masaの介護福祉情報裏板

介護や福祉への思いを中心に日頃の思いを綴ってみました。表の掲示板とは一味違った切り口で、福祉や介護の現状や問題について熱く語っています!!表板は業界屈指の情報掲示板です。

施設サービス

コロナ禍でも特養の収益は減っていないのだから・・・。


福祉医療機構が7/16付で、「社会福祉法人経営動向調査の概要」を公表した。

それによると昨年度、収益が前年度比で減少した特養は18.9%であった。それに対して、「横ばい」が51.4%、「増加」が29.3%となっている。

昨年度(2021年度)は、2018年に改定された介護報酬3年目にあたり、その3年の中では最も収益が減ることが想定される年度だ。定員が定まっている特養にとって、3年間法定給付費が変わらないのだから、職員の定着率が高ければ高いほど昇給分による人件費高騰が収益に影響してくるので、改定3年目は改訂1年目と2年目と比較して、一番収支差率が低くなって当然だからである。

そうであるにもかかわらず8割以上の特養の収益が横ばいかアップというこの結果は、感染対策補助金や介護報酬の感染特例算定が大きな影響を与えていると考えられる。

特にコロナ禍で退所者のベッドを埋めるための新規利用受け入れができない期間や、ショートステイの受け入れができない期間があったこと及び感染対策費が大幅に増えたことを考えると、前年比減益の特養が2割未満でしかないという状況は、国の感染対策が効果的に機能していると言ってよいと思う。

支出面では、コロナ禍の影響で通常支出で減っているものがあると思え、それも収益確保に多少は影響しているかもしれない。

例えば教養娯楽費の支出が減っている特養が多いのではないだろうか。密を避けるために集団活動が制限されたため、イベントやレクリエーションができなかったことによって、そこに掛けていた経費がそっくりなくなったり、外出制限の影響で、利用者を外に連れ出して行うレクリエーションがなくなり、その面の経費もゼロとなっているかもしれない。

外部研修が軒並み中止になって、職員の派遣費用や参加費支出がなくなったり、事業所内研修も開催できず、講師料支出が無くなったりして、研修費が大幅に余った事業者も多いだろう。しかし職員のスキルアップは、事業経営を左右する問題につながるので、今年度以降の研修の充実のために、それらの費用支出は復活させる必要がある。

このように特養に関して言えば、コロナ禍が収益面では決してマイナス要因にはなっていないと言えよう。この傾向は施設サービス全般に言えることで、通所サービスのように収入が一切途絶えた時期のあるサービスとは異なり、ある意味恵まれていたと言えるかもしれない。

しかも今年度はプラス改定の影響で、丁寧に加算を拾っていくことで、収入アップが期待できる年である。

そうであるからこそ、感染対策に万全を期した体制作りに投資したいところだ。コロナ禍が終息しても、今後は数年ごとに何らかの感染症対策を必要とする可能性が高いからだ。

例えば面会制限については、国も緩和するようにたびたび通知を出しているが、緩和対策のための感染予防策に少しお金をかけるという考え方はあって当然だ。面会のための専用スペースの整備コストはかかって当然だ。

そのほか面会専用スペースの空間除菌設備も導入したい。次亜塩素酸水による空間除菌は、体に害があるというフェイクニュースが流されているが、「次亜塩素酸水溶液普及促進会議」が昨年記者会見を行い、次亜塩素酸水による空間噴霧は毒性なしとして、『政府は国民の命と健康を守るため医療機関、高齢者施設などを始めとする必要な個所への次亜塩素酸水の配布と備蓄を進めていただきたい』と呼びかけている。その後、国は空間除菌が健康被害を引き起こす恐れがあると公言しなくなった。

そしてたくさんの医療施設や介護事業者でクラスター感染を防ぐ観点から空間除菌が行われるようになっているのだ。例えば、「使用後95.5%の医師が継続使用を希望する空間除菌法」で紹介している安全で効果の高い除菌水は、クラスター感染を防ぐ決め手となり得るのである。

ところで面会制限に関して言えば、入所者や職員全員がコロナワクチンの2回目の接種を終えた施設については、もう全面的な面会制限はあってはならないと思う。それは人権侵害でしかない。

ただし社会全体でみると緊急事態が続いている地域があるので、感染対策を施したうえでの面会制限緩和が求められており、国は次のような対策を例示している。

・ 面会時間は必要最小限とし、1日あたりの回数を制限すること

・寝たきりや看取り期以外のケースでは居室を避け、換気可能な別室で行うこと(※逆に言えば、寝たきりや看取り期の方は、居室での面会でも構わないとしている点に注目してほしい)

・来訪者が施設内のトイレを極力使わないようにすること


このほか熱があったら来訪を断る(過去2週間以内に発熱していないこと・同居家族にも症状が出ていないこと。)、名前や連絡先を記録する、マスク・手指消毒を求める、大声での会話は控えてもらう、といった基本の徹底も呼びかけている。

介護施設や居住系施設の利用者の方々が、一日も早く家族の手を握って話ができる機会をつくろうという体制づくりに興味がない人は、対人援助の職業から身を引いた方が良いと思う。
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夜間配置の試行期間が終わりますが・・・。


今週木曜日には、いよいよ暦も7月に変わる。

夏本番と言ったところだが、その時期はちょうど介護報酬改定・基準改正から3月を経た時期でもあり、大きな変化が全国の特養で予測される時期でもある。

というのもその時期に特養での二つの夜間配置基準緩和の試行期間が終わって、完全実施されるからだ。

その一つは、介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護・短期入所者生活介護の夜間配置加算の算定要件変更である。

今年度から見守り機器を入所者全員に設置した場合、「夜勤職員全員がインカム等のICTを使用していること及び安全体制を確保していること」の2つの条件をクリアすれば、最低基準に加えて配置する人員が従前の0.9から、「人員基準緩和を適用する場合0.8人、適用しない場合(利用者数25名以下の場合等)0.6人」まで引き下げることが可能となっており、その試行期間が終了する。

二つめは、介護老人福祉施設(従来型)について、見守り機器やインカム等のICTを導入する場合における夜間の人員基準緩和(参照:特養で夜勤する人がいなくなるかもしれない緩和策)についての試行期間の終了である。この配置基準緩和は、夜間配置加算の追加する職員の緩和ではなく、夜間配置基準そのものの規定人数が減らされるのだから、加算算定基準の緩和策より重大な問題である。職員は今まで経験したことがない、最も少ない人数で夜勤を行わなければならないからだ。

試行期間とは、実際に見守り機器やインカム等のICTを活用しながら、それで配置人数が減らせるのかを確認する期間であり、この期間は夜勤者数を従前からの基準通り減らすことなく配置しながら試していた期間である。

つまり実際に人を減らして、夜間ケアを行うのは7月が最初となるのだ。

試行期間中に実際に夜勤者数が減ることに不安を感じていた職員は、全国にたくさんおられるはずだ。実際に僕のところには、そうした職員の方々が多数不安の声をメールで送ってくださっている。その中にはその不安が解消しないとして、夜間配置基準を緩和しない特養や、緩和基準が導入されなかった老健に職場を変えたという人が居られる。

試行期間が終わり、実際に夜間配置人員が減らされた中で仕事をする人で、今後同じように職場を変えようとする人の動きが活発化するかもしれない。

見守り機器等は、とても優れた性能があり、その導入はぜひ進めるべきだと思う。それによって夜勤者の業務負担は間違いなく軽減できるからだ。

だからと言って人を減らして夜勤を行うということは別問題だ。せっかく見守り機器やインカム等のICTを導入して、業務負担が軽減しても、配置人員を減らしてセンサー対応する職員の数が減ってしまえば、業務負担は逆に従前よりも増えることになりかねない。

実際に機械の反応で対応するのは人間なのに、その対応者が減れば、そこで業務負担が増えるだけではなく、その他のルーティンワークにも支障を来すのは極めて容易に想像できることだ。

試行期間でそのことを確かめて、やはり夜間配置人員は、従前どおりにしないと業務が回らないという判断があってもよいと思うのだが、実際には試行期間を通過儀礼と考えて、その期間が終わったならば自動的に配置人員を減らそうと思ている特養経営者や管理職が多いのには閉口してしまう。

26日に厚労省が介護ロボット等の安全使用を呼びかける事例集を公表したが、その中には昨年11月までの1年間で、見守り機器を導入していたが、利用者がベッドから起き上がったことを知らせる警告に職員が気付かずに骨折した事故などが70件以上発生していることが示されている。

職員を減らして配置すると、センサー反応に気づかない事故も増えるし、気づいても対応ができない場面も増え、事故は確実に増えることは容易に想像がつく。そうした事故対応にも職員の身体と精神は疲弊していくのではないだろうか・・・。

職員の健康や業務負担を考えることなく、利用者の安全な暮らしを護れなくなるリスクも考慮せず、変更基準に合わせた人員削減に躍起になる経営者や管理者のいる場所で、将来にわたって職員が安心して働くことが出来るわけがない。そういう事業者は見限って、一日も早く良い転職先を探すということも、賢い従業員の選択肢の一つだと思う。

これから緩和された配置基準で夜勤業務を行わなければならない介護職員の方々は、くれぐれも身体的・精神的な健康を害しないように、不安と不満を抱えたまま過酷な労働環境に耐えて働き続けることがないようにしていただきたい。

時と場合によっては、自分の身は他に誰も守ってくれる人がないのだから、自分自身で守るしかないのである。その時の判断は、「もっと良い職場を探してみよう」でも良いわけである。
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加算別 LIFE 情報提出等のまとめをDLできるようにしてみた


厚生労働省の介護データベース「科学的介護情報システム」(LIFE)で、4月の運用開始に合わせた利用申し込みが殺到し、一時は約2万の事業所がデータを提出できない状態に陥っているというニュースが流れている。

これは厚労省内のコロナクラスター感染による作業遅れと、LIFEの不具合によるシステムエラーの両方が原因であると思える。

システムエラーに関連してはFAQ(よくある質問)が19日付でダウンロードできるようにされているので、インポートできない理由などの対応方法を確認していただきたい。

ここでは暗号化キーを設定した端末と異なる端末で情報入力するには、バックアップファイルを共有して情報を登録したい端末にインポートする必要性などが示されているが、そもそも他のPCにバックアップファイルを渡せない状態が出ていたりして、システムそのものの障害が疑われる。

それらの情報については表の掲示板の、「 LIFEの新規登録について」で随時情報交換がされており、ここでしか知り得ない貴重な情報も掲載されているので、そちらを常にチェックしておいていただきたい。

このシステム障害に加えて、IDやパスワードをはがきで送付する作業も滞っているようだが、それには厚労省のコロナウイルスクラスター感染が影響していることは間違いない。昨日も新たに10人の感染者が出て、この中には問題となっている宴会参加者が5名含まれており、感染者は合計27人(宴会参加者は12名)となっている。Q&A発出も益々遅れることだろう。

科学的介護推進体制加算等の情報提出猶予のある4つの加算以外は、4月から加算算定する場合の最初の情報提出期限が5/10になっているが、この時期を延期するのは当たり前のことだと思う。そのアナウンスもされていないのは、自宅待機者などが増えて決済処理ができないためだろう。何とも恥ずべき状況である。

ところでLIFEへの情報提供については、その頻度と提出しなければならない情報については、「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」で示されており、LIFEからのフィードバック情報をPDCA活用すべき計画書等については、老企36号及び老企40号の各解釈通知でサービス種別ごとに示されている。

それらを表にまとめ、ダウンロードできるようにしたので、文字リンクをクリックして参照していただきたい。【加算別 LIFE 情報提出のまとめ 】※どのような表なのを示した参考画像は下記である。
LIFE情報提出のまとめ
加算別に情報提出の頻度、提出しなければならない情報、フィードバックを受けた情報を活用すべき対象様式を示しているが、今朝あわただしく作成して、十分な確認も済ませていない状態でアップしたので、今後修正しなければならない箇所があるかもしれない。

修正すべき点に気が付いた方は、ご一報いただきたい。
修正箇所
※4/23 AM7:40 22日発出の正誤表に対応した修正と情報提出猶予期間を追加して、修正アップしました

表を見てわかると思うが、ADL維持等加算については報告頻度が他の加算とはかなり異なっている。これはバーセルインデックス測定月のADL値を情報として提出するためである。

その他の加算は、初回以外の情報提出については定期的な報告も求められ、科学的介護推進体制加算以外の加算は、その頻度が少なくとも3月に1回とされている。その頻度で計画の見直し等が求められているので、施設サービス計画や各居宅サービス事業所の計画も、3月に一度の見直しを行わねばならなくなったと考えるべきだろう。

特に特養は、昨年度まで施設サービス計画書の定期見直しを、半年に一度としている施設が過半数を超えていたので、その体制を見直さねばならない。

なお科学的介護体制推進加算の定期的な情報提出が、「少なくとも6月に1回」とされ、他の加算より報告頻度が少なくなっている理由は、報告すべき情報が多いことによるものと思われる。

どちらにしても請求ソフトの情報の自動反映では対応できない情報も多く、手作業での入力が必要となる項目が多々あるので、情報提出担当者を明確にしておき、作業に一日も早くなれるようにしていただきたい。
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介護を知らない人が介護を殺そうとしている。


特養の夜間配置基準は今年度から、見守り機器やインカムの活用・安全体制の確保などを前提として従前より緩和されている。つまり昨年度より少ない人数で夜勤業務を行うことができるようになったわけである。

このことについて昨年末に、「特養で夜勤する人がいなくなるかもしれない緩和策」という記事を書いて、この緩和策は夜勤を行う当事者にとっては決して歓迎できるものではなく、労働負担増というしわ寄せが来るだけの結果しか生まないことを指摘した。

ただし今年度早々からこの配置緩和を行なおうとする特養であっても、4月からいきなり配置人員を減らすことは出来ない。この緩和にはいくつかの条件が付けられており、その中の一つに3月の試行期間をつくらねばならないという条件があるからだ。

試行期間中は実際に配置人員を減らさずに、新基準に合わせた緩和された人員配置で業務を行うことを想定したうえで、夜勤業務を行う必要があるのだ。

しかしこの試行が始まったばかりで、緩和された人員で本当に充分なケアを行うことができるのかということや、職員の心身に過度な負担を与える結果にならないのかなどの検証作業が行われていないにもかかわらず、15日に行われた財政制度分科会で財務省は、その緩和の更なる拡充を求めている。

財務省の担当者は、現役世代の急減・介護ニーズの増大で人材確保がますます難しくなっていくことを念頭に、「より少ない労働力でサービスを提供できるように」と主張し、更なる配置基準緩和が、「今後、就業者の大幅な減少が見込まれる。介護サービスを安定的に提供していくために不可欠な取り組み」と決めつけた。

こうした主張をしている人たちは、おそらく肉体労働を一度もしたことはない人だろう。徹夜で事務仕事をこなした経験は数多くあっても、夜間にたった一人で、何人もの利用者に相対するという人間相手の感情労働を行なったことがない人だから、こんなに簡単に夜勤配置が緩和できると主張しているのだ。

しかし介護人材不足の原因は、1に低賃金、2に教育の機会が少ない、3に休みをとりにくいことだと言われている。配置基準緩和策は、この原因を解決する策にはなっておらず、むしろ教育機会の少なさや、休みが取れないという状況をさらに悪化・助長させる愚策である。

そもそも人手不足をテクノロジーで補えといわれても、人に変わってICTやインカムが介護をしてくれるわけでもない。

夜間たった一人で何人もの要介護者に向き合うとき、様々な判断が必要になるが、それは書類をどうするかという判断ではなく、命ある人の生命や暮らしの危機に向き合う判断かもしれない。そうしたことを無視して、夜間は多くの人が寝ているのだから、一人でも対応できる場面は多々あるなんて変な主張をする人がいたりする。

特養で夜間勤務中に、全員が寝ている時間帯などほとんどないに等しいことをそれらの人はわかっていない。しかもサービスの質が高いと言われる特養ほど、就寝中の人に対するケアもきちんと行っているのである。

夜勤配置を緩和して、一人で多数の利用者に対応する時間が増えれば、十分な排泄ケアや体位交換は出来なくなって当然だ。褥瘡は間違いなく増えるだろう。それとも褥瘡を直したり、予防したりする機器ができるとでもいうのだろうか・・・。

テクノロジーの進化や、その導入によって人の配置を減らすことができるという荒唐無稽な主張の尻馬に乗る輩の声が高まって、本当に夜間配置基準がさらに緩和されたとき、そこで行われる夜間ケアの質は、人が息を止めないように最低限の対応を行うしかなくなり、QOLなんか存在しなくなることは目に見えている。

そのような過酷な労働条件下で、夜勤者に介護の質など求められるわけがなくなる。

現状で存在するテクノロジーの水準で、さらなる人員配置緩和を主張する人間は、そこでは介護の質は問わないんだという本音を明らかにしなければならない。

人がいない状況下では、自立支援も暮らしの質も建前で良いのだと、正直に述べたうえで、本当にそれでよいのかという議論にならなければ、この議論は建前と嘘で固められた議論に終始せざるを得ず、そこで出される結論も荒唐無稽な、砂上の楼閣にならざるを得ない。

それは国を亡ぼす議論であり、この国の介護が殺されるということにしかならない。
亡国の配置基準緩和策
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厚労大臣が定める基準を見逃さないように


昨日、介護報酬の解釈通知から(案)の文字が消え、正式文書として発出されたことを受け、各事業者では担当者が加算届等に関連して、算定要件等を確認するために資料の読み込み作業を進めていることだろう。

ただし現行ではQ&Aが発出されていないので、まだ不明の部分も残されている。

例えば通所介護と通所リハビリに新設された、「入浴介護加算」については解釈通知で、『入浴計画に基づき、個浴その他の利用者の居宅の状況に近い環境にて、入浴介助を行う。なお、この場合の「個浴その他の利用者の居宅の状況に近い環境」とは、手すりなど入浴に要する福祉用具等を活用し利用者の居宅の浴室の環境を個別に模したものとして差し支えない。」とされているが、それは例えば4〜5人が同時に入浴できるような大きな浴槽であっても認められるという意味なのかは現時点で誰も正しい判断はできない。

こうした解釈は、あれこれ想像で議論するのは無駄でしかなく、Q&A発出を辛抱強く待つしかないのである。

ただし8割がた算定要件は既に解釈できると考えてよい。その部分は十分な読み込みと、正確な判断が求められるわけである。そのためには報酬告示と解釈通知を読みこむだけではだめなのだ。意外と見落とされている、「厚生労働大臣が定める基準」であるが、ここに答えがあるものも多いのである。

例えば施設関係者の間で、「算定要件の管理栄養士配置規準がわからない」という声が多く聞かれる、「栄養マネジメント強化加算」がその典型である。

この加算を説明するために介護給付費分科会に提出された資料では、「管理栄養士を常勤換算方式で入所者の数を50(施設に常勤栄養士を1人以上配置し、給食管理を行っている場合は70)で除して得た数以上配置すること」とされていたため、これをどう解釈すべきなのかという疑問の声が挙がっていた。

しかし報酬告示では、「別に厚生労働大臣が定める基準に適合するものとして都道府県知事に届け出た指定介護老人福祉施設において、入所者ごとの継続的な栄養管理を強化して実施した場合、栄養マネジメント強化加算として、1日につき所定単位数を加算する。ただし、イ及びロの注6を算定している場合は、算定しない。」としか書かれておらず、その謎は解けなかった。

そこで解釈通知が待たれていたわけであるが、その内容は以下の通りであった。

『大臣基準第 65 号の3イに規定する常勤換算方法での管理栄養士の員数の算出方法は、以下のとおりとする。なお、当該算出にあたり、調理業務の委託先において配置される栄養士及び管理栄養士の数は含むことはできないこと。また、給食管理を行う常勤の栄養士が1名以上配置されている場合は、管理栄養士が、給食管理を行う時間を栄養ケア・マネジメントに充てられることを踏まえ、当該常勤の栄養士1名に加えて、管理栄養士を常勤換算方式で、入所者の数を 70 で除して得た数以上配置していることを要件とするが、この場合における「給食管理」とは、給食の運営を管理として行う、調理管理、材料管理、施設等管理、業務管理、衛生管理及び労働衛生管理を指すものであり、これらの業務を行っている場合が該当すること。なお、この場合においても、特別な配慮を必要とする場合など、管理栄養士が給食管理を行うことを妨げるものではない。』

これを読んでも良くわからないわけである。なぜならもともとの管理栄養士の配置規定が示されていないからだ。それはどこにあるのかと言えば、それが厚生労働大臣が定める基準なのである。下記画像がその部分だ。
栄養マネジメント強化加算の要件
厚労大臣が定める基準六十五の三地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護費における栄養マネジメント強化加算の基準※こちの資料「参考2−15:厚生労働大臣が定める基準」の474頁を参照のこと。

つまり栄養マネジメント強化加算の算定に必要な配置要件とは、「管理栄養士」を常勤換算方法で入所者の数を50で除して得た数以上配置しておれば算定できるということが基本になっているのである。

しかし介護施設の栄養士配置要件は、「管理栄養士」ではなく「栄養士」であってもよいために、栄養士を1名しか配置していない施設も全国にはまだ多いのである。上に記した解釈通知・老企40号規定は、この場合の管理栄養士が常勤である場合について可能となる上乗せ配置条件を説明した文章である。つまり管理栄養士ではなく栄養士しか配置されていない場合は、その栄養士が給食管理を行っているという条件の下で、それに加えて管理栄養士を常勤換算方式で入所者の数を70 で除して得た数以上配置しておればよいという規定になっている。

例えば入所者70名の施設を例にとれば、管理栄養士を常勤換算1.4人配置しておれば配置要件はクリアするのである。

同じ利用者数で栄養士の配置しかない場合は、配置基準をクリアするためには栄養士+常勤換算1.0の管理栄養士が必要になるという意味だ。

こんなふうに報酬告示・解釈通知・厚労大臣が定める基準を一体的に読み込んで算定要件等の理解に努めていただきたい。

なお栄養マネジメント強化加算で講演等で質問が多かった、「食事の観察(週3回以上)」については、「管理栄養士が行うことを基本とし、必要に応じ、関連する職種と連携して行うこと。やむを得ない事情により、管理栄養士が実施できない場合は、介護職員等の他の職種の者が実施することも差し支えないが、観察した結果については、管理栄養士に報告すること。なお、経口維持加算を算定している場合は、当該加算算定に係る食事の観察を兼ねても差し支えない。」とされ、観察内容も示されているので、この部分の疑義はほぼ解消されたと言ってよいと思われる。

栄養マネジメント強化加算は、一人の利用者に対し毎日11単位を算定できる単位数の大きな加算と言える。それだけに算定ハードルは低くない。それにしてもこの記事で解説した通り、管理栄養士の配置基準は高いハードルだ。80人施設で利用者全員にこの加算を算定できるとしても264.000円/月の収益にしかならない。この場合栄養士しか配置していない施設であれば、別に管理栄養士を1.1人加配せねばならない。そう考えるとこの収益は人件費にもならない額ではないかと思う。

そうしたことを含めて、加算算定に向けて動くのかどうかなどの判断をしていくのが経営者や管理職の今求められている一番重要な役割である。
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褥瘡マネジメント・排泄ケアのアウトカム評価の詳細


施設サービスにおいて、計画実施加算であった褥瘡マネジメント加算と排せつ支援加算については、それぞれアウトカムを評価する上位加算(褥瘡マネジメント加算13単位/月・排せつ支援加算15単位/月及び20単位/月)が新設されたが、その算定要件が明らかになった。

両加算の最初の利用者状況評価は、届出の属する月及び当該月以降の新規入所者については、当該者の施設入所時に評価を行うこととし、届出の日の属する月の前月において既に入所している者(以下「既入所者」という。)については、介護記録等に基づき施設入所時における評価を行うとされた。

その為、この二つの加算の新設上位区分算定のためには、既入所者のケース記録等から入所時点の褥瘡リスク評価と排せつ機能評価を行う必要がある。4月から上位区分を算定するためには、今からその作業を進めておく必要がある。

褥瘡予防のアウトカム評価の上位区分として新設された褥瘡マネジメント加算兇蓮∬黶譽泪優献瓮鵐伐短鮫気了残衢弖錣鯔たす施設において、施設入所時に褥瘡が発生するリスクがあるとされた入所者について、施設入所日の属する月の翌月以降に別紙様式5を用いて評価を実施し、当該月に別紙様式5に示す持続する発赤(d1)以上の褥瘡の発症がない場合に、所定単位数を算定できるものとするとされている。様式5の「褥瘡対策に関するスクリーニング・ケア計画書」は下記画像の通りである。
褥瘡対策に関するスクリーニング・ケア計画書
この様式を用いた評価によって、入所月の翌月から褥瘡発生が予防されている場合は加算算定できるわけである。

このブログで何度も指摘したように、特養は褥瘡をつくらない施設として、医療系サービスに負けないケアを実践してきた経緯がある。よってこの加算は是非褥瘡リスクが高いとされた入所者全員に算定したい加算であるし、算定率の高さは、後々地域の方々から選択される施設の評価につながっていくことになるのではないかと考える。

次に排せつ支援加算である。入所時点等の評価については褥瘡マネジメント加算と同様である。

アウトカム評価の上位加算ううち排せつ支援加算兇蓮∋楡瀑所時と比較して、排尿又は排便の状態の少なくとも一方が改善し、かつ、いずれにも悪化がない場合又はおむつ使用ありから使用なしに改善した場合に、算定できることとするとされた。

最上位区分の排せつ支援加算靴蓮排せつ支援加算()の算定要件を満たす施設において、施設入所時と比較して、排尿又は排便の状態の少なくとも一方が改善し、いずれにも悪化がなく、かつ、おむつ使用ありから使用なしに改善した場合に算定できる。

評価は別紙様式6を用いて行うとされたが、様式6は「排せつの状態に関するスクリーニング・支援計画書」であり、下記の画像である。
排せつの状態に関するスクリーニング・支援計画書
この計画書によって排尿・排便の状態及びおむつ使用の有無並びに特別な支援が行われた場合におけるそれらの3か月後の見込みについて実施するとされ、この評価で改善が認められた場合に初めて算定できる。

両加算とも、LIFEへの提出情報及びフィードバック情報を活用することが算定要件となっているので、フィードバックを受けた内容を画像で示した2つの様式にそれぞれ反映せねばならない。

なお、『LIFEへの提出情報、提出頻度等については、「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」を参照されたい。』とされ、それを見ると両加算とも加算算定月と最低3月に1回行われる計画見直し時に情報提出が必要とされているが、令和3年度については猶予期間が設けられており、「LIFEに対応した介護記録システム等を導入するために時間を要する等の事情のある事業所・施設については」という条件付きで令和4年4月10日までに提出するとされ、まるまる1年以上情報提出が猶予されている。

そのほか提出情報の詳細(それぞれ様式5・6の情報の一部)も示されているので、同通知を必ず漏らさず確認していただきたい。

こんなふうにここしばらくは、国の発出情報を確認しながら、新加算の算定に向けての準備を着実に進めていく必要がある。要件の見落とし、解釈の間違いが即報酬返還につながるので、表の掲示板で情報交換しながら、確実に前に進んでいってほしい。
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施設サービス計画の更新は3月毎が当然になる


施設の介護支援専門員の主要業務として、施設サービス計画の作成・更新作業が挙げられる。

当然この業務の中には利用者に対する個別のアセスメントやモニタリングを行なうことや、多職種合同でのケアカンファレンスを主管することのほか、作成したケアプランの周知連絡など様々な業務負担が伴うわけである。

施設ケアマネにとって施設サービス計画書の作成作業は、重要かつ負担が大きい業務と言え、定期的な更新作業が年に何回行わなければならないのかということは大きな問題でもある。

老健の場合、利用者ごとに3月に一度在宅復帰検討をしなければならないために、それに合わせて施設サービス計画書を更新しているところが多く、定期更新は年4回というのが普通だろう。

しかし特養の場合、施設サービス計画の短期目標期間を6月間、長期目標期間を12月間としたうえで、定期の計画見直しを短期目標の更新時期に合わせて、一人の利用者につき年2回という施設が多いのではないか。現に僕が総合施設長を務めていた特養は、その頻度で施設サービス計画を定期更新していた。

施設サービス計画書の目標期間を固定することは悪いことではなく、むしろ合理的方法と言える。そのことはケアプラン目標期間は一律機械的でなぜ悪いというブログ記事でも指摘・提言しているところでもあり、この方法や頻度に何の問題もなかった。

例えば特養の個別機能訓練加算については、3月ごとに訓練内容等を利用者に説明しなければならないという3月ルールがあるが、この際に個別機能訓練計画の見直し・更新が求められているわけではないので、短期目標を3月とする必要もなかったわけである。

しかし年2回の施設サービス計画の更新という頻度は、新年度からは非合理的になり、老健と同じく特養でも3月ごとの定期更新作成が必要になってくると思う。

なぜなら新設加算や現行加算の新上位区分などでは、計画の見直しが3月に一度必要とされる要件となっており、見直した計画書をLIFEに提出しなければならなくなるからだ。

例えば施設サービスに新設され、算定できれば大幅な収益増が見込まれる、「自立支援促進加算:300単位/月」については、必ず算定すべきであることを、「壁は高いが算定しなければならない自立支援促進加算」という記事を書いて指摘しているが、作成が必要とされる、「医学的評価に基づく自立支援計画」については、「少なくとも3月に1回、入所者ごとに支援計画を見直していること。」が算定要件になっている。

褥瘡マネジメント加算については、「少なくとも3月に1回、評価を行い、その評価結果等を厚生労働省に提出し、褥瘡管理の実施に当たって当該情報等を活用していること」というふうに、LIFEへの情報提出とフィードバック活用の要件が加えられたうえで、「評価に基づき、少なくとも3月に1回、入所者等ごとに褥瘡ケア計画を見直していること。」とされている。

排せつ支援加算についても、褥瘡マネジメント加算と全く同様の要件が加えられた。

栄養マネジメント加算は廃止されるが、その要件は基本サービス費の算定要件とされるため、3月に1回、栄養スクリーニングの実施と栄養ケア計画の見直しが求められることに変わりはない。

このように2021年度以降は各加算毎にそれぞれの目的に沿った支援計画が必要とされ、それを3月ごとに見直していく必要があるのだが、これらを施設サービス計画と別個に作成していては仕事が回らなくなる。よって施設サービス計画にすべての加算に必要な支援計画を項目別に盛り込んで、一括作成する方法が最も合理的となる。

