masaの介護福祉情報裏板

介護や福祉への思いを中心に日頃の思いを綴ってみました。表の掲示板とは一味違った切り口で、福祉や介護の現状や問題について熱く語っています!!表板は業界屈指の情報掲示板です。

介護人材確保

みまもり看護システムは安心介護を支えるためにあります(居住系施設編)


24時間見守り看護サービスを行ってる博多の株式会社ワーコンの顧問業務を一旦終了し、今日僕は北海道の自宅へ戻ろうとしています。

今月はすでに博多で2週間近く顧問業務に従事し、近直の3連休も関係なく仕事をしていました。明日、登別市の認定審査会に臨むために北海道に帰りますが、3月6日に博多に戻ってきます。勿論、ワーコンの顧問業務のためです。この会社の事業展開が、日本の介護問題の解決に必要不可欠であると確信しているので、しばらくここに力を入れようと思っているからです。それは人材対策の面で特に求められることだと思っています。

人材不足が叫ばれる中、介護職員の身体的・精神的業務負担の軽減は、人材対策として最も求められることです。特に夜間帯に医師や看護師のいない特養や有料老人ホーム、グループホームなどでは、夜勤業務の不安から職員募集に応募がないところが多いです。

そんな時、24時間看護師が利用者の状態観察を行い、夜勤中も必要な連絡をしてくれるとしたら、職員の業務負担は大幅に減ります。しかも遠隔であっても看護師と直接コミュニケーションを交わして、必要な情報をもらえるという安心感に変えられるものはありません。

つまりワーコンのシステムを施設業務等に導入すると、看護職員を一人雇用した効果が生まれるといって過言ではないのです。しかもその価格は驚くほど安価です。一度ご相談ください。

ワーコンの見守り看護システムは、利用者の体に直接触れない生体センサーとコミュニケーションロボットを使うものですが、それは監視システムではなく、プライバシーに配慮しながら、必要な情報をコールセンターの看護師が読み取り、ご家族や訪問診療医師、訪問看護師等に情報を伝えるシステムです。(参照:施設サービスの一部もアウトソーシングできる時代

機械を設置することで、居室を病院化するようなイメージを持つ方もいると思いますが、それはあくまでコールセンターと居室をつなぐ通信システムであって、利用者の方の身体に影響を及ぼすものではなく、あくまで利用者の住まい(施設も含む)で最大限できる医療・看護や介護を支えるものです。機器を設置する際は、居室の環境に配慮して日常生活の支障にならないように最大限の配慮に努めます。

このシステムは利用者の方の急変時に救急対応を行うことを目的としたものではなく、住み慣れた場所で最期まで過ごすことが出来るように、急変時でも居室で医療や看護を適切に利用するためのものです。医療機関に入院していた方が、終末期と診断された後、このシステムを利用することで住み慣れた場所に戻って最期の時間を過ごすお手伝いも可能になります。

見守りが必要な人は、コミュニケーションロボットを通じて常時の見守りを行うことも可能ですが、見守りが精神的に負担になる方はその機能を使わずに、居室で利用者や介護する方等が必要な時に呼びかけた際のみ、コールセンターとつながることもできます。

生体情報はコールセンターに常時送られてきて、身体状況の変化t等の情報は必要な関係者に送ることが出来ますので、介護する方が常時利用者を見守る必要もなくなり、必要な場合のみ介護をすることにつながります。
生体情報モニター画面
上記画像は生体情報画面です。この情報が24時間コールセンターに送られてきて、リアルタイムにモニターされています。寝ている間、表面上は全く変化がなくても、狭心症発作を起こしていることなども読み取れます。画像の下の方に示されているのはワーコン独自の活力指数で、看取り介護の時期なども予測することが可能になります。つまりこのシステムは、自宅に療養の場として機能を組み込むシステムと言えます。決して自宅を病院化するシステムではないのです。

こういったセンサーを利用し見守りの業務をアウトソーシングすることで、施設の業務負担の軽減につながります。このシステムの導入により、施設職員は夜間にすべてのフロアを巡回する必要はなくなります。生体センサーや、見守りロボットが設置されている部屋は、基本的に何かある時だけ駆けつければよいのです。しかもその対応の仕方については、24時間み見守っているコールセンターの看護師にアドバイスを求められるのです。看護の専門家の視点から必要なアドバイスもしてもらえることになり、医療・看護職が配置されていない時間の勤務に不安を抱えている介護職員の心の支えになることもできます。

しかもこの体制を組めば、夜間オンコール待機している施設看護師の負担が大幅に減ります。

ここが警備会社の単なる見守りシステムとの違いです。そのことが他施設との差別化となり、職員募集に応募も増えるという可能性にもつながります。

つまりこの、「みまもり」は単なる見守りや監視ではなく、「看護もり:みまもり」なのです。

看取り介護の方の部屋にそうした設備を導入すれば、看取り介護と称した、「施設内孤独死」も防ぐことが出来ます。生体情報を見守る看護師から、最期の瞬間が訪れるという情報が送られてくるので、その情報に基づいて対応すればよいからです。生体情報は24時間前くらいから変化が見とれるので、家族も最期の瞬間に間に合わずに悔いを残す可能性も限りなく低くなります。

昨年6月、兵庫県明石市の介護付き有料老人ホームで、入居者の男性(91)が自分の部屋で死亡したまま、死後約2週間発見されず、腐敗が進んだ状態で見つかったという痛ましいニュースが日本中を駆け巡りましたが、そのような信じられない死に方が日本中で起こってくるのが、超高齢社会・多死社会の現実です。ワーコンのシステムは、そのような孤独死を確実に減らすことができるシステムです。

特養や有料老人ホームの部屋に、見守り看護システムを設置する場合は、あくまで施設の備品としての導入ですから、ワーコンと導入施設の契約事項になります。システムをいつ稼働し、どう使用するかも施設とワーコンとの契約内容によります。

その部屋とシステムを利用者がどのように利用するかは、導入施設と利用者の契約事項になります。その際にワーコンは、システム管理業務を担う立場で、契約の際の説明の支援などができます。

なおそれ以外の利用方法として、有料老人ホームが提案して、有料老人ホームの部屋にシステム機器を設置し、利用者とワーコンが直接契約するという方法もあり得ると思われます。

なお介護保険サービスにおける各事業運営規定では、見守りをアウトソーシングすることまでは禁じていません。それは、「入所者の処遇に直接影響を及ぼさない業務」と解釈でき、見守りの結果、その報告を受けて対応するのが指定事業の従業員等であれば全く問題ないわけです。

ですから外部サービスとして、訪問看護や訪問介護を利用している方の、緊急対応にこのシステムを利用しても問題とはなりません。

在宅の方の場合もいろいろな使い方ができます。さらに言えば今問題となっている新型コロナウイルス等の感染症の方への対応にも威力を発揮します。それについては明日と明後日で詳しく紹介・解説します。(在宅編に続く)

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
TSUTAYAのサイトからは、お店受け取りで送料無料で購入できます。
キャラアニのサイトからも送料無料になります。
医学書専門メテオMBCからも送料無料で取り寄せ可能です。
アマゾンでも送料無料で取り寄せられます。

社会資源としてのボランティアに頼る経営の危うさ


日本全国のどこの介護事業者も人材不足が最大の経営リスクだ。

だからこそ人材が集まり、人材が定着し、やがてそれらの人たちが人財となり得る組織作りが求められている。この部分を他の事業者に先駆けてシステム化していかないと、やがて事業経営は行き詰まらざるを得ない。

しかし逆に言えば、他事業者との差別化を図ることのできる人材確保と定着率の向上につながるシステムをしっかり作り上げた事業者は、地域の中で勝ち組になっていくのである。

なぜなら全国のすべての介護事業者で、人材が充足される見込みはないからである。人材確保の勝ち負けが、事業経営に直結してくるからである。

今年は団塊の世代の人たちが、すべて70歳に達するが、それらの人たちは元気で、介護支援を要しない人が多数派である。しかし加齢という自然現象こそが、それらの世代の人々のマジョリティーが、要介護・要支援者となっていく最大の因子であり、団塊の世代の人々の多くが何らかの介護支援を要すことになることは必然の結果である。

しかもその数が途方もなく大きな数であることは間違いのないところで、それらの人々を支える介護支援の量的充実が最も必要となる。でも本当にその量は確保できるのだろうか・・・。

だって、それらの人々を支える塊は団塊ジュニア世代しかなく、その次の塊の世代はこの国には存在していないのである。

そして団塊の世代は2040年に全員90歳に達する。その時に団塊の世代を支えてきた団塊ジュニア世代は、すべて65歳以上となるのである。その時に団塊ジュニア世代が、介護支援のマンパワーとしていつまで頼ることができる存在なのかという問題が噴出してくる。

どちらにしても我が国では、団塊の世代が減る時期に、団塊世代で介護支援を要する人と団塊ジュニア世代で介護支援を要する人を、セットで支えていかねばならないのである。その時期がすぐそこに来ているのである。

だからこそ介護事業者には様々な対策が急がれている。外国人労働者を戦力に組み込んでいくということは極めて当然のことであり、それらの方に選んでいただき、それらの方々が定着できる職場環境づくりや、システム変更も必要不可欠である。

ただし外国の人たちが、将来何年にも渡って職場の戦力になり続けるかと言えば、それは不透明だ。EPAで受け入れた当初の外国人人材には、優秀な人材がたくさんいて、それらの方々にふさわしい賃金を支払っている事業者も多かったが、その方々の多くはもう日本に残っていない。母国に帰ってしまっている現状を見ると、外国人の方の多くは、永住より一定期間のスパンの中で出稼ぎをしたいと思っていることがわかる。

だからこそ、テクノロジーが人に替わることが出来る部分は、どんどんそれを取り入れていかねばならない。見守りはICTが人に替わることが出来る部分である。その部分の省力化を図らない職場からは、人材は逃げていくと覚悟しなければならない。(参照:居住系サービスの一部もアウトソーシングできる時代

この機械化を嫌って、人海戦術に頼ろうとする人が多すぎる。特に元気高齢者をはじめとしたボランティアという資源で人材不足や社会資源不足を補おうとする考え方は間違っている。ボランティアも資源不足が深刻化するのは目に見えているからだ。

そもそも年金等の社会保障不安は、高齢になってもリタイヤせず働き続ける人が増えることにつながっていくのであるし、定年の延長によって、リタイヤした後は自分のために時間を使いたいという人が増えるのだから、年金をもらいながら悠々自適にボランティアに生きがいを求める高齢者は、今後大幅に減ってくるのだ。

そもそも対人援助の仕事は、個人のプライベートな部分に深く介入し、誰かの人生の一部に踏み込んでいく責任がある仕事だ。ボランティアをここに介入させるとしても、ケアの質に直接影響を及ぼさない間接的な働きかけに限定すべきである。責任が強く求められる部分へのボランティアの介入は避けるべきだ。日本ではまだそこまで高度で豊かなボランティア精神は育っていないのである。

本人のやる気と善意に頼り切ったボランティアを主戦力にしてはならないのだ。ボランティアを充てにした事業戦略など成り立たないのである。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
TSUTAYAのサイトからは、お店受け取りで送料無料で購入できます。
キャラアニのサイトからも送料無料になります。
医学書専門メテオMBCからも送料無料で取り寄せ可能です。
アマゾンでも送料無料で取り寄せられます。

人が育ち定着する職場のマストアイテム


人を育てるために職場内での教育は絶対に欠かせないが、正しい教育を行ったからといって必ず人が育つと考えるのは間違った考え方だ。

介護事業経営者や管理職にこの両方の理解がなければ、人が育ち定着する職場は創れない。誰でも採用して、採用した後はどんなスキルの人間であっても、闇雲に働き続けるようにするだけの介護事業経営ではいかんということだ。

一定期間を経ても教育効果があらわれない人の能力を見極めて、介護の仕事に向かない人は途中で辞めてもらうという、「試用期間」の規定をきちんと定めているだろうか。

試用期間中であっても、雇用者側の都合で勝手な解雇はできないが、試用期間中の解雇については通常の解雇よりも広い範囲で解雇の自由が認められており、「求められる能力に達していないとして」ということも合理的理由とされ、使用者が解約権を行使できることは、過去の判例でも示されているわけである。(参照:人材不足だからこそ採用は慎重に

だからこそ経営者や管理職には、試用期間という中で被雇用者の能力を見極めるという考え方が必要だ。それは採用時に、応募者の人となりをすべて見極められないという、ごく当たり前のことが前提になっている。

人を採用したのだから、あとは現場任せの経営では、人材不足が解決することはない。

今の日本の状況を考えると、介護事業者にとって初めから戦力になる人が何人も職員募集に応募して採用でできるなどという奇跡を信じても始まらない。

介護福祉士養成校は、年々日本人学生の入学者数が減っており、卒業生もごくわずかの数で、地域の介護事業者が職員として雇用できる人の数としてみても不十分なのだから、そんなところに人材供給を頼ってもしょうがない。

介護事業者が人材確保するためには広く職員採用の網を広げて、基礎知識や介護技術のない人を含めて採用しないと、介護事業は廻っていかないことを理解すべきだ。

だからこそ職員は自前で教育する覚悟が必要になる。経験と技術のない人を採用して、それらの人たちの個別の能力をしっかり見極めながら育てていくという考え方とシステムがない場所からは、人が枯渇して当たり前だ。

全国のどこへ行っても介護事業の人材不足は深刻で、人材確保が大きな課題であることに変わりがないが、それを嘆くだけではどうしようもない。

そうであるからこそ、自前の人材対策が求められるのだ。国が何とかしてくれるとか、待っていれば状況が変わるなんて考えている介護事業経営者は、即刻引退したほうが良い。そんな人はまもなく自分の甘い見込みが、自分や自分が経営する事業を追い込み、経営が続けられなくなるだけならまだましで、やがてそのことにより絶望して精神や身体を病む結果になりかねないからだ。

経験や技能のない職員を育てるためには、現場でコーチィングができるリーダーが必要であり、経営者や管理者は、まずそうしたリーダーを育てなければならないことは、このブログで何度も指摘してきた。

だからと言ってコーチィングできるリーダーを育てれば、それだけで職員が全員育って、人材確保に困らない事業者にあるという単純な問題ではない。採用時点で人物を見極めないと、いくら優秀なリーダーでも育てられないスキルの低い人によって、職場はかき回され人間関係も悪くなり、良い人材から辞めていくのだ。

採用時点でスキルの低さを見極められなかった人間が、「腐ったミカン」のように周囲の職員を毒していき、良い人材がバーンアウトして行く。そういう職場には手を動かすより先に、愚痴を言う口を動かすだけの職員だけが残る頃になり、不適切サービスがそこかしこにはびこるだろう。

そういう職場に限って、人がこれ以上いなくなれば業務が回らなくなるからと、就業態度が悪くて、スキルの低い職員に注意ができなくなって、何でもありの荒れた職場環境になりがちだ。

悪い態度や間違った行動を叱ると、それを嫌がって辞める人は、これ幸いと辞めてもらえばよいのである。辞めることを恐れて、スキルのない人間に注意ができない職場が、どんな職場になるのかは、さほど深く考察しなくてもわかりきった問題である。そういう職場の経営陣は、職員の不適切行為や虐待がやり玉に挙がって、マスメディアの糾弾を受ける危険性が高まっていることを自覚すべきだ。

人を育てるために厳しく指導する人を慕う職員が増えることによって職場環境は良くなるし、人材は育つことを忘れてはならないのである。

だからこそ人を育てる職場では、育つ気持ちとスキルがない職員を、試用期間中に見極めて解約権を行使するという、「経営者の覚悟」が必要だ。人を育てる能力がないリーダーをその立場から降ろすという、「経営者の覚悟」も求められる。

向かない職員を採用しないという過程では、一時的に業務が廻らなくなるほど人手が足りなくなるかもしれない。その時は一時的にショートステイを休止したり、受け入れ定員数を下げたりする覚悟も必要だ。身の丈に合った事業規模に縮小する時期を経ながら、人材を育て人財を定着させた暁には、元の事業規模に戻して、かつ高品質なサービス提供ができ、顧客から選ばれるのである。

そういう意味では、介護サービスの品質をアップさせるための、「雌伏の時期」を耐える「経営者の覚悟」が必要で、一時的に収益が下がることもやむを得ないと考える、「経営者の覚悟」も必要なのだ。

よって、人が育ち定着し勝ち残る職場のマストアイテムとは、「経営者の覚悟」なのだと言えるのではないだろうか。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
TSUTAYAのサイトからは、お店受け取りで送料無料で購入できます。
キャラアニのサイトからも送料無料になります。
医学書専門メテオMBCからも送料無料で取り寄せ可能です。
アマゾンでも送料無料で取り寄せができるようになりました。

人がいない時代に人が集まり勝ち残る介護事業とは。


今年の新成人の数は122万人で、前年より3万人の減少となり、10年連続で総人口に占める新成人の割合が1%を割り込むことも確認されている。

それだけ生産年齢人口の数も、全人口に占める割合も減っているという意味で、我が国全体の労働力不足はますます悪化の一途をたどると思われる。

僕の住む登別市を含む西胆振の6市町でも事情は同じだ。昨年より新成人の数は121人も減っているのだから、この地域の労働力も不足の一途をたどり、全産業で人材確保が課題となり続ける。

そんな中で介護労働は、一段と深刻な事態に対処せねばならない。

介護職員に対する処遇改善加算によって、介護職員の賃金は確実に上昇しており、データの抽出方法によっては、女性だけを取り上げればその額はすでに全産業平均給与を上回っているという見方もある。にもかかわらず介護の仕事は相変わらず若者に人気がない。

特に過去のネガティブキャンペーンの影響が残り、相変わらず3Kあるいは5Kというイメージが根強い介護の仕事に対して、高校の進路指導の担当教員の拒否感は依然強いものがある。介護福祉士養成校に進学しようとする生徒を職員室まで呼び出して、その考え方を変えるように進路指導する教員が全国にたくさん存在している。

だからこそ介護事業関係者は、もっと発信力を持って、介護の職業は決して低賃金の重労働ではいことをアナウンスしていかねばならない。きちんと資格や技術を得ながら、信頼される仕事を重ねて経験を重ねていけば、それに見合った労働対価は得られるし、何より人の幸せや豊かな暮らしに寄与できるという、誇りを持つことができるということを世の中に伝えていかねばならない。

同時に介護事業経営者は、本当に胸を張ってそう言えるように、収益をきちんと挙げる経営を続け、従業員に仕事に見合った労働対価を渡していく必要がある。

昨年夏にSOMPOケア株式会社が、リーダー級の活躍をして現場を支えている介護職員の社員の賃金を、2022年までに看護師と同等の水準まで引き上げると発表しているが、そうした改革と改善に取り組んでいかない介護事業者に未来はない。

だがそんな中で、またもやショックな報道に触れることになった。

10日 21時08分に配信されたNHK NEWS WEBによると、訪問介護職の有効求人倍率が昨年度13.1倍まで上昇し、すべての職種の平均と比べておよそ9倍になっているという。そしてこのように訪問介護の担い手が不足する背景には、非正規雇用が多く、仕事の大変さのわりに収入が低いことなどが指摘されている。

ヘルパーは介護施設の職員が定年退職した後に再雇用されることも多く、高齢化も進んでおり、それらの人が退職時期を迎えた後に、あらたな求人応募がなかなかないという事情もある。しかしヘルパーが減れば、地域で暮らす高齢者の訪問サービスがなくなることになってしまうのである。それは実質、地域包括ケアシステムの崩壊を意味する。だからこそこの対策は事業者レベルで対処するにとどまらず、市町村責任で取り組みを行う必要があるということだ。

しかし介護市場には今後も莫大なお金が落ち続けていくのだ。社会保障費の自然増を半減する政策が続けられたとしても、高齢化の進行は高齢者の数の増加と、介護支援を必要とする人の数の増加をにつながっていくのだからそこにかけなければならないお金は増え続けるのだ。介護給付費だけを考えても、その額は2028年には20兆円になるとされている。これ2018年より10兆円も介護給付費が増えるという意味だ。その周辺に存在する保険外サービスの費用を含めると介護は100兆円を超える市場規模になる。

つまり介護事業者は、サービスを提供する人が集まりさえすれば、顧客が確保でき収益を挙げられるのである。介護市場にはまだまだビッグビジネスチャンスが存在しているのだ。それは決して幻ではない。

ヘルパーが足りないために事業拡大ができない事業者が多く、事業撤退する事業者が増える中で、顧客は増え続けるのだ。だからこそ経営者の能力が問われてくる。ここ独自の人材確保戦略を盛り込んで、他社との人材確保競争に勝ちることで、大きな収益が挙げられるのである。

外国人労働者をきちんと戦力にしないと介護サービス事業は成り立たなくなるが、それだけでは成功しない。同時にそこに人材が定着してくためには本当に人の役に立ち、人を幸せにする実践を積み重ねていかねばならない。

介護の仕事をしたいという動機づけを持つ人は、事業者にとって役に立つ人材となる可能性が高いのだから、そういう人が定着する職場とはどういう職場なのかを考えてほしい。

そういう人たちは、人の役に立つ仕事であるとして、介護という職業に使命感を持ち、誇りを持っている。その使命と誇りが汚されたとして辞めていくわけだ。そういう人たちの使命と誇りを護る介護事業とは、ひとえに人の暮らしを護る高品質なサービスを提供できる職場である。

顧客に対するサービスマナーはその基本であり、そこからホスピタリティ精神が生まれ、さらに高いサービスの品質が生まれるわけである。そうした職場にする教育システムにお金をかけない事業者は、今後人が集まらずに、顧客がそこに居てビジネスチャンスがあるのに、指をくわえてそれを見ているだけの存在になるだろう。

そうしないための経営者や管理職の意識も変わっていかねばならない。覚悟を決めて採用や労務管理の在り方を変えていく必要がある。職員教育の充実は急務だ。単に仕事を覚えさせるだけではなく、仕事上の悩みを受け止め、専門職として成長動機を持つことができるスーパビジョンができる人材も社内で育成していく必要がある。

人材確保に苦しみ、職員の定着率が上がらない事業者は、今のままのやり方では永遠にその課題は解決しないことに気づくべきだ。それは廃業への一本道である。そうしないための経営戦略の練り直しが、今一番求められることなのである。
※お知らせ
顧問先で仕事をするために、2/4〜2/6、2/10〜2/16の間、福岡市に滞在しております。この日程の間でしたら、夕方6時以降で職員研修などの講師をお受けすることができます。交通費や宿泊費が一切かからず、講演料のみでお受けでします。サービスマナーや、介護実務、ケアマネジメント、看取り介護、人材マネジメント、スーパービジョン、制度改正・報酬改定など、すべて実務に即してお伝え出来ます。講師希望の方は、ぜひ気軽にメール等でご連絡ください。連絡先は「北海道介護福祉道場 あかい花」の公式Webに掲載しております。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
TSUTAYAのサイトからは、お店受け取りで送料無料で購入できます。
キャラアニのサイトからも送料無料になります。
医学書専門メテオMBCからも送料無料で取り寄せ可能です。
アマゾンでも送料無料で取り寄せができるようになりました。

介護事業者は職員のスキルアップを自己責任に転嫁できない。


政府が勧める、「働き方改革」が、本当に日本の将来のためになるもので、求められる改革なのかは議論のあるところであるが、確実にそれは日本の様々な職場に影響を与えていくだろう。

大手企業ではすでに年功序列賃金を廃止しているところもあるが、その流れはこの改革で広がる可能性が高いと思う。それだけではなく日本型の終身雇用制度も徐々に失われていくのではないだろうか。

そんな中で企業は、採用した職員をじっくり育てて将来の戦力にしていこうという動機づけを失っていくかもしれない。最初から戦略となる職員を採用して、使えなければやめてもらうという企業体質が強くなっていくのではないかと懸念している。

そうなるとこれからの企業は、職員のスキルアップを会社を挙げて取り組むより、スキルアップは従業員の自己責任として、会社はそれに見合った対価しか与えないという風に流れていくと予測できる。

雇用される側は、自分の価値を上げるために自分自身でスキルを高めて、自分個人を企業に売るというふうに意識変化が求められるかもしれない。

介護事業にとっても、「働き方改革」の影響は決して小さくはない。

有給休暇の新規定は、大きな事業者ならばすでにクリアしているところも多いだろうが、小規模事業所はその対応のために人を増やさねばならないかもしれない。(参照:年次有給休暇の改正対応はできていますか

どちらにしても人材がさらに求められる中で、職員に与えなければならない休日規定によって、さらに少ない人数で業務を回さなければならないという介護事業者も増えることが予測される。

そうなると職員教育の必要性は理解していても、研修のためにとれる時間は減るので、就業時間中に職員教育の時間が取れないという事業者も多くなるし、外部研修にも職員を派遣できなくなったり、派遣人数を減らしたりという事業者も多くなるかもしれない。

だからと言って大手営利企業のように、スキルアップは自己責任・他人任せにして、スキルのある人材だけを雇用し、それに見合った対価を支払うことで、スキルのない従業員が淘汰されていくなんて現象は、経営体力の弱い介護事業者で起きるはずがない。

そもそも介護事業は、機械に変わることができない人の力で成り立つ部分が多く、人材集めが何よりの課題であるが、収益は介護給付費という国定費用が中心である。よって大手営利企業のように、求められる人物には莫大な費用をかけて雇用するということは不可能だ。これは規模が大きな法人でも同じことで、物が売れれば青天井で利益が出る企業と、国定費用という天井のある事業を中心に主益を得る事業との大きな違いである。

むしろ介護事業にとっては、教育システムを従業員の自己責任にしたり、人任せにすることは、長期的にみれば事業損失であるし、事業経営危機にもつながりかねない。

このブログで何度も指摘しているように、人材は国の政策で何とかなる問題ではないので、事業者独自で人を集め、定着させないと事業継続ができなくなるのである。そのアイテムとなる重要なパーツが、「魅力ある教育システム」である。

そもそも対人援助の仕事は、人の暮らしに深く介入していくもので、その品質を左右する職員の質の担保を、職員自身の責任に転嫁したり、他者に委ねるなんてことになれば、それは責任放棄と言われかねない問題だ。

介護の仕事とは単純労働ではなく、決まった作業対象に対して同じ手順で結果の分かった作業を行うものではない。対人援助においては、マニュアルや手順に沿った業務を行っていても、人によって結果が変わってくるという特徴がある。正しい手順で業務が行えるようになったからといって、必ず目標が達せられ、利用者の課題が解決できるとは限らないのである。

だからこそ実際の仕事は、一人一人の授業員が自分の頭で考え、自分の判断で行動しなければならない場面が多々生ずる。経験の浅い職員は、そこで迷い悩むことが多いために、適切な助言・指導・支持を受ける必要があるのだ。それがなければバーンアウトしてしまう確率が高まるので、介護事業者は、その教育や指導をおざなりにはできないのである。この部分は従業員の自己責任とか、人任せにしてはならないのである。

そのためには職場内教育システムの確立が急がれる。

一例を挙げれば、新任教育としての基礎教育(基本的に座学)をプログラム化し、それを終えた後期間を定めたOJTを行う必要がある。その際に計画的に根拠ある指導を行うためのOJTツールの作成は不可欠である。さらにOJTを終えた後の継続的指導としてのスーパービジョン(以下:SV)を業務に組み入れる必要がある。

そしてSV終結後にも、職員はスーパーバイザー(以下:SVR)にいつでも相談できる体制を維持し、必要に応じてSVを受けられるようにする仕組みも重要となる。

そうであればSVRが誰であるのかを定め置き、各セクションごとにそのことを周知しておくことが大事になる。

このときSVRは職種によって決まるものではなく(※例えば主任ケアマネが必ずSVRとなるということにはならない)、職能と職制によって決められるものであるという理解が必要である。基本的にはその役割を担うべきは各職種のリーダーであり、直属の上司であることが望ましい。

よって介護施設等の介護職員のSVRは介護主任などのリーダーになるだろうし、居宅介護支援事業所の場合は、管理者がその任に当たるのが最善である。

今月17日(金)の福井県介護支援専門員協会主催・介護支援専門員資質向上研修研修、「スーパービジョンとOJTでは、このあたりのことを詳しく伝える予定である。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
TSUTAYAのサイトからは、お店受け取りで送料無料で購入できます。
キャラアニのサイトからも送料無料になります。
医学書専門メテオMBCからも送料無料で取り寄せ可能です。
アマゾンでも送料無料で取り寄せができるようになりました。

人材マネジメントには腐ったミカンの方程式の視点が欠かせない


介護保険制度改正や介護報酬改定の1丁目1番地は、「自立支援」と、その評価だという人がいるが、僕はのその意見には反対だ。

自立支援は理念の一つとして重視されることにいちゃもんを付ける気はないが(結構いちゃもんつけているっしょ、という声は無視する)、それが最も重要だという価値観にはついていけない。

高齢者はいつまで尻を叩かれ頑張り続けなければならないのだ。むしろ頑張り続けて自立を強要されている人より、必要な支援を受けることによって幸せな暮らしを送ることができ、人生を全うしている人もいることに目を向けて考えなければならない。共立という視点があるからこそ、多様な幸福が存在するのだ。そういう意味でも、自立支援にだけに価値観を見出してはならない。

そもそも我々が向き合っているのは物ではなく人なのだ。

感情のある心を持った人間と向き合う仕事であるという本質を考えれば、「自立支援」というただ一つの価値観を1丁目1番地に置くなんていう冷酷な考えにはならないはずだ。むしろそうした考えは、暮らしの多様性を否定してしまうものであり、自立支援よりも大切なのは、「生活の質」であり、それを担保するには、誰か手を借りるシーンがあったって良いのである。
(※参照:「洗脳された人たちの脅迫介護」・「給付制限ありきの自立支援は地獄支援でしかない」)

じゃあお前は1丁目1番地に何を置くかと聞かれれば迷うことなく、「人材確保・人材育成」であると答える。

制度をどう整えても、それを動かず人材がいないと、制度あってサービスなしという状態に陥る。

サービスをなくしては困るからと言って、人材が見つからない場所で誰でもよいから採用してしまえば、サービスあって品性なしという状態に陥る。

人員にしかならない職員によってサービスの質は劣化していくしかない。その結果、サービスの質が低下するだけではなく、不適切サービスや虐待が生まれる。そうした場所では利用者の尊厳など護られるわけがなく、サービスを受けることによって、豊かな暮らしが実現するのではなく、逆に傷つけられてしまう利用者が生まれてしまう。それは介護サービスの本来の在り方とは対極に位置すべき状態であり、あってはならない状態である。

そのような劣悪なサービスの原因となるものとは、働く従業員そのものであり、それは人員とも言えず、「人罪」としか言いようのない存在である。そういう人間を対人援助の場に居させてはダメなのだ。だからこそ介護事業経営者や、介護事業者の管理職の方々には、人員配置だけに目を奪われずに、人材確保と人材育成に目を向けてほしいと思う。そこを1丁目1番地に置いてほしいのである。

しかし採用時点で人物を完全に見極めるのは至難の業だ。だからこそ試用期間を設けることができるのであり(試用期間は労働基準法等の労働法規で、設けなければならないとはされていない。)、就業規則にきちんと試用期間を定め置いて、その期間中に人物の見極めを行うべきである。

勿論、試用期間と言えども労働契約自体はすでに成立しているために、理由なく事業者都合だけで従業員を解雇することはできない。しかし試用期間中の解雇については、通常の解雇よりも広い範囲で裁量が認められており、過去にも「能力の大幅な不足」や「入社前に期待していた能力が入社後には全く発揮されず、担当業務をいくつか変えても勤務成績が上がらない」、「入社後の勤務態度が極めて悪く、協調性もなく、周囲の業務にも悪い影響を与える」などの理由により使用者が解約権を行使できるものとして、いくつかの判例が示されている。

対人援助としてのスキルに欠ける従業員を、試用期間中に選別して労働契約を解約することはできるわけである。その時に、「人の役に立つ職業」であるはずの対人援助において、人を傷つけるような対応しかできない職員についても、「対人援助のスキルに大幅に欠ける」として選別して、労働契約を解約することが求められるのだ。

試用期間中にサービスマナーを身に着けることができない従業員もしかりである。それは人の心と暮らしを護るべき対人援助の場では、致命的なスキルダウンであるとして排除されるべき従業員である。

