のシステムに新人を乗せるかということが大事なのである。

そのためには実践的OJTに入る前に、「座学」による基礎学習が必要だとして、8/2に更新アップした「新入職員研修の座学で何を教えればよいのかという疑問に答える」という記事の中で、12日間のプログラムを具体的に示した。

当然のことながら新規採用された職員は、この12日間を経た後にはじめて介護サービスの場に出ていくわけであり、その間は介護実務に携わらない。・・・というよりこの間は、研修室から一歩も出ずに講義を受けて1日が終わるということを繰り返すわけである。

この状態を、「せっかく採用した職員を、12日間も利用者に対応させないのは、現場が回らなくなりませんか」・「12日間も講義だけでは、介護の場で働いている職員から苦情が挙がりませんか」と疑問の声を発する人がいる。

僕はその意味が分からない。

リンクを貼った記事に書いたように、この基礎研修は当初2週間10日間で行っていたが、伝える内容が増えたため12日間にプログラムを組みなおしたものである。それだけOJTに入る前に与えておかねばならない基礎知識があるし、年々増えているということだ。
北海道美瑛町
たった12日間のこの研修で伝えるべきことをおざなりにしてしまうと、OJTで伝えることの理解度が低下し、介護技術がなかなか飲み込めず、介護実務がこなせないということが起こってくる。しかも介護実務を覚える個人差が非常に大きくなって、対応する職員によって大きくサービスの質に差ができるという問題が生じてくる。

実務根拠がわからないから、仕事のやり方を覚えるのが遅くなる新人がコンプレックスを抱き、いじけたり、自信を失ってしまったりする。

そんなふうに基礎知識がないことで、介護技術を理解できない人の中には早々とバーンアウトしてしまう人が出てきて、結果的に実務指導中に退職してしまう人が出ることにもつながる。そうでなくとも実務指導を終えても仕事を十分覚えられない人がいて、他の職員の業務負担が増えてしまうようなことも起きる。

根拠がわからずに見よう見まねで介護実務をこなしている人は、介護事故を起こす危険性も内包したままである。自信がない状態で仕事をこなしている人が、長くその仕事を続けられなくなるのも当然だ。

このように、基礎教育をおざなりにして新人を早く介護実務の場に置いても、人材は定着しないのである。なおかつ実務指導をしなければならない期間が長くなってしまうために、他の職員の業務負担は減るどころか増えることになってメリットは全く感じられない。

募集に応募する人を増やすために介護コンサルタントにお金を支払って、実際に応募者が増えても、それと同じ数だけ退職者数が増えて人材不足がちっとも解消されない介護事業者は、ほぼ座学による基礎教育をおざなりにしている事業者である。

だからたった12日の座学期間を、「そんなに長く介護実務の場に出さないのは勿体ない。」と考えるべきではないのである。

きちんと座学期間を取っている介護事業者では、「もっとその期間に、基礎を教えてから新人を現場に出して。」という声も挙がってくる。場合によっては基礎座学の期間が足りないのではないかという意見も出される。

新人指導を担当するリーダー職は、それだけ座学で基礎知識を教えている職員の方が、OJTがやりやすくなると実感しているのだ。

介護サービスの質が高く、職員の定着率が高い介護事業者は、新入職員に対する基礎知識を学ばせる座学時間をしっかりとっているのである。

人材不足を解消したいと思っている介護事業関係者の方々は、募集に応募する人がいかに増えるのかを考える前に、縁あって採用できた人が安心して長く働くことができるための基礎知識をしっかり獲得できる方法を、一番最初に考えるべきなのである。

キャリアパスを含めた待遇の向上は大事だが、その基盤となる安心して介護ができる人材育成法を考えないところには、良い人材が張り付いて定着しないことを理解すべきである。

なお基礎知識をレクチャーする座学を担当できる職員がいないという方は、是非相談してもらいたい。12日間のプログラムを示した記事に書いた座学のうち、介護マニュアルと法人の独自ルール以外のすべての講義は僕もできるので、場合によっては基礎座学を担当することもできるので、気軽に相談していただきたい。
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新入職員研修の座学で何を教えればよいのかという疑問に答える


社会全体の生産年齢人口が減少し、その改善見込みが立たない我が国では、全産業において人材確保が事業経営上の重大な課題となる。

介護事業においてもそれは同じである。しかも巧緻動作と力が必要な動作をつなげて、なおかつ感情ある人間に相対する介護という行為は、テクノロジーに置き換えることが最も難しい行為である。

よって介護事業において、人手をかけなくてよい部分は非常に少なくなるのだから、人材不足は他の産業より深刻で重大な事態を招くと言ってよい。

顧客がいるのにサービス提供できる従業員がいないために倒産する介護事業者は、今後間違いなく増えるだろう。

それと当時に従業員さえいれば顧客確保に困らず、収益が上がることから、数合わせの従業員確保に走り、辞められることを恐れてろくな教育もせずに、介護職員をサービスの場に放り出す事業者も増えることも想像に難くない。しかいそれは不適切サービス〜虐待の温床となり、事業経営者や管理責任者の手が後ろに回る危険性を内包した綱渡りの介護事業経営であると言って過言ではない。

だからこそ慎重な職員選考と、厳粛で効果ある職員育成システムの構築に努めねばならない。

有能な介護職員を育成するために最も重要となるのがOJTである。しかしOJTとは、先輩職員の後ろについて仕事を手伝いながら、先輩職員の仕事のやり方を見て覚えるというものではない。

本当のOJTとは、職場の上司や先輩が、部下や後輩に対し具体的な仕事を通じて仕事に必要な知識・技術・技能・態度などを意図的・計画的・継続的に指導し、介護という行為を実技として伝えて、技術を修得させる方法を指す。

OJTの真の意味とは、OJTの前に見て・聴いて覚えた知識を、実践の場で実行できるかを確認するということなのである。つまりOJTの前に、介護技術を言葉と文章で伝えるための座学教育が不可欠ということになる。(※下記画像は、僕の講義場面
入職時研修講演
僕は新入職員に対するこうした座学を、実務に入る前に少なくとも2週間は行わねばならないと思い、プログラムを組んできた。(※週休2日制だから、2週間プログラムとは10日間プログラムにしていたが、災害や感染症BCPの説明などを加えねばならないなど、入職時に必要とされる研修項目が増えているので、現在は12日間プログラムとしている。よって2週間+2日間で実施している。

ところで、『入職2週間の座学のカリキュラムをどう組めばよいかわからない。』とか『そもそも2週間も講義することがあるのか。』という疑問を持つ人も多いようだ。

そこで今日は僕が実践している2週間の座学プログラムを紹介してみようと思う。勿論その内容は年ごとに変わることになるが、一番最新の特養における入職時研修プログラムを示すこととする。下記参照願いたい。

なお講義は午前が9時から12時までの3時間(合間に休憩10分)、午後は13時〜16時までの3時間(合間に休憩10分)+演習振り返り16時10分〜17時の50分(合計3時間50分)としている。
(初日)
午前:法人理念と理念達成のために職員が行うべきこと(総合施設長)
午後:法人のルール全般(就業規則等も含めて)(事務長)
(2日目)
午前:職業倫理と地域ニーズ (総合施設長:相談室長)
午後:災害対策・感染予防・緊急対応マニュアル(BCPの内容も含む) (事務課長・相談室長・看護主任)
(3日目)
午前:チームケアと多職種連携について(法人内ルールを含む)(事務課長・相談室長)
午後:介護保険制度について・報酬算定のルールとそれに沿った記録について(事務課長・相談室長・主任ケアワーカー)
(4日目)
午前〜午後:サービスマナー研修(総合施設長・相談室長)
(5日目)
午前〜午後2時まで:サービスマナー研修(総合施設長・相談室長)
午後2時〜4時まで:挨拶・電話対応・来客対応の実際(演習含む)(外部講師)
(6日目)
午前〜午後:認知症の理解 (総合施設長・相談室長・看護主任)
(7日目)
午前〜午後:看取り介護について (総合施設長・相談室長・看護主任)
(8日目)
午前〜午後:メンタルヘルスケアについて(法人内の対策も含む)(事務長・事務課長)
(9日目)
午前:身体拘束廃止の取り組みについて(相談室長)
午後:介護マニュアルについて(主任ケアワーカー)
(10日目)
午前:利用者の栄養管理と褥瘡予防管理(管理栄養士・主任ケアワーカー)
午後:介護マニュアルについて(主任ケアワーカー)
(11日目)
午前:協力医療機関との連携(夜間緊急連絡体制なども含めて)(看護主任)
午後:介護マニュアルについて(主任ケアワーカー)
(12日目)
午前:人材育成について(キャリアパス制度も含めて)(事務長)
午後:介護マニュアルについ(主任ケアワーカー)

以上である。この中で入職時研修として職員に伝えなくてよくて、削ってよい時間があるだろうか。僕はOJTに入る前に、最低でもこうした内容は伝えるべきだと思い、上記の内容でプログラムを組んでおり、ここから削ることができるものはないと思っている。
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なんちゃて教育をやめよう。


一昨日から昨晩未明まで北海道は大雨に見舞われた。幸い登別は被害はなかったが、道内では死者も出て浸水被害も報じられている。

今朝は雨が上がったが、どんよりと曇り空でまだ肌寒い。そんな中、僕は朝7時台に自宅を経って、今新千歳空港から大阪へ向かう飛行機に乗っている。

大阪の天気予報を見ると、僕が滞在する今日と明日の気温は30度を超え、最高気温は36度なんて言う予報となっている。北海道より15度以上高い気温だ・・・できるだけエアコンの効いた室内にいるようにしよう。

今回の大阪行きは、2つの講演を行うための旅である。そのうち今日は豊中の社会福祉法人さんの研修講師を務めるために、関空に到着したその足でそのまま直行予定である。

せっかく豊中の法人に行くのだから、伊丹空港に降りればすぐ近くだったのに、関空を利用せざるを得なかったのには理由がある。航空機の減便がまだ続いているため、伊丹便でちょうど良い時間の便がなかったのである。仕方ない・・・。

今日お邪魔する法人さんでは、過去にも4度ほど職員研修講師を務めており、小規模特養の職員さんを中心に、そのスキルアップのお手伝いをさせていただいている。今回の研修テーマは、「介護職の使命と使命を果たす人材育成〜介護施設の存在意義」と設定した。

講演テーマは、「こんな内容の話をしてほしい」という要望に応えて僕が設定したものである。

今回は事前に、「そもそも利用者にとって介護施設とはどのような場所であるべきなのか?どんな役割と意味を持つのかを話してほしい」・「介護職員が誇りを持って働ける環境を創る教育。またそのために介護保険施設とはどういうものかを学びたい」という要望があったので、高齢期を生きる人の、その人生の一時期を支える介護施設の役割について解説しながら、そこで求められる人材とはどういうスキルを持った人材で、そうした人材をどう育てたらよいのかという話をしようと思う。

介護保険制度は在宅優先という理念があるため、施設サービスは、「必要悪」のように見られがちである。居宅ケアマネさんの中には、自分の担当者が施設入所することを、ケアマネジメントの敗北のように感じて毛嫌いしている人も存在する。しかしその考え方は間違っており、施設サービスと居宅サービスが地域福祉の両輪であることを法的根拠とともにお話ししたい。

そもそも地域包括ケアシステムは、住み慣れた地域の中で、心身の状態に応じた住み替えを奨励するシステムだ。特養はその住み替え先の一つとして、医療保険では在宅復帰カウントに入れることができる施設になっているのだ。

その役割を理解して、使命と責任を担う人材育成について語る予定である。

それにしても最近とみに、「人材育成」・「介護人材マネジメント」をテーマにした講演依頼が多くなっている。それだけ人材育成が重要視されているのと同時に、その困難性も感じているという意味なんだろう。

介護の生産性向上が叫ばれる今日ではあるが、介護サービスそのものに生産性の向上を求めすぎれば、より少ない介護職員の関りで業務を機械的にこなして終わってしまうという結果になりかねない。しかし人材育成については、生産性を向上させないと、利用者に必要で、かつ適切な支援ができなくなる恐れがある。

機械が人に替わることができない業務が大半を占める介護事業において、人材確保は事業経営の命綱である。  

同時に人材は確保するだけでは意味がなく、きちんと事業者の戦力としていかねばならない。そのため効率よく職員のスキルアップを図る方法を常に模索しなければならない。

なぜなら限られた財源の中で、給付費が大きく増額されることは期待できず、顧客単価は据え置かれるだけではなく下げられる恐れもあるからだ。そのため事業継続をするためにはより多くの顧客を確保する必要がある。

しかし顧客確保のためには、他事業者とは差別化できるサービスを提供しなければならない。そのためには質の高いサービスを提供できる職員を育成し、そうした人材が定着することが重要になる。

そういう意味で人材育成は、人材確保と顧客確保という重要な2大目標の達成のためにも必要不可欠な過程であると言える。ここが介護事業の屋台骨であり、大黒柱になるともいえるわけだ。

ところがその過程を重視していると言いながら、教育方法が形骸化し、まったく意味のない無駄なものが新人職員教育として行われていたりする。

アリバイ作りにしか過ぎない教育方法は、人材育成カリキュラムにはなり得ないし、時間の無駄となるだけだ。それは経営者や管理職の自己満足にしかならず、職員の育成や定着には結びつかない。時間を浪費するだけ事業損失になっているといっても良いものだ。
無駄な研修
僕が一番無意味だと感じるのは、関連施設の見学である。

経営規模が比較的大きな法人等になると、介護保険事業だけで数種類の事業を行っており、施設や事業所を複数持つことになる。

医療法人や社会福祉法人だけではなく、民間営利企業が経営母体のところでも、多事業を展開していることは少なくない。

そうした法人等に就職した新人職員は、仕事を覚える前にそれらの施設・事業所を見学に連れていかれる。その目的が良くわからない・・・。自分が就職した場所で、自分が何をすべきかよくわからない時期に、関連施設等を見学して何か得るものがあるというのだろうか。

自分の職場の環境さえ十分に把握できていない時期に、ほかの職場を見学して、その役割の説明を受けたって何の意味もない。

僕は55歳になったときに、それまで勤めていた社会福祉法人の総合施設長を辞し、独立起業するために1年間だけ医療法人が経営する老健に勤務したことがある。

その際に、老健勤務して1週間ほど経ってから、新人職員研修として母体医療機関をはじめとして、法人内の他サービス事業所を連れまわされて、職場説明を受けた経験がある。

それは全く身にならないどころか、記憶にもならない意味のない体験でしかなかった。

こうした法人内見学・他事業所の紹介は、新人教育をしているつもりになるだけの、「なんちゃって教育」でしかない。人材育成や定着につながる効果は全くないと言ってよい。

そうした時間の無駄でしかない見学研修は、一日も早くやめるという決断をした方が良い。

他事業所を見学して、それが知識になるには、ある程度自分が与えられた役割を果たすことができるようになってからのことなので、新人教育の時期に行う必要はないのである。実務がこなせるようになり、法人内の他事業所の役割等の質問ができるようになってから、改めて見学研修を行った方が良いのである。

マンネリ化して役に立たないプログラムを見直して、本当の人材育成につながる教育プログラムを確立していかないと、人材を確保できずに事業継続ができなくなるという危機感を持ってほしいものである。
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「じんざい」は4種類あって、その見極めが重要


僕が社会福祉法人の総合施設長を務めていた間は、トップとして人事権も全て掌握していたので、それだけに責任が重大だった。

仮に必要な人材を確保できない状態になるとすれば、それはすべて僕の責任とされると考えていたので、人材の確保と育成に力を注ぎ、定着率を高めて人材が不足しないようにするのが僕の一番重要な仕事であると考えていた。

その際に、どのような勤務態度を評価すべきかを悩んだ時期もある。職員には様々な個性があって、一芸に秀でて、一定場面では目立って才能を発揮する職員も多数いた。

しかし一番大事なことは、日常の暮らしをいかに護るための支援ができるかだと思った。介護の本質とはそれだと思うからである。

イベント企画に秀でて、他者が想像もつかないことを企画し、抜群の実行力でその場を盛り上げる職員であっても、日常の支援記録の提出が遅れたり、ルーティンワークに漏れがあっては意味がないのである。

何よりも遅刻しないで出勤し、始業時刻と同時にコツコツと目立たない作業(利用者への気配り・整理整頓等を含む)や他の職員を助ける行為などをやり遂げている人材を評価しなければならない。そうした凡事徹底を行える人材が法人の宝となるのである。

一方で、せっかく採用したのに全く成長が見られないばかりか、法人内で他の職員に害をなる人物も時折混じってくる。

経営者や採用担当者は全能の神ではないので、採用時に応募者の適性や能力を見極められない事態も生じてしまうことはやむを得ないことだ。

だからこそ試用期間中に適性を見極めて、対人援助に向かない人には引導を渡すことも必要になる。試用期間は労働基準法等の定めがないために、小さな組織では試用期間を定めていないところもあるが、それ自体が経営リスクだと自覚してほしい。

職場に対する不満や、他の職員の悪口ばかり言い続けるような人は、職場の雰囲気を悪くするだけではなく、他の職員の労働意欲をそぐとともに、悪い派閥を創って、ハラスメントの温床になりかねない。そうした職員を法律の範囲内で排除することも経営者や管理職に求められる役割だ。

良く言われることだが、「じんざい」は次の4種類に分けることができる。

・人材→才能のある人。役に立つ人物。
・人財→人材を育ててくれる、法人の財産と言える人物
・人在→数合わせのいるだけの人物・・・ただし鍛え方によっては、人材となり得る人物が混じっている
・人罪→いては困る人。いる必要がない人。いるだけで周囲の人に悪影響を与える人物。

介護人材育成を、・人材をいかに、・人財に引き上げるかという観点で考えては無理がある。そのように育つ・人材は50人に一人でもいればいほどだ。

求められていることは、・人材が志を失わずに、・人在に落ちていかないことがまず重要なのである。

それと同時に人在でしかない人を、いかにして人材へと引き上げていくことができるのかが、教育システムとして考えられていくことになる。

しかし人罪も、教育システムの中でどうにかなると考えるのは大きな間違いである。教育の手の届かない人もいるという現実を把握し、こうした人罪を見抜いて、一日も早く排除するという考え方も求められるのだ。
腐ったミカンは早めに捨てよう
特に介護業界は、慢性的な人材不足によって、気に食わない職場を退職したり・適性がないとして退職させられたりした人が、簡単に他の介護事業者に就職できてしまう悪い土壌がある。

そういうふうにして渡り歩くような人罪を安易に採用してしまうと、あっという間に整った組織風土が乱れる恐れがある。

組織風土が悪化するのはあっという間である。それを元に戻すためには、何倍もの労力と期間を要することになるので、人罪を見抜き、排除するということも、育成システムとして考えていかねばならないことを理解すべきである。
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人材育成にこそ求めたい生産性向上


介護人材不足が慢性化する今日、介護事業者における人材育成は、介護事業経営の命運を左右する重要な課題である。

人材は降ってわいてこないのだから、独自の方法で育て、定着を図っていかないと事業経営が成り立たなくなる恐れがある。それだけ人の手によるサービスが不可欠な介護事業にとって、人材育成は介護事業経営の基盤をなすものだと言って過言ではない。

そのため人材育成のシステム構築に力を注ぐ事業者は確実に増えている。しかし育成システムがなかなか機能せず、期待した人材が育たないと嘆いている事業者が多いことも事実だ。

それは何が原因なんだろう・・・。人材育成に力を入れているのに、それが機能しない事業者のシステムを注視したとき、おぼろげながらその原因が見えてくる。

それは人を教育するに当たって、その前提となる「育つための動機づけ」を与えていないことだ。そうした状態で実務の場に新入職員を放り出している事業者では、人が育つ効率が悪くなるのである。

OJTを中心にして実施される実務教育の前に、基礎座学の中できちんと「育つための動機づけ」を与えなければ、効率よく人は育たないことを理解してほしい。

特に介護事業者では、新卒の社会人1年生だけではなく、他産業・他職種からの転職者や、同じ介護業界でも他事業所で経験を重ねた人が転職して新しい職場で再スタートを切る人も多い。

そうした雑多な人々に対して、OJTに入る前に伝えておかなければならないことがある。

社会人1年生は、自分が社会人として・介護のプロとして成長する以前に、職場とはどういうところなのかを理解していない場合がある。社会人としての価値観もほとんど持っておらず、まっさらな中で仕事を通じて、新たな価値観を獲得していく人たちである。

一方で、社会人経験者や介護職経験者の中には、自分は十分能力を備えているので、その能力を新しい職場で発揮するだけでよく、今更、覚えるべき知識や技術はないと考えている人も多い。

さらににそうした人たちは、ある程度価値観を固定化してしまっている場合が多く、新たな職場のルールに合わせようとしない人も居ないとは言えない。
育つ動機付けを与える
そうした様々な個性が入り混じった人がいることを意識したうえで、介護事業者に就職するすべての従業員の入職時に、「育つ」動機づけを与えるために伝えなければならないことがある。

社会人1年生に対しては、「何のために、どんな風にしてスキルアップを図る必要があるのか」を示すことが求められる。そのために人として、社会人として、介護のプロとして成長が必要であることを伝えなければならない。職業人としてのルールをわかりやすく伝え、従業員として期待される能力とは何かを教え、それを目標に自分自身を成長させる先に、どのような未来があるのかを伝えることが大事だ。

経験のある転職者に対しては、現在持っている価値観はともかくとして、「新しい職場では何が期待されており、何を目指すべきか」を示して、新たにどのようなルールのもと、どのような価値観を見出し、それに向けて自分をどう成長させていくべきかを示す必要がある。

そのためにはまず、職場の理念とルールを明確に伝え、それを護ることを仕事を続ける条件とすることを徹底している必要がある。

当然のことながらそこでは、労働契約上の「労働義務」・「職務専念義務」・「安全配慮義務」等を正確にわかりやすく伝える能力が管理職には求められるのである。

そのことをしないで、教育システムだけ整えても、職員の成長は大きく期待できない。成長する職員がいたとしても、あまりにも効率が悪くなる。

しかし成長の動機づけを与えることができれば、教育課程で現在と同じインプットであっても、アウトプットとしての従業員の成長度は確実に伸びる。これこそ生産性向上と言えるのではないだろうか。

介護サービスそのものに生産性向上を求めすぎると、そこでは利用者ニーズを置き去りにした、機械的作業による事業者主体のケアに陥る懸念が生ずるが、人材育成の部分で生産性が口授することは、事業経営の基盤を強化することにつながるポジティブな結果に結びついていくので、大いに奨励されるべきである。

これらのことも僕の、「介護人材マネジメント講演」では随時伝えており、受講者の方々から好評を博しているので、それらに関する講演を希望する方は、是非お気軽に相談願いたい。

連絡は、「あかい花公式サイト」の右上に掲載しているメールまでお願いしたい。相談は是非お気軽にしていただきたい。
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人材育成に求められる指導者の「見切り」


介護事業における人材育成をテーマにした研修会に参加しても、あまり実務的ではない研修が多いと思う人はいないだろうか?

実は僕がその一人である。

僕はまだ若かった30代で特養の施設長を拝命した際に、施設トップにふさわしいスキルを身に着けようとして、「介護人材育成」をテーマにした研修会にいくつも参加したが、ピンとくる講義に出会ったことがなかった。

その理由は何かと考えたとき、多くの人材マネジメント研修講師は、「人は成長する」ということを前提に講義をしているからだと思った。

まだ成長過程の小中学生や高校生教育ならば、そうした前提で教育効果を語ることは間違っていないのだろう。若者には果てしない可能性があるのは当然だ。

しかし介護業界で教育すべき新入社員とは、学卒の若者だけではなく、他職種からの転職者を含めて多種多様の経歴を持った人たちである。年齢もまちまちで、50代の新人なんて珍しくない。

そうした人たちの中には、自分の価値観を絶対的なものと信じて、他者の指導や助言を全く受け入れようとしない人も居る。頑固なまでに自分の牙城にこもって、人の意見を聞かない人が少なからず存在するのだ。
自己肯定感が高すぎる人
つまり自ら人間的成長・精神的成熟を止めてしまっている人がいるということだ。そういう人たちとは、教育の手が届かない人たちといっても過言ではない。

つまり教育する側のシステムとか教育担当者のスキルに関係なく、数多くの従業員の中には、「教育してを成長しない人」がいるということだ。

しかも介護保険制度施行以後、介護事業者の数は急激に増えており、人材確保が急務となったために、全国各地で介護人材の確保競争が行われ、とりあえず数を揃えなければならないと考える事業者も多い。そうした状態で介護人材不足は解決の糸口さえ見えない。

その中で募集に応募してくる人を闇雲に採用してしまう介護事業者も多い。そうなると他業種で、「使い物にならない」として首を切るなどされた人も、そこに多数含まている。

そんな人が教育効果で、良い介護人材に成長するわけがないのである。

だからこそ一定期間の試用期間を定めて、その期間は教育期間であると同時に、正職員としての適格性を判断する期間であると考えることが大事である。(参照:人材が育たない職場の大きな勘違い

つまり人材育成とは、人材を見極めて、介護人材としての適性のない人は転職を勧めるなど、「見切る」ことと同時に考えなければならない問題なのだ。

指導教育を行うことで、すべての人が介護の仕事を過不足なくこなすことができる人材に成長するなどという前提で、人材マネジメントを語る講師は信用しない方が良い。そんな講義しかしない研修は参加すること自体が無駄なことだ。それは幻想の世界だからである。

建前ばかりの人材マネジメント研修を、いくら受けても人材不足は解消しない。人材は育て・定着させることによってはじめて充足するが、それは多数の従業員の中に含まれているかもしれない、「腐ったみかん」を取り出して排除するという方程式がそこなければならないのだ。腐ったみかんを放置してしまえば、フレッシュでみずみずしい果実も全て腐っていくのである。

例えば僕は今朝、自分のFBで次のようにつぶやいた。
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一昨日、横須賀市の介護福祉士・北山肇郎容疑者(69)が準強制性交の疑いで逮捕されましたが、容疑は勤務していた介護施設の夜勤中に、入所していた認知症の80代女性に性的暴行を加えたというもの。女性は以前から、別の職員に「夜、男の人が入ってくる」などと話していて、行動に不審な点があった北山容疑者を施設側が調査したところ、犯行を認めたということです。
卑劣極まりない犯行ですが、夜勤中に職員が性犯罪に及ぶなんてことを想定している経営者はいません。でも実際に起こっている・・・。しかも犯人は職員といっても69歳・・・。人材の見極め、そして高齢者の雇い入れと任せることができる業務の再検証が必要になるのでしょうか・・・。
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このような鬼畜と言える犯行に及ぶ人物が存在した理由とは、果たしてこの施設の職員育成システムの問題と言えるだろうか?このような事件を起こす人物が、果たして教育・指導によって矯正される可能性があったのだろうか・・・。

僕はそれは少し違うだろうと思う。この年齢で卑劣な犯行を犯す人物は、いくら指導・教育したとしても、その根は変わらないだろうと思う。問題は育成の方法ではなく、その人物の本性に気づかずに、そこにずっとそこに居させたことにあるのだと思う。