その為、各項目ごとの短期目標期間は、支援計画の見直し時期に合わせて3月とする必要があり、全利用者の施設サービス計画は、それぞれの短期目標の終了期間に合わせて3月ごとに行うことが必然となってくるのである。このように全利用者の施設サービス計画は、年4回更新するのがスタンダードとなるだろう。

そうしておかないと、加算算定の要件漏れで返還請求されるケースが増えかねない。

施設サービス計画の定期見直しを年2回しか行っていない介護施設のケアマネジャーは、今から4月以降の施設ケアプラン更新時期の見直しに備えた準備を進める必要がある。

施設サービス計画の更新回数が増えるということは、そのための担当者会議も増えるという意味であり、他職種の業務負担も増すことにつながるのだから、他職種への周知と理解を求めることも不可欠である。

なお施設におけるサービス担当者会議(ケアカンファレンス)については、照会と同列とされ、居宅サービス計画のように、「やむを得ない事情がある場合に限って」照会できるということになっていない。よって最初から、「会議を行う必要はないケースですから、照会だけで更新します」という方法が認められているのだから、照会のみで施設サービス計画を作成・更新できるルールを大いに利用すべきである。(参照:ケアプランはサービス種別によって作成ルールが異なる

施設ケアマネジャーの業務とは、施設サービス計画を作成することではなく、計画を活用して利用者の暮らしの質を向上させることであることを忘れずに、計画作成作業の合理化に意を用いてほしい。
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壁は高いが算定しなければならない自立支援促進加算


来年度の報酬改定議論の主要テーマの一つに、介護支援専門員の処遇改善問題があった。特に特定加算の、「その他の職種」にも該当しない居宅介護支援事業所の介護支援専門員の待遇を向上させなければならないという声が高まっていた。

結果的に介護支援専門員に対する処遇改善加算は実現しなかったが、居宅介護支援費は他のサービスと比較しても上げ幅が大きく、特定事業所加算のアップ分や基準改正による担当者件数の増加などを含めて、居宅介護支援事業所の収益増がを期待できる結果になった。その収益を事業所に内部留保せず、きちんと介護支援専門員に還元してほしいというのが国メッセージなのだから、居宅介護支援事業所の経営者の方は、そのことを十分に理解したうえで、事業所内の介護支援専門員の給与アップ等を図っていただきたい。

ところで介護施設や通所サービスは、基本部分の報酬アップがさほどでもなかった。僕が講演スライドとして作成した次の図表を参照してほしい。
介護施設の基本報酬
通所サービスの基本報酬
このように施設サービスは算定区分によっては、基本部分はマイナス改定だ。通所サービスは額面で上げ幅が大きい通所リハの実質的な引き上げ幅は、通所介護を下回っていると思える。両者ともプラス改定になっているがそれも大きな額ではなく、この部分だけの収益で高騰する人件費を手当てすることは出来ない。

そこで昨日も書いたが、新たに設けられたLIFEへのデータ提出とフィードバックの活用によるPDCAサイクルの推進を評価する、「科学的介護推進体制加算」は、すべての事業所が算定したい加算であるといえる。

ところでこの加算に必要なデータ提出の頻度については、今のところ明確に示されていない。しかし表の掲示板で情報提供を求めたところ、コンサル会社に所属されている方から、昨年五月に厚労省老人保健課から出された事務連絡についている仕様書の6ページには「連携頻度について」という項目で月1回を想定と書かれているという情報をいただいた。

この加算が毎月算定できる加算であることを考えても、毎月情報提出ということになるのではないかと予測せざるを得ない。大変な業務負担であるが頑張ってほしい。なお具体的に提出する情報については、参考資料の109頁に通所リハ・訪問リハの提出情報案が示されているので参考にしてほしい。

ところで今回施設サービス(介護療養型医療施設を除く)に新設された加算の中には、「自立支援促進加算」がある。その算定単位は300単位/月と非常に高い単位となっている。

この加算算定だけで100人定員の施設なら年間360万円の収益アップであり、若い介護職員を一人分雇用できる人件費に相当させても余りある額になる。よってこの加算が算定できるか否かが事業経営上の分かれ道ともなりかねない。

しかしこの加算の要件は、医師が常勤配置されている老健等ならさほど問題なくクリアできるが、特養にとってはかなりハードルが高くなっている。

というのも算定要件として、次の4項目をクリアせねばならないからだ。
. 医師が入所者ごとに、自立支援のために特に必要な医学的評価を入所時に行うとともに、少なくとも6月に1回、医学的評価の見直しを行い、自立支援に係る支援計画等の策定等に参加していること。
. イの医学的評価の結果、特に自立支援のために対応が必要であるとされた者毎に、医師、看護師、介護職員、介護支援専門員、その他の職種の者が共同して自立支援に係る支援計画を策定し、支援計画に従ったケアを実施していること。
.イの医学的評価に基づき、少なくとも3月に1回、入所者ごとに支援計画を見直していること。
. イの医学的評価の結果等の情報を厚生労働省に提出し、当該情報その他自立支援促進の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること。(CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用)


配置医師が嘱託医師で、週1〜2回・数時間の診察にしか来ない特養が多い現状で、入所時とその後半年ごとに医学的評価を全入所者に行うことは決して簡単なことではない。しかし今後の特養経営の安定化及び従業員の雇用と待遇を護るためにも、医師の理解を得て、この要件をクリアしたうえで加算算定する努力をしなければならない。

「そんなの俺の仕事じゃない」とお医者さんから言われないように、くれぐれも丁寧に、お医者様を持ち上げて首を縦に振ってもらわねばならないのである。

もう一つ注目してほしいのは、医師評価に基づいて支援計画は3月ごとに見直さねばならない点である。

今回施設サービスでは、支援計画の3月ごとの見直しが他の加算でも求められている。毎月算定できるようになり、かつアウトカム評価の上位区分が創られた褥瘡マネジメント加算排せつ支援加算は算定しなければならない加算であるが、これらの支援計画も3月ごとに見直しを行うことが条件になっている。

これらの支援計画は計画書を別々に作成するのではなく、施設サービス計画の中にその項目が入っておればよいものだが、そうなると来年度以降、施設サービス計画書は3月ごとに見直していく必要も生ずるということになる。

老健の場合は在宅復帰検討を3月ごとに行わねばならないため、施設サービス計画書も3月ごとに見直し・再作成が行われているところが多い。しかし特養の場合はそうした規定がなかったために、長期目標期間を1年とし、短期目標期間を半年としたうえで、半年ごとに計画書の見直しと再作成が行われている場合が多い。この頻度の見直しが必須とされるのが、来年度からの新報酬対応の要点の一つでもある。

なおここではLIFEへの情報提出は、「医学的評価の結果等の情報」となっているので、評価ごとに送ればよいのかもしれない。ここは解釈通知待ちである。

医学的評価や計画などに用いる書類の様式については、国が新年度までに提示する予定になっている。

どちらにしても、この加算を算定できるか否かが施設サービスの生き残り戦略に強く影響してくるので、石にかじりついても算定できるように、今から準備を進めなければならない。

そのため職員すべてに、今の時点かこの加算の意味と内容を説明し、組織を挙げて算定に向けた取り組みを行う機運を盛り上げていくのが、施設経営者や管理職の役割となる心し。心して取り組んでいただきたい。
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特養で夜勤する人がいなくなるかもしれない緩和策


2021年度・介護報酬改定の5本の柱の4番目に、「介護人材の確保・介護現場の革新」が位置付けられている。

しかし改定結果を見ると、「介護人材の確保」は十分に対策されておらず、「空振り」の様相を呈し、「介護現場の革新」は、革新と言えるほどの技術の向上が伴っていない機器に頼る形で、無理やり人手をかけないでサービスを提供する方策を取り入れ、極めて乱暴な形のサービス資源確保策を取り入れている。

例えば個室ユニット型施設の1ユニットの定員は、現行の「おおむね 10 人以下」から「原則としておおむね 10 人以下とし、15 人を超えないもの」とするという規定に変更されている。ここでは、「実態を勘案した職員配置に努めることを求めつつ」という文言が書かれてはいるが、経営者の考え方一つで、現行の職員配置のまま、対応する利用者数だけが増える施設も多いことだろう。経営的にはありがたい規定変更だが、職員にとっては労務負担が増えるだけの辛い改定になりかねない。

また育児・介護休業法による時短勤務を行っている職員については、週 30 時間以上の勤務で「常勤」として扱うことを認めたうえで、「常勤換算方法」の計算に当たる際にも、同法による時短職員については、週 30 時間以上の勤務で常勤換算での計算上も1(常勤)と扱うことを認めるとしている。

本来の常勤は、最低32時間の勤務時間が必要なのだから、これを2時間下回ることを認めたわけである。このことは介護事業者にとっては、常勤にわずかに満たない勤務時間分を、パート職員などを募集して常勤換算を満たす必要がなくなることでメリットはあるが、他の勤務者にとっては、その分の業務負担が自分の身に降りかかってくるわけである。わずか2時間でも、されど2時間である。毎週長期間にわたって、その負荷をかけられることによる疲弊は、身体面だけではなく精神面まで深く及ぶかもしれない。

テクノロジーを活用する条件が付けられた配置基準緩和も、働き手にとっては大きな問題である。

特養と短期入所生活介護の夜間職員配置加算について、見守りセンサーを導入し、夜勤職員がインカム等の ICT を使用する場合の配置基準緩和策については、前回の基準緩和をさらに緩和する2段階の策がとられているが、このことに関して言えば加算を算定できるかどうかという問題で、職員の業務負担には直接結びつかない場合が多いかもしれない。しかしこれとは別に、「見守り機器等を導入した場合の夜間における人員配置基準の緩和」が大きな問題である。

特養と短期入所生活介護について、以下の表のように配置基準が緩和されることになった。
緩和される夜勤配置基準
このように利用者60人以下の配置基準が整数2を切っている。そのためこの基準緩和をそのまま勤務時間の削減に結び付けようと考える特養では、夜勤時間帯に一人で60人もの利用者に対応しなければならない時間帯が増えることになる。見守りセンサーは、その対応を手助けする機器だとでもいうのだろうか・・・。

グループホームの夜勤者一人が対応する利用者数は9人である。今回2ユニットの夜勤者を一人に緩和してほしいという要望は、ケアの質が低下するとして却下され、その替わりに新たに通常指定として認められた3ユニットの場合に、2人夜勤を認めるルールが設けられた。しかしこの場合も、一人の夜勤者が担当する利用者数は13.5人に過ぎない。

それに比べると特養の夜間配置基準はあまりにも少ないといえる。2人で60人に対応するとしても、一人の担当人数は30人なのだからそれだけでも過酷なのに、その対応人数が倍の60人とされる時間帯が増えることになるのである。

要介護3以上の方がほとんどの特養で、それらの人が夜間は一人も動き回らずに、寝てくれていたら問題ないのだろうが、そんなことはあり得ない現状で、一人の夜勤者が60人の対応をこなすときに、何が起こるのかを考えただけで背筋が寒くなる。

そこで安全第一に対応しようとすれば、夜間の排泄ケアは、すべての利用者にオムツを着用を強いて、そこに排泄させるだけで手いっぱいで、ポータブル介助やトイレ介助なんてできなくなるだろう。そして無理やり着用させられたオムツが濡れていようと構わずに、決められた時間だけしかオムツ交換もせず、しかもその回数は極めて少なくせねばならないだろう。体位交換も「なおざり」にしかできない。

それでも60人に対して、一人の職員での夜間対応は過酷である。そうしなければならない時間帯があるだけで不安で働けなくなる職員もいるだろう。いくらテクノロジーを導入していたとしても、そうした特養では働きたくないと考える職員が増えるだろうし、少なくとも夜勤はしたくないと考える職員は増えるだろう。

この基準緩和を良いことに、夜間勤務時間を減らしたり、夜間時間帯の勤務者を少なくして、日勤勤務の調整を図ろうとする特養では、決して職員の労働環境が今より良くなることはないと思う。

日勤専門職なら問題ないかもしれないが、夜間の業務負担で疲弊する職員が多くなるだろう。

その為、特養で働くより、夜間配置職員の緩和規定がなく、看護職員の夜勤者がいる場合が多い老健等で働きたいと思う人が増え、特養の働き手はますます減る可能性がある。

だからこんな緩和策が認められたとしても、特養の経営者や管理職は、施設の定めた夜勤時間帯において、60人もの職員を一人で対応させることがないように自主規制すべきだと思う。最低でも30:1の基準の中で、夜間業務ができるように勤務シフトを作成すべきではないだろうか。そんな風にして職員の身体と精神の健康も護るという配慮こそが、人材確保策として求められることではないのだろうか。

職員の立場で考えると、施設経営者や管理職にそうした配慮がない特養であるとしたら、そこで働き続ける必要はないと思う。心と体を壊してしまう前に、そういう施設からは一刻も早く脱出するのも、自分を護るための方策だと思う。

その際は、下記に紹介している転職支援サイトなどを利用して、職員の身体と心を護る介護事業者を探すべきではないだろうか・・・。
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昭和は遠きになりにけり


昭和を代表する消毒薬「赤チン」の製造が終了するそうである。

最盛期の昭和60年代、全国約100社が製造していた赤チンも、現在では東京都世田谷区の1社のみが製造しているがだけになっていたらしいが、24日をもってそこも製造中止する。

そういえば僕が大学卒業後に、特養で仕事を始めたのは昭和58年だったが、そのころはまだ赤チンは全盛期だった。さすがに特養の常備薬として医務室に赤チンを置いているところはなかったと思うが、入所者個人で赤チンを持っている人は多かった。

オロナイン軟膏と並んで、赤チンは家庭でも常備薬として必ず置かれていたのではないだろうか。

しかし僕の自宅からも、赤チンやオロナイン軟膏やキンカンが消えて久しい。昭和は昔話の中に溶けつつある・・・。

ところでそんな話題に触れたからかもしれないが、就職した当時のことを思い出しているところだ。

僕は新設された社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームの生活指導員として新社会人のスタートを切ったが、採用された特養はその年の4/1オープンで、僕はまさにオープニングスタッフとして採用されたわけである。

しかしオープン当日から業務が始まったわけではなく、その2週間前から研修という名目で業務に就き、まだ誰も入所していない新設施設の中で、様々なオープン準備業務をこなしていた。

オープン初日からの日課活動予定や、業務分掌、当時寮母と呼ばれた介護職員の最初の勤務表の様式を作成したのも僕である。

その中でも一番重要とされた仕事が、オープン初日からの入所者の受け入れ予定表を組むことであった。送迎車の配車から、受け入れ事務等、ほぼすべての差配を担当させられた思い出がある。

当時の特養は、介護保険以前の措置施設であり、措置費で運営されていた。措置費の中身は大きく分けると2つに区分され、事業運営費やスタッフの給与となる原資は、「事務費」とされ、利用者の食費や毎日の生活に関わる原資は、「生活費」とされており、事務費の占める割合が大きかった。

現在の介護給付費との大きな違いは、運営費として必要な事務費が「日割り」されないということである。毎月初日の在籍人数しか事務費が支払われなかったのである。例えば4/2に入所した利用者については、利用者の暮らしの支出としてすべて使い切らねばならない生活費は29日分の日割りで支給されるが、運営費として必要な事務費(当時一人につき約20万円程度だったであろうか・・・。)は、ゼロになるのだ。

だからこそ施設運営上は、月の初日に利用者定員を埋めておく必要があり、新設施設でも悠長にその月の中で定員を埋めるのではなく、オープン初日にできるだけベッドを埋める必要があったわけである。

大学の卒業式を終えた足で、あわただしく引っ越しを行い、業務に就いていたという理由は、そのための準備が必要だったという経緯がある。

ただ当時の裏ワザとしては、利用者もしくはその家族と行政が認めれば、仮に2日に入所したとしても、「1日に入所したという扱いとする」として実際に入所した日と、措置開始日が違う扱いにするということは広く認められていた。それは施設都合ではなく、利用者都合であるとして許されていたのである。

そうであってもそれはせいぜい2日〜5日以内の入所に限られ、それ以降は事務費ゼロ円でその月の運営を強いられたわけである。

今考えると何とも不思議なルールであった。

どちらにしても、できるだけ運営費用に支障が来さないように、オープン初日の入所もしくは初日入所扱いにできる5日以内の入所を促すよう求められていたので、素人同然のオープニングスタッフしかいない特養に、オープン初日から5日間で約40名近い人が入所してきた。

そうなると真新しく新築の臭いがして、生活臭がまったくない建物が、4/1のオープン初日から、様々な生活臭に満ちていくことになった。

その時のことを今でもはっきり覚えているが、特に僕の印象に残っているのは、入所者が増えていくにしたがって、居室(当時は個室はなく、4人部屋と2人部屋のみ)や廊下に漂う湿布の臭いであった。

女性入所者が8割以上を占める中でも、体中に湿布を貼って、その匂いをぷんぷんと漂わせている人がたくさんいたわけである。

ただいま考えると、湿布臭が強く漂うということには意味があり、その意味を僕たち介護施設のスタッフが理解することはとても重要なことであると気が付くが、当時は残念ながら、その意味に気づくことはなかった。

そんな話題を記事にしようと思ったが、前段が長くなりすぎて、時間も無くなってきたので、この続きは明日書くことにしようと思う。明日も是非続きを読んでください。
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報酬改定で施設介護職員は業務負担増加へ


介護報酬改定議論は最終盤を迎えつつある。そこから見えてきた施設サービスの方向性は、介護職員の業務負担増加が確実視されるものだ。

すべての施設サービスと通所サービスは、CHASE(チェイス)への情報提供が報酬評価となることが確実になっている。

CHASEは、高齢者の状態やケアの内容など幅広い情報を蓄積して、「科学的介護」の基盤となるデータベースである。すでに来年4月からは、通所リハビリなどのリハビリ情報に特化した「VISIT」と一体的に本格運用されることが決まっていたが、VISIT以外の情報にも範囲を広げ、施設・通所全サービスを対象にするというものである。

報酬評価の形は新設加算ではなく、既存加算の新区分として繁栄するとのことで、11/5の同分科会では、個別機能訓練加算や口腔衛生管理加算、栄養マネジメント加算などを対象に新区分を設ける案が示されていた。

しかし昨日の介護給付費分科会資料では、『サービス提供体制強化加算が、質の高い介護サービスの提供を目指すものであることを踏まえ、施設サービスや入所系サービスにおいては、サービスの質の向上につながる取組の実施(ICTやロボットの活用、介護助手等の元気高齢者の活躍、CHASE等への参加、多床室でのポータブルトイレの不使用など)を算定に当たっての要件とすることを検討してはどうか。』という形で、サービス提供体制強化加算の上位区分という考え方が示されている。

CHASEへのデータ送信は、事務職員によって行われるだろが、データは介護の場の実務上の数値が求められるので、介護職員等には情報を集めて事務担当者に伝えるという作業が加わることになる。それは大した業務ではないなんて言える人は誰もいないだろう。今現在だって、施設の介護職員はフルスロットルで業務を回している状態なのに、これ以上どうすればよいのだろうと戸惑う人が多くなるのではないだろうか。

次に介護人材不足への対応として、特養においては入所者の処遇に支障がないことを条件に次の兼務が認められる。
・従来型とユニット型を併設する場合における介護・看護職員
・広域型特養と併設する小規模多機能型居宅介護における管理者・介護職員
・本体施設が特養である場合のサテライト型居住施設における生活相談員

さらに地域密着型特養(サテライト型を除く。)については栄養士を置かないことを認める方針だ。

介護施設すべてと短期入所生活介護の個室ユニット型施設については、1ユニットの定員を現行の「おおむね10人以下」から15名程度以内に緩和し、ユニットリーダーについて原則常勤を維持しつつ、出産・育児などやむを得ない場合については、一時的に非常勤職員で代替することを認めるとともに、本人が復帰した際は短時間勤務を認めることとしている。

このように現在と同じ配置人員で、対応する利用者数が5人程度増えるのだから、その分職員負担は増すことになる。さらに時短職員を認めるということは、それ以外の職員の業務負担が増えることにもつながることも覚悟しなければならない。

また特養と老健の、「排せつ支援加算」については、取組を促進する観点から、毎月算定できるようにすべきという考え方に加えて、現在はプロセスを評価する加算であり、結果的に排泄動作の改善がなくとも算定できる加算であるが、これに加えて、おむつから卒業しトイレで排せつできるというアウトカムを評価するという考え方も示され、上位算定区分がつくられる可能性がある。

しかしその考え方は、「おむつはずし加算に隠された陰謀」で指摘した、、介護報酬から『オムツ代』を除外して自己負担化し、給付費を下げるという考え方に先祖返りさせようとするものである。関係者はこのことに十分注意して、監視し続けなければならない。

介護ロボット、ICT等のテクノロジーの活用により介護サービスの質の向上及び業務効率化を推進していく観点から、平成30年度介護報酬改定で導入された見守り機器を導入した場合の夜勤職員配置加算や、夜間における人員配置について、さらなる見直しが進められることも、業務負担の増加に結び付くと思われる。

夜勤職員配置加算は、1 日平均夜勤職員数を算出するための延夜勤時間数が配置基準を1.0以上上回った場合に算定できる加算だが、見守りセンサーを対利用者比15%設置しておれば、配置基準を上回る延べ時間数が0.9以上となれば算定できることになっている。この15%のセンサー設置を10%に緩和することが決まっている。

さらに全ての入所者について見守りセンサーを導入した場合の新たな要件区分を設け、この場合は述べ勤務時間数が配置基準より0.5以上となれば算定できることとされる。下記がそれを示した表である。
夜間における人員・報酬(テクノロジーの活用)
この基準は特養のほか、介護老人保健施設、介護医療院及び認知症型共同生活介護についても拡大適用されることになる。

しかしこのブログで何度も指摘してきたが、センサーの反応で対応するのは夜勤職員である。機会が人に替わって対応してくれるわけではないのだ。そうであるにもかかわらず、センサーの設置で配置数の基準を下げることは即ち、実際に夜勤業務に就いている職員の労務負担増につながる問題で、この変更による過重労働が懸念されるところである。

これが生産性の向上であると言われても、現場の職員にとっては何の意味もないだけではなく、疲弊するだけである。テクノロジーを導入しても仕事はきつくなるばかりで、労働環境はさらに悪化するのではないだろうか・・・。

さらに次の見直しも通常勤務の職員にとっては頭の痛い問題となりかねない。

離職防止(定着促進)を図る観点から、人員配置基準が見直され以下の取扱いが可能になる。
1.「常勤換算方法」の計算に当たり、育児・介護休業法による短時間勤務制度等を利用する場合、32時間を下回る場合でも常勤換算での計算上も1と扱うことを可能とする。
2.「常勤」の計算にあたり、育児の短時間勤務制度に加え、介護の短時間勤務制度等を利用した場合に、30時間以上の勤務で常勤として扱うことを可能とする。
3.「常勤」での配置が、人員基準や報酬告示で求められる職種において、配置されている者が、産前産後休業や育児や介護休業等を利用した場合、同等の資質を有する複数の非常勤職員を常勤換算で確保することを可能とする。
 
この方針は施設経営上は、時短勤務で配置基準を下回ることがないという点でメリットと認めるだろうが、職員には負担感が増すものだ。3はともかく、1と2についていえば、時短職員が常勤とみなされることで、介護の場で実務に就く職員が減ることにつながりかねず、時短勤務以外の職員負担は増すことにつながるからだ。

また運営基準の改正の中では、高齢者虐待防止の取組を強化する観点から、障害福祉サービスにおける対応を踏まえながら、介護保険サービスの各運営基準において、虐待防止委員会の設置、責任者の研修受講などの体制強化に関する規定が設けられる。

今まで設置していなかった委員会の設置と運営、義務研修の実施なども業務負担増につながっていくだろう。

報酬体系の簡素化という論点では、介護保険制度の創設時と比較すると、加算の種類は増加している状況にあり、訪問介護は3から20に、通所介護は5から24に、特養では8から55に、老健では8から54に増加している問題が取り上げられているが、それらは具体的にどう整理するのか明らかになっていない中で、新設加算や上位区分加算の創設がしきりに議論されている。

このように業務負担が増す施設サービスは、ますます重労働のわりに対価が低いというイメージが広がりかねない改定になっていることを懸念せざるを得ない。
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人手不足を法令違反の言い訳にするな


北海道では大手の電力会社とガス会社の全面戦争が始まりつつある。二男は北電勤務なので、親としてはそちらを応援せねばならないだろうか・・・。

介護事業者にとってもランニングコストとしての比重が大きい電気・ガスの料金が下がるのは、事業収益上大きなことである。「電気・ガスの料金比較はお済ですか〜コストカットは毎日使うものから」も参照してほしい。

話は変わるが、またぞろ介護施設の不適切運営がお菊報道されている。その不適切レベルも半端ではない・・・。

神戸市灘区の特別養護老人ホーム「きしろ荘」で、長期間にわたって不適切ケアと法令違反の疑いのあるサービス提供体制がとられていたことが明らかになり、市が調査していることが明らかになった。

問題となっているのは以下のような行為及びサービス体制である。

〇餝覆里覆たΠが胃婁の利用者に濃厚流動食や薬剤を補給させていた。各痰吸引も資格のない職員に行わせていた。

一人の利用者に対して最低週2回は実施しなければならない入浴支援を、数年前から週1回しか行っていなかったことに加え、今年7月ごろまでの1年は2週間に1回程度のこともあった。

昨年1年間、全入所者約50人分の施設サービス計画書が作成されていなかったことに加え、今年5月に同じ法人内で他施設に勤務する職員に指示し作成させたが、介護支援専門員でない人もその作成にあたっていた。
(※仮に作成した人が介護支援専門員の資格を持っていたとしても、施設の介護支援専門員でない限り、そのような行為は許されていない)

悪いと思っていたが人手不足で改善できなかった」と言い訳をしている施設長は、この数年間、休みが取れない状況で、兵庫県内に新型コロナウイルスの感染が拡大した3月以降は、自宅に帰っていないそうであるが、コロナ禍以前から長期にわたってこのような不適切な状態を続け、法人に善処を求められなかったことに同情の余地はない。

自分が誰よりも働かなければならないという状態が、運営基準を護れなくともやむを得ない状態であるとの言い訳にしてしまうことも一種の感覚麻痺だ。このような状態の改善を、法人に強く訴え出ることができなかったこと自体が大問題であり、そもそも施設長としての器にかけていたのではないかと言われても仕方がない。

一部の報道では、「入所者は要介護度が高く、家族を含めて苦情などの指摘はない」という情報が書かれているが、馬鹿を言うなと言いたい。劣悪な処遇で被害を受けるのは家族ではなく、利用者本人だ。要介護度が高く、認知症の人も多い利用者本人が被害を訴えられないことをよいことに、そんな状態を何年も続けていたということは虐待そのものである。

そんな状態に家族の不平不満があったかどうかは関係のないことだ。自分自身が、週1回しか入浴できない状態を数年間続けていたらどう思うかを考えてほしい。しかもそうされているのは、排泄をオムツにしていたり、失禁があるかもしれない要介護者なのである。

人手不足で対応困難ならば、ショートの休止・入所の受け入れの一時停止を市に訴えなければならない。そのうえで人手不足を解消するための対策を法人全体で練る必要がある。法人自体は多角経営をしているようだから、これらの対策を早く講じていれば、このような不適切サービスが長期間続くことはなかったはずだ。人事は1施設において行うものではなく、法人全体で行うという原則が護られていなかったのではないか。

そもそもこの法人の理事会や評議委員会は全くこのことを察知していなかったとしたら完全な機能不全だ。知っていて放置していたとしたら、その役職の適格性に欠けるだけではなく、人としての品性が疑われるというべき問題だ。

理事長の責任は免れないが、全理事も責任を取る必要がある。評議員会の全委員も入れ替えが必要だ。

こうした状態を知れば知るほど、この施設にはまだ隠された問題が多く存在するように思えてならない。週1回しか入浴介助を行っていないのなら、そこで体調が悪かった人は、2週間入浴支援を受けられていないだけではなく、もっと長期間にわたって入浴支援を受けられなかった人もいたのではないか?排泄ケアはきちんとされていたのか?体位交換や清拭といった支援も不十分だったのではないか?夜間のケアは十分できていたのか?