職場全体でサービスの品質をアップさえようとして、サービスマナーを身につけようとしているときに、一向にそうしたマナーを身につけない従業員も同様に排除されていかないと、職場全体のマナーは向上しないし、サービスの品質もアップしない。

ミカン箱の中に、腐ったミカンが一つでも存在すれば、箱の中のミカンはすべて腐っていくのである。箱の中全体を腐らせないためには、腐りかけたミカンをできるだけ早く箱から取り出して捨てなければならない。たった一つであっても腐ったミカンを残しておいてはならないのである。

介護サービスの場でも、腐ったミカンを取り出しもせずに、そこに存在するままで放置してしまえば、職場全体が腐っていくことを肝に銘ずるべきである。だからこそ、人材マネジメントは、人を探し、職場に張り付け、育てるという一方で、ミカンが腐らないように環境を整えることが重要になるし、間違って腐ったミカンを発見して、取り除くシステムも同時に求められるのである。

腐ったミカンによって、フレッシュで未来が期待できるミカンも腐らせられるのだ。そんな腐ったミカンがある場所で、いくら新人教育に力を入れても、新人が職場を変えられるわけではないし、腐ったミカンに侵食されて、当初の志も腐っていく。

将来人材から人財となる素質を持つ若者が、腐ったミカンタメ口にストレスを感じて、マナー意識の低い職場から辞めていくという現状も見受けられる。

一方で、丁寧な対応ができる職場で働きたいという動機づけを持っている人は、考えられている以上に多いという現状がある。その人たちは、今きっとどこかで、腐ったミカンを取り除いて、浄化作用が働く職場を探している。

そういう意味では、腐ったミカンを取り除く先に、人員不足に陥るなんて言う心配はいらないのだ。フレッシュなミカンが、取り除いた腐ったミカンの数以上に集まってくるからだ。

そうした覚悟を持って介護事業経営にあたっていただきたい。そうした事業者としての理念やビジョンに共感できない職員は、組織の秩序は壊す要素にしかならないのだから、寄ってこなくてよいと割り切って考えるべきである。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
TSUTAYAのサイトからは、お店受け取りで送料無料で購入できます。
キャラアニのサイトからも送料無料になります。
医学書専門メテオMBCからも送料無料で取り寄せ可能です。
アマゾンでも送料無料で取り寄せができるようになりました。

外国からの介護人材を戦力として固定化するために


日本介護福祉士養成施設協会の調査によると、2019年4月に介護福祉士養成施設へ入学した外国人留学生(介護留学生)は2,037人で、18年度の1,142人の約1.8倍に増加したそうである。

この傾向は、入学者減少が続いて経営にも支障を来している介護福祉士養成校にも吉報であるが、何よりも介護人材不足に四苦八苦する介護事業者にとっても喜ぶべき傾向であると言える。

これは入管法改正が行われ(平成29年9月1日施行)、在留資格に「介護」が加えられたことによって、外国人が介護福祉士として在留資格を得られるようになり、かつ在留期間の5年が回数制限なく更新できるようになったことで、実質永住できることになった影響が大きいのだろう。

勿論、すべての外国人留学生が日本への永住を望んでいるわけではなく、どれだけの外国人が固定化できるのかという課題は残されてはいるが、生産年齢人口が益々減少する我が国において、日本人だけで介護人材が充足することはあり得ないということははっきりしているので、それらの外国人留学生をはじめとした人材が、介護サービスの場に張り付いていかないと、制度あってサービスなしという状態が、社会の闇として広がることは間違いのないところで、大量の介護難民を生み出すことも間違いのないところだ。

現に今この時点でも人材不足で、指定サービスの休止に追い込まれている事業者が全国にたくさん存在している。

例えば、福祉医療機構(WAM)が貸付先の特別養護老人ホーム(特養)を対象に実施した「介護人材に関するアンケート調査」によると、2018年3月時点の状況について72.9%の施設が「要員不足」と回答し、全体の4.1%が特養本体での利用者の受け入れを制限していた。併設する施設で利用者の受け入れ制限を実施している割合は8.8%だったことが公表されている。そこではサービス利用者がいるにもかかわらず、ショートステイなどの指定サービスの提供が制限されているのである。

そうした地域でショートステイを利用できなくなった人が、代替サービスとして宿泊サービスを自費利用する、「お泊りデイ」等を使えるならまだよいが、全くサービスを使えない人や、サービスがないことで社会的入院を強いられている人がいたとすれば、それらの人はすでに介護難民ともいえるわけである。

来年は団塊の世代の人がすべて70歳に到達し、介護サービス利用者がさらに増えることになる。それらの人達に、適切なサービスの量を確保するための人材確保は、なかなか進んでいない。

介護労働安定センターの介護労働実態調査結果を見ても、2018年10月時点でEPA(経済連携協定)介護福祉士候補者、技能実習生、日系人、留学生のいずれかが働いている事業所の割合は2.6%に過ぎない。

今後は人材確保のために、この数字はどんどん上がっていくだろうし、そうしなければ介護事業そのものに支障を来す事業主体が増えるだろう。

そうであるからこそ、それぞれの事業者で外国人労働者を受け入れるためのシステム、それらの人たちが働きやすい環境整備に努めていかねばならない。今そのことに全く興味を示しておらず、対策もまったく考えられていない事業者に未来はないかもしれない。

外国の人たちが実際に働いてくれるかどうかは別にして、近い将来外国人人材も戦力として固定化されるための対策は、すべての事業者で急いで構築していく必要がある。それもリスクマネージメントである。

その時考えなければならないことは、外国から来る人達が日本の労働の場にマッチングせず、トラブルが生ずる大きな要因は、言葉や文化の違いだけはないということだ。むしろトラブル要因となるのは、外国人労働者に対する、雇用主や日本人従業員の偏見にも似た、「思い込み」である場合が多い。

外国から日本へくる人たちは、労働力としてやってくるわけではなく、人間としてやってくるのである。そのプライドを無視してはならない。

同時に外国の人達はしっかりと、「出稼ぎ」意識は持っているという両面を理解せねばならない。単に日本に滞在して自分の暮らしが成り立つだけではなく、母国で暮らす家族に送金する目的で、遠く日本まで来ている人たちが、その目的を達せられないと、戦略として固定化はされないのである。雇用するに際して、給与などの待遇について、しっかり隅々まで丁寧に説明して納得したうえで雇用契約を交わさないと、後々のトラブルにつながるという理解も不可欠だ。

就業規則等の労務管理規定も、紙を渡して、「就業前にすべて読んでおいて」では済まない。しっかり説明しないと外国人の方は、職場の基本ルールさえ理解しないまま就業して、そのことに関連した問題が生ずるケースも多い。事業者側の説明責任は、より重要になってくる。

外国人の人たちのプライドやポリシーにも気を配り、働く喜びを持ちながらスキルを向上させる意識付けをできるかどうかが、今後の介護事業の安定経営に直結してくるということを理解する必要がある。

そういう意味では、外国人の受け入れに関しては法人の中で、専任の担当者を作って対策を立てる必要性も高まると思う。ある程度規模が大きな法人は、専任ではなくとも外国人材受け入れ担当部署及び担当者を任命しておくべきである。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
TSUTAYAのサイトからは、お店受け取りで送料無料で購入できます。
キャラアニのサイトからも送料無料になります。
医学書専門メテオMBCからも送料無料で取り寄せ可能です。
アマゾンでも送料無料で取り寄せができるようになりました。

認知症新薬に何を期待すればよいのだろうか


僕は今、大阪に滞在中だ。

昨日は大分県日田市から移動し、16:30〜18:30まで天王寺の海外産業人材育成協会で講演を行なった後、今日は午前と午後に2本の講演予定が入っている。

そんなわけで先ほど大阪グランフロントで行われていた、「内田洋行主催 IT-Fair2019 in osaka」で、「介護施設の人手不足に打ち勝つ! 〜定着率向上とより良い介護への挑戦!」というテーマで講演を終えたばかりである。

介護事業における最大の経営リスクは、人がいないということであることは間違いなく、それに対して僕なりの提言をしてきた。

職員の募集に応募がある具体策なども話させていただいたが、しかし募集に応募が増えても、退職者が増えれば人材確保にはならないわけである。むしろ長く働いてくれる人をできるだけ多くすることが大事だ。そのための職場環境やシステムというものも存在している。その点もできるだけ具体的にお話ししたつもりだが、その点の理解はしていただけただろうか。

今日話した内容とは、実際に人員が充足する状態になったという事実に基づいてお話ししているので、決して架空の方法論ではない。あとはその取り組みを真剣に行うかどうかという覚悟の問題になる。そい言う意味で、僕の今日に話が人材確保に悩む介護事業者の方々に少しでもヒントを与えるきっかけになってくれることを期待している。

その講演を終えた足で、これから大阪介護福祉事業者協同組合主催・管理者、中間管理職向け接遇セミナーの講演の会場である、「クレオ大阪中央」に向かおうと思っているところだ。地下鉄谷町線に乗っていけばよいのだろうと思うが、今はまだグランフロントの控室にいて、この記事を更新しているところだ。

ということで本題。

製薬会社エーザイの株価が、先週23日にストップ高まで高騰した。その理由は、同社が医薬品メーカーのバイオジェンと共同で開発しているアルツハイマー病の新薬、「アデュカヌマブ」について、2020年に米国で承認を申請すると22日に発表したためである。

実は同社の株価がストップ高となったのは、2018年7月以来のことである。その時は「アデュカヌマブ」を早期のアルツハイマー病患者856人を対象とする治験で、18カ月間投与を続けた段階で、アルツハイマー病発症の原因とされる物質「アミロイドベータ(以下、Aβと略す)」が患者の脳内から減少しているとの結果を得たとして、同社がアルツハイマー型認知症の症状の進行を抑える効果が確認できたと発表したことをことを受けた株価の上昇だった。

このようにアデュカヌマブは前述のAβで最も毒性が高いとされる脳内のプラークを標的にしている新薬で、アデュカヌマブを投与した患者の脳内ではAβ量が徐々に減少することが明らかになったのである。

しかしその後、同社は「アデュカヌマブ」の臨床試験の中止を発表していた。当然株価はそのあと下がることになったわけであり、そんな経緯の後で突然のように発表された今回の新薬承認申請方針は関係者に驚きを持って迎えられている。

認知症の新薬については、このブログ記事でも再三その話題を取り上げており、「認知症治療薬開発の悲惨な現状から思うこと」でも、なかなか有効な新薬ができないという問題を指摘していた。

今回の新薬申請が、「永遠の10年」打破するきっかっけになることを期待する人も多いと思う。

しかし治験の効果は、「わずか」でしかないという評価もある。一度臨床試験を中止した後に、突然の承認申請という経緯もあって、その効果を疑問視する向きもある。そもそも「アデュカヌマブ」の効果とは、認知症の予防や治療にはつながらず、症状の進行を抑える効果しかないという評価もある。

しかし新薬によって少しでも症状を抑えられたとしたら、その先には寿命まで症状が重篤化しないという可能性も生まれる。つまり新薬の効果によって、認知症の症状が現在見られている一般的な重篤症状になる前に生涯を終える人が出てくるかもしれないのだ。

それは認知症の人をケアする家族等にとっては、介護負担が重くならないという効果にもつながるかんぉう性があり、その効果に期待しないというのはおかしなことだ。

そういう意味でも、新薬が今後どのように臨床場面で活用されるのかを注目していきたいと思う。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
TSUTAYAのサイトからは、お店受け取りで送料無料で購入できます。
キャラアニのサイトからも送料無料になります。
医学書専門メテオMBCからも送料無料で取り寄せ可能です。
アマゾンでも送料無料で取り寄せができるようになりました。

派遣が介護事業をつぶす危険性はないのか?


僕が社福の経営者だった頃、派遣職員を使うという発想はなかった。

派遣会社からの営業も受けたことはあるが、一度も派遣職員を使おうと思ったことはない。周囲の介護施設・介護事業者を見ても派遣職員を採用している事業者はあまりなかった。

だからこそ僕が勤めていた地域で、派遣業が商売として成り立つほど盛況になって、派遣会社が数多く設立されるような状況もなく、介護事業における派遣職員が一定の塊として存在感がある状態になったことは今まで一度もない。それは現時点でも同じである。

しかし都市部はそれとはまったく異なる状態である。

特に東京は毎年派遣職員の比率が上昇しており、派遣職員なしでは介護事業が成り立たないと考える経営者も増えている。職員募集をしても応募がないから、派遣に頼らざるを得ない介護事業者が増えているのである。

しかしなぜ直接雇用に応募が少ないのに、派遣だと人がいるのだろうか。それは簡単な理由で、直接雇用されるよりも、派遣職員となって働く方が月額給与が高いからである。短絡的に高い月給を求める人にとっては、直接雇用されるより派遣職員として働いた方が、とりあえず高い給料をもらえて、しかも責任は重たくないというメリットがあるわけだ。

勿論、月給が高いと言っても、賞与その他の手当を含めた年収ベースでみれば、正規職員の方が待遇が良いというケースも多くなるが、その分責任や縛りが多くなって、それを嫌って派遣職員としての身分から抜け出そうとしない人も多い。

それに派遣職員ならば、人間関係が煩わしくなれば、すぐ派遣会社に派遣先を変えてもらえるというメリットもある。一つの事業者に縛られない気楽さと責任の無さがセットになって、とりあえず食うに困らないだけ稼ぐことができるという待遇が相まって、派遣職を選ぶ人が多いのだ。

しかしこの状況は経営者にとっては危機的である。派遣の職員は、正規職員より高い時給で人を雇うために、人件費が高騰する結果をもたらすだけではなく、派遣会社に支払う紹介料等の経費が上乗せされるのだから支出は大幅に増えることになる。

しかし介護給付費は、派遣紹介料など見込んで設定はされておらず、派遣比率が高まれば高まるほど収益が挙がらない構造にならざるを得ず、それはそのまま経営危機に直結することになる。

しかも派遣会社も人材が枯渇してきており、経験と技能のある介護職員を派遣してくれるケースは月単位で減少している。現在では派遣職員として紹介してくれる人も、「未経験者」が多くなって、介護事業者では派遣された職員を教育するところから始めなければならない。しかし教育して仕事を覚えた途端に、その事業者から別の事業者に移ってしまう派遣職員も多いのだ。

そもそも派遣職員は仕事ができても人財にはならない。いくらお金と時間をかけて教育・訓練しても、それは介護事業者の財産に結び付かず、派遣職員本人だけの財産となるだけなのである。この点が直接雇用している職員との大きな差なのだ。

だからこそ派遣職員がいないと経営が成り立たない事業の危うさに考えが及ばない事業者は、自らの事業リスクに気づいていない状態ともいえるわけで、それは綱渡りの事業経営でもある。

派遣職員の高コストにどれだけ事業経営が耐え得るのかを考えて、思い切って派遣職員を切って、直接雇用職員の定着率を上げた実績を持つ介護事業者もある。そうした介護事業者が行っていることとは、介護事業者として何をしたいかという理念を共有できる職員だけを採用することによって、その理念に共感する職員が集まってくるという方法論だ。本物の介護を実現することで人材が集まり、人財として育つ環境を創ることで、派遣会社に頼らない新たな経営モデルが見えてくるのである。

しかしそうした方向に舵を取るためには、経営者に相応の覚悟が必要である。まずは高品質なサービスを提供できるためのノウハウを持たねばならないことも事実で、決して簡単なことではない。しかし今後の事業経営を考えるとそうしていかねばならない。

経営コンサルにお金をかけ、求人費用も高騰する中で、さらに派遣経費をひねり出すほど、介護給付費は高く設定されていないのだから、この3つの経費のどれかを削らねば、早晩介護事業経営は成り立たなくなるのではないだろうか。

ぞれにしても派遣会社に頼らないと人員配置ができないという状況は、派遣会社に求人が多いことによって成り立つ環境でもある。北海道の僕が住む地域のように、派遣会社に求人を求めない環境であれば、派遣業自体が成立しないんで、こうした環境は生まれない。

募集に応募がないことで、派遣会社に寄りかかってしまうという体質の事業者が増えた結果が、こうした派遣に頼る〜派遣に求人が多いから、高い給与設定の派遣会社に人が集まる〜直接雇用の募集に人が集まらないという悪循環を生み出すのだ。

現在の東京都をはじめとした、都市部のこうした状況は、地域の事業者が協定を結んで派遣を雇わないとでもしない限り変わらないだろう。しかしそうした協定は、独占禁止法違反などが疑われる闇カルテルとして取り締まり対象になる可能性が高い。

そう考えると介護事業にも派遣を認めている現行法こそ、見直しの必要があるのではないかと言いたい。

人の命や暮らしを護るべき、保健・医療・福祉・介護事業は、直接雇用して管理できる人間によってサービス提供しない限り、最低限の品質の管理・担保は難しくなる。そうした問題さえも、事業者の自己責任という言葉で片づけてよいのだろうか。

この部分は一度、法律の見直しという方向で議論される必要があるのでないだろうか。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
TSUTAYAのサイトからは、お店受け取りで送料無料で購入できます。
キャラアニのサイトからも送料無料になります。
医学書専門メテオMBCからも送料無料で取り寄せ可能です。
アマゾンでも送料無料で取り寄せができるようになりました。

リーダーに資質がないと逆パワハラが起こる


骨太の改革で社会保障費の自然増を抑える政策が続く中でも、高齢化はますます進行し、要介護者の数は増え続ける。そのため2018年に比べ、2028年には介護給付費が10兆円増えることになる。

この数字は介護給付費だけの数字なので、それに付随する費用(例えば、介護に必要な給付費に含まれない費用など)を含めると、その金額は100兆円を超えることになる。それだけ大きな伸びしろがある経済市場であるというのが、介護業界の一面である。

だからこそこの市場を狙って、大手営利企業の介護サービスへの参入が続いていくことになる。

つまり骨太の政策で顧客単価が減る中で参入企業が増えるのだから、顧客確保のための競争はより激化するということになる。

この競争は顧客から選ばれる競争の前に、顧客から選ばれるために一番大事なサービスの質を左右する、「人材確保の競争」でもある。

特定加算という大きな財源をうまく使って、質の高い介護職員をより多く集めた事業者が、加熱する競争社会を勝ち抜くことになる。だからこそ特定加算の配分範囲を「その他の職種」まで広げた介護事業者は、それだけで経営リスクが高くなっていることに気が付かねばならない。

あの加算を最も活かす方法は、配分はaグループのみに絞ることだと僕は感じている。それはまた別の機会で、詳しく論ずることとしよう。

前述したように、人材確保が介護事業経営の肝になることは言うまでもないが、人材は自然発生しないし、育てるという観点が何よりも必要だ。そして育った人材が定着する事業者にしなければならない。

このことを経営者がいくら自覚して頑張っても、経営者だけではどうにもならない問題でもある。経営者が着雪的に職員を育て定着させられるわけではない。経営者はもっと高い木の上から、戦略を練らなければならないので、現場のリーダーがそれぞれの部署の人材を育てなければならないのだ。

つまり経営者は、信頼できる管理職を育て、管理職は、人材を育成しまとめるリーダーを育てるという役割分担が必要になる。

どちらにしても介護事業者において、人材が育ち職員が定着する職場環境に欠かせないのが、介護職員を束ねるリーダーの存在なのである。だからこそ、このリーダー役にどういう人を選ぶかということが、経営者や管理職が一番考え抜かねばならないことだ。

資質のない人をリーダーに据えた事業者では、人材が育たず定着しないだけではなく、人間関係を含めた職場環境が劣悪な状態に陥る例がみられる。

例えば現在の人材不足を憂いて、職員が退職することを何よりも恐れる雰囲気のある職場では、リーダーが職員を叱って指導できない状態になっていたりする。

しかし人材が育ち定着する職場には、必ず部下を適切に指導できるリーダーが存在するのだ。上司や先輩がきちんと仕事のやり方を教えてくれないという不満や不安で多くの職員が辞めていく現状を考えると、部下をきちんと指導できるリーダーの存在が必要なのである。つまり従業員が気持ちよく働くことができる職場のために、上司が部下に媚を売るような職場環境が求められているわけではないのである。

リーダーに求められている指導力とは、技術指導と人間指導の両面持つものだ。だからこそ指導するためには愛情を持って叱る態度は不可欠なのである。その一方で、ただ単に感情的に怒るリーダーであっては、職場環境を悪化させるだけだという認識も必要だ。

時には厳しく指導しながらチームをまとめるリーダーがいれば鬼に金棒だ。

ところが技術指導が十分できず、チームをまとめる資質もないリーダーであっては、部下の心は離れていくだけではなく、リーダーの指示が行き届かなくなる。そうした職場では得てしてリーダーの命令に背く部下が結束して、リーダーを無視してそれぞれ勝手に仕事をこなす状態に陥る。

こうしてリーダーが孤立して、無視され逆パワハラの状態に陥っている職場は決して少なくない。

こうなってしまっては、職場内のチームをいったん解体しないことにはどうしようもなくなり、場合によっては職場崩壊となりかねない。そうならないためにも、年功序列ではなく、資質によってリーダーは選ばれるべきなのである。

だからこそ介護経営者や管理職にはリーダーの資質を見出す・見抜く能力が求められるのである。

リーダーの資質が、その事業者の命運を握ると言っても過言ではないことを肝に銘じて、リーダー探し・リーダー選びに尽力してもらいたい。

なお僕は講演等で、介護事業者における、「求められるリーダーの資質」や、「部下を伸ばす教え方」についてもレクチャーしているので、ぜひ一度お聴き願いたい。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
TSUTAYAのサイトからは、お店受け取りで送料無料で購入できます。
キャラアニのサイトからも送料無料になります。
医学書専門メテオMBCからも送料無料で取り寄せ可能です。
アマゾンでも送料無料で取り寄せができるようになりました。

通所介護から通所リハへ人材が流れないか?


特定加算という大きな給与改善原資の算定がいよいよ来月から始まる。

それを前に給与等の改善計画書を市町村に提出済みの事業者においては、この加算の算定と配分について、職員間でひそひそと話題になっているのではないだろうか。経営者や管理職員の方々は、そのひそひそ話を丁寧に拾っておかないと、後々大変なことになるかもしれないと心得ておいてほしい。

配分に対する不満は、実際に配分が反映された給与を受け取った後から急に大きくなるものだ。今くすぶっている不満が、10月以降に大きな炎とならないようにしたいものである。

給与の不満が直接の引き金になって、能力のある職員が他事業所に移ってしまうことだけは避けたいものだ。そのあたりは配分方法を考える際に十分考慮しているのだろうが、配分を個別の能力に関係なく、グループごとの一律ルールとしてしまっているところが多いので、有能な人が不満を抱えて煮詰まってしまうケースは少なからず出てくるだろう。

そういう人を狙って声が掛かっている場合もないとは言えないのである。特にリーダーとなる人材を求めている事業者は、経験年数を他事業所の経験まで勘案するルールにして、広く人材を募っているので注意が必要だ。

ところで特定加算を巡っては、小規模の事業者が不利であることは間違いないところだが、その中でも通所介護事業に厳しい加算体系となっている。通所介護事業経営者にとって加算率の低さが、最大の悩みの種となっているように思う。

以前にも紹介したが、100人定員の特養なら月額加算が945.000円程度にはなるので、単純計算すると月8万円の給与改善ができる介護福祉士が11人以上という数字になる。GHでも月額155.000円の加算額が期待できる。

それに引き換え通所介護で、かつ地域密着型である場合、どう頑張っても月額24.000円程度しか加算算定できないのである。これだけ見ても通所介護は、この加算による給与改善が他のサービス種別より低いことは明らかである。

そのため地域密着型通所介護は、一人以上に必ず月額改善8万以上の給与改善をするか、もしくは年収440万以上の職員が必ず一人以上いなければならないという算定要件の例外が適用されることになる。

しかし例外対象だからと言って喜んでいられない。そのルールに喜んでいる経営者がいたとしたらずいぶん能天気だ。なぜなら職員には算定ルールの適用除外なんて何も関係なく、ただただ自分の職場では今後にわたって、他のサービスに比べて給与が上がりづらいという意味でしかなく、将来に対する不安が増幅するだけだからである。

すると今後通所介護には、今後人材が集まりづらくなるのではないかという不安もでてくる。

現在は介護施設と比較して、通所介護のほうが人材確保が容易であると言ってよい。その要因と理由は、通所介護には夜勤がなく、労務負担が少ないと考えられているからである。しかし給与格差が現在よりも広がり、介護施設の職員と比べて、通所介護の介護職員がかなり給与が低くなる場合に、今までのように通所介護に勤めたいと思う介護職員がどれだけいるかは不透明だ。確実に通所介護で働きたいという動機付けは少なくなることだろう。

しかももっと問題となるのは、この加算の格差は、通所介護と通所リハビリの間にもあるということだ。

加算率から言えることは、一人分8万円アップを確保できる月額収入を考えた場合、通所介護であれば700万以上の収入が必要であるが、通所リハビリの場合は400万以上ということになる。そうであれば両サービスで月額収入が同じである場合、介護職員の給与は確実に通所リハビリの方が高くなるわけである。

しかも通所リハビリは単独事業所ではなく、老健と併設している場合が多く、法人単位で特定加算の配分を行うケースが多いので、通所サービスの職員としての括りで言えば、単独事業所より加算配分の恩恵をより多く受けることができる。

通所介護と通所リハビリは確かにサービス種別は違うが、日中の通所サービスであるという点では同じであり、両サービスにおけるに介護職員の仕事内容を考えた場合、その違いはほとんどないといえ、今後、通所介護よりは通所リハビリに勤めたいと考える人が増えるのではないかと思われる。

しかも通所介護は夜勤がないといっても、「お泊りデイサービス」という形で、保険外宿泊サービスを行っている事業者が多く、介護職員も定期的に宿直勤務が必要になる場合もある。しかし通所リハで保険外宿泊サービスを行っているところはほとんどない。この点も夜間働けない人にとっては魅力的な職場の映る要素である。働く動機づけを通所サービスというカテゴリーに絞って考えた場合、どう考えても通所リハビリの方が有利と思える要素が高まっている。

少なくとも介護福祉士養成校の進路指導担当教員は、通所介護の単独事業所への就職を勧めなくなることは確実である。

そういう意味で通所介護の単独事業というのは、今後の事業展開に向けて岐路に立たされていると言えると思う。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
TSUTAYAのサイトからは、お店受け取りで送料無料で購入できます。
キャラアニのサイトからも送料無料になります。
医学書専門メテオMBCからも送料無料で取り寄せ可能です。
アマゾンでも送料無料で取り寄せができるようになりました。

なぜ実習生に作業しか教えず、愛を失くせと説教するのか。


介護人材不足の問題は解決の糸口さえ見えず、全国どこへ行っても、人がいないと愚痴をこぼす人が多い。そして介護事業経営の最大のリスクも、「人がいなくなって事業が継続できなくなること」であり、そのことに危機感を持つ介護事業経営者の方も多い。

介護サービスの場で働く人にとっても、それは自分の職場がなくなるかもしれないという危機感につながっていくと思うが、それ以前に、今現実に行っている仕事が回っていかないという深刻な状態に向かい合っている人が多い。

だから多くの介護事業経営者及び介護従事者は、介護の仕事に就こうとする人が、もっと増えてほしいと願っているはずだ。そのためには介護福祉士の養成校に入学する学生も増えてほしいと思っているはずだ。

そうした介護関係者に自覚してほしいことがある。知ってほしい実態がある。

それは介護福祉士養成校に入学する学生は減り続けているが、その中で養成校に入学する学生は、それなりの高い動機づけを持つ人たちだ。ところがそうした学生の動機づけをつぶし、介護の仕事に就こうとする意欲を失くさせる元凶が、今介護現場で働いている人の姿勢や考え方そのものであるということである。

例えば現役高校生が進路希望として、「将来介護の仕事をしたいので、介護福祉士の資格を得るために専門学校に入学したい」と表明した途端、その学生は職員室に呼び出され進路指導を受けるという実態をご存知の方はどれだけいるだろうか?

学生はそこで、担任教師と進路指導の担当教師に、「将来を考えて、その進路を見直しなさい」と説得されるのだ。介護の職業に就こうとする学生が減っているのは、こうした実態が全国各地に存在しているからである。

そのように説得されてもなおかつ介護福祉士養成専門学校に入学してくる生徒とは、他に行き場のない能力の低い学生ではない。多くの入学希望者は、「人の役に立つ仕事をしたい」・「体の不自由な人の支えになりたい」等という高い動機づけを持っている若者なのである。

そうした動機づけを持つ若者たちは、そうした考えに至る経験と理由を持っている場合が多い。

例えば、「自分が大好きだった祖母が特養で亡くなったのだけれど、そこにはとても尊敬できる介護職員がいて、祖母がなくなる瞬間までとてもお世話になった。私もそんな介護職員になりたい」とか、「自分の母親がヘルパーをしているのだけれど、いつも生き生きとしてお年寄りの暮らしを支えている姿を見て、私もそんな母親と同じ仕事をしたい」とか、「ボランティアで初めて訪れた特養で、若い介護福祉士の方が働く姿が格好良くて、利用者の方々もとても幸せそうだったから」とかいう理由である。

それはまだ幼い考え方の中で生まれた理由かもしれないが、同時にそれはとても尊い考え方であり、大人はその考え方を大切にしなさいと教える人であるはずだ。ところが介護事業で生活の糧を得ている先輩たちが、そうした若者の尊い考え方を、「理想と現実は違う」という言葉でつぶしにかかるケースが実に多い。そうしたスキルの低い職員が数多く存在するこの国の介護の場の実態である。そんな国で介護の仕事に就きたいという若者が増えるわけがない。

介護実習もあまりにも現場の意識レベルが低すぎる。学生は実習の場で、知識と技術を学ぼうとしているのだ。そんな学生になぜ、その職場の作業を教えなければならないのか・・・。ルーチンワークを学生に教え込んで、何の勉強になるというのだ。

職場の動きに合わせて何時何分に何をしたり、物品の置き場所はどこであったりというのは、その職場で働いている労働者が覚えればよい作業であり、学生が実習中にそのことをしっかり覚えたとして何の意味もないことだ。それは社会人として実際に仕事に就いた後で覚えればよいことである。

教えなければならなことは、対人援助のプロとして介護支援を必要とする人にどのように向かい合う方法論である。身体の不自由を抱える人に対して配慮すべき点や、そこで使うべき介護技術とは何かを、その根拠とともに指導するのが実習先に求められていることだ。

実習中に学生が利用者とコミュニケーションを交わしている姿を見て、職員が注意するような職場も多い。「そんな風話ばかりしていると、実習がいつまでたっても終わらないわよ。もっと決められた仕事をしなさい」なんて注意する職員は、実習指導者としてのスキルはゼロである。そういう方法で人材となる卵をつぶしているから、現場の作業が回らなくなるほど人材が枯渇しているのだということに、なぜ気が付かないのだろうか。

どんな状態に置かれた人に対しても、人間愛を忘れずに接しようとしている若者に、そんな青臭いことを言っていると仕事は終わらないと説教する実習に何の意味があるのか。愛なんて介護にいらないというのは指導になるのか。科学的根拠に愛情というエッセンスを添えて初めて、介護が人の暮らしを造る行為につながるのではないのだろうか。

仕事を教えるのが実習ではない。あなたが行っている仕事を覚えるために学生を実習させているわけではなく、教室で学んだ知識や技術が、介護支援の現場でどのように生かされているかを確認するのが実習である。・・・しかし現状では、そんな知識や援助技術なんて持っていない職員ばかりだという認識しか持つことができずに、介護の仕事に夢も希望も失って学校さえ去っていく学生が生まれている。

正しい介護技術を使うことで、暮らしぶりが良くなる人がいて、丁寧なコミュニケーション技術で接することで心豊かになる人がいることを確認できるのが本当の実習だ。コミュニケーション技術を高めることにより、認知症の人でも落ち着いて暮らすことができるという事実と、その方法を伝えることが本来の介護実習である。そうした対人援助のすばらしさを伝えるのが実習指導者の務めである。

それをしないで作業労働しか教えず、忙しい現場のルーチンワークをこなす手助けに、猫の手よりはましな学生を駒として遣おうとする介護実習先で、学生は「介護の仕事は人の役に立つ仕事だと思ったけれど、そうではなかった」と動機づけを失っていく。

実習後の報告会で、学生は実習先で教えられた方法を振り返って、「利用者への対応が流れ作業になってしまっている」と報告してくる。同時にそんな方法に胡坐をかいている多くの職員の姿を見て、「あんな鈍感な人たちの中で働くのは不安だ」・「こんなやり方が、人のためになっているとは思えない」として介護福祉士養成校を中途退学してしまう人もいる。

つまり実習先が介護現場の金の卵である若者をつぶしているという実態があるのだ。そのことを変えない限り、この国の介護人材不足は永遠に解消しないだろう。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
TSUTAYAのサイトからは、お店受け取りで送料無料で購入できます。
キャラアニのサイトからも送料無料になります。
医学書専門メテオMBCからも送料無料で取り寄せ可能です。
アマゾンでも送料無料で取り寄せができるようになりました。

訪問介護員の絶滅を防ぐ手立てはあるのか?


