雨上がりの連休明けは、雲一つない青空が広がっており、気温も上がって桜がとうとう開花した。
新型コロナウイルス対策で、お花見気分ではないか、桜を愛でる心の余裕だけは持っておきたいと思う。さて本題・・・。
感染拡大予防対策がこれだけ長期化するのは初めての経験なので、様々なサービスの場で、介護関係者は前例のない判断を強いられる。
こうした緊急事態であるから、暦に関係なく国から必要な情報も出されてくる。そうした情報を分析判断して都度、前例のない対応判断が必要となる場面が多くなることは容易に予測できる。
厚労省サイトに、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議 「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」が掲載されたのは5/4のことである。そうであれば現に営業中の通所介護事業所などが、この提言に沿った対応措置を取らなくてよいのかという判断が、少なくとも5日の時点では求められたはずである。
だからこそ休業していない介護事業者においては、サービス提供の場で即時判断と対応ができる体制を整えておらねばならない。昨日までの大型連休に、施設長や管理職が休みを取る場合でも、判断できる権限と責任を持った立場の者をきちんと配置しておくことは当然求められたであろうし、それができない場合は、トップがリアルタイムで判断できるように、オンラインでいつでも連絡が取れる体制を整えておくのが、この非常時の当たり前の対応である。そうした備えは出来ていたのだろうか。
それができていない経営者や管理職は、自分の適性を疑った方が良い。少なくともできていない状態を放置して、長期間休んでいるのは責任の放棄であるという誹りは免れないだろう。
ところで連休中に示された新しい国の方針や基準に関連して、表の掲示板では『国から介護現場における対応をきちっと示してもらわなければ、地域の足並みもそろわない。』という意見も書き込まれている。
しかし僕はそうは思わない。そのような意見はあまりにも甘えた考え方だと思う。国は感染予防のガイドラインも示し、特例の算定要件も示している。しかし介護施設や通所介護などの各事業者のサービス提供体制は個々で異なるのだから、国がすべての事業者に共通して示すことのできる感染予防策には限界があるし、個々の事情で対応の具体策は変えなければならないのは当たり前のことである。
そもそも自分が管理する場で、サービスを利用する人々を護る責任は、その事業管理者にあるのは当たり前のことだ。今そこに居る人の事情が分からない国に、責任の下駄を預けてどうするというのだ。
普段、民主主義を声高に唱える人が、いざ問題が起きて自分が決断しなければならない立場になった途端に、「国がすることを決めろ」・「自分は国が言うとおりにするだけだ」と謂うのはお門違いも甚だしい。それは民主主義を自ら崩壊させる行為につながりかねない。自分が責任を負わなくてよいことだけ、自分が主体となって決めるというのは独善主義そのものであり、単なるわがままである。
国がすべきことと、事業者や事業主のすべきことの判断基準が明確にされているわけではなく、そこは個々の状況に基づいて、事業主自らが判断しなければならないところだ。その時に、自分の責任を軽くするために、国に責任を強く求めたとしても、その責任逃れに国が即応するわけがないのだから、そこで生ずるのは利用者の不利益だけである。
対人援助事業においては、そうした不利益が利用者の暮らしの質と直結するのだから、そうしないために必要なことは、事業主責任の範囲を広く考えて、まず自らが利用者を護ろうとすることである。結果的にその部分にも国が責任を持って手を差し伸べてくれるのであれば、それは幸運と思えばよいことだ。
国に寄り掛かり過ぎれば、利用者を無責任放置するしかなくなるかもしれない。そのことを何より恐れるべきである。例えば、示された情報の解釈を国が明白にするにはどうしてもタイムラグが生ずる。そうであればとりあえずサービス提供に即応しなければならない問題は、現場判断でできる限り取り得る対策を講じておくという考えが求められるのだ。
そのためには事業者自身が、適切に情報を集めて判断するしかないことも多い。「新型コロナウイルスは空気感染しないから空間除菌は必要ないという誤解〜エアロゾル感染との違いは何か?」で示した考え方についても、国が何か指示したり、考えを示すことを待っていてもしょうがないので、自分で情報を集め判断したうえで、必要な対策を講じようというものだ。
このように個々の事業者判断で対策を取ることは当たり前のことで、こうした具体策まで国が指し示すことなんかできるわけがないのである。
私たち自身はちっぽけな存在であろう。世界の情勢にちっぽけな我々の存在や言動なんて少しも関係しないだろう。しかし何もできないという事実を何もしないことの言い訳にするのは卑怯だ。自分の責任を自覚することで、判断できるものは格段に増えるはずだ。
判断に迷ったら、人が少しでもましになる方向に考えればよい。事業経営者であれば、サービス利用者や従業員にとって、今よりましになる方向はどちらかという視点で物事を考えるべきではないのだろうか。
その結果はいずれ自らの身にもふりかかってくるのではないだろうか。
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