だからある時期から僕は、他人の介護人材マネジメントを信用せず、自分独自のマネジメントを行ってきた。そしてそれが成功したことは、僕が総合施設長を務めてきた社福の実績から事実と証明されている。

その僕が、今現在依頼される講演テーマの一つに、「介護事業における人材育成」などの介護人材マネジメント講演があることは、ごく自然の流れと言える。

そんな僕の、「介護人材マネジメント講演」では、OJTの具体的方法や、リーダーが教育係としてすべきことのほかに、「人材の見切り」にも触れて、実務に生かせる方法を伝えている。

それは僕が社福の総合施設長として、地域のどの介護施設よりも定着率の高い特養を創ってきたという実績に即した方法論でもある。
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感情的に怒る指導は人を成長させない


株式会社マイナビによる独自調査、「介護職白書 2021年度版〜介護職の労働実態と就業・転職志向」を読むと、現在の職場に入職する前に不安に思ったことを尋ねたところ、「職場の上長やメンバーとなじめるか」が59.6%と最も高くなっている。

そして現在の職場で仕事をする上でのストレスを尋ねたところ、「ほぼ毎日感じている」が 57.0%と際立って多く、何に対してストレスを感じるか尋ねたところ、「上司や同僚との人間関係」が 64.3%と最も多くなっている。

このした結果が出るという部分に、介護事業者での教育が難しくなる要因も存在しているのではないだろうか。

教育には叱るという行為が必ず必要になってくるが、それは時には厳しく注意するという形となって当然の行為である。

しかしそのことをストレスと感じられ、それが原因で辞められてしまうのは本意ではない。だがそれを恐れて叱ることをためらっていては、本当の意味での人材育成はできない。

だからこそ僕はこのブログで何度も、介護の場のリーダーに対しては、『叱ることを恐れるな』と指摘している。

ただし叱るという行為は、叱る相手の成長を促したり期待したりしているという意味で、ある種の愛情を含んだ行為であるともいえる。感情的に怒ることとは違った行為であることも指摘して、冷静に愛情をもって後輩職員の指導にあたり、期待と希望を込めて叱ってほしいとお願いしている。

昨年の夏に書いた、「教育的指導とハラスメントはどう線引きすればよいのか」という記事も参考にしながら、冷静で愛情を持って叱ってほしいものである。

どちらにしても、感情的になることで得をすることはないのである。どうかそのことを肝に銘じていてほしい。

冷静な指導と怒りに任せての感情的注意の違いを考えるうえで、戒めにしたいようなエピソードが昨日のプロ野球でも見られた。

令和のミスターパーフェクト・佐々木朗希投手が登板した、ロッテVSオリックス戦。この試合で佐々木クンが白井球審に詰め寄られる場面があった。

外角直球がボールと判定されたことに対する表情が不服に映ったのか、白井球審はマスクを取り、何かを言いながら厳しい表情でマウンドへ向かったのである。
佐々木朗に詰め寄った白井球審
幸い18歳とは思えない冷静さを持つ松川捕手が後を追い、止めるようにして間に入って事なきを得たが、僕はこのシーンを何度もビデオで振り返っても、佐々木投手の行動にがあるなんて思えない。

佐々木投手はボール判定に後ろむきになった後、ホームベース側に振り返ったとき、松川捕手に苦笑いの表情を浮かべただけである。

それに対して白井球審の態度は過剰反応というしかない。そもそも球審がそんなに感情的になってどうするのだと言いたい。

佐々木クンは、外角ぎりぎりのコースに投じた一球を、「ボールかよ」とあからさまに不満を表したわけではない。20歳の若者がストライクと自信をもって投じた1球を、ボールと判定されたときに見せる動作として、何もおかしなものではないし、この表情をいちいちとがめていたら試合なんて何度も止まってしまうと思う。

現にベテラン投手で、ボール判定にあからさまに不満の表情を見せる投手は数多くいる。

投手も感情を表すのだから、審判も時には感情を表しても良いと、白井球審を擁護する声もあるが、審判という立場をわきまえると、あの感情的な文句のつけようはプロ審判としていかがなものかと思う。

こうした審判の感情的態度を目の当たりにすると、いっそのこと野球判定も全て機械判定とすべきではないかと思うってしまう。

現在のAIの進化を鑑みれば、ストライク・ボールや、アウト・セーフの判定なんか簡単にできるように思う。感情的にならないAIの、環境変化に影響されなず、いつも同じ判定であれば、選手も不満の持ちようがなくなり抗議の必要もなくなるだろう。

何より恐れることは、こんな感情的な審判によって佐々木クンが委縮して、伸びしろを削られてはたまらないということだ。

世界に羽ばたく日本の至宝を、くだらない感情でつぶさないようにしてほしい・・・。

そして声を大にして言いたい・・・佐々木朗希クン、君に非はない。胸を張って堂々として、次の登板も頑張ってほしい。・・・だがお願いだから、ファイターズ戦は少し手を抜いて投げてください。できれば登板しないでくれればありがたいのですが・・・と。
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先輩は見本となる人とは限りません


4月も後半に差し掛かったこの時期、学卒者の新入社員もそろそろ職場の雰囲気に慣れてきたであろうか・・・。

僕が介護福祉士養成校で教えた生徒も、新年度から介護事業者でたくさん働いている。

それら子たちが卒業する際に僕は、「新しい職場の先輩が全員見本になるなんて思うな。中には恥知らずの反面教師役しか果たさない人間もいる。」と言っている。

これって本当に哀しい送り出し教育ではあるが、介護事業の一面の真実を伝えなければ勘違いしてしまう生徒がいるので、致し方ないところである。

同時に、そのような言葉で卒業生を送り出さねばならない介護事業の民度の低さを何とかしてほしいと思う。
※勿論、すべての職員が手本となるような素晴らしい介護事業者があることを知っている。しかし残念ながらそのような事業者が少数派であることを変えなければならないという意味である。

そして卒業生には、その民度の低さに流されて、自分自身が後輩たちの、『高い志(こころざし)』を奪う人間にならないことを切に願っている。

だからこそこの時期に、すべての介護従事者の方々に願いたいことがある。

それは自分が新人職員の見本となる仕事ぶりをしているか、反面教師役にしかならないのかを振り返ってほしいということだ。

後者の姿は人に誇れない仕事ぶりでしかない。それは生活の糧を得るだけのむなしい仕事ぶりではないだろうか。少なくとも自分の子に胸を張れない仕事ぶりである。

それはある意味、人生を無駄にしているとしか思えない姿である。

働くということは、人生の長い期間を占める行為であり、それは自分の生きる意味を刻む行為でもある。

そのような行為をダラダラと続けなければならない苦行に貶めるのか、生きがいをもって楽しく続けられるのかという境は、その仕事に価値ある使命感を抱けるかどうかにかかっている。

対人援助の使命とは、関わる人の暮らしぶりを良くして、関わる人々が幸せになり、笑顔にあふれることである。

そのような結果責任を負えない介護であってはならないのだ。介護事業者で新入職員に仕事を教える立場の人は、人間尊重という価値前提を胸にして、利用者の方々に真摯に向かい合う態度を指導できる先輩職員でいてほしい。

その背中を見て、あんな素敵な介護職員になりたいと思われる人でいてほしい。

僕のFBでつながっている四国の介護福祉士養成校の教員の方が、「大切に育てた子たちです。介護業界を支える宝物です。現場のみなさん潰さずに育ててやってください。」と述べている。
若い芽をつぶさないでください
介護福祉士養成校の教員は、少なからずそのような思いを持っているのだ。それは志を持つ若者を潰す介護事業の実態を少なからず見てきているという意味でもある。

せっかく丁寧な利用者対応を教えているのに、就職した先で先輩職員の乱暴な言葉遣いに影響を受け、お客様である利用者に対し、無礼で汚い言葉遣いをすることに慣らされてしまい、いつの間にか丁寧な対応など欠片もなくなる新人職員であっては情けないのだ。

感覚麻痺の成れの果ての姿ほど、醜い姿はないことを自覚してほしい。

介護という職業に希望を抱きながら就業した人のうち、毎年何人もの人が数カ月で介護の仕事を辞めてしまっている。

その人たちは、『人の役に立てる職業だと思って選んだのに、人の役に立てない』・『利用者への対応が流れ作業になってしまっている』・『こんなやり方が、利用者のためになっているとは思えない』という理由で辞めている。

それに対して、「理想と現実は違う」という言葉で、現実を変えない人たちによって、志は潰されたまま放置される。それによって介護業界から去って戻ってこない若者が多くなるのだ。

これでは介護事業者から人材は枯渇して当たり前である。志が尊重され、低いレベルの現実を変え、一歩でも理想に近づける介護業界になってほしい。

理想」とは、それが最もよいと考えられる状態のことであり、その状態になってほしいと思うものである。それを目指さないで何がプロかと言いたい。

希望に燃えた若者たちの理想を潰すような先輩しかいない職場であってはならない。そういう職場に就職してしまった人は、できるだけ早く職場を選びなおす必要もあるかもしれない。(参照:人によって合う職場は異なります

自分が縁あって就職した職場は大切な場所だが、その中で起きていることがすべてではない。どうか井の中の蛙になってしまわないように、広く世間を見つめてほしい。

今の世の中はどこにいても、その気にさえなればあらゆる情報が手に入る。しかし有り余る情報の中から真実を探すのはとても難しいともいえる。

僕のこのブログや表の掲示板は、スキルを磨いて介護の仕事を続けたいと思う人がたくさん集まっている場所だ。

そうした志の高い人達が、根拠に基づいた介護の情報交換を行っている場所で、正しい知識と高い見識を身に着けてほしいと思う。

もうこの時期には、そこにはフレッシュな新人が訪れてくれるようになっているかもしれない。それともまだそんな余裕はないのだろうか・・・。

読者の皆様にお願いしたいことは、『磨けば光る才能を持ったかいごびとたちに、この場所を紹介して仲間としてつなげてほしい。』ということだ。

それも人材育成につながる方法の一つではないかと思うのである。
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介護職として巣立とうとしている人に伝えるべきこと


今現在、全国のたくさんの介護事業者で、新入職員に対する本格的な教育が始まっていることと思います。

ちょうどこのタイミングで、新人職員の方々に認知症の方に対するケアの基本姿勢を伝えることができるコラムが、メディカルサポネットの連載記事としてアップされているので、そちらを新人研修に利用してください。

更新記事は、「“科学的介護”だけでは証明できないもう1つのエッセンス」というタイトルで、(認知症のメカニズムとケアの視点)〜(生活支援型ケアの根拠とその方法)〜(記憶が失われても感情は失われない)〜(認知症を理解し受容することの重要性)という流れで論旨展開しています。

無料で登録すれば、どなたでも読むことができるコラムですので、是非参照してくださればありがたいです。そして認知症の方の状況を理解して、よき理解者・よき支援者であってほしいと思います。

ところでこの時期に、新人介護職員の方々に伝えておきたいことがあります。

それは、「立派な介護職員になる前に、どうぞ感じの良い介護職員になってください。」ということです。

介護労働とは感情労働でもあるのですから、利用者が不快な思いをしたまま仕事が完結されることは、「仕事ができた」とは評価できないのです。

決められた仕事をそつなくこなすことができても、そこで利用者不在の機械的作業が常態化して、利用者の感情が無視されては困るのです。

介護職員の顔色をうかがいながら、自分の身をゆだねる場所に安息はあるでしょうか・・・。そんな場所に生きがいは存在しなくなります。介護という職業が人の幸福を奪うようなことがあってはならないのです。

対人援助とは、人の暮らしを支える活動です。

対人援助に携わる専門職の結果責任とは、利用者が単に日々の暮らしを送ることができるというだけではなく、「人間尊重」の精神を基盤にして、その人らしい生き方を支え、豊かな暮らしに結びつけることなのです。(参照:命を選別する論理に巻き込まれないための価値前提

そのためには私たち自身が、利用者の方に好感を抱いてもらう必要があるのです。私たちが利用者の傍らに寄り添うだけで、安心してもらえるような存在になる必要があるのです。

だから立派な介護職員になる前に、感じの良い人だなあと思ってもらえる存在になる必要があるのです。

感じの良さが利用者の方々に伝わるためには、接遇意識が不可欠です。接遇とは笑顔と丁寧な態度・丁寧な言葉遣いが求められる行為です。

新人教育を担当する方々は、どうぞタメ口が家庭的で親しみやすい言葉遣いだなどという勘違いをさせず、介護のプロとして丁寧な言葉も使いこなすことができる接遇の仕方を教えてあげてください。

作業労働を教える前に、どうぞそうした対人援助で最も大切なことを教えてあげてください。

介護事業者に就職した新人で、おむつ交換ができなくて辞める人はいません。でもこんな仕事ぶりで人の役に立っているのかと思い悩んで辞める人はいます。

おむつ交換や体位交換、入浴介助や食事介助の方法なんて、習得スピードの差はあるかもしれませんが、最終的には誰でも覚えるのです。覚えるスピードの差なんて言うものも、数カ月たてば差はなくなります。振り返ってみればそんなことは大した問題ではなかったという結論になります。

その程度のことを、躍起になって最初に教え込む必要はないのです。

しかし一番根っことなることを教えることを後回しにしては取り返しがつかなくなるのです。対人援助の理念や基本をおざなりにして、作業ばかり教え込まれた人は、人権意識がないままに作業労働だけを覚えることになり、そういう人が後々人権意識に芽生えて、優れた介護人財に育つという可能性は著しく低くなるのです。

無礼でなれなれしい言葉や態度に終始する場所で、機械を扱うように流れ作業のような介護に陥っている場所で、定着する職員は利用者の哀しい表情や、無表情を無視できる人でしかなくなります。本当に必要とされる人材はその場所から去っていきます。

皆さんが働く場所を、そのような哀しい場所にしないためにも、どうぞたくさんの感じの良い人たちを育ててください。

感じの良い人たちがつながりあう職場を創ってください。そこはきっと人に誇ることができる職場になるだけではなく、あなたにとっても居心地の良い職場となるでしょう。
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希望と不安を志に変えるOJTに努めてください


昨日、CBニュースの連載・快筆乱麻!!masaが読み解く介護の今がアップされた。昨日の記事更新でこの連載も75回目ということはもう6年以上連載を続けていることになる。そもそも最初は1年の連載という約束だったと記憶している。

それがこんなに長い連載期間となって、今も続いているのはひとえに支持してくださっている読者の皆様のおかげである。この場を借りて深くお礼を申し述べたい・・・。今回のテーマは、エッセンシャルワーカーとしての使命感をとしているので、そちらもぜひ参照してほしい。

されはさておき本題に移ろう。

新年度のスタートに当たる今日は、おそらく多くの職場で新入職員入社式が行われていることと思え、介護事業者もそれは例外ではないだろう。

新たに介護職員として働く人については、他職種からの転職者も多いので、新人といっても新卒者ばかりではなく、年齢も様々な人達が新たなスタートに当たって、希望と不安を胸に抱えながら一日を過ごしているはずだ。

今年は新年度のスタートが金曜日となってしまったために、新入社員入社式を行った次の日から土日の休みに入り、月曜から本格的な新人教育となることだろう。

まさか就業したばかりの今週末から新人をシフト勤務なんかに組み込んではいないだろうとは思うが、読者の皆さんの職場はどうだろうか・・・。就業わずか2日目という満足な教育も行っていない状態で、人員が少なく十分な事務管理体制のない日に、いきなりシフトに組み込まれても、新人は何をどうしてよいかわからない。そんな状態を普通だと考える職場の職員の定着率は向上しない。

それは新入社員の不安を生み出し、その不安を放置する職場だからである。そこでは不安につぶれてしまう人が多いことは全国のたくさんの事業所を観てきた僕からすれば当たり前のことに思える。

そんなふうに焦ってスタートを早くしても、それは終わりも早くすることにつながるだけなので、新入職員の本当のスタートは来週月曜からと割り切って対応していただきたい。

新人に対しては、これから座学による基礎教育をしっかり行ったうえで、OJTとして指導者と一緒に実務の中で仕事を覚えさせていく必要がある。ここが根っこになるので、この部分は十分時間をかけて丁寧に行ってほしい。

現場の人手が足りないからといって、ここをおざなりにして、この過程を経なかったり、はしょったりすると、人財どころか人材にさえたどり着かない状態で人在でしかないまま職場を去る人を増やす結果にしかならず、介護サービスの実務の場の人手不足は永遠に解消できない職場に陥る。

そうしないためにOJTに入る前の座学を十分に行ってほしい。そこでは職場の理念をしっかり叩き込んだうえで、耳学問として基礎知識と技術を教えことが大事だ。

その耳学問を実地の場で行ってみるのがOJTである。就業初日から先輩の尻に金業の糞のようについて回り、現場作業を教えることがOJTではないことを理解しなければならない。

OJTに入った以後は、教育役を担う職員が重要な役割を果たす。教育係を担当した人は自分自身の教育の場での姿勢が自分が担当する新人の今後にいかに影響力が強いかということを意識してもらわねばならない。
新人のサポート
新人は、良いものも悪いものも全部含めて、教育担当者のいろいろなものに影響されてしまうことが多いのだ。そこで教えられたことが唯一の知識となって、今後長い間それだけを頼りに業務を続けていく人も多いのである。

だからこそ、根拠に基づいた正しい方法論を現場技術として伝えてほしい

そのためには使える介護マニュアルが必要不可欠であることは、このブログで再三指摘している。(参照:介護マニュアル3亳続説

介護とは、感情ある人間が同じく感情ある人間に相対する仕事だから、相互の感情が揺れあったり感応したりする結果がそこに生まれる。教科書に決して載せられない想定外のことも起こるのである。

そうした想定外の出来事に遭遇して、臨機応変に対応すするというふうに、経験を積まなければわからないことも多い。その時に唯一共通して使える方法論とは、人として怠けず、相手に真摯に対応するという方法論である。

ぶつかった壁には逃げずに向かい合って、壁を超える糸口を探す努力する姿勢を見本となって示してほしい。

壁を越えようとする意欲を湧きあがらせ、壁を超えることができる人を創るのか、はたまた壁をよけ続け、あらぬ方向へ向かわせるのかが、今日からの新人教育期間である数カ月にかかっているのである。

それは今後、自分の職場が社会に対して誇ることができる職場となるのかどうかの分水嶺(ぶんすいれい)でもあるのだ。そしてそれは自分の仕事に誇りを感じて、自分の人生が豊かになるかどうかの分水嶺でもある。

そのことを胸に刻んで、今日からの教育指導に臨んでいただきたい。
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日本にはたくさんの人が住んでいる。同じ職場で出会ったのは何かの縁・・・その縁と、今を大切にして志を持った人材を育ててください。



介護技術指導に必要な考え方


昨日の更新記事、「そこに春はやってきますか?」に関連して表の掲示板に、「皆さんの周囲の介護施設等の面会制限の情報を教えてください」というスレッドを建てて、情報提供を呼び掛けているので、是非ご協力をお願いしたい。

同時にそこに書き込まれた面会制限の継続もしくは、その解除に向けた取り組みを参考にして、それぞれの居住系施設で対応のあり方を、事業者内で議論していただきたいと思う。

さて話は変わって今日の本題に移ろう。もうすぐ新卒者が介護事業者に入職してくる時期になった。

そこでは介護実務に就く前に、様々な形で職場内研修が行われることになろうと思う。

その際に介護事業者の中で、新入職員等を指導・教育する立場の人に、指導者としての適性がなければ人は育たないし、優れた人材が定着することもなくなってしまう。

そういう意味で経営者や管理職には、従業員の中から指導・教育を行う人物としての適性のある人を見極め、有能な人材にその責を負わせることが重要な役割になってくる。

ではどのような人物が、「教育・指導役」として適性があるのだろうか。

勿論、介護実務に必要な介護技術を教える人には、技術指導ができるだけの介護の基礎知識と基礎技術が備わっていなければならないし、教えなければならないことを、根拠を持って言葉で伝えるコミュニケーションスキルも必要だ。

しかしそれ以前に、「教育とは何ぞや。教えるとはどういうことなのか。」という根本を理解し、その本質を貫くための、理念を持っていなければならないと思う。

例えばできないことを責めることが、「教育・指導」と勘違いしている人がいる。こうした人物は、「教育・指導役」としては不適格である。

往々にしてこうした人は、人を叱ることと、怒ることの違いを理解していない。そのため自分の感情の赴くままに、指導する相手に怒りをぶつけて終わってしまう人が多い。それでは指導・教育とは言えないわけである。

指導を受ける側が、教えたことができない原因は何かということを共に考え、できない原因にアプローチして、できるように導くことが本来の、「教育・指導」ではないかと思う。

当然できないことをできるように導く過程では、「叱る」という行為も必要になる。この部分で「叱ったら、すぐ辞めてしまっても困るし」と躊躇して叱れない人も、「教育・指導役」としては不適格である。

適切に叱ることができることも指導者・教育者のスキルのなのである。

その延長線上には、適性の欠如で「できない」というケースもあって、できない原因がそれであると結論づけた場合は、「対人援助という職業の適正に欠けますね。他の職業を探したほうがあなた自身のためです」という評価と導きがあっても良い。

いやむしろそのような指導が不可欠であるといっても良い。

適性のない人をダラダラと引っ張り続けていることによって、介護事業者の中で信じられない虐待行為が発生したりする。
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一昨年、神奈川県伊勢原市の介護施設で高齢女性が相次いで首を絞められ意識を失った事件は(被害者はその後回復)、今月に入って取り調べを受けていた当時49歳の元介護職員が自殺し、その後、この女を犯人と断定し書類送検されたことで幕が引かれた。

事件の原因は、犯人のストレスであると論評する声がネットにあふれているが、仕事のストレスで寝たきりの人の首を絞めて殺そうとするだろうか?

犯人が亡くなったことで、動機の解明が不可能になったが、こうした犯罪は単なるストレスではなく、異常性格などに起因しているように思えてならず、採用後の適正評価は不可欠であるといえる。

だからこそ介護事業経営者や管理職は、「介護という職業は、誰しもが教えさえすればできるようになる職業ではない。」と自覚しておかねばならない。

教育効果に過度な期待を寄せることなく、人材育成とは、人材の見極めを含めた問題であることを正しく理解したうえで、そうした視点を併せ持つ優れた指導・教育担当者を創り出していく努力が欠かせないのである。

そうした観点から、今一度自分が所属する事業者内の人材育成システムを認めなおしてほしいものである。
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底辺くんが居なくならないと新人は育ちません


【※底辺くんとは、コミュニケーションスキルに欠陥があって、タメ口を親近感の表現だと勘違いしている低能な輩。対人援助に向かない人。】
昨日から早くも3月である。ということはあと1月も経たないうちに、介護事業者に多くの学卒者が入社してくることになる。

それらの人とは介護福祉士養成校を卒業して入職する人ばかりではなく、高校を卒業して介護の仕事を初めて経験する人も含まれる。

それらの人々に加え、他業種から転職する人で年度初めの4/1〜始めて介護事業者で働き始める人も多いだろう。

介護事業者は、それらの人に入職初日からいきなり介護実務を行わせようなんて無茶なことを考えてはならないが、同時に介護事業とは対人援助という職業であるのだから、入職初日からしっかりと利用者の人権を護るという意識と態度を身につけさせなければならない。

人間尊重・人権擁護の基本姿勢は、経験が浅いからとか、若いからという理由で、それを護れないということがあってはならない。一切の言い訳を認めさせてはならない部分である。

そのため入職初日には、まず初めに、「人間尊重」の価値前提を理解できない人は、対人援助に向かない人であることをきちんと伝えて、入職初日から利用者が不愉快に思うような失礼な態度をとらないように厳しくしつけなければならない。

いうまでもなく、「人間尊重」とは、人は「どんな能力を持っている」とか「何ができる」ということにかかわらず、「ただ人として存在していることに価値がある」という人間観である。

例えば心身の障害がある人も、そうではない人も、同じく人間として尊い存在なのだと考え、両者に対して態度を変えない姿勢が求められるのだ。だからこそ私たちが対人援助の場で関わる利用者が決して尊厳を失わないように関わらねばならないのである。

そこで考えなければならないことは、自分の職場はそうした教育を行うことができる環境になっているかということだ。新人職員が入職してきたときに先輩職員となる人達は、新人職員の見本となる態度を身に着けているかが問題である。

悪例しか示すことができない姿の職員がいるとしたら、今のうちに対処してその態度を修正しないと、新人職員がすべてその醜い姿に染まってしまう。

利用者に対する、「ため口」は、「人間尊重」の価値前提を最も揺るがす危険因子であることを理解せず、無礼でなれなれしい言葉遣いでしかお客様である利用者に接することができない底辺くんの存在が、新人が言葉遣いを間違って覚える最大の要素である。

そうした職場では、乱れた言葉遣いが態度の悪さに結びつくという、「醜い姿の職員」の増殖が止まらず、再生不能の職場環境になってしまうのである。

顧客である利用者に対して、丁寧な態度と言葉使いで接することができない職員を放置しておくと、せっかく入職初日に利用者に丁寧な言葉遣いで接していた新人職員が、3日もたたないうちに言葉遣いの悪い職員の悪影響を受けて、態度を崩して修正不可能な状態になりかねない。

お客様に丁寧な言葉遣いをできない底辺くんは、自分が親近感を持たれるように、「タメ口」を意図して使いこなしていると屁理屈をこねるが、タメ口とは、目上の者が目下の者に使う言葉であり、対応する相手を馬鹿にしたり、ないがしろにすることを目的に使う言葉である。
言葉は割れ窓
そういう知識も持っていないのが底辺くんの特徴でもある。

介護人材不足が叫ばれている今日ではあるが、介護保険制度以後に介護職員の数は、それ以前と比べ倍以上増えている。そこでは極めて短期間にその数を増やさざるを得なかったため、コミュニケーションスキルを問う暇もなく人集めに走ったという側面がある。そのため大量の底辺くんの雇用につながり、残念ながら介護業界全体の人材スキルは決して高くない。

そのことをいつまでも放置してはいられない。

誰でも良いから募集に応募した人を闇雲に採用し、𠮟って辞めてしまうことを恐れて、指導・教育も満足に行わないでいるという結果、そこに居るだけの人在や、いるだけで様々な負の影響を生じさせる人罪を大量に生み出していることが、人材不足の一面でもある。これが底辺くんの大量生産の背景でもある。

このことを十分理解して底辺くんはいらない人と考えることも大事だ。人在人罪を排除した場所に、本当に必要な人材が集まり、その人たちがやがて人財となることを理解してほしい。

そういう人材豊富な介護事業者も実際にあるということを知ってほしいのである。

なお転職を考えておられる方は、「従業員を愛し大切にする職場を選んでください」をぜひ参照していただきたい。
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職場内教育にこそ生産性向上を求めよう


生産性向上と業務効率化は異なるものからの続き)
今日僕は北海道から愛媛へ向かう旅の途中にいる。先ほど乗り継ぎのため羽田空港に到着して、これから松山行きの便に搭乗する予定になっている。