居宅サービスの支え手として、「訪問介護員(以下、ヘルパーと略す)」が重要であることは間違いない。

7/26の社保審・介護保険部会でも厚労省は、訪問介護員の確保の重要性に触れ、「初任者研修の受講料の助成を広く活用すること」などを対策として挙げている。

が・・・この考え方はあまりにもずれてないか?ヘルパーの不足は、初任者研修の問題なのか?

厚労省の調べによると、2015年度の時点でヘルパーは50代以上が全体の61.6%にのぼっている。60代以上が36.4%を占め、30代以下は15.5%しかいない。このように担い手の高齢化はかなり進んでおり、このままだと状況は悪化の一途を辿ってしまうという現状認識もされている。

そうであれば、なぜ訪問介護員の年齢層が高いかという理由に触れて対策を考えなければ、どのような対策も的を射たものにならない。こうした点を介護業界側の委員もどうしてきちんと指摘しないんだろう?ただ給付費を上げろっていうだけじゃ問題は解決しないし、国も動かんだろうに。

先日の介護保険部会の議論を見る限り、ヘルパー不足に対する具体的な解決策には結びつかないと思わずにはいられない。

そもそも訪問介護費が安いから、正職員をそう多くは雇えず、登録ヘルパーが中心になるから、若い人が将来性がないとして働いてくれないというだけの問題ではないという認識が必要だ。ヘルパーの年齢層が高いという理由は、若い人がヘルパーの職を選びづらいことと同時に、年をとってもヘルパー業務ならできるという2つの理由があることを忘れてはならない。

訪問介護は身体介護だけではなく、「生活援助」という家事の支援が含まれているが、訪問介護サービスのうち要介護1で6割以上、要介護2で5割以上がこの生活援助サービスで占められている。つまり軽介護者については、身体介護のスキル以上に家事支援のスキルが求められてくるのである。よって家事能力の低い若者が訪問介護の仕事を選択しない傾向がある。男性ヘルパーが少ないのも、この理由によるところが大きい。

また訪問介護は利用者の自宅等の居所で、1対1の関係で支援を行う業務であるから、若い女性が男性高齢者にセクハラを受けるというケースも少なくなく、それを避ける傾向にあるために若い女性が少ないということも言える。

現在訪問介護サービスを利用する男性利用者は、現役世代にセクハラが大きな問題にならなかった時代を長く生きており、「女性蔑視」の考え方を持っている人も多く、本人にそのつもりがなくとも、ヘルパーを召使いのように扱ったりする人もいる。その中には日常的にセクハラと言える言動をとる人もいるが、人生経験を積んだ女性であれば、そうした言動をうまくかわしてうまく対応できる人が多くなる。(言葉は悪いが、「適当にあしらうことができる」と表現しても良いかもしれない)

若い女性にはそれはなかなか難しいと言えるかもしれない。

しかしこうした密室での1対1の対応がうまくできる人であれば、他の介護サービスに比べて、訪問介護の方が年齢を重ねても長くできる仕事でもある。

介護施設の業務に比べると、同じ場所で同時刻に複数の重介護者に対応する必要はないし、夜勤など体力が必要となる業務負担も少ない。自分の体力や生活スタイルに応じて、働くことができる時間だけの登録業務とすることもできる。

現に僕が総合施設長を務めていた社福では、定年退職した介護職員が登録ヘルパーなら続けられるとして働き続けているだけではなく、清掃員として特養に勤務したことがきっかけで介護業務に興味を持った人が、清掃員の業務を行いながら資格を取って、定年退職後にヘルパーに転身した例もある。

このようにヘルパー業には、高齢になっても働くことができるという側面もあるのだ。初任者研修が受けられないからヘルパーになれない人などほとんど存在しないと言ってよく、仮にヘルパー不足が初任者研修の問題だとしたら、そんな研修の受講義務などなくしてしまえばよいだけの話である。

なぜなら施設介護や通所サービスの介護職員に何の資格もいらないし、小規模多機能居宅介護の訪問サービスは資格がなくともできる。特に小多機の訪問サービスって、訪問介護とほとんど同じことをしているではないか。それでなにも問題がないとされているのだから、初任者研修がないとヘルパー業務が立ち行かないとか、スキルが担保できないというのは整合性のない論理としかいいようがない。

ヘルパーとしての仕事ができるかどうかのスキルは、雇用事業者がその責任を負えばよい。それは現状の介護施設等で普通に行っていることだ。

訪問介護の主役であるヘルパーがいなくならないように、訪問介護費を上げるという論理も危険性がいっぱいである。その財源確保のために他の介護サービスを削ったとしたら、それは他のサービスの介護職員がヘルパーに流れて、介護施設等の介護職員不足がますます深刻化する結果にしかならないからだ。

むしろヘルパーの高齢化を問題視するのではなく、ヘルパーは高齢になっても就業可能な業務であることを活用すべきである。

介護業界全体の就業者数を増やすことで、介護施設等で働いていた人が、高齢になってその業務が負担になった以後、訪問介護員として再度活躍できるという循環をつくることのほうが、初任者研修をどうのこうのすることより、より現実的な対応と言えるのではないだろうか。

そもそも日本の現状は介護人材不足ではない。生産年齢人口が減り続ける中で全産業で人手が足りないという状況なのだから、その中で介護業界に張り付く人材を増やさなければ、同じ財布の中身をシャッフルして、今現在お札が財布のどこにあるのかという対応にしかならない。

・・・しかし世の少子高齢化と、生産年齢人口の減少の先を考えながら、介護業界だけに国費が莫大にかけられない状況を考えると、介護保険は制度あってサービスなしという状況にまっしぐらに向かう可能性が高いのではないかと思ってしまう。

そうしないための唯一の方策は、介護サービス提供の責務を市町村に義務付ける以外になくなるかもしれない。特に訪問介護については、市町村事業化する以外に根本的な対策はないと言えるのかもしれない・・・。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
TSUTAYAのサイトからは、お店受け取りで送料無料で購入できます。
キャラアニのサイトからも送料無料になります。
医学書専門メテオMBCからも送料無料で取り寄せ可能です。
アマゾンでも送料無料で取り寄せができるようになりました。

部下を叱って指導できない職場環境であってはならない


介護事業者の最大の課題は、人材確保であることは言うまでもない。

しかしその方法論が間違っていると思われる事業者が思った以上に多い。人材確保のためには、どういう人材を採用するかということも重要になり、数合わせの採用がいかに職場をダメにするかについては、「妥協のない人材選びと育成が未来を切り拓く」で問題提起を行っているが、しかしこの記事を読んで勘違いしてほしくないことは、大事なことは良い人材を選ぶだけではなく、良い人材となり得る人を見抜いて採用し、そうした金の卵を育てる必要もあるということだ。

その卵は、介護の専門的な教育をまだ受けたことがない人かもしれないのだ。

だからこそ募集に人材が集まってくれる職場を創る以前に、職場で人材が育ち定着させることが最重要課題なのだ。しかしそこの順序を間違っている職場が多い。底割れの人材対策など、何の意味もないことに気が付かなければならない。

人材となり得る人を育てるためには、管理職だけが頑張ってもどうしようもない。現場で本当の意味のOJTができる、リーダー職員が存在しなければならない。そういう意味ではリーダーの養成と教育から先に始めなければならないわけである。

介護事業者の最重要課題は、OJTを任せることができるリーダー職員の育成に他ならない。そしてそのリーダーが常に介護の品質をチェックし、お客様に提供するにふさわしいサービス提供ができていない職員に対して指導する必要がある。

いくら新入職員教育に力を入れて、実務に入る前にサービスマナーを教え、根拠に基づいた基本的な介護技術を教えたとしても、実務に入った場所で、それを実践している先輩がいない限りそのようなマナーや技術が浸透するわけがない。そのために現場レベルでマナーや技術を指導するだけではなく、チェックできるリーダーの存在は不可欠になるのだから、新人を教育する前に、リーダーを養成し、徹底的に鍛えることが大事なのだ。

このことに関連して、来月8月20日(火)〜22日(木)まで、愛媛県で中堅リーダーを対象にした研修を実施する予定になっている。その研修は、「中堅リーダーの役割」をテーマに愛媛県老施協と地区老施協が共催するものであるが、それぞれの地域のリーダーの方がくまなく参加できるように、3日間で松山市・今治市・伊方町の4地域を廻り、それぞれ同じ内容で3時間の講義を行うことになっている。

そこではリーダーとして知っておくべき情報と知識として、介護施策・制度に関連する社会情勢や社会保障制度改革の中での介護保険制度の方向性を伝えるとともに、リーダーとして求められる資質として次の3点を重点的に伝える予定にして、現在講演スライドを作成しているところだ。
・人を育てる資質
・根拠のある介護を指導する資質
・対人援助の本質を護り・伝える資質


ところで最近は部下を叱れないリーダーが増えており、そのことは大問題だと思っている。叱ったらやめてしまうと、叱れないのでは人は伸びない。部下の成長のために愛と誠意をもって叱ることを憤って辞めていくのであれば、そんな職員は、「人材」にはなり得ないのだから、やめさせれば良いのだ。だからこそ叱ることをためらうリーダーであってはならない。

そもそも叱ることと、怒ることは違うのである。叱って育てることは、上司の感情のままに怒りを部下にぶつけるようなパワハラとは異なるわけである。叱られることで、はじめて問題を認識できる部下も多い中で、叱ることができずに、部下のプロ意識が育たずに腐敗していく職場を数多く見てきている。

職員が定着するための条件として、上司が部下に媚を売るような職場環境が求められているわけではないのである。媚を売るようなリーダーは、結局部下に馬鹿にされて、笛吹けど踊らずという職場環境に陥るのだ。

求められていることは部下をきちんと指導できる職場環境である。そのために指導できるスキルがリーダーには求められるが、指導とは技術指導と人間指導の両面持つ必要があるから、指導する際に叱ることも必要となる場合があるのだ。愛情を持って部下を叱る態度は、リーダーには不可欠なのだ。

勿論その対極に、感情的に怒る上司が職場環境を悪化させるという理解も求められることは言うまでもない。

愛媛の中堅リーダーの皆さんには、このことを3時間という時間の中で伝えてくる予定なので、是非日程調整をして、数多くの方にこの研修を受講していただきたい。そして職場で若手を育てる方向性を見出していただきたい。

質問があったら何でも会場でお応えしますので、よろしくお願いします。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
TSUTAYAのサイトからは、お店受け取りで送料無料で購入できます。
キャラアニのサイトからも送料無料になります。
医学書専門メテオMBCからも送料無料で取り寄せ可能です。
アマゾンでも送料無料で取り寄せができるようになりました。

地域密着型通所介護に永続的な経営モデルは存在しない


福祉医療機構が6月28日、2017年度の通所介護の経営実態を分析した最新のレポートを公表している。

そこには地域密着型通所介護の45%が赤字というデータが出ている。このことは昨年4月の報酬改定で、地域密着型通所介護費は単価がアップしたが、それでもなおかつ経営が厳しいという実態を表しており、そのことに相当のショックを受け、今後の地域密着型通所介護の経営に不安を抱く関係者も多いことと思える。

しかし地域密着型通所介護のままでずっと経営できるなんてあり得ないことである。

わずか18人定員の事業サービスでは、保険内収入も18人の利用者によってもたらされる給付費が上限なのだから、職員の定期昇給をきちんと年次ごとに行っていく過程で、収益が頭打ちになるのは当然ではないか。しかも18人という利用定員の上限はすぐそこにある。

介護保険制度開始当初は、地域密着型通所介護という分類はなかったが、小規模型通所介護という形で事業を立ち上げても経営が成り立った。その理由は、通所介護の単価が今よりずっと高かったからである。その単価は特養の1時間単価より高く設定され、かつ夜勤業務を伴わない通所介護には、人材が集まり、人件費コストも今よりずっと低かったことから、運営コストは特養よりはるかに安く済んだので、小規模通所介護の保険給付だけでかなり長い期間保険収入のみで収益を挙げることが可能だった。収益が頭打ちになる上限もずっと先にあった。

しかし単価がどんどん下げられていく過程で、そうした状況ではなくなってきているのである。しかも財務省は、先の小規模通所介護費のプラス改定には相当お冠である。そして財源が厳しい状況でコストパフォーマンスが低い事業は、なくなってもよいとして、介護事業の大規模化を誘導している。(参照:施策として進められる介護サービスの経営主体の⼤規模化

こうした諸々の事情を鑑みると、今後の通所介護の経営モデルで言えば、地域密着型サービスは経営の第一段階となっても、最終経営モデルにはなり得ない。よって通所介護事業所を建設コストが安い地域密着型で立ち上げて、そこでしっかりサービスの品質管理をして、お客様に選んでいただける事業所として成長する過程で、定員の増加を図り都道府県指定事業所に拡大していかないと、経営に行き詰まることは目に見えている。

少なくとも地域密着型通所介護単独では、職員の定期昇給もままならなくなる。それに加えて10月からの特定処遇改善加算は、通所介護には辛い加算率となっており、小規模の事業所単独では大幅な待遇改善はままならず、規模の大きな事業者等に人材が流出する恐れがある。間違いなく今後の地域密着型単独経営の事業所には人材が集まりづらくなるだろう。

そのような中で事業規模の拡大が必至の状況となるのが、通所介護事業の立ち位置だ。しかし事業規模を拡大するには、顧客を確保していかねばならない。

他事業所との競合の中で、お客様に選んでもらうためには、ホスピタリティ精神を生む職員のサービスマナー教育を徹底し、サービスの品質管理を行い、顧客ニーズにマッチしたサービスの質向上に努めていかねばならない。顧客層の中心となる、団塊の世代の方々に選ばれるサービスメニューも開発していく必要がある。

いつまでも風船バレーとカラオケがメインサービスの通所介護なんて、廃れて無くなるのは身に見えているのである。ちいちいぱっぱのサービスが選ばれないのは当然なのである。

加えて事業規模の拡大の種を、様々なところに蒔いていかねばならない。事業者の財政基盤の強化も必要で、保険収入以外にも収益確保の構造改革が不可欠だ。

とすれば、いわゆる混合介護として通所介護事業と同時一体的に保険外サービスを提供することも必然となる。(参照:混合介護のルール明確化2・通所介護編

混合介護として、利用者が通所介護を利用中に、通所介護業務に直接携わらない運転手などが買い物代行サービスをして、保険外費用を得ることも認められているのだから、できる範囲でそれらのサービスを提供することで、利用者の多様なニーズに応えていくべきである。

本来混合介護は保険内収入と保険外収入のセットで、事業収入の拡大を図るものであるが、保険外サービスの収益が微々たるものであったとしても、このように利用者ニーズへ広く対応することによって、顧客増加につながるという視点も必要不可欠である。そういう意味で、混合介護をやらないという選択肢はない。

さらに事業規模の拡大は、高齢者の通所介護という形だけで考えていてはリスクが大きすぎる。要介護1と2の通所介護が、市町村の総合事業化されるという懸念がぬぐい切れないのであるから、そうなることがあるかもしれないという想定の下に、高齢者以外に顧客を求めていかねばならず、「共生型サービス」として、障がい者の方々にも選ばれていく事業にしていかなければならないのは当然の帰結である。

僕は通所介護事業所で、共生型サービスを行わないという選択肢はないと思っている。なぜその準備を進めて、一日も早く共生型サービスの指定を受けないのか疑問である。

共生型サービスに無関心な通所介護関係者の方々は、もう一度このあたりの視点で、経営戦略の見直しを図る必要があるのではないだろうか。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
TSUTAYAのサイトからは、お店受け取りで送料無料で購入できます。
キャラアニのサイトからも送料無料になります。
医学書専門メテオMBCからも送料無料で取り寄せ可能です。
アマゾンでも送料無料で取り寄せができるようになりました。

損保ジャパンの介護事業への配転計画の裏を読む


損害保険会社大手の「損保ジャパン日本興亜ホールディングス」といえば、「ワタミの介護」や「メッセージ」を買収し、介護事業部門においても大手と言ってよい企業である。

同社が、西日本で最大の介護事業者だったメッセージを買収したきっかけは、「Sアミーユ川崎幸町事件」であったと記憶している。

3階のベランダから利用者3人を投げ殺したとされ、1審で死刑判決を受け控訴中の今井被告事件のほか、複数の介護職員が利用者に罵声を浴びせ、乱暴に利用者をベッドに放り投げているなどの隠し撮り映像がユーチューブにアップされ、その後の調査で全国の有料老人ホーム「アミーユ」で同じような虐待行為が発覚したことで、親会社である「メッセージ」が介護事業経営を続けることが不可能となり、損保ジャパン日本興亜に事業譲渡した経緯について鮮明に記憶している関係者は多いことだろう。

ところで月曜日の夜にネット配信されたニュースでは、損害保険ジャパン日本興亜が、ITを活用することで業務の効率化を進め、2020年度末までに従業員数を17年度比で4000人程度減らす方針であることが報道されている。それは同社の全体の約15%に相当する数ということであるが、希望退職者の募集は行わず、余った従業員は介護などを手掛けるグループ企業に配置転換し、新卒採用も抑えるとしている。

要するに本業の合理化で余った従業員を、後発事業として抱え込んだ人手の足りない介護事業に配転するというものだ。

これによって同社は、本業の生産性がアップし、さらに生産性の低いと言われる介護事業に、本業で鍛え上げた人材を貼りつけることで、そちらの生産性も向上させるとともに、介護事業の人材不足も一気に解決し、介護業界のトップランナーとして走り続ける条件を備えるということになるだろうか。

そして一つの企業だけで、新たに4000人もの介護人材を生み出すことが、介護業界全体の人材不足を少しでも補う効果につながるのだろうか。

しかしそうは問屋が卸さないだろう。

配転される人たちは、介護の仕事に就くことを望んでいるわけではあるまい。そして介護の仕事に対する興味も知識もあるわけでもあるまい。損害保険を扱う業務をしていた人が、いきなり介護の業務に臨んでも、事務作業くらいしかできる仕事はないかもしれない。しかしは配転先の介護事業者が求めているのは事務作業を行う人ではなく、介護業務を行う人材である。

そうであれば企業グループ内の配転だからと言って、「ああそうですか」とすんなり配転に従うとは限らない。配転を拒んで辞めてしまう人もいるだろう。

望まぬ形で配転された人も、時とともに介護業務に慣れて、そこで新たな人材として張り付くなんて言う期待はできない。覚悟を決めて配転に従ったとしても、いざ介護の仕事に就いてみると、やはり自分の適性ではないと気が付いて、短期間で辞めていくのが落ちではないだろうか。

しかし大手企業がそんなことを理解できないわけではないだろう。ということはこの配転の方針には裏があるということではないのか。

つまり合理化=首切りというイメージは、企業にとってマイナスにしかならないために、そう思われないように、世間に対しては希望退職も募集せずに、内部の移動だけで合理化を進めるという印象操作を行って、その実態とは、余剰人員をまったく畑の違う異業種へ配転させることで、相当数の職員が自分の望まない仕事に嫌気が差して、辞めていくことを見越したものではないのかとうがった見方をしてしまう。

このような形で介護事業者に配転させられる人が、すべて介護事業者の戦略となるわけがない。その一部の人達には介護の仕事の適性がなく、あらたな職場で何かをしでかす恐れだってないとは言えない。適正も希望も鑑みない配転は、「介護うつ」の予備軍を大量に作り出すかもしれない。

配転から1年後に、その人たちが何人介護業界に残っているのか、3年後には何人になっているのかを調べることは、こうした配転の効果と実情を考えるうえで、興味深い統計データになるのではないだろうか。しかしその数字は、決して表には出ることはないのだろうと想像する。

どちらにしても、余剰人員として無理やり専門外の業界に配転させられる人々には、お気の毒としか言いようがない。無理をして精神と身体を病まないようにしていただきたい。

ただし断っておくが、介護とは本来、人の暮らしを支え、誰かの心に咲く赤い花になることができる、誇りある職業である。転職動機に利用されるような職業ではないのだ。適性のない人や、介護の仕事に興味がない人にとっては、「辛い」ものになるだけの話である。

その時、「辛い」という文字に「一」を足して、「幸福」に換える動機づけが持てる人は、介護の仕事に変わっても幸せでいられるだろう。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
TSUTAYAのサイトからは、お店受け取りで送料無料で購入できます。
キャラアニのサイトからも送料無料になります。
医学書専門メテオMBCからも送料無料で取り寄せ可能です。
アマゾンでも送料無料で取り寄せができるようになりました。

虐待の元凶は介護ストレスにあらず


介護事業者における虐待をストレスが原因と論調する向きがあるが、それは少し違うのではないかと考えている。

仕事にはストレスがつきもので、介護の職業が他の職業に比して特別にストレスが大きいという根拠はない。人と向かい合う仕事だから、ストレスが利用者への暴言や暴力に直接結び付くと考えるのも短絡的すぎる。

現に虐待と無縁の介護従事者の方が圧倒的な多数派なのである。

虐待と無縁の人が、ストレスとは無縁かといえば、決してそうではなく、多かれ少なかれ仕事上の様々なストレスを抱えながら、仕事を続けている。それらの人にとっては、ストレスがあるから、そのはけ口を、利用者に対する虐待行為に求めるなんて言うことは信じがたいことである。

むしろストレスを利用者への虐待行為に結び付ける考え自体が、介護の仕事を行う人間としての適格性が疑われると考えるべきではないだろうか。

介護サービスの現場で、職員の虐待に結び付く一番の原因とは、人の暮らしに深く介入する職業に向いているのかどうかという人選がきちんと行われておらず、入職後の教育が適切に行われていないのではないかというところから考えられなければならない。

対人援助の職業は、第3者の暮らしに介入する職業であるがゆえに、バイスティックの7原則の一つである、「統制された情緒関与の原則」等を貫ける知識と資質を持つ人を選んで、育てなければならない。求められるのは、常に「自己覚知」に努め、スキルを磨く動機づけのある人材なのである。そういう選択と教育が行われているのだろうか。

介護事業経営者は、責任を持って自己覚知やバイスティックの7原則を伝える努力をしているのだろうか。

本来対人援助の仕事は誰にでもできるものではない。よって採用という入り口の段階で、きちんと人材として適性があるのかが厳しくチェックされなければならないし、採用後も段階に応じて定期的にスキルアップの教育を施していかねばならないのである。特にリーダーとなる職員に対する人権教育を徹底し、リーダーが部下に対して日常的に利用者へのサービスマナーの徹底を図る指導が行われるようにしなければならない。だからマナー教育は重要だ。

しかし介護人材の不足が叫ばれ、それに対する決定的な処方が見つからない今日、介護事業経営の最大の課題は人材確保であることを理由に、職員募集に応募してきた人の適性検査をおざなりにして、闇雲に職員採用をしてしまう事業者も多い。

しかしそのこと自体が、経営リスクに直結すると言ってよい。昨今、介護事業者の職員による様々な虐待が明らかになっているが、その根は適性を鑑みない採用と、教育システムを整えていない事業者が、知識と技術のない人間を、十分な教育を行わないまま介護現場に放り出すように勤務させる状態にあると言えるのではないだろうか。

しかしそれは負のスパイダルを生む状態だ。職員採用をそのような考えで行っている限り、悪貨が良貨を駆逐する状態が続き、人材不足の常態が永遠に続くという悪循環に陥る。

例えば介護施設で、とりあえず夜勤職員の数を確保しようとして数合わせの人集めを行なった結果、質の低い職員の指導に業務時間がとられ、疲弊して辞めていく職員が多くなる。教育してもさっぱり人権意識が備わらない職員の、利用者対応の横柄さや、乱暴な言動にストレスを抱えるのは、人材として財産になる職員だ。そうした人財が、適性のない職員の存在によって辞めていく結果になるとしたら、プラスマイナスで考えると、あきらかにマイナスである。

このように適性を問わずに募集に応募してくる人間をすべて採用する施設では、数合わせの結果が、職員減少を招くという悪循環が起こっている。その結果、夜勤職員の配置ができずに休止に追い込まれる介護施設もぼつぼつ出現してきた。地域によっては高齢化のピークが過ぎて、介護施設の需要が満たされ、供給過多となりつつある地域があり、そこでは当然、利用者もこうした施設を選ばなくなり、経営に行き詰まる施設も現れつつある。

そうしないための唯一の方法とは、妥協のない人材採用であり、内容の伴う職員教育である。

妥協をしない結果、一時的に職員数が減って仕事が回らないときは、一部の事業を縮小して、身の丈の範囲でしっかり事業をまわし、その間に徹底的に職員を育てるという考え方と覚悟が必要だ。きちんとした職員採用と教育を行っている事業者には、長期的にみれば必ず求められる人材が集まってくるのだ。

つまるところ介護事業者は人なのだ。介護施設にいくら最新の介護ロボットを導入したとしても、人に恵まれなければ、その介護施設は資材置き場と化すだけである。だからこそ人材確保と育成のためにこそ労力とお金を使うべきなのである。

虐待事件がひとたび職場内で起こったならば、多額な損害賠償責任が生じるだけではなく、社会の批判の的にもなる。そうした事業者は、健全な社会活動にも支障を来すようになり、事業継続の危機にもつながるのだから、職員採用は慎重に行わねばならないし、採用した後の適性の見極めや、教育もおざなりにはできないのである。
介護という職業

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
TSUTAYAのサイトからは、お店受け取りで送料無料で購入できます。
キャラアニのサイトからも送料無料になります。
医学書専門メテオMBCからも送料無料で取り寄せ可能です。
アマゾンでも送料無料で取り寄せができるようになりました。

介護離職を減らすためにケアマネが負う新たな役割


政府の規制改革推進会議の答申がまとめられ、6日安倍首相に提出された。

それを読むと介護関連では、昨年9月28日に発出された、「介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱いについて」によって介護保険内・外サービスの柔軟な組合せが適切に行われるルールの明確化を中心に、フォローアップしたことを評価するとともに、今後も豊島区で行われているモデル事業を踏まえたうえで、さらなるフォローアップを行うとしている。(※32頁)つまり、「混合介護」をより一層推進するという意味だろう。
(参照:混合介護のルール明確化1・訪問介護編 ・ 混合介護のルール明確化2・通所介護編 ・ 混合介護のルール明確化3・道路運送法上の取扱い

このことは介護サービス事業者が保険外収入の手段を手に入れるということことにもつながるが、同時に保険外サービスと一体に保険給付サービスを提供するケースが増えるという意味は、その方法が適切かどうかについて、計画担当者である介護支援専門員のチェックの視点がより重要になるという意味でもあり、ケアマネの業務負担は確実に増加することを覚悟せねばならない。

しかしそのこと以上に、ケアマネの業務負担が増加する内容が、規制改革推進会議の答申には書かれている。それは「介護離職ゼロに向けた対策の強化 」という部分である。(※34頁〜35頁

そこには、「働きながら介護をする労働者の支援策」が提言されている。

そこでは、近年認知症介護のケースが増えているが、BPSD(行動・心理症状)が要因となり、家族介護者が突発的な対応を余儀なくされることが多く、かつ認知症は症状が徐々に進行する特徴があるため、変化に応じてケアプラン の見直しを行う等、家族介護者が介護専門職と相談できる機会の確保が不可欠であるとし、こうした相談は短時間で済む場合が多いが、現行の介護休暇は取得単位が 「半日」であるため、所要時間に応じた小刻みの取得ができない点を問題点としている。

そのため介護休暇について、時間単位の取得が可能になるよう、必要な法令の見直しに向けた措置を講ずることを提言している。それは良いとしても次の提言はどうだろう?

