masaの介護福祉情報裏板

介護や福祉への思いを中心に日頃の思いを綴ってみました。表の掲示板とは一味違った切り口で、福祉や介護の現状や問題について熱く語っています!!表板は業界屈指の情報掲示板です。

感染症

責任の線引き・己に課すべき責任


雨上がりの連休明けは、雲一つない青空が広がっており、気温も上がって桜がとうとう開花した。
登別市鷲別町の桜
登別市鷲別町の桜
新型コロナウイルス対策で、お花見気分ではないか、桜を愛でる心の余裕だけは持っておきたいと思う。さて本題・・・。

感染拡大予防対策がこれだけ長期化するのは初めての経験なので、様々なサービスの場で、介護関係者は前例のない判断を強いられる。

こうした緊急事態であるから、暦に関係なく国から必要な情報も出されてくる。そうした情報を分析判断して都度、前例のない対応判断が必要となる場面が多くなることは容易に予測できる。

厚労省サイトに、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議 「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」が掲載されたのは5/4のことである。そうであれば現に営業中の通所介護事業所などが、この提言に沿った対応措置を取らなくてよいのかという判断が、少なくとも5日の時点では求められたはずである。

だからこそ休業していない介護事業者においては、サービス提供の場で即時判断と対応ができる体制を整えておらねばならない。昨日までの大型連休に、施設長や管理職が休みを取る場合でも、判断できる権限と責任を持った立場の者をきちんと配置しておくことは当然求められたであろうし、それができない場合は、トップがリアルタイムで判断できるように、オンラインでいつでも連絡が取れる体制を整えておくのが、この非常時の当たり前の対応である。そうした備えは出来ていたのだろうか。

それができていない経営者や管理職は、自分の適性を疑った方が良い。少なくともできていない状態を放置して、長期間休んでいるのは責任の放棄であるという誹りは免れないだろう。

ところで連休中に示された新しい国の方針や基準に関連して、表の掲示板では『国から介護現場における対応をきちっと示してもらわなければ、地域の足並みもそろわない。』という意見も書き込まれている。

しかし僕はそうは思わない。そのような意見はあまりにも甘えた考え方だと思う。国は感染予防のガイドラインも示し、特例の算定要件も示している。しかし介護施設や通所介護などの各事業者のサービス提供体制は個々で異なるのだから、国がすべての事業者に共通して示すことのできる感染予防策には限界があるし、個々の事情で対応の具体策は変えなければならないのは当たり前のことである。

そもそも自分が管理する場で、サービスを利用する人々を護る責任は、その事業管理者にあるのは当たり前のことだ。今そこに居る人の事情が分からない国に、責任の下駄を預けてどうするというのだ。

普段、民主主義を声高に唱える人が、いざ問題が起きて自分が決断しなければならない立場になった途端に、「国がすることを決めろ」・「自分は国が言うとおりにするだけだ」と謂うのはお門違いも甚だしい。それは民主主義を自ら崩壊させる行為につながりかねない。自分が責任を負わなくてよいことだけ、自分が主体となって決めるというのは独善主義そのものであり、単なるわがままである。

国がすべきことと、事業者や事業主のすべきことの判断基準が明確にされているわけではなく、そこは個々の状況に基づいて、事業主自らが判断しなければならないところだ。その時に、自分の責任を軽くするために、国に責任を強く求めたとしても、その責任逃れに国が即応するわけがないのだから、そこで生ずるのは利用者の不利益だけである。

対人援助事業においては、そうした不利益が利用者の暮らしの質と直結するのだから、そうしないために必要なことは、事業主責任の範囲を広く考えて、まず自らが利用者を護ろうとすることである。結果的にその部分にも国が責任を持って手を差し伸べてくれるのであれば、それは幸運と思えばよいことだ。

国に寄り掛かり過ぎれば、利用者を無責任放置するしかなくなるかもしれない。そのことを何より恐れるべきである。例えば、示された情報の解釈を国が明白にするにはどうしてもタイムラグが生ずる。そうであればとりあえずサービス提供に即応しなければならない問題は、現場判断でできる限り取り得る対策を講じておくという考えが求められるのだ。

そのためには事業者自身が、適切に情報を集めて判断するしかないことも多い。「新型コロナウイルスは空気感染しないから空間除菌は必要ないという誤解〜エアロゾル感染との違いは何か?」で示した考え方についても、国が何か指示したり、考えを示すことを待っていてもしょうがないので、自分で情報を集め判断したうえで、必要な対策を講じようというものだ。

このように個々の事業者判断で対策を取ることは当たり前のことで、こうした具体策まで国が指し示すことなんかできるわけがないのである。

私たち自身はちっぽけな存在であろう。世界の情勢にちっぽけな我々の存在や言動なんて少しも関係しないだろう。しかし何もできないという事実を何もしないことの言い訳にするのは卑怯だ。自分の責任を自覚することで、判断できるものは格段に増えるはずだ。

判断に迷ったら、人が少しでもましになる方向に考えればよい。事業経営者であれば、サービス利用者や従業員にとって、今よりましになる方向はどちらかという視点で物事を考えるべきではないのだろうか。

その結果はいずれ自らの身にもふりかかってくるのではないだろうか。
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削除すべき介護施設の食事提供規定


1983年に封切りされた映画、「家族ゲーム」(森田芳光監督作品)は、故・松田優作扮する三流大学の7年生という風変わりな家庭教師が、高校受験生を鍛え上げる様をコミカルに描いた傑作で、この年のキネマ旬報ベスト・テン第57回、日本映画ベストワンなどを受賞している。

この作品を見ると、やはり松田優作という役者はすごいと思うし、まだこれからという時期に夭折したことは、返す返すも残念でならない。(関連参照:若者よ。君たちは松田優作を知っていますか?

この映画は当時として画期的な演出が随所に取り入れられていた。例えば音楽なしの誇張された効果音もその一つであるが、僕にとって最も印象に残っているシーンは、家族が向かい合わせではなく、テーブルに横一列に並び食事をする演出である。下記画像がその場面である。
家族ゲーム
当時としてはコミカルにも感じたこのような食事風景であるが、もしかしたら私たちのこれからの食事風景は、このような形が当たり前になるかもしれない。

というのも、先日開催された政府の新型コロナウイルスの専門家会議において、今後、国民が実践すべき「新しい生活様式」として提言する内容が話し合われたが、その内容は以下のようなものである。
・人との間隔を極力2メートルあける
・手洗いや換気を小まめに行う
・毎朝、家族で体温を測定する
・公園はすいている時間を選ぶ
・食事では横並びに座る
・帰省や旅行を控えめにする
・誰とどこで会ったかをメモする」


このように、「食事では横並びに座る」と提言されるのである。すると家庭の食事場面よりむしろ、医療・介護における食事提供シーンで、このような方法が推奨されていくようになるのではないだろうか。

介護施設をはじめとした居住系施設(GHやサ高住等)だけではなく、通所サービスにおける食事など、複数の利用者が同時に食事を摂る際に、利用者同士が向かい合わせで食事をするという形は徐々に少なくなり、家族ゲームのような横並びの形で食事を摂ることが当たり前になってくるのかもしれない。

特に通所介護は、利用者の個別の居室があるわけではなく、食堂で一斉に食事をするのが当たり前なのだから、こうした場面は早々と生まれるだろうし、クラスター感染を恐れてとり得る対策を最大限に取ろうとして、もうすでに実施している事業所もあるかもしれない。それは決して悪いことではなく、できるならばそうしたほうが良いだろう。

ところで介護施設ではどうしたらよいだろう。勿論、食事を食堂で一斉に摂るのであれば、通所サービス同様に、向かい合わせのシーンをなくして、横並びに食事できる配置に切り替えるべきだが、そもそ自分の部屋がある施設なら、そこで個々に食事を摂っても良いと思う。

特に現在の居住系施設は、介護保険施設も含めて個室が増えているのだから、それぞれのお部屋で食事を摂るのがスタンダードになって良いように思う。感染リスクを考えると、そうした方法の方が予防効果は高いし、自分の空間で他の人の食事シーンを見ながらではない状態で食事を摂りたいというニーズは、考えられている以上に多いはずだ。そして各居室に配膳するなんて業務は、ルーチンワーク化すればさほど難しくもないし、手間ではない。それが証拠に有料老人ホームの一部は、それが当たり前になっている。

僕自身が介護施設に入所したらと考えると、せめて食事くらいは、自分の好きな場所で、ゆっくりお酒を呑んでテレビでも見ながら摂りたいと思うだろう。

しかし介護施設でそのことがほとんどそのような方法が浸透していない理由は、運営基準そのものに原因がある。

特養の運営基準(平成十一年厚生省令第三十九号)を例に挙げると、次のような規定があるのだ。(これは老健等も同じである)
(食事)
(一般型特養)第十四条2 指定介護老人福祉施設は、入所者が可能な限り離床して、食堂で食事を摂ることを支援しなければならない
(ユニット型特養)第四十四条4 ユニット型指定介護老人福祉施設は、入居者が相互に社会的関係を築くことができるよう、その意思を尊重しつつ、入居者が共同生活室で食事を摂ることを支援しなければならない


↑このように運営基準として、食堂(ユニット型の場合は共同生活室)で食事を摂ることを規定しているので、利用者の部屋に食事を提供する方法は、実地指導で、「不適切だ」と運営指導を受けることになり、「やりたくてもできない」のが現状なのである。

そもそもこのような規定がなぜ存在するのかと言えば、それは役人が食事を、離床機会と考えており、食事も居室で摂るような状態では、引きこもりが助長され自立支援を阻害するという偏見があるからに他ならない。

昭和40年代に、寝たきり老人の問題がクローズアップされ、特養でも離床が最大の目標にされた時期があるため、このような規定が生まれたものと思う。

しかし現在は、離床は食事時間だけに行うという時代ではなくなっているし、居室における食事であっても、ベッド上で食事をするような誤嚥の危険性が高い食事方法を否定するだけで、自分の部屋で離床して、自分のペースで好きなテレビでも見ながら食事を愉しむというライフスタイルが実現できるわけだ。

それは引きこもりにはつながらないし、自立支援を阻害する問題ともまらない。むしろQOLの向上につながる、多様なラーフスタイルを認めるということに他ならない。

よって利用者ニーズの変化に合わせて、食事提供に関する運営規定は変えられるべきであるし、それは感染予防という、新たに必要な対策にも合致することだと言えるわけである。

早急に規定改正を行い、第十四条2と第四十四条4を削除してほしいと思うのである。
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金銭で出力するのがプロであるが、お金は命と健康に替えられないことも真実の一つ


新型コロナウイルスによる感染対策の一環として、感染リスクの高い介護の場で働く介護職員に特別給付金の支給をいち早く決めたのは福岡市であった。

4月15日に公式サイトを更新して、市内の施設、通所介護、訪問介護、居宅介護支援、障害児者にサービスに対し、その規模に応じて施設単位・事業所単位で15万円から150万円を、「早ければ5月中旬から給付したい」とした。

その目的は、自らが感染するリスクもある中で最前線で頑張っている人を支援するというもので、支給は事業者単位であっても、それは事業者を通じて介護従事者に支払われるという趣旨のものである。

この方針が公表された当時、僕は福岡市に滞在して仕事をしていたので、同市の素早い方針表明に心から拍手を送ったものだ。

その後、訪問介護を運営する複数のNPO法人などが連名で政府に、ヘルパーに臨時の危険手当を支給する要望書を提出したり、日本介護福祉士会が介護従事者への特別手当の給付を求める内容を含んだ要望書を提出するなどの動きが相次いだ。

そのためコロナウイルス関連補正予算には、介護サービス事業者の経営を下支えする施策が含まれ、福祉医療機構による無利子・無担保の融資が拡充されるほか、感染を防ぐ対策の強化、あるいは施設の消毒などに一定の補助が出ることになったことに加え、介護職員の一部に危険手当を出せるようにする措置がとられるそうだ。対象は感染者をケアする施設・事業所など一部に限る方向であるが、今後対象が拡大される可能性もある。

感染リスクにおびえながら不安につぶされることなく介護業務に従事している人に、金銭面で支援を行う施策をとることは大いに結構なことだ。プロフェッショナルは金銭で出力するのだから、そのことはとても重要だと思うし、そういう形で頑張っている人が報われる社会であってほしいと思うからである。

だからと言って、介護職には高いお金を支払っているんだから、危険に身をさらすのは当然だと思われても困る。そもそも手当より優先されるべきことは、介護従事者の感染リスクを少しでも減らす施策にお金をかけることであり、それと手当の支給は並行的に考えられるべきだと僕は思っている。

手当をもらって特攻精神で、感染リスクのある場所で頑張った結果、健康を奪われ、命が危険にさらされてはどうしようもない。介護従事者にも、暮らしがあり家族があるのだから、本人を含めた周囲の人の感染リスクが高い状態を放置したままで、手当という餌によって現場に放り鍋る状態は、感染予防にはならないし、それは介護崩壊に直結しかねない状態であると言える。

このような指摘をしなければならない背景は、あまりにも介護の現場がウイルスに対して無防備だからだ。このブログで何度も指摘しているが、現在の状態は、介護従事者が目を護らないで、介護業務にあたってよい状態ではない。それなのにゴーグルを標準装備していない介護事業者が多すぎる。

エアロゾル感染対策も全くとられていない。介護施設等の決められた空間で働く人にとっての恐怖とは、手洗いやうがいをいくら行ってもエアロゾル感染リスクが高ければ感染してしまうということである。逆に言えばエアゾル感染リスクを低下させれば、利用者の感染リスクは大幅に下がり、それは介護従事者の感染リスクの減少にもつながる大きな要因になる。

この二つの部分にもっとお金と知恵を使うべきである。昨日僕の別ブログで、「新型コロナウイルスの感染の不安を抱えたまま、介護職員をサービスの場に放り出してはならない」という記事も書いて、その具体的対応方法例も示している。

是非それらの記事を参考にして、今、このGW期間中も、介護の場で奮闘している介護従事者の皆さんの命と健康を守り、介護崩壊を防ぐ取り組みを進めていただきたいと心から思う。

感染予防という課題全般をも渡すならば、すでに莫大な費用がその取り組みにかかり、休業事業者では大きな損失が出ているが、ゴーグル装着とエアロゾル対策は、それに比べるとわずかな費用で、感染リスクを大幅に低減できるという効果があるのだから、コスパは高いと言える。

そういう取り組みをしていかない手はないのである。
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非常時こそ指揮官先頭・指揮棒は最前線で振るべし


暦通りに休みを取れる人にとっては、明日からが5連休でまさにGWの真っただ中に入るということになる。

介護施設でもシフト勤務以外の職員は、暦通りに休めるのが普通だし、施設長や管理職も何もなければ休暇を愉しんでよい時期だ。

しかし新型コロナウイルス対策に追われる今年は様相が異なる。シフト勤務の職員も、感染症の拡大に伴う諸事情の影響で、いつものようにシフトに入れない人が多い。そんな中でシフト勤務の職員だけにその負担を負わせてよいのかと考えたとき、全職員協働でこの危機を乗り越えるという心構えが求められると思う。そのため事業者独自の暦を作って、連休時期を秋以降にずらすという考え方も必要だ。

特に休業せざるを得ない事業者を除いた介護施設等の施設長や管理職にとって、今年のGWはないものとあきらめたほうが良い。

感染者がいつ出て、クラスター感染につながるかもわからない介護の最前線で、従業員が不安を抱えながら利用者対応しているこの非常時に、介護施設のトップ等が暦通りに休んでいては、施設全体の士気にかかわる。

特に居住系施設では、利用者に対しても様々な行動制限を強いている場合が多いのだから、その例外を認める即時判断を行うためにも、指揮官は前線で先頭に立って指揮する姿勢を見せておかねばならない。

そうしないと従業員が不安でパニックになったり、前線から撤退してしまうということが起こりかねないのが現在の状況だからである。

介護施設で働く従業員の方々に言っておきたいことがある。あなたの施設のトップが今年のGWを、休む権利があるとして例年通りに休んでいるとしたら、あなた自身は転職先を真剣に探した方が良い。なぜならそういう施設では、あなたの命や暮らしを軽視した事業経営をしているにほかならず、今後感染症の発症者が出て対応が必要になっても、あなた自身の命や暮らしは、2の次3の次にされてしまう可能性が高いからだ。

表の掲示板の、「感染拡大防止のために、介護従事者は目を護る日常業務習慣をつけてください」というスレッドのNo.6・No.8・No.9のコメントを読んでいただきたい。

その声は介護施設で不安を抱えながら頑張っている人々の悲痛な訴えだ。介護職員だけを感染源のある場所に徒手空拳で突入させるようなことがあってはならないし、そういう特攻精神でしか事業が成立しない経営方法はとるべきではない。介護従事者をしっかり護っているよという姿勢を示すうえでも、介護施設のトップは従業員の見える場所で指揮を執り続けるべきである。

仮に施設内の1フロアで感染者が出た場合には、時間をおかずにリアルタイムで必要な対応をしなければならないということを理解・覚悟して、施設長をはじめとした管理職が即応できる体制を取らねばならない。

感染者が出ないように日ごろから、介護職員等がゴーグルを標準装備して利用者対応しておくことは常識だし、いざ感染者が出たときのために、エアロゾル感染を防ぐための消毒機器を事前準備しておかねばならない。

感染者が出た後で、それを準備しようとしてもかに合わないのだから、『新型コロナウイルスに打ち勝つにはアイテムが必要〜介護従事者を一人も感染させてはならない』で紹介している薬剤等を事前準備して、いつでも使用できるように備えるべきだ。

北海道でも介護崩壊が現実味を帯びている。入居者と職員ら10人が感染した千歳市のサ高住は、配置できる職員が1/4以下になる中、陽性患者8人が医療機関に入院できずに、住宅内で対応する期間が長期化している。

今日の時点でそれらの患者がすべて入院できたのかは不明だが、感染が広がって少なくとも29日時点では入院ができない人をサ高住で対応していたわけである。するとそこには感染フロアが存在していることになる。そのサ高住は日ごろから感染区域と非感染区域を分ける備えができていただろうか。職員はきちんとゴーグルをつけて対応していたのだろうか。そして施設内のエアロゾル感染を防ぐために、消毒殺菌薬の噴霧をしていたのだろうか。

サ高住で陰圧室を作れるわけがないのだから、それらは必要最低限の対応と言えるが、行政がそんな指導も手伝いもしてくれるわけがなく、介護事業者は自分の身を自分で守らねばならないのである。そのために指揮官は最前線で指揮棒を振る必要があるのだ。

介護事業経営者や施設長・管理職は外部に必要な支援を求めることとともに、自衛手段をきちんと考えて、手段を持たねばその責任は果たせないのである。外部に何とかしてくれと訴えるだけでは、利用者も従業員も守れるわけがない。そうした非常時であるということを理解しない経営者は暢気すぎるのだ。平時の宰相はいらないのだ。

リンクを貼りつけた別ブログで紹介した空間除菌ができる、除菌水ジーアも行政対応が間に合わない今は、自衛手段として持っておくべきアイテムだと思う。

こうした備えを幾重にも重ねて感染予防対策を強化しておくことをしないと、従業員の不安は増すばかりだ。恐怖と不安で押しつぶされた従業員が、介護の職業から離れていく恐れもなくはないのだから、今この時に取り得る対策をすべて取っておく必要があるのである。

どちらにしても施設長は仕事を休んでいる暇はなく、介護の最前線で指揮を執る必要があるのだ。
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桜咲く場所でできること


北海道はそろそろ各地域で桜が咲き始める時期だ。

函館は例年より4日早く、今週初めにすでに開花宣言が出されているので、これから徐々に桜前線が北上してくる。登別の満開はこのGWの真っただ中になるだろうか・・・。

しかし今年のGWは例年と全く異なる様相を呈している。

登別市のホームページでは、小笠原市長名でGW期間中の登別温泉やカルルス温泉といった観光外への訪問自粛を呼び掛けている。テーマパークや旅館も休業しているところが多く、観光客もほとんどいない。

このため国道36号線から延びる登別温泉までの街道を彩る、「桜のトンネル」を愛でる人の数もめっきり少なくなると思え、今年は地元の人だけになるかもしれない。

北海道のお花見と言えば、桜の周りで『ジンギスカン鍋』がを囲む光景が定番だが、そうした花見も今年は難しいだろう。それも仕方のないことだと思う。来年の桜の時期に、世の中が平安になっていることを祈って、今年は遠くから桜の姿を愛でるだけにしよう。

ただし考えてほしいことがある。今、高齢者の方々は感染に怯え、様々な活動を控えていることだろう。そのような中でも在宅でお元気な方であれば、自分の動ける範囲で、安全な場所でストレスを発散する活動ができるかもしれない。

しかし介護施設などの居住系施設で、面会制限・活動制限を受けている人は、施設の方針が絶対命令になって、がんじがらめに日常生活を縛られてしまっているかもしれない。そういう状態が長く続けば続くほど予期しない問題の噴出が懸念される。感染予防は大事だが、そこに住む人々のストレス管理という側面を是非忘れないでほしい。

僕の経験に基づいていえば、特養の年間平均退所者割合は2割以上である。そのうち9割近くが死亡退所である。

そうであれば今年の桜を見逃したら、来年の桜を見ることができない人が特養には確実に2割程度いることになる。誰がその2割に当たるのかはわからないとしても、そういう人が確実にいるとわかっている場所で、今年の桜を愛でる支援努力をしないことは罪以外の何ものでもない。

制限の掛け声をかけるだけなら素人でもそれはできる。制限のある暮らしの中で、その制限の中で、できることを増やすこと、知恵と工夫によっていかに制限を緩やかにできるのかは、暮らしを支援する専門家の手腕にかかっている。制限やむなしという中で、制限さえしておれば自分の責任は果たせるという考え方だけはやめてほしい。

感染予防対策に厳しく臨むのはよいが、厳しさだけで愛情をなくしてしまったときに、人の心は邪気を持つ。そこで生まれるものは差別と哀しみでしかなくなる。それはやがて他者に対する無関心につながっていき、自分さえよければ他人はどうでもよいという意識につながりかねない。

巷では、保育所などが医療従事者の子どもの預かりを拒否する事例が報告されている。それはあまりに理不尽である。感染症対応の第一線で働く人が差別を受けるなら、感染対応者はいなくなる。実際にはウイルス感染者がいない医療機関の従業員も同じ差別を受けている現実を見ると、この風潮が広がる先には介護従事者やその家族も同じ扱いを受けかねない。そうすればこの国の医療も介護も崩壊だ。いやそれは単なる医療・介護の崩壊ではなく、人間社会の崩壊であり国の滅びである。

サザエさん一家がアニメの中で行楽に出かけて何が悪いのだろう?私たち自身が行動に気を付けなければならないからといって、架空アニメの世界まで自粛と規律を求める世界は息が詰まる。世の中あまりにもギスギスしすぎていないだろうか。

こんな時期だからこそ、人に優しくする方法論を考えたい。いつもなら気が付かなかった人の心の動きをわかるようになりたい。その心に寄り添う方法を探していきたい。

私たちの専門性とは、そんなところにあるのではないだろうか。さくらびとのように、今この時期にも、「右上がりの介護」を目指したい。

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ゴーグルは感染エリアで使用するだけで良いという考えの呑気さを笑う


先週の土曜日に、「介護従事者は目を護る日常業務習慣をつけてください」という記事を書いて、介護サービス利用者と濃厚接触せざるを得ない介護従事者については、日常介護においてもゴーグルを装備すべきだと提言した。

それに対して、『早速ゴーグル対応を日常装備化した。』・『手間もかからず職員の安心感が増している』という連絡もいただいている。素早い対応に拍手を送りたい。

しかしそうした意見の反面、『そこまでする必要はなく、ゴーグルは感染エリアでの対応時のみで十分だ。』という意見がある。『全国老施協のパンフレットも、ゴーグル使用は感染エリアでの使用を前提にしたアナウンスなのだから、日常介護までゴーグル装備は必要ない。』と論評する輩がいる。

まったく呑気である。というかこういう馬鹿がクラスター感染を発生させているのだ。全国老施協のパンフレットの対応では、感染拡大が止まっていない現状を打破しえないので、それ以上の対応に変えようというのが僕の考え方であり、土曜日に書いた記事での提言である。