今日の東京は雪の予報で、羽田発着便も何便か欠航便が出ているが、幸い僕の搭乗予定便は平常運航ができそうである。

ただ乗り継ぎ時間が短いので、このブログ記事もゆっくり推敲しながら書いている暇はなく、思いつくままのことをあわただしく書いて、更新アップするものだ。

ということで本題。昨日は介護の生産性向上について書いた。

介護実務の生産性向上の結果を、ケアの品質向上に求めず、闇雲に人員削減を目指すものになったとき、利用者のニーズは徹底的に切り捨てられ、「助けて」という声は無視されてしまうことになる。

すぐに結果が出ず、長期的視点で実施されるべきケアは、生産性が低いとされ切り捨てられるからだ。

そうあってはならないことを昨日指摘した。

そして生産性の向上を介護の品質向上という結果につなげ、介護の仕事に使命感と誇りを持つことができる人を増やすことが重要であることも指摘した。

同時に人が足りずに業務が回らない状態の改善につなげるための業務の効率化を進めることで、介護労働のイメージアップが進んで、介護労働者の数を増やすことが一番求められることでもあるとも書いた。

しかしそこに、介護実務教育を適切に行うという視点が欠落していては、介護従事者の数は永遠に増えることはない。

介護の仕事をしたいという動機付けを持つ人がいくら増えたとしても、「見よう見まね」でしか仕事が覚えられないとしたら、正しい実務を覚えられない人が続出し、正しい技術を持たない人が介護サービスの場にはびころことになるからだ。

それは即ち、介護の品質低下そのものである。誰もそんな職業に使命感や誇りを持ちようがないし、憧れも感じられない。

だからこそ正しい実務を根拠をもって伝える教育システムが必要なのだ。
介護教育
そしてこの教育にこそ、少ないインプットで、大きなアウトプットを生むという生産性の向上が求められなければならない。

しかし現状の介護実務教育は、システムや根拠のない中で、ある程度の経験のある職員に、「仕事ぶりを見せて覚えさせる」という、覚えるも八卦・覚えないも八卦という生産性が著しく低いものとなっている介護事業者が多い。

この部分の改革を進めなければならない。まずは使えない、「介護マニュアル」の見直しだ。読むことだできる量と、読んでわかる文章の質にこだわったマニュアルを作成しなければならない。(参照:介護マニュアル3亳続説

OJTの際に、「わからないことがあれば質問してください」というのは、駄目な教育の典型例であることも理解しよう。介護実務未経験者は、自分が何がわかっていないのかさえ解からないのだ。質問なんてできるわけがない。

そのために必要になるのは、FAQ(よくある質問)である。あらかじめFAQとして想定問答集を作成する必要がある。

誰しもが読む気になって理解できる介護マニュアルFAQを備えおくだけで、職場内教育の生産性は向上するだろう。

これらの作成方法についても講義しているので、ぜひ僕の講演を受講していただきたいと思う。

ということでそろそろ乗り継ぎ時間になるので、今日の記事更新はここで締めたい。明日は松山から久万高原町に移動して、お昼ご飯の後に、記事更新する予定である。
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生産性向上と業務効率化は異なるもの


世の中どこもかしこも、「生産性の向上」がスローガンとして掲げられて動いている。

介護業界でも、6月から厚労省が生産性向上の効果測定を介護施設で行うことが決まっている。見守り機器・介護ロボットの導入と、それに伴うオペレーションの見直しや、介護助手の活用などによる効果を実証するというのである。

確かに労働人口減少に伴って、働き手を確保するのが難しくなっている我が国では、一人一人の仕事における生産性の向上は求められることではある。

より少ないインプットで、より多くのアウトプットを出せるようになれば、人が足りない現場では、今より少しだけ業務が回るようになるかもしれないからだ。

ただしここで間違えてはならないことは、「生産性の向上」と「業務効率化」はイコールではなく、相関関係もないということだ。

労働生産性は、「従業員1人あたり(または1時間あたりの労働)によって生み出される成果」であり、生産性が「投入した資源に対してどれだけの成果を上げることができたか」を意味するのに対して、業務効率化は「非効率に行われている業務のやり方を改善し、より効率的に行えるようにすること」を意味する問題である。

生産性が上がらない理由と、業務が効率化しない理由はそれぞれ異なる場合もあり、生産性が向上すれば業務が効率化できるという論理は、必ずしも成り立つものではないのだ。

よって、財務省が介護の場でICT活用をはじめとして、新たなテクノロジーのフル活用をすることによって業務の効率化を促進して、人員配置基準を削減すべきだとする論理には大いなる欠陥があるということだ。

介護労働の生産性を向上させることは必要であるし、同時に業務の効率化も進めていくことも必要ではある。そのこと自体は決して否定できない。

しかし対人援助における生産性の向上の恩恵と結果は、利用者に対するサービスの質の向上につなげるという方向で考えていかねばならない。
介護労働の本質
生産性の向上を、業務負担が減るという介護労働者側の恩恵とメリットを中心に考えてしまえば、利用者ニーズを無視した機械的対応で、介護サービスにかける時間を減らす方向からしか物事を考えなくなる危険性があるからだ。

そこでは認知症の人が繰り返し同じ訴えを行っていたとしても、記憶障害で何度も同じ訴えを繰り返しているのだから、いちいちその訴えに耳を傾けるのは意味がないことで、介護労働の生産性の低下につながるとして、徹底的にその声を無視することになりかねない。

しかし短期記憶が保持できずに、同じ訴えを繰り返す人にとって、その訴えに耳を貸してくれる人がそこに居るということ自体が安心感なのである。その行為は記憶できなくとも、感情は小脳に残るので、訴えを繰り返し聞いてくれる誰かは自分にとって安心できる人という認識はできるようになり、その人がいるだけ行動心理症状(BPSD)は軽減されるのだ。

生産性の向上を人員削減に結びつける場所では、こうした介護の本質ともいえるケア方法は消滅してしまうのである。それはあってはならないことだ。

介護の場における生産性の向上とは、質の高いサービスの提供を行うことが出いるという、職業の誇りにつなげていかねばならない。それにプラスして職員の負担軽減が実現されるのであれば、介護の職場環境が良くなっているという介護労働のイメージアップにつなげることができる。

その結果、介護の仕事をしてみたいという動機付けを持つ人が増えることで、介護従事者の数を増やすことにつなげることが重要である。

つまり真に必要なこととは、介護の生産性の向上によって、介護事業者の人の配置を適正レベルまで増やそうという結果なのである。財務省の考えとは真逆のことが求められているのだ。

そのためには同時に、介護実務の教育の生産性を向上させる必要性にも気が付くだろう。明日はそのことを論じてみたいと思う。(明日に続く)
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人材育成にこそ求められる生産性向上の条件


12/2更新記事「介護サービスそのものに生産性向上を求める弊害」より続く。
多くの介護事業者は職員募集の際に、「未経験者歓迎」とか、「介護未経験の人でも安心して働くことができます」などといった広告を載せている。

そんなふうにして介護未経験者にも、親切に介護実務を教えることができると謳っているのである。

だが個人的にはこれほど信頼できない広告もないと思っており、そのような広告は誇大広告でしかないと感じている。

なぜなら未経験者を歓迎し、未経験者が安心して働くことができるように介護技術を教える方法が確定しておらず、すべて介護現場に丸投げしているだけの事業者が多いからだ。

しかも丸投げされた職員自身が、教育の仕方を教わっていないのだから、ただ単に日常業務をするのを見せて、それをそのまま覚えさせるのが、「教え方」だと思い込んでいることが多い。

自分が何となく覚えた業務の方法を、何となく後輩に伝えるやり方で、未経験者が介護実務をこなすことができるところまで行き着かせようとするわけである。

しかし教えるべき内容や手順も統一されていない状態で、単に先輩が個人的感覚で仕事の手順を伝えるだけだから、そうした手順で行う必要があるという根拠も示されないし、場合によっては昨日と今日で全く異なる方法を教えている状態が生まれる。昨日覚えたことが、今日の学びに生かすことができないだけではなく、昨日の学びが無駄になったり足かせになるという混乱が生ずるわけである。

そんな状態で知識や技術が的確に伝わるわけがない。そのために職場内で数多くの、「我流」が生まれてしまうのだ。

そうした場での介護教育の効果は著しく低くなり、教えを学ぶという部分の生産性は極めて低くならざるを得ない。この部分こそ生産性の向上が求められるのではないだろうか。

そのためにはまず、事業者内に教育担当部署若しくは担当者を設けて介護知識と技術を伝える教育者を育てることから始めねばならない。

その際には、経験者=教育ができる人という誤解をなくすことが必要になる。人を教え育むスキルは、介護職員としての仕事のスキルとは異なるのだ。介護の仕事をそつなくこなすことができても、そのコツを人に伝えるのが苦手な人は、教育担当にはなり得ないのである。

教育部門がきちんと教育者としてのレベル指標を設けて、そのレベルに合った立ち位置をここの職員に与えることが大事だ。
スタッフレベル指標
※図は僕が総合施設長として管理していた社会福祉法人で用いていたレベル指標
職員の中には、たくさん経験があり介護の仕事が滞りなくできる人であっても、人に教えるのは苦手であるという人もいる。そういう人はこの指標のLEVEL4と認定し、その立ち位置で毎日の介護業務に励んでもらえばよいのである。

LEVEL5以上に認定した、「上級スタッフリーダー」は、一定期間ごとに職場内で研修を受けて、教育の仕方を覚えるとともに、職場内で教えるべき仕事の手順や内容を統一するための意見交換を行う必要もある。

当然のことながら介護技術を統一的に伝えるための、「介護マニュアル」は、実務に使えるものに整理して、それを用いる必要もある。(参照:介護マニュアル3亳続説

そうしたOJTとしての実務教育のシステムを整えたうえで、教育部門はOJTに送り出す前の基礎知識を学ぶ場として、実務研修前の座学のプログラムを実施することも大事だ。

就業初日から、OJTと称して介護実務の場に、新人職員を放り出すなんていう状態をなくすことが、まずは求められるのである。

人を効果的に育てることができる環境とシステムがあり、各場面で適切に教育できる人材がいる職場は、人材は集まりも集まる定着するのである。そうした職場は人間関係を含めた職場環境も良くなっているはずだ。

そうした職場を目指して、人材育成の生産性向上を図ってほしい。なお人材マネジメントについては、そうしたテーマの講演で、より詳細・具体的に方法論を示しているので、是非僕の「介護人材マネジメント関連講演」を受講したり、依頼したりしていただきたい。

そうした内容についての依頼や問い合わせについては、気軽に連絡をしてほしいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
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対人援助の仕事に就いてはいけない人間の見極めをどうするのか


介護事業者にとって人材育成は最も重要な課題であり、そのための教育訓練は大切な経営基盤であるとさえ言ってよい。

だがこの国における社会全体の働き手の減少は、介護事業者における深刻な人材不足をもたらし、多くの介護事業者が、「介護実務を担う働き手」が足りないとして、人材教育に時間を掛けることができずにいる。

法人内に教育部門を持ちながら、その担当者が現場から、「人手が足りないのだから、募集に応募があり、採用した職員は一日も早く実務に就かせてほしい。」と突き上げられる悩みを聴くことも多い。
介護人材不足
その結果、促成栽培のように時間と手間をかけない作業指導を終えた人間を介護実務の場に放り出して、後は先輩職員の仕事を見よう見まねで仕事を覚えて実務をこなせるようにするというのが、介護事業者のケアの品質を低下させる一因にもなっている。

必要とされる教育が十分行われずに、仕事の手順を一日も早く覚えさせる作業指導に終わっているのだから、それも当然である。

本来、職場内の教育とは、正しい知識を与えたうえで、OJT訓練によって頭の中の知識を実際に試してみて、正しい方法やコツを掴み取らせるものである。基盤となるのは座学で得た知識なのだ。

それが不十分な中で、OJTと称して先輩職員のお尻のあとを金魚の糞のようについて回ったって、正しい技術もコツも掴めるわけがない。しかも指導する先輩職員にも教えるスキルがないどころか、正しい介護技術も身に着けていない場合があるのだから、根拠ある指導も計画的教育もできない。それはOJTとは言えない。

ここを根本的に変える必要があるが、さらにもう一つ重要な問題がある。それは人物の見極めができていないという問題である。

本来OJTでは知識を実務に生かす過程で、人物の適性評価を行うことも必要になる。教えを受けている人間の長所や短所を見極めて、短所をカバーする方法を教えるだけではなく、場合によっては利用者と向かい合う職業に向かない職員を見極めて、排除するということも必要になるのだ。

促成栽培の過程では、そのようなことは言っていられなくなり、一定の基礎作業ができるようになれば、すぐに独り立ちさせて、自分で成長しなさいと現場に放り出される。

育つも八卦・育たぬも八卦という世界が介護の一面として、そこかしこに広がっている。

そうして適正評価が行われることなく、人物の見極めも不十分な状態で現場に放り出された人間の中には、対人援助の適性のない人間も多数含まれることになる。

そうした人間が、密室化されやすい利用者のプライベート空間で勝手気ままにふるまって、利用者の尊厳を奪い、身体さえも傷つける行為を行ってしまうのである。

そのような行為の結果が下記で報道されている事件につながるのだ。
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朝日新聞11/12・14:18ネット配信記事より
愛知県東浦町の知的障害者施設「なないろの家」で入所者が相次いでけがをした事件で、県警は12日、入所者2人に対する傷害罪で実刑判決を受けた元非常勤職員の水野有幸容疑者(46)を、別の入所者に対する傷害致死の疑いで逮捕した。

 逮捕容疑は、2019年3月6日夕から7日朝、入所者の男性(当時49)の腹を蹴り、腸に穴が開くけがを負わせ、同月8日に搬送先の病院で死亡させたというもの。死因はこのけがによる「急性汎発(はんぱつ)性腹膜炎」だったという。

 この施設では、他に50代男性2人と80代男性の計3人が腹にけがをし、うち50代の1人が約3カ月後に死亡した。水野容疑者は80代男性と死亡した男性に対する傷害罪で起訴され、名古屋地裁は9月30日、懲役2年4カ月の実刑判決を言い渡し、確定。水野容疑者は3月、起訴分に含まれなかった、もう1人の50代男性への傷害容疑で逮捕され、名古屋地検が捜査している。

 地裁判決などによると、水野容疑者は空手の有段者で、知的障害のある入所者の生活支援をしていた。

 愛知県は10月、施設の運営法人に対して新規利用者の受け入れを3カ月間停止する行政処分を出した。法人側は第三者検証委員会を設置して、運営体制や、事故や苦情への対応のあり方について検証している。
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果たしてこのような人物が、「教育」によって虐待とは無縁な人になって、利用者に対して不適切対応をしない人間になることができるだろうか。

子供に対する教育課程であれば、人間性が大きく変わるような成長も期待できるかもしれない。しかし49歳にもなって、無抵抗でなんの悪意もない障害者を蹴り殺すような人間の、その根底となる性質を変えるなんて不可能だ。

さすればこうした職員はOJTの最中に、「この人物は、人の尊厳を傷つけても何とも思わない資質を持つ人で、対人援助に向かないのではないか」ということを察知して排除するしかないのである。

介護事業経営者は、採用した職員が全員、その事業者内で戦力になるという幻想を抱かずに、育成と見極めの教育課程をしっかり構築して、機能させていくという強い意志が必要だ。

それがない事業経営者が、テレビカメラの前で頭を下げて、なおかつ刑事責任さえ問われ、経営危機に見舞われている現実に気づくべきである。

コロナ禍で、他産業からの転職組が多くなっている今だからこそ、今一度そのことを肝に銘じなければならない。自分自身の首を絞めないためにも・・・。
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教育指導の意味を勘違いするな


北海道で人材育成に携わっている僕としては、とても残念に思えることが道内の看護専門学校で起こっていた。

北海道南部の江差町にある道立江差高等看護学院と紋別市の紋別高等看護学院で、学生が複数の教師から「ペンでぶっ刺すぞ」などの暴言を浴びせられ、適切な指導を受けられず留年や退学に追い込まれた。

この件に関して10月12日、第三者調査委員会は52件のパワーハラスメントがあったと認定した。

認定内容の発表の場で委員会座長は、「教師が個人個人の教育観に基づき教育をしていてハラスメントが発生した」と述べている。

これを受けて鈴木北海道知事は、13日に会見を開き謝罪するとともに、道はパワハラで留年や退学となった生徒らの救済策を検討している。同時にパワハラ行為が認定された職員については処分の検討を行っている。

留年と退学の救済は1日も早く行ってもらいたいが、仮に救済策が実施されたとしても、学生の心の傷が癒されているかどうかが心配なところだ。トラウマとして心に傷を負ったまま、看護の場で仕事をするようになった時に、ふとしてきっかけでその傷口に何かが触れて、その人物を破壊しかねないのがパワハラ被害者の特徴だ。

そうした被害をもたらしているのが、看護教育に携わる教育者であることが哀しすぎる。

果たしてこれらの教員は、人材育成や教育とはどういうことかということを理解しているのだろうか。

確かに教育指導の一面には、スクリーニングという意味を持たせる必要もある。看護という人の命に深く係る仕事であるからこそ、向き不向きを見極めてふるい落とすことは、将来患者になる人たちのためだけではなく、自分の適性に気が付かずに、自分に向かない看護という仕事に就いて苦行を続けることになりかねない学生自身のためでもある。

しかしそれは教育指導の本道ではない。人材育成のための教育の本道とは、人の成長を期待し、能力を発揮できるように知識と気づきを与えることだ。

そうした教育課程では、時として生徒を叱る必要もある。

人材不足が叫ばれる介護業界では、叱ると辞めることを恐れて、介護実務の場で後輩を叱れないことが後進が育たない一つの要因でもある。だからこそ叱る勇気を失わない指導者の態度が時として必要になることは確かだ。

しかし叱る目的は、教える人に自らの欠点を自覚させ、併せて長所を気づかせることにあることを忘れてはならないのである。

そのためには叱った後で、事後的なフォローをすることが必要になる。そうすることで叱責前の状況よりもスキルを引き上げることができるからだ。そうしたフォローや努力をする義務と責任が教員にはあるのだ。

教育者は叱責や指導の必要性を明確にして、教える者にそのことをしっかり伝える責任があることを忘れてはならない。

そもそも叱ることとは、怒りを生徒にぶつけることではないのである。

ましてや人をからかったり、できない奴と烙印づけたりすることは教育にならないし、そうした態度をとる教員は、教育者としては失格である。というより今回報道されている暴言が本当だとしたら、それはすなわち人間として失格といってもいかもしれない。

感情的に怒りをぶつけて行動を修正させようとする人は指導者には向かない。そうした態度を改められない人は教育者という立場から身を引かねばならない。

本件の加害教員の責任は厳しく追及される必要があるし、そういう人はもう2度と教壇に立たせないことが必要になると思う。

本件によって志半ばで看護職の道を閉ざされた人たちは、本当にお気の毒だと思う。救済策は早く広く適用して、閉ざされた道を開くようにしていただきたいと切に願うのみである。
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離職防止・定着率向上が介護事業最大のテーマ


日本中の介護事業者から、「人が足りない」・「人材が確保できない」という声が聴こえてくる。

しかし人材確保に全く困っていない介護事業者も、ごく少数派ながらも存在しているという事実がある。その違いは何だろう?

人が足りないと嘆いている介護事業者は、その対策をとっているのだろうか。人材が不足していると嘆くだけで現状解決しないことを本当に理解しているのだろうか。

この問題について、国が政策で何とかしてくれると考えているとしたら大間違いだ。国はすでにやれることはやっていると開き直っており、人材を確保できるかどうかは介護事業者自身の問題であると匙を投げているからだ。

そうした危機意識を持っていただき、具体的な対策を講ずるためのヒントとなるセミナーを、今年もオンラインで無料配信しようと思う。
採用・育成・離職防止セミナー
全国各地の複数の介護事業者で、従業員の定着率を向上させ、人材不足の解消につなげた実績を持つ講師が、そのノウハウの基本を伝えるセミナーは、第1回第2回に分けて配信する予定である。具体的な対策を始める機会にもなるセミナーを、是非視聴していただきたい。

日本はすでに長期的な人口減少過程に入っている。

しかし65歳以上の人口は逆に増加傾向にあり、その数は2042年にピークを迎えると予測されている。

つまり介護保険サービス利用者は2042年までは確実に増え続けるのである。

そのため介護市場には、今後も多額のお金が落ちてくる。その額は年間約1兆円以上の増加が予測されるほどである。つまり介護事業は今後20年間だけを見れば確実な『成長産業』なのである。

よって介護事業者が、経営基盤を整えてサービス提供できれば多額の収益を挙げることは可能で、その収益を従業員に還元することで、介護従事者の待遇・給与改善は可能であり、全産業平均給与水準を上回る年収を実現することも現実的なビジョンと言えるのである。

このように介護事業自体の可能性はまだたくさんあるし、介護事業経営という分野で勝ち残っていく先には、ビッグマネーの獲得という成果を含めて、明るい未来につながっていくのである。

ただし国に、社会福祉政策にかけることができる財源が潤沢にあるわけではないので、少しでも社会保障費の自然増を抑えるべく、給付削減することが可能な部分をひねり出して、ひとりの高齢者に給付する費用はできるだけ抑えられる政策がとられる。

介護事業者側から見るとそれは、顧客単価の減少という形で影響を受けるのである。軽度者の通所介護の地域支援事業化もその方向性の一つとして実現が測られていくわけだ。

だからこそ、今以上の収益を確保するためには、現在と同じ規模での事業経営では不可能なわけで、事業規模の拡大と事業種別の多角化が必要不可欠になるのである。

このことはこのブログで繰り返し主張しているから、耳にタコができるという人が居られるかもしれないが、それほど事業拡大と多角化は重要な経営視点なのである。その実現を図るための経営戦略はできているだろうか・・・。

当然のことながら事業規模の拡大と事業種別の多角化には人材を増やす必要がある。しかし高齢者が増え続ける社会で、生産年齢人口は減り続けているのだから、それは決して簡単な問題ではなく、介護事業の最大の課題は、「人材確保」と言えるわけである。

現実的に生産年齢人口の減少数と状況を分析すると、日本人の労働者だけで必要な生産年齢人口を確保することはすでに不可能だ。出生率が劇的に改善したとしても、今後高齢者介護サービス利用者が増える20年間に、それは間に合わないのである。

だから外国人労働者が働きやすくなるように、入管法改正で在留資格に「介護」が加えられ、外国人が介護福祉士として在留資格を得られるようにするなどの対策も取られてきたが、外国人労働者の多くは5年以内に母国に帰国する傾向が強く、長期的な戦力になる人は少ない。

それでも短期的には外国人を受け入れて、教育して戦力としていかねばならない。

なおかつ日本人労働者を介護人材として安定的に雇用・定着できる職場づくりが介護事業経営として最大のテーマになってくるのだ。

この問題に対処するヒントを与えるオンライン講演を、今年も無料で配信する予定だ。主催は「内田洋行」で、下記のそれぞれ2日間・2回の無料配信を予定している。

・2021/11/17(水)〜2021/11/18(木)『介護福祉現場の採用・育成・離職防止を考えるセミナー【前編】

・2021/11/24(水)〜2021/11/25(木)『介護福祉現場の採用・育成・離職防止を考えるセミナー【後編】

テーマである、「採用・育成・離職防止」のうち、最初に整えるべきは、離職を防ぎ職員が定着する職場環境である。その基盤がしっかりできたのならば、採用につながる募集応募者を増やす方策・ノウハウはいくらでもある。

そのことも含めて、それぞれ60分の講演を2回に分けて配信する予定なので、是非お申込みいただきたい。

配信後、アンケートに答えてくれた方には、配布資料もダウンロードできるようにしている。

誰でも無料で視聴できるセミナーなので、張り付いた文字リンク先から、是非お気軽に申し込んでいただきたい。
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大事な志を奪い取られる場所で若い芽は枯れ死にます


高校を卒業して介護福祉士養成校に入学してくる学生は、介護福祉士になりたいという様々な、「動機づけ」を持っている。

しかもその動機づけは、かなり強く重たい動機づけであることが多い。

学生時代に進路指導の際に担当教員から、介護の仕事に将来性はないので進路を考え直すように指導されたにもかかわらず、強い意志で当初からの動機づけを護って入学してくる学生も少なくない。

その中には介護福祉士として働く自分の親の姿を見て、あんなふうに人の役に立つ仕事をしたいと思って入学してくる学生もいる。まさに親の背中を見て育った結果である。

そんな風に我が子に尊敬される介護福祉士は、きっと誰もが認める信頼される仕事をしているのだと思う。そしてその仕事ぶりを、自分自身の姿や言葉で子供に伝えているのだろう。それは尊敬に値することだと心から思う。

自分の仕事に誇りを持っているからこそ伝わるものがあり、我が子の心を動かすのだろうと思う。そんな家庭で育った若者が、変な人間になるわけがない。

彼ら彼女らは、親とその仕事に誇りを持っているから、自分が介護の専門職になろうと頑張ることにも誇りを持っている。介護の仕事に決して将来がないなん思っていない。むしろその子たちは、自分の将来を、自らの力で手に入れようとしているのである。彼ら彼女らに幸あれと願うばかりだ。

そういう介護人材こそ本当の意味で、「金の卵」だと思う。そうした人材をつぶさないように、大切に育てたいと思いながら彼らを指導している。

ところがそんな大切な人材をつぶしているのが、人材を求めているはずの介護事業者である。そこで働く介護職員が、若い芽を摘み取ってしまうという現実がある。

介護実習中に介護技術を伝えようとせず、職場のルーチンワークを指導して終わるだけならまだしも、そこで利用者の方々に丁寧に接しようとしている若者に、「そんなことしていたらいつまでも仕事が終わらないよ」と言って、乱暴で機械的な作業を強いる人がいたりする。

それに対して学生は疑問の声さえ挙げることを許されない。何か言おうとしたときに、「理想と現実は違う」という言葉で、すべての声は封殺されてしまうからだ。

しかし理想と現実が違っているのは当たり前だ。理想は目指すべきものであり、現実がそこに達していないからこそ、目標にする理想が存在するのだ。

その目指すべきもの自体を否定してどうするのだと言いたい。あなたの現実のひどさを、何とかしようとして理想があるということを忘れないでほしい。

人は間違ったことを他人に強いるとき、「それが現実だ」というのである。そうした間違った指導がそこかしこで行われているから、人材は育たず、良い人材ほど先にバーンアウトしてしまうのだ。

そのような人材をつぶす指導が学生実習の場だけではなく、新卒者が就職した職場で、入職初日から行われることも多い。そこで志のある若い芽は摘まれてしまうのである。

それが日本の介護現場の実態の一部であり、人が育たない根本原因でもある。ここにメスを入れない限り、介護人材不足は解消しないだろう。

昨今の介護業界は、そこで働く人々に仕事に見合った対価を支払おうという方向に動き続けている。政治もやっとその方向に舵を取り始めたところだ。

そうした風を受けて、まともな介護事業経営者なら、介護福祉士の存在価値をきちんと認めて、相応の対価を支払う方向に舵取りをしていくはずだ。

そういう意味でも介護の仕事に将来性がないなんてことにはならないし、介護福祉士という有資格者の未来は決して暗くないのである。

介護という職業に光が差し始めているのだ。しかしその光を遮るのが、介護の場で働く志を持たない先輩職員であるという現実がある。それが光の届かない影を作り、闇を深くする根本原因だ。

