masaの介護福祉情報裏板

介護や福祉への思いを中心に日頃の思いを綴ってみました。表の掲示板とは一味違った切り口で、福祉や介護の現状や問題について熱く語っています!!表板は業界屈指の情報掲示板です。

地域包括ケアシステム

サービス付き高齢者向け住宅選択の観点を考える


地域包括ケアシステムとは、「ニーズに応じた住宅が提供されることを基本とした上で、生活上の安全・安心・健康を確保するために、医療や介護のみな らず、福祉サービスを含めた様々な生活支援サービスが日常生活の場(日常生活圏域)で適切に提供できるような地域での体制」(平成25年3月地域包括ケアシステム研究会)と定義づけされている。

つまり日常生活圏域の中で、急性期入院を除く医療・介護・予防・住まい・生活支援サービスを一体的かつ適切に利用できるようになるためには、地域行政が中心となってそのシステムを作り上げるだけではなく、住民自身も加齢に伴う身体状況などの変化に応じた自らのニーズを把握・自覚し、そのニーズに応じた、「早めの住み替え」の覚悟が必要となることを、地域包括ケアシステム研究会は報告書で示唆しているのである。その方針はそのまま、今後の国の施策や市町村の介護保険制度運営にも結びついていくものと思われる。

そうした中で、居宅介護支援事業所の介護支援専門員には、今後一層、こうした観点からのニーズ把握も求められ、必要に応じて自宅で暮らす利用者の住み替え先の提案などが求められていくだろう。

このような考え方をベースにして、住み替えの受け皿として国が建築を推進しているのが、「サービス付き高齢者向け住宅」であることは疑問の余地がないだろう。

しかしサービス付き高齢者向け住宅の、「サービス」とは、入居者の安否確認と生活相談だけなので、身体介護や生活援助(家事援助)については、外部の居宅サービス等を利用することになっている。

定時巡回・随時対応型訪問介護看護が、地域包括ケアシステムを支える基礎的サービスとして位置づけられている理由は、サービス付き高齢者向け住宅に住み替えた要介護者等が、24時間巡回できるサービスを利用することで、その生活を支えることができると考えられているからだ。

同時にこのことは、暮らしの場と分離したケアサービスが、地域包括ケアシステムの基礎をなしているという意味だから、ケアサービスが提供されていない時間は、ある程度の自助努力と自己責任が求められるということになる。

こうした状況下で、加齢に伴う老衰などが進行し終末期を迎えるときに、サービス付き高齢者向け住宅の中で、どのように支援体制を組んで、利用者ニーズに応えることができるだろうかという問題が生じるだろう。

サービス付き高齢者向け住宅は増え続けているが、この住宅は前回の介護保険制度改正と同じ時期に、「高齢者住まい法」が改正されて作られたものだから、本格的な建設〜住み替えは、平成24年度からということになる。つまりそこに住んでいる人は、まだ元気な人が多いのではないだろうか?

よってそこで看取るというケースは、まだ少ないものと思えるが、サービス的高齢者向け住宅に住み替えた高齢者が、そこで年を重ねるにつれて、終末期を迎えざるを得ない人々が増えていくものと思える。その時に、住まいとケアが分離した場所で、どのような看取り介護の支援体制が構築できるのかは今後の大きな問題となるだろう。

加齢に伴う新たなニーズに応じて、せっかくサービス付き高齢者向け住宅に住み替えたのに、終末期に近づくにつれそこでの支援は難しいとされて、死に場所を求めるというだけのために、さらなる住み替えが求められるとしたら、これは大問題だろう。そうしたことがあれば、サービス付き高齢者向け住宅とは高齢期の安心できる居所にはなり得ない。

そういう意味でも、サービス付き高齢者向け住宅は、終末期のケアについてきちんとした理念を持って、適切な支援システムを構築して、利用者を受け入れてほしいと思う。外部のサービスを使って終末期の支援はできるということだけでは、単にそこが死に場所になって、本当の意味での「終末期支援」・「看取り介護」が行われず、安心できない苦痛の終末期が作られだけの結果になる恐れがある。

