masaの介護福祉情報裏板

介護や福祉への思いを中心に日頃の思いを綴ってみました。表の掲示板とは一味違った切り口で、福祉や介護の現状や問題について熱く語っています!!表板は業界屈指の情報掲示板です。

施設サービス

老健に対する国のメッセージを見誤ってはならない



厚労省の方と話をする際、老健に話題が及ぶときに、「特養化」という言葉がよく出てくる。

勿論それは悪い意味であり、在宅復帰機能を放棄したかのような長期滞在施設になってしまっている老健は、存在意義が薄いという意味で使われている言葉だ。

ご存じのように老健の報酬単価は、特養の単価より高額に設定されている。

それは老健の介護報酬には、入所者の処方薬代金も含まれた包括報酬=いわゆるマルメ報酬であることとに加え、医師や看護職員・リハ専門職などの有資格者を、特養より数多く配置しなければならないことによる差である。

しかしその根本は、老健は医療機関入院と在宅生活の中間に位置づけられる施設であり、急性期治療を終えた方が、在宅生活ができるように回復期リハビリテーションの中核機能を担って、できるだけ速やかに要介護者を在宅復帰させるための専門職配置であり、そのための報酬単価であることを忘れてはならない。

その為、厚労省の官僚の中には、「特養化した老健は、特養と同等の報酬単価でよい」と考える人も多いし、さらには「そうした老健は倒産・廃業したって良い」と考えている人も居る。

現在5区分(超強化型・在宅強化型・加算型・基本型・その他)に分かれている老健のうち、「その他老健」が経営困難なほどの報酬単価になっている意味は、「そんな老健はいらない」というメッセージなのである。

そして国は介護報酬改定の度に、在宅復帰・在宅療養支援機能を強化する仕組みを少しずつバージョンアップさせている。

その為、来年度の報酬改定では「基本型」についてもかなり厳しい改定となることは、「基本型老健にさらなる逆風」で解説したとおりである。

その具体的内容が11/16の介護給付費分科会で示されたので整理してみよう。
前途多難な船出
在宅復帰・在宅療養支援等指標については次の2点の評価を加える。
入所前後訪問指導割合及び退所前後訪問指導割合に係る指標の取得状況を踏まえ、基準を引き上げる
・支援相談員の配置割合に係る指標において、社会福祉士の配置を評価する。

そのうえで各類型間における基本報酬において更に評価の差をつける・・・つまり傾斜配分を今以上に強化し、基本型以下の老健の基本サービス費は下げて、加算型以上の老健の基本サービス費を引き上げる財源に回すことになる。

老健の中核加算ともいえる短期集中リハビリテーション実施加算については、原則として入所時及び月1回以上ADL等の評価を行った上で、必要に応じてリハビリテーション計画を見直すとともに、評価結果をLIFEに提出した場合の加算区分を新設する。

認知症リハビリについては、学習療法や記憶訓練等に比重が偏っており、廃用予防や活動・参加につながる訓練をすべきであるとの指摘がされていたことを踏まえ、認知症短期集中リハビリテーション実施加算について、利用者の居宅を訪問し生活環境を把握することを要件とし、居宅を訪問しない場合と区分して算定できるようにする。

認知症リハビリにも、もきちんと身体機能を改善できる方法を取り入れて、自宅復帰ができることを意識させる改定内容となっている。

また今回の報酬改定では、居宅サービス・施設サービス横断的に、リハ・口腔・栄養を一体的に推進するとしているため、リハビリテーションマネジメント計画書情報加算について、リハビリテーション・口腔・栄養を一体的に推進する観点から、下記の要件を満たす場合について評価する加算区分を新設し、要件を以下の通りとする。
・口腔衛生管理加算(供傍擇啀浜椒泪優献瓮鵐閥化加算を算定していること。
・実施計画等の内容について、リハ・口腔・栄養の情報を関係職種間で一体的に共有すること。その際、必要に応じてLIFE提出情報を活用すること。
・共有した情報を踏まえ、リハビリテーション計画について必要な見直しを行った上で、見直しの内容について関係職種に対しフィードバックを行うこと。
(※介護医療院の理学療法等(特別診療費)特養の個別機能訓練加算(供についても同様の見直しを行う)

また慢性心不全が増悪した場合について所定疾患施設療養費の対象として追加している。

ターミナルケア加算については、死亡日から期間が離れた区分における評価を引き下げ、死亡直前における評価をより一層行うよう重点化を図るとされた。

かかりつけ医連携薬剤調整加算(機の下位区分に、施設において薬剤を評価・調整した場合を追加し、下記の3要件を追加することとした。
・ 処方を変更する際の留意事項を医師、薬剤師及び看護師等の多職種で共有し、処方変更に伴う病状の悪化や新たな副作用の有無について、多職種で確認し、必要に応じて総合的に評価を行うこと
・ 入所前に6種類以上の内服薬が処方されている方を対象とすること
・ 入所者や家族に対して、処方変更に伴う注意事項の説明やポファーマシーに関する一般的な注意の啓発を行うこと。

このように減薬の取り組みも一層推進する方向が示されている。

なお地域連携診療計画情報提供加算及び認知症情報提供加算は算定率が低いため廃止とするとされた。

このように老健の主たる改定事項は、在宅復帰施設としての機能を強化する方向にシフトしていることが明らかである。

その為、現在基本型の報酬しか算定できていない老健は、一日も早く加算型に移行する手立てをとらないと、ごく近い将来、経営破綻に追い込まれることを覚悟しておかねばならない。






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協力医療機関指定義務化は特養には高いハードル



11/16の介護給付費分科会では、介護保険施設・特定施設・福祉用具・住宅改修の報酬改定議論第2ラウンドの議論が行われた。

僕がここで注目していたのは、老健と介護医療院の多床室室料の自己負担について論点として示されるかどうかであった。

というのも昨年末の制度改正議論で積み残された3つの課題のうち、〕用者自己負担割合2割・3割対象者(一定以上所得者と現役並み所得者)の対象見直し※2割負担者を現行20%から25%へ)と、65歳以上の介護保険料について、年間の合計所得が410万円以上などおよそ140万人の保険料を引き上げ、それを財源として低所得者は引き下げる案については、11/6の介護保険部会資料で示されており、もう一点だけ残されたO祁鬚伐雜邂緡撤,梁疹下室捨舛亮己負担について、論点提示されれば積み残し課題がすべて実現される運びになると思えたからだ。

昨日はそれが提示されなかった。しかし考えてみれば11/6に2つの論点が提示されたのは制度改正を議論する介護保険部会であり、今回は報酬改定を議論する介護給付費分科会だから、その違いなのか・・・それとも6日の介護保険部会の議題としても挙がらなかったことを考えると、それは見送られるのだろうか。

だが、改定率が公表された後の、「介護報酬改定の主な事項」によっていきなり提示される可能性もあるので、ここでは結論を示すことはできない。

それは介護施設の食費の標準費用も同じことで、昨日の資料では何の言及もないが、改定率が示された以後に急に考え方が示されることになるのではないだろうか。
紅葉の絨毯
さて昨日の議論では介護保険施設について、協力医療機関の指定を義務化することが提案され話題となっている。

そてによると1年間の経過措置を設けたうえで、下記の(1)から(3)の要件を満たす協力医療機関を定める義務を課すとしている。
(1)入所者の急変時などに、医師や看護職員が夜間休日を含めて相談対応する体制が確保されていること
(2)診療の求めを受け、夜間休日を含めて診療が可能な体制を確保していること
(3)緊急時に原則入院できる体制を確保していること