この闇を払うために何をすれば良いのか・・・そんなことを考えながら日々情報発信を続けている。そして志を同じくする人々と、闇を払うためのスクラムを組もうと繋がりあっている。

貴方の職場が、どうぞ若い芽を豊かに育てる職場環境であってください。どうぞ若い芽を枯れさせないように、あなたの手で水を撒いてください。どうぞ・・・お願いします。
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動画視聴はOJTにならないし効果も疑問


介護事業者の職員の目の前には、日々の暮らしを営むための支援を求める利用者の存在がある。

そのため一部の介護事業者は、その人たちを放っておいて、呑気に勉強している暇はないと言い訳しながら、業務に追われて研修やOJTの時間が取れない状態を放置している事業者もある。

しかし必要な知識や技術を含めた正しい情報を職員に与える努力を怠るところで、介護の質など存在しなくなる。

そこでは、要介護者等がその日一日を無事に過ごすことが出来さえすればよいと言うがごとく、劣悪な暮らしに甘んじさせる不適切介護も出現し、間違った方法で人権や尊厳が奪われる続ける状態も生まれてしまう。

対人援助に関連する職場における教育訓練とは、人権と暮らしを護ることに直結するものであり、利用者対応を優先させなければならないという理由で、教育機会を設けようとしないことは許されざる怠慢なのである。そのための勉強とは決して、「呑気に行うもの」ではなく、必要不可欠な学習機会なのである。

そのため各事業者ごとに様々な工夫がされていようと思う。

その一例として、介助動作を実演する動画を作成し、介助のポイントや注意点などをテキストでフォローするという方法で、時間や場所を選ばず研修できるようにしている職場もあり、こうした動画を作成し、販売している営利事業者もある。

そうした営利事業者が、「動画を視聴することによって、OJTができます」と営業をしているが、それは大いなる間違いである。介護事業者の方々は、そのような宣伝に惑わされてはならない。

OJTとは、職場の上司や先輩が部下や後輩に対し具体的な仕事を通じて仕事に必要な知識・技術・技能・態度などを意図的・計画的・継続的に指導し、修得させることによって全体的なスキルを育成するすべての活動を指す。

この際、指導根拠となるOJTツールもなく、意図もあいまいで、計画性もなく指導者によって異なる指導が行われておれば、それはOJTとは言えず、金魚の糞のように先輩についてみて覚えろ的なやり方で、動作を教えているだけという状態に陥ってしまう。

それを防ぐために、介助動作を実演する動画を利用することは問題ないし、それで介護方法の統一化は図ることができればいうことはない。

しかしOJTとは、座学で見たこと、聴いたことを、実地場面で自分が行う行為として昇華させることをいう。視覚情報や耳学問が正しく行為として実施できるようにする過程を指すのである。

動画視聴で知識を得ることは、あくまで座学である。それを先輩職員等のアドバイスができる場面で、実行に移すのがOJTなのだ。そこでは基本動作を行うための、「コツ」とか、利用者ごとに異なる感情に相対する際の、「工夫」とかといった、経験則からの助言が必要となる場面が多々あるわけだ。

よって動画を購入して、いつでも視聴できるからと言って、OJTのシステムが整っていると勘違いしてはならない。

その動画の内容が事業者全体に浸透して、それに沿った指導教育や助言が適切に行うことができて始めて、教育システムと言えるのである。

また介助動作を実演する指導動画があり、それを時と場所を選ばずに誰もが観ることができるという状態は、教育効果としては疑わしい。

いつでも、どこでも観ることができるから、あえて今観る必要がないという意識が広がりやすく、全員が一堂に介して視聴する機会と異なり、個別で動画を観るということは、自分の都合の良い時に、「ながら視聴」してしまって、頭に残らないということも多い。

そこに何時でも観ることができる動画があるからこそ、一度視聴するというアリバイ作りの意識が優先されてしまい、動画で伝えられるべき知識や技術が、十分に浸透しないという結果に終わることも多い。

だからこそ動画を利用するのは良いが、それを視聴する機会をきちんと作って、視聴後のデスカッションが行われるなど、参加者がそれなりの緊張感を持つことができ、研修と意識できる方法が望ましいと言えるのである。

動画視聴だけではOJTにはならないことを理解し、動画研修というのは、個人に視聴機会を丸投げしてしまえば、教育効果は薄くなることを理解したうえで、最も有効な利用方法を考えてほしい。

そもそも教育とは、「ある人間を望ましい姿に変化させるために、身心両面にわたって、意図的に働きかけること」を言うのであって、機械にそんな働きかけは出来ないのである。
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働きかけを行う、「人」の存在なしでは、教育効果は生まれないのである。この部分はICTにもAIにも置き換えることは今のところ不可能である。
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介護という職業の魅力をどう伝えるべきか


僕は福祉系の大学に入って、福祉を4年間学んでいた。

だからと言って社会福祉の仕事が、自分に向いている仕事であると思っていたわけではなく、ましてや介護という分野の職業に就くなんて言うことは全く考えていなかった。

福祉系大学への入学動機も、僕の学力で入学できる文系の大学で自分が実家から通える場所に、たまたま福祉系大学があったに過ぎない。学生時代も福祉の勉強に熱心になっていたわけでもなく、単位を落とさないように勉強はしたが、専ら遊びで青春を謳歌していた。ちなみに老人福祉論は、可でギリギリ単位をとれた。

そのようなとき、たまたま僕が卒業する年に創設された社会福祉法人が特養を新設して、そこから大学に、「生活指導員」という職種の募集があり、そこを受験してみたらたまたま合格したので、就職してみるかと軽い気持ちで社会人のスタートを切ったというのが本当のところだ。

当時若かった僕は、自分にはいろいろな未来の選択肢があるのだから、一つの職業だけの履歴で一生を終えるつもりはなかったし、社会勉強という意味で社福の一員になって、特養という介護施設で働くことは、何らかの糧になるだろうと思っていたに過ぎない。

しかしいざ働いてみると、特養の相談援助業務は思った以上に面白かった。人生の大先輩であるお年寄りの方々が、みんな僕に頼って、色々なことを任せてくれた。人様の年金や預金と言った財産管理まで任せ来てくれる人たちの期待に応えなければと思った。

新設施設であったので、当時としては設備も最新で、綺麗な環境で働く喜びも感じたし、登別市内で唯一初めて設立した社会福祉法人で、市内初の特養といいこともあり、市民からの注目度も高く、新採用職員ばかりで知識や援助技術は拙かったが、何とか利用者や市民の期待に声えて、良い施設にしようとみんな一生懸命に業務に携わっていた。そのことが何より働き甲斐に通じた。

当時の老人病院にはできないことをしようとして、おむつの随時交換など、サービスの向上に努める日々が楽しかったから続けられたのだと思う。

相談援助業務専門職は、僕一人しかいなかったが、図々しく近隣市町村の特養の先輩にわからないことを訪ね歩くと、快くいろいろなことを教えてもらった。ネットも存在しない時代であったら、アナログの人間関係は頼もしかった。そういう意味で僕は決して孤独ではなかった。

今介護業界は人材不足に悩まされている。しかし介護事業者から離職する人の3人に一人は、就業1年未満の人なのである。その人たちが介護の魅力を感ずる以前に、なぜそのような短期間に辞めてしまうのかを考えていかねばならない。

未経験者歓迎と謳って職員募集しながら、介護未経験者に適切な知識を与え、段階に応じた介護技術の取得ができるシステムを持たない事業者によって、経験の浅いまま介護現場に放り出された新人が、不安と疑問で煮詰まって、介護の仕事の奥深さも、おもしろさも感じられないまま、仕事に誇りを持つこともできずに辞めていくのである。

介護という職業に就いていながら、人の不幸を創り出すかのような醜い仕事しかできない人がいるのも問題だ。人手不足だからそういう人に注意さえできないという場所に、志の高い人が集まるわけがなく、そこは人罪(じんざい)の掃きだめと化すしかない。汚いところに誰が居続けようとするだろうか・・・。

その状態を改善しない限り、人手不足〜募集〜採用〜離職という永遠ループから抜け出せない。

そして介護現場はもっと、介護という職業の魅力を伝えなければならない。「キラキラポエム」の魅力ではなく、どろどろした人間関係を含めた人の暮らしに深く介入して、誰かの救いの手となることの魅力や、人の死と向かい合って生まれる様々なエピソード・・・そうした喜怒哀楽の傍らでできることがある介護の魅力を発信していかなければならない。

今日も僕の住む地域には、満開の桜が咲いている。誰かの心の花内鳴るように、人の暮らしに優しく寄り添う介護サービスを創り挙げていく先に、介護人材は黙っていても生まれてくるのだということを信じて、日々新しいつながりを大切にしている。・・・誰かのあかい花になるために・・・。
5/14室蘭市高砂町の八重桜並木
画像は本日午前10時30分頃の5/14室蘭市高砂町の八重桜並木です。
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新人は健やかに育っていますか


GWも終わり、その喧噪も収まったこの時期、4月から入職した職員も基礎的な仕事を覚え、ワンランク上の業務にチャレンジしている人が多いだろう。

まだ覚えることはたくさんあるが、少しだけ心に余裕も持って全体を見渡せるようなった人も居るかもしれない。そういう人は日々業務を覚えるだけで精いっぱいであった状態の時より、職場の粗(あら)や問題点も見えるようになって、決してそこが理想の場所ではないという不満を抱えていたりする。

そうした不満や疑問を胸に抱えながら、誰にもその心情を発露できないままでいると、後々大きな問題につながりかねないので要注意である。

さらにこの時期には、新人職員をすでにシフト勤務に組み込む事業者が多くなってくる。(※本来ならこの時期に新人をシフト勤務に組み込むのはまだ早すぎると思う。そもそも論で言えば、この時期に新人をシフト勤務に入れているのが職員が定着しない最大の理由である

そうすると日中働くという体のリズムに強制的な変更を加えなければならなくなり、早出や遅出、夜勤という不規則な勤務に慣れるような身体リズムづくりが必要になってくる。

もともと5月病と言われる新入社員にみられる精神的症状を防ぐには、生活リズムを整え自律神経の乱れを防ぐことが大事だと言われている。しかし介護事業者に勤める人は、生活リズムを自ら乱して、不規則な勤務に慣れるという作業が必要になる点で、自律神経の失調につながりやすいともいえるわけであり、この点が大きな問題なのである。

この点に注意して、新人に寄り添ってくれる先輩が必要だが、その部分を個人のパーソナリティに任せて、職場という組織の中で、そうした寄り添いをシステムとして組み込んでいない介護事業者が多いのが一番の問題である。

介護事業からの離職者の3人に一人が、就業1年未満で仕事を辞めている最大の理由もここにある。

人材育成を念頭に置き、職員の定着率を高めようとする職場であるなら、新人職員の苦悩に気づいて対応すべき担当者を定めておくのは当然であるし、新人は悩みを抱えるものだという前提で対応する方法を組織内に作っておく必要がある。

職場全体で新人職員の変化に気づき、対応するシステムが求められるのである。

新人職員が口数が少なくなる・表情が乏しくなる・仕事上の失敗が増える・遅刻や忘れ物が目立つようになったら即座に対応せねばならない。

そのために日ごろから、「最近疲れてない?」「体調はどう?」といった言葉をかけているという介護事業者があるが、言葉をかけつだけでは不十分だ。そうした言葉かけに対しては、「何でもありません」と答えて終わってしまうケースが多いからだ。

何となく元気がない後輩に対しては、何か問題があることを前提にして対応すべきである。「何ともありません」という答えを信じてはならないし、そもそも新人職員は悩みなしで成長しないことを前提に、悩みや愚痴を吐き打せる時間と空間を積極的に創る必要があるのだ。

だからこそ何もなくても先輩職員と話し合う時間と空間が必要になる。就業1月間は、毎週新人職員と教育担当リーダーが話し合う時間を取らなければならないし、その頻度は就業2月〜半年、就業7月〜1年というふうに減らしていっても良いが、少なくとも就業1年未満の職員は、最低月1度はそうした機会を職場のシステムとしてとっておく必要がある。
オンライン面談
何も面と向かって顔を合わせなくとも、アイホンやタブレット・PCを使ったオンラインによる相談援助場面をつくっても良いわけである。

そこでは公私全般にわたる悩みを傾聴し、ともに考えるという姿勢が求められるだけで、真摯に人と向き合う姿勢があれば、特別なカウンセリングスキルなどが求められるわけではないのだ。

自らの職場で、貴重な人材を育み定着させるためには、そうした取り組みやシステムづくりが不可欠であることを理解しなければならない。

そういう意味では、職員教育のシステムがまったくなく、行き当たりばったりの作業指導しか行わず、新人職員に対するメンタルケアも行われていない職場にはいつまでもしがみついておく必要ないともいえる。自分の心と体を壊しかねないし、そんな場所で仕事の誇りを持てるわけがないからだ。(参照:桜咲く場所で思うこと〜咲けない花は場所を変えよう

自分が働く場所をそんなふうにしてよいわけがない。新人職員を育み、定着させられる職場づくりが、介護の仕事に誇りを持つことができるための第一歩であることを忘れないでほしい。そしてそうした職場づくりが介護サービスの品質を高め、利用者にとっても求められる事業者になることを信じてそこを目指してほしい。

就業から1月を経て、さらに頑張ってもらいたい新人職員の皆様には、「かっこうの森プレゼンツ〜介護を職業として選んだ君へ」をご覧いただきたい。

僕の話を聞いて、介護の仕事の使命と誇りを感じられる方が、一人でも多くなれば幸いです。
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介護を職業として選んだ君へ


今日も自宅近くの桜の画像紹介から始めたいと思いますが、やっと花が開きました。
5/1の自宅近くの桜
まだ2分咲き程度ですが、いつもより1週間ほど早い開花だと思います。これから地域全体を桜が彩ってくれることでしょう。

そんな週末の5連休初日ですが、今日はこの春に介護を職業として選んだ人に贈るエールについてです。

青森県八戸市を拠点に、かっこうの森(サ高住やGH・居宅サービスなど)を経営する株式会社リブライズ・代表取締役、下沢貴之さんが、全国の悩める介護職たちにエールを送る取り組みを考えました。

日々の仕事に疲れ、自信を失い、進路に悩んでいる介護関係者を励ますために、介護の魅力を伝え、エールを送る動画をYOUTUBEにて3〜4か月に1本投稿します。テーマは、『介護を職業として選んだ君へ』です。

その記念すべき第1回動画に僕が出演することになりました。全国に著名な介護関係者が多々おられる中で、真っ先にお声がけいただき大変光栄に思います。ありがとうございました。

ということで先日、自宅でZoom録画し、昨日それを下沢さんが編集してユーチューブにアップしてくださいました。

僕は全国各地で行う講演でも、原稿をつくってそれに沿って話をするということはなく、その場その場の雰囲気を感じながら話をするタイプなので、この録画についても原稿はつくらず、その場で思いつくままに話をさせていただきました。

ですからスラスラと流れるような話になっていないで、ところどころ言葉に詰まるなど、お聞き苦しい点があるやもしれません。しかし伝えたいことは要点を絞って語っているつもりですので、是非お時間のある時に視聴いただければ幸いです。

当初話をする時間は15分程度とお願いされていたのですが、まとまりが悪く17分を少し超えましたので、下沢さんが2分程度編集してくださり、話した一部を削ってくださいました。ですが自分で視聴しても、どこをカットして、どこをつなげたのかわからないくらい自然な編集になっております。

ということでユーチューブでの配信時間は、15分5秒程度ににまとめられています。

ちなみに編集時にカットされている2分弱の部分も、僕のユーチューブに挙げていますので、興味がある方は下記をご覧ください。

僕の話を聞いて、介護の仕事の使命と誇りを感じられる方が、一人でも多くなれば幸いです。
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五月病は四月に原因が生まれます


五月病とは、新しい環境に適応できないことに起因して、新人社員などに見られる精神的な症状の総称をいう。

人によってはうつ病に似た症状が出現することがあるが、その出現時期は5月のゴールデンウィーク明けであることが多いことから、「五月病」と呼ばれている。

介護事業者においてもそれは例外ではなく、毎年五月病でリタイヤしてしまう職員が出てくる。

この状態を個人のパーソナリティに起因する問題として放置してはならない。職場環境の改善によって五月病は発生リスクが減ることを理解し、できるだけ五月病で苦しんだり、仕事を辞めなければならない人が出たりすることを防ぐ手立てを考える必要がある。

新人職員が環境に適応できない理由や原因は様々であり、その処方は一つではないことをまずは理解しなければならない。そして五月病を防ぐためには、新人職員が不適応の悩みを抱える状態に陥る兆候がないのかを察知することがまずは重要になることを理解してほしい。

この時、「悩みがあったらいつでも、なんでも相談してくださいね」と新人に告げるだけでは、それは単なるアリバイ作りにしかならず、何の対策にもならないという理解が必要だ。

悩んだり苦しんだりしたときに、先輩や同僚に気軽に相談できる人は五月病になりづらい人なのである。

五月病は誰もが陥る可能性がある症状ではあるが、特に自分の内面がどうなっているのかを他者に表現できない人が陥りやすい症状である。他人に何を相談してよいかわからない人が、相談できないうちに陥るのが五月病である。だからこそ、「あの人が突然辞めるなんて思わなかった」という事態が生ずるのである。

そうしないための唯一の方法は、新人職員が自ら進んで上司や先輩に相談できないことを前提にして対策することだ。

具体的に言えば新人職員は最低半年間は、週に1度必ずリーダー職員と面談する時間を就業時間中に作らなければならない。その時間は10分程度で良いのだ。その中でリーダーは、新人が今現在何をどう感じて働いているかを聞き取り、内面に悩みや問題を抱えていないかをともに考えなければならない。

本人が何も問題ないと感じているケースでも、定期的な話し合いを続けている中で、思わぬ問題や不満・悩みが表出できることがある。それに対して支持・共感することによって、新人は自分が気付かなかった問題や悩みから解放されて、少しづつ専門職として成長していくのである。

その為のリーダー研修は常に職場内で必要とされることも理解しなければならない。「相談をしてくださいね。」と言える唯一無二の条件は、相談を受ける側が相談に応ずるスキルを持っているということだ。相談を受ける側に受容的態度がなく、傾聴の重要性の理解がなければ、相談した人は悩みを解消するどころか、相談したのに説教されて、さらにつらい状態となり、5月病が芽吹くことにつながるのである。

今この時期は、新しい職場で働き始めていろいろなことを吸収したり、壁にぶつかったりしている時期だ。こうした時期に既にシフト勤務に新人が入っているような職場は要注意だ。シフトに組み込まれると知識の乏しい状態であっても、一人前の仕事ぶりを求められることになる。この時期にそのような責任を求められてプレッシャーにつぶれない方がどうかしている。

シフト勤務に組み込むのは、少なくとも基礎教育〜OJTという過程を経ることを踏まえたうえで、最低でも就業から3月程度の期間が必要だ。人員不足だからそこまで新人教育を行っていられないという職場は、一生人員不足は解消されないことを理解せねばならない。こうした過程を大事にする職場ほど、職員の定着率は高くなり、良い人材が職員募集に応募してくることにもつながっている。これはそこに存在する事実なのである。

介護の仕事に就きたいと就職した人の中には、介護の仕事を通じて人の役に立ちたいと思っている人が多い。そこまで深く考えていなくとも、介護は人のためになる仕事だと思っている人が多い。

そういう人たちにとって、先輩職員の利用者への対応が乱暴で、まるで子供を扱うように横柄な口の利き方をしている様子を見ると、それだけで介護という職業に幻滅してしまう人が出てくる。それも5月病につながる大きな要因の一つである。

介護という職業を通じて、自分が自分以外の誰かの暮らしを支えるという実感を得て、それによって手を指し述べている人の表情が豊かになり、暮らしぶりが良くなっていると思える人が五月病になることはほとんどない。

介護事業者においては、介護のプロと言える仕事をしていることが実感できることが五月病の最大の予防策である。品質の高い介護サービスを提供し、利用者や家族から感謝の声が絶えない介護事業者で、五月病で辞めてしまう職員が多いという声は聴こえて来ないことがそれを証明している。

五月病の芽は四月に芽生えるのだから、その芽を摘む対策が今この時に求められていることを忘れてはならない。

誰かのあかい花になる可能性を持つ若い芽が、五月病で積まれてしまわないように対策を講じてほしい。それはとりもなおさず、あなた自身が働きやすい職場環境につながるのだから・・・。
誰かのあかい花になるために
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正論がまかり通る職場づくり


介護事業にとって、「人材」は命である。

システムがどのように進歩しても、AIを搭載したロボットの開発がもっと進んだとしても、人の手を加えないとできないことがたくさんあるのが介護という職業である。

繊細な動作と、力を掛けなければならない動作を自然につなぐことができる人間だからこそできることがある。ここにロボットは手が届くのか・・・。感情のある人間だからこそ、感情ある人に向かい合うことができる。ここにAIは近づくことができるのだろうか・・・。

「人は石垣・人は城」という言葉は、現在社会では介護に最もマッチする言葉ではないかとさえ思う。だから人材を集め、育てることは最も重要になるのだ。

だからこそ新年度のスタートを切っているこの時期に、きちんとした新人教育をしなければならない。お客様に接する態度、おもてなしの精神の重要性、そうした介護技術の基盤となる事柄をきちんと教えたうえで、介護の場で技術をつなげる指導が求められているのだ。

今日の時点では、新年度に入職した職員に座学でそうした基礎教育をしているのが本来である。この時期にOJTなんて早すぎる。ましてやシフトに組み込んで仕事をさせているとすれば、それはすこぶる不適切な指導法と言わざるを得ない。

「そうはいっても人材不足だから、正論だけ通してもしょうがない。」という声が聴こえてきたりする。

しかし正論が堂々とまかり通る職場づくりをしていかないと、正論を脇に置いて何でもありの職場になってしまう。それは職場環境が荒れる最も大きな原因になり、結果的にそのようなところからは、良い人材から先に逃げ出してしまうので、人材不足の解消がままならない一番の原因にもつながっていく。

妥協を許さず規律を護る意識がないと、職場はずっと腐り続け、腐臭にまみれることを何とも思わないいなくてよい人員しかいられない場所になるのだ。

今朝僕は自分のフェイスブックに、次のような文章を綴った。
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利用者に対するマナーを教育することを、「押し付け」と考える人が居たりする。職場のルールを押し付けと感じて護る必要がないと考えるなら、それは従業員として失格という意味だ。そもそもどんな職場にもルールは存在し、それを徹底遵守する労務管理はあって当然だ。それを理解できない人は社会人として未熟すぎるとしか言いようがない。

経営者や管理職は、従業員の心無い対応で利用者が哀しんでいたり、不平不満を持っているのがわかっていても、そうした不適切な対応をとる従業員に注意して辞められては困ると考え、数合わせだけのために職場の環境を良くする努力を怠っていたりする。それは介護事業経営を放棄しているという意味だ。

そんな事業者は経営ができなくなる方が世のため人のためである。
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経営者や管理職には覚悟が必要だ。良い人材を育てる基盤は、悪い人材は排除するという覚悟なのである。

試用期間をきちんと職務規程に組み入れ、その期間に人物の見極めを行い、適性のない職員には別の道を選んでいただくということを厳格に行っていかねばならない。人員不足でそんなことはできないと言うが、そんなことをしないから人員不足がいつまでも解消しないことを理解しなければならない。

人員不足が原因で職員の不適切対応が問題になったある特養では、経営者が覚悟を決め、管理職などを刷新して職員の教育管理を徹底したところ、ある時期退職する職員が相次ぎ、業務が回らない事態に陥りかけた。そのため行政との協議によって一時的に一部のベッドを休止し、利用者を減らして対応し、その中で根気よく職員を教育して良い人材を護り育てていった。その結果、そこに良い人材が集まるようになって、今では人員不足どころか人材不足も解消し、職員募集に待機者がいるという状態になっている。

サービスの品質の高い職場、人間関係の良い職場に就職したいと思っている人材は、まだまだたくさんいるのである。そういう人たちがこぞって張り付く職場・・・そういう職場づくりを目指していかねばならない。

職員教育どころか、不適切な態度を叱ることもできず、マナーのない顧客対応に注意もできない職場では、正しい介護知識や技術を身に着けている職員より、不平・不満の声を高らかに挙げる職員の方が幅を利かせたりする。

そこは民度が極めて低い職場となり、人間関係上のトラブルが絶えない職場になる。

ある職場では、虐待事例を上司に報告した職員が、密告者としてやり玉にあがり、肩身の狭い思いをしているそうだ。

職場環境を良くしようとし、利用者に対する虐待を放置せず報告した職員が働きづらくなる職場が、健全なる労働環境と言えるだろうか。そこは違法が大手を振ってまかり通る無法地帯でしかない。そのような民度の低い職場に、今後も良い人材が集まるわけがないのである。

虐待を見て見ぬふりして放置する職員が正しく、虐待を報告する職員が悪だとされる介護事業者であるとすれば、その介護事業者では常に利用者の誰かが傷つけられ、それは深い闇の中に隠されていることになる。

そんな職場で自分の仕事に誇りを持つことができるだろうか。誇りを持てない仕事を、この先何年も続けられるだろうか・・・。

そんなふうにして人を傷つける、人の心を奪う介護であってはならないのだ。そういう職場にしないために、何が必要とされているのかということを、私たちは常に考えていく必要があるのではないだろうか。

なぜならそれはいつか私たち自身や、私たちの愛する誰かにはね返ってくる問題なのだから・・・。
あかい花
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理想を幻想化しない介護


一昨日から新入社員教育が始まっている介護事業者では、今日はどのような週末の土曜日を迎えているだろうか・・・。

3/31に書いた、「新入社員に見せられるものは矜持か恥か」には早速、「教える側の不安」を訴えるコメントがつけられている。

職場内で人材育成システムを持たない場所では、新人教育の方法も現場に丸投げされてしまっている。教育係も誰なのか不明瞭になっている介護事業者も多い。

就業初日から介護の場に新人を放り出すことを新人教育と勘違いしている介護事業者で、教え方も教わっていない状態で新人教育を任される職員は大変である。

そういう環境で新人指導に当たる職員は、かつて自分が先輩から受けた指導の際に、不安を持った経験をもとに、そうした不安をできるだけ持たないように指導することが精いっぱいで、計画的・体系的教育などできるわけがない。

そもそも自分の経験の中で培ったことを教えるという意味は、根拠のない経験則のみしか教えられないという意味でもある。そこで伝えられるのは、その職場での作業の方法でしかなく、介護の知識や技術につながるノウハウなど教えられるわけがない。

介護事業者ではしばしば、「就業初日は何もしなくてよいから、利用者の様子と先輩の動きを観察してください」と、ホール等に座らされて1日放置される新人教育が行われていたりする。しかしこれは教育にならない。教育効果はゼロだと言い切ったって良い。