地域包括ケアシステムにおける今後の検討のための論点という報告書では、『毎日、誰かが訪問してきて様子は見ているが、翌日になったら一人で亡くなっていたといった最期も珍しいことではなくなるだろう。』、『常に「家族に見守られながら自宅で亡くなる」わけではないことを、それぞれの住民が理解した上で在宅生活を選択する必要がある。 』として、これからの社会で高齢期を迎え、やがて終末期を迎える人々に、覚悟を求めているが、これはサービス付き高齢者向け住宅で、外部サービスを利用しながら終末期を過ごす人々人も求められる覚悟なのだろう。

その中でいかに安心と安全の「看取り介護」が実現するのかは、サービス付き高齢者向け住宅の、経営と運営の考え方そのものに委ねられてしまう可能性が高い。

自社サービスのケアマネを担当にして、併設の介護サービス事業者しか利用しないことを、入居条件にするようなサービス付き高齢者向け住宅で、終末期にそのような安心と安全の看取りができるだろうかという観点からも、住み替えの場所の選択が必要になる。それができるようになることが社会全体としては望まれるであろう。

サービス競争は、価格と住環境のみならず、住み替えることによって、利用者の選択肢が狭められることはないという観点から行われるようになるのが、市民レベルでは望ましいといえるし、選ぶ側もそうした観点を重要な選択要素とする意識が必要だ。

自宅で暮らしていた時にできていたことが、サービス付き高齢者向け住宅に住み替えることによって、入居の契約条項によりできなくなることはないかということを、住み替える前に十分に検討して、住み替え場所を選択してほしいと思う。

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多職種連携では自らのスキルが問われる


地域包括ケアシステムの必要性が、盛んに唱えられているが、本当にそのシステムが機能するには、そこで所属を超えた多職種連携が、目に見える形で機能していくことが必要となる。

そのためには、システムがあればよいということではなく、そのシステムの中で、所属事業主体が異なる専門職が、お互いにものを言い合える関係づくりが不可欠である。そのことは「地域包括ケアシステムに欠けているもの(その1)」でも指摘しているところである。

そして、そういう関係を作る場として、法制化される「地域ケア会議」を利用すべきではないかということを「法制化される地域ケア会議では何が求められるのか」で提言したところである。

ところで、この「ものを言い合える関係」とは、単に知り合いであって気安く声を掛け合えるという意味ではなく、それぞれの専門性に基づいた会話が成立する関係でなければならない。

様々な専門家が、地域包括ケアシステムの連携軸の中に存在しうるのであるから、話し合いの中で、いちいち通訳が必要となる状態では困るわけである。そこでは極端にわかりづらい専門用語を使わないという配慮も求められるが、基礎的な知識は他分野の知識であろうとも、ある程度理解できるスキルが求められるということだ。

よく福祉系資格に基づいた介護支援専門員が、医療知識に欠けると言われるが、それは介護支援専門員という資格者が、医師や看護師が持つべき専門知識を持たなければならないということではないだろう。逆に医師や看護師だって、介護保険制度の細かな法令とか、ソーシャルワークや介護実務のすべてを知る必要はないわけである。

例えば自分が担当する利用者に医療ニーズはあるのか、ないのかと判断は、ケアマネジメントの中で求められるわけである。その判断をしないと、医療ニーズに的確に対応する社会資源としての「医療」が、利用者に結びつかなくなり、それは健康状態の悪化という形だけではなく、生活課題の解決につながる利用者ニーズを隠してしまい、いつまでも生活課題が解決しないまま、利用者の暮らしぶりが良くならないという形で、暮らしの質を下げてしまうかもしれないのである。

しかし医療ニーズがあるというアセスメント結果を引き出す責任がケアマネにはあるといっても、その医療ニーズに対応する個別の処方を、ケアマネジメントで見つけることまでは求めていない。むしろそれを行うのは、ケアマネジャーの職域を超え、医療法等の違反さえ問われかねない問題である。

医療ニーズに対する処方は、医師の専門行為であり、ケアマネジャーは、かかりつけ医師への照会や、サービス担当者介護で意見を求めるなどで、その処方をケアプランに落とし込むだけである。

この時点で、何もかも通訳を要しないと、処方内容がわからないということでは困るわけであるから、他領域の基礎的な知識をある程度知らねばならない。

例えば、糖尿病を持病として持っている人の、血糖値管理は重要であるという知識を持っていない人はいないと思えるが、そもそも血糖値とは?その管理の方法はどのような方法があるのかを、血糖値が高い状態が続いた場合にどのような症状が起こるのか、逆に低血糖が起こったらどうなるのかということを全く知らない状態であれば、医師の助言や処方内容が適切に理解できずに、ケアプランで血糖値管理の必要性を十分に落とし込むことができなくなるかもしれない。それではまずいということなのである。