こうした介護と仕事の両立のための支援制度があるにもかかわらず、家族介護者の うち9割以上が介護休暇と介護休業のいずれも利用したことがなく、同制度の認識がある者は家族介護者の 42.2%にとどまることを問題点として挙げている。

そして勤務先に介護休業制度があることを認識していた労働者の介護離職率は、認識がなかった者の約半分に低下するとした労働政策研究・研修機構の報告データを示し、この結果を援用して、現在の制度の認知度が仮に 100%になった場合の離職率を試算すると、現状の離職率 15.0%から4割程度低下することになるとし、このことは介護離職者の約 75%を占める女性のキャリア継続に効果が大きいと結論付けている。

そのため「厚生労働省は、 ケアマネジャーが、就労している家族の勤務実態も踏まえてケアプランを作成できるよう、セミナーの開催やその受講を評価する仕組みを通じて、ケアマネジャーへの情報提供や支援を行う。 」と提言している。

勿論、そうした制度があることをケアマネジャーが十分理解し、利用者の家族支援の意識を持つことも必要だろうが、そのことを介護支援専門員の義務のように押し付けるのはいかがなものか。これは本来、行政責任で企業等の担当者に制度を活用するように指導し、労務管理担当部署の担当者から雇用する職員に対して周知すべき問題ではないだろうか。

そもそも介護休暇・介護休業の制度が普及しないのは、そのような制度があることを知らないからという理由よりも、そのような制度があっても、人手不足などの職場環境などの状況から、そのような制度を活用できないという意識や職場の雰囲気があるからではないのだろうか。そうであるがゆえに制度を周知しても、それが活用できない様々な要因を排除しない限り、離職率が4割も低下するなんてことにはならないだろう。

しかし今回の提言では、まず周知が必要で、それも直接ケアプランに介護休暇を活用した家族介護の視点を持ち込むことによって、労働制度の啓発と普及を介護支援専門員に担わせるとうわけである・・・。

しかし介護保険制度創設の目的の一つは、介護の社会化であり、家族介護に頼らずに、社会的に要介護者を支えるというものではなかったのか。介護休暇や介護休業の活用をケアプランに盛り込んでいくという方向性は、介護の社会化の縮小や否定につながりかねない問題ではないだろうか。

しかもそのための知識を得るためにセミナーを受ければ、「ケアマネジャーが評価される」とされている。それはセミナーを受ければ何らかの形で介護報酬に反映されるという意味だろう。しかしそれはいずれ、当該セミナーを受けなければ介護報酬は全額算定できないという風に、加算ではなく減算化されていく可能性が高い。

つまり極めて義務化に近いセミナーの新設となりかねないものだ。

日ごろ地域を忙しく走り回っている介護支援専門員は、報酬改定の度に複雑化する加算ルールについては、計画に関連するすべてのサービス種別の知識が求められるため、日々の勉強が欠かせない。そんな中で利用者は、毎日のように介護支援専門員を頼りにして様々な支援を求めてくる。しかしこの資格には更新制度があり、5年に一度は、利用者支援を他の誰かに任せて、研修のためだけに何日も時間を使わねばならない。ただでさえも忙しいし、勉強もし続けているわけである。

そんな中で、介護離職を減らすという国の政策責任で行うべきことのために、介護支援専門員は目的外使用を余儀なくされるわけである。そのために介護支援専門員に新しいセミナーを受けさせるというわけである。いい加減にしろと言いたい。

百歩譲ってそのような勉強が介護支援専門員に求められるのであれば、更新研修にそのカリュキュラムを組み入れれば済む問題である。

そうしないで新たな独立したセミナーを新設しようとする意味は何だろうか?このセミナーの受講対象者は、少なくとも全国の居宅介護支援事業所の介護支援専門員すべてを対象と考えられていることは想像に難くない。するとこのセミナーを開催するということだけで動くお金はかなりのものとなるだろう。

つまり極めて受講義務化に近いセミナーを全国で開催するという意味は、間違いなく利権と繋がっているという意味だ。

そんな利権のために、誰かを設けさせるために、介護支援専門員は新たな役割を求められ、安い報酬でこき使われるわけである。まったくたまったものではない。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
TSUTAYAのサイトからは、お店受け取りで送料無料で購入できます。
キャラアニのサイトからも送料無料になります。
医学書専門メテオMBCからも送料無料で取り寄せ可能です。
アマゾンでも送料無料で取り寄せができるようになりました。

妥協のない人材選びと育成が未来を切り拓く


骨太改革で社会保障費の自然増を年間5.000億円に抑え込んだとしても、介護給付費は2028年には、2018年と比較して10兆円増大する。

今後の10年間に関して言えば、介護給付費だけで確実に100兆円増えるという市場の中で、保険サービスの顧客を増やすという戦略を、介護事業経営者が練ることができさえすれば、確実に事業は成長させられるわけである。

しかしもっと長期的な事業戦略を見据えて、将来長く介護事業経営を続けようとした場合、高齢者の数の減少社会に入っていることを考え、いずれかの時期には介護給付費に頼り切った事業経営に見切りをつけて、保険外事業でも収益を挙げていく構造へと転換を図らなければ、事業経営は頭打ちとなることは明白である。

その時、どのような保険外事業を選択できるのかは、時代の流れを見据えて見つけ出していくしかない。しかし保険外事業が簡単ではないことは、「保険外事業で誰もが稼げるわけではない」という記事においても問題提起しているところだ。

だからこそ保険内外両事業を支える基盤は、人材であることを忘れてはならず、保険給付サービスより厳しい競争を強いられる保険外サービス競争で勝ち残るために、そこを担う能力がある人材を確保していかねばならない。

そのためには座して人材が来るのを待っていても始まらない。どういう人材が必要かを明確に意識し、そうした人材を確保するために、他の介護事業者との差別化を図って、独自の方法で人材確保という面でも勝ち残っていく必要があるし、職場の中で人材を確実に育て伸ばしていかないと、必要な人材確保はできなくなる。

そのためには人材がどういう場所に集まり、どういう場所で育っていくのかをきちんと見据えて、人材が集まり育つ具体策を取っていくしかない。

職員募集に応募してきた人を、とりあえず全員採用してしまおうと考える事業者であっては、人材は育つことはない。そのような事業者に居座る、「能力のない職員」の存在によって、職場環境は悪化し荒廃する。そこからは人材が流出するだけでなく、人員さえも逃げていくため常に職員募集をし続けなければならず、人員が足りない分、さらに誰でもよいから採用しようということになり、益々職場環境が悪化するという悪循環が永遠と続くことになる。そんな事業者は消えてなくなる運命の途上であると言ってよいだろう。

そもそも事業経営に理念は大事だが、理念を念仏化しても何にもならない。理念を標語のようにして職員のネームプレートに記入して、首からぶら下げさせても、犬の首輪の役目さえ果たさないのである。

「未来につながる介護」・「尽力・誠意」・「心配りの介護」・「地域住民の福祉の向上」。どれも大事だが、それを標語にするだけで実質が伴っていなければ介護事業者の発展は見込まれない。

介護事業の経営理念を高く掲げて、他の介護事業者の追随を許さない高品質なサービスの提供を目指さねばならないのはいうまでもないが、それが標語で終わってはならないのだ。高い理念を掲げるならば、それを実現するために妥協のない職員教育が必要になる。それによって重度障がい者への高品質ケアや認知症ケアや看取り介護も、他の追随を許さないレベルで提供できる高品質な介護サービスの技術力を持つ結果につなげていくという結果を出さねばならない。

それができたとき必然的に地域住民から選択されるだけではなく、職員のサービスも洗練されていくのだ。

そうした職場には、「高品質なサービスを実践したい」・「自分の技能を高めたい」と考える有能な人材が集まってくるのだ。そうした職場であるからこそ人材は自然に集まり、定着率は格段に上昇するのである。

技術力・サービスマナー意識の低い職員がいても、人手がなくなることを恐れて、そうした職員を排除できない介護事業者に、洗練された介護技術など持てようはずがない。そうしたところは顧客から選ばれずに、人員にもなり切れない無能な労働者しか寄ってこないだろう。そしてそうした職場環境は、何事も怠惰と退廃に傾くだけに陥る。

要するに凡庸な介護に終始する介護事業者ほど、理念を空想化し標語にこだわる傾向に陥り、職場環境も良くならず、人員確保にさえ汲汲としてまともな介護事業経営などできなくなるということだ。

高品質な介護技術によるサービス提供と、五つ星ホテル並みの職員教育をうまく融合させていくところがあるとすれば、それは日本の介護の先頭に立って、安定した事業経営が続けられる介護事業者として成長を続けられるだろう。

生き残りをかけた事業戦略を真剣に考えるならば、事務職員の電話対応から、看護・介護職員の言葉遣いや所作まで、厳しい躾(しつけ)を行き渡らせる必要があることを、事業経営者は心するべきである。この部分に妥協が多すぎるから、いつまでも経営者の目指す職場は実現できないのだ。できない人員は辞めさせるしかないことを事業経営者は肝に銘ずるべきである。

つまるところ介護事業者は人なのだ。介護施設にいくら最新の介護ロボットを導入したとしても、人に恵まれなければ、その介護施設は資材置き場と化すだけである。

だからこそ人材確保と育成のためにこそ労力とお金を使うべきなのである。

ただし実効性が見込めない方法、実際に効果が出ないで漫然と続いている方法に労力とお金をかけても死に金になり無駄になるだけだからその見極めは必要だ。経営コンサルに丸投げして、資金だけかけてもさっぱり人材問題が解決していないというのは最悪である。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
TSUTAYAのサイトからは、お店受け取りで送料無料で購入できます。
キャラアニのサイトからも送料無料になります。
医学書専門メテオMBCからも送料無料で取り寄せ可能です。
アマゾンでも送料無料で取り寄せができるようになりました。

絶滅危惧職種の懸念で基盤が揺らぐ地域包括ケアシステム


地域包括ケアシステムとは、地域住民が心身の状態に応じた住み替えを促進しながら、地域で暮らし続けることができるための体制を言う。

住み替え場所は個々の状態に合わせて、バリアフリーに改築した自宅であったり、サ高住であったり、有料老人ホームであったり、グループホームであったり、特養であっても良いわけである。

つまり地域包括ケアシステムにおいては、介護保険制度上の居宅サービスとか施設サービスとかの枠を超えて、居住系施設という枠組みを含めて、「住まい」と考える必要があり、そのうえでその人に最もふさわしい住まいとはどこかという視点から、「高齢期の生き方」を考えることが求められているのだ。

その住まいのうち、特養やGHや特定施設ならば、住まいに介護がセットで提供されることになるが、自宅やサ高住、住宅型有料老人ホームであれば、介護が必要になった場合、外部のサービスを利用することになる。その際に訪問介護は非常に重要なサービスとなることは言うまでもない。しかしその訪問介護が提供できなくなるのではないかという大問題が生じている。

全国労働組合総連合(全労連)が4月24日に公式サイトで公表した調査結果では、訪問介護を支える介護職員のうち20代は1.0%しかいないと報告されているのである。(参照:介護労働実態調査報告書

その報告書の数値を下記のように図表化してみた。

訪問介護員の年代別分布図:出典は介護労働実態調査報告書
訪問介護員の年代別分布
この調査は1897人の抽出データとのことであるが、訪問介護員の全体の平均年齢は55.5歳である。しかも50歳以上が全体の73.0%を占めており、20代は1.0%という現状は、近い将来訪問介護サービスを提供できなくなる地域が出てくることを表しているように思う。

訪問介護というサービスの難しさは、それぞれ個性の異なる利用者の、「家庭」という最もプライベートな空間に入ってサービスを提供しなければならないことである。その環境に馴染んで、利用者と密室で1対1の関係で向かい合う能力も求められる。

施設サービスならば、OJTを終えた後であっても、同じサービスの現場に先輩職員が複数いて、疑問点を聴いたり見たりして解決できるが、訪問介護の場では、OJT等の研修期間を終えた後は、まさに「ひとり立ち」が求められ、誰にも頼ることのできない難しさがある。また身体介護と生活援助をセットで提供できなければならないために、家事能力のない人には向かないという問題もある。

そのためある程度の経験があり、家事能力も高い、一定の年齢以上の人がこの仕事に就く傾向にあることは事実だが、50代以上の年齢層が7割も占める仕事というのは異常である。これはすでに絶滅危惧職種というしかない。

そうすると近い将来(というか数年後:10年以内)に訪問介護サービスが足りなくて、サービス提供できない地域が出てくる。そのことで地域包括ケアシステムは崩壊するかもしれない。

そうしないために、59時間の新研修を受けることで生活援助に特化したサービス提要ができる新たな資格を創設したり、地域によっては元気高齢者のボランティア機会を増やすなどの施策を取ろうとしていたりするが、これは訪問介護サービスを益々低賃金化させ、訪問介護の職業そのものを底辺化するという側面を持っている。そうなると若い男性は、訪問介護という職業をますます選ばなくなる。

しかも元気高齢者というボランティアに頼らねばならない地域包括ケアシステムとは、その基盤は脆弱そのものであるとしか言いようがない。それはいつ崩壊してもおかしくないという意味だ。

そもそも個人の家庭で、身体介護と家事の両方を提供する職業は、もっとも専門的な職業と考えるべきで、それが絶滅危惧職種になっている原因は、安易な訪問介護費の引き下げによって、将来の不安と相まって、訪問介護では食っていけないと考える労働者の不安が増大しているからに他ならない。

その不安を解消しない限り、訪問介護という職業に就く人はいずれいなくなるだろう。いたとしても、訪問介護に就こうかと思う人の多くは、現役をリタイヤした元気高齢者が占めることになって、重度の要介護者の身体介護ができない訪問介護員が大半になる。

この構造を変えて、訪問介護サービスが安定的に提供されて、地域包括ケアシステムが安定できるためには何をしたら良いのだろう。

本来国民の命と暮らしを護るべき責任と義務は国家そのものにあり、この部分に掛けるべき費用に無駄金や死に金は存在しないはずなのに、財源論が幅を利かせて、介護給付費の増加が悪の権化であるかのような印象操作がされ続けている現状で、この問題を解決できる方策は生まれないと思う。

そうであればこのサービスを失くさないようにする唯一の方策とは、訪問介護サービスを民間営利事業として存続させていくのではなく、市町村の公益事業とし、市町村に実施義務を課すしかないのではないだろうか。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
TSUTAYAのサイトからは、お店受け取りで送料無料で購入できます。
キャラアニのサイトからも送料無料になります。
医学書専門メテオMBCからも送料無料で取り寄せ可能です。
アマゾンでも送料無料で取り寄せができるようになりました。

人員配置基準緩和で喜ぶ職員なんて存在しない


介護施設の人材不足に対する解決策の糸口さえ見えない今日、人材は充足しないのだから介護ロボットを活用して人間の労力の省力化を図り、人の労力がいらなくなった分、配置基準を緩和して一度に働く職員の数を減らし、職員を分散配置することで介護人材の絶対数不足に対応しようという考え方が生まれている。

このことは「次期制度改正に向けた財務省の資料を読んで」の中でも少しだけ触れているが、この中で僕は、「介護ロボットの導入で、本当に人の配置を少なく出来るのかという、介護現場の不安など一切無視しないと、人手不足には対応できないとしているわけである。」と論評した。

しかしこの論評は、少し言葉足らずの感があり、意味がわからなくなくもない。読者にその真意が伝わっていないかもしれないと思うので、このことについて詳しく解説したい。

23日に公表された、財政制度分科会(平成31年4月23日開催)資料の中で、このことに触れている部分は85頁である。

介護事業所・施設の経営の効率化について」というタイトルがつけられたこのページでは、「介護施設の設備・運営基準については、長らく変更されておらず、近年の介護ロボットやICT等の普及効果が反映されていない。 」として、「介護ロボット等の設備に応じて設備・運営基準や報酬に差を設けるなど、生産性向上に向けたインセンティブを強化し、底上げを図るべき。」としている。

この提言には、新たなテクノロジのフル活用とセットで人員配置基準を緩和することが念頭にあると言われており、自民党の厚生労働部会が4月18日にまとめた提言の中でも、タブレットやウェアラブル、センサーなどを使って安全性を確保することを前提として、「人員基準を緩和すべき」と打ち出している。さらに根本匠厚労相も「より少ない人手でも回る現場を実現する」と語っており、実用化されているセンサーロボットなどを導入した介護施設などの夜勤配置職員などを定めた人員配置規準の見直しを視野に入れている。

人間の手足に少しでも替わることができる介護ロボットができるのならそれに越したことはないし、そうした介護ロボットをぜひ開発してほしいと思う。そうしたロボットが本当に誕生したならば、人に替わってロボットを導入して、人員配置は少なくしても良いだろう。しかし現実には人に替わる介護ロボットは存在していないし、人の動作を一部援助する装着ロボット等も、使い勝手が悪いために実際の介護の場で実用化しているとは言えない状況がある。

そんな中で見守りセンサーなどは、巡回しなくてもよいスペースや時間を作り出すことができる点では、すでに夜勤を行う介護職員等の業務の一部を省力化することに貢献しているといってよいだろう。

だからといって、そのことで人手を減らせるのかといえば、それは全く別問題である。

見守りセンサーは、見守っている対象者の異常を感知・通報できるだけで、その対応はできないのだという、ごく単純な問題を考えなければならない。

見守りセンサーの活用で、夜勤時間帯の見回り回数が減ったからと言って、即夜勤者の数を減らしてしまえば大変なことが起こる。見守りセンサーが人に替わってカバーできることとは、「見守り」そのものに過ぎず、夜勤者が定期巡回せずにセンサーが常時見守ってくれた結果、何事もない場合はそれでよいのだが、見守りセンサーが反応した場合、そこに駆けつけて対応しなければならないのは夜勤者なのである。

つまり見守り対応を夜勤者に変わってセンサーロボットがしてくれるので、夜勤時間帯の定時巡回の必要がなくなって、その分夜勤労働の省力化は図られるのは事実だが、そこで夜勤配置職員そのものを削ってしまえば、いざセンサー反応があった時の対応に支障を来し、配置職員数を削られた分、配置されている職員の労働負担が増えることになる。

労働負担が一時的に増えるだけならよいが、配置職員数が削られてしまうことで、対応そのものが困難になるケースも出てくるだろう。それは即ち利用者のサービスの質の低下につながるだけではなく、対応が必要な人の命の危険となり得る問題で、それは劣悪な介護環境につながりかねない問題ともいえる。

タブレットやウェアラブルなど、ICTをいくら活用しても同様の問題が生じ、要介護者等に人間と同様に対応できるロボットでない限り、配置人員を減らしたら対応困難になる場面は増え、そこで働いている人間はさらに疲弊していくのである。

そもそもリンクを貼りつけた資料の85頁の表の中で「人員を基準より多く配置する状況が常態化」という記述があるように、現在でも人員配置基準以上の職員配置をしている介護施設が多いのは何故かということを考えてほしい。

従来型特養は看護・介護職員:利用者の配置比率は、配置基準上では3:1とされているが、多くの特養ではそのような配置では業務が回せないために、2:1に近い配置をしている。

配置規準をさらに緩めたところで、業務が回らない以上実際の配置職員を削ることは困難である。

ところが配置規準が下がれば、それを根拠として、何が何でも職員数を削ろうとするブラック経営者が必ず現れる。夜勤業務が回らないなんてことは無視して、緩和された基準人数だけを配置しておればよいだろうと考える施設経営者も出てくるだろう。

そうなるとそこで働く職員は最悪の労働環境の中で最低限の仕事しかしない工夫をするか、バーンアウトするしかなくなる。どちらにしても人員基準緩和は、実際に働く職員に対するメリットは何もない。そのことを歓迎する介護職員は存在しないだろう。

実際には人に替わることができる介護ロボットがない現状であるにもかかわらず、政治家や官僚が、「センサーやタブレットによって人手がいらなくなる」という幻想を抱くことにより緩和される最低配置基準によって、介護労働は益々重労働となり、職員は益々疲弊していくのである。

それが介護人材不足の処方箋であるという考えは大きな間違いなのである。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
TSUTAYAのサイトからは、お店受け取りで送料無料で購入できます。
キャラアニのサイトからも送料無料になります。
医学書専門メテオMBCからも送料無料で取り寄せ可能です。
アマゾンでも送料無料で取り寄せができるようになりました。

10連休は職員の5月病につながっていないか?


GWの10連休が終わって、今日から仕事という人が多いのかもしれない。そういう人にとっては、今朝の出勤はとても憂鬱なものであったのではないだろうか。いつまでも連休気分を引きずることなく、一日も早く日常を取り戻してほしいものだ。

しかし介護関連の職業についている人は、そのような世間の暦とは関係なく働いておられた人が多いだろう。特に介護職員でシフト勤務の人は、GWとか連休という言葉とは無縁だという人が多いはずだ。

シフト勤務のある職場で、暦通りに休みを取れた人たちは、その休み中に勤務をしてくれていた人に感謝の気持ちを忘れないでほしい。そういう気持ちがないと職場の環境は悪くなることはあっても、決して良くはならないからだ。

介護施設は24時間365日の営業なので、シフト勤務者が自分の休みの時に働いているのは当たり前だと思いがちだが、世間の多くの人が休んでいるときに働いている人の気持ちも様々である。

世間がGWの10連休という言葉に浮かれて遊んでいるときに、介護支援が必要な人を、自分が働いて支えているということに使命と誇りを感じている人ばかりではなく、そのことを当然とされる職場に疑問を持ち始めている人がいてもおかしくないわけである。

暦通りに休めないことに疑問を感じる人は、その職業に向いていないと短絡的に評価するのではなく、シフト勤務であるとわかって職業を選んでいる人が、なぜそのような疑問を持ち、やる気を失ってしまうのかということを考えてほしい。

その原因がシフト勤務者に対する労りと感謝の気持ちに欠ける職場の雰囲気であるとしたら、それは改善すべき重要課題と言えるのではないだろうか。

施設長や事務管理部門が暦通りに休むことは否定されるべきではないが、長い連休の間も滞りなく施設サービスが提供されるために働いてくれる、シフト勤務者に感謝の気持ちを持って、暦の上での連休が終わった後に、同じように休みが取れるようにシフトを工夫するという努力も忘れてはならないのだと思う。

職場のモチベーションとは、そうしたお互いの思いやりによって高まりもするし、低まりもするのだろう。特に介護施設などの経営者は、自分が休んでいるときに、シフト勤務者が働いているのは当然だと考え、そのことに何の労りの気持ちを持たないことは、後々重大な問題を引き起こしかねないと肝に銘じてほしい。

そもそもこの5月という時期はなかなか難しい時期である。昔から五月病という言葉がある。それは新人社員等が新しい環境に適応できないことに起因する精神的な症状の総称である。

入社1カ月は多くの新人にとって、「この職場で働き続けるべきなのか?」といった不安に揺れる時期だ。この時期に自信を失ったり、考えすぎたり、将来への不安を感じたりしてうつ病に似た症状が出る人が多い。精神科に受診する人も増え、「適応障害」あるいは「うつ病」と診断される人が出てくる。一旦うつ病と診断された人で、うつ病が完治するケースは少ない。うつ病とはいったん発症したら2/3が寛解(完治はしていないが症状がなくなった状態)となっても、そのうち半分以上が再発するという怖い病気だ。

五月病として「うつ病」になってしまうと、元の状態で職場復帰できる人は2割もいないという事実がある。それは貴重な人材を失う大きな要因ともいえるわけである。だからこそいかにうつ病にならないように対策することが一番大事なのであり、事業経営者にとって、この時期のストレスマネジメントは非常に重要な課題となっているのである。

今年のGWは、かつてない大型連休になっているのだから、我々の予測を超えた様々な症状を生んでいるかもしれない。休んで10日仕事を離れた人が、今日から日常業務に戻って感じるストレスにも配慮が欠かせないし、ましてや同じ時期に連休など関係なく日常業務を黙々とこなしていた人々のストレスに対する配慮にも欠かせないのである。

思い返せば2018年の連休後には、「新入社員の4割超がゴールデンウィーク中に転職サイトに登録した」といった報道もあった。今回それ以上の大型連休になったわけであるから、その数はもっと増えるのかもしれない。

そうした現状を認識したうえで、管理者や管理職は、部下である従業員と日々の対話を心がける必要がある。日ごろから従業員や部下との信頼関係を築いておき、もしも不調になった場合に、それに伴う課題と解消努力への共通理解が持てる素地を作っておくことが何よりも大事だ。

どちらにしても介護事業経営者や管理職は、従業員のストレスやメンタルヘルスに向き合い、常に改善を心がけていく必要があることを十分理解すべきである。その最大要因が10連休ということにならないように、職場の中でシフト勤務者と非シフト勤務者の、「意識の格差」が生じないように配慮すること最大の課題となる。

その時、「ありがとう」という言葉が職場を支える礎になるかもしれないということを忘れないでほしい。
10153152_487972827998604_1731639376574619247_n

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
TSUTAYAのサイトからは、お店受け取りで送料無料で購入できます。
キャラアニのサイトからも送料無料になります。
医学書専門メテオMBCからも送料無料で取り寄せ可能です。
アマゾンでも送料無料で取り寄せができるようになりました。

介護事業経営を継続するための事業戦略


先週の水曜日から始まった松山〜高知の旅が終わろうとしている。

高知講演二日目はお昼に終了したため、無理をして昨日帰ることも可能だったが、新千歳空港からの直行便がない高知空港から、昼の講演を終えて乗り継ぎ便を利用して帰ろうとすれば、新千歳空港に到着する時間が夜8時近くになる便しかない。それから登別の自宅に帰るとなれば、到着時間が夜10時を過ぎてしまうので、もう一泊高知に泊まって今日ゆっくりと自宅に帰ることにした。

そのおかげで昨日の夜も、高知の皆様とご一緒して、高知のおいしいお酒と食べ物を堪能した。その模様は、masaの血と骨と肉〜これから要職につきますって、ようショックだねを参照いただきたい。

こうした余裕がある旅ができるのもフリーランスの特権である。特養の施設長をしていた当時なら、何が何でも昨日のうちに北海道に帰ろうとしただろう。ということで、この記事は高知空港から羽田空港に向かう機内で、空の上から更新アップしているところだ。

ところで昨日の高知講演は、この旅の4講演の中で、唯一のオープン講演であり、高知市内の関係者だけではなく、松山や岡山などからたくさんの介護関係者の皆さんが来場してくださり、受講者の数は180人を超える盛況ぶりであった。

昨日の講演では、(実施されるのかどうなのか不透明な状況となっているが)10月の消費税増税と合わせて行われる介護報酬改定の中で注目される、「特定処遇改善加算」の算定要件や、支給方法などを、最新の情報と合わせて解説するとともに、今後の制度改正や報酬改定の方向性について根拠に基づく予測を示してきた。

そんな中で介護事業者には何が求められるかということを僕なりに分析整理して伝えてきた。介護事業経営は、大規模経営へと誘導策がとられる中で、ますます知恵と工夫が必要になるが、どの方向にベクトルを向ける必要があるのかを詳しく解説したつもりである。

2018年と2028年を比較すると、介護給付費は10兆円増加し、関連費用を含めるとそこには100兆円の資金が存在することになり、他産業から新たに介護事業に参入する企業も増えることは確実だ。そんな中で勝ち残って事業を続けていくためには、「人財」となり得る貴重な人材を安定して確保し、人材教育をしていくことができるかどうかということが一番重要な課題である。

そのことにどう対応するのか・・・。貴重な人材である、「介護福祉士養成校」の学生は、有能であればあるほど、実習や施設見学を通じて、自分の目と耳で介護事業者を評価して選んでいるという事実がある。

ホームページの情報や建物は立派だけど、実際にそこで職員が利用者に対応している姿に幻滅して、その施設では働きたくないと評価する学生が多い。その姿とは、職員が日常的に利用者に対してため口で接していたり、荒々しい態度をとっていたりする姿である。特にきちんとしたサービスマナーが対人援助には不可欠であると教えられている学生は、日常的に利用者にタメ口で対応している事業者を敬遠する傾向にある。それを改善しない限り、そうした事業者は外国人労働者にしか頼ることはできなくなるだろう。

そういう意味を込めて3時間講演の後半90分は、介護サービス事業におけるサービスマナーの必要性と方法論をテーマにして講演を行った。その結果、たくさんの受講者の方から共感したという声をいただき、新たなサービスマナー研修講師の依頼もいただいている。ありがたいことである。

有能な人材は、サービスマナーに基づく顧客対応を行う事業者に張り付き、そうした事業者では次から次へと有能な人材が育つ。そこではサービスの高品質化が図られるとともに、ホスピタリティ精神を持った職員が生まれ、利用者からも選択されるという好循環が作り出される。

今、介護事業者に求められるサービスマナー教育とは、職業倫理を超えた事業戦略であるということに早く気が付いた経営者のみが、生き残っていくことができるのである。

利用者を確保し、安定経営につながるには、利用者から選ばれるサービスの基盤となる人材を確保せねばならない。

そうした人材が就職したくなり、ずっと働き続けたいと思える職場づくりのヒントを、僕の講演から得てくだされば幸いである。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
TSUTAYAのサイトからは、お店受け取りで送料無料で購入できます。
キャラアニのサイトからも送料無料になります。
医学書専門メテオMBCからも送料無料で取り寄せ可能です。
アマゾンでも送料無料で取り寄せができるようになりました。

人材から選ばれる事業者という意識


全国各地、どこへ行っても介護事業者の人材が充足しているという地域はない。

多くの事業者で人材確保に悩みと不安を持っているのが現状だ。しかしそのことに具体的に対策をしていない事業者も多い。介護事業者がなくなっては困るのだから、国が何とかするだろうと甘えた考え方を持っている事業経営者もいる。

しかしこのブログのカテゴリー「介護人材確保」で何度も指摘しているように、日本の人口構造と、外国人労働者の特性を鑑みたときに、国の政策によって介護人材が充足することはあり得ず、人材確保ができずに事業経営が続けられなくなる事業者は相当数出てくるだろうという予測は、決して外れない予測と言ってよい。

しかし人材不足が叫ばれる現在であっても、しっかり人材を確保し、職員が充足しているという事業者もある。そこでは他事業者との差別化を図り、求職者にそのことが認められて選ばれ、そうした人材が定着しているという意味である。

つまり介護人材確保という面で言えば、既に勝ち組と負け組の差が付き始めているということだ。

ではその差別化とは何だろう。勿論そこには給与やキャリアパスを含めた待遇面の差という要素も含まれてくる。そしてその差は事業規模によって開きが出てくるために、大規模事業者の方が有利となるという側面がある。しかし大規模事業者の中でも、人材確保に苦労しているところと、そうではないところがあるという差が生じていることを考えると、待遇面以外の差というものが確実に存在するはずだ。

そもそも介護給付費を主な運営費としている以上、サービス種別と事業規模が同じであれば、給与という部分で大きな差はつかないはずなのに、事業種別と事業規模別に細かく人材確保の状況を見ていくと、そこでも差が生じていることが明らかになってくる。この差は何だろう。

ちょっと角度を変えて、若い人で介護の職業に就こうとしている人の視点から、このことを考えてみたい。

高校生が介護の仕事を進路として希望すると、担任から職員室に呼び出され、「そのような将来性のない仕事に就いてはならない。考え直しなさい。」と指導する学校がまだ全国にたくさんある。そんな中で、なおかつ介護の職業を目指そうとする高校生には、高い動機づけがある。それだけを考えても、高校卒の新人は「金の卵」であり、「宝」だと言ってよい。

そんな中で介護福祉を専門に学ぶコースを設けている高校もある。その数も減りつつあるのだが、そうしたコースにのある高校を選んで進学する学生もいるのである。そうした学生は明確に、介護の職業に就きたいという動機づけを持った人たちである。

その動機付けを得た理由が、祖父母の介護経験であったり、介護施設を訪ねて見聞きした経験であったり様々ではあるが、介護の職業にある種の「憧れ」を持って、希望を胸にして進路を定めているのである。

そういう人たちは、介護の知識や技術を学び取ろうと熱心に勉強している。若く経験がない中でも、懸命に介護とは何たるかを学び取ろうとして勉強しているのだ。その知識や技術は拙いとしても、その人たちが貴重な人材であることは間違いない。そういう人たちが介護職員の募集に応募してくれる事業者とならねば、金の卵を獲得できないのである。

しかしその金の卵たちは、漠然と募集を待っているわけではない。職業安定所の募集内容だけを見て、応募するかどうかを決めるわけではないのである。

介護福祉コースで学ぶ学生にインタビューを行ってわかることは、彼ら・彼女らは、職員募集に応募する前に、ほとんど現地を訪ねているという事実が浮かび上がる。職員を募集している職場で、実際にどういう人が働いていて、どういうふうに利用者対応をしているのかをしっかり見定めたうえで、「あんなふうに介護ができるなら、そこで働きたい」と応募先を決めているのだ。

だから多くの学生が、複数の介護事業者を訪問見学している。その時に訪問先の職員の利用者への対応が、「なんとなくぞんざいな感じがする」・「乱暴に利用者に対応している職員がいる」という評価を学生が下していることを、当の介護事業者の職員は意識しているのだろうか?

少なくとも「接遇」を学んでいる学生は、顧客である利用者に、日常的に「タメ口」で接する職員のいる事業者を、入職したい事業者であるとは希望しないのである。

実習という場面でも同じである。実習先がそのまま就職希望先になる場合と、絶対に就職したくない場所に分かれてくる理由は、前者はマナーの優れた職員が多い事業者であり、後者はマナーに欠けている事業者であることが多い。

現在の介護職を目指す学生は、介護という職業に理想を持っているのだ。介護という仕事が「人に役立つ職業である」ことを信じて介護職を目指しているので、人に役立たないサービスの実態が見える事業者には就職したくないと思うのだ。

東京の高校で介護福祉を学んで、去年の春に特養に就職した19歳の女性は、その施設を選んだ理由を、「見学したときに、職員さんの言葉遣いが一番丁寧だったから」と言った。その若者を「宝」と公言している施設長さんのいる特養で、彼女は今も活躍している。

そんな風に将来「人財」となり得る「人材」は、事業者から選ばれる前に、事業者を選択しているのである。単なる人員を集めて、将来そうした職員が、「人罪」となってしまうような事業者に、そういう人材は集まらないわけである。

だから良い人材を集めて、定着率が高く、サービスの質が高い事業者にはさらに良い人材が集まる。逆に人員確保に汲々として、いつも職員を募集し、職員教育もほとんど行われずにサービスの質も低いような事業者は、人材から振り向きもされず、ずっと人手不足は解消されないことになる。

後者のような負のスパイラルに陥らないためには、サービスマナー教育と徹底するとともに、教育の手の及ばない職員は排除するという強い考えが必要である。そして一時的な人員不足を耐え忍んで、誰でもよいから採用する体質から抜け出し、人材から選ばれ、人材を採用して教育し、高品質なサービスを提供できる事業者へ脱皮することが求められる。

そうしないと事業経営ができない時代になってきているのである。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
TSUTAYAのサイトからは、お店受け取りで送料無料で購入できます。
キャラアニのサイトからも送料無料になります。
医学書専門メテオMBCからも送料無料で取り寄せ可能です。
アマゾンでも送料無料で取り寄せができるようになりました。

介護労働の底辺化を進める愚策に協力する愚かな関係者


3月19日に行われた全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議の資料のうち、総務課資料の32頁には、「介護人材のすそ野を広げる取り組み」の事例として、三重県の老人保健施設で、地域の元気な高齢者を、「介護助手」として導入する取り組みが行われていることを紹介している。

ベッドメイキングや食事の配膳などを行う「介護助手」を10施設が取り入れ、47名がパート職として継続雇用されている状況について、現場の介護職員からは、「これまで以上に業務に集中できる」・「時間的余裕ができる」・「利用者の満足度が上がった」という声が挙がっていることも紹介されている。

この資料のこの部分を読む限り、配膳やベッドメイキングができる高齢者を、「介護助手」として雇用できれば、現場は大いに助かるという印象が持たれるだろう。

しかしこれは本当に現場の声を代表している意見なのだろうか?