※ 複数の協力医療機関を定めることで(1)〜(3)を満たすことも可

特定施設・認知症グループホームについては、(1)と(2)を努力義務とすることも併せて提案された。

協力医療機関を定める規定は現在も存在しているが、これと今回の案はどう違うのだろう。

現在の規定は、どこそこが協力医療機関であると運営規定に定めればよいだけの話で、協力医療機関においてどのような利便が図られるかという点は特に定めがなく、施設と医療機関の間で決めおくだけでよいという規定だ。

極端に言えば、医療機関の承諾を得て、運営規定上に協力病院として名称を記載するだけでも良いわけであり、協力医療機関として特別な対応をとる体制がなくともよいわけである。

しかし今回提案された義務化によって、上記の(1)〜(3)の体制が必要になるわけである。

これは果たして可能だろうか・・・老健と介護医療院については、もともと母体が医療機関だろうから、この体制は比較的容易に構築できるであろう。

しかし特養はそういうわけにはいかない。僕が以前総合施設長を務めていた社福・特養の場合は、母体が医療機関であったので、老健等と同じようにその体制作りは難しくないだろう。

しかし母体がない社福単独型や医療機関以外の母体を持つ特養は、その体制構築は困難である。特に(3)のハードルが高すぎる。

どこの医療機関が、協力施設のためにベッドを空けておいてくれるというのだろう・・・関連施設でない限り、常識で考えてそのような対応はあり得ない。

また(1)と(2)も決して低いハードルではない。これらの体制を全て整えるならば、協力医療機関としての委託料が発生するとされるケースも出てくるだろう。しかし今回の義務化に対する加算報酬はないわけであるから、この義務化は今現在は発生しない経費支出を伴う可能性も否定できない。

今までほとんど議論がない中で、突然示された協力病院の指定義務化とは、これだけのハードルがあることを厚労省は理解しているのだろうか。

どちらにしても簡単に、「わかりました」と承諾できる提案ではないと思う。

全国老施協は、この提案に対してどのような考え方を示すだろうか・・・全国老施協がどちらを向いているのかが、その姿勢によって明らかになるのかもしれないので、ここには注目しておきたい。






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基本型老健にさらなる逆風


web会議で行われた8/7の第221回社会保障審議会介護給付費分科会(※資料)は、介護保険3施設と特定施設等の議論が中心となった。

そこで行われた議論では、すべての施設で、「看取りへの対応の充実」が重要な論点として挙がっている点が注目される。

居宅サービスの論点でもこのことは取り上げられており、多死社会に突入した我が国においては、全サービスで看取り介護・ターミナルケアの実践が重要とされていることがわかり、それに関する加算報酬は今後も優遇されていくだろう。

僕は我が国で最初の、「看取り介護指針」の作成者でもあり、その指針に基づく看取り介護実践を行ってきた経験から、全国各地で数多くの看取り介護講演を行っているので、是非機会があればそうした講演を聴きに来ていただきたい。
清流
それはともかく、今日は老健の論点が興味深かったので、そのことを取り上げて考察してみよう。

今更言うまでもなく、老健の最重要機能とは在宅復帰機能であり、この機能に関する議論が活発に行われた。

例えば、老健におけるリハビリテーションについて、老健入所直後は、集中的なリハビリテーションにより比較的大きく、ADLが改善することが示されているとして、在宅復帰に結びつく効果あるリハビリテーション実践への更なる評価が必要であることが示唆されている。

同時に、認知症リハビリテーションについては、「学習療法や記憶訓練等に比重が偏っている」と指摘され、もっと在宅復帰に結びつくための廃用予防や活動・参加につながる訓練をすべきであるとの指摘がされている。

このように老健の論点では、今まで以上に在宅復帰・在宅療養支援機能の促進に向けた報酬設定が最重要課題とされているのである。

さらに当日の議論では、「在宅復帰に向けた地域拠点としての役割、リハビリで心身機能を維持・改善する役割は引き続き重要。報酬のメリハリ付けも念頭に置きつつ、サービスを必要とする高齢者がしっかりと利用できるようにしていくことが必要」という指摘もされており、基本サービス費についても、より在宅復帰機能が高い老健の報酬が今まで以上に優遇される可能性が高まったと言える。

現在老健は、超強化型強化型加算型、・基本型その他の5類型に分かれている。当然超強化型の報酬単価が一番高く、その他に向かうほど低く設定されているわけであるが、この報酬単価の傾斜配分がより強化されるのではないかと予測する。

というのも今年2月のデータでみると、老健の類型は既に超強化型、強化型、加算型の3つで全体のおよそ7割を占めるに至っているのである。基本型とその他は少数派に落ち込んでおり、この2つの類型はなくなっても良いと国は考えている節がある。

さすれば加算型以上の老健の基本報酬が上げられると仮定した場合、その財源は基本型とその他の報酬をカットして回すということもあり得るわけである。

昨年書いた、「基本型老健には厳しい制度改正になります」の中で、特養の特例入所要件の緩和と、老健の多床室室料負担が実現した場合、基本型老健に長期入所している要介護1と2の利用者の、特養への流出現象が起きて、基本型老健の空きベッドが大量発生する可能性を指摘しているが、このことと併せて考えると、基本型老健は制度開始以来最大の逆風を受けることになりかねない。

どちらにしても長期的に考えると、基本型老健はいずれ経営困難なほど報酬カットが行われ、自然消滅へのシナリオが描かれることは間違いないだろう。

よって基本型の報酬しか算定できていない老健は、一日も早く加算型報酬を算定できる体制へと移行していく必要があることを指摘しておきたい。



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今年のお盆帰省が最期の機会となる人がいます


今年のお盆帰省のUターンピークは15日と言われていた。

ということは先週金曜日の山の日の祝日からお盆休みを1週間とれる人も少なくなかったということだろう。

シフト勤務が中心で、お盆休みとは縁がない介護事業関係者にとって、それはとても羨ましいことに思える。

しかし台風7号の影響で、東海・近畿地方ではすでに交通に影響が出ている。新千歳空港の発着便にも影響が出て、今日夕方の伊丹空港や関西国際空港等への出発便などで欠航が決まっている。(※ピーチの名古屋行きは午前中から全便欠航している。

明日はもっと大きな影響が出るとされているので、昨日までにUターンを速めた人も多いのではないだろうか。

しかし明後日以降まで自宅に戻れない人の方が多くなるかもしれない。身の安全が何より大事なので、焦らず対応していただきたい。
風鈴寺
ところで今年のお盆は新型コロナの感染分類が変更になったことで、3年ぶり・4年ぶりに故郷に帰省したという人も多いはずだ。

そこで介護施設等に入居している家族や親族に久方ぶりで逢いたいと思っていた方もいるのではないかと思う。

しかし介護保険施設や居住系施設で未だに面会制限を行っているところも少なくはない。特に対面の面会を完全に禁じているところでは、久しぶりに帰省して身内と何年かぶりに逢おうとしても、「感染予防対策」の名のもとに、利用者やその家族・親族等の願いや思いがすべてつぶされてしまうわけである。

それが対人援助サービスとしての姿であってよいのだろうか。

そうした制限を続ける理由は、クラスター感染を恐れてだと思うのだが、新型コロナウイルスはなくならない。ずっとこの感染症とは付き合わねばならないのだから、実際にクラスター感染が起こっていない状況で面会制限をし続けてよいのかを考えなけれなならない。

勿論、制限を続けている施設関係者にもジレンマがあるようで、表の掲示板の関連スレッドにも、様々な意見が書き込まれている。

関係者の皆さんもいろいろと悩み、苦しみながら苦渋の決断として制限を続けている様子が見て取れ、その気持ちもわからないではないか、しかし時間や人数の制限や面会場所の指定はあっても仕方がないとしても、少なくとも対面の面会を完全に禁ずるなんてことは、もうあってはならないことと考えるべきではないかと思う。

