masaの介護福祉情報裏板

介護や福祉への思いを中心に日頃の思いを綴ってみました。表の掲示板とは一味違った切り口で、福祉や介護の現状や問題について熱く語っています!!表板は業界屈指の情報掲示板です。

介護人材確保

心配が募る20年後の介護事業だからこそ・・・。


総務省が今月9日に発表した、「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(令和4年1月1日現在)」によると、昨年の日本人の出生数が前年より3万1285人少ない81万2036人だった。

この数字は1979年の調査開始以来の過去最少を更新するものである。そして過去最少更新はこれで6年連続となっている。

昨年生まれた子供の数が過去最低人数となったということは、その子供たちが成人に達する2041年は、過去最少の新成人数となることが確定したわけである。それも6年連続の最少更新となるわけだ。

だが今年、出生数が目に見えて増加しているわけではないので、今年以降も出生数が減ると2042年以降もさらに新成人数が減っていく可能性がある。当然、生産年齢人口や労働力人口も減っていくだろう。(※下記図参照)
日本の労働人口の推移
少子化に歯止めがかからないのだから、それはそのまま我が国の労働力不足に直結する問題であり、特に機械に代替できない労働部分が多い対人援助事業・介護事業にとっては深刻な影響を及ぼす可能性が高い問題となる。

しかも我が国では後期高齢者の数は2042年にピークを迎え、同時に要介護者の数もそれまで増え続けると想定されているのである。

後期高齢者や要介護者がピークに達する年に、労働力人口は今よりずっと減っているわけだ。

2042年以降は、後期高齢者や要介護者の数は減っていくと予測されているが、その減り方以上に生産年齢人口と労働力人口が減っていくことになり、介護業界は全体として今より深刻な人材不足・人員不足に直面することになる。

20年後に介護事業経営に携わっている人は、顧客確保に困らないとしても、顧客にサービスを提供できる従業員を確実に確保することができるだろうか・・・。今からその備えをしておかねばならない。

当然、国内労働者だけで十分な従業員を確保することは不可能だから、外国の方々が張り付く職場づくりも求めらえるだろうし、介護の仕事を志す人だけではなく、他の産業からも転職しやすい職場を目指していかねばならず、同時に一度就業した人が定着する職場づくりを何よりも目指していかねばならない。

この問題を国の施策で解決できるなんて甘い見込みを持たずに、地域の中で従業員の確保競争に勝っていくための環境を整えたり、アイテムを手に入れる必要がある。

勿論、給与等の待遇が良いということも必要だし、キャリアパスも充実させねばならないだろう。現に介護職員の離職率は、21.6%だった2007年度をピークとして低下傾向が続いているが、これは2008年度から介護職員の処遇改善が国レベルで議論の俎上に上り、2009年の介護報酬のプラス改定につながったことと、2009年10月〜介護職員処遇改善交付金(処遇改善加算の前身)の支給が始まったことと合致している。

具体的な処遇改善の動きが介護職員の定着に繋がっているのである。よって今後は、3階建てとなる処遇改善加算の最上位加算をすべて算定するのが常識となるし、「他の職員との均衡がとれない」などと呑気なことを宣って、この加算の算定を軽視する事業者には人が集まらず、廃業へ向かわねばならないことは明らかである。

しかしそんなことは誰もがわかっているし、くまなく加算を拾っていくなどということはどこでもやろうとしていることだ。皆が横に慣れの対策を立てているときに、それと同じことをしていても、人は集まらないと考えるべきである。

だからと言って公費経営・公的ルールで運営する介護事業者であるからこそ、青天井で給与を引き上げることはできないことも事実だ。

そうであれば、待遇にプラスしてモチベーションを高めるものは何かということに意識を向かわせなければならない。

介護という職業に志を高く持ち続ける人が、その仕事を続けていくことができ、そうした人がより多く集まる場所に、顧客も集まるのだというごく当たり前のことに気が付いて、そこの部分の充実を図ることが、今後20年後以降も介護事業経営を継続できる最大の武器になることだろう。

そのことを理解する経営者だけが生き残っていけるのである。
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副業が一般化した場合に介護業界はどう変わるのか


先週7/19の更新記事、「副業禁止規定を撤廃しない介護事業者は廃業予備軍」で指摘したように、今後の介護事業者の就業規則は、「副業」を認めるように変えていかねばならない。

しかし本業に支障が出るような副業であっては困るわけだから、当然一定の条件を付けて副業を認めていくように規定づくりをしていく必要がある。

副業は勤務時間外とすべきであるし、副業できる時間も週単位などで制限するルールはあってよいだろう。

これらは従業員が副業を行った場合の、労働法規と照らしたうえで、従業員にとって最大のメリットが生ずるように考えたいものだ。そもそも副業を認めるというルールは、従業員にとって働き甲斐のある職場づくりの一環であることを忘れてはならないのである。

労働法規上一番問題となることは、副業を行った際の法定労働時間時間外の割増賃金の支払い義務である。その負担は後から労働契約を締結した会社が原則であるということだ。例えば本業で8時間働いたあと、副業先で3時間働いたとすれば、副業先の3時間分は割増賃金が発生し、副業先が支払うことになる。

ということはそれだけ副業先が支出する時給が高くなるわけで、これを嫌って副業で働きたいという人がいても、雇用先がなかなか見つからないのではないかという問題がある。

これを解決する手段が業務委託契約である。

つまり副業を個人事業として行う場合には労働契約がなく、労働法の適用がないのが原則なので、割増賃金が発生しないのである。例えば形式的には個人事業主として業務委託契約を結んで副業すれば、割増賃金の問題はなくなるのだ。

本業については労働契約、副業についてはフリーランスの個人事業主という立場で、業務委託契約を行って金銭対価を得る方法であれば、確定申告さえしておけば問題なくなるのである。

例えば人材枯渇で絶滅危惧職業となっている訪問介護について、業務委託契約は大いに活用できるのではないだろうか。(参照:絶滅危惧職種の懸念で基盤が揺らぐ地域包括ケアシステム

介護施設等で働いているヘルパーの資格者が、自分が個人事業主になって訪問介護事業所と業務委託契約を結び、自分が休みの日に短時間副業としてヘルパー業務を行って収入を得ることが、訪問介護事業者にとっては貴重なヘルパー人材の一翼を担うことにつながるのではないだろうか・・・。
副業を認めよう
そんなふうに介護事業者に勤める人が、副業も介護事業者で行うことになることで、この国の介護人材不足のほんのわずかな改善可能性につながるのではないだろうか。

昨日(7/25)公表された東京商工リサーチの調査結果で、今年上半期の介護事業者の倒産が53件にのぼり、その中でも「訪問介護」の倒産が22件で最多となっているが、これはヘルパー不足で、顧客がいるのにサービス提供ができないことから、事業継続が不可能になった事業所を含んでいると思われる数字だ。

そう考えると、必要な介護サービス量を確保するという面からも副業禁止規定の撤廃を促進すべきであろうと思う。

また別な可能性もある。

僕が経験したケースでは、機能訓練士指導員として理学療法士を募集してもなかなか求人に応募がなく、応募があっても条件が合わずに採用に結びつかなかった特養があった。

そこでセラピストに対して、休日に地域交流スペースを無償で使用して、「介護予防リハビリ教室」を運営して、参加料を収入として受け取る副業を認めることで、機能訓練指導員として雇用することに結びついたところがある。

この場合は本業が雇用契約、副業はフリーランスの個人事業ということになるので、特養側に副業部分の労務管理責任は生じない。

このように副業を認めることによって、必要で有能な人材を確保することにつながるのであれば、事業主と副業を行う従業員は、ウインウインの関係になる。こうした積極的側面がもっと考えられてよいだろう。

少なくとも、外部講師として研修会に派遣した職員の講師料を、派遣された本人に手渡さず事業者に上納させるようなせこい経営スタイルは、一日も早くなくした方が良いのである。
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なんちゃて教育をやめよう。


一昨日から昨晩未明まで北海道は大雨に見舞われた。幸い登別は被害はなかったが、道内では死者も出て浸水被害も報じられている。

今朝は雨が上がったが、どんよりと曇り空でまだ肌寒い。そんな中、僕は朝7時台に自宅を経って、今新千歳空港から大阪へ向かう飛行機に乗っている。

大阪の天気予報を見ると、僕が滞在する今日と明日の気温は30度を超え、最高気温は36度なんて言う予報となっている。北海道より15度以上高い気温だ・・・できるだけエアコンの効いた室内にいるようにしよう。

今回の大阪行きは、2つの講演を行うための旅である。そのうち今日は豊中の社会福祉法人さんの研修講師を務めるために、関空に到着したその足でそのまま直行予定である。

せっかく豊中の法人に行くのだから、伊丹空港に降りればすぐ近くだったのに、関空を利用せざるを得なかったのには理由がある。航空機の減便がまだ続いているため、伊丹便でちょうど良い時間の便がなかったのである。仕方ない・・・。

今日お邪魔する法人さんでは、過去にも4度ほど職員研修講師を務めており、小規模特養の職員さんを中心に、そのスキルアップのお手伝いをさせていただいている。今回の研修テーマは、「介護職の使命と使命を果たす人材育成〜介護施設の存在意義」と設定した。

講演テーマは、「こんな内容の話をしてほしい」という要望に応えて僕が設定したものである。

今回は事前に、「そもそも利用者にとって介護施設とはどのような場所であるべきなのか?どんな役割と意味を持つのかを話してほしい」・「介護職員が誇りを持って働ける環境を創る教育。またそのために介護保険施設とはどういうものかを学びたい」という要望があったので、高齢期を生きる人の、その人生の一時期を支える介護施設の役割について解説しながら、そこで求められる人材とはどういうスキルを持った人材で、そうした人材をどう育てたらよいのかという話をしようと思う。

介護保険制度は在宅優先という理念があるため、施設サービスは、「必要悪」のように見られがちである。居宅ケアマネさんの中には、自分の担当者が施設入所することを、ケアマネジメントの敗北のように感じて毛嫌いしている人も存在する。しかしその考え方は間違っており、施設サービスと居宅サービスが地域福祉の両輪であることを法的根拠とともにお話ししたい。

そもそも地域包括ケアシステムは、住み慣れた地域の中で、心身の状態に応じた住み替えを奨励するシステムだ。特養はその住み替え先の一つとして、医療保険では在宅復帰カウントに入れることができる施設になっているのだ。

その役割を理解して、使命と責任を担う人材育成について語る予定である。

それにしても最近とみに、「人材育成」・「介護人材マネジメント」をテーマにした講演依頼が多くなっている。それだけ人材育成が重要視されているのと同時に、その困難性も感じているという意味なんだろう。

介護の生産性向上が叫ばれる今日ではあるが、介護サービスそのものに生産性の向上を求めすぎれば、より少ない介護職員の関りで業務を機械的にこなして終わってしまうという結果になりかねない。しかし人材育成については、生産性を向上させないと、利用者に必要で、かつ適切な支援ができなくなる恐れがある。

機械が人に替わることができない業務が大半を占める介護事業において、人材確保は事業経営の命綱である。  

同時に人材は確保するだけでは意味がなく、きちんと事業者の戦力としていかねばならない。そのため効率よく職員のスキルアップを図る方法を常に模索しなければならない。

なぜなら限られた財源の中で、給付費が大きく増額されることは期待できず、顧客単価は据え置かれるだけではなく下げられる恐れもあるからだ。そのため事業継続をするためにはより多くの顧客を確保する必要がある。

しかし顧客確保のためには、他事業者とは差別化できるサービスを提供しなければならない。そのためには質の高いサービスを提供できる職員を育成し、そうした人材が定着することが重要になる。

そういう意味で人材育成は、人材確保と顧客確保という重要な2大目標の達成のためにも必要不可欠な過程であると言える。ここが介護事業の屋台骨であり、大黒柱になるともいえるわけだ。

ところがその過程を重視していると言いながら、教育方法が形骸化し、まったく意味のない無駄なものが新人職員教育として行われていたりする。

アリバイ作りにしか過ぎない教育方法は、人材育成カリキュラムにはなり得ないし、時間の無駄となるだけだ。それは経営者や管理職の自己満足にしかならず、職員の育成や定着には結びつかない。時間を浪費するだけ事業損失になっているといっても良いものだ。
無駄な研修
僕が一番無意味だと感じるのは、関連施設の見学である。

経営規模が比較的大きな法人等になると、介護保険事業だけで数種類の事業を行っており、施設や事業所を複数持つことになる。

医療法人や社会福祉法人だけではなく、民間営利企業が経営母体のところでも、多事業を展開していることは少なくない。

そうした法人等に就職した新人職員は、仕事を覚える前にそれらの施設・事業所を見学に連れていかれる。その目的が良くわからない・・・。自分が就職した場所で、自分が何をすべきかよくわからない時期に、関連施設等を見学して何か得るものがあるというのだろうか。

自分の職場の環境さえ十分に把握できていない時期に、ほかの職場を見学して、その役割の説明を受けたって何の意味もない。

僕は55歳になったときに、それまで勤めていた社会福祉法人の総合施設長を辞し、独立起業するために1年間だけ医療法人が経営する老健に勤務したことがある。

その際に、老健勤務して1週間ほど経ってから、新人職員研修として母体医療機関をはじめとして、法人内の他サービス事業所を連れまわされて、職場説明を受けた経験がある。

それは全く身にならないどころか、記憶にもならない意味のない体験でしかなかった。

こうした法人内見学・他事業所の紹介は、新人教育をしているつもりになるだけの、「なんちゃって教育」でしかない。人材育成や定着につながる効果は全くないと言ってよい。

そうした時間の無駄でしかない見学研修は、一日も早くやめるという決断をした方が良い。

他事業所を見学して、それが知識になるには、ある程度自分が与えられた役割を果たすことができるようになってからのことなので、新人教育の時期に行う必要はないのである。実務がこなせるようになり、法人内の他事業所の役割等の質問ができるようになってから、改めて見学研修を行った方が良いのである。

マンネリ化して役に立たないプログラムを見直して、本当の人材育成につながる教育プログラムを確立していかないと、人材を確保できずに事業継続ができなくなるという危機感を持ってほしいものである。
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外国人介護人材を育成・定着させるために必要なこと


外国から介護人材を増やす必要がある背景から続く)
介護事業者が外国人の方を雇い入れ、安定的に事業者の戦力としていくためには、単に雇用して給与を支払うというだけではなく、外国人の方々が日本という慣れない国で、安心して働くことができるように対策する必要がある。

例えば、住居の確保をはじめとした、「暮らしの支援」が不可欠になる。就業からしばらくの期間は、外国人労働者のプライベートの時間にも対応して、その地域の暮らしになれる働きかけも必要であると考えた方が良い。

日常会話以上の語学力を身に着け、記録をつけることができるようにするための、「語学指導」もシステム化しておきたい。

日本語に精通しないうちは会話ができても、「忖度(そんたく)」したり、「空気を読む」ことはできないので、その点を十分理解して、過度な要求をしないことも大事だ。

信仰等にも配慮して外国人の方々の文化や生活習慣を尊重する必要もある。

例えば、「お祈り」を毎日定時に行わなければならないという人がいる。この場合は、就業中でも仕事を抜けてお祈りを行う時間を取ることができたり、お祈りする場所を確保したりすることも必要になる。

この部分は、日本の職場だからという理由で、その枠組みとルールに組み込んで禁じたりすることはできないだろう。
外国人が定着できる職場づくり
だからと言って、外国人の文化や価値観をすべて治外法権化させるべきではない。職場のルールに従ってもらわねばならない部分も当然出てくるだろう。

例えば外国人の中には、「時間を護る」という慣習がない人もいて、「仕事に遅刻すること」が良くないと思えない人が存在する。時間厳守が求められない環境で育ってきた人は、遅刻しても悪びれないのだ。

それは彼らの文化であると許して良い問題ではない。きちんと時間を護って、決められた時間に合わせて仕事をスタートさせることを、ルールとして浸透させる必要がある。

挨拶に関する感覚も様々で、親しい相手に頻繁に挨拶するのは他人行儀で水くさいと考える文化を持っている方もいるし、見知らぬ人にあいさつすることは失礼だとして、外来者等にあいさつしない人もいる。

しかし日本の職場での礼儀や挨拶は、ビジネスマナーとして仕事の一部なので、無作法は許されないことを教える必要がある。そして挨拶のコツは相手がするのを待つのではなく、自分からすることなどを教えて、職員間だけではなく、利用者や外来者に対して、きちんと挨拶できる習慣を身につけさせなければならない。

こうした指導は、相手の文化を否定することとは言えないだろう。必要な教育である。

それらは入職時にきちんと説明会を開いたうえで、労働契約上の「労働義務」・「職務専念義務」・「安全配慮義務」等とともに、きちんと説明して職場のルールとして護ってもらわねばならない。

そうした場では、本当に意味が伝わっているのかを繰り返し確認しながら、わからない点はとことんまで説明しておく必要がある。この際に、「そのうち覚えるだろう」という甘い考え方は禁物である。

だからこの部分の説明には、それなりの時間がかかると考えた方が良い。

そしてこうしたルール等を外国人の方々に伝えるためには、紙を渡して、「就業前にすべて読んでおいて」では済まないことを理解すべきだ。

しっかり説明しないと外国人の方は、職場の基本ルールさえ理解しないまま就業して、そのことに関連した問題が生ずるケースも多いことを考えると、事業者側の説明責任は、より重要になってくる。

この時、説明を受ける外国人の方々は、日常会話に不自由はなくとも、法令や職場のルールに関する用語の理解に欠ける人は少なくない。それらの方に対しては、日本語に精通した先輩外国人労働者の方に通訳を依頼するなどして伝える必要があるだろう。

同時に日本語に十分精通していない外国人は、業務上の会話に不自由はなくとも、心の機微を伝えるほどには日本語に習熟していないことを理解せねばならない。わからないことは伝えられても、どこがどういうふうにわからないのかということや、わかっているつもりでも不安があるということは伝えられないことが多い。

わかる・わからないの中間の気持ちを伝えられないのである。そこは十分配慮しないと、外国人の方の不安に気が付かず、それを放置してバーンアウトに結びついたり、わかってるつもりで間違った方法で業務をこなして、事故につながる危険性がある。

そうしないためには、指導する職員が十分そのことを理解し、外国人の方々の表情も注意深く観察しながら、積極的に声を掛けていくことが必要になる。

そのうえで実際に仕事をしながら、様々なことを覚えていくわけであるが、その際に指導者が外国人の方を、「叱る」必要があるかもしれない。

この際に注意したいことは、「人前では叱らない」ということだ。利用者様の目の前で注意をすると、侮辱を受けたと考える外国人の方は、日本人よりかなり多いというのがその印象だ。(※日本人も人前で叱ることは良くないことだと思う。

当然、介護の基本となる知識や技術は、外国の方にもわかりやすく伝えなければならない。外国介護人材の方々は、将来的には母国で日本で学んだ介護技術を生かして働きたいと思っているので、そのニーズに応えることができない職場は、魅力的な職場とは言えないのである。

以上、外国人介護人材を集め・育て・定着させるために必要なことを、思いつくままに書いてみた。何か意見があったら、是非コメントしていただきたい。
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外国から介護人材を増やす必要がある背景


2020 年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため世界中で出入国制限が敷かれ、人の移動が大幅に制限された。

そのため日本の外国人労働者数は、20 年には前年比での増加幅が大きく縮小したが、医療・福祉分野ではこれが拡大したそうである。

当然、介護事業者で働く外国人労働者も増えている。

昨年の状況はまだ確認できていないが、長期化するコロナ禍の影響で外国人介護人材の増加幅の縮小が見られたとしても、それはあくまで一時的問題で、今後しばらくは外国から日本の介護事業者に就職しようとして来日する人の数は増え続けるだろう。

介護福祉士養成校に入学する外国人数にも同様の傾向が現れている。

日本介護福祉士養成施設協会調査によると、2020年4月に介護福祉士養成施設へ入学した外国人留学生(介護留学生)は2,395人と過去最高人数となり、入学者全体の34%を占めている。コロナ禍の影響で、2021年はその数が2.189人と減ったが、減少は最小限にとどまっているとも言え、今後はコロナ禍の終息と共に、さらに外国人入学者が増えることが期待される。

仮にその予測が外れ、外国から日本の介護事業に就職する人材が増え続けないとしたら、日本の介護は崩壊するかもしれない。

なぜなら我が国では2042年まで後期高齢者数が増加し続けると予測されているからだ。

当然そうなっると介護を必要とする人も今以上に増えることになるため、それらの人々の暮らしを支えるために介護人材を、2040年度までに2019年度時点と比べて約69万人を追加で確保しなければならないと国は試算している。

しかしその確保は非常に厳しい状況にある。生産年齢人口の減少が止まらず、予想を超えて減っているからだ。

しかも2039年には団塊の世代がすべて90歳に達し、団塊の世代を支えてきた次の塊である団塊ジュニア世代がすべて65歳以上に達することになる。しかし第3次ベビーブームがなかった我が国では、団塊ジュニア世代に続く塊の世代がない。

そのため2042年以降、後期高齢者や要介護者の数は減っていく過程で、必要とされる介護サービス資源の量は、今より少なくて済むことになるが、それ以上に生産年齢人口が減ってしまうために、今よりさらに財源と人材が不足するのである。

そのため国は、医療・介護データを活用した重症化予防や科学的介護の重要性を訴え、ICTをはじめとしたテクノロジーを活用した介護業務の効率化を実現しようとしている。介護事業において生産性向上が求められるのも、人が少ない状態で必要なサービス量を確保するために必要だからだ。

しかし身体介護の大部分は人間によって行われる必要があり、人に替わって介護ができるロボットが存在しない以上、何らかの手段で介護人材を増やしていく必要がある。これはもう日本人だけでは無理なので、外国人労働者の数を今以上に増やし、介護の場の戦力となってもらうしかないのだ。
外国からの介護人材受け入れ
そうしないと介護を受けることができない、「介護難民」が大量に発生する恐れがあるのだ。

だから2017年9月〜入管法を改正して、在留資格に「介護」を加えることによって、外国人が介護福祉士として在留資格を得られるようにしたうえで、在留期間の5年が回数制限なく更新できるようにして、実質外国人介護福祉士は日本に永住できるようにしたわけである。

その影響で日本の介護事業者で働く外国人労働者数と、日本の介護福祉士養成校に入学する外国人留学生の数が増えているわけだ。

それらの方々が、できるだけ長く日本の介護事業者で働いてくれるかどうかが、今現在から今後の大きな課題となっているといえよう。

では外国人介護人材を受け入れる日本の介護事業者は、どんな点に注意し、どのように外国人の介護人材を育成・定着させていけばよいのだろうか。

今日の記事は長くなったので、そのことは明日の更新記事で書き綴ることにしようと思う。(※外国人介護人材を育成・定着させるために必要なことに続く)
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「じんざい」は4種類あって、その見極めが重要


僕が社会福祉法人の総合施設長を務めていた間は、トップとして人事権も全て掌握していたので、それだけに責任が重大だった。

仮に必要な人材を確保できない状態になるとすれば、それはすべて僕の責任とされると考えていたので、人材の確保と育成に力を注ぎ、定着率を高めて人材が不足しないようにするのが僕の一番重要な仕事であると考えていた。

その際に、どのような勤務態度を評価すべきかを悩んだ時期もある。職員には様々な個性があって、一芸に秀でて、一定場面では目立って才能を発揮する職員も多数いた。

しかし一番大事なことは、日常の暮らしをいかに護るための支援ができるかだと思った。介護の本質とはそれだと思うからである。

イベント企画に秀でて、他者が想像もつかないことを企画し、抜群の実行力でその場を盛り上げる職員であっても、日常の支援記録の提出が遅れたり、ルーティンワークに漏れがあっては意味がないのである。

何よりも遅刻しないで出勤し、始業時刻と同時にコツコツと目立たない作業(利用者への気配り・整理整頓等を含む)や他の職員を助ける行為などをやり遂げている人材を評価しなければならない。そうした凡事徹底を行える人材が法人の宝となるのである。

一方で、せっかく採用したのに全く成長が見られないばかりか、法人内で他の職員に害をなる人物も時折混じってくる。

経営者や採用担当者は全能の神ではないので、採用時に応募者の適性や能力を見極められない事態も生じてしまうことはやむを得ないことだ。

だからこそ試用期間中に適性を見極めて、対人援助に向かない人には引導を渡すことも必要になる。試用期間は労働基準法等の定めがないために、小さな組織では試用期間を定めていないところもあるが、それ自体が経営リスクだと自覚してほしい。

職場に対する不満や、他の職員の悪口ばかり言い続けるような人は、職場の雰囲気を悪くするだけではなく、他の職員の労働意欲をそぐとともに、悪い派閥を創って、ハラスメントの温床になりかねない。そうした職員を法律の範囲内で排除することも経営者や管理職に求められる役割だ。

良く言われることだが、「じんざい」は次の4種類に分けることができる。

・人材→才能のある人。役に立つ人物。
・人財→人材を育ててくれる、法人の財産と言える人物
・人在→数合わせのいるだけの人物・・・ただし鍛え方によっては、人材となり得る人物が混じっている
・人罪→いては困る人。いる必要がない人。いるだけで周囲の人に悪影響を与える人物。

介護人材育成を、・人材をいかに、・人財に引き上げるかという観点で考えては無理がある。そのように育つ・人材は50人に一人でもいればいほどだ。

求められていることは、・人材が志を失わずに、・人在に落ちていかないことがまず重要なのである。

それと同時に人在でしかない人を、いかにして人材へと引き上げていくことができるのかが、教育システムとして考えられていくことになる。

しかし人罪も、教育システムの中でどうにかなると考えるのは大きな間違いである。教育の手の届かない人もいるという現実を把握し、こうした人罪を見抜いて、一日も早く排除するという考え方も求められるのだ。
腐ったミカンは早めに捨てよう
特に介護業界は、慢性的な人材不足によって、気に食わない職場を退職したり・適性がないとして退職させられたりした人が、簡単に他の介護事業者に就職できてしまう悪い土壌がある。

そういうふうにして渡り歩くような人罪を安易に採用してしまうと、あっという間に整った組織風土が乱れる恐れがある。

組織風土が悪化するのはあっという間である。それを元に戻すためには、何倍もの労力と期間を要することになるので、人罪を見抜き、排除するということも、育成システムとして考えていかねばならないことを理解すべきである。
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最低賃金引き上げが介護人材不足を助長する恐れはないか


5/31に示された、「経済財政運営と改革の基本方針骨太の方針)」の原案は、財政を立て直すことが最優先であった政策を転換させ、「経済あっての財政」という方針を打ち出したうえで、プライマリーバランスゼロ政策に縛られない予算出動に含みをもたせた内容となっている。

この部分では財務省は内閣に惨敗したわけである。それがかなりのストレスであることは、20日未明に都内の電車内で財務省の前総括審議官が乗客を殴るなどの大立ち回りの末、逮捕されたことにも現れているという人も居るほどだ・・・。

しかしその反動は、2024年度の介護・診療報酬ダブル改定で、事業者により厳しい単価引き下げと、国民負担増という形でリベンジを図ってくる恐れがある。

政府の最重要課題も経済復興なのだから、経済対策としての処遇改善加算の見直し以外の費用は抑えようとする動きがあっておかしくない。よってこの戦いはかなり厳しくなることを覚悟しなければならない。

ところで骨太の方針2022では、最低賃金の全国平均を1.000円以上とする目標が示されていたが、昨日政府は、この目標を2025年度に実現することを目指すと表明した。

現在の最低賃金・全国平均額は930円であり、わずか70円のアップであるが、人材不足と人件費の高騰で悩みが多くなっている介護事業者にとってそれは大問題である。介護施設の場合だと業者委託が多い調理や掃除の委託費用の増大にもつながってくる。

この引き上げ分は、2024年度の報酬改定時に盛り込んでもらうか、2025年度の臨時改定で盛り込んでもらうかの措置が必要だと思うが、パート職の比率が高い事業者では、最低賃金引き上げ分が全額カバーされない恐れがある。その分収益を挙げなければならない。

2021年度の訪問介護は、身体介護・生活援助・通院等乗降介助の単位数が、すべて1単位増という悲惨な結果に終わったが、次の報酬改定が同じレベルで終われば、訪問介護事業は崩壊する恐れがある。
加重労働
それにも増して深刻なのは、パート労働者の勤務時間に関連する問題である。

パート労働者は、主婦の傍ら短時間労働をしている人が多く、税金がかからない範囲で働きたいと希望している人が多い。また健康保険等については夫の扶養に入っている人が多いために、税金を支払っても良いが、扶養からは外れたくないという人もいる。

それらの方は、それぞれ年収の壁というものを意識して、年間労働時間を調整している。

年収の壁という文字に張り付いたリンク先を見ていただけると、その壁が良く理解できると思うが、このうち特に106万と130万が高い壁となっているパート労働者が多い。

その壁を超えないように年末の12月に勤務調整するので、この月にパート労働者の勤務時間が極端に少なくなったりする。そのため年末の介護事業者は、通常勤務している職員に過重負担がかかってしまう傾向がある。

実は介護事業者における職員の勤務時間減という問題は、昨年度の制度改正・報酬改定時にも生じている問題だ。

例えば、「常勤」の計算に当たり、職員が育児・介護休業法による育児の短時間勤務制度を利用する場合に加えて、介護の短時間勤務制度等を利用する場合にも、週 30 時間以上の勤務で「常勤」として扱うことを認める改正が行われている。

このように介護の場において配置すべき職員基準がどんどん緩和されているのだ。経営者にとってそれは歓迎されるべき改正かもしれないが、人が減って同じ仕事をこなさねばならない職員にとっては、それは過重負担が身に降りかかる結果となり、バーンアウトのリスクを高める問題である。

この傾向が最低賃金引き上げによってさらに助長されるわけである。

あなたの職場は、その負担に耐えきれるだろうか?それとも現在よりさらに休みが増える分、パート職員等を増員できるだろうか?