僕が特養の総合施設長を務めていた経験で言えば、日中短時間しか働けないパート職員をいくら増やしたところで、常勤の介護職員からはあまり歓迎されなかった。特定の時間帯にいくら職員を手厚くしても業務軽減にはならないので、そんな人を増やすのではなく、私たちと同じ勤務体制でシフトできる人を一人でも多くしてくださいと言われた。ましてや一部の特定の仕事しかできない人は、なおさら「いらない」と言われた。

介護業務とは、単純作業と技術が必要な作業が複雑につながっているもので、それを単純化して切り分けるのは、利用者の暮らしを分断させて、暮らしの質の低下につながりかねなくなる問題であるという問題もそこには存在していた。そのことは、「施設業務の切り分けを考えるお寒い頭脳」でも指摘しているところである。

それなのに三重県の老健では、ボランティアとあまり変わらないような、ごく一部の行為しかできない高齢労働者を歓迎する声が多い。それは何故だろう?

そう考えると、この資料に載せさられている職員の声とは、一部の肯定的な意見を拾って取り上げているだけではないのかという疑いがでてくる。しかもそれらの肯定的な声は、必ずしも多数派の意見ではないのではないかという疑いも捨てきれない。

国が施設業務を切り分けて、「介護助手」の導入を進めるという方針に沿った都合の良い声だけを載せている、「印象操作」ではないかと思えるのである。

何しろ資料を作っているのが、不正統計・統計操作がお上手な厚労省なのである。そういう疑いがもたれて当然だし、僕の過去の施設長経験のみならず、今現在の現場の介護職員の声を聴いても、この資料の肯定的な意見は、決して納得できるものではないのである。

そもそもこのように業務を切り分けて、一部の業務を現役を引退した高齢者に手渡すことを広げた先には、何があるかを考えてほしい。介護助手の業務内容を考えると、その仕事に手厚い対価は支払われないことは確実だ。それは最低賃金と同額にしかならないだろう。しかしそうであっても現役を引退した後の、老後のアルバイトとしては問題ないとでもいうのだろうか?介護助手として雇用される人は、現役を引退した高齢者に限らない。そこには数は多くはならないとはいえ、単純作業しかできない・したくないという若年労働者も含まれてくるだろう。

そしてこの方法が一般化する先には、配置規準に「介護助手」も含めてよいという基準改正が待っている。

3:1の基準を改正しないまま、介護助手を含めた配置規準とすることで、介護給付費の単価を下げようとする考え方があるということを理解しなければならない。しかしそれは介護の職業のうち、介護助手という単純作業に特化して就労する人々を大量に生み出して、それらの人々の暮らしを底辺化させるものだ。つまり介護助手の導入促進は、介護労働の低賃金化を促進する結果とならざるを得ないのである。

いうなれば介護助手とは、生活援助に特化してホームヘルプサービスを提供できる資格者の仕事と同じように、ワーキングプアに直結する新たな仕事と言ってよく、そのような業種に支えられる介護労働としてよいのかという問題が根底にあるということだ。

介護助手のモデル事業に参加している三重県の老健関係者は、そのことを理解して、この事業に協力しているのだろうか。介護労働の底辺化を懸念したうえで、なおかつ介護助手を肯定的にみる現場の意見を挙げているのだろうか。

三重県の老健の経営者や管理者は、この問題が将来的には自らの首を絞める結果につながっていくことをわかっているのだろうか。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
TSUTAYAのサイトからは、お店受け取りで送料無料で購入できます。
キャラアニのサイトからも送料無料になります。
医学書専門メテオMBCからも送料無料で取り寄せ可能です。
アマゾンでも送料無料で取り寄せができるようになりました。

人材確保は多方面・多角的視野で


4月から創設される外国人労働者の新たな在留資格、「特定技能」が発効することに関連して、介護事業者でもその技能に基づく外国人労働者を受け入れを促進するために、全国各地でその説明会が開催されている。

特定技能」を持つ外国人が日本の介護事業者で働ける期間は5年で、基本的にはその間に家族の帯同は認められない。しかし介護福祉士の資格を取れば永住への道が開け、配偶者や子を呼ぶこともできるようになる。しかしそれらの人が働く場は特養、老健、特定施設、グループホーム、通所介護などを対象とし、訪問系のサービスは除外されている。そのため一部の介護事業関係者からは、早急なる訪問サービスへの解禁を望む声もある。

こうした外国人人材について、政府は向こう5年間の受け入れ人数を最大6万人と見込んでいる。それに対して人材・人員不足に危機感を持つ日本の介護事業者の期待も大きい。

短期的にみれば、外国人人材を受け入れて人手を確保できる事業者も増えていくことは間違いないが、長期的にみて、このことが介護人材確保の決め手となるとは思えない。外国人の中にも優秀な人がいることを否定しないが、彼らは日本の福祉や介護に貢献しようとして来日するわけではないし、日本の介護労働力不足の解消を目的に来日するわけではないからある。

外国からくる方々は、人格がどうのこうのという問題は別にして、ある意味シビアに出稼ぎに来るのだという理解が、受け入れ側の介護事業者に求められる。例えばベトナムなどは平均年収が日本円で40万円程度であるという事情があり、その中で出稼ぎに来るのだから、数年間日本で働いて、母国では資産ということができる一定の金額を稼いだ後は、早々に母国に帰りたいと思うのは当たり前のことである。よって日本の介護事業経験を踏んでスキルがアップしても、そのまま介護事業者の戦力としてとどまろうとする人は少ないのも当然の結果となる。

そうした事情の中で働くのだから、就業事業者が環境を整え、受け入れる事業者と外国人労働者が良い関係性を結んだとしても、そこことによって職場に外国人が定着するなどという幻想を抱いてはならない。もっと高い給与を支払う事業者に、ある日急に転職してしまう外国人は多いし、それを斡旋するブローカーも今後増えてくるからだ。

よって外国人労働者を戦力とみては、大きな失敗につながる恐れがある。それらの人々は、あくまで補完勢力程度の期待値を持つにとどめたほうが良い。結果がそれ以上になればしめたものである。その程度の期待値にとどめないと、事業戦略上の大きな失敗要因になりかねないだろう。

そもそも外国人労働者の雇用にはコストがかかることを理解しておかねばならない。住み場所の確保のほか、日本語教育等に係る教育費用など、定額支出が人件費に上乗せしてかかるのだ。本来それは介護給付費には含まれない費用だから、法人の持ち出しになる費用とも言える。それを支払う体力が求められるので、外国人労働者の確保の費用負担に耐えられる事業経営戦略の練り直しも求められる。そのことも決して忘れてはならない。

そんな中で介護ロボット等の開発も急がれる。人海戦術に頼り切る介護ではなく、人に替わってロボットができる部分は、そちらにシフトさせようという動きは当然あるだろうし、その必要性はますます増している。しかしAIを搭載したロボットで、現在人に替わって仕事ができる介護ロボットは存在していない。力のいる動作と巧緻性が最も求められる動作を、無意識に自然につなげられる人間に替わって、それらの動作をつなげて行うことができる介護ロボットが将来誕生するという保障もない。それは著しく困難だろうとしか思えない。

だからこそ、人に替わってロボットがすべての介護業務を行うなどという未来図を描く前に、人の動作の一部を支援できる介護ロボットで、介護業務の省力化を図っていくことから始めることが、まずは大事なのだろうと思う。

しかし介護支援ロボットは、導入さえすればすぐ使えるということにはならない。それを使いこなすには知識と技術が必要である。

例えば移乗介助を複数人数によって行う必要がなくなる、「ノーリフティングケア」について考えてみればわかることであるが、それは優れた方法論であることは間違いないが、その実施にはスライディングボードや、移乗支援機器などを使いこなす知識と技術が必要とされる。・・・ということは介護ロボットを使いこなすために、新たな人材育成プログラムが必要となるという意味で、それって人材対策になっているのかという疑問が生ずる。介護支援ロボットを使いこなす人材がいないと、省力化にならないとすれば、そのための人材の確保にさらに苦しむことになりかねないからだ。

そうであれば、介護の現場にロボットを導入するという発想ではなく、社会全体を見まわして、ロボットに替わることができる仕事をもっとあぶり出し、そういう仕事を人間がしなくて済むようにすることによって、社会全体で人材を確保し、その一部が介護労働力になっていく方が、現実的な政策と言えるのではないだろうか。

例えばコンビニエンスストアのレジ打ちや、ファーストフード店の顧客対応のアルバイトが枯渇し、時給が上昇していることが原因で、そこに登録ヘルパーなどが転職し、近い将来、登録ホームヘルパーはいなくなると懸念されている。

そうであればレジ打ちはAIロボットで可能なのだから、定員のいないスーパーやコンビニエンスストアが常態化すれば、ヘルパー確保は今より容易になるのではないか。

かつて日本のガソリンスタンドは、店員がガソリンを入れてくれるのが当たり前であったが、今ではセルフ給油が当たり前になっており、店員がいないスタンドも増えてる。それと同じような仕事をもっと増やしていくことで、人手が欠かせない介護などの仕事に労働力が流れてくるのではないかということも視野に入れなければ、介護労働力不足は決して解決しないだろう。

人材マネジメントセミナーに参加すると、国は本腰を入れて対策すれば、国全体・地域全体で人材が確保できるかのような、明るい見込みを口にする講師も多い。しかしそれは幻想だ。日本の人口構造を観れば、生産年齢人口の減少は確実だし、その数は今後の高齢者の数の減少を上回るスピードで減少していくのも確実である。

そのため我が国で生まれ育つ人間だけでは、この不足は解消できないのだから、外国人にも広く労働市場を開放するのは、やむを得ない政策ともいえるが、それが必ずしも有効に機能しないことは前述したとおりである。

だから介護事業経営者や管理部門の担当者には、生き残るために差別化して、他の事業所に人材確保面で火っていくという戦略が求められる。近隣の介護事業所すべてが、人材確保面でウインウインになるような政策も方策も存在しないのである。自分が経営する事業が継続できるために、同人材確保してくのかを、独自の視点で獲得する必要がある。

それは待遇面の強化もさることながら、それだけでは他の優る戦略とはならない。人材が貼りつき定着する介護事業とは、人材教育を基盤にして、根拠に基づいた高品質なサービスが必要絶対条件になってくることを理解し、覚悟を持ってそうした事業を作り上げていく必要がある。

求められる人材が、どのような事業者から逃げていくのか、その理由は何か・・・。求められ、誰もが欲しいと思える人材が、どういう事業者に定着していくのかをよく考えてみる必要がある。

そういうことを含めた人材マネジメントセミナーも、僕の得意とするところでもあるので、そうしたテーマの講演講師を探している方は、ぜひ気軽に声をかけていただきたい。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
TSUTAYAのサイトからは、お店受け取りで送料無料で購入できます。
キャラアニのサイトからも送料無料になります。
医学書専門メテオMBCからも送料無料で取り寄せ可能です。
アマゾンでも送料無料で取り寄せができるようになりました。

職員が定着する環境要因としてのサービスマナー


皆さんは、自分の職場の中で、他の職員が利用者に対してぞんざいな言葉かけをしている姿を見て、その会話を聴いて、イラつくことはないだろうか。

顧客である利用者に対して、タメ口で話しかける上司や同僚の姿を見て、これでは適切な言葉遣いができる後輩が育たないとがっかりする場面はないだろうか。

先日僕のフェイスブックには、「人間的にも素晴らしい方が、赤ちゃんをあやすように言いくるめられる様を見て、怒りを通り越しました」というコメントが書き込まれた。そんな風に人生の先輩である高齢者で、かつ介護サービスの場においては顧客以外の何ものでもない方々に対して、礼儀のない対応をしている従業員の存在を疎ましく思っている人は多いのだ。

心ある人々は、介護の現場で飛び交う無礼な馴れ馴れしいタメ口に舌打ちし、マナーのかけらもない利用者対応を苦々しく感じ、どうにかしたいと思っているのだ。

しかしマナーのかけらもない対応を何とも思わず、タメ口が親しみやすい言葉と勘違いしている無能者は、そんなことにも気が付かないから、それを直そうという動機づけを持たない。直す気がないから直らない。だったら排除するしかないのだ。

介護サービスをはじめとした対人援助について、その行為がいまだに「施し」という意識から抜け出せない人は、利用者を「顧客」とは意識できない。介護を受ける人は顧客とは言えないだろうと、馬鹿げた意識を持ち続けている無能者が存在する。

しかし「顧客」の定義づけは、自分たちが提供するサービスを購入してくれる人のことを言い、すでに購入してくれている人だけでなく、購入の可能性がある人などもすべて含めて「顧客」とみなすことができるというのが常識となっている。

では介護事業はどう考えるべきなのだろうか?それも簡単なことだ。目にみえない介護という行為を、「介護サービス」としてお金を払って利用する人、これから利用しようとする人は、すべて顧客なのだ。

お金を払ってというが、それはサービスを購入する人が自身でお金を払うことに限定されない。誰かがその人に替わってお金を払ってくれる場合も、サービスを利用する人そのものが顧客となるのである。よって全額保険給付対象の人であっても、その人がサービスを利用することで、保険費用が給付され、お金がサービス提供主体に入るのであれば、サービスを利用する人は顧客にほかならないのである。

そのようなことも理解できない連中によって、介護サービスの質が停滞してしまっているのが、この職業を「底辺化」させるリスクの一つにもなっている。そいつらを排除する気構えがないと、いつまでたっても介護という職業の民度が高まらないのではないだろうか。

もうすべての人間を教育して何とかなるという幻想は捨てようではないか。

僕が関わってサービスマネーを重要視して事業経営している職場では、丁寧語を使いこなせない職員は、どんなにシフト勤務ができても、どんなに仕事をこなせても、事業者が求める仕事の質を担保できないとして、一定期間に面接を行って改善を求め、改善できない職員は、「いなくて良い職員」としている。その結果、サービスマナーを意識できない職員、丁寧語を使いこなすことができない職員は、職場から消えていくという結果に結びついている。

それで人がいなくなったかというと決してそうではない。

そういう職場には、丁寧語を使いこなせず、利用者にタメ口で無礼に接する職員を苦々しく思っていた職員が、そうした職員がいなくなることでストレスがなくなり喜んで仕事をしてくれるようになる。そうした職員の定着率は確実に上がるのである。しかもそうした職員などの口コミや誘いによって、他の職場で上司や同僚の、礼儀ないふるまいにストレスを感じていた職員が、そうした職場で働きたいと転職してくるケースが増えている。

そこでは、利用者に何かを頼まれたときに、介護職員がごく自然に「かしこまりました」という言葉を使っているのだ。それも全員である。そういう言葉遣いができない職員は、他職員からスキルがないとみなされるだけではなく、自分自身の態度や言葉が恥ずかしくなって、他の職員のように接客用語を使いこなせるように頑張るか、あきらめて辞めていくことになる。

しかし他の職業では、アルバイトの外国人や高校生等が使いこなすことができている言葉遣いや態度にしか過ぎないことを、それができないと辞めていく人は引き止める必要もない「人員」にしか過ぎない。そんな人間が辞めてしまうことをもったいないと思う必要もない。それは職場の健全な自浄作用と言えるのだ。

その人がいなくなることで、そんな人を疎ましく思える人材がそれ以上に張り付く結果になるのである。

結果的にサービスマナーを重視する介護事業者にとって、求める人材が定着し、求める人材が張り付いてくるという結果につながるのだ。無能者を排除して一時的に人員配置が厳しくなっても、すぐ先にそれを解消してなおかつ人材が職場をよくするというメリットをもたらす結果になっているのである。これも事実として存在していることであり、机上の空論ではない。

介護事業における、「サービスマナー」の確立とは、職業倫理という意味だけではなく、事業経営上のリスク管理としても欠かせなくなりつつあることは、文字リンク先の多数のブログ記事に書いて指摘してきた。

そんなことも含めて介護事業におけるサービスマナー教育と、その実践は必要不可欠だし、利用者に丁寧語で話しかけるという原則を決して崩してはならないのである。

そうであるからこそ各種職能団体で、職場単位で定期的にサービスマナー研修を実施することが重要となってくる。下記の画像は、来週大阪で初めて行うサービスマネー研修のために作成した講演スライドの1枚である。受講者の心に響いて、実践できる方法論を職場に持ち帰らせることができると自負しているので、サービスマナーを教育する講師が必要な場合は、是非相談ください。
例外は無法地帯を生む

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの最新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
TSUTAYAのサイトからは、お店受け取りで送料無料で購入できます。
キャラアニのサイトからも送料無料になります。
医学書専門メテオMBCからも送料無料で取り寄せ可能です。

介護労働の場に外国人をマッチさせるために何が必要か


介護人材の確保が困難であることが叫ばれて久しいが、この状況の改善はいつ、どのような形で図ることができるのだろうか。

我が国の社会情勢を読むと、団塊の世代がすべて75歳の後期高齢者に達する2025年までは、75歳以上の人口が急速に伸びていく。その中で20歳〜39歳の人口が減少していくことになる。

団塊の世代がすべて75歳に達した2025年以降は、75歳以上の人口増は落ち着くが、85歳以上の人口が伸びていく。その中で40歳〜64歳の第2号被保険者も減少し、現役世代が減少していく。

85歳以上の高齢者がさらに増えるという意味は、今日まで元気だった高齢者が、明日脳血管障害等の急性疾患を発症し、そのまま重介護状態になってしまうケースが日本中で増えるという意味だ。

そのような情勢下で生産労働人口が減少することを考えると、この状態に対して適切な介護の量を確保できる手立ては見えてこない。

介護する人の数の問題をよりシンプルに考えると、日本人だけで必要な介護する人の数を確保することは不可能という結論しか出ない。

そのため介護の分野に、外国人労働者がより張り付くことができるような法改正が行われたわけであり、建前はともかく、それは外国人が日本人に替わって介護労働に就ける手立てを広げたことに他ならない。

ただし新たな外国人労働者の在留資格のうち、在留期間の5年が回数制限なく更新できる「特定技能2号」については、「介護」は認められなかった。介護分野における新在留資格とは「特定技能1号」のみとなっており、この部分でのハードルは全廃されているわけではない。

こうした考え方に対して、『既に介護福祉士合格をもって「特定技能2号」相当、すなわち介護現場で働いている限り更新可能な在留資格として認めるという入管法改正が平成29年9月1日で施行されているので、いまさら介護分野で「特定技能2号」の取り決めなど不要ではないのか?』という意見がある。

しかし特定2号と介護福祉士の在留資格は同じであっても、ハードルが違うことは明白だ。介護労働分野では、「介護福祉士」という国家試験に合格しないと特定2号と同じ在留資格を得られなくなっているという意味であり、これは厳然と残っているハードルなのである。

特定技能1号」は最長5年の技能実習を修了した人も対象になるものだから、新在留資格で介護分野で就業する人とは、実質技能実習制度での受け入れ最長期間が10年に延長されることとさほど変わりがない。それらの人たちが本当に介護事業者の戦力になるだろうか?

特に技能実習生は、複雑なコミュニケーション能力が求められる介護の仕事をすべて担うことは難しいのではないかという懸念が拭えない。その能力が問題とされる場面が予想を超えて現れるだろうし、労務管理は現在よりずっと難しくなり、様々な新しい問題が介護労働の場で発生することになるだろう。

しかし前述したように、日本人だけで必要な介護労働力を確保することは、「困難」というより、「不可能」であると認識せねばならず、外国人労働力を適切に介護事業に張り付けていく手立てが求められることは間違いのないことだ。それは緊急の課題であるともいえる。

介護事業者の労務管理の在り方も、外国人の方々が働くことを前提に、それらの方々が働きながらコミュニケーション能力をはじめとした、「介護労働スキル」を高めていくことが可能となるように、教育課程の充実を図るなどの、「労務管理の新たなステージ」を模索していかねばならない。

この時に思い違いをしてはならないことがある。日本人が外国人労働者を見る視点は、外国人労働者の目線とは必ずしも一致しておらず、そのことで様々なトラブルが生じてしまうということだ。

外国人が日本の労働の場にマッチングせず、トラブルが生ずる大きな要因は、言葉や文化の違いだけはない。むしろトラブル要因となるのは、外国人労働者に対する、雇用主や日本人従業員の偏見にも似た、「思い込み」である場合が多い。

日本人は足りない労働力を外国人で補おうとして、職場に外国人を受け入れるという考えに偏りがちだが、外国人労働者は日本の介護労働力確保のために来日するのではなく、出稼ぎに来るだけである。

しかも彼らは労働力としてやってくるわけではなく、人間としてやってくるのだ。

ここの意識の違いを埋めて、外国人の方々のプライドやポリシーにも気を配り、それらの方々が働く喜びを持ちながらスキルを向上させる意識付けをできるかどうかが、職場環境改善をはじめとした労務管理の見直しにかかっている。

人は物でもないし、機械でもない。思った通りの結果に結びつかない部分は多々ある。人として、人をどう受け入れるのかという視点は欠かせないのである。

血の通った人間であるからこそ難しい問題があるし、ロボットではなく感情のある人間だからこその困難性は排除できないが、人であるからこそ、人の尊厳と誇りをきちんと認め合ったときに、ロボットや機械にはできない結果を生むことができる。

そうしたポジティブな視点から、新しい時代にマッチした職場づくりの視点が必要とされるのだ。

このことに未だに気づいていない事業主には、そろそろ退場の時期が来ていると自覚させる必要があるかもしれない。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・masaの最新著作本「介護の誇り」は、こちらから購入できます。


新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行予定)のネットからの購入はこちらからお入りください。

新処遇改善加算は経験ある介護福祉士の実配置数が何人でも加算単位は同じ


1月18日(金)に行われた全国厚生労働関係部局長会議の資料が先週公開され、新処遇改善加算の概要が示された。これによって僕が算定方法について誤解していた点も明らかになった。そのことも含めて改めて算定ルールをまとめてみたい。

本年10月の改定は、_雜鄂雄爐僚莇改善、 ⊂暖饑任琉上げ(10%)への対応 のための基本単位数等の引き上げ 及び区分支給限度基準額の引上げ 、J簑給付に係る基準費用額の引上げという3点に分けることができる。

全体の改定率は2.13% で、その内訳は,僚莇改善に 1.67%、△ 消費税対応 に0.39% 、の補足給付の見直しに 0.06% となっている。
(※四捨五入の関係で、合計しても2.13%とはならない。)

改定率が最も高い新処遇改善加算のイメージ図は以下の通り示されている。
新介護職員処遇改善加算2
現行の処遇改善加算機銑靴棒僂濔紊欧蕕譴觀舛如⊃群短鮫気鉢兇算定されるイメージである。

このように新処遇改善加算は2段階で、この区分は経験ある介護福祉士の数の違いではなく、あくまで サービス提供体制強化加算等の取得状況を加味して設定されるものである。つまり質の高い人材の確保・育成に努めていたり、職場環境の改善に力を入れていたりする事業所が高い区分の加算を算定できるようになっている。繰り返しになるがそれは実際に配置されている経験10年以上の介護福祉士の数とはリンクしないものである。

勤続10年以上の介護福祉士の数」で決まるサービスごとの加算率は、サービス種別ごとに設定されるが、それぞれの具体的なパーセンテージは、「そのサービスに勤続10年以上の介護福祉士がどれくらいいるか」で決められる。つまりその事業所に「勤続10年以上の介護福祉士がどれくらいいるか」ということはまったく関係なく、サービス種別ごとの経験10年以上の介護福祉士の平均数で設定される。

そうなると例えば50人定員の特養で、開設したばかりの施設のため、「勤続10年以上の介護福祉士」が1名しかいない施設も、事業年数が長く「勤続10年以上の介護福祉士」が10名いる施設も、同じ額の算定ということになる。(※この部分が僕が誤解していた点。当初僕は、経験ある介護福祉士の配置数が多い事業者ほど算定割合が高くなると誤解していたので、ここで訂正してお詫びしておきたい

すると前者の方が、「勤続10年以上の介護福祉士」に配分する額も多くなるし、その他の介護職員や、その他の職種に配分する額も多くなるということになる。しかし今回の資料には書かれていないが、この加算については「経験・技能のある介護職員において、月額8万円の処遇改善となる者又は処遇改善後の賃金が役職者を除く全産業平均賃金(年収 440 万円)以上となる者を設定・確保すること。」という算定要件が加えられることになっており、それに該当する給与改善者が一人以上いなければならないということであり、それは即ちその対象者である、「勤続10年以上の介護福祉士」が一人以上いなければならないということなのだから、「勤続10年以上の介護福祉士」が一人も配置されていない場合は、この加算は算定できないことになる。

またこの加算は、基本サービス費に加算割合を掛けて算出するのだから、掛けることができる基本サービス費の総額が大きい方が、より多い額を算定できることになる。それは即ち事業規模が大きな方がより多くの額を算定できることになり、小規模事業所はこの点でも不利になる。

配分方法等については下記の図で具体的に示されている。
新介護職員処遇改善加算
ここでは、「勤続10年の考え方は、事業所の裁量で設定 」と書かれており、この経験者が業界10年でもよいとされているが、それはあくまで事業所の裁量で決めるものなので、一番配分額が多い「経験10年以上の介護福祉士」の経験を、当該事業所における経験年数だけでみるという事業所判断もあり得るということになる。必ず「業界10年」の経験が認められることにはならないわけだ。

また配分方法は右下に示された3つの方法があり、どれを選択しても良いわけであるが、その他の職種まで配分する場合の原則は、経験ある介護福祉士2:その他の介護職員1:その他の職種0.5を上回らないという配分ルールを守らねばならない。

またその他の職種については、(役職者を除く全産業平均水準(年収440万円)以上の者は対象外)とされている。そうであれば介護施設の場合、看護職員の平均年収は、役職者を除いても440万円以上である場合が多いため、多くの施設で看護職員は、この配分のおこぼれにはありつけないということになる。

サービスごとの加算率については、1月下旬以降に社会保障審議会介護給付費分科会において介護報酬改定案の諮問が行われる際に明らかにされる。

最初に示した画像のイメージ図を見ると、「月額8万円の給与改善」とは、現行の加算気3.7万円に、新加算気鮴僂濔紊欧峠蕕瓩特する額ではないかと読める節もある。そうなれば実際の改善額は4.3万円がマックスということに過ぎないのかという疑問も生ずる。予算総額を見るとそうではないと思うが、ここも今月加算割合が示されて初めて確定するということになる。

そして3月中下旬に、関連する告示の公布、通知の発出が予定されている。昨年末には、厚生労働省が、この加算を法人単位での対応も一部で可能とするルールを検討していくとされていたので、このあたりの結論は3月の通知文を見るまで何とも言えないのではないだろうか。

ただ心配なのは、今現在この加算による給与改善を誤解している介護福祉士がいるということだ。

経験10年以上の介護福祉士はすべて今より8万円給料が上がるというのは間違いである。給与の配分はあくまで事業者の裁量で、他の介護職員や他職種にまで配分するなら、その分経験ある介護福祉士への配分金額は減ることになる。そもそも常勤勤務していない介護福祉士は、どんなに経験年数が長かろうと、満額の給与アップなどあり得ないという理解も必要である。

今から誤解を解いておかないと、いざ支給となった際に、がっかり感が職場の不満につながり、転職者続出という恐れがあるのではないだろうか。そうであるがゆえに事業経営者の方は、この加算の趣旨等を今から職員に説明して理解を得ることが求められるのである。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・masaの最新著作本「介護の誇り」は、こちらから購入できます。


新刊看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行予定)の先行予約はこちらからお入りください。

新処遇改善加算で人材流出しないために求められる対策とは何か


新処遇改善加算の職場での配分をシミュレーションしてみたより続く)
この加算は加算対象職員である「業界経験年10年の介護福祉士」が何人いるかによって加算算定総額が異なってくると考えられる。(※計算式としては、各サービス種別に応じた加算率に対象人数を掛けて算定することになる案が有力と思われるが、確定するのは1月であることを了承願いたい。なお加算要件は「サービス種類ごとの加算率は、それぞれのサービス種類ごとの勤続 10 年以上の介護福祉士の数に応じて設定することが適当である。 」とされているため、サービス種別ごとに人数ごとに区切って設定されるのかもしれず、×対象人員ではない可能性もある。

よって昨日の記事で単純化して計算した24万円という金額も、加算対象の介護福祉士の数が増えれば総額がそれに応じて増えていくと想定される。(※実際には加算率によって一人に対し加算される金額は8万円より上下すると思われる。

この場合でも、加算額すべてを加算対象職員のみに支払うとすれば、それはそれで何の問題も生じないし、配分される金額も8万円で個人差はできないわけである。(※繰り返しになるが、実際には掛け率により8万円にはならない場合があるが、この数字はあくまで説明が分かりやすいように単純化した数字で、実際の金額は来年1月に各サービスごとの加算率が出されて明らかになる。

しかしこの加算を、経験年数が10年に満たない介護福祉士や、介護福祉士の資格を持たない介護職員などに拡大して配布しようとすれば、全体に配分する金額は、加算額総額がいくらになるかによって大きく異なってくるので、加算対象職員の数が多い事業者=事業規模の大きな事業者のほうが、より多くの職員に、より高い金額を配分しやすい構造になっている。そのことは昨日の記事でのシミュレーションにより明らかであろう。

しかし大規模事業者には、より多くの加算対象以外の職員もいるわけで、配分対象をあまりに広げすぎると、加算対象職員が数多くいたとしても、配分金額が小規模事業者より低くなるという逆転現象が生ずる可能性があり、単純に大規模事業者の方が恵まれているという構造でもない。

例えば介護職員が100人以上いて、その7割近くが加算対象職員であったとしても、加算対象になっていない3割の介護職員のほか、他職種にも配分しようとした場合、看護師や介護支援専門員以外にも、栄養士やセラピスト、事務専任職員や運転手、営繕職員など様々な職種の職員が多数に支給することになり、支給計算式の分母がかなり大きくなってしまう。

そうなると満額支給される職員以外の職員の、この加算で給与改善される額が低額となって、改善実感が得られないという事態が予測される。このため大規模事業者であっても、配分職種は全職種にはならず、加算対象以外の介護職員のほかのその他の職種は、介護支援専門員などに絞られ、事務職員まで配分される可能性は低いのではないかと思われる。ましてや運転手や営繕職員などに配分されることは期待薄だろう。栄養士も除外する事業者が多いのではないだろうか。

さらに昨日の記事コメントに書かれている方のように、「加算対象者に満額支給するということを売りにして、経験年数の長い介護福祉士を集める」と考える事業経営者も当然出てくるだろう。

職種による不公平感が生じないように、できるだけ多くの職員に配分するという事業者と、加算対象者に絞って給与改善するという事業者のどちらに、求められる人材が張り付くのかを、事業経営者は今から考えて、経営戦略の中でその方針を決定せねばならない。

ところでこの加算を介護職員以外の職種にまで広げて配布しようとしている事業者の方は、算定要件の中で注意しておきたいことがある。それは、この加算を配分できる「その他の職種」については、改善後の年収 440 万円を超えない場合に改善を可能とすることとされるルールがあるということだ。

つまり現行で平均年収が440万円を支給されている職種、および改善後に440万円を超える職種については、この加算を配分することができないのである。

すると特養等の介護施設の看護職員は、平均年収が440万円を超えている場合が多いので、配分対象外となる可能性が高いと言えるわけである。

それと一番悩ましいのは医療法人が経営母体の介護事業者である。それらの介護事業者は、医療機関に併設されているか、併設されていない場合も人事管理は医療機関と一体となっている場合がほとんどである。

この時問題になることは、新処遇改善加算は介護報酬加算であって、診療報酬に同じ加算が新設されることにはなっていないことである。

そんな中で、人事管理を母体である医療法人と一体的に行っている介護施設では、経験10年の介護福祉士が月額給与8万円増える中で、業務命令で同じ法人内の医療機関に配置されている同じ経験年数の介護福祉士は給与が増えないことになる。それでは医療機関で働く意欲はなくなるだろう。そうした医療法人では、介護事業者に配置転換を求める介護福祉士が続出するかもしれない。