市の調査(監査にしてしまえばよいと思うが・・・。)では、この施設利用者の皮膚状態をきちんとチェックしてもらいたい。そのことで新たな不適切ケアが明らかになる可能性があるからだ。

不適切行為が一つでも明らかになれば、きちんとできていた部分もこのように疑われて仕方がないのである。だからこそ法令基準は最低限護らねばならないのだ。

というのも、法令基準を遵守していたとしてもケアサービスは高品質と言えないからだ。週2回の入浴支援を行っていれば法令基準は護っていることになるが、世間一般的な常識から言えば、週2回しか入浴できないこと自体が、QOLの低い暮らしぶりである。

老人福祉法の制定直後からできた運営基準が、そのまま介護保険制度創設以後も引き継がれている低いレベルの基準さえ守ることができない施設は、廃止届を出すのが本来である。

一方で、介護の方法を工夫して、人員配置がさほど多くなくとも入浴支援を毎日行っているところもあるのだ。(参照:介護の質を上げる工夫の具体例:入浴支援1

そもそも人手が少ないからと言って、法令を無視し、利用者の暮らしを劣悪にしているところに、人の役に立つ仕事をしたいという人が集まってくるわけがない。対策を短絡的に考えれば考えるほど、墓穴を掘る例は枚挙にいとまがないのだから、問題や課題解決は、長期的視点に立った根本対策が必要なのだ。

そのことに意を用いることができなかったこの施設のトップは、やはりその器にかけるのだと言わざるを得ない。

このような施設に勤めている職員は我慢して勤め続けないで、厚労省も許可している信頼できる就職サイトなどに登録して、別事業所に転職することを模索すべきだ。


だらだらと法令違反を続け、劣悪な環境に利用者を置き続けるより、そんな事業者の経営ができなくなるくらいに人がいなくなった方がよい。そういう状態になれば、行政が素早く動いて利用者の行き場も確保してくれる可能性が高い。その方がよっぽどましだ。

こんな施設が出てくると、またぞろこうした状態が、「氷山の一角」などと思われ、高品質のケアサービスを実現している特養まで、斜め目線で見られてしまうことが悔しくてならない。

豊かな暮らしの実現を図る視点がない人は、介護の職業に携わるべきではないのである。そのことを声を大にして言いたい。
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セカンドオピニオンを保証する介護関係者の責任


特養に入所している人の健康管理は、原則として特養に配置されている施設配置医師によって行われる。

だからと言って特養は医療機関ではないので、利用者に対する医療行為について特養が診療報酬を請求することは出来ない。そのため配置医師による利用者の医療処置が必要になる際の治療については、施設配置医師が所属する医療機関の外来診療扱いとして、医療機関から診療報酬を請求することになるわけだ。

よって医療機関に勤めていた医師が退職し、医療機関に籍がない状態であっても、医師という資格に基づいて特養の施設医師として配置されることに問題はないが、その際に利用者に必要な治療行為やその際の薬剤等について、診療報酬を請求する手立てがなくなってしまうため、実質医療機関に籍のない医師を施設配置医師とするケースはほとんどないのである。

利用者に対する治療を行った際に、外来扱いで診療報酬を請求するためのルールについては、「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」という医政局通知が各診療機関に向けて発出されている。

その最新のルールについては、「短期入所生活介護の診療に対する誤解をなくそう」という記事の中で解説しているが、特養利用者が医療機関を外来受診するなどして、施設配置医師以外の治療を受ける際には、「配置医師の専門外」・「配置医師の求め」・「緊急の場合」のいずれかに該当する必要があるという規定がある。これは短期入所生活介護についても同様に適用されるルールである。

よって自宅で暮らしていた際に、「かかりつけ医師」がいた方であっても、特養に入所する際には特養の配置医師が主治医となるために、原則として日常的な疾患管理のために、かかりつけ医師のいる医療機関に外来受診することは出来なくなるわけである。

だがそうしたルールを定めている医政局通知の強制力がどこまで、どれほど及ぶのかということになると、これはまた別の話である。

そもそもこの通知は医療機関に向けて発出されている通知であり、特養の関係者がその内容を知らなくても施設運営上の責任は生じない。自分の所属事業を利用している方々の医療にかかわるルールを知らないことについては、専門家としての責任感が低いのではないかという誹りは免れないとしても、法令上の罰則を受ける立場にはならないわけである。

よって特養に入所した人が、以前からのかかりつけ医師の診断しか信じないというような信者的患者で、家族もそれを望んで、利用者を定期的に特養入所前のかかりつけ医師の所属する医療機関の外来受診のために定期的に家族送迎で利用者を外出をさせようとする場合、それを完全に拒むことは難しい。勿論、この場合は特養に外来受診の送迎を行うという責任が課せられている部分は適用されず、送迎は家族等が行うことになる。

そもそも外来受診をすることを隠して、外出希望が出されたら拒みようがないわけである。その際に、「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」についてのルール違反を問われるのは、外来受診した医療機関側だけであり、特養が違反を問われることにはならない。

しかしこうした受診を行った結果、医療機関が診療報酬の支払いを拒まれたとか、保健所の運営指導を受けたというケースを僕は聴いたことがない。実質、それはチェック不可能で、医療機関に善処を求めることしかできないと言えるのではないだろうか。

さてこうした利用者等の強い希望によって施設配置医師以外の医療機関受診する行為とは別に、「セカンドオピニオン」の問題が今後クローズアップされてくる可能性がある。

セカンドオピニオンとは、患者が検査や治療を受けるに当たって主治医以外の医師に意見を求める行為を指す。この考え方は、主治医に「すべてを任せる」という従来の医師患者関係を脱して、複数の専門家の意見を聞くことで、より適した治療法を患者自身が選択していくべきと言う考え方に沿ったものである。

そうすると特養の利用者にもその権利は当然認められてしかるべきであり、施設配置医師ではない医師の意見を聞くために、他の医療機関を外来受診したいと希望する人は今後増えることが予測される。

特に人生会議(ACP)がの重要性が叫ばれる今日、自分の終末期の医療や介護の最善の在り方についてどのように考えるかという過程で、リビングウイルへの関心が高まることで、施設配置医師以外の医師によるセカンドオピニオンを求める人が増えてきてもおかしくはない。

看取り介護に関連して考えると、施設配置医師の終末期診断が正しいのかという確認のためのセカンドオピニオンニーズも増すだろう。回復不能の終末期と診断され、看取り介護に移行することを打診された対象者の家族が、本当に自分の身内が治療効果がなく、そのまま看取り介護とされて良いのだろうかというセカンドオピニオンを求めるケースがいつあってもおかしくないのではないのである。

こうしたセカンドオピニオンは、それを受ける権利が保障されなけれなならず、「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」の制限規定を縦に認めないという行為は、利用者の権利侵害として賠償請求などの対象行為となり得るので、十分な理解と注意が必要だ。

利用者やその家族がセカンドオピニオンを求めた場合は、同通知に言う「配置医師の専門外」・「配置医師の求め」に準する扱いとして認められると考えなければならない。

特養の相談援助職は、そうしたニーズへの支援も重要な役割になっていくことを自覚しなければならない。

同時にすべての介護関係者に新たな覚悟が求めらえることも自覚しなければならない。それは、「人生会議」という愛称が浸透し、アドバンス・ケア・プランニングの意識が国民全体に高まる先には、セカンドオピニオンはより重要な課題となり、介護関係者もそれを保証する役割が求められていくという覚悟である。
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コロナ禍の面会制限はwithコロナでどうなっていくのか


僕は新千歳空港発の機内にいる。これから羽田に向かう予定だ。

4月の福岡出張中に緊急事態宣言が発令され、航空各社が大幅な減便を行ったため、北海道に戻れなくなりそうになったことから急遽、福岡から地元に戻って以来、約4カ月ぶりの道外出張である。こんなに長く道内にとどまっていたのは何年ぶりだろう。記憶にないくらい長い雌伏の時だった。

新規感染者が10人前後で推移している北海道から、三桁の新規感染者が出ている東京への移動だから、十分注意しなければならないことは自覚している。今日から3日間秋葉原に滞在するが、メイドカフェにも行かず(注:行ったことはありません)、夜の街にも出ないで仕事以外ではホテルに引きこもって執筆作業に専念するつもりだ。

新千歳空港も以前の賑わいとは異なり閑散としている感は否めない。快晴なのに欠航便が多いのは旅客が少ないからだろう。結構便に乗る予定だった乗客が運行便に乗り換えているので、飛行機内は決してスカスカで空いているわけではない。他者との距離は結構近いので心配ではある。

こんなふうにコロナウイルスの影響はまだ続いているが、介護施設の面会制限はいつまで続けられるのだろう。リモート面会が一般化して、それで良しとしている施設があるが、利用者が家族などの親しい人と、いつまでも直接面会ができない状態で良いわけがない。

介護施設の経営者や管理職は、一日でも早く条件付きであっても、外出や面会を認められるように対策を急ぐべきである。永遠に続く制限は人権侵害そのものだという理解が必要だ。そもそも自分たちは自由に外出し、外から施設に通ってきていることを忘れないでほしい。

同時にこれからの介護施設の面会の在り方も考えていかねばならない。

コロナ禍以前の介護施設の面会は、基本的に自由が当たり前であった。

面会時間に制限はあったとしても、面会可能時間であればどこから誰が何人施設を訪れようと自由で、玄関は面会記録さえ書けばフリーパスで通ることができ、施設内で面会者の導線が制限されることもないのが当たり前だった。

しかしコロナ禍が終息しても、その社会とはそれまでとは違う社会になるだろう。そこは常にwithコロナ・with感染症の視点が求められる新しい社会である。

介護施設の面会もフリーパスで基本自由という訳には行かなくなると思う。

面会記録簿をつければ、誰でも玄関を通って施設内に入ることができるということはなくなるだろう。非接触型体温計が入口受付に常備され、体温チェックと簡単な健康状態の聞き取りを行ったうえで面会が許可されることが当たり前になっていくだろう。

面会人数はできるだけ少人数で、時間もある程度制限される可能性も高くなる。

面会場所も居室以外の決められたスペースで行うことが望ましいが、この場合、その部屋が使えないと困るので、面会は事前予約性にせねばならない。しかし事前予約がないと面会を許さないというのは、感染症が広がっている最中以外はやりすぎで、人権問題に関わって問題になる可能性があるので注意が必要だ。

施設側としては、多床室のみ面会不可として、個室については面会を認めざるを得ないのではないかと思う。どちらにしても面会室を別に設けることは当たり前になるだろうし、それも複数スペースを設置することが求められていくだろう。

今後新設される施設については、家族等の面会者の導線を別に確保し、面会する利用者以外とできるだけ接触しないようにすることも設計思想として求められてくるだろう。

このように介護施設の面会方法は、大きく変わってくるだろう。そこで問題となるのは、「看取り介護対象者」の家族面会をどうするのかということである。そのことについては明日、改めて提案しようと思う。
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withコロナで変わる介護施設の面会事情


先週末、地元の地方新聞を読んでいると驚くべき記事を目にした。

その記事とは、とある医療でタブレットを利用したリモート面会を始めたという記事だ。

何が驚くことかと言えば、この時期までに面会制限を続けているのはともかく、面会制限を行う中でリモート面会に踏み切る時期が今であるということに驚くとともに、そんなニュースが新聞紙面に掲載されるということに二度驚いた。

医療機関や介護施設等で面会制限が行われるようになったのは、おそらく2月からだと思う。それからすでに半年近くが過ぎようとしているこの時期まで、漫然と面会制限だけを続けているというところはおそらく少数派で、多くの介護施設ではリモート面会の仕組みは整えているはずである。

僕の知る限りでは、早いところでは2月の面会制限と同時にシステムを整えていたし、4月中にはそのシステムがあるのが当たり前という風潮になっていたはずだ。

遅くとも緊急事態宣言が解除されたころには、多くの介護施設はリモート面会を行なえるようになっていた。医療機関はそうではないのだろうか・・・。

むしろ現在は、面会制限をいつまで続けるのかということや、リモート面会だけで良いのかという議論が、面会制限中の各機関で行われなければならない時期である。

特に、「看取り介護」の対象者については、面会制限をしている中でも、例外的に直接面会を認めるようなルール作りに取り組まねばならない。

施設内での家族の宿泊はできないことには理解を求めながら、面会は予約制として、人数や時間を限った面会は認めるべきだ。その際に、複数の利用者に複数の家族が同時に面会をする時間が出ないようにするなど、施設側が面会スケジュールを管理する必要はあるだろう。

同時に面会者の2週間以内の健康状態の聞き取りを行うとともに、面会当日の検温を必須として、平熱より少しでも体温が高い方には面会を遠慮していただくことに加え、感染症多発地帯からの訪問は避けていただくようにお願いする必要もあるだろう。

また面会者の導線を、施設利用者と区分することが大事であり、面会の際は非常口等から出入りして他の入居者と接触しないよう個室に入るなどの工夫をする必要もあるだろう。

ここで大切なことは、面会させないことが前提ではなく、できるだけ面会できる方向で考えることだ。「特例」をめったにないことと考えるのではなく、特例を適用できる条件をできるだけ柔軟に考え出すことである。そのためには機械的にルールを定めるのではなく、個別の事情に配慮した特例を、ケースごとに検討することも大事だ。

人生の最期の時間を過ごす人との、お別れに時間を持つことは、逝く人・残される人、双方にとても重要なエピソードなのだから、そうしたエピソードをつくる機会を奪わないという考え方が必要で、できる限り最大限の努力を行うべきであり、知恵を絞るべきである。

少なくとも、「規則ですから」という冷たいフレーズだけで、最期の別れの時間を奪ってはならないと考えるべきだ。そこは、職員が外から自由に通ってきている場所でもあるという一面も考慮すべきである。

ところでコロナ以前は、介護施設の面会といえばフリーが当たり前であった。特養の場合は、面会時間を制限することさえ、暮らしの場の論理に反するとさえ言われたものだ。

そのため日曜や祝日には、多くの家族が施設に訪れ、いつもより施設内がにぎやかになるのも当たり前であった。複数の家族が多人数で、同時間に施設に滞在する光景も当たり前に見られた。しかしコロナ禍が落ち着きを見せたとしても、この風景は復活しないかもしれない。

面会の場所制限や、時間・人数制限は、今後のwithコロナでは、当たり前のルールとなっていくのではないだろうか。面会者用のフェイスシールドも常備しておく必要があるだろう。


さすれば施設建設時にその対応に即したハードの工夫も必要になる。

多床室の新築・増築は難しくなるだろうし、施設基準にはない家族との面会室も設置する施設が多くなるだろう。看取り介護を行うことが前提の施設は、外から居室に直接入ることができる出入り口を設置しておく工夫も行われてよいはずだ。

介護施設が、家族や親族・知人や地域住民と切り離されたブラックボックスになってはならないが、利用者の命と暮らしを護るための、「安全と安心」が失われてはならないので、withコロナの新生活様式のルールやシステムづくりを急がねばならない。

そのためには今から知恵を絞って、何が必要で何が必要ないのかという議論が不可欠となるが、私たちが創り出すルールとは、人の暮らしに直結するものであり、人の暮らしと心を護るためのものであるという基本を忘れてはならない。

そのためにも、血の通った情(なさけ)のあるシステムを作り上げるという考え方が必要ではないだろうか。
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思いが知恵に、知恵が工夫に、工夫が品質に。


新型コロナウイルスの感染状況がいったん小康状態になったことを受け、介護施設等の制限対応の緩和が進んでいる。

そのような中で、居宅サービス事業所の受付窓口や介護施設の共用スペースなどをシートで覆って、飛沫感染予防策をとっているケースがみられる。しかしここで注意してほしいことはシートの素材である。不燃性シートを使うなど防火対策をしないと、火災事故のリスクが高まってしまうことをご存じだろうか。

ビニールシートの多くは発火リスクの高い素材で燃えやすくなっており、白熱電球など熱源となる物から距離を取らない場所に張り付けると燃え上がる。そのような失火事故が増えないように十分に対策してほしい。くれぐれもその辺にあるビニールシートを使おうという安易な発想で終わらないようにしてほしい。

十分な感染予防対策をしたうえで、面会制限も徐々に緩和しなければならない。

例えば今僕が住んでいる登別市は、隣の室蘭市と合わせた地域が生活圏域である。この地域における新型コロナウイルスの感染者は、室蘭市が1名・登別市が7名となっていたが、現在は全員回復し経過観察期間も過ぎている。4/28以降の新規感染者もおらず、1月以上新規感染者が出ていないのだから、介護施設等の面会・外出制限は当然緩和されなければならない。

遠方に住む家族のために、ネット回線等を利用したリモート面会のシステムは、今後もずっと続けるべきではあるが、直接会って面会する機会も作っていく必要がある。予防ワクチンができるまでは、従前のように何の対策もない面会は難しいだろうが、感染予防対策を施したうえでの面会は許されなければ人権問題である。

家族が制限なく居室に自由に出入りする面会は難しいだろうが、面会場所を居室から離れた場所に設置して、面会人数と時間を決めたうえで、入り口での検温と健康チェックを行いながら予約制で1組ずつ時間をずらして面会を行うことは、もうしなければならないと考えたほうが良い。

利用者と家族の人間関係を紡いだり、護ったりすることは、対人援助ではとても重要なことなのである。その原点を思い出しながら、今できることを探していかねばならない。

それにしても今回の制限対応において、サービスの品質の差が至る所で明らかになった。制限するという小権力が自分に備わっていると勘違いしている事業経営者や管理者は、何の工夫もせずにできないことのルールだけを勝手に決め、制限による利用者の不便や不都合には、完全に目や耳を閉ざしてしまったケースも見られた。そういう施設の利用者は可哀そうだった。

一方では制限される暮らしの中でも、できるだけ利用者のストレスがないように配慮して、例外対応などの工夫を様々な場面で行っている介護関係者もおられた。

面会制限が2月以上続いたある特養では、緊急事態宣言後に休業した街のカフェを、そっくりそのまま施設内の地域交流スペースで営業させるという取り組みを行って、利用者から大歓迎された。

カフェのオーナーは、介護とは全く関係のない地域住民であるが、そこの常連客であった施設長のアイディアで施設内カフェが実現した。当初はそれに反対する職員も多かったそうである。外部の人間が施設内でカフェを営業するなんてとんでもないという意見が多いなかで、職員が外部から施設に通って利用者と濃厚接触しているのに、それらの職員と同じように感染予防対策を行うカフェオーナーを、施設に入らせない理由はないとして、施設長の英断と責任においてカフェが開設された。

感染予防対策として、カフェのオーナーには施設内カフェの営業期間は、できるだけ不要不急の外出などを避けていただくようにする契約を結び、施設の出入りの際には、健康チェックや手洗いと消毒を徹底するなどの措置がとられた。

そのうえで街中でカフェ営業している際のメニューと、ほぼ同じものを施設内で提供し、施設利用者が自由にそこで飲食できるようにして、ストレス解消に一役買っている。

施設の設備を使い、光熱水費も施設負担なので、料金は街で営業している際の3割〜6割引きの値段である。コーヒーは1杯150円で提供されていた。カフェ利用できるのは利用者に限られ、飲食料金は利用者の自己負担であるが、ランチメニューもあるので、利用者の中にはあらかじめ施設の昼食提供を止めてもらって、その日はカフェでランチを摂る人もいた。

認知症の人で自分でカフェ利用できない人は、家族の承諾を得たうえで、職員の介添えでカフェ利用し、喜ばれている姿も見られた。

感染予防対策中に、感染リスクだけを考える場所では、このような対応は不可能だ。しかしそのような中でも、私たちの職業は対人援助であることを忘れない人によって、こうした工夫と対応が可能になるのだ。対人援助とは、人の暮らしに真正面から向かい合う仕事なのだから、何かを制限するために勝手にルールを創り、それに従わせるだけで良いと考える方が間違っているのだ。

そこでは人に対する細やかな愛情を持つ人の思いが存在している。その人たちの思いが、介護サービスの品質そのものにつながっているのだ。

だからこそ介護という職業は、知識と技術だけがあれば良いわけでは何のである。そこに人間愛というエッセンスが加わらない限り、介護は人を幸せにできないのである。

介護には科学性が必要だと唱える人たちは、果たしてそれだけで、人を幸せにする介護に手が届くだろうか。
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クラスター感染発生施設の悲惨な現状に触れて


今朝付の北海道新聞朝刊・三面記事では、クラスター感染が発生している札幌市の老健施設、「茨戸アカシヤハイツ」の悲惨な現状を報道している。

定員100人の同施設での感染者は、昨日まで入所者64人・職員21人に達しており、施設での死亡者は11名に達している。このうち医療機関に入院できた人はわずかで、現在施設にいる利用者数は71人。このうち40人がウイルス検査で陽性となっている。

同施設の居室はすべて多床室(2人部屋8室・4人部屋21室)なのだから、感染が拡大しやすい環境にあるが、報道によると感染拡大防止策は、「カーテンを閉めるくらいしかできない」(施設関係者)とされている。

カーテンを閉めるだけで新型コロナウイルス感染防止になるわけがなく、なぜ空間除菌などの対応を早急にとらないのか疑問である。空間除菌については効果を疑問視する人がいるが、インフルエンザウイルスでの感染拡大防止効果は示されているし、コロナウイルスのエアロゾル感染の危険性を低下させる効果も実証されているのである。今からでも急いで対応すべきだ。

はっきり言って、ウイルス検査陽性の人をとどめおく施設としての体制が整っていないと思う。利用者や職員をウイルスから護る最大限の努力がないところで、利用者と職員が放り出されていると思う。その責任は札幌市にあるのか経営法人にあるのか、はたまた両者なのかは、後々十分に検証すべきだと思う。

感染拡大防止策がこれだけ不十分なのだから、当然職員の勤務状態も過酷になっている。道新の報道記事でその悲惨な状況が明らかにされているが、『これまで介護士40人、看護師10人ほどが勤務していたが、感染や退職で看護師は全員不在に。現在は、札幌市から派遣された看護師ら計4人で対応し、介護士も通常の3分の1だ。』と書かれている。

報道記事にはこのほかに、『感染を恐れ、車中で寝泊まりする介護士もいる。』とされているが、この意味は自分の感染を恐れてという意味ではなく、自分が施設からウイルスを自宅に持ち込んで家族に感染させることを恐れて、家に帰らないように車中泊しているという意味ではないだろうか。たいへんなことであり、体も十分休められないのではないかと心配になる。

これらの職員の方々も、そこから逃げ出したいと思っているのだろうが、『自分まで抜けたら誰が入所者のお世話をするのか(道新記事より)』という思いで頑張っているそうである。頭が下がるという言葉では言い表せないくらいすごいことをしていると思う。誰にでもできることではなく、その使命感と責任感は尊敬に値する。

しかし残念なことに、札幌市も経営法人もこうした職員の特攻精神に頼り切って、全く職員を護る対策を取っていない。だから感染拡大は防止できていないのだ。

こうした過酷な職員配置状況だから、利用者に対する日常支援も大変なことになっているようだ。報道記事によると、『人手不足から、入所者の食事は3回から昼夜2回に減らした。感染を広げないため、2週間以上風呂にも入れない状況が続く。』

これは予想をはるかに超えた状況である。入浴支援が満足にできなくなるのは想定範囲であるが、1日の食事回数が3食ではなく、2食の提供しかできなくなることを想定していた関係者はいただろうか。僕はかねてより、『食事だけは必ず1日3食提供されなければならないのだから〜』と言っていたので、この状況は想定できなかったし、そうした状況になっているというのは危機的状況をはるかに超えたものと思ってしまう。

僕は先月福岡市に2週間ほど滞在していて、その際は北海道の感染拡大は落ちつき、クラスターも発生していなかった。その際、福岡市の老健でクラスター感染が発生し、5月初めまで40人以上の利用者が感染したという報道に触れていたが、ここまでの危機的状況には陥らなかったように聞いている。しかも福岡市では今、新規感染発症者ゼロが2日間続いている。福岡市と札幌市のこの違いはどこから生じているのだろうか。後の検証が必要だと思う。

札幌市は、陰性の入所者を別の施設に移す検討に入ったと言うが、今陰性だからと言って、陽性反応する利用者が日に日に増えている施設の利用者を受け入れようとする他施設があるのだろうか?他の施設からすれば、その施設から受け入れた利用者に隠れていたウイルスが陽性化して、自施設にクラスター感染が発生するのではないかと疑心暗鬼になるのは当然だと思え、受け入れは容易ではない。

とすれば受け入れ可能なのは、法人内の他施設となるのであろうか?

どちらにしても1日も早く、このクラスター感染が収束することを望むとともに、同施設の職員の皆さんの身体と心が護られることを強く願う。

何もできないが、せめて心よりの尊敬の念を込めてエールを送り続けたいと思う。
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削除すべき介護施設の食事提供規定


1983年に封切りされた映画、「家族ゲーム」(森田芳光監督作品)は、故・松田優作扮する三流大学の7年生という風変わりな家庭教師が、高校受験生を鍛え上げる様をコミカルに描いた傑作で、この年のキネマ旬報ベスト・テン第57回、日本映画ベストワンなどを受賞している。

この作品を見ると、やはり松田優作という役者はすごいと思うし、まだこれからという時期に夭折したことは、返す返すも残念でならない。(関連参照:若者よ。君たちは松田優作を知っていますか?

この映画は当時として画期的な演出が随所に取り入れられていた。例えば音楽なしの誇張された効果音もその一つであるが、僕にとって最も印象に残っているシーンは、家族が向かい合わせではなく、テーブルに横一列に並び食事をする演出である。下記画像がその場面である。
家族ゲーム
当時としてはコミカルにも感じたこのような食事風景であるが、もしかしたら私たちのこれからの食事風景は、このような形が当たり前になるかもしれない。

というのも、先日開催された政府の新型コロナウイルスの専門家会議において、今後、国民が実践すべき「新しい生活様式」として提言する内容が話し合われたが、その内容は以下のようなものである。
・人との間隔を極力2メートルあける
・手洗いや換気を小まめに行う
・毎朝、家族で体温を測定する
・公園はすいている時間を選ぶ
・食事では横並びに座る
・帰省や旅行を控えめにする
・誰とどこで会ったかをメモする」


このように、「食事では横並びに座る」と提言されるのである。すると家庭の食事場面よりむしろ、医療・介護における食事提供シーンで、このような方法が推奨されていくようになるのではないだろうか。

介護施設をはじめとした居住系施設(GHやサ高住等)だけではなく、通所サービスにおける食事など、複数の利用者が同時に食事を摂る際に、利用者同士が向かい合わせで食事をするという形は徐々に少なくなり、家族ゲームのような横並びの形で食事を摂ることが当たり前になってくるのかもしれない。

特に通所介護は、利用者の個別の居室があるわけではなく、食堂で一斉に食事をするのが当たり前なのだから、こうした場面は早々と生まれるだろうし、クラスター感染を恐れてとり得る対策を最大限に取ろうとして、もうすでに実施している事業所もあるかもしれない。それは決して悪いことではなく、できるならばそうしたほうが良いだろう。

ところで介護施設ではどうしたらよいだろう。勿論、食事を食堂で一斉に摂るのであれば、通所サービス同様に、向かい合わせのシーンをなくして、横並びに食事できる配置に切り替えるべきだが、そもそ自分の部屋がある施設なら、そこで個々に食事を摂っても良いと思う。

特に現在の居住系施設は、介護保険施設も含めて個室が増えているのだから、それぞれのお部屋で食事を摂るのがスタンダードになって良いように思う。感染リスクを考えると、そうした方法の方が予防効果は高いし、自分の空間で他の人の食事シーンを見ながらではない状態で食事を摂りたいというニーズは、考えられている以上に多いはずだ。そして各居室に配膳するなんて業務は、ルーチンワーク化すればさほど難しくもないし、手間ではない。それが証拠に有料老人ホームの一部は、それが当たり前になっている。

僕自身が介護施設に入所したらと考えると、せめて食事くらいは、自分の好きな場所で、ゆっくりお酒を呑んでテレビでも見ながら摂りたいと思うだろう。

しかし介護施設でそのことがほとんどそのような方法が浸透していない理由は、運営基準そのものに原因がある。

特養の運営基準(平成十一年厚生省令第三十九号)を例に挙げると、次のような規定があるのだ。(これは老健等も同じである)
(食事)
(一般型特養)第十四条2 指定介護老人福祉施設は、入所者が可能な限り離床して、食堂で食事を摂ることを支援しなければならない
(ユニット型特養)第四十四条4 ユニット型指定介護老人福祉施設は、入居者が相互に社会的関係を築くことができるよう、その意思を尊重しつつ、入居者が共同生活室で食事を摂ることを支援しなければならない


↑このように運営基準として、食堂(ユニット型の場合は共同生活室)で食事を摂ることを規定しているので、利用者の部屋に食事を提供する方法は、実地指導で、「不適切だ」と運営指導を受けることになり、「やりたくてもできない」のが現状なのである。

そもそもこのような規定がなぜ存在するのかと言えば、それは役人が食事を、離床機会と考えており、食事も居室で摂るような状態では、引きこもりが助長され自立支援を阻害するという偏見があるからに他ならない。

昭和40年代に、寝たきり老人の問題がクローズアップされ、特養でも離床が最大の目標にされた時期があるため、このような規定が生まれたものと思う。

しかし現在は、離床は食事時間だけに行うという時代ではなくなっているし、居室における食事であっても、ベッド上で食事をするような誤嚥の危険性が高い食事方法を否定するだけで、自分の部屋で離床して、自分のペースで好きなテレビでも見ながら食事を愉しむというライフスタイルが実現できるわけだ。

それは引きこもりにはつながらないし、自立支援を阻害する問題ともまらない。むしろQOLの向上につながる、多様なラーフスタイルを認めるということに他ならない。

よって利用者ニーズの変化に合わせて、食事提供に関する運営規定は変えられるべきであるし、それは感染予防という、新たに必要な対策にも合致することだと言えるわけである。

早急に規定改正を行い、第十四条2と第四十四条4を削除してほしいと思うのである。
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感染予防を理由にした制限はどこまで許されるのか


新型コロナウイルスの感染予防対策は、時として様々な迷走を生んでいる。

例えば某地域では次のようなケースがあった。

住宅型有料老人ホームで生活している要支援者の方に、面会に訪れた家族が玄関先で面会を止められたというのだ。この利用者には外部からヘルパー支援が入っており、担当のケアマネジャーも施設内で面接しているのに、いきなり家族だけが面会を断られたわけである。しかも面会制限は事前連絡なしだ。

その利用者の方は90歳を超えた女性で、重度の心不全を持病に持っており、無理できないためにヘルパー支援で足りない部分や、ヘルパーの支援対象となっていない部分を、家族が替わって行うことで日常生活が成り立っているそうである。それなのにその大切な家族支援を拒否されているのだ。

ヘルパーとケアマネが入れるのに、実質日常支援を行う家族が施設に入れない理由は、前者は仕事できているので、何かあれば事業所が責任を取ってくれるが、家族の場合は、責任を取る主体がないからだという・・・。こう書いても意味が全く分からない人が多いだろう。そんなふうに筋が通らない理由で面会拒否されたそうである。

憤慨した家族が施設長に講義を申し出たところ、翌日から家族支援を受けている家族は、細心の注意を払い面会できる様になったということである。

面会制限自体は、この時期だから仕方がないだろうが、「施設を強制収容所に化す工夫のない面会制限」という記事でも指摘した通り、制限には一定の配慮と工夫が伴わねばならない。ましてや事前連絡なしで、玄関口で一方的に入館を禁ずるのは配慮不足と言われても仕方がない。外部ヘルパーの訪問を許して、ヘルパーでは足りない支援を行う家族の訪室を許さないことの根拠も乏しい。

こうした状況が起きる問題の本質とは、感染予防という名のもとに、施設側の責任を誰かに転嫁するような根拠のない対策が取られているということだろう。まったく情けない話である。

ここで一つ考えておかねばならないことがある。面会を禁止にした場合、それではということで、家族が居住系施設に入所利用している方を、気分転換のために外出に連れ出したいと申し出た場合、それを拒否できるかという問題である。

勿論、不要不急の外出はなるべく控えるようにお願いしている最中であるから、人混みが想定される場所に利用者を連れ出さないようにお願いすることはできるだろう。しかしそれはあくまで要請レベルにとどまるし、外出そのものを禁ずることは出来ない。

そもそも職員は施設以外の場所から通ってきており、その際には満員電車に揺られる中、周囲の人たちと濃厚接触しているわけであるし、自由に外出しているわけでもある。利用者だけを外出禁止にするわけにはいかないのである。

家族から利用者を気分転換のために、外食に連れ出したいと求められたら、それを認めるしかない。その際にできれば感染予防の観点から、お店で外食するのではなく、家で食事してくれませんかと頼むのがせいぜいだろう。