僕は8年前まで社福の総合施設長を務めていたが、その当時特養の年間平均死亡者数は定員の2割〜3割と言われていた。つまり100人定員の施設であれば、1年間で20人〜30人の利用者が死亡退所するという意味だ。

そうであれば今、100定員の特養でお盆を過ごしている人のうち、20人〜30人の利用者が来年のお盆を迎える前に亡くなられる可能性があるということになる。それらの方にとって、お盆で帰省している愛する誰かと逢える機会は今だけなのかもしれないということを考えてもらいたい。

私たちの仕事は誰かの暮らしを豊かにするためにあるのだ。ルールや制限でがんじがらめにして、利用者の命の安全だけを図る仕事ではないのだということを思い出してほしい。

特に高齢者介護においては、この世で縁を結んだ愛しい人々との最期の愛のエピソードづくりの支援ということが、私たちの重要な役割になることを忘れてはならない。

縁を途絶えさせる役割なんて、私たちには持たされていないのである。




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密室化慣れからの脱却


新型コロナの感染症分類が5類に変更されたことに伴い、やっと面会制限を解除する方向に向かっている介護施設・居住系施設が多い。

それにしてもコロナ禍のこの3年間は、様々な場面での異常な状態が、「当たり前」と考えられるようになってしまった。
ちなみにコロナ禍とは、「新型コロナウイルスが招いた災難や危機的状況」を指す。その時期の明確な定義は存在しないが、2020年3月半ば頃から、新聞やネット上でコロナ禍という言葉がよく見かけられるようになっている。

例えばこの3年間、対面による面会制限を一度も解除せず、オンライン面会しか認めていな介護施設も存在する。コロナ禍以後にそこに就職した人は、それが当たり前と思っており、利用者をケアする場は、職員以外の外部の門が立ち入ってはならない場所と思い込んでいる職員もいたりする。

しかし利用者の居住空間を、管理者側の都合で密室化することは許されていない。本来防犯以外の目的で施錠は許されていないので、24時間施錠や外出禁止、面会制限も身体拘束廃止規定に違反する問題である。

コロナ禍という特別な時期だけに許されていた制限を、感染症分類が変更になった今も、ダラダラとt継続していることは、法令上も罰則対象となる恐れがあることを理解せねばならない。

そのような指摘に対しては、「感染症分類が変わったと言っても、新型コロナウイルスが無くなったわけではないので、引き続き注意が必要だ。」と反論したりする人がいたりするが、そんなことを言っていたら未来永劫感染予防対策にがんじがらめになって、社会活動は正常に戻らない。

新型コロナウイルスの感染力や致死率も、季節性インフルエンザと変わらないレベルになっているのだから、コロナ禍以前の正常な社会活動を取り戻すことを第一に考えるべきである。

クラスター感染を恐れて、感染者がいない状況で制限を続けるなんてことであってはならないのだ。
誰かのあかい花になるために
ところで、面会制限を解除した介護施設等の関係者からは、長期間の面会制限中に外部の目が届かなかったことの負の遺産を心配する声も出されている。

面会制限中に接遇意識が緩んで、言葉遣いをはじめとした顧客対応に劣化が生じて、改めてサービスマナー意識の向上が必要とされるという声が挙がっているのである。

本来それは情けのないことである。サービスマナーは、お客様自身に対する意識で、第3者の目があろうとなかろうと護らねばならない意識だからだ。

しかし人間はいつも己を律し続けて生きられる強い存在でもない。心が緩むことがあるのも人間である。面会制限期間中に利用者と職員以外しか存在しない場所で、外部の目が届かず、外部からの声も聞こえなくなったことによって、甘えが生じてしまうということもあるのだろう。

それによってサービスマナー意識の低下による利用者対応の劣化が生じたことを反省しなければならない介護事業者は少なくないのではないかと思う。

その反省に立って、改めてサービスマナー意識の向上に努めることは必要なことであるし、それを行おうとする介護事業者には未来があると言える。

今後は、外部の目の届かない時期や場所であっても、サービスマナー意識を低下させないための根本を、しっかり教育してほしいと思う。

僕もそのお手伝いはできるので、介護事業に通用する本物のサービスマナー教育を求めている方は、是非講師依頼の連絡をしてほしい。

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特養入所指針の一部改正通知は中途半端すぎる


4/7付で発出された介護保険最新情報のVol.1141は、「指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針について」の一部改正について(通知)とされている。

今回の通知内容は、原則として要介護3以上の高齢者としている特別養護老人ホームの入所基準に関連して、要介護1、2でも施設へ入れるようにする「特例入所」の趣旨の明確化を図ったものである。

特養の入所基準の見直しの必要性等については、「特養の入所基準再見直しは他サービスにも広く影響します」で昨年8月に解説しているので参照してほしい。

特養は平成27年度(2015年度)から要介護3以上の要介護者に限定して入所が認められるように法令改正されているが、この原則自体を見直して元の基準に戻すことは、施策の一貫性を欠くものだとして行われなかった。その代わりに特例入所を現行より広く認めるように、その周知を図ったというのが今回の通知の主旨である。

しかしこれによって本当に、特例入所の適用件数が増えるだろうか・・・。
ドウダンツツジ
改正前の通知では特例入所について次のように例示されている。
--------------------------------------------------
(1)特例入所の対象者について
特例入所の要件に該当することの判定に際しては、居宅において日常生活を営むことが困難なことについてやむを得ない事由があることに関し、以下の事情を考慮すること。
’知症である者であって、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られること
知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られること
2搬嘉による深刻な虐待が疑われること等により、心身の安全・安心の確保が困難であること
っ運叛ぢ咾任△襦同居家族が高齢又は病弱である等により家族等による支援が期待できず、かつ、地域での介護サービスや生活支援の供給が不十分であること

--------------------------------------------------
今回の通知では上記に加えて、下記の部分の赤字で示した部分が追記されている。

(2)その他の勘案事項について
居宅サービスの利用に関する状況などが考えられることや、要介護1又は2の方について、2.(1) 銑い坊任欧襦居宅において日常生活を営むことが困難なことについてやむを得ない事由がある状況などが考えられること。

つまりその他の勘案事項に、「居宅において日常生活を営むことが困難なことについてやむを得ない事由がある状況」が追加されているだけなのである。

個々の実情を十分に考慮しなさいと促した内容ではあるが、さして従前通知と変わった内容とは思えない。

これが、「特例入所」の趣旨の明確化だと言われても首をかしげたくなる内容だ。

これによって本当に特例入所が広く適用され、増えるかと云われても首を傾げてしまう。特に市町村は、今回の通知の6.その他で、「管内の市町村・関係団体における特例入所に関する指針の作成及び特例入所の運用について、必要な助言及び適切な援助を行うこと。」とされているため、特例入所が増えることで仕事が増えると考えてしまう可能性も生ずる。

さすれば大した強制力もない今回の通知は無視して、従前と変わらぬ対応で特例入所の適用ケースもさほど広がらないのではないかと想像してしまう。

そのため行き場のない軽度者の救済という根本問題は、今回の通知では解決しないと言ってよいのではないかと考えざるを得ない。

こんな中途半端な通知ではなく、もっと積極的に特例入所を適用せよとする通知にするか、入所要件自体を従前の要介護1以上に戻すかの方がスッキリしたのではないだろうか。

どちらにしても特例入所に関して、その適用に大きな地域差が見られるという状況に大きな変化は起こらないと思える。

行政担当者との協議・折衝する特養の入所担当者の苦労も絶えないことだろう。そういう意味で非常に残念な通知内容であると思う。
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特養の経営破綻が現実味を帯びてくる収支差率