今日の更新記事は以上であるが、ここでお知らせをしておきたい。

メディカルサポネット」の僕の連載コーナー、「菊地雅洋の激アツ!介護経営塾 〜選ばれる介護事業所であり続けよ〜」に、先ほど9回目の更新記事がアップされた。今回は、【「生きる」を支える看取り介護に必要なたった1つのこと】としている。

看取り介護については、日常介護の延長線上に必ずあるものとして、今後はすべての介護関係者に、その知識と支援スキルが求められてくるので、是非一読願いたい。

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介護移動学校への協賛に感謝します


このブログの読者の皆さまに、お知らせと御礼を申し上げます。

2/3に書いた、「出張移動実務者研修実現に協賛ください」で協賛金を呼び掛けていたクラウドファンディングは、107人の支援により2,388,500円の資金を集めることができ、目標金額の200万を超えましたので4/24に募集を終了しました。

皆様のご協力に心より感謝いたします。

この学校の講師陣は全員志を高く抱いている人たちです。介護という仕事にも情熱をもって真摯に取り組んでいる人たちですので、きっと素晴らしい介護福祉士を育ててくれると信じていますし、皆様から集めた貴重なお金を、決して無駄にすることなく介護業界に恩を変える形で大切に使ってくれると思います。

僕は彼らを今後とも応援し続けますので、皆様もぜひ温かく見守って、今後ともご指導とご鞭撻をお願い申し上げます。

彼らに負けないように、僕も北海道で20代の若手介護人材を育てる活動を続けていきたいと思います。(参照:五本の赤い花

ところでこのクラウドファンディングでは、【15,000円の協力提供コースとして、『感謝状+缶バッチ+菊地雅洋の著書「きみの介護に根拠はあるか〜本物の科学的介護とは」をお届けします。』というコースがありました。 

ここにもたくさんの方々が申し込んでくださいましたので、その方々に僕のサイン入りの本を贈るために、著書にサインを入れて事務局に送りました。
masaのサイン本
お申込みいただいた方々のお手元に、もうすぐこの本が届くと思いますので、今しばらくお待ちください。

介護移動学校の活動については、今後機会を見つけながらこのブログで随時、皆様に紹介したいと思っております。ここから巣立った介護職の方々の、その後の活躍を報告できるようなエピソードが、全国各地に生まれることを期待しています。

それにしてもネットを通じてこんなふうに仲間がつながりあって、決してお金持ちではない人が幾人も集まって、少しずつのお金を出し合いながら、志を持つ人たちに金銭的な援助ができる社会って、やっぱり便利で素晴らしい社会ですね。

そういう意味ではネット社会が作り出した利点は数々あると言えます。

僕が仕事で本格的にPCを使うようになったのは1.999年頃です。

それまでインターネットも利用したことがありませんでした。もし僕の現役社会人中にネット社会となっていなかったら、僕は北海道の田舎の社福職員として、誰にも知られず一生を終えたのではないでしょうか。

本を何冊も出版しているのも、全国のたくさんの場所にご招待を受け講演しているのも、こうしてたくさんの皆さんとコミュニケーションを交わすことができるのも、すべてネット社会のおかげです。

そのことが僕の人生を豊かにしてくれていることに感謝しかありません。このブログを通じてつながっている皆さんにも心より感謝します。あ・り・が・と・う・ご・ざ・い・ま・す。
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基準緩和が招く介護の加重労働化


10年ほど前の介護業界には、国に対する介護人材の確保のための積極的な対策を求める声が満ちていた。

厚労省のお役人が講師を務める研修会でも、いつも人材確保の要望の声が挙がり、そのたびに講師役の厚労省職員は、「皆さんの要望を上に挙げます」と言って締めくくって終わりということが多かった

しかし介護職員を確保できずにショートステイを休止する特養が増えたり、職員不足から指定定員の受け入れができなくなる介護施設も出てきて、国もついに重たい腰を上げざるを得ない状況となっていった。

そんなふうにして国としてとり得る具体的な施策が徐々に示されるようになったが、その対策は的外れで結果の伴わないものが多かった。(参照:国の人材確保策は、いつも兵力の逐次投入 ・ 潜在介護福祉士は、いないのと同じ

そのため相変わらず、「介護人材不足」という問題解決には至っていない。むしろ少子高齢化が進む中で、その問題は一段と深刻化して、特に訪問介護は惨憺たる状況になっている。(参照:国が訪問介護を見捨てる理由

生産年齢人口の減少が止まらずに、社会全体の労働力が減っていることを鑑みて、自国の人材だけで、この問題を解決しようとすることは無理があると気が付いた国は、経済対策としてではなく、介護人材対策として外国人労働者を受け入れる方向にシフトを切った。

例えば、入管法を改正し(2017年9月1日施行)、在留資格に「介護」を加える変更を行うなどの施策がそれである。

このように介護分野に外国人労働者が増える対策も取ってきたが、当の外国人労働者がこぞって日本の介護事業者に就職して、かつ定着するという状況は生まれていない。

むしろコロナ禍によって、外国人労働者の増加速度は著しく鈍り、外国人によって日本の介護人材不足がある程度補われるという構想も崩れ始めている。

そのため国は介護業界の人材不足を、介護職員となる人の数を増やすのではなく、人に替って機械が補う部分を増やして、現在より少ない配置人員で介護事業を回す施策に舵を切りなおしている。

例えば前々回の報酬改定では、特養等の夜間配置加算の要件として、見守り機器を一定台数以上備えた施設の加配人数の緩和を行った。さらに昨年度の報酬改定では、夜勤配置基準そのものの緩和を行って、夜間勤務する職員数を減らす方策をとっているのもその一つである。

しかしそのことは実際には、介護現場の疲弊と、更なる離職につながっていることは、「夜間配置の試行期間が終わりますが・・・。」で情報提供しているところだ。
※下記画像は、"登別市札内原野の夕間暮れ(ゆうまぐれ):本文とは直接関係ありません。
登別市札内原野の夕間暮れ(ゆうまぐれ)
しかし国のこうした施策は今後も進められていくのである。

現に昨年度(2021年度)基準改正では、育児・介護休業法による育児の短時間勤務制度を利用する場合に加えて、介護の短時間勤務制度等を利用する場合にも、週30時間以上の勤務で「常勤」として扱うことを認めたほか、「常勤換算方法」の計算に当たり、職員が育児・介護休業法による短時間勤務制度等を利用する場合、週30時間以上の勤務で常勤換算での計算上も1(常勤)と扱うことを認めた。

これは介護事業経営者にとってはありがたい改正であったろう。

他の常勤職員より短い時間の勤務であっても、常勤1とされることによって、職員が育児・介護休業を取得した場合に、パート職員等を募集しなくて良くなったからである。

しかしそれは現場の介護職員にとってはたまったものではないのである。今までより数時間働く時間が少ない人が事業者内で増え、それでも常勤1だから配置基準はクリアしているとして、代替職員を増やしてくれないということは、時短職員以外の仕事が増えるということである。

毎日やらなければならないことは減っていない中で、人が減らされた分を残された人間でフォローしなければならないのである。キャパが有り余っている状況で仕事が増えるならともかく、人材不足の影響で現状の介護労働は既に、キャパを超えた重労働になっているのである。

従来型とユニット型を併設する場合における介護・看護職員の兼務を認めるという改正は、従来型とユニット型の両方の仕事をしている看護・介護職員については、一人の職員で従来型常勤1とユニット型常勤1の基準を満たすという意味であり、それまで兼務して常勤換算していた分0.〇〇人分の加配職員をいらなくしたという意味である。これも介護事業経営者にはありがたくとも、介護実務に就く職員は、加重労働リスクとしかならないルール変更である。

同じようにサテライト型居住施設において、一定条件化で生活相談員を置かなくてよくした改正も、単に本体施設の相談員の過重労働につながるだけであるし、全職種・全職員に過重労働を強いて人材不足を補うという方向に向かいつつあるのだ。

こうした介護労働の過重労働化という方向性は、2024年の制度改正・報酬改定でも様々な要件に組み入れられていくだろう。

その時に、その状況に介護事業者の職員が疲弊してバーンアウトしないように、安易に人減らしに走ったりしないことと、現場の職員が働きづらい環境に置かれていないか等をチェックする視点が介護事業経営者や管理職に求められるだろう。

この対策が介護事業経営上の大きな課題であり、その課題を克服することが人材確保にも成功して、事業経営上の勝ち組に結びつくのだと思う。
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希望と不安を志に変えるOJTに努めてください


昨日、CBニュースの連載・快筆乱麻!!masaが読み解く介護の今がアップされた。昨日の記事更新でこの連載も75回目ということはもう6年以上連載を続けていることになる。そもそも最初は1年の連載という約束だったと記憶している。

それがこんなに長い連載期間となって、今も続いているのはひとえに支持してくださっている読者の皆様のおかげである。この場を借りて深くお礼を申し述べたい・・・。今回のテーマは、エッセンシャルワーカーとしての使命感をとしているので、そちらもぜひ参照してほしい。

されはさておき本題に移ろう。

新年度のスタートに当たる今日は、おそらく多くの職場で新入職員入社式が行われていることと思え、介護事業者もそれは例外ではないだろう。

新たに介護職員として働く人については、他職種からの転職者も多いので、新人といっても新卒者ばかりではなく、年齢も様々な人達が新たなスタートに当たって、希望と不安を胸に抱えながら一日を過ごしているはずだ。

今年は新年度のスタートが金曜日となってしまったために、新入社員入社式を行った次の日から土日の休みに入り、月曜から本格的な新人教育となることだろう。

まさか就業したばかりの今週末から新人をシフト勤務なんかに組み込んではいないだろうとは思うが、読者の皆さんの職場はどうだろうか・・・。就業わずか2日目という満足な教育も行っていない状態で、人員が少なく十分な事務管理体制のない日に、いきなりシフトに組み込まれても、新人は何をどうしてよいかわからない。そんな状態を普通だと考える職場の職員の定着率は向上しない。

それは新入社員の不安を生み出し、その不安を放置する職場だからである。そこでは不安につぶれてしまう人が多いことは全国のたくさんの事業所を観てきた僕からすれば当たり前のことに思える。

そんなふうに焦ってスタートを早くしても、それは終わりも早くすることにつながるだけなので、新入職員の本当のスタートは来週月曜からと割り切って対応していただきたい。

新人に対しては、これから座学による基礎教育をしっかり行ったうえで、OJTとして指導者と一緒に実務の中で仕事を覚えさせていく必要がある。ここが根っこになるので、この部分は十分時間をかけて丁寧に行ってほしい。

現場の人手が足りないからといって、ここをおざなりにして、この過程を経なかったり、はしょったりすると、人財どころか人材にさえたどり着かない状態で人在でしかないまま職場を去る人を増やす結果にしかならず、介護サービスの実務の場の人手不足は永遠に解消できない職場に陥る。

そうしないためにOJTに入る前の座学を十分に行ってほしい。そこでは職場の理念をしっかり叩き込んだうえで、耳学問として基礎知識と技術を教えことが大事だ。

その耳学問を実地の場で行ってみるのがOJTである。就業初日から先輩の尻に金業の糞のようについて回り、現場作業を教えることがOJTではないことを理解しなければならない。

OJTに入った以後は、教育役を担う職員が重要な役割を果たす。教育係を担当した人は自分自身の教育の場での姿勢が自分が担当する新人の今後にいかに影響力が強いかということを意識してもらわねばならない。
新人のサポート
新人は、良いものも悪いものも全部含めて、教育担当者のいろいろなものに影響されてしまうことが多いのだ。そこで教えられたことが唯一の知識となって、今後長い間それだけを頼りに業務を続けていく人も多いのである。

だからこそ、根拠に基づいた正しい方法論を現場技術として伝えてほしい

そのためには使える介護マニュアルが必要不可欠であることは、このブログで再三指摘している。(参照:介護マニュアル3亳続説

介護とは、感情ある人間が同じく感情ある人間に相対する仕事だから、相互の感情が揺れあったり感応したりする結果がそこに生まれる。教科書に決して載せられない想定外のことも起こるのである。

そうした想定外の出来事に遭遇して、臨機応変に対応すするというふうに、経験を積まなければわからないことも多い。その時に唯一共通して使える方法論とは、人として怠けず、相手に真摯に対応するという方法論である。

ぶつかった壁には逃げずに向かい合って、壁を超える糸口を探す努力する姿勢を見本となって示してほしい。

壁を越えようとする意欲を湧きあがらせ、壁を超えることができる人を創るのか、はたまた壁をよけ続け、あらぬ方向へ向かわせるのかが、今日からの新人教育期間である数カ月にかかっているのである。

それは今後、自分の職場が社会に対して誇ることができる職場となるのかどうかの分水嶺(ぶんすいれい)でもあるのだ。そしてそれは自分の仕事に誇りを感じて、自分の人生が豊かになるかどうかの分水嶺でもある。

そのことを胸に刻んで、今日からの教育指導に臨んでいただきたい。
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日本にはたくさんの人が住んでいる。同じ職場で出会ったのは何かの縁・・・その縁と、今を大切にして志を持った人材を育ててください。



人材確保が益々難しくなる時代の介護事業戦略


福祉医療機構(WAM)が1月28日、2020年度の特別養護老人ホームの経営状況をまとめたリサーチレポートを新たに公表した。

それによると、「短期入所の利用率の低下や人件費率の上昇により赤字施設の割合は若干増加」と報告している。

短期入所の利用率低下はコロナ禍の影響であろうと思え、コロナ禍が終息すれば回復することは間違いのないところで、この点についてはあまり心配する必要はないのかもしれない。

詳細分析はリサーチレポートを読んで確認してほしいが、やはり気になるのは、「人件費の高騰」である。

レポートでも、「赤字化した施設は収益が伸び悩む中で人件費が増加している」としており、これは処遇改善加算等の介護給付費で手当てできる支出以上の人件費支出も増えていることを意味している。

現行3段階になっている処遇改善加算は、体系が変わったとしてもその分の給付は削られることはないだろうから、しっかりと最上位区分を算定し、職員に配分していく必要がある。しかしそれ以上に収益の中から人件費に回さなければならない支出も増えていくことも想定しておかねばならない。

だから収益を上げなければならないが、人が集まらずに顧客がいるのにサービスができないという状況になれば、それも不可能となり、ベッドの一部を休止して経営せざるを得ない介護施設は、満足な人件費手当てがさらに難しくなり、そこからは人材が流出し続けるという悪循環に陥りかねない。

だが今後の日本社会は、後期高齢者が2042年頃まで増え続ける中で、社会全体の人口は減少し続ける社会である。しかも少子化の影響で、生産年齢人口の割合は今より大幅に減ることもわかりきっている。

それは社会全体の労働力が減るなかで、介護サービスの顧客は2042年頃まで増え続けることを意味している。

よってすべての介護事業者が、すべからく人材を確保できることにはならず、この部分を国の政策に頼っても無駄であるという結論にしかならない。

そうした状況に対応するために、外国人介護労働者を雇用する必要性も増すが、それで補える部分にも限りがあり、日本で生まれ住んでいる若者が働きたいと思うことができ、なおかつ定着できる職場環境を創っていかねばならない。

事業者独自で人材を確保する術を持っていなければならないのだ。それを持たない事業者は、派遣会社によりかかる比重を増やし、それで何とか人員を確保し当座をしのごうとするが、当座常時になってしまっている現状を変えなければ大変なことになる。

人材派遣会社へ支払うコストは、年々上昇しているが、そこまで介護給付費は見込んでいない。

しかも派遣職員はいかに有能であっても、職場の戦力とはみなせない。派遣職員が忠誠心を持つ先は、働いている事業者ではなく派遣会社かもしれないのである。

しかも派遣職員は仕事に責任を持たされるのを嫌う傾向にあり、後進を育てる姿勢に欠ける人も多い。自分にとって嫌なことがあれば、派遣先を変えてもらえばよいと考えている人もいて、結果的に短期間で辞めていく人も多くなる。

果たしてそういう職場の、「働く環境」が良くなることはあるのだろうか・・・。

このブログで何度も書いているが、介護福祉士養成校に入学する学生の動機は、「人の役に立つ仕事をしたい」というものが常にトップである。

派遣職員の比率が年々高まる職場が、そういう人たちにとって、「人に役立つ仕事ができる」と思いながら働くことができる職場環境といえるだろうか。現在、職場環境は良い職場といえても、派遣社員の比率が増し続ける中で、その環境をいつまで維持できるだろうか。

介護職員の入れ替わりが激しく、提供している介護サービスの質やレベルが低いとみなされる職場は、「人の役に立っていない職場である」として若い介護人材が働きたいと思える職場ではなくなり、ますます採用募集に応募がなくなる。

この悪循環を断ち切る唯一の方法は、介護事業の本質に立ち返って考えることだ。
介護事業者
人の役に立つ介護・利用者の暮らしぶりをよくする介護を目指し、その理念に共感する人材を集め、そうした人材がやりがいを感じて、働き続けられる介護事業を確立することだ。

職員給与を引き上げることも大事だが、それには自ずと限界がある。給料や手当以外の付加価値を感じてもらって、働きたい職場・働き続けたい職場としていくことが大事だ。

サービスマナー意識の浸透は、その基盤となるものだから、繰り返しそれが守られているかというチェックが必要だ。利用者に対するマナーが低下しない継続的な教育は最も重要である。

そうした地道な取り組みを続ける介護事業が、有能な介護人材にとって魅力のある職場となり、人材から選ばれる職場になる。それによって介護の品質がさらにアップし、ますます有能な人材があこがれる職場になっていく。それは結果的に顧客からも選ばれていくことにつながるだろう。

そういう介護事業者が実際にあることを教訓として、新しい介護事業経営戦略を練っていくことが何よりも重要である。

この理屈は簡単なのだ。難しいのは実行・実践である。だがそれは経営者の覚悟という、腹積もり一つで現実化できるものであることを理解してほしいと思う。

そのお手伝いが必要であれば、いつでも声をかけていただきたい。力になれると思う。
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出張移動実務者研修実現に協賛ください


まず最初にお知らせです。メディカルサポネットの連載、「菊地雅洋の激アツ!介護経営塾 〜選ばれる介護事業所であり続けよ〜」の第5回配信記事、「介護事業所で活用される ICT〜その期待と懸念〜」が先ほどアップされました。

使えるICTとは何か、それを具体的にどう使うのかということを示した記事です。

国はICTを人の削減のために活用しようとしていますが、本当に求められることとは、ICTを活用することによって、重労働で生産性が低いという介護労働のイメージを払拭して、介護の仕事をしたいという人を増やすという、介護人材の増加を目指す目的でなければならないということも論じています。

この記事はどなたでも無料登録すれば読むことができますし、僕以外の著名な先生方の配信記事も全て読めます。登録がまだお済みでない方は、今から是非登録して、に張り付けた文字リンクをクリックして記事全文を読んでください。

さて今日の本題に移ります。

介護職員の国家資格は、「介護福祉士」であることは今更いうまでもありません。

しかし介護職員になるために介護福祉士の資格を持たねばならないというわけではありません。

介護保険制度において、介護職に資格が求められているのは、「訪問介護」のみであり、訪問介護員となるためには、「介護職員初任者研修」(旧2級ホームヘルパー養成講座)を受講する必要があります。試験のない研修さえ受講済みとなれば、訪問介護員になることができます。

しかし介護施設をはじめとした、その他の介護事業については、何の資格を持たなくとも介護職員になることはできるのです。

ただし日常生活継続支援加算サービス提供強化加算といった、事業運営に必要不可欠な加算を算定するには、一定割合以上の介護福祉士有資格者を配置している等の要件があることから、多くの介護事業者では、介護福祉士の資格を持つ人材を求めています。

そして多くの介護事業者では、同じ介護職員として雇用する場合も、介護福祉士の資格取得者と、資格を持たない人との間に、待遇差を設けています。

例えば僕が総合施設長を務めていた社福では、介護職員を正社員として雇用する場合は、「介護福祉士資格取得者」であることを条件にしていました。資格がない人については、正社員と賞与などの待遇に差がある、「準社員」として雇用し、資格取得後にはじめて正社員に昇格するシステムとしていました。

そのような状況もあり、働きながら介護福祉士の資格を取りたいという動機付けを持つ人は多いのだと思います。

そもそも介護の仕事に従事する人にとって、介護福祉士とは唯一の介護の国家資格なのですから、その取得を目指すのは当たり前のことです。

その資格を得ることは、その資格にふさわしい知識と技術を身に着けることにほかなりません。同時にその資格をもって介護業務に従事することは、その資格にふさわしい責任を持ち、利用者の方々から信頼を得られる仕事を行うという宣言であり、その証にもなります。

しかし介護福祉士国家資格取得のための実務者ルート(※介護福祉士養成校等を卒業せず、実務経験のみで試験を受けるルート)は2016年度〜介護の実務経験3年と併せて、さらに450時間・6ヶ月の『実務者研修』を受けて、国家試験に合格する必要があることになっています。

そのハードルの高さについては過去に、「介護福祉士の養成ルートの変更について」という記事を書いて論評しているところですが、現に働きながら受験しようとする人にとって、介護福祉士の資格を取るために、現場の仕事から最低限450時間外れることは決して簡単ではありません。

そうした困難を克服して、『実務者研修』を受けようとしても、その研修自体が居住地区で開催されていない地域も多いのです。その場合、どうしても資格を取得したいとなれば、研修開催地に一定期間滞在して受講しなければならなくなります。

研修費用に加えて、滞在費も別にかかるのは大きな負担だ。そのために資格取得をあきらめてしまう人も多いのです。

そこでこの度、『実務者研修』を全国どこにいても受講できるようにする、『介護移動学校』を創設しようとして、仲間が立ち上がりました。

設立メンバーには、「DNAを引き継いでくれる若い力」で紹介した、片山海斗クンも入っています。彼のFBには、この学校について次のような抱負が書かれています。
----------------------------------------------------
人材不足に度々言及する厚労省ですが、2025年に向け国を上げて介護人材を何とか増やすでしょう。
ただそうなると、介護職員の質は問われなくなり目の前の利用者に対しての待遇、接遇。介護施設内で虐待の増加。目に見えています。そんな介護業界誰も望んでいません。(中略)

根本的に介護業界を少しでも良くするためには正しい知識や技術を教えるだけではなく「実学」を教え伝承させ”歴史を刻む”こと。
介護業界を変えるってこういうことだと思います。
介護業界に課題が山ほどある中で上部だけ観てちゃいけないんです。(片山海斗のFBより引用)
----------------------------------------------------
そのために、「1年間で1000人以上の介護福祉士を育成するために介護の学校を全国展開します。」と述べたうえで、「この事業、ぶっちゃけ1000万以上掛かかってます。少しでもご支援していただけませんか。」と呼び掛けています。

そこで、その設立にかかる資金の一部をクラウドファンディングで集めることになりました。
クラウドファンディング
スタートは2月5日です。

このプロジェクトを是非成功に導きたいと思い、僕も協力しています。

それは設立メンバーや、設立団体が利益を得るために協力するという意味ではなく、一般社団法人Create Your Lifeという設立団体が、介護業界に真に必要とされる、「本物の人材」を育成しようと考えているから協力するのです。

そのため講師陣も、その趣旨に沿った有能なメンバーを揃えています。信頼できる仲間の活動を全力で応援したいと思います。

その成果は皆さんの職場に、彼らが育てた人材を送りこむという結果に結びつき、その人材が事業発展に寄与するという形で還ってくるはずです。

ぜひご協力をお願いいたします。
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介護労働を舐めている経団連


経団連が先週、医療・介護分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に向けた新たな提言を公表した。

その中の、「介護」では、「介護施設人員基準 3:1の見直し」が声高らかに提言されている。

当該文書では、「2040年度までに、2019年度時点と比べて約69万人の介護職員を追加で確保しなければならない。生産年齢人口が減少するなかで非常に厳しい状況にある。この問題の解決策として、テクノロジーを活用した介護業務の効率化、さまざまな医療・介護データを活用した重症化予防や自立支援介護が注目されている。」としたうえで、「介護ロボットやICTの導入が介護の質向上や効率化に寄与することが明らかになってきた。」と理論展開している。

そしてそのことを根拠として、「利用者にとっての品質確保、職員の負担軽減が図られ、テクノロジー・データ活用による業務時間の削減効果が認められる場合、その改善効果の範囲で配置すべき員数を見直すべきである。」として3:1配置の見直しを求めている。

それは即ち介護施設の配置基準を緩めて、もっと人の少ない配置を認めるという提言に他ならない。その先には、配置人員を現在より少なくしてコストも減るのだから、介護報酬の基本サービス費も下げられるだろうという理屈に結びつけていくことも容易に想像がつく。

経団連は今更言うまでもなく、日本経済団体連合会の略称である。この団体は日本の代表的な企業や業種別全国団体・地方別経済団体などから構成されているもので、もともとは戦後の日本経済の再建・復興を目指して設立されたものである。

現在では政府等に対して、多岐にわたる政策提言を行っているが、その目的については、「日本の経済を元気にすること、それが日本経団連の一番大きな役割」とアナウンスしている。

介護保険制度に関連しても影響力は小さくない。介護給付費分科会にも常務理事を委員として送り込んで、過去にも様々な給付制限等に言及しているところだ。それは企業等の社員の介護保険料を労使折半で負担している大企業を代表する立場から、労使双方の保険料負担を減らすことを目的としているものである。

今回の配置基準緩和提言もその一つであり、「またか」という感はあるが、決して放置してよい問題ではない。

本当に配置基準緩和されてしまえば、職員に負担がかかるのは間違いない結果で、重労働化を嫌って介護施設で働く人がいなくなるからである。基準緩和は介護人材対策になるどころか、介護崩壊につながりかねない問題なのだ。
夜勤介護
そもそも経団連は、介護施設が実際に3:1の職員配置で運営されているのかを調査しているのだろうか。多分そんなことはしておらず、実態を見ずに基準だけを念頭に提言を行っているのだと思う。

3:1とはその日働く職員の比率ではなく、配置されている職員比率の最低基準であるが、実際に対利用者比3:1しか職員を配置していない介護施設はほとんどない。そんな配置では仕事が回らないし、職員はまともに休みも取れなくなるからだ。

3:1しか配置していない場合には、全職員が有給休暇を完全消化するなんてことは絶対に不可能だが、そんな実態を経団連は知っているのだろうか。そしてそのことを経団連は許すとでもいうのだろうか。

最低基準配置しかしていない場合は、最低基準のケアしかできないし、それもままならなくなることが多いが、利用者はそれで満足できるのだろうか。

見守りセンサーが反応して対応するのがロボットであれば人は減らすことが可能になるだろうが、見守りセンサーに対応するのは人なのである。配置を減らして高性能センサーを多用する中で、センサー反応のコールが鳴り響く中で、いったい誰がセンサー反応に対応するというのだろうか。

なぜ仕事が3:1では回らないのかという問いかけに対しては逆に、「そもそもなぜ3:1が配置基準なのか。それは十分介護が提供できる基準として設定されているのか」・「介護保険制度開始以後、サービスの品質向上を報酬改定のたびに求められているのに、なぜ同じ配置基準のままなのか」・「やむを得ず配置人員が多い日と少ない日が生じてしまうが、そこでサービスの質の差が生ずることに目をつぶってよいのか」等々の問題を問いたい。

根本的な問題として、経団連は介護労働の実態を知って提言しているのだろうか。

試しに経団連の役員の幾人かを1週間介護施設に派遣し、体験実習を行ったうえで、本当にテクノロジーの活用で、人員配置を減らすことができるのかを考えてみてはいかがだろうか。

今日の記事は、あまりに乱暴で荒唐無稽な経団連の提言に対して、冷静さを欠いたまま、まとまりのない文章になっていると思う。

それだけ怒りをもって書いていることを知っていただければよいのだと思う。悪しからず・・・。
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介護職賃金月額9千円引き上げの波紋


岸田首相が、就任直後から明言している介護職員の賃上げの内容と財源・方法等が11日に示された。

これは政府が19日に決定する経済対策に盛り込まれるもので、多業種に比べ処遇改善が遅れている保育士と介護職(以下、介護職等と表記)の全員の賃金を月額3%程度に当たる約9千円引き上げるというものである。

