masaの介護福祉情報裏板

介護や福祉への思いを中心に日頃の思いを綴ってみました。表の掲示板とは一味違った切り口で、福祉や介護の現状や問題について熱く語っています!!表板は業界屈指の情報掲示板です。

施設サービス

看護職の夜間オンコールをアウトソーシングした結果



僕が総合施設長を務めていた社福法人の特養では、看護職員もシフト勤務で、日中配置のない日はなかった。

しかし夜間の看護職員配置はなく、オンコール対応で必要な場合のみ駆けつける体制をとっていた。
全国の特養で看護職員が夜勤を行っている施設は数パーセント(おそらく2%未満といわれている)なのだから、この体制は異常ではない。

看護職員の夜間オンコールは、1週間ごとに交代する当番制で、正・副2名のオンコール体制をとっていた。(※副担当者が対応するような事態は、ほとんどなかったが・・・。)

通常は正担当者に連絡をするのだが、何らかの事情で緊急時の連絡がつながらない場合を想定して、副担当も置いていたという意味である。

この体制を5名の看護職員で廻していた。つまり看護職員についていえば、5週間に1週間は夜間オンコール対応のため、帰宅後も待機しなければならなかったわけである。

このことは看護職員にとって、決して少なくはない精神的負担があったと思う。

そのための手当は勿論つけていたが、プライベートの時間に食い込んで、オンコールに備えて待機すると同時に、何かあった場合は、夜中であっても駆けつけなければならないことは相当なプレッシャーであると思っていた・・・それに対する対価としては手当の額は少なすぎるのでないかとも思っていたが、財源が無尽蔵にあるわけではないので、悪いと思いながら大幅なアップはできなかった。
夜間オンコールのアウトソーシング
だから法人トップとしての僕自身は、看護職員がオンコール対応を行ってくれるだけで有難いと感じていた。

しかし夜勤を行う介護職員はまた違った考え方を持っていたであろう。看護職員がオンコール待機することや、緊急時に駆けつけることも仕事のうちであるから、担当が誰であっても等しく同じ対応をしてほしいという意見が多かったように思う。

しかし言うは易し・行うは難し・・・である。看護職員によって、オンコールを受けた際の対応が微妙に異なることがあり、何でも気軽に応答してくれる看護職がいる反面、「そんなことも自分で判断できないの」とか、「そんなことでいちいち電話かけてこないでほしい」的な対応も無きにしも非ずである・・・。

しかも、「そんなこと」という判断も、看護職員間で微妙に異なっていたりした。

こうしたことが繰り返されたり、微妙な判断差に戸惑ったりして、夜勤を行うことがストレスになる介護職員が出てきた。その中の幾人かは、退職するという結果に結びつくこともあった・・・そのため看護職員の対応統一に努めてはいたが、話し合い当初は何とか対応が改善されたとしても、時間の経過とともに判断差は常に生じるという事態が生まれ、頭を悩ませることが多かった。

そもそも「これこれの対応は、これこれ」と決め事を創ったとしても、夜間に起きる出来事とは、同じことが再現されるわけではなく、決め事が通用しないケースがたくさんあるのだから、その解決策は難しく、結果的にはすべてのオンコールに丁寧に対応し、「そんなこと」という指摘はしないということでしか問題は解決しない・・・。

しかしコールを受ける側からすれば、それはキリのない対応になってしまう。昼間の勤務に加えて、退勤後もキリのない対応をするのでは、オンコール待機者の心身の健康にも影響が出る問題となる。

だからこそ夜間オンコールは、自前で対応せず、アウトソーシングがふさわしいと思え、「夜間オンコールのアウトソーシングを考える」という記事を2021年に書いている。

残念ながら僕が社福に在籍中は、オンコールをアウトソーシングできる外注先がなかったため、そのようなシステムは取れなかった・・・しかし昨年、僕がアドバイザーとして関わっている関東圏の社福法人が、夜間オンコールのアウトソーシングした。

アウトソーシングした理由は、必ずしも積極的理由ではなく、看護職員の確保が難しくなったことが最大の理由だ。そこで夜間オンコールをアウトソーシングして、看護職員は夜間オンコール待機をしなくてよいという条件で募集したところ、複数の応募があり、必要数の確保に結びついた。

それだけではなくリンク記事にも書いた通り、オンコール対応する外部事業者の看護師は、どのような小さな問題であっても、第3者から見て下らないと思える連絡であっても、徹底的にウエルカム対応をしてくれる。そして必要な場合のみ、施設の看護職員に繋ぐことになる。

そのため夜勤介護職員が連絡をすべきかどうかという判断に迷うということがなくなり、とりあえず連絡してオンコール対応してくれる看護師に相談できるということで、連絡に迷うストレスがなくなり、オンコール対応の問題で退職につながるケースは消滅した。

しかもオンコール対応の業務委託費用は、それまで看護職員に支払っていたオンコール待機手当の額とさほど変わっていない。

財源負担をさほど増やすことなく、看護職・介護職の両者のストレスをなくし、仕事上のモチベーションアップにもつながっている。

そういう意味では、夜間オンコール待機及び対応のアウトソーシングは、大成功であったといってよいのだと思う。
メディカルサポネットの連載、菊地雅洋の波乱万丈!選ばれる介護経営の今月更新記事は、科学的介護情報システム(LIFE)の現状と課題です。
菊地雅洋の波乱万丈!選ばれる介護経営
科学的介護情報システム(LIFE)の現状と課題
文字リンクをクリックしてご覧ください。


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居住費が引き上げられるのに食費は何故据え置かれるの?



カップ麺が出来上がるまでの3分は長いが、過ぎ去った時間を振り返ると、それはあっという間の出来事であった感がある。

ということで今日から暦は7月に替わった。ということは1年のちょうど半分が終わり、後半の半分が始まったというわけである・・・もうそんな時期かと思うのと同時に、年々自分が年を取る速度が加速しているような気がしてならない。

ところで介護保険施設(※ショートステイを含)は、この7月中にしておかなければならないことがある。

それは8月から居住費光熱水費分が引き上げられたことにより、利用者自己負担額が変わる方がいるため、その説明・同意という手順を踏んでおくことである。

このことは介護保険最新情報のVol.1280でも周知されてることであるが、居住費の負担額が60円(日額)引き上げられる。(※ただし補足給付によって、負担限度額を0円としている利用者負担第1段階の多床室利用者については、負担限度額を据え置き、利用者負担が増えない

1日60円の居住費引き上げ分は、すべて施設の収益となる。自己負担0円に変わりのない第1段階の多床室利用者についても、補足給付額が60円(日)アップするわけであるから、介護保険施設が年間収益として計上できる額は、利用者人数×60円×365日ということになる。(※今年度に限っては、この計算式に×8/12という計算が加わる

つまり100人定員施設なら年額219万円(年)の収益増につながるのだから、決して少ない収益額とはいえない・・・がしかし。
夏の風景
この引き上げは、近年の高齢者世帯の光熱・水道費などや在宅で生活する方との公平性等を総合的に勘案した結果とされているが、当然そこには物価高という背景も影響しているのだろう。

それにしては引き上げ額が少な過ぎるのではないかという声が聴こえてきそうである。

この引き上げ額は総務庁の家計調査の結果が根拠であるとされている・・・だが僕自身はその資料をどう読みとれば、高齢者世帯の光熱水費が1日60円しか上がっていないとするのかがわからない・・・どなたかわかる方が居たら教えてほしい。

どちらにしても調査自体の正確性は検証できない。国が調べた結果であるから信用しなさいと云われて終わりである。

ところで居住費の光熱水費相当額が引き上げられるのに、同じく物価高で高騰している食費の食材料費相当分は今回なぜ引き上げられないのだろう。

その理由も総務庁の家計調査が根拠とされ、高齢者世帯の食費負担額は上がっていないということらしい。

そこで2023年(令和5年)平均結果の概要を調べてみた・・・すると「食料」は、86,554円で、名目5.7%の増加、実質2.2%の減少となっている。

実質とは、物価変動(3.8%)の影響を除いた数字だということであるが、名目負担が増えてはいるが、実質負担は減っているという意味がよく分からない。

ここから高齢者世帯の食費負担は増えていないということをどのように読み取るのだろう?これも大いに謎である。

しかし介護保険施設等の決算を見ると、確実に食材料費支出は上がっていて、それが経営に大きく影響していることは一目瞭然である。

給食業務を外部業者に委託している介護施設が多いが、食材料費の高騰で委託費用も相当額あげられている。この部分にきちんと対応した支援策がとられないと、介護保険施設経営は非常に厳しい状態となる。

そういう意味で家計調査と、施設の食材料費支出がリンクしているのかどうかということも検証すべきではないかと思う・・・全国老施協は、こうした提言を行っても良いのではないだろうか。

そもそも自分自身の暮らしにも、食材料費の高騰の影響は少なからず出ている。そうした実態が反映されない調査に何の意味があるのかと言いたい。

だがいくら愚痴を言っても、食費の標準費用が変更されないということに変わりはない。2027年度の報酬改定まで、それは変更されないだろう。

ということで介護保険施設の管理者の方々は、食材料費が高騰している中で、今までと同じ予算で食事の質も落とさずに、利用者に食事を提供し続けるという難題としか言いようがない課題を背負うことになる。

心労も相当にかかってくるだろうが、利用者にとって最大の愉しみである食事であるから、知恵と努力で、その難問に向かい合ってもらいたい。


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より重大視される施設ケアマネの役割



先の報酬改定議論では、処遇改善加算の恩恵を一切受けられない居宅ケアマネの待遇改善が取り上げられるなど、居宅介護支援事業の改定がクローズアップされた感があり、施設ケアマネに関しては大きな変更がなかったと思っている人が多い。

しかし報酬改定・基準改正の中身を精査していくと、施設ケアマネジャーの役割がより重要となってくることが見て取れる。

例えば、科学的情報システム(LIFE)に関連する問題がある。

科学的介護推進体制加算等は、LIFEにデータ提出するだけではなく、提出した情報をもとにLIFEからフィードバックされたものをPDCA活用しなけばならない。つまりフィードバックされた内容等を、施設サービス計画書の見直しに反映させて、それを実行していかねばならないことになっている。

しかし現在までのフィードバックは、地域事情や事業規模を無視した全国平均値と、データ提出事業者の平均値の比較にしかなっておらず、PDCA活用できる代物ではなかった。

その為これまでの運営指導では、フィードバックのPDCA活用について、ほぼチェックされることなく運営指導の対象外のような扱いであった。

しかしその状況は少し変えられていく。

本年5月から7月までLIFEへのデータ提出が中断される。現在はその停止の真っ最中だ。これはシステム変更に伴う切り替え作業が行われているためである。(※提出待ちのデータは、8月1日から10月10日までの間に遡って提出することとなるので、担当者はこれを忘れないようにしなければならない。

そして8/1〜新しいシステムでLIFE運用が始められる予定になっている。ただし新たなフィードバックの提供は10月以降とされている。

10月から行われるフィードバックとは、全国集計値だけでなく地域別等のより詳細な層別化、複数の項目をクロス集計すること等の見直しがされることで、より細かな比較が可能になるとされている。

そうした比較が、果たして科学的エビデンスに基づく介護実践につながるか否かは、疑念がぬぐえないところである。所詮は提出データと全国平均値の比較でしかないからだ。筆者から言えばそのようなフィードバックで、感情ある人に対応する科学が生まれるなて信じられないが、しかし厚労省の官僚や運営指導を担当する行政職員は、新しいフィードバックが科学的介護につながると信仰している。

そう・・・それは信念を飛び越えて、信仰化している考え方なのである。だから怖い。狂信的だからである・・・。

よって今後の運営指導では、LIFEへの情報提出と共に、フィードバックのPDCA活用の状況が、現在までより細やかにチェック受ける可能性が高く、運営指導時にPDCA活用の内容を説明できないと指導対象となり、場合によっては加算返還という事態になりかねない。

するとこのPDCA活用の担当者は誰かという問題になる・・・当然それは施設ケアマネしかあり得ない。そのため施設ケアマネは、新しいフィードバックが行われた時点から、利用者フィードバックについては、できる限りその利用者の施設サービス計画書に反映させることが求められてくる。

ここは無視したり、素通りして良いものではないという理解が必要だ。

また、『適切なケアマネジメント手法の策定・普及推進』の一環として、今年度からケアマネ関連法定研修のカリキュラムが変更されているが、そこでは基本ケアと疾患別ケアで構成するケアマネジメントの実現を図ることが求められており、それは居宅ケアマネだけではなく、施設ケアマネにも求められるケアマネジメントのあり方である。

それらを含めて、利用者の自立支援やQOL向上のための施設サービス計画書を、どんな形で作成するのかという知識を持っていかねばならない・・・これらを学ぶ機会も持ちたいところである。

ところが居宅ケアマネを対象にした研修は数あれど、施設ケアマネを対象にした研修が少ないために、多くの施設ケアマネが情報や知識を得られないという問題がある。なにしろ施設ケアマネ経験者で、そうした内容の講義ができる人材が少ないという問題があるのだ。

その点僕は、施設ケアマネ実務も経験しており、なおかつ施設ケアマネのスーパービジョンも行ってきた経験があり、今現在まで施設ケアマネを対象とした講演を数多く行っている。

今後の講演予定の中でも、10月17日(木)13:00〜16:30の予定で夕張市拠点複合施設りすたで行われる、「空知老人福祉施設協議会 介護支援専門員等部会研修会」で施設ケアマネを対象にした講演を行う予定である。(※テーマは今後決めるが、施設ケアマネジャーの役割と、施設サービス計画書の具体的内容となる予定だ。

空知は、僕の実家があった岩見沢市の所属地域である。会場の夕張市には40年ほど前に訪問した経験があるが、それ以来となる。懐かしさも伴い楽しみにしている講演だ。

どちらにしても施設ケアマネ対象の研修講師を探している方がいれば、是非その際は僕も講師候補として検討していただきたい。

研修講師の打診や事前問い合わせなどは、公式サイトのページ右上の✉マークをクリックして、お気軽に問い合わせいただきたい。


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施設配置基準緩和策の成れの果て



枯渇する介護人材対策として介護DXの必要性が叫ばれ、ICT等のテクノロジーを最大限活用することで、人の配置を少なくできないかという議論が続けられている。

介護保険施設等の配置基準緩和も、その一環として行われていることであり、その中には介護保険施設の看護・介護職員の配置基準である、対利用者比3:1の基準を4:1程度まで緩和できないかという議論もされてきた。(参照:看護・介護職員配置基準緩和の危うさ

おそらく今後も、この配置基準緩和は繰り返し議論の俎上に挙がり、現行より緩和した配置基準への変更が模索されていくのだろう。

だが仮にこの配置基準が緩和されたとしても、介護保険施設は、喜んで職員配置数を減らすことにはならないと思う。

そもそも現行の配置基準である対利用者比3:1ぎりぎりで看護・介護職員を配置している施設はほとんど存在しない・・・そんな配置では、有給休暇が消化できなくなるだけではなく、日常業務もうまく回らず、介護職員は残業するのが当たり前の状態になってしまうからだ。(※ブラック施設では、この残業の手当もつけずに、サービス残業を強いる形で行わせている
疲弊する介護現場
僕が総合施設長を務めていた社会福祉法人では、介護職員も事務職員と同様に、きちんと有給休暇を消化して、なおかつ日常の業務も勤務時間内で余裕をもって行えるようするために、僕が施設長を拝命した以降、順次介護職員の補充に努めたことから、ユニット型ではない従来型特養(多床室中心型)であるにもかかわらず、対利用者比2:1の配置まで介護職員数を増やして対応していた。

勿論、そのために単年度赤字が出ては困るので、(※短期入所生活介護を含め)特養のベッド稼働率を低下させないための対策や、通所介護の利用者数の増加に努め、経費の削減にも努めてきたわけである。

配置職員も正規職員以外に、準職員・パート職員・夜間専門職員等、多様な勤務形態で忙しい時間帯に対応できるように工夫を重ねてきた。介護助手という言葉がないことから、実質的に助手も雇用配置していた。(参照:介護助手議論がなぜ馬鹿馬鹿しいか

しかも利用者ニーズに即した対応を考えると、そうした配置も利用者属性などで必要性が変わってくるので、これだけの数を揃えたから終わりということではなく、数の上限は定めたうえで、その時雇用している職員を、どの時間帯に、どのような形で仕事ができるようにするかという工夫に終わりが来ることはなかった。

さらに言えば、職員募集に簡単に応募してくれる人がいるわけではない状況が年々すすんでいったので、他の介護施設にはない魅力を発信して、新卒者をはじめとした若者が、募集に応募してくれる工夫もし続けていた・・・そんなふうにして配置基準を上回る職員数を確保してきたのである。

どちらにしても、国の基準配置数だけで適切なサービス提供と、法令(労働基準法など)に沿った適切な労務管理を両立させるのは困難であった。

対利用者比3:1基準というのは、それだけ無理を通して道理を引っ込める形の数字でしかないという理解をすべきだ。

ICT等の活用を図って介護職員の働き方を変えたとしても、削減できる業務は極めて狭い範囲だ。ロボットが人に替わってトイレ介助でもしてくれない限り、数時間も継続して人的配置を削ることができる状況にはない。

よってまともな介護事業経営者なら、配置基準が緩和されたからと言って、その最低基準まで従業員を削減できるとは考えない。

人がいないからと言って、その最低基準に当てはめた経営を続けていれば、必然的に介護職員にしわ寄せが来ることは確実で、うつ病などの精神疾患を含めた健康被害が増すだろう。

人員の削られた場では、日中でもワンオペが増えるのも必然だから、牛丼店すき家で起きたワンオペ中の死亡事故の様なケースも続出するだろう。

その為、益々介護を職業としようとする動機づけを持つ人が減っていくことになる。それだけではなく高校の進路指導担当教員が生徒に介護業界への就職を指せないような指導が増え、子供を介護職だけにはさえまいとする親も増えるだろう。

結果的に配置基準緩和という施策が、介護人材をさらに減らしていくのである。それが施設配置基準緩和策の成れの果てである。

官僚や、基準変更を論ずる委員会構成メンバーは、こうした介護実務の実態や、人に替わる機器がいかに拙いものであるのかという事実を知っているのだろうか・・・知っているのに、知らないふりをしているのだろうか・・・。

そもそも介護労働のワンオペ増加の弊害というものを意識した議論がされているのだろうか・・・。


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新設された特養の退所時情報提供加算について



株式会社マイナビの情報サイト・メディカルサポネットの菊地雅洋の波乱万丈!選ばれる介護経営〜Vol.4が先ほどアップされました。
masaの選ばれる介護経営
今月のテーマは、「処遇改善加算の恩恵がない居宅ケアマネジャーの待遇改善をどう考えるか」です。

連載タイトル文字にリンクを貼り付けていますので、是非そちらもご覧くださいますようお願い申し上げます。

さて話は変わって本題。

特養は利用者が医療機関に入院した場合であっても、3月以内に退院した場合は、必ず再入所できるようにベッドを空けておく必要がある。

その為、入院=退所ではないとして、医療機関に入院する際に情報提供しても退所時情報提供加算の算定ができなかった。ここは老健との大きな差の一つになっていた。

しかし2024年度報酬改定において、特養についても退所時情報提供加算が算定できることになり、令和6年度介護報酬改定における改定事項についてでは、次のように算定要件が示された。

・医療機関に退所する入所者等について、退所後の医療機関に対して入所者等を紹介する際、入所者等の同意を得て、当該入所者等の心身の状況、生活歴等を示す情報を提供した場合に、入所者等一人につき1回限り算定する。(250単位/回
退所時情報提供加算
さらに解釈通知では52頁に次の要件が記されている。
退所時情報提供加算について
イ. 入所者が退所して医療機関に入院する場合、当該医療機関に対して、入所者を紹介するに当たっては、(別紙13)の文書に必要な事項を記載の上、当該医療機関に交付するとともに、交付した文書の写しを介護記録等に添付すること。
ロ .入所者が医療機関に入院後、当該医療機関を退院し、同一月に再度当該医療機関に入院する場合には、本加算は算定できない。

このことについて3月以内の再入所義務との関連はどうなっているのかという解釈については、令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.3)の問2において、「退所時情報提供加算及び退居時情報提供加算について、医療機関の入院にあたり、退所または退居の手続きを行わない場合においても算定可能である」とされた。

つまり特養に籍があろうとなかろうと、医療機関に入院する際には退所扱いとして情報提供することによって退所時情報提供加算が算定できるわけである。

改定概要に「入所者等一人につき1回限り算定する。」と書かれている意味は、おそらく1入所1回ということで、退所扱いで情報提供するのだから、その後再入所時は新たな入所とみなされ、同じ人が再入所後に入院退所する場合も、情報提供することによって退所時情報提供加算が算定できると思われる。(※ただし当該医療機関を退院し、同一月に再度当該医療機関に入院する場合には、本加算は算定できない。

指定様式である(別紙13)もさほど手間のかかる書式ではない。

ここに記入する内容を見ると、相談員が情報提供を行うことになるのだろうが、この加算の有無に関係なく今までも、利用者が医療機関に入院する場合には、相談員は情報提供を行っていたはずである。よって入院時情報提供加算が新設されたからといって業務負担が増すわけではない。

つまり今まで普通に行っていた情報提供に対して、今年度から新たに加算が算定できるようになったのである。また老健の相談員が利用者入院時に情報を提供する行為に加算されていたのに、特養の相談員が同じことを行っても全く費用算定できなかったという格差も解消されることになる。

そういう意味でもこの加算の新設は、特養関係者にとっては喜ぶべきことである。
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※株式会社マイナビの情報サイト・メディカルサポネットの菊地雅洋の波乱万丈!選ばれる介護経営〜Vol.4のテーマは、「処遇改善加算の恩恵がない居宅ケアマネジャーの待遇改善をどう考えるか」です。是非参照ください。


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頑張れ相談援助職



3/22に「相談援助職の役割と業務が増す新年度」という記事を書いて、施設サービスにおける相談援助職の仕事量が大幅に増えそうだということを論評した。

そこでも少し触れているが、今回の基準改正と報酬改定における新加算では、医療機関との連携が求められることから、そのことに付随する相談援助職の役割がより重要になってくる。

協力医療機関指定義務化によって、年に1回以上、協力医療機関と入所者の急変時等における対応を確認しなければならなくなるが、この確認担当者は誰になるのか・・・相談援助職がその役割を担う施設が多くなるのではないのか?

新興感染症発生時等の対応を行う医療機関との連携で義務付けられた、「新興感染症の発生時等における対応について協議」についても、医療機関側とやり取りについての担当窓口も、相談援助職にその役割が振られてくるのではないだろうか・・・。

また新設された協力医療機関連携加算は、是非とも算定したい加算であるが、算定要件では協力医療機関との間で入所者等の病歴等の情報を共有する会議(※概ね月1回以上開催。ただし、電子的システムにより当該協力医療機関において、当該施設の入所者の情報が随時確認できる体制が確保されている場合には、定期的に年3回以上開催する:オンライン可)を行う必要がある。

この情報共有会議には看護職員が参加することになるのか・・・そうする施設もないとは言えないが、利用者情報のやり取りということで言えば、相談援助職がその専門家であり、ここも相談援助職が対応せざるを得ないなるのではないだろうか。

さらに新設された退所時情報提供加算250単位/回)についても、医療機関に提供する情報は、退所入院する入所者等の心身の状況に加え、生活歴等を示す情報とされているのだから、これも相談・援助職が退所時情報提供書の指定様式を記入して医療機関に送る必要があるだろう。
メンタルヘルス不調に注意
このように相談員援助職の仕事量は、「いったいどれだけ増えるの?」といいたくなるほど増大しかねない。

しかも今後の介護施設運営のキィーは、いかに空きベッドをつくらずに経営できるかにかかっている。単年度赤字の施設の多くに複数の空きベッドが生じ、長期間に渡ってそのベッドが埋まらないという事情がある。

物価高に対応するほど基本サービス費の単価が上がらなかった状況において、こうした空きベッドを生じさせては、新設加算や新設上位加算をいくら算定できたとしても収益は挙がらない。空きベットの存在が経営困難につながると言ってよいのだ。

つまり今後の介護施設経営は、相談援助職のベッドコントロールの役割が生命線となるといっても過言ではないのだ。

こうした重要な役割が求められる相談援助職の業務負担が増える中で、経営者や管理職は相談援助職がバーンアウトしないように対策を急がねばならない。

例えばテレワークを適切に導入することもその対策の一つに挙げられる。介護保険最新情報Vol.1237は管理職以外のテレワークの在り方を示した通知だ。(※管理職については、介護保険最新情報Vol.1169で明示済み

ここでは介護職員看護職員リハ職らの利用者を直接処遇する業務については、「原則テレワークは認められない」と規定している。

逆に言えば、これらに該当しないケアマネをはじめとした相談援助職はテレワークが広く認められるという意味である。

同通知には、利用者の処遇に支障が生じない範囲内の考え方なども明示されているので、こうした要件に沿ったうえで、適切にテレワークを取り入れて、相談援助職の業務負担を少しでも減らすという考え方を取り入れてほしい。

こうした配慮を重ねていかないと、介護の場から人材が枯渇してしまうほどの労働力不足が全産業を通じて生じていることを忘れてはならないのである。


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協力医療機関指定義務化と協力医療機関連携加算について



来年度からの基準改正で介護保険3施設⦅特養(地域密着型含む)・老健介護医療院⦆は、3年間の経過措置を設けたうえで、下記の(1)から(3)の要件を満たす協力医療機関を定める義務が課された。

(1)入所者の急変時などに医師や看護職員が夜間休日を含めて相談対応する体制が確保されていること
(2)診療の求めを受け、夜間休日を含めて診療が可能な体制を確保していること
(3)緊急時に原則入院できる体制を確保していること

※ 複数の協力医療機関を定めることで(1)〜(3)を満たすことも可

このうち(3)については、「必ずしも当該介護老人福祉施設の入所者が入院するための専用の病床を確保する場合でなくとも差し支えなく、一般的に当該地域で在宅療養を行う者を受け入れる体制が確保されていればよい。」(解釈通知)とされたことで、ハードルはさほど高くないと考えられる。

こうした医療機関と定期的(年1回以上)に緊急時の対応等を確認し、医療機関名等について指定権者(許可権者)に提出しなければならないというのが、今回設けられた新たな義務だ。

ただし解釈通知では、「連携する医療機関は、在宅療養支援病院や在宅療養支援診療所、地域包括ケア病棟(200床未満)を持つ医療機関、在宅療養後方支援病院等の、在宅医療を支援する地域の医療機関(以下、在宅療養支援病院等)と連携を行うことが想定される。なお、令和6年度診療報酬改定において新設される地域包括医療病棟を持つ医療機関は、前述の在宅療養支援病院等を除き、連携の対象として想定される医療機関には含まれないため留意すること。」とされていることには注意が必要だ。

さいわい在宅療養支援病院や地域包括ケア病棟を持つ医療機関は、ここ数年間でかなり増えているので、3年間の経過措置期間の中で連携先医療機関を探すことは可能だろう。

現に僕が9年前まで総合施設長を務めていた社会福祉法人の母体は、精神科医療機関であるが、ここも「地域包括ケア病棟(200 床未満)を持つ医療機関」に該当しているので、年度替わりに即、連携をとることが可能である。

だが現在協力医療機関として、入所者の診療などを行ってくれている医療機関が在宅療養支援病院等に該当しない場合は、その医療機関との協力関係を白紙にして、別の在宅療養支援病院等を探して連携する必要がある。

それは義理人情も絡んでくる問題で、決して容易なことではない。だからこそ3年の経過措置期間が必要なのだろう。難しい問題ではあるが、ルールがそうなってしまったのだから、全力で連携先を探さねばならない。