僕は老施協のパンフを解説する立場にないし、そんな義務もない。パンフの紹介は、資料の一つとしてこんな提案もされているよという情報の一つにしか過ぎない。そんなことも読み取れず、理解もできない馬鹿が、いちいち偉そうなコメントを書くなと言いたい。ここは僕の個人的な場所で、そのような馬鹿と付き合うスペースではないのだ。

土曜日の記事でも指摘したが、コロナウイルスは口と鼻と目から侵入し感染・発症することがわかっている。皮膚から体内にウイルスが侵入することはないわけだから、口と鼻と目をしっかり護れば、ウイルスの侵入を防ぐ確率はかなり高くなる。そうであるにもかかわらずマスクで口と鼻だけ護って、目を護る対応を行っていない方がどうかしているのだ。

そもそも感染拡大の一番の要因は、本人も自覚せずにいる無症状の感染者に濃厚接触する『紛れ込み感染』が増えていることであり、感染エリアで感染が広がっているわけではないのだ。だからこそ一般の日常生活のエリアこそ感染予防対策の充実が求められるのだ。

道内千歳市でクラスター感染が発生したきっかけは、グループホームで利用者と職員の双方に感染が広がり、利用者が受診していた医療機関にそれが拡大し、関連の訪問看護ステーションや通所介護にも広がっていったことによるものだ。最初に感染拡大したグループホームで、予防対応ができていればそれほど感染が広がらなかった可能性がある。

同市のサ高住では、入居者と職員計10人の陽性が判明し、入居者43人がPCR検査の結果を待っている状態だが、感染不安からパート職員が次々退職し、出勤できる職員が現時点で5名に減って介護崩壊が現実味を帯びている。こうした感染拡大も新型コロナウイルス騒動の初期から、従業員が口と鼻と目を護るという介護対応を行っていれば防ぐことができたかもしれないのだ。

昨日新規発症者が1日最多の26人に並んだ札幌市では、複数の医療機関のクラスター感染が、感染者数増加の一番の原因となっている。それらの医療機関で日常的に、口と鼻と目を同時に護る看護・介護対応が行われていたら、感染者の数は今より減ったかもしれないのだ。

そうした予防対応をこれでもかと十分すぎるほどしておかねばならないのが今の時期だ。わかっていること・できることの対応をしないというのが一番まずい。

特にゴーグルをかけて目を護るなんていう対応は、まったく難しくない方法で、やろうと思うだけで誰もができる方法だ。しかもゴーグルは、マスクや消毒液と異なり使い捨てではなく、一度備え置けば何度も使えるのである。そういう意味で品薄になる可能性も低い製品だ。

ゴーグルを装着する意味を利用者に丁寧にわかりやすく説明すれば、そのことが不快だとも思われないだろうし、仕事の邪魔にもならない。装着に手間がかかるということもない。

そのように簡単に対応できることに対し、どこどこの誰それはそんな必要はないと言っているとか、感染エリアの対応で十分だとか、根拠のない無責任発言を繰り返して反論する輩など無視してほおっておけばよいだけの話だ。やれることはやっておくに越したことはないのである。

決して間違ってほしくないことは、「今は平時ではない」ということだ。平時対応の常識は通用しない非常時・緊急時であるということだ。この時期であるからこその対応を念頭に置いて、感染予防リスクを1%でも減らせる方法で、できることをまず行うというのが、私たちに求められていることだ。

4/18に厚労省クラスター対策班のメンバーでもある東北大の押谷仁教授が、日本感染症学会で、『高齢者の方が他人に新型コロナウイルスをうつしやすい』・『喉から排出するウイルスの量は重症度ではなく、年齢に関連する傾向があり、年齢が高いほど他人に感染させる可能性が高い』と発表していることもあり、高齢者介護に携わる人は、一層の注意が必要なのだ。

だから感染しているかどうかわからない人と、濃厚接触せざるを得ない介護従事者は、すべての場所で、すべての業務において、利用者対応の際にはゴーグルを標準装着して対応すべきなのである。

リスクがわずかであったとしても、少しでも感染リスクのある場所で介護を行う人が、口と鼻と目を無防備にむき出したままで対応してはならないのである。無防備にむき出した目の粘膜からウイルスが侵入してしまうのだ。

今はそう考え、しっかり対応する時期なのだ。ゴーグルを外して対応するのは、平時に戻った後の話である。
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介護従事者は目を護る日常業務習慣をつけてください


北海道の新型コロナウイルス感染症は、一旦落ち着き減少傾向に向かうかに見えたが、道央圏を中心にして再び感染が拡大している。

特に問題なのはクラスター感染で、医療機関や介護施設内で、患者・利用者・従業員に感染が広がっており、医療崩壊や介護崩壊の懸念も生じている。

北海道の空の玄関口である千歳市では、市内のグループホームで感染者が見つかったのをきっかけにして、そのグループホームの入居者が入院していた2つの病院でクラスター感染が発生。さらに系列の訪問看護ステーションや、通所介護事業所などにも感染が広がっており、さらに多数の医療機関や介護事業者への感染拡大が懸念されている。

こうした感染拡大も最初は、医療・介護従事者がウイルスを持っていると気が付かずに感染者に対応したことがきっかけになっている。だからこそ感染者に気づかずに濃厚接触してしまうかもしれない介護業務においては、コロナウイルス感染が収束するまでは日常の介護業務から感染予防策を万全にしておかねばならない。

今わかっていることは、新型コロナウイルスは皮膚からの吸収感染はされないということだ。よって素手で感染者に対応したとしても、介護行為を終えた後に素早く適切に手洗いすることで感染は防ぐことができる。逆説的に言えば、素手で介助を行ったあと手洗いの前に顔を触るのは、口や鼻からウイルスが体内に取り込まれるという感染リスクが生じて非常に危険だということになる。くれぐれも手を洗う前に顔を触らないでほしい。

新型コロナウイルス感染を防ぐためには、口と鼻からウイルスを吸い込むことを防ぐ必要があるし、目の粘膜からのウイルスの吸収感染もあるとされているので、口と鼻と目を保護する必要がある。

そうであるにも関わらず、マスクは日常ケアの際に必ず装着し、口と鼻を保護しているのに、目が無防備状態で職員に利用者対応させている介護事業者がまだたくさんある。それはダメだ。

僕は先週土曜日に福岡から地元に帰ってきたが、僕が関わっている介護事業者の職員も目を保護せずに利用者対応していたので、早速注意して介護業務に従事する際には必ず医療用のゴーグルを装着させるようにしている。

医療用ゴーグルと言っても、安いものは1.000円以下で売られている。できれば目にぴったり装着して隙間のできないゴーグルを選べばよいし、医療用でなくとも花粉症用のゴーグルを装着し、サランラップ等で皮膚との隙間を埋めて対応しても問題ない。どちらにしてもコロナウイルス感染症が収束するまでは、介護施設、訪問・通所サービスでも、介護従事者のゴーグル着用を常態化してほしい。

また介護施設では面会・外出制限が長期間に及んでいる。その負の影響として、「面会制限している施設から退所させた母親と無理心中というニュースに触れて」という記事で紹介した事件も起きている。

そんな思いを利用者・家族双方にさせないように、顔の見える非接触型コミュニケーションを取る対応は必ずしていただきたい。(参照:施設を強制収容所に化す工夫のない面会制限

外出制限も緩和して、施設職員が利用者を少人数ごとに外に連れ出してドライブをするなどの対応も行ってもらいたい。北海道であればちょうどお花見の季節が近づいている。車から外に出なくとも、ドライブついでに桜を鑑賞できるだけで、ストレス解消になるのではないだろうか。

また施設行事も集団対応をなるべきしないために控えていると思う。その対応としては、「面会制限・行動制限中の介護施設等では利用者のストレス対応に注意が必要。その時動画視聴サイトは威力を発揮します。」という記事で紹介している方法も試していただきたい。

どちらにしても利用者の暮らしの質を下げないためには、介護に従事する人の健全な肉体と精神が守られなければならないのだから、情報をしっかり確認しながら、正しく適切に介護の仕事に従事していただきたい。

介護事業者の経理者や管理職は、自分の管理する職場の職員が、考え得る限り万全にウイルスから護られる対応がされているかを毎日チェックするのが現在の責務だ。

それができない経営者や管理職はいらない人ということになる。
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面会制限している施設から退所させた母親と無理心中というニュースに触れて


大変ショックを受けるニュースが飛び込んできた。

4/18大阪市西淀川区の駐車場で男性(57)が倒れているのが発見され(自室のベランダから飛び降りたとみられる)、自室では母親(91)がベッドで布団をかぶった状態で亡くなっており、顔にはタオルがかけられていたという。亡くなった男性のポケットからは遺書が発見されており、その内容から本件は男性が母親を殺害後、自殺した無理心中であるとされた。・・・この情報だけでも十分ショックであるが、その背景がよりショックである。

母親は数年前に市内の特別養護老人ホームに入所しており、男性は孝行息子として知られ、毎日のように見舞いに訪れ、朝から晩まで母親に付き添っていたそうである。

しかし4/3〜その施設では新型コロナウイルス感染予防対策を取り、面会制限が行われ、男性も母親に面会ができなくなったそうである。

母親に会えない日が続いた男性は、施設に対して、「一時的に家に連れて帰りたい」と外泊の希望を出したそうであるが、感染予防対策中であり外泊も禁止されているとして断られたとのことである。

そのため男性は、母親を施設から退所させることを決断し、4/17の夕方自宅に母親を連れ帰り、翌18日朝には息子が大量の紙おむつを購入して家に運んでいる姿が近所の住民に目撃されていた。しかしその夜に無理心中という悲劇が起こっている。

大阪府警によると、遺書には「母に『死にたい』と言われ、糸が切れた」と書かれており、男性の死後の葬儀や部屋の片付けについても記されていたという。

何とも痛ましい事件である。だからと言って面会を制限していた施設が悪いわけではない。施設としてはこの時期に面会を制限したり、外泊を禁止するのはやむを得ざる措置である。大阪の感染拡大状況を考えれば、この部分はより厳格に行わねばならないだろう。そのことに対して非難を受ける謂れはない。この部分については声を大にして言っておきたい。

第3者からすれば、退所を申し出たときに翻意を促す働きかけがあっても良かったのではないかと言いたくなるのかもしれないが、たぶんそういう働きかけは行われていると思う。施設側からすれば、母親の状態をよく知っているし、男性一人でずっと在宅介護することの困難性も理解していたであろうから、そうならないように説得をしたはずである。少なくとも、「ああそうですか」・「それなら勝手に退所してください」なんていう状態で、利用者を放り出すようなことはなかったと信じている。

おそらく面会できないことに対する、男性のストレスが予想以上に高く、退所させるという意思も、周囲の説得で翻意できる状態でないほど固かったのだろう。だからと言って施設側は面会制限を解除するわけにもいかない。そういう意味では施設・男性双方が思い悩んだ末の退所の決断だったのではないだろうか。

そしてその時点では、当事者本人も含めて誰もこんな悲劇の結末につながるとは思っていなかったはずである。そんな恐れや予測は不可能だ。

おそらく被害女性が退所したとされる施設の関係者もショックを受けていることだろう。担当者は特に悔しい思いをしているだろうが、過度な責任感を追わないようにしてほしいと願わざるを得ない。

ひとつだけ検証してほしいことは、面会制限に対するストレス対応がきちんと行われていたかどうかということである。(参照:施設を強制収容所に化す工夫のない面会制限

参照記事にも書いているように、面会制限と非接触型の顔の見えるコミュニケーション対策はセットで行われるのが当然であると考えてほしい。これだけ長期間の制限にもかかわらず、その出口さえも見えないのだから、そうした対策を全くとっていない制限の継続は、虐待と同じレベルの人権軽視であるとさえいえるのである。

そして本件のような事件の教訓として、私たちは精神的なケアの対象とは、利用者のみならずその家族も含まれると考えるべきだ。面会を制限される家族にも、施設側が主体的かつ積極的にアプローチするべきである。

特に面会できない家族のうち、キーパーソンに対する定期的な施設からの情報発信・情報提供は必要不可欠である。それは個別情報として、広報誌などではなく、個別の非接触型コミュニケーションとして行われるべきであると考える。

どちらにしてもこんな悲劇が繰り返されてはいけない。しかし悲劇が繰り返されない決定的な処方箋などあろうはずがないのも事実だ。だからこそ私たちはできることを確実にしていく以外ない。

現時点で言えば、面会制限にともなうストレスチェックを早急に行うことだ。そのうえでその緩和策を考え得る限りとることだ。特に面会できない家族とのコミュニケーション機会を失わないように、不平や不満を施設側が積極的に受け入れる機会を創るように対策すべきではないだろうか。

それを行っていない施設の関係者は、この記事を読んだ後できるだけ早くその対策を講じていただきたい。

末尾になるが、亡くなられたお二人のご冥福を心より祈る。合掌。
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差別はウイルスを駆逐しない。人を救うのは憎しみではなく愛である。


新型コロナウイルス感染症のために、世界中が大変な状況になっているのはわかるが、『自分さえよければ良い的な思考回路』によって、差別的言動を正当化するような風潮に傾いているのが少し気になる。

自分がウイルスに感染しているのを知りながら、悪意を持ってそのウイルスを拡散しようとするような輩は糾弾されてしかるべきである。ウイルス感染リスクが高い場所に、何の対策もなく出入りして感染するような軽率な行動があるとすれば、そのことは非難されてよい場合もあるだろう。

しかし不運にしてウイルスに感染した人が、すべて悪人のようにレッテルが貼られ、感染していない自分こそが正義で、正しい人間だと思い込むのはどうかしている。

ましてや感染者が多い地域や感染した人や家族を、蔑視するような言動が許されてよいわけがない。

感染に注意しながら通常の日常生活を送っていたにもかかわらず、どこで感染したかも不明な状態で、感染症を発症してしまった人もいる。テレワークのできない職業では、混みあう電車で通勤を続けなければならない人も多いはずだ。そういう意味では今感染していない人も、それは偶然と幸運の結果でしかないのかもしれない。

そんな状況の中で、感染者数が多い地域の人が、自分の生活圏に入り込むことを許されないことのような表現で罵倒するのは行き過ぎであると思う。

感染予防のための行動自粛要請に応えることは国民の義務ではあるが、よんどころなく移動しなければならない事情は存在するのだから、その際は感染予防対策に十分配慮するように一人一人が注意して、自分が感染源にならないように促すだけで十分じゃないのだろうかと思う。

少なくとも、「〇〇の人間は来るな」的な表現が日常化して、あたかもそれが正論化される社会は危険である。それが許される風潮があるとすれば、それはどこかが狂っている。何かが壊れかけているとしか言いようがない。

そうした危惧や、危機感を抱くことは間違っているのだろうか?

ウイルス感染に関するあらゆる差別の延長線上には、感染者に寄り添って対応する医師や看護職員、介護職員等とその家族に対する差別と偏見が必ず生まれてくるのは明らかだ。それが正当化される社会は怖い社会だ。

感染者や、その人たちに対応する人に対する差別的表現を許しておくことは、この国の根を腐らせることにしかつながらない。そうであってはならないと思う。

感染予防対策は大事だ。私たち一人一人が自覚を持って、自らを護り他者に迷惑を及ばせないように行動自粛することも大事である。だからと言って感染者に対して、過度の自己責任を求めたり、糾弾したりする必要はない。もっと優しい社会であってほしい。

今こういう時だからこそ、人に優しくする心を失わないでほしい。人が人を思いやるところから、感染予防は始まるのではないかということに、常に思いを至らせてほしい。

人類は様々な困難に打ち勝ってきた歴史を持っている。その時、困難を克服した一番の要素とは、決して憎しみではなかったはずである。人類が困難を乗り越える根底につめにあったものは、人間愛であったのではないだろうか。

人を蹴落とす競争だけで人は豊かになれないのである。人が豊かに反映する根底には、必ず人間愛と、それに基づく知恵があったということを忘れないでほしい。

愛は地球を救うという言葉は、どこかのテレビ番組の謳い文句を超えて、唯一無二の真実を表現しているかもしれないのである。
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医療崩壊を防ぐためには特攻医療や特攻看護をやめなきゃ。


先週ついに僕が住む登別市でも、新型コロナウイルス感染症の初の感染者が出た。感染したのは海外渡航歴のない80代男性で、昨日になってその濃厚接触者である70代女性も感染していることがわかり感染者は合計2名になった。

感染者情報を巡ってはネット上では不確定情報も含めていろいろな情報が広がっているが、そのような情報に振り回されることなく、自分の身の回りの感染予防対策に意識を集中したほうが良いだろう。どちらにしても国内でも有名な観光地である登別温泉がある地域なので、このダメージは大きなものになるだろう。

こうした状況が続く中で全国の医療機関がピンチだ。新型コロナウイルスに対応できる病床が感染者で埋まり、8都府県で空きベッドが20%未満になっているそうだ。この状況で医療機関内でクラスター感染が起きて、医者や看護職員が感染したら医療崩壊は現実になる。

新型コロナウイルス患者を受け入れていない医療機関でも、感染者が出ないとは限らないのだから、この対策はいくら万全にとったとしても完璧ということにはならない。

しかしこんな深刻な状況なのに、なぜ医療・看護関係者は徒手空拳の状態で、ウイルスが漂っているかもしれない空間に突撃していくような行動をとるのか大いに疑問だ。この状態で検温のために、数時間ごとに患者に接触するなんてことも危険すぎるとしか言いようがない。

現在新型コロナウイルスのワクチンは存在していないし、治療法も確立されていない。一旦感染したら命の保証はないにもかかわらず、薄い防護服とマスクに頼って、ゴーグルさえ装着せずに患者との濃厚接触を1日複数回行っている状態は危険を通り越して、特攻精神の強要としか思えない。

せめてゴーグルも必ず装着して患者対応すべきだと思う。そして濃厚接触する機会はできるだけ減らした方が良いと思う。特に今後は、軽症者はホテルで隔離されるケースが増えていくが、換気の悪い狭い空間で隔離される状態は、3密を防ぐ対応とはかけ離れた対応を余儀なくされ、そこで患者と接触する医療関係者の感染リスクは、さらに大きなものになりかねない。

そういう意味でも非接触型の医療・看護対応をあらゆるシーンで取り入れるべきだ。特に検温なんかは今使える機器を利用するだけで、非接触で行えるのに、その対応もしていない医療機関が多いのは何故だろうと思う。

例えば僕が何度か紹介している、「ウォッチコンシェルジュ」という遠隔見守り看護システムは、こういう時期の感染症発症者の隔離空間で大いに利用すべきだ。このシステムは、ワーコンという会社で実用化しているものだ。
ワーコンのみまもり看護システム
この画像はベッドの下部に生体センサーを設置して、画面左側のピンク色の医療用看護ロボットanco(アンコ)を設置している部屋である。

アンコにアプリを入れておけば、アンコが利用者に話しかけそのまま検温や脈を図ることができるのだから、1日複数回の検温のためだけに看護師が病室やホテルの部屋を訪ねる必要もない。ベッド用のセンサー以外に、フロア用の生体センサーを設置することで、隔離室にいる人の生体情報が24時間もれなくモニターでき状態確認できるわけだから、医師の訪室も最低限に抑えることができる。在宅医療用対話ロボット「anco」
こうした機器を利用しながら、危機管理することが今一番求められているのではないかと思う。実際に九州の医療機関では、ワーコンの生体センサーとみまもりロボットを使って、隔離室の患者対応しているとことがある。

前述したように、ホテルで軽症の感染者を隔離する場合には、ぜひこうした機器を設置して、テクノロジーの力を借りながらウイルスと対峙していってほしいものだ。そうしないと感染拡大の期間はさらに長期化してしまう。

どちらにしても医療・看護・介護支援者を護る戦略に欠ける状態で、人海戦術に頼ったウイルス対応を行うことは特攻戦術そのものであり、決して望ましい結果につながるものではないと指摘しておきたい。
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新型コロナウイルスの相談窓口業務の多職種協働はできないものか


各都道府県ごとに新型コロナウイルスの電話相談窓口が設けられている。そこでは主に看護師が電話口で対応して、様々な問い合わせに応答している。

しかし多くの地域では電話での問い合わせが増え、新型コロナウイルスに関する相談窓口はパンク状態だそうである。電話の相談数が増えるにつれ何時間も電話が繋がらないというクレームも増え、さらに自分の体調の不安から電話口で、相談に乗る看護師の対応に感情的に怒る人も増えているという。

相談を受ける看護師にとっては、自分が悪いわけでもないのに、コロナウイルスの感染蔓延に対する責任を問われ、国の対応の不満をぶつけられるのだからたまったものではないだろうと思う。そのような状況でも電話で相談に乗る看護師たちが、すべての相談に真摯に丁寧に答えている姿は、とても素晴らしいことだと頭が下がる思いである。

そこで電話対応している看護師は、電話相談業務に専従している人ばかりではなく、医療機関の看護師として働きながらダブルワークで相談対応している人も多いと聞くが、そういう人たちがそうした精神的に厳しい電話対応を続けていては、体力が限界に達するのではないかと不安になる。そのことが医療機関での看護業務の支障につながれば、医療崩壊は現実的な問題になるからだ。

しかし相談件数が増えるにつれ、相談内容は専門的なアドバイスがいらない内容も増え、人生相談のようにただ話に耳を傾けるだけで長い時間を要するケースも増えているそうだ。

そうであれば相談内容によっては、看護師の資格がない別の領域の専門家がそこを担った方が良いのではないかと思ったりする。特に我々のように社会福祉士や精神保健福祉士などの国家資格を持った相談援助職が、そこの一部業務をお手伝いできれば看護師の方々の負担が軽減され、電話相談窓口のパンクもある程度まで防ぐことができるのではないのだろろうか。

電話相談窓口の対応職員を看護師に限定せず、様々な職種で相談チームを結成するという対応をすでに行っている地域もあると聞くが、全国の電話相談窓口がそういう方向にシフトしていくべきではないかと思う。

そのチームに参加するためには、事前に新型コロナウイルス相談に対する研修は必要だろうが、それは短時間の非接触研修で可能だろう。ある程度の基礎知識を持った相談援助の専門家などを指揮するチームのリーダーに、より高い専門知識を持った看護師を置けばよい。

そういう形で相談電話の受け付けは、看護師がリーダーとなった相談援助職なども入れた多職種のチームで受け、窓口のパンクも防ぐことができるし、多様な相談にも丁寧に応えることが可能になるのではないのだろうか。

むしろウイルスの相談センターに、優秀な看護師さんたちを縛り付けているのはどうなのだろうという議論があっても良いように思う。医療崩壊・看護師不足の不安が叫ばれている状況で、医療の現場で活躍できる看護師の数を一人でも増やすためにも、電話相談窓口の体制を見直すことは必要ではないだろうか。

声を掛けていただければ、僕自身はいつでも協力したいと思っている。ちなみに僕自身は、社会福祉士・介護支援専門員・家庭生活総合カウンセラーなどの資格を持っているので、連絡さえいただければ、どんな形でも要請に応ずる心の準備はあるし、自由に動ける身分なので、時間や場所に制約を受けずに柔軟に対応可能だ。

いつでも相談してください。
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通所サービスの安否確認による報酬算定に伴ういくつかの問題点


感染拡大防止に関連して、通所サービス事業所がサービス利用ができない利用者に対して、利用日に電話による安否確認を行った場合に報酬算定できる通知が出されたことと、そのルールについて、「通所介護は電話の安否確認のみで報酬算定可能に〜感染予防対策特例〜」・「通所介護と通所リハのコロナウイルス対応特例通知はなぜ発出日がずれたのか」という二つの記事を書いて解説したところだ。

この二つ目の記事の中で、『第6報の問2と第7報の問3はともに「休業の要請を受けていない場合においても、感染拡大防止の観点から、利用者等の意向を確認した上で行う電話による安否確認」とされているだけなので、事業所が休業しているという条件が書かれていない。すると通常営業しながら、新型コロナウイルス対策で休まれている方に電話による対応も可能という解釈が成り立つかもしれないので、ここは保険者等に確認した方がよいのではないだろうか』と指摘したところだ。