さらに前述したように介護施設の中であっても、介護職員の給与が増えても、看護職員にはその配分がされない可能性が高い。そのような制限のある配布条件の中で、職種間の不公平感は広がる可能性もある。

どちらにしても加算要件に合致した事業者において、この加算を算定しないという判断はあり得ないが、その配分をどうするかについて、事業者ごとに大きく判断が分かれることが予測される。

加算対象職員に全額支給する事業者では、他の職員の不満が噴出するだろうし、配分の幅を広げる事業者においては、支給対象職員の不満が高まるだろう。どちらが良いとか、どちらが有利だとか判断できる何ものもないのが現状だ。その答えのない判断が事業経営者に迫られてくるわけである。

その結果、今所属している事業所より高い給与を支払ってくれる事業者を求めて、人材の流動化が加速される可能性が高くなることだけは確実に言えることだろう。

このことは介護事業経営者にとって、非常に悩ましい問題であるが、その解決方法はたった一つしかない。

それは現時点から、ここで取り上げた問題について、すべての職員に丁寧にわかりやすく説明して、職場全体で議論し、その配分をどうすべきかを事業者の総意で決定するように導いていくことである。

そしてこの加算の配分が最終的にどのような形になろうとも、それは事業者や事業経営者の収益とは全く関係なく、あくまで職員の給与等の待遇改善の目的として全額が使われるということを理解していただくことだろう。

それでも不満は解消できないかもしれないが、よりましな方法としてはそれしかない。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・masaの最新著作本「介護の誇り」は、こちらから購入できます。

新処遇改善加算の職場での配分をシミュレーションしてみた


来年10月に消費税が増税される分を財源として支給される予定になっている新介護職員処遇改善加算については、文字に張り付けたリンク先に、新たにカテゴリーを追加しているので参照していただきたい。

さて今日は、その新処遇改善加算を算定する事業者が、どのように事業所内で配分できるのかを小規模の事業所を例にシミュレーションしてみようと思う。なお算定要件は「新介護職員処遇改善加算の要件・ルールのまとめ」で確認願いたいが、シミュレーションするのは、当該加算のうち高い方の加算(2段階とされる加算のうち、サービス提供体制強化加算等を算定している場合)を算定できるという前提である。

この加算はサービス種別に応じた加算率で計算するが、ここではわかりやすいように加算対象職員に月額8万円が加算されるという前提で考えることにする。よって実際の加算金の計算式は8万円×加算人数ではないことに注意が必要だ。

例えば管理者1名、介護支援専門員(計画担当者)2名、介護職員12名(すべて常勤)の2ユニットの単独経営のグループホームであるとする。(外部の医療機関の看護師との連携で医療連携加算を算定している事業所のため、看護師の配置はないという前提)

サービス提供体制強化加算汽い鮖残蠅任ているのだから、介護職員のうち8人が介護福祉士であるとする。しかし介護保険制度以後に数多くつくられたグループホームで、定着率も高くはないサービス種別であるため、新処遇改善加算の算定対象となる、「業界10年以上の経験がある介護福祉士」はそう多く配置できていることは考えにくいため、その人数を3人と仮定する。

そうであれば加算額は、8万円×3人=24万円(月額)となる。これをそのまま当該加算算定対象職員3名に支払うこともできる。そうなるとその他の9名の介護職員と、2名の介護支援専門員はこの加算による給与アップがないということになる。そうであればこれらの職員は、少しでも給与に上乗せされる別な職場に転職したいと思うかもしれない。

そこで加算対象職員以外にも加算分を配分しようとする。ただし職員を優遇するために管理者には加算分を配分しないシミュレーションとしてみよう。

この場合、月8万円の賃上げとなる人・あるいは賃上げ後に年収が440万円を超える人を一人以上確保しなければ加算を認めないというルールがある。しかし単独経営のグループホームで働いていて、年収が440万円目前の職員がいる確率はあまり高くないだろう。

すると加算対象の3人のうち、一人に対しては満額の8万円の給与改善をしなければならない。A・B・Cの職員のうち、誰か一人をこの対象にするのは非常に難しく、いざ決定しても3人のうち満額配分されなかった2人は不平・不満をもって、他の職場に転職しようと考えるかもしれない。されど他職員に配分するために、リーダー格で一番経験年数の長いA職員に満額支給し、BとCの加算分を全体に配分するとする。

すると配分できるのは、16万円(月額)ということになるが、配分の際には、〃亳海△覯雜鄂Π・△修梁召硫雜鄂Π・その他の職種に対する賃上げ幅を2:1:0.5(あるいは1:0.5:0.25)とするというルールがある。この場合、´↓の各グループの「平均」を指標とすることになったため、個々の賃上げ額をどうするかは事業者が判断できるが、ここではわかりやすいように´↓の各グループ内の支給額は全員同じとする。

するとこのホームでは満額支給したAを除いた,蓮BとCの2名、△9名(その他の介護職員)、は2名(介護支援専門員)となる。このグループに16万円を1:0.5:0.25以内の比率で配分するわけである。

とすれば,魄貎4万円とした場合、そこで8万円が必要になる。そうなれば残りの8万円を△鉢に配分するということになるが。△梁仂櫃9名もいるため、一人1万円も給与改善する原資は存在しないことになる。そうすると△魄貎唯言蕷澆箸靴董合計で7万2千円が必要になる。そうすると残りは8千円で、は一人4千円支給ということになる。

これによって加算分はすべて職員に手渡すことになり、かつ算定要件をすべてクリアすることになる。
(※,4万円とする根拠は特にないが、満額支給される職員が1名いるため、その半額未満になるのを納得させるのは難しいという意味で、ぎりぎりの額を設定した。この額をさらに満額支給される職員との差を縮めるために高くすると、△鉢のグループに支払う原資がさらに低額となり、給与改善額もさらに低額となる。それでは配分する意味がほとんどなくなると考えた。)

ということで当該グループホームでは、管理者は昇給なし、加算算定対象となった経験ある介護福祉士のうち1名は月額8万円の給与増、2名は4万円増、それ以外の介護職員は資格の有無にかかわらず全員8千円の給与増、その他の職種である2名の介護支援専門員は、4千円の給与増という結果となる。

この場合、加算分の8万円を満額支給されたA介護福祉士に不満は生じないだろうが、それ以外のすべての職員が何らかの不平・不満を持つ可能性が高く、より給与が高く支給される別の事業者に転職しようと考えるのではないだろうか。

果たしてそれはどこの、どのような介護事業者だろうか?(明日へ続く)

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・masaの最新著作本「介護の誇り」は、こちらから購入できます。

新介護職員処遇改善加算の要件・ルールのまとめ


昨日 19日(水)の社保審・介護給付費分科会では、来年10月の消費税増に伴う介護報酬改定の概要が以下の通り決定された。

1.介護報酬改定 +0.39% ※ 補足給付に係る基準費用額の引き上げ分の対応として、別途国費7億円程度

2.新しい経済政策パッケージに基づく介護人材の処遇改善 国費 210 億円程度

第167回社会保障審議会介護給付費分科会資料の、資料2019年度介護報酬改定に関する審議報告(案)部分を抜粋してみる。

加算の対象(取得要件)
・ 現行の介護職員処遇改善加算(機砲ら(掘砲泙任鮗萋世靴討い觧業所を対象とすることとし、加えて、
・ 介護職員処遇改善加算の職場環境等要件に関し、複数の取組を行っていること
・ 介護職員処遇改善加算に基づく取組について、HPへの掲載等を通じた見える化を行っていること。

加算率の設定
サービス種類ごとの加算率
・ 介護職員確保に向けた処遇改善を一層進めるとともに、人材定着にもつながるよう、経験・技能のある介護職員が多いサービス種類を高く評価することとし、サービス種類ごとの加算率は、それぞれのサービス種類ごとの勤続10 年以上の介護福祉士の数に応じて設定することが適当である。

このように新加算もサービスの類型ごとに異なる加算率が設定される仕組みであり、訪問介護が○○%、通所介護が○○%、特養が○○%というふうに設定されるが、各サービスの加算率は来年1月に公表される予定だ。その加算率も2段階に設定し、具体的にはサービス提供体制強化加算、特定事業所加算、日常生活継続支援加算のいずれかを算定していることを、高い方の加算率を使える要件として設定した。(※今年度の報酬改定で特定施設に新設された「入居継続支援加算」も対象となる可能性があるので今後に注意願いたい。)

このことは加算対象となる介護福祉士等からすれば、自分の資質に関係のない事業者の体制で、自分に対する対価と深く関係する加算額に差がつくことは納得のいかないところだろう。


∋業所内における配分方法
基本的な考え方を踏まえ、経験・技能のある介護職員、その他の介護職員、その他の職種の順に配分されるよう、事業所内の配分方法は以下のとおりとすることが適当である。なお、配分に当たっては、経験・技能のある介護職員、その他の介護職員、その他の職種について、こうした区分ごとの平均の処遇改善額を比較することとし、それぞれの区分内での一人ひとりの処遇改善額は柔軟に設定できることとする。

経験・技能のある介護職員、その他の介護職員、その他の職種の設定の考え方
・ 経験・技能のある介護職員は、勤続 10 年以上の介護福祉士を基本とし、 介護福祉士の資格を有することを要件としつつ、勤続 10 年の考え方については、事業所の裁量で設定できることとする。
・その他の介護職員は、経験・技能のある介護職員以外の介護職員とする。
・その他の職種は、介護職員以外の全ての職種の職員とする。

具体的な配分の方法
・ 経験・技能のある介護職員において、月額8万円の処遇改善となる者又は 処遇改善後の賃金が役職者を除く全産業平均賃金(年収 440 万円)以上となる者を設定・確保すること。これにより、リーダー級の介護職員について他産業と遜色ない賃金水準を実現。
月8万円の賃上げとなる人、あるいは賃上げ後に年収が440万円を超える人を設定・確保しなければ加算を認めないというのも既報の通りである。440万円の年収はあくまで「賃上げ後に年収が440万円を超える人」なので、今現在超えている人がいることが条件ではないことに注意が必要だ。

※ 小規模な事業所で開設したばかりである等、設定することが困難な場合は合理的な説明を求める。
小規模で開設して間もないなど、やむを得ない事情でどうしても実現が難しい事業所には合理的な説明を求めていく、という部分などは、今後のQ&Aによって具体的な対応が明らかになるので、現時点で解説不明な部分も残っていることは事実である。通知とQ&Aは、年度末の3月に発出が予定されている。

・ 経験・技能のある介護職員は、平均の処遇改善額がその他の介護職員の2倍以上とすること。
・ その他の職種は、平均の処遇改善額がその他の介護職員の2分の1を上回らないこと(※)。また、更なる処遇改善において、リーダー級の介護職員について他産業と遜色のない賃金水準を目指す中で、改善後の賃金額が役職者を除く全産業平均賃金(年収 440 万円)を超えない場合に改善を可能とすること。
※ 平均賃金額について、その他の職種がその他の介護職員と比べて低い場合は、柔軟な取扱いを可能とする。
このように〃亳海△覯雜鄂Π・△修梁召硫雜鄂Π・その他の職種に対する賃上げ幅を2:1:0.5とする配分については、´↓の各グループの「平均」を指標とすることになったため、個々の賃上げ額をどうするかは事業者が判断できる。つまり個人差ができてよいということである。例えば改善額の8万円を、経験ある介護福祉士を5万円とし、その他の介護職員は2.5万円、その他の職種を0.5万円とした際にも、その他の介護職員のAには5万円アップし、BとCには2.5万円アップ、退職間近いDには0円とする取り扱いも可能である。このルールの範囲内であれば、有望な若手などを高く評価することも可能であるが、それは一面職場内での不公平感を助長させ、不満分子を大量排出しかねない問題にも直結する。

また「その他の職種」の賃上げは年収440万円を超えない範囲でしか認められないことにも注意が必要だ。


この件に関しては、「新処遇改善加算(19年10月)によって笑う人、泣く人」・「事業者にとっては悩ましい新処遇改善加算」・「医療機関から介護福祉士がいなくならないか?」で解説してきたところで、そこで書いていること以外に新しい情報があるわけではないように思える。

なお厚労省が重視しているのは、現場を牽引する「リーダー級の介護職員の処遇改善」であり、これに該当すると認められれば、「業界10年の介護福祉士」も等しく高い評価を受けられるというものである。

この加算は居宅介護支援や福祉用具貸与、訪問看護は対象外となることも周知のとおりである。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・masaの最新著作本「介護の誇り」は、こちらから購入できます。

医療機関から介護福祉士がいなくならないか?


来年10月から支給予定の新処遇改善加算について、昨日(17日)麻生太郎財務相と根本匠厚生労働相が折衝し合意したそうである。

それによると、加算対象となる「経験・技能のある介護職員」とは、現場を牽引する「リーダー級の介護職員」を主な対象とする方針としており、1つの法人に10年以上勤めている人だけでなく、「業界10年」の介護福祉士なども「リーダー級の介護職員」と認められれば同様の恩恵を受けられる仕組みにすることが正式に決められた。

また月8万円の賃上げとなる人、あるいは賃上げ後に年収が440万円(全産業の平均賃金)を超える人が事業所内に1人はいなければいけないとのルールを組み込むことも正式に決定した。よって440万円という年収については、従前からそれを超えている人が何人いようとも関係なく、賃上げによって440万円を超える人が一人以上いなくてはならないということも正式に決定したことになる。

これらの細部については19日の介護給付費分科会で明らかになる。

新処遇加算については、「新処遇改善加算(19年10月)によって笑う人、泣く人」・「事業者にとっては悩ましい新処遇改善加算」などで解説してきたが、これらの記事の中の解釈が間違っていないかどうかについても、明日の審議会後にあらかた明らかになるだろう。そういう意味でも明日の審議は注目されるところである。

前掲のリンク先の記事でも論じたように、この加算は事業者・事業経営者の立場からすれば、その配分に悩ましい問題があって、すべての職員に納得・満足される配分方法は存在しないような厄介さがある。

例えば、加算対象職員には加算金額をすべて手渡し、その他の職員には事業収益の中から、加算対象職員と同等の給与改善ができれば、それが一番公平な方法であるが、とてもではないがそれほど体力と余裕のある事業主体は少ないだろう。

そのため来年10月の加算支給に向けて、事業経営者は周囲の介護事業者の状況を見ながら、配分割合などを考えなければならないわけで、この方針を間違えると、職員が大量に退職してしまうことにもなりかねないので慎重の上にも、慎重な決定にならざるを得ない。

だからと言って厄介な問題を生じさせないように、この加算を算定しないなんて言う乱暴な決断はできない。そういう事業者に介護福祉士がとどまるわけがないからである。

この加算は来年の時点で経験が10年以上あり、リーダー格となる介護福祉士が支給対象となるが、それ以後は、随時経験年数がそれに達した介護福祉士が対象となっていくのだろう。そういう意味では、今は経験年数が満たないけれど、介護業界で介護福祉士を続けておれば、やがてその支給対象になるという将来の希望と目途にもつながるもので、業界全体の介護福祉士と、その資格を目指す人材が増えるという効果は期待できるだろう。

一方で、こうした処遇改善が図られるのは、介護保険制度と障害者福祉制度のみとされており、医療機関の介護福祉士にこうした恩恵は一切ない。

そうであれば今現在医療機関で看護助手として働いている介護福祉士も、介護施設等へ転職しようと考えるかもしれない。ただし新処遇改善加算の対象になる経験年数は、「業界10年」であり、これは介護業界という意味だと思えるから、医療機関での経験は認められないと考えられる。そのため介護業界での経験がない介護福祉士は、転職した後に10年先まで加算対象となるのを待たねばならないというハードルがあるので、それらの人が医療機関から大量に介護事業者に転職することは考えにくい。

よって過去に介護業界で10年経験があり、今現在医療機関で看護助手をしている介護福祉士が、介護業界に復帰しようとする動きがあるだけにとどまるのかもしれない。

しかし確実に言えることは、今後、介護福祉士の資格を取得した新卒者が、医療機関で働く動機付けは著しく削がれることになるということだ。医療機関と介護事業者における介護福祉士の初任給が同等であっても、介護事業者に就職した場合には、10年先には確実に処遇改善加算対象になり、大幅な給与アップが図られる見込みがあるとなると、最初から介護事業者で働いておく方が将来に不安はないと考える人が多くなるだろう。

勿論、この加算が10年先まで続くかどうかは不透明で、社会情勢自体がどうなるかもわからないという考えはあるが、今現在敷かれてるレール上のことを考えると、医療機関で介護業務に携わるという選択肢は、ほとんどメリットを見いだせなくなるのではないだろうか。

ということで医療機関の介護職員人材の確保は、今以上に難しくなると思えるが、看護職が足りておれば、それは問題ないと考える医療関係者が多いのだろうか・・・。

医療関係者は、このことをどう考えているのだろう。こうした状況に危機意識はもっていないのだろうか。このことに関して問題視する声が医療関係者から聞こえてこないのはなぜなんだろう。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・masaの最新著作本「介護の誇り」は、こちらから購入できます。

事業者にとっては悩ましい新処遇改善加算


12日のお昼に、「新処遇改善加算(19年10月)によって笑う人、泣く人」というブログ記事を更新したが、ちょどその日に、社保審・介護給付費分科会が行われており、その中で厚労省は、給与改善対象として最も重視すべき人材の対象である、「経験・技能のある介護職員」については、同一法人で勤続10年の介護福祉士に限定せず、「業界10年の介護福祉士」も加えられるようにする方針を決めた。

これによって他事業所の経験年数を含めてキャリア10年の介護福祉士の経験がある職員が加算の支給対象になることが明らかになった。そして加算算定した部分を支給する際に、各事業者の判断で「他の介護職員」・「他の職種」への加算原資の配分を認めることとしている。

ということは多くの職員に加算原資を配分しようとすれば、原資となる「業界10年の介護福祉士」が数多くいなければ、配分の額は少額になってしまうのだから、この加算をより多く算定しようとして、今から業界10年の介護福祉士の引き抜き競争が始まる可能性もある。そういう意味でも、介護事業者にとってこの加算は悩ましい加算である。

また当日の介護給付費分科会では、経験・技能のある介護職員を最も重視するためのルールとして、「月8万円の賃上げとなる人、あるいは賃上げ後に年収が440万円を上回る人が事業所内に必ず1人以上いなければならない」ことを他の職員への配分の条件とした。これを無視し、幅広いスタッフに薄く広く配る運用は認めないというのである。

しかし「月8万円の賃上げとなる人」という条件と、「賃上げ後に年収が440万円を上回る人」の条件の壁は、高さにかなりの差がある。

仮に年収が440万円を上回る職員現在何人いようとも、その人たちは「賃上げ後に年収が440万円を上回る人」には該当しないが、現在年収が420万円の人がいたとすれば、その人に年間20万円以上の賃金改善ができれば、この条件はクリアすることになるわけである。後者の条件に該当する場合は、他の介護職員や他の職種に広く加算原資を配分することは可能になるだろう。

一方、「月8万円の賃上げとなる人が必ず一人以上いる」という条件を加算原資の配分要件とする事業者は、ずいぶん悩ましい問題を抱えざるを得ない。加算原資を他職員にも広く配分するためには、加算対象となる職員の8万円の原資から他の職員に回すために、当該加算対象職員の賃上げ額を8万円未満に削り取らねばならず、その削り取る額が多いほど、他の職員の給与改善額は高くなるわけである。

そんな中で一人の職員だけ加算原資を全額手渡して、月額8万円の給与改善をすることが可能なのか?それは公平性の観点から極まて難しいと思え、実際誰か一人だけに加算額全額の8万円の給与アップを行い、それ以外の加算対象職員の給与の改善額は、他の職員へ振り向ける分を削った額にしかならないとしたら、そのことだけで加算原資を削られた職員の退職動機に結び付いてしまうかもしれない。それは現実には不可能ではないかと思える。

そうするとこの加算を算定して配分する事業者は、「賃上げ後に年収が440万円を上回る人が一人以上いる」という条件を算定要件とし、他の職員に振り分けるしかないのではないだろうか。するとそれができる事業者は、規模の大きい事業年数も長くなっている事業者に限られてくるように思う。

一方で、「月8万円の賃上げとなる人が必ず一人以上いる」という要件において加算算定する事業者については、それができたとしても、月8万以上きゅよ改善しない加算対象職員の給与は8万に限りなく近くする必要があり、実際に加算対象外の職員に回される原資は雀の涙にも満たないかもしれない。しかしこうした事業者については、介護福祉士がそこに転職したいと応募が多くなる可能性はある。

ところで加算原資の配分については、さらに細かなルールが定められており、配分割合の優先順位は、下記の通り定められている。
1. 経験・技能のある介護職員
2. その他の介護職員
3. その他の職種

そのうえで 次の要件を加えている。
・「経験・技能のある介護職員」の賃上げ額の平均は、「その他の介護職員」の賃上げ額の平均の2倍以上に保つ
・「その他の職種」の賃上げ額の平均は、「その他の介護職員」の賃上げ額の平均の2分の1を超えてはならない。

ということで、3グループの賃上げ幅は2:1:0.5ということになる。これはあくまでも各グループの「平均」を指標とし、個々の賃上げ額をどうするかは事業者が判断できる。またこのルールの範囲内であれば、有望な若手などを高く評価することも可能だが、「その他の職種”の賃上げ」は、年収440万円を超えない範囲でしか認められない。ということで「業界10年の介護福祉士」に該当しない職員には、あまりにも恩恵が薄いルールといえるだろう。

また同じサービス種類の中であっても、経験・技能のある介護職員の数が多い事業所や、職場環境が良い事業所について、更なる評価をするということで、加算率は2段階に設定されることが示されている。

これらに内容については「表の掲示板」の、「新処遇改善加算に新方針〜これって結構難題ではないでしょうか? 」でも意見交換され、様々な意見が述べられている。

その中でthetkさんという方が、「もう処遇改善加算とか止めにして、会社を経由せずに直接本人の口座に入金するシステムとか、税率軽減やら社会保険料軽減とかに欲しい。マイナンバー活用しましょうや。」というボヤキにも似た意見を述べられているが、ついついそのように考えてしまうのも仕方のない、事業者にとって厄介で、複雑で、面倒くさい加算算定ルールになっている気がしてならない。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・masaの最新著作本「介護の誇り」は、こちらから購入できます。

新処遇改善加算(19年10月)によって笑う人、泣く人


来年10月の消費税引き上げに伴って支給されることが確実視されている「新処遇改善加算」は、現行の「介護職員処遇改善加算」と大きな違いがあり、それによって現行加算の状況とは全く次元が異なる問題が生ずる可能性がある。加算を巡って影響を受ける人たちに泣き笑いが生ずることもあるだろう。

このブログで何度かその支給要件議論を書いているが、今日まで示されている方向性は以下の通りである。

・新加算の増収分は「経験・技能のある介護職員」の給与に充当することを基本的なルールとする。
・「経験・技能のある介護職員」の範囲については事業者に一定の裁量を与え、基本は勤続10年以上の介護福祉士とするが、業界10年の介護福祉士も対象として扱えるようにする。
・同じサービスの中でも2段階の加算率を設定する方向で検討を進め、介護福祉士の手厚い配置が要件の加算を取得しているなど、人材の確保・育成に力を入れている事業所を相対的に高く評価。
・介護福祉士の資格はないが有能なベテランも含めるなど、より柔軟な運用を認めることも検討。
・勤続10年以上の介護福祉士に最も多くのリソースを割く(例えば増収分の○○%など)
・勤続10年に満たない一般の介護職員を2番目に位置付けてリソースを割く
・他職種などに渡すリソースを一部にとどめる
・現行の処遇改善加算と同様に、サービスごとの加算率でリソースを分配する仕組みとする。
・既存の処遇改善加算の「加算I」から「加算III」のいずれかを取っていることを算定要件とする。
・新加算の財源は、消費税で1000億円、40歳以上の保険料と高齢者の自己負担で1000億円の合計2000億円。

勿論、今後の議論の中でこの方向性が変わることがあることは否定しないが、今現在は上に書いている方針に沿って、支給議論が進んでいるのは事実である。

この加算は対象となる、「経験・技能のある介護職員」が自ら申請して受け取るわけではない。そのことを知らない人はいないだろう。

しかし現在の処遇改善加算と大きく異なる点は、所属事業者が加算を算定した分を支給するに際して、事業者の裁量で加算支給対象職員以外の職員にもこの加算で得た収入分を配分できるということだ。

現行の処遇改善加算は、介護職員に対して支給された額を下回ることなく、すべて加算支給対象となっている介護職員に支払わねばならない。つまり介護職員に対して支払われた加算額は、すべて介護職員に対して支給されるのである。

しかし新加算の場合は、加算対象職員に対する給与等の支給割合は一定程度以上(リソースを設定)とされるが、事業者がその他の職員にもその一部を支払うと決めた場合は、加算額のすべてが加算対象職員に支給されないということになる。

しかも従前の処遇改善加算の支給対象者が「介護職員すべて」であったのに対して、新加算は、「業界10年勤続の介護福祉士」が基本である。この際、業界勤続9年の介護福祉士は、9/10が支給されるとか、業界5年の介護福祉士に1/2が支給されるとかいうことはなく、どちらも支給ゼロとされる可能性が高いのだ。この場合、業界10年以上の介護福祉士資格のない介護職員もゼロ支給である。

そしてこの加算は、単純に「経験・技能のある介護職員」×○○単位ではなく、「経験・技能のある介護職員」が多くいるほど加算率を高くするのだから、決められたリソースの範囲で他の職種にも加算分を手渡すためには、加算対象者ができるだけ多くいてほしいわけである。

つまり特養や老健であって介護福祉士がいても、施設がオープンして間もないために、ベテラン職員がいない場合は、新加算の算定ができないということもあり得るわけである。この場合は、他職種の分配さえできないということになる。

事業者の裁量で、支給対象となっていない介護職員や、その他の職種の職員にも、加算分の何割かを給与等に上乗せしたいと考えても、加算の支給対象となる10年以上の経験のある介護福祉士が数多くいない限り、分母となる加算額が少なすぎて、分配できないという事態も考えられるのである。

そのため事業者によっては、この加算を多く得て様々な職種の職員に分配しようとして、経験年数のある介護福祉士の引き抜きを図る動きが出てくるかもしれない。しかしその際に、「うちの施設に来てください。ただし加算算定しても全額はあなたに行きません。どうか他の職種の処遇も改善するのに協力してください。」と言っても誰も来てくれないだろう。

加算された分を加算対象職員以外にも分配するということは、加算対象となるベテラン介護福祉士に支給される額は、分配される分削られていくという意味だ。そうなら、「うちの施設では、加算分は他の職員に振り分けないで、あなたにすべて支給します」という事業者に、「経験・技能のある介護職員」はなびいていくのではないだろうか。

そう考えると、介護職員の人員不足の改善を最大の課題と考える事業者においては、「経験・技能のある介護職員」以外への加算分配は行わずに、対象職員へすべて支払い、他の事業者へ引き抜かれないようにするとともに、そのことを餌にして、他の事業者から「経験・技能のある介護職員」引き抜こうと考える事業者も多くなるのではないだろうか。

事業者からすれば経験10年に満たない介護職員や、そのほかの職種の職員に加算分を分配するのは、従業員の公平性を図るという目的に沿った方針であろうが、経験10年以上の介護福祉士からすれば、本来自分の経験に対する加算が削られて満額支給されないとううことは、「中間搾取」としか思えなくなるのは当然で、不満を全く抱かない人はいないだろう。そういう時に、支給対象が法人10年の経験ではなく、業界10年の介護福祉士も対象として扱えるようにするのであれば、退職して別な組織に所属することで満額支給されるなら、そちらのほうが良いと考えるのも当然のことだろう。

このように新加算は様々な問題を生じさせる要素をたっぷり含んでおり、支給対象者以外の職員への分配も、経営戦略の中でその可否を考えていかないと、後々禍根を残しかねないことになる。

そういう意味で事業経営者は、この加算の算定要件が今後どのように確定していくかを常に意識しながら、事業所内でその支給方法をどうするのかということを、戦略的視点から考えていく必要があるだろう。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・masaの最新著作本「介護の誇り」は、こちらから購入できます。

教育の手が及ばないスキルの持ち主も存在するという事実


鳥取市の小規模多機能ホーム「虹の家すえひろ」で働く男性職員が、おむつ交換をする際、90歳代と80歳代の女性利用者に対して、「臭い」と発言するなどの不適切な対応があったことが昨日報道されている。

不適切行為を行っていた職員は、利用者の前で消臭スプレーを噴射したり、利用者の額や顔を指先で突いたもしていたそうだ。

このことについて運営会社「メディコープとっとり」の担当者は、「職員教育が不十分でした。利用者様の信頼をうらぎるようなことになり、誠に申し訳ございません。当該職員もふくめ全職員への指導を徹底してまいります」とコメントしている。

運営会社の公式サイトには謝罪文が掲載されており、「この度の事態を招いた要因は、わたしたちの虐待や不適切な行為に対する認識の弱さにあり、管理者として職員教育、防止対策が十分に行えてなかったことにあると強く反省して おります。」との一文がある。

運営会社の猛省を促すべきだし、職員教育の在り方も見直すべきなのだろう。しかしそれ以前にもっと大きな問題があるのではないか。

介護という仕事が、排泄ケアなど汚いものを処理する行為も含んでいることは常識中の常識である。その際に、ケアの対象となる利用者に対して、「汚い、臭い」という言葉を発することは、不適切というよりも罵声であり、虐待そのものである。しかしそんなことは人から言われなくてもわかる程度の問題である。

そんなことをしてはいけませんよ、という教育が必要だとしたら、それは幼稚園児に対する教育である。

小規模多機能居宅介護の介護職という職業を選んで応募し、採用試験をクリアした職員に対し、いちいちそんな教育から始めないとならないとしたら、その職員とはどこまで成長するというのだろう。本当に対人援助に必要なスキルを獲得することができるのだろうか?僕にはそう思えない。

介護サービス事業は、人員不足の中で、向き・不向きのチェックが不十分になりがちで、募集に応じてきた人を機械的に採用してしまう傾向が強まっている。しかし応募者の中には、教育の手が及ばないスキルの持ち主も存在するということを忘れてはならない。介護という職業に向かない人もいるのだ。そういう人はきちんとスクリーニングしなければならない。

そうしなければ虐待・不適切対応が、「そこかしこに存在する」という状態になってしまう。そして不向きな人を採用すると、結果的には他の職員に負担がかかるだけではなく、本件のような問題を引き起こし、それは経営リスクに直結する問題ともなるわけである。

勿論、採用面接だけで向き・不向きや、常識を超えるほどの資質の無さを見破るのは難しいかもしれない。そうであるからこそ、試用期間のなかで適格性・協調性を確認することが重要となる。

試用期間は労働基準法等の定めがなく、法人の任意的事項であるから、その期間を設けていない経営母体もあるが、その期間は正職員としての適格性を判断し、教育機関であるとも考えられているので、規定のない法人はその規定を設けるべきである。

試用期間と言えども、労働契約自体はすでに成立しているために、法人都合で勝手に試用期間中の職員を解雇できるわけではないが、過去の判例では試用期間中については、通常の解雇よりも広い範囲で解雇の自由が認められており、合理的理由により使用者が解約権を行使できるものとして解釈されている。

例えば、入社後の勤務態度が極めて悪く、協調性もなく、周囲の業務にも悪い影響を与える場合も、試用期間中の解雇事由として認められている。

本件は9月に匿名で鳥取市に通報があり明らかになったものである。おそらくそれは職員の内部通報だろう。「臭い」と罵声を浴びせている声が、他の職員に聴こえないわけがないからである。そうした罵声に憤った職員が市に通報したのだとすれば、運営会社はそのことも反省すべきだ。

管理者等の責任ある立場の者が、その罵声に気づかなかったのは何故か、匿名通報が職員以外であったとしても、ヘルプの声を届ける先が運営会社を通り越して鳥取市となった理由は何かを検証して、そのことも反省・改善材料にしなければならない。教育だけの問題ではないのだ。