そのほか地域の救急医療を担う看護師の収入を3%程度増やし、幼稚園教諭の賃上げも実施する。

介護職等の賃上げについては、岸田首相の『社会の財の再分配』政策に沿ったもので、経済対策として30兆円の財政支出を行う中で取り組むものであり、2021年度の補正予算として裏付けを急ぐとしている。

補正予算では介護職等の賃上げ原資を交付金とするとしており、来年2月〜9月分を確保する予定である。ただし申請手続き等が必要なために、介護職等の手元に引き上げ分が届けられるのは来春(2022年4月)以降となる見込みである。

来年10月以降は、診療報酬や介護報酬で対応するとしており、処遇改善交付金(2022年2月〜9月)〜処遇改善加算の上乗せ(2022年10月以降)という形で、引き上げ分が各事業者に支払われることとなりそうである。

一連の報道記事を読むと、当初給与改善は看護職・介護職・保育士とされていたが、月額一律9000円の賃金の引き上げが行われるのは介護職と保育士だけのように読める。看護職は救急医療担当の看護師のみと読み取れるが、間違いないだろうか・・・。

今回の引き上げは、ボーナス等を含めた職種別の月額平均給与が、全産業平均で35万2千円なのに対し、保育士が30万3千円、介護職が29万3千円と低かったことによる対策とされており、一方で看護師は39万4千円と全産業平均より高いことで、救急医療以外の看護師が除かれたということなのかもしれない。

看護師の給与が医師の4割程度にとどまっているという点は、この改善の理由にはならないということのようだ。

残念ながら介護事業者に所属する他の職種については、この引き上げ対象にはなっていない。職場内の人間関係とか、チームワークを考えたとき、それは大きな問題だと感じている人も多いだろうが、政府の方針なのでどうしようもないところだ。

新しい交付金によって、介護職の給与改善原資は、処遇改善加算+特定加算+交付金という3重構造となり、それぞれに手続きを要することになる。さらに来年10月以降は、現行の処遇改善加算に9千円分が上乗せされる形になるのだろう。その手続きも必要になる。
給与格差
そのため今回の対策によって一番大変なのは担当事務員であると言える。申請業務だけでも大変な業務負担増にならざるを得ない。しかしそれは他人の懐を豊かにするだけの業務負担であり、そのことが自分の懐にまったく跳ね返ってこないことに納得いかない人も出てくるだろう。不満や不定の声が聴こえてきて当然のことと思う。

介護事業経営者の方々には、今回の給与改善の対象にならない職員に対し、事業収益の中からできるだけ給与に反映できる分を回していくという考え方も必要になるだろう。だからこそしっかりとした経営意識をもって、収益確保の対策を講じなければならない。

今後、こうした財源支出に対する抵抗勢力の逆襲も予測される。財務省は特定加算を介護職以外の職員に支給していることにお冠のようだから、2024年の介護報酬改定に向けてその運用の変更を求めてくるかもしれない。

変な抵抗意見も既にある。

例えば9日に開かれた、「公的価格評価検討委員会」では、内閣府の担当者が会合後、「今までの処遇改善の取り組みがしっかりと賃上げにつながっているかどうかみる」と説明している。

同じような考え方として、8日の「財政制度等審議会」でも財務省が、「処遇改善加算は事業者の収入にはなっても、必ずしも介護職の賃上げにつながらなかったとの指摘もある」と説明する場面があった。

しかし処遇改善加算は、算定費用の全額を介護職員に手渡していなければ不正請求であり、1円でも事業者の収益に計上しておれば加算費用を全額返還しなければならないものだ。

よって内閣府や財務省の担当者の説明は、算定要件を理解していない、空想としか言えない。介護職員に支給せず事業者収入になんてできない仕組みになっているという当たり前のことを、きちんと理解したうえで議論の場に臨んでいただきたい。

介護職員の給与が上がることは良いことだ。それによって他産業から介護業界に転職する人が増え、介護人材不足を少しだけ改善に向かわせることができれば、それは国民全体の利益だ。

しかし介護事業は、決して介護職員だけが支えているのではないことも理解してほしい。

介護職だけが給与改善しても、介護事業経営の基盤を支える事務職員や、介護職以外の専門職である相談援助職や栄養士等が、給与改善の蚊帳の外に置かれることは、決して良い結果を生まないと思うのである。

介護事業の全職員の処遇改善こそが、日本の介護を支える礎(いしづえ)になると思うのは、僕だけであろうか・・・。
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経営視点のない人材マネジメントは無駄で成果なし


経営相談を受けている介護事業者のP/L(損益計算書)を見て愕然とすることがしばしばある。

算定すべき加算を取らずに何年も経過しているのに、その加算をどうして算定できないのかという問いに、経営者が明確に答えられないという状態は、加算を取得するように経営努力をしていないという意味だ。

同時に取得できない理由があったとしても、その理由を積極的に取り除く努力が見られない事業者も多い。小さな加算でも、取り逃さない努力をしていかないと、従業員に適切な対価を渡しながら経営を続けることは困難になるということをもっと重大視してほしい。そしてスピード感をもって改善に取り組んでほしい。

だがそれにも増して僕が問題視したいのは、垂れ流しにも似た支出の放置状態である。

明らかに無駄と思える支出を何年も放置し、それを改善しようともしていない状態で、収益が挙がらないと嘆いている経営者が実に多いのである。

これはトップに立つ人が介護事業経営を行っておらず、介護事業運営レベルにとどまっているからに他ならない。つまり経営を知らない人がトップに立っているという意味である。

特に措置費時代の残像を引きずっている社会福祉法人等に、こうした状況が数多くみられる。行政からの天下りが、机に座っているだけで運営ができた時代とは違うという意識改革をしないと、単年度赤字は解消できない。繰越金が未来永劫あり続けるわけではないのだ。

介護人材不足が叫ばれる現状から、求人費支出が毎年増えていること自体はやむを得ない。求人にも費用をかけないと良い人材が確保できないほど、人材は枯渇している。

しかし求人に毎年費用をかけ、その支出額が増え続けているのに、人材不足が解消しないということを、「社会情勢」とあきらめてしまっていてはどうしようもない。支出が増えているのに人材不足が一向に解決しないという状態は、かけた求人費支出がすべて無駄金・死に金になっているという意味である。

求人費の内訳をみると、求人媒体に対する費用支出が目立っているが、今現在の状況で言えば求人媒体はどこを使ってもたいした成果は得られない。

求人媒体が目新しかった頃は、そこに広告を載せる介護事業者も数が限らていたため、それなりの成果はあったが、今現在は無数の介護事業者がそこに掲載されている。

その結果、求職者は条件面だけを比較して応募することになり、介護事業者の理念や介護サービスの品質に興味のない人だけが集まり、定着率は向上しない。そのため人材確保にはつながらないのだ。

そもそも求人媒体は、広告主の成果にフォーカスしないだけではなく、成果のない広告を載せ続ける方が収益になることを理解せねばならない。

さらにそうした求人費をかけているのに、人が集まらないために人材派遣会社への紹介料などの支出も増えている。これは無駄に無駄を重ねているとしか言いようがない。

そもそも派遣職員は仕事ができても人財にはならないのである。派遣職員が優先するのは、派遣先の利益ではなく派遣会社の利益である。よって介護事業者の理念を実現するために全職員がスクラムを組まねばならないときに、そのスクラムから外れて、冷めた目線で見つめる位置にしか立とうとしないことも多いのである。

派遣職員を選ぶ人の動機は、そちらの方が給料が高いからというほかに、人間関係が煩わしいからという理由が多い。組織内で人間関係の問題が少しでも生ずると、派遣先を安易に変える人が多いことがそれを証拠立てているが、そのような人は組織人として適性があると言えるのだろうか。

そもそも人間関係を煩わしい人が、他者の感情と向かい合う対人援助の適性があると言えるだろうか。

乱暴な話ではあるが、僕の持論は、「看護や介護の職業に派遣労働を認めてはならない」というものだ。だから自分自身が経営していた社会福祉法人で、派遣労働者を雇用したことは一度もない。

どちらにしても求人費を垂れ流し、派遣職員がいないと経営が成り立たないような事業の危うさに考えが及ばない事業者は淘汰対象であると言えよう。

この問題について、来週から内田洋行主催のオンラインセミナーの中で解説する予定になっている。

(株)内田洋行主催UCHIDAビジネスIT オンラインセミナーNo1、「介護事業における採用から人材育成まで(前編)」は、11月17日(水)〜11月18日(木)の2日間の無料配信となっている。
内田洋行オンラインセミナー
引き続いて配信される、「介護事業における採用から人材育成まで(後編)」は、11月24日(水)〜11月25日(木)の2日間の無料配信予定である。

どちらもまだ申し込みは間に合うので、張り付けた文字リンク先から案内をダウンロードいただき、申し込みいただきたい。
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コロナ禍で介護業界に転職した人が定着できる職場ですか?


介護人材不足は、その解決の糸口さえ見えない。

介護職員の処遇改善加算や、他の職種にも支給できる特定加算等の給与改善策を進めても、目に見えてその効果は現れてはいないというのが実状ではないか。

介護サービス利用者が増え続ける中で、生産年齢人口が減り続けるわが国で、今後介護人材ぼ足の解消につながる手立てがされる見込みはないことは、『働き手がさらに減る介護事業に求められる視点』という記事でも指摘している。

ただし昨年から今年にかけては、少しだけ募集に応募が増えてきたなと実感できている介護事業者が多いのではないだろうか。

その理由は処遇改善効果ではなく、コロナ禍で飲食業などが軒並み休廃業した影響であり、介護以外の他産業・他業種からの転職者が増えているからである。

このチャンスを捉えて、それらの人たちが介護人材として定着していくことが大事だ。

しかし飲食店の時短営業や人数制限が解除され、コロナ禍が落ち着いて日常が戻りつつある現在、コロナ禍の影響で介護事業者に就職した人達が、そのままこの業界に残ってくれるのかどうかは怪しいところだ。

年末の書き入れ時に向けて、営業を再開した飲食業でも人集めが始まっている。その他のサービス業もwithコロナの新たな営業に向けて人材集めを始めており、逆に介護業界から他の業界への人材流出が進む可能性も否定できない。

そうならないように、経営努力をしているかどうかが問われてくる。

だからこそ考えてほしい。自分の職場は、コロナ禍で介護事業者に就職した人たちが、その仕事を長く続ける動機づけをきちんと与えられているだろうかということを・・・。

介護という職業に就いた人が、その仕事の面白みを感じ定着するためには、他人の暮らしを支える介護労働の本質を理解して、仕事に誇りを持つことができることが何より必要となる。

対人援助とは、いうまでもなく人に相対する職業であるのだから、そこで向かい合う人が哀しい・辛い表情で居続けていると、介護をしている自分も辛くなる。そのような職場から逃げ出したくなるのは当然だ。

良かれと思って一生懸命に差し伸べる手が振り払われ、自分が何をしても利用者が無表情であったり、拒否的であったりする状態が続けば、自分自身に無力感を持ち、自分の仕事に意味がないと思ってしまう。そうなればもっと意味のある仕事をしたいと他業種への転職を考える人は増えて当然だ。

だからこそ、利用者の暮らしを豊かにするという結果を出し、働いている自分が人の役に立つことができているという実感を持つことができる介護支援の方法論を持っていなければならない。

そもそも介護サービス利用者を人として敬わず、物のように扱って流れ作業のように介護が行われる場所に、果たして仕事の面白みは存在するのだろうか。

流れ作業のように介護労働が展開され、利用者の感情は無視されるどころか、人生の先輩であるにもかかわらず、年下の職員からもののように扱われ、タメ口で失礼な対応に甘んじねばならない状態を、他のサービス業から転職した人たちはどう見るだろうか。

そのことを深く考えて、どのような状態の人であっても、分け隔てなく敬って相対するという、『人間尊重』を建前ではなく本音で実践する職場づくりをしてほしい。

そうした視点を持つことができない介護事業者には人材は定着せず、それは即ち近い将来の経営危機につながることだろう。

介護の本質を探し、人の暮らしを豊かにするとう結果を探し続ける仲間たちを紹介する動画、『さくらびとmasa』も是非ご覧になっていただきたい。

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SOMPOケアの介護職給与改善の続報


このブログのアクセス数は、平日の平均が2.000件〜3.000件で推移している。

ところがこのアクセス数の推移に、先週大きな変化が見られた。
ブログアクセス数の推移
上記画像でわかる通り、18日は月曜日のアクセス数としてはほぼ平均数であるが、19日〜その数が一気に増えている。

おもしろいことにデスクトップからのアクセス数とプレビュー数はほとんど変わりないが、モバイルからのそれが一気に増えているのだ。

この現象は、僕のブログをお気に入りに入れるなどしている常連さん以外で、普段僕のブログを見たことがない人が、スマホやタブレットでこのブログにつなげてきたことを現わしている。

その人たちに関係する話題がこのブログで論じられているという情報が伝わって、それを確認しようとした人が多かったという意味だ。

それは何なのかといえば、19日の更新記事だと思う。「介護職員の賃上げ競争に現実味」という記事の中で、「SOMPOケア」が正職員である介護職員の給与を年収ベースで50万円引き上げることを決め、看護職員並みの給与ベースとすることを論評した記事を確認しようとしてつなげてきた人が多かったのだろう。

その記事が介護関係者の関心を引いたという意味ではなく、その記事に全国にたくさん居られる、「SOMPOケア」の従業員の方々が反応したのではないかと想像する。

それが証拠に、同社の社員の方からコメントが書き込まれている。

そのコメントを読むと、報道記事を読んでその事実を知ったSOMPOケアの従業員以外の介護関係者と、同社の社員の捉え方は微妙に違っているようだ。

報道では、「介護職員約1千人の給与を来年4月に引き上げる方針」・「対象の正社員の年収水準を50万円ほど引き上げ」とされているので、まるで同社の正社員である介護職員すべてが給与引き上げの恩恵を受けて、年収が50万円アップするかのような印象を受けるが、どうやらそうではないらしい。

そのためコメントには、「給与が上がるのは各ホームのリーダー職のみ」・「実際現場で頑張っている大勢のスタッフは全く関係ないのです。」・「世間に誤解を与えるような記事はやめてもらいたい。」という言葉が書かれている。

僕も含めて、あまり大きな規模の経営主体で働いた経験のない人にとって、「介護職員約1千人」というのは、すごい数であるという印象しかないが、全国展開している同社の規模からすれば、その数は正規介護職員の一部でしかないらしい。

そうであるがゆえに、今回報道された給与改善の恩恵を受けない正規職員の介護職員の皆様にとっては、リーダー職の給与が大幅にアップされる中で、今と変わらない待遇に据え置かれるということが、「介護の場で、同じように頑張って働いているのに」という不公平感につながってしまうのだろう。

同時に報道内容について、プロパガンダではないかというふうに、ある種の『うさん臭さ』を感じてしまうのだろう。

頑張っているのに給与面で報われない人が、そのように感じてしまうことはやむを得ないことである。

それと同時に、こうした形で給与改善しても、全職員のモチベーションアップにつながらず、むしろ一部の職員のモチベーションが低下してしまうという事実は、介護事業経営上の極めて難しい課題であるといえる。

同社がやろうとしていることは、決して悪いことではないからだ。

一部のリーダー職の給与改善でしかないと言っても、その数は約1千人にものぼるわけであるし、今その対象になっていない人も、今後の努力次第でその立場になることができれば、その恩恵を受けることができるのだから、まったく自分だけが給与改善の蚊帳の外というわけでもないはずだからである。

ただ従業員数が多いだけに、そこにたどり着くのは至難の業であると言えるわけで、そのような一部の職員だけの給与を改善して、介護サービスの場で毎日必死に汗をかいている自分たちに恩恵がないことを嘆く気持ちは理解できるのである。

このギャップについて、外野から何を言っても無意味であろうが、コメントのような声があることを、このブログで広く伝えるとともに、今回の報道が同社の全部の介護職員を対象にしたものではないという事実だけは、正確に伝えておきたいと思う。

このことについて意見がある方は、同社の社員あるいは社員以外の方を含めて、コメント欄に忌憚のない意見を寄せていただきたいと思う。
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離職防止・定着率向上が介護事業最大のテーマ


日本中の介護事業者から、「人が足りない」・「人材が確保できない」という声が聴こえてくる。

しかし人材確保に全く困っていない介護事業者も、ごく少数派ながらも存在しているという事実がある。その違いは何だろう?

人が足りないと嘆いている介護事業者は、その対策をとっているのだろうか。人材が不足していると嘆くだけで現状解決しないことを本当に理解しているのだろうか。

この問題について、国が政策で何とかしてくれると考えているとしたら大間違いだ。国はすでにやれることはやっていると開き直っており、人材を確保できるかどうかは介護事業者自身の問題であると匙を投げているからだ。

そうした危機意識を持っていただき、具体的な対策を講ずるためのヒントとなるセミナーを、今年もオンラインで無料配信しようと思う。
採用・育成・離職防止セミナー
全国各地の複数の介護事業者で、従業員の定着率を向上させ、人材不足の解消につなげた実績を持つ講師が、そのノウハウの基本を伝えるセミナーは、第1回第2回に分けて配信する予定である。具体的な対策を始める機会にもなるセミナーを、是非視聴していただきたい。

日本はすでに長期的な人口減少過程に入っている。

しかし65歳以上の人口は逆に増加傾向にあり、その数は2042年にピークを迎えると予測されている。

つまり介護保険サービス利用者は2042年までは確実に増え続けるのである。

そのため介護市場には、今後も多額のお金が落ちてくる。その額は年間約1兆円以上の増加が予測されるほどである。つまり介護事業は今後20年間だけを見れば確実な『成長産業』なのである。

よって介護事業者が、経営基盤を整えてサービス提供できれば多額の収益を挙げることは可能で、その収益を従業員に還元することで、介護従事者の待遇・給与改善は可能であり、全産業平均給与水準を上回る年収を実現することも現実的なビジョンと言えるのである。

このように介護事業自体の可能性はまだたくさんあるし、介護事業経営という分野で勝ち残っていく先には、ビッグマネーの獲得という成果を含めて、明るい未来につながっていくのである。

ただし国に、社会福祉政策にかけることができる財源が潤沢にあるわけではないので、少しでも社会保障費の自然増を抑えるべく、給付削減することが可能な部分をひねり出して、ひとりの高齢者に給付する費用はできるだけ抑えられる政策がとられる。

介護事業者側から見るとそれは、顧客単価の減少という形で影響を受けるのである。軽度者の通所介護の地域支援事業化もその方向性の一つとして実現が測られていくわけだ。

だからこそ、今以上の収益を確保するためには、現在と同じ規模での事業経営では不可能なわけで、事業規模の拡大と事業種別の多角化が必要不可欠になるのである。

このことはこのブログで繰り返し主張しているから、耳にタコができるという人が居られるかもしれないが、それほど事業拡大と多角化は重要な経営視点なのである。その実現を図るための経営戦略はできているだろうか・・・。

当然のことながら事業規模の拡大と事業種別の多角化には人材を増やす必要がある。しかし高齢者が増え続ける社会で、生産年齢人口は減り続けているのだから、それは決して簡単な問題ではなく、介護事業の最大の課題は、「人材確保」と言えるわけである。

現実的に生産年齢人口の減少数と状況を分析すると、日本人の労働者だけで必要な生産年齢人口を確保することはすでに不可能だ。出生率が劇的に改善したとしても、今後高齢者介護サービス利用者が増える20年間に、それは間に合わないのである。

だから外国人労働者が働きやすくなるように、入管法改正で在留資格に「介護」が加えられ、外国人が介護福祉士として在留資格を得られるようにするなどの対策も取られてきたが、外国人労働者の多くは5年以内に母国に帰国する傾向が強く、長期的な戦力になる人は少ない。

それでも短期的には外国人を受け入れて、教育して戦力としていかねばならない。

なおかつ日本人労働者を介護人材として安定的に雇用・定着できる職場づくりが介護事業経営として最大のテーマになってくるのだ。

この問題に対処するヒントを与えるオンライン講演を、今年も無料で配信する予定だ。主催は「内田洋行」で、下記のそれぞれ2日間・2回の無料配信を予定している。

・2021/11/17(水)〜2021/11/18(木)『介護福祉現場の採用・育成・離職防止を考えるセミナー【前編】

・2021/11/24(水)〜2021/11/25(木)『介護福祉現場の採用・育成・離職防止を考えるセミナー【後編】

テーマである、「採用・育成・離職防止」のうち、最初に整えるべきは、離職を防ぎ職員が定着する職場環境である。その基盤がしっかりできたのならば、採用につながる募集応募者を増やす方策・ノウハウはいくらでもある。

そのことも含めて、それぞれ60分の講演を2回に分けて配信する予定なので、是非お申込みいただきたい。

配信後、アンケートに答えてくれた方には、配布資料もダウンロードできるようにしている。

誰でも無料で視聴できるセミナーなので、張り付いた文字リンク先から、是非お気軽に申し込んでいただきたい。
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介護職員の賃上げ競争に現実味   


僕の新刊本のサイン入り初版の送料無料キャンペーンに多数のお申し込みをいただきありがとうございました。思った以上の申し込みがあり、昨日も出版社でサインを入れてきました。

ところで出版社にサイン本を注文された方で、入金が確認できない方が複数名おられます。本の発送も止まっていますが、入金が確認でき次第送付いたしますので、今一度確認の上、ご入金をお願いします。

なお今後は出版社から新刊を取り寄せる際には送料がかかります。そのためAmazon楽天ブックスといった通販サイトから取り寄せたほうが送料がかからずに済むと思いますので、そちらをご利用ください。

なおこの新刊については、CBニュースで書評が掲載されていますので、張り付いたリンク先を参照ください。

お知らせはここまでとして本題に移ります。

首相はじめ内閣の主要官僚や政府与党の有力役員が、介護職員等の給与引き上げを主要な政策課題として挙げ、国会で正式にそのことを表明した。

さらに野党の選挙公約にもそのことが挙げられていることから、そのことに反対する国会議員はいないと思われる。

よって今以上の給与改善が実行されるのではないかと、介護職員らの期待は大きく膨らんでいることだろう。

しかしそのこととは別にして、介護業界全体に影響を及ぼすと思われる改革が一企業の中で進められている。

それはSOMPOホールディングスの思い切った改革である。

同ホールディングスの介護事業部門の、「SOMPOケア」が介護職員約1千人の給与を来年4月に引き上げる方針を固めたことが大きな話題となっている。

具体的には対象の正社員の年収水準を50万円ほど引き上げ、介護施設で働く看護師の平均的な水準並みの450万円程度にするそうだ。

これは他の介護事業者に大きな影響を与えざるを得ないニュースだと思う。

新内閣の方針とは別に賃上げをするということなのだから、同社の介護職員の給与水準は業界のトップとなる可能性もある。少なくとも社会福祉法人などを除く民間営利企業の中ではトップになることは間違いないだろう。

介護市場に参入した時期が決して早くなかった同社が、先発大手の介護事業者を買収して急速に成長していることを知らない人はいない。そのように誰もが知っている企業で、かつ企業体力が大きくサービスエリアも全国に及んでいる会社が、介護職員の給与を看護職員並みに引き上げるということは、多くの介護関係者にとって注目の的であると同時に、他の介護事業経営者にとっては、「脅威」でもある。

なぜならそのことは同社の大きな魅力となり、どうせ民間の介護事業者に就職するなら「SOMPOケア」を選びたいと思う若者が増えると予測されるからだ。

仮に今、自分の子供が介護の仕事を目指しているとすれば、僕なら「SOMPOケアに就職しなさい」と勧めるだろう。そんなふうに介護の仕事を目指す子供に親が「SOMPOケア」を勧めるケースも確実に増えると思う。

それに加え、他事業者から転職したいと思う人が増えることも確実だ。小規模事業所で定期昇給も雀の涙程度しか行っていない所で働いている人は、仮に管理職から平職員になるとしても、給与水準の高い「SOMPOケア」で働きたいと思うだろう。

こんなふうにして介護人材が根こそぎ、「SOMPOケア」に刈り取られてしまうのではないかと考えるのは、杞憂であるといって笑えるだろうか・・・。

この状況を他の事業者が手をこまねいて、眺めているだけで良いのだろうか。

この報道を見過ごしている事業者からは人材が流出し、枯渇する恐れがあるのではないか。

ただでさえも足りない人材が、さらに不足して事業継続ができなくならないように、必然的にそのほかの事業者も給与改善を急ぐ必要があると思う。

志だけで職員が働き続けられるとは限らない。現在、経営主体の経営理念に共鳴して職員が定着しているところでも、相応の給与改善に努めていかないと、自分のスキルに見合った評価を給与面でもしてほしいと考える職員が、そこを目指して職場を変えることは止められないだろう。

年収50万アップというのは、それほど大きな影響をもたらすものではないのだろうか・・・。

しかし経営規模の小さな事業者は、それほどの給与改善は難しい。だからこそ僕は常日頃から、事業規模の拡大と、事業種類の多角化を目指していかないと介護事業経営は成り立たなくなると警鐘を鳴らし続けているのである。

小規模事業者は今後今以上に、職員を確保・定着させるために頭を悩ませなければならなくなる。

経営規模の大きなところは、給与改善を急ぐべきだが、給与財源はその辺に落ちているわけではないのでコストの見直しが必須だろう。しかしこれも競争のうちだ。

事業を継続するためには人材確保は不可欠なのだから、その確保のための戦略は一番大事だ。どのコストが無駄で、どこを変えることで財源がひねり出せるかを練り直さねばならない。

今日僕は、そのことも含めた講演を御成門ビルで録画する予定である。その講演は、11月17日(水)〜18日(木)と、11月24日(水)〜25日(木)の2回に分けて内田洋行から配信予定となっている。無料で配信される講演なので、是非ご覧いただきたいが、詳細は追ってお知らせするので、今少しお待ちいただきたい。

どちらにしても「SOMPOケア」の今回の決定は、「英断」であると評価したい。

介護人材の給与評価は今まで低すぎたのである。それを変える風を吹かせたのが、SOMPOケアの英断であると評価されてよいのだと思う。

そしてその風に乗り遅れる介護事業者が、今後淘汰されていくことはある意味、やむを得ないかもしれない。
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大事な志を奪い取られる場所で若い芽は枯れ死にます


高校を卒業して介護福祉士養成校に入学してくる学生は、介護福祉士になりたいという様々な、「動機づけ」を持っている。

しかもその動機づけは、かなり強く重たい動機づけであることが多い。

学生時代に進路指導の際に担当教員から、介護の仕事に将来性はないので進路を考え直すように指導されたにもかかわらず、強い意志で当初からの動機づけを護って入学してくる学生も少なくない。

その中には介護福祉士として働く自分の親の姿を見て、あんなふうに人の役に立つ仕事をしたいと思って入学してくる学生もいる。まさに親の背中を見て育った結果である。

そんな風に我が子に尊敬される介護福祉士は、きっと誰もが認める信頼される仕事をしているのだと思う。そしてその仕事ぶりを、自分自身の姿や言葉で子供に伝えているのだろう。それは尊敬に値することだと心から思う。

自分の仕事に誇りを持っているからこそ伝わるものがあり、我が子の心を動かすのだろうと思う。そんな家庭で育った若者が、変な人間になるわけがない。

彼ら彼女らは、親とその仕事に誇りを持っているから、自分が介護の専門職になろうと頑張ることにも誇りを持っている。介護の仕事に決して将来がないなん思っていない。むしろその子たちは、自分の将来を、自らの力で手に入れようとしているのである。彼ら彼女らに幸あれと願うばかりだ。

そういう介護人材こそ本当の意味で、「金の卵」だと思う。そうした人材をつぶさないように、大切に育てたいと思いながら彼らを指導している。

ところがそんな大切な人材をつぶしているのが、人材を求めているはずの介護事業者である。そこで働く介護職員が、若い芽を摘み取ってしまうという現実がある。

介護実習中に介護技術を伝えようとせず、職場のルーチンワークを指導して終わるだけならまだしも、そこで利用者の方々に丁寧に接しようとしている若者に、「そんなことしていたらいつまでも仕事が終わらないよ」と言って、乱暴で機械的な作業を強いる人がいたりする。

それに対して学生は疑問の声さえ挙げることを許されない。何か言おうとしたときに、「理想と現実は違う」という言葉で、すべての声は封殺されてしまうからだ。

しかし理想と現実が違っているのは当たり前だ。理想は目指すべきものであり、現実がそこに達していないからこそ、目標にする理想が存在するのだ。

その目指すべきもの自体を否定してどうするのだと言いたい。あなたの現実のひどさを、何とかしようとして理想があるということを忘れないでほしい。

人は間違ったことを他人に強いるとき、「それが現実だ」というのである。そうした間違った指導がそこかしこで行われているから、人材は育たず、良い人材ほど先にバーンアウトしてしまうのだ。