しかしその後いくつかの市町村の情報を確認したところ、「営業しながら利用者が自主的に感染予防の為に休まれた場合は、電話で安否確認しても報酬算定出来ない」としている地域がほとんどだ。というか通所サービス事業所が営業を続けながら、感染予防対策として休んでいる人がいた場合に、その方に電話で安否確認して(第6報)のルールを適用して介護報酬を算定することが出来るとしている地域は今のところ確認できていない。

残念ながら電話での安否確認による報酬算定は、休業中の通所サービス事業所に限った特例であると考えたほうが良いようだ。それも致し方ないと思う。なぜなら営業中の通所サービス事業所の利用予定者が、サービス利用予定日に休む理由は様々であり、感染予防を念頭に休んでいるのか、体調不良で休んでいるのか、はたまた個人の用件で休んでいるのかは、自己申告に任せるしかないわけで、確実にその理由を確認する手立てがないわけだから、要件該当を確認できない中での報酬算定は難しいと言わざるを得ないからだ。

ところで通所サービスの特例報酬については、安否確認の報酬算定ができる前の特例は、2/24の『新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等 の臨時的な取扱いについて(第2報) 』で通知され、そこでは休業となった事業所と異なる場所を使用して、当該事業所が指定を受けたサービスに相当するサービスを提供した場合や、居宅で生活している利用者に対して利用者からの連絡を受ける体制を整えた上で、居宅を訪問しサービスを提供した場合について報酬算定できることが示されていた。

それに加えてだ6報では、電話による安否確認のみで報酬算定できることが示されたわけであるが、この通知は4/7に発出されている。

すると第2報と第6報の通知の間には1月以上のタイムラグが生じているわけである。

そのため安否確認による報酬算定が可能であるとされる前には、実際に利用者宅で短時間でもサービス提供していた通所介護事業所が、6報通知が発出された後に、利用者に対して一方的な連絡を行うのみで、ケアマネジャーと対応変更の可否を話し合うこともなく、訪問をやめて安否確認に切り替えて報酬を算定するケースがみられている。

そのことに関して担当ケアマネジャーからは、それは本当に利用者のためになっているのかという疑問の声も挙げられているケースもある。それはもっともな疑問である。

少なくともこうした変更については、通所サービス事業者から計画担当ケアマネジャーに、対応変更をしたい旨を事前連絡するとともに、利用者に対して十分な説明をしていただきたい。

多職種協働の精神はこういう時こそ必要だ。

特に私たちが一番考えなければならないことは、介護サービス利用者の生活がどうなるのかということなのだから、利用者中心の視点を忘れることなく、そのために関係者が制約のある不便な環境の中でも何ができるのかを考える必要がある。

感染予防対策がいつまで必要かという目途は全く立てられないが、終わりのない始まりはないし、感染予防対策が終わった後も利用者支援は続くのだから、今こそ多職種連携・協働の強化を図りながら、地域包括ケアシステムの実効性を高めていただきたい。
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新型コロナウイルス禍で介護業界の人員は増えるだろうが・・・。


北海道の自宅を経ち、博多の顧問先での4月の業務のために来福してちょうど1週間過ぎた。今回の来福の直後に福岡市が緊急事態宣言の対象地域になったために、その前後で街の様子は大きく変わった。

緊急事態宣言前に通常営業していた飲食店で、自主休業するお店の数が日に日に増えている。休業して改修工事などを行うホテル等も目につく。劇的に変化しているのが博多駅構内である。駅直結の商業ビルがすべて臨時休業して、駅の様相が全く変わってしまった。

昨日は日曜日ということで、僕も顧問先に出社せず、ホテルに籠って1日PC作業をしたが、お昼ご飯を食べるときだけ駅の近くで飲食店を探したが、街は閑散としており博多駅構内もこんな様子だ。
臨時休業の張り紙
博多駅構内
いつもの日曜日なら人でごった返すはずの博多駅の姿がこれである。一番人通りが多いはずの博多口から筑紫口への連絡通路を歩く人の姿が少ない。駅周辺で営業している飲食店も数が少ないのだから、お昼時はそこに人が集中して混むのではないかと心配したが、そのような気配もない。

このような状況は日本経済に大きな影響を与えるのは間違いのないところだが、飲食店やホテルで働いている労働者にとっても深刻な問題だ。仕事がなくなる人もいる。

そんなふうに新型コロナウイルスの影響で失業する人は確実に増えている。そんな人達にとっては介護業界はとりあえず仕事先として選ぶことのできる職業の一つになっている。こんな状況でも仕事が減らず、むしろ対応のための人員をさらに必要とする介護業界に転職する人が間違いなく増えてくるのである。実際にすでに他業種から介護業界に転職した人もいる。

しかしこの状況が介護人材不足を補い、介護業界にとって追い風になると短絡的に考えることはできない。

今まで介護の経験が全くなかった人が職場を失って、新たな仕事を探しているときに、たまたまたどり着いた職業が介護の仕事であっても、そこで隠れた適性が発揮されて、そのまま介護業界に定着して貴重な人材に育っていく例は過去にもたくさんあるのだから、そのことに期待を寄せることはあって良いと思う。

しかし我々が過去から学んだことは、そうしたケースは決してマジョリティになったことはないということだ。

社会の不景気で失業者が増える際に、介護の職業への転職者が増えるとしても、その中に良い人材がいる以上に、介護の職業への適性に欠けて、教育効果も上がらない人物の方がいつも多いというのが過去に見られた現象であり教訓だ。このことを十分理解し、覚悟しておく必要がある。

応募に人が集まってくることを喜んで、闇雲に採用してはいけないことを、このブログでは繰り返し警告している。仕事がないから介護でもしておけと考えている人が、そこにはかなりの数交っているし、その中にはとりあえず介護事業者に就職して、給料をもらいながら、状況が変化したら元の職業に戻ろうとか、さらに別の仕事を見つけようと考えて、介護の仕事を、「腰掛け」程度にしか思っていない人が一定数いるのだ。

そうであってもその人たちが、介護の仕事に就いている間だけでも、介護事業者の戦力になってくれれば良いのだが、なかなかそううまくはいかない。

その人たちのなかには、真面目に仕事を覚えようとも、介護の職業を通じて自分のスキルアップを図ろうとも思っていない人が混じっておりことを覚悟したほうが良い。そういう人たちを採用してしまうことで職場全体が混乱し、職場の秩序や人間関係といった職場環境全体がぎくしゃくし、元に戻せなく例はたくさんある。職場環境はあっという間に悪化するが、元の状態に戻すのには、その数倍のエネルギーと期間が必要になるのである。

特に仲間同士が複数で募集に応募してきて、それらの人を一斉採用する際には注意が必要だ。「一斉退職者をまとめて雇用なんて、あり得んだろうという話」のような状況に陥らないように、経営者や採用担当者は、慎重に職員選考を行わなければならない。

またせっかくこの機会に、介護の職業への隠れた適性を持った人が転職してくれたとしても、その人達が、自らのスキルを発揮する機会やスキルアップの機会がないと、適性を持ったことに気づかぬうちに辞めてしまったり、介護の現実に幻滅して他の職業に転職してしまうというケースも多々ある。

そうしないための唯一の方法は、未経験者・他業種からの転職組を中心とした新人教育の徹底しかない。未経験者が安心して介護の仕事を続けられることが出来る基礎教育と、基礎教育を実践の場で確認できるOJTが何より求められるのだ。

感染予防対策に集中しなければならないから、職員教育は後回しだと考える職場に、人材は定着していかない。それはコロナウイルス禍が治まりを見せた後、深い爪痕・後遺症として介護事業者に禍根を残す結果となるのである。

他産業での失業者から適性のある人材を取り込み、そうした人材を定着させ職場の戦略に変えるための戦略が求められるわけで、各事業者の人事管理部門の力の見せ所が今である。

こんな時だからこそ人材を見極め選ぶ目と、選んだ人を育てる視点が不可欠だ。
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通所介護と通所リハのコロナウイルス対応特例通知はなぜ発出日がずれたのか


新型コロナウイルスの感染予防対策特例に関する通知が出されて、通所サービスについては休業中に、利用予定者に対して電話の安否確認するのみで報酬算定可能になったことには昨日の記事、「通所介護は電話の安否確認のみで報酬算定可能に〜感染予防対策特例」でお知らせしたところだ。

ところで7日の通知では特例対象が、「通所系サービス事業所(通所介護、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護に限る)」とされていて、通所リハビリが除外されていた。それはなぜかと疑問に思っていたところ、通所介護の特例通知が出された2日後の一昨日(4/9)付けで通所リハビリ等に関する通知が発出された。(新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第7報)

それによると通所介護は休業要請に応じた場合に、休業中の利用予定日の利用者に対して、電話で健康状態等の確認するのみで1日2回まで報酬算定が可能であり、自主休業の場合でも1日1回は報酬算定が可能であるとされているのに、通所リハビリの場合、『1時間以上2時間未満の報酬区分』の算定は初回のみで、しかも1日1回に限るとされている。

通所介護と通所リハのこの違いは何だろう。そしてなぜ両者の特例通知に2日間のタイムラグが生じたのだろうか。

僕が管理する表の掲示板のスレッドでは、この特例は利用者のためではなくサービス事業者のためにしかならないのではないかという疑問が示されているが、そういう側面は否定できないだろう。ただそれも中・長期的に見た場合、決して利用者の不利益とは言えないことは、当該スレッドのNo4で示しているところだ。

そんな中で7日に通所介護の特例を示した時点で、通所リハも同じで良いのかという疑問が国の内部で示されて、意見がまとまるのに2日間を要したというのが裏事情ではないのかとうがった想像をしている。

つまり通所介護は機能訓練を行う目的の他に、日常生活上の世話のほかレスパイト目的の利用が認められているサービスであるが、通所リハビリについては、「生活機能の維持又は向上を目指し、理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーションを行うことにより、利用者の心身の機能の維持回復を図るものでなければならない。」として、あくまでリハビリテーションを行うサービスである。

そのため主目的のリハビリを行わずに安否確認だけで報酬を算定してよいのかという疑問が呈されて、この調整に2日という時間を要し、妥協の産物として、「社会に限り1日1回」というふうに、通所介護より算定報酬を少なくしたのではないかと思う。ただしこれはあくまで想像に過ぎない。

13:14追記)この記事をアップした後コメント欄に、菅谷真吾さんがご意見をコメントしてくださっているが、第6報の問2と第7報の問3はともに「休業の要請を受けていない場合においても、感染拡大防止の観点から、利用者等の意向を確認した上で行う電話による安否確認」とされているだけなので、事業所が休業しているという条件が書かれていない。すると菅谷氏の言うとおり
>通常営業しながら(休まない利用者様の対応をしながら)新型コロナウイルス対策で休まれている方に電話による対応も可能
⇑この解釈が成り立つと思われる。ここは保険者等に確認した方がよいのではないだろうか。(追記ここまで

なお10日付で、「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第8報)」も発出され、ここでは通所介護事業所が新型コロナウイルス感染症対策として、当該事業所の利用 者に対して、当初の計画に位置付けられたサービス提供ではなく、時間を短縮し ての通所サービスの提供や、訪問によるサービスの提供を行う場合、事前に利用 者の同意を得た場合には、サービス担当者会議の実施は不要であることや、居宅サービス計画(標準様式第2表、 第3表、第5表等)に係るサービス内容の記載の見直しについては、サービス提供後に行っても差し支えないとされた。また同意については、最終的には文書による必要があるが、サービス提供前 に説明を行い、同意を得ていれば文書はサービス提供後に得ることでよいとされている。

そのほか福祉用具貸与や小規模多機能居宅介護の確認事項も含まれているので、リンク先から通知を確認いただきたい。

ところで僕は今、顧問先での仕事のため今週月曜日から福岡市に滞在している。しかし滞在直後に福岡県には緊急事態宣言が出された。その影響で顧問先近くの外食店は軒並み休業となり、昼食を摂る場所の選択肢が極端に狭まってきた。夜は帰り道にそこそこ居酒屋さんなどが空いるのだが、感染予防のためどこにも寄らずにまっすぐにホテルに帰って連日、部屋に籠って一人飯です。コンビニとスーパーの弁当と総菜を交互に食べている。「masaの血と骨と肉」で寂しいホテル飯を見たひとは、是非励ましてほしいものだ。

それにしても仕事をしている時間はともかく、ホテルに籠っている時間は何もすることがなく時間が経たずに困っている。テレビでも見るしかないが、そのテレビがまた面白くない。困っていたら国内最大級の動画視聴サイトを31日間無料トライアルできることを知った。部屋からクリックするだけで申し込めて、すぐに視聴開始できるようになって助かっている。

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通所介護は電話の安否確認のみで報酬算定可能に〜感染予防対策特例〜


厚労省は7日、「厚労省通知vol.809〜新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等 の臨時的な取扱いについて(第6報) 」を発出している。

問1では、休業要請を受けた通所介護事業所の介護報酬算定特例を次のように定めている。

通所系サービス事業所(通所介護、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護に限る)が、休業の要請を受けて、健康状態、直近の食事の内容 や時間、直近の入浴の有無や時間、当日の外出の有無と外出先、希望するサービ スの提供内容や頻度等について、電話により確認した場合、あらかじめケアプラ ンに位置付けた利用日については、1日2回まで、相応の介護報酬の算定が可能である。具体的な算定方法については、 「新型コロナウイルス感染症に係る介護 サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第2報)」 (令和2年2月 24 日付厚生労働省老健局総務課認知症施策推進室ほか連名事務連絡)別紙1 を参考にされたい。なお、対応にあたっては、職員が自宅等から電話を行う等、 柔軟に検討されたい。その際には、電話により確認した事項について、記録を残 しておくこと。

このように休業中であっても、利用予定日の利用者に対して、電話で健康状態等の確認するのみで報酬算定が可能とするという特例が示された。しかもこの場合は、「1日2回まで報酬算定可能」とし、「具体的には(第2報)の取り扱いに基づく」とされている。

第2報の取り扱いとは、「サービス提供時間が短時間(通所介護であれば2時間未満、通所リハ であれば1時間未満)の場合は、それぞれのサービスの最短時間の報酬区分(通所介護であれば2時間以上3時間未満)で算定する。 」という部分を指していると思われる。

つまり電話での状態確認は極めて短時間で終わり、少なくともそれは1時間以上もかからないので、この場合の介護報酬について、通所介護事業所が算定できる単位は、「2時間以上3時間未満」の単位である。これを例えば午前と午後に電話で状態確認することで、「2時間以上3時間未満」を2回まで算定できるということになる。

(10日夜追記)※なお厚労省から4/9付で第7報が発出され、通所リハビリについては、1時間以上2時間未満の報酬区分の算定は初回のみで、しかも1日1回に限るとされたので注意が必要だ。

しかし緊急事態宣言が出されている地域でも、東京以外の6地域では、通所介護事業所への休業要請は出されていないため、この問1に該当する事業所は今のところ極めて少ない。

そこで重要になってくるのは問2である。

問2、問1の取扱について、通所系サービス事業所が都道府県等からの休業の要請を受けていない場合においても、感染拡大防止の観点から、利用者等の意向を確認した上で行う電話による安否確認について、介護報酬の算定が可能か。
『(答)通所系サービス事業所が、健康状態、直近の食事の内容や時間、直近の入浴の 有無や時間、当日の外出の有無と外出先、希望するサービスの提供内容や頻度等 について、電話により確認した場合、あらかじめケアプランに位置付けた利用日については、1日1回まで、相応の介護報酬の算定が可能である。具体的な算定方法等は問1の取扱いと同様である。 』

このように自主休業の場合も、同様の報酬算定が可能とされた。しかしこの場合は1日1回のみの算定となる。なおここでは健康状態等の確認について、「安否確認」という表現となっているので、この言葉をタイトルに入れたことを断っておく。

ただしこうした形で報酬算定する場合に注意してほしいことがある。それは利用者は誰もこんな通知を読んでいないので、電話で安否確認されて自己負担金が発生するなんて思っていないということだ。そしてこれは機械的に電話すれば算定できるというものではなく、こうした形で報酬算定し、自己負担金が生ずるということを丁寧に利用者に対し説明し、同意を得ることが必要だと思う。

この場合に同意書が必要なのかという疑問が生ずるが、そもそも今回の特例は、人と人の接触をできるだけ抑制するのが目的なのだから、同意書を書いてもらいに利用者宅を職員が訪ねる必要があることになっては、何のための休業だかわからなくなる。それは休業目的に反するので、そこまでは求められないだろう。最初の電話での安否確認の際に丁寧に説明して、その内容を記録しておけばよいものと思われる。

問3は訪問介護の生活援助について、「外出自粛要請等の影響により、例えば週末前の買い物において混雑により時間を要し、実際の生活援助の時間 が45 分を大きく超えた場合」については、『算定単位は、実際に行われた指定訪問介護の時間ではなく、訪問介護計画において位置付けられた内容の指定訪問介護を行うの に要する標準的な時間』という原則から外れて、「実際にサービス提供した時間」の算定が可能としている。

ただしその場合は、45 分以上の単位数を算定する旨を利用者に説明し、請求前に同意が得られ(同意は、訪問介護事業者が直接取得することも、介護支援専門員経由で取得することも可)、かつ介護支援専門員が必要と認めることを条件としている。

問4は居宅介護支援におけるサービス担当者会議の特例についてである。「利用者の自宅以外での開催や電話・メールなどを活用する 」ことについては、感染者が発生していない場合でも 同様の取扱が可能であるとしている。感染者の発生の有無にかかわらず、社会全体で感染拡大の予防策を取ろうという意味だろう。これは正しい方向だと思う。

問5も同じ趣旨で、(地域密着型)特定施設入居者生活介護における退院・退所時連携加算 のについても、できるだけ人の接触を避ける方法で行うことを周知するものだ。

問6はグループホーム等の代表者・管理者・介護支援専門員の義務研修が開催されずに受講できない場合の取り扱いについて、人員基準違反・欠如減算としない取扱いとしてよいと周知している。この場合は原則として、延期後直近に開催される研修を受講する必要があるとし、新たに指定を受け開設する事業所については、利用者に対して適切なサービスが提供されると指定権者である市町村が認めた場合に限られるとしている。

問7は、介護施設等の消毒・洗浄経費支援につ いて、外部の事業者に消毒業務を委託して実施する場合も、介護施設等の消毒・洗浄経費の支援対象となることが通知されたので、積極的に利用してほしい。

それにしてもこの新型コロナウイルス感染は、いったいどこまで広がり、いつ終息の兆しが見えるのだろうか。先が見えないだけに不安は尽きない。本当に心配である。
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緊急宣言下に求められる多職種連携


改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が今日発令される。

対象は東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡で、一定の私権制限が可能となる。

今回の新型コロナウイルス関連では、一番最初に感染症の蔓延が懸念された北海道が一度、緊急事態宣言を発令して、それはすでに解除されているわけだが、それは法的根拠のない宣言だった。しかし今回は改正法に、新型コロナウイルスを位置付けて発令されることになり、法的根拠に基づいた宣言になる。
※ちなみに北海道は、現在感染症の拡大が収まっており、早期対応した鈴木知事の評価が高まっているところだ。ただこれによって感染症が終息に向かうという保証はない。

発令の目的について首相は6日の会見で、「人と人との接触を極力減らすため、国民にこれまで以上の協力をいただき、医療体制を整えるためだ。」と説明した。

そこで介護事業者はどうなるのかという問題がある。特に外から人が集まってきて、集団活動を行うことも多い通所介護は営業してよいのかという疑問が出てくるのは当然だ。

この宣言に基く具体的要請や指示は、都道府県知事が決定して行うことになるため、宣言対象地域によっては取り扱いが異なってくる可能性もあるため、その内容の確認がまず重要になる。

改正法で、介護事業に関連する規定としては次の2点が一番大きく関連してくると思われる。

外出自粛の要請
都道府県知事は、「生活の維持に必要な場合を除きみだりに当該者の居宅又はこれに相当する場所から外出しないこと」を期間と区域を決めて住民に要請できる。
学校、社会福祉施設、イベント会場の使用制限
都道府県知事は学校、社会福祉施設、興行場(映画、演劇、音楽、スポーツ、演芸などの施設)の管理者に対し、施設の使用制限もしくは停止を要請できる。また、イベントの主催者にイベント開催の制限もしくは停止を要請できる。施設管理者等が正当な理由がないの要請に応じないときは、施設管理者等に対し指示することができる。

このように要請だけではなく指示も行われるわけであり、より強制力が強い印象が与えられている。

その中で、介護施設には感染防止対策をとるよう求め、利用者や家族などの生活維持に必要ないサービスについては使用制限などを求める場合があるとされている。

介護施設等の居住系施設は休止ができないので、感染予防対策として面会制限と外出制限の強化が求められるだろう。ショートステイや通所サービスについては、休止を要請指示される場合があるだろう。

通所介護や通所リハビリは、仮に休止が求められなくとも、宣言対象地域の事業者は万全を期して、宣言期間中の営業自粛をすることもあるだろう。今の状況から言えばそれは仕方のないことだろうと思う。仮に休止要請が行われない場合も、営業中にそこでクラスター感染が疑われる事態になっただけで、日本中から非難を受け、二度と立ち直れなくなる危険性さえあるのだから、営業を自粛するという判断に傾くのはやむを得ないと思う。通常営業を行う壁はあまりに高いと言えるだろう。

ただし宣言が出された場合であっても、自主的に営業自粛する場合であっても、利用者や関係者に対して一方的な休止宣言で終わらないでほしい。

多職種協働の精神は、こういう時こそ必要だ。今まで発出されている通知等で、今回のウイルス対策の特例として、通所介護事業所職員が利用者宅で通所介護と同じサービスを行う場合は、通所介護費を算定出来たり、ヘルパー資格のない通所介護職員が、併設ヘルパー事業所のサービスとして訪問介護サービスを行って、訪問介護費を算定できるというルールが出来ているので、その必要性はないか、そういう対策が講じられないか等々を、担当のケアマネジャーを中心にして十分検討してほしい。

政府は、外出自粛期間中も「健康維持のための散歩と運動は認める」などと記す方向で調整しているとのことであり、特に高齢要介護者の宣言期間中の体力・機能低下には最新の注意を払ってほしいものだ。

ちなみに外出自粛要請に従わない住民への罰則はなく、都市封鎖のような措置はできないことも知っておく必要があるだろう。ただし要請・指示に際して事業者名を公表するため、それに従わない事業者等には社会の視線という実質的な強制の色彩を帯びることを覚悟しなければならない。

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感染予防を理由にした制限はどこまで許されるのか


新型コロナウイルスの感染予防対策は、時として様々な迷走を生んでいる。

例えば某地域では次のようなケースがあった。

住宅型有料老人ホームで生活している要支援者の方に、面会に訪れた家族が玄関先で面会を止められたというのだ。この利用者には外部からヘルパー支援が入っており、担当のケアマネジャーも施設内で面接しているのに、いきなり家族だけが面会を断られたわけである。しかも面会制限は事前連絡なしだ。

その利用者の方は90歳を超えた女性で、重度の心不全を持病に持っており、無理できないためにヘルパー支援で足りない部分や、ヘルパーの支援対象となっていない部分を、家族が替わって行うことで日常生活が成り立っているそうである。それなのにその大切な家族支援を拒否されているのだ。

ヘルパーとケアマネが入れるのに、実質日常支援を行う家族が施設に入れない理由は、前者は仕事できているので、何かあれば事業所が責任を取ってくれるが、家族の場合は、責任を取る主体がないからだという・・・。こう書いても意味が全く分からない人が多いだろう。そんなふうに筋が通らない理由で面会拒否されたそうである。

憤慨した家族が施設長に講義を申し出たところ、翌日から家族支援を受けている家族は、細心の注意を払い面会できる様になったということである。

面会制限自体は、この時期だから仕方がないだろうが、「施設を強制収容所に化す工夫のない面会制限」という記事でも指摘した通り、制限には一定の配慮と工夫が伴わねばならない。ましてや事前連絡なしで、玄関口で一方的に入館を禁ずるのは配慮不足と言われても仕方がない。外部ヘルパーの訪問を許して、ヘルパーでは足りない支援を行う家族の訪室を許さないことの根拠も乏しい。

こうした状況が起きる問題の本質とは、感染予防という名のもとに、施設側の責任を誰かに転嫁するような根拠のない対策が取られているということだろう。まったく情けない話である。