同時に、医療関係者と福祉系資格に基づくケアマネジャーの関係を考えたとき、それは常に前者から後者に指示命令を行うという関係ではない。それは連携とは言わないのである。

医療の処方については、その専門家に判断をゆだねることはあっても、自らの専門領域である、ケアマネジメントについては、自らの判断で、その内容を医療や看護の専門家にも理解できるように説明し、その方針に基づいて支援チームに参加してもらうという考え方が必要である。

ケアマネだけではなく、介護の専門職にも同じことが言えるわけで、例えば医療の手が届かない認知症の行動・心理症状に対するケアの専門家の活躍場面は多いわけであるが、この時経験則からの勘だけで発言しても説得力はないわけで、タイプ別認知症の対応法などを根拠に基づいて示したうえで、ケアのコンサルティングを展開できなければ、指示命令を受けるだけの立場になってしまう。

そういう意味では、多職種連携とは、お互いの専門性を尊重しあうという意味でもある。それは常に様々な分野のコンサルティングを受けることができる専門家を、チームの内部に抱えた状態ともいえる。

ということは、自らの専門性を言葉で語ることのできないスキルしかない人は、連携軸に入れないということになる。介護の専門家であるなら、少なくとも介護については、医療・看護職の人々にコンサルテーション機能を持ったスキルが求められる。そういうスキルを持たない連携はありえず、自分の専門性を言葉にできず、自分の専門領域についてのコンサルテーションができない関係とは、それは連携しているのではなく、指揮命令されるだけの存在になることだという自覚が必要である。

建設的意見を、「云い合う」関係。それがなくなれば、多職種協働は言葉だけの形骸化したものとなる。チームの魂を「鬼」にしないためにも、お互いの専門性を発揮して、云い合い、高め合うコミュニケーションスキルが求められるであろう。

ベストナース・ブックレビュー


※北海道医療新聞社から発刊されている、「ベストナース8月号」の寄贈を受けました。

僕の書いたものが載っているわけでもなく、僕の取材記事が載っているわけでもありません。

今回は、4月に発刊された拙著、「介護の詩〜明日につなぐ言葉」の紹介が、Book Reviewのページに掲載されました。紹介分には、「介護に悩んだとき、紐解きたい1冊です。」と書いてくださっております。

本を紹介していただいた上に、冊子までご寄贈いただき感謝です。ありがとうございます。






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地域包括ケアシステムに潜む盲点


介護保険制度のキーワードは、地域包括ケアシステムであるかのような印象が強くなった今日この頃である。これは今後の高齢社会を考える上で、地域包括ケアシステムの構築が、高齢者が、住み慣れた地域で暮らし続けるために必要不可欠であるとされているからであろう。

現に介護保険制度改正は、地域包括ケアシステムの構築から、その基盤強化が主たるテーマとされ、改正の方向性が決められている。

ところで、地域包括ケアシステムが目指すものの一つに、社会全体の高齢化に伴い、増え続ける認知症高齢者や、重度の要介護高齢者が地域で支えられ、暮らし続けられるということが挙げられる。

ここで注目すべきは、地域包括ケアシステム研究会が2013年3月に作成した報告書に書かれている内容である。

そこでは地域包括ケアシステムの定義を「ニーズに応じた住宅が提供されることを基本とした上で、生活上の安全・安心・健康を確保するために、医療や介護のみな らず、福祉サービスを含めた様々な生活支援サービスが日常生活の場(日常 生活圏域)で適切に提供できるような地域での体制」としている。過去に同列に並んでいた、「急性期入院を除く医療・介護・予防・住まい・生活支援サービス」について、「住まい」がひとつ抜け出すかたちで表記された。

この意味は、以前このブログ記事にも書いたように、「早めの住み替え」が推奨されているという意味である。そうであるがゆえに、2012年の介護保険制度改正時には、同時に、「高齢者住まい法」も改正され、高齢者の新たな暮らしの場として、サービス付き高齢者向け住宅を位置づけ、それを全国各地に建設することを推進し、ここへの住み替えを推進しようとしているものである。