職業として顧客に接する際にはマナーが必要である。マナーとは行儀作法のことをいい、それは人間が生きていくうえで好ましい言動の作法なのである。マナーは人に不快感を与えないことなのであり、対人援助には他の職業以上にそうした意識が求められるのだ。そのような常識を持たない人間を闇雲に採用してはならないし、適性があって採用した職員に対しては、マナー教育が必須なのである。

最近サービスマナー教育のための講演依頼も増えているが、そそれは、うした意識を職員に持ってもらおうという介護経営者や管理職が増えているということだ。それは実に良いことだろうと思うが、そのためには経営者や管理職自身が、介護サービスを利用する顧客に対するマナーを重んじて接し、そうした接し方ができない職員を教育したうえで、その教育についてこれない人員を整理していくという覚悟も求められていくことも忘れてはならない。

そしてそれができない事業者は、情報末端が発達し続ける社会で、いつか不適切対応に目をつぶっていた「つけ」を払わされる結果になることも覚悟しなければならない。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・masaの最新著作本「介護の誇り」は、こちらから購入できます。

引き算を行わない人材対策は単なるまやかし


国の試算によると、2023年度までに不足する介護人材は約30万人とされている。

この対策の一つとして、外国人労働者の新しい在留資格制度によって、来年度から2023年度までの5年間で5万人から6万人の外国人の受け入れが見込まれるとの推計を14日に示したうえで、16日の衆院法務委員会理事懇談会ではその算定根拠として、「外国人労働者の活用希望施設が16%であるとの調査に基づき、11.3万カ所が受け入れると想定した」と説明している。

これに加えて19日の国会で厚労省は、来年度から2023年度までの5年間で22万人から23万人の国内人材の確保を目指す方針を示し、さらに人工知能(AI)やロボット、IoTによる現場の生産性向上により、必要な労働力を5年間でおよそ2万人減らす計画も公表した。

これによって2023年度までに必要な介護人材は28万人程度と見込み、国内人材と外国人労働力の新たな確保によって、この数は足りるとしているわけである。

しかしこの数字や目標が絵に描いた餅であることは小学生にもわかる論理だ。

なぜならこの計算式には、2023年度までに退職する介護人材の数が含まれておらず、絶対に必要な引き算がされていない計算式となっているからだ。

介護事業における介護従事者の高齢化が進行しており、訪問介護では他産業などから現役引退した人が、初任者研修を受講してパートタイマーとしてヘルパー業務に従事している人が多い。70歳とか75歳のヘルパーだって珍しくないわけである。生活援助のみを提供できる新研修受講者のヘルパーなどは、そういう年齢層の人が圧倒的に多いのである。この人たちが5年後にヘルパーを続けられるかといえば、その可能性は低い。

結婚や出産で介護の仕事を辞めて戻ってこない人も毎年数多くいる。現実には他産業から介護の仕事に転職する人より、介護の仕事を辞めて他産業に転職する人の数の方が多いのだから、離職者の数は一定程度見込んだうえで、新たな介護従事者の確保数との差し引きで必要数が満たされるかを考えねばならない。それをしないで足し算だけの計算式をもとにした人員確保の目途は、まやかしの論理でしかない。

人材確保に必要な数字を算出する際に、引き算が必要であるという論理は、極めて単純な論理である。そうであるにもかかわらず、国会という国権の最高機関・国の立法府で、官僚と国会議員という頭の極めて良い人たちが(もとい官僚と異なり、国会議員の中には、極めて頭の悪い馬鹿がいることは否定しない)論戦する中で、このようなまやかしの計算式が通用するのかというと、その理由はどう転んでも必要とされる介護人材の確保は難しいからである。

政策をどうしようとも、この国の高齢者の増加と生産労働人口の減少、財政、どれを取ってみても、今後の介護ニーズに必要な、介護労働者の絶対数を確保することは無理なのである。まやかしの数字を出して、それに納得したふりをするしかない問題なのである。

政治が一種のパフォーマンスである以上、これは仕方のないアリバイ作りなのかもしてないが、情けないのはそういう単純なまやかしに乗って、えせ情報を垂れ流すだけのマスメディアの存在である。本来報道機関とは、その国の知性を代表するものであるはずだが、残念ながらこの国の報道機関は、単に流行にのって、情報を垂れ流す機関に過ぎなくなっていることが、このことでも証明されている。

そもそも実際に介護現場で人に替わることができる介護ロボットができていない現状で、人の力を助ける介護支援ロボットもほとんど実用的ではない状況において、唯一見守りセンサーだけが実用化されている状況の中で、5年後に人工知能(AI)やロボット、IoTによる現場の生産性向上で2万人の介護労働にそれが取って代われるという保証も見込みも何もないのである。

外国人労働者の確保にしても、新たな外国人労働者の在留資格のうち、在留期間の5年が回数制限なく更新できる「特定技能2号」については、「介護」は認められなかったことから、介護分野における新在留資格とは「特定技能1号」のみとなる。

1号は最長5年の技能実習を修了した人も対象になるものだから、新在留資格で介護分野で就業する人とは、実質技能実習制度での受け入れ最長期間が10年に延長されることとさほど変わりがない。それらの人たちが本当に介護事業者の戦力になるだろうか。

その人たちは日本に永住を希望しているわけではなく、「出稼ぎ」に来ているだけであり、本国より稼ぎが良いとは言っても、文化も違い物価も高い日本という国から、一日も早く帰りたいというのが本音である。そのためにお金をできるだけ稼いで、早く貯めたいとも思っている。

そう考えている人に、1円でも時給の高い職場を斡旋するブローカーが存在しており、「特定技能1号」という新在留資格での滞在者が増えるのであれば、それらの人は全国をまたにかけての渡り鳥的な労働力にしかなりえない。介護事業者の財産とか人材とか戦略とは言えないのである。労働力をそういう人々に頼らざるを得ない介護事業者のサービスの質は推して知るべし、である。

このように政治家の選挙公約よりたちの悪い見込みによって、介護の必要量は足りるとされているわけである。

そのような見込みに頼らず、事業者独自で人員確保の対策を立てて、他事業者との差別化を図りながら生き残っていくしか道はないのだ。

人材確保策についてだけは、政治家や官僚に頼ってはならないし、政治家や官僚を信用してはならないことを肝に銘ずるべきである。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・masaの最新著作本「介護の誇り」は、こちらから購入できます。

対人援助に求められるエッセンス


対人援助サービスの質を左右するのは、人材であることは間違いのないところだ。しかし良い人材とは単純に知識と技術だけを持つ人であるとも言い切れない。

なぜなら介護サービスの品質を保持するためには、一人一人の従業員の「意欲」や「やる気」というエッセンスが重要になるからだ。

人に向かい合う仕事にはマニュアルだけでは対応できない要素があり、利用者の感情に即した臨機応変の姿勢が求められる。そうであるがゆえに日々の業務の中でモチベーションを保ち、常に利用者の感情に向かい合いながら、想像力と創造力をもって対応を変える必要があるのが介護の仕事である。

そのためには人に対する興味と、人の暮らしを豊かにしようとする動機づけ必要になる。そうした興味や動機づけを持たない人は、頭が良くて技術を持っていても、「支援する人の暮らしぶりや心を豊かにする」という結果を出すことができないのである。

そもそも支援を受ける側の立場から考えれば、支援者の思いやりこそが、自分を支えてくれる大きな力だ。

支援知識があり支援技術が高くても、自分に対する愛情が全く感じられない人によって、毎日の生活を成りたたせなければならないとしたら、支援者に媚を売り、毎日気を使いながら遠慮しつつ生活支援を受けなければならない。それは多くの場合、苦痛と屈辱以外の何ものでもないだろう。

勿論、介護支援を必要になった人が、サービスを利用する顧客だからと言って、その立場をひけらかす必要はないし、上から目線でサービス提供者に指示・命令することが客としての正しい態度ともいえない。そしてサービス提供する側が顧客に対して卑屈になる必要もない。

どちらもお互いを人として敬うということが求められ、サービス提供側には顧客に対する相応のマナーが求められるだけである。

その時に、お互いが人としての愛情を持ち合い、介護支援を受けなければ暮らしが成立しないというハンデキャップを持つ人に対しては、サービス提供側が、「人に対するやさしい目線」から、様々な気づきと配慮の気持ちを持つということは、ごく当たり前のことではないだろうか。

対人援助に必要なものは、正しい知識と適切な援助技術であることは言うまでもないが、対人援助は機械を相手にしている仕事でもなく、単に製品を生み出す仕事でもないということを忘れてはならない。感情のある人に向かい合う仕事だからこそ、知識と技術に加えて、愛情というエッセンスが求められるのだ。

そうした人間愛につながるものが、人に対する興味と、人の心を豊かにしたいという動機づけである。

そうした人に対する興味や、人の心を豊かにしようとする動機づけを生み出すために、モチベーションが高まる組織風土が重要になり、どういう職場がそうした組織風土を手に入れることができるのかを考えることは、事業経営上も非常に重要になる。

ただし本来モチベーションとは、自らの内面の問題であり、誰かに与えられるものではない。それは自らの精神活動としての気持ちの持ちようの問題であり、所属する事業者が何とかしてくれると考えるのは間違いである。モチベーションの低下を、すべて人のせいにする傾向のある人に、良い仕事ができることはないと言い切ってよいだろう。

しかし従業員の精神活動が高まる環境を整えることは組織として必要なことで、そうした意識を経営意識として高めることは、従業員が働く環境に好影響をもたらし、従業員自らが精神活動を高め、仕事に対するモチベーションを維持・向上させ得る重要なファクターになるであろう。

介護福祉士養成校の学生が介護職員を目指す最大の動機は「人の役に立つ仕事をしたい」というものだ。

それは介護という職業が「人の幸福」と深く関わっていると考え、人の生活の質の向上に結びつくことにやりがいを感じるという意味である。

しかし現実の介護サービスの現場で、この当初の動機づけが失われていくことが燃え尽きや離職に繋がっている。その理由は何だろうか。志の高い職員ほど理想とは程遠い現実に嫌気がさして、「人の役に立てる職業だと思って選んだのに、人の役に立つことができない」・「利用者への対応が流れ作業になってしまっている」・「こんなやり方が、利用者のためになっているとは思えない」という理由で辞めていくのだ。

つまり利用者不在のサービスが提供され、人の暮らしを豊かにするという結果が二の次にされている職場であるほど、やる気のある職員のモチベーションは低下するのである。現場の状況に疎い管理者が、利用者の生活の視点のないところで、利益優先の経営に終始したときに、本来必要とされる人材となり得る職員のモチベーションが下がり、離職してしまうとしたら、それは人材不足が叫ばれる今日においては最大の経営リスクともいえる。そうした環境を変えることこそ、職員のモチベーションが維持できる職場環境につながっていくのではないだろうか。

介護事業であっても収益を挙げない限り安定した経営はできないのであるから、従業員にも収益を挙げる方法を示して、それに向けて職場が一体となって取り組みを行うことは必要不可欠である。しかし対人援助であるという特性と意味を見失って、利用者の人間性を損ない、それらの人々の苦痛や悲しみを無視して、人を踏み台にして利益を上げる場所に、人材は張り付かないのだ。

対人援助の質と収益は相反するものではない。高品質なサービスを提供することが、各種加算を算定しることにもつながっていく。そうしたポジティブに着目しながら、サービスの質を担保し、利用者の福祉の向上という結果につながるサービスを提供できる職場とする必要がある。高品質で人の暮らしぶりを豊かにするサービスを目指すという基盤づくりを行って、そのために必要な支援方法をきちんと指導できる現場リーダーを育成することが大事だ。

そうしたリーダーが中心となって、職場内にOJTを中心にした新人教育のシステムが整備されていて、新人職員が知識や技術を不安なく獲得し、それが日常のケアサービスと結びつくという結果が求められる。さらにスキルアップシステムが構築されていることが職員のモチベーション維持・向上には不可欠である。

介護福祉士養成校の学生が、実習先で抱える不安は、きちんと自分が介護をできているか技術指導をして評価してくれる人がいないというものなのである。それはそのまま就職先での新人教育時の不安にも共通している。

そういう不安を与えない職場を創るためには、根拠ある教育指導ができる現場リーダーを育て、そのリーダーに権限を与えながら、指導力を発揮して、若い職員を育成できる組織とすることが何より求められているのである。

制度がどうあれ、利用者の生活の質の向上に役に立ちたいという「職員の思い」が実現できる職場作りが、従業員のモチベーションを高め、定着率を向上させ、人材不足に陥らない職場の条件となり得ることを決して忘れてはならないのである。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・masaの最新著作本「介護の誇り」は、こちらから購入できます。

介護福祉士のなり手がいなくなる


9月6日付で厚労省から、「第31回介護福祉士国家試験受験申込受付期間の延長について」という文書が発出された。

これは平成30年 9月6日03時08分に発生した北海道胆振東部地震及び平成30年9月4日に日本に上陸し、近畿地方を中心に大きな被害をもたらした台風第21号に伴い、平成30年9月7日(金)までとしていた第31回介護福祉士国家試験の受験申込受付期間を、10月5日(金)までに延長する(※当日消印のあるものに限り有効)ことの告知文書である。

災害のために申し込みが間に合わなかった人にとっては朗報だろうと思うが、これにより改めて受験申込する人が何人いるのか心配になる。

というのも、こうした措置が取られる背景には、受験申込者の極端な減少があったのではないかといううがった見方があるからだ。それだけ介護事業者の人材確保は大変な問題になっている。

介護福祉士の問題に絞って考えても、養成校の受験者数の減少も同時期に報道されている。日本介護福祉士養成施設協会が9/10までに取りまとめたデータによると、全国の養成校の数(課程数)は昨年度の396校から今年度は386校に減ったそうである。生徒募集に応募がないことを理由に、募集をやめたり過程を廃止したりしたところが10校あったという。

その結果、全国の介護福祉士養成校の定員数は385人減の1万5506人となっているが、それに対して充足率はわずか44.2%ある。減り続ける養成校の定員の5割以上が埋まらないという深刻な状況なのだ。

しかも充足している44.2%についても、外国人留学生の占める割合が増えている。全国で昨年度591人だった外国人留学生は、今年度は2倍にあたる1142人が入学。全体に占める割合は8.1%から16.6%まで上昇したというのだ。(国別の内訳は、ベトナム542人・中国167人・ネパール95人・インドネシア70人)

介護福祉士養成校の入学者減少率は、外国人留学生の入学者増加で、少しだけ歯止めがかかっているという状況だ。外国人留学生が介護福祉士の資格を取得し、日本人以上に立派な仕事をしている例はたくさんあるが、しかし将来を考えると、それらの人々が日本の介護事業者を支える人材として定着するかどうかは疑わしい。

優秀な外国人であればあるほど、一定期間日本の介護事業者で働いて、ある程度の経験と技術と知識と収入を得た後は母国に帰って、日本でのキャリアをもとに母国で一定以上の地位で働こうと考えている人が多いからだ。

日本の介護福祉士養成校で教育を受け、介護福祉士の資格を取得しても、それらの人は長い期間介護福祉士として就業しないのである。そうであれば最初から日本の介護事業に定着しない人材を、お金と時間をかけて養成しているということになる。これが本当に求められている人材育成の形なのだろうか。

とは言っても、何をどう対策しても日本人の介護福祉士は十分な数になることはないだろう。奨学金が充実し、介護福祉士の待遇が目に見えて改善することで、多少日本人の入学者が増えたとて、それは日本の近い将来の介護ニーズに対応できるほどの数にはならない。

むしろ国全体で生産労働人口が減少し、全産業で人手不足になっているのだから、人気のない介護業界から人手はさらに減り、一人一人の職員に過重な負担がかかる中、将来苦労することが目に見えている介護福祉士になろうとして、専門学校に入学する人が増える手立てはない。介護福祉士を目指す若者が劇的に増えることを期待することはないものねだりである。

そんな中で介護事業を安定して経営しようとする事業経営者には、ほかの事業者と同じことをしても人は集まらないという意識が求められる。人材は黙っていても湧いてくるわけがなく、自らの知恵と工夫で生み育てるものだという意識改革が必要だ。

最初から人材としてのスキルを持つ人はごくわずかだ。最初は人員でしかない人を、いかに人材としてスキルアップさせるのか。そのノウハウを持った場所には、人が集まるのである。

地域全体で介護人材が充足するとか、介護業界全体で介護職員が充足するなんて言う幻想を捨てる必要がある。国の施策によっては、介護業界に人が集まるなんて言う期待もしてはならない。

自らの力で、自らの工夫と知恵をもって、ほかの事業者にはない方法で人を集め育てないと、今後の介護事業経営はできないと考えるべきである。人材育成の部分では、僕も協力できるので、必要があれば声をかけていただきたい。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・masaの最新著作本「介護の誇り」は、こちらから購入できます。

介護助手の導入と活用は介護の業務効率化につながるのだろうか


介護人材の不足どころか、その枯渇が叫ばれている。

それに対する有効な対策はなかなか見つからない。むしろ人材不足の状況は悪化の一途をたどっており、将来に明るい日が差す兆候も見えてこないのが現実だ。

社会情勢全般を見渡しても、その未来は暗いものになる予測しか立たない。生産労働人口が減り続けるわが国においては、全産業で労働力不足が深刻化しており、その中で世間一般的には他産業より待遇が低いと印象付けられている介護の職業に、今後十分な労働力が回ってくることは想定し難いからである。

そう考えるとよほど大きな改革がない限り、すべての地域で、すべても介護事業者が人材確保できる見込みはないと考える以外ない。介護崩壊は現実化しているのである。

そうした状況に対して、国も手をこまめいているばかりではない。政府パッケージで介護福祉士の待遇を改善させようとしたり、外国人労働者の受け入れ範囲を広げるなど、様々な施策を打ち出している。その取り組みは遅きに失したという感も否めないが、ここ数年でやっと重い腰をあげて、具体的な取り組みにかかっているといったところである。

その一環と言ってよいと思うが、厚労省の2019年概算要求では、「福祉・介護人材確保対策等の推進」として前年度より52億円多い366億円を計上している。この中には「介護職の機能分化等による業務効率化や生産性の向上のための先駆的な取り組みへの支援」として5.9億円が含まれているが、その具体的内容としては、「介護助手を活用したサービス提供モデルの確立」などが挙げられている。

例えば、介護助手の導入・活用に向けて、介護に関連する一連の業務を整理・区分するなどして、介護助手が担う介護の附帯業務についてとりまとめるなど、介護職と介護助手の業務分担と労働時間の切り分け等を通じて介護助手の活用を検討し、労働環境の整備・改善に向けた取組を行うことに対して予算措置がされるわけである。

つまり介護業務全般を担うことができないけれど、その一部業務を手伝うことができる人材を助手として配置することで、介護職員の業務効率化を図ることによって、定着率のアップなどを図り、人材確保につなげようというものだ。

しかしこのような対策が人材対策として効果があるだろうか?介護職員のほかに、介護助手を介護サービスの場に配置することが介護業務の省力化につながるのだろうか。

国が考えているのは、超高齢社会の中にも元気な高齢者がいて、それらの方を人材として活用しようということではないのか。一旦リタイヤした人でも、介護業務の一部を担うことは可能な人が数多くいて、それらの人が介護業務の中の付帯業務を行うことができでば、その分介護職員の業務負担が軽減できると考えているのだろう。

しかし僕の経験で言えば、それは困難なことだと思う。介護業務の一部しかできない職員をいくら抱えても、介護職員の業務負担軽減にはならず、むしろそうした職員ができない部分をカバーするのに、心も体も疲弊する介護職員が多くなるのだ。今まで自分が行っていた業務の一部を担ってくれる職員が別に配置されても、その職員は特定の仕事しかできないスキルであるのだから、担っている業務の結果も見てやらなければならないのである。

そもそも介護業務には付帯業務など存在せず、介護という行為はすべて本体なのである。それを無理やり切り分けることは、介護を受ける人の暮らしを切り分けて、日常生活がいびつなものになるということである。介護業務を本体業務と付帯業務に分けることで、利用者の暮らしはそこで分断されざるを得なくなる。人の暮らしって、そのように切り分けられるものなのか。

そう考えると介護職員の業務と介護助手の業務を整理・区分することは、サービス提供者の業務の都合に合わせて利用者の暮らしを再編することにほかならず、それは過去に否定された集団処遇の論理そのものではないのか。

また介護助手という位置づけがされることで、もう一つ大きな問題が発生する。付帯業務とされる一部の業務しか担うことができない職員に対しては、賃金も多くは支払われないだろう。それはおそらく最低賃金に近いものとなるだろう。

そうすると助手が低い賃金で働いて、助手以外の介護職員の賃金だけが大幅にアップするという構図は考えずらくなり、助手という賃金の低い労働力の存在は、介護労働の対価を引き下げる要因になりかねないのである。少なくとも介護助手の存在が、世間一般に与える印象とは、「介護の仕事は誰にでもできる仕事で、安かろう悪かろうであって当然だ」というものにしかならない。この点が一番懸念されるところである。

僕が特養などの総合施設長を務めていたころ、夜勤をしないパート労働者を雇用するときに、正規職員から聴こえてきた声は、「短時間しか働かないパート職員はもういりません。私たちと同じ仕事をできる職員を一人でも多く雇ってください」であった。

介護助手が制度化された先には、全国の介護事業者から「助手は結構、同じ仕事ができる人を雇ってください」という声が、全国各地で数多く聴こえてくるのではないだろうか。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・masaの最新著作本「介護の誇り」は、こちらから購入できます。

人材確保は地域ぐるみで、という落とし穴


介護事業経営者の最大の悩みは、言うまでもなく人材確保である。

優れた人材を確保することが、利用者確保にもつながるし、適切な労務管理につながり、そのことによって事業経営の安定化にもつながる。

しかし全産業を通じて人材確保が困難となっている中で、3Kイメージや待遇が悪いというイメージが払しょくできない介護業界に、なかなか優秀な人材は集まってこない。人材どころか人員さえも確保が難しくなっている。

しかしそれは施策の問題というよりも、我が国の人口構造の問題という根本的要因が存在しているし、これを外国人の介護業界への就労で解決しようとしたとしても、外国人は日本人と結婚でもしない限り定着しないので、人材・人員確保の解決策には結びつかない。(参照:人口減少社会の中で ・ 国の施策に頼ってばかりの人材対策は成功しない

そもそも外国人を労働力と考える政策は愚劣であり、労働力として求めても、そこにやってくるのは人であるということを忘れてはならない。文化や生活習慣の違いがある人を雇い入れるためには、事業者側にもその能力が求められるのだ。同じ日本人と適切な雇用関係を構築できない事業所で、外国人を安易に雇い入れて起こるトラブルは数知れなくなる恐れもある。

そんな中で、介護労働力の確保を『地域ぐるみで行おう』という取り組みがみられる。その取り組みを否定するつもりはないが、その取り組みによって地域の介護事業者のすべてで人材・人員が満たされると考えるのはどうかしているし、地域ぐるみでの人材確保の取り組みを行っておけば、行っていない地域より少しはましな状況になるだろうと考えるのも、甘いと言っておきたい。

現状で、どのような形でどんな取り組みを行ったとしても、地域ごとに人が集まる事業者と、人が集まらない事業者に分かれていくのは必然で、むしろ人の集まらない事業者が存在するからこそ、人が充足する事業者も存在するといえるのである。

つまり人材を集めるためには、他の事業者と差別化を図って、他の事業者にはいかない人を作らねばならないということになる。地域ぐるみの取り組みは、この差別化を阻害し、地域全体の介護事業者が人集めで、win winとなるのではなく、みんなが損をするzero-sum gameとなるのが必然である。

特に地域ぐるみで人材確保に取り組んでいる場合、そこでは地域ぐるみの活動に寄りかかって、そこに乗っかておりさえすれば何とかなるというハイエナ事業者を生み出して、それでもなおかつ人材確保が困難な理由を、施策のせいにして、他者との差別化を図る自助努力を失わせる傾向が生まれる。

地域で取り組んでなおかつ人が集まらない結果を、自助努力の足りなさではなく、どうしようもないという言い訳に置き換える事業者を生み出し、創意工夫する知恵を奪っていく。

そういう地域に人材も人員も集まらない。

必要とされるのは、他の事業者にはない人集めのノウハウを独自に生み出す創意工夫であり、それは事業者として個別に行わないと意味のないものになるのだ。そういう覚悟が、今後の介護事業経営には必要となる。

古い就業規則のルールに縛られて、発想を飛躍できない介護経営者に未来はないし、国や地域の取り組みに寄りかかる事業者にも明るい未来はない。

それが証拠に、いまだかって地域ぐるみで人材確保に成功した事例は存在していないのである。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・masaの最新著作本「介護の誇り」は、こちらから購入できます。

国の施策に頼ってばかりの人材対策は成功しない


6/21厚労省が都道府県別の介護職員充足率の2025年度推計を公表した。

それによると充足率が最も低いのは、福島県と千葉県の74.1%となっており、続いて京都府の79.3%、沖縄県の81.2%となっている。逆に充足率が高いのは山梨県の96.6%がトップで、佐賀県が95.7%、島根県が94.4%と続いている。

全国平均は86.2%で、北海道は83.2%とこれを下回っており、1.9万人の介護職が不足するとされている。

今朝の北海道新聞は、このニュースを1面トップに取り上げているが、その記事の中に書かれている、有識者とみられていると思われる人物のコメントがひどい。

北海道医労連の介護対策責任者という人物が、「このまま人手確保の対策をしなければ、サービスの質低下や職員の負担増につながる」と述べている。

しかし人材のすそ野を広げたり、リタイヤした経験者の再雇用の掘り起こしを行ったりという人手確保の対策は様々にとられているのだ。それが機能していないことが一番大きな問題で、人手確保の対策をいていないわけではないのに、十分な人材・人員確保策につながっていないことの認識から始めないと、この問題の有効な処方箋は作ることができない。(参照記事の一部

そもそもこの介護対策責任者なる人物は、何が有効な人手確保の対策だと考えているのだろう。その具体策もなく、漠然としたイメージでインタビューに答えているとしか思えない。

またこの人物は同時に、一番の課題は賃金アップとしているが、どれだけの賃金アップで、どの程度の職員充足率が図れるのかという検証作業をしているのか疑問だ。賃金を上げれば確実に人手は増えるのか?その賃金とはいったいいくらを想定しているのか?

介護職の平均賃金は、全産業平均より低いというが、社会福祉法人の正規職員だけを取り上げれば、それは平均値を上回るというデータもある。そこさえも介護職員が充足していない要因は、賃金だけの問題ではないということではないのか?つまり賃金アップだけで人手不足が解消するほど、この問題は単純ではない。介護の職業を続ける動機づけを護る対策や、働く環境を含めた労務管理ができていない事業者が多いことも原因の一部になっているのだ。

むしろ僕は国の施策に頼った人材確保は不可能と思っている。全事業者が人員を十分確保して介護事業経営を続けるのは幻想だと思っている。だからこそ介護事業者独自の人材確保策が求められているということについて「カテゴリー介護人材確保」の中で分析と提言を行ってきた。

細かな具体策については、現在の僕の飯の種なのでここでは公開しないが、他事業所と差別化を図って、人材が集まる事業者となるための、国の施策に頼らない人材確保戦略が、介護事業者自身に求められてくるのだ。

その時に一番大事なのは、人を育てる機能を、事業者内にきちんと持ち、本当の意味でのOJTができる介護リーダーを育てていくことだろう。

介護人材が確保困難な社会情勢に対して、いつまでも第3者的なコメントでお茶を濁すような人物が、人材不足対策を担っているようではお先真っ暗である。

道新も一面トップ記事なんだから、少しは人を選んでコメントを求めろよと言いたいところである。

それにしても一面トップ時期となる介護問題に対して、関係者がこんなコメントしかできないこと自体が、介護業界の人材枯渇をあらわしているのかもしれない。残念なことである。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・masaの最新著作本「介護の誇り」は、こちらから購入できます。

道の人材対策は最も愚劣な策


今朝4月20日の北海道新聞朝刊一面には、「2025年の道内 高齢者172万人」の大見出しが付けられ、「介護の担い手確保 助手養成拡大も」という文字が躍っている。

道内の要介護者数と介護職員数記事要点を抜粋すると、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年に、道内の65歳以上の高齢者が172万人を超え、要介護者数等と介護職員の需要数が右図のようになる。

必要な介護職員の需要数は11万7千人であるにもかかわらず、その確保の見込みは立っていないことから、道は介護福祉士らを人材派遣会社を通じ施設へ派遣する事業や、高齢者や主婦を「介護助手」として養成する事業を拡大する。児童生徒に将来、介護の仕事を選んでもらえるよう、小中学校などで3年間で計6千人に介護体験講座を開く。

さらに要支援・要介護者を減らすため、リハビリ専門職が指導する体操教室を、本年度は全道5カ所で新設し、介護予防に力を入れるとしている。

果たしてこの対策が人材確保策として有効なものといえるだろうか。

介護予防に力を入れることは当たり前のことで、実効性のある具体策に取り組む必要はあるだろう。しかし問題になるのはその具体策で、アリバイ作りの介護予防策では意味がないことに意が及ばないと意味がないものとなる。この点はこの記事からは見えてこない。

小中学生に介護の仕事を選んでもらうための体験講座も大事なことだ。しかし体験した子供たちが将来職業を選ぶ段階で、介護の仕事には将来がないと思うような給与体系では何の意味もないわけだが、道の対策はこの部分に相反する対策が含まれている。

例えば、『高齢者や主婦を「介護助手」として養成する事業を拡大する。』という部分であるが、これが訪問介護の生活援助を中心としたサービスの担い手を育成するために今年度に創設された9科目59時間の新研修を指すのか、それ以外の道の独自研修を指すのかは不明瞭だが、どちらにしても介護助手とは、介護事業者の主力となる介護職員ではなく、周辺作業を担う人材確保策にしか過ぎない。それはおそらく老後の小遣い稼ぎ程度の収入しか得られない仕事でしかなくなるだろう。

しかしそうした介護助手が増えたとして、介護サービスの必要な人材確保につながるかといえば首をかしげざるを得ない。僕が特養の総合施設長を務めていた際には、人材確保策として多様な雇用形態・勤務形態を認めていたが、夜勤や主たる身体介護を行わない職員をいくら増やしても、現場の職員から歓迎されることはなかった。業務の省力化にはつながらず、そういう職員を10人雇うより、夜勤もできて、主介護業務がきちんとできる職員を一人採用するほうが歓迎された。

2025年以降は後期高齢者が増え、重度の要介護者に対応しなければならない場面も増えるのだから、主たる介護の周辺業務(生活援助等)しか行えない人をいくら増やしても、「焼け石に水」にしかならないだろう。しかもそれは、介護労働の低賃金化に拍車をかけるものだ。

それよりもさらに愚劣なのは、「介護福祉士らを人材派遣会社を通じ施設へ派遣する事業」である。派遣会社を通じて介護現場で働く職員が増えるという意味は。、派遣会社が、本来介護職員に手渡すべき人件費の一部を、中間マージンとして搾取するという意味である。

介護職員処遇改善加算の活用などの効果で、介護職員の平均年収は上がってきてはいるが、他産業の平均年収ベースとはまだ差がある。その一番の原因は、フランチャイズ・コンサルタント・派遣会社などに支払う費用が増加して、介護サービス事業者の従業者に支払うべき給与の一部が、そこに回ってしまっているからである。

本来介護事業にフランチャイズ展開はそぐわないし、きちんと経営能力のある経営者がトップに居れば、経営コンサルタントに頼る必要はない。それにも増して愚劣なのは、職員確保を中間マージンを搾取する派遣会社に頼ることだ。

道の示した人材確保策は、介護助手という低い収入しか得られず、かつ介護人材確保にもつながらない人員を増やすことと、派遣会社を通じて介護事業者が雇用する人材を増やすということであり、これは中間マージンという搾取により、介護職員全体の給与を含めた待遇が、現在より低下させるものだ。これは「介護労働は社会の底辺」と揶揄される状況につながりかねない。

道に求められているのは、派遣会社を通じて職員を確保させることではなく、なぜ派遣会社が人材を確保できるのに、介護事業者が直接雇用できないかを検証して、その原因を明らかにするとともに、派遣職員ではなく、介護事業者が直接雇用する職員を増やすことができる施策をとることだ。その一部には、現在派遣社員として働いている人を、直接雇用に変えるための助成事業が含まれてよいはずだ。

ちなみに、派遣職員を切って社会福祉法人の人材不足を乗り越えた経験をお持ちの、社会福祉法人愛隣会 特別養護老人ホーム駒場苑 施設長 ・中村 浩士 氏と僕がコラボする講演会が、5/25(金)10:25〜エッサム神田ホール1号館 で行われる。「介護事業&社会福祉法人 経営戦略セミナー 生き残る介護 伸びる介護」では、中村氏の貴重な体験談を聴くことができる。

僕も当日、「変わる介護。社会福祉法人の生き残り戦略」というテーマで講演を行うので、当日は是非会場までお越しいただきたい。

※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・masaの最新著作本「介護の誇り」は、こちらから購入できます。

介護の職業を底辺化する要因


介護の仕事が社会の底辺であると言われることがある。

給与をはじめとした待遇の悪さ。〇〇Kと呼ばれるような就労環境の悪さ。職員間の人間関係を良好にする難しさなどの職場環境の問題。人が足りないことで過酷となる労働環境や、認知症の方々の行動が理解できないことなどで生ずる様々なストレスを抱える問題etc.