ここで一つ考えておかねばならないことがある。面会を禁止にした場合、それではということで、家族が居住系施設に入所利用している方を、気分転換のために外出に連れ出したいと申し出た場合、それを拒否できるかという問題である。

勿論、不要不急の外出はなるべく控えるようにお願いしている最中であるから、人混みが想定される場所に利用者を連れ出さないようにお願いすることはできるだろう。しかしそれはあくまで要請レベルにとどまるし、外出そのものを禁ずることは出来ない。

そもそも職員は施設以外の場所から通ってきており、その際には満員電車に揺られる中、周囲の人たちと濃厚接触しているわけであるし、自由に外出しているわけでもある。利用者だけを外出禁止にするわけにはいかないのである。

家族から利用者を気分転換のために、外食に連れ出したいと求められたら、それを認めるしかない。その際にできれば感染予防の観点から、お店で外食するのではなく、家で食事してくれませんかと頼むのがせいぜいだろう。

施設側の依頼や要請に対して、家族がどう応えるのかは日ごろからのコミュニケーションと関係性がベースになって決まってくる問題だろう。感染予防に関して施設側、家族側双方がベターな選択をするためには、施設と家族の信頼関係が大切だという一言に尽きるのである。

面会に来た家族を玄関口でいきなり面会禁止を宣言するような施設が、家族との信頼関係を築くことができるかを考えてほしい。大変な時期をそれぞれの立場の人が、様々な対策を取って乗り切らないとならないのであるから、お互いがそれぞれの立場を慮るということが何よりも大切だということを忘れてはならないのである。

そもそも面会を制限している今だからこそ、居住系施設の責任で利用者の外出機会は確保してほしい。

面会制限と外出制限はセットではないのだ。面会を制限する分、安全な外出支援に力を入れるべきである。

東京都の小池知事は3/27の定例記者会見で、「来年も桜はきっと咲きます。お花見はまた来年も咲きますので、楽しみにとっておいて、ここはみんなで難局を乗り越えることでご協力をいただきたい。」と語ったが、介護施設の高齢者の事情は異なる。

特養だと1年間で最低1割、多い年で3割程度の人が死亡しているのだ。今年の桜がこの世で最期に見ることができる桜なのかもしれないのだ。そういう人たちから、今年の桜を見る機会を奪ってはならない。弁当を持参してお花見を行うのは適切ではないが、桜を見る機会を創ること自体は行ってよいことだと思う。

面会制限をしているならなおさら、気分転換が必要だ。桜の周りで飲み食いするお花見は自粛するのは当然だが、例えばドライブがてらに車内から桜を眺めても感染リスクが高まることはないだろう。面会制限をしている施設であっても、利用者を少人数のグループに分けて、桜がみられる時期と場所を選んで、ドライブがてらに車内からでも桜を愛でる機会を創ろうと努力するのが、今この時期だからこそ求められることではないのだろうか。

知恵と愛のない感染予防対策ほど、人の権利を侵害するものはないことを自覚して、利用者の方々の健康と暮らしを同時に護る介護サービスを実現することを願ってやまない。
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施設を強制収容所に化す工夫のない面会制限


北海道の中でも新型コロナウイルス感染者がゼロだった胆振中部・西部地域で昨日、感染者が1名出た。患者はハワイから帰国したばかりの20代女性で、室蘭市内の医療機関の受付事務をしていたとのこと。

室蘭市長が発症者が出たことを報告する記者会見では、「公共性がある機関であり、医院名を公表すべきではないか」という記者からの質問が相次いだが、「医療機関のご意向」として、市長はこれを拒否した。

しかし市民の間では当該医療機関名は既に、「情報」として広がっており、室蘭市内の小児科医療機関であることが特定されている。それにしても当該医療機関が医院名を公表しないという態度は全く納得できない。市民に対していたずらに不安与える無責任な態度であると批判されて当然だろう。秘密にするという危機管理はあり得ないことを自覚しているのか疑問である。おそらく数日中に、ネット上では当該医療機関名が広く流布されると思えるが、その時この医療機関が、どう対応するのかが注目されるところである。市民に対して真摯に説明しなかったつけは、どこかで必ず支払わねばならないだろう。

このような状況だから、登別・室蘭地域の介護事業者も一層の警戒が必要だ。

特に介護施設やサ高住・GH等の居住系施設住む高齢者は、新型コロナウイルスに感染すると重篤化するリスクが高いだけではなく、場合によってそれは死に直結しかねないのだから、そうしないために面会制限をするのは、この時期であれば至極当然のことである。

しかし制限だけして終わりではあまりに無責任である。本来介護施設をクローズして、家族と会わせない権利は誰にもないはずであり、例外的に医学的見地から一時的な制限が認められているに過ぎない。

感染予防は施設を社会から隔離した密室と化すために行うものではなく、感染を予防して安全な環境を保つために行うものであるのだということを忘れないでほしい。居住系施設を外部の家族とのコミュニケーションさえ取れない場所にしてしまえば、それは冷たいブラックボックスでしかなくなる。

特に特養は介護施設であると同時に、利用者のとっては暮らしの場であることを標榜しているのだから、制限と配慮はセットで考えられねばならない。

今の時代はICT技術で、対面しなくてもコミュニケーションをとる方法はいくらでもあるのだから、そうした工夫をしないで面会制限だけを行うのは、いかにも知恵と配慮のない施設運営だというべきだろう。

例えばネット環境さえあれば、Google等でビデオ会議・チャットサービスの無料アプリが提供されているので、簡単に画面を通じて相手と対面しながらコミュニケーションが取れるのである。そうした技術はすでに特殊技術ではなく、スマホやタブレットを日ごろから使い慣れている人にとっては一般的なアプリ利用に過ぎない。誰でも使える方法なのである。そうしたアプリを活用しないで、面会制限だけをダラダラと続けている施設は、強制収容所と同じである。

施設の利用者の姿かたちが見えない状態で、情報だけ送っても家族にとっては不安が大きい。それは幻の音信にしか過ぎず、真実とは異なるものだ。面会を制限している密室で自分の親がどのように暮らしているかを見て、本当の姿を確認したいと思う家族は多いだろうし、その気持ちはあって当然である。そうした思いにも寄り添うのが対人援助として求められるサービスの品質である。

各サービスステーションに、PCもしくはタブレットやスマートホンを置いておくだけで、それを通じて自宅にいる家族と簡単にコミュニケーションをとれるのだから、面会制限中は施設側から積極的に家族の持っている末端と施設をつないで、画面を通じて姿が見える形のコミュニケーションをとれるようにすべきだ。

しかしこうした方法を、わざわざ施設に訪ねてとらせるのもどうかしている。

チャットサービスは、距離が離れていても可能なのに、施設の受付に末端を置いて、そこに訪ねてきた家族が、館内に入らない状態で、施設内の利用者とコミュニケーションを取らせているような馬鹿げた使い方をしている施設がある。デジタル機器をアナログ化しているような使い方だ。

勿論、たまたま面会制限を知らずに訪ねてきた家族にそういう方法を取ることはあってよいだろうし、ITやICT利用が苦手である人にサービスとして、施設の玄関口でそういう対応をしていただくことはありだろう。しかしそれで終わってどうするのかと言いたい。

それはごく限られた人に対するサービスにすべきで、それを広げて利用者家族が自宅から施設利用者とコミュニケーションを取れるように支援するのが本当の意味での行き届いたサービスではないのか。なぜなら施設利用者の家族の大半が、スマホもしくはPCを使いこなしているからである。

施設利用している人自身は、それらの機器を使い慣れておらず、画面の前で緊張するかもしれない。そんな方には、僕の顧問先である、「ワーコン」が見守りシステムでも活躍している、「在宅医療用対話ロボットanco:アンコ」を利用してはいかがだろう。
在宅医療用対話ロボット「anco」
コミュニケーションロボットanco
見守り看護師に緊急通報もできるアンコを通じてのコミュニケーションなら、愛らしいスタイルに緊張も覚えることなく、自然に家族との会話が可能になるかもしれない。

各サービスステーションに備品としてアンコを1台置いておくだけで、複数の家族とつなげてコミュニケーションが可能になるというものだ。

なお面会制限に関して注意してほしいことは、制限を行う場合は、必ず医師の指示もしくは意見をきちんと記録にとって、面会制限を行う理由や時期などを明らかにしておくべきだ。

これを行っていない場合、制限に不満を持つ家族とトラブルから訴訟になった場合、施設側は根拠のない権利侵害もしくは逮捕・監禁罪の疑いを問われて損害賠償を命じられるリスクがある。それを防ぐために、医師の判断を明確に記録しておく必要がある。

特に問題なのは、老健施設等では看護師の指示命令において面会制限を行っているケースがあるが、看護職員にはそのような指示・命令ができるという報的根拠はないので、それは大問題であるし、やってはいけないことだということを肝に銘じてほしい。
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新型コロナウイルスの影響で通所介護を休止した場合の特例を整理してみた


新型コロナウイルスによる感染症の蔓延防止策として、通所介護事業所の休止が求められたり、自主的に休止したりする地域が増えているが、その際の特例について厚労省は、通知文やQ&Aを発出している。

なお一連の通知文については、三重県の介護保険最新情報(2019年度)が見やすいと思うので、リンクを貼り付けておくが、今日は通所介護に関連する部分を取り上げて、重要な点を確認するようにしてみたい。

まず介護保険最新情報vol.769にて、『新型コロナウイルス感染症への対応等により一時的に人員基準を満 たすことができなくなる場合等については、「新型コロナウイルス感染症に係 る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて」 (令和2年2 月 17 日厚生労働省老健局総務課認知症施策推進室ほか連名事務連絡)等によ り柔軟な取扱いが可能とされているので、同事務連絡を参照されたい。 』として、この影響で一時的に配置基準が満たされなくなった場合でも、減算対象にはならないことを示している。

より具体的な特例対応については、介護保険最新情報vol.770で次のように示している。

・休業となった事業所と異なる事業所、公民館等の場所を使用して、当該事業所が指定を受けたサービスに相当するサービスを提供した場合
【算定方法 】
通常提供しているサービス費と同様に、サービス提供時間等に応じ介護報酬を算定すること

⇑ このようにされている。なお介護保険最新情報Vol.779によれば、「公民館等」とは、「一定の広さを確保でき、安全面や衛生面の観点からサービスを提供するにあ たって差し支えない場所を指す。なお、サービスの提供にあたっては、都道府県、 保健所を設置する市又は特別区と相談し、また利用者の意向を踏まえて実施されたい。 」とされているところなので、行政担当課に相談したうえで、柔軟に対応していただきたい。

もう一点、この通知では次のような特例が示されている。

2. 居宅で生活している利用者に対して、利用者からの連絡を受ける体制を整えた上で、居宅を訪問し、個別サービス計画の内容を踏まえ、できる限りのサービ スを提供した場合
【算定方法】
通所系サービスの場合
提供したサービス時間の区分に対応した報酬区分(通所系サービスの報酬区分)を算定する。 ただし、サービス提供時間が短時間(通所介護であれば2時間未満、通所リハ であれば1時間未満)の場合は、それぞれのサービスの最短時間の報酬区分(通 所介護であれば2時間以上3時間未満、通所リハであれば1時間以上2時間未満 の報酬区分)で算定する。 なお、当該利用者に通常提供しているサービスに対応し、1日に複数回の訪問を行い、サービスを提供する場合には、それぞれのサービス提供時間に応じた報酬区分を算定できるものとするが、1日に算定できる報酬は居宅サービス計画書に位置付けられた提供時間に相当する報酬を上限とし、その場合は、居宅介護サ ービス計画書に位置付けられた提供時間に対応した報酬区分で算定する。

※ なお、居宅サービス計画書に基づいて通常提供しているサービスが提供されていた場合に算定できていた加算・減算については、引き続き、加算・減算を行うものとする。ただし、その他新型コロナウイルス感染症の患者等への対応等により、一時的に算定基準を満たすことができなくなる場合等については、 「令和元年台風第19号に伴う災害における介護報酬等の取扱いについて」 における取扱いに準じることに留意されたい。

⇑ この部分での要点整理としては、通所介護で行っているサービスに準じたケアを、通所介護の職員が自宅を訪問して行うことで、通所介護費を算定できるということだ。その内容は通所介護と同様とは限らないので、例えば通所介護で食事介助や排泄介助・入浴支援などが必要な人に対して、自宅でそれと同様とみなすことが出来るサービスを行った場合、「訪問介護費」ではなく、「通所介護費」を算定してよいということだ。

その際、算定区分は2時間未満の単位が最低算定単位となるが、複数回訪問してサービス提供する場合、2時間未満×訪問回数とする場合もあるし、サービス提供時間に応じた算定区分+複数回ごとの算定区分とする場合もあるが、その場合も算定単位の上限は、「居宅介護サ ービス計画書に位置付けられた提供時間に対応した報酬区分」となる。

※の部分については、要するにこの特例前からの加算・減算はそのまま特例算定時にも引き継がれるということと、この特例であらたに人員欠如減算などに該当することはないということである。

これに関連して介護保険最新情報Vol.779では、次のような関連Q&Aが掲載されている。

問1 令和2年2月24日付事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第2報)」で示された取扱いは、都道府県等からの休業の要請を受けて休業している場合に加えて、感染拡大防止の観点から介護サービス事業所(デイサービス等)が自主的に休業した場合も同様の取扱いを可能としているが、同じく感染拡大防止の観点から、利用者の希望に応じて、
1.通所サービスの事業所におけるサービス提供と、
2.当該通所サービスの事業所の職員による利用者の居宅への訪問によるサービス提供の両方を行うこととし、これら1.2のサービスを適宜組み合わせて実施する場合も、同様の取扱いが可能か。

(答)可能である。

問2 問1の取扱いが可能である場合、事業所におけるサービス提供と居宅への訪問によるサービス提供を組み合わせて実施することにより、人員基準が満たされなくなる場合も考えられるが、そのような場合であっても、減算を適用しなくとも差し支えないか。

(答)差し支えない。

⇑ こんなふうに訪問介護と自宅における通所介護相当のサービスを、柔軟に組み入れてサービス提供してよいとされている。ここで特に注目すべきは次のQ&Aである。

問7 通所介護等の利用が出来なくなった発熱等の症状のある利用者に対する訪問介護の提供増加や職員の発熱等により、人員基準上の必要な資格を持った人員が確保出来ない場合、基準違反となるのか。

(答)基本的には、介護支援専門員が調整のうえ、有資格者を派遣する事のできる訪問介護事業所からサービス提供されることが望ましいが、令和2年2月17日付事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて」別添1(7)で示しているとおり、指定等基準を満たすことが出来なくなった場合であっても、それが一時的なものであり、かつ利用者の処遇に配慮したものであれば、柔軟な対応をして差し支えないものであり、その際、訪問介護員の資格のない者であっても、他の事業所等で高齢者へのサービス提供に従事した事がある者であり、利用者へのサービス提供に支障がないと認められる者であれば、訪問介護員として従事することとして差し支えない

⇑ このように休業した通所介護の職員を、併設の訪問介護の臨時的職員として、利用者宅に派遣し、訪問介護サービスを行い、通常の訪問介護費を算定できるというのである。しかもその場合、通所介護の経験があれば、「他の事業所等で高齢者へのサービス提供に従事した事がある者」に該当するため、ヘルパー2級や初任者研修終了という訪問介護員の資格がなくとも特例的に訪問介護費を通常算定できるのである。

この特例は代替サービスとして非常に重要と思えるので、ぜひ活用してほしい。

なお通所介護の休止に伴い、新たに特例の訪問介護サービスを代替サービスとして利用する場合は、居宅サービス計画の変更が必要で、かつ軽微変更に当たらないために、サービス担当者会議等の一連の過程は必要である。しかしこの場合でも老企25号規定の、「緊急的なサービス利用等やむを得ない場合や、効果的・効率的に行うことを前提とするものであれば、 業務の順序について拘束するものではない。ただし、その場合にあっても、それぞれ位置付けられた個々の業務は、事後的に 可及的速やかに実施し、その結果に基づいて必要に応じて居宅サービス計画を見直すなど、適切に対応しなければならない」を活用して、サービス担当者会議を後回しにすることなどは認められる。

一方、通所介護を休止した事業所の職員が、利用者の居宅で同様のサービスを行い、「通所介護費」を算定できるという特例は、もともとの居宅サービス計画に基づくサービス提供なので、居宅サービス計画書の変更は必要ないものと思われる。

これらの特例ルールを柔軟に組み合わせて、利用者のデメリットを最小限にとどめる配慮が、介護サービス求められるし、今こうした時期だからこそ、そうした配慮ができる事業所が、地域から信頼できる事業所として認められることになるのではないだろうか。

絶対やってはいけないことは、行政から休止を求められていない地域で、事業所判断で勝手に通所サービスを休止することだ。それは「通所サービス事業者の矜持と責任が問われる時」で指摘している問題にとどまらず、自主的休業は休業補償されないので、事業経営上も危機につながりかねない。何よりも将来にわたって禍根を残すこととは、「あの事業所は事業者の都合優先で利用者を見放す」・「事業所都合優先でいつ休むかわからないところ」という評判が立って、ケアマネや利用者からそっぽを向かれ、事業経営にとって負の遺産となることである。

※それにしても表の掲示板で、介護事業所職員が、個人的に旅行に行くことまで問題視するスレッドが立てられている。マスコミの印象操作に踊らされて、何馬鹿なことを言っているんだというしかない。国内感染者で死者が7名(3/9正午時点)という感染症のおかげで、社会生活がどこまで制限されればよいのだろうか。熱しやすく、冷めやすい国民性の一番悪い部分が出ているとしか言いようがない・・・。

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通所サービス事業者の矜持と責任が問われる時


新型コロナウイルスの感染が広がる中で、社会生活の様々なところにその影響が大きくなっていることは、今更ここで論評するまでもない。

そのことはすでに多くの日本国民が身近な問題として実感していることだろう。

僕が住む北海道は特に感染者が多くて、「汚染地域」と見られており、様々な方が心配されていると思う。しかし北海道と言っても広くてでかいのである。それを一括りにしてみると感染者が多くなるのは当然だ。

僕が住んでいる登別市は、今のところ感染者はゼロであるし、室蘭市を含めた周辺の市町村でも感染者は出ていない。感染者が出ている一番近い地域は苫小牧市であり、それも1名しか報告されていない。そしてそこは生活圏が明らかに登別市とは別な地域である。

しかしそれは当市周辺に感染者がいないという意味ではなく、感染者が見つかっていない、検査をしていないという意味に過ぎないかもしれない。しかしそれを言うなら日本中どこも同じことだろう。

新型コロナウイルスが広がっている原因は、軽症者が社会活動に参加してウイルスを媒介しているということだそうであるが、そうであればその中には、自分が感染していることも知らないうちに自然治うしてしまっているという人がいるということだ。

このウイルスの恐ろしさとは、未知で、治療法がないということであり、そこに不安感を抱く人が多いことは理解できる。だがそれは逆に言えば、軽症者がウイルス検査して感染が明らかになっても、治療法がないのだから自宅待機して対症療法をするしかないということになり、検査しても始まらないという意味でもある。

重症者は重篤になって死に至るケースがあるために、検査による確定診断を行うことは意味がある。なぜなら症状が改善しない人は、他に治療法がないということで、副作用を恐れずインフルエンザの治療薬や、エイズの治療薬を使って治療を試みるという医師の判断に関係してくるからだ。

だから症状が軽度な人に限って言えば、あえて医療機関に押しかけて検査をする必要もなく、症状が治まるまで自宅に籠って対症療法に心がけても良いのではないかと思う。そのことをもっと政府が広報しても良いのではないか。

そもそもこのウイルスによる肺炎と、インフルエンザはどちらが恐ろしいと言えるのだろう。インフルエンザの感染者について、今回のコロナウイルス感染者の広がりを広報するのと同じように公表していたら、その広がり方はどっちが大きくなるのだろう・・・。どっちが本当の脅威なのだろうか・・・。

さてそんな最中、昨夜のNHK NEWS WEBでは、北海道の通所サービス事業者の休止が広がっていることが報道されている。

感染を恐れる人が通所サービスに通うことを一時中断するならともかく、デイサービス事業者側が全面的に事業休止してしまうのはいかがなものだろう。代替サービスのない状態で、デイサービスを一方的に休止された人の中には、誰からの支援も受けられずに、日常生活に支障を来す人が出てくるかもしれない。そのことを放置してしまってよいのだろうか。

そうしたケースについてはケアマネジャーの責任で、ヘルパーなどの訪問サービスを利用してもらえばよいというのでは、あまりに無責任ではないのだろうか。そもそもヘルパーも人的資源が減少していて、通所サービスを利用できない人の代替サービスとはなり得ない地域も多いのが現状だ。

そんな責任まですべて押し付けられるケアマネジャーもたまったものではないだろう。通所サービスの責任はどうなんだと言いたくなる。

実際に通所サービスを利用できなくなった人の中には、ヘルパーの支援も受けられずに、家族が仕事を休まざるを得ないケースが出ている。しかしそのような家族がいればよい方で、家族がおらず、誰からも支援が受けられずに、不便な暮らしを強いられ、排泄ケアもまともに受けられない人もおられる。それらの人は、この間に身体機能がどんどん低下してくるのは目に見えているが、それも自己責任だと言えるのだろうか・・・。

報道では休止理由について、「デイサービスを行う事業所と高齢者の入所施設が併設されていて、一部共用部分があるため、ウイルスの感染者や濃厚接触者が施設を訪れた場合、入所しているお年寄りに感染してしまう可能性があると判断し休止することにしました。苦渋の決断でした」と運営会社がインタビューに答えている記述があるが、これは理由としては納得できるものではない。

そうであれば、「一部共用部分」を共用しないようにすればよいだけの話である。その場所は絶対に共用しないと事業が成り立たないなんていうスペースなどあり得ないのだから、そこは設備や環境の工夫で完全区分すればよいのである。そうするだけで完全に導線は断たれるわけであり、そうしないで休止を選ぶ姿勢は、デイサービ利用者の不利益を無視して、最も安易な対策に走ったという誹りは免れないのではないだろうか。

僕が社福の総合施設長を務めていた際に、施設でノロウイルス感染が広がったことがあるが、その際も併設デイサービスとの導線を断つことで、デイの営業は通常通り行え感染者も出なかった。その経験からも、上記の理由は説得力がないと思う。

こうした情勢下で、介護施設が面会禁止の措置を取ることは納得できる。それは行って当然の対策だろう。

しかし代替サービスも提案せずに、一方的に通所サービスの提供を中断するという措置は、あまりにも利用者の事情を無視する姿勢であり、事業責任を果たしていない姿勢だと思う。

その姿には介護事業に対する使命感が全く感じられず、無責任であるとしか思えない。

通所サービス事業者に求められているのは、体調不良者のチェックと、それらの方に一時的にサービス利用を休んでいただくことであって、事業サービスの完全休止が感染防止対策として求められているわけではないのだということを改めて理解すべきである。

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みまもり看護システムは安心介護を支えるためにあります(感染症対策編)

みまもり看護システムは安心介護を支えるためにあります(在宅編)より続く)

ウオッチコンシェルジェによる、「24時間見守り看護システム」は、感染症対策の部分でも威力を発揮します。それは施設サービス・居宅サービスだけではなく、医療機関においても同様です。

昨日、福岡市は介護事業者に対して、「コロナ対策としてサービス担当者会議を中止、最低限の訪問に抑えできる限り電話での対応にするようにしてください。」という通達を出したそうです。

しかし介護が必要な利用者の中には、1日たりともサービスを使わずにいられない人がいます。デイサービスが休止された場合には、替わって訪問サービスが必要となる人もいます。それらの人に対する、「調整」が必要になるし、そのためには何より今現在の利用者の状態確認が必要になります。それは居宅介護支援事業所のケアマネジャーや各サービス担当者にとって不可欠です。

そんな時利用者が株式会社ワーコンのシステムを使っておれば、コールセンターを通じて、ケアマネ・サービス担当者・利用者の双方向のコミュニケーションを仲介することが可能になり、実質サービス担当者会議を開いているのと同様の環境がつくれます。