そのような人材をつぶす指導が学生実習の場だけではなく、新卒者が就職した職場で、入職初日から行われることも多い。そこで志のある若い芽は摘まれてしまうのである。

それが日本の介護現場の実態の一部であり、人が育たない根本原因でもある。ここにメスを入れない限り、介護人材不足は解消しないだろう。

昨今の介護業界は、そこで働く人々に仕事に見合った対価を支払おうという方向に動き続けている。政治もやっとその方向に舵を取り始めたところだ。

そうした風を受けて、まともな介護事業経営者なら、介護福祉士の存在価値をきちんと認めて、相応の対価を支払う方向に舵取りをしていくはずだ。

そういう意味でも介護の仕事に将来性がないなんてことにはならないし、介護福祉士という有資格者の未来は決して暗くないのである。

介護という職業に光が差し始めているのだ。しかしその光を遮るのが、介護の場で働く志を持たない先輩職員であるという現実がある。それが光の届かない影を作り、闇を深くする根本原因だ。

この闇を払うために何をすれば良いのか・・・そんなことを考えながら日々情報発信を続けている。そして志を同じくする人々と、闇を払うためのスクラムを組もうと繋がりあっている。

貴方の職場が、どうぞ若い芽を豊かに育てる職場環境であってください。どうぞ若い芽を枯れさせないように、あなたの手で水を撒いてください。どうぞ・・・お願いします。
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人材の見極めをどうするかという課題


介護人材不足が益々深刻化する中で、募集に応募してきた人を、とりあえず全員採用してしまうという乱暴な介護事業者が存在する。

しかしそんな数合わせをしていると、教育も指導も行き届かない何でもありの人間がたくさん職場の中に居ることになって、職場の秩序が乱れ、人間関係を含めた職場環境は悪化し、ますます人が定着しにくい職場になってしまう。

そこのような介護事業者のサービスの品質は劣化の一途をたどり、顧客に選ばれなくなるだけではなく、不適切サービスが虐待へとつながって事業経営の危機に直面するかもしれない。

そうならないようにきちんと人物を見極めた採用に努めなければならない。

介護人材がどこも不足している現状では、他の介護事業者で働いていたというキャリアが重宝されることも多い。

しかし経験者というだけで、即戦力になるだろうと採用するのも善し悪しだ。

経験というものは、時にバリアにしかならないことがある。きちんとした教育を受けずに、我流で覚えた知識や介護技術が一番だと勘違いしている人は、そこから一歩も抜け出そうとしない。その結果、正しい介護技術を受け入れようとせず、今までその事業者で展開していたサービスの品質に低下をもたらす元凶になりかねない。

そうしないためには、経験はスキルにならないことを前提に、新しい職場のルールや指導を受け入れることができる人材であるのかどうかということをきちんと確認する必要がある。採用決定前に新たな職場での仕事のルールや方法に従うように約束してもらう必要があるのだ。

そして採用時の約束事がきちんと守られているかというチェックを採用後に行う必要もあり、守られていない場合は、合理的理由による使用者の解約権を行使する必要もあるだろう。

だからこそその使用者側の権利を行使できる「試用期間」を就業規則に定めている必要がある。(※試用期間は労働法規上、定めなければならないという規定がないため、定めおいていない事業者が少なからず存在する。)

そもそも転職する人には、前の職場をやめなければならなかった理由がある。それが前の職場に問題があって、適切なサービス提供ができる環境になかったとか、その人材のスキルに見合った待遇や環境を与えられなかったというならともかく、その人物そのものの問題で、周囲と軋轢しか生まなかった結果だとか、そもそも介護の仕事に向いていないというなら、その経験はあるだけ邪魔でしかない。

そこの見極めは難しい。採用面接で真実の退職理由を明かす人はほぼいないといってよいからだ。だがそのことをできるだけきちんと調べなければ大変なことになる。だがどうやって調べればよいのかも悩ましいところだ・・・。

こんな例もあった。・・・熊本県のとある有料老人ホームで、頑張っている介護職員の業務負担を減らそうとして増員のための職員募集をかけたところ、近隣の介護施設で働いている経験者が、「スキルアップしたい」という理由で応募してきたケースである。

しかもその職員から、「現在の職場に良い人材が別にいて、その人もスキルアップの転職を希望している」という話があり、それならということで、その応募者が働いていた施設を退職した3人を同時雇用したという。

結果、その3人は新しく働くことになった施設で派閥のようなグループを創り、他の職員の働き方に口を出すようになったという。その結果、職場全体の仕事の質が落ち、人間関係に軋轢を生みだしただけではなく、陰でその3人が中心となり、利用者虐待を行っていたことが明らかになり、新聞報道されたことで経営危機に陥ったのである。

このような問題があるから、どこかの事業者を一斉退職した人を、新たに雇用するときには採用側に慎重な姿勢が求められる。少なくとも派閥やグループとなり得る状態の人を一斉雇用することは避けたいものである。

介護事業者の多くは、良い人材を確保するために、面接でしっかり人物確認して、慎重に人材選びを行うことを心掛けているだろう。

しかし面接ですべての応募者のスキルを見極めるなんてことは不可能だ。そのため採用後の教育期間や、前述した試用期間をきちんと定めて、その間に人物を見極める努力は不可欠である。

そのためには組織全体で、採用部門と担当者は、募集と採用だけに力を注ぐのではなく、採用後の教育と人材の見極めまで守備範囲であることを確認事項としておく必要がある。

採用を巡る話題としてつい最近、介護とは直接関係のない民間営利企業において、就職希望者が匿名で使っているSNSの「裏アカウント」を探り出し、その投稿内容を調べて報告するよう業者に依頼し、その内容を採用基準としていたという問題が報道された。

その報道は、採用希望者に隠してそうした内容を調べることはプライバシーの侵害などにつながる不適切調査ではないかと批判的なものであったが、仮に採用希望者に承諾をとって、裏アカウントを含む書き込みを調べることは、採用希望者がNOといえる状態ではないと思えるので、それも不適切ではないかという意見が多い。

このことについて厚労省は、「本人の適正・能力に関係のない情報が把握されかねず、採用に影響する懸念があり望ましくない」と見解を述べている・・・。

しかし採用する側とすれば、採用希望者がSNSでどのような発言をしているかは大いに興味があるところだ。そこには、「適正・能力に非常に関係深い情報」が含まれていることが多いからだ。

どのような価値観を持つ人物なのかが見て取れることが多いのがSNSの書き込みである。

だからこそ対人援助という仕事を行おうとする人物が、人に対する温かなまなざしを持っているのか否かを確認するためにSNSを確認してみることは、決して意味がないことではないように思う。

裏アカウントを調べる技術はないが、採用するか否かを判断する際に、採用希望者のSNSはないかと、一応同姓同名のアカウントを調べることは、あって当然の方法ではないかとも思う、今日この頃である。

どちらにしても採用希望者の、「人材の見極めをどうするか」という今日のテーマは、永遠の課題でもあり、決定打がなかなか見つからない問題でもある。

これが決め手になるという方法をお持ちの方は、是非仲間に向けて情報提供してほしいものだ。

僕の場合は、この点について採用・教育部門が絶え間なく教育を行うとともに、その中で人物評価を繰り返す以外にないと思っている。

そして経営者や管理職には、何か特別なスキルを持った人を評価するだけではなく、遅刻しないで出勤し、始業時刻と同時にコツコツと目立たない作業(利用者への気配り・整理整頓等を含む)や他の職員を助ける行為などをやり遂げている、「凡事徹底」できる人を評価するという姿勢が、良い人材が定着し、その人材を見習ってさらに後進が育つという職場環境が創りだされるのだろうと思う。
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介護助手を増やして誰が喜ぶのか


厚労省は都道府県が福祉人材センターへ、「介護助手等普及推進員(仮称)」を配置した際に、人件費などを補助していく方針を決定し、来年度予算の概算要求に3億円を盛り込んだ。

推進員の役割は、各地の社会福祉協議会や福祉事務所などを巡回して介護助手の担い手を掘り起こしたり、介護助手の受け入れに有効な介護事業者の業務改善・求人開拓などに関する助言などを行うことであると例示されており、当面は都道府県ごとに1人以上の推進員の配置を目指すそうである。

しかしこんなことを介護事業者や国民が求めていると本当に思っているのだろうか?

そもそも介護助手なんて、介護現場で本当に役に立つのだろうか?

助手の役割とは、施設などで物品の補充や食事の配膳、清掃といった仕事をこなし、身体介護などの担い手をバックアップすることである。それによって介護職の人手不足を補うと国は主張しているが、本当にそんなことで介護職員の業務負担が減って、仕事が回っていくだろうか。

清掃を介護職員が行っているという施設はほとんどない。清掃員は別に配置されてるところがほとんどであるし、配膳だって調理委託する業者の職員が行うのが普通だ。それらは既に介護の場からアウトソーシングされ、介護事業者の業務負担ではなくなっている。

物品の補充だって営繕職員か事務職が行っているだろう。今更介護助手を雇って行わせるような業務ではない。

僕が社福の総合施設長を務めていた当時、忙しく重労働に励む介護職員の業務を少しでも楽にしようとして、フルタイムで働くことができない事情のある人や、一部の介護業務しかこなせないスキルの人も雇い入れ、その事情や能力に応じた短時間配置を行ったりした時期がある。

その中には、現在国が配置を促している介護助手に当てはまる職員も複数いた。

しかしそうした職員雇用に対して、介護職員からの評判は良くなかった。

どうせ人を雇うなら、きちんと介護ができる人を雇ってくださいと言われたものだ。特定の時間に、特定の行為しかできない人がいても邪魔になるだけだと言われたこともある。

なるほど・・・。配膳した後、食事介助を行うことができない職員がそこにいて何の意味があるのだというわけである。それならいっそ調理の人が配膳して、そのあと厨房に入っていてくれた方がマシということだ。

そのように考えると、介護施設で介護助手とされる人たちが必要とされる場面というのはほとんどないと言ってよく、そういう人がいた場合には、介護職員があまり介護に精通していない人に、何をすべきか何をしてはならないのかを細かく指示するだけ、業務負担が増える結果になりかねない。

助手的な業務しかできない人はスキルもそれなりで、指示に沿わない動きもしてしまうだろうから、そのことは介護職員の大きなストレス要因だ。

しかも今般の予算要求は、介護助手そのものに対する費用ではなく、その配置をバックアップする推進員を配置するのにかける費用だ。それに対してこの財政難の折に3億もの国費を投入するのも疑問だ。実績のない推進員を配置したからと言って、介護人材不足の解消につながるなんて考えられないからである。無駄金・死に金としか思えない。

さらに言えば推進員が介護助手を、「掘り起こす」というが、介護業務を担えないスキルの人材を掘り起こして、その人が介護事業者の戦力になるとでも思っているのか。そんな中途半端なスキルしかない人物を掘り起こしたころで、事業者のお荷物か、場合によっては事故や不適切対応が増大するというリスク要因にしかならない。

介護人材不足は深刻で、だからと言って介護という専門職は誰にでも担える業務ではないことから、それを補う別な人材を配置して、少しでも介護職員の業務負担を減らそうという目論見はわからないでもない。

しかし所詮介護実務に精通していないお役人の考えることである。介護事業者のニーズと、その考えは全くあっていない。

推進員の詳しい要件にしても同様で、社会保険労務士や経営者らを想定していると言うが、社労士が制度を熟知している人と言えるだろうか?これもあっち向いてホイの考え方である。

お役人様は頭の良い人達だが、自分の身体を使って介護労働を一度もしたことのない人だから、机上の上だけで数合わせや、業務軽減というものを考えてしまう。だからこのような無駄で意味のない対策しか取れないのである。

地位や身分を抜きにして、介護の場に精通した人であって、かつその考え方をきちんと言葉や文章にできる人から意見を聴くべきだと思う。

そうしない限り本当に必要な対策など打ち立てられるわけがないのだ・・・。
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大企業の介護職給与改善の波はどう影響するのか


SOMPOホールディングスといえば、かつては損害保険会社大手というイメージが強かったが、介護事業にも参入して業績を伸ばしていることは、今更言うまでもない。

しかし介護事業に参入した時期は、そう早い時期ではなく後発組と言っても良いと思う。しかしその勢いは目を見張るものがあり、Sアミーユ川崎幸町の殺人事件やアミーユ全体の虐待事件を受けて介護事業が立ち行かなくなった旧メッセージの介護事業を買い取った他、ワタミの介護も買い取るなど急激に事業を拡大してきた。

そのSOMPOホールディングスが、傘下にある介護事業会社SOMPOケアの中核職員約1.000人を対象として、2022年度に年収ベースで100万円程度引き上げる方針を固めたと報道されたのは、先月末のことである。これによってリーダー級の介護職員の給与は看護師と同水準である年収約491万8000円まで引き上げられることになる。

原資となるのは居住系サービスの展開など事業拡大で得た収益で、年間で約15億円を新たに投じていくとのことだ。

同社は2019年度にも一定のスキルを持つ介護職員の給与を最大で年80万円程度引き上げた経緯があり、来年度からはそれからさらに上乗せして介護職員の待遇改善が図られることになるのだろう。

同ホールディングスでは過去に、国内損保事業の従業員を介護の子会社などへ配置転換を進めてるので、配置転換で不利益を生じさせないようにするための対策という意味合いも今回の方針には含まれているのかもしれないが、収益を従業員に還元する一連の給与改善は、同社社員だけではなく、介護業界全体の従業員から拍手が送られてしかるべきである。

こうした大企業の方針が、介護業界全体での職員待遇改善の礎になるとしたら、それは大いに讃えられるべきことであると思うからだ。

そういう意味でSOMPOホールディングス経営陣には心より敬意を表したい。

しかしこうした大企業の経営方針は、経営体力の弱い小規模事業者にとっては脅威でもある。同じように給与改善ができる小規模事業者は決して多くはなく、そこから人材流出が起こる可能性があるからだ。

単純に考えても同じ介護という職業に就くなら、給料がよくて福利厚生も充実しているところで働きたいと思うのは当然のことである。

小規模対応でアットホームな雰囲気で利用者対応したいと考える人にとっても、事業規模が大きくとも、そこで展開するサービスの種別の中には、小規模対応のサービスがあり、そこを選んで就業できるとなれば、その点での問題もなくなる。

SOMPOホールディングスは、居宅サービス部門を中心に拡大路線を続けており、その流れは団塊の世代がすべて75歳となる2022年を前に、通所サービスや訪問サービス利用者の増加という潮流を受けてさらに加速されることが予測される。

その中で人材を集めているのだから、給与改善をしない介護事業者から同社への人材の流出が起きることは必然だろう。

そういう意味で他社は今、SOMPOホールディングスとの人材確保競争が激化すると考えなければならない。そこで勝ち残っていくために何が必要だろう。

小規模事業者の中にはいまだに給料表もなく、昇級規定も存在せず、給与アップは経営者の胸先三寸で決定されて、定期昇給があるかないかさえわからないところも少なくない。しかしそうしたところは、人材にそっぽを向かれて事業が立ち行かなくなることは目に見えている。だからこそ早急なる経営方針の大転換が必要だろう。

事業規模の拡大を図って、提供できるサービス種別も多角化していく必要があることは、このブログで再三指摘してきたところだ。そうしない介護事業者は消えてなくならざるを得ない。

そうであればその影響は、小規模事業者が大企業に吸収合併されていく流れもがきてくるという形で見えてくるかもしれない。小規模事業者同士の経営統合も視野に入れる必要もある。

どちらにしても定期昇給もままならない事業規模(例えば地域密着型通所介護のみの経営スタイル)の事業経営は成り立たなくなるだろう。

そうした危機意識を持たず、職員待遇も旧態依然の状態を放置する介護事業者に勤めている方は、そうしたところをできるだけ早く見放して、自分のスキルアップとステージアップのための積極的な転職を考えることはあって当然だ。

特に能力のある人は、引く手あまたなのだから、きちんと情報を集めて、自分のスキルに見合った転職先を探して罰は当たらないだろう。

SOMPOホールディングスが示した、平均給与モデルは、その際の参考になるのではないだろうか。

そんな新たな流れが生まれる中で、給与を含めた職員待遇面では介護業界の先頭を走ってきた社会福祉法人は、その影響をどんなふうに受けるだろうか。

これから何が起きるだろうか。そのことは明日詳しく論ずることにしたい。(社福は経営規模拡充の波に乗ることができるか呑み込まれるのかに続く)
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潜在介護福祉士は、いないのと同じ


厚生労働省の公式サイトに、「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」という分析結果が7月9日付で掲載されている。

それによると2025年度時点で介護職員の必要数は約243万人、2040年度では約280万人であるとし、2019年度時点ではその数が約211万人であることから、今後4年の間に約32万人、2040年度までに約69万人を確保しなければならないとしている。

しかし直近3年間の増員数は年平均3.7万人にとどまっており、仮にこのままのペースでいくと、2025年度の時点でおよそ10万人以上の不足が生じることになる。

だが介護職員を増員する手立てはほとんどないと言ってよい。

例えば、「特定技能」により日本で介護の仕事に就労する外国人の数が、今年3月時点で去年の30倍の1705人となっており、貴重な戦力となってはいるが、介護の特定技能は1号のみしか認められていない。

その意味は在留期間は5年限定されているということだ。繰り返し延長更新できる2号とは異なるので、特定技能で介護事業者に就業している人たちは就業後5年後以降も働き続けるためには、介護福祉士の資格を取るしかない。それはあまりに高いハードルであり、その人たちがいくら増えても、長期的な人材確保戦略を練るうえで、数字としてカウントできないのである。

そのため国は、介護福祉士の国家資格を持っている人の中で、介護・福祉など以外の分野で働いている7.0%(4万589人)の人々と、特に仕事をしていない13.8%(8万154人)の、「潜在介護福祉士」が介護事業に就業できるような支援策を講じようとしている。

例えば、引っ越しや研修、移動手段の確保などに充てるお金として最大40万円を貸し付け、介護職員として2年間従事した人の返済を全額免除する、「再就職準備金」の支給もその一つである。

しかし潜在介護福祉士と呼ばれる人のうち、「ぜひ働きたい」は数%程度に、「条件があえば働きたい」は30%強にとどまっているという数字もある。

介護福祉士の資格を持ちながら、介護の仕事に従事していない人は、それなりの理由で離職しており、「今後介護事業者で働く意思がある」と答える人も、そのハードルはかなり高く設定しており、ほとんどその意思がない人も多いのだ。

特に年齢が高くなればなるほど、夜勤を伴う介護業務はほとんどする気がない人が多い。また「すぐ働きたい」と回答している介護福祉士の中には、資格は持っているが能力が低いため、まともな仕事ができずに、人手不足の介護事業者も雇うことをためらうというスキルの人が含まれているのが実態だ。

国家試験を経ない養成校卒業生の中には、そういう有資格者も少なくないのだ。まさに、「失火右派仕事をしてくれない」ということの証明である。

どちらにしても潜在介護福祉士を掘り起こすこ徒自体が無理な話で、そのような対策で介護人材不足対策の一翼を担うことができるなんてことはないのである。

そのほかの国の介護人材対策も的外れだ。

今年度から他業種で働いていた者であって、介護職員初任者研修等を修了した者に対して、介護・障害福祉分野における介護職として就職する際に、就職支援金(20 万円)の貸付を行い、2年間、介護・障害福祉分野における介護職員として継続して従事した場合は全額返済免除となる事業も実施される。(参照:雇用と福祉の連携による離職者への就職支援の推進について

支給要件である初任者研修は、就職後に受講しても良いことになっていることも国は売りにしたいようだ。しかし20万円というお金を一時的に支給されて、返済免除になるからと言って、そのことを動機づけにして介護の仕事をしようとする人がどれだけいるかは疑問だ。転職の動機づけにするには金額の桁が一桁違うのではないかと思う。

国の施策で介護職員の数が充足することはないことは、この支援金を見てもわかろうというものである。

しかも介護保険制度がスタートした2.000年から既に20年以上経ち、今後は制度開始直後に他産業から介護職に転職した人で65歳に達する人が増えることを考えると、今以上に退職者数が増えてくる。よって介護人材の必要者数を確保することは絶望的である。

だからこそ介護事業を継続経営していくためには、国の施策に頼らずに独自で職員確保する対策を講じていかねばならないということになる。募集に応募する人を増やすだけではなく、採用した職員が定着し、成長する職場づくりが求められることは、今更云うまでもない。

その具体策はこのブログで何度も書いてきたので、カテゴリー介護人材確保人材育成を参照してもらいたい。

それとともに介護事業経営者や管理職の方々には、自分が人を引き付ける魅力を身に着けてもらいたいと思う。

自分がどんな事業者で働きたいかを、被雇用者の身になって考えてほしい。

仕事には厳しさが必要だけれども、人を気遣える優しさがない人がトップやリーダーの位置にある会社に、自分の大切な時間や将来を預けたいとは思わないのである。

逆に言えば介護人材不足が解決しないという意味は、今後ますます介護を職業とする人は職場を選ぶことができるのだから、自分の将来を託せない場所に我慢して勤め続ける必要はないということだ。

被雇用者が自分の能力に応じて、きちんと職場選びをすることで、良い経営者が労働者にとっても受け入れられる良い経営を行い、そこに良い人材が集まるという流れができる。そこに利用者も集まり、品質の高い介護サービスを利用できるというのが理想である。

どちらにしても介護人材不足が解消できない社会構造は、介護を職業としているスキルの高い人にとっては、自分の能力と希望に応じた職場選びがより可能になる社会であることも意識したうえで、賢い選択をしていただきたいと思う。

その一助に下記のサイトを推薦している。ここは相談から紹介まですべて無料で、しかも専任のアドバイザーが求職者の希望に沿って、随時相談にも応じてくれて、情報も豊富である。お金は一切かからないので、まずは登録から行っていただきたい。
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公式HPを放置する事後者に人が集まるのか?


慢性化する介護業界の人材・人員不足は、ハローワークに職員募集をかけただけでは、有能な人材を確保できない状況を生んでいる。

そのため様々な職員募集の工夫が盛んに行われている。

その方法の一つとして、インターネットを活用するのは当たり前のことであり、介護事業者の公式HPは、「あるのが当たり前」であるし、SNSも活用しなければ人は集まらない。

しかしインターネットを活用しさえすれば人が集まると考えるのは大きな間違いである。

求職者がネットサーフィンして、たまたま自社のHPやSNSにつながり、職員応募に募集してくるなていう確率は極めてゼロに近いのである。

求職者が自社の公式サイトに積極的かつ主体的につなげてもらえるようにするには、求職していない介護関係者が日ごろから求める情報を発信し続ける必要がある。そうした日常的な発信情報を求める人々が集う場所で、職員募集広告が出されると自然と募集に応募は増えるのである。

SNSはそのための必須アイテムであり、SNSでつながる介護関係者を増やし、その何割かの方が公式サイトにつなげて情報確認するという流れを作っておかねばならない。逆に言えばSNSを利用しても、長い期間放置状態で情報が更新されなければ誰もそのSNSにはつなげようとしなくなる。それは存在しないのと同じことである。

SNSの更新情報も、介護施設や事業所の行事・イベントを紹介するだけでは、人の興味は引かない。そんな場所はあっという間に人気を失って誰もつなげなくなる。そのような情報は巷にあふれているだけに、発信情報も差別化を図っていかねばならない。そのためには様々な情報を多角的に発信したうえで、どのような情報に反響が多いかを常に確認するという作業が不可欠になる。そうした地道な努力を続けて、つながる人を増やしていかねばならない。

そのような努力をしないで公式サイトも更新情報がほとんどなく、放置状態の介護事業者が実に多い。公式サイトが存在しても、ほとんど誰からも見られていないなら、それは存在しないのと同じである。
6月24日のオンライン講演
※画像は昨日のオンライン講演会場の準備中の画像。昨日視聴していただいた皆さん、ありがとうございました。
だが見られない方がマシというHPも存在する。情報がまったく更新されておらず、新着情報が掲載されていないHPを見るだけで応募意欲を失う人は多い。URLがいまだにhttpで、https対応していないところが、時代のニーズにマッチする形で今後の事業戦略を適切に立てられる事業者であるとは思えない。そんな公式サイトは閉鎖した方がましだ。

求職者が募集に応募する際や、面接を終えて実際に就職を打診された際には、公式サイトにつなげて、自分が働きやすい職場なのかを確認する傾向が強い。しかしその8割は、PCでアクセスするのではなく、スマホもしくはタブレットでアクセスするのだから、PCのインターフェースより、スマホのインターフェースにこだわってHPづくりをしないと意味がない。

そしてせっかく公式サイトにつなげた人ががっかりしないように、知りたい情報を得られるようにすべきである。理事長や経営者の顔や挨拶なんか誰も見たいと思っていない。そんなものを前面に出す公式サイトで人が集まると思う方がどうかしている。

職場の理念などHPで確認しても、本当かどうかわからないのだから、そんなものも多くの人は見ない。

求職者が求めるのは、自分がどんな待遇で、どのような環境で働くことが出来、教育訓練機会やキャリアパスは具体的にどうなっているかである。スマホで公式サイトにアクセスする人が、そのような情報に容易にたどり着いて、即ダウンロードできる公式サイトを作成しなければならないのだ。

僕は今60代であるが、スマホやタブレット・PCで情報を検索するのは毎日当たり前の作業である。僕と同じ世代の人も同じだろう。

かつて介護事業者の公式サイトが作成し始めたころは、ネット利用するのは30代以下の世代が主であり、ネット上に情報があっても40代以上の人にそれは伝わらないと言われていた時期がある。しかし時代はもう変わっているのだ。

職員募集に応募するすべての対象者は、ネット情報を利用している人だと考えて、人を集めることが出来るSNSと公式サイトを構築していかねば、介護事業経営を続けるための次世代を担う人材確保は難しくなることを自覚してほしい。

介護サービスを利用する団塊の世代の人々も、自分が利用する通所サービス事業所をネット検索して探す時代であるという変化に気が付かねばならない。

インターネットを通じた情報発信力を軽視する介護事業者に、明るい未来は存在しなくなるのである。
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働き手がさらに減る介護事業に求められる視点


北海道は6/1に2020年国勢調査の速報値を発表した。(※国の速報値は、コロナ禍の影響で公表が遅れているが、今月中に公表予定だとされている)

それによると昨年10/1現在の道内総人口は522万8885人で、2015年の前回調査の確定値より15万2848人(2.8%)減り、減少数・減少率ともに1920年(大正9年)の調査開始以来、最大となった。

札幌周辺と一部リゾート地などで人口が増える一方、残る多くの地域で減少が続いており、僕の生活圏域でも、室蘭市は6千人以上、登別市は3千人以上の人口減である。かつて鉄の街として栄えた室蘭市の人口は82.457人となり、いよいよ8万人割れが現実のものとなりつつある。

人口減の原因は死亡数が出生数を上回る「自然減」と、就職や進学で道外に出て行く人が転入者を超過する「社会減」が同時進行していることによるものだ。

自然減とは、死亡者数が出生者数を上回っていることだから、少子高齢化の波は変っていないことになる。しかも来年から団塊の世代(1947〜49生まれの人を指す)の人たちが75歳に達することになるため、後期高齢者の数はさらに増えることになる。つまり若者の減少数の方が高齢者の減少数をはるかに上回り、働き手となる生産年齢人口はさらに減っているのである。

ところで団塊の世代が来年から75歳に達していくということは、介護サービスの利用ニーズが高い後期高齢者の数が、来年から3年間は爆発的に増えていくことを意味する。そのため通所介護などの顧客は増え、顧客確保に困らず事業拡大のチャンスが到来する地域が全国各地にたくさんできるという意味だ。しかしそこで働き手となる人材がさらに不足するという意味でもある。

後期高齢者が増え、生産年齢人口がさらに減る中で、いかに介護事業者は人材を確保できるかが事業戦略としてより重要になってくる。今もそれは重要だが、今後はさらにそれが重要になり、今は何とかなっている事業者であっても、なんとも立ち行かなくなる事業者が増えることになる。

北海道の状況から言えば、郡部はますます人手が不足するが、札幌周辺の市町村も、札幌への人材流出がさらに進み、介護人材のドーナッツ現象(札幌だけに人材が集中し、札幌周辺の市町村の人材がスカスカとなる)がさらに進むだろう。

そのような中で小規模通所介護事業者等は、一時的に団塊の世代の方のサービス利用で懐が潤う事業所が多くなるだろうが、そこで事業戦略を練り直してほしい。人がいないから人手がかかる事業規模の拡大を図る必要はない考えるのは間違った事業戦略だと気が付いてほしい。人手が足りない社会では、事業者内で人手を臨機応変に手当てできる体制がないと、職員の疲弊は激しくなるのだ。それは職員の定着率が下がって、事業が立ち行かなくなる最大のリスクだ。

事業者規模を拡大して、事業者内で職員を育成しながら、足りない事業所に臨機に手当てできる規模とシステムの構築が緊急課題だ。

事業規模の拡大は、事業収益を確保して経営リスクを減らすことにもつながる。

2024年の介護報酬改定は、診療報酬とのダブル改定でもあり、それはアフターコロナの中で、社会保障より経済優先の中で行われる改定である。当然厳しいマイナス改定も視野に入れておかねばならない。

事業規模の拡大は、提供できるサービス種別を拡大することにもつながるので、少ない事業種別で、そこが削減された場合に収益減に直結するリスクを、他のサービスで補うという可能性を高める必要不可欠な戦略だ。

社会福祉法人が、いつまでも特養と通所介護を併設した1施設・1事業所だけで経営できる時代ではなくなるのである。広域型施設を1施設しか持たずに、収益性が見込めない地域密着型特養を併設している施設は特に危ない。