高齢者の方々にとって、認知症の症状があるなしに関わらず、高齢期の住まいの選択肢が広がることは良いことだ。介護施設も、収容施設ではないのだから、そこは住み替えて新たに暮らしを創る場所として選択されてよいし、我々はそのために暮らしの場として選ばれる高品質のサービスを創っていく必要がある。

その中で、サービス付き高齢者向け住宅という選択肢が増えたことを否定するつもりはない。むしろ歓迎すべきであると思っている。

今後は、重度の要介護状態や認知症の症状が出てきた、「ひとり暮らし」の高齢者や、「高齢者夫婦世帯」で両者に認知症の症状が出てきた場合、どちらかが重度の要介護状態になった場合などに、サ高住への積極的な住み替えが進められていくであろう。

ここで考えなければならないことは、介護施設とサービス付き高齢者向け住宅の一番の違いについてである。前者は、暮らしの場に身体介護をはじめとしたサービスが組み込まれた居所である。つまり住まいと介護が一体的に提供される場所である。一方後者のサ高住は、暮らしの場を提供するといっても、身体介護は外付けであり、暮らしとケアが分離している点である。

このことについては、暮らしと介護は分離されていたほうが良い。だからサ高住は、今後一番求められる高齢者の暮らしの場であるという考え方がある。

暮らしとケアが一体的に提供される介護施設が批判される理由は、利用者の暮らしの個別性を無視して、施設の都合に合わせたサービス提供しかされないというものである。

しかしそれは利用者の個別性をきちんとアセスメントし、利用者目線のサービスを構築する視点さえあれば解決できる問題である。むしろ暮らしとケアが分離していないからこそ、可能となる支援行為も多い。例えば趣味活動の外出支援、レクリエーションとしての外出機会確保は、暮らしとケアが一体だからこそできることであるし、定期巡回では対応不可能なさまざまな想定外の状況に対応できるのが、暮らしとケアが一体的に提供される介護施設の利点である。
(参照:住まいとケアの分離が求められる方向なのか?

サービス付き高齢者向け住宅のケアは外付けであり、暮らしとケアが分離している。このことによって生ずる利点は、まず利用者の暮らしがあって、それに暮らしを支えるためにふさわしい外部サービスだけがそこに張り付くということである。このように暮らしとケアが分離していることをポジティブにとらえる向きもあるが、実際には、外部サービス事業者の巡回時間などの都合で、サービスの方法や質が左右されている例が数多くみられる。この点がまず問題である。

また外部の巡回サービスのみで、暮らしをさせようとする場合に、いくら細かくアセスメントを行っても、想定外の時間の排泄ケアなどは対応困難であり、サ高住自体に身体介護提供機能がないことによって、失禁状態が長く放置される事例も見られる。このように必ずしも暮らしとケアの分離が、利用者のニーズとは言えないのである。

サービス付き高齢者向け住宅が、暮らしの場を提供するという以外に、基本機能として持っているのは、見守りと生活相談のみである。

そうした基本機能があるのだから、身体障害のある高齢者だけではなく、運動能力が衰えていない認知症高齢者の方々も住み替えが検討される場所になるであろうが、ここで考えておかなければならないことがある。

運動能力の衰えていない認知症高齢者が、暮らしの場所をサービス付き高齢者向け住宅に替えて、そこで外部サービスを受ける場合に、何が起きるかということである。

外付けのサービスが訪問してサービス提供でできる場所は、居宅と認定される場所が基本であり、外出支援も保険給付されるサービスの中に含まれてはいるが、それはあくまで、「居宅から」もしくは、「居宅まで」という条件が付けられている。しかも趣味活動に関する外出支援は、保険給付の対象にならない。

するとサービス付き高齢者向け住宅に住んでいる、運動能力の衰えていない認知症の高齢者の外部サービスが、定期巡回・随時対応型訪問介護看護である場合は、その巡回時間に利用者がそこにいてくれないと困るわけである。そうなるとサービス付き高齢者向け住宅の基本機能である、「見守り」は、認知症高齢者については、「外に勝手で出ない見守り」になってしまう可能性が高い。