観察することによって何かを感じ取れるのは、それなりの情報や基礎知識を持っている人のみである。なんの事前情報も基礎知識も与えられない状態で、利用者の表情や先輩の動きを見たとしても、それがどのような意図があるのかということや、何を意味するのかを理解することは不可能だ。

そんな観察は何の意味もなさず、無駄に時間を過ごすことにしかならない。座って観察することを強制させられている人のとって、その時間は苦痛以外の何ものでもなく、介護の仕事に就いたのを悔やんで辞める原因にも直結しかねない。

そもそもこのブログで何度も書いているように、就業初日に座学もなしに、介護の場に新人職員を放り出すことは乱暴極まりないことだ。未経験者歓迎というフレーズを前面に出して、職員を集めている場所で、そのような方法を取っているのであれば、それは未経験者に何も教えない状態で、見て覚えろという方法で、対人援助に当たらせる状態であり、最も非効率な指導法と言える。

そんな場所で良い人材が育つわけがなくいのだ。仮にそこで良い人材が育ったという事実があるとしても、それはたまたま良い資質を持っている人がいて、勝手に育ったという偶然でしかなく、エビデンスにはつながらない。

そのような場所は、介護技術を教えるのではなく、その職場の介護と称する労働の仕方を教えるのみの状態に陥る。何時から何を行って、どこそこにどんな介護物品があって、どこの何から手を付けるのかという教えに終始し、その意味さえ教えてくれない。介護の仕事がそれぞれ個性の異なる人と向き合うのだということに一言も触れないで、日々の指導が終わっていくことになる。

そこではしばしば、「理想と現実は違うんだよ」というわけのわからない言葉が飛び交うことになる。

理想をつぶす言葉で、手が届くゴールも、そこに向かおうとする希望も失わせているだけの人間が、そこで唱える現実とは、傍から見てあり得ないほど低レベルな現実を意味していないだろうか・・・。

仕事を続けるためには動機づけやモチベーションが必要なのである。時には仕事を続ける勇気も必要になる。

介護という仕事は、人と向かい合い、その人のプライベート空間に深く介入して、場合によっては人生そのものに関わる必要がある仕事だ。そういう仕事に向かい合って、働き続ける勇気も求められるのである。そこで求められる勇気とは愛のようなもので、育むには希望が必要なことを忘れないでほしい。

胸に抱く理想を幻想化せず、実現可能で目指すべき到達点とする介護が求められているのだ。そのために何をしたらよいのかを、根拠とともに教えるのが介護教育である。そのことを忘れてほしくない。その思いを失ってほしくないと心から思う。

今年は4/1が木曜だったので、多くの介護事業者では新入職員は2日勤務して、この週末の2日を休むことができていると思う。そして連休明けからまた気分を変えて勤務に入ることができる。緊張と不安を抱える新人にとって、これは絶妙の良い暦であると言える。

ところが介護職の場合、就業直後からシフト勤務に組み込まれ、この土日も関係なく勤務させる事業者が少なからず存在する。それはあまりにも乱暴であり、バーンアウトや5月病の原因になると強く主張しておきたい。

緊張がとれ、少しの慣れが生ずるまで、新入職員をシフトに組み入れてはならないのである。そのことにくれぐれも注意していただきたい。
理想を幻想化しない介護
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新入社員に見せられるものは矜持か恥か


早いもので今日で3月も終わりである。介護事業者にとってこの日は年度替わりの最終日で、明日は新年度初日を迎えるとともに、それは新運営基準と新報酬適用の初日ともなる。

そして何より重要となる点は、新年度に入る明日は、多くの介護事業者で新しく入職する職員が初出勤となり、各地で入社式が行われる日でもあるということだ。

初仕事の日を迎える新人の中には、社会人として初めてのスタートラインに立つ人も居れば、他の職業から転職してきた人も居るだろう。正式入社の前に実習と称して既に実務に入っている人や、全く初めて新たな職場で実務に就く人も居るのかもしれない。

しかし区切りは大切で、時間と空間・心と体の区切りという意味で、新年度初日に厳粛な入社式を行うということは大事なことではないかと思う。

そのとき、希望や不安が入り混じった思いを抱える新入職員に何を伝えられるかで、その職場の将来が左右されてくるのだということを、介護事業経営者や管理者・管理職は自覚してほしい。

希望を使命感と誇りにつなげ、不安を夢のある目標に変えるためには何が必要なのかを考えてほしい。

当該事業者職員としての規律ある姿勢が、職場の中では求められることだけではなく、対人援助という職業は誰かの暮らしに深く介入する仕事あるからこそ、そこでは利用者の尊厳を護る配慮が求められることを入社式ではしっかり伝えてほしい。経営者や管理職の思いが伝わる入社式にしてほしい。

そして新人を将来の人財として育てるためには何が必要かを真剣に考えて、そのためのプログラムを構築してほしい。

就業初日から、先輩職員に金魚の糞のようについて回らせ、先輩の行ってきた仕事の手順だけを覚えさせような行為をOJTと勘違いして行わせるようなことがないようにしてほしい。そうした方法では正しい介護技術は伝わらないのである。

就業規則や職場の様々なルール、年金や保険といったものの手続きをレクチャーすることも必要だろうが、介護に必要な基礎知識や基礎技術は、まず座学で伝えなければならない。そうした基礎知識をレクチャーする期間をきちんと設けてほしい。そこで見聞きした方法を実践の場で、計画的に学ぶのがOJTである。座学による耳学問を身に着けて、その知識を基礎として実務の場で耳学問を試すのがOJTである。正しい知識や技術は、「見て覚えろ」では伝わらないことを理解しなければならない。

そして介護事業者における様々な実務に入る前に、正しい接客・接遇方法を理解させることを忘れないでほしい。介護事業という職業を通して人を幸せにする前に、人を不幸にしない方法論を理解させたうえで、新入職員に利用者対応させるようにしてほしい。

これを重要視する事業者と、おざなりにする事業者では貴重な人材が張り付き、定着する割合に大きな違いが出てくる。介護の職業における使命や誇りを伝えることなく、接客の仕方も伝えぬまま、先輩のしぐさを見て覚えさせる職場に良い人材が集まったり、定着したりするわけがないのだ。

何より将来、「人財」となり得るスキルの持ち主は、利用者対応が機械的で流れ作業のようになり、乱暴でマナーの欠片もない状態にストレスを感じて、そこから逃げ出してしまうのである。そのことを経営危機であると自覚する必要がある。

新入職員は最初、右も左もわからずに、先輩の指導についていくだけで精いっぱいだろう。しかしそこでしっかりその職場や職員を見て評価しているのだ。介護ってこんな程度の仕事をしておればよい職業なんだと思ってしまう新人に、将来にわたってよい仕事ができるわけがないのである。

介護の職業は、こんなに素晴らしいエピソードを生み出すことができる職業なのだと知ることで、親友職員はスキルアップの動機づけを持つことができ、学ぶことが面白いと感じ取れるのだ。

ある意味、新入職員が入ってくる時期とは、介護事業者の質が試されている時期でもある。

介護事業の矜持を伝えられるか、恥の文化しか伝えられないのかで、その質は明らかになろうというものだ。

利用者に接する際に、よそよそしくなることを恐れ、馴れ馴れしい失礼な態度が求められている対応方法だと勘違いしている事業者は、恥の文化しか伝えられない事業者だ。

先輩職員の利用者対応が、「タメ口対応」で、それが家庭的で親しみやすい対応であると勘違いしている事業者では、不適切で乱暴な態度さえ当たり前になってくる。それも恥の文化である。

そうした恥しか新人に伝えられない事業者は、消えてなくなってよい事業者と言ってよいだろう。
人材を人財に変える育成
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新入職員が定着する介護事業者の条件


昨日、「令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.3)(令和3年3月26日)」が発出され、表の掲示板で今まで論じていたいくつかの解釈が間違いであることが分かりました。

例えば居宅介護支援事業所のケアマネジャーに義務付けられた前6か月間に作成したケアプランの利用者への説明については、契約時に行えばよく、利用者全員に半年ごとに行う必要がないという解釈で確定しました。詳しくはこちらを参照してください。

また通所介護の個別機能訓練加算も新解釈が出て、1のイとロは、曜日によって算定区分が違ってよいだけではなく、同じ日でも機能訓練員配置の状況によって算定区分がイとロに分かれる場合があることが例示されました。予測外の解釈ですが、そのことはこちらを参照してください。

このQ&Aでもまだ解決できない点(バーセルインデックス測定者に必要な研修とは何かなど)もまだありますが、とりあえず今日はQ&A第3弾をじっくり読み込んでおきます。

ところで先週の土曜日は、前日に講演を行った沖縄から北海道に戻ってきた日でした。

コロナ禍の影響で減便が続いている空の便は、現在新千歳空港からの沖縄直行便も欠航中で、行き帰りとも羽田経由で移動となりました。

当日入りの金曜日は、朝7時前に北海道登別市の自宅を出て、夕方6時には沖縄県うるま市で講演を行うという強行軍でしたので、お昼ご飯は羽田空港で空弁を買って沖縄行きの機内で昼食を摂ることになりました。

普段僕は機内で飲食することはあまり好きではありません。落ち着かないし、狭いシートで横の人に迷惑をかける気もするからです。コロナ禍の現在では機内サービスの飲み物も断ることが多いのですが、その日は他にご飯を食べる時間が取れず、しかもお腹も空いていましたので仕方ないと言ったところです。幸い機内は空いていて、横のシートも空席でしたので、隣の人に迷惑になることもなくお弁当をいただくことができました。
崎陽軒の焼売弁当
全国に数ある空弁ではありますが、横浜崎陽軒の焼売弁当は間違いなくベスト3に入ると思います。なぜならメインの焼売は安定のうまさですが、脇を添える他のおかずも秀逸なのです。

右上に盛り付けられているのは筍の醤油煮。これがゴロンゴロンと幾つも入っていて、けっこ食べ応えがあります。それに加えて鶏のから揚げとマグロの照り焼きが、がっつりと存在感を主張しています。焼売以外のおかずも旨いのです。欲を言うと甘いものが好きでない僕は、甘い杏子はいりません。甘くないおかずがこの代わりにもう一品入っておれば、最高と言いたくなるのですが・・・。それにしてもやっぱ、この弁当は何時食べても満足です。

それはともかく本題に入ります。

これから4月に向けて、介護事業者にもたくさんの新人さんが入職してくることでしょう。その人たちが介護の仕事にやりがいを感じて、人材として成長し、長く働いてくれると嬉しいですよね。そのためには介護事業者自体が、仕事の誇りを感じて働くことができる環境でなければなりません。

介護事業者に就職した人が、「おむつ交換」ができないことが理由で辞めたという話を聞いたことはありません。おむつ交換ができない職員はいないけれど、その交換の仕方が、まるで物を扱うように、人間性を無視したやり方をしている人がいたりして、それがOJTに携わる先輩職員であったりしたとき、そのことに心を痛めて辞める人はいます。それが問題なのです。

「おむつ交換」という作業のみを考えるなら、それは単純作業です。誰でも取得できる技術です。しかしおむつを使用しなければならない人の心に配慮しない人と、羞恥心に配慮しておむつ交換ができる人という技術差は生じます。

求められるのは「おむつ交換」という作業技術を身につけることではなく、排泄ケアとしておむつ交換もケアであるという意味を知ることです。

OJTと称しながら作業しか教えない場所で介護人材は育たないし定着もしません。ケアを教えられる場所であってこそ、人は育ち定着するのです。

人の役に立ちたいと考える人たちが、介護の仕事を自分の天職だと思えるようになるためには、介護サービスが人の幸福に寄与する仕事だと実感できることが重要です。自分がそこで働くことによって、利用者の暮らしを支えているという実感を持てるかどうかが、介護職員の定着率の向上には重要な要素になるのです。

人の役に立つ仕事に就きたい思って就職した先で、職員が利用者に対しデリカシーのない言葉かけをしたり、乱暴な言葉と態度で接する姿を見て、「介護の仕事って人の役に立たない」と心を折る新人職員は多いのです。そのために辞めていく人は、勿体ない人材です。

逆に利用者への接し方が丁寧で、傍から見ても気持ちよく、しかも介護技術が丁寧で、利用者からも信頼を寄せられている介護職員がいる介護事業者は、介護福祉士養成校の学生に人気があります。

実習中に丁寧に利用者対応している介護職員の姿に触れて、「あの人に学びたい」という理由で募集に応募する学生は多いのです。そしてそういう職場に勤めた卒業生の定着率は高く、退職理由はほとんど寿退社です。

知恵と善意が集まる場所には人も集まります。しかし愚痴と悪意の集まる場所からは人は逃げていくのです。(参照:人の役に立つ介護をしたいという希望を叶えるために

人の暮らしに深くかかわる対人援助の仕事では、立派な仕事ぶりの前に、感じの良い仕事ぶりが求められることを忘れてはならないのです。感じの良い仕事ができるお手伝いもしていますので、その方法論を知りたいという方は、是非お気軽に講師依頼をしてください。

ご連絡は、介護福祉道場あかい花の公式サイトの上部のグレーバーのお知らせで連絡先を確認の上、メールやTELしてください。
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新入職員が希望を抱いて働き続けられる職場


3月も残り1週間となった。卒業式の時期も終わり、卒業生たちは新年度からそれぞれ新しいステージに昇っていくことになる。そして多くの職場に新人が入職してくることだろう。その準備も必要になってくるのが今この時期である。

介護事業者に新たに入職してくる人とは、介護福祉士養成校などの新卒者だけではなく、他職種から、あるいは他事業者からの転職組も数多く含まれる。それらの人たちは希望や不安など様々な思いを抱きながら、新たな職場に足を踏み入れることになる。

介護事業者としても、新入職員がどのようなスキルやキャラクターの持ち主なのか、期待と不安を抱いて待っていることと思うが、大切なことは人材は放置したままでは育たないということだ。

きちんとした規律と規範を持って、基礎的教育をしっかり行いながら、数カ月の使用期間を定め、人物の見極めを行いながら、人を育てなければならない。そういう視点がない場所で良い人材がわいてくるわけがないのだ。

新人教育の場は、同時に向き不向きを見極める場でもある。対人援助という職業には向かない人を見極めて、そういう人にはある時期にきちんと引導を渡す必要もある。

対人援助のスキルのない人、不向きな人を何とかしようと我慢して働き続けさせても、多くの場合、教育効果は期待できない。むしろそうした人たちが利用者を不幸にし、自らも壊れていくことになるのである。両者を不幸にしないために、両者の利益のために、対人援助に不向きな人は退場していただくべきである。

人材不足だからあまりうるさいことを言えないとして教育をおざなりにする介護事業者には、どうしようもない人材しか定着しない。そういう場所からは良い人材が先にバーンアウトしてしまうのだ。職場に足を運ぶことができる人でありさえすればよいと考え、とにもかくにも員数を揃えるために、スキルの低い人でも何とか勤め続けてもらおうとして、将来の禍根を残してはならないのである。

そうしない職場に人材が集まってくることを忘れてはならない。

同時に事業者側もきちんと人を育てるという責任を果たす必要がある。

入職初日からいきなり先輩職員の後ろについて、介護実務を見よう見まねで覚えるというのはOJTではない。それは職業技術指導の体をなしていない方法だ。

ある時期きちんと座学によって基礎を徹底的に教え、身に着けてもらわねばならない。OJTとは座学で得た知識を、実地の場面でいかに生かすのかを計画的・意図的に教え学ぶ方法を言うのである。それがない場所でも人は育たない。

サービスマナー教育も、この時期に徹底して行う必要がある。

礼儀が大切だとか、規律を持って仕事に臨みなさいと教育しても、見習うべき先輩職員が、人生の先輩でありお客様である高齢者に対し、失礼なタメ口対応をしている姿を見て、礼儀を身に着けることができる後輩はいないし、規律はそこで大きく揺らぐのである。

しかし指導者であるべき先輩たちが皆、適切な態度と言葉使いで利用者対応している職場では、マナー教育をことさら前面に出さなくとも、新人は丁寧な対応を覚えていく。

「お客様から物事を頼まれたときに、わかりましたという返答はまずいでしょう」と教えてくれる先輩がいる職場では、自然と若い職員が利用者に対して、「かしこまりました」と返答できるようになる。それは自然な言葉遣いになるのである。

そういう気持ちの良い職場で働きたいと考える人たちは、そういう職場を今も探し続けている。マナー教育を重視し、職員がマナーある態度で接遇を続けることをルールとしている職場には、そうした貴重な人材が集まってくるのである。

それれは結果的に高品質なケアサービスにつながり、誰かの大切な人を自信を持って、「任せてください」と言える職場につながっていくのである。
大事な人を任せられる介護
規律と規範のある職場をつくって、将来人を育てることができる貴重な人材が集まる職場にしてください。そこには人材も顧客も、自然と集まってくるのですから・・・。「人の役に立つ介護をしたいという希望を叶えるために」も参照してください。
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職員が良質なサービスを担保するために必要な育成支援


明日・日曜日の13時から千葉市ハーモニーホールで講演を行うために、今日は移動日である。

千葉県での講演は、過去に柏・松戸・流山・鎌ヶ谷・館山・銚子などでも行っているが、千葉市での講演回数が一番多く、僕にとって千葉市は結構馴染みのある場所でもある。

千葉市内の講演だと、時間によっては北海道から向かう場合でも当日移動で問題ないこともある。例えば再来週予定している沖縄講演は、夕方18時から講演を行うため、講演当日の移動で間にあうため、1泊2日で日程を入れている。

千葉市は沖縄よりずっと近いが、それでも羽田空港から90分程度はかかるので、13時からの開演となるとどうしても前日移動が必要となる。そのため今回は2泊3日の旅となっている。

今日はJR千葉駅近くのホテルに泊まって、英気を養いながら明日の講演に備えようと思う。千葉県内はまだ緊急事態宣言下にあるため、夜も出かけずにホテルに籠っている予定である。今晩と明日の晩は、千葉駅構内の成城石井で食べ物や飲み物を買って、ホテルひとり飯となると思う。

明日の講演は、一般社団法人千葉市認知症介護指導者の会 設立1周年記念セミナー「認知症と動機づけ」〜そそる力と必然性の創出〜の中で行う講演である。
無題
しかし僕の講演は、認知症の方に対するケアとは直接関係ないもので、「職員が良質なサービスを担保するために必要な育成支援〜介護施設における人材育成のポイント〜」というテーマをいただいている。

そこでは育成教育の過程においては、対人援助に向かない人を見極め、振るい落とするのも大切な視点であることも示したうえで、単なる人員合わせではなく、対人援助に求められる人材を人財に育てる視点と、具体的方法論を示したいと思う。

人員合わせだけで雇用され、十分な教育訓練を受けないまま漫然と作業的介護を続けている人によって、一番傷つけられていのは認知症の人であるということにも触れて話そうかと思っている。

タイムスケジュールは以下の通りである。
開場12時30分
13時00分〜13時40分
「認知症の状態にある方の支援」〜実践例に学ぶ、入居者・利用者を動機づけたそそり方と必然性〜
「講師」盒 秀明[一般社団法人千葉市認知症介護指導者の会 理事・特別養護老人ホーム裕和園統括課長]
「講師」寺 一永[千葉市認知症介護指導者]

​13時45分〜14時45分
「職員が良質なサービスを担保するために必要な育成支援」〜介護施設における人材育成のポイント〜
「講師」菊地 雅洋 氏[北海道介護福祉道場 あかい花 代表]

14時45分〜15時00分
休憩

15時00分〜15時10分
「一般社団法人千葉市認知症介護指導者の会エピローグ及び紹介」

15時10分〜16時20分
「スペシャル対談」〜生活支援場面での取り組みと職員の育成〜
「講師」菊地 雅洋 氏 / 梅本 聡 氏[一般社団法人千葉市認知症介護指導者の会 会長・株式会社キューシップ代表]

80席限定で無料参加できるそうである。それでは会場でお愛する皆様、明日はよろしくお願いします。
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介護事業者にも、「教場」が必要です。


来週の日曜日・3/7に千葉市ハーモニーホールで、「職員が良質なサービスを担保するために必要な育成支援〜介護施設における人材育成のポイント」というテーマで講演を行ないます。

そのため昨日は一日中家に籠って、講演スライドを完成させるべく作業に専念しておりました。おかげさまでスライドは完成し、あとは推敲の手を入れて講演主催者に送るだけとなりました。

その講演は一般社団法人・千葉市認知症介護指導者の会設立1周年記念セミナー、「認知症と動機づけ〜そそる力と必然性の創出」の中で行うもので、講演の後は千葉市認知症介護の会・梅本聡会長と、「生活場面での取り組みと職員の育成」というテーマで対談も行います。

感染予防対策を十分行ったうえで、会場に人を入れての研修会となりますが、主催者によると密をできるだけ防ぐために、一部リモートも使って別室でも受講できるようにするそうです。千葉市でお愛する皆様、当日はどうぞよろしくお願いします。

その講演では人材育成について語りますが、僕の講演は理想論を一切廃した実践論です。介護の場で実際に役に立つ本音の講演です。ですから人材育成についても本音で、現実的なお話をします。

だからこそあえて言いますが、どんなに教育システムが整えられ、有能な教育スタッフを揃えていようとも、そこで教育を受ける人全員に教育の効果があらわれ、スキルアップして求められる人材になるなんてことはあり得ません。育成システムがしっかりしておれば良い人材に育つと勘違いしてはならないのです。

介護人材教育とは、その過程で対人援助に不向きな人を見極めて、振るい落としていく必要もあるのです。特に採用の際にハードルを低くしがちな介護事業では、この見極めとふるい落としが重要になるのです。

このブログの読者の皆さんの中には、昨年と今年の正月、フジテレビで放映され話題となった木村卓也主演のドラマ、「教場」を御覧になった方がいると思います。そのドラマは長岡弘樹の小説が原作ですが、舞台となっているのは警察官の育成の場である警察学校です。原作の中で主人公はこう言っています。「警察学校は、優秀な警察官を育てるための機関ではなく、適性のない人間をふるい落とす場である」と・・・。(ドラマでも木村が演じる教官が同じセリフを語っています。)

その言葉は事実なのです。本物の警察学校でも、毎年一定数の生徒が教育期間中に辞めていくのです。国民の生命・身体及び財産の保護、犯罪の予防、公安の維持にあたる警察官の採用時に、不適切な人材が見極められずに含まれていることを前提に、そのふるい落としを行うために厳しい教育・訓練が行われているわけです。

採用時のハードルが高い警察官でも、人の命に深く関わる責任を考えて、そのようなハードルを設けているのです。

しかし介護事業者は職員募集に応募が少なく、慢性的な人員不足になっているため、募集に応募した人を採用時に人材の見極めを行わずに闇雲に採用するという傾向があります。また採用後の使用期間に人物を見極めて振るい落とすことをしていない事業者が多いです。

むしろ人員配置に支障が来さないように、人材であろうと、単なる人在であろうと、他人に仇をなす人罪であろうと、辞めないように教育もおざなりに済ませ、指導・注意さえ行わないという経営者や管理職が多いのも事実です。対人援助という人の暮らしに深く介入する職業に就く人間が、単なる数合わせの視点で、まともな教育も受けずにいてよいはずがありません。

それではよい人材が育つのは至難の業になります。仕事のために手足を動かすより、職場や他人の不満のために口を動かす時間の方が長い人によって職場の雰囲気は悪化し、仕事ができる人の負担が増します。

志の高い人が、「浮いている」と揶揄され、丁寧な仕事ぶりに対して、手際が悪いと罵声を浴びせられる職場で、どのような教育を行っても人材など育つはずがないのです。

職場の戦力となるだけではなく、将来戦力となる人を数多く育ててくれる、「人財」となり得る志の高い人をバーンアウトさせないために、対人援助に向かない人を見極め振るい落とするのも人材育成では大切な視点となることを理解しなければなりません。

そうしたふるい落としが行われている職場では、人材から人財となる人が数多く生まれるのです。ふるい落としの過程で一時的に人員配置が厳しくなる時期があったとしても、その時期を乗り越えてしまえば人材教育がきちんとできていることや、お客さ様に対して麩季節で品質の高いサービスを行っていることが評判を呼び、スキルの高い人材が集まってきます。

何より仕事もできないのに口だけ達者で、対人援助とは呼べないような乱暴な対応をする職員がいるというストレスがなくなりますので、志が高く適切な介護知識と技術を得たいという動機づけのある人が定着します。中・長期的に見れば、人材のふるい落としを行っている介護事業者の方が、人材確保に困っていないという事実があるのです。

どうか自分がいる職場をそのように導いてください。働く者たち・介護を受ける方々、双方が気持ちの良い介護サービス事業をつくってください。

そして最後に、「人罪」としか呼べない職員がはびこる職場で、そういう職員のストレスにさらされながら働き続けている志のある人々に言いたいことがあります。

介護サービス利用者とその暮らしを護ることはもちろん大事ですが、自分の心と体も大切にしなければなりません。何より自身が抱く、介護という職業に対す誇りと矜持を護る必要があります。ですから人罪のような人物がはびこり、利用者に対する乱暴な対応や、流れ作業的介護に終始する状態を変えようとしない職場、ちっとも変わらない職場には、見切りをつけなければならない時期があるのです。

自分の心と体を護るためにも、利用者を護ろうとしない介護事業者からは離れ、もっと真剣に対人援助に取り組む事業者で自分自身を磨いてください。そうした動機づけの転職は、「天職」に結び付くポジティブなステージアップであると思います。
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真の人材発掘

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叱ると辞めてしまう人は、いらない人


介護人材確保が経営課題となっている今日、今いる従業員が辞めてしまうことは、大きな痛手だと思っている経営者が多い。

勿論、事業者にとって誰にも替え難い人材が辞めてしまうのは人材流出でしかなく大問題であるし、人材不足の解決のためには、職員の定着率向上が大きな課題であることは今更言うまでもない。

だからと言って人物評価をおろそかにして、誰でもよいとして闇雲に採用すればよいということにはならないし、採用時の評価が完璧で間違いのない事業所なんかないのだから、採用後の振るい分けが必要ないということにはならない。

入社前に期待していた能力が入社後には全く発揮されず、担当業務をいくつか変えても勤務成績が上がらないという人は必ず出てくるのだ。

そういう人物については、試用期間に適格性を判断し、合理的理由による解約権を使用者が行使する必要がある。

対人援助サービスに向かない、スキルの低い人間を、ありもしない将来の教育効果を期待して残しておくと、結果的には他の職員に負担がかかるだけではなく、虐待・不適切事例がいつ起きるかもしれないような経営リスクに直結するからである。

よって試用期間中は、しっかり人物を見極めるために厳しい教育訓練が不可欠であり、根拠にも基づく援助技術指導に対する教育効果が十分に表れない場合には、「叱る」という教育的指導も必要になるのである。

そうした中で簡単にやめていく職員は、将来事業者にとって必要な人材にはならないのだから、やめてもらってよい人だという割り切りが必要だ。そうした早期離職を恐れて、叱ることができないのでは、教育はあってなきがごとき状態に陥ってしまう。そういう事業者に良い人材が集まることはないし、人材不足は永遠に解決しなくなる。

そもそも叱るとは、「良い方向へ導こうとする」という意味を持つもので、教育的指導を表す言葉である。それは腹を立てて感情的に怒りをぶつける行為とは根本的に異なったものである。

