アルツハイマー型認知症は、脳内に蓄積されたアミロイドβたんぱく質が原因とする仮説が、「アミロイド仮説」である。
アミロイドβの蓄積によってアミロイド斑(※アミロイドβたんぱく質が蓄積しているできる物質:アミロイドβの塊と表現した方がわかりやすいかも・・・。)ができ、それが脳神経細胞を圧迫・壊死させ認知機能が低下するメカニズムについては、米承認の認知症新薬は人類を救うのか?で図解入りで解説しているので参照してほしい。
しかしこの仮説に基づく治療薬の開発がうまくいっていない現状や、現在認可されているアルツハイマー認知症の予防薬等も効果に疑問が持たれていることから、その仮説自体が間違っていると主張する人も少なくはない。
そのことについては、「永遠の10年。」というブログ記事でも解説しているが、最近になって新しい仮説が示された。
それはアミロイド仮説を真っ向から否定するものであった・・・以下にその新説の概要を紹介したい。
85歳以上のほとんどの高齢者が、アミロイド斑を持っている。ところがアミロイド班を持っている人のうち、アルツハイマー型認知症を発症するのは1/5に過ぎず、どんなにアミロイド班が蓄積してもアルツハイマー型認知症にならない人もいる。
その為、シンシナティ大学の研究者が、アミロイド斑以外の別の機序(※しくみ・機構・メカニズム。)があるのではないかと考え研究した結果、新しい視点が発表された。
それによると脳内のアミロイド班の原因となるアミロイドβたんぱく質の減少が、アルツハイマー型認知症に繋がっているのではないかという仮説が唱えられた。
これはアミロイドβがアルツハイマー型認知症を引き起こす原因物質だとするアミロイド仮説を否定するだけではなく、それとは正反対の仮説である。
新説では、今までアルツハイマー型認知症の原因物質とされていたアミロイドβたんぱく質を増やすことが、認知機能改善につながるというのである。
その根拠として挙げられているのが、アルツハイマー型認知症の治療薬開発のための研究データを挙げている。
現在アルツハイマー型認知症の新薬として騒がれている薬は、モノクローム抗体がアミロイド班に作用するものだが、その治験過程で脳脊髄液内のアミロイドβ42という物質が増えることによって認知機能が良くなる効果が見られたというのである。
この新仮説を肯定するとすれば、今まで言われていたアミロイド班が神経細胞を圧迫・壊死させるというメカニズムの説明は、すべて間違いだったかという疑問と、現に脳神経細胞が壊死して脳移植している人がいるという現実の機序をどう説明するのかという疑問が生ずる・・・。
僕の理解力では、新説に説得力があるかどうかさえ分からない・・・だが一つ言えることがる。
それはアルツハイマー型認知症の機序について、人類はまだ正確な回答を得てはないなということであり、認知症に関しては、まだわかっていないことがあまりにも多いということだ。
現在世に出回っている認知症の治療薬と言われるものも、認知症を予防したり、治したりするものではなく、症状を一部改善するだけの効果しかないと云われているが、その効果も実は怪しいともいえる。
ということで認知症の予防についていえば、医学の手はまだ遠く届かない場所にあると云え、認知症の予防や症状改善につながる生活習慣(※栄養状態を良好にして、適度な運動を行って生活習慣病にならないように注意するなど)を送るように努めるしかないという結論しか出せないだろう。
人類がアルツハイマー型認知症から解放される日があるのかどうか・・・それさえも不明である。
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