必要に応じてコミュニケーションロボット、『アンコ』を利用して、利用者とも直接会話ができるので、どんな状態が利用者にとって「最低限の訪問」と言えるのかを正しくアセスメントすることができます。

何より利用者の生体情報がリアルタイムで確認できるのですから、それによって利用者の現状把握が正確にできて、訪問回数は最低限に抑えられますし、その場合でもコミュニケーションロボットで、利用者やその家族と会話ができ、必要な情報のやり取りが可能になるので、『放置されている』というふうに誤解を受けずに済みます。

こんなふうに関係者が一堂に会さずしてコミュニケーションが十分とれますし、介護支援専門員や訪問看護師・訪問介護員の利用者宅への訪問回数も減らすことができますので、関係者の感染リスクは大きく減ります。

よってコロナウイルスの脅威にさらされている今だからこそ、このシステムの導入を急いでほしいと思います。

医療機関でも感染対策として大きな効果が生まれます。このシステムを利用することで、隔離室の看護対応が必要最低限まで減らすことができるからです。だからと言って患者さんの犠牲を強いるわけではなく、より適切に対応強化することができます。

感染症対策で一番の問題は、その防波堤の最前線に立たねばならない医師や看護職員が感染してしまうことです。しかしどんなに陰圧室を作っても、その部屋の中で対応せねばならない濃厚接触者は、常に感染の危険性と隣り合わせです。その危険性は訪室回数が増えるほど増します。

しかし隔離室に株式会社ワーコンの生態センサーとコミュニケーションロボットを導入すれば、訪室の回数を必要最低限に抑えることができます。

その際であっても生体情報により、病状管理は確実にできるだけではなく、ロボットを通じて患者さんとコミュニケーションをとることもできるために、患者さんを寂しがらせたり、不安に陥らせることも防ぐことができます。

患者さんは、看護師の訪室を待って疑問点や不安点を尋ねるだけではなく、いつでもコミュニケーションロボットに呼びかけて、コールセンターの看護師と対話ができるため、リアルタイムで疑問や不安を訴えられるのです。

見守りをアウトソーシング化することで、医療機関の看護師の方々は、随時の隔離室の状況確認をしなくてよくなり、他の看護業務に専念できます。確実に看護業務の省力化、精神的負担の軽減につながるのです。

介護施設でも同様の効果が見込まれます。

近年は、ノロウイルス、インフルエンザ等で、介護施設においても一時的な隔離対応が必要なケースが増えています。その際に介護職員がより安全に対応可能になるということは、人手が少ない介護施設の従業者を護ることにつながり、そういう対応ができる施設として評判が上がると、人材が集まってくることにもつながっていきます。

これらは警備会社の見守りシステムでは不可能なことです。そもそもワーコンのウオッチコンシェルジェを、警備会社の見守りコールシステムと比較することがどうかしているのです。

警備会社のコールセンターも看護師対応ができるようにしているところもありますが、そこにつながる情報は全く異なっており、単なる動作情報で動く警備会社のシステムと、ワーコン独自の活力指数を含む生体情報によって変化を見守るシステムは似て非なるものであり、両者の品質差は歴然としているのです。

そのシステムの実際や価格を詳しく知りたい方は、博多駅筑紫口から約5分のビル内にある、株式会社ワーコンにおいでください。事前に連絡をいただければ、システム説明と詳しい料金の説明などができます。僕は3/6(金)〜3/14(土)まで同社に出社予定ですので、その間ならワーコンの社員と一緒に対応できます。どうぞお気軽に連絡してください。

少し話は変わりますが、感染防止対策関連では、僕とフェイスブックでつながっている、(株)北日本消毒の湊亨氏がブログでジェットタオルの危険性に触れています。『ジェットタオルの禁止』を是非参照ください。

ジェットタオルは手を乾かす効果はあっても、感染予防には逆効果になりますので、くれぐれも誤解と取扱い間違いのないように注意してください。

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インフルエンザ罹患者にどう対応したらよいのか


特養の総合施設長を務めていた当時、この時期の一番の心配事は、ノロウイルスやインフルエンザといった感染症が施設内に広がらないかということである。(参照:ブログ過去ログ・感染症

特に今年はインフルエンザが猛威を振るっていて、いまだにその威力が衰える気配がない。全国の介護施設の管理者は、毎日感染者が出ないかと戦々恐々の思いだろう。

気密性の高い北海道の介護施設は、冬の間24時間暖房を行っている状態で、空気が乾燥しているために、一人でも感染者が出た場合に、施設内に一気に感染が広がってしまうことがままある。

利用者の間に感染が広がって、体調を崩す人が続出することが一番の問題であるが、利用者から職員に感染が広がった場合、急に勤務ができなくなる職員が出てくることも必然で、代替する職員を探す緊急対応が続出して、勤務シフトが乱れに乱れて、必要な職員の配置が困難になることすらある。

感染した利用者への対応は、通常業務より多くの労務負担を生じさせるにも関わらず、対応できる職員の数が減り、それが長期間に及ぶのは施設運営にとって相当のダメージとなる。

そのため感染者を出さないことが何より求められる対応で、それにもかかわらず感染者が出た場合は、一刻も早い隔離対応など、感染が広がらないように最大の注意が払われているのが今の時期である。

当然のことながら、職員の家族の中で罹患者が出た場合や、職員自身の体調に不調があり感染が疑われる場合などは、決して無理して出勤せず、外から感染を持ち込む媒体にならないように注意も払われていた。

外から感染症を持ち込まないという意味では、ショートステイやデーサービスなどの利用者についても、インフルエンザに罹患するなどした場合は、その間の利用をお断りして、自宅で体調回復のための療養に努めていただくという対応が、当然のことのようにとられていた。

僕が勤めていた法人では、訪問サービスは行っていなかったが、他の事業者と対応を見ても、感染している利用者に対する訪問介護ついては、複数の利用者に対応する訪問介護員が、他の利用者に感染させる媒体となり得るという「正当な理由」で、サービス提供を拒否するケースが多々見られた。それを特段、問題視することもなかったのが実状であった。

その間は介護サービスではなく、外来通院を中心とした医療対応が求められる時期であるという認識である。

しかしこのことは利用者の側から考えると、ずいぶん冷たい対応に感じるのかもしれない。インフルエンザやノロウイルスに感染した在宅生活者は、感染症が治うするまで自宅に引きこもって、どこからの支援も受けられないというでは、生活に支障をきたす場合もあるだろう。

特にインフォーマルな支援者がいない一人暮らしの人は、担当ケアマネジャーや居宅サービス事業者の支援は、「命の綱」といえなくもない。しかし同時に、治療対応が優先される時期に、他の利用者の感染媒介となりかねないリスクを犯してまで、治療対応ができないケアマネジャーや介護サービス従事者が、感染者に直接会って対応しなければならないのかという疑問も生ずる。このことは決して簡単に答えを出せる問題ではないだろう。

このことに関連して、居宅介護支援事業所の介護支援専門員の方が、表の掲示板に、「 在宅でのインフルエンザ罹患利用者への対応、考え方について 」というスレッドを立てている。

僕なりの考え方は書き込んだが、それも正解ではあるまい。是非多くの皆様の忌憚のない意見を求めたい。張り付いたリンク先にレスポンスをつけていただければありがたい。


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感染予防に気を使う時期です


当施設では、2007年12月〜2008年1月にかけて、ノロウイルスの集団感染が発生し、終息までに時間がかかった苦い経験がある。

その際の報告は、「ノロウイルス感染経過報告1・感染源」、「ノロウイルス感染経過報告2・感染拡大状況」、「ノロウイルス感染経過報告3・拡大要因について」、「ノロウイルス感染を振り返る・想定外のこと」に詳しく書いているので、参照のうえ反面教師としてご活用いただきたい。

その後も、単発的にノロウイルス感染者が出たことはあるが、感染拡大を防ぐことはできており、集団感染という状態には至っていない。だからと言って、今後も感染拡大を100%抑えることができるとは言い切れないところが、このウイルスのやっかいなところである。

今年はそのウイルスが新型で、過去最大の感染拡大が懸念されているところであり、より警戒レベルを上げて対応する必要がある。管内の保健所の感染情報は、毎日チェックが必要だ。

集団感染が発生すると、利用者の健康被害に直結するだけではなく、施設経営上のリスクにもつながりかねない。介護報酬の大幅な減額がされた今年度は特に、空きベットが生ずるのは痛い。しかし集団感染が発生すれば、新規入所も停まるし、なによりショートステイの受け入れもできなくなり、収入減となるからである。そのため感染予防対策は、経営リスクを減らすためにも万全の対策が求められる。

僕たちが日常的に行う感染予防対策は、特別なことではない。よく言われるように、手洗いとうがいの励行が大事である。しかしこれも掛け声だけで、アリバイ作りのようにおざなりになっては、いつウイルスが侵入する隙になるかわからない。手洗いは、手を濡らせばよいというものではないので、しっかりウイルスを落とすことができる定められた方法で、丁寧に十分な時間をかけて行うことが必要となる。

また職員自身あるいは家族に、感染の疑いのある症状が少しでも出た場合、無理して出勤せず、「休む勇気」が求められる。きちんと受診して、ウイルス感染していないことが確認されてから出勤しないと、自らが感染源になってしまう恐れがあることを自覚してほしいと、この時期何度もアナウンスしている。

過去の感染拡大では、感染者の吐しゃ物から空気中にウイルスが飛散し、それが感染源になり広がったのではないかと言う疑いが濃く、おう吐した人がいたら、速やかに対応して空気中へのウイルス拡散を防ぐという対応が求められる。そのため施設内には、いたるところに嘔吐に対応する物品をまとめたセットが置いてある。この中には、吐しゃ物にスプレーしてウイルス拡散を防ぎ、消毒する製品も含まれている。

感染予防対策には、それなりの費用もかかるが、感染拡大した場合の対応費と比べると、それは低い額で収まるので、この部分には必要経費を惜しまないことが重要である。

おう吐する人がいた場合は、基本的にすべてノロウイルスの疑いを持って対応することにしている。その中には、ノロウイルスの症状とは少し違うのではないかと思われるおう吐もあるが、万が一に備えた対応をしておかねば、もしもの場合、感染は一気に狭い施設内に広がってしまうのである。

昨日もお昼ご飯を食べた後に、おう吐した方がおられる。その方は、数日間の便秘症状が見られ、食欲もあまりない状態で、頑張って無理して食事を摂取したという状況があり、そのためのおう吐であるように思えたが、一応ノロウイルスを疑う対応とした。

個室入口の感染予防策
吐しゃ物の対応は、「おう吐対応セット」によって漏れなく行った。便が採取できないために、ウイルス検査ができないので、24時間の経過観察を行うことにした。この方は個室に住んでおられるため、この間は個室から出ないようにし、職員の入退室の際にも、感染予防対応をとるようにたいさくするとともに、本日の昼まで、行事などの集団活動は休止することとした。

ユニット通路の感染予防策
また対象者の方の居室があるユニットの方々はユニット内で過ごしてもらい、他ユニットの利用者の方々には対応者のいるユニットへ行かないようにお願いし、人の流れを一部制限した。

おかげさまで、この方はその後のおう吐も下痢もなく、ノロウイルスではないと判断できるために対応解除となり、今日の午後からは特段の制限もなく、日常の対応に戻すこととしている。利用者の皆様には、ご不便をおかけしたが、これも感染予防に万全の対応を行うためでありご理解いただきたい。そのあたりの説明が十分行われたのかを、今日の午後から確認したいと思う。

ところでこの対応を行っているため、僕自身も外出予定を変更し、昨日から今日にかけては、施設外の方にお逢いすることを避けていた。自分が感染していないとも限らないからである。

しかしある知り合いのフェイスブックの情報では、道内のある施設で、ノロウイルスの集団感染が発生し、終息していないにも関わらず、そこの施設長が会議に参加してきたという内容が書かれていた。おそらく自分に症状が全くないために問題ないと考えたのだろうが、施設内の集団感染が収束していない段階で、関係者が多数集まる会議に参加することは、エチケットとしてもどうなのだろうと首をかしげた。何よりも一緒になる他の方々が不安になるだろうに・・・。

そうした時期は、出来るだけ外部の会議や研修への参加は自粛するのが本来ではないだろうか。他施設や他事業所の感染源に自分がなってしまったらどのように責任を取るのだろう。ふとそのようなことを考えた。

北海道ではインフルエンザも流行の兆しを見せている。高齢者が感染して体調を悪化させた場合、それはその方のその後の人生に影響を与えるほどの機能低下の原因にもなりかねない。

そういう意味でも、しばらくは注意したりないということはなく、万全に万全を積み重ねた対応を心がけようと思う。

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感染予防対策の基盤は正しい知識


表の掲示板に、MRSAの方への対応というスレッドが立てられ、そこで鼻腔内にMRSAを保菌している人に対して、特別な対応が必要かという質問がされた。

MRSAは保菌しているだけなら、まったく問題はなく、通常の手洗いやうがいをしておればよいという意味の回答をした。リネン類の洗濯も、他の利用者と同じ方法でよいし、食器なども区分する必要もなく、入浴も順番を最後にしたりする必要もない。このことがまだよくわかっていない施設もあるのだなと思った。

しかし振り返ってみればMRSAが最初に問題になった頃(もう20年以上前になると思う)、介護施設などでは、その正しい知識がないことから、保菌=発症という勘違いがされ、保菌していること自体が健康を損なう重大な問題として捉えられ、除菌のために本来必要ではないお金や手間がかけられた。そのことによって利用者の方々も不必要な行動制限がされたという過去がある。

当施設も同様で、当時は利用者全員に定期的に鼻腔等の保菌の検査を行い、菌が検出された人は隔離し、ガウンテクニックで対応し、室内の消毒を行う等で対応していた時期がある。今考えると過剰対応で、利用者の方々にもご迷惑をかけ、本当に申し訳ないと思う。

しかしこうしたパニックは、当施設のみならず、ほとんどの介護施設で起こった現象で、さらに当地域でいえば、当時措置制度であったが、入所依頼時の健康診断に、MRSAの検査を義務付ける自治体もあった。保菌している人は、それを理由に入所拒否でき、除菌するまで申請できないという意味である。

こういう対応に何の疑問も感じなかったのが、当時の状況であった。知識がないとは何と罪なことなのかという典型であろう。

MRSAとは、methicillin‐resistant Staphylococcus aureus(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の頭文字をとったものである。黄色ブドウ球菌は、食中毒の原因菌としてよく耳にするものであるが、これは非常にありふれた菌で、人の髪の毛や皮膚、鼻の粘膜、口腔内、傷口などに付着することが多い菌である。しかし黄色ブドウ球菌は、基本的に弱毒菌のため、免疫力が低下している人でないかぎり特に重症化することはなく、 MRSAの性質も基本的には黄色ブドウ球菌と同様である。

しかしMRSAは耐性遺伝子を持っており、抗生物質が効きにくくなっているため、MRSA感染症を発症すると、治療が思うように進まず、重症化しやすく、やがて敗血症、髄膜炎、心内膜炎、骨髄炎などに陥って死亡するケースも少なくない。

しかし保菌=発症ではないし、MRSA感染症を発症する人とは、無菌室が必要になるくらい免疫力が低下し、菌に対する抵抗力が低下した場合や、大手術の後で一時的に免疫力が低下した場合、重症の熱傷(やけど)を負った場合、血管内にカテーテルを長時間入れている場合等であり、こうした状況下に置かれて発症した人は、隔離してリネン類や食器なども区分して、消毒などを行う対応が必要である。

しかし普通の家庭で生活している人や、施設で生活している人は、鼻から菌が出たとしても単なる保菌状態だから、そのような必要はない。

勿論、だからと言ってMRSAが拡散してよいわけがなく、それは主に接触感染と空気感染で広がるのだから、MRSAをもったご利用者や、撒き散らされた菌で汚染された床などが汚染源となり、それに触れたり、空中に舞い上がった菌を吸込んだりして人にうつり、その人の手指を介して、次々と広がっていくことは防がねばならない。よって手洗いやうがいは重要になるわけであるが、それはMRSAだけに言えることではなく、ノロウイルスやインフルエンザも同様なのだから、日ごろの充分なる手洗いの励行は欠かせない。

かつて当施設でも手指の消毒は、オスバン液などに手を浸すというベースン法で行っていたが、薬液の効果が徐々に薄まるこの方法は、MRSAが揉み洗い法、擦式手指消毒(ラビング法)やスクラブ液等を噴霧するスクラブ法に替っていったわけであるが、それも充分なる手洗いが前提になるもので、ここの意識が低下しないように、感染予防対策に努める必要があるだろう。

常陸大宮講演




※今週末土曜日の18:00〜茨城県常陸大宮市の老健、大宮フロイデハイムで講演を行う予定です。茨城北西地域包括ケア研究会は、医療法人 博仁会 さんの職員研修会ですが、今回は法人職員以外の方の参加も可能なオープン講演です。参加料も無料です。現在定員100名を超えて170名以上の申込者があるそうですが、会場を調整して申込者全員が受講できるそうです。参加希望の方は☎0295‐53‐0001 担当:小野さんまでお電話してください。

茨城県での講演は、昨年11月の石岡市講演依頼、2度目となります。お近くの皆さん、是非参加をご検討ください。

受講予定者の皆さん、土曜日の夕方という貴重な時間ではありますが、どうぞよろしくお願いします。






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腸内ウイルスが何故手に付着するのか


京都の医療機関で、ノロウイルスの集団感染が発生し、少なくとも入院患者36人と職員11人が感染し、うち80代男性2人を含む高齢の入院患者4人が死亡したというニュースが昨日飛び込んできた。

病院は「直接の死因は別の病気」と説明しているとのことであるが、集団感染が死因となる病気の悪化の引き金になったことも想像でき、本当に恐ろしいことだと思った。介護施設のトップとして、こういうニュースは人ごとと思えず、感染症の予防対策に一層努めなければならないと感じ、今朝も朝礼であらためて手洗いがなぜ必要かということ、どういう手洗いの方法が求められているかということを詳しく説明した。

特に手洗いについては浜松市の集団感染を例に挙げて説明した。

月曜の記事に書いたように、浜松市のノロウイルス集団感染は、菓子製造業者の従業員が保菌していたウイルスが、従業員の手〜手袋〜検品中の食パンと伝播されて、感染者を大量に出す結果に繋がっていったと思われる。

そしてウイルスを保菌していた従業者本人は、体調不良などを訴えていなかったことから、症状の出ない不顕性感染だった可能性があり、保菌しているという自覚がないことで、手洗いが不十分になって、手に付着したウイルスが洗い流れず、パンに付着させてしまったものと想像できる。

しかしよく考えると、ウイルスが巣くっている場所は、人の体の中・腸内である。ということは、ノロウイルスは人の腸内で増殖するので、ウイルスが体外に排出される状態とは、便とおう吐物の中に混じって排出されるのであって、当然のことながら尿からノロウイルスが排出されることはない。

ノロウイルスに感染していた従業員が、家からずっと手にウイルスを付着させたまま工場にやってきて、パンにウイルスを伝播させたとは考えにくく、工場内で手にウイルスを付着させてしまい、それが洗い流されずにパンに伝播した可能性の方が高いであろう。

では腸内ウイルスがどうして手に付着するのだろうか?そのルートは様々であろうが、今回の感染源となった菓子工場では、感染が確認された従業員も使っていた女子トイレのドアノブや、スリッパからウイルスが確認されており、ここにヒントがあるのではないだろうか?

工場内のどこかで、腸内ウイルスが手に付着したとすれば、そういう状態が生まれるのはトイレの中が一番可能性としては高いだろう。

トイレで便をして、そこに含まれていたウイルスが手に付着するという可能性は、どのような場合に考えられるだろうか?勿論、直接便を触った場合は、確実に手に付着するだろうが、便に直接手を触れずに後始末することも可能であり、この場合は後始末によって手にウイルスが付着する可能性は低くなる。

一番可能性として高いのは、便を水に流す際の飛沫である。飛沫と言っても、目に見え、肌でぬれたのが感じられる飛沫ではなく、目に見えず、肌で感じることができない細かい飛沫があるそうだ。それが手などの肌に付着することが多いそうである。だから排泄後の手洗いが重要になるのである。便のなかのウイルスが手に付着したとしても、適切な方法で充分手洗いを行えば、消毒しなくともノロウイルス手から流れ落ちるそうである。今回の感染ケースでは、こうした排便後の手洗いが十分でなかったことが原因と考えられる。

手洗いが十分でなかったということは、見た目に汚いという意味ではない。ウイルスが付着していなければ充分な手洗いであるとしても、ウイルスを洗い流す手洗い方法は、それ以上のものが求められるということだ。

排便後は、このように水洗トイレの水を流す際の飛沫のほか、便が便器に落ちる際の飛沫、後始末する際に何らかの形で飛沫、空気感染等、様々な状況が考えられるので、手洗いの方法を確実に実行するということが唯一の感染予防対策である。

また水を流す際の飛沫リスクを減らすのであれば、洋式便器など蓋のある便器の場合は、水を流す前に蓋を閉めるという方法も有効になるかもしれない。当施設では、そのことも実施するようにアナウンスしている。

このように便からの目に見えない飛沫が感染拡大の原因ではないかと思うのであるが、そうであれば、感染していた従業員が本当に不顕性感染だったかは、さらに疑わしくなる。お腹がゆるくて、就業時間に便が出る状態であったのではないだろうか?この症状を感染と疑わずに油断したのではないだろうか。月曜日にも書いたが、そのあたりの検証作業は、今後も求められるであろう。

どちらにしても、確実で丁寧な手洗いを日常的に行うように癖をつけるということが一番大事になるであろう。そのことを徹底できない限り、感染リスクは減ることはない。

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ノロウイルス集団感染原因は不顕性感染によるものだったのか?