人を叱ることなんて、本当は誰もしたくはない。嫌われる行為は誰しも避けたいからだ。それでも叱る理由は、叱る相手の人間的成長を期待するからにほかならず、それは何より愛情ある行為と言えるのである。

そのことを理解できずに、叱られて簡単にやめてしまう人は、そもそも対人援助に向いていない。愛情を理解できない人に、愛情を持って人に接することなんてできるわけがないからである。

介護という行為は、科学的根拠が求められる行為であり、愛情なんて言う目に見えない非科学的なものに頼っては駄目だという人がいる。しかし愛情・人間愛というエッセンスに欠けた行為は、人を決して幸せにしないのである。目に見えない人間愛のない行為を繰り返すことで、感覚を麻痺させ、デリカシーに欠けた行為が行われるようになる。そこでは人が傷つく行為を悪気なく行ってしまう人間が出来上がってしまうのである。

介護業界ではいまだに虐待防止が研修テーマとなっているが、その理由の一つには、当事者が虐待とは思っていない行為で、利用者を傷つけているという事実が存在するからである。

しかし人に関わり、個人のプライバシーに深く介入する職業についている人にとって、そのような鈍感さは許されない。だからこそ人を傷つけることがないための基盤となる人間愛を伝えることは避けて通れない人間教育なのである。

管理職は教育場面でも、部下に思いを伝えるために丁寧に説明して、厳粛に実行する覚悟が求められる。その際に、「叱る」という行為を排除して、自分が嫌われないように逃避することは許されない。むしろ業務上必要な注意をして、それが理由で辞めていく人罪は辞めてもらった方が良いと考えて、愛情を持って叱るべきなのである。

職場環境を良い状態に保ち、職場内の人間関係を豊かに保つためには、決めごとを決められた通り実行する習慣づけが不可欠であり、すべての従業員が行動・言葉・考え方を美しくあるよう心掛けるようにしつけることが重要になってくるのである。

このことを理解せず、従業員がいつ辞めてしまうかを気にかけながら、間違った行動や、誤った姿勢を叱ることができる上司がいない職場に、明るい未来は決して訪れることはない。

さすれば自分の職場の上司が、仕事も満足に覚えず、丁寧に顧客である利用者に接することもできない部下を、叱りもせず、行動変容も促さない職場には、いつまでもとどまっている必要はないと言えるのである。

対人援助のスキルの高い人であればあるほど、自分のために、どうしようもない職場と上司に見切りをつけることがあっても良いのである。
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抜本的介護人材対策のない介護離職ゼロ社会は実現不可能。


政府は2日、第2次安倍政権が2015年から旗印に掲げていた「介護離職ゼロ」について、「引き続き、実現に向けた取り組みを進めていく」とする答弁書を閣議決定した。

しかしこの政策を実現するためには、「介護人材確保」が絶対条件である。しかも今行われている施策や、考えられている施策では不十分で、もっと抜本的で革命的な施策が必要である。

特に地域包括ケアシステムにおいて、「在宅ケアの限界点」を引き上げ、高齢者ができる限り住み慣れた地域で暮らすことができるためには訪問介護が不可欠だ。

ところがこの訪問介護はすでに枯渇状態だ。訪問介護員の全体の平均年齢は55.5歳である。しかも50歳以上が全体の73.0%を占めており、20代は1.0%という現状は、近い将来このサービスが消滅する危険性が高いことを意味している。

そもそも訪問介護員は、なぜこのよういびつな年齢分布になっているのか。その答えは簡単だ。その理由は、2000年にスタートした介護保険の創設時に、主婦層でヘルパー2級資格を取得する、「ブーム」が起きたことに起因しているのである。

2000年前後に、当時の30代・40代の主婦がヘルパー資格を得て、増え続けていた訪問介護事業所に雇用されるケースが目立っていたわけである。

その人たちが20年を経て、50代〜60代になってきているにもかかわらず、それに続く若い人たちが訪問介護員という資格に魅力を感じずに、ヘルパー2級講座に替わる現在の初任者研修は人気がなく、講座を開いても受講者が集まらない状態のところが多くなり、新たなヘルパーの成り手がないという状態が続いているから、訪問介護は絶滅危惧職種になっているのだ。

ここに手を入れない限り、地域包括ケアシステムは崩壊するし、介護離職はゼロにならない。対症療法的方法ではなく、大手術による改革が必要なのだ。

他のサービスと比べて、決して報酬が高いと言えず、むしろ低いとさえいえる訪問介護に限って、従事するために資格が必要だということがおかしいのである。本来唯一資格を求めるような職種・サービス種別であるなら、それは他の職種やサービス種別に比して、報酬が高くなければならない。そうなっていないといういびつな状態をなくさないとならない。

そもそも初任者研修受講条件の資格なんて、サービスの質を担保するほどのものではないのである。介護施設の介護職員は無資格でも構わないとされ、そのことで大問題が起きているわけではないのだから、訪問介護員にだけ資格が必要であるというルールなんて失くしてしまえばよいのである。

それができないのは、初任者研修を開催する主体の利権絡みかと疑いたくもなるというものだ。

訪問介護員に資格は不要とする改革からまず始めねばならない。コロナ禍特例で介護職の経験があれば資格のない者にも、訪問介護サービスを認めたことを橋頭保にして、ここの改革から取り急ぎ始める必要があろうというものだ。

ところでこの介護人材問題に関連しては、厚生労働省が来年度から、これまで他の業界で働いていた無資格の人が介護現場へ参入するのを後押しする施策として、新たに「就職支援金」を貸し付ける考え方を示している。

無料で受講できる研修を修了することを条件に、最大で20万円を支給し、介護職員として2年間従事すれば返済を全額免除するというものだ。

コロナ禍で失業者が増え、有効求人倍率が8カ月連続の減少で、2014年1月以来、6年7カ月ぶりの低水準となっている現在も、介護事業者の求人率は高いままなのだから、この支援金は一定の効果があり、他業種からの介護事業者への転職者を増やす効果はあると思う。

しかし20万円という金額は、介護の仕事に就くきっかけになっても、それを返さなくて済むように最低2年は働こうという動機づけになるほどの金額ではない。

だから問題はその後だ。未経験者が介護の知識や技術を獲得し、安心して働くことができ、永くその職場に定着できるかどうかは、ひとえにその職場に置ける教育システムの在り方にかかっている。(参照:間違いだらけの基礎学習&OJT

このことに関連して、来週の火曜日(10/6)19:00〜UCHIDAビジネスITオンラインセミナー介護施設における人材育成のポイントは?」をYouTubeで配信予定である。

申し込みはまだ受け付けており、申し込んだ場合は誰でも無料で受講できるセミナーなので、興味のある方は是非、張り付いた文字リンクからお申込みいただきたい。来週配信するのは、OJT指導のポイントであり、指導する人・指導される人、両者にとって有意義な内容になるように努めている。

このように介護事業者における職員確保のための工夫・募集の方法、介護職員の定着につながる教育などについても講演テーマとしているので、講演等を希望される方はメール等でお気軽に相談いただきたい。

直接出向いて行なうスタイルであっても、オンラインであっても、希望に沿った形で講演は受け付けているので、是非ご一報願いたい。
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人材育成オンライン講演の質問に答えます


僕が<福祉・介護部門>の講師を務める、内田洋行主催 UCHIDA ビジネス IT オンラインセミナーは好評のうちに2回目の配信を終えた。視聴者数も150名を超えており、3回目はさらに増える予定だ。

来週火曜日(10/6)が第3回目のオンライン講演となるが、その際は生配信となりチャット形式でリアルタイムに質疑応答ができるので、引き続き視聴願いたい。文字に張り付いたリンク先に申し込めば、今からでも無料で視聴可能となるので、お気軽にお申し込みただきたい。

第3回目のテーマは第2回に引き続いて、「人材育成」となっているが、今回は実際に介護の場で技術指導をする介護リーダーや、一般職員向けの育成講座だ。間違いだらけのOJTをいかに正して、人が成長し定着する育成法に変えられるかを具体論として話す予定である。是非楽しみにしていただきたい。

このオンライン講演は、11月の第4回目、「介護事業のサービスマナー」を持って一旦終了することになっているが、好評を博して視聴者数も増えていることから、続編が予定されている。

来年1月と2月に、介護報酬改定について解説するオンライン講演も行う予定になっている。12月中に改定率が公表され、1月中に諮問・答申が行われて、各サービス種別別の報酬単価も出揃うことになるが、それを見越して1月と2月に配信をする予定にしている。そちらも是非期待してほしい。

さて今月16日に配信した講演は、8月の第1回配信の際に録画したものだったため、質疑応答ができなかった。そのため視聴者の皆様から視聴後のアンケートをとらせていただき、コメントや質問をいただいている。

オンライン講演No2(2020.9.16 配信)〈第 2 回〉介護施設における人材育成のポイントは?に寄せられた受講者アンケートの結果はこちらをご覧いただきたい。

ここで質問された内容について、この場を借りて答えさせていただきたいと思う。

No4のご意見として、『「キツイ仕事」「60 歳の自分の仕事姿を想像できない」と中年の退職がありました。』と書かれている。

介護の仕事は肉体的にも精神的にもきつい仕事で、シフト勤務もあり、年を取るごとに厳しくなるのはその通りであるが、そのように考える人にこそ、当日の講演スライドで示した、「レベル指標」を活用して、介護の仕事を続け、スキルアップしていく先に、それぞれの希望に応じたゴールや、違う働き方にたどり着けることを示すことで、考え方も少し変わるのではないだろうか。

さらに4回目の講演で、サービスマナーについて話す予定になっているが、親しみと馴れ馴れしさを勘違いした素人レベルのサービスから脱して、介護のプロとして関わることで生まれる新たな介護の可能性や、プロの仕事の結果を感じる喜びを伝える予定なので、そちらも参考にしていただきたい。

No40のご意見として、『新人職員が現場に入る前の座学に対しては、非常に理解できますし、そうあるべきと思っています。しかしながら人がいない状況で、座学の講師に人がとられることで、現場が回らないところもあるかとおもいます。なにか良い方法などあればアドバイスお願いします。』と質問されている。

ここが一番の肝である。座学による基礎学習の重要性は理解できるが、人がいないから時間がとれないという事業経営者は非常に多い。しかしこれはもう、「覚悟」の問題と言って過言ではない。

そのような言い訳で座学による基礎学習をおざなりにしている結果、介護技術を覚えて安心して働くことができるかどうかは、個人や指導者の能力差によって左右され、安定した教育効果があらわれず、結果的に人材が定着せず、いつも人が足りず、いつも人を募集し続ける結果に陥る。

そんな介護事業者が多いからこそ、基礎学習を座学でしっかり行うことができ、一定期間介護実務に携わらずに基礎を学ぶ帰途ができるということが他事業所との、「差別化」にもなるのだ。

第1回配信の、「人材確保」がテーマの講演で話したように、現在の我が国の状況では、外国人労働者や実習生をいくら採用しても、全介護事業者の人材・人員が充足することはあり得ず、人材確保でも、「勝ち組」・「負け組」に分かれざるを得ないわけである。

だからこそ、「人材確保」の「勝ち組」になるためにも、育成システムを整え、それを売りにして職員を集め、実効性のある教育を行うことで職員が定着するのだということを肝に銘じ、人が少なくつたい時期でも、いきなり新人を就業初日から介護の場に放り出すような特攻介護をやめて、きちんとした教育期間を定めて訓練してからOJTにつなげる覚悟が求められるのだ。

人がいないから教育が十分にできないという言い訳をやめて、人がいないからこそ、その状況の改善を図るために、今は歯を食いしばって、人がいない中でも新人はじっくり育てるのだという覚悟がないと何も改善しない。しかし一たび、その覚悟を持って教育・訓練を充実させた先には、必ず明るい未来があると信じて取り組みを始めてほしい。

事実、新入職職員の基礎座学を1月以上かけて行っている社会福祉法人があり、そこには入職希望者が途絶えないという例もあるのだ。この人材不足の折に、入職希望者が待機している法人が存在し、その法人の最大の売りは、安心して働くことができる知識や技術を、「介護未経験者」であっても、新人教育の期間で身に着けることができるということなのである。

基礎座学〜正しいOJTは、職員採用に応募が増え、採用した職員が定着するためには必須のアイテムであることを理解してほしい。

そして「座学の講師に人がとられる」という問題については、この部分は外部の教育の専門家に任せれば解決する問題である。基礎座学はお金をかけても良いのである。そのことで職員のスキルアップが図れ、定着率が高まるのなら、採用にかける費用も減らせるので、死に金にはならないからだ。

例えば、 Indeed等の求人支援サイトにお金をかけて登録して、多少の応募が増えたとしても、応募した職員が定着せず短期間で辞めて、結局職員の巡回速度が高まっただけで、人材不足が解消していないという事業者は多い。それよりも、良い人材が就職したくなって、定着できる職場づくりを目指すべきだ。

その為に大事な基礎学習であるからこそ、実効性を高めるために外部の専門家により指導教育をしてもらうという考え方は必要だ。実務経験が豊富で講師業を専門にしている人であれば、実務に即した専門知識を与えてくれるので、教育効果も高まる。内部の職員で任せられる内容と、外部講師に委任する部分をしっかり区分してプログラムを組むことも、大事な要素ではないだろうか。

サービスマナーや、介護実践家としての使命や看取り介護等に関することなら、僕に依頼してもらっても大丈夫だ。どちらにしても、基礎学習に使うお金は投資として必要不可欠なお金だと考えて、きちんとお金をかけて良いシステムを作るべきである。

さて来週火曜日:19時〜の3回目の配信講演では、正しいOJT指導でについて話をする予定である。

わからないことがあったら何でも質問してください」という指導法が、いかに駄目かを明らかにするので、ぜひお楽しみにしてほしい。
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間違いだらけの基礎学習&OJT


本題に入る前にお知らせを一つ。一昨日紹介した、配置基準緩和案についてのアンケート結果について、たくさんの皆さんから、自分のブログ等で紹介しても良いかとか、内部資料にデータを使わせてもらってよいかなどという問い合わせをいただいている。

リンク先のデータ情報や、コメント内容などはどうぞご自由に使って結構である。リンクを貼りつけるのも自由である。皆さんからいただいた貴重な意見なので、どうか自由にお使いいただき、広くその声を様々な場所に届けていただきたい。なおリンク先の紹介などの連絡や礼なども一切必要ないので、気軽に利用してほしい。

簡単に言えば挨拶なしに、どんどん勝手にお使いになって構わないということだ。

なおCBニュースの連載にもアンケート結果へのリンクを掲載したが、その連載記事は現時点で週間アクセストップになっているので、こちらの文字に張り付いたリンク先を参照願いたい。

さて本題。

介護事業者が雇用する人の中には、他業種から転職してくる人も多い。

人手不足が常態化している介護事業者は、「未経験者歓迎」というスローガンを掲げて、職員を募集しているところも少なくない。その謳い文句を信じて資格も経験も全くないまま、未知の、「介護職」に挑戦する人も珍しくない。

そういう人たちに本当に親切に介護の知識や技術を教えたうえで、仕事をしてもらえる環境が整っているだろうか。未経験者を歓迎するとしたら、未経験者もシッカリとした技術を身に着けて、安心して介護サービスの場で働けるように育てる義務があるが、その義務を果たしているのだろうか。

どうもそうでない介護事業者が多そうだ。

未経験者を歓迎するとして、未経験者をいきなり介護現場に放り出して、知識も技術もないままの状態で、先輩職員のやり方を見ながら、わからないことは聴いて覚えるというのでは、あまりに乱暴であるし、それは教育訓練にはなり得ない。育つも八卦、育たぬも八卦という世界だ。

そうしないために僕は、新人教育は座学による基礎学習を経たうえで、その基礎学習を実地の場で確かめるOJTにつなげることが大事だと繰り返し主張してきた。しかしその座学による基礎学習を、単なる事務連絡と勘違いしている事業者も多い。

年金や社会保険の説明は基礎学習ではない。就業規則の説明は基礎学習として大事ではあるが、それが中心ではない。介護職員ならば介護技術を座学でしっかり学ぶ時間を十分とらねばならないのである。

介護マニュアルも、それはOJTに入った段階から使うツールと勘違いされても困る。介護マニュアルは、座学による基礎学習の段階で、しっかり頭に叩き込む必要があるのだ。目と耳で学んだマニュアルの方法を、実際の現場で試してみるのがOJTであることを忘れてはならないのである。

そしてOJTにおける指導職員は、その指導法を学んだうえで教育を担当する必要がある。「わからないことがあれば質問して」は、駄目な教育の典型であることも知っておかねばならないし、相談の仕方を教えることも指導の中には含まれてくる。そのことをしっかり理解しているだろうか。

そうした職員育成・指導教育の在り方について、現在内田洋行主催のオンラインセミナーの講演で具体的に語っているが、その3回目の講演が10/6(火)19:00〜20:00に配信予定だ。

今回は介護リーダー・一般職員向けの人材育成方法がテーマである。文字に張り付いたリンク先から申し込み可能であるが、どなたでも無料で視聴可能なので、前回までの講演を聴いていない方も、この機会に是非申し込みいただきたい。(申し込みはこちらの福祉からどうぞ。)

下記のユーチューブ画像は、前回の講師紹介と、僕の講演の冒頭部分である。参照していただければと思う。
(司会者による講師紹介)


(経営者・管理職向け人材育成セミナーの冒頭部分)

いずれも30秒程度の短い動画なので、試しにぜひ一度ご覧になったうえで、オンライン講演の参加申し込みをいただきたい。

またこうした人材育成講演は、職場内の研修として行うことも重要だ。そうした研修講演もオンラインを通じて行うことができるので、講師希望の方は是非お気軽にメール等で相談いただきたい。連絡は、僕の公式サイトの右上の✉マークをクリックするか、グレーの帯になっている部分に書いてある連絡方法を選んでいただきたい。

講演テーマは、講演予定・履歴を見ていただければ、多彩で広いテーマでお話しできることがわかると思う。僕一人で複数のテーマを一度の講演で話すこともできるので、一度相談いただければありがたい。
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他業種からの転職者が介護の仕事を続けたいと思う動機づけ


コロナ禍で職を失うなどして、他業種から介護事業者に職を変えた人の中には、介護の仕事を、「腰掛け」程度に考えている人も多い。

就職先を探す過程で、たくさんの介護事業者が職員募集をしていることが目について、そこは資格も経験も必要なく働くことができる場所だと知って応募し、面接を受けてみると、思ったより簡単にその場で採用が決まり、都合の良い日からすぐに出勤してほしいと言われたので、とりあえず就職することにしたと言う人も多いはずだ。

その人たちは、働いてみて自分に合わないと感じたり、自分が本当にしたい仕事ではないと感じた途端に辞める人かもしれない。そうではなくともコロナ禍で失われた元の職業に、コロナが終息した後に戻りたいと考えている人かもしれない。

そういう人たちの中にも、昨日書いた記事で指摘したように、きちんとした知識を与え、技術指導を行うことで、介護の職業にプロ意識を持って臨めるようになることが、介護の職業を続けようとする動機づけの第一歩となる。

きちんとした指導方針があって、時には厳しい指導を伴い、結果を求める学習過程で零れ落ちる人が出てくるのは、介護の職業に向かない人を振るい落とすという意味で意味があることだ。この過程をおざなりにして、「あまり厳しいことを言って、すぐにやめてしまっては困る」と教育・指導責任を放棄してしまう事業者には、「人材」より「人罪」がはびこる結果となり、介護の質が低下するだけではなく、人間関係をはじめとした職場環境が悪化し、別な意味で人員不足が生ずることになる。

だからこそ新人教育は、職場環境を良好な状態に保つためにも必要となるのだ。

しかしそれだけで職員は定着しない。対人援助の場では、自分が獲得した知識や技術によって、利用者が喜んでくれて、暮らしぶりがよくなることに多くの人は喜びを感じ、自分が就いている仕事の意義を見出し、仕事が面白いと感ずるのである。

他業種から転職して介護職に応募する多くの人たちは、その仕事がどんな仕事であるかという実情を正確に把握していない場合が多い。漠然としたイメージとして、介護の仕事は人のお世話をする仕事で、人の役に立つ仕事なんだろうと考えて募集に応募するのだ。

軽い気持ちであったとしても、資格も経験もない自分が人の役に立てるかもしれないという動機づけを持って募集に応募してくる人が多いのだ。

サイコパスのような特殊な例外ではない限り、最初から介護の場で、人を傷つけてやろうと思って就職しようとする人はいないし、一獲千金を狙って介護職の募集に応募する人もいないのである。

多かれ少なかれ人の役に立ちたいと考える人たちが、介護の仕事を自分の天職だと思えるようになるためには、介護サービスが人の幸福に寄与する仕事だと実感できることが重要だ。自分がそこで働くことによって、利用者の暮らしを支えているという実感を持てるかどうかが、介護職員の定着率の向上には重要な要素になるのである。

人の役に立つ仕事に就きたい思って就職した先で、職員が利用者に対しデリカシーのない言葉かけをしたり、乱暴な言葉と態度で接する姿を見て、「介護の仕事って人の役に立たない」と心を折る新人職員は多い。

丁寧な対応ができる職場で働きたいという動機づけを持っている人は、考えられている以上に多いにもかかわらず、将来「人財」となる素質を持つ若者が、先輩職員のタメ口にストレスを感じて辞めてしまうという例も多い。

例えば昨日の記事にコメントがつけられているのでリンク先を参照してほしいが、そのような施設に就職した人は、介護の仕事に面白みなど感ずることができないまま、惰性で働き続けるか、辞めてしまうかの2択しかなくなるだろう。そうなると、たとえ惰性で働き続けたとしても、その職場の介護サービスの品質など良くなろうはずがなく、永遠に職場環境は良くならない。そんな場所に人材が張り付くわけがないのである。

だからこそサービスマナー意識は必要不可欠なのである。マナーのある職員対応から介護サービスの品質は創られ、そこではマニュアルでは決して創ることができない、ホスピタリティの意識が芽生えるのである。

そうなると自然と介護サービスの品質も向上し、利用者に笑顔が生まれ、その笑顔を見て職員も気持ちよく働くことができるのだ。

そういう職場で働くのは、おもしろいし楽しいだろう。だからこそ介護サービスの品質を向上させ、職場環境を良好にする、「サービスマナー教育」は何よりも重要になるのである。

それが証拠に、利用者への接し方が丁寧で、傍から見ても気持ちよく、しかも介護技術が丁寧で、利用者からも信頼を寄せられている介護職員がいる介護事業者は、介護福祉士養成校の学生に人気がある。実習中に丁寧に利用者対応している介護職員の姿に触れて、「あの人に学びたい」という理由で募集に応募する学生は多いのである。

是非そのことを念頭に置いてほしい。職員募集に応募してきた人を闇雲に採用して人材確保ができたと思い込まず、募集に応募者が増えている今だからこそ、きちんとした採用基準を定めるとともに、対人援助としてのスキルを伸ばすことができる職員教育・指導のシステムを作り上げないと、介護事業を安定して続けられなくなるという危機感を持ってほしいと思う。

単なる人員のままで、指導も教育もおざなりにしていると、その人員は決して人材となることはなく、人罪として職場をかき回し、荒廃させるもとにしかならないことを心してほしい。
知恵
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教育的指導とハラスメントはどう線引きすればよいのか


今週火曜から昨日・木曜日まで、「不足感が増す介護人材をどう確保するのか」という記事を、前編中編後編に分けて書いてきた。

そんな記事を今この時期に書いた理由は、この国の介護問題を考えたとき、介護人材不足が最大の課題であるとともに、それは介護事業者にとっても最大の課題であるからである。

だからこそ人材を集めるだけではなく、自らの力で人材を育てるという意識が必要不可欠になることを、それらの記事では強く訴えている。

しかし指導教育の役割を担うリーダーにとって厄介なのは、指導を受ける一部の人の中に、「叱られる」という意味を理解できない人が含まれているということだ。

叱るとは、職制上の部下などの目下の人の悪い点を改善してもらおうと、厳しく注意することをいう。優しく指導することも重要だが、優しい指導だけで態度が改まらない人に対しては、厳しく育てるという視点も必要になってくる。時に叱って改善点を自覚してもらう必要があるのだ。

叱るという行為は、叱る相手の成長を促したり期待したりしているという意味で、ある種の愛情を含んだ行為であるともいえる。感情的に怒ることとは違った行為なのだ。

しかしそれを理解できず、「最近の若い人は、少し厳しく注意をしただけで、すぐやめてしまう」として、叱ることができない指導者がいたりする。叱らないで優しく指導するだけで成長するなら、それで構わないだろうが、叱ったらすぐやめてしまう人の多くは、優しく指導してもさっぱり指導効果が挙がらない人が多い。

辞めてしまうことを恐れてろくに注意もできないという状態は、職場が荒れてサービスの品質が劣化する一番の原因である。

僕は指導者が叱るという行為を一種の、「スクリーニング」であると捉えて、指導者には意識的に厳しく叱らせる場面をつくるべきだと思っている。その時にそれが不満ですぐ辞めてしまう人は、それで良いと思っている。そんな人員が人材に化けるなんていうことはないのだから、採用面接で見抜けなかった成長動機がないという欠点を見抜いて、試用期間中に選別できたと考えればよい。これも、「腐ったミカンの方程式」である。

それは良いとして、厄介なのは叱って厳しく育てる行為と、ハラスメントの区別がつきにくいことだ。

感情的に怒りをぶつけて行動を修正させようとする人は指導者に向かないことは何度かこのブログで指摘しているところだ。根拠ある論理的な説明で行動変容を図るような指導が求められているが、だからと言って教えるものに媚を売るような態度であっては、教育者としての信頼は得られず教育効果はあがらない。

間違っている考え方については、しっかり教育的指導を行わねばならないし、叱って教えることも必要な場面は多い。だからこそ教育指導の役割を持つ人材を育てる過程でも、厳しく育てることと、ハラスメントの違いをしっかり理解できる教育プログラムを導入しておく必要がある。

パワーハラスメントとは、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える、または職場環境を悪化させる行為を指す。

職制上同等の地位にあるものの間であっても、言葉や態度によって相手の人格、尊厳を傷つけ、精神的な苦痛を与える職場での行為についてはモラルハラスメントとされる。

こうしたパワハラやモラハラと、厳しく叱咤激励する行為の明確な線引きは難しく、個々のケースごとの判断に頼らざるを得ない場合が多い。

明確にハラスメントとされる行為の例としては、社員の不適切行動を他の同僚にも周知させるため、「やる気がないから会社を辞めたほうがいいぞ」などの叱責メールを一斉送信するなどの精神的攻撃とみなされる行為が挙げられる。

本人が拒否しているのに私生活のこと(離婚歴等)を詳しく詮索するなどのプライバシーに過度に踏み入り、「個」を侵害する行為はハラスメントと認定されることが多い。

このように見せしめ目的の叱責は侮辱と判断される場合もあるし、退職や解雇、処分をほのめかす言動がパワハラと認められた例もある。

しかし精神的苦痛とは、そもそも相手がどう受け取るのかという問題に帰結してしまうのだから厄介だ。指導側が、「そんなつもりはない」と言っても、相手側が、「ひどく傷つき苦痛によって仕事ができなくなった」とすれば、ハラスメントとされてしまう場合も多いからだ。