この連携を組むことのメリットは加算算定にも及んでくる。

例えば新設された協力医療機関連携加算は、入所者の病歴等の情報共有や急変時等における対応の確認等を行う会議を定期的(※概ね月に1回以上開催されている必要がある。ただし、電子的システムにより当該協力医療機関において、当該施設の入所者の情報が随時確認できる体制が確保されている場合には、定期的に年3回以上開催)に開催することで算定できるが、特養の場合、上記の連携要件をクリアした医療機関と会議を行う場合は50単位(令和7年3月31日までの間は100単位)の算定となるが、それ以外の医療機関と会議を行う場合は、わずか5単位しか算定できなくなる・・・この違いは大きい。

しかも本加算における会議は、指定介護老人福祉施設基準第28条第2項に規定する、入所者の病状が急変した場合の対応の確認と一体的に行うこととしても差し支えないとされているので、連携先と行うことが最も合理的となる。

是非とも連携先を早急に定めて、協力医療機関連携加算も1月でも早く高い単位を算定したいものである。

なお会議は、テレビ電話装置等(リアルタイムでの画像を介したコミュニケーションが可能な機器をいう。以下同じ。)を活用して行うことができるので、毎月であったとしても3月ごとであったとしても、そのハードルは対面会議よりも低くなるので、このルールを活用したいものである。


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特養経営者に大朗報〜配置基準の大幅緩和



介護保険施設の中で、唯一特養には夜勤者配置に加えて宿直者の配置義務が課せられている。

これは介護保険制度以前の措置制度時代に、東京都東村山市の特養の火災事故を受けて、老人福祉法の関連通知「社会福祉施設における防火安全対策の強化について」により夜勤者とは別に、夜間帯に宿直者の配置が必要とされたことを引き継いで、介護保険制度施行以降も特養にだけ課せられ続けている義務である。

この義務は2015年度の基準改正で、プチ見直しが行われているが、その内容とは「夜勤職員が加配されている時間帯については、宿直員の配置が不要となる」というものでしかなく、夜勤帯全時間帯を通じて配置基準より夜勤者を加配できていない特養は、宿直者を置き続けなければならなかった。(参照:特養の夜間宿直配置基準の変更は意味のない変更だった
夜間宿直廃止は特養にとって朗報
ところが令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15 日)の107頁に、宿直者配置義務をなくすという画期的なQ&Aが掲載されている。

【特別養護老人ホーム】 ○ 宿直員の配置について
問 178 :特別養護老人ホームにおいて、夜勤職員とは別に、宿直者を配置する必要があるか。

社会福祉施設等において面積にかかわらずスプリンクラー設備の設置が義務付けられるなど、消防用設備等の基準が強化されてきたことや、他の施設系サービスにおいて宿直員の配置が求められていないこと、人手不足により施設における職員確保が困難である状況等を踏まえ、夜勤職員基準を満たす夜勤職員を配置している場合には、夜勤職員と別に宿直者を配置しなくても差し支えない。ただし、入所者等の安全のため、宿直員の配置の有無にかかわらず、夜間を想定した消防訓練等を通じて、各施設において必要な火災予防体制を整えるよう改めてお願いする。
※「平成 27 年度介護報酬改定に関する Q&A(Vol.1)(平成 27 年4月1日)の問 137 及び問138 は、削除する

特養の宿直者の廃止は、介護保険部会でも介護給付費分科会でも議論の俎上にあがっていなかったはずだ、それが今回突然Q&Aで廃止の方針が示されたため、驚いた人がほとんだだろう。しかしこれは特養経営者にとって大朗報だ。

多くの特養では宿直者を配置しているといっても、夜間に数回見回りをして、それ以外は電話番をするだけの役割しかない。しかも見回りといっても設備の見回りに過ぎず、入所者の様子を見回って対応することはないため、夜勤者の労務負担が宿直者の配置によって減っているという実態もほぼないと言える・・・前述したように、その配置義務は夜間の火災事故などの緊急時に備えたものなので、平時には役割と仕事がほとんどなったのである。

そのため僕が総合施設長を務めていた特養では、シルバー人材センターと契約して、高齢者を宿直員として配置していた。

だがそこには当然、シルバー人材センターの経費や、毎日宿直する人の給与とするための経費などを含めた相応の契約料が発生していた。その経費も年間200万円〜300万円もしくはそれ以上となっており決して少額ではないだろう。

しかしそれに見合った仕事をしてくれているかという問いかけには、正直うなづけないものがあった。宿直配置がなくとも、夜勤業務は滞りなく回る施設が多いと思う。

今回人手不足を理由にして、こうしたほとんと意味のない配置義務がなくなったことは朗報といってよいだろう。

宿直者を配置している特養の経営者は、早速その配置をやめる準備を進めて、物価高に対応した経費の節減に結びつけるべきだと思う。

勿論、宿直者を直接雇用しているにしても、外部業者等に委託配置しているにしても、4月以降の雇用契約は締結済みのところが多いのだから、いきなり宿直者を廃止するわけにはいかないだろう。

僕が以前勤めていた法人のように、シルバー人材センターとの契約なら、2024年度は契約通り配置を続けなければならないかもしれない。激変緩和も必要なのだから、それはそれでよいと考えればよい。

そうであったとしても2025年度以降は宿直廃止が可能である。介護給付費の額が変わらない3年間のうち、残りの2年の宿直配置のための支出が減るのは経営上大きい。

また宿直者が直接雇用職員であれば、これを機会に介護助手などに移動を命ずれば良いと思う。それは労働法規上、許される範囲の移動命令である。それを拒んで退職する人がいても、それは事業経営上は大きな問題ではないだろう。

どちらにしても、この対応は早急に進めるべきだと思う。


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施設サービスに負わされる過剰な口腔状態評価義務



介護施設の基準改正に関連して1/30に、「介護施設に課せられた新たな義務を見逃していないか」という記事をアップし、「施設の従業者又は歯科医師若しくは歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が施設入所時及び入所後の定期的な口腔の健康状態の評価を実施すること」が新たに義務として課されるために、その対策を急ぐようにアナウンスした。

だがその記事を書いた時点で僕は、「入所後の定期的な口腔の健康状態の評価」については、利用者全員が対象であるという負担も考えて、年1回程度ではないかと予測していた。

それらのことに関連して3/9に解釈通知が公開されたが、指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準についてでその部分をみると下記のように示されている。(※リンクを貼った通知分の6頁

18 口腔衛生の管理
(2)当該施設の従業者又は歯科医師等が入所者毎に施設入所時及び月に1回程度の口腔の健康状態の評価を実施すること。

ということで僕の当初予測は大外れとなってしまった・・・これによって介護保険施設(特養※地域密着型を含む・老健・介護医療院)においては4月以降、毎月全利用者の口腔の健康状態の評価を実施しなければならなくなる。

月に1回程度の口腔の健康状態の評価を実施」という文言になっているので、必ずしも毎月ではないのではないだろうかという疑問を口にする人も居るだろう。しかし2月に1回しか行っていなかった場合は、明らかにこの基準に違反するとみなされるだろう。

おそらく「月に1回程度」という意味は、利用者によっては何らかの事情で評価を実施できない月があるという想定上の文言であり、原則上は全利用者に毎月の評価が求められてくるのだろうと思われる。
介護施設に過剰な負担義務が課せられた
しかしこれは大きな業務負担である。評価自体は、年2回実施が求められている施設職員に対する歯科衛生士の指導を受け、施設職員(看護職員もしくは介護職員)が行うことになるだろうが、全利用者となると、複数の担当者で手分けして行わないと日数と時間がかかってしまう。

手分けして何とか1日で評価を終えようとしても、評価に関わっている間は、その評価以外の介護実務からは外れなければならないわけである。

常に人手が足りず、生産性の向上が叫ばれている介護施設としては、このような評価に介護職等の労力をかけなければならないことは大きな業務負担である。

健康を維持するための良好な栄養状態と、自立支援・身体機能維持は深いかかわりがあり、その栄養状態を維持するための口腔機能の維持・改善も重要であることは理解できる。

その為、2024年度の報酬改定では、居宅サービス・施設サービス両者において、リハビリテーション、口腔、栄養の一体的取組の推進が掲げられて、その取り組みに対する新たな評価加算も設けられている。

そのこと自体は間違っていないと思うが、その目的を達するために、全利用者に対して毎月口腔機能の評価を行う必要性が本当にあるのだろうか・・・特に口腔ケアを行っている利用者については、毎日口腔状態を確認しているようなものなのだから、改めての評価は必要ないだろう。

LIFEへの情報提供が必要なすべての加算の情報提出頻度を3月に一度に統一したことを考えると、口腔機能評価もその期間に合わせて3月ごとでよいのではないだろうか・・・それでも多いような気がするけどな。

口腔機能と健康状態・身体機能維持を結びつけるのは科学であると言えるが、そのために機械的に毎月評価を求めることは非科学的ではないのか。

そもそも次期報酬改定のテーマの一つとして、生産性の向上が掲げられて、それに関する新基準や加算が複数設けられているが、利用者全員一律に毎月口腔評価を求めることは、介護実務の生産性を低下させるのではないかと思う。

国のやることなすこと、すべて中途半端で、ちゃらんぽらんだ。現状に即した改革に結びつかないのは、所詮机上の空論から脱していない現状があるからではないのか・・・。

まったくくだらない基準改正である。


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改定率はピンとこないけどハッキリしていることがある



2024年度の介護報酬改定率は全体でプラス1.59%となった。

こうのち処遇改善分が0.98%含まれているので、本体報酬の改善分は+0.61%にしかならず、これは2021年の+0.7%の改定率より低いと評価されている。

しかし21年の+0.7%の中には、処遇改善分も含まれている。前回は今回と異なり、本体と処遇改善分が分けて示されていないが、本体報酬は確実に前回よりアップしている。

さらに8月からは、介護保険施設等の光熱水費等0.45%プラス分が上乗せされるため。この分を勘案すると改定率は+2.04%相当になる見込みである。

この数字は、消費税対応の臨時改定を除くと、過去2番目に高い改定率である。

そのことは様々な媒体でアナウンスされており、僕自身も自分が行う講演でアナウンスしているので、その数字自体を知らない人はいないのではないだろうか。

しかし・・・である。僕自身、壇上で改定率を口にしながら、その数字にあまりピンとこないというのが本当のところだ。
介護給付費
そこで言う何%という数字が何を意味しているか、すぐにピンとくる人は何人いるんだろう。

2022年度の介護給付費の総額は、11兆2.000万円であるそうだから、おそらく2023年度は12兆円を超えているのだろう。

そうなると1%は1.200億円といういうことになるのか?だが億単位の数字になると、やはりピンボケしてしまう・・・。

僕の頭の中でイメージが鮮明になる金額は、せいぜい〇千万円単位までだろう。その数字くらいだと介護事業者の年間予算や、そこでのバランスシートの数字が浮かんできて、かなり明確に予算組等がイメージできてくる。

今回の報酬改定で言えば、特養は従来型個室で16単位から24単位上がっているが、要介護1と2の利用者は特例入所と経過措置者しかいなくなっており、平均22単位の増加という特養が多いだろう。

その場合年間ベッド稼働率を9割維持すると、100人定員施設では、220円×100人×365日×0.9=7.227.000円となり、基本サービス費だけで700万円以上の収入増であるとイメージできる。

あとはいかに加算を積み上げるのか、ベッド利用率を維持するのかが問題となり、自ずとそのことが経営戦略に繋がっていく。

どちらにしても新報酬単価はサービス種別によってメリハリがつけられており、今回は昨年公表された介護事業経営実態調査で、令和4年度の収支差率がマイナスとなった施設サービスに多くの財源が回される結果となった。

その為収支差率が7.8%と高かった訪問介護の基本サービス費がマイナス改定となるなど、大きな格差が生ずる改定となっている。

その中で介護事業経営者は、全体の改定率を注目しつつも、それ以上に現在サービスを利用している人の、報酬単価が4月以降どう変わるかを計算し、必要な対応(加算算定や加算区分の変更等)に向かって準備を整えていく必要がある。

何より大事な事は、介護事業経営者や管理職は評論家ではないのだから、いつまでも決定した報酬構造を嘆いている暇なんてないということだ・・・日本介護福祉士会は現時点でもなお、訪問介護費の基本サービス費の引き下げについて、恨みつらみを述べ続けているが、それが世論を喚起し社会を動かすなんてことはないのである。

決まった現状を受け入れて、その中で従業員と利用者を護るための最大限の努力をしなければならない。

評論・評価は、経営実務ができない学者と評論家に任せておけば良いのである。

介護事業経営者や管理職は、そういう連中よりもっと重要で意義深い仕事を沿ているという自負と誇りをもって、厳しい時代の介護事業経営に努めていただきたい。


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特別通院送迎加算594単位で透析通院支援は増えるか?



2000年4月に介護保険制度がスタートした当時、施設サービスでは大きな混乱が起こった。

施設利用者と介護事業者の契約になったことで、保険外の費用を利用者に直接請求できることになり、その費用の範囲が拡大解釈される傾向があったのである。

特に通院支援について保険外費用であるとして、たくさんの介護保険施設が利用者に通院費を請求した経緯があり、そのため下記のようなQ&Aが発出された。

WAM-NET Q&A【介護保険施設】通院における移送について
Q.入所者が通院する際に、施設の車で送迎することは可能と考えますが、いかがでしょうか。なお、送迎を行う職員の人件費、車両使用にかかる費用は、施設が負担する。
A.貴見のとおりです。
WAM-NET Q&A【介護老人福祉施設】入所者の通院の際の付き添い費用について
Q.標記の場合は、介護職員の人件費、車両の使用にかかる費用等は別途入所者から徴収することは可能か。
A.指定介護老人福祉施設の入所者の通院にかかる設問の費用については、徴収することは出来ない。基本的に当該施設の介護サービス等の一環として行われるもの。(従来の取り扱いと同じであり、介護報酬上も当該費用を報酬外のものとしてはいない。) ただし、遠方の医療機関への入院等の場合は、交通費について実費相当を徴収することは差し支えないと考える。

このように通知され、2000年度中あるいは2001年度の実地指導で、通院費を自己負担させていた介護施設は返還指導を受けたのである。この際に、通院回数が多く、時間も長時間に及ぶ透析通院についてのQ&Aも同時に示されたが、そこでも次のように費用徴収は不可とされている。

WAM-NET Q&A【介護老人福祉施設】入所者の通院介助について
Q.入所者の通院に係る費用は施設で負担することが原則ですが、人工透析で週3日通院している場合も特別な場合でなく本人から費用徴収することはできないのでしょうか。
A.本人から費用を徴収することはできないものと考える。
WAM-NET Q&A【短期入所生活介護、短期入所療養介護】短期入所中の者が通院した場合の費用について
Q.短期入所中に人工透析等で通院する必要がある場合、付き添いに係る費用は、別途利用者から徴収できないと考えてよいでしょうか。
(背景)
この場合の付き添いにかかる費用は、介護報酬に含まれるものであり、施設入所の場合と同様、別途利用者から徴収できないと考えます。
A.御質問のとおり、通院について利用料の徴収はできません。 なお、人工透析中の管理については、人工透析を行う医療機関に一義的な責任があると考えられます。 

↑このように透析通院も施設の基本サービスであるという解釈が確定している。

しかし施設側からすれば、透析通院の支援は回数も多く、時間も長いために大きな負担である。この間、付き添いの職員と運転手が一定時間、そこに張り付かねばならない。「人工透析中の管理については、人工透析を行う医療機関に一義的な責任がある」といっても、透析中に通院に付き添った介護職員が待合室などで待機することを求める医療機関も少なくない。

多くの介護施設が人材難である今日の状況では、そのような長時間かつ頻回な通院付き添いは、シフト勤務を回せなくなる元凶になりかねず、透析が必要な利用者の通院支援は、施設の体制上困難であるとして、入所判定で受け入れ困難とすることに繋がっている。

ショートの受け入れの際も、透析通院だけは家族が行う場合に受け入れる施設も少なくない。

入所やショート受け入れについては、当該施設の医療体制とのマッチングを検討して良いために、それらの入所拒否や利用拒否は、「正当な理由によるサービス提供拒否」とされ認められているのである。

そのため2024年報酬改定では、透析を必要とする一定以上頻回に行われる通院介助について算定できる特別通院送迎加算(594単位/月)
が新設された。

算定要件は次の3条件に当てはまる場合である。
…蟯的かつ継続的な透析を必要とする入所者
家族や病院等による送迎が困難である等やむを得ない事由がある者
施設職員が月12回数以上の送迎を行う


一般的に透析は日中に1回4〜5時間の時間を要し、週3回ほど行うケースが多い。しかし4〜5時間というのは透析を受ける時間であり、医療機関までの往復移動時間や待ち時間を含めると、通院支援は1日仕事になるケースも多い。

国は今回の加算新設については、送迎に大きな業務負担、コストが伴うことを考慮したものであるとし、透析が必要な高齢者の受け入れを断る施設も少なくないのが現状で、その改善につなげる狙いがあるとしている。

しかし594単位/月の費用を目当てに、透析通院が必要な人を積極的に受け入れようとする施設はほとんどないだろう。わずか6千円に満たない費用を算定するより、通院支援で介護職員がひとり施設内業務から外れなければならないデメリットを考慮せざるを得ないからだ。(※そもそもこの加算の算定額は、12回通院だとしたら1回わずか495円:時給勘案すればわずか120円程度だろう人を馬鹿にした金額ではないのか・・・。

施設入所後に透析通院が必要になり、身寄りがないなどの理由で、家族の通院支援が困難なケースで、現在やむを得ず透析通院の支援を行っているのであれば、それに対して加算算定ができるようになるのはありがたいと考えることはできるが、それ以外のメリットはほとんどないと言ってよい。

よってこの加算新設で、透析が必要な高齢者の受け入れを断る施設が少なくなることはないし、算定率もかなり低いものとなるだろう。






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介護施設に課せられた新たな義務を見逃していないか



2024年度からの基準改正の中で、介護老人福祉施設地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護介護老人保健施設介護医療院に新たな義務が課せられている。

そのことを見逃している関係者はおられないだろうか。

そのことを解説する前に、1月22日にこのブログにアップした「経過措置の終了を見逃さないように」という記事を振り返ってもらいたい。

ここでは口腔衛生の管理体制を整備し、状態に応じた口腔衛生の管理の実施を求めることの3年間の経過措置が終了することによって、介護施設の基本サービスとして歯科衛生士の介入が必要になることに注意して、基準違反とならないように体制を整えるようにアナウンスした。
※これと同じ基準が24年改正で特定施設入居者生活介護にも義務付けられているので関係者は確認してください2027年度までの経過措置有り

この度の基準改正は、この体制を強化するものであり、【参考資料1】令和6年度介護報酬改定における改定事項について84頁に下記図と共に新基準が示されている。
介護保険施設における口腔機能管理の強化
このように、令和6年度介護報酬改定追加事項として、下記の2点が基本サービスといて実施しなければならなくなる。

○施設の従業者又は歯科医師若しくは歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が施設入所時及び入所後の定期的な口腔の健康状態の評価を実施すること
○技術的助言及び指導又は口腔の健康状態の評価を行う歯科医師若しくは歯科医師の指示を受けた歯科衛生士においては、当該施設との連携について、実施事項等を文書等で取り決めを行うこと


このように利用者の入所の際には必ず口腔の健康状態の評価を行うほか、定期的な評価(頻度については今後示されるだろう)も義務付けられる・・・これは結構な業務負担の増加ではないかと思う。

ただしこの評価は、歯科医師や歯科衛生士が行う必要はなく、施設の従業員でも可とされている。介護職員もできると考えてよいだろう。

外部の歯科衛生士が実施する場合は、「施設との連携について、実施事項等を文書等で取り決めを行う」という要件にも合致させないとならないのだから、そうした手間をかけないためにも、施設職員が行えるような体制づくりをした方がよいだろう。

介護職員にはそのような知識がないという方も居られると思うが、経過措置が切れた「口腔衛生の管理の実施」においては、「歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、当該施設の介護職員に対する口腔衛生の管理に係る技術的助言及び指導を年2回以上行う」ことが義務付けられているのだ。

この技術的助言及び指導において、「利用者の口腔の健康状態の評価」について指導を受けて実施できるようにすればよい。

看護・介護職全員がこの指導を受け、施設職員によって評価を行うようにすれば、施設サービス計画書の新規作成時や更新作成時に評価を同時に行うことで、業務負担はさほど増えなくなるのではないだろうか。

どちらにしてもこの基準改正には経過措置がないので、4月以降の新規入所者に対しては、即実施しなければならない。既に入所している方々についての定期評価の基準も示されるだろう。

それに備え置いて、早急に実施の準備を進める必要がある。






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特養は安堵、基本型老健は苦境の報酬改定



2024年度の介護報酬改定で、特養(介護老人福祉施設)の基本サービス費の改定状況を従来型個室とユニット型個室で比較した場合、16単位〜26単位の引き上げとなっている。(※下記図参照
特養の基本サービス費の改定状況
この改定率が高いのか低いのかは、個人によって感じ方に差が生ずるかもしれない。

しかし前回2021年度の改定状況と比較して考えると、わかりやすくなるのではないだろうか・・・ということで下記図が2021年度の改定状況である。
2021年度の特養の報酬改定
これをみて解かるように、前回は従来型個室とユニット型個室で比較した場合、14単位〜16単位の引き上げでしかなかった・・・しかもこの引き上げの中には栄養マネジメント加算14単位/日口腔衛生管理体制加算30単位/月が報酬包括されていたために、15単位上乗せされて初めて同レベルの報酬になるというカラクリがあった。

つまり2021年度の特養の報酬改定は、実質マイナス1単位〜プラス1単位でしかなかったのである。

それを考えると今回の16単位〜26単位の引き上げは実質的な引き上げ額であり、8月〜居住費(光熱水費相当分)の基準費用が1日60円引き上げられることと併せて考えると、平均でマイナスとなっている特養の収支差率の改善につながる改定ではないかと思う。

イヤそうではない・・・物価高を考えると、これでも引き上げ額は足りないと言われる関係者も居られるだろう。

しかし今回の報酬改定率は、本体部分では2021年度の0.7%を下回る0.61%でしかないわけである。そのため他のサービス種別では、基本サービス費が引き下げられたり、引き上げ額が一桁単位で終わっている事業も少なくない。

それを考えると今回の特養の単位増はそれなりの成果といってよく、全国老施協がよく頑張ったと評価されても良いのではないだろうか。

一方で老健の改定状況をみると、区分によって大きな差があることがわかる。

今回の改定では、老健の在宅復帰・在宅療養支援機能をさらに評価するため、在宅復帰率の高い区分へ高い報酬が支払われるという傾斜配分の強化が予測されていた。その為、基本型とその他については、かなり厳しい改定報酬になるのではないかと思われていたが、結果は予測通りとなった。

その他型は、その数自体がかなり少ないが、基本型は全国に数多く存在しており、その影響はかなり大きなものになると思われる。

実際に改定された単価について、従来型個室と多床室の単位数で比べてみると、基本型老健は、従来型個室3〜9単位増ユニット型個室6〜12単位増となった。これは特養よりかなり低い増加単位である。

一方で在宅強化型老健は、従来型個室32〜39単位増ユニット型個室35〜42単位増となっており、特養以上に優遇されたと言えるかもしれないが、それは基本型とその他型にかける財源を削り取って得た額とも言えなくもない。

このように諸物価高騰・運営経費の増加という状況下で、基本型はかなり厳しい対応が迫られる。特に要介護1と2の利用者が多い基本型老健は、プラス単位が最低レベルなので、より厳しい経営状況に陥いざるを得ない。

その為、単年度赤字に陥る施設も少なくないだろう。

また介護職員以外の昇給財源を確保できず、介護職員等処遇改善加算を、介護職員以外の昇給財源に回すという施設も増えるかもしれない。しかしその場合は、介護職員の給与改善額が減ることになるので、介護職員が他施設へ転職するケースも増えるかもしれない。

どちらにしても基本型老健は大ピンチである。しかも傾斜配分は、今後の報酬改定でもさらに差が広げられていくことは間違いなく、基本型老健の経営状況を改善させる方策は見えてこない。

ということは基本型老健は、在宅復帰率とベッド回転率を引き上げる努力を行い、在宅強化型老健へと転換を図っていくしかないように思える。

老健の経営は、基本型の区分にとどまったまま続けられるという幻想を持つべきではないのである。






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家庭的・アットホームという理念は昭和の遺物



介護保険施設や居住系施設は、何らかの理由で自宅での暮らしが不自由となった方が、住み替えの場所として選択する新たな居所である。

しかしそのような住み替えは、決して軽い気持ちでできるものではない。

人生の晩年期を迎えた人が住み慣れた自宅を離れ、住み替えようとするには相当の覚悟と決意が必要だろうと想像できるのである。

住み替えようと決意する人には、それだけ切羽詰まった事情があると同時に、住み替えによってそれまでより良い暮らしを手にすることができると期待しているのではないだろうか。

だからこそ住み替え場所として選択される場所で働く関係者は、その期待に沿うことができるスキルを備えてサービスを提供しなければならない。それがプロとして他者に関わる者の矜持(きょうじ)ではないかと思う。

そうしたプロの矜持をもって仕事に従事することが、私たちの社会的使命といえるし、その使命を果たすことが自分の職業に誇りを持つことができることに繋がるのではないだろうか。
水の光
私たち人間は、人生を過ごす大部分の時間を仕事をする時間に費やすのだから、自分の就く職業に対しそうした使命と誇りを抱くことができることこそ、人生を豊かにすることではないかと思う。

だからこそ自分が働く職場が、どのような理念を掲げているのかは重要なことである。

理念とは、「このようにあるべき」という根本となる考えを意味するものであり、介護事業者の理念は、何のために介護事業者が存在しているのかという根本を司るものである。

その理念が、「家庭的〜」とか「アットホーム」であるとしたら情けないと思う。それは素人の発想であり、昭和の遺物でしかない古く拙(つたな)い考え方といってよい。

介護施設は、家族のように遠慮ない関係で馴れ馴れしく接してサービス提供する場所ではないのである。そこでは介護支援のプロとして、適切な知識と確かな技術をもって利用者に向かい合うことが求められているのだから、それにふさわしいパフォーマンスにつながる理念を掲げてほしい。

そうした理念を達成する方法論を持つことで、介護保険施設や居住系施設は利用者にとって、どこよりも安全で安心した暮らしの場となるのである。

家庭的とか、アットホームなんてくだらない理念を掲げているから、理念は形骸化するし、家庭的という言葉に胡坐をかいて、無礼で馴れ馴れしい利用者対応が横行するのだ。

そしてその先には、利用者の人権を無視した不適切対応〜虐待に繋がっていくのである。その結果、利用者への暴力行為で職員が逮捕というニュースが、11月だけで何件も報道されている。

さらに表の掲示板では介護施設の職員がスレ建てして、「家族が職員への差し入れ品をSNSに画像アップしているが、あまり豪華な品物だと他の家族も豪華なものを差し入れないとならないと思うのではないか」という意見が書き込まれている。

これもひどく拙い発想だ。差し入れ物品をSNSで投稿するか否かとか、品物が高価なものであるか否かではなく、誰かひとりであっても家族から差し入れ品を受け取ってしまえば、他の人も差し入れしなければならないと思うのではないかと考えるのが普通であり、差し入れ品を安易に受け取ってしまうことを疑問視する意識がなければならない。