そのため今後は同地域の複数の社会福祉法人が、真剣に合併統合を考えざるを得ない時代に足を踏み入れていることを忘れてはならない。

介護人材を事業所内で育て、事業者内で回して必要な場所に手当てできる規模とシステムの構築。それができるかできないかで、10年後の立ち位置がまったく違うものになるのである。

そのノウハウをしっかり手に入れて、正しい事業戦略が立てられているのかを今一度法人・事業者全体で検証し直してほしい。問題があれば、知恵は何時でもお貸しします。
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介護という職業の魅力をどう伝えるべきか


僕は福祉系の大学に入って、福祉を4年間学んでいた。

だからと言って社会福祉の仕事が、自分に向いている仕事であると思っていたわけではなく、ましてや介護という分野の職業に就くなんて言うことは全く考えていなかった。

福祉系大学への入学動機も、僕の学力で入学できる文系の大学で自分が実家から通える場所に、たまたま福祉系大学があったに過ぎない。学生時代も福祉の勉強に熱心になっていたわけでもなく、単位を落とさないように勉強はしたが、専ら遊びで青春を謳歌していた。ちなみに老人福祉論は、可でギリギリ単位をとれた。

そのようなとき、たまたま僕が卒業する年に創設された社会福祉法人が特養を新設して、そこから大学に、「生活指導員」という職種の募集があり、そこを受験してみたらたまたま合格したので、就職してみるかと軽い気持ちで社会人のスタートを切ったというのが本当のところだ。

当時若かった僕は、自分にはいろいろな未来の選択肢があるのだから、一つの職業だけの履歴で一生を終えるつもりはなかったし、社会勉強という意味で社福の一員になって、特養という介護施設で働くことは、何らかの糧になるだろうと思っていたに過ぎない。

しかしいざ働いてみると、特養の相談援助業務は思った以上に面白かった。人生の大先輩であるお年寄りの方々が、みんな僕に頼って、色々なことを任せてくれた。人様の年金や預金と言った財産管理まで任せ来てくれる人たちの期待に応えなければと思った。

新設施設であったので、当時としては設備も最新で、綺麗な環境で働く喜びも感じたし、登別市内で唯一初めて設立した社会福祉法人で、市内初の特養といいこともあり、市民からの注目度も高く、新採用職員ばかりで知識や援助技術は拙かったが、何とか利用者や市民の期待に声えて、良い施設にしようとみんな一生懸命に業務に携わっていた。そのことが何より働き甲斐に通じた。

当時の老人病院にはできないことをしようとして、おむつの随時交換など、サービスの向上に努める日々が楽しかったから続けられたのだと思う。

相談援助業務専門職は、僕一人しかいなかったが、図々しく近隣市町村の特養の先輩にわからないことを訪ね歩くと、快くいろいろなことを教えてもらった。ネットも存在しない時代であったら、アナログの人間関係は頼もしかった。そういう意味で僕は決して孤独ではなかった。

今介護業界は人材不足に悩まされている。しかし介護事業者から離職する人の3人に一人は、就業1年未満の人なのである。その人たちが介護の魅力を感ずる以前に、なぜそのような短期間に辞めてしまうのかを考えていかねばならない。

未経験者歓迎と謳って職員募集しながら、介護未経験者に適切な知識を与え、段階に応じた介護技術の取得ができるシステムを持たない事業者によって、経験の浅いまま介護現場に放り出された新人が、不安と疑問で煮詰まって、介護の仕事の奥深さも、おもしろさも感じられないまま、仕事に誇りを持つこともできずに辞めていくのである。

介護という職業に就いていながら、人の不幸を創り出すかのような醜い仕事しかできない人がいるのも問題だ。人手不足だからそういう人に注意さえできないという場所に、志の高い人が集まるわけがなく、そこは人罪(じんざい)の掃きだめと化すしかない。汚いところに誰が居続けようとするだろうか・・・。

その状態を改善しない限り、人手不足〜募集〜採用〜離職という永遠ループから抜け出せない。

そして介護現場はもっと、介護という職業の魅力を伝えなければならない。「キラキラポエム」の魅力ではなく、どろどろした人間関係を含めた人の暮らしに深く介入して、誰かの救いの手となることの魅力や、人の死と向かい合って生まれる様々なエピソード・・・そうした喜怒哀楽の傍らでできることがある介護の魅力を発信していかなければならない。

今日も僕の住む地域には、満開の桜が咲いている。誰かの心の花内鳴るように、人の暮らしに優しく寄り添う介護サービスを創り挙げていく先に、介護人材は黙っていても生まれてくるのだということを信じて、日々新しいつながりを大切にしている。・・・誰かのあかい花になるために・・・。
5/14室蘭市高砂町の八重桜並木
画像は本日午前10時30分頃の5/14室蘭市高砂町の八重桜並木です。
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新人は健やかに育っていますか


GWも終わり、その喧噪も収まったこの時期、4月から入職した職員も基礎的な仕事を覚え、ワンランク上の業務にチャレンジしている人が多いだろう。

まだ覚えることはたくさんあるが、少しだけ心に余裕も持って全体を見渡せるようなった人も居るかもしれない。そういう人は日々業務を覚えるだけで精いっぱいであった状態の時より、職場の粗(あら)や問題点も見えるようになって、決してそこが理想の場所ではないという不満を抱えていたりする。

そうした不満や疑問を胸に抱えながら、誰にもその心情を発露できないままでいると、後々大きな問題につながりかねないので要注意である。

さらにこの時期には、新人職員をすでにシフト勤務に組み込む事業者が多くなってくる。(※本来ならこの時期に新人をシフト勤務に組み込むのはまだ早すぎると思う。そもそも論で言えば、この時期に新人をシフト勤務に入れているのが職員が定着しない最大の理由である

そうすると日中働くという体のリズムに強制的な変更を加えなければならなくなり、早出や遅出、夜勤という不規則な勤務に慣れるような身体リズムづくりが必要になってくる。

もともと5月病と言われる新入社員にみられる精神的症状を防ぐには、生活リズムを整え自律神経の乱れを防ぐことが大事だと言われている。しかし介護事業者に勤める人は、生活リズムを自ら乱して、不規則な勤務に慣れるという作業が必要になる点で、自律神経の失調につながりやすいともいえるわけであり、この点が大きな問題なのである。

この点に注意して、新人に寄り添ってくれる先輩が必要だが、その部分を個人のパーソナリティに任せて、職場という組織の中で、そうした寄り添いをシステムとして組み込んでいない介護事業者が多いのが一番の問題である。

介護事業からの離職者の3人に一人が、就業1年未満で仕事を辞めている最大の理由もここにある。

人材育成を念頭に置き、職員の定着率を高めようとする職場であるなら、新人職員の苦悩に気づいて対応すべき担当者を定めておくのは当然であるし、新人は悩みを抱えるものだという前提で対応する方法を組織内に作っておく必要がある。

職場全体で新人職員の変化に気づき、対応するシステムが求められるのである。

新人職員が口数が少なくなる・表情が乏しくなる・仕事上の失敗が増える・遅刻や忘れ物が目立つようになったら即座に対応せねばならない。

そのために日ごろから、「最近疲れてない?」「体調はどう?」といった言葉をかけているという介護事業者があるが、言葉をかけつだけでは不十分だ。そうした言葉かけに対しては、「何でもありません」と答えて終わってしまうケースが多いからだ。

何となく元気がない後輩に対しては、何か問題があることを前提にして対応すべきである。「何ともありません」という答えを信じてはならないし、そもそも新人職員は悩みなしで成長しないことを前提に、悩みや愚痴を吐き打せる時間と空間を積極的に創る必要があるのだ。

だからこそ何もなくても先輩職員と話し合う時間と空間が必要になる。就業1月間は、毎週新人職員と教育担当リーダーが話し合う時間を取らなければならないし、その頻度は就業2月〜半年、就業7月〜1年というふうに減らしていっても良いが、少なくとも就業1年未満の職員は、最低月1度はそうした機会を職場のシステムとしてとっておく必要がある。
オンライン面談
何も面と向かって顔を合わせなくとも、アイホンやタブレット・PCを使ったオンラインによる相談援助場面をつくっても良いわけである。

そこでは公私全般にわたる悩みを傾聴し、ともに考えるという姿勢が求められるだけで、真摯に人と向き合う姿勢があれば、特別なカウンセリングスキルなどが求められるわけではないのだ。

自らの職場で、貴重な人材を育み定着させるためには、そうした取り組みやシステムづくりが不可欠であることを理解しなければならない。

そういう意味では、職員教育のシステムがまったくなく、行き当たりばったりの作業指導しか行わず、新人職員に対するメンタルケアも行われていない職場にはいつまでもしがみついておく必要ないともいえる。自分の心と体を壊しかねないし、そんな場所で仕事の誇りを持てるわけがないからだ。(参照:桜咲く場所で思うこと〜咲けない花は場所を変えよう

自分が働く場所をそんなふうにしてよいわけがない。新人職員を育み、定着させられる職場づくりが、介護の仕事に誇りを持つことができるための第一歩であることを忘れないでほしい。そしてそうした職場づくりが介護サービスの品質を高め、利用者にとっても求められる事業者になることを信じてそこを目指してほしい。

就業から1月を経て、さらに頑張ってもらいたい新人職員の皆様には、「かっこうの森プレゼンツ〜介護を職業として選んだ君へ」をご覧いただきたい。

僕の話を聞いて、介護の仕事の使命と誇りを感じられる方が、一人でも多くなれば幸いです。
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他産業・異職種からの人材を取り込む条件


昨日12日の衆院・決算行政監視委員会で菅首相は、コロナ禍で仕事を失った人などを介護業界へ招き入れる施策に言及した。

国は介護業界に人材を呼び込む施策として、未経験者が新たに介護職として勤める場合、1人あたり最大で20万円を貸し付ける制度を創設し、これを自治体の任意事業として今年度から開始することにしている。そしてこの制度を利用して貸し付けを受けた人が、介護現場に2年間従事すれば、貸し付けたお金の返済を全額免除することとした。

また介護現場を離れている有資格者が再就職するケースで、最大40万円を貸す制度も既にあり、同様に2年間介護の仕事に従事すれば返済は全額免除される。

昨日の行政監視委員会では、この制度の周知が足りない他、返済免除の条件である従事期間の2年が長すぎるので、これを1年にしたらどうかという議論が行われた。

その際質問を行った公明党の伊佐議員は、「1年間でも働けば、『やりがいのある仕事だな』と思ってもらえるのではないか。コロナ禍のピンチをチャンスに変えられないか」と進言している。

その通りであり、もっともな発言であると思うが、同時に異職種からの介護参入組に、『やりがいのある仕事だな』と思ってもらえる職場と、そうではない職場が存在する事実を指摘しておかねばならない。

他産業の異業種から、介護の仕事に転身した来た人の大多数が、介護の職業に就くだけで、「やりがいのある仕事だな」と思えるほど、介護という職業自体が成熟してはいないのである。

誰かの暮らしを支え、生活の質を高めることが介護の本来の目的であるのだから、その本来の目的が達せられる方法でサービスが提供されていれば、自ずと介護という仕事自体にやりがいが感じられるのだろう。

しかし経営者の資質も凸凹が激しく、そうした目的に沿わない介護事業経営が行われている実態もある。それに輪をかけるのが介護人材不足である。増え続ける要介護高齢者の数の急激な増加に、サービスを提供すべき介護人材の数の増加が追い付かず、介護事業経営の最大のリスクは、人員不足でサービス提供がままならなくなることである。

そのため人材の質を考慮することなく、人員集めに走り、さしたる教育も行わないまま、そうした人員を介護の場に放り出して、とにもかくにもサービス提供に結び付けようとする介護事業者も少なくない。そうした形で提供されるサービスの質など底が知れており、中には劣悪で不適切なサービスも含まれている。

そのような状態で、人の暮らしぶりを良くしないサービスを行っている場所で働く人が、「やりがいのある仕事だ」と感じられるわけがないのだ。

虐待まがいの不適切サービスを見て見ぬふりをするような職場で、仕事の誇りもやりがいも感じることができない職場で、その仕事をやり続けようとする動機づけがあるとしたら、それは「適当に働いていても職を失わずにお金がもらえて楽ちんな職業だ」という動機づけでしかない。そういう人だけが定着する職場は、サービスの質などあってなきようなものとなるだけだろう。

コロナ禍で外食産業などが多大な影響を受け、失業した人が介護の職業に転職するケースが増えている。それらの人々の中には、サービス業のプロとして熟練した接客技術を持っている人も多いはずだ。

そうした人が接客技術を生かしながら、対人援助という場面で、個人のニーズに寄り添う接遇ができるようになってこそ、その仕事に誇りを持つことができるのではないのか。そのことで利用者の暮らしぶりが良くなったり、表情が豊かになることに喜びを日々感じることができるのが、「真の介護という仕事のやりがい」ではないのか・・・。

他産業・異業種からの転職者が数多く張り付くことができる今だからこそ、本当の意味で対人援助という仕事のやりがいを感じられる職場づくりを目指して、転職してきた人々が、コロナ禍が収まった後も介護の仕事を続けたいと思えるようにしていかねば、介護人材不足は永遠に解決しないのだと思う。

人材確保という面ではチャンスのこの時期だからこそ、介護未経験の人のスキルをアップさせ、介護のやりがいを感じてもらい、定着して新たな介護の戦略となり続けてもらう介護事業経営戦略が必要とされていることを忘れてはならない。

人集めに困らない時期に油断して、人材育成と介護の品質アップの努力を怠る介護事業者からは、コロナ禍の終息とともに、大量の離職者が生まれかねないことを、介護事業経営者や管理職は大いに自覚すべきである。
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正論がまかり通る職場づくり


介護事業にとって、「人材」は命である。

システムがどのように進歩しても、AIを搭載したロボットの開発がもっと進んだとしても、人の手を加えないとできないことがたくさんあるのが介護という職業である。

繊細な動作と、力を掛けなければならない動作を自然につなぐことができる人間だからこそできることがある。ここにロボットは手が届くのか・・・。感情のある人間だからこそ、感情ある人に向かい合うことができる。ここにAIは近づくことができるのだろうか・・・。

「人は石垣・人は城」という言葉は、現在社会では介護に最もマッチする言葉ではないかとさえ思う。だから人材を集め、育てることは最も重要になるのだ。

だからこそ新年度のスタートを切っているこの時期に、きちんとした新人教育をしなければならない。お客様に接する態度、おもてなしの精神の重要性、そうした介護技術の基盤となる事柄をきちんと教えたうえで、介護の場で技術をつなげる指導が求められているのだ。

今日の時点では、新年度に入職した職員に座学でそうした基礎教育をしているのが本来である。この時期にOJTなんて早すぎる。ましてやシフトに組み込んで仕事をさせているとすれば、それはすこぶる不適切な指導法と言わざるを得ない。

「そうはいっても人材不足だから、正論だけ通してもしょうがない。」という声が聴こえてきたりする。

しかし正論が堂々とまかり通る職場づくりをしていかないと、正論を脇に置いて何でもありの職場になってしまう。それは職場環境が荒れる最も大きな原因になり、結果的にそのようなところからは、良い人材から先に逃げ出してしまうので、人材不足の解消がままならない一番の原因にもつながっていく。

妥協を許さず規律を護る意識がないと、職場はずっと腐り続け、腐臭にまみれることを何とも思わないいなくてよい人員しかいられない場所になるのだ。

今朝僕は自分のフェイスブックに、次のような文章を綴った。
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利用者に対するマナーを教育することを、「押し付け」と考える人が居たりする。職場のルールを押し付けと感じて護る必要がないと考えるなら、それは従業員として失格という意味だ。そもそもどんな職場にもルールは存在し、それを徹底遵守する労務管理はあって当然だ。それを理解できない人は社会人として未熟すぎるとしか言いようがない。

経営者や管理職は、従業員の心無い対応で利用者が哀しんでいたり、不平不満を持っているのがわかっていても、そうした不適切な対応をとる従業員に注意して辞められては困ると考え、数合わせだけのために職場の環境を良くする努力を怠っていたりする。それは介護事業経営を放棄しているという意味だ。

そんな事業者は経営ができなくなる方が世のため人のためである。
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経営者や管理職には覚悟が必要だ。良い人材を育てる基盤は、悪い人材は排除するという覚悟なのである。

試用期間をきちんと職務規程に組み入れ、その期間に人物の見極めを行い、適性のない職員には別の道を選んでいただくということを厳格に行っていかねばならない。人員不足でそんなことはできないと言うが、そんなことをしないから人員不足がいつまでも解消しないことを理解しなければならない。

人員不足が原因で職員の不適切対応が問題になったある特養では、経営者が覚悟を決め、管理職などを刷新して職員の教育管理を徹底したところ、ある時期退職する職員が相次ぎ、業務が回らない事態に陥りかけた。そのため行政との協議によって一時的に一部のベッドを休止し、利用者を減らして対応し、その中で根気よく職員を教育して良い人材を護り育てていった。その結果、そこに良い人材が集まるようになって、今では人員不足どころか人材不足も解消し、職員募集に待機者がいるという状態になっている。

サービスの品質の高い職場、人間関係の良い職場に就職したいと思っている人材は、まだまだたくさんいるのである。そういう人たちがこぞって張り付く職場・・・そういう職場づくりを目指していかねばならない。

職員教育どころか、不適切な態度を叱ることもできず、マナーのない顧客対応に注意もできない職場では、正しい介護知識や技術を身に着けている職員より、不平・不満の声を高らかに挙げる職員の方が幅を利かせたりする。

そこは民度が極めて低い職場となり、人間関係上のトラブルが絶えない職場になる。

ある職場では、虐待事例を上司に報告した職員が、密告者としてやり玉にあがり、肩身の狭い思いをしているそうだ。

職場環境を良くしようとし、利用者に対する虐待を放置せず報告した職員が働きづらくなる職場が、健全なる労働環境と言えるだろうか。そこは違法が大手を振ってまかり通る無法地帯でしかない。そのような民度の低い職場に、今後も良い人材が集まるわけがないのである。

虐待を見て見ぬふりして放置する職員が正しく、虐待を報告する職員が悪だとされる介護事業者であるとすれば、その介護事業者では常に利用者の誰かが傷つけられ、それは深い闇の中に隠されていることになる。

そんな職場で自分の仕事に誇りを持つことができるだろうか。誇りを持てない仕事を、この先何年も続けられるだろうか・・・。

そんなふうにして人を傷つける、人の心を奪う介護であってはならないのだ。そういう職場にしないために、何が必要とされているのかということを、私たちは常に考えていく必要があるのではないだろうか。

なぜならそれはいつか私たち自身や、私たちの愛する誰かにはね返ってくる問題なのだから・・・。
あかい花
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職員の定着率をアップさせるアイテムを手に入れよう


15日に閣議決定された第3次補正予算案に、介護分野の緊急包括支援交付金の積み増しが含まれている。

そこには介護・福祉分野への就職の後押しや介護ロボットの導入支援、介護施設の防災・減災対策に充てる経費が含まれているが、介護事業者の感染予防対策のかかり増し経費などを支援する補助金や、介護事業者に勤務する職員への慰労金の再支給は含まれていない。

慰労金の再支給が見送られたのは特に残念である。慰労金の支給対象は6月30日までに10日以上対象施設で働いた人だけに支給され、5万と20万の支給金額の違いも、この間の感染者への対応の有無などで分かれているので、7月以降に数多く発生しているクラスター感染に対応している新たな職員等には国からの給付が何も受けられないことになる。それはあまりに不公平で可哀そうなことだと思う。

野党は引き続き慰労金の再支給を求めていくと言うが、今年度中の再支給は非常に難しくなったと言えるのではないだろうか。

ところでこの慰労金が事業者都合で支払われていないという問題を取り挙げたことがあるが(参照:従業員を大切に思う姿勢が問われる慰労金申請問題)、まだ慰労金を従業員に手渡していない事業者の中には、冬の賞与に上乗せして、この慰労金を支給するというところもあるそうだ。

結果的に従業員に慰労金が渡るのだから、その方法も問題ないと言えば問題はないが、事業者が代理受領しているだけで、支給を受ける権利は従業員個人にある慰労金を、事業者が支払うべき労働対価と混同させるような支給方法はいかがかと思う。本来ならばこの慰労金は、給与・賞与とは分けて支給するのが筋ではないだろうか・・・。

本当に職員を大切にする介護事業者は、慰労金の申請や支給の仕方にも従業員に対する誠意を見せてほしい。そうしないと職員にとって長く安心して働くことができる職場にはならないと思う。

そういう意味では職員の皆様にとっては、コロナ禍における一連の事業者対応が、本当に従業員を護ってくれる経営姿勢なのかどうかを測るバロメーターになるかもしれない。従業員を大切に思ってくれない職場と感じたならば、別の職場を探すことも選択肢として持っておいた方が良いと思う。

ところで介護報酬改定では、サービス提供強化加算について、特養や老健、グループホーム、特定施設、通所介護、小多機などに設定されている共通の要件を、現行の勤続3年以上の職員が30%以上から、 勤続7年以上の職員が30%以上に変更し、より長い勤続年数の設定に見直すこととしている。

この加算を算定できなければ、苦しい経営を強いられる事業者も少なくない。それを考えると今後は、ますます職員の定着率を高めていく必要があると思える。

その為には様々なアイテムが必要だ。定着率に影響するのは待遇ばかりではなく、職場環境を良くすることに加え、仕事への誇りを抱くことができるアイテムを備えておく必要がある。

職場のイメージアップ戦略は実質を伴わないと幻滅要因にしかならないことも理解すべきだ。

誰もが安心して利用できるサービスを謳い文句にしている介護事業者で、職員がマナーのない態度で利用者に接し、荒々しく利用者に接する先輩職員の姿を見て、介護の仕事に思いを持って入職した新入職員のモチベーションは奪われていくのである。

介護職の自尊心を下げるような環境が離職を生むのだから、顧客に対して無礼な態度がまかり通る職場では定着率は高まらない。

真実の中でしか仕事の誇りは生まれない。だからこそサービスマナーの確立は、職員の定着率を向上させる最強アイテムとなり得るのだ。

今コロナ禍で介護業界以外の他業種から、介護職に転職してきた人が増えている。それらの人たちの中から顧客に対する従業員の、「タメ口」対応が異常だという指摘が相次いでいる。その姿は醜く汚らしいという人も多い。そのように感じる人たちが、コロナ禍が終息した後にも、介護事業者に残って介護職を続けてくれるだろうか・・・。甚だ疑問である。

先日、「民度が低い介護業界の現状」という記事を書いたが、そこには幾人かの方々がコメントを寄せてくれている。その中には、「タメ口が当たり前の人も介護を辞めて他の仕事をすれば接客言葉になる」という鋭い指摘もある。介護業界の異常さ、民度の低さを現す的を射た指摘であると思う。

こうした民度の低さを打破して、対人援助のプロとして顧客に適切に接するマナーが浸透した職場には、先輩職員の利用者に対する汚いタメ口や、馴れ馴れしいだけで乱暴にも見える態度に嫌気が差している、志の高い職員が転職してくる可能性も高まる。サービスマナーに徹した職場には、良い職員が定着し、良い職員が寄ってくるという好循環が生まれるのである。

専門職としてのあるべき姿を求める厳しい姿勢によってしか仕事の質は高まらないことを、介護事業経営者や管理職の方々はもっと強く自覚すべきだ。

そのうえで介護は底辺職業で、介護職は可哀そうな人というイメージを払しょくする経営努力が求められるだろう。
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叱ると辞めてしまう人は、いらない人


介護人材確保が経営課題となっている今日、今いる従業員が辞めてしまうことは、大きな痛手だと思っている経営者が多い。

勿論、事業者にとって誰にも替え難い人材が辞めてしまうのは人材流出でしかなく大問題であるし、人材不足の解決のためには、職員の定着率向上が大きな課題であることは今更言うまでもない。

だからと言って人物評価をおろそかにして、誰でもよいとして闇雲に採用すればよいということにはならないし、採用時の評価が完璧で間違いのない事業所なんかないのだから、採用後の振るい分けが必要ないということにはならない。

入社前に期待していた能力が入社後には全く発揮されず、担当業務をいくつか変えても勤務成績が上がらないという人は必ず出てくるのだ。

そういう人物については、試用期間に適格性を判断し、合理的理由による解約権を使用者が行使する必要がある。

対人援助サービスに向かない、スキルの低い人間を、ありもしない将来の教育効果を期待して残しておくと、結果的には他の職員に負担がかかるだけではなく、虐待・不適切事例がいつ起きるかもしれないような経営リスクに直結するからである。

よって試用期間中は、しっかり人物を見極めるために厳しい教育訓練が不可欠であり、根拠にも基づく援助技術指導に対する教育効果が十分に表れない場合には、「叱る」という教育的指導も必要になるのである。

そうした中で簡単にやめていく職員は、将来事業者にとって必要な人材にはならないのだから、やめてもらってよい人だという割り切りが必要だ。そうした早期離職を恐れて、叱ることができないのでは、教育はあってなきがごとき状態に陥ってしまう。そういう事業者に良い人材が集まることはないし、人材不足は永遠に解決しなくなる。

そもそも叱るとは、「良い方向へ導こうとする」という意味を持つもので、教育的指導を表す言葉である。それは腹を立てて感情的に怒りをぶつける行為とは根本的に異なったものである。

人を叱ることなんて、本当は誰もしたくはない。嫌われる行為は誰しも避けたいからだ。それでも叱る理由は、叱る相手の人間的成長を期待するからにほかならず、それは何より愛情ある行為と言えるのである。

そのことを理解できずに、叱られて簡単にやめてしまう人は、そもそも対人援助に向いていない。愛情を理解できない人に、愛情を持って人に接することなんてできるわけがないからである。

介護という行為は、科学的根拠が求められる行為であり、愛情なんて言う目に見えない非科学的なものに頼っては駄目だという人がいる。しかし愛情・人間愛というエッセンスに欠けた行為は、人を決して幸せにしないのである。目に見えない人間愛のない行為を繰り返すことで、感覚を麻痺させ、デリカシーに欠けた行為が行われるようになる。そこでは人が傷つく行為を悪気なく行ってしまう人間が出来上がってしまうのである。

介護業界ではいまだに虐待防止が研修テーマとなっているが、その理由の一つには、当事者が虐待とは思っていない行為で、利用者を傷つけているという事実が存在するからである。

しかし人に関わり、個人のプライバシーに深く介入する職業についている人にとって、そのような鈍感さは許されない。だからこそ人を傷つけることがないための基盤となる人間愛を伝えることは避けて通れない人間教育なのである。

管理職は教育場面でも、部下に思いを伝えるために丁寧に説明して、厳粛に実行する覚悟が求められる。その際に、「叱る」という行為を排除して、自分が嫌われないように逃避することは許されない。むしろ業務上必要な注意をして、それが理由で辞めていく人罪は辞めてもらった方が良いと考えて、愛情を持って叱るべきなのである。

職場環境を良い状態に保ち、職場内の人間関係を豊かに保つためには、決めごとを決められた通り実行する習慣づけが不可欠であり、すべての従業員が行動・言葉・考え方を美しくあるよう心掛けるようにしつけることが重要になってくるのである。

このことを理解せず、従業員がいつ辞めてしまうかを気にかけながら、間違った行動や、誤った姿勢を叱ることができる上司がいない職場に、明るい未来は決して訪れることはない。

さすれば自分の職場の上司が、仕事も満足に覚えず、丁寧に顧客である利用者に接することもできない部下を、叱りもせず、行動変容も促さない職場には、いつまでもとどまっている必要はないと言えるのである。

対人援助のスキルの高い人であればあるほど、自分のために、どうしようもない職場と上司に見切りをつけることがあっても良いのである。
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抜本的介護人材対策のない介護離職ゼロ社会は実現不可能。


政府は2日、第2次安倍政権が2015年から旗印に掲げていた「介護離職ゼロ」について、「引き続き、実現に向けた取り組みを進めていく」とする答弁書を閣議決定した。

しかしこの政策を実現するためには、「介護人材確保」が絶対条件である。しかも今行われている施策や、考えられている施策では不十分で、もっと抜本的で革命的な施策が必要である。

特に地域包括ケアシステムにおいて、「在宅ケアの限界点」を引き上げ、高齢者ができる限り住み慣れた地域で暮らすことができるためには訪問介護が不可欠だ。

ところがこの訪問介護はすでに枯渇状態だ。訪問介護員の全体の平均年齢は55.5歳である。しかも50歳以上が全体の73.0%を占めており、20代は1.0%という現状は、近い将来このサービスが消滅する危険性が高いことを意味している。

そもそも訪問介護員は、なぜこのよういびつな年齢分布になっているのか。その答えは簡単だ。その理由は、2000年にスタートした介護保険の創設時に、主婦層でヘルパー2級資格を取得する、「ブーム」が起きたことに起因しているのである。