介護という職業の大変さ、労働環境問題、それに対する対価の低さを挙げれば切りがないと言えるのかもしれない。

しかし僕自身は対人援助の場に職業を得て、特養という介護施設を中心ステージとして活動し、はじめは月10万円に満たない手取りであったが、それも少しづつ増えていき、その中でやりがいや目標を見つけ出し、感じ取ることができる仕事の面白さを得て、そこで様々なものを手に入れてきた。

医療機関の寮での一人暮らしから始まった僕の社会人生活であるが、いつしか家族ができ、妻との間に二人の子を得て、その子らが大学や専門学校を卒業し、今では立派に巣立って社会人として活躍している。その間に家を建て、そのローンの返済も定年を待たずに終えている。僕の妻は結婚後一度も仕事に就いたことがない専業主婦だから、僕ら夫婦は共働きの経験はない。つまり僕ら家族が今まで得てきたものは、すべて介護という職業で得た対価によるものである。

その暮らしは決して贅沢とは言えないけれど、社会の底辺という環境で生きてきたということでもないはずであり、人並みの暮らしは送ってきたと言える。

僕は特養の施設長を長年務めてきたが、その期間は、正職員である男性介護職員が、家族を養えずに共働きしなければならないのはおかしとして、国家公務員並みの給与規定はきちんと守り、職員に適正給与を支払い続けてきたという自負もある。

僕とつながりのある全国の仲間も、清貧の暮らしを送っている人ではなく、介護という職業に生きがいを感じながら額に汗する過程で、組織の中で一定の地位を手に入れ、それなりの対価を得てきた人がほとんどだ。その中には、独立して会社を経営し、経営者として社員を養いながら、そのトップにふさわしい対価を手にしている人も数多く存在している。

そもそも年収がいきなり500万から始まる職業などそう多くはない。就業者数が一番多いサービス業なんかは、年収が200万円の前半から始まる仕事が多数派である。その中でスキルを磨いた人が年収1.000万以上に昇りつめていくのだ。

社会福祉法人が経営する特養の施設長は、とてもではないがそのような年収になることはないが、それでも頑張ってその地位に就くことができれば、年収700万とか800万とかにはなるだろう。要は年収240万から始まった人たちが、そこまでのぼることができるスキルを獲得しているのか、チャンスをつかんでいるのかという問題である。

介護の職業を「底辺化」している問題も確かに存在する。経営能力のない経営者が、借金をして小規模事業を立ち上げても、そこで職員を育て護りながら、事業収益を伸ばす能力がないと、そこは単なる搾取の場にしかならず、仕事の質は落ち、得られる対価も低くなり、従業員の暮らしは底辺化する。

そこでは職員が仕事に誇りを持つことができないから、対人援助の場であるにもかかわらず、顧客である人を人と見ないで、物扱いすることになる。待遇が悪い職場では教育にお金をかけないので、悪貨が良貨を駆逐するように、スキルの高い人材がいなくなり、残された劣悪なスキルの職員によって対人援助は、最も劣悪な作業労働化されて、仕事のやりがいなど存在しなくなる。

やりがいのない仕事を、おざなりにこなしている人に、多くの対価は支払われないのは至極当然である。そこで生まれる底辺とは、職業そのものの本質なのか?そうではないだろう。どの職業にも頂上があれば、底辺もあるということだ。

事業経営者が職員を育てて、スキルに応じた報酬を手渡し、顧客を確保しながら、事業規模を拡大して、組織全体の収益構造を拡大していく職場に社会の「財」は集まるのである。それは人材であったり、大きな収益であったりする。それを適切に従業員に手渡していくかどうかが、事業継続できるか否かの大きな分かれ目になる。

従業員の側にも覚悟が必要だ。介護の仕事の限らず、どの職業であっても自らのスキルを高めて、そこで求められる結果を出さない職員には地位も名誉も対価も与えられないのである。

介護の職業に対して、その待遇の悪さを嘆き、恨み、愚痴を言い続ける人の共通点は、文句言う暇があったら働けよといいたくなるスキルの低さである。そういう人たちは、介護という職業に存在する財を手にすることはできないのだ。

介護の職業によって底辺にはまる人は、介護という職業に存在する這い上がるチャンスを得るスキルのない人達だ。それが証拠に、介護以外の民間営利企業で働いていた人が、介護職に転職した後、そこで立派な地位と対価を得て、仕事の喜びを感じて働き続けている人が何万人も存在する。

つまり介護の職業を底辺化するものは、能力のない介護経営者であったり、介護の仕事で本気で結果を出そうとしない・出すことができない自らの能力であったりするのだ。そんな人であっても、能力に合致した仕事は別に存在するかもしれず、自分の能力にマッチした職業に就けば成功はできるだろう。

介護の職業で底辺を抜け出せなかった人が、他の職業で成功したからといって、過去の悲惨な暮らしを介護という職業のせいにするのは真実から目を背けるだけの行為に思えてならない。いつまでも自分に合わなかった職業に、「恨み節」を唱えていてもしょうがない。そういう妄執から一にとも早く抜け出してほしい。

底辺化する要因は、職業そのものに存在するのではなく、能力に存在することを自覚すべきである。


※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・masaの最新著作本「介護の誇り」は、こちらから購入できます。

処遇改善加算は気鮖残蠅垢襪里経営者の責務


九州(佐賀・福岡)〜岡山〜愛知(一宮)の旅を終え、昨日6日ぶりに北海道に戻ってくると寒さが身に染みる。

日中最高気温が15度を超える地域に滞在していたので、最低気温が氷点下の北海道は体の芯までしばれる。そんな北海道の明日から明後日にかけての天気は大荒れ予想・・・。明後日はまた鹿児島〜福岡の旅となるが、フライトに影響しないように祈るだけである。

ところで最近このブログ記事の中で、人材確保に関連した内容を書くことが多い。それは人材確保と育成に関する講演が増えていることと関係している。さらにそのことは報酬改定の内容に関連したテーマにも結び付いている。

何度もここで指摘しているように、この先高齢者の数が減っていき、今ほど介護事業者数が必要なくなって、その数が減ってくるようになっても、生産労働人口の減少スピードは、それよりはるかに速く・大きく減っていくために、介護労働者が充足することはない。団塊の世代がどんどんいなくなる時期に、今度は団塊ジュニア世代(第2次ベビーブームで生まれた人)が高齢者の中心になるが、それを支える塊の世代が存在しないからだ。日本の現状としては、第3次ベビールームが存在しなかったことが非常に大きな問題になってくる。

そうした中で、すべての介護事業者が人員を確保できる構図は期待できない。事業経営に必要な人材と人員を確保するためには、国を始めとした行政に頼る姿勢ではなく、事業主体独自の経営戦略が求められる。それがない事業主体は事業を継続できないということになる。

当然その中には、継続的に事業収益を確保して、従業員に適切なレベルの報酬を手渡し、すべての従業員が安心して働き続けることができる事業戦略と経営手腕が求められるわけである。

例えば介護職員処遇改善加算は、介護職員以外の職種を対象としていないなどで、不満を持っている経営者も存在するが、少なくともその加算を算定することで、介護職員の待遇改善はできるわけだから、算定しないという手はない。

現在、介護職員処遇改善加算は5種類あるが、(検傍擇咫吻后砲砲弔い討惑兒澆気譴襪海箸決まっている。この加算は職場環境要件の一部もしくはすべてを満たさない場合でも算定できる加算とされていたもので、いわば罰則として費用の一部が削られている加算という意味合いがあったわけである。今回これは、より上位の区分の取得に向けて、別に厚生労働大臣が定める期日(※今後決定)までしか算定できない。いつまでもこんな加算でお茶を濁しているようでは、他産業との賃金格差が解消できないという意味合いもある。

だからといって薫幣紊両絨眠短擦鮖残蠅靴討ればよいのかと考えたとき、それで良しとしている事業経営者に未来はないと言いたい。

2017年度から算定できるようになった新加算気陵弖錣蓮▲ャリアパス要件機▲ャリアパス要件供▲ャリアパス要件掘⊃場環境等要件の全てを満たす対象事業者が算定できる加算であるが、その要件はさほどハードルが高いものではない。今後事業を継続していくために職員を安定的に雇用しようとする事業者であれば、当然整えていなければならない条件である。

よって今後の事業経営を考えるなら、処遇改善加算気鮖残蠅掘△修譴魏雜鄂Πに渡すことは極めて当然のことで、加えて事業収入を確保して、収益の中から他の職種へも介護職員と同等の給与改善を図っていくことも極めて当然の経営視点である。その手腕がない経営者は、そろそろ退場時期である。

ところでこの介護職員処遇改善加算は、改善金の比較給与や改善額の計算式の解釈で難解な部分がある。しかし1円でも多く請求してしまったら、超過分を返還すればよいのではなく、全額返還しなければならなくなる。不正意識はないにもかかわらず、計算間違いにより請求ミスがあれば、加算分を全額返還しなければならなかった事業者が少なくはない。

そのため社労士などへ、この部分の請求事務を委託している事業所もある。

この対応に関連して、僕の知り合いである株式会社ビジテラス・本田社長が、「介護職員処遇改善加算管理システム」を開発して、介護職員処遇改善加算実績報告書の作成業務などの受託しているので紹介しておきたい。

1月の無料お試しキャンペーンも利用できるので、興味のある方は張り付いたリンク先を参照願いたい。

どちらにしても経営者が、その経営手腕を発揮して収益を挙げながら、その中から最大限の費用を職員に手渡していくという視点がない限り、良い人材を確保して、さらなる収益を挙げていく事業所にはならないし、適正数の人員を確保して育成し、事業経営を継続できる事業者にもならない。

処遇改善加算気鯏たり前のように算定しているかどうかは、その試金石ともいえるかもしれない。


※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・masaの最新著作本「介護の誇り」は、こちらから購入できます。

人材確保と人材育成を考える視点


先週の木曜日から始まった佐賀〜福岡〜岡山〜一宮の旅も、今日の5時間講演でクライマックスを迎える。

今日は午前10時から、一宮市の社会福祉法人・愛知慈恵会さんで職員向けの講演を行っている。現在昼休憩のさなかであるが、この後午後1時から午後4時まで引き続き講演を行う予定になっている。

受講者の皆さんは、午前中の2時間、熱心に集中して僕の話に耳を傾けてくれているが、さらに3時間、もっとモチベーションを高める話をしたいと思っている。

最近、こうした法人さん単位での講師依頼が増えている。それは極めて当然の帰結で、これからの介護経営を考えた場合、事業継続のためには収益を出すための経営戦略が必要とされるだけではなく、それを支える人員をどう確保して、その中でどう人材を育てていくかという視点が不可欠で、職員教育が肝になる。

そして職員教育のためには外部研修にお任せでは限界があり、内部研修の充実が求められるのである。なぜなら外部研修に派遣された職員は一時的にやる気とテンションが上がっても、他の職員にその気持ちを伝える伝達研修には限界があり、講義に長けた講師ほどの温度が伝達研修では維持できないからだ。そこで思いが共有できないことで、やる気とテンションの高まりは持続しないのである。

だから実務に長けた内容のある講義ができる講師を招いて、定期的な内部研修を実施することが職員成長には欠かせない。それをしないと職員募集に人が集まらず、定着率も低い結果を招き、顧客も確保できなくなって、事業経営が難しくなるのである。

日本の人口構造を見ると、いわゆる団塊の世代の方が後期高齢者となる2025年から、その方々が90歳になって数がどんどん減っていく2040年くらいまでが、高齢者介護問題の正念場であるという見方がある。

しかし団塊の世代の方々が減っていく2040年以降に、1970年代に生まれた団塊ジュニア世代(第2次ベビーブームで誕生した世代)の方々が70歳となって、生産労働人口はさらに減り続ける。つまり今後、介護事業所の数が今のレベルで必要とされなくなって、事業所数も減っていく過程においても、介護従事者の成り手の減少数の方が大きくなるために、人員・人材確保はますます難しくなる。

この国、その県、あの市町村レベルで、どのような政策をとっても、全事業所の人員を確保する手立てはなく、人材確保に限って言えばウイン・ウインの政策は幻想である。厳しい人員確保競争の中で勝ち残っていかねばならず、内部研修の充実と、それによる職員のスキルとモチベーションアップは何より求められることなのである。なぜなら介護事業者への就業動機は、「人に役立つ仕事をしたい」という動機が常にトップに来て、業務を続ける中での成長動機がそこに含まれるからであり、学びと成長のない職場、人の不幸に鈍感な職場からは、本来求められる人材から先に居なくなる傾向にあるからだ。

離職率が高い職場は、人材育成に費用をかけていないという特徴が見て取れることでも、そのことは証明されている。

かけたお金が無駄になるか、そうでないかは、それが死に金になるか、生きるのかによって左右されるものだ。それは金額の多寡で左右されるものではない。職員を確保して、人材となるスキルの高い職員を育て、そのことで職場全体のモチベーションが上がり定着率が高まるのであれば、そこにかけたお金は1円たりとも無駄ではない。さらにそのことが顧客確保につながるのであれば、そのお金はどんなに費用をかけても付加価値が上乗せされた「生き金」である。それは経費ではなく投資として、未来につながるお金だ。

そういう意味で今日の法人研修のような学びの場を、定期的に作っている法人の未来は明るいと言えるのではないだろうか。そしてその未来を、確実に照らすためには、実効性のある考え方や方法論を示さなければならないという意味で、講師の責任は重たい。

そのことを十分自覚しながら、講義に臨んでいるところである。そうした責任をもって伝えるので、内部研修講師のご要望がある方は、是非お気軽に相談いただきたい。

今回の旅は、連日の講演が午前中から始まる予定だったために、講演地に前日に入り、講演が終わったその足で、次の講演地に移動するというあわただしい旅となったが、一宮講演が終わった後は、現地でもう一泊して、明日ゆっくりと北海道に帰る予定である。今晩は講演事務局の方々とオフ会を楽しむ予定である。

今週末には再び九州入りして、鹿児島市と唐津市で講演を行う予定になっているので、よろしくお願いします。


※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・masaの最新著作本「介護の誇り」は、こちらから購入できます。

人材確保の入り口は公式Webでよいのか?


昨日の記事でも書いたが、今日僕は佐賀市の「グランはがくれ」というホテルで講演を行っている最中だ。

午前中は、佐賀県介護労働懇談会の講師として、「介護事業における人材の確保と育成について」というテーマで、10:50〜11:50まで1時間の講演を行っていた。午前の受講者は、今後、佐賀県における介護人材確保の協議等を行う、行政(労働局・県職員)・養成機関(大学教員)・関係団体(介護福祉士会・老施協・老健協等)の代表者の方々であった。

現在昼休みで昼食休憩中だが、午後から行われる、「平成29年度 介護分野における人材確保のための雇用管理改善推進事業・経験交流会」では基調講演を行う。テーマは『魅力ある職場づくりのために何をなすべきか』としており、14:30〜16:30までお話しする予定だ。

午後の受講者は、介護事業所の経営者・管理者の方が主となるそうである。職員が働き続けられる職場、働きたいと思える職場の環境等について、単なるイメージではなく、具体的なものを示す予定である。

人材確保のためには、募集に応募してくれる人を増やす前に、現在働いている職員の定着率を高めることが優先されることについては、「人員確保は入口より出口の手当てから」で書いたが、そのことは午前の講演でもお話ししたし、これから行う午後の講演でもお話しする予定である。

この出口の手当てを行うことができた先に、入り口部分の工夫がされることが望ましい。入口とは職員募集の方法にほかならず、それにも工夫が必要だという意味だ。

例えばハローワークに登録するのは当然として、そのほかに事業者としてどんな努力が必要だろうか。行っていることが実際には逆効果になってはないかという検証作業も欠かせない。

自法人の公式Webサイトに募集広告を載せて、その内容にも工夫を凝らしているというが、そのサイトに1日どれくらいのアクセス数があるのだろう。1日10人とか20人程度のアクセスしかないのなら、それは第3者がアクセスしているのではなく、自法人の関係者がアクセスしているに過ぎず、どんなに素晴らしい広告を載せていたとしても、それは誰も見ていない広告でしかない。そんな媒体のアナウンス効果は限りなくゼロに近い。

そもそも職員募集のWeb広告は、職を求めてネット―サーフィンする人が見て応募する効果よりも、何らかの理由でそのサイトを訪れた人が、たまたま職員募集の広告を見て、この法人に勤めてみたいと感じるような効果がないと意味がない。そうであれば日ごろからアクセスする動機づけがあることが必要で、サイト自体に魅力がないと広告効果はないのだ。そのためにはどうしたらよいのか・・・。(答えは僕の講演を聴いて確認してください。)

逆効果の努力というのも、そこかしこに存在している。

事業運営している建物に、何年も「職員募集中」という大きな垂れ幕を掲げている施設は、「ここは常に職員が不足しています。」・「人手が常に足りていないので、仕事は大変です」と宣伝しているようなものだ。そのような事業者で働きたいと思う人はほとんどいないだろう。

同じように公用車に、「職員募集中」と書いて走らせている事業者も同じだ。街中に人手不足で手が足りないことを宣伝して歩く効果しかないだろう。そんな車を走らせることで、募集に応募する人が増えると本気で思っているのだろうか?

求職者にとって、もっと魅力がある職場であるという広報が必要なのである。ここは創意工夫が何より求められる部分である。


※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・masaの最新著作本「介護の誇り」は、こちらから購入できます。

人員確保は入口より出口の手当てから


日本に存在するすべての介護事業者の人員が、すべて満たされることはありません。

日本の介護事業者が必要とされる介護従事者の数がすべて充足するほど、労働者の数は存在しません。よって人材確保・人員確保策は、国全体・地域全体で工夫して何とかなることもありません。それは幻想世界です。

例えば「団塊の世代」と呼ばれる一番大きな塊の世代の人たちが、全員65歳に達した2015年問題や、その人たちが75歳以上となる2025年問題がクローズアップされ、その人たちが介護サービスを必要になる期間の対策をどうしようかと考えられている最中ですが、高齢者介護の人員不足は、団塊の世代の人たちが介護を必要としなくなった後も続きます。いやもっと深刻になります。

なぜなら団塊の世代の人々の介護を支える労働力として、団塊の世代の人々が生んだ世代・・・第2次ベビーブームで生まれた人々の世代=団塊ジュニア世代という塊が、2030年くらいまで労働力として大きな力となってくれます。

団塊の世代の方々は、2040年ですべて90歳に達しますから、その時点で数は大きく減少するでしょう。そのため介護サービスの必要量も減ります。

その頃になると、日本中で介護施設が余り出して、介護サービス事業者も利用者確保が困難になって、倒産する事業者が増えるでしょう。しかしそんな中でも、介護事業者の数の減少以上に、介護事業者が必要とする従業者の数の減少が著しくなります。なぜなら2040年には、団塊ジュニア世代が全員70歳以上となってしまうからです。しかも彼らの世代でベビーブームは起きなかったため、日本では第3次ベビーブームというものが存在しておらず、団塊の世代を団塊ジュニア世代が支えたような、次の塊が存在しないのです。

その中で優れた人材を確保しながら、サービス提供に必要な人員をも確保していくためには、国の政策や地域行政のバックアップを期待することなく、それはあれば越したことがない程度のこととして考えて、介護事業者独自の対策において、他の事業者との人員確保競争の中で、勝ち残っていくという戦略が必要です。

そのためには底の抜けたバケツで水をすくうような、人材対策は効果を発揮しません。少ない人材が募集に応募してきた際に、安心して働くことができると思うことができ、実際に長い期間働き続けることができるためには、今働いている人の労働環境を良くして、定着率を高めるしかありません。

後先で言うなら、新規募集に応募してくる人材を増やす前に、現在の従業者の定着率を高めることの方が先に必要な対策なのです。そうしないとすくった水が、どんどん底割れのバケツから漏れていくように、いつまでたっても人材不足・人員不足は解決しません。そういう事業者は、いち早く介護保険事業から撤退しなければならなくなります。

介護職員になろうとする動機づけは何かを考えて下さい。その人たちがその動機付けを失う理由を考えて下さい。定着率に影響するのは、介護職自身の自尊心なのです。介護職員の自尊心を下げるような環境が離職を生むのです。自尊心がないところで職業に対する使命感やプライドなんて生まれるわけがないのです。

自分の仕事にプライドを持てないならば、そのような職業は続けられなくて当たり前です。そのような職場の職員定着率が高まることはあり得ません。

イメージアップ戦略は、実質を伴わないと幻滅要因にしかなりません。それは離職を促進するだけです。キラキラポエムは介護の実態を誤解させる一番の要因です。介護の職業はつらくて厳しくて、3Kとか4Kとか呼ばれる要素もあるけれど、人の人生に寄り添うということに意味があることを示してください。その中で専門職としてのあるべき姿を求める厳しい姿勢によって仕事の質は高まることを示してください。それが自らの職業のプライドにつながります。

そのうえで介護は底辺職業で、介護職は可哀そうな人というイメージ(※事業者によっては実態)を払しょくする必要があります。当然基本賃金アップは必須で、その実現は管理職の責務です。介護職員処遇改善加算軌奮阿劉兇筬靴砲箸匹泙辰討い觧業者は、負け組予備軍です。待遇改善を支える健全経営は当たり前です。きとんとした労務管理で、職員の福利厚生制度を充実させることも当たり前のことです。

それができない経営者に、介護事業を続ける資質はないと言い切って良いのです。それほど厳しい時代なんです。

底割れをふさぐ手立てを持たない介護事業者や経営者は、もう必要とされていないと考えるべきなのです。


※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・masaの最新著作本「介護の誇り」は、こちらから購入できます。

人材を確保できる魅力ある職場づくり経験交流会


先々週の土曜日の朝、網膜内出血を起こし左目が充血してしまった経緯については、「お見苦しい姿でお目にかかる失礼をお許しください」で紹介したが、結局7日(水)の日に、北千住で行った2講演及び夜のオフ会は、サングラスをかけたままで失礼させていただいた。

その際は眼は赤黒く染まっていたが、現在は黒さが取れて赤目の状態である。その色も徐々に薄らいではいるが、まだ完治には至っていない。明日も充血は完全には取れないだろうから、夕方に予定されている認定審査会も、サングラスのまま参加せねばならないのかと心配しているところだ。

そんなわけで現在はできるだけ人と会うのを避け、家にこもって執筆作業に専念している。しかしこの時間は、連載原稿を〆切に間に合うように書き上げるためには非常に貴重な時間といえる。特に来週後半からは、講演の旅に出なければならないため、その途中では良い原稿は書けないと思うので、その前に原稿を書いてしまう必要があり、そのためにも貴重な時間だ。

さらに来週からの講演スライドの作成準備にも専念できる。

来週は木曜日に北海道を経って、23日金曜日に佐賀市で2講演、24日土曜日は福岡市、25日日曜日は岡山市、26日月曜日は尾張一宮市でそれぞれ5時間の講演を行うことになっている。

このうち23日の佐賀市では、午前中に60分、午後から120分の2講演を行うが、テーマは「介護事業における人材対策」である。

午前中は、「介護労働懇談会」という今後、佐賀県における介護人材確保の協議等を行う、行政(労働局・県職員)・養成機関(大学教員)・関係団体(介護福祉士会・老施協・老健協等)の代表者(約20名程度)の会議の中で、「介護事業における人材の確保と育成について」というテーマでお話しする。現在国がとっている人材確保策との絡みで、事業者としてどう対応すべきかを具体的に示す予定だ。

午後からは、厚労省の佐賀労働局委託事業である、「魅力ある職場づくり経験交流会」で基調講演を行う予定になっている。
魅力ある職場づくり経験交流会
講演テーマは、「魅力ある職場づくりのために何をなすべきか」としている。

午前と午後は大テーマが同じであるために、内容の1部はかぶる部分があると思うが、単純に午前の積み上げの講演を午後に行うということにはしないつもりだ。特に午後は、介護事業所の事業主又は管理者の方々が主たる対象者となっているので、人材確保ができる職場環境とは何かについて具体的に示すとともに、そのために何ができるかという実効性のある処方を示したいと思う。

そのために現在、講演スライドを作成中で、明日までに仕上げて講演事務局に送る予定である。ちなみにこの交流会は、参加料が無料で先着100名様まで受け付けるそうであり、まだ席があると思うので、佐賀県の介護事業者に所属する関係者の皆さんは、今から申し込んで、当日会場にお越しいただければと思う。

僕はこの講演のために、前日の22日も木曜日に福岡空港経由で佐賀市に入る予定だ。(※佐賀市のグランはがくれ周辺で、一人呑みできる料理がおいしい良いお店の情報がある方は、是非コメント欄で紹介してください。)前泊となるが、23日の講演を終えた後は福岡に向かい土曜日の博多セミナーに備える。

土曜日は福岡商工会議所で行われる日総研セミナー、「感覚麻痺・不適切ケアの芽を摘む!〜介護保険施設・事業所で虐待を発生させない〜介護サービス質向上の具体策」である。それを終えた足で、こんどは岡山に向かい、翌日曜日は、福武ジョリ―ビルでの同じセミナーとなる。

全国7ケ所で行ってきた「介護の誇り」の出版記念を兼ねたこのセミナーも、この岡山セミナーで終了となる。全国でお会いした皆様に、あらためて感謝申し上げたい。

岡山セミナーを終えた後は、そのまま新幹線で名古屋に向かい、名古屋から尾張一宮市に入る。一宮市は初めて訪れる場所である。月曜日に社会福祉法人 愛知慈恵会さんの職員研修としてご亜鉛と午後に渡り5時間の講演を行う予定だが、その後もう1泊して、翌日に北海道にもどるという余裕のある日程になっているので、初めての一宮市をゆっくりと楽しんできたいと思う。

各講演ともよい内容となるように、今一生懸命準備を進めている最中だ。各地でお会いする皆さま、どうぞよろしくお願いします。会場で愛ましょう。


※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・masaの最新著作本「介護の誇り」は、こちらから購入できます。

ハローワークが特養求人を後押して人は集まるか?


26日に介護報酬単価が公になるが、先行情報では何やら恐ろしい結果が聞こえてくる。

通所リハビリを併設した在宅復帰型ではない老健はかなりヤバイらしい。通所介護も極めて厳しそうだ。一般型老健に通所リハと通所介護が併設されているとしたら・・・恐ろしい。どちらにしてもプラス改定と浮かれている経営者は腰を抜かす結果になるかもしれない。

さて話は変わるが、介護人材確保に関連して厚労省は、特養が新設される際に職員を確保できるように、ハローワークが自治体と連携して施設を支援するモデル事業を、東京都・さいたま市・千葉市・横浜市で今月内にも始めることを公表した。

現在、全国の開設10年以内の特養で空きベッドがあるうち、職員採用が困難でその空きベッドが生じている施設は13%である。この解消を狙ったものだ。

モデル事業の内容を見ると、まず自治体とハローワーク、介護労働安定センターの担当者による協議会を設置するという。自治体は特養の新設情報をハローワークに提供し、ハローワークは見学会や面接会開催など、職員の採用につながるアドバイスを施設ごとに提案する。求職者にもこうした情報を提供するという。

また各都道府県に支部・支所がある介護労働安定センターも、施設の人事制度や助成金の利用などの相談に乗り、職員の離職を防ぐ取り組みを施設に促すという。

果たしてこのことがどれほどの効果を生むのだろうか?僕はほとんど効果がないと予測している。

なぜなら特養の求人に応募がない理由は、情報不足ではないからだ。募集に応募のない社会福祉法人は、募集情報については、インターネットの公式サイトのみならず、SNSをも酷使してアナウンスに努めている。

しかも特養に限っては、介護保険以前の措置時代に、「公務員準拠(公務員と同じという意味)」の給与水準とされていたため、介護保険以後もその残滓を引き継いで、他の介護事業より職員給与は高い施設が多い。にもかかわらず募集に応募がないという現状にあるのだ。

その理由は、そもそも応募に応じることができる人がいないからだ。そしてその状況は団塊の世代がほとんどいなくなる2040年以降も続いていく。(参照:人口減少社会の中で

つまりハローワークが、地域全体にくまなく情報発信して、施設に採用につながるアドバイスをしたところで、その地域全体で介護人材を確保できるということはあり得ないのだ。そもそもハローワークに、介護人材を確保するノウハウなり、発信力なりがあるのだろうか。ありはしないだろう。

すべての事業所があまねく人員配置に事欠かない状態になるという幻想を抱いてはならないのである。

はっきり言うと、国全体・地域全体をターゲットにした人材確保策など、現時点で期待するほうがどうかしている。勿論20年先、30年先を見据えた国家的プロジェクトとしての人材確保策は必要とされるが、今現在人手が足りないために生じている空きベッドを稼働させる対策は、国全体とか地域ひっくるめてという施策とは一線を画したレベルで、自法人の個別的戦略として、他法人との差別化を図っていかないと人材も人員も集まらない。

必要な人材と人員を確保するための個別の戦略と工夫が、今こそ求められているのだということを肝に銘じておかねばならない。

その工夫の一助になるお話もしているので、そうしたテーマの講演依頼や相談も気軽にしていただきたい。masaの講演予定も参考にしていただければ幸いである。
2/24(土)は福岡で、2/25(日)は岡山で、介護の誇り出版記念セミナー介護施設・事業所で虐待を発生させない〜介護サービス質向上の具体策を行います。お近くの方は是非この機会にこちらをクリックしてお申し込みください。


※もう一つのブログ「masaの血と骨と肉」、毎朝就業前に更新しています。お暇なときに覗きに来て下さい。※グルメブログランキングの文字を「プチ」っと押していただければありがたいです。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・masaの最新著作本「介護の誇り」は、こちらから購入できます。
新刊出版のご案内
きみの介護に根拠はあるか
新刊「きみの介護に根拠はあるか〜本物の科学的介護とは(2021年10月10日発売)のamazonからの取り寄せはこちらをクリックしてください。
masaの講演案内
当ブログ管理人masaの講演予定は、こちらからご覧下さい。講演依頼もこのページからできます。
Weekuly Access

    記事検索
    Blog Search
    Google
    WWW を検索
    このブログ内を検索
    ↑こちらにキーワードを入れて過去のブログ内記事を検索できます。
    masa's book 6
    表紙画像(小)
    新刊「看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から(2019年1月20日発売)のネットからの購入はこちらをクリックしてください。送料無料です。
    masa's book 5
    新刊介護の誇り
    「介護の誇り」はこちらから購入できます。
    masa's book 4
    介護の詩(うた)  「介護の詩(うた)」はこちらから購入できます。
    masa's book 3
    人を語らずして介護を語るなTHE FINAL 誰かの赤い花になるために  感動の完結編。 「人を語らずして介護を語るな THE FINAL 誰かの赤い花になるために」。 はこちらから購入できます。
    masa's book 1
    表紙カバー、帯付き
    書籍化第1弾「人を語らずして介護を語るな〜書籍masaの介護福祉情報裏板」 はこちらから購入できます。
    Facebook
    masaのフェイスブックはこちらからアクセスしてください。
    Recent Comments
    Archives
    Categories
    Access Counter
    • 今日:
    • 昨日:
    • 累計:

    QRコード
    QRコード