こんな書き込みを見て、日本の介護事業とはなんと民度が低いのだろうと思う人も出てくるだろう。

対人援助のプロとして求められる理念を掲げて、その理念の達成に向かう目標を持たない限り、そうした見方に反論できなくなってしまう。

そうであってはならないのだ。なぜならそんな職業であるとしたら、有能な人材がますます介護という職業を見放して、人材不足に拍車をかけかねないからである。

そうならないようにするためには、対人援助とは「人権」を護ることを何よりも重要であると考えるべき場であることを忘れないように、そのことを実現できる、形骸化しない理念を掲げてほしいと思う。

例えば、「対人援助のプロとしての知識と技術を備えた支援者により、お客様一人一人に安心で豊かな暮らしを提供します」といった理念はどうだろう・・・どちらにしても対人援助のプロとしての矜持を持つことができる理念づくりをしていかないと、理念という名のお飾りができて終わりということになりかねないのではないだろうか。






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老健に対する国のメッセージを見誤ってはならない



厚労省の方と話をする際、老健に話題が及ぶときに、「特養化」という言葉がよく出てくる。

勿論それは悪い意味であり、在宅復帰機能を放棄したかのような長期滞在施設になってしまっている老健は、存在意義が薄いという意味で使われている言葉だ。

ご存じのように老健の報酬単価は、特養の単価より高額に設定されている。

それは老健の介護報酬には、入所者の処方薬代金も含まれた包括報酬=いわゆるマルメ報酬であることとに加え、医師や看護職員・リハ専門職などの有資格者を、特養より数多く配置しなければならないことによる差である。

しかしその根本は、老健は医療機関入院と在宅生活の中間に位置づけられる施設であり、急性期治療を終えた方が、在宅生活ができるように回復期リハビリテーションの中核機能を担って、できるだけ速やかに要介護者を在宅復帰させるための専門職配置であり、そのための報酬単価であることを忘れてはならない。

その為、厚労省の官僚の中には、「特養化した老健は、特養と同等の報酬単価でよい」と考える人も多いし、さらには「そうした老健は倒産・廃業したって良い」と考えている人も居る。

現在5区分(超強化型・在宅強化型・加算型・基本型・その他)に分かれている老健のうち、「その他老健」が経営困難なほどの報酬単価になっている意味は、「そんな老健はいらない」というメッセージなのである。

そして国は介護報酬改定の度に、在宅復帰・在宅療養支援機能を強化する仕組みを少しずつバージョンアップさせている。

その為、来年度の報酬改定では「基本型」についてもかなり厳しい改定となることは、「基本型老健にさらなる逆風」で解説したとおりである。

その具体的内容が11/16の介護給付費分科会で示されたので整理してみよう。
前途多難な船出
在宅復帰・在宅療養支援等指標については次の2点の評価を加える。
入所前後訪問指導割合及び退所前後訪問指導割合に係る指標の取得状況を踏まえ、基準を引き上げる
・支援相談員の配置割合に係る指標において、社会福祉士の配置を評価する。

そのうえで各類型間における基本報酬において更に評価の差をつける・・・つまり傾斜配分を今以上に強化し、基本型以下の老健の基本サービス費は下げて、加算型以上の老健の基本サービス費を引き上げる財源に回すことになる。

老健の中核加算ともいえる短期集中リハビリテーション実施加算については、原則として入所時及び月1回以上ADL等の評価を行った上で、必要に応じてリハビリテーション計画を見直すとともに、評価結果をLIFEに提出した場合の加算区分を新設する。

認知症リハビリについては、学習療法や記憶訓練等に比重が偏っており、廃用予防や活動・参加につながる訓練をすべきであるとの指摘がされていたことを踏まえ、認知症短期集中リハビリテーション実施加算について、利用者の居宅を訪問し生活環境を把握することを要件とし、居宅を訪問しない場合と区分して算定できるようにする。

認知症リハビリにも、もきちんと身体機能を改善できる方法を取り入れて、自宅復帰ができることを意識させる改定内容となっている。

また今回の報酬改定では、居宅サービス・施設サービス横断的に、リハ・口腔・栄養を一体的に推進するとしているため、リハビリテーションマネジメント計画書情報加算について、リハビリテーション・口腔・栄養を一体的に推進する観点から、下記の要件を満たす場合について評価する加算区分を新設し、要件を以下の通りとする。
・口腔衛生管理加算(供傍擇啀浜椒泪優献瓮鵐閥化加算を算定していること。
・実施計画等の内容について、リハ・口腔・栄養の情報を関係職種間で一体的に共有すること。その際、必要に応じてLIFE提出情報を活用すること。
・共有した情報を踏まえ、リハビリテーション計画について必要な見直しを行った上で、見直しの内容について関係職種に対しフィードバックを行うこと。
(※介護医療院の理学療法等(特別診療費)特養の個別機能訓練加算(供についても同様の見直しを行う)

また慢性心不全が増悪した場合について所定疾患施設療養費の対象として追加している。

ターミナルケア加算については、死亡日から期間が離れた区分における評価を引き下げ、死亡直前における評価をより一層行うよう重点化を図るとされた。

かかりつけ医連携薬剤調整加算(機の下位区分に、施設において薬剤を評価・調整した場合を追加し、下記の3要件を追加することとした。
・ 処方を変更する際の留意事項を医師、薬剤師及び看護師等の多職種で共有し、処方変更に伴う病状の悪化や新たな副作用の有無について、多職種で確認し、必要に応じて総合的に評価を行うこと
・ 入所前に6種類以上の内服薬が処方されている方を対象とすること
・ 入所者や家族に対して、処方変更に伴う注意事項の説明やポファーマシーに関する一般的な注意の啓発を行うこと。

このように減薬の取り組みも一層推進する方向が示されている。

なお地域連携診療計画情報提供加算及び認知症情報提供加算は算定率が低いため廃止とするとされた。

このように老健の主たる改定事項は、在宅復帰施設としての機能を強化する方向にシフトしていることが明らかである。

その為、現在基本型の報酬しか算定できていない老健は、一日も早く加算型に移行する手立てをとらないと、ごく近い将来、経営破綻に追い込まれることを覚悟しておかねばならない。






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協力医療機関指定義務化は特養には高いハードル



11/16の介護給付費分科会では、介護保険施設・特定施設・福祉用具・住宅改修の報酬改定議論第2ラウンドの議論が行われた。

僕がここで注目していたのは、老健と介護医療院の多床室室料の自己負担について論点として示されるかどうかであった。

というのも昨年末の制度改正議論で積み残された3つの課題のうち、〕用者自己負担割合2割・3割対象者(一定以上所得者と現役並み所得者)の対象見直し※2割負担者を現行20%から25%へ)と、65歳以上の介護保険料について、年間の合計所得が410万円以上などおよそ140万人の保険料を引き上げ、それを財源として低所得者は引き下げる案については、11/6の介護保険部会資料で示されており、もう一点だけ残されたO祁鬚伐雜邂緡撤,梁疹下室捨舛亮己負担について、論点提示されれば積み残し課題がすべて実現される運びになると思えたからだ。

昨日はそれが提示されなかった。しかし考えてみれば11/6に2つの論点が提示されたのは制度改正を議論する介護保険部会であり、今回は報酬改定を議論する介護給付費分科会だから、その違いなのか・・・それとも6日の介護保険部会の議題としても挙がらなかったことを考えると、それは見送られるのだろうか。

だが、改定率が公表された後の、「介護報酬改定の主な事項」によっていきなり提示される可能性もあるので、ここでは結論を示すことはできない。

それは介護施設の食費の標準費用も同じことで、昨日の資料では何の言及もないが、改定率が示された以後に急に考え方が示されることになるのではないだろうか。
紅葉の絨毯
さて昨日の議論では介護保険施設について、協力医療機関の指定を義務化することが提案され話題となっている。

そてによると1年間の経過措置を設けたうえで、下記の(1)から(3)の要件を満たす協力医療機関を定める義務を課すとしている。
(1)入所者の急変時などに、医師や看護職員が夜間休日を含めて相談対応する体制が確保されていること
(2)診療の求めを受け、夜間休日を含めて診療が可能な体制を確保していること
(3)緊急時に原則入院できる体制を確保していること

※ 複数の協力医療機関を定めることで(1)〜(3)を満たすことも可

特定施設・認知症グループホームについては、(1)と(2)を努力義務とすることも併せて提案された。

協力医療機関を定める規定は現在も存在しているが、これと今回の案はどう違うのだろう。

現在の規定は、どこそこが協力医療機関であると運営規定に定めればよいだけの話で、協力医療機関においてどのような利便が図られるかという点は特に定めがなく、施設と医療機関の間で決めおくだけでよいという規定だ。

極端に言えば、医療機関の承諾を得て、運営規定上に協力病院として名称を記載するだけでも良いわけであり、協力医療機関として特別な対応をとる体制がなくともよいわけである。

しかし今回提案された義務化によって、上記の(1)〜(3)の体制が必要になるわけである。

これは果たして可能だろうか・・・老健と介護医療院については、もともと母体が医療機関だろうから、この体制は比較的容易に構築できるであろう。

しかし特養はそういうわけにはいかない。僕が以前総合施設長を務めていた社福・特養の場合は、母体が医療機関であったので、老健等と同じようにその体制作りは難しくないだろう。

しかし母体がない社福単独型や医療機関以外の母体を持つ特養は、その体制構築は困難である。特に(3)のハードルが高すぎる。

どこの医療機関が、協力施設のためにベッドを空けておいてくれるというのだろう・・・関連施設でない限り、常識で考えてそのような対応はあり得ない。

また(1)と(2)も決して低いハードルではない。これらの体制を全て整えるならば、協力医療機関としての委託料が発生するとされるケースも出てくるだろう。しかし今回の義務化に対する加算報酬はないわけであるから、この義務化は今現在は発生しない経費支出を伴う可能性も否定できない。

今までほとんど議論がない中で、突然示された協力病院の指定義務化とは、これだけのハードルがあることを厚労省は理解しているのだろうか。

どちらにしても簡単に、「わかりました」と承諾できる提案ではないと思う。

全国老施協は、この提案に対してどのような考え方を示すだろうか・・・全国老施協がどちらを向いているのかが、その姿勢によって明らかになるのかもしれないので、ここには注目しておきたい。






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基本型老健にさらなる逆風


web会議で行われた8/7の第221回社会保障審議会介護給付費分科会(※資料)は、介護保険3施設と特定施設等の議論が中心となった。

そこで行われた議論では、すべての施設で、「看取りへの対応の充実」が重要な論点として挙がっている点が注目される。

居宅サービスの論点でもこのことは取り上げられており、多死社会に突入した我が国においては、全サービスで看取り介護・ターミナルケアの実践が重要とされていることがわかり、それに関する加算報酬は今後も優遇されていくだろう。

僕は我が国で最初の、「看取り介護指針」の作成者でもあり、その指針に基づく看取り介護実践を行ってきた経験から、全国各地で数多くの看取り介護講演を行っているので、是非機会があればそうした講演を聴きに来ていただきたい。
清流
それはともかく、今日は老健の論点が興味深かったので、そのことを取り上げて考察してみよう。

今更言うまでもなく、老健の最重要機能とは在宅復帰機能であり、この機能に関する議論が活発に行われた。

例えば、老健におけるリハビリテーションについて、老健入所直後は、集中的なリハビリテーションにより比較的大きく、ADLが改善することが示されているとして、在宅復帰に結びつく効果あるリハビリテーション実践への更なる評価が必要であることが示唆されている。

同時に、認知症リハビリテーションについては、「学習療法や記憶訓練等に比重が偏っている」と指摘され、もっと在宅復帰に結びつくための廃用予防や活動・参加につながる訓練をすべきであるとの指摘がされている。

このように老健の論点では、今まで以上に在宅復帰・在宅療養支援機能の促進に向けた報酬設定が最重要課題とされているのである。

さらに当日の議論では、「在宅復帰に向けた地域拠点としての役割、リハビリで心身機能を維持・改善する役割は引き続き重要。報酬のメリハリ付けも念頭に置きつつ、サービスを必要とする高齢者がしっかりと利用できるようにしていくことが必要」という指摘もされており、基本サービス費についても、より在宅復帰機能が高い老健の報酬が今まで以上に優遇される可能性が高まったと言える。

現在老健は、超強化型強化型加算型、・基本型その他の5類型に分かれている。当然超強化型の報酬単価が一番高く、その他に向かうほど低く設定されているわけであるが、この報酬単価の傾斜配分がより強化されるのではないかと予測する。

というのも今年2月のデータでみると、老健の類型は既に超強化型、強化型、加算型の3つで全体のおよそ7割を占めるに至っているのである。基本型とその他は少数派に落ち込んでおり、この2つの類型はなくなっても良いと国は考えている節がある。

さすれば加算型以上の老健の基本報酬が上げられると仮定した場合、その財源は基本型とその他の報酬をカットして回すということもあり得るわけである。

昨年書いた、「基本型老健には厳しい制度改正になります」の中で、特養の特例入所要件の緩和と、老健の多床室室料負担が実現した場合、基本型老健に長期入所している要介護1と2の利用者の、特養への流出現象が起きて、基本型老健の空きベッドが大量発生する可能性を指摘しているが、このことと併せて考えると、基本型老健は制度開始以来最大の逆風を受けることになりかねない。

どちらにしても長期的に考えると、基本型老健はいずれ経営困難なほど報酬カットが行われ、自然消滅へのシナリオが描かれることは間違いないだろう。

よって基本型の報酬しか算定できていない老健は、一日も早く加算型報酬を算定できる体制へと移行していく必要があることを指摘しておきたい。



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今年のお盆帰省が最期の機会となる人がいます


今年のお盆帰省のUターンピークは15日と言われていた。

ということは先週金曜日の山の日の祝日からお盆休みを1週間とれる人も少なくなかったということだろう。

シフト勤務が中心で、お盆休みとは縁がない介護事業関係者にとって、それはとても羨ましいことに思える。

しかし台風7号の影響で、東海・近畿地方ではすでに交通に影響が出ている。新千歳空港の発着便にも影響が出て、今日夕方の伊丹空港や関西国際空港等への出発便などで欠航が決まっている。(※ピーチの名古屋行きは午前中から全便欠航している。

明日はもっと大きな影響が出るとされているので、昨日までにUターンを速めた人も多いのではないだろうか。

しかし明後日以降まで自宅に戻れない人の方が多くなるかもしれない。身の安全が何より大事なので、焦らず対応していただきたい。
風鈴寺
ところで今年のお盆は新型コロナの感染分類が変更になったことで、3年ぶり・4年ぶりに故郷に帰省したという人も多いはずだ。

そこで介護施設等に入居している家族や親族に久方ぶりで逢いたいと思っていた方もいるのではないかと思う。

しかし介護保険施設や居住系施設で未だに面会制限を行っているところも少なくはない。特に対面の面会を完全に禁じているところでは、久しぶりに帰省して身内と何年かぶりに逢おうとしても、「感染予防対策」の名のもとに、利用者やその家族・親族等の願いや思いがすべてつぶされてしまうわけである。

それが対人援助サービスとしての姿であってよいのだろうか。

そうした制限を続ける理由は、クラスター感染を恐れてだと思うのだが、新型コロナウイルスはなくならない。ずっとこの感染症とは付き合わねばならないのだから、実際にクラスター感染が起こっていない状況で面会制限をし続けてよいのかを考えなけれなならない。

勿論、制限を続けている施設関係者にもジレンマがあるようで、表の掲示板の関連スレッドにも、様々な意見が書き込まれている。

関係者の皆さんもいろいろと悩み、苦しみながら苦渋の決断として制限を続けている様子が見て取れ、その気持ちもわからないではないか、しかし時間や人数の制限や面会場所の指定はあっても仕方がないとしても、少なくとも対面の面会を完全に禁ずるなんてことは、もうあってはならないことと考えるべきではないかと思う。

僕は8年前まで社福の総合施設長を務めていたが、その当時特養の年間平均死亡者数は定員の2割〜3割と言われていた。つまり100人定員の施設であれば、1年間で20人〜30人の利用者が死亡退所するという意味だ。

そうであれば今、100定員の特養でお盆を過ごしている人のうち、20人〜30人の利用者が来年のお盆を迎える前に亡くなられる可能性があるということになる。それらの方にとって、お盆で帰省している愛する誰かと逢える機会は今だけなのかもしれないということを考えてもらいたい。

私たちの仕事は誰かの暮らしを豊かにするためにあるのだ。ルールや制限でがんじがらめにして、利用者の命の安全だけを図る仕事ではないのだということを思い出してほしい。

特に高齢者介護においては、この世で縁を結んだ愛しい人々との最期の愛のエピソードづくりの支援ということが、私たちの重要な役割になることを忘れてはならない。

縁を途絶えさせる役割なんて、私たちには持たされていないのである。




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密室化慣れからの脱却


新型コロナの感染症分類が5類に変更されたことに伴い、やっと面会制限を解除する方向に向かっている介護施設・居住系施設が多い。

それにしてもコロナ禍のこの3年間は、様々な場面での異常な状態が、「当たり前」と考えられるようになってしまった。
ちなみにコロナ禍とは、「新型コロナウイルスが招いた災難や危機的状況」を指す。その時期の明確な定義は存在しないが、2020年3月半ば頃から、新聞やネット上でコロナ禍という言葉がよく見かけられるようになっている。

例えばこの3年間、対面による面会制限を一度も解除せず、オンライン面会しか認めていな介護施設も存在する。コロナ禍以後にそこに就職した人は、それが当たり前と思っており、利用者をケアする場は、職員以外の外部の門が立ち入ってはならない場所と思い込んでいる職員もいたりする。

しかし利用者の居住空間を、管理者側の都合で密室化することは許されていない。本来防犯以外の目的で施錠は許されていないので、24時間施錠や外出禁止、面会制限も身体拘束廃止規定に違反する問題である。

コロナ禍という特別な時期だけに許されていた制限を、感染症分類が変更になった今も、ダラダラとt継続していることは、法令上も罰則対象となる恐れがあることを理解せねばならない。

そのような指摘に対しては、「感染症分類が変わったと言っても、新型コロナウイルスが無くなったわけではないので、引き続き注意が必要だ。」と反論したりする人がいたりするが、そんなことを言っていたら未来永劫感染予防対策にがんじがらめになって、社会活動は正常に戻らない。

新型コロナウイルスの感染力や致死率も、季節性インフルエンザと変わらないレベルになっているのだから、コロナ禍以前の正常な社会活動を取り戻すことを第一に考えるべきである。

クラスター感染を恐れて、感染者がいない状況で制限を続けるなんてことであってはならないのだ。
誰かのあかい花になるために
ところで、面会制限を解除した介護施設等の関係者からは、長期間の面会制限中に外部の目が届かなかったことの負の遺産を心配する声も出されている。

面会制限中に接遇意識が緩んで、言葉遣いをはじめとした顧客対応に劣化が生じて、改めてサービスマナー意識の向上が必要とされるという声が挙がっているのである。

本来それは情けのないことである。サービスマナーは、お客様自身に対する意識で、第3者の目があろうとなかろうと護らねばならない意識だからだ。

しかし人間はいつも己を律し続けて生きられる強い存在でもない。心が緩むことがあるのも人間である。面会制限期間中に利用者と職員以外しか存在しない場所で、外部の目が届かず、外部からの声も聞こえなくなったことによって、甘えが生じてしまうということもあるのだろう。

それによってサービスマナー意識の低下による利用者対応の劣化が生じたことを反省しなければならない介護事業者は少なくないのではないかと思う。

その反省に立って、改めてサービスマナー意識の向上に努めることは必要なことであるし、それを行おうとする介護事業者には未来があると言える。

今後は、外部の目の届かない時期や場所であっても、サービスマナー意識を低下させないための根本を、しっかり教育してほしいと思う。

僕もそのお手伝いはできるので、介護事業に通用する本物のサービスマナー教育を求めている方は、是非講師依頼の連絡をしてほしい。

まずはメール等で打診していただければ、条件等を調整できると思うので、公式サイトの右上サイドバーのメールマーク📩をクリックして連絡していただきたい。
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特養入所指針の一部改正通知は中途半端すぎる


4/7付で発出された介護保険最新情報のVol.1141は、「指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針について」の一部改正について(通知)とされている。

今回の通知内容は、原則として要介護3以上の高齢者としている特別養護老人ホームの入所基準に関連して、要介護1、2でも施設へ入れるようにする「特例入所」の趣旨の明確化を図ったものである。

特養の入所基準の見直しの必要性等については、「特養の入所基準再見直しは他サービスにも広く影響します」で昨年8月に解説しているので参照してほしい。

特養は平成27年度(2015年度)から要介護3以上の要介護者に限定して入所が認められるように法令改正されているが、この原則自体を見直して元の基準に戻すことは、施策の一貫性を欠くものだとして行われなかった。その代わりに特例入所を現行より広く認めるように、その周知を図ったというのが今回の通知の主旨である。

しかしこれによって本当に、特例入所の適用件数が増えるだろうか・・・。
ドウダンツツジ
改正前の通知では特例入所について次のように例示されている。
--------------------------------------------------
(1)特例入所の対象者について
特例入所の要件に該当することの判定に際しては、居宅において日常生活を営むことが困難なことについてやむを得ない事由があることに関し、以下の事情を考慮すること。
’知症である者であって、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られること
知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られること
2搬嘉による深刻な虐待が疑われること等により、心身の安全・安心の確保が困難であること
っ運叛ぢ咾任△襦同居家族が高齢又は病弱である等により家族等による支援が期待できず、かつ、地域での介護サービスや生活支援の供給が不十分であること

--------------------------------------------------
今回の通知では上記に加えて、下記の部分の赤字で示した部分が追記されている。

(2)その他の勘案事項について
居宅サービスの利用に関する状況などが考えられることや、要介護1又は2の方について、2.(1) 銑い坊任欧襦居宅において日常生活を営むことが困難なことについてやむを得ない事由がある状況などが考えられること。

つまりその他の勘案事項に、「居宅において日常生活を営むことが困難なことについてやむを得ない事由がある状況」が追加されているだけなのである。

個々の実情を十分に考慮しなさいと促した内容ではあるが、さして従前通知と変わった内容とは思えない。

これが、「特例入所」の趣旨の明確化だと言われても首をかしげたくなる内容だ。

これによって本当に特例入所が広く適用され、増えるかと云われても首を傾げてしまう。特に市町村は、今回の通知の6.その他で、「管内の市町村・関係団体における特例入所に関する指針の作成及び特例入所の運用について、必要な助言及び適切な援助を行うこと。」とされているため、特例入所が増えることで仕事が増えると考えてしまう可能性も生ずる。

さすれば大した強制力もない今回の通知は無視して、従前と変わらぬ対応で特例入所の適用ケースもさほど広がらないのではないかと想像してしまう。

そのため行き場のない軽度者の救済という根本問題は、今回の通知では解決しないと言ってよいのではないかと考えざるを得ない。

こんな中途半端な通知ではなく、もっと積極的に特例入所を適用せよとする通知にするか、入所要件自体を従前の要介護1以上に戻すかの方がスッキリしたのではないだろうか。

どちらにしても特例入所に関して、その適用に大きな地域差が見られるという状況に大きな変化は起こらないと思える。

行政担当者との協議・折衝する特養の入所担当者の苦労も絶えないことだろう。そういう意味で非常に残念な通知内容であると思う。
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特養の経営破綻が現実味を帯びてくる収支差率


厚労省は今月1日、令和4年度介護事業経営概況調査結果の概要を公表した。

そこで示された最新の収支差率とは、令和3年度(2021年度)決算の数字であり、以下の図のように報告されている。
令和4年度介護介護サービスにおける収支差率
この結果について、コロナ禍の利用控えの影響を受けた、「通所介護」の収支悪化が話題となっているが、逆に言えば収支悪化の原因がはっきりしているのだから、利用控えが収まれば収支の回復が期待できるともいえる。(※通所リハも同じことがいえるだろう。)

特に2023年はいわゆる「団塊の世代」のおよそ7割が75歳以上の後期高齢者になる見込みで、通所サービス利用ニーズはまだ増えると思われる。そのため通所介護は飽和状態で、自然淘汰される事業所が増えるのではないかとされる懸念の声は、一時的にはかき消されるのではないだろうか。

それにも増して心配なのは、コロナ禍でもベッド稼働率の極端な低下がなかったはずの特養の収支差率が下がっていることだ。

上記の表をみてわかるように、特養の収支差率は既に1.3%となっている。介護施設は簡単にベッド数を増やことはできないので、これは非常に心配な数字である。

2021年度からちょうど10年前の、2011年度の介護事業経営調査では、介護3施設の収支差率平均は9.3%で、特養は10%を超えていた。

これが多額の内部留保批判論へとつながり、介護報酬改定の度に報酬削減の大きな理由となって、基本サービス費は引き下げられてきたわけである。

それによってわずか10年で特養の収支差率は1/10となった。しかしこれは危険水域ではないのだろうか・・・。

特養は介護保険制度以前は措置費運営で、職員給与は国家公務員に準拠(※同じという意味)されていた。

その為職員の平均勤務年数も高く、平均給与額も国家公務員並みだった。おそらく当時の老健施設(老人保健法時代)より平均給与額は高かっただろう。

そのような中で、僕が勤めていた社会福祉法人は、介護保険制度が施行された当時、既に事業開始から18年を経ていた。

その法人は、介護経営実態調査の収支差率調査の対象になったことはなかった。つまり国が公表する平均収支差率のもとになるデータは、介護保険制度以後にできた職員の経験年数が浅く、給与が低い事業者がかなり多く含まれているという疑いがぬぐえないのだ。

そういうデータに基づく数値の収支差率が1%台であるということは、全国の至る所で単年度赤字の特養が出現しているという意味ではないのか・・・。そういったところは、繰越金を取り崩して施設経営を続けているのだろう。しかし繰越金はいつか尽きるのである。

しかも収益率が1.3%まで下がった2021年度より、2022年度は物価高の影響によってさらに収益率が下がる特養が多いはずだ。そのような低い平均収益率のなかで、数多くの単年度赤字施設が発生するとしたら、それによって特養経営が破綻することも現実的になってくるのではないか。

それは介護難民を大量発生させることに繋がりかねない。特にそのことは、補足給付を受けないと施設サービスを利用できない低所得者層には大きなダメージとなるだろう。

2024年度の介護報酬改定について厚生労働省は、今年5月から最新の介護事業経営実態調査を行い、結果を今年10月ごろにまとめたうえで、その数値を直近のデータとして報酬改定の判断に使う予定にしている。

ここで実態に近い厳しい収益状況が把握され、基本サービス費が上がらないことにはどうしようもない。

全国老施協等の関係者は、介護事業経営実態調査が実態を正しく反映される調査対象を選んで実施されるように提言と監視を強め、プラス改定に向けて強力な運動を推し進めていく必要があるのではないか・・・。

財源がないとう理屈で特養の経営破綻が続出してよいのかということを、より強く訴えるべきでではないだろうか・・・。
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基本型老健には厳しい制度改正になります


基本型老健の関係者の皆さんは、いま議論されている制度改正の内容を見て、暢気に構えていられないと思うのだが、いかがだろうか。

それだけ基本型老健の存続の危機につながる制度改正になるような気がするし、そういう危機感をもって対策に乗り出す必要があるのではないのか・・・。

というのも次期改正では、特養の入所基準見直しが検討されている。これが基本型以下の老健経営に大きく影響してくる。(参照:特養の入所基準の再見直しは他サービスにも広く影響します

今この時期に厚労省の提案としてこの見直し案が議論の俎上に挙げられたということは、何らかの変更が行われるのは確実で、元通り要介護1以上が入所対象になるか、そうならなくとも特例入所のハードルを下げて、実質要介護1以上の要介護者は、特養に入所することが可能になることはほぼ間違いがない。

文字リンクを貼りつけた記事にも書いた通り、そうなると「その他型」と「基本型」の老健に入所している、長期入所の軽介護者(要介護1と2の利用者)が特養に入所できることになる。

