地域包括支援センターの業務増大に伴い、予防プランの作成業務を居宅介護支援事業所にも申し込めるようにする案が検討されている。
居宅介護支援事業所の予防プラン作成業務を、現在のように地域包括支援センター(介護予防支援事業所)からの委託業務としてではなく、介護プランと同じように直接利用者との契約で行うことができるようにする案が検討されるわけである。
予防ケアマネジメントを居宅介護支援から切り離した際の理屈と経緯を忘れたかのような態度で、地域包括支援センターの業務の都合だけで、制度を変えようとする国の姿勢には憤りを感じざるを得ない。
しかし介護マネジメントと予防マネジメントは、本来切り離すべきではなかったと僕個人は思っているので、居宅介護支援事業所が介護マネジメントと予防マネジメントの両方を所管できるようになることは良いことだと思う。
なぜなら介護マネジメントが居宅介護支援事業所の所管なのに、予防マネジメントは介護予防支援事業所(地域包括支援センター)の所管で、居宅介護支援事業所はその委託業務としてしか予防マネジメントに関わることができないというのは、介護プランと予防プランの分断そのものでしかないからだ。
そのことによって介護保険制度創設時に実現した居宅介護支援事業所のケアマネジャーを窓口にすることで、必要な介護サービスをそこですべてマネジメントできるというワンストップサービスが壊されたことを意味するからだ。
その過ちを修正する良い機会だと思え、ワンストップサービスの復活につながるという意味で、僕自身は大いにその案に賛成である。
しかし14日の介護保険部会では、「その前提として、予防プランの実施状況の把握などについて、包括の一定の関与を担保すべき」という意見も出されている・・・しかし地域包括支援センターが立案している予防プランがすべて、ケアマネジャーが手本とするようなプラン内容になっているとでもいうのだろうか?
介護予防支援事業所の計画担当者が、それほど優れたリーダーシップを取って地域のケアマネジメントリーダーとなっている実態はあるのだろうか?
厚労省資料によると、令和3年4月時点における地域包括支援センターの運営形態は、市町村直営が20.5.%、委託型が79.5%で、かつ委託型がさらに増加傾向にあるとしている。
おもな委託先は社会福祉法人・社会福祉協議会・医療法人等である。つまり多くの地域包括支援センターは、事業規模が大きな法人が受託しているという現状にある。
つまり予防プランの作成能力に長けた人材が介護予防支援事業所の計画担当者とされているわけではなく、地域包括支援センターとして委託を受けている法人にたまたま雇用されている職員が、介護予防支援事業所の業務に就いているに過ぎないのである。
そういう人が予防プランに関与して、予防プランの品質が保たれるというのだろうか・・・。
むしろ委託法人のサービスに予防プラン作成対象者を囲い込んで、他の法人には、自法人のサービス事業所が放り出した困難ケースしか回さない地域包括支援センター職員が存在していたりする。
介護予防支援事業所の予防プランの品質もその程度である。そんな予防プランしか立案できない人物より、もっとスキルの高い居宅介護支援事業所のケアマネなんてたくさん存在している。
よって仮に予防プランを居宅介護支援事業所が直接契約で作成できるようになったとしても、地域包括支援センターが一定の関与を担保しないと予防プランの質が保たれないというようなことはないし、そんな無駄な関与は居宅介護支援事業所の介護支援専門員の業務負担を増やすだけのバリアにしかならない。
そんなバリア創ったならば、わざわざ単価の低い予防プランを居宅介護支援事業所が受ける意欲を失わせかねない。
21年報酬改定で予防支援費に委託連携加算(300単位)が新設されたものの、委託した月のみにしか算定できない費用で、わずか3000円の増収にしかならないことから、この加算の算定率は著しく低くとどまっている。よって予防プランの委託増加にはつながらなかったのである。その二の舞になりかねない。
そうした馬鹿げた関与なしに、予防プランを居宅介護支援事業所に手渡せと言いたい。
今週24日にこのことが介護保険部会で議論されるそうであり、その議論展開に注目したいと思う。
※「どうなる介護保険制度・報酬改革介護業界への影響と対策を探る〜利用者数に影響を及ぼす介護保険制度改正と収益の増減に影響を及ぼす介護報酬改定の影響予測〜」というテーマの座談会が掲載されている、保健・医療・福祉サービス研究会(HMS)の「Visionと戦略が11月20日発行されました。
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