介護施設に入所されていた利用者が亡くなった際に、当該施設の職員がジャージ姿で告別式に駆けつけ、遺族の顰蹙をかったというケースがある。
当該職員が礼服を着ることもなく告別式に駆けつけた理由はきっとあるのだろう。しかしこれは世間の常識からみれば、「非常識極まりない行為」であると言われても仕方がないし、「死者を冒涜する行為である」と批判されても仕方ない行為である。このようなことで遺族の方々の悲憤を買い、嫌な思いをさせることは絶対に避けなければならない。
当該職員に悪気がないから、そうした行為が許されることにもならないわけである。
そうであるがゆえに、我々は世間一般的に身に着けるべき礼儀作法というものを軽視してはならないのである。
対人援助の場でも礼儀作法は重要である。相手はお客様であり、高齢者介護の場合は人生の先輩である。そうした方々に接するのだから、2重の意味で礼儀作法は必要となる。外国と違ってわが国では、年下の人が年上の人にフレンドリーにタメ口で話しかけるという文化はないし、現在、高齢期を迎えている人ならなおさら上下関係を基盤にした礼儀作法が染みつているのだから、そのことには十分配慮が求められる。
礼儀作法に配慮することは、お客様に対して「真のおもてなしの心」を持つことにもつながるが、それ以前に大事なことは、そうした礼儀作法を護ることで、知らず知らずのうちに人の心を傷つける行為をなくすという意味がある。
介護サービスを受ける方々は、身体の不自由な方も多く、心のどこかで介護してくれる人に対する遠慮がある場合が多い。文句を言ったらきちんと世話してくれなくなるのではないかと考えている人もいる。もっと丁寧に接してほしいという思いを持っていても、口に出せない人が多いのだ。
介護職員の悪気のないタメ口に、いつも傷ついている誰かがいるということを忘れないでほしい。
特に看取り介護の場面で、悪気のない言動で対象者を傷つけてしまったとしたら、それはもう二度と取り戻すことができない失敗となってしまう。看取り介護対象者は、人生の最後の場面で嫌な思いをして、その悔しさに胸をかきむしりながら、心の中に血の涙を流しつつ、息を止めていくのではないだろうか。
そうしないために、すべての対人援助関係者は日ごろから利用者に対する「礼儀作法」を護る習慣を身に着け、対人援助のプロとしてのコミュニケーション能力として丁寧語を使いこなすよスキルを持つように心掛ける必要がある。
特に終末期で体調の変化があり、精神的にも揺れ動く幅が大きいことが予測される方々には、細心の注意が求められる。そのように考え、11/3(土)の札幌会場を皮切りに全国7カ所を回る、「日総研出版社主催・看取り介護セミナー」の講演用に作成したPPTスライドの一枚が次の画像である。

旅立つ人を送るたときに、決して犯してはならない間違いとは何か。どんなところに気を配るべきなのか。それらのことを伝えるために、終末期にも生かしたいサービスマナーという観点から話をさせていただくので、是非お近くの会場にお申し込みいただきたい。特に近直の札幌にお住まいの方、日曜日まで申し込みを受け付けているので、よろしくお願いします。
※10/26追記:最低受講人数を超えたため、予定通り実施します。
あなたはどんな言葉で最期を看取ってほしいですか?
最期の瞬間、息を止めようとするときに、若い職員から馴れ馴れしい言葉で話しかけられたいと思う人が何人いるのでしょうか?
旅立ちを、家族でもない若輩者に、ため口で送ってほしいと思う人がいるのでしょうか?
逝く方が寛大な心で許してくれるとしても、一緒に看取ろうとしている家族は不快な思いを持たないのでしょうか?他人である年下の職員が、ため口で言葉を掛ける姿を見て、親しみを感じる前に、慇懃無礼な馴れ馴れしさに不快感を持たないのでしょうか?
そんなことを共に考えるセミナーにしたいと思う。会場で語り合いましょう。
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