昨年の今時期、緑風園はその前の年の年末から流行り始めたインフルエンザに加え、ノロウイルス感染による病原性胃腸炎の発症者が出るなど、ダブル集団感染で面会制限や施設内移動制限を行わざるを得ないほど大変な状況であった。

ノロウイルスについては、2008年の集団感染時の教訓を生かして、早め早めの対応により、感染者を一桁人数に抑えたことは不幸中の幸いであったが、それでも大変な状況で、今年も冬を迎えるに当たり、最大限の注意を喚起してきた。幸い今現在まで、感染症の発生は見られないが、油断は禁物で、今朝の朝礼でも、あらためて日ごろの手洗いやうがいの徹底、おう吐や下痢といった症状が出た人に対する初動対応などの確認を促した。

目に見えないウイルスは、どんなに注意をしても、「し過ぎる」ということはないし、それでも感染リスクはゼロにならないところが悩ましいところである。浜松市の集団感染も人ごとではないのである。

その静岡県浜松市のノロウイルス集団感染については、今月16日、市立小14校に通う905人の児童が嘔吐、下痢などの症状で欠席するという異常事態から明らかになった。

その後、症状を訴えた人は、市内の小学校17校のほか、中学校1校、2幼稚園の教職員と児童ら計1.178人に上り、発症者の便からノロウイルスが検出されたことから、ノロウイルスによる病原性胃腸炎の集団感染であることが明らかになった。

これを受けて浜松市は17日、ノロウイルスの感染経路について、給食用の食パンを製造していた菓子製造業(同市東区丸塚町)の工場の女子トイレのドアノブからノロウイルスが検出されたと発表し、欠席者の出た小学校の給食にこの食パンが出されており、食パンが原因の食中毒と断定した。さらに市は昨日、パンを製造した菓子製造会社でパンの検品や包装する作業をしていた従業員3人の便からノロウイルスを検出したと発表した。

この3人は、焼き上がった食パンを切り分けて検品し、容器に移してビニールで包装する工程を担っていたそうである。市の担当者によれば、「ウイルスの特性を考えると、人間の手を介した感染の可能性が高い」と指摘。指輪を外し、石けんを泡立てて何分もこするなど手洗いには細心の注意が必要だとし、今回は「(従業員が)用を足した後、正しい洗い方をしていない手で手袋を付けた可能性がある」と述べた。つまりこの3人の従業員の手〜手袋〜パンという汚染経路が推定できるわけである。

ただしこの3人はこれまで体調不良を訴えていないという。

ノロウイルスは糞便経口伝播により感染し、24〜 48 時間の潜伏期の後、突然の嘔気・嘔吐・下痢で始まる急性胃腸炎を起こす。その他の症状の発現頻度は腹痛・頭痛・発熱・悪寒・筋肉痛・咽頭痛であり、下痢が血性になることはないとされている。

感染力は非常に強いが、症状は一般に軽症であり、幼児や高齢者を除くと脱水により重症化することはまれである。また発熱も38℃を超えることはほとんどないとされている。症状の持続は短く通常 1〜2日で回復し慢性化することはない。

また、約50%は症状が出ない不顕性感染であるとされており、その場合でも糞便には発症者と同じ程度のノロウイルスが含まれているので、症状の出ていない従業者の糞便に含まれていたノロウイルスが感染源になっていた可能性は十分考えられる。このように症状の出ない不顕性感染によってウイルスが伝播されることが一番問題視されていたが、今回はその心配が現実になったものと考えられる。

しかし本当に感染源となっていた従業員すべてが不顕性感染であったのかというところは気になるところである。胃腸炎の症状は様々で、下痢の症状が軽度の場合がある。しかしこれは軽度でも症状が出ているので、不顕性感染とは言えないであろう。この場合は、ノロウイルスを疑った対応が製造過程でされていた可能性はないかという検証作業が不可欠になる。

簡単に不顕性感染であったという結論で終わってはならず、少しでも症状があったケースであったのか、そうではない不顕性感染であったのかという検証作業は、今後の対策上も必要不可欠と思える。

勿論、どちらであっても充分な手洗いを常日頃心がけるという対策は絶対必要なわけであるが、食品製造に関わる職業の人は、自分の体調を軽視しないという意識が求められるであろう。これは我々対人援助サービスの職業も同じことが言えるであろう。

そして、全ての人が不顕性感染や、症状の軽度なノロウイルス感染というものがあることを知ることによって、日常の対策意識が高まるのではないかと思われる。
介護の詩

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インフルエンザの猛威


現在我が施設ではインフルエンザが猛威を奮っている。

1/19の土曜日に職員1名の感染が見られたのを皮切りに、20日に利用者1名、21日に職員3名と利用者3名に感染が拡大し、以降毎日のように感染者が5名、6名と増え続け、述べ罹患者の数は職員と利用者を合わせて60人を超えた。

この間、なんの感染拡大予防対策を行っていなかったわけではなく、職員や利用者全員に手洗いとうがいの励行を行い、マスク着用を基本としている。これらは普段から口やかましく注意していたことで、そのことに油断はなかったが、感染を防ぐことはできなかった。

実際に感染者が出た以降は、症状が出た人と、症状のない人の部屋は、居室移動を頻回に行って、生活スペースの分離に努めるとともに、行事など多数の人が集まって行う日課活動はすべて中止とし、食事場所も食堂ではなく自室を基本とするなどの緊急対応をとっているが、空気感染、飛沫感染などは完全に防ぐことができず、感染者が増え続けている。

今年のインフルエンザ感染者は、A型が多い。

A型はB型より重症化しないと言われているが、そのとおりの結果を示し、一旦高熱が出ても、2〜3日で症状が治まるケースが多く、食欲も落ちずに食べてくれる方ばかりなので、脱水症状も起きずに治うする人がほとんどだ。それだけがせめてもの救いである。

感染状況の詳細をみると、昨日までの発症者は職員8名・利用者43名で、このうち治うして、対応解除となったのは、職員4名・利用者19名であり、未だに職員4名・利用者24名が罹患している状態である。

昨日のあらたな発症者はおらず、収束に向かっていると思いたいところである。しかし昨日現在症状が出ている人で、熱が上がっている人もいるので、全く油断のできない状態である。

このような状況であるために、予定していた新規入園者の入所も延期し、ショートステイも中断している。

入所予定者やショート利用予定者にも迷惑をかけている状態であるが、それだけ収入が減るという意味で、介護給付費が大幅に減額された今年度の収入確保という麺から言えば、この状況は施設経営上も非常に厳しい状態である。

併設のデイサービスについては、導線を完全に区分しているので、通常通り営業を続け、そちらの方への支障がないのがせめてもの救いである。

一日も早い収束に向けて、できる限りの対応、考えつく限りの対策をとっているが、目に見えないウイルスとの戦いはいつも人間が振り回され、体も心も疲れてしまう感じである。

今年の冬は気温がいつもの冬より低いことも、感染が広がっている原因ではないかと思える。仮にこのインフルエンザが収束に向かっても、時期的にノロウイルスの心配がまだまだ続くのであるから、心配の種はなくならない。

現在感染している人たちの症状が早く快方に向かい、新しい感染者が出ず、みんなが元気で暮らせる日常を取り戻したいものだ。

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O157中毒死の原因食材は漬物


北海道では、先週札幌市内と周辺地域、胆振管内の苫小牧保健所管轄地域の高齢者施設等でO157による集団食中毒が発生し、これまでにあわせて10カ所の高齢者施設で、入所者らおよそ100人以上が今も症状を訴えている。

一昨日は札幌市内の幼稚園に通っていた4歳女児が死亡したほか、80歳代女性、100歳代女性の計3人が死亡している。

これについて札幌市は昨日、同市西区の「岩井食品」(岩井憲雄社長)が製造した白菜の浅漬け「白菜きりづけ」が原因の食中毒と断定し、同社を営業禁止処分とした。

白菜きり漬け

しかし原因となった漬物は、スーパーやホテルなど道内約50カ所に納入されており、市には新たな発症者の報告が寄せられるなど被害は拡大しているそうである。

札幌市の発表によると、発症者が出た5施設で7月23日〜8月5日に提供された食材を市が調査した結果、5施設で1日に出た問題の浅漬け3検体中2検体からO157を検出し、患者の便のO157と遺伝子が同じで、同社従業員2人からもO157検出したとしている。

問題の浅漬けは7月28日に白菜・キュウリ・ニンジンを漬け込み始め、29〜30日に出荷(消費期限8月2〜3日)したものであるが、汚染の原因については、「特注があったため通常の2倍作り殺菌の塩素が薄まった可能性もある」としている。

先週末から当施設でも連日、朝礼で職員への手洗いとうがいの励行、厨房内の食品管理や、衛生状態保持を促している。過去にノロウイルスによる集団感染を経験している当施設にとっては、決して対岸の火事とは思えないし、今後も1日たりとも対策はおろそかにはできないと思っている。
ノロウイルス集団感染の記事については、こちらをクリックして参照してください。)

O157は75度以上で1分以上加熱すれば死滅する。今回の集団感染に関しては、原因食材がなんなのか、どのような調理方法で提供されたのかが問題であったが、「漬け物」とは盲点であった。そもそも漬け物は保存食品だし、納品後に施設内でそれを加熱して利用者に提供するなんてことはありえず、高齢者施設なら、納品されたものは疑い無く安全な食べ物として利用者に提供してしまうだろう。

納品段階で漬け物がO157に汚染されてしまっておれば、これはもうお手上げである。こんなことがあると夏の間は漬物さえ食卓に登らせることができないという考え方も生まれかねない。食品業者の責任ある食品管理が求められるところだ。

我々の施設でも、このことを教訓に、一層の環境衛生と感染予防対策意識の向上を図る必要があるだろう。厨房では、調理食材の管理面だけではなく、まな板や包丁の消毒などにも注意が必要だ。

また様々な菌やウイルスは、人の手を介して伝播するもので、特に爪に付着しやすいと言われており、O157であれば、爪が1ミリ伸びれば10倍になるそうであるから、看護職員や介護職員は爪を伸ばさないという配慮も必要だろう。これらのことは今朝の朝礼であらためて職員に説明し、周知徹底を図った。

全ての人にとって、最大の楽しみといって良い食事が、人の命を奪うような原因にならないように万全の対策が必要だろう。ただしあまりナーバスになりすぎて、食事というものを、単に栄養源と捉えるだけで、美味しく食べられるものを提供するという、「もてなし」の心までなくしてしまわないバランス感覚が必要だろう。

おふたりの高齢者の方々が、納品された食材によって、結果的に命を奪われてしまったことは痛恨の念に耐えないし、深くご冥福をお祈りしたい。

それにしても、わずか4歳の女児が、どういうルートかはわからないが、汚染された食材によって、その幼い命を奪われる結果となってしまったことも残念でならない。ご両親の哀しみは他人が想像することができないほど深いものだろう。胸が痛む。

食中毒対策は、夏の暑い時期はO157などの病原性大腸菌に一番注意が必要だが、冬はノロウイルスが一番の脅威になる。つまり1年を通じて、注意が欠かせないのである。しかし食中毒予防として行うことは何に対しても「手洗いとうがいの励行」と、調理器材の衛生対策など通年変わりはない。その注意事項を日常化することで、手間や費用をかけることなく対策できるであろう。ただし予防意識の低下は即対策漏れにつながる恐れがあるので、施設の管理者は、常に職員とコミュニケーションを取りながら、注意喚起に努める必要がある。

食品販売業者にも徹底した品質管理を求めたい。

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感染症予防の基本

北海道では新型インフルエンザは感染のピークを越えたようである。

高齢者の感染率は必ずしも高くなく、高齢者施設の集団感染も今のところ聞かれない。しかし感染者数がピークを越えて減ってきたと言っても、機密性の高い建物の中で多くの高齢者が暮らす老人ホーム等で感染の危険性は常にあり、一時も油断できない。ましてや新型インフルエンザは第2波が来ないとは限らず、加えてこの時期は季節性のインフルエンザやノロウイルスが流行期にさしかかる。

新型インフルエンザに関して言えば、40歳以上は感染しないなど根拠のない思い込みを持っている人がいたり、これだけ騒がれているのに正しい知識が浸透していないのも問題である。また、これはウイルス感染であり菌ではないのだから、除菌剤では本来予防対策にならないという違いも理解する必要がある。

感染予防対策は1年中注意しているが、特にこの年末年始には、食事を楽しみながらの季節行事がたくさんあるし、外部からの訪問者や面会者の出入りも多いので最大限の注意喚起が必要だ。

僕の施設では2007年の大晦日からノロウイルスの集団感染が発生して、大変な正月を過ごした経験があるので、再びあのような状況を繰り返したくないという思いは強い。

※参照:ノロウイルス感染経過報告

しかしながらウイルス感染は、目に見えないウイルスをどのように防ぐかという問題なので本当に難しい問題である。やはりこのことに関して、特別な対応はなく、日ごろの環境衛生に加えて、ごく当たり前の「手洗いとうがい」が最も効果的で、必要な対応である。

しかしこのことを繰り返し注意しても、どうしても「漏れ」があるのが人間の意識である。だから同じことを毎日繰り返し注意して、習慣化することが大事である。外からの出入りや、トイレを使用した後の手洗いだけではなく、水道の近くを通ったらできるだけ手洗いやうがいをするという習慣をつけたほうが良い。

特にうがいは、回数が多ければ多いほど、感染予防に有効である。逆に言えば、うがいで一旦ウイルスの付着を防いでも、一定時間経てばその効果は無くなるので、繰り返さないと有効な対策にならないという理解も必要である。この場合、よく勘違いされることは「うがいは水だけでは効果が低く、うがい薬が絶対に必要である」という考え方である。これは専門家の方々に言わせれば「間違い」であるらしい。うがい薬を使用すれば予防効果が上がるという医学的データは存在しないそうであり、むしろうがい薬を使用して、うがい頻度が少なくなるのは問題で、水だけでよいから「うがい」の回数を増やす方が有効である。

のどをガラガラ鳴らして、うがいすることは嚥下機能を維持する運動にも有効かもしれない(?)し、口内でブクブクと頬をふるわせる運動は、しわ取り効果があり若返りの顔運動にも取り入れられている動作でもあるので、その効用はともかくとして、行って損することはないし、健康に悪いわけがないので、是非うがいの回数を増やしてほしい。

うがいや手洗いのほかに感染予防に重要なことは、

1.免疫力を低下させないように健康を保つ。特に睡眠不足に注意。
2.脱水は感染の危険因子。1日2000cc以上の飲水に心がける。
3.ビタミンC・ビタミンDを多く摂取する。

などが挙げられている。どちらにしても、日常の基本である「手洗いとうがい」を習慣化させて、できるだけその数を多くする、ということは大切である。

それでも感染は完全に防げないだろうが、正しい知識で日ごろの感染予防対策に努めるとともに、施設等で感染者が発生した場合は、速やかに関係機関に報告して「どうすればよいか」という専門的指示を早急に受けるようにすることが大事である。

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教員の危機管理意識は低過ぎないか?

当地域でも小中学校を中心にして新型インフルエンザによる学級閉鎖が相次いでいる。

この猛威は誰の責任でもないが、学級閉鎖や学年閉鎖のタイミングがどうも遅いように思うのは僕だけだろうか。予防ワクチンが行きわたっていない現在の状況では発症者が一人でも出れば複数の児童生徒が感染していることが想定できるので、その時点で閉鎖すべきだと思うが、複数の発症者が出ないと、そうした取り扱いにはしていないように見える。それでは遅い。

新型のウイルスで、ワクチンの量の確保も不十分なんだから、過去のどの例も参考にならないはずで、早め、早めの対策が求められる。転ばぬ先の杖は、この問題に限ってはつきすぎたってよいのである。

これらの対応は、教員の意識の問題とは別だろうが、しかし教員の危機意識が足りないと思われる節もところどころに感じられる。学校外の活動や、行事だって、この時期のみ、少し自粛すべきだと思うが、そこまで必要ないと考えている教員もいるようである。

ところで我が施設でも、この意識のずれを感じる事例が引き起こった。

市内の中学校から生徒2名の体験学習の依頼があった。事前訪問で説明と施設案内を行って、いよいよ当日になると、1名が発熱による体調不良で欠席となった。これはよい。無理しないことは大事だし、新型インフルエンザが猛威をふるっている現状では、少しの発熱でも無理してはいけない。「平熱でなければ休む」が基本である。このことは施設側の事前説明でしっかりアナウンスしている。体験学習などいつでもできるのであるから・・。

しかしもう一人の生徒が、発熱があったものの、高熱ではないからという理由で休まずに出席してきた。しかし咳も出ているし、熱も36.9℃ある。すぐ体験学習中止させ帰宅を指示した。もちろんただの風邪かもしれないが、病気や程度の問題ではなく、症状があれば、特養や通所サービスの利用者に感染させる危険性があるから、学習であっても来てはいけないのである。

すぐ学校に連絡したが、タクシーですぐ帰せとも言わず、先生が迎えに来るという。生徒は静養室で安静にしてもらっていたが、結局1時間以上過ぎて迎えに来たが、僕の知らない間に連れて帰った。

まったく福祉施設での体験学習に臨むに際して意識が低過ぎる。これは生徒自身の自覚という以前に、体験学習に臨む学校側の事前教育がなっていないという問題だ。もちろん施設側からも、本人に事前訪問で注意はしているが、初めて訪れる施設で説明を聞いても、舞いあがっていたり、注意事項がたくさんある中で、どうしても消化しきれないものがあるのはしかたない。それを防ぐためには、学校が常日頃から一番注意すべきことは何かを伝えておくべきで、それは施設から学校に要請していることでもある。生徒が体調不良なら学校に連絡し迷わず休ますべきで、そういう事前指導を学校側が行っていなければ問題である。

そのため校長を呼びつけて強く抗議した。おそらく僕より年上であろうが、人生の先輩といったって、こういう問題では遠慮できない。人の命を預かる施設として当然の疑問であるが、体調不良の際の対応を生徒指導しているのかと厳しく問うた。「している。」というので、ではなぜ伝わっていないのか、実行されないのかが問題である、と強く指摘した。

迎えに来た教師にしても、施設側に挨拶もなく帰ってしまうという社会常識の欠如が、生徒指導が行き届かない根本原因ではないか。

そもそも手洗いやうがいといった基礎対策の大事さは理解しているようであるが、新型インフルエンザとは何かという基礎知識にも欠けているようで、菌とウイルスの違いもわかっていない。医療関係者でなくとも、子供を守るべき教員なら、その程度の知識は持っておくべきだろう。

こんなに新型インフルエンザの問題が大きく取り上げられているのに、教育の現場で教師にこれほど危機意識が薄いと、小中学校で感染が拡大しているのは、ウイルスの猛威というだけの問題ではないように感じてしまった。

教師の不勉強はしゃれにならない・・・。

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新型インフルエンザ対策は介護を軽視?

当市の小学校でも新型インフルエンザによる学級閉鎖が相次いでいる。

我々の施設や通所サービスもこの影響を受けないということはないだろう。どんなに手洗いやうがいを励行していても、時期が早いか遅いかというだけで、かならず施設入所者や通所介護利用者にも発症者がでるだろうと覚悟が必要な状況である。

その時の一番の問題は感染された方々が重症化せず、早期回復できるかという問題であるが、これは医療や介護の現場で出来る治療や対応は限られたもので、結果は神のみぞ知る、という極めて不確実で不安な状態である。

そのほか施設管理者として恐れるのは、介護サービス提供者が適切に確保できるか、という問題である。利用者から先に発症するのか、職員からか、はたまた外来者からかはわからないが、施設内で一旦新型インフルエンザが発症すれば、それは燎原の火のごとく猛威をふるい、どうしようもない状態となるだろう。その時職員間でも確実にも感染拡大し、通常の介護サービスにも支障が出ることが容易に予想される。これは備えあって憂いなし、ということではない問題で、万全の対策というものが立てようがない。

また通所サービスの中止などの判断も難しい。そもそも通所利用者がサービス利用中に発熱した場合、どう対応するのか、新型インフルエンザと疑って対応すべきかが問題となるが、今現在の状況では、発熱即新型インフルエンザと疑いサービスを中止し、発熱相談センターに通報してもらう以外ないだろう。その際に同じフロアでサービス利用している利用者にどう対応するのかも十分考えておかねばならない。同日利用者に新型インフルエンザの疑いがある利用者が出ただけで、通所サービスを一旦休止する必要があるかもしれない。ショートステイの受け入れも一時的に中断せざるを得ない。

そうなると訪問系サービスの代替利用が必要となる利用者が数多くいるが、訪問サービスの量の確保が難しいだろう。担当ケアマネもプラン変更に大忙しとなるだろうが、その時にケアマネ自身が発熱して支援ができなくなった場合のことも考慮しておかねばならない。

5月に兵庫県内で新型インフルエンザが拡大した際、県や市町の要請で休業した規制地域の高齢者通所施設の利用者のうち、代わりに訪問介護などのサービスを受けたのはわずかに30人に1人だったことが報告されているが、この利用率の低さも代替利用の困難さを示しているものだろう。

それにしてもワクチンの優先接種に関して「介護従事者」が全く考慮、検討されていないのは問題ではないのか?
(※厚生労働省新型インフルエンザ対策本部の「クラスターサーベイランスの流れ」でも介護施設においては実際に集団発生した後、保健所に届け出て濃厚接触者に初めて予防投与の検討がされることになっているし、ヘルパー事業所には触れていない。舛添大臣の示したワクチン優先接種対象者にも介護施設や居宅サービス事業所の職員は含まれていない。)

医療従事者が患者と接する場面以上に、介護サービスで患者と関わる時間は長いし、排せつ物の始末など濃厚な支援が必要になる場面が多い介護サービス従事者の感染可能性は決して低くない。

感染者が通所サービスを休んで、その間訪問介護をお願いしますといわれても、訪問介護員にはワクチンは行き渡りません、介護施設介護職員にも接種できません、ということであれば、それらの介護サービス従事者は、素手で敵に立ち向かわされる状態、あるいは防火具を持たずに火事場に放り出されるようなものである。

介護サービスはここでも低くみられている、ということか。もちろんワクチンの数が足りないことは理解しているが、そうであれば2次感染を防ぐ視点より、この感染の広がりは若い世代の集団からが一番可能性が高いんだから、まず児童生徒全てにワクチンを行渡らせるという視点が最優先策と思うのは素人考えなのだろうか・・・。

どちらにしても戦々恐々の毎日である。せめてできる予防対策として、うがいや手洗いは確実に行おう。

それにしてもマスクの不足はどうにかならないものだろうか。このままでいけば流行期に、インフルエンザ発生施設、事業所でもマスクの入手が不可能になるケースが考えられる。国は各保健所に、ある程度のマスクをストックさせる対策をとり、感染が発生した施設等でマスクの入手が困難な場合に、必要な手当てをできるようにすべきではないだろうか。

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人事ではない感染症の集団発生。

今、日本中でインフルエンザが大流行して、北海道でもタミフル耐性型のインフルエンザの発生が報告され、ここ数年来ないほどの大流行の兆しをみせている。しかも高齢者の死亡者も出ており、施設で集団発生しないか戦々恐々として毎日を送っている。

保健所などの指導機関は、管内湿度を50%以上に保てなどと簡単に言うが、温水暖房で室温を上げている冬の密閉した西洋建築で加湿器をフル回転しても全館湿度が50%を上回るなんていうことは至難の業である。先週あたりから職員に感染者が出て休んでいるが、利用者の感染者は発生していない。外からウイルスが持ち込まれないことを祈りながら、加湿器以外に、濡れタオルや霧吹きで対応するのがせいぜいである。それもたいした効果はないが・・。

加えて道内では先々週あたりから、ノロウイルスによる感染性胃腸炎の集団発生のニュースが流されるようになった。

僕の施設では1昨年末から昨年年頭にかけて同じように感染性胃腸炎の集団感染が発生して大変な思いをしたので、人事ではなく本当に恐いことだなとおびえている。
(当施設の感染状況やその考察についてはブログカテゴリー:感染症を参照いただきたい。)

当施設でノロウイルスによる感染性胃腸炎が集団発生した際には、幸いなことに重篤になるケースはなく、嘔吐や下痢、発熱が数日続いた後、全員が回復された。

しかし今、報道されている道内の特養等での集団感染のニュースによれば、死亡者が出ている。

僕の施設で集団感染が発生した際に、死亡者が出なかったという状況が、死亡者が出た施設と何か決定的な差があり、理由があるのかと言えば、それは多分「ない」が正解であろう。

どこの施設でも、この時期、ノロウイルスは恐ろしいと認識しているし、下痢や嘔吐者が出た場合、集団発生する前から、まずノロウイルスを疑って対応するだろうし、医師もその前提で診療を行うはずである。

しかし同じ感染性胃腸炎の症状とはいっても、年齢や健康状態等様々な要因で、その症状の重篤性は異なってくる。特に高齢者施設の場合、体力が低下している高齢者も生活しており、こういう方が感染し、下痢や嘔吐で脱水症状が短時間で進行しても、それを治療で回復されることが難しい症状となっている場合もある。

だから1昨年、僕の施設で、死亡者が出なかったことは、医師や看護職員や介護職員などの対応も適切であったということだけではなく、たまたまそうした重篤者がでなかった、という面もあり、死亡者が出た施設の状況は人事として考えられないのである。

この時期、毎朝朝礼で、感染予防の注意、うがいや手洗いの励行、体調の悪い人の面会を自粛してもらうことなど、口を酸っぱくして繰り返し話しているが、だからといって、この冬、完全にノロウイルスによる感染性胃腸炎について「この施設内で発生させない自信があるか?」と問われた場合、イエスとは言えない。どこかに漏れがないか、常に注意をしているが、こればかりは運を天に任せるがごとく「祈り」に似た気持ちを常に持っている。

特に外来者等が外部からウイルスを持ち込むことは完全に防ぐことは不可能に思えるし、症状が出ていない職員が勤務中に発症して嘔吐等が原因で感染が広がる恐れは常にあるといえる。

本当にどうしたら良いのだろうか。この地域では、ノロウイルスの集団感染のニュースはまだ聞かないが、地域の医療機関外来では、ぼちぼちノロウイルス感染者が増えてきているようである。

これからが正念場で、春まで安心できない。

明日、28日は札幌に出張予定なのでブログ記事の更新はお休みします。なお当日、老施協中田副会長より「介護報酬改定に伴う今後の動向について」というテーマでお話を聞く予定ですので、おもしろい情報がありましたら近日中にこのブログで紹介します。
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インフルエンザの予防対策。

東京都町田市の医療機関でインフルエンザの集団感染が発生し、入院患者と病院職員合わせて100人以上が感染し、うち70代・80代・100代の女性3名がなくなったことが様々なメディアを通じて報道されている。

この医療機関は、認知症の高齢者を対象にした医療機関らしいが、入院患者と職員の9割以上が予防接種を受けていたとの事であり、それだけで感染を予防することがいかに難しいかの証明でもあり、感染の拡大原因などの検証結果に注目して、けっして人事として考えるのではなく、自分の施設や事業所でも常に発生の可能性があるとして、その対応などについて「他山の石」とせねばならない。

認知症のある方が発症した場合、感染源となる当事者の行動を制限して感染経路を立つことは非常に難しいことだ。完全に健康者と隔離するのであれば、個室に鍵をかけて隔離するしかないのかもしれない。この場合に緊急一時的で、他に代替性のない身体拘束として認められるかという問題も出てこよう。

これは個別の症状等で、医師を中心にして個々に考える以外方法はないだろう。

しかし、それにもまして、今回のケースで僕が非常に問題を感じている部分がある。それは医療機関の対応とか、都の指導とか、個別の問題ではなく、感染予防という問題に対する、社会一般的な認識を含めて、今後、わが施設も含めてどのように考えて、取り組んでいかねばならないかという問題である。

今回のインフルエンザの感染拡大の要因のひとつとして、医療機関内の湿度管理の問題が挙げられている。

新聞報道によれば「インフルエンザウイルスは乾燥すると活動が活発になり、一般的な対策として室内の湿度を50〜60%に保つのが有効。町田保健所は集団感染について病院から報告を受けた7日、病棟内の十分な加湿などの拡大防止策を指示していたが、13日の立ち入り検査では湿度が15%と極端に低かった。」とされている。

湿度15%というのは冬場で暖房器具を使っている条件を考えても極端に低い数値である。この医療機関の湿度管理意識が低かった、と言われても、この部分では仕方ないであろう。

しかし一方で「室内の湿度を50〜60%に保つのが有効」という指導に対しては、それは十分承知しているけれど、実際にその水準に湿度を保つことが可能なのか、と考えたとき、僕はその自信がない。具体的にどうすれば良いのだろう?