その結果、サービス付き高齢者向け住宅から一歩も出ないで、そこだけで暮らしが完結させられる認知症高齢者が出現してくる。これは果たしで住み慣れた地域で暮らし続ける、という意味になるのだろうか?それはもはや幻想地域と呼ばれる状態で、事実上、地域から隔離された空間にならざるを得ない。

要介護度が高く、自力では移乗・移動動作が取れない人も同じよう帯になりかねない。これらの人の場合は、外出させないという「見守り」を行わずとも、積極的に外出支援を行わない限り、すべての生活行為は、サ高住の中で完結する。地域の空気を感じることがなく、生涯サ高住の中だけで生活支援を受けて終わりという高齢者が増えていくというのが、住まいとケアを分離した場所で、生活支援を受ける人が増える社会の近未来像である。

サ高住で生活する人の居宅サービス計画を作成するケアマネ等には、こうした幻想地域で生涯を終えるという人が存在しないように、本当に住み慣れた地域社会での「暮らし」を構築する視点が求められる。

サ高住という器の中で日常生活が送れるのかという視点のみに終始せず、その人が住み慣れた地域で暮らし続けるという意味を問い続けるような支援が求められるであろう。

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地域包括ケアシステムのキーワードは統合化


先週土曜日は、北海道自治労会館で行われた「北海道介護支援専門員協会研修会」で、「地域包括ケアシステムにおける介護支援専門員の役割」というテーマで講演を行ってきた。

札幌は僕の住む登別から特急列車で80分、自家用車で高速道路を使っても90分くらいで着く場所にあるが、僕が札幌に出かけるのは、昨年7/31の北海道老施協主催:老人福祉施設研究発表会の講師役を務めて以来である。そのため土曜日は、講演終了後オフ会に参加して、久しぶりに薄野に泊まって翌日曜日に帰ってくる日程を組んだ。

土曜日は、昼近くに札幌駅に着いたため、まずは昼食。当初は会場の自治労会館1階にある、札幌ラーメンの老舗、「月見亭」で札幌味噌ラーメンを食べようかと思ったが、どうも味噌ラーメンモードではない。九州へ行く機会が多い僕は、九州ラーメンの細麺ストレート、豚骨スープを無性に食いたくなる時があるのだが、このところ2月ほど九州に行く機会がなかった。しかし登別周辺地域に本格的な九州ラーメンを食べさせてくれるお店はないので、札幌ならあるだろうと探してみた。

すると札幌駅西口を出てすぐの場所に、「ばりきや」という本格的な博多ラーメンを食べさせてくれるお店があるらしい。ここは博多一風堂プロデュースというお店らしい。ということで早速来店。看板メニューの「ばりきめん」は650円であったが、たまの札幌なので贅沢しようと、「肉入りばりきめん」880円をチョイス。

肉入りばりき麺880円
650円のばりきめんのチャーシューより厚いチャーシューが4枚入り。麺は本格的に、「やわらかめ・ふつう・かため・ばりかた・はりがね・粉落とし」から選べ、僕は迷わずいつもの、「ばりかた」を選択。具はきくらげともやし、ネギが入っているが、卓上に並んだツボに入った紅しょうが、高菜、味付けもやしは取り放題。好みによって味が変えられる。スープも本格的な博多ラーメンでうまかった。

替え玉150円
替え玉150円を追加注文。残念なのは注文がすべて食券で行わないとダメなところである。博多でも食券の店は多いが、替え玉は口頭で、現金と引き換えの店が多い。そうではないこの店の方式だと、あとから替え玉を追加したいと思ったら、席を立って食券を買わねばならないが、お昼時で券売機の前に人が並んでいたら、並び待ちの間に、スープがさめてしまう。僕はあらかじめ替え玉分も食券を買っていたが、この方式は不便と思った。でも味は満足だった。

さてお腹も満ちたところで、会場に移動。ばりきやから自治労会館は徒歩7分の場所にある。

北海道介護支援専門員協会の方々は顔も知りの方も多いし、初めてお会いする方もフェイスブックでつながっている人が多数いて、和気あいあいの雰囲気の中でご挨拶〜準備〜講演とあいなった。講演時間は約100分。地域包括ケアシステムの中での介護支援専門員の役割を理解するためには、地域包括ケアシステムとはなんぞや、国は地域包括ケアシステムにより、どういう地域社会を作ろうとしているのかということを理解しなければならない。そのことを制度改正の目的と絡めてお話しした。