問題はそれだけではない。
落陽
今現在の段階で、次期改正で変更可能性が一番高い改正案は、サービス利用時の自己負担割合の2割負担者と3割負担者の拡大案である。

このことについては18日の国会における首相答弁でも、「負担できる方には、確実に負担していただくように制度を改正する」という趣旨が語られており、なおかつ後期高齢者医療制度の2割負担者が10月から拡大している流れもあって、2割負担者が拡大することは確実視されている。

それと同時に、老健と介護医療院の多床室の室料自己負担も確実に実施されることが予測されている。

既に特養の多床室室料自己負担は実施されており、介護保険施設の類型が介護医療院の新設で、新たな3類型と再編されたことによって、多床室室料負担の均等化を図ることの障壁がなくなっている。よって老健と介護医療院の多床室利用者の室料負担という形の自己負担増も確実視されている。

老健の利用料金は基本サービス費の自己負担は特養より高くなっているものの、多床室の室料負担がない分、特養より全体の利用料金がかからないか、ほとんど変わらないかという金額であるために、特養に入所できない軽介護者が老健に長期入所しているケースも多い。

そこに2割負担する利用者が増え、かつ室料負担が上乗せされてくる。

この2重の負担増に耐えきれずに、特養への転入所を希望する老健利用者が増えることは容易に想像できる。それに加えて要介護2以下でも特養に入所できる改正が実現すれば、その他型老健や基本型老健から退所して、特養に入所する軽介護者が増えることは確実だ。

さらに特養の入所要件が元に戻されて、要介護2以下も入所対象となれば、老健の新規利用者の数も減ってくるだろう。その時、全国に数多くある基本型老健は、ベッドを埋めて稼働率を下げることなく収益を挙げ続けることができるだろうか・・・。

僕が1年間だけ勤めていた千歳市の「クリアコート千歳」という老健は、加算型になるには程遠い在宅復帰率の低い基本型老健であるが、そこでは介護職員のトップが、「職員の数が足りず手が回らないので、新規利用者は食事摂取が自立してい人ではないと受け入れてはならない」と、勝手なルールを入所担当者に押し付けていた。そのような老健は今回の厳しい改正の波の中に吞み込まれ沈没の危険性がある。こういう施設には決して就職しないことが大事だ。

食事摂取が自立していない人の入所を拒むような老健は、無くなってしまっても問題ないが、行き場のない軽介護者を受け入れるために、あえて基本型老健としていた施設は、加算型への転換などの事業戦略の見直しが早急に迫られることになるだろう。

どちらにしても、その他型と基本型老健に厳しい改正になることは確実で、しかしそれは、老健は加算型以上(加算型・在宅強化型・超強化型)が残ればよいという、厚労省の思惑とも合致する改正なのかもしれない。
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ケアプランに沿ったサービスがより重要になります


このブログで何度か指摘しているように、居宅サービス計画書施設サービス計画書との法的位置づけには大きな違いがある。

居宅サービス計画書は、保険給付サービスの要件となっておらず、償還払いサービス現物給付化する手段でしかない。

もう少し詳しく解説すると、介護保険の居宅サービスを受ける際の原則は償還払いとなっている。このため利用者は一旦10割の費用を居宅サービス事業所に支払って、後に役所から自己負担分を除く費用の還付を受けることになる。

しかし一時的でもサービス費用の全額を支払うことが負担と感ずる人も多い。そのため居宅サービス計画書を作成し、その計画に基づいたサービスを提供することで、居宅サービス事業所(通所介護事業所等)は保険請求できるようになる。つまり利用者はサービス利用時に自己負担割合に基づいた支払いで済むようになるわけである。これがサービスの現物給付化である。

よって初めから償還払いで良しとする人は、居宅サービス計画を作成せずにサービス利用することは可能である。

それに対して施設サービス計画書は、保険給付サービスの要件となっており、施設サービス計画のない状態でのサービス利用は認められていない。(※居宅サービス計画と施設サービス計画の法的位置付けの違い

そのため入所初日から施設サービス計画書は必要なので、インテーク(入所前面接)の際などに、老企29号通知の〔別紙 4〕課題分析標準項目についてで示されている、「課題分析標準項目23項目」に基づくアセスメントを行って、仮であっても施設サービス計画書を作成しておく必要がある。

施設サービス計画書とは、それだけ重要な計画であるにもかかわらず、施設サービス計画書に基づいたサービスが実施できていない施設がある。

例えば、計画書が形骸化し行政指導のための書式に貶められている施設では、計画内容を熟知していない介護職等が利用者対応している状況が見受けられる。

しかしそれは運営基準違反を問われるだけではなく、契約不履行の責任を問われかねない問題である。

なぜなら介護施設の指定基準(特養の場合は、指定基準12条7項)では、「施設サービス計画の原案の内容について入所者又はその家族に対して説明し、文書により入所者の同意を得なければならない。」とされており、その同意を得ている以上、同意を得た内容のサービスを実施していない状態は契約不履行状態となるからだ。

この場合、契約どうりにサービス提供されていない状態は、損害賠償対象事由になり得ることにも注意が必要だ。(※実際には、過去にそう言った損害賠償事例はない。

しかも2021年度の報酬改定では、LIFEへの情報提供を行う加算が新設されている。そしてこの加算のいくつかは、単に情報をLIFEに送るだけではなく、LIFEがその情報を分析し、情報提出先にフィードバックを行い、そのフィードバックされたものを、介護事業者はPDCA活用しなければならない。
科学的介護の目指す将来像
上記の図は、科学的介護の目指すフィードバック活用の将来像である。

ここでは栄養状態と身体機能の維持・向上の因果関係を抽出したと想定した場合に行いたいフィードバックについて例示しているが、施設サービスにおける個人フィードバックについては、施設サービス計画書に、フィードバックされた内容を反映する必要がある。
※現在は、フィードバックが暫定版にとどまっており、活用できるものだけすればよいとされ、実質フィードバック活用がされていなくとも問題はない。ただし正式版に備えて、できるものは随時フィードバックしておくことが望ましい。

そのため施設サービス計画書の内容に沿ったサービスの実施がより重要視され、そこに齟齬がある場合、LIFE関連加算の返還指導を受ける可能性も無きにしも非ずである。

そうならないためにも、ごく当たり前に施設サービス計画書の内容に沿ったサービス提供を意識せねばならないし、そのために実行可能な施設サービス計画を作成せねばならない。

なお施設サービス計画と同じ法的な位置づけとなっている、居宅サービス事業所の計画通所介護計画・通所リハビリ計画等)も施設サービス計画書と同じことがいえるわけであり、LIFEからのフィードバック活用した計画実施が求められてくる。

その重要性に気が付いた先見性のある介護施設や居宅サービス事業所及びそれらの職能団体では、「計画書に沿ったサービス提供」をテーマにした研修を行うところが増えてきた。

そのため僕も、「ケアプランの重要性とそれに基づいたケアの実践」といったテーマで、施設サービス計画書や通所介護計画書に基づいたサービスの在り方・実務に結びつく計画の作成方法等について講演する機会が増えている。

どちらにしても今後は、施設サービス計画書や各居宅サービス事業所の個別計画書に基づくサービス提供と、その検証作業ということがより重要になるし、行政による運営指導も、この点を重点的に検査していくことになるので、その備えを十分にしておく必要がある。

このように今後の介護事業においては、ケアプランを単なる行政指導のアリバイ作りのための書式として終わりにせず、ケアサービスチーム内の共通言語として実務に活用することが何より求められるのである。

そのことをしっかりと理解して、LIFEからのフィードバック正式版に備えておいてほしい。
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声なき声に耳を澄ますことができる介護であってください。


コロナ禍という状況で、クラスター感染が多くの施設で発生した高齢者施設では、長期間の面会制限が続けられおり、いまだに制限解除ができない施設も多くなっています。

しかし介護施設関係者もそのことを当たり前とは思っておらず、心苦しく思いながら、何とか制限の解除をしたいと思いつつも、実際にクラスター感染に見舞われた施設の大変な状況を知るにつけ、その決断ができかねている状況について、「介護施設は決して安易に面会制限を続けているわけではない」という記事の中でお知らせしています。

そこでは僕が管理する表の掲示板の、「施設の面会制限とQOLのバランスはどのように取っていますか?」というスレッドを紹介して、全国の介護施設の情報提供を呼び掛けたところです。
声なき声を聴く介護
そのスレッドに昨日(10/6)、大阪の特養にお母さまを入所させている、「つくし」さんという方から次のようなコメントが書き込まれています。(※表の掲示板の当該コメントを複写します
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母が大阪の特養に入所しています。
2020年3月からずっと面会制限が続いています。
大阪府の新型コロナ警戒信号が赤色の場合はリモート面会のみ、黄色の場合は面会室でアクリル板越しの対面面会、いずれも月1回10分間限定、青色の場合は居室で週1回程度30分以内の面会となっていますが、黄色や青になってもすぐには対面面会を再開していただけないので、この2年半の間で居室で面会ができたのは2週間程度だけでした。

コロナ前は毎日仕事帰りに施設に通い、母の食事介助を続けておりましたので、この先に取り返すことのできない貴重な母との時間を失い続けることが筆舌につくしがたい苦しみであり、実に残酷な措置だと思っています。

面会の要望は、親の介護を助けていただいている立場の家族からは大変申し上げにくいものです。おそらく家族は本当の思いの10分の1も声にできていないと思います。

母の施設ではいつも「大阪府からの要請なのでご理解ください」の一文だけで一方的に決定事項が家族に通知されます。懸命に介護を続けて下さっている施設職員の皆様には心から感謝していますし、制限の解除は施設にとってはご負担になるということは重々承知しておりますが、3年目に入ってもこの扱いを続けられることに家族としては、正直なところ納得できていません。

一度きりの人生の終末期に2年半も延々と自由を奪われ続けることがどれほど辛く、苦しいことか、どうか自分事として想像してみてほしいのです。要介護高齢者であっても人間です。コロナ回避のための今のような生き方を本当に受け入れているでしょうか。

これほどの長期に渡る制限は人権にかかわる重大な問題であり、施設、入所者、家族が十分に議論を重ねた上で決めなければいけないことではないでしょうか。
入所者と家族の面会、触れ合いは「なくてもいいもの」ではなく、必要不可欠なケアの一つと捉えて今後の対応を共に考えていただきたいと思います。(複写ここまで
--------------------------------------------------
介護施設の関係者は、こうした声に真摯に耳を傾けなければならないと思うのです。

面会制限やむなしとして一方的にその制限を利用者や家族に押し付けて終わりではなく、こうした声があるという事実を受けとめ、同じような思いを抱いて、その思いを口にできない多くの家族が存在しているであろうことに思いを馳せる必要があると思います。

つくしさんと同じように、やるせない思いを抱いている声なき声が全国に満ち満ちているのだということを、私たちは忘れてはならないと思います。

できればそういう声を、直接施設側に届けることができて、それに対して施設側の担当者が、真摯に耳を傾け、丁寧に説明できる機会を創る必要もあると思います。ICTやSNSは、こうしたことのためにも活用すべきではないでしょうか。

一片の葉書だけで、面会制限を通知するのではなく、オンラインを利用できる人は、「面会制限の理解とお願い」を配信して、意見を述べたい方には、画面を通して意見交換を行う。そういう場で意見を言えない人は、ラインやフェイスブックのメッセンジャーから意見を送ることができるようにして、施設に物申すチャンネルを作っておくことが、施設と家族の信頼関係を築くうえで重要になるのではないでしょうか。

そうした努力の上で、長期間の面会制限は初めて許されるのだと考える謙虚さがないと、私たちは知らず知らずのうちに、護るべき人たちを傷つけてしまうのではないでしょうか。

それは私たちの本意ではないはずです。
誰かのあかい花になるために
誰かのあかい花になるための努力は、人の心を慮り、できる限りの優しさをそこにそそぐ心づもがあってはじめて実を結ぶのではないでしょうか。

私たちの職業とは、人を慮り、人を愛する職業であることを忘れてはならないのです・・・。
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介護施設は決して安易に面会制限を続けているわけではない


新型コロナの行動制限のない期間が続く中、巷では様々なイベントが3年ぶりに復活開催されるニュースが聴こえてくるなど、多くの地域で季節ごとの風物詩が戻りつつある。

11日からは外国からの入国者数の上限も撤廃され、インバウンドも復活の兆しが見えてきた。

さらに昨日行われた岸田首相の所信表明演説では、屋外のマスク着用に関し「近くで会話をしない限り必要ない」と強調するシーンも見られた。

そんなふうに世の中は、ウイズコロナに軸足を確実に移しつつある。それは歓迎すべき方向性だと思われる。

しかし第7波でクラスター感染が相次いだ高齢者施設等では、いまだに面会制限を解けないところが多い。その中には面会制限が既に3年近くにも及んでいるところがあり、面会できない家族等からの不満の声が挙がり、その対応に苦慮されている関係者も多い。

何より利用者のQOLの低下を懸念し、面会制限をいつまで・どのような形で継続していくべきかを悩んでいる関係者が全国にたくさんいるのが現状だ。

そこで僕が管理する表の掲示板では、「 施設の面会制限とQOLのバランスはどのように取っていますか?」というスレッドが9/30に建てられて、現在進行形で情報交換が行われている。

全国の介護施設の関係者の皆さんは、こちらのスレッドに是非参照してほしい。そして全国の介護関係者がどのような思いで面会制限を続けているのかに思いを馳せ、そのことに関連する意見を書き込んでいただきたい。

このスレッドを読んでわかるように、現在の対応は様々だ。まだWEB面会しかできない施設があったり、アクリル板越しの面会に緩和したり、面会時間や予約の必要性も施設ごとに全く異なるルールを定めて対応している。

だからと言ってどの方法がベストとか、その方法は許されないとか評価できる問題ではないと思う。

それぞれの事情が制限につながっているので、個別の事情に対策できる方法で、今現在の対応に影響しているのだろうとしか言えない。

特に一度でもクラスター感染が発生した施設等は、対応が慎重にならざるを得ない。感染発生中に利用者の方々に大きな不便をかけたことにとどまらず、職員も感染する中、少ない人数で業務をこなさざるを得なかった大変さ・・・。

それにも増して悔しいのは、クラスター感染を発生させたことが原因で、家族から感染の危険性が高い施設で働き続けないでほしいと懇願され、退職してしまう職員が多数出た施設が多いということだ。貴重な人材がそういう形で流出した施設では、二度と同じことが起きないようにより慎重な対応を取り続けるのは当然と言えば当然のことである。

よって現時点では、当該スレッドの情報を参考にして、それぞれの事情に合わせて、随時面会制限の緩和や撤廃に向けて準備を進めてほしいとしか言えないわけだが、一つだけ救われることがある。
誰かの心に咲くコスモスのように
それはこのスレッドに情報を書き込んでくれている方々が、決して漫然と機械的に、自己保身のために面会制限を続けているわけではなく、面会制限を続けることに対する心苦しい思いを持ちながら、現状で何がベストなのかを模索しつつ、真剣に面会制限をどうすべきかという問題に向かい合っている姿が見えることである。

利用者や家族の方々に寄せる思いがそこに垣間見えるのである。

対人援助は、私たちとサービス利用者のみの関係性で完結できる職業ではない。私たちの職業は、利用者の方々が背負っている人生と人間関係を含めて向かい合う職業だ。よって介護施設の都合とルールという範囲でしかものを考えなくなっては困るのである。

スレッドにコメントしてくれている方は、きちんとそのことをわかって考えてくれている人だと思う。

コロナ禍以前のように、制限なく自由に居室を訪問して面会ができる状態にはならずに、何らかの制限は続いていく可能性も高い。だからこそ一層、制限を受ける人に対する人としての優しさが問われてくると思う。そのことを忘れないでほしい。

私たちはこの世で大きなことはできないが、小さなことを大きな愛をもって行うことはできる。制限というバリアを行使するときも、制限される相手に対し、どれだけ愛情をもってその行使を考えることができるかが問題だと思う。

そういう意味で、僕の管理掲示板に集い、建設的な意見を交換し合う仲間は、素敵な人たちが多いのだと改めて感じている。心強いかぎりである。

面会制限の緩和や解除も、それぞれの事情に応じて前に進んでいくことだろう。その様子を温かく見守っていきたい。
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ICT活用で緩和できる配置基準はこれのみ


人口減少社会の中で、出生数が6年連続で過去最低を更新し続ける我が国では、生産年齢人口と労働者人口の減少が続き、それがさらに深刻化して改善の見込みも立たない。

しかし後期高齢者と要介護者は、2042年頃までは確実に増え続ける。そのため人に替わって機械が担えない部分が多い介護の仕事は他産業よりはるかに深刻な労働力不足が予測される。

それを見越して、「介護労働の場の生産性の向上」が強く求められている。科学的介護もそのために求められるものだし、ICTや介護ロボットの活用も生産性を向上させるために必要とされているのである。

機械が人に替わることのできる部分(例えば見守り機器)は、それらを積極的に導入し活用すべきであるし、介護ロボットの技術水準を高めて、人の手をかけなくても良い部分を広げていくことは大いに賛成である。そのことに反対する人はいないだろう。

ただし現状のICTを含めた介護機器の技術水準では、機器導入して人の配置を削ることが難しいので、安易な人員配置基準の緩和は行うべきではないというのが、介護の場を知悉する常識人の考え方である。

機器の活用=人の削減ではなく、機器を活用することで、まずは業務の省力化を図り、働きやすい職場環境を創ることが最も必要なことなのである。そのことによって介護という職業に就きたいと思う人や、定着する人が増えることを期待したいということだろうと思う。

だがICTを活用することで早速緩和できる人員配置基準も存在する。その最たるものが、特養の宿直者配置である。

特養の夜間宿直者の配置については、介護保険関連法令とは別に、「社会福祉施設における防火安全対策の強化について」という通知において、「特別養護老人ホーム、身体障害者療護施設については、夜勤者(直接処遇職員)とは別に宿直者を必ず配置すること。」規定されている。

その規定を受けて、「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準について」の11勤務体制の確保等(2)は、『職員の勤務体制を定めるもののうち、介護職員の勤務体制については、「社会福祉施設における防火安全対策の強化について」により、三交代制を基本とするが、入所者の処遇が確保される場合は、二交代制勤務もやむを得ないものとすること。併せて、同通知に定める宿直員を配置すること(介護保険法(平成九年法律第百二十三号)に定める介護老人福祉施設又は地域密着型介護老人福祉施設である特別養護老人ホームであって、厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準(平成十二年厚生省告示第二十九号)第四号ニ又は第五号ハを満たす夜勤職員を配置し、かつ当該夜勤職員のうち一以上の者を夜間における防火管理の担当者として指名している時間帯を除く。)。』と規定されている。
特養の夜間宿直
宿直者の配置については2015年に見直しが行われたかが、「特養の夜間宿直配置基準の変更は意味のない変更だった」でその顛末を書いた通り、夜勤者が配置基準以上に加配されている時間帯のみ置かなくてよいという変更でしかなく、1時間でも加配されていない時間があれば、その時間は宿直者が必要となるために、多くの特養ではいまだに夜勤者+宿直者という体制を取り続けている。

この規定は、東京都東村山市の特養における火災死亡事故を受けて対策されたものであり、老健や介護医療院は対象となっていない。

つまり夜勤時間帯に夜勤者とは別に宿直者(事務当直等)を配置しなければならないのは介護保険施設の中で特養だけなのである。これは不公平と言ってよいと思う。

同時に老健や介護医療院で、夜勤者とは別に宿直者を配置していなくとも特段問題となっていないという事実がそこに存在することも理解してほしい。

さてそこで現行の特養の宿直者の実務が怒鳴っているかを考えてみたい。宿直業務といっても行っていることと言えば、事務当直として夜間の(ほとんどかかってこない)電話番であり、定時の施設内巡回だけである。しかも巡回と言っても、直接利用者対応できるスキルの当直者はほとんどいないため、防犯上の設備巡回にとどまっている。

こんな業務のために宿直者を配置しているのは意味がないけれど、火災などの事故があった場合に、宿直者が居なくてよいのかという議論はナンセンスだ。前述したように特養以外の介護施設は、その配置がないのだからそれと比較して特養だけが災害に備えて宿直者を配置しておく必要性はほとんどない。しかも介護ができない宿直者が、災害時の避難誘導にどれほど役に立つのかは大いに疑問だ。

通報や避難誘導に少しは役立つだろうということであれば、それこそICTがそれに替わることが可能となるだろう。

よってICTの導入・活用によって、特養の宿直者の配置はしなくて良いという規定に関連通知基準を変更すべきであり、そのことを強く訴えたい。

全国老施協が率先してこの提言をすべきだと思うが、なぜそれをしないのだろうか。介護事業の生産性向上と配置基準緩和がセットで議論されている今日だからこそ、そうした提案をすべきだと思うのだが、誰かそこに気が付く人間は全国老施協執行部の中にいないのだろうか・・・。
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特養の入所基準の再見直しは他サービスにも広く影響します


社保審・介護保険部会(8月25日)で厚労省は、今後の介護保険制度改正論議において特養の入所基準変更を議論の俎上に乗せる旨を明らかにした。(参考資料

資料の当該部分を要約すると、「既に高齢化のピークを迎えた地方を中心に、高齢者人口の減少により待機者が減少して、定員が埋まらずに空床が生じているという声がある。」などとしている。

他の介護保険施設と同じように、要介護者が入所対象となっていた特養であったが、平成27年度(2015年度)から要介護3以上の要介護者に限定して入所が認められるように法令が改正された。

これがいわゆる特養の入所要件の厳格化と呼ばれる法改正である。

その基準を再度見直そうという提案が介護保険部会で行われたのである。

2015年当時、僕は社福の総合施設長として特養も管理していたが、入所要件の厳格化で混乱した覚えはない。僕の管理する特養は入所者の平均要介護度も高かったし、要介護1と2の対象者も在籍していたものの、それらの方々も全て経過措置で救済された。さらに経過措置期間を過ぎたとしても特例入所の対象となる認知症の方などであったため影響はなかった。

しかし全国的にみると、その影響はどんどん広がっていたようで、2017年ごろから特養の待機者の減少と空床増加が報告されるようになった。

北海道でも人口の少ない郡部に新設された特養のベッドが埋まらないという話も聞こえるようになった。

それは特養の入所要件が要介護3以上となったことに加えて、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの「高齢者向け住まい」の数が増えた影響もあると思える。
高齢者向け住まい
現に、「高齢者向け住まい」が増加し続けており、その定員数は約 88.3 万人と介護保険施設の利用者数(受給者数)の約 104 万人に近づいている。さらに事業所数でみると、高齢者向け住まいは約2万4千件 と、介護保険施設の約1万6千件を上回っているのである。

この影響を受けて全国の5割以上の特養に空きベッドが生じていると言われ、全国の平均空床率は25%前後であると推測されている。実に特養の指定ベットの1/4が使われていない。

勿論、ベッドが稼働しない理由は、入所利用者が見つからないということだけではなく、介護職員が配置できずに一部のフロアを休止せざるを得ないという施設も少なくない。しかし入所待機者が減っているのも事実であり、特養への入所希望者を見つけることができずに、相談員が顧客探しの営業のために地域を回るというケースも増えている。

そのような背景が今回の厚労省の提案に結びついたのではないかと思われるが、さすがに2015年度に法改正したばかりの規定を元に戻すことはないだろう。そんなことをすれば特養の入所要件の厳格化を推奨してきた厚労省の面子が丸つぶれになる。

よって、「特養の入所基準変更」とは、入所要件を要介護1以上に戻すのではなく、特例入所を使いやすくするなど、例外規定の拡大を図るという意味ではないのだろうか・・・。今後の介護保険部会での議論の進展が待たれるところだ。

どちらにしても特養の入所基準変更の必要性は、厚労省が言い出しっぺであるのだから、実現可能性が高いと言ってよいだろう。

すると2024年度以降、要介護1と2の方々の特養新規入所ケースが増えるようになると思われる。特養は補足給付対象施設なのだから、年金受給額が低い高齢者にとっては利用しやすい施設であり、今現在サ高住等の「高齢者向け住まい」に入居している人の住み替えも進むだろう。

すると特定施設・GH・サ高住が影響を受けるだけではなく、行き場がなく「基本型老健」「その他」の老健に入所している軽介護者も特養に流れ、老健施設の顧客確保が現状より難しくなるだろう。在宅復帰を希望していない軽介護者にとって、3月ごとの在宅復帰検討で自宅に帰ることを促される不安は、特養に入所することで解消できるからだ。

サ高住等に暮らしながら通所サービスを利用していた人も特養入所で、通所利用をやめるケースが出てくる。

自宅で頑張って暮らし続けた人が、利用料金の安い特養に早めに住み替えて、訪問介護や訪問看護・通所介護や通所リハの利用をやめるケースも出てくるかもしれない。福祉用具貸与にも当然影響が出てくるだろう。

よってこの問題は、特養関係者のみならず、他の介護保険施設・高齢者向け住まい(居住系施設)の関係者や居宅サービス関係者も注目すべき問題であろうと思う。

この問題について今後の検討・議論の動きに注目しなければならない。
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施設サービス計画のための担当者会議を原則行わないことにしよう


2021年度の介護報酬改定は、コロナ禍の真っ最中に行われたために、感染予防対策が基準省令等に反映されることも少なくなかった。

サービス計画作成のためのサービス担当者会議の基準もその一つで、感染予防特例として認められたサービス担当者会議のオンライン対応を、通常対応として認める基準改正が行われた。

下記に居宅介護支援と施設サービスの基準をそれぞれ示しているので、赤色に文字色を変えている部分をそれぞれ確認していただきたい。
-------------------------------------------------------
指定居宅介護支援の具体的取扱方針
第十三条「九.介護支援専門員は、サービス担当者会議(介護支援専門員が居宅サービス計画の作成のために、利用者及びその家族の参加を基本としつつ、居宅サービス計画の原案に位置付けた指定居宅サービス等の担当者(以下この条において「担当者」という。)を招集して行う会議(テレビ電話装置その他の情報通信機器(以下「テレビ電話装置等」という。)を活用して行うことができるものとする。ただし、利用者又はその家族(以下この号において「利用者等」という。)が参加する場合にあっては、テレビ電話装置等の活用について当該利用者等の同意を得なければならない。)をいう。以下同じ。)の開催により、利用者の状況等に関する情報を担当者と共有するとともに、当該居宅サービス計画の原案の内容について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。ただし、利用者(末期の悪性腫瘍の患者に限る。)の心身の状況等により、主治の医師又は歯科医師(以下この条において「主治の医師等」という。)の意見を勘案して必要と認める場合その他のやむを得ない理由がある場合については、担当者に対する照会等により意見を求めることができるものとする。」

施設サービス計画の作成
第十二条「6.計画担当介護支援専門員は、サービス担当者会議(入所者に対する指定介護福祉施設サービスの提供に当たる他の担当者(以下この条において「担当者」という。)を招集して行う会議(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。ただし、入所者又はその家族(以下この号において「入所者等」という。)が参加する場合にあっては、テレビ電話装置等の活用について当該入所者等の同意を得なければならない。)をいう。以下同じ。)の開催、担当者に対する照会等により、当該施設サービス計画の原案の内容について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。」
-------------------------------------------------------
これによって居宅サービス計画の作成に関するサービス担当者会議は、Zoom等を利用してオンラインで行われることが多くなった。

担当者会議に召集されるメンバーは、どこにいても会議に参加できる点で、それは歓迎されることだろうし、会議を主催するケアマネジャーも、それぞれ所属が異なるサービス担当者の会議参加への調整が楽になっている。そういう意味では、担当者会議メンバー全員にメリットのある基準改正と言えそうだ。