厚労省は今月1日、令和4年度介護事業経営概況調査結果の概要を公表した。

そこで示された最新の収支差率とは、令和3年度(2021年度)決算の数字であり、以下の図のように報告されている。
令和4年度介護介護サービスにおける収支差率
この結果について、コロナ禍の利用控えの影響を受けた、「通所介護」の収支悪化が話題となっているが、逆に言えば収支悪化の原因がはっきりしているのだから、利用控えが収まれば収支の回復が期待できるともいえる。(※通所リハも同じことがいえるだろう。)

特に2023年はいわゆる「団塊の世代」のおよそ7割が75歳以上の後期高齢者になる見込みで、通所サービス利用ニーズはまだ増えると思われる。そのため通所介護は飽和状態で、自然淘汰される事業所が増えるのではないかとされる懸念の声は、一時的にはかき消されるのではないだろうか。

それにも増して心配なのは、コロナ禍でもベッド稼働率の極端な低下がなかったはずの特養の収支差率が下がっていることだ。

上記の表をみてわかるように、特養の収支差率は既に1.3%となっている。介護施設は簡単にベッド数を増やことはできないので、これは非常に心配な数字である。

2021年度からちょうど10年前の、2011年度の介護事業経営調査では、介護3施設の収支差率平均は9.3%で、特養は10%を超えていた。

これが多額の内部留保批判論へとつながり、介護報酬改定の度に報酬削減の大きな理由となって、基本サービス費は引き下げられてきたわけである。

それによってわずか10年で特養の収支差率は1/10となった。しかしこれは危険水域ではないのだろうか・・・。

特養は介護保険制度以前は措置費運営で、職員給与は国家公務員に準拠(※同じという意味)されていた。

その為職員の平均勤務年数も高く、平均給与額も国家公務員並みだった。おそらく当時の老健施設(老人保健法時代)より平均給与額は高かっただろう。

そのような中で、僕が勤めていた社会福祉法人は、介護保険制度が施行された当時、既に事業開始から18年を経ていた。

その法人は、介護経営実態調査の収支差率調査の対象になったことはなかった。つまり国が公表する平均収支差率のもとになるデータは、介護保険制度以後にできた職員の経験年数が浅く、給与が低い事業者がかなり多く含まれているという疑いがぬぐえないのだ。

そういうデータに基づく数値の収支差率が1%台であるということは、全国の至る所で単年度赤字の特養が出現しているという意味ではないのか・・・。そういったところは、繰越金を取り崩して施設経営を続けているのだろう。しかし繰越金はいつか尽きるのである。

しかも収益率が1.3%まで下がった2021年度より、2022年度は物価高の影響によってさらに収益率が下がる特養が多いはずだ。そのような低い平均収益率のなかで、数多くの単年度赤字施設が発生するとしたら、それによって特養経営が破綻することも現実的になってくるのではないか。

それは介護難民を大量発生させることに繋がりかねない。特にそのことは、補足給付を受けないと施設サービスを利用できない低所得者層には大きなダメージとなるだろう。

2024年度の介護報酬改定について厚生労働省は、今年5月から最新の介護事業経営実態調査を行い、結果を今年10月ごろにまとめたうえで、その数値を直近のデータとして報酬改定の判断に使う予定にしている。

ここで実態に近い厳しい収益状況が把握され、基本サービス費が上がらないことにはどうしようもない。

全国老施協等の関係者は、介護事業経営実態調査が実態を正しく反映される調査対象を選んで実施されるように提言と監視を強め、プラス改定に向けて強力な運動を推し進めていく必要があるのではないか・・・。

財源がないとう理屈で特養の経営破綻が続出してよいのかということを、より強く訴えるべきでではないだろうか・・・。
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基本型老健には厳しい制度改正になります


基本型老健の関係者の皆さんは、いま議論されている制度改正の内容を見て、暢気に構えていられないと思うのだが、いかがだろうか。

それだけ基本型老健の存続の危機につながる制度改正になるような気がするし、そういう危機感をもって対策に乗り出す必要があるのではないのか・・・。

というのも次期改正では、特養の入所基準見直しが検討されている。これが基本型以下の老健経営に大きく影響してくる。(参照:特養の入所基準の再見直しは他サービスにも広く影響します

今この時期に厚労省の提案としてこの見直し案が議論の俎上に挙げられたということは、何らかの変更が行われるのは確実で、元通り要介護1以上が入所対象になるか、そうならなくとも特例入所のハードルを下げて、実質要介護1以上の要介護者は、特養に入所することが可能になることはほぼ間違いがない。

文字リンクを貼りつけた記事にも書いた通り、そうなると「その他型」と「基本型」の老健に入所している、長期入所の軽介護者(要介護1と2の利用者)が特養に入所できることになる。

問題はそれだけではない。
落陽
今現在の段階で、次期改正で変更可能性が一番高い改正案は、サービス利用時の自己負担割合の2割負担者と3割負担者の拡大案である。

このことについては18日の国会における首相答弁でも、「負担できる方には、確実に負担していただくように制度を改正する」という趣旨が語られており、なおかつ後期高齢者医療制度の2割負担者が10月から拡大している流れもあって、2割負担者が拡大することは確実視されている。

それと同時に、老健と介護医療院の多床室の室料自己負担も確実に実施されることが予測されている。

既に特養の多床室室料自己負担は実施されており、介護保険施設の類型が介護医療院の新設で、新たな3類型と再編されたことによって、多床室室料負担の均等化を図ることの障壁がなくなっている。よって老健と介護医療院の多床室利用者の室料負担という形の自己負担増も確実視されている。

老健の利用料金は基本サービス費の自己負担は特養より高くなっているものの、多床室の室料負担がない分、特養より全体の利用料金がかからないか、ほとんど変わらないかという金額であるために、特養に入所できない軽介護者が老健に長期入所しているケースも多い。

そこに2割負担する利用者が増え、かつ室料負担が上乗せされてくる。

この2重の負担増に耐えきれずに、特養への転入所を希望する老健利用者が増えることは容易に想像できる。それに加えて要介護2以下でも特養に入所できる改正が実現すれば、その他型老健や基本型老健から退所して、特養に入所する軽介護者が増えることは確実だ。

さらに特養の入所要件が元に戻されて、要介護2以下も入所対象となれば、老健の新規利用者の数も減ってくるだろう。その時、全国に数多くある基本型老健は、ベッドを埋めて稼働率を下げることなく収益を挙げ続けることができるだろうか・・・。

僕が1年間だけ勤めていた千歳市の「クリアコート千歳」という老健は、加算型になるには程遠い在宅復帰率の低い基本型老健であるが、そこでは介護職員のトップが、「職員の数が足りず手が回らないので、新規利用者は食事摂取が自立してい人ではないと受け入れてはならない」と、勝手なルールを入所担当者に押し付けていた。そのような老健は今回の厳しい改正の波の中に吞み込まれ沈没の危険性がある。こういう施設には決して就職しないことが大事だ。

食事摂取が自立していない人の入所を拒むような老健は、無くなってしまっても問題ないが、行き場のない軽介護者を受け入れるために、あえて基本型老健としていた施設は、加算型への転換などの事業戦略の見直しが早急に迫られることになるだろう。

どちらにしても、その他型と基本型老健に厳しい改正になることは確実で、しかしそれは、老健は加算型以上(加算型・在宅強化型・超強化型)が残ればよいという、厚労省の思惑とも合致する改正なのかもしれない。
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ケアプランに沿ったサービスがより重要になります