「バカヤロウ何やってるんだ」という言葉だけで、ハラスメントとされてしまうことがあるなら、叱るという行為自体ができなくなってしまうと指導側が委縮してしまえば、教育指導なんて形骸化してしまうので、大きな問題と言えよう。

ただ教育指導とは一定の条件が備わった行為だと解釈されており、次の3点に該当する行為は範疇である。
・部下に対し、自らの欠点を自覚させ、併せて長所を気づかせる
・事後的なフォローをすることにより、叱責前の状況よりも引き上げるための努力をする
・叱責や指導の必要性を明確にし、部下に伝える


このことを意識しながら、相手の成長動機を促す視点を忘れないことで、熱心な教育指導をハラスメントと誤解されないで済むかもしれない。どんなに厳しい姿勢を貫いても、そこに人に対する愛情を忘れない限り、憎しみの感情が入り込む余地はなくなるだろう。

どちらにしても人を育てることは、人の成長に感謝することである。教育指導担当者は、叱るという行為の一方で、指導する人の長所を見つけ、長所を認め、結果が良ければ褒めることも忘れてはならない。

人を育てるということは快適な職場環境を作ることだということも忘れてはならない。そのことを目標にして、継続して職場をリードしていくことが大事だ。

すべての職員が一定レベルの仕事ができるように育てること、自分で考えて行動する職員を育てることを目標にして、勇気をもって、温かく、かつ厳しく注意を行うことは決して咎められることではないのである。

叱る勇気を失わないリーダーによって、職場環境やサービスの質が護られることを忘れてはならない。
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不足感が増す介護人材をどう確保するのか(後編)


不足感が増す介護人材をどう確保するのか(中編)より続く》
介護事業者内に教育役としての現場リーダーを置き、OJTツールを使いこなして実地教育を行うことの重要性を書き連ねてきたが、それだけで人材が育成できるわけではない。

そこでさらに必要となるのは、個人のスキル差に目を向けた、「人間指導」の視点である。

マニュアルを機械的に覚えても、感情ある人間に相対するときに、マニュアル通りに事が運ばないことも多い。そのような状況の中で、自分で考え悩み答えを出すことができるスキルを得るためには、わからないことをわからないまま放置せず、その場で一つ一つの答えを見つけて解決していく必要があるし、答えのない問題についても、誰かと疑問点を話し合って、自分の疑問の所在や問題の所在を探す場が必要になる。

サービスの場での実務指導は、振り返りの機会があってこそ血となり肉となるのであって、誰かに質問や相談ができる環境を意図的に作ってやらねば、人材育成は躓くのである。

だからこそ一定期間は指導者が固定化されて根拠あるOJTが行われ、振り返りの相談指導や座学指導が必要である。その頻度は時期によって変えてよいが、1年間程度は新人教育としての座学時間と相談時間勤務時間の中できちんととる必要がある。

同時に指導者は、そうした機会や時間があるからと言って、指導対象職員から自動的に質問や相談がされてくると考えてはならない。

わからないことがあれば質問してください」というのは、駄目な教育の典型例である。

指導者は、質問する知識がない状態が新人職員であることを理解しなければならない。ましてや入職初日に介護技術に関する質問などできる人間はいるはずがないのである。

そもそも質問するというのは勇気がいる行為であり、職場の場合は人間関係がないと質問ができずらくなる。他業種からの転職者は、簡単な業務用語さえわかっていないのだから、自分が何をわかっていないかがわからない状態と言え、そんな人が質問できるわけがないのである。

だからOJTは、質問できない人に対して実施する教育指導だと考えなければならない。そのために必要になるのは、FAQ(よくある質問)である。あらかじめFAQとして想定問答集を作成することを僕は推奨しており、僕の講演ではFAQの作成方法等を示しているので、機会があれば是非受講していただきたい。

相談についても同じようなことが言える。指導者から、「いつでも気軽に相談してね」と言われたとしても、指導されている側としては何をどう相談してよいかわからない。しかも相談の結果、「そんなことも理解していないの」と叱られて終わりではたまらないのである。

また質問に対しては、必ず答えが必要であるのに比べると、相談に対しては答えが必要ではない場合があることを理解せねばならない。相談とは答えを指導者が示すことではなく、相談者と指導者が相談内容をともに考えて、相談者自らが答えにたどり着くことができるように手伝う過程であることを自覚する必要がある。

そのうえで相談の仕方を教えなければならない。良いアドバイスをもらうためには、相談相手に伝える情報と、その伝え方に注意する必要がある。伝える情報が足りなかったり、伝え方が悪かったりすると、よいアドバイスがもらえないのだからこのことは重要である。
(※相談の仕方については、僕の講演を聴いていただきたい。)

一昨日から人材確保や育成に関連した記事を書き連ねてきたが、これらのテーマを含めた内田洋行主催のオンラインセミナーを8月から4月連続で行う予定にしている。貼りつけたリンク先には、現在8月と9月分の案内が掲載されている。8月の人材確保策に続いて、9月は経営者・管理職向けの人材育成についてがテーマである。職員向けの育成実務は10月に予定しているが、管理職も職員もできれば9月と10月の両方を受講してほしい。

誰でも無料で視聴できるオンラインセミナーなので、リンク先から申し込みいただきたい。
無題
内田洋行オンラインセミナー第2回目
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不足感が増す介護人材をどう確保するのか(中編)


不足感が増す介護人材をどう確保するのか(前編)より続く》
人材不足を解消できている介護事業者は、おしなべて人を教えるのがうまいという特徴を持っている。自らの事業者内で戦略になるように人を育て、育った人がさらに後輩を育てるという仕組みができているのである。

介護職の魅力や、やりがいを伝えることができ、仕事を教えるのがうまく、後輩を引っ張っていく人望もあるリーダーがいる職場の定着率は高いということも云えるであろう。

逆に言えば、根拠のない指導に終始し、感情的に怒ることを指導と勘違いしている人が多い職場は、頼れる先輩がいないということになり、すぐに仕事が嫌になって辞めてしまう新卒者が多いというのが、介護福祉士養成校の卒業生を数多く送り出している経験から言えることである。

そうであれば人材が育成され定着する職場の条件とは、新人教育がうまい人が偶然そこに居るという職場ではなく、新人を育てることができるスキルを持った教育担当者を育てるというシステムが先に存在しなければならない。そのうえで、新人を育てる仕組みが言語化され根拠に基づいた育成教育がされていることが重要だ。

そもそも人を教えるにはスキルが求められるのだ。経験があれば誰でも新人教育ができると考えてはならない。感情的に怒りをぶつけるタイプの人間に教育役は向かないし、「見て覚えろ」は教育の質を担保しない。

人材を育てようとするなら、法人内に人材確保と育成を担当する部門を設け、教育役となり得るスキルがある人材を見極め、教育係をつくる担当者を置くことが重要である。その部門が教育係を育成することになるが、教育係が一人しかいなければ指導できない場面や日ができてしまうことを考えると、複数配置していつでも指導可能な状態にしておくことが大事だ。勿論、教育係だけで新人全員を毎日担当できるわけではないので、教育係は自らが新人教育に直接あたるのみならず、自らが担当できない新人を担当させた介護職員の指導役にもなるという役割も持つ。

だからこそ教育係には、役割に応じた待遇を与える必要もある。例えば特定加算は同じaグループで配分に個人差があっても良いので、教育係はより大きな配分にしたり、給与に手当を設けたりすることも大事だろう。ここにお金をかけることは法人の財産をつくることなので、決して無駄にはならない。コンサルタント会社や派遣会社に支払う無駄金を、そちらに回した方がよっぽど良い将来図が描けるだろう。

つまり法人として介護現場のリーダーになり得るスキルのある人材を見極めて、そうした人材を教育係として育て、その教育係が介護の場で新人等の教育に当たるという構図を描くことができるシステムを構築せねばならないのである。

教育係が中心となって行う実務指導はOJTが中心となる。OJTとは具体的な仕事を通じて仕事に必要な知識・技術・技能・態度などを意図的・計画的・継続的に指導することになのだから、人によって教え方が違ってはならず、「根拠ある指導」が行われなければならない。仕事の手順はどのような目的や意味があるのかを言葉で示すことも必要とされる。

そのためにOJTツールとして介護マニュアルが必要になるが、多くの事業者でマニュアルがあってもOJTに使っていないという現状がある。その理由は、書かれている内容が雑多で統一性がなく、わかりづらいという欠点を持ち、実用的なマニュアルになっていないからだ。

そこで僕は介護プロフェッショナルキャリア段位制度の(基本介護技術)を参考にした介護マニュアルを作成して、OJTツールとすることを推奨している。

例えばそれを利用して、食事介助のOJT指導ツールを具体的に作るとすると、「食事前の準備」・「食事介助」・「口腔ケア」の3項目に分けて指導ツールを以下のように作成できる。

1.「食事前の準備
声を掛けたり肩を叩いたりするなどして、利用者の覚醒状態を確認する。
嚥下障害のある利用者の食事にとろみをつけたか確認する。
禁忌食の確認をする。
飲み込むことができる食べ物の形態かどうかを確認する。
食べやすい座位の位置や体幹の傾きはないか等座位の安定を確認する。
顎が引けている状態で食事が取れるようにしたか確認する。

2.「食事介助
食事介助の際には、必ず椅子に座って利用者と同じ目線の高さで介助し、しっかり咀嚼して飲み込んだことを確認してから次の食事を口に運ぶ。
食事の献立や中身を利用者に説明する等食欲がわくように声かけを行う。
利用者の食べたいものを聞きながら介助する。
自力での摂食を促し、必要時に介助を行う。
食事の量や水分量の記録を行う。

3.「口腔ケア
出来る利用者には、義歯の着脱、自分で磨ける部分のブラッシング、その後のうがいを促す。
義歯の着脱の際、利用者に着脱を理解してもらい、口を大きく開けて口腔内に傷をつけないよう配慮しながら、無理なく行う。
スポンジブラシやガーゼ等を用いた清拭について、速やかに行い、利用者に不快感を与えないように注意する。
歯磨きや清拭の後、口腔内を確認し、磨き残し、歯茎の腫れ、出血等がないか確認する。

以上のように評価マニュアルの文言を少しだけ修正するだけで、介助項目ごとに指導すべき内容が明確になる。当然、教育係をはじめとした全職員が、このマニュアルに沿ったケアを実践できなければならないわけだから、介護の質もマニュアルレベルで担保できることになる。

食事介助は、食べさせるだけなら介護経験のない人でも誰でもできる。そのため一部の事業者では、就業初日から技術や注意点も教えることなく、いきなり食事時間に先輩職員の傍らに新人職員を置いて、先輩の姿を見なながら、わからないことを聴きながら、「ながら介助」させることをOJTだと勘違いしている。しかしそれでは正しい介護技術は身につかないし、新人職員は自分のやり方に自信を持てないまま、不安を抱えて介護を続けなければならない。やがてその状態は、我流の介護を良い介護技術だと思い込むか、何もうまくできないと放り出すかのどちらかにつながりかねないのである。

だからこそOJTツールに基づいた、言語化された方法で根拠ある指導を行う必要がある。そうすることで新人職員は安心して介護技術を覚えられ、仕事の手順はどのような目的や意味があるのかを言葉で伝えられる先輩職員に信頼感を持つことができ、仕事が面白くなって、仕事を続けようと思えるのである。

だがマニュアルに基づいたOJTだけで、新人職員が不安なくモチベーションを保ち続けることは出来ない。それ以外に人を育て、育った人が定着するためには何が必要なのだろう。(明日の後編に続く)
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不足感が増す介護人材をどう確保するのか(前編)


介護職員の不足感が一段と強まっている。

介護労働安定センターが毎年実施している「介護労働実態調査」の昨年度の結果が8/7に公表されたが、全体の69.7%の事業所が介護職員不足であると回答しており、過去10年で最高の数字となっている。

不足感が最も高い職種は訪問介護員で、その数字は81.2%にものぼっている。訪問介護員は、高齢化してリタイヤする人が多い反面、若い人にとっては将来がなく魅力に欠けるために成り手がないという問題があり、そのサービス自体の存続が危ぶまれている。しかし解決の処方箋は見つかっていない。(参照:訪問介護員の絶滅を防ぐ手立てはあるのか?

本調査における不足感の数値を高めている最大の要因は、訪問介護員の成り手が急速に減っているということであることは間違いのないところだが、しかしその他の介護事業種別でも介護職員の充足は一番の課題で、それは介護事業経営を継続するための一番の戦略上の課題ともなっている。

この調査が10月に行われていることから、数字は特定処遇改善加算の算定前であるということで、新加算の影響で改善が期待できるかもしれないという声もある。しかし周囲の介護事業者の状況を見渡しても、新加算で劇的に職員募集の応募が増えたとか、待遇が改善されて将来の不安がなくなったというポジティブな声が全く聞こえてこないところを見ると、さほど期待ができないと思える。

介護職員が不足している原因では、90.0%が「採用が困難」と答えており、その理由を尋ねたところ、「同業他社との獲得競争が激しい(57.9%)」が最多となっている。つまりどこの事業所でも介護職員は足りておらず、人材確保の部分でも競合せざるを得ないという実情が表されていると言える。

職員の獲得競争に勝てない事業者は生き残ることができないのである。

我が国の昨年の死者数は137万8906人と過去最高となり高齢者の数も減っているが、それ以上に少子化で生産年齢人口の減少スピードの方が速くなっている。介護の絶対必要量も2040年あたりから減っていくと予測されるが、減ったサービスを支える人員さえも十分に確保できないほど生産年齢人口の減少は急である。そのため介護人材不足の解決の糸口さえ見えないというのが実状であり、日本全国すべての介護事業所の人材不足問題が解決する目途は立たない。

このように人材確保は国の施策に頼ってもどうにもならない問題であり、介護事業経営者や管理職が、「国や都道府県が何とかしてくれる」と思っている事業者は、早晩どうにもならなくなるのだ。介護事業を続けるための人材確保は他の事業者との差別化を図って、法人等単位で独自の解決策を図っていくしかない。

しかし介護事業は人に相対する職業であり、誰でもよいから雇ってできる職業でもない。人に相対するスキルのない人を雇って、まともな教育もしない状態で実務につかせるという、サービスの質を現場に丸投げしてしまう状態では、様々な不適切行為が生ずる可能性が高くなる。

例えば、感情のコントロールができない職員が増えて、暴言が飛び交う介護の場となったときに何が起こるだろう。介護サービスの場には様々な形で情報社会のコンテンツが入り込んでいる。それが人権意識の高まりと相まって、それまで見逃されていたかもしれない小さな不適切行為も、ネットを通じて表に出る社会となっていることを忘れてはならない。

年上の利用者に対して、荒い言葉で対応する職員の姿は、いつネット上にさらされることになってもおかしくないのである。そしてその姿が虐待だと糾弾されることになれば、そんな事業者にあえて就職しようとする人はいなくなるだろう。ますます職員募集に応募がなくなるのである。

介護事業経営者や管理職・指導担当者の中には、人がいないところに、やっと応募があって雇った職員に、あまり厳しいことを言っても辞められたら困ると言う人がいる。しかしまともな教育ができていない状態が、不適切行為をはびこばせる一番の要因なのだ。特にサービスマナー教育をしていない事業者が、虐待報道によって事業が続けられなくなっているケースが増えている。

そもそも対人援助の場で本当に必要とされる人材は、介護サービスを利用する人が邪険に扱われ、尊厳を奪われている職場になんか就職しないし、就職したとしてもそんなところに長くいようとはしない。介護スキルの高い人ほど人を傷つける扱いに対する嫌悪感は強いのだ。そういう人たちは、教育システムがしっかりしていて人権意識の高いサービス提供に努める事業者に集まる傾向にある。

人手不足だからサービスの質が落ちるのではなく、人手が不足すればサービスの質などどうでもよいと考える人しか集まらなくなり、そこからさらに有能な人材が逃げいく。そのような場所は永遠に人手不足が解消されずに、サービスの質はますます低下していき、やがて虐待が生まれ、そのいくつかが表に出て報道されているのである。

つまり不適切行為で事業継続の危機に陥ることを防ぐ対策と、有能な人材確保の対策はリンクするのである。利用者の尊厳を護る質の高いサービスを実現するための人材教育を行っている場所に、有能な人材は集まり定着するのである。そのことはいくつもの事業者で証明していることであり、新人教育としてOJTに入る前の基礎座学で一月を費やして、人材確保に困らなくなった社会福祉法人もある。こうした実効性のある教育システムを完成させる対策には、いくらお金をかけて良いのである。なぜならそのこと自体が法人の財産となるからだ。

一方で、募集広告費にお金をかけて採用人数を増やしても、まともな職員が定着しないのであれば、その広告費は無駄金・死に金である。嫌なことがあればほかの職場にすぐにでも変わってよいと考えがちな派遣職の採用にお金をかけるのも無駄金・死に金である。

お金の使い方を間違ったまま経営している法人は倒産予備軍である。

この違いをはっきり意識して、人材を確保し定着させるためにお金と知恵を使いたいものだ。では職員教育や定着の具体策とは何だろう。介護実務指導ができるOJTツールの内容は、どのような内容になっているかも具体的に示してみよう。(明日の中編に続く)
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介護リーダーの役割をわかっていますか?


介護の職業に就きたいと思う人の動機は様々である。

しかし介護福祉士養成校の入学者の志望動機で毎年1番に挙がってくるのは、「介護職という人の役に立つ仕事に就きたい」という動機だ。

そうはいっても彼ら・彼女らに介護職に対する相応の知識があるわけではない。人に役立ちたいというイメージも漠然としたものである場合もある。しかしその志(こころざし)は良しとせねばならないし、その気持ちをなくさないように、志を実現できる人を大切に育むという役割が教員には求められてくる。

介護実習などで関わる介護関係者にもそのことは理解してほしいし、その志をつぶさないようにしてほしいと思う。されど現実には多くの学生たちが、介護実習という場で志をつぶされたり、くじけさせられたりしている。

だからこそ僕は、介護事業者に勤める全ての職員が手本にはならないと指導せざるを得ない。反面教師として見なければならない職員もいるので、そんな姿を見習う必要はないと教壇から生徒たちに訴えなければならない現実を、すべての介護関係者が恥ずべきことだと認識してほしい。

そんな指導を受けている学生たちは、介護実習の場からいろいろなものを持ち帰ってくる。ポジティブで励みになる指導を受けて、大切な思いを持ち帰る者もいるが、残念ながらそういう生徒は決して多くはない。

某専門学校の介護実習発表会アンケートによると、「利用者をまるで物のように扱って、仕事も全部流れ作業のようになっている」・「人生の先輩に対する口の利き方を知らない〜赤ん坊や幼児に対する言葉かけをする人がいるのに、誰も注意しない」・「理想と現実は違うと注意されるけど、あなたの現実って、そのレベルでいいのと言いたくなる」という批判の言葉が連ねられており、その現実に愕然とせざるを得ない。

しかし多くの学生たちが、そのようは批判の言葉を書きながら介護事業者に就職しているのにもかかわらず、そういう学生たちによって介護現場が変えられたという例は少ない。

志を高く持って卒業していった人たちが、介護の現状を何も変えられずに、批判した現状に甘んじているのは何故だろう。その理由は、それだけ現実のバリアが高いということであり、先輩職員の負の圧力に抗しがたくなってしまうということだろう。

特に介護事業者の現場リーダーの意識が低く、権力だけを持つような状態だと、新人が現場を変えられないうちに現実に流されて、自分が批判していた先輩職員と同じ姿になるか、退職して別な職業に転職するかのどちらかの結果になってしまっているのだろう。

例えば、「介護の恥」で紹介しているような介護リーダーがいる施設に就職してしまった職員は、自分だけが利用者に丁寧に接し続けることは難しくなるだろう。そういう施設に就職してしまった志の高い人は、一日も早く自分の志が生かせる施設に転職するしかないと思う。

希望を失い、自分自身がそのリーダーのような醜い姿になってしまう前に、居場所を変えなければならない。残念ながら、そういわざるを得ない一面を持つのが、介護事業の現状でもある。

志の高い職員がその志を失わずに、その場で成長していく職場には、それなりのスキルを持ったリーダーが必要なのだ。

介護の場におけるリーダーは、利用者対応において誰よりも手本となるサービスマナーを持った顧客対応スキルを身に着けていなければならない。その姿を見ることで、若い人や新人職員は介護の本当のあり様を学び、自身の就いた職業と職場に誇りを抱くことが出来るのだ。

それが介護を職号とする人々の希望につながっていくことを決して忘れてはならないし、リーダーとはそうした、「希望を配るという役割」であることも忘れてはならないのである。
リーダーは希望を配る人
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人材が育たない職場の大きな勘違い


日本経済の状況を見渡すと、コロナ禍によって低迷していた個人消費に下げ止まりの動きがみられるものの、企業部門においては休業自粛要請の解除後も業績は悪化し、景況感は大きく落ち込んでいる。

好景気の恩恵を受けることが少ない北海道内の企業への影響は特に大きく、5月の売り上げ減の幅は8割 にも及んでおり、小規模事業者ほど影響大であるという調査結果も示されている。

そうしたことも影響してか、僕が住む登別市内を管轄とする「ハローワークむろらん」が7月31日に発表した6月の有効求人倍率は、前年同月を0.31ポイント下回っている。しかし介護事業者の求人倍率は下がっていない。

つまり介護事業以外の業種で倒産や解雇件数が増えている中で、介護事業者の求人に応募する人が増える可能性が生まれているのだ。実際に求人に応募してくる人の数が増えていることを実感している介護事業者の求人担当者の声も聴こえてくる。

しかしそこで一気に人員不足を解消できると手放しで喜んでもいられない。応募者の中には介護職には向かない人も含まれているし、教育の手が及ばないスキルの持ち主もいるからだ。

しかも現在の状況から云うと、他に仕事がないから、「とりあえず求人がある介護職でもしておくか」という風に、介護の仕事を腰掛け程度にしか考えていない人も応募者には含まれている。そういう人は、介護事業者に就職して将来に備えてスキルを磨こうという動機づけも持たず、他に良い仕事があったらすぐに転職しようと考えて、まともに仕事を覚えようとしなかったりする。

そういう人を一たび採用してしまうと、他の職員に負担がかかるだけではなく、頑張っている職員の足を引っ張り、職場全体のモチベーションを下げるという、「人罪」となりかねない。そうなると良い人材がバーンアウトして、結果的に今以上に人材確保に困ることになるのだ。

介護事業者の理念やビジョンに共感できない人は、組織の秩序を壊す要素にしかならないのである。

だからこそ経営者や求人担当者は、今だからこそしっかり人を見極め、良い人材だけを採用するように努めなければならない。

同時に採用面接だけで人材を見極めることは難しいのだから、一定期間の試用期間を定めて、その期間は教育期間であると同時に、正職員としての適格性を判断する期間であると認識すべきである。

勿論、試用期間と言えども労働契約自体はすでに成立しており、事業者都合で勝手な解雇はできないが、試用期間中の解雇については、通常の解雇よりも広い範囲で解雇の自由が認められており、合理的理由により使用者が解約権を行使でき、「能力の大幅な不足」や「勤務態度の不良」での解雇は認められるので、その間に見極めるという考え方も必要だ。

しかし介護の経験が全くない人であっても、思わぬ才能を発揮する人もいるので、今の状況はそういう人を見出し、将来の戦力となる、「人財」として活躍してもらうチャンスでもある。そのためには人材育成のシステムがなければならない。それはどういうシステムなのだろうか。

人材が育たない職場には大きな特徴がある。それは経験を積んだ職員であれば、誰でも新人教育ができるという勘違いをしているという特徴だ。そのため新人職員を現場に放り出して、今いる職員が仕事を教えればよいとするだけの行為を、「職員教育」と勘違いしているから、職員が育たないし定着しないのである。

なぜなら、新人教育を現場に丸投げするやり方では、仕事の手順しか教えることは出来なくなるので、業務内容がどのような意味で、そうなっているのかという根本を覚えることができずに、仕事に疑問や不満を感じて辞めていく人が多くなる。辞めないとしても、将来の人財となるようなスキルは獲得できないという状態になる。

そもそも「見て覚えろ」は教育の質を担保せず、育つも八卦・育たぬも八卦という状況しか生まれないのである。教育者には、「教える資質」が必要なのである。教える現場で教育者がやってはならない行為も存在するのである。それらをきちんと教えて教育係を育ててるのかが問題だ。

それらの問題や課題を解決するためにどうしたらよいのだろう。その答えを示すために、今月から内田洋行主催の、「UCHIDAビジネスIT オンラインセミナー(福祉・介護事業者向け)」を開催する。初回は8/19に行う予定になっているが、全4回シリーズの内容は以下のようなテーマと内容を予定している。
UCHIDAオンラインセミナー
セミナー名にリンク先を張り付けてあるので、受講希望者はそちらからお申込みいただきたい。

収録は秋葉原のスタジオで行う予定になっており、僕は約3月ぶりの道外移動となるが、ウイルスに感染しないように気を付けて行動したいと思う。
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咲く場所を変えた花のその後


今日は7月7日で、七夕のイベントを予定していたところも多いだろう。しかし九州は豪雨でそれどころではないだろう。豪雨に見舞われている地域の方は、くれぐれも安全確保に努めていただきたい。これ以上の被害が広がらないように祈ろう。

北海道もあいにくの雨だが、僕が住む地域の七夕は8月7日なので、あとひと月後だ。北海道でも七夕は7/7と7/8の地域に分かれている。彦星と織姫は年に2回出逢えるのだろうか・・・。7/7の7並びなので、この記事の投稿時間も12:12に合わせた。それに気づいた人はいるだろうか・・・。

それはともかく本題に移ろう。僕が主宰する、「あかい花道場」は、もともと5人限定の小さな勉強会なので、コロナ禍においても休むことなく、2月に一度の道場は続けられている。

この道場は、五本のあかい花たちが、日ごろの業務の中で感じた疑問や悩みなどを素直に話し合う場なので、感情のあり様が分かり合える空気が必要である。よってリモート研修という形はなじまない。

だから感染予防対策を十分とりながら、集合研修という形をずっと続けてきている。研修会場は無料で借りられる公民館の一室であるが、それなりの広さがあるため、5人の生徒と僕の6人の距離は十分とることができるし、換気にも気を付けているので、感染の心配をせずに学び合っている。

現在3期生が2年目の学びの最中であり、来年3月にこの五本の花は道場を卒業することになる。それまでに僕の知識をすべて伝えて、彼ら・彼女らなりの介護という職業に対する確固たる思いを形成してもらいたいと思っている。

今月の道場は5日に無事終了した。そして残りは9月.11月.1月.3月とあと4回となってしまった。そろそろ第3期生の集大成に取り掛からねばならない。思い残すことがないように全力で生徒たちに相対しようと思っている。