しかし施設サービス計画書の作成に関して言えば、相変わらずメンバーを会議室等に集めて実施している施設が多い。それは同じ施設内で、わざわざネットにつなげてオンライン対応する必要もないという意味で、集まった方が手っ取り早いという意味もあるのだろう・・・。

しかしコロナ感染第7波の真っ最中の今、8/15・0時までの時点における介護施設における近直1週間のクラスター感染は736件で過去最多となっている。こうした状況を鑑みれば、できるだけ施設のスタッフも、直接介護する場面以外で密になることは防ぎたいものだ。

その時に利用してほしいのは、居宅介護支援とは異なる施設サービス計画書作成ルールである。

上に示した居宅介護支援と施設サービス計画の基準の文字色を緑色に表示している部分を見比べてもらいたい。

居宅サービス計画作成におけるサービス担当者会議と担当者への照会ルールについては、末期の悪性腫瘍の患者以外の場合、「やむを得ない理由がある場合」しか照会で済ますことはできない。あくまでメンバーの会議参加が原則とされているのだ。

一方で、施設サービス計画作成におけるサービス担当者会議と担当者への照会ルールについては、「会議開催、担当者に対する照会等により」というふうに両者が同列となっており、最初から会議を開催しせず、「担当者から、専門的な見地からの意見を求める」ことで作成が認められているのである。
会議を開催せず施設ケアプラン作成
つまり特段の理由がなくとも照会のみで計画作成できるのだ。

これは施設サービスの場合、他の事業者職員がメンバーになることはなく、同じ施設で業務に従事するメンバー間でチームが構成されるために、日ごろから業務連絡としてコミュニケーションが交わされているから、必ずしも一堂に会して意思疎通を行う必要がないという意味だ。

このルールを利用して、施設サービス計画作成の際には、サービス担当者会議ではなく、各担当者への照会を原則にして、困難ケースのみ会議形式で話し合いを行うなどと発想転換しておいたほうが良いと思う。

実際に照会だけで計画原案を作成しても、特に支障は感じないだろうし、会議という形式ではない場面で照会した方が案外スムースに意思疎通ができたりする。何より会議を行う場所を創って、そこにメンバーの集合をかけて、集まってから「よーいドン」をかけてスタートするより、効率的に計画作成でき、忙しいメンバーが会議で時間を潰さずに済む。

介護職員や看護職員が、利用者に直接対応する時間もその分増えるというものである。

施設サービス計画原案を創る際に、まだ担当者会議を原則開いている施設ケアマネジャーの皆様は、早急に検討を行うに値する問題だと思う。
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社会からの信頼を失わないために求められること


要介護者の命や尊厳・暮らしを護るべき介護施設が、最低限の安全さえ保障できない状態で経営・運営をがされているとしたら、要介護高齢者やその家族は、いったい何を信用したらよいのだろう。

そんなことを考えさせられた事件が起こり、「死の短期入所生活介護」という記事を昨日アップして解説している。

名古屋の特養「緑生苑」の短期入所生活介護を利用している最中に傷害を受け、その後医療機関で死亡した被害者が、短期入所を利用するに至った理由は不明だが、利用者もその家族も、まさか介護サービス利用が自分の死に直接結びつくなんて思いもしなかったろう。

明らかになった容疑者(福島栄行:ふくしまひでゆき 34歳)の暴行は凄惨を極めている。昨年3/5の深夜から翌未明にかけて、数時間にわたり被害者を殴打。両脚や背中、腰を蹴り続けたというのである。その理由については、まだ明らかにされていない。

ある日突然自分の身に降りかかった暴力・・・それによる死。被害者は両脚のすねを骨折し、こめかみや胸などに多数の内出血があったそうだ。暴力を受けた翌日の夕方に死亡していることから、内臓にも損傷があった可能性がある。さぞ痛かったろう・・・怖かったろうに・・・。その無念は想像に余りある。

そういう意味でこの事件の社会全体に与えるインパクトは大きいし、その責任も重たいと言わざるを得ない。

そうであるがゆえに法人・施設の責任の取り方にも注目する必要がある。犯人が逮捕されたことをきっかけにして、そのことに反省のコメントを法人・施設が出して幕引きということにはならない。当該施設のトップは、世間に対して目に見える形で責任を取る必要があり、早い時期に身を処すべきだろう。
密室化する介護施設 
ところでこういう事件が起こると改めて職員雇用のあり方について考えさせられてしまう。

勿論、どの事業者も利用者を虐待するような職員を雇おうとは思わないだろう。しかしそうした性質を見抜く努力をすることなく、募集に応募してきた人間の適性を見ずに、闇雲に採用している事業者もあるのではないか。

そして採用後に試用期間も設けて適性を確認するという努力もしていない事業者があるのではないか。

同時に採用時教育をはじめとして、定期的に繰り返し行わねばならないスキルアップの教育訓練をしていない事業者もあるのではないか・・・それらはすべて、本件のような事件を起こしてしまう危険性を内包した事業者であると言える。

本件のような事件を起こさないためには、きちんとした人材選び、定期的な資質の見極め、不断の教育訓練が必要不可欠であるし、その教育の中に定期的に「人の尊厳を護るためにサービスマナー教育」というものを入れていかねばならない。

そういう意味では、事件があった名古屋の特養に利用者に対する考え難い暴力をふるう職員がいたという背景を探るために、利用者の尊厳を護るための教育が欠けていなかったかという検証が必要になると思う。

さらに利用者に対する普段からのぞんざいな態度が許されるような職場環境がなかったのかなどの検証も不可欠になるだろう。

こうした事件が起きると、すべての特養が虐待体質を抱えているとみられてしまう。今回の事件は氷山の一角が表面化したに過ぎないというやり取りも、SNS等あちらこちらで行われている。まったく迷惑なことである。

そうでなくともコロナ禍で長期間の面会制限が続いている介護施設に対しては、密室化する中で適切なサービス提供が行われているのかという疑念の声が聴こえている時期だ。

「介護施設の面会制限で、中に入れないだけに、どんな対応をしてもらっているのかわからなくて不安」という声が聴こえる中での、今回の傷害致死事件である。どうせ何でもありの介護施設という悪評が世間に充満しかねない。

多くの介護施設は虐待とは無縁の、人を護るケアサービスに徹しているということを証明しなければ、介護施設は必要悪なんていう烙印を押されかねない。

第3者の目が届きにくい場所でも、きちんと適切なケアサービスを提供できていることを証明しなければならない。サービスマナーの確立はそのための重要アイテムであることをすべての施設関係者が理解する必要がある。

閉ざされた扉の向こう側から、若い職員が年上の利用者の方々に、生意気な口調でタメ口で接している声が聴こえてくるだけで、「やっぱ介護施設って怖いところだ」・「表面化する虐待・不適切サービスは氷山の一角だ」と言われてしまうのである。

そんなことにならないように、第3者が見ていない・聴いていない場所でも、丁寧な態度と丁寧な言葉遣いをできる職員を育ててほしい。
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制限を当たり前と思う人と心苦しく思う人の差


僕が住む地域周辺の高齢者施設の中には、感染予防のために面会制限を続ける中で、オンライン面会を行っていることがマスコミに取り上げられて、そのことをを自慢していい気になっている施設がある。

僕の個人的感情で言えば、そんなふうにオンライン面会を自慢気に喧伝する施設の職員には胸糞が悪くなる・・・。
オンライン面会
制限下でオンライン等を使った面会の工夫をするのは当然であるし、オンライン面会システムがあっても、それを利用できない利用者が存在しており、その人たちのケアをどうするのかが一番の問題だろうと思うからである。

そもそも居住系施設が何の権限で、年単位あるいは月単位に及ぶ長期間の面会制限を行うことができるのだろうという疑問を持っている。だからこそ制限はできるだけ緩やかにして、オンラインで面会が難しい人の対策もしっかりと取らないとダメだと思う。

そのため3/10付の、「施設利用者の権利は本当に護られているのか」という記事では、一般のアパートでは決して行うことができない制限を、なぜ高齢者専用の居住系施設だという理由だけで行えるのだろうと疑問を投げかけた。

さらに先週の木曜日には面会制限を続けている施設等で暮らしている利用者の方々は、果たしてその暮らしに不満はないのかということと、不満があった場合に私たちは手をこまねいてみているだけでよいのだろうかという気持ちを込めて、「そこに春はやってきますか?」という記事を書いた。

そしてそのことに関連して、表の掲示板に、「皆さんの周囲の介護施設等の面会制限の情報を教えてください」というスレッドを建てて、現状はどうなっているのかを確認するための情報提供を呼び掛けた。

そのスレッドにはたくさんの介護施設関係者の方々が意見を書いてくださっている。

その書き込み内容を読んで感じたこととは・・・「日本の介護事業関係者は捨てたもんじゃない」ということだ。

書き込み内容を読んでわかることは、だれしも制限することの利用者に及ぼす影響を真剣に考えながら、やむを得ない状況であるという判断のもとに制限を行ったり、その制限を緩める方法を模索したり、実際に直接会って面会できる工夫をしているということである。

書き込んでくれた人の意見は、どれ一つとして不見識な意見はない。

制限せざるを得ない実情もきちんと説明されている。書き込みをしてくれた方々全員が頭が良くて、心が清々しい人たちであると感じられ、そんな方々が真剣に考えて書き込んでくれている。

同じ制限を行うにしても、世間の一般的風潮がそうなっているからと何の疑問も感じずに制限を行っている人と、本当にその状態が仕方がないのかと考えて制限を行っている人では、必ず以後の対応に違いが生ずるだろう。

利用者の方々に向ける眼差しも違ってくるのではないかと思う。制限することを心苦しく感じて、その分思いやりの心を伝えようとするのが対人援助の本質だ。科学できない心を排除しないケアこそが、こうした厳しい状況下で求められるものだと思う。

その差とはもしかしたら人間性の差とか、知性の差を表すものかもしれない。

科学的根拠に基づいた介護は必要だが、だからと言って介護のすべてを科学で割り切って考えようとすることは違うのではないかと思う。

人と関わるうえで何より大事なことは、私たち自身が介護を必要とする方々や、その家族の方々に関心を寄せることであり、私たちの知識と援助技術に愛情というエッセンスを加えることだと思う。

そういう意味では、人間愛というエッセンスを排除した科学的介護は何の意味もないと思う。

私たちにも、利用者の方々にも、そしてその家族にも、すべての人には感情があり、様々に感じ取る心があるということを忘れてはならないのが介護という職業ではないだろうか。

どうかそのことを忘れないでほしい。

高齢者施設のクラスター感染は、22日0時までの直近1週間では145件となり、前週から196件減って8週ぶりに100件台となっている。これもどうやら第6波のピークダウンを迎えたといってよいと思う。

こうした状況も踏まえたうえで、更なる制限緩和に努めていただきたいと切に願うのである。
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施設利用者の権利は本当に護られているのか


公営団地や民間のアパートなどの集合住宅で、「感染予防のために外出は禁止、集合住宅内への外来者の来訪も禁止」という決定がされた場合、間違いなくそれは大問題となり、大きな争いに発展するだろう。

ところがこれが高齢者施設となると話は別で、要介護者以外が暮らしているサ高住であっても、感染予防のための外出・面会制限ということがいとも簡単に決定され、それがさしたる抵抗も受けずに実行に移されている。

高齢者が大半を占めている公営団地と、サ高住のどこにその違いがあるのだろう。これが差別の構造の一つであると言われないのはなぜだろう・・・。

感染拡大のピークアウトが指摘される地域もあるなか、高齢者施設のクラスター件数も減少に転じているとはいえ、感染者の数は第5波と比べても何倍も多い状態であるということが、その理由になるということか・・・しかし僕はどうしてもそれが正論とは思えないのである。

高齢者施設が外出や面会を、これほど長い期間禁止している状態は、いずれ歴史の審判を受ける必要がある。そうしないと、「他者の権利侵害」が事業経営者の判断で、いとも簡単に行ってよいという悪しき前例になってしまうと思う。

これほど長期間にわたって高齢者施設の外出・面会制限が続いていることに対する対する社会の反応も決して肯定的意見ばかりではない。

実際に巷から聞こえてくる声は、「家族を今施設にいれると、まともに会えなくなって可哀想」・「オンライン面会は高齢な親ではできない】・「オンライン面会は人数が限られるし、対応してもらう職員さんにも気を遣うので頼みにくい」・「中に入れないだけに、どんな対応をしてもらっているのかわからなくて不安」というものだ。

そんなふうに、地域住民・利用者家族・居宅ケアマネなどから不安の声が挙がっている現状を、高齢者施設関係者はきちんと認識するべきである。
温かな手を差し伸べて
そういう不安を払しょくするためにも、密室化してしまって第3者の目が届きにくい高齢者施設の中で、きちんと適切なケアサービスを提供できていることを証明しなければならない。サービスマナーの確立は、そのための重要アイテムである。

それにしても高齢者施設の経営者・管理職などの立場の人に勘違いしている人が多いように思う。管理上必要だと言って、簡単に施設利用者の権利を奪うような行為が見られる。

施設関係者が勘違いしているんじゃないかと思う例として、施設入所したとたん、本人より家族の希望や意見が優先されることがある。

しかし施設利用者であっても、自分のことは自分で決められるのが原則だ。高齢者にとって、子は家族であっても保護者ではないのだから、利用者本人が、「自分にはこれだけ貯金があるので、通帳を金庫に保管しておいてほしい。だけど息子にそのことは内緒にしておいてほしい」と要望を受けた場合に、その要望は原則受け入れられるべきなのだ。

それなのに、「息子さんは、身元引き受け人になっているので、そのようなことはできません」などとそうした要望を拒否する施設があったりする。

施設入所の際の、「身元引受け」とは、成年後見人のように本人に代わって代理権を持つような性格のものではない。身元引受けによって財産管理や身上監護ができることにはならないのだ。

施設入所の際の身元引受けの意味とは、死亡時に遺体や遺留金品を引き取り、利用していた居室を速やかに退去できるようにする人を定めているに過ぎないものなのだ。そこを管理買いしてはならない。

またよくあり例として、高齢者夫婦世帯の夫もしくは妻の一方が施設入所した場合、連れ合いが死亡したとき子供から、「父(もしくは母)のショックを考えると、母(もしくは父)の死を知らせず、そっと葬儀を済ませたいので、亡くなったことを知らせないでください。」と要望されることがある。

そんな要望に応えてしまう施設があることも変なことだと思う。

長年連れ添った伴侶を失うショックは計り知れないが、だからといって施設に入所している人が、大切な伴侶の死も知らされず、葬儀にも列席できないことをおかしいと思わない感覚はどうかしている。(参照:「死」を告げる意味と責任

そうしたショックを乗り越える支援する責任も、家族や対人援助の専門家にはあるはずなのだから、世間一般的に許されている行為を、施設入所者に限って認められない状態を作ってはならないのである。

そういう意味では、施設入所者に対するバリアというのは、施設関係者の心の中にいまだに存在するものだといっても良いのではないかと思う。

そうした偏見を取り払っていかないと、「介護施設の常識は、世間の非常識」という状態もなくならないのではないだろうか・・・。
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夜間オンコールのアウトソーシングを考える


介護保険施設の夜間配置基準は、「看護職または介護職」の配置人数を定めたもので、それ以外の職種が夜勤を行っても配置人数としてカウントすることは出来ない。

職員が不足しているからといって、相談員や事務員を夜勤シフトに入れても、配置人数とされないわけである。そのために配置規定数以上の看護職員もしくは介護職員を毎日配置する必要があるのだ。

ところで特養の場合は、看護職員が毎日夜勤シフトに入っている施設はほとんどない。

なぜなら特養の看護職員の配置基準は、入所者数(前年平均)130人未満の場合で常勤換算3人以上でしかないのだから、その3人で毎日夜勤シフトを組むと、3日に一度の夜勤ということになり、日中は最高で2人しか看護職員配置がなくなってしまう。(※前年平均入所者数50人以下の場合の看護職員配置数は常勤換算2以上

配置規定人数より看護職員の実配置人数を二人や三人増やしたとしても、その事情は大きく変わらないのだから、実質的に特養では看護職員が毎日夜勤業務に入ることは困難であると言ってよい。

そのためほとんどの特養は、看護職員の夜間オンコール体制を敷いているわけである。例えば1週間ごとの当番制で夜間オンコール担当者及び副担当者などを定めて、その期間は当番に当たる看護職員に夜間いつでも緊急連絡をしてよいということになっている。

ところがこの緊急連絡の定義を巡って、看護職員と介護職員の間でトラブルになることも少なくはない。

介護職員からしてみれば、利用者のちょっとした変化でも心配になって、看護職員と連絡を取って対応の指示を受けたいと思う。看取り介護対象者の場合なら、特に少しの変化でも対応を指示してもらいたいと考えるのは、ある意味当然である。

しかしそのことを当然であると理解してくれる看護職員ばかりではない。「その程度のことも自分で判断できないの?」・「そんなことまでイチイチ連絡しないでよ。」という対応で、看護職員・介護職員の双方にわだかまりができて、職場の人間関係に重大な支障を与えることもないとは言えない。

特に「そんな程度のこと」というあいまいな基準で叱責を受ける介護職員は、夜勤中のオンコールすべき状態判断に迷い、そのことが大きなストレスとなって、燃え尽き退職に至るケースもしばしばある。

それは労務管理上の大問題であり、事業経営危機に直結しかねない問題でもある。

だからこそ夜間のオンコール体制を敷く際には、どのような些事でもオンコールしてよいというルールを定めて、コール待機する看護職員に十分な理解を得ておくとともに、そのことの徹底を図るという意味で、夜勤中の看護職員と介護職員の連携と連絡がスムースにされているのかという確認と仲介を行う役割の職員も定めおく必要がある。

だが夜間オンコールがあまりにも些事に渡り頻回である状態は、待機する看護職員のストレスにもつながっていくわけである。その中には第3者から見ても、「そんなことまで連絡しなくても良いだろう」と思う問題もあるが、夜勤当事者からすればそんなことはないという話になる。

特養の看護職員の中には、医療機関の看護職員を長く務めた後、夜勤をしなくてよい状態に魅力を感じて特養に務める人もいる。そういう人が、さして必要性がないと感じる夜間の頻回なオンコールに嫌気がさして退職してしまうとケースも問題視されるべきだ。

しかし連絡する方、される方の両者に言い分がある問題の線引きは事実上困難である。どちらも正しいのだ。

そこで考えたいのは夜間オンコールのアウトソーシングである。

指定介護老人福祉施設の運営基準では、「指定介護老人福祉施設は、当該指定介護老人福祉施設の従業者によって指定介護福祉施設サービスを提供しなければならない。ただし、入所者の処遇に直接影響を及ぼさない業務については、この限りでない。」と規定されている。

逆に言えば、「この限りでない」部分はアウトソーシング可能なのである。
夜間オンコール
夜間の看護職員のオンコール対応はこの例外規定に当たるために、アウトソーシングできるのだ。

そもそもオンコールの8割は看護師が駆けつけなくとも解決する問題なので、オンコール対応の負担で看護職員の募集に応募がなかったり、それを理由に看護職員が辞めてしまう施設にとっては、こうしたアウトソーシングは大いに魅力的であると言える。

しかもアウトソーシングの場合、連絡を受ける外部業者は夜間に連絡を受けることそのものが本体業務であるから、どのような小さな問題であっても、第3者から見て下らないと思える連絡であっても、徹底的にウエルカムである。そこで連絡した介護職員が叱責を受けたり、不満をぶつけられたりすることは一切ないわけだ。

コールセンターで夜間連絡を受ける職員も看護職員であるから、連絡を受けた上で、どう対応すべきかアドバイスするとともに、実際に看護職員の直接介入が必要であると判断した場合には、コールセンターから施設の夜間待機看護職員に連絡をして、対応を促すことになる。

すると待機している施設看護職は、オンコール対応の際より、連絡を受ける頻度が8割程度減ることにつながり、待機の負担やストレスも大幅に減ることになるのだ。

人材確保に益々困難性が増す介護施設経営を考えるのであれば、こうしたアウトソーシングを進めることで、看護職員・介護職員双方の業務負担軽減とストレス軽減を図っていくことは大事な視点ではないかと思う。

僕が施設経営に携わっているときに、そうしたアウトソーシングできる社会資源があってくれればよかったのにと思っているところだ。

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柔らかな笑顔と言葉のキャッチボールが見られる場所


つい先日まで関西の某県に、1週間滞在していた。

その際に感じたことであるが、食ブログの方にも書いたように、ホテルの宿泊料が非常に下落して安くなっている。旅先に居ることが多い僕にとってはそのことはありがたいことだ。

ただ1週間も同じホテルに滞在していると、従業員の方とも親しくなるので、その方々のことを考えると心苦しい思いにもなる。やはり適正価格というものは存在するんだろうから、そこまで戻る社会になってほしいものだと、つくづく思う。

それはさておき、同じホテルにそのように長く滞在していたのには理由がある。

数年前からサービスマナー研修講師として関わっている介護施設にお邪魔して、日勤者と同じ勤務時間内で一緒に行動させていただいていたからである。

その施設の基本サービスをチェックする役目を仰せつかっていたためである。

チェックといっても、厳しく上から目線であらさがしをする目的ではなく、今年のサービスマナー研修に備えて、職員の習熟度や基本サービスの在り方を確認し、気が付いた点を、この法人のサービス向上委員会の参考資料として提出するという目的を遂げるための仕事で、コンサル活動の一環というべき請負業務であった。

そのような外部の目を入れる方法を取り入れ、サービスの品質向上にもお金をかけている法人だから、この施設の現状のサービスの質は低くない。利用者対応もしっかりできているし、基本的な介護技術もできている。

当該施設はユニホームのない職場であるが、服装が自由化されているからと言って、職場にふさわしくない服装の職員はいない。華美になり過ぎず、清潔感のある服装で対応されているので、その部分の常識は皆持っているということだろう。しっかりした人間教育のたまものと言えそうだ。

介護施設のサービスの品質や介護レベルは、利用者の身だしなみが整えられているかどうかを見るとよくわかるが、この施設の利用者で身だしなみが乱れている人は見つからないし、整髪もきちんとできている。目やにがついたままの顔で、ホールの出ているような入所者もいない。

寝巻と日中着の着替えも、当たり前のようにできている。先日、「着たきり雀を正当化する劣悪ケアを許すな」という記事を書いて、着替えの支援を行わないことを正当化する屁理屈を批判したが、その記事に対して盛んにいちゃもんをつけてくる馬鹿がいた。当該記事で指摘した施設関係者と思しき人物の暴言でしかないが、僕のコンサル先の職員にはそのような知性と見識の低い介護職員は皆無である。

このように毎日の着替えなんて当たり前にできている施設はたくさんあるのだ。できないことの屁理屈を声高らかに主張する低能な介護職ばかりではないのだ。

このような施設に、あんまり指摘することもない。

しかし何もしないというわけにはいかないので、いくつかの改善すべき点を示すことは行ってきた。

しかしそれとて、仙骨座りになっている人がいて、正しい座位への修正と座位保持の方法を教えたり、車いすから家具椅子に移乗してもらって食事をした方が良い方について指導したり、歩行介助する際に、介助を受ける方がもっと歩きやすくなる、「コツ」を示したりする程度だ。

コツと言っても大したことではなく、意外と知られていないが、介助する人とされる人の、踏み出す足が左右逆だと、介助を受けている人は歩きづらくなる。

人は歩く際に踏み出す足の側にわずかに体が傾くのだ。それは骨盤の位置が移動するためであり、そのため利用者の左側で介助している職員が、利用者が右足を踏み出しているのに、介護者が左足を踏み出すと、両者の間隔は最も遠くなり、その逆に利用者が左足を踏み出し、介助者が右足を踏み出した際は、両者の間隔は最も縮まってしまう。(※利用者の右側について介助する場合は、その真逆の状態)

これを防ぐためには、両者の目に見えない距離感が変化しないように、出す足を同じ側の足とすることが必要になる。と・・・この程度の指導でしかない。

それに加えて、ホールに居る人が誰も見ていないテレビがつけっぱなしであったので、「あの音は騒音にしかならないので、誰も見ていないテレビは消しましょう」というくらいがせいぜいの指摘事項である。

ということで暇を持て余すほどなので、この施設の介護マニュアル目を通して、実際の新人教育等に使えるマニュアルになっているかなどをチェックした。

読んでみると回りくどい文章や、説明文が逆に介護の方法論を混乱させている部分などがあって、もっとシンプルにわかりやすくまとめる必要がある部分が多かった。ここは手を入れようと思い経ち、滞在中にすべて更新することができた。

介護主任からは、「やっと手に取って使えるマニュアルになった」と言われ、職員の皆様には、「これなら繰り返し読むのもさほど面倒ではない」と好評を博して嬉しかった。

どちらにしてもこの施設は職員が利用者に笑顔で丁寧に接しているので、利用者の表情も豊かに見えた。その利用者の豊かな表情を見ることで、職員の皆さんの介護労働に対するモチベーションが維持されているのだと思う。

しかしその基盤となっているのは、絶え間なく続けられている人材育成教育だ。僕のような外部講師を何人も呼んで定期指導を受けている状況は感心するしかない。

組織風土はよくなっていくのには時間がかかるが、悪化するのはあっという間なので、こうした不断の努力を続けないと、頂点から転がり落ちるのも早いし、その着地点はとんでもないところになりかねない。

ただサービスマナーに関して言えば、一旦その徹底が図られている場所では、そうした態度や言葉遣いが、ごく自然な態度として意識せずに護られているので、この部分に関して言えば、指導者の教育意識がなくとも、自然に新人もそうした態度や言葉遣いを身に着けていく状態になっている。

ここは強みである。そうした文化をすべての介護事業者が創ってほしい。すべての職場がそうした環境になることを目指してほしいものだ。
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着たきり雀を正当化する劣悪ケアを許すな


令和3年度の介護報酬改定で施設サービスに新設された、「自立支援促進加算」の算定要件に関連するQ&Aで、おもしろい内容が示されている。

おもしろいと言っても、それはファニーという意味ではなく、なんで今更こんなことを大げさに示さねばならないのかという意味で、「おもしろい」と思ったのである。

その内容とは、Q&A Vol10・問10の、『支援計画の実施にあたっては、原則として「生活全般において、入所者本人や家族と相談し、可能な限り自宅での生活と同様の暮らしを続けられるようにする」とされるが、具体的にはどのような取組を行うことが求められるのか。』という回答の中に、下記のような一文が示されていることである。

起床後着替えを行い、利用者や職員、家族や来訪者とコミュニケーションをとること

↑この回答を読んで、「何を当たり前のことを書いているのか」とか、「こんなことが加算算定要件になり得るのか」と考えた人は、常識的で正常な判断能力のある人だと思う。

この加算で求めているのは、日中できるだけ離床して他者とコミュニケーション機会を持つことである。その理由は、「中重度の要介護者においても、離床時間や座位保持時間が長い程、ADLが改善すること(Q&A Vol10より)」であるとされている。

他者と交わるのが嫌いな人は、そんなコミュニケーション機会はいらないと言われるかもしれないが、そうであっても昼夜逆転を防いだり、日中の活動性を高めて心身活性化するために、きちんと寝床から離れて、日課活動を行うことができるように準備することは大事な支援である。

そうした日常支援が暮らしを営む人にとってメリハリとなり、生きる意欲につながることも少なくない。

そのために寝巻から日中着に着替えを行うことは、身だしなみという意味以上に大事な行為であり、ADL支援として重要視されなければならない行為である。

ところが寝巻と日中着の着替えを軽視し、着たきり雀を大発生させている介護施設は決して少なくない。

僕が大学卒業後に就職した特養は、僕が就職した年に新設された施設だったので、介護職員(当時は寮母と呼称されていた)は、短大の保育課の新卒者のほか、医療機関で付き添い婦として介護経験を持った人が雇用されていた。