このブログで何度か指摘しているように、居宅サービス計画書施設サービス計画書との法的位置づけには大きな違いがある。

居宅サービス計画書は、保険給付サービスの要件となっておらず、償還払いサービス現物給付化する手段でしかない。

もう少し詳しく解説すると、介護保険の居宅サービスを受ける際の原則は償還払いとなっている。このため利用者は一旦10割の費用を居宅サービス事業所に支払って、後に役所から自己負担分を除く費用の還付を受けることになる。

しかし一時的でもサービス費用の全額を支払うことが負担と感ずる人も多い。そのため居宅サービス計画書を作成し、その計画に基づいたサービスを提供することで、居宅サービス事業所(通所介護事業所等)は保険請求できるようになる。つまり利用者はサービス利用時に自己負担割合に基づいた支払いで済むようになるわけである。これがサービスの現物給付化である。

よって初めから償還払いで良しとする人は、居宅サービス計画を作成せずにサービス利用することは可能である。

それに対して施設サービス計画書は、保険給付サービスの要件となっており、施設サービス計画のない状態でのサービス利用は認められていない。(※居宅サービス計画と施設サービス計画の法的位置付けの違い

そのため入所初日から施設サービス計画書は必要なので、インテーク(入所前面接)の際などに、老企29号通知の〔別紙 4〕課題分析標準項目についてで示されている、「課題分析標準項目23項目」に基づくアセスメントを行って、仮であっても施設サービス計画書を作成しておく必要がある。

施設サービス計画書とは、それだけ重要な計画であるにもかかわらず、施設サービス計画書に基づいたサービスが実施できていない施設がある。

例えば、計画書が形骸化し行政指導のための書式に貶められている施設では、計画内容を熟知していない介護職等が利用者対応している状況が見受けられる。

しかしそれは運営基準違反を問われるだけではなく、契約不履行の責任を問われかねない問題である。

なぜなら介護施設の指定基準(特養の場合は、指定基準12条7項)では、「施設サービス計画の原案の内容について入所者又はその家族に対して説明し、文書により入所者の同意を得なければならない。」とされており、その同意を得ている以上、同意を得た内容のサービスを実施していない状態は契約不履行状態となるからだ。

この場合、契約どうりにサービス提供されていない状態は、損害賠償対象事由になり得ることにも注意が必要だ。(※実際には、過去にそう言った損害賠償事例はない。

しかも2021年度の報酬改定では、LIFEへの情報提供を行う加算が新設されている。そしてこの加算のいくつかは、単に情報をLIFEに送るだけではなく、LIFEがその情報を分析し、情報提出先にフィードバックを行い、そのフィードバックされたものを、介護事業者はPDCA活用しなければならない。
科学的介護の目指す将来像
上記の図は、科学的介護の目指すフィードバック活用の将来像である。

ここでは栄養状態と身体機能の維持・向上の因果関係を抽出したと想定した場合に行いたいフィードバックについて例示しているが、施設サービスにおける個人フィードバックについては、施設サービス計画書に、フィードバックされた内容を反映する必要がある。
※現在は、フィードバックが暫定版にとどまっており、活用できるものだけすればよいとされ、実質フィードバック活用がされていなくとも問題はない。ただし正式版に備えて、できるものは随時フィードバックしておくことが望ましい。

そのため施設サービス計画書の内容に沿ったサービスの実施がより重要視され、そこに齟齬がある場合、LIFE関連加算の返還指導を受ける可能性も無きにしも非ずである。

そうならないためにも、ごく当たり前に施設サービス計画書の内容に沿ったサービス提供を意識せねばならないし、そのために実行可能な施設サービス計画を作成せねばならない。

なお施設サービス計画と同じ法的な位置づけとなっている、居宅サービス事業所の計画通所介護計画・通所リハビリ計画等)も施設サービス計画書と同じことがいえるわけであり、LIFEからのフィードバック活用した計画実施が求められてくる。

その重要性に気が付いた先見性のある介護施設や居宅サービス事業所及びそれらの職能団体では、「計画書に沿ったサービス提供」をテーマにした研修を行うところが増えてきた。

そのため僕も、「ケアプランの重要性とそれに基づいたケアの実践」といったテーマで、施設サービス計画書や通所介護計画書に基づいたサービスの在り方・実務に結びつく計画の作成方法等について講演する機会が増えている。

どちらにしても今後は、施設サービス計画書や各居宅サービス事業所の個別計画書に基づくサービス提供と、その検証作業ということがより重要になるし、行政による運営指導も、この点を重点的に検査していくことになるので、その備えを十分にしておく必要がある。

このように今後の介護事業においては、ケアプランを単なる行政指導のアリバイ作りのための書式として終わりにせず、ケアサービスチーム内の共通言語として実務に活用することが何より求められるのである。

そのことをしっかりと理解して、LIFEからのフィードバック正式版に備えておいてほしい。
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声なき声に耳を澄ますことができる介護であってください。


コロナ禍という状況で、クラスター感染が多くの施設で発生した高齢者施設では、長期間の面会制限が続けられおり、いまだに制限解除ができない施設も多くなっています。

しかし介護施設関係者もそのことを当たり前とは思っておらず、心苦しく思いながら、何とか制限の解除をしたいと思いつつも、実際にクラスター感染に見舞われた施設の大変な状況を知るにつけ、その決断ができかねている状況について、「介護施設は決して安易に面会制限を続けているわけではない」という記事の中でお知らせしています。

そこでは僕が管理する表の掲示板の、「施設の面会制限とQOLのバランスはどのように取っていますか?」というスレッドを紹介して、全国の介護施設の情報提供を呼び掛けたところです。
声なき声を聴く介護
そのスレッドに昨日(10/6)、大阪の特養にお母さまを入所させている、「つくし」さんという方から次のようなコメントが書き込まれています。(※表の掲示板の当該コメントを複写します
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母が大阪の特養に入所しています。
2020年3月からずっと面会制限が続いています。
大阪府の新型コロナ警戒信号が赤色の場合はリモート面会のみ、黄色の場合は面会室でアクリル板越しの対面面会、いずれも月1回10分間限定、青色の場合は居室で週1回程度30分以内の面会となっていますが、黄色や青になってもすぐには対面面会を再開していただけないので、この2年半の間で居室で面会ができたのは2週間程度だけでした。

コロナ前は毎日仕事帰りに施設に通い、母の食事介助を続けておりましたので、この先に取り返すことのできない貴重な母との時間を失い続けることが筆舌につくしがたい苦しみであり、実に残酷な措置だと思っています。

面会の要望は、親の介護を助けていただいている立場の家族からは大変申し上げにくいものです。おそらく家族は本当の思いの10分の1も声にできていないと思います。

母の施設ではいつも「大阪府からの要請なのでご理解ください」の一文だけで一方的に決定事項が家族に通知されます。懸命に介護を続けて下さっている施設職員の皆様には心から感謝していますし、制限の解除は施設にとってはご負担になるということは重々承知しておりますが、3年目に入ってもこの扱いを続けられることに家族としては、正直なところ納得できていません。

一度きりの人生の終末期に2年半も延々と自由を奪われ続けることがどれほど辛く、苦しいことか、どうか自分事として想像してみてほしいのです。要介護高齢者であっても人間です。コロナ回避のための今のような生き方を本当に受け入れているでしょうか。

これほどの長期に渡る制限は人権にかかわる重大な問題であり、施設、入所者、家族が十分に議論を重ねた上で決めなければいけないことではないでしょうか。
入所者と家族の面会、触れ合いは「なくてもいいもの」ではなく、必要不可欠なケアの一つと捉えて今後の対応を共に考えていただきたいと思います。(複写ここまで
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介護施設の関係者は、こうした声に真摯に耳を傾けなければならないと思うのです。