施設側の依頼や要請に対して、家族がどう応えるのかは日ごろからのコミュニケーションと関係性がベースになって決まってくる問題だろう。感染予防に関して施設側、家族側双方がベターな選択をするためには、施設と家族の信頼関係が大切だという一言に尽きるのである。

面会に来た家族を玄関口でいきなり面会禁止を宣言するような施設が、家族との信頼関係を築くことができるかを考えてほしい。大変な時期をそれぞれの立場の人が、様々な対策を取って乗り切らないとならないのであるから、お互いがそれぞれの立場を慮るということが何よりも大切だということを忘れてはならないのである。

そもそも面会を制限している今だからこそ、居住系施設の責任で利用者の外出機会は確保してほしい。

面会制限と外出制限はセットではないのだ。面会を制限する分、安全な外出支援に力を入れるべきである。

東京都の小池知事は3/27の定例記者会見で、「来年も桜はきっと咲きます。お花見はまた来年も咲きますので、楽しみにとっておいて、ここはみんなで難局を乗り越えることでご協力をいただきたい。」と語ったが、介護施設の高齢者の事情は異なる。

特養だと1年間で最低1割、多い年で3割程度の人が死亡しているのだ。今年の桜がこの世で最期に見ることができる桜なのかもしれないのだ。そういう人たちから、今年の桜を見る機会を奪ってはならない。弁当を持参してお花見を行うのは適切ではないが、桜を見る機会を創ること自体は行ってよいことだと思う。

面会制限をしているならなおさら、気分転換が必要だ。桜の周りで飲み食いするお花見は自粛するのは当然だが、例えばドライブがてらに車内から桜を眺めても感染リスクが高まることはないだろう。面会制限をしている施設であっても、利用者を少人数のグループに分けて、桜がみられる時期と場所を選んで、ドライブがてらに車内からでも桜を愛でる機会を創ろうと努力するのが、今この時期だからこそ求められることではないのだろうか。

知恵と愛のない感染予防対策ほど、人の権利を侵害するものはないことを自覚して、利用者の方々の健康と暮らしを同時に護る介護サービスを実現することを願ってやまない。
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施設を強制収容所に化す工夫のない面会制限


北海道の中でも新型コロナウイルス感染者がゼロだった胆振中部・西部地域で昨日、感染者が1名出た。患者はハワイから帰国したばかりの20代女性で、室蘭市内の医療機関の受付事務をしていたとのこと。

室蘭市長が発症者が出たことを報告する記者会見では、「公共性がある機関であり、医院名を公表すべきではないか」という記者からの質問が相次いだが、「医療機関のご意向」として、市長はこれを拒否した。

しかし市民の間では当該医療機関名は既に、「情報」として広がっており、室蘭市内の小児科医療機関であることが特定されている。それにしても当該医療機関が医院名を公表しないという態度は全く納得できない。市民に対していたずらに不安与える無責任な態度であると批判されて当然だろう。秘密にするという危機管理はあり得ないことを自覚しているのか疑問である。おそらく数日中に、ネット上では当該医療機関名が広く流布されると思えるが、その時この医療機関が、どう対応するのかが注目されるところである。市民に対して真摯に説明しなかったつけは、どこかで必ず支払わねばならないだろう。

このような状況だから、登別・室蘭地域の介護事業者も一層の警戒が必要だ。

特に介護施設やサ高住・GH等の居住系施設住む高齢者は、新型コロナウイルスに感染すると重篤化するリスクが高いだけではなく、場合によってそれは死に直結しかねないのだから、そうしないために面会制限をするのは、この時期であれば至極当然のことである。

しかし制限だけして終わりではあまりに無責任である。本来介護施設をクローズして、家族と会わせない権利は誰にもないはずであり、例外的に医学的見地から一時的な制限が認められているに過ぎない。

感染予防は施設を社会から隔離した密室と化すために行うものではなく、感染を予防して安全な環境を保つために行うものであるのだということを忘れないでほしい。居住系施設を外部の家族とのコミュニケーションさえ取れない場所にしてしまえば、それは冷たいブラックボックスでしかなくなる。

特に特養は介護施設であると同時に、利用者のとっては暮らしの場であることを標榜しているのだから、制限と配慮はセットで考えられねばならない。

今の時代はICT技術で、対面しなくてもコミュニケーションをとる方法はいくらでもあるのだから、そうした工夫をしないで面会制限だけを行うのは、いかにも知恵と配慮のない施設運営だというべきだろう。

例えばネット環境さえあれば、Google等でビデオ会議・チャットサービスの無料アプリが提供されているので、簡単に画面を通じて相手と対面しながらコミュニケーションが取れるのである。そうした技術はすでに特殊技術ではなく、スマホやタブレットを日ごろから使い慣れている人にとっては一般的なアプリ利用に過ぎない。誰でも使える方法なのである。そうしたアプリを活用しないで、面会制限だけをダラダラと続けている施設は、強制収容所と同じである。

施設の利用者の姿かたちが見えない状態で、情報だけ送っても家族にとっては不安が大きい。それは幻の音信にしか過ぎず、真実とは異なるものだ。面会を制限している密室で自分の親がどのように暮らしているかを見て、本当の姿を確認したいと思う家族は多いだろうし、その気持ちはあって当然である。そうした思いにも寄り添うのが対人援助として求められるサービスの品質である。

各サービスステーションに、PCもしくはタブレットやスマートホンを置いておくだけで、それを通じて自宅にいる家族と簡単にコミュニケーションをとれるのだから、面会制限中は施設側から積極的に家族の持っている末端と施設をつないで、画面を通じて姿が見える形のコミュニケーションをとれるようにすべきだ。

しかしこうした方法を、わざわざ施設に訪ねてとらせるのもどうかしている。

チャットサービスは、距離が離れていても可能なのに、施設の受付に末端を置いて、そこに訪ねてきた家族が、館内に入らない状態で、施設内の利用者とコミュニケーションを取らせているような馬鹿げた使い方をしている施設がある。デジタル機器をアナログ化しているような使い方だ。

勿論、たまたま面会制限を知らずに訪ねてきた家族にそういう方法を取ることはあってよいだろうし、ITやICT利用が苦手である人にサービスとして、施設の玄関口でそういう対応をしていただくことはありだろう。しかしそれで終わってどうするのかと言いたい。

それはごく限られた人に対するサービスにすべきで、それを広げて利用者家族が自宅から施設利用者とコミュニケーションを取れるように支援するのが本当の意味での行き届いたサービスではないのか。なぜなら施設利用者の家族の大半が、スマホもしくはPCを使いこなしているからである。

施設利用している人自身は、それらの機器を使い慣れておらず、画面の前で緊張するかもしれない。そんな方には、僕の顧問先である、「ワーコン」が見守りシステムでも活躍している、「在宅医療用対話ロボットanco:アンコ」を利用してはいかがだろう。
在宅医療用対話ロボット「anco」
コミュニケーションロボットanco
見守り看護師に緊急通報もできるアンコを通じてのコミュニケーションなら、愛らしいスタイルに緊張も覚えることなく、自然に家族との会話が可能になるかもしれない。

各サービスステーションに備品としてアンコを1台置いておくだけで、複数の家族とつなげてコミュニケーションが可能になるというものだ。

なお面会制限に関して注意してほしいことは、制限を行う場合は、必ず医師の指示もしくは意見をきちんと記録にとって、面会制限を行う理由や時期などを明らかにしておくべきだ。

これを行っていない場合、制限に不満を持つ家族とトラブルから訴訟になった場合、施設側は根拠のない権利侵害もしくは逮捕・監禁罪の疑いを問われて損害賠償を命じられるリスクがある。それを防ぐために、医師の判断を明確に記録しておく必要がある。

特に問題なのは、老健施設等では看護師の指示命令において面会制限を行っているケースがあるが、看護職員にはそのような指示・命令ができるという報的根拠はないので、それは大問題であるし、やってはいけないことだということを肝に銘じてほしい。
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短期入所生活介護の診療に対する誤解をなくそう


特養の利用者等に対する診療報酬の扱いを定めた医政局通知、「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」は、基本的に医療機関に向けられた通知である。

よって特養関係者で、この通知の確認を怠っている人がいるが、これは特養の関係者にとっても、「施設サービス」・「短期入所生活介護」両面で重要な対応につながる規定(ルール)が含まれている通知なので、常に最新版の確認が必要だ。

例えば2016年には、特養の所属医師の診療行為の際に長年ネックとなっていた、『特別養護老人ホーム等の職員(看護師、理学療法士等)が行った医療行為については、診療報酬を算定できない。』という規定が改正され、施設医師が勤務していない日でも、施設医師の指示を受けた特養の看護職員が行う看護処置については、診療報酬の算定が可能になったことは、特養にとっても大きなメリットとなって今日に至っている。(参照:この通知改正は、特養関係者が待ち望んだものだ

それ以降にも改正は行われており、かつてこの通知では、「保険医が、配置医師でない場合については〜(中略)入所している患者に対し、みだりに診療してはならない」という規定があったが、2018年度の改正では、「みだりに診療してはならない」という文言は削除されており、配置医師以外が入所している患者を診療してよい条件が書かれているだけの文章に置き換えられている。修正された文章は以下の通りである。
-----------------------------------------------------
3 配置医師以外の保険医が、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、指定短期入所生活介護事業所、指定介護予防短期入所生活介護事業所、指定障害者支援施設(生活介護を行う施設に限る。)、療養介護事業所、救護施設、乳児院又は児童心理治療施設(以下「特別養護老人ホーム等」という。)を診療する場合については、次の(1)又は(2)の取扱いとすること。
(1)患者の傷病が配置医師の専門外にわたるものであり、入所者又はその家族等の求め等を踏まえ、入所者の状態に応じた医学的判断による配置医師の求めがある場合に限り、医科点数表第1章第1部の初・再診料、医科点数表区分番号C000の往診料、医科点数表第2章第3部の検査、医科点数表第2章第9部の処置等に係る診療報酬を算定できる。
(2)(1)にかかわらず、入所者又はその家族等の求めや入所者の状態に応じた医学的判断による配置医師の求めが明らかではない場合であっても、緊急の場合であって、特別養護老人ホーム等の管理者の求めに応じて行った診療については、医科点数表第1章第1部の初・再診料、医科点数表区分番号C000の往診料、医科点数表第2章第3部の検査、医科点数表第2章第9部の処置等に係る診療報酬を同様に算定できる。
------------------------------------------------------
みだりに〜」規定があった当時と、配置医師以外の保険医が入所患者に診療を行って診療報酬を算定できる行為自体に変わりはないとに思えるが、表現がソフトになっているため、「配置医師の専門外」・「配置医師の求め」・「緊急の場合」の判断基準がずいぶん広く解釈できるような感があることも事実だ。

だが言葉のソフトさに惑わされて、法令規定を拡大解釈してはならない。

例えば特養関係者の中には、併設ショートスティについて、利用者には別に、「かかりつけ医」がいることが多いのだから、ショート期間中に診療が必要になった場合も、当該利用者の、「かかりつけ医」の診療を求めるべきだと考えている人がいる。ショート利用者の通院支援は行わなくてよいという考え方もここから生まれている。

しかしそれは間違った考え方である。短期入所生活介護の基準省令では、「第百二十一条 一 医師 一人以上」として医師配置義務が規定されている。

つまり短期入所利用者の健康管理について、第一義的に責任を負うべきは、短期入所生活介護事業者であり、配置医師による診療が求められているのである。場合によっては、ショート事業所の職員が、配置医師の所属する医療機関へ受診するショート利用者に同行支援する必要はあるのだ。

そもそも、「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」の改正版でも、短期入所生活介護利用者が、その事業所の医師以外の診療を受けて診療報酬を算定できるのは、「患者の傷病が配置医師の専門外にわたるものであり、入所者又はその家族等の求め等を踏まえ、入所者の状態に応じた医学的判断による配置医師の求めがある場合に限り」認められているほかは、特例として「医学的判断による配置医師の求めが明らかではない場合であっても、緊急の場合であって、特別養護老人ホーム等の管理者の求めに応じて行った診療について」が認められているに過ぎない。

これ以外は、短期入所生活介護事業者の配置医師が診療して、当該医師の所属する医療機関が診療報酬を算定せねばならないのである。

持病を持っている利用者が、日常的に服薬している薬は、ショート期間中に足りなくならないように事前に処方してもらって持参してもらうべきだが、ショート利用中に処方薬が切れた場合の原則も、普段受診している医療機関を受診して処方してもらうのではなく、「かかりつけ医」から診療情報提供を受けて、ショート配置医師が診察・処方するのが法令に則った方法である。

例外的にショート事業所以外の医師による診療を受ける際に、受診対応を家族にお願いする場合は、ショートステイの契約時にそのことを十分説明して、ご家族にお願いしておかねばなりらない。ショートステイだから必然的に、診療が必要になった際の外部受診の支援は、家族対応が当たり前ということではないからである。ここを勘違いしてはならない。

むしろ法令規定を読む限り、ショート期間中に病状変化等があり、ショート配置医師の専門外の病状のために外部医療機関を受診する場合も、施設入所者との対応と同様に、一義的にはショート事業者に受診支援義務があるとさえ解釈できるのである。

だからこそ、家族の受診対応支援は慎重かつ丁寧にお願いしないとトラブルになりかねないのである。

例えばショート利用中に、突然に熱発する方については、利用中止が当たり前で、その時点で家族が医療機関に受診させるべきだと考えているとしたら、それも違うということが上記までの説明で理解できると思う。

しかしショート利用者がもともと菌やウイルスを持っていて、それがもとで発熱したならともかく、そうではないケースも多々あるし、施設内感染が疑われるケースも多い。そもそもどちらか判断できないケースの方が多いわけである。

その時に短期入所生活介護事業所の職員が、「ショートステイ」だから外部受診を家族が行うことが当然だという上から目線で対応すると、「そっちが感染させたんだろう」という話になって、損害賠償という話にもなりかねない。

くれぐれもそうした大きな問題に発展しないように、真摯に丁寧な対応が求められるのである。

その点、老健の短期入所療養介護はマルメ報酬で、短期入所利用中に外来診療してしまえば、その分が老健の負担になるので、そういうことがないようにしている施設がほとんどで、短期入所生活介護のような誤解は生じていないことは幸いなことだろう。

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施設サービスの一部もアウトソーシングできる時代


10日(月)に福岡入りして、今日まで福岡に滞在していたが、明日小樽市で講演を予定しているために今日は一旦北海道に戻る。そのために今、福岡空港で搭乗待ちをしているところだ。

今回の福岡での仕事は顧問先での仕事だった。博多駅筑紫口を出てほど近いビルの3階にある株式会社ワーコンという会社は、見守り看護師(ウオッチ・コンシェルジェ)が、遠隔から在宅高齢者等の生体情報などを24時間確認し、必要な連絡を提携機関に送るという仕事をしている会社だ。

その延長線上には当然のことながら、在宅の看取り介護支援がある。

在宅で看取り介護を希望する人の中には、「一人暮らし」の方も含まれており、住み慣れた自宅で最期の時を過ごしたいと考えていても、家族がいないか、ずっとそこに居れないなどの理由で、死ぬためだけに居所を移さなければならないような人がいたりする。そうした人の人生の最終ステージを自宅で支えるために、見守り看護師と看取り介護対象者の近くの医療機関や訪問看護ステーションなどが連携し、必要な時間帯に利用者宅を訪問してもらいながら、最期の瞬間を看取ることが出来るように支援している。

生体情報により、旅立ちの日や時間が予想できることで、看取る家族がずっとそこに居続ける必要もなくなる。そのために様々な情報通信機器を利用して、テクノロジーを人につなげるのが、その会社の仕事でもあるといえる。

だからこそ、「見守り」が単なる、「監視」にならないように最大限の配慮を行い、看取り介護対象者が最期の瞬間まで、尊厳やプライバシーを損なわれることなく、安心と安楽のうちに旅立っていけるようにしなければならない。

僕が顧問として行う仕事とは、その部分のアドバイスや方法論の構築に重点を置いたものである。同時にこうした社会資源があることを、福岡市の関係者に知っていただき、社会資源の一つとしてうまく利用いただいて、看取り介護の質の向上を図るという目的と意味がある。

こうしたシステムに興味がある方は、その内容をわかりやすく説明させていただくので、是非気軽にワーコンか僕に連絡いただきたい。いつでも会社見学に来ていただいて、設備等も見ていただくことが可能だ。
生体情報の受信は24時間
見守り看護師は、このように24時間365日、遠隔で随時更新される様々な情報を読み取っている。向こう正面の壁一面がモニターとなっており、この一面だけで200件の生体情報を映し出すことが出来る。
見守りセンサー
センサーはベッドや部屋の様々な場所に取り付けることが出来、見守り対象者に装着する必要がない、非接触型のセンサーだから、まったく体に負担をかけなくて済む。しかもこれは福祉用具貸与の対象にもなっている。
生体情報モニター画面
生体情報画面の一部である。独自の活力指数で、看取り介護の時期なども予測することが可能である。
AI搭載ロボット アンコ
アンコという見守りロボットは、遠隔診療やバイタル測定が可能になるだけではなく、家族等とのテレビ電話にも利用でき、その人に合わせたコミュニケーションツールとして活用の幅が広がっている。

こんなふうに在宅医療・在宅介護・在宅看取り介護の可能性は以前よりずっと広がっており、その方法論も多様化しているわけだ。そしてこうした見守り通信技術は、居住系サービスでも取り入れられつつあり、サ高住・有料老人ホーム等では、最初からこうした見守りセンサー等を設置した部屋を用意して、見守りシステムと込みで、お部屋の利用ができるようにしているところが出始めている。

そうであれば人材不足で、従業員の介護労働の省力化が求められている介護施設でも、こうしたテクノロジーを活用することが求められてくると思う。

こういったセンサーを利用し、見守りの業務をアウトソーシングすることで、施設の業務負担は大幅に軽減できる。

そうすれば施設職員は、夜間にすべてのフロアを巡回する必要はなくなる。見守ってくれるのは外部の看護師だから、対応の必要背がある場合は連絡してくれるだけではなく、夜間に看護職員がいない特養などの場合は、看護の専門家の視点から必要なアドバイスもしてもらえることになり、医療・看護職が配置されていない時間の勤務に不安を抱えている職員の心の支えになることもできる。

ここが警備会社の単なる見守りシステムとの違いである。そのことが他施設との差別化となり、職員募集に応募も増えるというものだ。

看取り介護の方の部屋にそうした設備を導入すれば、看取り介護と称した、「施設内孤独死」も防ぐことが出来る。生体情報を見守る看護師から、最期の瞬間が訪れるという情報が送られてくるので、その情報に基づいて対応すればよい。生体情報は24時間前くらいから変化が見とれるので、家族も最期の瞬間に間に合わずに悔いを残す可能性も限りなく低くなる。

ところでここで問題になるのは、特養の運営規定の中で次のような文章があり、施設職員以外の施設サービスへの介入は制限されていることだ。その規定は以下のようなものである。
第二十四条2.指定介護老人福祉施設は、当該指定介護老人福祉施設の従業者によって指定介護福祉施設サービスを提供しなければならない。ただし、入所者の処遇に直接影響を及ぼさない業務については、この限りでない。

しかしこの規定は、見守りをアウトソーシングすることまでは禁じていない。それは、「入所者の処遇に直接影響を及ぼさない業務」と解釈できる。よって見守りの結果、その報告を受けて対応するのが施設従業員であれば全く問題ないわけである。

ワーコンの場合、この24時間見守りシステムを1月29.800円(一人)という安価で対応し、求められる情報を常に送っている。初期費用は掛からず、センサーとコミュニテーションロボットは、それぞれ5千円(月)でレンタルできる。しかしそれらの機器は買い取っても3年もかからずペイできるので、大きな施設なら備品として買い取ったほうがお得かもしれない。なおセンサーは、在宅者の方なら福祉用具貸与対象となっているので、短い期間の利用なら、そちらを利用するほうがお得である。

ということで、施設関係者の方も是非一度、『株式会社ワーコン』に訪問していただき、システムの説明を受けていただきたい。僕は次に21日(金)に再々来福して、26日(水)まで顧問業務を行っている予定なので、その間ならば僕も一緒に説明の場に同席できる。

なおその間なら、福岡市内でいつの時間でも職場内研修等の講師もお受けできる。看取り介護・サービスマナー・介護実務・制度改正・報酬改定等に関連した講義をお望みの方も、是非気軽に連絡いただきたい。

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暮らしの場という看板を汚す館内放送


今日僕は福岡に向かうために、今新千歳空港で搭乗待ちをしながらこの記事を更新している。今日は初めてLCCに乗るので少し緊張気味だ・・・。

今日からしばらく福岡に滞在して、博多を中心に在宅一人暮らしの方の、「看取り介護」対応などを支援する「株式会社ワーコン」の顧問としての仕事に携わる予定だ。

ウォッチコンシェルジュ」の方々との関わりの中で新しい支援法の可能性を見極めたいと思う。ただしこの間に北海道でも仕事があるため、福岡と北海道を行ったり来たりすることになる。福岡から新千歳空港に飛んで、そこから函館や小樽への移動を行う日が出てきたりする。
※リンクを貼りつけた記事の中で、福岡での講演会を当初16日(木)と書いていましたが、13日(木)の誤りでしたので、訂正いたしました。

その時に僕がJRを利用する際に乗る路線は、北海道の大動脈ともいえる、「函館本線」である。

この路線は利用者客も多く、外国からの観光客も数多く乗っている。そのため特急が止まる駅や、乗り換え情報を伝える社会アナウンスも、日本語だけではなく英語と中国語の3カ国語で行っている。

この車内放送は、僕にとっては騒音以外の何ものでもない。一つの駅に停まるたびに、そのかなり前の場所から3つの言語での放送が流れ続けているわけで、読書にも支障を来すので、この移動時間が快適な旅とは言えなくなる一番の要素になっている。

しかしそれは観光客にとっては無くてはならないものだろうし、僕にとってもわずかな距離と時間の中だけの我慢なので、被害を受けているというほどの問題ではない。多少の我慢を強いられるという程度のことである。

しかしこうしたアナウンスが、日常生活の場所と場面で頻回に行われるとしたら、それはかなりのストレスになるだろうと思う。あるいはそれは、「生活障害」そのものと言えるかもしれない。

僕たちはそんな生活障害を、自らの鈍感さの中で無意識のうちに生み出してしまっていることがないだろうか。

例えば特養は利用者にとっての暮らしの場であると言いながら、そこで暮らす人々の生活環境を無視して、従業員の業務優先の環境とされてしまっているところがある。業務優先の暮らし無視の具体例はいろいろ考えられるが、生活の場であるはずの特養で、頻繁に行われている館内放送もその一つである。従業員の業務のことしか考えられていない特養では、業務連絡のための館内放送という騒音が当たり前のように繰り返されているのである。

私たちの暮らしの中で、突然天井から声が降ってくることはない。しかし特養では、テレビをみたり、食事をしたり、眠っている最中でさえ、天井から突然声が聴こえてくる。天の声でもあるまいし、それは単なる騒音でしかない。

それは本当に特養の運営上、必要不可欠なことなんだろうか。勿論、非常時の避難誘導等の放送は必要不可欠だろう。だからと言ってそれ以外の館内放送が絶対に必要だとは思えない。

そもそもデスクにいない職員を、放送で呼び出してまで伝えなければならない重要事項が、毎日頻回にあるなんて考えられない。これだけICTが発達した世の中で、職員の呼び出しや業務連絡が、なぜ放送という利用者にとっての騒音によって行われなければならないのか。広い職場の中で、いつも入り場所が決まっているわけではない職員で、日常的に連絡を取る体制を作るのなら、PHSやスマートホンを利用すればよいだけの話だ。

ペースメーカーなどの医療器具の不良につながる電波を出さないICT機器など、すでに当たり前に存在しているんだから、それを使えばよいだけの話である。

利用者に対するアナウンスだって館内放送はそぐわない。耳の遠い人だけではなく、高齢者にとって放送は聞き取りにくい情報ツールの最たるものだ。ワ〜ンワ〜ンと音がうるさく響くだけで、内容が聞き取れないという高齢者の方は実に多い。そんな伝わりにくい館内放送に、大事な情報伝達を頼らずに、直接職員から伝えればよい。その方が職員と利用者の関係性も深まり、お客様である利用者に、職員としての信頼を得られるというものだ。

まだ館内放送を無神経に使っている介護施設は、そのデメリットに早く気づいて、非常時の避難誘導以外の館内放送を一切やめるという配慮をすべきだ。

そもそも館内放送に使っている整備自体が、非常用の放送設備であるということに気が付くべきである。

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施設ケアマネジャーの実務の在り方


介護支援専門員を対象としたセミナーは数あれど、介護保険施設の介護支援専門員を対象にした、「施設ケアマネジメント」に特化したセミナーは意外と少ない。

仮にそうしたセミナーが開催されたとしても、受講者が期待する内容とは全く異なり、施設ケアマネジメントの実務に応用できない、「あっち向いてホイ」的な内容であることもしばしばである。そうであっては施設の介護支援専門員の皆さんはあまりにも可哀想だ。

施設内のケアマネの数は多くて二人程度であり、一人ケアマネジャーも多い。そうなると施設内でスーパービジョンを受ける機会がないどころか、OJTもされないままで現場に放り出されて手探りでケアマネ実務に携わっている人も多い。そういう人たちは、施設のケアマネジメント実務を指導してくれる人もおらず、日々このやり方でよいのかという悩みを抱えながら、その疑問を解決する手段を持たずに業務にあたっている。

そんな施設ケアマネも多いはずである。それらの人たちの羅針盤となる、「施設ケアマネジメントセミナー」を多くの施設ケアマネジャーが求めているのに、適切な指導者が見つからないという理由で開催できない地域も多いと聞く。

その点、僕は自分が施設ケアマネとして実践してきたこと、施設長として施設ケアマネに求めてきたことを話すことができる。介護保険法をはじめとした制度や関連法令を解説するセミナーも行っているので、ケアマネジメント実務に関連する法令根拠なども示すことができる。そんなわけで施設ケアマネジャーを対象にした、「施設ケアマネジメントセミナー」を全国の様々な場所で実施してきた実績がある。

来る1月24日(金)10:00〜15:00に愛媛県総合社会福祉会館2階「多目的ホール」 (愛媛県松山市)で行われる、愛媛県老施協主催のセミナーも、対象は施設の介護支援専門員である。

当日は、「施設ケアマネの役割り〜PDCAサイクルを意識した施設ケアマネジメント」をテーマに、午前と午後にそれぞれ2時間、合計4時間の講演を行なうことになっている。その講演スライドを昨日までに作成し終え、今日最終校正を行って、さきほど講演事務局に送ったところだ。

当日のセミナーでは、最初にタイムリーな話題として、2020年度控えている介護保険制度改正の動向を示したうえで、そのことが2021年度の介護報酬改定と、2023年度の次期介護保険制度改正にどのようにつながっていくのかを解説する。

そのうえで施設ケアマネジャーとはどのような存在で、施設ケアマネンジメントの展開過程はどのように考えればよいのかを明らかにする。生活相談員と施設ケアマネの関係性、他職種との連携の在り方もしっかり示す予定だ。

そして施設サービス計画の作成の要点を、法令根拠に沿ってお知らせする。そこでは僕が過去に作成した施設サービス計画から、様々なケースを取り上げて、具体的なプラン内容を例示する予定としている。第1表の総合的援助方針も、新規入所・認知症高齢者・重度の身体障害者・看取り介護対象者に分けて明示したうえで、そこに書くべき要点整理を行う。

さらに今後より強く求められる施設ケアマネジャーとしての役割という観点から、何をすべきかという具体例を示すことにしている。

一番に強調したいことは、施設ケアマネジメントの本質は、様々に存在する施設のサービス資源を利用者に有機的に結びつける手法であるということである。

利用者のニーズを考えると、当然備わっていなければならない施設の機能があるはずなのに、それがない場合もある。そうであれば施設介護支援専門員は、ケアプランというツールを使ってトータルにケアサービスの品質を管理する役割を持つのであるのだから、施設サービス計画を作って終わりではなく、現場でプランを実践状況のチェックを行い、必要なサービスがない場合は、それを創り出す役割をもたねばならない。サービスの品質管理の役割だ。

そうであれば利用者ニーズに即した必要なサービスの方法論が存在していないならば、それ実現するために様々なシステムを変更できる「職務権限」が施設ケアマネに与えられていなければならないということだ。そうでなければサービスの品質向上はないし、施設サービス計画書は単なるお飾りで実効性のないものになる。

施設サービス計画書が、そんなふうに貶められるとしたら、時間と労力をかけて作るケアプランが単なる行政指導の為の紙切れに過ぎなくなる。そうなればケアマネジメントという労力は多大な無駄でしかなくなる。

使われないケアプランは事業損失だという観点からも、施設ケアマネジメントを見直してもらいたい。

どちらにしても他では聞くことができない、「本物の施設ケアマネジメント実践論」を伝えてきたい。愛媛県老施協の会員施設の介護支援専門員の皆さん、当日は会場でお愛しましょう。愉しみにしておいてください。
無題

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介護施設で年を越す人たちの暮らし


介護施設に入所している方々が、施設に籍を置いたまま一時的に自宅に帰省することがある。

そのことを多くの施設で、「自宅への外泊」と表現している。現在の居所はあくまで施設であるから、元の自宅は現在の居所ではなく外泊先とされているのだろうが、本来それは帰宅だろう。

そんな帰宅先のない人も多い。かつて暮らしていた自宅がなくなってしまっている人、自宅はあっても他に家族がそこに住んでおらず身の回りの世話をしてくれる人がいない人、家族が住む自宅があっても何らかの理由でそこに帰れない人・・・。様々な事情で今日、大晦日にも帰宅できない要介護高齢者の方が特養やGH、特定施設で新たな年を迎えようとしている。

勿論、この時期を自宅で迎えるために施設に届け出を出して、帰省する人はいる。しかし北海道の場合、この時期の道の悪るさを理由に外出を避ける傾向にあったり、自宅より施設の方が温かいという理由でお盆ほど自宅に帰る人は多くない。さらに昨今の高齢化と重度化によって、自宅での介護は短期間でも難しいとして特養から自宅に帰宅する人は年々減る傾向にある。

加えて特養のショートステイは、この時期に利用が増える傾向にある。一人暮らしの要介護高齢者が、普段訪問介護利用で暮らしが支えられているが、正月のこの時期に、登録ヘルパーの勤務時間が減ったり、正社員のヘルパーが有休をとるなどしてサービス提供ができないという理由で、この時期だけ特養のショートを利用して過ごさねばならない人がいるからだ。