そのため医療機関の入院患者に対する方法論が、そのまま用いられる傾向が強く、病衣で1日過ごす入院患者と、施設利用者が同じように考えらる傾向にあった。そのため寝巻と日中着の着替えが行われずに、着衣の交換は入浴介助の際の週2回のみで、着たきり雀状態で利用者が過ごしているのが普通の状態だった。

僕はそれは暮らしの場の方法論ではなく、世間一般の考え方では非常識であると考え改善に取り組んだ。しかし医療機関の方法論と価値観にどっぷりつかった当時の介護職員の考え方と、その方法論を変えるためには多大なエネルギーと時間を要し、寝巻と日中着の着替えを行うことが当たり前の支援方法となるには数年の期間を要した。

昭和の介護施設は、そんな施設が多かったのではないかと思う。

しかしそのような介護施設が昭和の遺物であるかと言えば、そうとも言えない。僕が総合施設長を務めていた社会福祉法人の特養では、入浴支援の際にしか着替えの支援を行わないということは、過去の遺物になっており、毎日の着替え支援は当たり前であったが、僕が5年ほど前に1年だけ務めた千歳市の老健施設は、ケアの品質が昭和のままだった。

老健だからリハビリテーションを行うため、利用者は動きやすいトレーニングウエア(ジャージやスゥエットスーツ)を着ている人が多かったが、そうした日中着から寝巻に着替えることなく、夜もそのまま眠らされる人が多かった。

着替えをしているのは自分で着替えができる人だけで、ひどいケースになると、着替えの介助が必要な人の利用契約時に、「老健はリハビリ施設だから、起きてそのまま訓練できるように、スゥエットスーツのまま寝ましょう」・「本人の負担になるので、夜と日中の着替えがなくて良いような楽な着衣を着せてください」なんて家族に説得することもあった。

本当に驚いたが、そういう施設はまだそこに存在したのである。着替えをしなくて楽なのは、利用者ではなく、「職員でしょう」と言いたくなるが、そういう理屈が通用しないほど、世間の常識とその老健の常識は乖離していた。

しかし寝巻から日中着への着替え支援を毎日行っていないという意味は、下着の交換も行っていないということだ。下着は汚れていなくとも、寝汗などを吸い込んで不潔になるものなので、毎日交換が当たり前であるが、その老健では下着も入浴時のみの交換という不潔な状態が当たり前になっていた。それは劣悪ケアと言ってよい状態だろう。

老健は特養と異なり、利用者の私物の洗濯は施設で行う必要はなく、家族等が行うことになっているのに、この劣悪さはただただ、「着替えの支援」という当たり前の支援行為を省いていることによるものだ。

つくづく老健とは、暮らしの場ではなく、医療機関と同じなんだなと感じたものである。(もちろん、そのようなケアの品質の低い老健ばかりではないと承知してはいるが・・・。)

こういう清潔支援の不徹底は、ウイルス予防の漏れにもつながりかねない問題である。その施設は、「きれいにする」という意味のクリアという言葉を施設名に入れてはいるが、どこをとってもクリアではなかった。

現在その施設は母体の精神科医療機関に隣接する場所に移転し、建物自体は新しくなっているが、どうやらケアソフト自体は旧態依然のままらしい。

そうした施設がまだ多いという意味で、Q&A Vol10・問10のような疑義解釈を発出しなければならないとしたら、この国の介護施設のケアレベルは決して世界に誇ることができるものではないと言えるのではないだろうか。

着たきり雀を正当化し、毎日の下着交換や、寝巻から日中着下の着替えを行わないという非常識が、介護施設からなくならないことには、本当の意味で利用者の暮らしは護ることができないのである。
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形骸化した施設プランは運営指導対象になり得る


今年度の報酬改定では数多くの加算にLIFE要件が課せられた。

このブログで何度も指摘しているように、LIFE要件とは単に国の介護データベース・科学的介護情報システム (Long-term care Information system For Evidence;LIFE ライフ)に情報を提出すればよいというものではなく、LIFEがその情報を分析して介護事業者にフィードバックされた内容を、PDCA活用しなければならない。

この流れについては、下記のようにイ〜二までとして示されている。
----------------------------------------------
イ .入所者の心身の状況等に係る基本的な情報に基づき、適切なサービスを提供するための施設サービス計画を作成す(Plan)

ロ. サービスの提供に当たっては、施設サービス計画に基づいて、入所者の自立支援や重度化防止に資する介護を実施する(Do)

ハ .LIFEへの提出情報及びフィードバック情報等も活用し、多職種が共同して、施設の特性やサービス提供の在り方について検証を行う(Check)

ニ .検証結果に基づき、入所者の施設サービス計画を適切に見直し、施設全体として、サービスの質の更なる向上に努める(Action)

----------------------------------------------
この流れがきちんとできていることを示さねば、加算算定不可とされるのだから、施設サービス計画や各サービス事業所の計画(通所介護計画等)はより重要となるのである。

ところが介護施設では、この計画が形骸化しているというところが少なからず存在している。作成義務があり実地指導で確認されるものだから、施設ケアマネが作成はしているが、介護職員がその内容を知らないまま日常介護にあたっているという状態こそがプランの形骸化といえるからだ。

この状態は施設サービスが、「施設サービス計画に基づき」行われなければならないという運営基準に違反しているが、施設サービス計画書におざなりのADLケアだけを書いておけば、ルーティンワークである基本サービスを実施してさえいれば、計画に基づいていると取ることもできるということで問題視されないことが多い。

つまり利用者の個別性に配慮しない、金太郎あめのような同じケアが機械的に行われているという意味だ。

しかし今後はLIFEからのフィードバックに沿った、個別の計画見直しと実行が常に求められてくるのだから、そうした金太郎あめケアは実地指導の対象となり得る。

よって今からその改善に努めておかねばならないが、その改善とは計画作成責任者である施設ケアマネだけでどうこうできる問題ではなく、直接サービス提供を行う看護・介護職員の意識改革と業務改善が不可欠な問題である。

また施設介護職員の中には、施設サービス計画がケアマネジャーの考え方の押し付けであり、介護に直接携わる職員が気づく利用者ニーズに即していないという訴えを聴かされることがある。本当にそうならば、それは施設サービス計画の作成の基本姿勢が問われる問題と言え、改善されなければならない問題だ。
施設サービス計画書って誰が作るの?
上の画像は、僕の講演スライドの1枚であるが、施設サービス計画の作成を主導・主管するのは施設ケアマネであり、アセスメントは施設ケアマネが直接利用者に面接して行わねばならないが、施設ケアマネが利用者ニーズのすべてを把握することができるわけがないので、担当者から専門的な見地からの意見を求める必要があることになっている。

つまり施設サービス計画書は、多職種協働作業で完成させるべきものであり、それぞれが専門的立場から意見を出し合って作り上げるものであるという施設内コンセンサスが何よりも求められるのである。

施設サービス計画に関する研修は昨年度まで、施設ケアマネを対象にした研修会がほとんどであった。しかし今年度以降は、施設サービス計画を実効性のあるものにして、LIFE加算のフィードバック要件に合致させるサービスを行うためにも、施設サービス計画の意味や必要性を、施設職員全員が理解する必要がある。そのため施設サービス計画を施設の日常介護に生かすための研修が行われるようになってきている。

今日の夕方も僕は大阪で講演を行うが、そこでのテーマは、「ケアプランに基づいたサービス実践の重要性〜本物の科学的介護を目指して」である。

この講演は、施設サービス計画書が職員ができないことを正当化し、しないことを当然とするアリバイ作りに使われるのではなく、施設サービスとして実現できることを増やすためのものであり、それぞれの専門分野を持つ多職種で話し合って可能性を広げていくツールであることを知らしめる講演である。

そのため介護職員等が専門的立場から、どのような意見を伝えるべきかを具体例を挙げて示す予定である。

この講演で伝えたいテーマは以下の3点である。
・施設サービス計画書は、心身に障害があったとしても、「できるかもしれないこと」に着目して、利用者の「希望」に繋げる宣言書である。
・できないことを取り挙げるのは素人でもできる。できる可能性に着目するのが専門的見地である。
・したいことを、できることに変えるための計画書にしてほしい。


そもそも多大な時間と労力をかけて作る施設サービス計画書が、行政指導の為の紙切れに過ぎなくなるのでは多大な業務損失である。

施設サービス計画書とは、利用者や家族にとって、「どのようなサービスを受けることができるかが明確になることによって、安心してサービス利用ができると共に、施設サービスを利用する目的や意味を認識できることに繋がるもの」であり、施設職員にとっては、「共通言語としてのサービス指針を持つことによって、チームとして必要な具体的支援方法を確認理解することができる。利用者の生活課題やサービスの目的を理解することで事後のサービス評価が可能となるもの」である。

その目的を果たすためには、施設ケアマネが施設サービス計画の作成方法を学ぶだけでは不十分で、施設ケアマネ以外の他の施設職員が、施設サービス計画の使い方を学ぶ必要があるのだ。

そうした研修のお手伝いもしているので、是非メール等でお気軽に問い合わせいただきたい。メールは、「北海道介護福祉道場あかい花」のサイトの右上のメールマークをクリックするか、上部のグレーンの帯に書かれたアドレスをクリックして連絡してほしい。
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暮らしの質に関する新たな示唆


あらためて求められたQOLを職員に知らせているかより続く)
自立支援促進加算では、おむつ交換について下記のような指摘も行われている。
・ おむつ交換にあたって、排せつリズムや、本人の QOL、本人が希望する時間等に沿って実施するものであり、こうした入所者の希望等を踏まえず、夜間、定時に一斉に巡回してすべての入所者のおむつ交換を一律に実施するような対応が行われていないことを想定している

このように排せつパターンに即さないおむつの定時交換・一斉交換は、「暮らしの質の向上ではない」と否定されているのである。

見守り機器などの利用を条件に、一人の夜勤者で60人もの利用者対応する時間を増やす「夜勤配置基準緩和」を実現させておいて、この対応を求めるのは理不尽だとは思う。しかし、「夜間だからと言って、個々の排せつ時間に配慮せず、おむつ交換を一斉定時に行うのは暮らしの質の豊かさとは言えない」という考え方は正論と言わざるを得ない。

排せつについての新たな示唆は、介護施設の排せつ支援加算でも行われている。
・リハビリパンツや尿失禁パッド等の使用は、おむつの使用に該当する
・おむつの使用が終日から夜間のみになったとしても、算定要件を満たすものではない。


このことについては、「全否定されたおむつゼロ運動と罪悪の歴史」で指摘した通り、尿取りパットをおむつの代用として使うことや、日中のみのトイレ排せつだけでは、暮らしの質の向上につながらないことを指摘したものである。

常軌の指摘事項について実現できるか・できないかにかかわらず、介護事業者の全職員が排泄ケアのあり方を考え直すためにも、これらの指摘事項をきちんと事業者責任として、職員に伝えておく必要がある。

そのほか自立支援促進加算では、暮らしの質の向上と関連して様々な考え方が示されている。

食事についての指摘事項は以下の通りである。
・食事は、本人の希望に応じ居室外で、車椅子ではなく普通の椅子を用いる等、施設においても、本人の希望を尊重し、自宅等におけるこれまでの暮らしを維持できるようにする。食事の時間や嗜好等への対応について、画一的ではなく個人の習慣や希望を尊重する。
・経管栄養といった医学的な理由等により、ベッド離床を行うべきではない場合を除き、ベッド上で食事をとる入所者がいないようすること


普通の椅子とは家具椅子を指すものと思えるが、家具椅子に座っての食事は、誤嚥しない食事姿勢として求められるものであり、是非そうした視点とともに実現を図ってほしい。

なおこのことは僕の介護実務講演を聞いている事業者や個人は、僕の指摘と同様と気が付いていると思う。(※すでに僕の講演を聴いて、取り組みを行っている介護事業者も多い。)

入浴については、「すべての入所者が、特別浴槽でなく、個人浴槽等の一般浴槽で入浴していることが原則である。」としているが、これは在宅復帰を睨んで、自宅で入浴できる方法を促しているものであろう。通所サービスの「入浴介助加算供廚箸皀螢鵐した考え方と言えるかもしれない。

また次の点も注目すべき指摘である。
・本人の希望に応じて、流れ作業のような集団ケアとしないため、例えば、マンツーマン入浴ケアのように、同一の職員が居室から浴室までの利用者の移動や、脱衣、洗身、着衣等の一連の行為に携わること

僕の講演を聞いたことがある人ならわかると思うが、この方法も僕が勧めている、「業務分担しない生活支援型ケア」である。一人の職員がマンツウマン対応することで、職員が一人いれば、利用者ひとりに対応できるようになる。そして業務分担するよりしない方が、分担作業の繋がりロスがなくなる分、ケアがスムースになるという利点が出てくるのでぜひ実行してほしい。

また同加算では、「中重度の要介護者においても、離床時間や座位保持時間が長い程、ADLが改善すること」として、「離床、座位保持又は立ち上がりを計画的に支援する」「計画的に行う離床等の支援を一定時間実施する」ことを求めているが、その目的はあくまで、「日中の過ごし方を充実したものとすること」であり、座ったきり老人を創っても始まらないという理解も必要だ。

「本人の生きがいを支援し、生活の質を高めていく観点から、離床中行う内容を具体的に検討して取り組むことも重要である」と指摘されていることを、全職員に正確に伝えてほしいと思う。
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あらためて求められたQOLを職員に知らせているか


改定報酬体系・加算要件は職員全員に伝えるべきですより続く)
最初にお知らせです。東京の感染拡大が予測以上です。このため10/5(火)に予定して会場も抑えていた出版記念シンポジウムを行うことは難しい状態と判断しました。現在10月のシンポジウムを延期して、年内に実施できないか検討中です。予定に組み入れていた方には申し訳ありませんが、こうした事情ですので、ご容赦くださいますようお願い申し上げます。

なお本の出版は予定通り、9月中に発売予定です。

お知らせは以上です。ということで本題に移ります。

介護保険制度の理念の一つが、「自立支援」であることは今更言うまでもない。

しかし介護保険法総則においてこの法律の目的は、「国民の保健医療の向上及福祉の増進」であるとされているのだから、自立支援もその目的を達成するための理念の一つであると言える。

福祉とは、「しあわせ」や「ゆたかさ」を表す言葉なのだから、国民の幸せが増して進まない自立支援は求められていないということになり、介護を要する人に対して、「自立して暮らさないと悲惨な暮らしになってもしょうがないよ」と脅しながら、自己責任を強いることを意味しているわけではないのである。

そのため介護保険制度には、「自立支援」と並んでもう一つの理念が存在する。それが「生活の質(QOL)の向上」である。

しかし過去の制度改正や報酬改定では、「自立支援」を重視した方策に偏った議論が見られ、そのために「生活の質の向上」はおざなりに扱われる感も否めなかった。

しかし今年度の報酬改定においては、「暮らしの質」に着目した、新たな視点が数多く示唆されている。

例えば、排せつについて多床室のポータブルトイレ利用を戒める指摘が行われている。

特定施設と介護保険施設の、「サービス提供強化加算」の新要件として以下の考え方が示された。
・ケアに当たり、居室の定員が2以上である場合、原則としてポータブルトイレを使用しない方針を立てて取組を行っていること

介護施設の「自立支援促進加算」でも次のような考え方が示されている。
・排せつは、入所者ごとの排せつリズムを考慮しつつ、プライバシーに配慮したトイレを使用することとし、特に多床室においては、ポータブルトイレの使用を前提とした支援計画を策定してはならない。

このことに関連してQ&Aでは、多床室でポータブルトイレを使用してよい特例を、「在宅復帰の際にポータブルトイレを使用するため、可能な限り多床室以外での訓練を実施した上で、本人や家族等も同意の上で、やむを得ず、プライバシー等にも十分に配慮して一時的にポータブルトイレを使用した訓練を実施する場合」としており、一時的な使用にとどめ、恒常的に多床室でポータブルトイレ利用することを認めていないのである。

そのうえで、「原則として排せつは、入所者ごとの排せつリズムを考慮しつつ、プライバシーに配慮したトイレを使用すること」とされているのである。

オムツをはずしさえすればよくて、おむつ交換しなくて済むなら、それ以外の排泄方法の質は問われなかった従前の考え方から、大きく一歩を踏み出した考え方だと言えよう。

僕は以前グループホームの外部評価を行っていたが、GHでもポータブルトイレの不適切な使い方を何度か指摘したことがある。例えば(家具調ではない)便器そのもののポータブルトイレが無造作にホールに置かれ、便器が丸見えの状態で利用者が食事している姿を見て、食事場所から見えるところにポータブルトイレを置かないように指摘したこともある。

ケアとは何かという本質を忘れて、排泄動作だけを支援すればよいと考える先には、利用者が便器を見ながら食事をさせられていても、何も問題を感じないという感覚麻痺が生まれ、それがやがて様々な場面で、プライバシーと羞恥心に配慮のない不適切ケアを生み出すのではないか。

他人が自分のベッドのすぐ横で、日常的に排泄する姿を見せられるというのは、暮らしの質としては最低である。いくらトイレスクリーンで、ポータブルトイレを隠しても、音やにおい、排せつの気配までは消せない。そういう意味で、多床室のポータブルトイレ使用の戒めは非常に良い示唆だと思う。

排泄自立とは、他人の目の前で、ポータブルトイレに座って排せつすることではないことを、今回の新規程は示しているように思える、このことは全職員に伝えておかねばならない示唆であろう。

今回の改定では、排せつに関する示唆はさらにあるし、日中の過ごし方や、食事介助の方法に関する新たな視点も示されている。字数が長くなったので、そのことは明日の更新記事で改めて示すことにしよう。(暮らしの質に関する新たな示唆に続く)
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コロナ禍でも特養の収益は減っていないのだから・・・。


福祉医療機構が7/16付で、「社会福祉法人経営動向調査の概要」を公表した。

それによると昨年度、収益が前年度比で減少した特養は18.9%であった。それに対して、「横ばい」が51.4%、「増加」が29.3%となっている。

昨年度(2021年度)は、2018年に改定された介護報酬3年目にあたり、その3年の中では最も収益が減ることが想定される年度だ。定員が定まっている特養にとって、3年間法定給付費が変わらないのだから、職員の定着率が高ければ高いほど昇給分による人件費高騰が収益に影響してくるので、改定3年目は改訂1年目と2年目と比較して、一番収支差率が低くなって当然だからである。

そうであるにもかかわらず8割以上の特養の収益が横ばいかアップというこの結果は、感染対策補助金や介護報酬の感染特例算定が大きな影響を与えていると考えられる。

特にコロナ禍で退所者のベッドを埋めるための新規利用受け入れができない期間や、ショートステイの受け入れができない期間があったこと及び感染対策費が大幅に増えたことを考えると、前年比減益の特養が2割未満でしかないという状況は、国の感染対策が効果的に機能していると言ってよいと思う。

支出面では、コロナ禍の影響で通常支出で減っているものがあると思え、それも収益確保に多少は影響しているかもしれない。

例えば教養娯楽費の支出が減っている特養が多いのではないだろうか。密を避けるために集団活動が制限されたため、イベントやレクリエーションができなかったことによって、そこに掛けていた経費がそっくりなくなったり、外出制限の影響で、利用者を外に連れ出して行うレクリエーションがなくなり、その面の経費もゼロとなっているかもしれない。

外部研修が軒並み中止になって、職員の派遣費用や参加費支出がなくなったり、事業所内研修も開催できず、講師料支出が無くなったりして、研修費が大幅に余った事業者も多いだろう。しかし職員のスキルアップは、事業経営を左右する問題につながるので、今年度以降の研修の充実のために、それらの費用支出は復活させる必要がある。

このように特養に関して言えば、コロナ禍が収益面では決してマイナス要因にはなっていないと言えよう。この傾向は施設サービス全般に言えることで、通所サービスのように収入が一切途絶えた時期のあるサービスとは異なり、ある意味恵まれていたと言えるかもしれない。

しかも今年度はプラス改定の影響で、丁寧に加算を拾っていくことで、収入アップが期待できる年である。

そうであるからこそ、感染対策に万全を期した体制作りに投資したいところだ。コロナ禍が終息しても、今後は数年ごとに何らかの感染症対策を必要とする可能性が高いからだ。

例えば面会制限については、国も緩和するようにたびたび通知を出しているが、緩和対策のための感染予防策に少しお金をかけるという考え方はあって当然だ。面会のための専用スペースの整備コストはかかって当然だ。

そのほか面会専用スペースの空間除菌設備も導入したい。次亜塩素酸水による空間除菌は、体に害があるというフェイクニュースが流されているが、「次亜塩素酸水溶液普及促進会議」が昨年記者会見を行い、次亜塩素酸水による空間噴霧は毒性なしとして、『政府は国民の命と健康を守るため医療機関、高齢者施設などを始めとする必要な個所への次亜塩素酸水の配布と備蓄を進めていただきたい』と呼びかけている。その後、国は空間除菌が健康被害を引き起こす恐れがあると公言しなくなった。

そしてたくさんの医療施設や介護事業者でクラスター感染を防ぐ観点から空間除菌が行われるようになっているのだ。例えば、「使用後95.5%の医師が継続使用を希望する空間除菌法」で紹介している安全で効果の高い除菌水は、クラスター感染を防ぐ決め手となり得るのである。

ところで面会制限に関して言えば、入所者や職員全員がコロナワクチンの2回目の接種を終えた施設については、もう全面的な面会制限はあってはならないと思う。それは人権侵害でしかない。

ただし社会全体でみると緊急事態が続いている地域があるので、感染対策を施したうえでの面会制限緩和が求められており、国は次のような対策を例示している。

・ 面会時間は必要最小限とし、1日あたりの回数を制限すること

・寝たきりや看取り期以外のケースでは居室を避け、換気可能な別室で行うこと(※逆に言えば、寝たきりや看取り期の方は、居室での面会でも構わないとしている点に注目してほしい)

・来訪者が施設内のトイレを極力使わないようにすること


このほか熱があったら来訪を断る(過去2週間以内に発熱していないこと・同居家族にも症状が出ていないこと。)、名前や連絡先を記録する、マスク・手指消毒を求める、大声での会話は控えてもらう、といった基本の徹底も呼びかけている。

介護施設や居住系施設の利用者の方々が、一日も早く家族の手を握って話ができる機会をつくろうという体制づくりに興味がない人は、対人援助の職業から身を引いた方が良いと思う。
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夜間配置の試行期間が終わりますが・・・。


今週木曜日には、いよいよ暦も7月に変わる。

夏本番と言ったところだが、その時期はちょうど介護報酬改定・基準改正から3月を経た時期でもあり、大きな変化が全国の特養で予測される時期でもある。

というのもその時期に特養での二つの夜間配置基準緩和の試行期間が終わって、完全実施されるからだ。

その一つは、介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護・短期入所者生活介護の夜間配置加算の算定要件変更である。

今年度から見守り機器を入所者全員に設置した場合、「夜勤職員全員がインカム等のICTを使用していること及び安全体制を確保していること」の2つの条件をクリアすれば、最低基準に加えて配置する人員が従前の0.9から、「人員基準緩和を適用する場合0.8人、適用しない場合(利用者数25名以下の場合等)0.6人」まで引き下げることが可能となっており、その試行期間が終了する。

二つめは、介護老人福祉施設(従来型)について、見守り機器やインカム等のICTを導入する場合における夜間の人員基準緩和(参照:特養で夜勤する人がいなくなるかもしれない緩和策)についての試行期間の終了である。この配置基準緩和は、夜間配置加算の追加する職員の緩和ではなく、夜間配置基準そのものの規定人数が減らされるのだから、加算算定基準の緩和策より重大な問題である。職員は今まで経験したことがない、最も少ない人数で夜勤を行わなければならないからだ。

試行期間とは、実際に見守り機器やインカム等のICTを活用しながら、それで配置人数が減らせるのかを確認する期間であり、この期間は夜勤者数を従前からの基準通り減らすことなく配置しながら試していた期間である。

つまり実際に人を減らして、夜間ケアを行うのは7月が最初となるのだ。

試行期間中に実際に夜勤者数が減ることに不安を感じていた職員は、全国にたくさんおられるはずだ。実際に僕のところには、そうした職員の方々が多数不安の声をメールで送ってくださっている。その中にはその不安が解消しないとして、夜間配置基準を緩和しない特養や、緩和基準が導入されなかった老健に職場を変えたという人が居られる。

試行期間が終わり、実際に夜間配置人員が減らされた中で仕事をする人で、今後同じように職場を変えようとする人の動きが活発化するかもしれない。

見守り機器等は、とても優れた性能があり、その導入はぜひ進めるべきだと思う。それによって夜勤者の業務負担は間違いなく軽減できるからだ。

だからと言って人を減らして夜勤を行うということは別問題だ。せっかく見守り機器やインカム等のICTを導入して、業務負担が軽減しても、配置人員を減らしてセンサー対応する職員の数が減ってしまえば、業務負担は逆に従前よりも増えることになりかねない。

実際に機械の反応で対応するのは人間なのに、その対応者が減れば、そこで業務負担が増えるだけではなく、その他のルーティンワークにも支障を来すのは極めて容易に想像できることだ。

試行期間でそのことを確かめて、やはり夜間配置人員は、従前どおりにしないと業務が回らないという判断があってもよいと思うのだが、実際には試行期間を通過儀礼と考えて、その期間が終わったならば自動的に配置人員を減らそうと思ている特養経営者や管理職が多いのには閉口してしまう。

26日に厚労省が介護ロボット等の安全使用を呼びかける事例集を公表したが、その中には昨年11月までの1年間で、見守り機器を導入していたが、利用者がベッドから起き上がったことを知らせる警告に職員が気付かずに骨折した事故などが70件以上発生していることが示されている。

職員を減らして配置すると、センサー反応に気づかない事故も増えるし、気づいても対応ができない場面も増え、事故は確実に増えることは容易に想像がつく。そうした事故対応にも職員の身体と精神は疲弊していくのではないだろうか・・・。

職員の健康や業務負担を考えることなく、利用者の安全な暮らしを護れなくなるリスクも考慮せず、変更基準に合わせた人員削減に躍起になる経営者や管理者のいる場所で、将来にわたって職員が安心して働くことが出来るわけがない。そういう事業者は見限って、一日も早く良い転職先を探すということも、賢い従業員の選択肢の一つだと思う。

これから緩和された配置基準で夜勤業務を行わなければならない介護職員の方々は、くれぐれも身体的・精神的な健康を害しないように、不安と不満を抱えたまま過酷な労働環境に耐えて働き続けることがないようにしていただきたい。

時と場合によっては、自分の身は他に誰も守ってくれる人がないのだから、自分自身で守るしかないのである。その時の判断は、「もっと良い職場を探してみよう」でも良いわけである。
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加算別 LIFE 情報提出等のまとめをDLできるようにしてみた


厚生労働省の介護データベース「科学的介護情報システム」(LIFE)で、4月の運用開始に合わせた利用申し込みが殺到し、一時は約2万の事業所がデータを提出できない状態に陥っているというニュースが流れている。

これは厚労省内のコロナクラスター感染による作業遅れと、LIFEの不具合によるシステムエラーの両方が原因であると思える。

システムエラーに関連してはFAQ(よくある質問)が19日付でダウンロードできるようにされているので、インポートできない理由などの対応方法を確認していただきたい。

ここでは暗号化キーを設定した端末と異なる端末で情報入力するには、バックアップファイルを共有して情報を登録したい端末にインポートする必要性などが示されているが、そもそも他のPCにバックアップファイルを渡せない状態が出ていたりして、システムそのものの障害が疑われる。