2000年前後に、当時の30代・40代の主婦がヘルパー資格を得て、増え続けていた訪問介護事業所に雇用されるケースが目立っていたわけである。

その人たちが20年を経て、50代〜60代になってきているにもかかわらず、それに続く若い人たちが訪問介護員という資格に魅力を感じずに、ヘルパー2級講座に替わる現在の初任者研修は人気がなく、講座を開いても受講者が集まらない状態のところが多くなり、新たなヘルパーの成り手がないという状態が続いているから、訪問介護は絶滅危惧職種になっているのだ。

ここに手を入れない限り、地域包括ケアシステムは崩壊するし、介護離職はゼロにならない。対症療法的方法ではなく、大手術による改革が必要なのだ。

他のサービスと比べて、決して報酬が高いと言えず、むしろ低いとさえいえる訪問介護に限って、従事するために資格が必要だということがおかしいのである。本来唯一資格を求めるような職種・サービス種別であるなら、それは他の職種やサービス種別に比して、報酬が高くなければならない。そうなっていないといういびつな状態をなくさないとならない。

そもそも初任者研修受講条件の資格なんて、サービスの質を担保するほどのものではないのである。介護施設の介護職員は無資格でも構わないとされ、そのことで大問題が起きているわけではないのだから、訪問介護員にだけ資格が必要であるというルールなんて失くしてしまえばよいのである。

それができないのは、初任者研修を開催する主体の利権絡みかと疑いたくもなるというものだ。

訪問介護員に資格は不要とする改革からまず始めねばならない。コロナ禍特例で介護職の経験があれば資格のない者にも、訪問介護サービスを認めたことを橋頭保にして、ここの改革から取り急ぎ始める必要があろうというものだ。

ところでこの介護人材問題に関連しては、厚生労働省が来年度から、これまで他の業界で働いていた無資格の人が介護現場へ参入するのを後押しする施策として、新たに「就職支援金」を貸し付ける考え方を示している。

無料で受講できる研修を修了することを条件に、最大で20万円を支給し、介護職員として2年間従事すれば返済を全額免除するというものだ。

コロナ禍で失業者が増え、有効求人倍率が8カ月連続の減少で、2014年1月以来、6年7カ月ぶりの低水準となっている現在も、介護事業者の求人率は高いままなのだから、この支援金は一定の効果があり、他業種からの介護事業者への転職者を増やす効果はあると思う。

しかし20万円という金額は、介護の仕事に就くきっかけになっても、それを返さなくて済むように最低2年は働こうという動機づけになるほどの金額ではない。

だから問題はその後だ。未経験者が介護の知識や技術を獲得し、安心して働くことができ、永くその職場に定着できるかどうかは、ひとえにその職場に置ける教育システムの在り方にかかっている。(参照:間違いだらけの基礎学習&OJT

このことに関連して、来週の火曜日(10/6)19:00〜UCHIDAビジネスITオンラインセミナー介護施設における人材育成のポイントは?」をYouTubeで配信予定である。

申し込みはまだ受け付けており、申し込んだ場合は誰でも無料で受講できるセミナーなので、興味のある方は是非、張り付いた文字リンクからお申込みいただきたい。来週配信するのは、OJT指導のポイントであり、指導する人・指導される人、両者にとって有意義な内容になるように努めている。

このように介護事業者における職員確保のための工夫・募集の方法、介護職員の定着につながる教育などについても講演テーマとしているので、講演等を希望される方はメール等でお気軽に相談いただきたい。

直接出向いて行なうスタイルであっても、オンラインであっても、希望に沿った形で講演は受け付けているので、是非ご一報願いたい。
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他業種からの転職者が介護の仕事を続けたいと思う動機づけ


コロナ禍で職を失うなどして、他業種から介護事業者に職を変えた人の中には、介護の仕事を、「腰掛け」程度に考えている人も多い。

就職先を探す過程で、たくさんの介護事業者が職員募集をしていることが目について、そこは資格も経験も必要なく働くことができる場所だと知って応募し、面接を受けてみると、思ったより簡単にその場で採用が決まり、都合の良い日からすぐに出勤してほしいと言われたので、とりあえず就職することにしたと言う人も多いはずだ。

その人たちは、働いてみて自分に合わないと感じたり、自分が本当にしたい仕事ではないと感じた途端に辞める人かもしれない。そうではなくともコロナ禍で失われた元の職業に、コロナが終息した後に戻りたいと考えている人かもしれない。

そういう人たちの中にも、昨日書いた記事で指摘したように、きちんとした知識を与え、技術指導を行うことで、介護の職業にプロ意識を持って臨めるようになることが、介護の職業を続けようとする動機づけの第一歩となる。

きちんとした指導方針があって、時には厳しい指導を伴い、結果を求める学習過程で零れ落ちる人が出てくるのは、介護の職業に向かない人を振るい落とすという意味で意味があることだ。この過程をおざなりにして、「あまり厳しいことを言って、すぐにやめてしまっては困る」と教育・指導責任を放棄してしまう事業者には、「人材」より「人罪」がはびこる結果となり、介護の質が低下するだけではなく、人間関係をはじめとした職場環境が悪化し、別な意味で人員不足が生ずることになる。

だからこそ新人教育は、職場環境を良好な状態に保つためにも必要となるのだ。

しかしそれだけで職員は定着しない。対人援助の場では、自分が獲得した知識や技術によって、利用者が喜んでくれて、暮らしぶりがよくなることに多くの人は喜びを感じ、自分が就いている仕事の意義を見出し、仕事が面白いと感ずるのである。

他業種から転職して介護職に応募する多くの人たちは、その仕事がどんな仕事であるかという実情を正確に把握していない場合が多い。漠然としたイメージとして、介護の仕事は人のお世話をする仕事で、人の役に立つ仕事なんだろうと考えて募集に応募するのだ。

軽い気持ちであったとしても、資格も経験もない自分が人の役に立てるかもしれないという動機づけを持って募集に応募してくる人が多いのだ。

サイコパスのような特殊な例外ではない限り、最初から介護の場で、人を傷つけてやろうと思って就職しようとする人はいないし、一獲千金を狙って介護職の募集に応募する人もいないのである。

多かれ少なかれ人の役に立ちたいと考える人たちが、介護の仕事を自分の天職だと思えるようになるためには、介護サービスが人の幸福に寄与する仕事だと実感できることが重要だ。自分がそこで働くことによって、利用者の暮らしを支えているという実感を持てるかどうかが、介護職員の定着率の向上には重要な要素になるのである。

人の役に立つ仕事に就きたい思って就職した先で、職員が利用者に対しデリカシーのない言葉かけをしたり、乱暴な言葉と態度で接する姿を見て、「介護の仕事って人の役に立たない」と心を折る新人職員は多い。

丁寧な対応ができる職場で働きたいという動機づけを持っている人は、考えられている以上に多いにもかかわらず、将来「人財」となる素質を持つ若者が、先輩職員のタメ口にストレスを感じて辞めてしまうという例も多い。

例えば昨日の記事にコメントがつけられているのでリンク先を参照してほしいが、そのような施設に就職した人は、介護の仕事に面白みなど感ずることができないまま、惰性で働き続けるか、辞めてしまうかの2択しかなくなるだろう。そうなると、たとえ惰性で働き続けたとしても、その職場の介護サービスの品質など良くなろうはずがなく、永遠に職場環境は良くならない。そんな場所に人材が張り付くわけがないのである。

だからこそサービスマナー意識は必要不可欠なのである。マナーのある職員対応から介護サービスの品質は創られ、そこではマニュアルでは決して創ることができない、ホスピタリティの意識が芽生えるのである。

そうなると自然と介護サービスの品質も向上し、利用者に笑顔が生まれ、その笑顔を見て職員も気持ちよく働くことができるのだ。

そういう職場で働くのは、おもしろいし楽しいだろう。だからこそ介護サービスの品質を向上させ、職場環境を良好にする、「サービスマナー教育」は何よりも重要になるのである。

それが証拠に、利用者への接し方が丁寧で、傍から見ても気持ちよく、しかも介護技術が丁寧で、利用者からも信頼を寄せられている介護職員がいる介護事業者は、介護福祉士養成校の学生に人気がある。実習中に丁寧に利用者対応している介護職員の姿に触れて、「あの人に学びたい」という理由で募集に応募する学生は多いのである。

是非そのことを念頭に置いてほしい。職員募集に応募してきた人を闇雲に採用して人材確保ができたと思い込まず、募集に応募者が増えている今だからこそ、きちんとした採用基準を定めるとともに、対人援助としてのスキルを伸ばすことができる職員教育・指導のシステムを作り上げないと、介護事業を安定して続けられなくなるという危機感を持ってほしいと思う。

単なる人員のままで、指導も教育もおざなりにしていると、その人員は決して人材となることはなく、人罪として職場をかき回し、荒廃させるもとにしかならないことを心してほしい。
知恵
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求人募集に応募者が増える介護事業者がすべきこと


コロナ禍の影響を受けて、仕事が減ったり解雇されるという憂き目に遭う人たちが増えている。

ホテルや飲食店の従業員の方々、タクシー運転手や運転代行の方々など、社会の広範囲にわたって職を失う人が増え、来春の新規採用を控える企業も続出している。

そのような中で、慢性的な人手不足が続いている介護事業者の求人応募者が増えているそうだ。地域によってはかつてないほどの応募者増加が見られ、人員が充足したと一安心している介護事業経営者の声を聴く機会が増えている。

しかし問題は新規採用した人たちが介護事業者の戦力となって、長く働き続けてくれるのかということだ。コロナ禍が終息し途端に、それらの人たちが介護業界から雲散霧消してしまうという結果になっては何の意味もないのである。

新たに募集に応募した人たちの多くは、介護事業とは異業種・異職種に勤めていた人達だろうと思う。コロナ禍という状況で職を失って、初めて介護職に就くという人が多いのではないかと思う。

そういう人たちがファーストキャリアとなる場所で、しっかりと介護の基礎技術を覚え、安心して働きながら介護職の魅力を感じ取れずに、短期間で辞めてしまう結果になれば、職員の充足は一時的なものになるだけではなく、仕事を覚えきれないうちに辞める人が多くなることによる別の弊害が生じてしまう。

職員の充足が一時的なものに終わって、退職する職員が増えるということは、今いる職員に新人教育という業務負担を増やすにもかかわらず、結果的にその教育が無駄となるという意味だ。それは今いる職員に徒労感を負わせるだけの結果にしかならず、場合によっては知識と技術のある職員のバーンアウトにつながりかねない問題である。

だからこそ基礎教育をしっかり行い、根拠ある方法としての介護技術を身に着けるように指導し、安心して働くことができるようにしなければならない。そのうえで介護の魅力を伝えていくことが大事になる。

ひどいところになると介護未経験者の新人職員に対し、食事介助技術の基礎を教えることもなく、就業初日からいきなり食事介助をさせるという蛮行にでるところがある。基礎指導もなく先輩の食事介助を見て覚えろというのは、あまりにも乱暴だ。食事を食べさせるくらい誰でもできる行為と思われているから、そのような蛮行が行われるのであろう。その結果介護の場では、ここ十数年間食事介助中の窒息死がゼロになった年はない・・・。
危険な食事介助
その一番の原因は、いまだに立ったまま食事介助を行っていることだ。食事介助は座って、利用者と目線を合わせて行なわねばならないという基本技術を教えていないのである。

OJTに入る前に、介護マニュアルによる指導を行う必要があるのに、そのマニュアルがないとか、あっても使われていないとかいう問題を解決せねばならない。使われる介護マニュアルを作って、OJTという現場指導に入る前に、マニュアルを使った座学による基礎技術学習機会を作らねばならない。
食事介助マニュアル
これは僕が作成している介護マニュアルの食事介助に関する部分であるが、このように食事介助一つとっても、単に食べさせるという行為のみならず、準備行為から後始末としての口腔ケアまで様々な注意点があるのだ。こうした基礎をしっかり学んだうえで、OJTはその座学で得た知識を、技術として生かすことができるような指導として行なわれるのが本来である。

内田洋行オンラインセミナー基礎座学やOJTをはじめとした職員教育については、明日もオンラインで情報配信する予定がある。

9/16(水)19:00〜20:00まで行われる、「UCHIDAビジネスITオンラインセミナー〜介護施設における人材育成のポイントは?」は、どなたでも無料で参加できるセミナーで、今からでも申し込み可能である。

明日の配信分は、すでに録画されたものであり、前後の紹介等を除くと、僕の講演自体は賞味45分程度の長さになっているので、あっという間に聴き終えることができると思う。
(※第1回の人材確保策の講演後のアンケート結果は文字リンクをクリックして参照ください。)

9/16の第2回と10/6(火)の第3回セミナーのテーマは、「人材育成」である。10/6は生配信なので、チャット形式の質問も受けつけることにしている。9/16が経営者や管理職向け、10/6は介護リーダー・一般職員向けとなっているが、できれば管理職も一般職の方も、両方のセミナーを続けて視聴していただきたい内容になっている。

配信ツールはユーチューブなので、多くの方が使い慣れ、操作に苦労することもないと思う。送られてくるURLにアクセスするだけで簡単に視聴できるので試していただきたい。

異業種・異職種から職員募集に応募し採用した人が、一日でも早く戦力となれるように、きちんと根拠に基づいた指導をしたいものだ。しかしそれができない介護事業者は、今後必要な人材を確保して事業を継続していくことが益々難しくなるので、早急にそうした体制を整えておく必要がある。

それと同時に、せっかく採用した人が、短期間で辞めないように介護という職業の魅力も伝えていく必要がある。介護の職業は他の仕事と比較して、決してお金持ちになることができるような職業ではない。しかし他の仕事にはない魅力が確かにある。

それは何か、それをどのように伝えていくのかについては、明日のブログ記事で語りたいと思う。乞うご期待。
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配置基準緩和案に対する緊急アンケートにご協力ください


厚労省は介護事業者の人手不足の対策として、「介護ロボット・ICTの活用や基準の緩和」が必要であるとして、介護機器等の導入を条件として、ユニット型施設の1ユニットあたりの入居定員を15名程度(現在は概ね10名)まで増やすことや、2ユニットで職員1人の体制を日中でも認めることなど、人員配置基準の緩和(削減)案を介護給付費分科会で委員に示しています。

そこですべての介護関係者の方に緊急のアンケート調査を実施したします。

あなたは介護機器等を最大限導入・活用されたと想定して、今より少ない人数で利用者対応することが可能だと考えますか?人員配置緩和(削減)に賛成か、反対かを教えてください。コメント欄に是非ご意見もお書きいただければ幸いです。

なお性別・年齢・地域は選択しなくても投票可能となっておりますので、選択肢のみ、あるいは選択肢とコメントだけ投票いただいてもかまいません。
このアンケートは、「結果を見る」という部分をクリックすると、リアルタイムにすべての人が結果も確認できます。

回答期限は9/19(土)24時としております。

介護現場の生の声を国や各種職能団体に正しく伝え届けるために、数多くの皆様にアンケートのご協力をお願いいたします。

しかし国に届けたいのは賛成・反対といった投票結果のみならず、介護サービスの場で汗を流している人たちのリアルな声です。真実の叫びなのです。そのため繰り返しになって恐縮ではありますが、是非コメント欄に皆さんのお気持ち・訴え・意見などをお書きくださいますようお願い申し上げます。

どちらにしても自分をしっかり護ってくれる環境で働きたいものですね。そんな職場探しのポジティブな転職は許されると思います。そのためには下記のような信頼できるサイトにまず登録して、自分の才能を生かすことができる場所でのびのびと働いてください。
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内定者辞退者が増える理由を探ろう


昨日は秋葉原のスタジオで、オンラインセミナー介護人材確保策全4回分のうち、第1回分の生配信と、9/16(水)19:00〜配信予定の2回目分の録画を行った。

今日は一旦北海道の自宅に帰るが、このあと10/6(火)に3回目の生配信と、11月に4回目の録画配信を行う予定になっている。このオンラインセミナーの案内は、こちらのサイトで随時更新掲載されていく予定なので注目していただきたい。(※今日現在は9月の配信予定分まで掲載されています。)

参加予定者は180名以上であったが、実際にオンラインにつなげてくださった人数は130人を少し超えた人数とのことであった。参加申し込みをされた方は、昨日聴き逃しても後日録画配信分を視聴できるため、都合がつかなかった50人以上の方々は、そちらを視聴されるのだろうと思う。

昨日のオンライン講演はユーチューブでの生配信であったので、僕の講演が終わった直後からリアルタイムでチャットを利用した質疑応答も行った。

その中で、「内定者が就職する前に断るケースが増えているが、どう思うか」という質問が出された。

内定辞退理由が、面接試験等で示された企業理念や条件等を再考して自分の考えや希望にマッチしないということであるなら、それは採用面接の目的の一つを達成しているという意味なので特に問題ないと思う。むしろ不満や疑問を抱えながら、とりあえず働いてみようと考える人が、一旦働いて仕事を教えている途中に、「やっぱ無理です」と辞められるよりずっとマシだと思う。やる気のない人に手をかける無駄が省けるからである。

しかし内定辞退者が以前にも増して増えているとしたら、その辞退理由は別にあって、そのことは職員募集している事業者にとって深刻な問題を示している可能性がある。

特に事業者側が面接で、その人材に手ごたえを感じて、是非就職してもらいたいと思うような人材が内定を辞退するケースが増えているのなら、理由は別にあると考えたほうが良いだろう。

仕事ができる有能な人材ほど就職や転職に際しては、自分が事業者に選んでもらえるかという視点のみならず、自分自身が就職先を選ぶという視点を持っているのである。

つまり有能な人材ほど、複数の介護事業者の募集に応募して、応募の受付の対応・採用試験の連絡に際の対応・面接等の試験での担当者の対応などを確認し、採用試験時にその職場の雰囲気や職員の対応の仕方などを観察したうえで、就職先を選ぼうとする傾向が強くなっているのである。

そういう意味では試験を受けているのは、募集に応募してきた人のみならず、募集事業者そのものが求職者から試験を受けているという側面があることを忘れてはならないのだ。この傾向は介護福祉士養成校の卒業生にも強まっていることは、「人材から選ばれる事業者という意識」という記事の中でも解説しているので、そちらも参照願いたい。

それは介護職員という職種が売り手市場であって、どこの介護事業者もその人材確保に悩みを持ちながら経営しているという事情が背景にあることによって生じている事態だが、その背景要因はおそらく今後もずっと解消しないだろう。

つまり求職者から選ばれない事業者は、永遠に人材不足を解消できないということになるのだから、内定辞退者が多い介護事業者は、内定者がその介護事業所を選ばない原因と理由がなんであるかという検証作業を急がねばならないのである。

若者が介護福祉士養成校に入学する人の動機のトップは毎年、「人の役に立ちたいから介護の仕事をしたいと考えた」であるように、人材から人財に成長しうるスキルの高い人ほど、理想とは程遠い劣悪な介護の現実を目の当たりにして、そうした職場では働きたくないと思う傾向が強まるのである。

サービスマナー教育はそうした意味でも重要となってきている。採用面接時に訪れた介護施設の職員の、利用者に対する荒々しい言葉遣いに幻滅して、そこで働く気がなくなったという人の声を放置しているような介護事業者は、人材不足が原因となる倒産予備軍である。まずは今いる職員にサービスマナーの必要性を理解してもらい、サービスの品質向上意識を植え付けなければ、必要な介護人材は確保できない。

受付職員の見下したような態度に不快を感じて、そこで働く気がなくなる人は思った以上に多いので、窓口対応する職員にも十分注意を促さねばならない。

内定辞退者が増えている介護事業者には、このように何らかの問題があることが多いのである。

各種調査によれば、介護職員の不足感を持つ介護事業者の割合は、毎年のように過去最高を更新し続けているのだから、人材獲得競争も激化するのは当たり前である。その競争に勝っていかないと、人材確保で負け組とならざるを得ないが、それはすなわち事業経営の危機に直結する問題なのである。

早急に人材確保に支障を来す問題点を組織の中に内包していないかを確認・是正するシステムを機能させる必要がある。そうしないことには今後の介護事業経営は益々困難となることを自覚してほしい。

なお内定辞退者が増えているのに、なんの対策もとろうとしていない事業者に勤めている職員は、次の働き先を今のうちに探しておいた方が良いといえるかもしれない。
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不足感が増す介護人材をどう確保するのか(後編)


不足感が増す介護人材をどう確保するのか(中編)より続く》
介護事業者内に教育役としての現場リーダーを置き、OJTツールを使いこなして実地教育を行うことの重要性を書き連ねてきたが、それだけで人材が育成できるわけではない。

そこでさらに必要となるのは、個人のスキル差に目を向けた、「人間指導」の視点である。

マニュアルを機械的に覚えても、感情ある人間に相対するときに、マニュアル通りに事が運ばないことも多い。そのような状況の中で、自分で考え悩み答えを出すことができるスキルを得るためには、わからないことをわからないまま放置せず、その場で一つ一つの答えを見つけて解決していく必要があるし、答えのない問題についても、誰かと疑問点を話し合って、自分の疑問の所在や問題の所在を探す場が必要になる。

サービスの場での実務指導は、振り返りの機会があってこそ血となり肉となるのであって、誰かに質問や相談ができる環境を意図的に作ってやらねば、人材育成は躓くのである。

だからこそ一定期間は指導者が固定化されて根拠あるOJTが行われ、振り返りの相談指導や座学指導が必要である。その頻度は時期によって変えてよいが、1年間程度は新人教育としての座学時間と相談時間勤務時間の中できちんととる必要がある。

同時に指導者は、そうした機会や時間があるからと言って、指導対象職員から自動的に質問や相談がされてくると考えてはならない。

わからないことがあれば質問してください」というのは、駄目な教育の典型例である。

指導者は、質問する知識がない状態が新人職員であることを理解しなければならない。ましてや入職初日に介護技術に関する質問などできる人間はいるはずがないのである。

そもそも質問するというのは勇気がいる行為であり、職場の場合は人間関係がないと質問ができずらくなる。他業種からの転職者は、簡単な業務用語さえわかっていないのだから、自分が何をわかっていないかがわからない状態と言え、そんな人が質問できるわけがないのである。

だからOJTは、質問できない人に対して実施する教育指導だと考えなければならない。そのために必要になるのは、FAQ(よくある質問)である。あらかじめFAQとして想定問答集を作成することを僕は推奨しており、僕の講演ではFAQの作成方法等を示しているので、機会があれば是非受講していただきたい。

相談についても同じようなことが言える。指導者から、「いつでも気軽に相談してね」と言われたとしても、指導されている側としては何をどう相談してよいかわからない。しかも相談の結果、「そんなことも理解していないの」と叱られて終わりではたまらないのである。

また質問に対しては、必ず答えが必要であるのに比べると、相談に対しては答えが必要ではない場合があることを理解せねばならない。相談とは答えを指導者が示すことではなく、相談者と指導者が相談内容をともに考えて、相談者自らが答えにたどり着くことができるように手伝う過程であることを自覚する必要がある。

そのうえで相談の仕方を教えなければならない。良いアドバイスをもらうためには、相談相手に伝える情報と、その伝え方に注意する必要がある。伝える情報が足りなかったり、伝え方が悪かったりすると、よいアドバイスがもらえないのだからこのことは重要である。
(※相談の仕方については、僕の講演を聴いていただきたい。)

一昨日から人材確保や育成に関連した記事を書き連ねてきたが、これらのテーマを含めた内田洋行主催のオンラインセミナーを8月から4月連続で行う予定にしている。貼りつけたリンク先には、現在8月と9月分の案内が掲載されている。8月の人材確保策に続いて、9月は経営者・管理職向けの人材育成についてがテーマである。職員向けの育成実務は10月に予定しているが、管理職も職員もできれば9月と10月の両方を受講してほしい。

誰でも無料で視聴できるオンラインセミナーなので、リンク先から申し込みいただきたい。
無題
内田洋行オンラインセミナー第2回目
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不足感が増す介護人材をどう確保するのか(中編)


不足感が増す介護人材をどう確保するのか(前編)より続く》
人材不足を解消できている介護事業者は、おしなべて人を教えるのがうまいという特徴を持っている。自らの事業者内で戦略になるように人を育て、育った人がさらに後輩を育てるという仕組みができているのである。

介護職の魅力や、やりがいを伝えることができ、仕事を教えるのがうまく、後輩を引っ張っていく人望もあるリーダーがいる職場の定着率は高いということも云えるであろう。

逆に言えば、根拠のない指導に終始し、感情的に怒ることを指導と勘違いしている人が多い職場は、頼れる先輩がいないということになり、すぐに仕事が嫌になって辞めてしまう新卒者が多いというのが、介護福祉士養成校の卒業生を数多く送り出している経験から言えることである。

そうであれば人材が育成され定着する職場の条件とは、新人教育がうまい人が偶然そこに居るという職場ではなく、新人を育てることができるスキルを持った教育担当者を育てるというシステムが先に存在しなければならない。そのうえで、新人を育てる仕組みが言語化され根拠に基づいた育成教育がされていることが重要だ。

そもそも人を教えるにはスキルが求められるのだ。経験があれば誰でも新人教育ができると考えてはならない。感情的に怒りをぶつけるタイプの人間に教育役は向かないし、「見て覚えろ」は教育の質を担保しない。

人材を育てようとするなら、法人内に人材確保と育成を担当する部門を設け、教育役となり得るスキルがある人材を見極め、教育係をつくる担当者を置くことが重要である。その部門が教育係を育成することになるが、教育係が一人しかいなければ指導できない場面や日ができてしまうことを考えると、複数配置していつでも指導可能な状態にしておくことが大事だ。勿論、教育係だけで新人全員を毎日担当できるわけではないので、教育係は自らが新人教育に直接あたるのみならず、自らが担当できない新人を担当させた介護職員の指導役にもなるという役割も持つ。

だからこそ教育係には、役割に応じた待遇を与える必要もある。例えば特定加算は同じaグループで配分に個人差があっても良いので、教育係はより大きな配分にしたり、給与に手当を設けたりすることも大事だろう。ここにお金をかけることは法人の財産をつくることなので、決して無駄にはならない。コンサルタント会社や派遣会社に支払う無駄金を、そちらに回した方がよっぽど良い将来図が描けるだろう。

つまり法人として介護現場のリーダーになり得るスキルのある人材を見極めて、そうした人材を教育係として育て、その教育係が介護の場で新人等の教育に当たるという構図を描くことができるシステムを構築せねばならないのである。

教育係が中心となって行う実務指導はOJTが中心となる。OJTとは具体的な仕事を通じて仕事に必要な知識・技術・技能・態度などを意図的・計画的・継続的に指導することになのだから、人によって教え方が違ってはならず、「根拠ある指導」が行われなければならない。仕事の手順はどのような目的や意味があるのかを言葉で示すことも必要とされる。

そのためにOJTツールとして介護マニュアルが必要になるが、多くの事業者でマニュアルがあってもOJTに使っていないという現状がある。その理由は、書かれている内容が雑多で統一性がなく、わかりづらいという欠点を持ち、実用的なマニュアルになっていないからだ。

そこで僕は介護プロフェッショナルキャリア段位制度の(基本介護技術)を参考にした介護マニュアルを作成して、OJTツールとすることを推奨している。

例えばそれを利用して、食事介助のOJT指導ツールを具体的に作るとすると、「食事前の準備」・「食事介助」・「口腔ケア」の3項目に分けて指導ツールを以下のように作成できる。

1.「食事前の準備
声を掛けたり肩を叩いたりするなどして、利用者の覚醒状態を確認する。
嚥下障害のある利用者の食事にとろみをつけたか確認する。
禁忌食の確認をする。
飲み込むことができる食べ物の形態かどうかを確認する。
食べやすい座位の位置や体幹の傾きはないか等座位の安定を確認する。
顎が引けている状態で食事が取れるようにしたか確認する。

2.「食事介助
食事介助の際には、必ず椅子に座って利用者と同じ目線の高さで介助し、しっかり咀嚼して飲み込んだことを確認してから次の食事を口に運ぶ。
食事の献立や中身を利用者に説明する等食欲がわくように声かけを行う。
利用者の食べたいものを聞きながら介助する。
自力での摂食を促し、必要時に介助を行う。
食事の量や水分量の記録を行う。

3.「口腔ケア
出来る利用者には、義歯の着脱、自分で磨ける部分のブラッシング、その後のうがいを促す。
義歯の着脱の際、利用者に着脱を理解してもらい、口を大きく開けて口腔内に傷をつけないよう配慮しながら、無理なく行う。
スポンジブラシやガーゼ等を用いた清拭について、速やかに行い、利用者に不快感を与えないように注意する。
歯磨きや清拭の後、口腔内を確認し、磨き残し、歯茎の腫れ、出血等がないか確認する。

以上のように評価マニュアルの文言を少しだけ修正するだけで、介助項目ごとに指導すべき内容が明確になる。当然、教育係をはじめとした全職員が、このマニュアルに沿ったケアを実践できなければならないわけだから、介護の質もマニュアルレベルで担保できることになる。

食事介助は、食べさせるだけなら介護経験のない人でも誰でもできる。そのため一部の事業者では、就業初日から技術や注意点も教えることなく、いきなり食事時間に先輩職員の傍らに新人職員を置いて、先輩の姿を見なながら、わからないことを聴きながら、「ながら介助」させることをOJTだと勘違いしている。しかしそれでは正しい介護技術は身につかないし、新人職員は自分のやり方に自信を持てないまま、不安を抱えて介護を続けなければならない。やがてその状態は、我流の介護を良い介護技術だと思い込むか、何もうまくできないと放り出すかのどちらかにつながりかねないのである。

だからこそOJTツールに基づいた、言語化された方法で根拠ある指導を行う必要がある。そうすることで新人職員は安心して介護技術を覚えられ、仕事の手順はどのような目的や意味があるのかを言葉で伝えられる先輩職員に信頼感を持つことができ、仕事が面白くなって、仕事を続けようと思えるのである。

だがマニュアルに基づいたOJTだけで、新人職員が不安なくモチベーションを保ち続けることは出来ない。それ以外に人を育て、育った人が定着するためには何が必要なのだろう。(明日の後編に続く)
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不足感が増す介護人材をどう確保するのか(前編)


介護職員の不足感が一段と強まっている。

介護労働安定センターが毎年実施している「介護労働実態調査」の昨年度の結果が8/7に公表されたが、全体の69.7%の事業所が介護職員不足であると回答しており、過去10年で最高の数字となっている。

不足感が最も高い職種は訪問介護員で、その数字は81.2%にものぼっている。訪問介護員は、高齢化してリタイヤする人が多い反面、若い人にとっては将来がなく魅力に欠けるために成り手がないという問題があり、そのサービス自体の存続が危ぶまれている。しかし解決の処方箋は見つかっていない。(参照:訪問介護員の絶滅を防ぐ手立てはあるのか?