面会制限やむなしとして一方的にその制限を利用者や家族に押し付けて終わりではなく、こうした声があるという事実を受けとめ、同じような思いを抱いて、その思いを口にできない多くの家族が存在しているであろうことに思いを馳せる必要があると思います。

つくしさんと同じように、やるせない思いを抱いている声なき声が全国に満ち満ちているのだということを、私たちは忘れてはならないと思います。

できればそういう声を、直接施設側に届けることができて、それに対して施設側の担当者が、真摯に耳を傾け、丁寧に説明できる機会を創る必要もあると思います。ICTやSNSは、こうしたことのためにも活用すべきではないでしょうか。

一片の葉書だけで、面会制限を通知するのではなく、オンラインを利用できる人は、「面会制限の理解とお願い」を配信して、意見を述べたい方には、画面を通して意見交換を行う。そういう場で意見を言えない人は、ラインやフェイスブックのメッセンジャーから意見を送ることができるようにして、施設に物申すチャンネルを作っておくことが、施設と家族の信頼関係を築くうえで重要になるのではないでしょうか。

そうした努力の上で、長期間の面会制限は初めて許されるのだと考える謙虚さがないと、私たちは知らず知らずのうちに、護るべき人たちを傷つけてしまうのではないでしょうか。

それは私たちの本意ではないはずです。
誰かのあかい花になるために
誰かのあかい花になるための努力は、人の心を慮り、できる限りの優しさをそこにそそぐ心づもがあってはじめて実を結ぶのではないでしょうか。

私たちの職業とは、人を慮り、人を愛する職業であることを忘れてはならないのです・・・。
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介護施設は決して安易に面会制限を続けているわけではない


新型コロナの行動制限のない期間が続く中、巷では様々なイベントが3年ぶりに復活開催されるニュースが聴こえてくるなど、多くの地域で季節ごとの風物詩が戻りつつある。

11日からは外国からの入国者数の上限も撤廃され、インバウンドも復活の兆しが見えてきた。

さらに昨日行われた岸田首相の所信表明演説では、屋外のマスク着用に関し「近くで会話をしない限り必要ない」と強調するシーンも見られた。

そんなふうに世の中は、ウイズコロナに軸足を確実に移しつつある。それは歓迎すべき方向性だと思われる。

しかし第7波でクラスター感染が相次いだ高齢者施設等では、いまだに面会制限を解けないところが多い。その中には面会制限が既に3年近くにも及んでいるところがあり、面会できない家族等からの不満の声が挙がり、その対応に苦慮されている関係者も多い。

何より利用者のQOLの低下を懸念し、面会制限をいつまで・どのような形で継続していくべきかを悩んでいる関係者が全国にたくさんいるのが現状だ。

そこで僕が管理する表の掲示板では、「 施設の面会制限とQOLのバランスはどのように取っていますか?」というスレッドが9/30に建てられて、現在進行形で情報交換が行われている。

全国の介護施設の関係者の皆さんは、こちらのスレッドに是非参照してほしい。そして全国の介護関係者がどのような思いで面会制限を続けているのかに思いを馳せ、そのことに関連する意見を書き込んでいただきたい。

このスレッドを読んでわかるように、現在の対応は様々だ。まだWEB面会しかできない施設があったり、アクリル板越しの面会に緩和したり、面会時間や予約の必要性も施設ごとに全く異なるルールを定めて対応している。

だからと言ってどの方法がベストとか、その方法は許されないとか評価できる問題ではないと思う。

それぞれの事情が制限につながっているので、個別の事情に対策できる方法で、今現在の対応に影響しているのだろうとしか言えない。

特に一度でもクラスター感染が発生した施設等は、対応が慎重にならざるを得ない。感染発生中に利用者の方々に大きな不便をかけたことにとどまらず、職員も感染する中、少ない人数で業務をこなさざるを得なかった大変さ・・・。

それにも増して悔しいのは、クラスター感染を発生させたことが原因で、家族から感染の危険性が高い施設で働き続けないでほしいと懇願され、退職してしまう職員が多数出た施設が多いということだ。貴重な人材がそういう形で流出した施設では、二度と同じことが起きないようにより慎重な対応を取り続けるのは当然と言えば当然のことである。

よって現時点では、当該スレッドの情報を参考にして、それぞれの事情に合わせて、随時面会制限の緩和や撤廃に向けて準備を進めてほしいとしか言えないわけだが、一つだけ救われることがある。
誰かの心に咲くコスモスのように
それはこのスレッドに情報を書き込んでくれている方々が、決して漫然と機械的に、自己保身のために面会制限を続けているわけではなく、面会制限を続けることに対する心苦しい思いを持ちながら、現状で何がベストなのかを模索しつつ、真剣に面会制限をどうすべきかという問題に向かい合っている姿が見えることである。

利用者や家族の方々に寄せる思いがそこに垣間見えるのである。

対人援助は、私たちとサービス利用者のみの関係性で完結できる職業ではない。私たちの職業は、利用者の方々が背負っている人生と人間関係を含めて向かい合う職業だ。よって介護施設の都合とルールという範囲でしかものを考えなくなっては困るのである。

スレッドにコメントしてくれている方は、きちんとそのことをわかって考えてくれている人だと思う。

コロナ禍以前のように、制限なく自由に居室を訪問して面会ができる状態にはならずに、何らかの制限は続いていく可能性も高い。だからこそ一層、制限を受ける人に対する人としての優しさが問われてくると思う。そのことを忘れないでほしい。

私たちはこの世で大きなことはできないが、小さなことを大きな愛をもって行うことはできる。制限というバリアを行使するときも、制限される相手に対し、どれだけ愛情をもってその行使を考えることができるかが問題だと思う。

そういう意味で、僕の管理掲示板に集い、建設的な意見を交換し合う仲間は、素敵な人たちが多いのだと改めて感じている。心強いかぎりである。

面会制限の緩和や解除も、それぞれの事情に応じて前に進んでいくことだろう。その様子を温かく見守っていきたい。
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ICT活用で緩和できる配置基準はこれのみ


人口減少社会の中で、出生数が6年連続で過去最低を更新し続ける我が国では、生産年齢人口と労働者人口の減少が続き、それがさらに深刻化して改善の見込みも立たない。

しかし後期高齢者と要介護者は、2042年頃までは確実に増え続ける。そのため人に替わって機械が担えない部分が多い介護の仕事は他産業よりはるかに深刻な労働力不足が予測される。

それを見越して、「介護労働の場の生産性の向上」が強く求められている。科学的介護もそのために求められるものだし、ICTや介護ロボットの活用も生産性を向上させるために必要とされているのである。

機械が人に替わることのできる部分(例えば見守り機器)は、それらを積極的に導入し活用すべきであるし、介護ロボットの技術水準を高めて、人の手をかけなくても良い部分を広げていくことは大いに賛成である。そのことに反対する人はいないだろう。

ただし現状のICTを含めた介護機器の技術水準では、機器導入して人の配置を削ることが難しいので、安易な人員配置基準の緩和は行うべきではないというのが、介護の場を知悉する常識人の考え方である。

機器の活用=人の削減ではなく、機器を活用することで、まずは業務の省力化を図り、働きやすい職場環境を創ることが最も必要なことなのである。そのことによって介護という職業に就きたいと思う人や、定着する人が増えることを期待したいということだろうと思う。

