感情労働と云われる介護という職業では、利用者側のネガティブな感情にも直接相対する必要があり、その影響で支援者自身がネガティブな感情にとらわれてしまって落ち込んでしまう場合がある。
しかもそのことが原因で心を病んでしまう場合さえある。
そうならないように支援者は、利用者の感情に引きずられて冷静な判断力を失わないという、バイスティックの7原則のひとつ、「統制された情緒関与の原則」を意識して関わる必要がある。
さらに様々な困難を乗り越えて有効な支援に結びつけるために、ポジティブシンキングに努めていくことも重要になってくる。
ポジティブシンキングとは、物事を前向きに捉え現実の生活を楽しく望み通りのものに変えていく思考法である。その過程では、自分自身のネガティブな感情(否定的感情)に目を向けずに無視するということも必要になる場合がある。
介護の仕事に就いているプロフェッショナルは、どんな職種であってもそのことを意識して利用者に対応していかねば、利用者支援に行き詰まるだけではなく、自分自身が壊れてしまいかねないという理解が必要である。

しかし自分自身の否定的感情を無視するとしても、決して無視してならないのは、支援する相手=介護サービス利用者の否定的感情である。そうした感情を利用者が抱くことは好ましくはなくとも、それはそこに存在する事実であり現実なのである。
その好ましくない現実を乗り越えるためには、その事実をしっかりと受け止め、何がそうした感情に結びついているのかを分析し、それを乗り越えるための具体的方法論を導き出さねばならない。
利用者に寄り添うだけで、そうした困難を乗り越えられるという幻想を抱かずに、利用者に寄り添うことは当然だが、それに加えて知恵を働かせ、分析力を酷使して問題解決に当たるという意識が不可欠であることを忘れてはならない。
例えば介護施設では集団的な対応が行われることがしばしば見受けられる。集団的ケアはすべて否定されるべきではなく、目的が明確になっているグループワークなどは奨励されるべきであるし、利用者の娯楽として、集団的に視聴する機会だって日常に潤いを与えるものだとして肯定的に考えられるべきである。
ただしその際に、そこに集まる利用者の肯定的感情だけにスポットを当ててはならない。
例えば、「○○さんが大変喜んでおられました。」ということだけにスポットを当ててしまえば、その集団の中で、その対応に不満を持っている方、無反応である方の否定的感情を無視してしまうことになりかねない。
たった一人の否定的感情であっても、無視せず放置しないのが対人援助の基本であり、ソーシャルワークの本道である。
私たち対人援助のプロは、世界中の人を幸せにはできない。
だが目の前にいる利用者ひとり一人は幸せにできる可能性をもっているのだ。その可能性を利用者の否定的感情に目をつぶって逃してはならないのである。
※筆者の講演予定はこちらからご覧ください。講演依頼はあかい花公式Web右上の✉をクリックしてお気軽に相談・お申し込みください。
※別ブログ「masaの血と骨と肉」もあります。お暇なときに覗きに来て下さい。
北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。
・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。
・masaの看取り介護指南本「看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
新刊「きみの介護に根拠はあるか〜本物の科学的介護とは」(2021年10月10日発売)をAmazonから取り寄せる方は、こちらをクリックしてください。





































































感動の完結編。