これも人材不足・人員不足のひずみが要介護高齢者の暮らしに、ひずみを生じさせている一面ともいえるが、そんな理由のショート利用はおかしいと正論を唱えても、そのことで不利益を生ずるのは、サービスを何も利用できずに、不便で孤独な時間を過ごさねばならない要介護高齢者の方々である。だからこそ特養側としては、それらの人たちもきちんと受け入れて、できるだけ年末・年始という特別な時間を、豊かに過ごしていただかねばならない。

年末・年始は日本人にとっては特別な日であるから、年越しそばやおせち料理も味わってもらいながら、正月気分に浸っていただきたい。

特養では最近、お酒を呑む人が減っているが、この時期にはお神酒を振舞うことも当然あってよいだろう。のどつまりの危険があるから餅を出さない介護施設もあるが、お雑煮を食べていただく工夫を放棄してどうするんだと言いたい。

介護施設であるからこそ、日常と変わらずケアを受けながら、年を越してお正月気分を味わうこともできるという安心感を与えられることを信じて、この時期に休みなく働く皆さんには、それを支える自分と、自分の職業に誇りを持ってもらいたい。

だからと言って、年末年始を介護施設で過ごさねばならない人たちに向かって、介護施設が自宅以上に良い場所であると喧伝する必要はない。専門家の介護が、家族の介護よりも優れているとアピールする必要もなく、ただただ真摯に、目の前に居られる利用者が幸福感を持って暮らすことができる日常を追求するだけで良いと思う。

対人援助の専門家は、利用者の住み慣れた自宅や家族と勝負してはならないのである。私たちが勝ち負けを争うべきは昨日までの自分のみである。

介護という職業についている人は、他人との争いごとの結果として、何かを手に入れる必要はないのだ。他人に勝って得るものがあっても、負ける人がいること自体、介護の職業の目的に反するのだということを忘れてはならない。

世の中の幸せの量に定量規制があるわけではないのだから、介護という職業に携わっている人は、すべての人々の幸福を願うことが大事だということを忘れてはならない。

私たちが目の前の一人一人のお客様が笑顔になれる豊かな暮らしを実現しようという取り組みの先には、世界中の人の幸せがあるのだと信じてほしい。

Think Globally Act Locally(スインクグローバリー・アクトローカリー)の精神は、介護の精神そのものである。

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食事介助で大切なこと


食事を摂るという行為は、人間にとって最も大切な行為と言っても良い。

それは人間の命をつなぐために、必要な栄養を摂るという意味で重要となってくるが、だからと言って人は毎日、命をつなぐために栄養を摂らねばならないと考えながら、いやいや食事を摂っているわけではない。

食べることは人にとって一番の愉しみである。毎日3食おいしいく食事を摂ることは人にとって最大の喜びでもあるわけだ。健康のため、命をつなぐためだけの目的をもって、人は毎日食事を繰り返しているわけではないのである。

だからこそ介護サービスに携わる人には、「食事は栄養以前に、人の最大の愉しみである」という至極当たり前の感覚を忘れないようにしてほしい。栄養状態を良好にして健康を保つということは重要であるけれども、食の愉しみを忘れてしまえば、食事という行為自体が苦行になりかねないのである。

自力で食事を摂れない方に対する食事摂取の支援という行為は、おいしく食事を摂れて、食事の喜びを感じていただけることを第一に考えなければならない。そのことを介護に携わるすべての人に理解していただきたい。

食事を摂るという行為が、単に栄養のためだけならば、食卓に出されたものを機械的に口に入れて、一定時間内にそれをすべて摂取させるだけで良いだろう。しかしそれでは食事の愉しみも喜びもなくなってしまう。

栄養のために食事を摂取させるだけなら、おかゆに刻んだ副食をごちゃまぜにして、機械的にそれを飲み込ませるだけで良いのかもしれない。しかしそのような行為は、人の最大の愉しみである、「食事を味わう」という行為を奪うことになってしまうし、食事を餌に貶める行為ともいえる。

いかに食事をおいしく食べていただけるかが、食事摂取介助を行う際にも重要な視点となるのだ。食べてもらおうとしている物に対して食欲がわく、「見た目」も大切である。ましてやお茶碗の中身がなんだかわからないような、主食と副食のごちゃまぜなどあってはならないし、口にするために介助者から差し出されたスプーンの上に乗せられたものが、自分の口に入れてほしくないと思えるどろどろのなんだかわからないものであってはならないのだ。

食事として毎日食べるものの見た目、臭い、環境にも注意を払う必要があるのだ。そのうえで食べやすさとは何ぞやという視点が加えられなければならない。

特に食事の姿勢には注意が必要だ。食事は単に口に入れるだけでは適切に呑み込めない。食物をごく自然に飲み下すためには、前傾姿勢となることができる食事姿勢が不可欠なのだ。車椅子という座位に適さない移動ツールに乗せたまま、フットレストから足を下ろさずに、膝より前に足の位置を置き、前傾姿勢の取りずらい座位で食事を摂取することの危険性に気が付いてほしい。

あまり知られていないことだが、介護施設で食事介助中に亡くなった人がいない年は、この10年間で1年もないのである。つまり毎年食事介助中に窒息死している人がどこかにいるということだ。

勿論食事中に窒息する人とは、食事摂取介助を受けている人より、自力摂取している人の方が多い。しかも窒息の原因となる食材として一番に挙げられるのは米飯であり、常食の人がご飯をのどに詰まらせて死に至っている例が多いのだ。それは食事姿勢が起因している問題ともいえるわけである。

さらに食事介助が必要な人が窒息死する原因は、不適切な食事介助方法であることの理解も必要だ。介助を受ける人が上を向いて食物を口に受け、そのままの姿勢で飲み下そうとすれば誤嚥が起こるのは当たり前である。そうしないために大事なことは、食事介助を行う人は座って利用者と目線を合わせて介助しなければならないということなのだ。立ったまま食事介助を行い、ましてやその介助が複数の利用者に同時に行われるような、危険で食の愉しみを奪う食事介助であってはならないわけである。

介護職員向けに僕が行う介護実務講演では、必ず正しい食事介助方法について具体的に説明している。このブログの読書の皆さんは、食事介助の正しい方法や窒息に至る原因について、職員に正しく教育しているだろうか?そもそも、「刻み食」は嚥下食とは言えないという理解を職員に促しているだろうか?

食事をおいしく食べていただく前提は、安全で適切な食事摂取介助の方法論がきちんと浸透していることである。これらのことも基本知識・基本技術としてきちんと伝えていく必要がある。

そういう介護技術を含めて、介護に携わる専門職としての使命と責任、介護という職業の誇りについて伝えたいと思う方は、ぜひ一度連絡していただきたい。全国どこでも駆けつけていくので、お気軽に相談いただきたい。

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老健の在宅復帰機能が問われていることを理解してほしい


老健の今後の役割を考える上では、老健の創設に至る経緯や、根拠法が老人保健法から介護保険法に変更されたことにより役割混乱が生じた歴史を振り返って考えなければ理解できない点がある。

そのことについては、「老健の今後は、その歴史から考えたほうがわかりやすい」という記事の中で解説している。

そこでも指摘しているが、老健施設の報酬改定を振り返ると、繰り返し在宅復帰機能の問い直しが行われてきた歴史が見て取れる。リンクを貼った記事に書いた、「中村秀一ショック」もその一つであるが、その後も役割混乱はところどころに見られてきた。

2012年3月までに介護療養型医療施設が廃止されることになり(実際には廃止は2018年3月まで延長された)、その転換先として2008年5月に、「療養型老健(新型老健)」が誕生したことで、再び老健の役割混乱が生じた。そして中間施設である老健にも、「ターミナルケア加算」が新設されたことによって、在宅復帰施設としての老健の性格がさらにわかりづらくなった。

そのため2012年4月の報酬改定では、在宅復帰支援型の介護老人保健施設を強化する観点から、在宅復帰の状況及びベッドの回転率を指標とした報酬体系の見直し等を行い、その報酬単価を高く設定した。

しかし2012年4月から2015年3月までの間の在宅強化型老健の収益は、一般型老健の収益を下回るという逆転現象がみられた。

なぜ介護報酬の高い強化型老健が、報酬の低い一般型老健の収益を下回ったかと言うと、その理由はベッド回転率と在宅復帰率を上げようとするあまり、ベッド稼働率が減るのに加えて、在宅復帰のための支援をする人材(セラピスト等)の人件費が高くなるという現象がみられたからであることが分かった。

そのため 2015年4月〜の報酬改定では、在宅強化型老健の更なる評価を行い、報酬単価をさらに引き上げた。

それ以降、在宅強化型老健の収益率は改善し、一般型老健を下回るということはなくなったのであるが、そこで起きたこととは、一般型老健から在宅強化型への転換を図る老健が増え、その過程で在宅復帰のためのリハビリテーションの効果を上げることなく、入所契約時にあらかじめ入所期間を、「3月」などと区切り、その期間が近づくと利用者に対して強制的に退所を迫る老健が増えたのである。

つまりリハビリ効果による身体状況の改善という結果に関係なく、一定期間で老健を強制退所させて、在宅復帰率とベッド回転率を上げようとする老健が増えてしまったのである。

これでは老健が本当の意味で在宅復帰機能を果たしているとはいえず、その改善をもくろんで2018年4月〜の報酬改定は、老健の報酬体系の抜本見直しが行われたわけである。

具体的には報酬改定に先立つ2017年に、介護保険法第8条第28項が、「介護老人保健施設とは、要介護者であって、主としてその心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である者に対し、 施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設。」と改正され、老健の機能は居宅における生活を営むことを目的にリハビリテーション等を提供する施設であることを明確にした。

そのうえで2018年4月〜の報酬改定では、療養型と療養強化型の評価を療養型に一元化したうえで、それ以外の老健については、在宅復帰・在宅療養支援等指標のポイントによって、在宅強化型・基本型・その他と区分した。

その真の意味とは、療養型老健は介護医療院の創設で歴史的使命を終え、いずれ介護医療院兇謀彰垢図られることを意味すると同時に、在宅復帰・在宅療養支援等指標が20未満の「その他」に区分される老健については、重要な15の加算を算定できなくなることにして、実質老健施設からの撤退を図り、一定の在宅復帰機能を持つ老健だけが生き残りができるようにしているのである。

さらに宅復帰率が50%に達していなくとも在宅強化型が取れることにした反面、介護保健施設サービス費()の介護保健施設サービス費()又は()を算定すべき介護保健施設サービスの施設基準には、「入所者に対し、少なくとも週三回程度のリハビリテーションを実施していること」という規定を盛り込んだ。

その解釈はQ&Aで、「入所者に対し、少なくとも週三回程度のリハビリテーションとは、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が個別リハビリテーション 20 分程度を週3回以上行うこと。」としている。

その意味は20分程度の個別リハビリを週3回実施できない老健は、在宅強化型の報酬算定ができなくなることを示している。

このように2018年4月以降の在宅強化型老健は、単に入所期間を区切って契約し、その期間内に強制退所させるような形を否定し、在宅復帰のために個別リハビリに取り組むとともに、入所前後や退所前後の訪問指導の強化や、退所後の居宅サービスでのフォローや、退所相談にのる相談援助機能の強化など、実際に在宅復帰できる身体機能・環境要因の充実を図る改定が行われたわけである。だからこそ在宅復帰率の要件は、ハードルを低くしたわけである。

そこでは一部の老健の相談援助職の実態が、「老健からの追い出し役」となっていることにも警鐘が鳴らされていることにも気が付かなければならない。

そして老健とは一度きりの利用施設ではなく、同じ利用者が何度も利用する施設であることの理解も必要だ。

老健に求められる役割とは、在宅で廃用が進んだ方々に何度か繰り返してリハビリテーション効果による機能回復を図り、それが難しくなった最終段階では、「ターミナルケア」を実施することも含めて、その機能を発揮する施設であることも理解しなければならない。(参照:老健施設におけるターミナルケアの在り方

老健の相談援助職は、そのために老健の中だけで業務を行うのではなく、もっと地域に足を運んで、地域の社会資源と密接に関係性を結んで活動しなければならない。

また老健のセラピストは、老健の訓練室だけで自立できることに何の価値もないことに気が付いて、暮らしの場に活用できる機能回復に着目して、生活機能を高まるためのリハビリテーションの在り方の工夫が求められていることを意識すべきである。

どちらにしても期間を区切った入所契約を続けているという実態がある老健施設には、そのことに対し、いずれ鉄槌が振り下ろされる可能性が高まっていることを覚悟してもらわねばならないだろう。

老健の今後の事業展開のための戦略は、そうした求められる役割を理解したうえで練られる必要があるのだ。

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特養が閉鎖される時代の介護


有料老人ホームが経営難となって、突然閉鎖されて利用者の行き場がなくなり困っているというニュースを時折聞くが、特養も経営難から閉鎖を検討するケースがみられるようになった。

先週報道されたのは、愛知県岡崎市に本部を置く社会福祉法人が、静岡市で経営している特養3施設の閉鎖を検討しているというものだ。閉鎖の理由は、「人材不足で、入所者受け入れに制限が生じて経営難に陥った」というもので、現在もぎりぎりの職員配置で運営を何とか続けているという状況だそうである。

この法人は2017年にも三重県で運営していた保育所を突然閉鎖するなどの方針を示し、他の社会福祉法人が引き継ぐなどした経緯があり、経営方針の無計画性や無軌道ぶりが暗に批判されるような報道がされているところだが、それが真実かどうかは、一連の報道だけでは判断できない。

閉鎖を検討している3施設の10月2日現在の合計利用者数は132名ということであるが、同市内の特養と老健施設で、全員を受け入れることは可能という情報も伝えられている。そうであれば社会福祉法人としての姿勢に疑問を持たれ、先々経営に不安要素が満載のこの法人の施設からは一日も早く退所して、別な施設の中で新たな暮らしを再構築した方がよいように思う。ただその行く先の一部が、老健施設という中間施設であることには一抹の不安を感じざるを得ない。

特養に入所している人は、そこを終生施設と思っている人も多いので、利用者やその家族の不平や不安は容易に想像できる。本当にお気の毒だと言わざるを得ない。

それにしても人材不足・人員不足は決して対岸の火事ではないので、今後も似たようなケースが全国のどこでも起こりかねないと言わざるを得ない。現に特養の一部ユニットが人員不足で開設できなかったり、ショートステイを開始できない特養は決して少なくない。

施設を建てさえすれば、サービス提供に必要な人材が集まるという時代ではないことは当たり前のことであり、この部分の事業戦略は練りに練っても満ち足りることはないので、事業拡大を検討している法人等の担当者は、このことを他人ごとと思わずに、反面教師として新たな戦略を考えていく必要がある。

特養という暮らしの場は、地域福祉の柱の一つで、最終的なセーフティネットともいえるものなのに、そのネットの網の目が破れてしまう人材問題に、有効な一手がなかなか見せない状況は深刻である。

しかしそのネットの崩壊とは、介護業界の崩壊を意味するだけではなく、社会全体のセーフティネットの崩壊を意味するのだから、この部分はもっと政治的に考えられてよいと思う。経済市場を支えるのも、安心して高齢期も暮らすことが出来る地域社会があってのことだからである。

今のままでは真面目に介護事業経営している法人でも、人材不足で事業拡大は難しくなり、増え続ける介護ニーズに対応したサービスの量の確保はますます難しくなるだろう。しかし量の確保だけを考えてしまえば、自ずとサービスの品質の格差は広がり、劣悪な介護しかできない介護施設も増えてしまうことだろう。

そう考えると国全体の介護の在り方を根本から考え直さないとならない思う。

特に人材難は、カンフル剤が必要だ。介護を職業とする人が増えるように、国費はもっとこの部分にかけてもよいのではないだろうか。

ただしそのことは簡単に実現しないであろうことも容易に想像がつく。そうであるからこそ介護事業者とすれば、職員が定着する職場環境を整え、人材が張り付き育つシステムを独自で整備する必要がある。

その対策は、待った無しである。

明日はそのことに関連して、『介護施設の人手不足に打ち勝つ〜定着率の向上とより良い介護』というテーマで、大阪グランフロントで講演を行う。受講予定人数は140名を超えているが、そこで人材確保に結びつく具体策を示してきたいと思う。

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老健の今後は、その歴史から考えたほうがわかりやすい


台風の影響で長崎に1日足止めされたために、仕事の予定もなかった昨日は、長崎市内を少しだけ散策した後、ホテルに籠って原稿書きに専念できた。

そんな風に考えると、足止めの一日も決して無駄ではなく、短い人生の中で神様が意味のある日として創ってくれた日であると思える。人生に無駄なことなど何もない。

しかもそんな一日の終わりには、うれしいことがあった。長崎の友から素敵な連絡をいただいて、夜ご一緒させていただいたのである。

連絡いただいた方は、2017年に研修講師として僕を招いてくれて以来、僕が長崎市内で講演を行うたびに、時間があれば会場に駆けつけてくださり、僕が1人呑みを予定していると知ると、仲間を集めてにぎやかに慰めてくださる素敵な人である。

一昨日も飛行機が欠航して一日滞在が延びたことをインスタグラムでつぶやいたとたん、「明日の夜、ご一緒させて頂けたらと思ったのですが、如何でしょうか?〜私の縄張りで不自由はさせません!笑」と温かいメッセージを送ってくださり、「かぶ膳」という日本酒が豊富にそろい、料理がおいしい店で懇親会を行った。その模様は、「masaの血と骨と肉〜固いもの苦手ってあなたの、歯はさび、てませんか?」を参照いただきい。

さて今回の長崎講演の初日は、長崎県老健協会主催市民公開講座での基調講演。とはいっても受講者のほとんどは老健関係者で一般市民は、400人を超える受講者のうち1割にも満たないようだった。その中で、「住み慣れた場所で自分らしく過ごすためには〜その時、老人保健施設の役割とは〜」というテーマで講演を行った。

関係者の中には医師の方々の姿も数多く垣間見られたが、それらの方々にも僕のメッセージを伝えられるようにするには、老健誕生の経緯から、介護保険制度に根拠法に変わるまで、そして現在に至るまでに、老健を巡ってどのような議論が行われ、どのように報酬体系や運営基準が変えられてきたのかという方向から、今後の役割を考えたほうがわかりやすいと思ったし、それはおそらく老健経営者でもある医師の皆様より、僕の方が知識と情報があると思ったからである。

例えば老健は中間施設と呼ばれるが、それは居宅と医療機関をつなぐ中間施設という意味だと考えている人が多い。

しかし老健創設のきっかけとなった社会保障制度審議会の意見書(S60.1.24) では、「重介護を要する老人には、医療面と福祉面のサービスが一体として提供されることが不可欠で、医療機関と特別養護老人ホームを統合し、それぞれの長所を持ちよった中間施設を検討する必要がある。」として、当初の中間施設の意味とは、「医療機関と特養の中間的機能を持った施設」と明記されているわけだ。

それが全国7カ所のモデル事業の成功の結果を受けて、徐々に社会的入院と言われる長期入院を続ける高齢者を家庭に復帰させるための新し い施設=医療機関と居宅をつなぐ中間施設という概念の確立という方向に変わっていったという歴史を知ることも重要である。

さらに老人保健法から介護保険制度に根拠法が変わった際の役割混乱として、長期入所者が増え在宅復帰機能の低下がみられたことも知っておいてほしい。

そのため2002年8月に剛腕と呼ばれた、中村秀一氏が老健局長に就任した際には、「在宅復帰機能のない老健は、老健の看板を下ろせ!!」と批判されるという、「中村ショック」というトピックスがあった。

そうした状況を踏まえて、在宅復帰機能を補完するために、老健からの訪問リハビリが新設されるなどの歴史を経る中で、いくつかの役割混乱を乗り越え、さらに介護医療院の誕生により、療養型老健が歴史的使命を失いつつある中で、昨年度の介護報酬改定において、在宅復帰・在宅療養支援等指標による機能分化が進めあっれるという改革につながっていった点を解説させていただいた。

さらにそのことを踏まえた上で、老健に課せられた新たな課題、今後の経営戦略などを示させていただいたつもりである。

そこではここは老健は医療機関ではなく介護施設だと言いながら、同じ口で都合に合わせて、老健は生活の場ではなく在宅復帰を目指した滞在施設だという使い分けを行っている人がいることについて批判させていただいた。そして在宅復帰を目指す施設だとしても、そこにも暮らしはあるのだから、暮らしの質を無視した治療的関わりのみの視点は介護施設とは言えないという辛口批判もさせていただいた。

老健関係者の皆さんにとって、そんな僕のメッセージはどのように耳に届いたろうか?

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老健と特養、どっちが良い施設?=不毛な議論


大きなシンポジウムなどの一部を担当する講師としてご招待を受ける際に、講師控室などで他の講師の方々とご一緒することがある。それらの方々は様々な立場の方々であるが、パネルディスカッションのパネラーなどを仰せつかって、他のパネラーの方々と打ち合わせをする際には、かなり突っ込んだ話をすることになる。

そんな場面では僕は、自分よりずっと社会的地位のある方に対して、歯に衣着せぬ意見を投げかけていることがあるかもしれない。大変申し訳なく思うが、言うべきことを言っておかないと後で後悔することになるので、どうしても本音が出てしまう。

ところでそうした場面では、医師の方々とご一緒することも多いが、その中には特養に対する偏見をお持ちの方が少なくない。

先日もあるシンポジウムの打ち合わせ会場で、「特養に入所している人は可哀そうだね」と言われた。理由を聞くと、「老健に入っている人は、きちんとセラピストがリハビリを行って、目的持って意欲的に生活できるけど、特養の場合、利用者は何の目的もなく、することもなくて意欲を失って過ごしている。」というのである。

全国にたくさんある特養の中には、そんな特養が全くないとは言いきれないが、多くの特養がそうだと思っているとしたら、そては間違った認識であるし、偏見である。

その偏見の元になっているものとは、「特養には医療の専門職の介入度合いが少ない」ということではないのかと思えてくる。医療知識のない施設長が管理している場所で、高齢者の暮らしが支えられるのかという上から目線をひしひしと感じてしまうのである。

しかし在宅復帰が目的で、そのための機能が一番重視される老健と、看取り介護を最終ステージする暮らしの場である終生施設としての役割が樹脂される特養とを同じ土俵で論じても始まらないと思う。

高齢者に様々なニーズがあるように、介護施設にも様々なニーズに対応した、いろいろな目的の施設があってしかるべきで、老健の機能を求める人は老健を利用すればよいし、特養の機能を求める人は特養を求めればよいだけの話で、老健の存在価値が特養の存在価値より高いなんて言うことにはならないわけである。

そもそも、「リハビリを行って、目的持って意欲的に生活できる」と言うけれど、それは暮らしの一場面を切り取って評価しているに過ぎない。老健で暮らしている人は、確かに週2回以上のリハビリを行い、個別リハビリも行っている人が多いが、リハビリテーションを行っていない時間帯に、ほとんど部屋に閉じこもってベッドの上で過ごしている人も多い。セラピストが関わるわずかな時間だけを取り上げて評価してもしょうがない。

暮らしの質とは総合的な問題で、例えば多くの特養では、セラピストの配置がなくとも生活リハビリと称して様々な活動を行っている。部屋への引きこもり対策として、豊富な趣味や娯楽メニューが存在している点は、老健と比べ物にならない。

僕が1年だけ勉強のために務めた北海道千歳市の老健は、週2回しか利用者を入浴させていない生活を、「当然」と考え、小学生のように高齢者を、「遠足」に連れ出すのが心身活性化メニューだとしていた。職員は日常的に利用者に、「タメ口」で接しており、被保護者でお小遣いに困っている人に対し、トイレ介助を行う際に、「高いよ」という笑えないジョークで、利用者の心をズタズタに殺していた。

しかし僕がトップを務めてた特養は、希望すれば毎日入浴でき、夜間入浴も可能だった。外出機械は集団ではなく、個別のニーズに沿って持たれており、日常の買い物や居酒屋での食事などへも連れ出すことができていた。利用者への日常会話も、「丁寧語」が基本とされて、「わかりました」ではなく、「かしこまりました」と言える職員がそこには居た。

その部分を取り上げて比較すると、どちらの利用者の幸福度が高くなるのかは言うまでもないことだ。

要するに、比べるべきは事業種類ではなく、個別のサービスの質だということだ。医者が経営し、医者の価値観でしか評価されない場所に、本当に生活の質は存在するのかという観点も大事になる。

一般論として老健の利用者が特養の利用者より幸福だとする価値観は、端から見れば世間知らずの知性のかけらも感じ取れない価値観である。

そんな人も大きなセミナーの演者の一人として壇上に登り、医療や介護について語っているのだから、受講する方々にはくれぐれも、本物と偽物を見分けてほしいと思うのである。

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老健施設が役割として求められているもの


長崎県の老健協会からお声がけをいただき、10/11(金)13:40〜長崎ブリックホール 国際会議場にて、「住み慣れた場所で自分らしく過ごすためには〜その時、老人保健施設の役割とは〜」というテーマで、90分お話をさせていただく機会をいただいた。

この講演会は市民公開講座として開催されるもので、老健関係者が多いものの、一般の方の参加もあるとのことで、市民レベルで理解できる話をしてほしいと依頼を受けた。

そうであればどのような流れの中で老健施設が誕生し、どのような転換点があったのかを説明しながら、昨年の報酬改定時に新たに老健に求められたことを解説することが必要ではないかと考えた。

老健の誕生のきっかけとなった意見書やモデル事業、その後の法的位置づけなど一連の過程を解説しながら、老健とはどのような施設かということを紐解くことが、老健に求められる役割を理解するためには一番わかりやすい方法であると考え、現在講演内容を構想しているところである。

老健とはどんな施設なのかというレベルまで講演内容を引き下げては、参加者の多数を占める老健関係者には退屈な講演になるのではないかという心配の声が聴こえてきそうだが、果たしてそんなことになるだろうか。

例えば、老健施設が中間施設と呼ばれていることを知らない関係者はいないだろう。しかし中間施設とは、いったい何と何の中間施設なのかということや、いつからそうされているのかということを正確に答えられる人は、現在の老健関係者の中にどれだけいるのだろう。

「中間施設って、医療機関と居宅の中間だろう」って簡単に答えている人が多い。それは間違いではないが、老健が誕生する経緯を見たときに、老健という新しい施設を創ろうとした構想段階で、社会保障審議会が「中間施設を検討する必要がある。」という意見書を出した時点では、医療機関と居宅の中間施設という意味ではなかったのである。そのことを知っている人はどれだけいるだろう?