だがICTを活用することで早速緩和できる人員配置基準も存在する。その最たるものが、特養の宿直者配置である。

特養の夜間宿直者の配置については、介護保険関連法令とは別に、「社会福祉施設における防火安全対策の強化について」という通知において、「特別養護老人ホーム、身体障害者療護施設については、夜勤者(直接処遇職員)とは別に宿直者を必ず配置すること。」規定されている。

その規定を受けて、「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準について」の11勤務体制の確保等(2)は、『職員の勤務体制を定めるもののうち、介護職員の勤務体制については、「社会福祉施設における防火安全対策の強化について」により、三交代制を基本とするが、入所者の処遇が確保される場合は、二交代制勤務もやむを得ないものとすること。併せて、同通知に定める宿直員を配置すること(介護保険法(平成九年法律第百二十三号)に定める介護老人福祉施設又は地域密着型介護老人福祉施設である特別養護老人ホームであって、厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準(平成十二年厚生省告示第二十九号)第四号ニ又は第五号ハを満たす夜勤職員を配置し、かつ当該夜勤職員のうち一以上の者を夜間における防火管理の担当者として指名している時間帯を除く。)。』と規定されている。
特養の夜間宿直
宿直者の配置については2015年に見直しが行われたかが、「特養の夜間宿直配置基準の変更は意味のない変更だった」でその顛末を書いた通り、夜勤者が配置基準以上に加配されている時間帯のみ置かなくてよいという変更でしかなく、1時間でも加配されていない時間があれば、その時間は宿直者が必要となるために、多くの特養ではいまだに夜勤者+宿直者という体制を取り続けている。

この規定は、東京都東村山市の特養における火災死亡事故を受けて対策されたものであり、老健や介護医療院は対象となっていない。

つまり夜勤時間帯に夜勤者とは別に宿直者(事務当直等)を配置しなければならないのは介護保険施設の中で特養だけなのである。これは不公平と言ってよいと思う。

同時に老健や介護医療院で、夜勤者とは別に宿直者を配置していなくとも特段問題となっていないという事実がそこに存在することも理解してほしい。

さてそこで現行の特養の宿直者の実務が怒鳴っているかを考えてみたい。宿直業務といっても行っていることと言えば、事務当直として夜間の(ほとんどかかってこない)電話番であり、定時の施設内巡回だけである。しかも巡回と言っても、直接利用者対応できるスキルの当直者はほとんどいないため、防犯上の設備巡回にとどまっている。

こんな業務のために宿直者を配置しているのは意味がないけれど、火災などの事故があった場合に、宿直者が居なくてよいのかという議論はナンセンスだ。前述したように特養以外の介護施設は、その配置がないのだからそれと比較して特養だけが災害に備えて宿直者を配置しておく必要性はほとんどない。しかも介護ができない宿直者が、災害時の避難誘導にどれほど役に立つのかは大いに疑問だ。

通報や避難誘導に少しは役立つだろうということであれば、それこそICTがそれに替わることが可能となるだろう。

よってICTの導入・活用によって、特養の宿直者の配置はしなくて良いという規定に関連通知基準を変更すべきであり、そのことを強く訴えたい。

全国老施協が率先してこの提言をすべきだと思うが、なぜそれをしないのだろうか。介護事業の生産性向上と配置基準緩和がセットで議論されている今日だからこそ、そうした提案をすべきだと思うのだが、誰かそこに気が付く人間は全国老施協執行部の中にいないのだろうか・・・。
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特養の入所基準の再見直しは他サービスにも広く影響します


社保審・介護保険部会(8月25日)で厚労省は、今後の介護保険制度改正論議において特養の入所基準変更を議論の俎上に乗せる旨を明らかにした。(参考資料

資料の当該部分を要約すると、「既に高齢化のピークを迎えた地方を中心に、高齢者人口の減少により待機者が減少して、定員が埋まらずに空床が生じているという声がある。」などとしている。

他の介護保険施設と同じように、要介護者が入所対象となっていた特養であったが、平成27年度(2015年度)から要介護3以上の要介護者に限定して入所が認められるように法令が改正された。

これがいわゆる特養の入所要件の厳格化と呼ばれる法改正である。

その基準を再度見直そうという提案が介護保険部会で行われたのである。

2015年当時、僕は社福の総合施設長として特養も管理していたが、入所要件の厳格化で混乱した覚えはない。僕の管理する特養は入所者の平均要介護度も高かったし、要介護1と2の対象者も在籍していたものの、それらの方々も全て経過措置で救済された。さらに経過措置期間を過ぎたとしても特例入所の対象となる認知症の方などであったため影響はなかった。

しかし全国的にみると、その影響はどんどん広がっていたようで、2017年ごろから特養の待機者の減少と空床増加が報告されるようになった。

北海道でも人口の少ない郡部に新設された特養のベッドが埋まらないという話も聞こえるようになった。

それは特養の入所要件が要介護3以上となったことに加えて、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの「高齢者向け住まい」の数が増えた影響もあると思える。
高齢者向け住まい
現に、「高齢者向け住まい」が増加し続けており、その定員数は約 88.3 万人と介護保険施設の利用者数(受給者数)の約 104 万人に近づいている。さらに事業所数でみると、高齢者向け住まいは約2万4千件 と、介護保険施設の約1万6千件を上回っているのである。

この影響を受けて全国の5割以上の特養に空きベッドが生じていると言われ、全国の平均空床率は25%前後であると推測されている。実に特養の指定ベットの1/4が使われていない。

勿論、ベッドが稼働しない理由は、入所利用者が見つからないということだけではなく、介護職員が配置できずに一部のフロアを休止せざるを得ないという施設も少なくない。しかし入所待機者が減っているのも事実であり、特養への入所希望者を見つけることができずに、相談員が顧客探しの営業のために地域を回るというケースも増えている。

そのような背景が今回の厚労省の提案に結びついたのではないかと思われるが、さすがに2015年度に法改正したばかりの規定を元に戻すことはないだろう。そんなことをすれば特養の入所要件の厳格化を推奨してきた厚労省の面子が丸つぶれになる。

よって、「特養の入所基準変更」とは、入所要件を要介護1以上に戻すのではなく、特例入所を使いやすくするなど、例外規定の拡大を図るという意味ではないのだろうか・・・。今後の介護保険部会での議論の進展が待たれるところだ。

どちらにしても特養の入所基準変更の必要性は、厚労省が言い出しっぺであるのだから、実現可能性が高いと言ってよいだろう。

すると2024年度以降、要介護1と2の方々の特養新規入所ケースが増えるようになると思われる。特養は補足給付対象施設なのだから、年金受給額が低い高齢者にとっては利用しやすい施設であり、今現在サ高住等の「高齢者向け住まい」に入居している人の住み替えも進むだろう。

すると特定施設・GH・サ高住が影響を受けるだけではなく、行き場がなく「基本型老健」「その他」の老健に入所している軽介護者も特養に流れ、老健施設の顧客確保が現状より難しくなるだろう。在宅復帰を希望していない軽介護者にとって、3月ごとの在宅復帰検討で自宅に帰ることを促される不安は、特養に入所することで解消できるからだ。

サ高住等に暮らしながら通所サービスを利用していた人も特養入所で、通所利用をやめるケースが出てくる。

自宅で頑張って暮らし続けた人が、利用料金の安い特養に早めに住み替えて、訪問介護や訪問看護・通所介護や通所リハの利用をやめるケースも出てくるかもしれない。福祉用具貸与にも当然影響が出てくるだろう。

よってこの問題は、特養関係者のみならず、他の介護保険施設・高齢者向け住まい(居住系施設)の関係者や居宅サービス関係者も注目すべき問題であろうと思う。

この問題について今後の検討・議論の動きに注目しなければならない。
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施設サービス計画のための担当者会議を原則行わないことにしよう