本調査における不足感の数値を高めている最大の要因は、訪問介護員の成り手が急速に減っているということであることは間違いのないところだが、しかしその他の介護事業種別でも介護職員の充足は一番の課題で、それは介護事業経営を継続するための一番の戦略上の課題ともなっている。

この調査が10月に行われていることから、数字は特定処遇改善加算の算定前であるということで、新加算の影響で改善が期待できるかもしれないという声もある。しかし周囲の介護事業者の状況を見渡しても、新加算で劇的に職員募集の応募が増えたとか、待遇が改善されて将来の不安がなくなったというポジティブな声が全く聞こえてこないところを見ると、さほど期待ができないと思える。

介護職員が不足している原因では、90.0%が「採用が困難」と答えており、その理由を尋ねたところ、「同業他社との獲得競争が激しい(57.9%)」が最多となっている。つまりどこの事業所でも介護職員は足りておらず、人材確保の部分でも競合せざるを得ないという実情が表されていると言える。

職員の獲得競争に勝てない事業者は生き残ることができないのである。

我が国の昨年の死者数は137万8906人と過去最高となり高齢者の数も減っているが、それ以上に少子化で生産年齢人口の減少スピードの方が速くなっている。介護の絶対必要量も2040年あたりから減っていくと予測されるが、減ったサービスを支える人員さえも十分に確保できないほど生産年齢人口の減少は急である。そのため介護人材不足の解決の糸口さえ見えないというのが実状であり、日本全国すべての介護事業所の人材不足問題が解決する目途は立たない。

このように人材確保は国の施策に頼ってもどうにもならない問題であり、介護事業経営者や管理職が、「国や都道府県が何とかしてくれる」と思っている事業者は、早晩どうにもならなくなるのだ。介護事業を続けるための人材確保は他の事業者との差別化を図って、法人等単位で独自の解決策を図っていくしかない。

しかし介護事業は人に相対する職業であり、誰でもよいから雇ってできる職業でもない。人に相対するスキルのない人を雇って、まともな教育もしない状態で実務につかせるという、サービスの質を現場に丸投げしてしまう状態では、様々な不適切行為が生ずる可能性が高くなる。

例えば、感情のコントロールができない職員が増えて、暴言が飛び交う介護の場となったときに何が起こるだろう。介護サービスの場には様々な形で情報社会のコンテンツが入り込んでいる。それが人権意識の高まりと相まって、それまで見逃されていたかもしれない小さな不適切行為も、ネットを通じて表に出る社会となっていることを忘れてはならない。

年上の利用者に対して、荒い言葉で対応する職員の姿は、いつネット上にさらされることになってもおかしくないのである。そしてその姿が虐待だと糾弾されることになれば、そんな事業者にあえて就職しようとする人はいなくなるだろう。ますます職員募集に応募がなくなるのである。

介護事業経営者や管理職・指導担当者の中には、人がいないところに、やっと応募があって雇った職員に、あまり厳しいことを言っても辞められたら困ると言う人がいる。しかしまともな教育ができていない状態が、不適切行為をはびこばせる一番の要因なのだ。特にサービスマナー教育をしていない事業者が、虐待報道によって事業が続けられなくなっているケースが増えている。

そもそも対人援助の場で本当に必要とされる人材は、介護サービスを利用する人が邪険に扱われ、尊厳を奪われている職場になんか就職しないし、就職したとしてもそんなところに長くいようとはしない。介護スキルの高い人ほど人を傷つける扱いに対する嫌悪感は強いのだ。そういう人たちは、教育システムがしっかりしていて人権意識の高いサービス提供に努める事業者に集まる傾向にある。

人手不足だからサービスの質が落ちるのではなく、人手が不足すればサービスの質などどうでもよいと考える人しか集まらなくなり、そこからさらに有能な人材が逃げいく。そのような場所は永遠に人手不足が解消されずに、サービスの質はますます低下していき、やがて虐待が生まれ、そのいくつかが表に出て報道されているのである。

つまり不適切行為で事業継続の危機に陥ることを防ぐ対策と、有能な人材確保の対策はリンクするのである。利用者の尊厳を護る質の高いサービスを実現するための人材教育を行っている場所に、有能な人材は集まり定着するのである。そのことはいくつもの事業者で証明していることであり、新人教育としてOJTに入る前の基礎座学で一月を費やして、人材確保に困らなくなった社会福祉法人もある。こうした実効性のある教育システムを完成させる対策には、いくらお金をかけて良いのである。なぜならそのこと自体が法人の財産となるからだ。

一方で、募集広告費にお金をかけて採用人数を増やしても、まともな職員が定着しないのであれば、その広告費は無駄金・死に金である。嫌なことがあればほかの職場にすぐにでも変わってよいと考えがちな派遣職の採用にお金をかけるのも無駄金・死に金である。

お金の使い方を間違ったまま経営している法人は倒産予備軍である。

この違いをはっきり意識して、人材を確保し定着させるためにお金と知恵を使いたいものだ。では職員教育や定着の具体策とは何だろう。介護実務指導ができるOJTツールの内容は、どのような内容になっているかも具体的に示してみよう。(明日の中編に続く)
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派遣という身分を見直すべき機会


介護施設等で働いている派遣職員の方々から、2次補正予算で支給が決定した介護施設等の職員に対する、「慰労金」は自分にも支給されるのかという質問が相次いでいる。

派遣先の介護事業者から、直接給与の支払いを受けている方については、この慰労金は問題なく支給を受けることができるので心配しないでいただきたい。慰労金という名目で支払われる今回の助成金は、身分や勤務時間・勤務形態に関係なく支給される種類のものなのである。
※6/13追記地域包括支援センター、福祉用具貸与、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅も対象になります。ケアマネジャー、リハ職、事務職など皆が受け取れます。職種にも制限はかけず、正規職員か非正規職員かも問われませんが、法人本部のオフィスに勤務する人など現場から遠く離れて業務を行い、利用者と全く接しない人は対象外となります。近く通知されるので注目してください。

それにしても今回のウイルス禍では、「派遣職員」の身分が不安定であることが改めて浮き彫りにされた。収益減で事業縮小を余儀なくされた事業者においては、「派遣切り」が真っ先に行われている。それによって派遣先の仕事を失った人も少なくはない。

そもそもこれだけたくさんの派遣会社が乱立できるほど、派遣という身分を選ぶ人が多い理由は何だろう。その理由はいくつか考えられる。

一つには、派遣職員の方が職場の人間関係のわずらわしさから逃れやすいということがある。過去に人間関係を理由に体調を崩したり、退職をした経験のある人は、組織にがっちりと身分を縛られずに、自分の希望によって派遣先を変えてもらえる派遣職という身分をあえて選ぶ人がいる。特に介護職という仕事は売り手市場なので、派遣先を探すのに困らないという事情がこの傾向を後押ししている。

単純に収入から派遣職を選ぶ人も多い。派遣会社は手数料(派遣料金)を取るだけではなく、派遣職員に直接雇用職員より高い給料を支払うことを紹介条件としてくるので、派遣職の方が月額給与が高くなり、しかも職場での責任は直接雇用職員より軽いということに魅力を感じている人も多い。

勿論、月給が高いと言っても、賞与その他の手当を含めた年収ベースでみれば、正規職員の方が待遇が良いというケースも多くなるが、直接雇用の正職員はその分責任や縛りが多くなるために、それを嫌って派遣職員としての身分から抜け出そうとしない人もいる。

このように一つの事業者に縛られない気楽さと責任の軽さが魅力として捉えられているのに加え、短期的には直接雇用職員より高いお金を稼ぐことができるという待遇が相まって、派遣職を選ぶ人が多いのだ。

しかし前述したように、「派遣切り」が行われかねない身分の不安定さや、福利厚生や退職金その他を勘案すると、決して派遣が直接雇用者より待遇面で恵まれているという現状ではないことを併せて考えると、派遣職員という身分のままで長期雇用されている状態は、決して恵まれた状態ではないと言える。

責任の軽さを魅力としている人は、自分が職場の中でただの人員にしか過ぎない存在で、決して人材とみられていないことを知るべきだ。それは自分の価値を社会から十分に認められていないという意味にも通じかねない。それでよいのだろうか・・・。

先日このブログに、派遣職員の方が次のようなコメントを書き込んでいる。「施設側に直接雇用を訴えたら、紹介料発生するから次回更新し無いと… 2年間務めてる施設なのに

派遣職員の方を派遣期間中もしくは更新時期に直接雇用職員とする場合は、派遣会社に紹介料などの名目で一定の費用を支払わなばならないのが一般的な派遣契約である。この紹介料は施設が直接雇用した後、その職員が一定期間内で退職した場合には返還されることになり、その期間は3月に定められている場合が多い。

しかし3月以上働いた場合は、その後いつその職員が退職しても紹介料は返還されることはない。そのまま派遣会社の収益になるわけであるが、派遣会社から紹介を受けて直接雇用した職員で、この返還金が生じなくなった期間を過ぎてすぐに退職する人はかなり多い。

うがった見方をすれば、派遣会社は派遣できる人間がいなくなれば事業が成立しないのだから、直接雇用される人に対して、裏でこっそりと紹介料を返還しなくてよい時期を教えたうえで、その時期を過ぎたら退職して派遣会社に再登録することを促しているのではないかと疑いたくなる。

だからこそ介護事業者にしてみれば、派遣会社に紹介料を支払わなければならない人を直接雇用することをためらう心理が生じてしまう。特にコロナ禍で、他業種から介護事業者への就職希望者が少しだけ増えている現在の状況では、派遣会社から紹介される人より、直接募集に応募してきた人を優先的に雇用する傾向が強まっていることは事実だ。

こうした状況を踏まえたうえで、今派遣職という身分で働いている方々には、自分の将来について今一度考えてみてほしいと思う。あなたはこれから先もずっと派遣職員という身分に甘んじていて良い人なのであろうかと、自身の胸に手を当てて熟慮していただきたい。

将来的に長い期間、介護業界で働こうと考えている人であれば特に、派遣職という不安定で思ったほど収入にも恵まれているとは言い難い身分から脱して、信頼できる介護事業者に直接雇用されることを考えたほうが良いのではないだろうか。

勿論、直接雇用してもらえさえすればよいということにはならない。数ある介護事業者の中には、従業員から搾取することしか考えていないような、待遇も環境も劣悪なるブラック事業者も存在する。

だからこそ、「今いる場所で咲けないならば、咲く場所を探して居場所を変えて咲きなさい」という記事で示したように、転職先を探さねばならない人も多い。

そういう意味では、派遣職という身分を脱して直接雇用されたいと願う人は、今登録している派遣会社にそのことを依頼するのではなく、上記の記事の中で紹介しているような、就職後のアフターフォローまで無料で支援してくれる信頼できる転職支援サイトに登録して、条件や職場環境の良い介護事業者を探していただきたい。(※下記にもリンク先を示しておくので参照されたい。)
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介護保険制度20年の人間模様


介護保険制度創設から早20年という月日が流れた。

介護保険制度の誕生とは、戦後に創設された日本の社会福祉制度が初めて大改正され、全く違う制度に転換が図られたという意味である。それは社会全体に非常に大きな変化をもたらしたものでもある。

その誕生秘話・制度創設経緯等について詳しく知りたい方は、介護保険創設から10年目に書いた下記の参照記事を是非読み直してほしい。
参照記事
介護保険・夜明けの雷鳴1
介護保険・夜明けの雷鳴2
介護保険制度へと続く道
介護保険制度誕生前に吹き荒れた嵐

民間営利事業者が介護サービスに本格的に広く参入できるという改革も、この制度から本格的に始まっている。そのことによって介護事業が運営で済んだ時代から、経営をしなければならないに入ったともいえる。それだけ介護保険制度以前の介護事業経営は温(ぬる)かったともいえるわけだ。

その変革のなかで介護事業を起こした新しい経営者たちが、そろそろベテラン経営者となって、今ここに至るという意味が、介護保険制度誕生から20年の意味でもある。

そこでは様々な人間模様が繰り広げられており、それは明るくポジティブな人間模様だけではなく、裏切り・背信・欺瞞・不義・不実といったどろどろした人間模様や人間関係を数多く含んでいる。

制度開始間もないころ、別業種から転職して、初めて介護サービスに参入することになった経営者が、介護の専門家を片腕として現場の運営を任せ、顧客からも信頼される事業を展開し順調に経営を続けてきた。

介護事業経営を始めた頃、経営者の娘はまだ小学生であったが、時が流れ成長しやがて結婚した。その相手である夫が介護事業経営に興味を持ち、統括部長としてその事業所の経営陣に加わった。しかし創業からの片腕となってきた副社長と何かにつけ衝突するようになり、統括部長は副社長を疎ましく思うようになり、る出来事をきっかけにしてその功労者をまるでごみを捨てるように切り捨てて、自分で事業経営を取り仕切るようになった。その後その事業所からは顧客離れが顕著となり経営が傾いている。

そんな事業者が倒産しようとどうなろうと知ったことではない。しかし可哀そうなのは創業からその事業者に多大な貢献をしてきた副社長である。あまり大きな経営主体ではないから、退職金制度もなく裸一貫で放り出されるような状態になっている。そんなことで良いのだろうか。それが社会の厳しさだと割り切るべき問題なのだろうか。

事業経営はただ収益を挙げるだけに行うのではなく、社会に貢献するために行うものではないのか。そうであれば仕事を通して従業員を人として育てるという考え方があってよいし、その根底には従業員を護るという思想が必要ではないのか。従業員の暮らしを護り、人としての感性を育むということも経営者の責任として考えるべきではないのだろうか。

そういう意味では、功労者に対してあまりに冷酷な仕打ちは、経営者としての道義的責任を問われる問題ではないのだろうかと思ってしまう。従業員を駒のように切り捨てるのが経営能力ではないだろうと言いたい。

それにしても経営者の中にはいろいろな人がいる。尊敬できる優れた経営者も数多い。しかしそうではない、自分勝手なだけの経営者がいることは事実だ。そういう事業者に勤めている従業員は可哀そうを通り越して悲劇でさえある。

介護事業にとって人材は何よりも重要なのに、いくら有能な人材であっても、その才能は自分の懐を肥やすための才能であると勘違いしている経営者もいる。従業員をいかに安く長く使うかということしか考えていない経営者がいることも事実だ。

5本の赤い花たちとともに考えたこと」という記事の中でも指摘しているが、僕が育てている若者たちは、年齢も経験もスキルも似通ったレベルにあるが、所属事業者によって待遇差は非常に大きなものになっている。

そのスキルに見合った労働対価を得ていない者もいる。理想を掲げて事業経営に乗り出すのであれば、従業員の経験とスキルに見合った対価を得られるような事業戦略を同時に立ててほしい。少なくとも経営者だけが大きな対価を得るだけで、その対価が従業員の滅私奉公という状態で得られていることは許されない状態と思う。

僕は基本的に、職場を転々と変えることには反対の意見を持っている。介護職はどこでも仕事は見つかるが、ちょっとした不満で転々と職場を変えたとしても、決して理想に出会うとは限らないし、今いる場所で偉くなって、影響力を持って、職場を改革する方がポジティブだと思っている。

しかしそれも程度による。従業員を使い捨ての駒のように酷使するしか能のない経営者のいる場所に、いつまでも居座る必要はないし、対人援助としての誇りも使命感も持てない場所にも居続ける必要はないと思う。

例えば、福祉ジャーナリスト 田中 元氏がネット配信しているコラムの中で、『一部の施設等では不適切なケアが常態化しているケースもあります。そうした施設等で「面会中止」による閉鎖性が高まれば、さらに大きな問題が発覚することも想定されます。』と論評しているが、家族の面会が監視機能とならないと、ケアの品質を保つことができない介護施設などあってはならない。

そんなところで改革などできるわけもないのだから、志のある人は、一日も早くそうした職場には見切りをつけたほうが良い。そういう環境にいる人に対し僕は、信頼できる介護の転職支援サイトを紹介している。

このサイトは厚生労働省許可で、登録から仕事の紹介、入職後のアフターフォローまで一切無料でサポートしてくれるサイトである。

登録後、メールで情報だけ送ってくることに終始するサイトが多い中、こちらは担当のキャリアアドバイザーが直接電話連絡してくれて、丁寧に希望条件を確認したうえで、最適な職場を紹介してくれる。他では全く紹介されない未公開求人も多数紹介してくれるし、入職後の相談も無料で継続できるのだからさらに安心だ。

今すぐに転職を考えていない人も、まずはここに登録して、いろいろな介護事業者の情報を集めてみると良いのではないかと思う。そのことによって自分がいま働いている職場が、自分をどれだけ大事に護ってくれているのか、そうではないのかがわかろうというものだ。

最低でも一人に5万円が支給される、『慰労金』は全サービスの全職種が対象となるわけだが、それだけ国費がかけられる介護事業に対する国民の目は、今後より厳しいものになるだろう。その視線に耐えられるだけの、きちんとした介護事業者で、皆さんの才能を発揮してほしいと思う。

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新型コロナウイルス禍で介護業界の人員は増えるだろうが・・・。


北海道の自宅を経ち、博多の顧問先での4月の業務のために来福してちょうど1週間過ぎた。今回の来福の直後に福岡市が緊急事態宣言の対象地域になったために、その前後で街の様子は大きく変わった。

緊急事態宣言前に通常営業していた飲食店で、自主休業するお店の数が日に日に増えている。休業して改修工事などを行うホテル等も目につく。劇的に変化しているのが博多駅構内である。駅直結の商業ビルがすべて臨時休業して、駅の様相が全く変わってしまった。

昨日は日曜日ということで、僕も顧問先に出社せず、ホテルに籠って1日PC作業をしたが、お昼ご飯を食べるときだけ駅の近くで飲食店を探したが、街は閑散としており博多駅構内もこんな様子だ。
臨時休業の張り紙
博多駅構内
いつもの日曜日なら人でごった返すはずの博多駅の姿がこれである。一番人通りが多いはずの博多口から筑紫口への連絡通路を歩く人の姿が少ない。駅周辺で営業している飲食店も数が少ないのだから、お昼時はそこに人が集中して混むのではないかと心配したが、そのような気配もない。

このような状況は日本経済に大きな影響を与えるのは間違いのないところだが、飲食店やホテルで働いている労働者にとっても深刻な問題だ。仕事がなくなる人もいる。

そんなふうに新型コロナウイルスの影響で失業する人は確実に増えている。そんな人達にとっては介護業界はとりあえず仕事先として選ぶことのできる職業の一つになっている。こんな状況でも仕事が減らず、むしろ対応のための人員をさらに必要とする介護業界に転職する人が間違いなく増えてくるのである。実際にすでに他業種から介護業界に転職した人もいる。

しかしこの状況が介護人材不足を補い、介護業界にとって追い風になると短絡的に考えることはできない。

今まで介護の経験が全くなかった人が職場を失って、新たな仕事を探しているときに、たまたまたどり着いた職業が介護の仕事であっても、そこで隠れた適性が発揮されて、そのまま介護業界に定着して貴重な人材に育っていく例は過去にもたくさんあるのだから、そのことに期待を寄せることはあって良いと思う。

しかし我々が過去から学んだことは、そうしたケースは決してマジョリティになったことはないということだ。

社会の不景気で失業者が増える際に、介護の職業への転職者が増えるとしても、その中に良い人材がいる以上に、介護の職業への適性に欠けて、教育効果も上がらない人物の方がいつも多いというのが過去に見られた現象であり教訓だ。このことを十分理解し、覚悟しておく必要がある。

応募に人が集まってくることを喜んで、闇雲に採用してはいけないことを、このブログでは繰り返し警告している。仕事がないから介護でもしておけと考えている人が、そこにはかなりの数交っているし、その中にはとりあえず介護事業者に就職して、給料をもらいながら、状況が変化したら元の職業に戻ろうとか、さらに別の仕事を見つけようと考えて、介護の仕事を、「腰掛け」程度にしか思っていない人が一定数いるのだ。

そうであってもその人たちが、介護の仕事に就いている間だけでも、介護事業者の戦力になってくれれば良いのだが、なかなかそううまくはいかない。

その人たちのなかには、真面目に仕事を覚えようとも、介護の職業を通じて自分のスキルアップを図ろうとも思っていない人が混じっておりことを覚悟したほうが良い。そういう人たちを採用してしまうことで職場全体が混乱し、職場の秩序や人間関係といった職場環境全体がぎくしゃくし、元に戻せなく例はたくさんある。職場環境はあっという間に悪化するが、元の状態に戻すのには、その数倍のエネルギーと期間が必要になるのである。

特に仲間同士が複数で募集に応募してきて、それらの人を一斉採用する際には注意が必要だ。「一斉退職者をまとめて雇用なんて、あり得んだろうという話」のような状況に陥らないように、経営者や採用担当者は、慎重に職員選考を行わなければならない。

またせっかくこの機会に、介護の職業への隠れた適性を持った人が転職してくれたとしても、その人達が、自らのスキルを発揮する機会やスキルアップの機会がないと、適性を持ったことに気づかぬうちに辞めてしまったり、介護の現実に幻滅して他の職業に転職してしまうというケースも多々ある。

そうしないための唯一の方法は、未経験者・他業種からの転職組を中心とした新人教育の徹底しかない。未経験者が安心して介護の仕事を続けられることが出来る基礎教育と、基礎教育を実践の場で確認できるOJTが何より求められるのだ。

感染予防対策に集中しなければならないから、職員教育は後回しだと考える職場に、人材は定着していかない。それはコロナウイルス禍が治まりを見せた後、深い爪痕・後遺症として介護事業者に禍根を残す結果となるのである。

他産業での失業者から適性のある人材を取り込み、そうした人材を定着させ職場の戦略に変えるための戦略が求められるわけで、各事業者の人事管理部門の力の見せ所が今である。

こんな時だからこそ人材を見極め選ぶ目と、選んだ人を育てる視点が不可欠だ。
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一斉退職者をまとめて雇用なんて、あり得んだろうという話


人材難が叫ばれる介護事業では、事業を安定的に継続するためにいかに人を集められるのかという課題があることは当然だが、だからと言って頭数さえ集めればよいという問題でもない。

数合わせの採用では戦略になるどころか、今いる職員のストレスにしかならない人物も混じっている場合があり、教えても仕事を覚えず、手より口ばかりが先に動き、不平不満ばかりいって仕事ができない新人の教育に疲れ切って、ベテランで仕事ができる良い職員が辞めて行ったりするので、人手が足りないからこそ採用は慎重に行いたいものだ。

多くの介護事業経営者や関係者は、そんなことは言うまでもないことだとおっしゃるだろうが、「ずいぶんだな〜。」と首をかしげたくなるケースが実際にあるのだ。

今年に入って某県の有料老人ホームで発覚した虐待事件の加害者は、複数の男性介護職員だった。彼らは一人一人が別々に虐待を繰り返したにとどまらず、複数の職員が集団で被害者を虐待していたこともわかっている。

何ともひどい話であるが、だからといってそのホームの職員すべてが虐待に加わっていたわけではない。虐待を行っていたのは特定の人物集団で、そのグループのみが他の職員の見ていない場所で、利用者に向かって暴言を吐いたり、体にあざができるような乱暴な行為を繰り返し行ったりしていたのである。ただしそのグループ以外の職員も、どこかそのグループがおかしいと違和感を覚えていた節はあるそうだ。しかし具体的なことは何もわかっていなかったようである。

ではそのようなイジメグループがなぜできたのかということが問題だが、実はこのグループは、虐待行為が始まる直前に、他の介護事業者を集団で退職したグループであったそうだ。そのグループがまとまって職員募集に応募してきたので、人手が足りなくて困っていた有料老人ホームでは、経験者がまとまって就職してくると喜んで応募してきた人を全員採用したらしい。

しかしそんな採用があって良いのだろうか。僕は社福の総合施設長として、職員採用の最終決定権を持ち採用面接も行っていたが、そのような職員採用は危険性が高すぎて容易に行えないと思う。(※実際にそのようなケースを経験したことはなく、あくまで考え方としてはそうなるだろうという意味である。)

勿論この有料老人ホームも、採用段階では面接を行って、前の事業者を一斉退職した原因や理由を聞き取ったうえで、問題はないとして採用したのだろう。しかし集団で職員募集に応募してくる人たちが口裏を合わせて、退職理由を自分たちの都合の良いように脚色するなんてことは容易に想像がつく。そもそも面接の際に、前職の退職理由を正直に話す人はほとんどいないと考えたほうが良い。

むしろそのように一斉退職した人を、他の事業者が一斉に採用することの危険性に考えが及ばなかったことを不思議に思う。そのように退職したグループが円満退社したとは思えないし、同じように何かあれば一斉に辞めるかもしれないのだから、個々の応募者の印象が悪くなくても、一斉採用は行えないと考えるのが、ある意味の常識ではないだろうか。

これは結果論ではなく、経営者としての正常な判断力といってよいほどの問題ではないかと思う。

結果的にこのホームは、虐待が発覚したことで利用者をはじめとした地域の方々の信頼を失ってしまうかもしれない。事件にかかわりイジメグループに入ってた職員以外は、まっとうで良い職員だったのかもしれないが、それらの職員にも事件の負の影響が及ぶことになるかもしれない。どちらにしても今まで重ねてきた良い実績があるとしても、それらもすべて水の泡だ。

この事件をきっかけにして、このホームは経営難に陥る恐れさえある。それはとりもなおさず、他の事業者を一斉退職した職員グループを、そっくり引き継ぐ形で一斉採用するという安易で危険性の高い採用方法にあったといってよいだろう。

後悔先に立たずとは、まさしくこうしたことをいうのかもしれない。
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介護業界から人材が離れていく本当の理由


介護事業者で働く職員の一部からは、サービスの品質の向上が必要だと言うけれど、人材が不足している介護現場で、そんな余裕はないという声が聴こえてきます。

とりあえず人を増やしてほしいという切実な訴えもあります。しかし介護の質をわきに置いて、人集めに躍起になっている場所に仕事ができる優秀な人材が張り付くとでも思っているのでしょうか。仮に人が張り付けたとしても定着するとでも思っているのでしょうか。

そもそもあなたの職場の人手がいつも足りない原因は何でしょうか。人が張り付かない、人が定着しないという原因の検証作業をきちんとしているでしょうか。

あなたの仕事に余裕が生まれるためには、人手がもっと必要だと言いますが、あなた自身はあなたに続く職員をきちんと育てているのでしょうか。あなた自身が新人職員のバリアになって、入職してきた職員が次から次へと辞めていく原因になってはいないでしょうか。

今一度とあなたと、あなたの職場の本当の姿を見つめなおしてほしと思います。

新卒者が今、あなたの職場に入職して新人教育を受けているかもしれません。例えば4/1に初出勤した職員は昨日でまだ1週間しか働いていません。そんな新人さんが、日に日に元気を失っていないでしょうか。日に日に無表情になってはいないでしょうか。

先週末僕の家に、僕の生徒が訪ねてきました。彼女は介護福祉士養成校で僕が教えて卒業させ、4/1にある社会福祉法人に入社した生徒です。しかし入職わずか3日間でかなり介護の仕事に幻滅している様子で、悩みを聴いてもらいたいと切羽詰まった表情でやってきました。

彼女の悩みとは、人の役に立つ仕事だと思った介護の仕事が、ちっとも人に役に立っていないという悩みでした。社会福祉法人という公益性の高い法人が、何のために存在しているのかわからなくなったという悩みでした。