加湿器の設置といっても電気店で販売しているような家庭用加湿器を何台設置してもほとんど湿度は上がらないだろう。これは問題外である。湿度管理には最低でも業務用の大型加湿器が必要とされると思う。しかし、それを全室に何台設置して常に湿度が50%以上に保つことができるのだろうか。

特に僕の施設のように、雪国で、鉄筋コンクリートで密閉性が高く、温水暖房をフル稼働している冬場に、湿度を50%に保つことは至難の業である。

僕の施設では増築の際に建築費用に数百万上乗せしてセンサーによる湿度管理システムを導入して、全館の空気循環ダクトから水蒸気を放出して湿度を保つシステムを入れているが、設定湿度を60%にしても、どうしても冬場は場所によって50%を割り込んでしまう。全館を常に50%以上に保つなんて方法が本当にあるのか、保健所の指導担当課は、その具体的方法をも現場に示してほしいと思う。

今回の指導では加湿器を設置しなさい、ということのようであるが、結果的に先週までに加湿器が設置されておらず、濡れタオルで対応していたことが、あたかも医療機関側の「無責任姿勢」であるかのような報道もある。

しかし業務用の加湿器は安いものでも1台3万円は下らないだろうし、その程度のものでは全病室に設置しなければ意味がないだろう。そして全病室に設置するにしても予算措置が必要だろうし、それを急いだとしても、業務用加湿器の在庫数がそんなにあって、早急に何十台も手に入るのだろうか?ましてや効果が極めて限定的と思えるこの方法で問題解決するのか?根本的に管内湿度を大幅にアップする方法は、もっと費用がかかる問題かもしれず、早急に対応せよといったって、応急対応しかできないのではないか?

少なくとも、僕の経験では家庭用の加湿器より、濡れタオルの方が居室内の湿度を上げるのには効果があると感じている。この場合、濡れタオルを各居室に複数枚用意して、乾く前に頻回に濡らすという対応は決して「不適切」とは言い切れないと思う。

加湿器で本当に湿度が目標レベルに保つことが可能なのか、その加湿器とは具体的のどのようなレベルのものであるのか、指導担当課は現実の医療機関や施設の箱物を想定して考えて指導してほしい。

とはいっても現実的に湿度管理はインフルエンザの予防には有効なんだから、施設の管理者はじめ職員は、このことに常に気を使う努力は忘れてはならないというのが今回の問題から得られる最大の教訓だろう。

22度の温度でいえば湿度が50%を超えるとインフルエンザウイルスの生存率が4%しかない(50%以下の場合、これが67%だから大きな違いである)という数字が湿度管理の重要性を示している。

今年、国内で流行しているインフルエンザのうち、Aソ連型ウイルスが、97%(35検体中34検体)という極めて高い確率で、インフルエンザ治療薬「タミフル」が効かない、あるいは効きにくい「耐性ウイルス」であることが16日、国立感染症研究所から発表されている。

こうした感染症はいつ自分の施設や事業所の問題となるかわからない。できる限りの予防対策を講じてもなお、完全に予防することは不可能なのかもしれない。

何より考えられる予防対策をでき得る限り行うことと、施設においては利用者の日頃の栄養状態の管理、健康状態の管理、できるだけ日中活動して、夜ぐっすり眠ることができる規則正しい生活習慣作り、というのが土台として大事であることも忘れてはならないであろう。

とりあえず、当施設では湿度計の数を増やして、チェック体制を強化することとした。

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ノロウイルス感染を振り返る・想定外のこと

今朝(2/1)の北海道新聞・社会面では道内の特養利用者の一人がノロウイルスが原因である感染性胃腸炎による急性心不全で亡くなったニュースが大きく報じられている。亡くなった方のご冥福をお祈りする。当該施設は僕の友人の勤務する施設ということもあり今後の状況を心配している。

幸い当施設の場合、感染性胃腸炎の発症者が出て感染が拡大した際にも重症化して命の危機に陥るような症状が出た方はいなかったが、様々な生活障害に結びつく状況が生まれた。今日はそのことを振り返って考えてみたい。

ノロウイルスの感染性胃腸炎の拡大防止対応の中で特に大変だったのが居室調整である。

個室の方は、そこで対応すれば済むことであり問題とはならないが、多床室の中で一人の方が発症した場合、一応その方を個室対応するなり症状が出ていない人と居室を別にしなければならない。

そのことも大変なのだが、問題はこのことにより様々な想定外の影響が現われたことであった。

最終的には延べ50人近い利用者が症状を発症したので、症状が出た人のみの居室調整では追いつかなくなり、症状がある人を集めた居室と症状が出ていない人を集めた居室を新たに作るという状況になって、一時的に施設内での大移動を余儀なくされた。

そのため住み慣れた環境で落ち着いた生活を送っていた認知症の方々に混乱が生じた。

居室移動に伴うちょっとしたベッド位置の違い、手すりの位置の違い、認知症のない方なら問題にならないような環境変化により、精神的に不安定になったり、ベッドからの立ち上がりの際に掴むものの位置が違うことによりバランスが崩れて転倒したり、普段なら起こりえない問題が多発した。

認知症のある方々の居室変更はもともとリスクが伴うものだし、混乱要素になることはわかっていても、感染症で体調悪化者が多い現実と、認知症で環境が変わった方の見守り対応を同時に細やかに行うことは実際には不可能であった。

ここは今後の大きな課題である。

特に認知症の方の混乱原因は、居室変更だけではなく、普段とは違う職員の動き、周囲の人々のあわただしい雰囲気、感染症対応による日課の大幅な変更と心身活性化メニューの中断など様々な要素が絡まって、問題も多様化する。是非このことは他の方々も感染症発生時に起こる問題として認識しておいた方がよい。

そして居室調整はできるだけ小規模に、認知症の方の環境はなるべく変えないような(できればの話で実際には難しいが)対応を念頭に置いたほうが良いだろう。

普段、介護施設の中の生活では、できるだけ日中はベッドから離れて、居室に引きこもらずに生活するという視点も重視されている。

もちろんそれぞれの希望や生活主習慣を守った上での話ではあるが、ごく自然に人と交わり、日中はなるべく活動的に体と心を動かせる生活作りが大事にされるのであるが、こと感染症の場合は、体調悪化時に安静にするだけではなく、感染源となり得る状態が継続している人の場合は、できるだけ活動範囲を縮小して生活してもらわねばならない状況が生ずる。

ノロウイルスの場合は元気になっても腸内にウイルスが残っている期間が長いので、症状がなくなっても手洗いやうがいに充分注意してもらう必要があるが、同時にグループワークや、他者交流機会にも注意が必要で慎重にならざるを得ない。

だからこの時期一番心配なのは、体調が回復しても機能低下がないか、精神的な機能低下は見られないかということである。特に心身活性化サービスメニューは一時中断しているので、これを楽しみにしていた方々は日がな1日何もすることがなくて、テレビでも見ているしかなく退屈だという状況になってしまう。

これは一時的現象とはいえサービスの低下といって間違いのない状況で、1日でも早く、適切なタイミングで「日常」を取り戻す見極めが必要だと思った。

それともう一つ想定外の問題はポータブルトイレの数が足りなくなったことである。症状発生者は体調悪化で臥床状態が数日続き、この間、排泄の為トイレに通うのが間に合わなくなる人が多く、ベッドサイドにポータブルトイレを置いて使用する人の数が増えた。

ポータブル利用という状況自体は、腸内にウイルスがある人と一定期間便器を共有しない、という意味では悪いことではないが、普段、ポータブルトイレを終日使う人などほとんどいなくて、日中はトイレ誘導による排泄者が多いし、夜間も一定人数の人が使うだけでさほど変動があるわけではないから、予備のポータブルトイレなど、それほど多く用意していない。

絶対数が足りなくなって非常に困った。今回は関連の施設から借りて急場をしのいだが、こうした状況も生ずるのが感染拡大の過程での問題であった。

備えあって憂いなしというが、想定外の備えがない状況は必ず起こる、と考えておいたほうが良いだろう。

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ノロウイルス感染経過報告3・拡大要因について

今日でノロウイルスによる有症者が0になった。

軟便や下痢症状のある3名ほどは一応検査したがノロウイルスはマイナスで別の原因である。ホールに集まる人の数も増えており、もうすぐ日常が回復する。

今回の感染性胃腸炎は、感染拡大防止対策がうまく機能しなかった結果、感染者が拡大したといわざるを得ないが、対応自体は初発の12/30の嘔吐者から完全隔離対応を行っていた。

ただこれだけ感染が拡大した背景には、症状が出る前の保菌の段階の利用者が他者と接触した際に感染が広がったと思われ、特に2日、3日、4日に症状発生者が数多く出ているということは12/31〜1/2の感染拡大対応に問題があったということになる。

この間、年末年始で食事などのほかに、ホールで集まって紅白歌合戦やその録画を観賞する等の活動もあったので、ここで集団的な活動を一切中止するなどの対応を行っておればこれほどの感染は防げたかもしれない。(ただこの時点では、ノロウイルスと確定できていなかった:年末年始で検査機関自体が休みだった為。)

また1/6に一旦症状発生者が0になったのに、7日から再度症状が出る人が増えたことを考えると、1/4の検査でノロウイルスが検出され、感染性胃腸炎であることが確定した日は、全職員にそのことが伝えられ対応を充分行った結果、その日の対応はうまく行って感染拡大がなかったものの、1/5以降に4日の対応より漏れがあったのではないかと考えられる。

その要因の一つが人手不足である。

土日で事務職員が休みということで多職種のヘルプが十分でなかった状況に加えて、介護職員の2日から3日の発症者が多かったことから、勤務職員自体が減ってしまっているのに、ノロウイルスでの隔離対応者がいることで業務事態の量は通常より圧倒的に増えているため、業務に追われる状況で、手洗い等の方法に問題が生じた(不十分な状況が生じた)可能性がある。

何より、人が少ないため、この時点で症状発生者と健康な状態の人に対する介護者を完全に区分する、という対応が不可能であったし、介護職員を介してのウイルス感染が広まってしまったのではないかという疑いが強い。

なにしろ夜勤で出勤した職員が、家を出るときまでは何の症状もなかったのに施設に到着後、嘔吐や下痢症状が急に出た場合、早急に帰って療養してもらうしかないが、急に夜勤の代替職員を探すのは大変なことであり、必要人数を確保するのさえ大変な状況で職員は本当に大変な状況で頑張ってくれたと思う。夜間の忙しい対応の中で急なコール対応などの際に完全な区分対応が難しかったのはある意味では仕方がない状況もあった。

ノロウイルス感染の場合は、感染者が増えて対応業務が普段より大幅に増えるのに、肝心の対応できる職員が発病して勤務に就けなくなり、業務量に反比例して人手が少なくなる、という減少が必然的な現象となるので非常に厄介だ。

そしてもう一つは吐物の空気感染である。

嘔吐物の処理は常日頃からすばやく乾燥する前に処理して消毒を行うことを徹底していたつもりだが、ホールや廊下で突然、元気な人が嘔吐した際に、その周囲にいた人が感染した、という状況を否定できない。

嘔吐物の処理は乾燥して空気中に拡散する前に完全に処理することが必要だし、汚染区域を中心に3m四方程度は充分に消毒しなければウイルスを殺菌できない。目に見えるものではないので厄介であるが、感染者がいる・いないに係らず、日頃から嘔吐物処理の用品(嘔吐があった際にまずそこを覆う新聞紙や、嘔吐物を処理する際に使うディスポグローブ、ガウン、マスク、ビニール袋など)を一まとめにセットしておき、手の届くところに置いておくことも必要だろう。

特に忘れがちになるのはガウンで、衣服に付着したノロウイルスから感染が広がる可能性があるので、嘔吐物を処理する職員は使い捨てグローブだけではなく、ガウンを着用すべきだと思う。これもできれば使い捨てのものを用意しておくに越したことはなく、当施設では今回の問題以降、吐物処理セットの中に使い捨てガウンを入れるようにした。

しかし消毒剤としての次亜塩素酸ナトリウム(ポロナックやハイターなどの薄め液)は作り置きしておくと効果も薄まるし、何より誤って飲んでしまうなどの危険があるため食堂などには置いておけないことにも注意は必要だろう。

どちらにしても一旦感染が施設内に広がると、感染拡大と職員の発病による欠勤は同時に生ずるので、人手の不足による業務困難がセットで進行するという深刻な問題が生ずる。

やはり感染は水際で予防するのが一番大事で、ここに細心の注意を払わねば大変なことになる。

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ノロウイルス感染経過報告2・感染拡大状況

今日現在で利用者の新たな症状発生者が6日間連続で出ていない。感染症は終息に向っていると思えるが油断はできない。これまでの経過をたどってみる。

年末から症状が出たノロウイルスによる感染性胃腸炎については、6日の日に一旦新たな症状発症者が出なくなって終息に向うのかと期待したが、7日に5人症状発生者がでて、その後利用者は11日まで症状発生者が続いた。

感染拡大状況は以下の通りである。

12/28:感染源と思われる職員勤務。(12/26日より下痢症状。)
12/30:症状発症者・最初の発症(利用者2名・職員1名)症状回復者(0名)有症者(利用者2名・職員2名)
12/31:症状発症者(利用者2名・職員1名)症状回復者(0名)有症者(利用者4名・職員3名)
1/1:症状発症者(利用者1名・職員1名)症状回復者(職員1名)有症者(利用者5名・職員3名)
1/2:症状発症者(利用者5名・職員5名)症状回復者(0名)有症者(利用者10名・職員8名)
1/3:症状発症者(利用者6名・職員3名)症状回復者(職員1名)有症者(利用者16名・職員10名)
1/4:症状発症者(利用者10名)症状回復者(職員2名)有症者(利用者26名・職員8名)
1/5:症状発症者(利用者2名・職員2名)症状回復者(利用者4名・職員3名)有症者(利用者22名・職員7名)
1/6:症状発症者(利用者0名・職員2名)症状回復者(利用者8名)有症者(利用者14名・職員9名)
1/7:症状発症者(利用者6名)症状回復者(職員3名)有症者(利用者20名・職員6名)
1/8:症状発症者(利用者3名)症状回復者(利用者1名・職員2名)有症者(利用者22名・職員4名)
1/9:症状発症者(利用者2名・職員2名)症状回復者(利用者8名・職員1名)有症者(利用者14名・職員5名)
1/10:症状発症者(利用者4名)症状回復者(利用者6名・職員4名)有症者(利用者14名・職員1名)
1/11:症状発症者(利用者3名)症状回復者(職員1名)有症者(利用者17名・職員0名)
1/12:症状発症者(なし)症状回復者(なし)有症者(利用者17名・職員0名)
1/13:症状発症者(なし)症状回復者(なし)有症者(利用者17名・職員0名)
1/14:症状発症者(職員1名)症状回復者(なし)有症者(利用者17名・職員1名)
1/15:症状発症者(なし)症状回復者(利用者11名)有症者(利用者6名・職員1名)
1/16:症状発症者(なし)症状回復者(利用者2名)有症者(利用者4名・職員1名)
1/17:症状発症者(なし)症状回復者(なし)有症者(利用者4名・職員1名)

有症者についても3日以上連続して症状が治まらないと回復としていないので計5名となっているが、実際には利用者2名と職員1名は明日にも回復と判断できそうである。

他に軟便の人が3名ほどいたが検査の結果は全てノロウイルスマイナスで他の原因であることがわかっている。

また、嘔吐があった職員が出て、即受診して家に帰るように指示し、その後受診の結果、ノロウイルスではない別の症状とわかった職員もいたり、風邪と診断された人もいて、両者混在して複雑な状況を呈した。

利用者もほとんどの方が回復し、症状のある人も重症化していないが、それだけに認知症のある人などが下痢症状があるのに行動を止められないという難しい問題がある。

また症状が回復してからも2週間程度(最大1月程度)は腸内に菌が存在する可能性が高いということで感染者としての対応は継続しているので利用者延べ46名が継続対応という状況は続いているので大変である。

現在考えられる対応として次の通り実行している。

1.排泄介助等には必ずディスポグローブを用いる。(これはいつも行っていることだが。)
2.ともかくうがいと手洗いは頻繁に確実に行う。
3.トイレは消毒を確実に。トイレのカーテンも消毒を忘れずに。
4.居室にトイレのある部屋のトイレの消毒も忘れない。
5.施設内の換気を行う。特にトイレについては出来るだけ換気を行って新鮮な空気を入れる。
6.家族に症状がある人は自分が元気でも注意する。家庭内でも症状がある人のいる場合は家のトイレ等の消毒をしっかり行う。
7. 症状の出ている人(症状がなくなっても症状があった人は症状が消えて2週間は菌があるので症状がある人と同じ扱い)と健康な人の介助に携わる人を区分して行う。
8. 施設内の次亜塩素酸ナトリウムによる消毒を徹底する。
9. 嘔吐者が出た場合は、出来るだけ速やかに(スピードが大事)嘔吐物を覆って飛まつ、拡散を防ぎ、嘔吐者の衣類も含めて密封して消毒。嘔吐物があった3m四方を消毒する。

以上のように対応しているが、対応を行えば即そこで感染拡大が止まったという状況にはなかなか至らず、対策から感染拡大が収まるまでかなりの時間を要した。

やはり密閉された空間の中では、いかに感染拡大予防対策をとったとしても、完全なものはなく、一旦ウイルス感染が発生すると、広がりはなかなか止めることはできず、何よりウイルス感染そのものを防ぐ為、外から感染源を持ち込まないことが一番重要であるということが再認識された。

明日は感染拡大防止対策がうまく機能しなかった原因を分析して書こうと思っている。

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ノロウイルス感染経過報告1・感染源

昨年末12/30日に利用者2名と介護職員1名が嘔吐、その後施設内に拡大したノロウイルスが原因である感染性胃腸炎については利用者の新たな症状発生者が11日を最後に5日間出ていない。

ただ一人の職員が14日嘔吐して15日ノロウイルスが検出されている。当該職員は有症者で認知症のある方の見守りの為マンツゥーマンで係っていた為、その際に感染した疑いが強い。手洗いやうがい、消毒を徹底していても有症者に濃厚に係っている場合、空気感染を防ぐ術はなく、考えられる対応としては、そのような対応を行う職員は一度感染して回復した人が(抗体ができているので)係ることしか方法はないように思う。ただ夜勤帯等、限られた人数で対応せざるを得ない状況で、それを完全に区分して行うのは現実的には困難であった。

その職員も含め有症者は今日現在、職員1名・利用者4名である。

感染の発生原因はほぼ特定された。

当初の調査(1月4日時点:保健所と共同調査)では30日に利用者2名が発症して、その後職員2名に症状が出て1/2から発症者が増えていったことしかわからず、初発の2名の利用者には感染が疑われる日(28日から30日まで)に面会はなく、30日に利用者が発症する前にどこからウイルスが持ち込まれたのかが謎であった。

施設内の食事を食べていない職員も発症、かつ初発人数が少なく、多くの摂食者が発症していなく調理員の発症者も現在まで皆無のため食事が原因ではないことははっきりしているから、どこか外からノロウイルスが持ち込まれたのは間違いなく、その状況を明らかにすることが今後の対策にとって不可欠と考え調査していた。

そんな中、12月末に退職した職員から「12/26の夜勤明けの後に下痢症状があったが1昨年も同じ症状で急性胃腸炎と診断され問題がなかったので12/28が最後の勤務日であった為、下痢が完全に治っていなかったが体調は良好であったため勤務した」という連絡があった。

利用者の最初の発症者が12/30に出ていることを考えると潜伏期間から12/28に感染した疑いが強く、当該職員が施設外のいずれかの場所で感染して発症、それが12/28に利用者に感染したのが初発であると疑われる。

しかも12/30に発症している利用者は1階と2階というフロアを異にする2名の方であるが、たまたま28日の夕食時に「年取りの宴」という忘年会を行って、両者ともホールで夕食を摂っており、当該職員もホール担当であったことを考えると感染経路にも説明がついてしまう。12/30の夜に発症した職員もそのときのホール担当職員である。

よってほぼ感染源は当該職員が外からウイルスを持ち込んだことと確定された。

そしてここからレクリエーションやリハビリなどの活動を通じて、複数の利用者にウイルスが広がっていったのではないかと想像される。

本来12/26の体調悪化時点で下痢症状があることを申し出てもらわねばならないが、それが出来ていなかったことで12/28の勤務時も下痢症状があることを施設として把握しておらず、そのまま勤務に就かせてしまったことが大きな問題である。

施設全体として、それまで周辺の施設に感染症が発生していても、当施設ではそのようなことがなかったという油断があったように思われ反省せざるをえない。

今後の対応は、体調不良者の報告を徹底すると共に、冬場は特に下痢や嘔吐の症状が少しでもある場合は、勤務を休むということを徹底せねばならないであろう。(この部分の認識や理解の徹底に甘さがあった反省している。)

利用者をはじめ、関係の皆様には本当に申し分けなく思う。現在も感染拡大が起きないように、消毒などの衛生対策を継続している。回復者も2週間は腸内に菌がある場合があるという前提で保菌者として対応を続けており、ショートの受け入れも中断しているので、しばらくご協力をお願いしたい。

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食生活を無視した感染予防対策は続いているのか?