北海道介護支援専門員協会講演
地域包括ケアシステムとは当初、「日常生活圏域で、急性期入院を除く医療・介護・予防・住まい・生活支援サービスを一体的かつ適切に利用できる提供体制を全国につくる」という概念が示されていたが、平成25年3月に出された地域包括ケアシステム研究会報告書では、「ニーズに応じた住宅が提供されることを基本とした上で、生活上の安全・安心・健康を確保するために、医療や介護のみな らず、福祉サービスを含めた様々な生活支援サービスが日常生活の場(日常 生活圏域)で適切に提供できるような地域での体制」という風に微妙にその概念が変えられている。

当初は、医療・介護・予防・住まい・生活支援サービスが並立的に書かれていたが、新たな報告書では、「ニーズに応じた住宅が提供されることを基本」という表現で、「住まい確保」をどうするかが一番の課題として挙げられている。このことは地域包括ケアの中で、要介護等高齢者の住まいは、「住み慣れた地域」で確保されるという意味であるが、必ずしもそれは「自宅」を意味しておらず、状況に応じた早めの住み替えを視野に入れなさいという意味だと解説した。

また地域包括ケアシステムは、行政主導の組織化だけでは機能することにはならず、そこに参画する多職種が有機的な連携を図るためには、「顔の見える関係者の関係性」が不可欠であり、今年3月に講師としてご招待を受けた、仙台市の「ささかまhands」さんの活動の紹介を行うとともに、「法制化される地域ケア会議では何が求められるのかで示した考えも説明させていただいた。

地域包括ケアシステムにおける介護支援専門員の役割
同時に国は、このシステムが機能するような介護報酬評価の仕組みを作るのではないかと指摘した。

それは何か?所属の違う多職種連携が有機的に機能するモデルとして面白いのが、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の連携型である。連携型は訪問介護事業所に訪問看護師がおらず、外部の訪問看護事業所と委託契約を交わした上で、定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所は市町村に連携の届け出を行い、訪問看護事業所は都道府県に連携の届け出を行った上で、外部の医療機関の医師の指示を受けたケースについて、定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスとして、訪問看護事業所より訪問看護が行われる。そして費用算定は、24時間訪問介護事業所が請求し委託費を訪問看護事業所に支払うのではなく、それぞれの事業所が連携型の定期巡回随時対応型訪問介護看護の費用算定を行うという形である。

このように委託契約と言う形でありながら、費用算定はそれぞれの事業所で行い、なおかつそれはお互いのサービスが有機的に繋がって定期巡回・随時対応型訪問介護看護費を算定するという構造において、自然と両者のネットワークが形成され、医師・看護師・訪問介護員という所属が違う者同士の多職種連携が進むという事例がみられる。

地域包括ケアシステムにおいては、そうした連携が必要になるため、介護報酬の体系も、それをモデルにした算定構造を増やしていくというのが国の考えだと思う。だから地域包括ケアシステムのこれからのキーワードは「統合化」であり、介護報酬評価は包括化をさらに進め、サービス毎から「経営単位」に考えられていくだろう。

これは来年の報酬改定時のことだけではなく、次の次の報酬改定時にも引き続き検討されていくことで、むしろ次の次の報酬改定時にその傾向が色濃く示されるように思われる。

そのほか講演では、地域包括ケアシステムによって作り上げたい地域社会とは何かという部分について説明し、課題である認知症対策や、そこで求められる介護支援専門員の役割、在宅での看取りについても解説させていただいた。

自著本販売コーナー
講演後に会場で、僕の著作本4作品を販売させていただいたが、新刊の「介護の詩」はじめ、「人を語らずして介護を語るな」全3シリーズをすべて購入してくださる方もいて、大変感謝している。

今野さんへのサイン
ご希望者には、いつものように落款入りのサインをさせていただいた。

講演終了後、総会を終えるのを会場で待ち、そのままオフ会へ向かった。オフ会には19名の方が参加してください里、大いに盛り上がった。

オフ会
僕はこの後、2次会・3次会と場所を変え、日付が変わるまで飲んで、薄野のど真ん中にある定宿に泊まり、翌日登別に戻った。

北海道介護支援専門員協会の皆さん、講演受講者の皆さん、2次会以降に駆けつけてくれた皆さん、本当に楽しかったです。ありがとうございました。

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