老健施設がはっきりと医療機関と居宅をつなぐ、「中間施設」としての位置づけが確定したのは、昭和62年2月から全国7カ所で実施された、「老人保健施設モデル施設の指定事業」以降のことである。

このモデル事業は予測以上に良い結果が出た。というのも病院ではリハビリの時間内で筋肉・関節の訓練を行うが、老健モデル施設では身心のケアを十分に行い自立を促し、日常の行動全般に訓練・リハビリを組み入れ、生活に生きがいを持たせたことにより大きな効果が見て取れた。そのことによって社会的入院と言われ、長期入院を続ける高齢者を家庭に復帰させるための新しい施設としての可能性が見いだされたのである。この結果によって老健施設とは、医療機関と居宅をつなぐ中間施設という概念が確立したのだ。

そうであればモデル事業以前の意見書の段階での中間施設とは何だったのだろう。その答えは、当日の講演会場、「長崎ブリックホール 国際会議場」で明らかにすることになるだろう。

それと老健の今日までの短い歴史を振り返ると、「役割混乱とその修正」というキーワードが出てくる。過去2度にわたる大きな役割混乱の時期を乗り越え、昨年の報酬改定では、その混乱の収束のための大改革が行われたという意味があるように思え、そのことも当日の講演で明らかにしたい。

ちなみにモデル事業以降の流れは以下のようになる。

S62.11 老人保健審議会において、「老人保健施設の施設及び人員並びに設備及び運営に関する基準について」を答申
S62.12 国会報告
S63. 1 「老人保健施設の施設及び人員並びに設備及び運営に関する基準について」公布
S63. 4 老人保健施設の本格実施
H 9.12 介護保険法成立(根拠規定が老人保健法から介護保険法に移行)
H12. 4 介護保険法施行

勿論、介護保険以降の老健の改革・改定についても触れることになる。そこには「中村秀一ショック」というキーワードも出てくることになる。

同時に僕からの提言として、「老健の役割や機能を都合の良いように使い分けてはならない」ということを指摘してきたい。

時にはここは医療機関ではなく介護施設だと言いながら、時には老健は生活の場ではなく在宅復帰を目指した滞在施設だという使い分けを都合よく行いながら、施設目線での介護サービスの提供が目立つ老健が多い。しかし在宅復帰を目指す施設だとしても、そこにも暮らしはある。だからこそ暮らしの質を無視した治療的関わりのみの視点は介護施設とは言えないと思う。そもそもリハビリテーションの本来の意味は、全人的復権=人としての権利を取り戻すものであるということを考えると、もっと利用者視点に沿ったサービスの在り方が考えられてよいと思う。

そうしたことも含めて、老健のターミナルケアについても、中間施設として矛盾しないことなどを語る内容になっている。

これらの内容は、僕が老健施設のわずか一年という短い勤務経験があるから語ることができる内容ではなく、老人保健法の時代から、老健の誕生と推移を見ながら、裏側の政治的な動きや、官僚の思惑をも知る立場にあったからこそ語ることができる内容と言え、他では聞くことができないと思う。

そういう意味で他では聞くことができないとても面白い講演になると思うので、聞き逃しがないようにしてほしい。

市民公開講座ということでどなたでも参加できると思うので、お近くの皆さんは是非会場にお越しいただきたい。期待は裏切りません。

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逝った人からのメッセーズが送られてくるデスカンファレンス


2015年の報酬改定時に、特養の看取り介護加算の算定要件が改定され、PDCAサイクルの構築が義務付けられる中で、「看取り後のケアカンファレンス」が義務付けられている。

そのためこの加算を算定している施設については、必ずデスカンファレンスを開催することになっているはずである。しかしそうした施設でも、看取り介護対象外であった、「急死した人」に対するデスカンファレンスが行われていない場合が多い。

しかし本来のデスカンファレンス目的を考えたならば、看取り介護の実施の有無にかかわらず、それは実施すべきである。

なぜならデスカンファレンスで検証すべきは、「看取り介護中に、何が行われたのか」ではなく、看取り介護の実施時期も含めて、亡くなられた方が施設で暮らしていた間の、私たちが提供したサービスが適切なものであったのかという振り返りであり、それはまさに、「〇〇さんに対する日ごろのケアのあり方」という、ケアの個別性が問われているからである。

しかし看取り介護加算を算定していない特養の場合、利用者が亡くなった後の、デスカンファレンスを一度も行ったことがないという施設が少なからず存在している。それはあまり褒められたことではない。

むしろひとり一人のケアサービスのありようを検証すために、デスカンファレンスだけではなく、退所カンファレンスとして、在宅復帰や医療機関への入院による退所、施設変更のための退所など、すべての退所ケースを検討する機会として、退所カンファレンスも行われるべきである。

前述した看取り介護加算の算定ルール上の、「看取り後のケアカンファレンス」以外に、法令上デスカンファレンスや退所カンファレンスは求められていないが、施設サービスの品質を維持・向上させる、「動機づけ」を生むためには、こうしたカンファレンスが必要不可欠であると考え、退所者が出た場合は、必ず検証のカンファレンス(以下デスカンファレンスとのみ表記)を行うシステムを構築すべきである。

こうした振り返りの機会を持つことによって、職員は必然的に、退所された方に対してどのようなケアサービスが提供されたのかということや、それは果たして適切なものであったのかを考えることになるが、それは単に過去を振り返ることにとどまらず、これから先、今までと同じようなサービスの状態で良いのか、あるいは変えるべき問題があるのかということを検討することにつながるのである。

デスカンファレンスとは、そういう意味で、介護施設の「未来を照らし、未来に導く」検証作業なのである。

デスカンファレンスを通して、職員は対象者が亡くなるまで教えてくれていたと感じていた事が、カンファレンスを通して亡くなったあとでも教えて下さる事の多さ、その大切さを改めて痛感することができる。

さらに誰かの限りある人生の最終場面に、その時期を意識して関りを持つことで、そこで打ち出された課題を一つ一つ改善していくためには、どんな事をしたらよいかと具体的に考える事ができるようになっていく。

そのような意味で、個別の利用者支援を考えるための最後のカンファレンスは、反省・後悔するためだけのものではなく、施設で生活している方たちに、これから活かす・繋げるためのものであると考えるべきである。

看取り介護についていえば、限られた命の時期を周囲の人たちが意識する中で行われる介護であり、対象者の人生の最終ステージにおいて、エピソードを刻み、その記憶を残された人の心に刻んでいくことが大切になる。そのためには利用者の生活史の中でどのようなエピソードがあったかという情報も必要で、特に家族との関係性を表すエピソードが、最期の場面で必要とされる場合がある。

だからこそ家族と一緒に「看取り介護対象者が、その方らしく生きるために何ができるか」を考えるようになる。そうなると職員は、普段からの家族との関わりを大切にし、いろいろなエピソードを聞き出しておきたいという気持ちが湧き上がってくる。それは利用者のみならず、家族との良好な関係性を築くきっかけにも結び付いていく。

そして日常のほんの小さな「気づき」を行動に変える力がついていくのである。それはまさに一番近くで気付く人、一番近くで代弁する人としての介護施設職員の役割を肌で感じ取れるようになることにもつながる。

そんな形で精神面・技術面の向上を目指そうとするスタッフの前向きな姿勢が養われていく。そこにカンファレンスという他職種との率直な意見交換の場を加えることで、それぞれの職員が自分の意見をしっかりと伝える力をつけることができるようになっていくのである。

そこでは、看取り介護になってからの援助よりも、日頃の援助こそが大切であることが再確認できるようになっていくことなるだろう。

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介護施設の空きベッドが埋まらない理由と対策について


介護保険制度ができる以前、特養が利用者確保に困るということはなかった。

しかし介護保険以後、グループホームが爆発的に増え、特定施設も増加した。それらは介護保険制度上、「居宅サービス」に分類されているものの、事実上はすべて要介護高齢者の暮らしの場である。(参照:グループホームは在宅であるという誤解

よってGHも特定施設も、事業経営上は特養と競合するサービスと考えてよいものだ。

しかもあらたな高齢者の居所としてサ高住が誕生し、全国にたくさん建設されるようになった。そこに外部のサービスを貼りつけることによって要介護高齢者が暮らすことが可能となっており、重介護者の住み替え場所の選択肢の一つとなっている。

こんなふうに要介護高齢者の居所の選択肢が増える中で、特養の入所要件が厳格化され、入所対象者は原則要介護3以上となっている。さらに全国にたくさん建設されたサ高住では、空き部屋が埋まらずに入居料金等のダンピングを行うところも増えており、入所費用が一番安いと言われる特養との価格差が縮まっている。

なおかつ現在心身の状態に合わせた住み替えが必要な人たちは、年金が一番充実した状態で受け取れる人が多く、入所費用がネックになって特養以外には入所できないという人はあまりいなくなっている。都市部の特養に空きがなく、周辺市町村の特養に入所していた人たちの中には、都市部にサ高住ができて空き部屋があるのだから、そこに住み替えるという動きも出てきた。

また地域によっては高齢化のピークは越えてしまい、高齢者人口そのものが減っている地域もある。そこでは施設サービス利用者自体が減っている。

そうした諸々の事情が相まって、特養の待機者が減り、なかには空きベッドが埋まらないという特養もぼちぼち出てきた。相談員が地域を営業回りする光景も普通にみられるようになった。(※当然その影響は、特養の待機者が数多く入所している老健にも及び、老健でベッド稼働率が低下する傾向もみられている。)

そのような事情も相まって、表の掲示板では「営業してますが、稼働率は改善しません。 」というスレッドが立てられ、特養のベッドの稼働率低下で経営に影響が出ているので、どのように顧客確保をしたらよいかという相談がされている。

しかしその施設の考え方はおかしく、稼働率が上がらない理由を検証もせずに、施設名の入ったボールペンとポケットティッシュ、クリアファイルなどを配るという方法で集客しようとしている。

全く馬鹿げたことだ。そんなことで自分や自分の大切な家族の身を預ける場所を決めるとでも思っているのだろうか。

特養が地域住民から選んでもらえず、空きベッドが生じている一番の原因は、「サービスの質が悪いから」であり、特に団塊の世代が特養を敬遠する一番の理由は、「特養に入所したら、週2回しか入浴できないから」なのである。ここの処方がきちんとできなれば集客はままならず、特養だとしても廃業の憂き目にあうのが、これからの時代である。

現にその相談者も、「空床がある原因はショートのリピート率が低いこともあると思います。一度だけ使ってその後は他の施設に流れてしまいます。だから、ショート利用した方は入居申し込みまではいきません。」と書いている。つまりショート利用者が一度サービスを利用して、そのサービスに満足できずに、むしろ懲り懲りして逃げているのである。その最大の理由は何かという検証作業を行わずして、ベッド稼働率のアップなどあり得ない。

これからの時代、施設サービスの顧客の主力も団塊の世代の人々に移ってくる。日本の経済成長を支えたその世代の方は、サービスに付加価値を求めてきた世代でもあり、介護サービスに対しても、単に身体介護をしてくれるというだけでは選択対象とはしてくれないし、サービスを利用した際に、不快な思いをすることを一番嫌う傾向にある。

その方々に選んでもらう施設サービスとは、顧客満足度が高まるサービスである。利用者に不快な思いをさせた際に、「そんなつもりはなかった」という言い訳は一切通用しないのである。だからこそ顧客に不満を与えないように、サービスマナーを確立することは重要なのだ。

これからの施設サービスは、運営基準通りのサービスだけを提供しておればよいという時代ではない。運営基準をきちんと守ったうえで、さらに品質の高いサービスを提供していかないと、特養も顧客から選択されないのである。

質の高いサービスの基盤は、職員が職業人としてきちんとサービスマナーを護った先にしか生まれない。しかし職員すべてが介護サービスとしてのサービスマナーを身に着けた先には、ホスピタリティの精神が生まれる可能性があるのだ。サービスの品質に加え、真のおもてなし精神がある職員がいるという付加価値は、多くの顧客が求めているものであり、顧客確保の事業戦略上は一番の武器となる。

そのために職員のサービスマナー教育は欠かせなくなる。そんなふうに組織改革の必要性に気づき始めた事業経営者・管理者・管理職の人々も多いと思う。その方々にはぜひ覚悟をしてほしい。

職場の組織風土はあっという間に悪化するが、よくなっていくのには時間がかかるのである。しかし時間がかかるからこそ財産になると考えてあきらめないことが大事だ。

経営者や管理職は部下に思いを伝え、丁寧に説明して、厳粛に実行する覚悟が求められる。さらにこうした風土をつくるためには、組織全体で外部の講師を招いた場で、学ぶ機会が得られることが有効な手立てとなる。

言葉遣いや態度を直せない職員に、口を酸っぱくして説得することはあまり意味がない。それより納得のための「学びの機会」をぜひ職場全体で持ってほしいものだ。説得ではなく、納得させるためには、職場の上司以外の第3者から評価を受けたり、話を聴く機会を設けたりすることも必要だ。

そのようなお手伝いが必要な際は、ぜひ気軽にメールで連絡願いたい。実務に即生かすことができるサービスマナー講座を行って、組織改革のお手伝いをします。

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人員配置基準緩和で喜ぶ職員なんて存在しない


介護施設の人材不足に対する解決策の糸口さえ見えない今日、人材は充足しないのだから介護ロボットを活用して人間の労力の省力化を図り、人の労力がいらなくなった分、配置基準を緩和して一度に働く職員の数を減らし、職員を分散配置することで介護人材の絶対数不足に対応しようという考え方が生まれている。

このことは「次期制度改正に向けた財務省の資料を読んで」の中でも少しだけ触れているが、この中で僕は、「介護ロボットの導入で、本当に人の配置を少なく出来るのかという、介護現場の不安など一切無視しないと、人手不足には対応できないとしているわけである。」と論評した。

しかしこの論評は、少し言葉足らずの感があり、意味がわからなくなくもない。読者にその真意が伝わっていないかもしれないと思うので、このことについて詳しく解説したい。

23日に公表された、財政制度分科会(平成31年4月23日開催)資料の中で、このことに触れている部分は85頁である。

介護事業所・施設の経営の効率化について」というタイトルがつけられたこのページでは、「介護施設の設備・運営基準については、長らく変更されておらず、近年の介護ロボットやICT等の普及効果が反映されていない。 」として、「介護ロボット等の設備に応じて設備・運営基準や報酬に差を設けるなど、生産性向上に向けたインセンティブを強化し、底上げを図るべき。」としている。

この提言には、新たなテクノロジのフル活用とセットで人員配置基準を緩和することが念頭にあると言われており、自民党の厚生労働部会が4月18日にまとめた提言の中でも、タブレットやウェアラブル、センサーなどを使って安全性を確保することを前提として、「人員基準を緩和すべき」と打ち出している。さらに根本匠厚労相も「より少ない人手でも回る現場を実現する」と語っており、実用化されているセンサーロボットなどを導入した介護施設などの夜勤配置職員などを定めた人員配置規準の見直しを視野に入れている。

人間の手足に少しでも替わることができる介護ロボットができるのならそれに越したことはないし、そうした介護ロボットをぜひ開発してほしいと思う。そうしたロボットが本当に誕生したならば、人に替わってロボットを導入して、人員配置は少なくしても良いだろう。しかし現実には人に替わる介護ロボットは存在していないし、人の動作を一部援助する装着ロボット等も、使い勝手が悪いために実際の介護の場で実用化しているとは言えない状況がある。

そんな中で見守りセンサーなどは、巡回しなくてもよいスペースや時間を作り出すことができる点では、すでに夜勤を行う介護職員等の業務の一部を省力化することに貢献しているといってよいだろう。

だからといって、そのことで人手を減らせるのかといえば、それは全く別問題である。

見守りセンサーは、見守っている対象者の異常を感知・通報できるだけで、その対応はできないのだという、ごく単純な問題を考えなければならない。

見守りセンサーの活用で、夜勤時間帯の見回り回数が減ったからと言って、即夜勤者の数を減らしてしまえば大変なことが起こる。見守りセンサーが人に替わってカバーできることとは、「見守り」そのものに過ぎず、夜勤者が定期巡回せずにセンサーが常時見守ってくれた結果、何事もない場合はそれでよいのだが、見守りセンサーが反応した場合、そこに駆けつけて対応しなければならないのは夜勤者なのである。

つまり見守り対応を夜勤者に変わってセンサーロボットがしてくれるので、夜勤時間帯の定時巡回の必要がなくなって、その分夜勤労働の省力化は図られるのは事実だが、そこで夜勤配置職員そのものを削ってしまえば、いざセンサー反応があった時の対応に支障を来し、配置職員数を削られた分、配置されている職員の労働負担が増えることになる。

労働負担が一時的に増えるだけならよいが、配置職員数が削られてしまうことで、対応そのものが困難になるケースも出てくるだろう。それは即ち利用者のサービスの質の低下につながるだけではなく、対応が必要な人の命の危険となり得る問題で、それは劣悪な介護環境につながりかねない問題ともいえる。

タブレットやウェアラブルなど、ICTをいくら活用しても同様の問題が生じ、要介護者等に人間と同様に対応できるロボットでない限り、配置人員を減らしたら対応困難になる場面は増え、そこで働いている人間はさらに疲弊していくのである。

そもそもリンクを貼りつけた資料の85頁の表の中で「人員を基準より多く配置する状況が常態化」という記述があるように、現在でも人員配置基準以上の職員配置をしている介護施設が多いのは何故かということを考えてほしい。

従来型特養は看護・介護職員:利用者の配置比率は、配置基準上では3:1とされているが、多くの特養ではそのような配置では業務が回せないために、2:1に近い配置をしている。

配置規準をさらに緩めたところで、業務が回らない以上実際の配置職員を削ることは困難である。

ところが配置規準が下がれば、それを根拠として、何が何でも職員数を削ろうとするブラック経営者が必ず現れる。夜勤業務が回らないなんてことは無視して、緩和された基準人数だけを配置しておればよいだろうと考える施設経営者も出てくるだろう。

そうなるとそこで働く職員は最悪の労働環境の中で最低限の仕事しかしない工夫をするか、バーンアウトするしかなくなる。どちらにしても人員基準緩和は、実際に働く職員に対するメリットは何もない。そのことを歓迎する介護職員は存在しないだろう。

実際には人に替わることができる介護ロボットがない現状であるにもかかわらず、政治家や官僚が、「センサーやタブレットによって人手がいらなくなる」という幻想を抱くことにより緩和される最低配置基準によって、介護労働は益々重労働となり、職員は益々疲弊していくのである。

それが介護人材不足の処方箋であるという考えは大きな間違いなのである。

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看護・介護職員配置規準を2:1にする提言について


昨日から統一地方選挙がスタートして、これからしばらく選挙モードに染まる地域が多い。

政治にも選挙にも興味がないという人も多くなっているが、この国の国民すべてが、一定年齢以上になった時に「選挙権」が得られるようになったのはそれほど昔ではない。女性に選挙権がなかったという信じられない時代がつい最近まであったのだ。その時代に選挙権を手に入れるために、血のにじむような運動を続けた方がいて、今の制度になっていることを考えると、その権利を安易に放棄するのはあまりにも情けないことだ。是非選挙権を行使するという形で、国や地方自治体に物申していただきたい。(参照:私を選挙に連れてって!!

夏には参議院議員選挙も行われるが、全国老施協も推薦議員をもう一人国会に送ろうと、活動を活発化している。とても立派な候補者が立候補するので、僕も応援したいと思う。

先日、その候補者の方と老施協の推薦者の方のトークショーを聴く機会を得た。その中で両者は、特養等の配置規準の「3:1基準」について、あまりにも現場の業務実態とかけ離れた基準であり職員を疲弊させているので、その基準を「2:1」にするように運動したいと話されていた。

ご存知のように現在特養の人員配置規準では、「介護職員及び看護職員の総数は、常勤換算方法で、入所者の数が三又はその端数を増すごとに一以上とすること。」とされている。

これを「入所者の数が二又はその端数を増すごとに一以上とする」と変更するために運動するという意味だろう。当然そのために雇用職員を増やさねばならないのだから、それに見合った金額に基本サービス費(介護給付費)を引き上げるという意味も含まれていると理解した。

つまり施設サービス費を引き上げて、職員配置を2:1とするという改正を訴えるということだ。

しかし僕はそのことには賛同できない。それは日本の人口様態と雇用状況を考えると、その配置が困難となる事業者が続出するだろうと思うからだ。

日本の人口構造を見ると第一次ベビーブーム(1947年〜1949年)に生まれた人が大きな塊となって、他の世代より圧倒的に数が多い。その団塊の世代と呼ばれる方々が全員後期高齢者に達する2025年から、その方々が90歳になって数が減っていく2040年くらいまでが、高齢者介護問題の正念場であるという見方がある。

しかし団塊の世代に次ぐ塊として、1971年から1974年までに生まれたに生まれた団塊ジュニア世代(第2次ベビーブームで誕生した世代)の方々が存在したいることにより、その世代の方々が団塊の世代を支える介護人材としても大きな塊となっていると言える。

ところが団塊の世代の方々が減っていく2040年以降に、団塊ジュニア世代の方々が70歳となるのだ。その中で生産労働人口はさらに減り続ける。しかも我が国には第3次ベビーブームが存在しなかったために、団塊ジュニア世代を支える次の塊の世代は存在しないことになる。

つまり2040年以降に高齢者の数が減り、介護事業者の数が今のレベルで必要とされなくなっていく過程においても、高齢者の数の減少を上回るスピードで介護従事者の成り手が減少していくために、人員・人材確保はますます難しくなるのである。

そのため今後の高齢者介護を支える人材を、日本人だけで賄おうとすることには無理があることは明白で、外国人労働者をある程度受け入れ、介護人材として組み入れていかねばならないとして、外国人技能実習制度に関する法改正を行い、職種に「介護」を追加するとともに、その期間を5年に延長した。さらに入管法を改正し、特定技能により介護分野で最長5年の滞在を可能とするとともに、介護福祉士の資格を得た外国人は永住も可能としたのである。

しかしそうした外国人が長期的にみて日本の介護人材問題を解決する切り札になるとは思えない。(参照:人材確保は多方面・多角的視野で

つまりいくら介護給付費が引き上げられて、職員給与を改善できたとしても、生産年齢人口の絶対数が減る社会で、介護労働にだけ今より多くの労働力が供給されることはあり得ないのだ。その中で配置規準が引き上げられ2:1にされたとき、その配置規準をクリアできない事業者が続出する恐れがある。

配置規準が満たされない場合の人員欠如減算は、3カ月は3割減算であるが、3カ月目以降は5割減算となる。その減算を受けてもよいという事業者はないが、人口減少社会の中で、容易に雇用者が増えるわけもなく、2:1をクリアできない事業者は少なからず存在するようになる。そうすると減算単位では運営継続は不可能なので、事業廃止に追い込まれる施設が続出しかねない。それは即ち施設サービスという社会資源が失われるということを意味し、介護施設に入所できない「介護難民」を大量に生み出すことにつながってしまう。

よって現在の少子高齢社会で、生産年齢人口の枯渇に対する切り札的政策が存在しない中での配置基準引き上げは無謀というしかない。むしろ配置規準を2:1に引き上げて基本サービス費を上げるのではなく、配置規準を現在のままにして、別に看護・介護職員配置加算を新設して、2:1以上の配置を行う施設には、加算で対応すれば良いのではないかと考える。

職員の雇用・定着のシステムを整備して、配置規準を基準以上に配置できる施設は、当然介護の質も向上する要素があるということなのだから、配置規準加算は単なる体制加算ではなく、職員を配置基準以上に配置して、高品質なサービスを提供できるというアウトカム評価にもつながっていくものと思え、より現実的な方法ではないかと思う。

全国老施協の推薦候補も、その方法での改正を訴えたほうが、現場の経営者の賛同を得やすいと思うんだけどなあ・・・。

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自分が入所したい施設を目指そうなんて馬鹿なこと言ってるから施設介護は良くならない


僕が大学を卒業して初めて就職した社会福祉法人は、開設したばかりの法人で、僕が就職した月に50床の特養をオープンさせることになっていた。つまり僕はオープニングスタッフの一人として、社会人のスタートを切ったわけである。

その時、どのような施設を作るのかということについて、当時の施設長から、「自分や自分の家族が入りたいと思える施設づくりをしましょう。」といった話を聞かされた。

その施設長は市役所からの天下りで、熱海のホテルで数日間泊まり込んで研修を受けただけで得られる資格で施設長になった人だったので、介護の知識は素人と言ってよいレベルであった。

しかし素人レベルだったのは僕も同じである。大学で社会福祉を専門に学んだとはいっても、就職したばかりで、社会福祉援助の仕事を経験したことのない状態で何もわからない若造に、社会人の経験を積み重ねた施設長の言葉は決して軽いものではなかった。だから自分がこれからスタッフとして働く特養を、自分が入りたくなるような良い施設にしようとう意気込みを持って仕事に臨んだ。

しかし「自分が入所したい施設」ってどんな施設なのかということは、スタッフ個々のイメージに任されていたため、「○○を○○しなければならない」という具体的な指示はなく、「自分が入所したい」という要素は、広く浅く、どうとでも捉えられたというのが実情ではなかったのではないか。

そこでは「自分が入所したい施設づくり」と唱えられながら、入浴は週に2回しかできない状態が長く続いていたし、おむつ交換は定時にしか行われておらず、おむつをしている人の排泄感覚は無視されていた。食事や入浴・排せつをするためには、意味もなく廊下に何十分も並んで順番待ちをしなければならないなど、1日の生活を終えるためには必ず行列に並ばねばならない生活が強いられていた。それが「自分が入所したい施設を目指そう」と唱えている施設の実態であった。

そうした実態を変えることができたのは、介護サービスを自分目線ではなく、利用者目線で見直したことによってであり、「自分が入りたい施設はさておき、施設を今実際に利用している人は何を求めているのだろうか」ということを徹底的に考えるようになって以後のことである。

そういえば「自分が入所したい施設を目指そう」というような言葉は、その施設長だけが言っていたわけではなく、周りを見ると、いろいろな場所で、いろいろな人がお題目のように唱えていた。そしてその言葉は今もなお介護業界で唱えれらており、職員に向かって、「自分が入所したい施設を目指そう」と訓示している施設長なり、管理者なりが全国にたくさん存在する。

しかしそんなことを言っている人がたくさんいるにもかかわらず、地域住民がこぞって入所したいと思える施設がそこかしこに存在するという話はあまり聞かない。週2回しか入浴できないという、囚人並みの生活を強いている特養もそこかしこに残存している。

特養は長い間待機者が数多くいて、施設によっては100人待ち、200人待ちが珍しい状態ではなかった。しかしそれはその施設が、地域住民から絶大な支持を受けている結果ではなく、単に障害を持って行き場のない人が、仕方なく選んでいる場所に過ぎなかったとう実態がある。「自分が入りたい施設」ではないけれど、入所を申し込んで待機しなければならなかったのが、特養の実態であった。

そもそも地域住民から選ばれるサービスの質を考えたとき、果たして「自分が入所したい施設」などという基準がそれにつながるのだろうか。

介護とは関係のないレベルで他の商売を考えたとき、ヒット商品はどのように生まれるかを考えてほしい。顧客に選ばれる商品とは必ずしも自分が選びたい商品と一致しない例は枚挙にいとまがなく、例えば自動車販売の場合、自分が乗りたい車を開発することが、ヒット商品の開発につながらないことは多い。ヒット商品を生み出すためには、自分の価値観や好みに偏った考え方をしないで、顧客が何を求めているかという、「顧客ニーズ」を徹底的に調査・分析する必要があるのだ。

自分の好みというレベルで考えていては、自分という個人の価値観が絶対的なものになりすぎて、多様なニーズに対応する柔軟性を失ってしまうことが多い。

そもそも仕事とはおもしろいものである反面、面倒くさい様々な作業が伴うものなので、自分の好みレベルで物事を考えていては、「自分ならこれでもいいや」という妥協が生まれてしまうのである。施設サービスという介護労働を商品とする場合、肉体労働をできるだけ軽くするために、自分ならこれで良いという安易な妥協が生まれることも、「自分が入りたい施設づくり」というお題目で正当化されてしまうのである。

介護施設にはびこる「世間の非常識が介護の常識」という状態も、自分の価値観レベルで考える感覚麻痺に起因していることが多いのである。自分だったら家族と同様に馴れ馴れしく話しかけられても、窮屈でなくて親しみを感じられるからそれでいいやという感覚が、タメ口で利用者に接して恥じない馬鹿者を大量生産してしまうのだ。

「自分が入りたい施設」レベルで物事を考えるから、介護のプロフェッショナルという意識を薄れさせ、家族ではないプロが提供する介護サービスが求められるのに、家族レベルの馴れ馴れしい無礼な態度をも生み出してしまうわけである。

介護施設が目指すべきは、「自分が入所したい施設づくり」ではないのだ。真に必要とされていることは、介護施設の利用者を顧客と正しく認識し、「顧客が選びたくなる施設づくり」であって、地域住民のニーズを徹底的に調査し分析する介護事業経営が求められているのである。

自分は〜・自分が〜」ではなく、「お客様は〜・お客様が〜」という視点が求められており、今介護施設を利用している人・利用しようとしている人の時代背景や生活習慣を見つめ、それらの人たちのニーズを徹底的に追及することこそが求められているのである。今後、介護事業の利用者層としても、大きな塊となってくる団塊の世代の人々はどう思うだろうかという視点から見ないと、介護事業経営などままならなくなる。

だからいまだに職員に対して、「自分が入りたい施設づくりを目指しましょう」なんて言っている施設のトップや管理職はその手腕を疑われるし、対人援助の専門家としてのボキャブラリーには重大な欠陥があり、介護事業を管理するためのセンスがないと言っても過言ではないのである。

いい加減に個人の感性に頼る、「介護サービスの品質管理」はやめていただきたいものだ。

顧客ニーズに合わせた、具体的な施設サービスをシステムに組み込むために、何をどうしたらよいのかという具体的指示が伴う職員教育をしてほしいものである。

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施設業務の切り分けを考えるお寒い頭脳


厚生労働省は来年度から、特養や老健などの施設で介護職員が担っている業務を整理・分類する取り組みを本格化させるそうである。

その構想とはベッドメイキングや清掃・配膳など、必ずしも高度な専門性を必要としない業務を切り分け、地域の元気な高齢者などに任せていくということだ。それは深刻な人手不足の解消やサービスの質の向上につなげる対策として考えられているとのことである。そのため自治体などと連携してパイロット事業を始め、そこから全国に展開していく計画だそうである。

アホも休み休み言えといいたい。こんなものにお金をかけてどうするのだ。

そもそも施設介護は、資格の要らない仕事であり、介護業務も業務独占ではないのだから、各施設でいろいろな人が、いろいろな仕事をしている。現場レベルで業務の切り分けは終わっているのだ。

僕が管理していた特養や通所介護では、洗濯や清掃は介護職員とは別に専門に行うパート職員を雇用していた。僕が1年間だけ事務次長職で勤めていた老健では、ベッドメイキングは運転手として雇用されていた複数の男性職員が、運転業務がない時間に行っていた。

そんな例を示すまでもなく、既に多くの介護施設では、ベッドメイキングや清掃などは付帯業務として、介護職員の業務からは切り分けて業者委託をおこなったり、介護職員以外の職員が対応していたりするわけである。今更パイロット事業にお金をかけて考えなければならないような問題ではない。

そもそも配膳を手伝う介護ができない職員がいて、どれだけの介護職員の仕事が減るというんだ。それで配置職員を一人でも、二人でも減らすことができるとでもいうのだろうか。

介護ができない職員が配膳している間、介護職員は食卓テーブルに座って配膳を待っているわけにもいくまい。そうであれば介護職員が配膳するという行為自体は無くならないわけで、そこで省力化できるものとは、いったいどれだけの時間であり、業務内容なんだ?むしろ利用者の顔を覚えられない介護ができない職員が、食札をみながらオロオロしている姿にイラついたり、それらの人に指示することに時間を取られたりするのではないのか?

