現在、介護事業所の運営規程や設備・職員配置状況等の重要事項は、原則として事業所内での「書面掲示」が義務とされている。
だが、これはいかにもナンセンスである。かなりのボリュームの説明書を一定区画にまとめて壁掲示しようとすると、1ページのサイズは大きくすることができず、結果小さな文字の書式が何枚も壁や掲示板に貼られている状態になる・・・それは誰も読む気がしない細かい文字の羅列に終わっている。
文革時代の中国でもあるまいし、いい加減に壁新聞的発想をやめて、この状態を何とかしてほしいとかねてより思っていたところ、次年度からの基準改正で国がやっと重たい腰を上げた。
情報公開の仕組みについて厚労省は、政府のデジタル原則の考え方を踏まえ、重要事項の閲覧もインターネット上で完結できるよう見直すために運営基準を改正した。
1/15の介護給付費分科会では、このことについて下記の通り基準改正を諮問・答申されている。
(1)「書面掲示」規制の見直し
事業所内での「書面掲示」を求めている事業所の運営規程の概要等の重要事項について、インターネット上で情報の閲覧が完結するよう、「書面掲示」に加え 、原則としてウェブサイト(※)に掲載することを令和7年度から義務付ける。(居宅基準第32条及び第204条、居宅介護支援基準第22条、指定介護老人福祉施設基準第29条、介護老人保健施設基準第31条、地域密着型基準第3条の32、予防基準第53条の4及び第274条、地域密着型予防基準第32条、介護予防支援基準第21条並びに介護医療院基準第35条関係)
(※法人のホームページ等又は介護サービス情報公表システム上に掲載することを想定)
この基準では、「書面掲示に加え 」と書かれているので、当面は事業所内での掲示も必要とされることになる。(※本当に無駄で馬鹿げていると思う)
ネット掲示を義務付けたにもかかわらず、事業所内掲示を残すことはまったく意味がないと思うが、それは次期基準改正あたりで不必要とされて、本当の意味で重要事項の閲覧もインターネット上で完結できるようになるんだろう・・・そう期待したい。
国の介護サービス情報公表システムなんて、誰もアクセスしていないのだから、そんな場所に掲載する手間なんてかけずに、自社の公式サイトに重要事項掲載する方法が一番手っ取り早い。それで基準クリアするなら、それに越したことはない・・・自社のサイトだって誰も見てないという意見もあろうが、同じく見ていない場所なら手間をかけずにアップできる方がよりましである。
そこでサイト更新担当者の方などに、この機会に見直してほしいことがある。
これからの介護サービス利用者は、団塊の世代の方が中心となってくる。その方々はスマホやタブレット・PCを使いこなしてネット情報で介護サービス事業者を選ぶ人たちだ。
その人たちが知りたい情報は何かということを考えて、公式サイトの掲載内容を見直してほしい。
理事長や施設長・管理者の挨拶なんて誰も読まないのである。もっとユーザーが求めている情報に敏感になってほしい。
例えば利用者が求めるのは、実際に自分にどのようなサービスを提供してくれるのかということだ。そこでサービス提供する人たちは、どんな人たちなのかということなのである。
行事・イベントで楽しく笑っている利用者の情報を出しても誰も食いつかない。もっと日常のケアの品質がわかる情報を公開すべきだ。
特にサービス実務に携わる人の本音が見えるようにする情報が求められている。多くの方々は、自分が実際にサービス利用した際に、本当にしてくれることの情報が欲しいのだ。
逆に言えば、ここに耳障りの良い情報が掲載されていても、実際にサービス利用した際に実態が異なってたら、それはすなわち不満そのものに置き換わり、他の事業所に変更する最大の要素となるだろう。
そうした視点から、利用者が求める情報を、わかりやすく正直に発信できる公式サイトに作り替えていかないと、公式サイトはいつの間にか古式サイトになってだれも信用しなくなる。
これを機会にあるだけのホームページを見直してほしいものである。
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