そんな、「あかい花道場」ではあるが、メンバーの中には悩みを抱えている生徒もいる。その中には人間関係を含めた愚痴に近い悩みもあるが、この道場で学んだことによって、自分たちの職場の問題点が見えてきて、その解決策が見えないことが悩みとなるケースもある。

僕はその悩みに真摯に耳を傾け、考え得る解決法を探す手伝いをする。

現実の職場では、メンバーが学んだ知識をまったく生かすことができない意識の低い職場も多い。

誰かのあかい花になるためには、対人援助の場でメンバーが向かい合った人々の心を壊さないように、最低限のサービスマナーは必要だという観点から、利用者に丁寧な言葉で接することは当然だという意識を徹底する教育をしている。しかし自分が所属している職場のトップにマナー意識が無く、職場全体で言葉や態度の乱れが目立つことに悩みを抱えている生徒もいる。

そういう場所では、トップの意識変化がない限り現場職員の意識は変えられない。いくら僕の生徒が頑張っても、一人の力では変えられないものがある。それだけではなく、頑張って何かを変えようとする人間が、浮き上がっていじめに近い嫌がらせを受けたりすることもある。

そんな環境に置かれた生徒については、ある時期にその職場に見切りをつけることも必要だとアドバイスすることもある。そういう事業者からサービスを受け続けなければならない利用者は不幸だが、そこに居続けても変えられないのであれば、自らの心を壊したり、矜持を失ってしまう前に居場所を変えたほうが将来のためになると思うのである。

そのことは、「今いる場所で咲けないならば、咲く場所を探して居場所を変えて咲きなさい」というブログ記事の中でも考え方を書いているので参照してほしいが、心無い介護事業経営者の存在により、志のある若者たちの介護プロフェッショナル意識がズタズタに切り裂かれ、使命感も誇りも失われていくという実態が少なからずあるのだから、居場所を変えて咲くことも必要な時があるのだ。

その時には新たな職場を選ぶ必要があるが、自分の人脈だけで良い転職先を選ぶことは難しいので、信頼性の高い無料転職支援サイトを紹介している。


今月の道場には、この転職支援サイトを利用して6/1〜新しい職場で働き始めた生徒が明るい顔で参加していた。感想を聞くと、以前の職場とは天と地ほどの違いがあると言って、やりがいを感じながら、毎日仕事が楽しいと言っていた。

その生徒は、「何が楽しいと言っても、介護の質を上げようとする提案は、頭ごなしに否定されずに、みんなが耳を傾けてくれるからやりがいがある。」と云う。利用者に向かって失礼な言葉を掛ける職員が一人もおらず、普通に丁寧に接する職員ばかりなので、ストレスも感じず楽しく働けているとも云っていた。やっと自分に合った良い職場を探すことができたようで、僕も嬉しく思った。

こんなふうに介護という職業に志を高く抱いている人にとっては、給与等の待遇も大事だが、それ以上に自分の目指す介護実践が可能かどうかということが、ストレスなく楽しく働くためには重要なのだと思う。

そういうポジティブな意味の転職は、決して否定されるべきではないのだ。

勿論、安易に職場を変え、それが癖になってその場で咲こうとしなくなるのは問題である。だからこそ、一度転職を決意した際は、次の職場が自分に適したところで、ずっと働ける場所であることが重要なのだから、その際の職場選びは慎重にしたいものだと思う。
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意識は場が育てる


僕が社会福祉の職業を選んだ理由に、高い動機づけがあったわけではない。

その理由や経緯は、自著「人を語らずして介護を語るな(THE FINAL) 誰かの赤い花になるために」の、『道標のない人生ー社会福祉援助者としての自分史を振り返りながら(書き下ろし)』という章に書いているが、高校卒業後にたまたま選択した道が、大学で社会福祉学を専攻するという道だったために、その一連の流れの中での職業選択が、特養の生活指導員(当時の職名)だったというだけである。それはあまり褒められた動機ではないといえるだろう。(※興味のある方は、文字リンク先から送料無料購入できるので、僕の著書を読んでいただきたい。)

今現在全国にたくさんおられる介護関係者の中にも、僕のようにあまり積極的ではない理由で、介護業界の仕事に就いている人も多いのではないだろうか。

そもそもこの業界の人の多くが、崇高な動機づけを持って介護の仕事を選んでいると思っている人がいるなら、それは大きな勘違いである。

介護の職業を選ぶ人が、すべからく特別な思い入れを持っていると思うのも大間違いだ。

勿論、熱い思いと動機づけを持って、介護の職業を選び携わっている人もいることは否定できない事実だ。しかしそういう人が介護の職業を選んでいる人の大多数を占めているわけではない。

多くの人は強い動機づけがない状態で、「なんとなく」介護の仕事を選んだり、偶然に介護の職業に出会ったりしている。

中には、介護の仕事は(訪問介護以外)特段資格もいらないし、募集もたくさんあるので、とりあえず介護の仕事でもしてみるかと、軽い気持ちで選んでいる人もいる。

それは決して悪いことではない。様々な動機付けがあってよいし、様々な理由で介護の職業を選んでくれた方が良いのだ。

問題は、介護の職業を選択する動機づけがどうあろうと、その人たちが定着し、スキルアップできる土壌や環境が存在するかということである。

決して積極的とはいえない動機づけによって介護の仕事を選んだ人が、初めて経験する介護事業の中で魅力を感じて、長く働き続けたいと思うようになり、さらに日常の仕事の中に使命感や誇りを見出して、自己研鑽してスキルアップしたいという、さらに高い動機づけに結び付けられるかどうかということなのである。

しかし介護の魅力とは何だろう。介護の職業にやりがいや面白さを感ずるとはどういうことなんだろう。

介護とは対人援助そのものである。介護サービスを受ける相手がいて初めて成立するのが介護という職業だ。そうした職業において、唯一やりがいや面白さを感じ取ることができるものがあるとしたら、それは介護という職業の中で、サービス提供した相手が良い状態になり、感謝の笑顔に出会ったり、言葉をもらえることではないだろうか。

勿論その意味は、「ありがとう」と言ってほしいとか、感謝の言葉を求めるということではなく、結果的に誰からも感謝される尊い仕事であるということを感じ取れるという意味である。

そういう職場になっているかどうかが問われるのだ。

人を幸せにしない介護の職場では、誰からも感謝されない。そのため誰も仕事にやりがいを感じないし、仕事が面白いとも思えない。そんな場所に人は定着しないし、おもしろくない状態で惰性で仕事を続けるから、サービスの品質は決して上がらない。そこでは不適切で人を不幸にする結果しか生まれなくなる。

そうなると利用者は暗い表情になるし、そこは悲痛な声と悲惨な状態があふれた場所になっていく。そうなると益々、そこでの仕事はやりがいのない、面白みのない、いつでも辞めてよい仕事になってしまう。

仕事に対する意欲が生まれない場所、意識が高まらない場所での仕事は腐っていくのだ。そこでは人間も腐らざるを得ない。誰も頑張らなくなるのが、そういう職場の末路だ。

しかし意識は自然発生するものではなく、場が育てるものであることを忘れないでほしい。

どんな理由であれ、縁あって介護の職業を選んだ人が目の前にいるときに、初めて介護の仕事をする場所で、その人たちの意識の芽を摘まず、育てる必要があるのだ。意識を高めないと芽は育たないのである。

上司や先輩や同僚が真剣に仕事をしている姿を見て、自分も頑張りたいと思う。人の思いが人を動かす。人を幸せにすることにやりがいを感じ、人が笑顔になることを嬉しいと思う先輩たちの姿を見て、自分もそうなりたいと思うのである。

介護の仕事が面白くて、ずっと続けたいと思える職場には、必ず、『ああなりたい』という先輩職員がいる。いつどんな時でも笑顔を忘れず、サービス利用者に対し丁寧な言葉遣いと、丁寧な態度で利用者に接する人の姿が、介護の仕事に初めて就いた人の心を動かし、意識を高めるのである。

介護のプロに徹している人の姿は凛々しいのである。だから憧れ・目指すのである。そういう人になり、そういう職場を創っていかねばならない。

いくらシステムがあっても、それが形骸化しては意味がない。研修を行っているから、人材育成ができていると考えるのはどうかしている。現に研修システムが整備されているのに、さっぱり人が定着せず育たない職場があるのは何故だろうか。人が魂を震わせるエピソードを生まない職場では、人の意識は変わらないからだ。

意識を育てる職場を創りたい方は、いつでもお手伝いをするので講演依頼などの連絡を気軽にしていただきたい。リモート講演も可能である。

それにしてもたまたま就職した場所が、人の意識を高めず、介護の仕事のやりがいを感じられない職場であった人は不幸だ。そういう職場だと気が付いたときは、積極的に職場を変えることも考えたほうが良いだろう。
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介護事業の未来を輝かせる人材がそこに居ます


コロナ禍で、一般参加型の講演会がことごとく中止・延期となってきたが、このところ少しずつ参加型講演会の復活の兆しが見え始めている。

巷では在宅ワークを終了させ、出勤型勤務に切り替えている企業が多く、仕事のスタイルは以前の状態に戻っているのだから、参加型講演会も普通に行われてよいと思う。感染予防のためには、参加者にはマスクを着用してもらって、できるだけ窓を開け、過密にならない距離を取った参加者配置をすれば全く問題はない。そもそも講演会はシャウトするわけではないので、密閉空間でカラオケしたり、ライブを愉しんだりするのとはわけが違うのである。

WEB講演会も当たり前になりつつあるが、僕のように台本のない講師は、会場で受講者の表情を見て、空気を読みながら講演内容を微妙に変えているので、やはりライブが一番伝わりやすい。名刺交換や、その際に雑談することも、講師・受講者双方にとって貴重な時間である。質疑応答も、ネットを通じてはなかなか質問が出てこないが、参加型講演だと手が挙がりやすいし、質疑応答の時間で聞けなかったことを、帰り際に講師に尋ねるなんてことも参加型講演でしかできないことだ。

ネット配信する講演で得るものもあるだろうが、講演会場に自分で足を運んで、講師の生の声を聴き、表情を見ながら会場の反応を肌で感ずることは、学習効果として大きな要素となるのではないだろうか。

人材のスキルアップは、介護事業経営上、最も集客効果が期待できるアイテムであり、事業を支える大切な基盤なのだから、是非参加型研修・講演会を適切な時期に復活させてほしいものだ。

さて人材と言えば、今現在も介護業界にはたくさんの貴重な人材がおられる。昨日の記事で取り上げた、通所サービスとショートの特例算定については、表の掲示板の新スレッドで、さらなる熱い議論が展開されているが、その議論展開を見て、改めてそう思った。

その議論の中心は、介護事業者への感染対応支援策として、『利用者負担』が増えてよいのかという問題である。そこには実際に使っていないサービスの負担が強いられることや、同意した人だけが負担増となるという公平性の問題など様々な問題があるが、あらかじめ定められた法定費用負担を超えた自己負担を、急に強いてよいのかということが議論されているのである。

昨日も書いたが、そこに正解も不正解もないと思う。議論されているスレッドを見てわかるとおり、コメントを書いている人々は、みな真摯に真剣に意見を戦わせており、そこには個人のエゴとか、身勝手さは感じられない。双方の立場で真剣に、どうすればよいかを議論しており、なかには自分や自分が所属する事業者の不利益をあえて選択する人もいる。それは即ち、この国がどういう方向に向かうべきかという議論にもつながるかのような熱い議論である。

コメントを書いてくれる人の知識もかなり豊富だ。論旨明瞭な文章に思わずうなることも多い。

利用者負担増にしても、その額は月に千円に達するかどうかという額である。勿論、その額がとるに足らない過小な額などというつもりはないが、何万円もの国見負担増につながるルール改正等を、さしたる審議もなしに国民に課すこの国で、介護業界には何百円の利用者負担増という問題の是非を巡って、喧々諤々と議論してくれる人々がいるということに注目していただきたい。

政治家にこの議論内容を見せてやりたいと思う。

そのような人材がこの業界を支え、この業界で活躍しているのである。介護事業は厳しい風にさらされることが多いが、こうした人材がいる限り未来は決して暗くない。

希望の光を感じさせくれる人々にエールを送りながら、僕もその人たちの声や姿を多くの方々に伝え、それらの方々の熱い思いを様々な人に届けられるように、もう少し頑張ってみようと思ったりしている。

介護業界の未来を、「暗くて見えない」にするのではなく、「明るすぎて眩しくて見えない」といえるようにしたいものだ。
Webセミナーに参加しやすい時間帯を教えてくださいというアンケートをおこなっています。クリックして回答のご協力をお願いします。

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介護業界から人材が離れていく本当の理由


介護事業者で働く職員の一部からは、サービスの品質の向上が必要だと言うけれど、人材が不足している介護現場で、そんな余裕はないという声が聴こえてきます。

とりあえず人を増やしてほしいという切実な訴えもあります。しかし介護の質をわきに置いて、人集めに躍起になっている場所に仕事ができる優秀な人材が張り付くとでも思っているのでしょうか。仮に人が張り付けたとしても定着するとでも思っているのでしょうか。

そもそもあなたの職場の人手がいつも足りない原因は何でしょうか。人が張り付かない、人が定着しないという原因の検証作業をきちんとしているでしょうか。

あなたの仕事に余裕が生まれるためには、人手がもっと必要だと言いますが、あなた自身はあなたに続く職員をきちんと育てているのでしょうか。あなた自身が新人職員のバリアになって、入職してきた職員が次から次へと辞めていく原因になってはいないでしょうか。

今一度とあなたと、あなたの職場の本当の姿を見つめなおしてほしと思います。

新卒者が今、あなたの職場に入職して新人教育を受けているかもしれません。例えば4/1に初出勤した職員は昨日でまだ1週間しか働いていません。そんな新人さんが、日に日に元気を失っていないでしょうか。日に日に無表情になってはいないでしょうか。

先週末僕の家に、僕の生徒が訪ねてきました。彼女は介護福祉士養成校で僕が教えて卒業させ、4/1にある社会福祉法人に入社した生徒です。しかし入職わずか3日間でかなり介護の仕事に幻滅している様子で、悩みを聴いてもらいたいと切羽詰まった表情でやってきました。

彼女の悩みとは、人の役に立つ仕事だと思った介護の仕事が、ちっとも人に役に立っていないという悩みでした。社会福祉法人という公益性の高い法人が、何のために存在しているのかわからなくなったという悩みでした。

彼女が訴える、彼女の元気を奪う状況とは以下のようなものです。

・利用者に乱暴な言葉遣いをして、介護の仕方も荒々しい先輩職員の姿。
・認知症の人の訴えにまったく耳を傾けようとせず、「助けて」・「どうしたらいいの」と叫んでいる人の声を聞こえないふりをして声もかけずに側を通り過ぎていく職員の姿。
・気分で後輩指導の態度を変える先輩職員。
・利用者の坐位姿勢に全く配慮せず、職員は立ったままで食事を詰め込み、むせこむ人を放置する食事介助
・根拠ある方法とは全く異なる介護が行われている日常


彼女ら新人職員は4/1の入社式前に、「入社前研修」と称する座学研修を先週の月曜日(3/30 )と火曜日(3/31)に受けたそうです。しかしその内容は事務系職員と同じ場で、法人組織の説明や事業内容、健康保険や年金等の手続、就業規則等の説明にとどまり、介護職員に対する実務につながる内容は皆無だったと訴えていました。

こうして介護実務に関する基礎研修もきちんと行われない中で、入職初日から先輩職員が新人に張り付いてOJTの中で仕事を覚えるように指導されているのですが、毎日変わる指導担当者によって、指導内容も介護のやり方も違う中で、感情的に怒ることを指導と勘違いしている先輩職員におびえている姿がそこには垣間見られました。

入職したばかりの緊張感の中で不安が増殖したということもあるでしょうから、励まして引き続き悩みがあるなら相談に来るように助言し、あまりに状況が切迫したら僕自身がその社福の管理職の人と話し合う機会を持とうと思いますが、彼女は果たしてこの法人で働き続けられるでしょうか・・・。

だって相談しに来たのは金曜日の夕方5時少し前。なぜこんな時間に仕事をしていないのか聞くと、就業3日目で早出勤務の実習だって言います。しかも修業したばかりのその週の土・日も勤務だと言います。介護職がシフト勤務だからといって、それはないんじゃないでしょうか。シフト勤務に組み込むのは、ある程度基礎実務研修を終えた後でしょう。僕の施設長経験ではあり得ないことです。

介護人材不足が叫ばれていますが、人材を失わせているのは少子高齢化だけではなく、本当の介護をしない介護サービスの場そのものなのです。人の育て方・教え方を知らない介護事業者そのものなのです。

介護事業者のシステムや、そに居る職員が人材をつぶしているのです。これを変えなけりゃあ介護人材不足は永遠に続きます。

新入職員への教育のあり方は、サービスの品質につながるにとどまらず、定着率にも直結します。人材不足が最大の課題となっている介護事業にとって、最も重要となるのが、人材が張り付き定着する教育システムです。そうした介護人材マネジメントの一環として新人教育・指導のあり方を考えてほしいと思います。

見方を少し変えます。

介護福祉士養成校の国家試験義務化の経過措置がさらに5年延長されたことは、読者の皆さんもご存知だと思いますが、勘違いしてはいけないのは、延長されたのは経過措置だけです。つまり経過措置期間中に国家試験を受けずに介護福祉士と名乗っている人は、経過措置期間の中でしか介護福祉士として認められないので、その間に国試に合格するか、5年以上続けて現場で働くかしないと経過措置が切れたら資格は無くなります。

そんなわけで今年度の卒業生も国試を受けているわけですが、僕が非常勤講師を務める室蘭の介護福祉士養成校卒業生は今回合格率が100%で、全員合格でした。・・・しかし全員と言っても、卒業生はわずかに18人です。北海道の胆振・日高地域という広大な地域に1校しかない介護福祉士養成校の新卒者がわずか18人という実態が、介護人材不足の現状を表しています。

それだけ貴重な人材を、介護事業やそこの従業員が育てずに、その前につぶしてどうするのでしょう。一度介護事業者の中でつぶされた若者は、介護の業界から離れてしまうことだって多いのです。相違ないために、その原因を離職する人間の自己責任にして放置することなく、介護業界全体の財産喪失だとして検証しなおす必要があると思います。

ただでさえ人材は足りないのに、それに拍車をかけるような人材をつぶす要素を、介護業界ではびこらせて放置している状態に、もっと危機意識を抱いてほしいと思います。

※4/4〜新しいブログの名称を変更しました、masaの徒然草始めました。こちらも是非ご覧ください。










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今日入職した職員は今何をしていますか?


今日4/1は新年度の初日であり、多くの介護事業者で新入職員が入職初日を迎えていると思う。

新型コロナウイルスの影響で、入社式を取りやめている事業者も多いが、式典は行われなくとも、新入職員は朝礼などで挨拶をし辞令を交付され、新しい職場で就業第一日目の業務に就いているわけである。

それらの職員は今、何をしていることだろう。

事業者によっては入社日を前に、事前に入職前研修として新入職員の基礎的研修を行っている場合もあるだろう。その場合は入職前に行われた基礎講座をベースに、就業初日からOJTに入っているのかもしれない。そうであればOJTも意味を成すだろう。

しかし就業前の事前研修であっても労働対価は発生するし、労働対価を渡していない事前の義務研修は労基法違反にも問われる。また新人職員の中には学卒者が多いことを考えると、その身分との絡みで3月中の事前研修はなかなか難しく、可能だとしても多くの日にちは割けないのが現状である。

よって多くの場合入職前研修は、基礎研修の体をなさないないような内容に終わることが多く、それを受講したからと言って、就業初日からいきなりOJTというのは厳しく難しいと言わざるを得ない。

そもそもOJTというのは、on-the-job trainingの略で、「職場での実務を通じて行う従業員の教育訓練」である。教育と訓練だから、当然その根拠となるOJTツールに基づいて行う教育でなければならない。単に先輩職員のあとに金魚の糞のようにくっついて、見よう見まねで先輩職員の行っている動作を真似するのがOJTではないのである。

OJTにおける指導者の禁句は、「見て覚えろ。」である。それを言ってはいけない。「これは〜だから、こうしているんですよ。」と説明できる教育・訓練法がOJTとして行われなければならないのである。

このOJTを根拠に基づいてしっかりできている事業者と、そうではない事業者では職員の定着率に大きな差が生まれてくる。当然、前者の定着率が高くなるのだ。

介護福祉士養成校の卒業生を対象に、新卒で就業した職場を1年以内に退職した理由を調査すると、次のような理由がワーストスリーである。

1.介護技術を教えてくれない。根拠のない指導に終始する先輩しかいない
2.経験則だけで仕事の手順を教えるだけの先輩しかいない
3.感情的に怒ることを指導と勘違いしている人が多い


しかしこれらはすべて退職理由としては、「人間関係」と括られてしまうので、教育・訓練の問題とは別問題と捉えられがちである。しかしこれは間違いなく、教育・訓練のシステムが存在していないか、システムがあってもその具体策が現場の職員に丸投げされて、労務管理されていないことに起因する問題なのである。

だから・・・今日、入社式や朝礼で紹介された新入職員を、一定期間現場と切り離した場所で実施されるべき座学による基礎研修を行わないまま、いきなりOJTと称した教育指導にもならない方法で、先輩職員と一緒に介護の真似事をさせている職場には明るい展望は開けない。

そこは近い将来、人材から見放され、顧客からも見放される運命をたどらざるを得ない。介護事業経営に直結する人材育成をおざなりにしている事業者には、人が集まらず定着せず、事業継続ができなくなるのは必然なのだ。それだけ職員教育が重要なのだ。(参照:ウイルス対策を理由に職場内研修をおざなりにできない理由

新型コロナウイルスで大変な状況である今日も、そのことをしっかりと自覚して、新入社員教育に取り組んでいるか、そうでないかで、その事業者の将来性が見えるわけである。

今この日・この時点で、しっかりとした新人教育を行っていない事業者の職員は、今日仕事を終えた瞬間に、きちんと職員教育を行っている事業者を探して、転職準備を進めたほうが賢いだろう。
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人が育ち定着する職場のマストアイテム


人を育てるために職場内での教育は絶対に欠かせないが、正しい教育を行ったからといって必ず人が育つと考えるのは間違った考え方だ。

介護事業経営者や管理職にこの両方の理解がなければ、人が育ち定着する職場は創れない。誰でも採用して、採用した後はどんなスキルの人間であっても、闇雲に働き続けるようにするだけの介護事業経営ではいかんということだ。

一定期間を経ても教育効果があらわれない人の能力を見極めて、介護の仕事に向かない人は途中で辞めてもらうという、「試用期間」の規定をきちんと定めているだろうか。

試用期間中であっても、雇用者側の都合で勝手な解雇はできないが、試用期間中の解雇については通常の解雇よりも広い範囲で解雇の自由が認められており、「求められる能力に達していないとして」ということも合理的理由とされ、使用者が解約権を行使できることは、過去の判例でも示されているわけである。(参照:人材不足だからこそ採用は慎重に

だからこそ経営者や管理職には、試用期間という中で被雇用者の能力を見極めるという考え方が必要だ。それは採用時に、応募者の人となりをすべて見極められないという、ごく当たり前のことが前提になっている。

人を採用したのだから、あとは現場任せの経営では、人材不足が解決することはない。

今の日本の状況を考えると、介護事業者にとって初めから戦力になる人が何人も職員募集に応募して採用でできるなどという奇跡を信じても始まらない。

介護福祉士養成校は、年々日本人学生の入学者数が減っており、卒業生もごくわずかの数で、地域の介護事業者が職員として雇用できる人の数としてみても不十分なのだから、そんなところに人材供給を頼ってもしょうがない。

介護事業者が人材確保するためには広く職員採用の網を広げて、基礎知識や介護技術のない人を含めて採用しないと、介護事業は廻っていかないことを理解すべきだ。

だからこそ職員は自前で教育する覚悟が必要になる。経験と技術のない人を採用して、それらの人たちの個別の能力をしっかり見極めながら育てていくという考え方とシステムがない場所からは、人が枯渇して当たり前だ。

全国のどこへ行っても介護事業の人材不足は深刻で、人材確保が大きな課題であることに変わりがないが、それを嘆くだけではどうしようもない。

そうであるからこそ、自前の人材対策が求められるのだ。国が何とかしてくれるとか、待っていれば状況が変わるなんて考えている介護事業経営者は、即刻引退したほうが良い。そんな人はまもなく自分の甘い見込みが、自分や自分が経営する事業を追い込み、経営が続けられなくなるだけならまだましで、やがてそのことにより絶望して精神や身体を病む結果になりかねないからだ。

経験や技能のない職員を育てるためには、現場でコーチィングができるリーダーが必要であり、経営者や管理者は、まずそうしたリーダーを育てなければならないことは、このブログで何度も指摘してきた。

だからと言ってコーチィングできるリーダーを育てれば、それだけで職員が全員育って、人材確保に困らない事業者にあるという単純な問題ではない。採用時点で人物を見極めないと、いくら優秀なリーダーでも育てられないスキルの低い人によって、職場はかき回され人間関係も悪くなり、良い人材から辞めていくのだ。

採用時点でスキルの低さを見極められなかった人間が、「腐ったミカン」のように周囲の職員を毒していき、良い人材がバーンアウトして行く。そういう職場には手を動かすより先に、愚痴を言う口を動かすだけの職員だけが残る頃になり、不適切サービスがそこかしこにはびこるだろう。

そういう職場に限って、人がこれ以上いなくなれば業務が回らなくなるからと、就業態度が悪くて、スキルの低い職員に注意ができなくなって、何でもありの荒れた職場環境になりがちだ。

悪い態度や間違った行動を叱ると、それを嫌がって辞める人は、これ幸いと辞めてもらえばよいのである。辞めることを恐れて、スキルのない人間に注意ができない職場が、どんな職場になるのかは、さほど深く考察しなくてもわかりきった問題である。そういう職場の経営陣は、職員の不適切行為や虐待がやり玉に挙がって、マスメディアの糾弾を受ける危険性が高まっていることを自覚すべきだ。

人を育てるために厳しく指導する人を慕う職員が増えることによって職場環境は良くなるし、人材は育つことを忘れてはならないのである。

だからこそ人を育てる職場では、育つ気持ちとスキルがない職員を、試用期間中に見極めて解約権を行使するという、「経営者の覚悟」が必要だ。人を育てる能力がないリーダーをその立場から降ろすという、「経営者の覚悟」も求められる。

向かない職員を採用しないという過程では、一時的に業務が廻らなくなるほど人手が足りなくなるかもしれない。その時は一時的にショートステイを休止したり、受け入れ定員数を下げたりする覚悟も必要だ。身の丈に合った事業規模に縮小する時期を経ながら、人材を育て人財を定着させた暁には、元の事業規模に戻して、かつ高品質なサービス提供ができ、顧客から選ばれるのである。

そういう意味では、介護サービスの品質をアップさせるための、「雌伏の時期」を耐える「経営者の覚悟」が必要で、一時的に収益が下がることもやむを得ないと考える、「経営者の覚悟」も必要なのだ。

よって、人が育ち定着し勝ち残る職場のマストアイテムとは、「経営者の覚悟」なのだと言えるのではないだろうか。

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