彼女が訴える、彼女の元気を奪う状況とは以下のようなものです。

・利用者に乱暴な言葉遣いをして、介護の仕方も荒々しい先輩職員の姿。
・認知症の人の訴えにまったく耳を傾けようとせず、「助けて」・「どうしたらいいの」と叫んでいる人の声を聞こえないふりをして声もかけずに側を通り過ぎていく職員の姿。
・気分で後輩指導の態度を変える先輩職員。
・利用者の坐位姿勢に全く配慮せず、職員は立ったままで食事を詰め込み、むせこむ人を放置する食事介助
・根拠ある方法とは全く異なる介護が行われている日常


彼女ら新人職員は4/1の入社式前に、「入社前研修」と称する座学研修を先週の月曜日(3/30 )と火曜日(3/31)に受けたそうです。しかしその内容は事務系職員と同じ場で、法人組織の説明や事業内容、健康保険や年金等の手続、就業規則等の説明にとどまり、介護職員に対する実務につながる内容は皆無だったと訴えていました。

こうして介護実務に関する基礎研修もきちんと行われない中で、入職初日から先輩職員が新人に張り付いてOJTの中で仕事を覚えるように指導されているのですが、毎日変わる指導担当者によって、指導内容も介護のやり方も違う中で、感情的に怒ることを指導と勘違いしている先輩職員におびえている姿がそこには垣間見られました。

入職したばかりの緊張感の中で不安が増殖したということもあるでしょうから、励まして引き続き悩みがあるなら相談に来るように助言し、あまりに状況が切迫したら僕自身がその社福の管理職の人と話し合う機会を持とうと思いますが、彼女は果たしてこの法人で働き続けられるでしょうか・・・。

だって相談しに来たのは金曜日の夕方5時少し前。なぜこんな時間に仕事をしていないのか聞くと、就業3日目で早出勤務の実習だって言います。しかも修業したばかりのその週の土・日も勤務だと言います。介護職がシフト勤務だからといって、それはないんじゃないでしょうか。シフト勤務に組み込むのは、ある程度基礎実務研修を終えた後でしょう。僕の施設長経験ではあり得ないことです。

介護人材不足が叫ばれていますが、人材を失わせているのは少子高齢化だけではなく、本当の介護をしない介護サービスの場そのものなのです。人の育て方・教え方を知らない介護事業者そのものなのです。

介護事業者のシステムや、そに居る職員が人材をつぶしているのです。これを変えなけりゃあ介護人材不足は永遠に続きます。

新入職員への教育のあり方は、サービスの品質につながるにとどまらず、定着率にも直結します。人材不足が最大の課題となっている介護事業にとって、最も重要となるのが、人材が張り付き定着する教育システムです。そうした介護人材マネジメントの一環として新人教育・指導のあり方を考えてほしいと思います。

見方を少し変えます。

介護福祉士養成校の国家試験義務化の経過措置がさらに5年延長されたことは、読者の皆さんもご存知だと思いますが、勘違いしてはいけないのは、延長されたのは経過措置だけです。つまり経過措置期間中に国家試験を受けずに介護福祉士と名乗っている人は、経過措置期間の中でしか介護福祉士として認められないので、その間に国試に合格するか、5年以上続けて現場で働くかしないと経過措置が切れたら資格は無くなります。

そんなわけで今年度の卒業生も国試を受けているわけですが、僕が非常勤講師を務める室蘭の介護福祉士養成校卒業生は今回合格率が100%で、全員合格でした。・・・しかし全員と言っても、卒業生はわずかに18人です。北海道の胆振・日高地域という広大な地域に1校しかない介護福祉士養成校の新卒者がわずか18人という実態が、介護人材不足の現状を表しています。

それだけ貴重な人材を、介護事業やそこの従業員が育てずに、その前につぶしてどうするのでしょう。一度介護事業者の中でつぶされた若者は、介護の業界から離れてしまうことだって多いのです。相違ないために、その原因を離職する人間の自己責任にして放置することなく、介護業界全体の財産喪失だとして検証しなおす必要があると思います。

ただでさえ人材は足りないのに、それに拍車をかけるような人材をつぶす要素を、介護業界ではびこらせて放置している状態に、もっと危機意識を抱いてほしいと思います。

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福祉の精神を都合よく操ろうとする経営者は見限るべし


社会福祉は、生活していく上で困難な状況に陥っている人に対して行われる社会的な支援・援助のことを言い、生きる権利(生存権)を保障するために必要とされるものである。

介護保険制度が国費と強制加入の社会保険料という公費運営され、そこに位置付けられた各種サービスが、利用者の生活支援を目的としているという事実は、それが単なる営利事業ではなく、国民の生きる権利を支える社会福祉制度の一翼を担うものであることをも意味している。

よって介護事業者で勤めている人々は、自分が従事している仕事がこの国の社会福祉の一翼を担う仕事だと考えてよいと思う。そのことに使命感と誇りを持つことは悪いことではないし、むしろその責任をしっかり意識して、すべての関係者が利用者の生きる権利を保障しうるスキルを身に着けるという動機付けを持つべきだ。その部分では高邁(こうまい)な精神を持ってよいと思う。

だからと言って介護の職業を高邁な概念に祭り上げるだけで、そこで働く従業員がその名誉だけを感受するだけに終わって、適切な労働対価を求めることが、高邁な精神と相反するものだと非難を受けるようなことがあってはならない。

介護事業が、利用者の生きる権利を支える仕事だという理由で、支援者の権利や暮らしがおざなりにされてよいわけがないのである。

そもそも「健全なる精神は健全なる身体に宿る」という考え方は、介護事業においても必要である。介護事業だから滅私奉公が当たり前という考えや、自分の暮らしを顧みずに献身的に奉仕することが社会福祉であるなんてことはあり得ないし、あってはならないのだ。

介護事業を利用する人の権利が護られ、暮らしの質が向上するために、従業員の暮らしの質が無視されてよいわけがなく、従業員の暮らしの質が上がるからこそ、健全な精神にもとに、プロフェショナルとしての自覚が芽生え・育ち、高品質なサービスにつながっていくのだと考えねばならない。

事業経営者も、「福祉事業なんだから」という理由で、従業員の待遇が無視されて、さしたる経営努力もせずに従業員の劣悪な待遇で介護事業が支えられているという状況はあってはならないのだ。経営者が、知恵も働かせず工夫もしないで、「経営が厳しい」といって、従業員の待遇改善をおざなりにするのは、経営者自身の無能を証明しているようなものだ。

そういう意味でも、安易に人件費を切り下げようとする事業者に明日はないと言える。従業員はそういう事業者と事業経営者を見放す必要があるのだ。

特に待遇を改善しない理由を、福祉の精神に求める介護事業経営者は最悪だと思ってよい。社会福祉の概念も精神も、本来そんなところ(事業経営というステージという意味)に存在するものではないからだ。

これからの介護事業は、単価が抑えられる中でサービス利用者は増えるのだから、いかに顧客を数多く獲得するかが事業経営にとって一番求められる戦略だ。それができれば介護事業は、まだまだメガビジネスチャンスだ。そうであれば効率的にサービスを提供し、顧客を増やし事業を拡大していく必要がある。

しかし事業規模を大きくするということは、それだけ人材が必要だということだ。どういう経営主体に人材が張り付いて、事業規模を拡大できるのかを考えていかねばならない。それに思いが及ばない経営者は、深い傷を負う前にささっとこの業界から退場したほうが良い。

だからと言って介護事業において事業経営者が事業収益を求めること自体が、福祉の精神に反するような考え方があってはならない。事業収益を求めるからこそ事業経営を継続でき、従業員にその労働に見合った対価を支払い続けることができるわけで、その戦略は必ず必要になる。収益を挙げて事業拡大を図る経営者が後ろ指を指される理由は全くないのである。

指弾されるべきは、経営能力がなく経営戦略も事業戦術も立てられず、事業廃止に追い込まれて従業員を路頭に迷わせる経営者である。

どちらにしても将来に備えて収益の一部を事業規模拡大に投資することなく、自らの懐を肥やすだけの経営者に明日はない。同じく自分の懐具合だけを気にして、人材を集めるために必要となる従業員の待遇を向上させる工夫をしないで、内部留保だけを膨らませ続ける経営者も、砂上の楼閣に立っていると言っても過言ではないだろう。

社会福祉の高邁な精神は、従業員がそのことに使命感と誇りを持って、サービスの本質向上につながる意識に向けるべきだろうし、そのために必要な対価は、考えうる最高のものを従業員に手渡していくという考え方がなければ人材は集まらないだろう。

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介護職員はどんな職場を就職先として選ぶべきか


介護職を目指す人にとって、就職先を見つけること自体はさほど難しいことではない。

というより介護職は、どこの介護事業者でも不足しているので、引く手あまただ。だからと言ってどこにでも就職できると高を括っていると、将来後悔することになる。

ある調査によると、介護福祉士養成校の新卒者で10年同じ職場に勤務している人と、10年間で4カ所以上職場を変えている人との年収を調査すると、平均で年額25万以上の差が生じていて、同一事業者で継続勤務している人の方が年収が高くなっているという結果が出ている。

この傾向は、昨年10月から算定できるようになった特定加算によってさらに強まると予測できる。なぜなら特定加算が一番多く配分される、「経験のある介護福祉士」については、その経験10年以上を法人単位でみて決定している事業者が多いからだ。経験については、事業者判断で他事業者の勤務年数と通算できるルールになっているとはいっても、実際に他事業所の経験を通算している事業者は少ないのである。

このことによって、職場を転々とする介護職員は、介護福祉士の資格を持っていても、いつまでもaグループに入れずに、bグループの「その他の介護職員」のままになる可能性が高まっている。そうなると月収ベースで、aグループの人と数万円の差が生ずるのだから、年収差はさらに広がることになる。

勿論転職組の中には、引き抜き・キャリアアップの人もいて、それらの人は前の職場より好条件で雇用され、特定加算も前職場の経験を通算してみてくれるという条件で再就職している例もあり、それらの方々は年収がアップしており、前述した調査結果には該当しないと言える。

しかし平均値で見る限り、キャリアアップ・収入アップの転職組は、そうでない転職組より圧倒的に数が少ないし、転職回数が多くなれば多くなるほど、キャリアアップと程遠い理由による転職になっているという実態が見て取れる。

つまり高い年収を得たいのならば、できるだけ同じ事業所で働き続けて、そこで偉くなるのが一番てっとり早い方法であると言えるだろう。しかし事業者もいろいろで、能力や経験に見合った対価を手渡してくれないことには、長く働いてもどうしようもないのだから、給与規定はどうなっているのかということも当然大事な選択要素になる。

しかしそれよりも何よりも、その事業者が安定して経営が続けられなければ意味がないのだから、将来性があるかどうかも睨んでほしい。介護事業であれば、顧客に選ばれて将来事業規模が拡大できるような経営戦略を持っているのかということが一つのポイントとなる。今現在、顧客に選ばれている事業者なのかについても注目すべきだ。そしてサービスの質に対するこだわりがあり、質の管理、向上に向けた方針なりシステムなりがあるかどうかも見極めるべきである。

そもそも生産年齢人口が今後も減り続けるのだから、労働対価を適切に支払わない事業者には人材が集まらず事業ができなくなる。介護事業経営者が収益を抱え込んで従業員に還元しない事業者もなくなっていく。そんな事業者に就職しても、短期間で次の就職先を探さねばならなくなるのだから、そんなことがないように職場を選ばねばならない。

そんな中で長く安定的に雇用と対価が確保される事業者とは、どんな事業者かを考えて選ぶべきだ。

職員募集の際に、年齢や経験・資格などを全く指定せず、誰でもよいかのような募集広告を出している事業者は選ばないほうが良い。そこは常に人手が足りない状態で、とりあえず誰でもよいから採用したいという意味なので、そんなところの職場環境が良いわけがないからだ。

少なくとも、「経験不問」・「未経験者歓迎」などと募集している事業者においては、それらの人をきちんと教育できるシステムがなければならないはずなのだから、「未経験の人をどのように育てているんですか?」と面接時に質問して、そのシステムを明確に答えられずに、「先輩職員が現場できちんと教えますから」などでお茶を濁す答えしかできない事業者に就職しないことである。

そんな介護事業者では、根拠の無い経験だけが頼りの間違った介護が日常化しており、職員も疲弊し、利用者の暮らしの質もおざなりにされてしまうからだ。職場環境として最悪だ。

人材不足が叫ばれている今日でも、年齢や経験・資格などをきちんと示して、条件を示したうえで職員募集をしている事業者は、そういう人しか求めていないという意味で、経営理念が募集に現れているとみてよい。

人材をしっかり見極めて職員を採用しよとする事業者は、サービスの品質もそれなりに担保されているだろうし、職場の人間関係をはじめとして環境の整備にも力を注いでいる可能性が高い。そこは長く働くことができる可能性が高い。

そういう意味では、職員の定着率が高いかどうかにも注目すべきではないかと思う。働きやすく、コスパに見合った対価を得られる事業者ほど、職員の定着率は高まる傾向にあるからだ。

少なくとも職場理念や就業規則の定めを理解していない人が、面接担当者である職場や、給料表もなく、給与規定のない職場は最初から選ばないほうが良い。そこは労務管理ができていない職場であると言ってよく、経営者の能力も知れてくるので、廃業予備軍と見てよいだろう。

どちらにしても、就職先がたくさん選べるからと、とりあえず就職してみる的な考えを持っている人は、社会の底辺予備軍である。選べるからこそ、数多い選択肢の中から最良の選択をして、そこで経験を長く積み、偉くなる出来である。

職場の中でそれなりの地位に就くことで、自分の理想も実現可能性が高まるわけだから、この国の介護の質を少しでも高めようという動機づけを持っている人が、職場を転々と変えて、いつまでも職場を動かす地位に就けないことは、その動機づけや意思に反した行為だと自覚すべきである。

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みまもり看護システムは安心介護を支えるためにあります(居住系施設編)


24時間見守り看護サービスを行ってる博多の株式会社ワーコンの顧問業務を一旦終了し、今日僕は北海道の自宅へ戻ろうとしています。

今月はすでに博多で2週間近く顧問業務に従事し、近直の3連休も関係なく仕事をしていました。明日、登別市の認定審査会に臨むために北海道に帰りますが、3月6日に博多に戻ってきます。勿論、ワーコンの顧問業務のためです。この会社の事業展開が、日本の介護問題の解決に必要不可欠であると確信しているので、しばらくここに力を入れようと思っているからです。それは人材対策の面で特に求められることだと思っています。

人材不足が叫ばれる中、介護職員の身体的・精神的業務負担の軽減は、人材対策として最も求められることです。特に夜間帯に医師や看護師のいない特養や有料老人ホーム、グループホームなどでは、夜勤業務の不安から職員募集に応募がないところが多いです。

そんな時、24時間看護師が利用者の状態観察を行い、夜勤中も必要な連絡をしてくれるとしたら、職員の業務負担は大幅に減ります。しかも遠隔であっても看護師と直接コミュニケーションを交わして、必要な情報をもらえるという安心感に変えられるものはありません。

つまりワーコンのシステムを施設業務等に導入すると、看護職員を一人雇用した効果が生まれるといって過言ではないのです。しかもその価格は驚くほど安価です。一度ご相談ください。

ワーコンの見守り看護システムは、利用者の体に直接触れない生体センサーとコミュニケーションロボットを使うものですが、それは監視システムではなく、プライバシーに配慮しながら、必要な情報をコールセンターの看護師が読み取り、ご家族や訪問診療医師、訪問看護師等に情報を伝えるシステムです。(参照:施設サービスの一部もアウトソーシングできる時代

機械を設置することで、居室を病院化するようなイメージを持つ方もいると思いますが、それはあくまでコールセンターと居室をつなぐ通信システムであって、利用者の方の身体に影響を及ぼすものではなく、あくまで利用者の住まい(施設も含む)で最大限できる医療・看護や介護を支えるものです。機器を設置する際は、居室の環境に配慮して日常生活の支障にならないように最大限の配慮に努めます。

このシステムは利用者の方の急変時に救急対応を行うことを目的としたものではなく、住み慣れた場所で最期まで過ごすことが出来るように、急変時でも居室で医療や看護を適切に利用するためのものです。医療機関に入院していた方が、終末期と診断された後、このシステムを利用することで住み慣れた場所に戻って最期の時間を過ごすお手伝いも可能になります。

見守りが必要な人は、コミュニケーションロボットを通じて常時の見守りを行うことも可能ですが、見守りが精神的に負担になる方はその機能を使わずに、居室で利用者や介護する方等が必要な時に呼びかけた際のみ、コールセンターとつながることもできます。

生体情報はコールセンターに常時送られてきて、身体状況の変化t等の情報は必要な関係者に送ることが出来ますので、介護する方が常時利用者を見守る必要もなくなり、必要な場合のみ介護をすることにつながります。
生体情報モニター画面
上記画像は生体情報画面です。この情報が24時間コールセンターに送られてきて、リアルタイムにモニターされています。寝ている間、表面上は全く変化がなくても、狭心症発作を起こしていることなども読み取れます。画像の下の方に示されているのはワーコン独自の活力指数で、看取り介護の時期なども予測することが可能になります。つまりこのシステムは、自宅に療養の場として機能を組み込むシステムと言えます。決して自宅を病院化するシステムではないのです。

こういったセンサーを利用し見守りの業務をアウトソーシングすることで、施設の業務負担の軽減につながります。このシステムの導入により、施設職員は夜間にすべてのフロアを巡回する必要はなくなります。生体センサーや、見守りロボットが設置されている部屋は、基本的に何かある時だけ駆けつければよいのです。しかもその対応の仕方については、24時間み見守っているコールセンターの看護師にアドバイスを求められるのです。看護の専門家の視点から必要なアドバイスもしてもらえることになり、医療・看護職が配置されていない時間の勤務に不安を抱えている介護職員の心の支えになることもできます。

しかもこの体制を組めば、夜間オンコール待機している施設看護師の負担が大幅に減ります。

ここが警備会社の単なる見守りシステムとの違いです。そのことが他施設との差別化となり、職員募集に応募も増えるという可能性にもつながります。

つまりこの、「みまもり」は単なる見守りや監視ではなく、「看護もり:みまもり」なのです。

看取り介護の方の部屋にそうした設備を導入すれば、看取り介護と称した、「施設内孤独死」も防ぐことが出来ます。生体情報を見守る看護師から、最期の瞬間が訪れるという情報が送られてくるので、その情報に基づいて対応すればよいからです。生体情報は24時間前くらいから変化が見とれるので、家族も最期の瞬間に間に合わずに悔いを残す可能性も限りなく低くなります。

昨年6月、兵庫県明石市の介護付き有料老人ホームで、入居者の男性(91)が自分の部屋で死亡したまま、死後約2週間発見されず、腐敗が進んだ状態で見つかったという痛ましいニュースが日本中を駆け巡りましたが、そのような信じられない死に方が日本中で起こってくるのが、超高齢社会・多死社会の現実です。ワーコンのシステムは、そのような孤独死を確実に減らすことができるシステムです。

特養や有料老人ホームの部屋に、見守り看護システムを設置する場合は、あくまで施設の備品としての導入ですから、ワーコンと導入施設の契約事項になります。システムをいつ稼働し、どう使用するかも施設とワーコンとの契約内容によります。

その部屋とシステムを利用者がどのように利用するかは、導入施設と利用者の契約事項になります。その際にワーコンは、システム管理業務を担う立場で、契約の際の説明の支援などができます。

なおそれ以外の利用方法として、有料老人ホームが提案して、有料老人ホームの部屋にシステム機器を設置し、利用者とワーコンが直接契約するという方法もあり得ると思われます。

なお介護保険サービスにおける各事業運営規定では、見守りをアウトソーシングすることまでは禁じていません。それは、「入所者の処遇に直接影響を及ぼさない業務」と解釈でき、見守りの結果、その報告を受けて対応するのが指定事業の従業員等であれば全く問題ないわけです。

ですから外部サービスとして、訪問看護や訪問介護を利用している方の、緊急対応にこのシステムを利用しても問題とはなりません。

在宅の方の場合もいろいろな使い方ができます。さらに言えば今問題となっている新型コロナウイルス等の感染症の方への対応にも威力を発揮します。それについては明日と明後日で詳しく紹介・解説します。(在宅編に続く)

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社会資源としてのボランティアに頼る経営の危うさ


日本全国のどこの介護事業者も人材不足が最大の経営リスクだ。

だからこそ人材が集まり、人材が定着し、やがてそれらの人たちが人財となり得る組織作りが求められている。この部分を他の事業者に先駆けてシステム化していかないと、やがて事業経営は行き詰まらざるを得ない。

しかし逆に言えば、他事業者との差別化を図ることのできる人材確保と定着率の向上につながるシステムをしっかり作り上げた事業者は、地域の中で勝ち組になっていくのである。

なぜなら全国のすべての介護事業者で、人材が充足される見込みはないからである。人材確保の勝ち負けが、事業経営に直結してくるからである。

今年は団塊の世代の人たちが、すべて70歳に達するが、それらの人たちは元気で、介護支援を要しない人が多数派である。しかし加齢という自然現象こそが、それらの世代の人々のマジョリティーが、要介護・要支援者となっていく最大の因子であり、団塊の世代の人々の多くが何らかの介護支援を要すことになることは必然の結果である。

しかもその数が途方もなく大きな数であることは間違いのないところで、それらの人々を支える介護支援の量的充実が最も必要となる。でも本当にその量は確保できるのだろうか・・・。

だって、それらの人々を支える塊は団塊ジュニア世代しかなく、その次の塊の世代はこの国には存在していないのである。

そして団塊の世代は2040年に全員90歳に達する。その時に団塊の世代を支えてきた団塊ジュニア世代は、すべて65歳以上となるのである。その時に団塊ジュニア世代が、介護支援のマンパワーとしていつまで頼ることができる存在なのかという問題が噴出してくる。

どちらにしても我が国では、団塊の世代が減る時期に、団塊世代で介護支援を要する人と団塊ジュニア世代で介護支援を要する人を、セットで支えていかねばならないのである。その時期がすぐそこに来ているのである。

だからこそ介護事業者には様々な対策が急がれている。外国人労働者を戦力に組み込んでいくということは極めて当然のことであり、それらの方に選んでいただき、それらの方々が定着できる職場環境づくりや、システム変更も必要不可欠である。

ただし外国の人たちが、将来何年にも渡って職場の戦力になり続けるかと言えば、それは不透明だ。EPAで受け入れた当初の外国人人材には、優秀な人材がたくさんいて、それらの方々にふさわしい賃金を支払っている事業者も多かったが、その方々の多くはもう日本に残っていない。母国に帰ってしまっている現状を見ると、外国人の方の多くは、永住より一定期間のスパンの中で出稼ぎをしたいと思っていることがわかる。

だからこそ、テクノロジーが人に替わることが出来る部分は、どんどんそれを取り入れていかねばならない。見守りはICTが人に替わることが出来る部分である。その部分の省力化を図らない職場からは、人材は逃げていくと覚悟しなければならない。(参照:居住系サービスの一部もアウトソーシングできる時代

この機械化を嫌って、人海戦術に頼ろうとする人が多すぎる。特に元気高齢者をはじめとしたボランティアという資源で人材不足や社会資源不足を補おうとする考え方は間違っている。ボランティアも資源不足が深刻化するのは目に見えているからだ。

そもそも年金等の社会保障不安は、高齢になってもリタイヤせず働き続ける人が増えることにつながっていくのであるし、定年の延長によって、リタイヤした後は自分のために時間を使いたいという人が増えるのだから、年金をもらいながら悠々自適にボランティアに生きがいを求める高齢者は、今後大幅に減ってくるのだ。

そもそも対人援助の仕事は、個人のプライベートな部分に深く介入し、誰かの人生の一部に踏み込んでいく責任がある仕事だ。ボランティアをここに介入させるとしても、ケアの質に直接影響を及ぼさない間接的な働きかけに限定すべきである。責任が強く求められる部分へのボランティアの介入は避けるべきだ。日本ではまだそこまで高度で豊かなボランティア精神は育っていないのである。

本人のやる気と善意に頼り切ったボランティアを主戦力にしてはならないのだ。ボランティアを充てにした事業戦略など成り立たないのである。

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人が育ち定着する職場のマストアイテム


人を育てるために職場内での教育は絶対に欠かせないが、正しい教育を行ったからといって必ず人が育つと考えるのは間違った考え方だ。

介護事業経営者や管理職にこの両方の理解がなければ、人が育ち定着する職場は創れない。誰でも採用して、採用した後はどんなスキルの人間であっても、闇雲に働き続けるようにするだけの介護事業経営ではいかんということだ。

一定期間を経ても教育効果があらわれない人の能力を見極めて、介護の仕事に向かない人は途中で辞めてもらうという、「試用期間」の規定をきちんと定めているだろうか。

試用期間中であっても、雇用者側の都合で勝手な解雇はできないが、試用期間中の解雇については通常の解雇よりも広い範囲で解雇の自由が認められており、「求められる能力に達していないとして」ということも合理的理由とされ、使用者が解約権を行使できることは、過去の判例でも示されているわけである。(参照:人材不足だからこそ採用は慎重に

だからこそ経営者や管理職には、試用期間という中で被雇用者の能力を見極めるという考え方が必要だ。それは採用時に、応募者の人となりをすべて見極められないという、ごく当たり前のことが前提になっている。

人を採用したのだから、あとは現場任せの経営では、人材不足が解決することはない。

今の日本の状況を考えると、介護事業者にとって初めから戦力になる人が何人も職員募集に応募して採用でできるなどという奇跡を信じても始まらない。

介護福祉士養成校は、年々日本人学生の入学者数が減っており、卒業生もごくわずかの数で、地域の介護事業者が職員として雇用できる人の数としてみても不十分なのだから、そんなところに人材供給を頼ってもしょうがない。

介護事業者が人材確保するためには広く職員採用の網を広げて、基礎知識や介護技術のない人を含めて採用しないと、介護事業は廻っていかないことを理解すべきだ。

だからこそ職員は自前で教育する覚悟が必要になる。経験と技術のない人を採用して、それらの人たちの個別の能力をしっかり見極めながら育てていくという考え方とシステムがない場所からは、人が枯渇して当たり前だ。

全国のどこへ行っても介護事業の人材不足は深刻で、人材確保が大きな課題であることに変わりがないが、それを嘆くだけではどうしようもない。

そうであるからこそ、自前の人材対策が求められるのだ。国が何とかしてくれるとか、待っていれば状況が変わるなんて考えている介護事業経営者は、即刻引退したほうが良い。そんな人はまもなく自分の甘い見込みが、自分や自分が経営する事業を追い込み、経営が続けられなくなるだけならまだましで、やがてそのことにより絶望して精神や身体を病む結果になりかねないからだ。

経験や技能のない職員を育てるためには、現場でコーチィングができるリーダーが必要であり、経営者や管理者は、まずそうしたリーダーを育てなければならないことは、このブログで何度も指摘してきた。

だからと言ってコーチィングできるリーダーを育てれば、それだけで職員が全員育って、人材確保に困らない事業者にあるという単純な問題ではない。採用時点で人物を見極めないと、いくら優秀なリーダーでも育てられないスキルの低い人によって、職場はかき回され人間関係も悪くなり、良い人材から辞めていくのだ。

採用時点でスキルの低さを見極められなかった人間が、「腐ったミカン」のように周囲の職員を毒していき、良い人材がバーンアウトして行く。そういう職場には手を動かすより先に、愚痴を言う口を動かすだけの職員だけが残る頃になり、不適切サービスがそこかしこにはびこるだろう。

そういう職場に限って、人がこれ以上いなくなれば業務が回らなくなるからと、就業態度が悪くて、スキルの低い職員に注意ができなくなって、何でもありの荒れた職場環境になりがちだ。

悪い態度や間違った行動を叱ると、それを嫌がって辞める人は、これ幸いと辞めてもらえばよいのである。辞めることを恐れて、スキルのない人間に注意ができない職場が、どんな職場になるのかは、さほど深く考察しなくてもわかりきった問題である。そういう職場の経営陣は、職員の不適切行為や虐待がやり玉に挙がって、マスメディアの糾弾を受ける危険性が高まっていることを自覚すべきだ。

人を育てるために厳しく指導する人を慕う職員が増えることによって職場環境は良くなるし、人材は育つことを忘れてはならないのである。

だからこそ人を育てる職場では、育つ気持ちとスキルがない職員を、試用期間中に見極めて解約権を行使するという、「経営者の覚悟」が必要だ。人を育てる能力がないリーダーをその立場から降ろすという、「経営者の覚悟」も求められる。

向かない職員を採用しないという過程では、一時的に業務が廻らなくなるほど人手が足りなくなるかもしれない。その時は一時的にショートステイを休止したり、受け入れ定員数を下げたりする覚悟も必要だ。身の丈に合った事業規模に縮小する時期を経ながら、人材を育て人財を定着させた暁には、元の事業規模に戻して、かつ高品質なサービス提供ができ、顧客から選ばれるのである。

そういう意味では、介護サービスの品質をアップさせるための、「雌伏の時期」を耐える「経営者の覚悟」が必要で、一時的に収益が下がることもやむを得ないと考える、「経営者の覚悟」も必要なのだ。

よって、人が育ち定着し勝ち残る職場のマストアイテムとは、「経営者の覚悟」なのだと言えるのではないだろうか。

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