それらの情報については表の掲示板の、「 LIFEの新規登録について」で随時情報交換がされており、ここでしか知り得ない貴重な情報も掲載されているので、そちらを常にチェックしておいていただきたい。

このシステム障害に加えて、IDやパスワードをはがきで送付する作業も滞っているようだが、それには厚労省のコロナウイルスクラスター感染が影響していることは間違いない。昨日も新たに10人の感染者が出て、この中には問題となっている宴会参加者が5名含まれており、感染者は合計27人(宴会参加者は12名)となっている。Q&A発出も益々遅れることだろう。

科学的介護推進体制加算等の情報提出猶予のある4つの加算以外は、4月から加算算定する場合の最初の情報提出期限が5/10になっているが、この時期を延期するのは当たり前のことだと思う。そのアナウンスもされていないのは、自宅待機者などが増えて決済処理ができないためだろう。何とも恥ずべき状況である。

ところでLIFEへの情報提供については、その頻度と提出しなければならない情報については、「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」で示されており、LIFEからのフィードバック情報をPDCA活用すべき計画書等については、老企36号及び老企40号の各解釈通知でサービス種別ごとに示されている。

それらを表にまとめ、ダウンロードできるようにしたので、文字リンクをクリックして参照していただきたい。【加算別 LIFE 情報提出のまとめ 】※どのような表なのを示した参考画像は下記である。
LIFE情報提出のまとめ
加算別に情報提出の頻度、提出しなければならない情報、フィードバックを受けた情報を活用すべき対象様式を示しているが、今朝あわただしく作成して、十分な確認も済ませていない状態でアップしたので、今後修正しなければならない箇所があるかもしれない。

修正すべき点に気が付いた方は、ご一報いただきたい。
修正箇所
※4/23 AM7:40 22日発出の正誤表に対応した修正と情報提出猶予期間を追加して、修正アップしました

表を見てわかると思うが、ADL維持等加算については報告頻度が他の加算とはかなり異なっている。これはバーセルインデックス測定月のADL値を情報として提出するためである。

その他の加算は、初回以外の情報提出については定期的な報告も求められ、科学的介護推進体制加算以外の加算は、その頻度が少なくとも3月に1回とされている。その頻度で計画の見直し等が求められているので、施設サービス計画や各居宅サービス事業所の計画も、3月に一度の見直しを行わねばならなくなったと考えるべきだろう。

特に特養は、昨年度まで施設サービス計画書の定期見直しを、半年に一度としている施設が過半数を超えていたので、その体制を見直さねばならない。

なお科学的介護体制推進加算の定期的な情報提出が、「少なくとも6月に1回」とされ、他の加算より報告頻度が少なくなっている理由は、報告すべき情報が多いことによるものと思われる。

どちらにしても請求ソフトの情報の自動反映では対応できない情報も多く、手作業での入力が必要となる項目が多々あるので、情報提出担当者を明確にしておき、作業に一日も早くなれるようにしていただきたい。
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厚労大臣が定める基準を見逃さないように


昨日、介護報酬の解釈通知から(案)の文字が消え、正式文書として発出されたことを受け、各事業者では担当者が加算届等に関連して、算定要件等を確認するために資料の読み込み作業を進めていることだろう。

ただし現行ではQ&Aが発出されていないので、まだ不明の部分も残されている。

例えば通所介護と通所リハビリに新設された、「入浴介護加算」については解釈通知で、『入浴計画に基づき、個浴その他の利用者の居宅の状況に近い環境にて、入浴介助を行う。なお、この場合の「個浴その他の利用者の居宅の状況に近い環境」とは、手すりなど入浴に要する福祉用具等を活用し利用者の居宅の浴室の環境を個別に模したものとして差し支えない。」とされているが、それは例えば4〜5人が同時に入浴できるような大きな浴槽であっても認められるという意味なのかは現時点で誰も正しい判断はできない。

こうした解釈は、あれこれ想像で議論するのは無駄でしかなく、Q&A発出を辛抱強く待つしかないのである。

ただし8割がた算定要件は既に解釈できると考えてよい。その部分は十分な読み込みと、正確な判断が求められるわけである。そのためには報酬告示と解釈通知を読みこむだけではだめなのだ。意外と見落とされている、「厚生労働大臣が定める基準」であるが、ここに答えがあるものも多いのである。

例えば施設関係者の間で、「算定要件の管理栄養士配置規準がわからない」という声が多く聞かれる、「栄養マネジメント強化加算」がその典型である。

この加算を説明するために介護給付費分科会に提出された資料では、「管理栄養士を常勤換算方式で入所者の数を50(施設に常勤栄養士を1人以上配置し、給食管理を行っている場合は70)で除して得た数以上配置すること」とされていたため、これをどう解釈すべきなのかという疑問の声が挙がっていた。

しかし報酬告示では、「別に厚生労働大臣が定める基準に適合するものとして都道府県知事に届け出た指定介護老人福祉施設において、入所者ごとの継続的な栄養管理を強化して実施した場合、栄養マネジメント強化加算として、1日につき所定単位数を加算する。ただし、イ及びロの注6を算定している場合は、算定しない。」としか書かれておらず、その謎は解けなかった。

そこで解釈通知が待たれていたわけであるが、その内容は以下の通りであった。

『大臣基準第 65 号の3イに規定する常勤換算方法での管理栄養士の員数の算出方法は、以下のとおりとする。なお、当該算出にあたり、調理業務の委託先において配置される栄養士及び管理栄養士の数は含むことはできないこと。また、給食管理を行う常勤の栄養士が1名以上配置されている場合は、管理栄養士が、給食管理を行う時間を栄養ケア・マネジメントに充てられることを踏まえ、当該常勤の栄養士1名に加えて、管理栄養士を常勤換算方式で、入所者の数を 70 で除して得た数以上配置していることを要件とするが、この場合における「給食管理」とは、給食の運営を管理として行う、調理管理、材料管理、施設等管理、業務管理、衛生管理及び労働衛生管理を指すものであり、これらの業務を行っている場合が該当すること。なお、この場合においても、特別な配慮を必要とする場合など、管理栄養士が給食管理を行うことを妨げるものではない。』

これを読んでも良くわからないわけである。なぜならもともとの管理栄養士の配置規定が示されていないからだ。それはどこにあるのかと言えば、それが厚生労働大臣が定める基準なのである。下記画像がその部分だ。
栄養マネジメント強化加算の要件
厚労大臣が定める基準六十五の三地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護費における栄養マネジメント強化加算の基準※こちの資料「参考2−15:厚生労働大臣が定める基準」の474頁を参照のこと。

つまり栄養マネジメント強化加算の算定に必要な配置要件とは、「管理栄養士」を常勤換算方法で入所者の数を50で除して得た数以上配置しておれば算定できるということが基本になっているのである。

しかし介護施設の栄養士配置要件は、「管理栄養士」ではなく「栄養士」であってもよいために、栄養士を1名しか配置していない施設も全国にはまだ多いのである。上に記した解釈通知・老企40号規定は、この場合の管理栄養士が常勤である場合について可能となる上乗せ配置条件を説明した文章である。つまり管理栄養士ではなく栄養士しか配置されていない場合は、その栄養士が給食管理を行っているという条件の下で、それに加えて管理栄養士を常勤換算方式で入所者の数を70 で除して得た数以上配置しておればよいという規定になっている。

例えば入所者70名の施設を例にとれば、管理栄養士を常勤換算1.4人配置しておれば配置要件はクリアするのである。

同じ利用者数で栄養士の配置しかない場合は、配置基準をクリアするためには栄養士+常勤換算1.0の管理栄養士が必要になるという意味だ。

こんなふうに報酬告示・解釈通知・厚労大臣が定める基準を一体的に読み込んで算定要件等の理解に努めていただきたい。

なお栄養マネジメント強化加算で講演等で質問が多かった、「食事の観察(週3回以上)」については、「管理栄養士が行うことを基本とし、必要に応じ、関連する職種と連携して行うこと。やむを得ない事情により、管理栄養士が実施できない場合は、介護職員等の他の職種の者が実施することも差し支えないが、観察した結果については、管理栄養士に報告すること。なお、経口維持加算を算定している場合は、当該加算算定に係る食事の観察を兼ねても差し支えない。」とされ、観察内容も示されているので、この部分の疑義はほぼ解消されたと言ってよいと思われる。

栄養マネジメント強化加算は、一人の利用者に対し毎日11単位を算定できる単位数の大きな加算と言える。それだけに算定ハードルは低くない。それにしてもこの記事で解説した通り、管理栄養士の配置基準は高いハードルだ。80人施設で利用者全員にこの加算を算定できるとしても264.000円/月の収益にしかならない。この場合栄養士しか配置していない施設であれば、別に管理栄養士を1.1人加配せねばならない。そう考えるとこの収益は人件費にもならない額ではないかと思う。

そうしたことを含めて、加算算定に向けて動くのかどうかなどの判断をしていくのが経営者や管理職の今求められている一番重要な役割である。
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褥瘡マネジメント・排泄ケアのアウトカム評価の詳細


施設サービスにおいて、計画実施加算であった褥瘡マネジメント加算と排せつ支援加算については、それぞれアウトカムを評価する上位加算(褥瘡マネジメント加算13単位/月・排せつ支援加算15単位/月及び20単位/月)が新設されたが、その算定要件が明らかになった。

両加算の最初の利用者状況評価は、届出の属する月及び当該月以降の新規入所者については、当該者の施設入所時に評価を行うこととし、届出の日の属する月の前月において既に入所している者(以下「既入所者」という。)については、介護記録等に基づき施設入所時における評価を行うとされた。

その為、この二つの加算の新設上位区分算定のためには、既入所者のケース記録等から入所時点の褥瘡リスク評価と排せつ機能評価を行う必要がある。4月から上位区分を算定するためには、今からその作業を進めておく必要がある。

褥瘡予防のアウトカム評価の上位区分として新設された褥瘡マネジメント加算兇蓮∬黶譽泪優献瓮鵐伐短鮫気了残衢弖錣鯔たす施設において、施設入所時に褥瘡が発生するリスクがあるとされた入所者について、施設入所日の属する月の翌月以降に別紙様式5を用いて評価を実施し、当該月に別紙様式5に示す持続する発赤(d1)以上の褥瘡の発症がない場合に、所定単位数を算定できるものとするとされている。様式5の「褥瘡対策に関するスクリーニング・ケア計画書」は下記画像の通りである。
褥瘡対策に関するスクリーニング・ケア計画書
この様式を用いた評価によって、入所月の翌月から褥瘡発生が予防されている場合は加算算定できるわけである。

このブログで何度も指摘したように、特養は褥瘡をつくらない施設として、医療系サービスに負けないケアを実践してきた経緯がある。よってこの加算は是非褥瘡リスクが高いとされた入所者全員に算定したい加算であるし、算定率の高さは、後々地域の方々から選択される施設の評価につながっていくことになるのではないかと考える。

次に排せつ支援加算である。入所時点等の評価については褥瘡マネジメント加算と同様である。

アウトカム評価の上位加算ううち排せつ支援加算兇蓮∋楡瀑所時と比較して、排尿又は排便の状態の少なくとも一方が改善し、かつ、いずれにも悪化がない場合又はおむつ使用ありから使用なしに改善した場合に、算定できることとするとされた。

最上位区分の排せつ支援加算靴蓮排せつ支援加算()の算定要件を満たす施設において、施設入所時と比較して、排尿又は排便の状態の少なくとも一方が改善し、いずれにも悪化がなく、かつ、おむつ使用ありから使用なしに改善した場合に算定できる。

評価は別紙様式6を用いて行うとされたが、様式6は「排せつの状態に関するスクリーニング・支援計画書」であり、下記の画像である。
排せつの状態に関するスクリーニング・支援計画書
この計画書によって排尿・排便の状態及びおむつ使用の有無並びに特別な支援が行われた場合におけるそれらの3か月後の見込みについて実施するとされ、この評価で改善が認められた場合に初めて算定できる。

両加算とも、LIFEへの提出情報及びフィードバック情報を活用することが算定要件となっているので、フィードバックを受けた内容を画像で示した2つの様式にそれぞれ反映せねばならない。

なお、『LIFEへの提出情報、提出頻度等については、「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」を参照されたい。』とされ、それを見ると両加算とも加算算定月と最低3月に1回行われる計画見直し時に情報提出が必要とされているが、令和3年度については猶予期間が設けられており、「LIFEに対応した介護記録システム等を導入するために時間を要する等の事情のある事業所・施設については」という条件付きで令和4年4月10日までに提出するとされ、まるまる1年以上情報提出が猶予されている。

そのほか提出情報の詳細(それぞれ様式5・6の情報の一部)も示されているので、同通知を必ず漏らさず確認していただきたい。

こんなふうにここしばらくは、国の発出情報を確認しながら、新加算の算定に向けての準備を着実に進めていく必要がある。要件の見落とし、解釈の間違いが即報酬返還につながるので、表の掲示板で情報交換しながら、確実に前に進んでいってほしい。
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施設サービス計画の更新は3月毎が当然になる


施設の介護支援専門員の主要業務として、施設サービス計画の作成・更新作業が挙げられる。

当然この業務の中には利用者に対する個別のアセスメントやモニタリングを行なうことや、多職種合同でのケアカンファレンスを主管することのほか、作成したケアプランの周知連絡など様々な業務負担が伴うわけである。

施設ケアマネにとって施設サービス計画書の作成作業は、重要かつ負担が大きい業務と言え、定期的な更新作業が年に何回行わなければならないのかということは大きな問題でもある。

老健の場合、利用者ごとに3月に一度在宅復帰検討をしなければならないために、それに合わせて施設サービス計画書を更新しているところが多く、定期更新は年4回というのが普通だろう。

しかし特養の場合、施設サービス計画の短期目標期間を6月間、長期目標期間を12月間としたうえで、定期の計画見直しを短期目標の更新時期に合わせて、一人の利用者につき年2回という施設が多いのではないか。現に僕が総合施設長を務めていた特養は、その頻度で施設サービス計画を定期更新していた。

施設サービス計画書の目標期間を固定することは悪いことではなく、むしろ合理的方法と言える。そのことはケアプラン目標期間は一律機械的でなぜ悪いというブログ記事でも指摘・提言しているところでもあり、この方法や頻度に何の問題もなかった。

例えば特養の個別機能訓練加算については、3月ごとに訓練内容等を利用者に説明しなければならないという3月ルールがあるが、この際に個別機能訓練計画の見直し・更新が求められているわけではないので、短期目標を3月とする必要もなかったわけである。

しかし年2回の施設サービス計画の更新という頻度は、新年度からは非合理的になり、老健と同じく特養でも3月ごとの定期更新作成が必要になってくると思う。

なぜなら新設加算や現行加算の新上位区分などでは、計画の見直しが3月に一度必要とされる要件となっており、見直した計画書をLIFEに提出しなければならなくなるからだ。

例えば施設サービスに新設され、算定できれば大幅な収益増が見込まれる、「自立支援促進加算:300単位/月」については、必ず算定すべきであることを、「壁は高いが算定しなければならない自立支援促進加算」という記事を書いて指摘しているが、作成が必要とされる、「医学的評価に基づく自立支援計画」については、「少なくとも3月に1回、入所者ごとに支援計画を見直していること。」が算定要件になっている。

褥瘡マネジメント加算については、「少なくとも3月に1回、評価を行い、その評価結果等を厚生労働省に提出し、褥瘡管理の実施に当たって当該情報等を活用していること」というふうに、LIFEへの情報提出とフィードバック活用の要件が加えられたうえで、「評価に基づき、少なくとも3月に1回、入所者等ごとに褥瘡ケア計画を見直していること。」とされている。

排せつ支援加算についても、褥瘡マネジメント加算と全く同様の要件が加えられた。

栄養マネジメント加算は廃止されるが、その要件は基本サービス費の算定要件とされるため、3月に1回、栄養スクリーニングの実施と栄養ケア計画の見直しが求められることに変わりはない。

このように2021年度以降は各加算毎にそれぞれの目的に沿った支援計画が必要とされ、それを3月ごとに見直していく必要があるのだが、これらを施設サービス計画と別個に作成していては仕事が回らなくなる。よって施設サービス計画にすべての加算に必要な支援計画を項目別に盛り込んで、一括作成する方法が最も合理的となる。

その為、各項目ごとの短期目標期間は、支援計画の見直し時期に合わせて3月とする必要があり、全利用者の施設サービス計画は、それぞれの短期目標の終了期間に合わせて3月ごとに行うことが必然となってくるのである。このように全利用者の施設サービス計画は、年4回更新するのがスタンダードとなるだろう。

そうしておかないと、加算算定の要件漏れで返還請求されるケースが増えかねない。

施設サービス計画の定期見直しを年2回しか行っていない介護施設のケアマネジャーは、今から4月以降の施設ケアプラン更新時期の見直しに備えた準備を進める必要がある。

施設サービス計画の更新回数が増えるということは、そのための担当者会議も増えるという意味であり、他職種の業務負担も増すことにつながるのだから、他職種への周知と理解を求めることも不可欠である。

なお施設におけるサービス担当者会議(ケアカンファレンス)については、照会と同列とされ、居宅サービス計画のように、「やむを得ない事情がある場合に限って」照会できるということになっていない。よって最初から、「会議を行う必要はないケースですから、照会だけで更新します」という方法が認められているのだから、照会のみで施設サービス計画を作成・更新できるルールを大いに利用すべきである。(参照:ケアプランはサービス種別によって作成ルールが異なる

施設ケアマネジャーの業務とは、施設サービス計画を作成することではなく、計画を活用して利用者の暮らしの質を向上させることであることを忘れずに、計画作成作業の合理化に意を用いてほしい。
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壁は高いが算定しなければならない自立支援促進加算


来年度の報酬改定議論の主要テーマの一つに、介護支援専門員の処遇改善問題があった。特に特定加算の、「その他の職種」にも該当しない居宅介護支援事業所の介護支援専門員の待遇を向上させなければならないという声が高まっていた。

結果的に介護支援専門員に対する処遇改善加算は実現しなかったが、居宅介護支援費は他のサービスと比較しても上げ幅が大きく、特定事業所加算のアップ分や基準改正による担当者件数の増加などを含めて、居宅介護支援事業所の収益増がを期待できる結果になった。その収益を事業所に内部留保せず、きちんと介護支援専門員に還元してほしいというのが国メッセージなのだから、居宅介護支援事業所の経営者の方は、そのことを十分に理解したうえで、事業所内の介護支援専門員の給与アップ等を図っていただきたい。

ところで介護施設や通所サービスは、基本部分の報酬アップがさほどでもなかった。僕が講演スライドとして作成した次の図表を参照してほしい。
介護施設の基本報酬
通所サービスの基本報酬
このように施設サービスは算定区分によっては、基本部分はマイナス改定だ。通所サービスは額面で上げ幅が大きい通所リハの実質的な引き上げ幅は、通所介護を下回っていると思える。両者ともプラス改定になっているがそれも大きな額ではなく、この部分だけの収益で高騰する人件費を手当てすることは出来ない。

そこで昨日も書いたが、新たに設けられたLIFEへのデータ提出とフィードバックの活用によるPDCAサイクルの推進を評価する、「科学的介護推進体制加算」は、すべての事業所が算定したい加算であるといえる。

ところでこの加算に必要なデータ提出の頻度については、今のところ明確に示されていない。しかし表の掲示板で情報提供を求めたところ、コンサル会社に所属されている方から、昨年五月に厚労省老人保健課から出された事務連絡についている仕様書の6ページには「連携頻度について」という項目で月1回を想定と書かれているという情報をいただいた。

この加算が毎月算定できる加算であることを考えても、毎月情報提出ということになるのではないかと予測せざるを得ない。大変な業務負担であるが頑張ってほしい。なお具体的に提出する情報については、参考資料の109頁に通所リハ・訪問リハの提出情報案が示されているので参考にしてほしい。

ところで今回施設サービス(介護療養型医療施設を除く)に新設された加算の中には、「自立支援促進加算」がある。その算定単位は300単位/月と非常に高い単位となっている。

この加算算定だけで100人定員の施設なら年間360万円の収益アップであり、若い介護職員を一人分雇用できる人件費に相当させても余りある額になる。よってこの加算が算定できるか否かが事業経営上の分かれ道ともなりかねない。

しかしこの加算の要件は、医師が常勤配置されている老健等ならさほど問題なくクリアできるが、特養にとってはかなりハードルが高くなっている。

というのも算定要件として、次の4項目をクリアせねばならないからだ。
. 医師が入所者ごとに、自立支援のために特に必要な医学的評価を入所時に行うとともに、少なくとも6月に1回、医学的評価の見直しを行い、自立支援に係る支援計画等の策定等に参加していること。
. イの医学的評価の結果、特に自立支援のために対応が必要であるとされた者毎に、医師、看護師、介護職員、介護支援専門員、その他の職種の者が共同して自立支援に係る支援計画を策定し、支援計画に従ったケアを実施していること。
.イの医学的評価に基づき、少なくとも3月に1回、入所者ごとに支援計画を見直していること。
. イの医学的評価の結果等の情報を厚生労働省に提出し、当該情報その他自立支援促進の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること。(CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用)


配置医師が嘱託医師で、週1〜2回・数時間の診察にしか来ない特養が多い現状で、入所時とその後半年ごとに医学的評価を全入所者に行うことは決して簡単なことではない。しかし今後の特養経営の安定化及び従業員の雇用と待遇を護るためにも、医師の理解を得て、この要件をクリアしたうえで加算算定する努力をしなければならない。

「そんなの俺の仕事じゃない」とお医者さんから言われないように、くれぐれも丁寧に、お医者様を持ち上げて首を縦に振ってもらわねばならないのである。

もう一つ注目してほしいのは、医師評価に基づいて支援計画は3月ごとに見直さねばならない点である。

今回施設サービスでは、支援計画の3月ごとの見直しが他の加算でも求められている。毎月算定できるようになり、かつアウトカム評価の上位区分が創られた褥瘡マネジメント加算排せつ支援加算は算定しなければならない加算であるが、これらの支援計画も3月ごとに見直しを行うことが条件になっている。

これらの支援計画は計画書を別々に作成するのではなく、施設サービス計画の中にその項目が入っておればよいものだが、そうなると来年度以降、施設サービス計画書は3月ごとに見直していく必要も生ずるということになる。

老健の場合は在宅復帰検討を3月ごとに行わねばならないため、施設サービス計画書も3月ごとに見直し・再作成が行われているところが多い。しかし特養の場合はそうした規定がなかったために、長期目標期間を1年とし、短期目標期間を半年としたうえで、半年ごとに計画書の見直しと再作成が行われている場合が多い。この頻度の見直しが必須とされるのが、来年度からの新報酬対応の要点の一つでもある。

なおここではLIFEへの情報提出は、「医学的評価の結果等の情報」となっているので、評価ごとに送ればよいのかもしれない。ここは解釈通知待ちである。

医学的評価や計画などに用いる書類の様式については、国が新年度までに提示する予定になっている。

どちらにしても、この加算を算定できるか否かが施設サービスの生き残り戦略に強く影響してくるので、石にかじりついても算定できるように、今から準備を進めなければならない。

そのため職員すべてに、今の時点かこの加算の意味と内容を説明し、組織を挙げて算定に向けた取り組みを行う機運を盛り上げていくのが、施設経営者や管理職の役割となる心し。心して取り組んでいただきたい。
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特養で夜勤する人がいなくなるかもしれない緩和策


2021年度・介護報酬改定の5本の柱の4番目に、「介護人材の確保・介護現場の革新」が位置付けられている。

しかし改定結果を見ると、「介護人材の確保」は十分に対策されておらず、「空振り」の様相を呈し、「介護現場の革新」は、革新と言えるほどの技術の向上が伴っていない機器に頼る形で、無理やり人手をかけないでサービスを提供する方策を取り入れ、極めて乱暴な形のサービス資源確保策を取り入れている。

例えば個室ユニット型施設の1ユニットの定員は、現行の「おおむね 10 人以下」から「原則としておおむね 10 人以下とし、15 人を超えないもの」とするという規定に変更されている。ここでは、「実態を勘案した職員配置に努めることを求めつつ」という文言が書かれてはいるが、経営者の考え方一つで、現行の職員配置のまま、対応する利用者数だけが増える施設も多いことだろう。経営的にはありがたい規定変更だが、職員にとっては労務負担が増えるだけの辛い改定になりかねない。

また育児・介護休業法による時短勤務を行っている職員については、週 30 時間以上の勤務で「常勤」として扱うことを認めたうえで、「常勤換算方法」の計算に当たる際にも、同法による時短職員については、週 30 時間以上の勤務で常勤換算での計算上も1(常勤)と扱うことを認めるとしている。

本来の常勤は、最低32時間の勤務時間が必要なのだから、これを2時間下回ることを認めたわけである。このことは介護事業者にとっては、常勤にわずかに満たない勤務時間分を、パート職員などを募集して常勤換算を満たす必要がなくなることでメリットはあるが、他の勤務者にとっては、その分の業務負担が自分の身に降りかかってくるわけである。わずか2時間でも、されど2時間である。毎週長期間にわたって、その負荷をかけられることによる疲弊は、身体面だけではなく精神面まで深く及ぶかもしれない。

テクノロジーを活用する条件が付けられた配置基準緩和も、働き手にとっては大きな問題である。

特養と短期入所生活介護の夜間職員配置加算について、見守りセンサーを導入し、夜勤職員がインカム等の ICT を使用する場合の配置基準緩和策については、前回の基準緩和をさらに緩和する2段階の策がとられているが、このことに関して言えば加算を算定できるかどうかという問題で、職員の業務負担には直接結びつかない場合が多いかもしれない。しかしこれとは別に、「見守り機器等を導入した場合の夜間における人員配置基準の緩和」が大きな問題である。

特養と短期入所生活介護について、以下の表のように配置基準が緩和されることになった。
緩和される夜勤配置基準
このように利用者60人以下の配置基準が整数2を切っている。そのためこの基準緩和をそのまま勤務時間の削減に結び付けようと考える特養では、夜勤時間帯に一人で60人もの利用者に対応しなければならない時間帯が増えることになる。見守りセンサーは、その対応を手助けする機器だとでもいうのだろうか・・・。

グループホームの夜勤者一人が対応する利用者数は9人である。今回2ユニットの夜勤者を一人に緩和してほしいという要望は、ケアの質が低下するとして却下され、その替わりに新たに通常指定として認められた3ユニットの場合に、2人夜勤を認めるルールが設けられた。しかしこの場合も、一人の夜勤者が担当する利用者数は13.5人に過ぎない。

それに比べると特養の夜間配置基準はあまりにも少ないといえる。2人で60人に対応するとしても、一人の担当人数は30人なのだからそれだけでも過酷なのに、その対応人数が倍の60人とされる時間帯が増えることになるのである。

要介護3以上の方がほとんどの特養で、それらの人が夜間は一人も動き回らずに、寝てくれていたら問題ないのだろうが、そんなことはあり得ない現状で、一人の夜勤者が60人の対応をこなすときに、何が起こるのかを考えただけで背筋が寒くなる。

そこで安全第一に対応しようとすれば、夜間の排泄ケアは、すべての利用者にオムツを着用を強いて、そこに排泄させるだけで手いっぱいで、ポータブル介助やトイレ介助なんてできなくなるだろう。そして無理やり着用させられたオムツが濡れていようと構わずに、決められた時間だけしかオムツ交換もせず、しかもその回数は極めて少なくせねばならないだろう。体位交換も「なおざり」にしかできない。