介護職員以外の職員が配膳している間に、食事介助を始められると言っても、それはどれだけの時間差なんだ?そもそもそのような配膳を続けているバタバタした状態で、落ち着いて食事を楽しむことができるかを考えたとき、この切り分けはとんでもなく「暮らしの質」を無視したものにしかならないことがわかるだろう・・・。わからないとしたら、相当の素人か、馬鹿である。頭が良くて知能指数が高い馬鹿ほど、始末の悪い存在はないのである。

仮に切り分けた簡単な業務を「地域の元気な高齢者などに任せていく」ことができるとしても、それが少しは介護施設業務の省力化につながるとしても、毎日3度3度の食事場面で、切れ目なく任せられる人が施設に来ると考えるほうがどうかしている。

老健ではリハビリの一環として、卓球や花札、麻雀、トランプなどを行う相手として、地域の高齢ボランティアがその役割を担っていることがあるが、毎日切れ目なく来てくれる高齢者などいない。仮に最低賃金程度のお金を支払って雇用するとしても、そのような人が本当にいるのかは疑問である。

対価を得る労働だとしても、最低賃金程度で、切り分けられた「誰でもできる業務」を担当する人に、どれほどの責任感が要求できるというのか。突然休んで、そのフォローに時間がとられたり、逆に労務管理は増えて大変になるだけだろう。元気な高齢者だからといっても、それらの人たちが責任感を持って安定的・継続的に働いてくれるのかという問題だ。そんなの無理だ。

そもそもこのことは人材対策にはあり得ず、人員対策にしか過ぎない。とりあえず飯食わしたり、寝かせておく場所を作ったり、掃除したりする人員を確保すれば、介護業務が回ると考えるとしたら大間違いだし、そのことで介護業務を回す方向にもっていってしまえば、利用者の暮らしの質は間違いなく低下せざるを得ない。

なぜなら介護業務を切り分けるという意味は、施設で暮らす人たちの日常の暮らしの連続性を断ち切ることとイコールだからである。そこでは業務の都合に、暮らしを合わせるという集団ケアの弊害が、一段と進む結果にならざるを得ない。それは国が施設サービスに対して批判してきた状態そのものではないのか。そんなことも理解できないのだろうか。

知能指数は高くても、汗をかいて介護労働をしたことがない馬鹿者どもが、厚労省というお屋敷の中で、デスクに張り付いて考えた結果がこれである。こんなものに国費を浪費するのが仕事かと言いたい。

こんな意味のないことを考えて、良い対策ができていると思い込んでいる連中は、机上の論理にどっぷりつかって、本当に必要なものが見えなくなっていることにさえ気が付いていない。予算付けすれば、それが実績になるのだから、それだけで満足しているのだろう。そういう連中が本当の意味で、この国のことを考えているとは思えない。官僚という名にも値しない。

くだらない机上の対策を練っている暇があったら、本当に介護現場では何が起きて、何を求めているかを知るために、1週間でも3日でもいいから、介護施設で実習でもしろよと言いたくなる。

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介護施設の食費・居住費の標準費用引き上げ議論


12日に開かれた社会保障審議会・介護給付費分科会では、来年10月の消費税率の引き上げとあわせた介護報酬の改定(増税分の引き上げ)に関連して、老施協や老健協の代表委員などから、食費と居住費の標準費用の引き上げを要望する声が挙がった。

食費と居住費については、平成17年10月から保険外費用とされ、原則的には利用者が自己負担する費用である。しかし低所得者の方などが負担できない事態が発生しないように、費用負担段階3段階までの利用者に対しては、特定入所者介護サービス費(補足給付)が支給され、利用者は負担段階に応じた費用負担軽減が受けられることになっている。

この際に第3段階の人までが補足給付を受けることができる条件として、食費や居住費の費用設定額が標準費用を超えないこととされているのである。4段階の利用者については、もともと補足給付がないことから、標準費用を超えて費用設定して全額自己負担としている施設も多いが、3段階までの人の設定費用をそれと同じくすると、補足給付もないために費用負担ができずに施設入所が継続できない人も出てしまうわけで、ほとんどの施設は第3段階までの費用設定を標準費用と同額で行っているわけである。

しかし今、実際に食費や居住費にかかっている費用が、標準負担額より上回っているということになっているというのだ。それはすなわち施設が持ち出して負担しているという意味になり、経営を圧迫する要素になっていることになる。この状態を是正してほしいというのが、今回の要望である。

この費用は現在、食費は日額1380円である。居住費はタイプによって異なるが、例えば特養の多床室なら日額840円となっている。施設の建築コストや維持・管理コストなどの上昇で、居住費の標準額も実際より低い額となっているとは思われるが、今日はとりあえずその議論は置いておいて、食費の標準費用額について考えてみたい。

そもそも食費とは何かということを今一度確認すると、それは「食費の設定に当たっては、食材料費及び調理に係る費用に相当する額を基本とすることと」(平成17年10月改定関係Q&A 追補版・【共通】 ガイドライン・特別な食事)とされている。つまり食材料費のほかに調理員の人件費がここに含まれてくるわけである。

一方で標準費用の設定根拠は何かといえば、それは総務省の家計調査が根拠になっている。その食費が1日平均1380円ということで、それが17年以降現在までも変わっていないということなのである。

なるほど近直の総務省の家計調査をもとに作成した世帯人数ごとの平均の食費を見ると、単身世帯(つまり一人暮らし世帯)の平均の食費は42,623円/月となっており、1日当たりは約1400円となっている。単身者はコストパフォーマンスが低いために、世帯人数が増えるとこの額は低下する傾向にあるため、介護施設で集団給食を提供することを考えると、この費用より20円/日安い1380円という標準費用は特に問題ないように見える。

しかし平成17年当時と現在を比較すると、食材料費はさほど大きな価格上昇はないのかもしれないが、調理員の人件費コストはかなり違ってきているのではないだろうか。調理員の人員確保も難しい状況と、食費が自己負担化されたことをきっかけにして、調理部門を外部委託する施設も増えているが、調理受託専門業者も人手不足に陥って、人材・人員確保の費用負担が増えている。それはそのまま介護施設との調理委託契約料金の上昇にもつながっているわけで、実際に食事提供のコストは標準費用を上回っている場合が多い。

特に第3段階までの人が多く入所利用している既存型特養にとって、標準費用額と実際のコストとの差額は、深刻な経営問題になっている。

勿論、食費の標準費用を引き上げることは、補足給付額が増えることで給付費の増加につながり、それは2021年の定時介護報酬改定の足かせにもなりかねないし、第4段階の人にとっては、さらなる自己負担増につながるかもしれない問題で、消費税アップ分の費用負担増加と合わせると決して小さな問題ではないが、施設運営に絶対必要なコストが、事実上施設の持ち出しとされている状況は今後の介護施設経営に大きく影響してくる問題なので、その額が適切なものなのかという是正議論は必要不可欠だろう。

食事は、利用者にとって最大の愉しみであり、なおかつそれは命の源でもあり、健康を保つために必要不可欠なものである。

そうした大切な食事提供の費用が、施設の持ち出しで経営を圧迫するとして、食材などを安かろう悪かろうものにしないとならないとしたら、それは利用者の愉しみを奪い、健康を奪う結果になりかねない。

そのあたりの視点も含めて、適切な標準費用額を今一度考え直してほしものである。

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老健施設の今までとこれからを紐解いてみた。


医療機関に入院した高齢者が、在宅復帰するためにリハビリテーションを行う施設として誕生し、医療機関と自宅をつなぐ中間施設と呼ばれて老人保健法に位置付けられた、「老人保健施設」(以下、老健と略)は、2000年4月以降、介護保険法に位置付けられる介護保険施設の一つとなった。

主管する法律が老人保健法から介護保険法に変わった後の老健は、利用者の在籍期間が長くなった際に、収入が減るというルールがなくなったことから、一部の施設では在宅復帰率が著しく低下し、中間施設としての機能不全が懸念される状態がみられた。

そこに大ナタを振るったのが、2002年8月に老健局長に就任した中村秀一氏である。

中村氏は老健局長に就任する直前に、医療保険と医政を担当する厚生労働省大臣官房審議官として、戦後初めて診療報酬をマイナス改定した剛腕として評判が高かったが、老健局長就任後もその剛腕を振るって、私的諮問機関を立ち上げて、「2015年の高齢者介護」をまとめ上げたことでも知られている。

その中村氏が局長就任後最初に批判したのが、「在宅復帰率の低い老健」であり、「在宅復帰機能のない老健は看板を下ろせ」として様々な改革を迫った。その際に在宅復帰が進まない理由の一つとして、在宅療養支援機能が低いという地域事情が挙げられたところから、老健施設自体にも在宅療養支援機能を持つ必要があるとして、2003年〜老健施設から訪問リハビリテーションを行うことを可能にしたのである。

つまり老健の訪問リハビリテーションとは、単に併設事業として運営可能という意味合いではなく、老健の基本機能として実施することが求められたものなのである。よって老健の訪問リハビリは、老健から在宅復帰した人、その予定がある人に対して必要な支援機能として、「実施しなさい」という意味合いが濃いものであるといえる。当然、老健併設の通所リハビリテーションも同じ機能が求められており、単なる併設事業という括りで考えてはならないのである。

さてそのような経緯を踏まえて、2017年に地域包括ケア強化法が改正された後、(介護保険法第8条第28項)に示されている老健の定義が、「介護老人保健施設とは、要介護者であって、主としてその心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である者に対し、 施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その 他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設。」<平成29年6月2日公布、平成30年4月1日施行>と変更されたのである。(緑色の部分が付け加えられた文章。)

これにより老健は、在宅復帰・在宅療養支援のための地域拠点となる施設であり、かつリハビリテーションを提供する機能維持・改善の役割を担う施設として法的に位置づけられたことになる。

さらに地域包括ケア強化法改正では、新たな介護保険施設として介護医療院が創設されている。これにより介護療養型医療施設の廃止後の転換先として創設された「療養型老健」は、その歴史的な使命は失われたと言って過言ではないだろう。

そのため本年4月からの介護報酬改定では、「療養強化型老健」の区分が廃止され、「療養型老健」に一元化された。これによって療養強化型を算定していた施設は、基本サービス費が下がることになった。

さらに介護療養型老人保健施設から介護医療院に転換する場合について、療養室の床面積や廊下幅等の基準緩和等が図られているのだから、将来的に老健施設から療養型という冠がついた分類はなくなっていく方向であると予測される。

また療養型以外の老健は、「在宅復帰・在宅療養支援等指標」によって区分されることになり、そのポイントが20未満の老健は「その他」に区分され、基本サービス費が前年度と比較して概ね2%減算される他、短期集中リハビリテーション実施加算など14の加算が算定できなくなった。これは実質ポイント20未満のその他型老健の事業撤退を促しているルールである。

もしかすると次の報酬改定時には、「その他」の区分自体が消滅し、一定ポイント以下の老健は、報酬算定不可=事業撤退、という大ナタが振るわれる可能性だってゼロとは言えないのである。

また「在宅復帰・在宅療養支援等指標」によるポイント区分が、未来永劫 20ポイント60ポイントを基準に区分されると考えるのも間違っている。このポイントは法改正しなくとも変えられるために、国の考え方一つで引き上げが可能なのである。20ポイントぎりぎりで基本型老健の基準をクリアしている施設は、ホッとしている暇などなく、次の改訂で最低ポイント基準が引き上げられても困らない準備が必要だ。

また4月の報酬改定では、在宅復帰率が50%に達していなくとも強化型が取れるルールとなっているが、これは老健の在宅療養支援機能を評価したものであり、老健の機能が施設完結型ではなく、地域に向けたものであることを十分理解しなければならない。・・・この意味が分かるだろうか?

現在、在宅強化型老健の報酬を算定している施設の中には、入所条件として一定期間後の退所を条件としている施設がある。そうした老健入所後のリハビリテーションの効果や予後に関係なく、利用者を一定期間を経たというだけで退所させ、退所先の確保も利用者に責任を押し付け、退所後のフォローも全く行わない老健が存在する。次の改訂では、こうした在宅療養支援に無関心な老健に鉄槌を振るう改正が行われるかもしれない。

老健関係者は、そのこともしっかり理解すべきである。

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施設相談員の役割として最も求められること


役割分担があいまいな組織は目的を達成できないより続く)
台風20号が近づいている松山空港から、まもなく北海道に向けて飛び立つ予定だ。午後はすでに欠航予定便が出ているのでフライト予定が半日ずれたら、今日は北海道に帰ることができないことになったかもしれない。そうなると明日の仕事にも影響するので、予定通り飛行機が運行されることになってホッとしている。松山でお世話になった皆さんありがとうございます。次は11月にやってきますので、よろしくお願いします。

さて本題に入ろう。介護施設の相談員の役割は多岐にわたることは言うまでもないが、その中で最も重要な役割は何かといえば、僕は迷わず「ベッドコントロール」であると言いたい。

この役割は、特養が措置施設であった頃に生活相談員が生活指導員と呼ばれていた時代から変わりはないともいえるが、しかしベッドコントロールの中身(仕事の内容)はずいぶん変わってきている。

僕が最初に特養の生活指導員として採用された時には、ベッドコントロールといっても、待機者の多くはすでに市町村の名簿に登録されている人たちで、施設職員が営業する必要もなく、市町村職員との調整連絡を終えた後に、利用者の家族と具体的な入所に向けた調整を行うだけだった。

僕の場合は新卒時から、新設施設のオープンに関わったわけであるが、自分の足を使って市町村の様々な機関を回る必要はなく、市役所の老人福祉係に行けば、特養の入所相談であふれていたので、その中から措置権者である市の意向を確認しながら入所優先順位等を決めて、それに沿って入所予定日を決めるだけでよかった。

措置費時代のベッドコントロールとは、このように市町村の窓口代行業務のようなものであった。市町村に特養入所を申請した順番に、入所予定順が決められていたので、空きベッドが生じた場合にも、施設の相談員はどの市町村の人を入所させるかを決めるだけで、決められた市町村から次に入れるべき人の情報は自動的に上がってくるものだった。そのためさしたる苦労もないし、ベッドコントロールしているという意識にも欠けていたように思う。

それが少し変化したのが介護保険制度以後のことである。措置時代と異なり入所順番は待機した順ではなく優先入所という制度ができ、それらのルールに基づいて総合的に入所順位を決めるために、施設内の入所判定委員会が必要となった。相談員はその判定員会を立ち上げる担当者となり、会の規約や入所判定ルールを作成する業務を担ったりした。そして入所判定員会が定期的に開催されるようになった後は、原資料となるデータ管理の中心的役割を担いながら、判定結果に基づく入所調整を行うのが、その時期のベッドコントロールであった。

しかしそうであっても基本的には、そこでも待機者確保に苦労することはなく、数多く待機している人の入所順を適切に調整するという役割が主であり、入所予定者がいなくて調整できないということはあり得なかった。

それが少しずつ変わってきたのが今日の介護施設を巡る状況の変化である。サ高住などの高齢者の多様な住み替え場所が全国各地に整備されるにつれて、介護保険施設はいつも満床、いつも待機者確保に困らないという状況ではなくなりつつあるという状況は、全国的な傾向へと拡大しつつある。

福祉医療機構の「特別養護老人ホームの入所状況に関する調査」(3/29)によると、直近 1 年間で利用率が低下したとする施設は約2 割あり、理由として約3 割が他施設との競合激化を挙げている。 さらに待機者が減少したとする施設は約49%あり、理由として他施設との競合激化や要介護2 以下が入所要件から外れたことを挙げた施設が全体の約8 割を占めた。 そして直近 1 年間で、医療的ケアや認知症への対応が困難であることなどを理由に、入所申込者に対し入所を打診できなかった施設は約 4 割あったというのである。

そのため待機者がゼロという特養もぼちぼちみられるようになり、地域の関係機関に営業回りをして利用者を確保するという必要性を感じている相談員が増えているのが実情だ。

そのような中で相談員の最大の役割であるベッドコントロールとは、単なる入所日程の調整業務という意味ではなく、特養に空きベッドが生じないように、計画的に入退所業務を管理するという意味合いが濃くなっているのである。

そのためには、空きベッドが生じてから、おっとり刀で待機者名簿を繰るという業務スタイルでは、時代にマッチングして生き残っていけなくなることは明白で、 常に地域に向けて情報発信をするとともに、アンテナを地域の様々な機関に向けて、何かあったらすぐに適切な情報をキャッチするという、ソーシャルワーカーとしての情報収集能力が問われてくるのである。

適切なベッドコントロールを行う優秀な相談員になろうとするならば、施設の中だけで業務を完結させることは不可能であると考え、施設で職員との関係をつなぐのと同様に、地域に出て行政機関や関係職機関と常に顔をつなぎ、関係を紡ぐ状態にしておく必要があるのだ。

相談員が施設内で介護業務を兼務している暇などないわけである。

介護事業者という組織全体が、そうした相談員の役割を理解し、相談員がその役割を果たすことができる動きができるように、組織内の業務システムを見直していく必要がある。それができるかできないかが、今後の生き残り戦略の重要な視点となってくるわけで、ここの発想転換ができない事業者は、近い将来消えてなくなるか、大手の事業者の吸収合併されて消滅していくかしかないわけである。

顧客確保が事業経営戦略上、重要な課題となりつつ今日において、相談援助職の役割を問い直して、ベッドコントロールの意味を正しく時代に合わせて理解し直すということは、今後の事業経営に欠かせない視点であるということを理解しなければならない。

そこまで目が回らない事業経営者は、そろそろ退場の時期を見据える段階でありことを自覚すべきである。

9.25・尾張一宮講演
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二重名簿の実態


お盆休みで明日あたりまで休みという企業が多い中、介護事業者はお盆休みという規定がない事業者が多い。

僕が30年以上勤めた社会福祉法人も、そのあと1年だけ勤めた医療法人もお盆休みの規定は特になく、暦通りに働くのが当たり前であった。勿論、有給休暇などでお盆に休みをとる職員はいたが、それはあくまで有休消化の範囲でしかなかった。

現在僕はそうしたサラリーマン暮らしから卒業し、フリーランスで講演活動と執筆活動により収入を得ているため、世間の暦は関係なく、今日も締め切りが迫った連載原稿の仕上げに向けてデスクに張りついている。連載は月単位で7本抱えているので、常にお尻に火がついているような状態だ。それに加えて秋に出版する本の執筆作業も佳境に入っているので、さながら作家のような気分である。まあ物書きとしての収入も、毎月一定額得ているので、場合によっては「介護作家」と名乗ってもやぶさかではないだろう。

ところでこの暮らしに入る前に、特養を中心とする施設の総合施設長を退職した後、1年間(正確には13カ月)老健で勤務した経験がある。もともと特養を退職したのは、今のようなスタイルの活動をしたかったからであるが、たまたま縁あって北海道の主要空港がある地域の医療法人から声がかかったので、医療系サービスの勉強もしてみようと思って、そこでお世話になった。

その間は、登別から片道2時間かかるその施設に自宅から通っていた。とうのも生活の拠点を移してまで、その施設で長く働くつもりはなく、医療系サービスの実務を学ぶということだけが目的だったからである。そこでの職名は事務次長だったが、実際にさせられていた仕事は相談員業務としてのベッドコントロールが主であった。しかし老健のベッドコントロールとは、利用者目線のそれではなく、事業者の都合によるコントロールで、介護の手が回らないから食事介助が必要な人は入所させないなどの、正当な理由によらないサービス提供拒否がまかり通っていた。発言力の強いお局介護主任等の勝手な考え方が、施設運営に暗い影を落としているという実態があった。

恐ろしいことに、そこには2重帳簿ならぬ2重名簿が存在していた。いわゆる利用者の「部屋割り表」であるが、名簿上の部屋割り表は実際に利用者が利用している部屋と異なる内容となっていた。つまり名簿は実地指導などの行政指導に対処するための架空の部屋割りであったのだ。

その施設は多床室が中心の老健で、4人室のほか従来型の個室や2人室があったが、部屋の利用定員が守られていなかったのである。僕が就任した当時、その施設では「ロタウイルス」という、子供が感染することが多いウイルス感染が流行しており、感染者の隔離などが行われていた。この施設の現場を仕切っているのは、看護師長であったが、その人の判断でこの施設は簡単に「面会禁止」ができてしまう施設で、その間家族であっても、利用者が施設内でどのような扱いを受けているのか、自分の目で確認することはできない実態にあった。そこでは名簿と異なる部屋にいきなり移動させられ、ある期間に何度も部屋替えが行われるということもあった。

盗人にも三分の理という諺があるように、感染予防のためというなら、そのことに一部の理があるのかもしてないが、こうした頻回な居室移動は感染症とは関係のない理由でも行われてた。

そこは2階が認知症専門棟で、1階の一般棟より手厚く職員配置がされていたが、逆に言えば一般棟の介護力は至極貧弱で、少しでも手のかかる人がいると現場が回らないとして、職員の都合で一般棟の人を認知症専門棟の居室に変えるなど居室移動が日常的に行われたいた。その時も名簿上では、居室変更した人はもとの一般棟の居室にそのままいるかのような操作が行われていた。なぜなら一般棟から認知症専門棟に変更された人は、本来の定員をオーバーし、一人室に2人対応するなどの公にできない不正行為による処理されていたからである。

当然利用料金は、実体と異なる名簿上の料金が請求されていたわけで、国保連・利用者両者への不正請求が行われていたものと想像できる。そもそも本来の居室定員よりオーバーして、定員以上の人数で居室利用させているだけで運営基準違反である。それに加えて不正請求と、それを糊塗する2重名簿の作成は悪質極まりないが、残念ながらそのことを指導改選する権限は僕に与えられていなかったし、長年にわたって染みついたその体質が、僕一人の存在で変わることはないと感じたので、予定よりかなり早い時期であったが、1年働いた時点で見切りをつけてやめさせてもらった。

ガバナンスもコンプライアンス意識も存在しない職場に、そのままいたら自分自身の倫理観も狂いかねないという危機感を覚え続けた1年間であったが、そういう実態の職場が存在するということを自ら確認できたことは無駄ではなかったとポジティブに考えている。

医師や看護師という経営の素人が、経営の本質を学ばず、公費を運営しておればよいというぬるま湯の中で創りあげられる組織とは、えてしてこんなようなものだ。

そいつらは実地指導さえ乗り切ればよいと考えているのだから、実地指導で明らかにならない不正は、不正だとも思っていない。行政指導がなければよい施設だと勘違いしているのだから救いようがないのである。

9.25・尾張一宮講演
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夜勤職員配置加算の整理について


8月6日付で「平成 30 年度介護報酬改定に関する Q&A(Vol.6)(平成 30 年8月6日)」 が発出された。

この中で、一部の地域で混乱が生じていた、「夜勤職員配置加算」(特養及び短期入所生活介護)の考え方が整理されているのでまとめてみたい。

本年4月の介護報酬改定の目的の一つは、地域包括ケアシステムの推進とされており、 それは中重度の要介護者も含め、どこに住んでいても適切な医療・介護サー ビスを切れ目なく受けることができる体制を整備することであった。

3年前の制度改正で入所要件が厳格化され、原則要介護3以上の要介護者の住み替え場所とされた特養については、その機能を一層強化するために、入所者の医療ニーズへの対応強化が図られた。

その一つが夜間職員配置加算の強化であり、従前の加算(従来型及び経過的)、加算(ユニット型及びユニット経過的)に加えて、夜勤時間帯を通じて、看護職員を配置していること又は喀痰吸引等の実施ができる介護職員を配置している場合(この場合、登録喀痰吸引等事業者として都道府県の登録が必要)(※このブログ記事では以下、有資格者、と表記する。)については、新設された加算(従来型及び経過的)、加算(ユニット型及びユニット経過的)が算定できることになった。

従前からの気鉢兇了残衢弖錣蓮◆嵬覿个鮃圓Σ雜鄂Πおよび看護職員の数が、最低基準を1以上上回っている場合に、各区分に応じて算定できる。」とされていた。
夜勤を行う職員の数は、1日平均夜勤職員数とする。1日平均夜勤職員数は、暦月ごとに 夜勤時間帯(午後 10 時から翌日の午前5時までの時間を含めた連続する 16 時間をいう。) における延夜勤時間数を、当該月の日数に 16 を乗じて得た数で除することによって算定し、 小数点第3位以下は切り捨てるものとする。 》

これに加えて4月からの新設要件として、「入所者の動向を検知できる見守り機器を入所者数の100分の15以上設置するか、見守り機器を安全かつ有効に活用するための委員会を設置し必要な検討を実施のいずれかに適合している場合は、最低基準を0.9以上上回っておる場合に算定」が追加されている。

今回新設された靴鉢犬砲弔い討蓮↓気鉢兇陵弖錣鬟リアしたうえで、さらに夜勤時間帯を通じて有資格者が配置されていることを評価したもので、当然のことながら新設された靴鉢犬蓮↓気鉢兇茲蟾發っ碓明瀋蠅箸気譴討い襦

しかしこの加算は、月ごとに(機法繊吻検砲い困譴の加算を算定している場合、 同一月においてはその他の加算は算定できない。そしてこの加算を気發靴は兇鮖残蠅垢襪、靴發靴は犬鮖残蠅垢襪は事前に届け出が必要で、届け出ていない区分の加算を算定することもできない。

よって靴發靴は犬瞭呂噂个鮃圓辰討い詁値椶、月を通じて連日資格者を夜勤配置できると予定していたのにもかかわらず、その職員の急な病欠等で資格者が配置できない日が生じた場合、亀擇哭兇陵弖錣魯リアしているとして、その日のみ気發靴は兇鮖残蠅靴茲Δ箸靴討癲△修譴呂任ないわけである。しかし1日でも有資格者がいない方といって、すべての日が靴發靴は犬了残蠅できなくなるわけではなく、有資格者が配置されない日のみ加算算定しないということになっている。このことについて、新たなQ&Aでは次の通り解説している。

「夜勤職員配置加算は、月ごとに(機法繊吻検砲い困譴の加算を算定している場合、同一月においてはその他の加算は算定できないため、喀痰吸引等ができる職員を配置できる日とできない日がある場合に、要件を満たした日についてのみ夜勤職員配置加算(掘法◆吻検砲鮖残蠅垢襪海箸浪椎修世、配置できない日に(機法◆吻供砲硫短擦鮖残蠅垢襪海箸呂任ない。よって、喀痰吸引等ができる職員を配置できない日がある 場合は、当該月においては夜勤職員配置加算(掘法◆吻検砲任呂覆(機法◆吻供砲鮖残蠅垢襪海箸望ましい。」

つまり加算は月単位で種別が決まっているので、掘↓犬鯑呂噂个討い訃豺隋△修陵弖錣帽腓錣覆ては低い要件の機↓兇硫短擦鮖残蠅垢襪里任呂覆、その日に限って加算算定そのものができなくなるのであるが、あらかじめそうした事態が予測されるのであれば、靴筬犬瞭呂噂个鮗茲蟆爾押⊃靴燭豊気筬兇瞭呂噂个吠僂┐堂短擦鮗茲襪海箸望ましいという意味である。

しかしこの「望ましい」という表現は悩ましい表現でもある。今後実地指導上、都道府県によってこの部分の指導に温度差が出ることは間違いのないところではないだろうか。例えば靴發靴は犬鯑呂噂个道残蠅靴討い觧楡澆砲いて、その算定ができない日が月に複数回あったり、そういう月が続いていたりして、それでもなおかつ連日気發靴は兇鮖残蠅垢襪茲蟷残蠱碓未高くなっている場合に、そのことを通知違反だとして強力に指導してくる、「ひねくれた」行政指導担当者がいるかもしれないので、注意が必要である。

なおその他にも今回のQ&Aでは次のことが明確にされた。

・夜勤職員配置加算(掘法◆吻検砲砲弔い討蓮延夜勤時間数による計算ではなく、夜勤時間帯を通じて職員を配置することにより要件を満たすものである。なお、夜勤時における休憩時間の考え方については、平成 21 年 4 月改定関係 Q&A(vol.1)問 91 と同様に、通常の休憩時間は勤務時間に含まれるものと扱って差し支えない。

・同一建物内にユニット型及びユニット型以外の施設(介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設)が併設されている場合には、両施設で合わせて要件を満たす職員を1人以上配置することで、双方の施設における加算の算定が可能であり、施設とショー トステイの併設で一方がユニット型で他方が従来型であるような場合については、両施設の利用者数の合計で、20 人につき1人の要件を満たす夜勤職員を配置することで、 双方の施設における算定が可能である。
※ 平成 21 年 4 月改定関係 Q&A(vol.1)(平成 21 年3月 23 日)の問 84 については削除する。

以上である。ほぼこれで夜勤職員配置加算の疑問は消えたのではないかと思われる。

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介護施設の常識が世間の非常識であることを感じた一瞬


スマートフォンやタブレットが普及して、動画が簡単に撮影できる時代である。さらにインターネットは日常に欠かせないツールとなり、SNSを利用していない人が少数派になっている。そのため日常のさりげない映像や画像がSNSにアップされるようになった。

その中には介護施設の日常場面がアップされているものも珍しくはない。

介護施設などの利用者が、その中で楽しそうにしている映像・画像に心を癒されることもある。しかしそこに映る人にきちんと承諾をとって撮影したうえで、ネット配信の同意も得ているのだろうかと心配になることもある。どんなに素敵な笑顔でも、不特定多数の人が見ることができるネット画像として配信されることを好ましく思わない人もいるはずで、このあたりの配慮を常に忘れないでほしいと思う。

それとともに、良かれと思ってネット配信している映像が、世間の常識から乖離していると思われるものもあり、介護施設等の非常識さが見て取れるものもある。

先日、僕とフェイスブックでつながっている人の配信映像を見て、そのことを強く感じた。

今、各地で猛暑となっていることから、介護施設でも涼やかに過ごすためにいろいろな工夫がされている。そんな一場面がSNSを通じて映像配信されていた。

その映像とは、ある特養がお昼ご飯の時に、「流しソーメン」を行って、利用者の方がそれを食べているシーンである。そのこと自体は、被写体となっている方に同意をいただき撮影して配信しているとしたら何も問題ないだろうとは思う。

しかしわすか十数秒のその映像に僕は涼やかさを感じることはできず、不快感しか持つことができなかった。そして介護の現状がこれでいいのかと憤りさえ感じた。介護施設の非常識が、このような場面でも存在していると思わざるを得なかった。

その映像では、竹で作った本格的な流しソーメンのレーンに、「そうめん」を流し入れて、入所者と思しき女性がそれを食べる様子が写されていたのであるが、ソーメンが女性の前に流されてきたとき、画像に飛び込んできたのは、誰かの腕である。画面にいきなり出てきたその腕は、素手のまま流しソーメンのレーンに突っ込まれ、その素手でソーメンを掴んで流れを止め、女性利用者が箸でそれをすくって食べている。

僕がそこで感じたものは、涼やかさでもなく、ほのぼのとした気分でもなく、気分の悪さでしかなかった。

素手でソーメンを掴んだ人は、事前に手をよく洗って不潔な状態ではないのだろうと想像する。しかし自分が口にして食べるものを、素手で掴んで箸ですくわせている状態が普通の食事シーンとしてあり得るだろうか?ましてや素手でソーメンを掴んでいる人は、調理専門の人ではなく、自分以外の他の人の食事介助も同時に行っている人であったとしたらどうだろう。ソーメンをすくえない人の介助が必要であるならば、せめて素手ではなく箸を使って流れを止めるお手伝いをするくらいの配慮があってもよいだろう。

僕は決して潔癖症ではないが、素手でレーンに流れるそうめんを掴むことに涼やかさもさわやかさも感じないし、そんな流しソーメンを行う意味も分からない。

素手で麺を掴むくらいなら、流しソーメンなどせずに、最初から器に盛ってソーメンを出してくれと思う人がいても当たり前ではないだろうか。僕自身であれば、そんな流しソーメンは決して食いたくない。僕にはその場面は楽しそうに食わせてさえおけば何でもありみたいな映像に映って哀しい。

どちらにしても世間一般的に言えば、流しソーメンのシーンで、第3者が麺を素手でつかんで流れを止めるなどということを行なえば非難の的になる。それが介護施設では当然の介護として行われるとしたら、やはり、「介護の常識は世間の非常識」と言わざるを得ない。

フェイスブックでつながっている人は、匿名であっても、ある程度知り合いの関係の人である。しかしこの映像を放置して、その施設で似たようなことが繰り返されるのを見ないふりをしてよいということにはならないと思ったので、「世間の常識とは乖離している状態ではないか」ということをコメントとして書き込んだ。

その直後に、「気づきませんでした」として、その映像は削除されたのであるが、削除したからよいということではなく、その施設内で僕のような非難の声があったことについて話し合ってもらいたい。