今年もノロウイルスが心配な季節になった。全国各地で集団感染が報告されている。

施設での毎朝の朝礼でも、必ずこの話題を出して注意を促す日々が続いている。しかし具体的には手洗いとうがいの励行のほか環境衛生に努める地道な対策以外にない。

またノロウイルスが集団発生したという施設等の状況を分析して、その原因から対策を具体的に考えることも必要だ。食品からではなく人から人への感染拡大の場合、何が原因で、どのように感染経路を絶つべきであったのかという考察結果は必ず考えられる部分として話すことにしている。

オムツや汚物、嘔吐物の処理方法は何度もしつこいくらいの確認が必要である。

そして施設への外来者にも協力を求め、体調の悪い方には面会を遠慮していただく必要があるし、面会時の手洗いは必須である。

またインフルエンザもいつもより早く流行しているので、マスク着用も励行している。この地域(室蘭保健所管内)ではまだ流行の兆しはないが、必要に応じて外来者にも面会時のマスク着用をお願いする(結果的には面会条件とすることもあり)場合も今後想定される。

昨年はマスク着用してくださいとお願いしたら「そんなもの必要ない」と怒って暴れた家族の方が居られたが、時と場合によっては利用者を守る見地からも、毅然として対応を求めざるを得ないこともあるだろうと思っている。

しかしながら集団感染が発生した過去の施設の事例をみると、どこかに問題があったのは事実であるが、それは後から検証してやっと気付くほどのものであることが多く、過失とも言いがたい原因であることが多い。自分達は懸命に予防対策に取り組んであるのだが、人が行う行為に完全はあり得ないという問題が、この感染拡大の一番の原因であるようにも思える。

だからといって完全な対策とは何ぞや、ということになると、これも難しいのだ。なぜなら対策を講ずべき対象は人の生活そのものであり、対策=何らかの制限、という問題にすり替わってしまう可能性が高いからである。それはどこまで可能なのか、必要なのか・・。

この感染予防対策をあまりに施設側の都合だけでみてしまうと、おかしな状況が生まれる。昨年、ノロウイルスが流行した際にその対策研修会で、ある施設の管理栄養士が「寿司や刺身など生ものを食卓に出さないよう、過熱処理した食材を提供するように」と実質献立から生ものを排除することを励行する発言をしている。

このことに関して僕は「ノロウイルス対策への疑問〜今年だけではないという視点」な中で批判的に書いている。この考えは今も変わらない。

その管理栄養士は、今年も年末年始が近づくこの時期、施設内で餅つきをして調理するのもまかりならん、刺身もお寿司も生ものは一切食事に出さない、と言うのだろうか。日本人の食習慣というものを「感染予防」の名の下に無視して献立を考えているのだろうか。

そして自分自身はどうなんだろう。忘年会や正月に自分自身も刺身や寿司を一切口にしないとでも言うのだろうか。

紹介した昨年のブログや表の掲示板に昨年のその時期に書いた僕自身の言葉を繰り返しここでも掲載しておこうと思う。

ノロウイルスは今年だけの問題ではないですよ。そういう施設では、今後一生刺身や寿司や生野菜は冬に出せないと言うことです。日本人の慣習である伝統的な「おせち料理」も出さないと言うことでしょう。そうであればそれらの管理に当たる施設の管理職や栄養士は、この職業についている間は、絶対に刺身や寿司やおせち料理を食べてはいけません。利用者にだけ我慢させ、自分たちが我慢できないことを強いるのは虐待と紙一重です。」

感染予防とは利用者の暮らしを守るというケアサービスの一連の過程の中にあるもので、過度な感染予防対策が全てに優先されるという考え方が、利用者の権利や暮らしを蝕むことを忘れてはならない。

それは単に施設の看板を守ろうとするだけのエゴイズムにしか感じられない。

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インフルエンザの流行に参っている。

はじめに今日の話題とは別に書いておくことがある。1昨日のブログに書いた論文添付書式の件であるが、出版社から連絡が来て確認したところ、同論文の執筆者は、その書式を僕のサイトではなく、上部団体の会員ホームページからダウンロードして2次使用したものであるということだ。

早速、確認したが、なるほど、ほとんど同じ内容だ。偶然ということはありえないので、僕が作成の際に参考にしたか(そういう記憶も事実も実際にはない)、何か別の理由か・・。ただいえることは、そのサイトに資料が掲載される以前に、僕は当サイトに「看取り介護指針」とその書式をはじめとした一連の資料を掲載しており、それは掲示板でもブログでも記録として残っているし、なにより当時からの読者の皆様がそのことはご存知である。まあそれ以上突っ込むつもりはない。

悪気はないということで1昨日のブログは一部伏字にしたが、同論文の執筆者の問題は、添付資料の出処を明らかにせず、自施設の資料として掲載している点であろう。

僕のサイトから直接でなくとも、他のサイトからダウンロードして2次使用している書式であれば、そのことを明記しなければなるまい。この点で不適切である点は免れないと思う。

さて今日の本題に移る。

今年の冬はノロウイルス対策に始まって、今まで何とか感染予防ができていたところであったが、ここに来てインフルエンザが猛威を振るってきた。

もちろんほとんどの利用者が予防ワクチンを打っている(100名中95名接種済み;5名は不適応で接種できず)。また管内の感染状況は注意深くアンテナを張って、逐次情報を仕入れて注意してきたのであるが、3月はじめに1名の感染者がでて、そこから緩やかに一人、二人と感染者が出ていたところ、昨日はあらたに5名の方が熱発して、検査の結果、4名がインフルエンザと判明。今現在7名の方が感染しているということになった。しかも今日も熱発者が新たに出ている。その数は益々増えそうである。

職員も数人感染して休んでいるし、職員の家族に感染者が出ている人もいる。

この調子でいくと倍々ゲームのように感染者が増えかねず、職員で体調の悪い人は無理しないで休んでいただくことと、感染者はできる限り個室対応している。しかし数が増えればその対応にも限りがある。

おそらく感染源は外来者の方であろうと思えるが、特定は不可能だし、自身気付いていない場合がほとんどで、悪気があるわけではない。できるだけ体調の不調がある際には面会を自粛していただくしか方法はない。

昨週から、面会者の方にはマスク着用を義務付けさせていただいている。もちろん自分でマスクを持参して面会に来る人はほとんどいないので、使い捨てマスクを施設で購入し、面会者に玄関で配って協力を求めているところである。

効果は?という意見もあるが、何らかの対応は必要だろうと、この処置に踏み切っている。

いま発症している方は、すべてA型インフルエンザで、そういう意味では予防ワクチンは空振りというわけではないのだが、ワクチンを打ったからといって完全に予防できるわけではない。ただワクチン接種済みの方は、感染して症状がでても、未接種の場合より軽い症状で済む、とも言われているので、それに期待するしかない。

最初の感染者の方は、症状は軽快に向かっている。しかしかなり高熱を発している人もいて、脱水等には充分注意が必要な状態である。

特養のような施設の場合、気密性が高いがゆえに、感染が施設内に広がりやすい、というデメリットもあり、逐次、換気が必要だが、この寒い時期に少しでも、どこかの窓を開けて外気を入れていると利用者からすぐ苦情が出る。

飛まつ感染が主となるし、感染が広がることを完全に防ぐことは不可能だ。できることは職員自信の体調管理(これとてウイルスには限度がある)、環境衛生、外来者の方々への予防対策協力、感染者の導線をできるだけ狭くして経路を絶つことくらいだろう。

それにしてもこの感染の拡大は、インフルエンザワクチン接種が公費負担されるようになった際の、きっかけになった流行時の状況に似てきている。心配である。

ショート利用の方々も、利用中に感染を防ぐ完全な対応は無理であり、現在利用している方や、これから利用予定の方々には、担当ケアマネを通じて、あるいは直接的に利用者や家族に、現在のインフルエンザ流行の状況をお知らせしている。その上での利用可否判断をしていただく以外ない。

できる限りの対応と対策を行なってはいる。残されていると考えられる対策としては、信心が薄い僕でも神頼みくらいしか思い浮かばない。

介護・福祉情報掲示板(表板)

ノロウイルスの話題再度〜ふと芽生える僕自身のおかしな感覚。

この冬、今までも何度かノロウイルスの話題を取り上げてきた。

また今後、何度もこの話題を取り上げることになるのかもしれないが、僕がブログでこの話題を取り上げる意味は、ノロウイルスの感染を広げないという視点の大事さはもちろんあるにしても、ノロウイルスの感染拡大を防ぐことを理由にして、利用者の人権や人格が無視されたり、おざなりにされたりする傾向がないのか、という警鐘の意味が大きい。

ところが・・・である。常にそのことに注意をしているはずの僕自身の気持ちの片隅にも、時々おかしな感情が芽生えてしまうことがあって「これではいけない」 と反省する場面がつい最近もあった。

僕の住む地域でも医療機関や介護保険施設等でノロウイルスの集団感染が広がっており連日のように報道されている。幸いのところ僕の施設では感染者はまだ出ていない。しかし完全に防ぐ手段は「ない」といってよく、いつ感染者が出るかわからないという心配が常にある。

できることを100%行なって予防に努めるだけである。家族へも2次感染予防のため体調の悪い方の面会の自粛と、面会時の手洗いの励行を家族通信はじめ、あらゆる手段でアナウンスしている。

ところで、ある朝、前日夜から嘔吐がみられる人の報告があって、朝も苦しそうに吐いていた。まずご本人の体調が大事だから、すぐ嘱託医師に連絡して診察をしていただくと同時に、この嘔吐がノロウイルスによる場合は、感染拡大を防がねばならないと考え、日頃から決められている感染拡大対応を行って嘔吐物や衣類の処理と環境の消毒をした。僕が言わなくても職員は適切に処理手順を踏んでくれており、ここまでは特に問題ない。

しかし嘔吐がかなり激しいので、精査も必要で医療機関受診ということになり結果的に入院した。そしてその後、嘔吐の原因が別の疾患からであることが判明した。

そのとき、僕は心の中で単純に「ノロウイルスではなくて良かった」と思ってしまった。

しかし実際には、利用者本人にとってはノロウイルスではなくとも、それ以上に深刻な病状である。そのことに最初に思いが及ばなかった自分自身の「感覚」はどこかで麻痺していると思った。

こうした感覚を自分自身の中に放置してしまえば、様々な場面で人を人として見ない感覚が広がってしまうんではないかと恐れている。反省しなければならない。

この冬のノロウイルスの流行は、食品から直接感染する一次感染より、人から人に広がる2次感染が多いといわれ、この管内でも数百人にのぼる感染者のうち、食品から直接感染した事例として確認されたのは、わずか2例である。その他はルート不明が多いが、2次感染と考えられている。だから施設の食事サービスをいくら注意しても、職員の家庭での感染があれば無意味であるということになり、先日のブログ「ノロウイルス対策への疑問〜今年だけではないという視点。」で書いたとおり、僕の施設では衛生面に充分注意しながら、年末や年始にふさわしい、食材は出そうと思っているし、他の施設でそれに制限を加えようとしていることに対しては、その施設の判断でものを言う立場にないが、少なくとも食材の制限を行なう施設は、利用者にだけでなく、職員も家庭での注意義務として同じように施設で出さない食材を口にしないという覚悟をしなければ嘘であると思う。

施設利用者だけに口にするものを制限する施設長や栄養士を僕は決して見識ある専門家とは認められない。

昨日の全体会議で示した注意事項を下記に記す。

(ノロウイルスの対応について)
管内の医療機関、老人福祉施設、老人保健施設で多数の感染者が出ていますが、現在のところ室蘭保健所管内で、食品による一次感染と確定された方は2名のみです。その他の方は医療機関や施設の職員・外来者からの2次感染と考えられています。
当施設ではまだ感染者は出ていませんが、取り組みとして次のように対応してください。

1.職員は自らの健康管理に最大限の注意を行なう。家庭での食事にも注意する。その上で、業務につく際、最中、退勤時など、手洗いとうがいを励行する。

2.施設内の手すりや、ドアノブなどは次亜塩素酸ナトリウムで消毒を徹底する。

3.外来者は面会前、正面玄関を入ったら即、食堂(ホール)の洗面所に誘導して手洗い(流水20秒以上を徹底)を必ず行なうようお願いしてください。特に、年末・年始の日直職員は事務所から外来者に必ず声をかけて手を洗うようにお願いしてください。手洗いの場所がわからない人も多いので、誘導をお願いします。その他の職員も外来者への手洗いをうながしてください。
洗面所のハンドソープやペーパータオルを切らさないように注意して下さい。

4.利用者にも手洗いを励行してもらいましょう。特に排泄後は要介護者の手も十分に洗浄してください。

5.嘔吐者や下痢がある方は基本的にノロウイルスを疑って対応しましょう。嘔吐物や便に直接触れず、即、密閉状態にするように注意し、その後、次亜塩素酸ナトリウムで完全に消毒しましょう。衣類などは塩素系消毒液を用いて消毒しましょう。

6.症状のでた方(嘔吐、下痢等)は、速やかに看護師に報告し対応検査します。この際は感染している可能性があることを前提に他の利用者と導線を分けてウイルスが広がらないようにします。原則、食堂等への移動禁止で食事も部屋で介助します。できるだけ個室対応しましょう。多床室の方は、現場判断で空き部屋の個室に移動して構いません。これらのことは利用者に懇切丁寧に説明して十分理解していただき協力をお願いし実行します。

介護・福祉情報掲示板(表板)

ノロウイルス対策への疑問〜今年だけではないという視点。

昨日のイブにクリスマスパーティーを行なった家庭も多いだろうが、僕の施設では今日、パーティーや演芸会などのクリスマスの催しが行なわれる。昼にはオードブルを囲んでの食事が行なわれた。

日本人にとってクリスマスはもう宗教上のイベントではなく、暦の上で季節を感じる風物・慣習としての意味のほうが強い。難しい意味より、年末は餅つきを行なって正月に備えるとともに、クリスマスにご馳走を食べ、大掃除をして、大晦日にむけて年の瀬の雰囲気を味わって、来るべき新年を迎える気持ちを盛り上げる、という一連の慣習として考えたほうが良いと思う。

そうした一連の催しには毎年食べてきた馴染みの料理が主役になる。北海道のこの地方でも、年代によって様々だろうが、やはりクリスマスには鶏肉料理やケーキは共通して欠かせない料理だし、年末の年越しそばや、正月のおせち料理や雑煮といった料理もその時期に食べることが、何とはなしに安心感や季節感を肌で感じることができるという意味でも大事なことである。

年末や正月には、お寿司やお刺身も欠かせない料理の一つと思う。年末や正月3が日に寿司や刺身をまったく口にしない日本人は何割くらいだろうか?

ところが今年の年末から来年の正月にかけて、高齢者の施設では食卓に寿司や刺身がまったくのらない所が多くなるのではないかと危惧している。ノロウイルスに対しての対策上の問題である。

実は昨週、この地域の保健所主催のノロウイルス対応緊急研修会が行われ、僕の施設でも栄養士と主任ケアワーカーを派遣した。研修内容は復命を受けたが、予防対策についての確認と言う意味で、今、対策している内容が間違っていないことは確認できた。

しかしその中で、僕の施設の栄養士がある施設の管理栄養士と話をした際に、施設の食事提供について、ノロウイルス対策として寿司や刺身など生ものを食卓に出さないよう、過熱処理した食材を提供するように忠告されたと言う報告を受け、年末年始の献立について栄養士に相談された。

食事から中毒発生やウイルス感染を出さないように衛生管理を充分に行い、食材によって加熱処理を十分に行なうことは必要だし、理解できる。しかし、この時期に、おせち料理をはじめ、寿司や刺身まで食卓から排除することが本当に必要な対策なのだろうか。

業者にも充分注意をお願いし、食材に注意して、厨房の衛生環境を整え、必要な手洗いやうがいと言った日頃の対策をとっておれば充分に食材からの感染を防げるのではないか。もちろん「100%防げますか?」と問われれば、それは「できない」と言わざるを得ないが、それは食事に限らず、全ての生活に感染リスクはあるわけで、完全などあり得ないことは他の面でも同じだろう。

特にこの冬のノロウイルスの流行は食材からの感染ではなく、人や物を介しての2次感染が主である。しかももっと考えなければならない視点は、この流行のピークは毎年1月〜2月にかけてであり、それも毎冬流行する傾向にある。

つまり、食事サービスに過剰対応する対策は、この冬に限らない、毎年の対策となるという意味である。そうなると今後、ノロウイルス対策として、施設では年末や正月には一切、生ものは出せないと言うことになる。こうした高齢者施設に入った入居者は、冬に寿司や刺身をはじめとした生ものを一切口にできないし、年末や正月にかけて加熱していない食材も口にできないということになる。

しかしそうした対応を推進する栄養士は、自らの家庭で年末・年始におせち料理や寿司や刺身を一切、口にしないのだろうか。このウイルス感染は食材から直接感染する場合もあるが、厨房感染者からの2次感染も多いわけであり、利用者だけ対策をとっても、調理に携わる職員が未対策では意味があまりないと思う。

自分たちは「大丈夫だろう」ということで好きな食材を、制限なく口にして、施設で生活する高齢者から食の楽しみを奪うことを「当然」と考える栄養士など必要なのだろうか。そのまえに、どうすればお寿司や、刺身や、おせち料理を安心して食べられるか、という視点こそが栄養士に求められる視点ではないのか?

表の掲示板でこのことについて僕は「ノロウイルスは今年だけの問題ではないですよ。そういう施設では、今後一生刺身や寿司や生野菜は冬に出せないと言うことです。日本人の慣習である伝統的な「おせち料理」も出さないと言うことでしょう。そうであればそれらの管理に当たる施設の管理職員や栄養士は、この職業についている間は、絶対に刺身や寿司やおせち料理を食べてはいけません。利用者にだけ我慢させ、自分たちが我慢できないことを強いるのは虐待と紙一重です。」という強い言葉を書いてしまったが、できる限り、正月の雰囲気を味わえるように刺身も出しましょう、という僕の姿勢は甘いのだろうか?

介護・福祉情報掲示板(表板)

ノロウイルス〜間違いだらけ?の感染予防対策

ノロウイルスが猛威を振るっているというニュースが流れている。

新聞報道では史上最悪の流行と言っているが、このウイルスはつい最近まで小型球形ウイルスといわれていた名のごとく、非常に小さい為、そのウイルス自体の発見が遅れていたもので、おそらく過去に、単なる風邪の下痢症状や腸炎と診断され、集団発生があったものも、このウイルスによる腸炎であるものが数多く含まれていたもので、近年、急激にこの流行が問題となっているのは、発生が近年増えたのではなく、原因がこのウイルスであるということがわかってきた、という方が正しい理解であろう。

ある特養では死亡者も出ているとのことで、いつ我々の地域や施設にも感染者がでるのか戦々恐々としながらでき得る対策をとっているというのが現況である。

しかし、でき得る対策とは言っても具体的には「調理場の衛生確保と十分な加熱調理」「手洗いとうがいの励行」「清掃をはじめとした環境衛生活動」くらいであろうか。

このウイルスの怖いところは100個以下の少ない量のウイルスでも感染してしまうことで、2枚貝などが汚染リスクが高いといわれるが、それを食べなければよいという問題でもなく、ウイルスに汚染された嘔吐物や糞便なら少量でもそれに触れて感染する可能性があるだけでなく、厄介なことに嘔吐物が微細粒子化して空気感染する恐れもあり、嘔吐物や糞便の処理をする場合、完全処理と共に空気中に飛まつしないように、迅速に(乾く前に)かつ、ていねいに処理しないとならない、という点への注意が必要となる。

はっきりいって、感染源はいつ何時、どこから持ち込まれるか予想もつかず、完全に感染を防止することは不可能に近い。施設としてできるだけ感染リスクを減らす対応に努めると共に、感染者が出た際は、日頃から知識を得ておいて、適切に対応して、出来る限り感染を広げない取組が必要とされる。

そういう意味で感染防止・対応マニュアルは「わかりやすい」形で整備されておらねばならない。わかりにくい、読んでも理解できないマニュアルはないのと同じくらい効果が薄い。ウイルスの特徴や、感染経路、予防対策がしっかり理解でき、実行できないと意味がないのである。

ただいくらマニュアルが整備されていても、現場の職員の意識が伴わないと絵に描いた餅である。

例えば、手洗いひとつにしても意識の差が出る。きちんと流水で時間をかけて洗い流している職員と、そうでない職員がいる。これではだめで、感染対策の知識として手洗いの方法をしっかり把握してもらわねばならないので、口を酸っぱくしての指導が必要だ。

特に知識のない人は、手洗いより手指の消毒が有効と間違って考えている人が多い。

ノロウイルスはアルコール消毒も有効ではないウイルスであり、基本的に不活性化するには次亜塩素酸ナトリウムによる消毒か85度以上で1分以上の加熱処理が必要である。つまり塩素酸ナトリウムという消毒に有効な薬剤は、普通手指の消毒には使えない強い「漂白剤」であり、 手指の消毒に有効な手段はなく、感染源が付着している汚れを「洗い流す」以外なく、感染予防には、流水20秒以上の手洗いがもっとも有効だといういみである。

きちんと対応してもらいたいが、20秒という時間は結構長くて、現場の忙しい職員にはこの時間が余計長く感じられるのだろうが、ひとたび感染が広がれば、もっと大変な対応が求められるし、何より利用者や職員も大変な「症状」に悩まされるのだから徹底して行ってもらいたい。

しかし感染予防対策としての手洗いや手指消毒の各施設での現状を見たとき、僕にはある疑問と、危険性を感じざるを得ない。

例えば、MRSA等、アルコール消毒が有効な感染症の場合、おむつ交換時、次の利用者に移動する際に、手を洗わないで消毒だけする職員がいる施設がある。これは危険だ。一時的にアルコールで不活性化する菌であっても、この方法を続けることにより耐性菌が生じてしまう。まず手についた感染源の付着した汚れを洗い流し、菌やウイルスが出来るだけ少ない状態にしたうえで、消毒液で完全に不活性化させるという意識が必要ではないだろうか。

おむつ交換時に必要な商品として、手を洗わないで消毒液を吹きかけるものが販売されている現状も疑問を感じている。感染予防は同時に耐性菌をできるだけ作らない意識と同一視点上に考えられなければならないと思う。

医療機関の病室の出入り口に、噴霧識の消毒液のボトルが設置され、家族等の面会者にも噴霧消毒を強制している対応にも大いに疑問がある。その前に手洗いの励行の呼びかけを行うべきではないか?

「超多剤耐性」の結核菌が、国内でも入院患者の0・5%から検出されたニュースが報道されているが、このことも医療関係者が考えるべき問題と第3者的な立場から見ていないで、感染予防と耐性菌を作らない清潔環境づくりを介護の現場でも学んでいくという意識を持って考えていく必要があると思う。

介護・福祉情報掲示板(表板)

感染症対策に必要な視点。

やっとインフルエンザの流行の季節が終わったと思っていたら、今日の朝刊で、北海道名寄市の小学校で、ロタウイルスによる感染性胃腸炎が集団発生し、児童一人が嘔吐物を詰まらせて窒息死した、というニュースを目にした。

老人福祉施設の場合は、こういう事態を「ひとごと」とは感じられない。朝礼で早速、感染予防対策についてもう一度検証してほしい旨、取り上げた。

ノロウイルスにしてもロタウイルスにしても、感染源は排泄物を介してという場合が多く、食物から、という例はそれと比べると少ないように思える。

トイレと居住空間の導線の区分、環境整備は予防対策に重要な視点だ。

また施設における予防対策として、排泄援助に携わる介護職員は行為ごとに手を洗ったり、使い捨て手袋を替えたりする対応を行うことは当然だし、その他の職員も、日常的に手洗いや、うがいを励行することが大事だ。

これは随分意識されて行われているように思う。

しかし一方、職員以外の主人公、つまり利用者の皆さんの手洗いが、以外に行われていないことに気づかされる。男性の方は特に、認知症とは無縁でも、排泄行為の後(特に小の場合)に手洗いを行うということが習慣化されていない人がおられる。

また女性でも認知症などがある方が、排泄行為は一部介助でトイレで行われても、手を洗うことを忘れて(あるいは洗うという行為そのものの認知に欠け)そのままトイレから出てきてしまう人も目に付く。

この改善は感染予防に重要な視点で、各施設は、職員の手洗いのみならず、利用者の皆さんの手洗いを奨励したり、習慣化する援助を行うことにも取り組んでいただきたい。

特に介護保険施設の場合は、脳血管障害の後遺症で半身麻痺の方が多い。

これらの方々は認知に問題がなくとも、手洗いという行為がうまくできない方も多い。

ためしに皆、片手だけで石鹸を泡立てて、汚れを落とす試みをしてみると良い。非常に難しいはずだ。手のひらは何とかできても、手の甲はできない。

半身麻痺だけど日常生活は自立している、という方に対して、我々は清潔支援も忘れがちになるが、もっと必要な援助はあり得るのだ。

また、これから夏に向かって暑い日が多くなると、麻痺側の手指が拘縮している方などの場合、手のひらは非常に不潔になりやすく、かつそれに気づきにくい。是非、患側手指、手のひらの状態観察にも気を使っていただきたい。

そういう視点を持つことは、感染予防対策も、利用者へ対する気配り、目配りが行き届いた「快適支援」と結びつくことも意味しているのだから。

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