それでも60人に対して、一人の職員での夜間対応は過酷である。そうしなければならない時間帯があるだけで不安で働けなくなる職員もいるだろう。いくらテクノロジーを導入していたとしても、そうした特養では働きたくないと考える職員が増えるだろうし、少なくとも夜勤はしたくないと考える職員は増えるだろう。

この基準緩和を良いことに、夜間勤務時間を減らしたり、夜間時間帯の勤務者を少なくして、日勤勤務の調整を図ろうとする特養では、決して職員の労働環境が今より良くなることはないと思う。

日勤専門職なら問題ないかもしれないが、夜間の業務負担で疲弊する職員が多くなるだろう。

その為、特養で働くより、夜間配置職員の緩和規定がなく、看護職員の夜勤者がいる場合が多い老健等で働きたいと思う人が増え、特養の働き手はますます減る可能性がある。

だからこんな緩和策が認められたとしても、特養の経営者や管理職は、施設の定めた夜勤時間帯において、60人もの職員を一人で対応させることがないように自主規制すべきだと思う。最低でも30:1の基準の中で、夜間業務ができるように勤務シフトを作成すべきではないだろうか。そんな風にして職員の身体と精神の健康も護るという配慮こそが、人材確保策として求められることではないのだろうか。

職員の立場で考えると、施設経営者や管理職にそうした配慮がない特養であるとしたら、そこで働き続ける必要はないと思う。心と体を壊してしまう前に、そういう施設からは一刻も早く脱出するのも、自分を護るための方策だと思う。

その際は、下記に紹介している転職支援サイトなどを利用して、職員の身体と心を護る介護事業者を探すべきではないだろうか・・・。
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昭和は遠きになりにけり


昭和を代表する消毒薬「赤チン」の製造が終了するそうである。

最盛期の昭和60年代、全国約100社が製造していた赤チンも、現在では東京都世田谷区の1社のみが製造しているがだけになっていたらしいが、24日をもってそこも製造中止する。

そういえば僕が大学卒業後に、特養で仕事を始めたのは昭和58年だったが、そのころはまだ赤チンは全盛期だった。さすがに特養の常備薬として医務室に赤チンを置いているところはなかったと思うが、入所者個人で赤チンを持っている人は多かった。

オロナイン軟膏と並んで、赤チンは家庭でも常備薬として必ず置かれていたのではないだろうか。

しかし僕の自宅からも、赤チンやオロナイン軟膏やキンカンが消えて久しい。昭和は昔話の中に溶けつつある・・・。

ところでそんな話題に触れたからかもしれないが、就職した当時のことを思い出しているところだ。

僕は新設された社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームの生活指導員として新社会人のスタートを切ったが、採用された特養はその年の4/1オープンで、僕はまさにオープニングスタッフとして採用されたわけである。

しかしオープン当日から業務が始まったわけではなく、その2週間前から研修という名目で業務に就き、まだ誰も入所していない新設施設の中で、様々なオープン準備業務をこなしていた。

オープン初日からの日課活動予定や、業務分掌、当時寮母と呼ばれた介護職員の最初の勤務表の様式を作成したのも僕である。

その中でも一番重要とされた仕事が、オープン初日からの入所者の受け入れ予定表を組むことであった。送迎車の配車から、受け入れ事務等、ほぼすべての差配を担当させられた思い出がある。

当時の特養は、介護保険以前の措置施設であり、措置費で運営されていた。措置費の中身は大きく分けると2つに区分され、事業運営費やスタッフの給与となる原資は、「事務費」とされ、利用者の食費や毎日の生活に関わる原資は、「生活費」とされており、事務費の占める割合が大きかった。

現在の介護給付費との大きな違いは、運営費として必要な事務費が「日割り」されないということである。毎月初日の在籍人数しか事務費が支払われなかったのである。例えば4/2に入所した利用者については、利用者の暮らしの支出としてすべて使い切らねばならない生活費は29日分の日割りで支給されるが、運営費として必要な事務費(当時一人につき約20万円程度だったであろうか・・・。)は、ゼロになるのだ。

だからこそ施設運営上は、月の初日に利用者定員を埋めておく必要があり、新設施設でも悠長にその月の中で定員を埋めるのではなく、オープン初日にできるだけベッドを埋める必要があったわけである。

大学の卒業式を終えた足で、あわただしく引っ越しを行い、業務に就いていたという理由は、そのための準備が必要だったという経緯がある。

ただ当時の裏ワザとしては、利用者もしくはその家族と行政が認めれば、仮に2日に入所したとしても、「1日に入所したという扱いとする」として実際に入所した日と、措置開始日が違う扱いにするということは広く認められていた。それは施設都合ではなく、利用者都合であるとして許されていたのである。

そうであってもそれはせいぜい2日〜5日以内の入所に限られ、それ以降は事務費ゼロ円でその月の運営を強いられたわけである。

今考えると何とも不思議なルールであった。

どちらにしても、できるだけ運営費用に支障が来さないように、オープン初日の入所もしくは初日入所扱いにできる5日以内の入所を促すよう求められていたので、素人同然のオープニングスタッフしかいない特養に、オープン初日から5日間で約40名近い人が入所してきた。

そうなると真新しく新築の臭いがして、生活臭がまったくない建物が、4/1のオープン初日から、様々な生活臭に満ちていくことになった。

その時のことを今でもはっきり覚えているが、特に僕の印象に残っているのは、入所者が増えていくにしたがって、居室(当時は個室はなく、4人部屋と2人部屋のみ)や廊下に漂う湿布の臭いであった。

女性入所者が8割以上を占める中でも、体中に湿布を貼って、その匂いをぷんぷんと漂わせている人がたくさんいたわけである。

ただいま考えると、湿布臭が強く漂うということには意味があり、その意味を僕たち介護施設のスタッフが理解することはとても重要なことであると気が付くが、当時は残念ながら、その意味に気づくことはなかった。

そんな話題を記事にしようと思ったが、前段が長くなりすぎて、時間も無くなってきたので、この続きは明日書くことにしようと思う。明日も是非続きを読んでください。
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報酬改定で施設介護職員は業務負担増加へ


介護報酬改定議論は最終盤を迎えつつある。そこから見えてきた施設サービスの方向性は、介護職員の業務負担増加が確実視されるものだ。

すべての施設サービスと通所サービスは、CHASE(チェイス)への情報提供が報酬評価となることが確実になっている。

CHASEは、高齢者の状態やケアの内容など幅広い情報を蓄積して、「科学的介護」の基盤となるデータベースである。すでに来年4月からは、通所リハビリなどのリハビリ情報に特化した「VISIT」と一体的に本格運用されることが決まっていたが、VISIT以外の情報にも範囲を広げ、施設・通所全サービスを対象にするというものである。

報酬評価の形は新設加算ではなく、既存加算の新区分として繁栄するとのことで、11/5の同分科会では、個別機能訓練加算や口腔衛生管理加算、栄養マネジメント加算などを対象に新区分を設ける案が示されていた。

しかし昨日の介護給付費分科会資料では、『サービス提供体制強化加算が、質の高い介護サービスの提供を目指すものであることを踏まえ、施設サービスや入所系サービスにおいては、サービスの質の向上につながる取組の実施(ICTやロボットの活用、介護助手等の元気高齢者の活躍、CHASE等への参加、多床室でのポータブルトイレの不使用など)を算定に当たっての要件とすることを検討してはどうか。』という形で、サービス提供体制強化加算の上位区分という考え方が示されている。

CHASEへのデータ送信は、事務職員によって行われるだろが、データは介護の場の実務上の数値が求められるので、介護職員等には情報を集めて事務担当者に伝えるという作業が加わることになる。それは大した業務ではないなんて言える人は誰もいないだろう。今現在だって、施設の介護職員はフルスロットルで業務を回している状態なのに、これ以上どうすればよいのだろうと戸惑う人が多くなるのではないだろうか。

次に介護人材不足への対応として、特養においては入所者の処遇に支障がないことを条件に次の兼務が認められる。
・従来型とユニット型を併設する場合における介護・看護職員
・広域型特養と併設する小規模多機能型居宅介護における管理者・介護職員
・本体施設が特養である場合のサテライト型居住施設における生活相談員

さらに地域密着型特養(サテライト型を除く。)については栄養士を置かないことを認める方針だ。

介護施設すべてと短期入所生活介護の個室ユニット型施設については、1ユニットの定員を現行の「おおむね10人以下」から15名程度以内に緩和し、ユニットリーダーについて原則常勤を維持しつつ、出産・育児などやむを得ない場合については、一時的に非常勤職員で代替することを認めるとともに、本人が復帰した際は短時間勤務を認めることとしている。

このように現在と同じ配置人員で、対応する利用者数が5人程度増えるのだから、その分職員負担は増すことになる。さらに時短職員を認めるということは、それ以外の職員の業務負担が増えることにもつながることも覚悟しなければならない。

また特養と老健の、「排せつ支援加算」については、取組を促進する観点から、毎月算定できるようにすべきという考え方に加えて、現在はプロセスを評価する加算であり、結果的に排泄動作の改善がなくとも算定できる加算であるが、これに加えて、おむつから卒業しトイレで排せつできるというアウトカムを評価するという考え方も示され、上位算定区分がつくられる可能性がある。

しかしその考え方は、「おむつはずし加算に隠された陰謀」で指摘した、、介護報酬から『オムツ代』を除外して自己負担化し、給付費を下げるという考え方に先祖返りさせようとするものである。関係者はこのことに十分注意して、監視し続けなければならない。

介護ロボット、ICT等のテクノロジーの活用により介護サービスの質の向上及び業務効率化を推進していく観点から、平成30年度介護報酬改定で導入された見守り機器を導入した場合の夜勤職員配置加算や、夜間における人員配置について、さらなる見直しが進められることも、業務負担の増加に結び付くと思われる。

夜勤職員配置加算は、1 日平均夜勤職員数を算出するための延夜勤時間数が配置基準を1.0以上上回った場合に算定できる加算だが、見守りセンサーを対利用者比15%設置しておれば、配置基準を上回る延べ時間数が0.9以上となれば算定できることになっている。この15%のセンサー設置を10%に緩和することが決まっている。

さらに全ての入所者について見守りセンサーを導入した場合の新たな要件区分を設け、この場合は述べ勤務時間数が配置基準より0.5以上となれば算定できることとされる。下記がそれを示した表である。
夜間における人員・報酬(テクノロジーの活用)
この基準は特養のほか、介護老人保健施設、介護医療院及び認知症型共同生活介護についても拡大適用されることになる。

しかしこのブログで何度も指摘してきたが、センサーの反応で対応するのは夜勤職員である。機会が人に替わって対応してくれるわけではないのだ。そうであるにもかかわらず、センサーの設置で配置数の基準を下げることは即ち、実際に夜勤業務に就いている職員の労務負担増につながる問題で、この変更による過重労働が懸念されるところである。

これが生産性の向上であると言われても、現場の職員にとっては何の意味もないだけではなく、疲弊するだけである。テクノロジーを導入しても仕事はきつくなるばかりで、労働環境はさらに悪化するのではないだろうか・・・。

さらに次の見直しも通常勤務の職員にとっては頭の痛い問題となりかねない。

離職防止(定着促進)を図る観点から、人員配置基準が見直され以下の取扱いが可能になる。
1.「常勤換算方法」の計算に当たり、育児・介護休業法による短時間勤務制度等を利用する場合、32時間を下回る場合でも常勤換算での計算上も1と扱うことを可能とする。
2.「常勤」の計算にあたり、育児の短時間勤務制度に加え、介護の短時間勤務制度等を利用した場合に、30時間以上の勤務で常勤として扱うことを可能とする。
3.「常勤」での配置が、人員基準や報酬告示で求められる職種において、配置されている者が、産前産後休業や育児や介護休業等を利用した場合、同等の資質を有する複数の非常勤職員を常勤換算で確保することを可能とする。
 
この方針は施設経営上は、時短勤務で配置基準を下回ることがないという点でメリットと認めるだろうが、職員には負担感が増すものだ。3はともかく、1と2についていえば、時短職員が常勤とみなされることで、介護の場で実務に就く職員が減ることにつながりかねず、時短勤務以外の職員負担は増すことにつながるからだ。

また運営基準の改正の中では、高齢者虐待防止の取組を強化する観点から、障害福祉サービスにおける対応を踏まえながら、介護保険サービスの各運営基準において、虐待防止委員会の設置、責任者の研修受講などの体制強化に関する規定が設けられる。

今まで設置していなかった委員会の設置と運営、義務研修の実施なども業務負担増につながっていくだろう。

報酬体系の簡素化という論点では、介護保険制度の創設時と比較すると、加算の種類は増加している状況にあり、訪問介護は3から20に、通所介護は5から24に、特養では8から55に、老健では8から54に増加している問題が取り上げられているが、それらは具体的にどう整理するのか明らかになっていない中で、新設加算や上位区分加算の創設がしきりに議論されている。

このように業務負担が増す施設サービスは、ますます重労働のわりに対価が低いというイメージが広がりかねない改定になっていることを懸念せざるを得ない。
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人手不足を法令違反の言い訳にするな


北海道では大手の電力会社とガス会社の全面戦争が始まりつつある。二男は北電勤務なので、親としてはそちらを応援せねばならないだろうか・・・。

介護事業者にとってもランニングコストとしての比重が大きい電気・ガスの料金が下がるのは、事業収益上大きなことである。「電気・ガスの料金比較はお済ですか〜コストカットは毎日使うものから」も参照してほしい。

話は変わるが、またぞろ介護施設の不適切運営がお菊報道されている。その不適切レベルも半端ではない・・・。

神戸市灘区の特別養護老人ホーム「きしろ荘」で、長期間にわたって不適切ケアと法令違反の疑いのあるサービス提供体制がとられていたことが明らかになり、市が調査していることが明らかになった。

問題となっているのは以下のような行為及びサービス体制である。

〇餝覆里覆たΠが胃婁の利用者に濃厚流動食や薬剤を補給させていた。各痰吸引も資格のない職員に行わせていた。

一人の利用者に対して最低週2回は実施しなければならない入浴支援を、数年前から週1回しか行っていなかったことに加え、今年7月ごろまでの1年は2週間に1回程度のこともあった。

昨年1年間、全入所者約50人分の施設サービス計画書が作成されていなかったことに加え、今年5月に同じ法人内で他施設に勤務する職員に指示し作成させたが、介護支援専門員でない人もその作成にあたっていた。
(※仮に作成した人が介護支援専門員の資格を持っていたとしても、施設の介護支援専門員でない限り、そのような行為は許されていない)

悪いと思っていたが人手不足で改善できなかった」と言い訳をしている施設長は、この数年間、休みが取れない状況で、兵庫県内に新型コロナウイルスの感染が拡大した3月以降は、自宅に帰っていないそうであるが、コロナ禍以前から長期にわたってこのような不適切な状態を続け、法人に善処を求められなかったことに同情の余地はない。

自分が誰よりも働かなければならないという状態が、運営基準を護れなくともやむを得ない状態であるとの言い訳にしてしまうことも一種の感覚麻痺だ。このような状態の改善を、法人に強く訴え出ることができなかったこと自体が大問題であり、そもそも施設長としての器にかけていたのではないかと言われても仕方がない。

一部の報道では、「入所者は要介護度が高く、家族を含めて苦情などの指摘はない」という情報が書かれているが、馬鹿を言うなと言いたい。劣悪な処遇で被害を受けるのは家族ではなく、利用者本人だ。要介護度が高く、認知症の人も多い利用者本人が被害を訴えられないことをよいことに、そんな状態を何年も続けていたということは虐待そのものである。

そんな状態に家族の不平不満があったかどうかは関係のないことだ。自分自身が、週1回しか入浴できない状態を数年間続けていたらどう思うかを考えてほしい。しかもそうされているのは、排泄をオムツにしていたり、失禁があるかもしれない要介護者なのである。

人手不足で対応困難ならば、ショートの休止・入所の受け入れの一時停止を市に訴えなければならない。そのうえで人手不足を解消するための対策を法人全体で練る必要がある。法人自体は多角経営をしているようだから、これらの対策を早く講じていれば、このような不適切サービスが長期間続くことはなかったはずだ。人事は1施設において行うものではなく、法人全体で行うという原則が護られていなかったのではないか。

そもそもこの法人の理事会や評議委員会は全くこのことを察知していなかったとしたら完全な機能不全だ。知っていて放置していたとしたら、その役職の適格性に欠けるだけではなく、人としての品性が疑われるというべき問題だ。

理事長の責任は免れないが、全理事も責任を取る必要がある。評議員会の全委員も入れ替えが必要だ。

こうした状態を知れば知るほど、この施設にはまだ隠された問題が多く存在するように思えてならない。週1回しか入浴介助を行っていないのなら、そこで体調が悪かった人は、2週間入浴支援を受けられていないだけではなく、もっと長期間にわたって入浴支援を受けられなかった人もいたのではないか?排泄ケアはきちんとされていたのか?体位交換や清拭といった支援も不十分だったのではないか?夜間のケアは十分できていたのか?

市の調査(監査にしてしまえばよいと思うが・・・。)では、この施設利用者の皮膚状態をきちんとチェックしてもらいたい。そのことで新たな不適切ケアが明らかになる可能性があるからだ。

不適切行為が一つでも明らかになれば、きちんとできていた部分もこのように疑われて仕方がないのである。だからこそ法令基準は最低限護らねばならないのだ。

というのも、法令基準を遵守していたとしてもケアサービスは高品質と言えないからだ。週2回の入浴支援を行っていれば法令基準は護っていることになるが、世間一般的な常識から言えば、週2回しか入浴できないこと自体が、QOLの低い暮らしぶりである。

老人福祉法の制定直後からできた運営基準が、そのまま介護保険制度創設以後も引き継がれている低いレベルの基準さえ守ることができない施設は、廃止届を出すのが本来である。

一方で、介護の方法を工夫して、人員配置がさほど多くなくとも入浴支援を毎日行っているところもあるのだ。(参照:介護の質を上げる工夫の具体例:入浴支援1

そもそも人手が少ないからと言って、法令を無視し、利用者の暮らしを劣悪にしているところに、人の役に立つ仕事をしたいという人が集まってくるわけがない。対策を短絡的に考えれば考えるほど、墓穴を掘る例は枚挙にいとまがないのだから、問題や課題解決は、長期的視点に立った根本対策が必要なのだ。

そのことに意を用いることができなかったこの施設のトップは、やはりその器にかけるのだと言わざるを得ない。

このような施設に勤めている職員は我慢して勤め続けないで、厚労省も許可している信頼できる就職サイトなどに登録して、別事業所に転職することを模索すべきだ。


だらだらと法令違反を続け、劣悪な環境に利用者を置き続けるより、そんな事業者の経営ができなくなるくらいに人がいなくなった方がよい。そういう状態になれば、行政が素早く動いて利用者の行き場も確保してくれる可能性が高い。その方がよっぽどましだ。

こんな施設が出てくると、またぞろこうした状態が、「氷山の一角」などと思われ、高品質のケアサービスを実現している特養まで、斜め目線で見られてしまうことが悔しくてならない。

豊かな暮らしの実現を図る視点がない人は、介護の職業に携わるべきではないのである。そのことを声を大にして言いたい。
下記アンケートにご協力ください。

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セカンドオピニオンを保証する介護関係者の責任


特養に入所している人の健康管理は、原則として特養に配置されている施設配置医師によって行われる。

だからと言って特養は医療機関ではないので、利用者に対する医療行為について特養が診療報酬を請求することは出来ない。そのため配置医師による利用者の医療処置が必要になる際の治療については、施設配置医師が所属する医療機関の外来診療扱いとして、医療機関から診療報酬を請求することになるわけだ。

よって医療機関に勤めていた医師が退職し、医療機関に籍がない状態であっても、医師という資格に基づいて特養の施設医師として配置されることに問題はないが、その際に利用者に必要な治療行為やその際の薬剤等について、診療報酬を請求する手立てがなくなってしまうため、実質医療機関に籍のない医師を施設配置医師とするケースはほとんどないのである。

利用者に対する治療を行った際に、外来扱いで診療報酬を請求するためのルールについては、「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」という医政局通知が各診療機関に向けて発出されている。

その最新のルールについては、「短期入所生活介護の診療に対する誤解をなくそう」という記事の中で解説しているが、特養利用者が医療機関を外来受診するなどして、施設配置医師以外の治療を受ける際には、「配置医師の専門外」・「配置医師の求め」・「緊急の場合」のいずれかに該当する必要があるという規定がある。これは短期入所生活介護についても同様に適用されるルールである。

よって自宅で暮らしていた際に、「かかりつけ医師」がいた方であっても、特養に入所する際には特養の配置医師が主治医となるために、原則として日常的な疾患管理のために、かかりつけ医師のいる医療機関に外来受診することは出来なくなるわけである。

だがそうしたルールを定めている医政局通知の強制力がどこまで、どれほど及ぶのかということになると、これはまた別の話である。

そもそもこの通知は医療機関に向けて発出されている通知であり、特養の関係者がその内容を知らなくても施設運営上の責任は生じない。自分の所属事業を利用している方々の医療にかかわるルールを知らないことについては、専門家としての責任感が低いのではないかという誹りは免れないとしても、法令上の罰則を受ける立場にはならないわけである。

よって特養に入所した人が、以前からのかかりつけ医師の診断しか信じないというような信者的患者で、家族もそれを望んで、利用者を定期的に特養入所前のかかりつけ医師の所属する医療機関の外来受診のために定期的に家族送迎で利用者を外出をさせようとする場合、それを完全に拒むことは難しい。勿論、この場合は特養に外来受診の送迎を行うという責任が課せられている部分は適用されず、送迎は家族等が行うことになる。

そもそも外来受診をすることを隠して、外出希望が出されたら拒みようがないわけである。その際に、「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」についてのルール違反を問われるのは、外来受診した医療機関側だけであり、特養が違反を問われることにはならない。

しかしこうした受診を行った結果、医療機関が診療報酬の支払いを拒まれたとか、保健所の運営指導を受けたというケースを僕は聴いたことがない。実質、それはチェック不可能で、医療機関に善処を求めることしかできないと言えるのではないだろうか。

さてこうした利用者等の強い希望によって施設配置医師以外の医療機関受診する行為とは別に、「セカンドオピニオン」の問題が今後クローズアップされてくる可能性がある。

セカンドオピニオンとは、患者が検査や治療を受けるに当たって主治医以外の医師に意見を求める行為を指す。この考え方は、主治医に「すべてを任せる」という従来の医師患者関係を脱して、複数の専門家の意見を聞くことで、より適した治療法を患者自身が選択していくべきと言う考え方に沿ったものである。

そうすると特養の利用者にもその権利は当然認められてしかるべきであり、施設配置医師ではない医師の意見を聞くために、他の医療機関を外来受診したいと希望する人は今後増えることが予測される。

特に人生会議(ACP)がの重要性が叫ばれる今日、自分の終末期の医療や介護の最善の在り方についてどのように考えるかという過程で、リビングウイルへの関心が高まることで、施設配置医師以外の医師によるセカンドオピニオンを求める人が増えてきてもおかしくはない。

看取り介護に関連して考えると、施設配置医師の終末期診断が正しいのかという確認のためのセカンドオピニオンニーズも増すだろう。回復不能の終末期と診断され、看取り介護に移行することを打診された対象者の家族が、本当に自分の身内が治療効果がなく、そのまま看取り介護とされて良いのだろうかというセカンドオピニオンを求めるケースがいつあってもおかしくないのではないのである。

こうしたセカンドオピニオンは、それを受ける権利が保障されなけれなならず、「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」の制限規定を縦に認めないという行為は、利用者の権利侵害として賠償請求などの対象行為となり得るので、十分な理解と注意が必要だ。

利用者やその家族がセカンドオピニオンを求めた場合は、同通知に言う「配置医師の専門外」・「配置医師の求め」に準する扱いとして認められると考えなければならない。

特養の相談援助職は、そうしたニーズへの支援も重要な役割になっていくことを自覚しなければならない。

同時にすべての介護関係者に新たな覚悟が求めらえることも自覚しなければならない。それは、「人生会議」という愛称が浸透し、アドバンス・ケア・プランニングの意識が国民全体に高まる先には、セカンドオピニオンはより重要な課題となり、介護関係者もそれを保証する役割が求められていくという覚悟である。
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コロナ禍の面会制限はwithコロナでどうなっていくのか


僕は新千歳空港発の機内にいる。これから羽田に向かう予定だ。

4月の福岡出張中に緊急事態宣言が発令され、航空各社が大幅な減便を行ったため、北海道に戻れなくなりそうになったことから急遽、福岡から地元に戻って以来、約4カ月ぶりの道外出張である。こんなに長く道内にとどまっていたのは何年ぶりだろう。記憶にないくらい長い雌伏の時だった。

新規感染者が10人前後で推移している北海道から、三桁の新規感染者が出ている東京への移動だから、十分注意しなければならないことは自覚している。今日から3日間秋葉原に滞在するが、メイドカフェにも行かず(注:行ったことはありません)、夜の街にも出ないで仕事以外ではホテルに引きこもって執筆作業に専念するつもりだ。

新千歳空港も以前の賑わいとは異なり閑散としている感は否めない。快晴なのに欠航便が多いのは旅客が少ないからだろう。結構便に乗る予定だった乗客が運行便に乗り換えているので、飛行機内は決してスカスカで空いているわけではない。他者との距離は結構近いので心配ではある。

こんなふうにコロナウイルスの影響はまだ続いているが、介護施設の面会制限はいつまで続けられるのだろう。リモート面会が一般化して、それで良しとしている施設があるが、利用者が家族などの親しい人と、いつまでも直接面会ができない状態で良いわけがない。

介護施設の経営者や管理職は、一日でも早く条件付きであっても、外出や面会を認められるように対策を急ぐべきである。永遠に続く制限は人権侵害そのものだという理解が必要だ。そもそも自分たちは自由に外出し、外から施設に通ってきていることを忘れないでほしい。

同時にこれからの介護施設の面会の在り方も考えていかねばならない。

コロナ禍以前の介護施設の面会は、基本的に自由が当たり前であった。

面会時間に制限はあったとしても、面会可能時間であればどこから誰が何人施設を訪れようと自由で、玄関は面会記録さえ書けばフリーパスで通ることができ、施設内で面会者の導線が制限されることもないのが当たり前だった。

しかしコロナ禍が終息しても、その社会とはそれまでとは違う社会になるだろう。そこは常にwithコロナ・with感染症の視点が求められる新しい社会である。

介護施設の面会もフリーパスで基本自由という訳には行かなくなると思う。

面会記録簿をつければ、誰でも玄関を通って施設内に入ることができるということはなくなるだろう。非接触型体温計が入口受付に常備され、体温チェックと簡単な健康状態の聞き取りを行ったうえで面会が許可されることが当たり前になっていくだろう。

面会人数はできるだけ少人数で、時間もある程度制限される可能性も高くなる。

面会場所も居室以外の決められたスペースで行うことが望ましいが、この場合、その部屋が使えないと困るので、面会は事前予約性にせねばならない。しかし事前予約がないと面会を許さないというのは、感染症が広がっている最中以外はやりすぎで、人権問題に関わって問題になる可能性があるので注意が必要だ。

施設側としては、多床室のみ面会不可として、個室については面会を認めざるを得ないのではないかと思う。どちらにしても面会室を別に設けることは当たり前になるだろうし、それも複数スペースを設置することが求められていくだろう。

今後新設される施設については、家族等の面会者の導線を別に確保し、面会する利用者以外とできるだけ接触しないようにすることも設計思想として求められてくるだろう。

このように介護施設の面会方法は、大きく変わってくるだろう。そこで問題となるのは、「看取り介護対象者」の家族面会をどうするのかということである。そのことについては明日、改めて提案しようと思う。
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