職員すべてが、その状況がおかしいと気づく人になってもらいたい。

介護施設の中には、嫌だという思いを素直に訴えることができない人もいるのだ。それらの人々の代弁者になるのが我々の務めである。

代弁できる人とは、利用者の様々な思いに気づく人である。仮のそのことを利用者本人が不快に思わないとしても、自分や自分の親が同じことをされて、少しでも嫌な思いを持つのではないかと思われる行為ならば徹底的に行わないように配慮しなければならない。そうしなければ人権というものは簡単に奪われてしまうし、人の尊厳などなきものにされてしまうのである。

対人援助というのは、それほどデリケートなものだと考えてもらいたい。

そしてインベントや行事というものは、利用者のために行っているものであるというごく当たり前の視点に立ち返って、利用者目線からその在り方を考えてもらいたいものだ。

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中間施設という言葉を都合よく使い分ける老健の欺瞞


在宅復帰率を高めるために、中間施設というよりは通過施設としか言えないような老健があるという問題を昨日の記事で指摘したが、中間施設という言葉を施設側の都合の良い理屈で使い、利用者に対するサービスの品質を著しく低下させている老健も存在している。

外から見ているとこうした問題になかなか気が付きにくいのだが、特養という生活施設から老健という施設に転職し、千歳市の老健で1年間働いて感じた問題がこの問題である。このことも老健施設の存在意義が問われるもう一つの問題といえる。

在宅復帰施設であり、そのことを中間施設と表現している老健ではあるが、場合によっては認知症専門等を持つ場合がある。その場合対象者は、認知症日常生活自立度が概ねa以上の方となっているため、中・重度の認知症の方が数多く入所しているわけである。

老健の目的や機能からして、当然そこでは専門的な認知症リハビリテーションが行われ、在宅復帰を目指すものでなければならないはずだが、僕がそこで見たものは、認知症リハビリテーションといえる代物ではなかった。

麻雀・花札・トランプ・お絵描き・簡単な計算・・・学習療法とは程遠い「遊び」に近い活動が認知症リハビリと称されていた。それらの活動メニューであっても、心身活性化効果は期待できるのかもしれないが、これって通所介護でも特養でも行われているような活動メニューで、老健も同じなんだなあという感想しかなく、専門的な認知症リハビリテーションというものに触れて、新たな学びを得ようとした僕の目論見は外れたといってよい。

当然と言っては何だが、そこでは(一般棟も含めて)在宅復帰率は極めて低く、認知症専門棟に何年も暮らしている人がたくさんおられ、実質的にそこは生活の本拠となっており、リハビリテーションンのための一時的な滞在場所という感はなかった。退所する場合も、その後の居所は特養であったりグループホームであったりするケースがほとんどで、在宅復帰はまれであった。

にもかかわらず、老健が中間施設で暮らしの場ではないという理屈によって、利用者の暮らしの質はほとんど無視されていた。入浴は最低基準の週2回で十分とされ、一人としてそれ以上の回数の入浴を試みるということもされていなかった。汗をかきながらリハビリテーションに励む施設で、週2回しか入浴できないことが普通の生活といえるのかという感覚を持った職員は皆無だった。

日常的に着替えをしない利用者も、「いるのが当たり前」的な雰囲気で、日中着がそのまま寝間着とされている大勢の人がいた。これは僕が以前施設長を務めていた特養と大きく違う点だ。

そういえば夕食の早出しもひどい状態だった。昼食が12時からなのに、それを食べ終わった人が、食事介助に時間がかかるという理由で、夕食を夕方5時前から食べさせられていたりした。さすがにそれはおかしいと指摘した覚えがある。一番驚いたのは、人手が足りないので食事介助が必要な人は一般病棟には入所させないと宣言している介護主任がいたことだ。堂々とした法令違反を通す姿は、もう笑うしかなかった。

暮らしの場である特養と同じように、長期の利用になっている利用者が多くなっているにもかかわらず、中間施設であり在宅復帰のための一時的滞在場所だからという理屈を都合よく使いながら、自分たちのやりやすいように利用者の生活に枠をはめて、暮らしの質など顧みないというのがその老健であった。

このように介護施設という看板を下ろしてほしいような老健も存在するのだ。

その原因が中間施設という意味を、自分たちの都合の良い方向で使うという結果であるとしたら、ずいぶん都合の良い便利な冠をつけたものだということになる。中間施設という意味を、在宅復帰機能という観点から今一度考え直さなければならないと思う。

そして中間施設といえども、そこに一定期間の暮らしがある以上、当たり前の暮らしを送るために何が必要なのかを、今一度生活者の視点から問い直さねばならないと思うのである。

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単なる通過施設は中間施設とは言えない


介護老人保健施設は、本当に存在意義があるのだろうか。

在宅復帰機能とか、中間施設とかいうが、本当にその機能を果たし、その役割を担っているだろうか。そうではないとしたら老健の存在意義は非常にあいまいなものになってしまう。

今年度の老健の報酬改定は、地域包括ケア強化法による改正(介護保険法第8条第28項)<平成29年6月2日公布、平成30年4月1日施行>の新規定に、「介護老人保健施設とは、要介護者であって、主としてその心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である者に対し〜以下略」という文言が加えられたことで、老健が在宅復帰支援施設であることがより明確化されたことが大きく影響した。

そのため一定の在宅復帰・在宅療養支援機能を有する施設が基本型として評価されたものであり、従前の在宅強化型よりも在宅復帰・在宅療養支援をより進めている施設については、報酬上更に高く評価されている。

報酬区分も大きく変わっており、療養型以外の老健については、在宅強化型・基本型・その他の3分類とされたが、この3分類は一定の要件(退所時指導・地域貢献活動・充実したリハビリ体制など)のほか、「在宅復帰・在宅療養支援等指標」によって区分されることになり、指標の合計数値が20以上60未満のものを基本型として評価することになった。そして60以上が在宅強化型、20未満が「その他」(新設)介護保健施設サービス費(検砲箸覆辰討い襦

その他」として分類された老健は、概ね2%減算された報酬単位になるだけではなく、短期集中リハビリテーション実施加算など14の報酬加算が算定できないとされた。これらの中には、2017年度中には算定出来ていたものもあり、それらも含めて大減算である。

こうした状況を念頭にして、その他に分類された老健は経営を維持できるかと考えたとき、それは非常に困難なことであると思え、「その他」の施設は基本型に移行できない場合は、経営撤退を余儀なくされるということになる。

一方で在宅強化型として一番高い報酬を算定しようとすれば、在宅復帰率とベッド回転率を高めることが必須のわけだが、だからといってそうした老健が中間施設として機能しているかといえばどうも怪しい状況が見て取れる。

それらの老健の中には、入所の条件として最初から3月に限った入所という契約を行い(違法性が疑われる契約であると指摘しておきたい。)、期限が来た場合、否応なく利用者を退所させる施設がある。しかもその場合、利用者もしくは家族に行き場探しを押し付け、相談員は適切な退所支援をすることなく、単なる追い出し屋になっている老健も存在する。

それは中間施設でも在宅復帰施設でもなく、一時つなぎの単なる通過施設だ。

こうした老健にもニーズがあるのは、医療機関の入院期間が短縮される中で在宅復帰がままならず、医療機関の入院期間と在宅復帰強化型老健の入所期間を通算した期間の中で、自宅以外の次の居所を決めるケースが多いのが理由であるが、そこでの老健は中間施設の機能を果たしているとはいい難い。

なぜなら国が老健に期待する在宅復帰機能とは、老健のリハビリテーションの機能が利用者の心身機能の向上につながる結果を求めているのであり、加えて利用者が在宅に復帰した後のアフターフォローとして、訪問リハビリや通所リハビリで継続的に関わりながら、心身機能の低下を防ぐ関わりをも継続していくことを求めたものだからだ。

自宅以外の暮らしの場としての居所を見つけるための「つなぎ機能」しか果たさない老健は、リハビリテーションの結果責任を負っていない施設として、評価できない施設といってよいだろう。

その意味を理解することなく、リハビリテーションの提供の結果、利用者がどうなったかということにも関係なく、契約時の入所条件として、一定期間ごとの退所を求める老健は、その存在意義が問われてくることになる。

国民と関係者自身が、その存在意義を問わねばならないと言いたい。

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特養が実現できる、ゆりかごから看取りまでの共生社会


今年度から介護保険と障害者福祉サービスに位置付けられた共生型サービスとは、介護保険サービスとしては短期入所生活介護と通所介護・訪問介護の3サービスである。

ところで施設サービスである特養は、居宅サービスとしての短期入所生活介護の指定を受けている施設がほとんどだ。また通所介護を併設している特養が一般的である。さらに訪問介護事業所を併設している特養も多い。

ということは新設された3つの共生型サービスのすべての指定を受けて、障害児・者と高齢者へのサービス提供を同時一体的に行う特養が誕生し、そうしたサービス形態が今後増えていくと考えてよいのだろう。

勿論、介護保険サービスを提供する特養の併設事業所が共生型サービスの指定を受けるのは、介護保険の共生型サービスではなく、障害福祉サービスの共生型サービスであり、訪問介護にあたる居宅介護、通所介護にあたる生活介護、短期入所介護にあたる短期入所サービスが、特養の併設事業所の中で提供されていくことになる。

しかも最近の特養の動向をみると、人手不足という状況の中で、子供を産んでも辞めなくてよい特養、子供を育てながら働くことができる特養というコンセプトにして、託児所や保育所を併設する特養が増えている。

つまり特養と併設されたスペースに、ごく日常的に幼児がいることも珍しくなくなっているということだ。そこではお母さんが働く場所である特養に、保育園に通う幼児が訪れて、母親だけではなく、特養利用者とコミュニケーションを交わすという姿が日常的にみられる。

当然そうした空間でも、特養や併設事業所、保育所などの空間区分は明確にされているわけであるが、そこに居る人々がコミュニケーションを交わしたり、交流機会が生まれたりすることは当然ある。報酬算定上の法令ルールの範囲であれば、むしろそうした機会は積極的につくられてよいわけである。

それはまさに子供と大人、健常者と障害者がごく日常的に集う地域共生社会であり、小さなコミュニティともいえる。

そういう場所で、幼児は障害児・者や高齢者とコミュニケーションを交わしながら、この社会がいろいろな人の存在によって成り立っており、すべての人間は存在そのものに価値があるという人間尊重の価値前提を持つことができる可能性がある。

そして特養という場所で、看取り介護を受けている人とも接触する中で、人の命の尊さやはかなさにも触れることができるかもしれない。それは人格形成上、決してデメリットのあることではなく、むしろ必要なことなのではないだろうか。

特養が持つ日常生活支援から看取り介護までの機能を最大限に生かしながら、そしてその機能に加えて併設施設や、保険外サービスの機能もそこに加えることで、特養は、「ゆりかごから看取り介護まで」というサービスを実現できる、新たなコミュニティとなり得ると思う。それは地域包括ケアシステムの中で、特養に求められる役割といえるのではないだろうか。

僕は来月8日(日)に、長崎県の五島市で講演を行う予定になっている。五島市は五島列島・福江島にある市である。そこでご招待いただいた社会福祉法人さんの20周年記念講演の中で、「地域における介護の未来のつくりかた」というテーマでお話しするが、その内容は主催者の方から次のように要望されている。

過疎化、少子高齢化が進む離島においてはあらゆる逆風が吹いています。そんななか夢を持ち続け、介護を充実させ、島を持続するアイデアなどをご披露いただければと考えています。』

この要望に応えるためには、まさに特養を拠点にした新たなコミュニティづくりが必要ではないかと考えた。そこでは僕が今まで実践してきた「看取り介護」のケースの中から、逝く人と残された人々の間に生まれる様々なエピソードとともに、そのことを語りたいと思い、今準備を進めている最中だ。

なお翌日の7/9(月)も同市の五島市福江総合保健福祉センターで、介護事業者向けの3時間講演を行う予定になっているので、同氏の関係者の皆様には、是非会場までお越しいただきたい。

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施設ケアマネが居宅サービス計画を作成しなければならなくなったという事実


新年度(2018年度:平成30年度)からの介護報酬改定では、特養と老健の報酬上、入所者に対して居宅における外泊を認め、当該入所者が、入所している施設により提供される在宅サービスを利用した場合は、1月に6日を限度として所定単位数に代えて1日につき一定の単位数(特養560単位/日・老健800単位/日)が算定できることとなった。

このことについて過日、僕はこのブログ記事で、「施設の業務だけで忙しい職員を、一時的とはいえ施設業務から離脱させて、外泊者へのサービスのために利用者宅に訪問させてサービス提供できるのかを考えたときに、施設職員の労務負担の増大が予測され、現実的ではないような気がする。」と書いた。(参照:特養利用者が自宅に外泊した時に算定できる新報酬は現実的か?

ところがその後、この外泊時のサービスは、利用者が入所施設の施設の職員が外泊先に出かけてサービス提供するだけではなく、外部の居宅サービス利用を調整することでも算定できるという話が聞こえてきた。どういうことかと思っていたが、そのことが解釈通知(案)で明らかになった。(※案なので、今後の変更可能性あり。)

外泊時在宅サービス利用の費用について
外泊時在宅サービスの提供を行うに当たっては、その病状及び身体の状況に照らし、医師、看護・介護職員、支援相談員、介護支援専門員等により、その居宅において在宅サー ビス利用を行う必要性があるかどうか検討すること。
当該入所者又は家族に対し、この加算の趣旨を十分説明し、同意を得た上で実施するこ と。
外泊時在宅サービスの提供に当たっては、介護老人福祉施設の介護支援専門員が、外泊時利用サービスに係る在宅サービスの計画を作成するとともに、従業者又は指定居宅サー ビス事業者等との連絡調整を行い、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ、自立した日常生活を営むことができるように配慮した計画を作成すること。
家族等に対し次の指導を事前に行うことが望ましいこと。
イ 食事、入浴、健康管理等在宅療養に関する指導
ロ 当該入所者の運動機能及び日常生活動作能力の維持及び向上を目的として行う体位変 換、起座又は離床訓練、起立訓練、食事訓練、排泄訓練の指導
ハ 家屋の改善の指導 ニ 当該入所者の介助方法の指導
外泊時在宅サービス利用の費用の算定期間中は、施設の従業者又は指定居宅サービス事業者等により、計画に基づく適切な居宅サービスを提供することとし、居宅サービスの提供を行わない場合はこの加算は対象とならないこと。
加算の算定期間は、1月につき6日以内とする。また、算定方法は、5の(14)の ↓ 及びい鮟猴僂垢襦
利用者の外泊期間中は、当該利用者の同意があれば、そのベッドを短期入所生活介護に活用することは可能であること。この場合において外泊時在宅サービス利用の費用を併せて算定することはできないこと。

外泊時在宅サービス利用の費用については、外泊時費用との併算定ができないことは、報酬告示にも記されている。今回これに加えГ砲茲辰董外泊時費用を算定しない期間であっても、当該利用者の空きベッドを活用して短期入所者を受け入れている場合も、この費用が算定できないことが明らかになったので、この点にまず注意が必要となる。

それにも増してすごい新ルールが、この算定要件の中に含まれている。それはのルールであり、外泊時費用を算定しない間は、別に居宅サービスを使えるということであるが、それは当然一般の在宅者と同じルールで、居宅サービスの保険給付利用ができるという意味であり、しかしそのための居宅サービス計画は、その間に居宅介護支援事業所の介護支援専門員に計画してもらうのではなく、利用者の籍がある介護施設の介護支援専門員が担当するというルールだ。

これはたまげた。しかし施設ケアマネの経験しかない人が、外泊期間中の6日間に限ると言っても、居宅サービス計画を作成できるのだろうか?そんな余裕が施設ケアマネにあるだろうか。

計画作成に当たっては、施設ケアマネに指定居宅サー ビス事業者等との連絡調整を行う義務を課しているが、居宅介護支援に必要とされる、「サービス担当者会議」などの一連の過程までは求められないものと思われる。なぜならこの計画の作成に関する保険請求項目は存在しないため、そのようなルールで縛りをきつくはできないからだ。

それにしてもこの費用を算定するには、多職種でその必要性を検討し、利用者もしくは家族に説明同意するだけではなく、 で示されている家族への事前指導も必要になる。それに加えて外部サービスの利用調整と、居宅サービス計画の作成という業務負担を考えると、わずか6日間しか算定で着ない費用のために、施設ケアマネがそこまで頑張れるかというと、それもなかなか厳しいのではないだろうか。

それやこれやを考えると、やはりこの費用の算定率は低くならざるを得ないと思うわけである。

※すべての居所で看取り介護・ターミナルケアの取り組みがますます必要になります。年3月24日(土)午後14:00から、電気ビル共創館(福岡県福岡市)で看取り介護セミナー行いますので、お近くの方はぜひおいでください。
無題

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新入職員に向けた身体的拘束適正化研修の内容について


国が発出すべき解釈通知をいち早く載せていた埼玉県のサイトから、解釈通知と留意事項が今朝になって削除された。フライングを国にとがめられたのだろうか?どちらにしても1日も早い国からの正式文書の発出が待たれるが、今のところ解釈通知は22日までには出そろうという情報が入っている。しかしQ&Aはそのあとになるので、場合によっては4月にずれ込む恐れがある。事業者は大変だろう・・・。

さて昨日の書いた「身体拘束廃止未実施減算が適用されないための準備は終わっていますか」の中で、身体的拘束適正化のための定期的な研修実施の頻度は、年2回以上とされたが、同時に「新規採用時には必ず身体的拘束適正化の研修を実施することが重要である。」とされたが、Q&Aで、「施行以後、最初の身体拘束廃止に係る委員会を開催するまでの3ヶ月の間に指針等を整備する必要があるため、それ以降の減算になる。」とされたために、身体拘束廃止についての新人研修も6月まで実施しなくとも良いことになっている。

しかし同時に考えなければならないことは、このような研修を採用月内に行うことができない施設でよいのかということだ。新人教育の在り方が問われる問題である。

経験不問は応募動機にはなるけれど・・・。」という記事の中でも指摘しているが、、就業初日から、OJTと称して先輩職員に金魚の糞のように張り付いて、仕事を手伝いながら、先輩職員の仕事のやり方を覚えるだけの業務指導はOJTとは言えないし、それは新人教育の方法としては最悪の方法である。

職員募集に応募があり、採用した新人が事業を支える人材としてしっかり育つ職場には、それなりに特徴があるのだ。そうした職場で共通しているのは、新人教育に費用と時間をかけて、じっくり新人を育てるシステムが存在しているということだ。

そういう事業者では、実務に入る前の基礎研修システムがしっかり組み立てられており、基礎知識を得るための座学研修期間を経たうえで、その知識を現場の実務で確認するためにOJTが行われている。そして一定期間は指導者が固定化されて根拠あるOJTが行われ、振り返りの相談指導がきちんと組み込まれているのだ。

きちんと人材を育てようと思えば、1週間なり2週間なりの座学指導期間がなければならず、その期間中に最低の基礎知識として、「身体拘束廃止の原則」を学ぶ機会がなければならない。

つまり身体的拘束適正化のための新人向け研修の実施は、減算対策として行われるような問題ではなく、事業者の基礎となる新人教育の一環として行われるというのが正しい理解である。そのことは事業者のアイデンティティー(identity)にもつながる問題であろう。

よって来月、新人が入職する予定の事業者については、きちんと来月中の早い段階で、この研修を行うべきであり、それを行わない事業者・行えない事業者であっては、人材が育たず、人材が張り付かない事業者となる危険性が高いという意味にもなろう。

ところで新人教育として、身体拘束廃止についてどの程度の内容を盛り込むべきかという問題がある。この時期には、たくさんの知識が詰めまれるので、身体拘束廃止に関しても、あまり深い知識を求めるのは、新人にとって酷である。

入職月の研修はいわば入門編なのだから、身体拘束廃止についても、概論でよいだろう。知識を深めていくのは仕事を徐々に覚えていく時期にリンクさせていけばよいので、2回目以降を見据えてプログラムを考えたい。するとこの時期に学んでほしいことは、以下の3点である。
1.身体拘束が原則禁止となっている施設はどう規定されているのか。
2.身体拘束の対象となる具体的行為とは何か
3.身体拘束を例外的に行う「緊急やむを得ない場合」はどのように規定されているか。

以上の3点に絞って、30分程度の講義を行えば十分ではないだろうか。この研修は最低でも年2回は行わねばならないので、具体的なケースの分析などは、その後の研修で行えばよいと思う。

講師役は相談援助職員など、施設内の職員で問題なく実施できるだろう。そのほか、施設内研修として、虐待防止など総合的な研修を行いたい場合などは、是非僕にも講師依頼をいただければと思う。

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身体拘束廃止未実施減算が適用されないための準備は終わっていますか


4月からの報酬改定では、介護保険施設(特養・老健・療養型医療施設・介護医療院)や特定施設、認知症対応型共同生活介護の身体拘束廃止未実施減算について、現行の5単位/日減算から、改定後は、10%/日減算に変更されている。

さらに減算規定は次のように変更されている。

5 介護福祉施設サービス
(5) 身体拘束廃止未実施減算について
身体拘束廃止未実施減算については、施設において身体拘束等が行われていた場合ではなく、 指定介護老人福祉施設基準第 11 条第5項の記録(同条第4項に規定する身体拘束等を行う場合 の記録)を行っていない場合及び同条第6項に規定する措置を講じていない場合に、入所者全員について所定単位数から減算することとなる。具体的には、記録を行っていない、身体的拘束の適正化のための対策を検討する委員会を3月に1回以上開催していない身体的拘束適正化のための指針を整備していない又は身体的拘束適正化のための定期的な研修を実施していない事実が生じた場合、速やかに改善計画を都道府県知事に提出した後、事実が生じた月から3月後に改善計画に基づく改善状況を都道府県知事に報告することとし、事実が生じた月の翌月から改善が認められた月までの間について、入所者全員について所定単位数から減算することとする。

このように4月以降、やむを得ない事情により身体拘束を行った場合の記録を行っていない場合に加え、身体的拘束適正化検討委員会の3月ごとの開催、身体的拘束適正化のための指針作成と、身体的拘束適正化のための定期的な研修実施の3項目が新たに求められた。

このうち適正化委員会と職員研修は4月にすぐ実施する必要はないが(※新入職員がいる場合は研修実施が必要:後述)、6月までに実施する必要がある。また「身体的拘束適正化のための指針」については、施行以後、最初の身体拘束廃止に係る委員会を開催するまでの3ヶ月の間に整備する必要があるため、それ以降の減算になる。

指針の内容については、解釈通知で次のよう内容を盛り込むことが定められている。
施設における身体的拘束適正化に関する基本的考え方
身体的拘束適正化のための委員会その他施設内の組織に関する事項
身体的拘束適正化のための職員研修に関する基本方針
施設内で発生した身体的拘束の報告方法等のための方策に関する基本方針
身体的拘束発生時の対応に関する基本方針
入所者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
その他身体的拘束適正化の推進のために必要な基本方針


内容的にはさほど面倒くさいものではない。事務レベルで即作成できる内容だろう。作成していない施設は今日から早速作成作業に取り掛かる必要がある。

また身体拘束適正化員会についても細かく規定されている。

(3)身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会(第6項第1号)
同条第6項第1号の「身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会」(以下「身体 的拘束適正化検討委員会」という。)とは、身体的拘束の適正化のための対策を検討する委員会であり、幅広い職種(例えば、施設長(管理者)、事務長、医師、看護職員、介護職員、生活相談員)により構成する。構成メンバーの責務及び役割分担を明確にするとともに、専任の身体的拘束適正化対応策を担当する者を決めておくことが必要である。 なお、身体的拘束適正化検討委員会は、運営委員会など他の委員会と独立して設置・運営することが必要であるが、事故防止委員会及び感染対策委員会については、関係する職種等が身 体的拘束適正化検討委員会と相互に関係が深いと認められることから、これと一体的に設置・ 運営することも差し支えない。身体的拘束適正化検討委員会の責任者はケア全般の責任者であることが望ましい。また、身体的拘束適正化検討委員会には、第三者や専門家を活用することが望ましく、その方策として、精神科専門医等の専門医の活用等が考えられる。 指定介護老人福祉施設が、報告、改善のための方策を定め、周知徹底する目的は、身体的拘束適正化について、施設全体で情報共有し、今後の再発防止につなげるためのものであり、決して従業者の懲罰を目的としたものではないことに留意することが必要である。 具体的には、次のようなことを想定している。
身体的拘束について報告するための様式を整備すること。
介護職員その他の従業者は、身体的拘束の発生ごとにその状況、背景等を記録するとと もに、,陵夕阿暴召ぁ⊃搬療拘束について報告すること。
身体的拘束適正化のための委員会において、△砲茲衒鷙陲気譴浸例を集計し、分析す ること。
事例の分析に当たっては、身体的拘束の発生時の状況等を分析し、身体的拘束の発生原 因、結果等をとりまとめ、当該事例の適正性と適正化策を検討すること。
報告された事例及び分析結果を従業者に周知徹底すること。
適正化策を講じた後に、その効果について評価すること。

↑業務負担としては決して少なくはないが、必ず実施しなければならない業務として、施設のシステムに組み入れる必要がある。太字で示した点は特に注意が必要である。

身体的拘束適正化のための定期的な研修実施の頻度は、年2回以上とされたが、同時に「新規採用時には必ず身体的拘束適正化の研修を実施することが重要である。」とされたため、新規採用者がいる場合には必ず実施する必要がある。4月は、新たに入職する職員がいる施設が多いだろうが、これも6月まで猶予が与えられている。

その研修実施の準備も今からしておかねばならない。指針に基づいた研修プログラムの作成も必要となり、研修の実施内容についても記録することが必要である。(研修は施設内研修で差し支えなし)この研修で、外部講師を求める場合は、是非お声をかけていただきたい。

どちらにしてもこの準備が滞っている施設は、これから半月間、大変な準備が必要となる。


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施設新規入所者の暫定プランは、ほぼあり得ない。


介護保険法第8条24号は、この法律において「介護老人福祉施設」とは〜施設サービス計画に基づいて、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行うことを目的とする施設と定めている。

この条文により、施設サービス計画はサービスの要件とされている。(老健・療養型医療施設も同様。)

この条文を盾に取れば、施設サービス計画のない状態で施設サービスを提供した場合、その間の介護報酬は算定できないと指導されても仕方がないのである。このことは居宅サービス計画が、居宅サービスを現物給付化する手段として定めている点(同法41条第6項)と著しく異なっている。(※よって居宅サービスの場合、居宅サービス計画のない状態での利用は、償還払いとなるだけで、報酬返還指導はあり得ない。)

このため介護施設に新規入所する人がいる場合に、入所日のその時点で施設サービス計画が必要になる。しかしその際、入所前に十分なアセスメントができないことから、入所時点で暫定プランを立てて、入所後に改めて正規のプランを立て直すと考えている人がいる。表の掲示板には、施設入所時の暫定プランを、正式なプランに変更する際に、計画作成日や同意日をいつの時点にすべきなのかという質問がたまに書き込まれることがある。

しかしそもそも入所時にアセスメント情報が不足している中で作成するプランは暫定プランとは言わない。

暫定プランとは、要介護・要支援の新規申請、区分変更申請など、認定申請後に要介護度(要支援度)が確定するま での間に作成する計画のことを指し、第1表の要介護状態く欄に記載できない状態で作成するサービス計画のことを言う。

しかし特養の場合は、原則要介護3以上でないと入所できないし、老健や療養型医療施設であっても、要介護1以上ではないと入所できない。そのため入所後でないと認定結果が出ない状態では、後に保険給付がされず全額自己負担となる恐れがあるため、認定結果が出る前の入所はほぼあり得ない。よって新規入所時に暫定プランによる対応を行うということも、ほぼあり得ないケースである。
(※入所後の更新認定及び区分変更の場合は、前認定期間とのタイムラグが生じて暫定プランの状態になることは考えられる)

よって施設の新規入所の場合でも、その時点から暫定ではない計画が求められるのが介護保険法第8条に定められている法令ルールである。

ただしこの場合アセスメント情報が不十分な場合も十分考えられるんだから、入所前のインテーク情報をもとに、老企29号で規定された課題分析標準項目を網羅したアセスメントを行い、サービス担当者会議等の一連の過程を経たうえで、とりあえず施設サービス計画を立案しておくという考え方があって良い。この場合入所後終週間後にアセスメント情報が十分整った段階で、計画の再作成をするという手順が正しい方法である。勿論この際には、省令第三十八号第十三条に定められた一連の過程を経た、施設サービス計画の再作成という意味になり、2回目の計画作成である。

入所時点で作成しなければならない計画も、本プアランであるから、本来は長・短期目標の期間を設定し、(著しい状態変化がない限り)短期目標の終了期間を目安に見直しを行うのが筋である。しかし入所直後のアセスメント情報は不十分であることを踏まえ、入所後○○日後を目安に、アセスメントを十分に行って、その時点で本格的な施設サービス計画を立案するという考え方があっても良い。(前述したように、この場合も2回目の計画書となるが)

この際は、入所時点の計画書の長・短期目標については、老企第29号の「原則として開始時期と終了時期を記入することとし、終了時期が特定できない場合等にあっては、開始時期のみ記載する等として取り扱って差し支えないものとする。」という規定を当てはめて、終了時期を記載せずに運用することも可能である。

どちらにしても入所直後のプランも暫定ではなく、本プランであり、当然のことながら施設サービス計画作成日は入所前か入所日である、計画の同意日も入所日より後になることはあり得ない。

ただし老企22号解釈通知には、以下の規定がある。

指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について(平成11年老企第22号)<H24.4.1改正>
(7)指定居宅介護支援の基本取扱方針及び具体的取扱方針
(略)
 なお、利用者の課題分析(第六号)から居宅サービス計画の利用者への交付(第十一号)に掲げる一連の業務については、基準第一条に掲げる基本方針を達成するために必要となる業務を列記したものであり、基本的にはこのプロセスに応じて進めるべきものであるが、緊急的なサービス利用等やむを得ない場合や、効果的・効率的に行うことを前提とするものであれば、業務の順序について拘束するものではない。ただし、その場合にあっても、それぞれ位置付けられた個々の業務は、事後的に可及的速やかに実施し、その結果に基づいて必要に応じて居宅サービス計画を見直すなど、適切に対応しなければならない。

よって新規の入所が急に決まる場合などで(緊急入所や虐待原因の措置入所等)、効果的・効率的に行うことを前提とするものであれば、「業務の順序について拘束するものではない。」という規定を適用し、サービス担当者会議などの手順は前後しても構わないわけである。しかしそれも暫定プランではなく、本計画としての取り扱いとなるという理解をしていただきたい。
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