2021年度の介護報酬改定は、コロナ禍の真っ最中に行われたために、感染予防対策が基準省令等に反映されることも少なくなかった。

サービス計画作成のためのサービス担当者会議の基準もその一つで、感染予防特例として認められたサービス担当者会議のオンライン対応を、通常対応として認める基準改正が行われた。

下記に居宅介護支援と施設サービスの基準をそれぞれ示しているので、赤色に文字色を変えている部分をそれぞれ確認していただきたい。
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指定居宅介護支援の具体的取扱方針
第十三条「九.介護支援専門員は、サービス担当者会議(介護支援専門員が居宅サービス計画の作成のために、利用者及びその家族の参加を基本としつつ、居宅サービス計画の原案に位置付けた指定居宅サービス等の担当者(以下この条において「担当者」という。)を招集して行う会議(テレビ電話装置その他の情報通信機器(以下「テレビ電話装置等」という。)を活用して行うことができるものとする。ただし、利用者又はその家族(以下この号において「利用者等」という。)が参加する場合にあっては、テレビ電話装置等の活用について当該利用者等の同意を得なければならない。)をいう。以下同じ。)の開催により、利用者の状況等に関する情報を担当者と共有するとともに、当該居宅サービス計画の原案の内容について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。ただし、利用者(末期の悪性腫瘍の患者に限る。)の心身の状況等により、主治の医師又は歯科医師(以下この条において「主治の医師等」という。)の意見を勘案して必要と認める場合その他のやむを得ない理由がある場合については、担当者に対する照会等により意見を求めることができるものとする。」

施設サービス計画の作成
第十二条「6.計画担当介護支援専門員は、サービス担当者会議(入所者に対する指定介護福祉施設サービスの提供に当たる他の担当者(以下この条において「担当者」という。)を招集して行う会議(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。ただし、入所者又はその家族(以下この号において「入所者等」という。)が参加する場合にあっては、テレビ電話装置等の活用について当該入所者等の同意を得なければならない。)をいう。以下同じ。)の開催、担当者に対する照会等により、当該施設サービス計画の原案の内容について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。」
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これによって居宅サービス計画の作成に関するサービス担当者会議は、Zoom等を利用してオンラインで行われることが多くなった。

担当者会議に召集されるメンバーは、どこにいても会議に参加できる点で、それは歓迎されることだろうし、会議を主催するケアマネジャーも、それぞれ所属が異なるサービス担当者の会議参加への調整が楽になっている。そういう意味では、担当者会議メンバー全員にメリットのある基準改正と言えそうだ。

しかし施設サービス計画書の作成に関して言えば、相変わらずメンバーを会議室等に集めて実施している施設が多い。それは同じ施設内で、わざわざネットにつなげてオンライン対応する必要もないという意味で、集まった方が手っ取り早いという意味もあるのだろう・・・。

しかしコロナ感染第7波の真っ最中の今、8/15・0時までの時点における介護施設における近直1週間のクラスター感染は736件で過去最多となっている。こうした状況を鑑みれば、できるだけ施設のスタッフも、直接介護する場面以外で密になることは防ぎたいものだ。

その時に利用してほしいのは、居宅介護支援とは異なる施設サービス計画書作成ルールである。

上に示した居宅介護支援と施設サービス計画の基準の文字色を緑色に表示している部分を見比べてもらいたい。

居宅サービス計画作成におけるサービス担当者会議と担当者への照会ルールについては、末期の悪性腫瘍の患者以外の場合、「やむを得ない理由がある場合」しか照会で済ますことはできない。あくまでメンバーの会議参加が原則とされているのだ。

一方で、施設サービス計画作成におけるサービス担当者会議と担当者への照会ルールについては、「会議開催、担当者に対する照会等により」というふうに両者が同列となっており、最初から会議を開催しせず、「担当者から、専門的な見地からの意見を求める」ことで作成が認められているのである。
会議を開催せず施設ケアプラン作成
つまり特段の理由がなくとも照会のみで計画作成できるのだ。

これは施設サービスの場合、他の事業者職員がメンバーになることはなく、同じ施設で業務に従事するメンバー間でチームが構成されるために、日ごろから業務連絡としてコミュニケーションが交わされているから、必ずしも一堂に会して意思疎通を行う必要がないという意味だ。

このルールを利用して、施設サービス計画作成の際には、サービス担当者会議ではなく、各担当者への照会を原則にして、困難ケースのみ会議形式で話し合いを行うなどと発想転換しておいたほうが良いと思う。

実際に照会だけで計画原案を作成しても、特に支障は感じないだろうし、会議という形式ではない場面で照会した方が案外スムースに意思疎通ができたりする。何より会議を行う場所を創って、そこにメンバーの集合をかけて、集まってから「よーいドン」をかけてスタートするより、効率的に計画作成でき、忙しいメンバーが会議で時間を潰さずに済む。

介護職員や看護職員が、利用者に直接対応する時間もその分増えるというものである。

施設サービス計画原案を創る際に、まだ担当者会議を原則開いている施設ケアマネジャーの皆様は、早急に検討を行うに値する問題だと思う。
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社会からの信頼を失わないために求められること


要介護者の命や尊厳・暮らしを護るべき介護施設が、最低限の安全さえ保障できない状態で経営・運営をがされているとしたら、要介護高齢者やその家族は、いったい何を信用したらよいのだろう。

そんなことを考えさせられた事件が起こり、「死の短期入所生活介護」という記事を昨日アップして解説している。

名古屋の特養「緑生苑」の短期入所生活介護を利用している最中に傷害を受け、その後医療機関で死亡した被害者が、短期入所を利用するに至った理由は不明だが、利用者もその家族も、まさか介護サービス利用が自分の死に直接結びつくなんて思いもしなかったろう。

明らかになった容疑者(福島栄行:ふくしまひでゆき 34歳)の暴行は凄惨を極めている。昨年3/5の深夜から翌未明にかけて、数時間にわたり被害者を殴打。両脚や背中、腰を蹴り続けたというのである。その理由については、まだ明らかにされていない。

ある日突然自分の身に降りかかった暴力・・・それによる死。被害者は両脚のすねを骨折し、こめかみや胸などに多数の内出血があったそうだ。暴力を受けた翌日の夕方に死亡していることから、内臓にも損傷があった可能性がある。さぞ痛かったろう・・・怖かったろうに・・・。その無念は想像に余りある。

そういう意味でこの事件の社会全体に与えるインパクトは大きいし、その責任も重たいと言わざるを得ない。

そうであるがゆえに法人・施設の責任の取り方にも注目する必要がある。犯人が逮捕されたことをきっかけにして、そのことに反省のコメントを法人・施設が出して幕引きということにはならない。当該施設のトップは、世間に対して目に見える形で責任を取る必要があり、早い時期に身を処すべきだろう。
密室化する介護施設 
ところでこういう事件が起こると改めて職員雇用のあり方について考えさせられてしまう。

勿論、どの事業者も利用者を虐待するような職員を雇おうとは思わないだろう。しかしそうした性質を見抜く努力をすることなく、募集に応募してきた人間の適性を見ずに、闇雲に採用している事業者もあるのではないか。

そして採用後に試用期間も設けて適性を確認するという努力もしていない事業者があるのではないか。

同時に採用時教育をはじめとして、定期的に繰り返し行わねばならないスキルアップの教育訓練をしていない事業者もあるのではないか・・・それらはすべて、本件のような事件を起こしてしまう危険性を内包した事業者であると言える。

本件のような事件を起こさないためには、きちんとした人材選び、定期的な資質の見極め、不断の教育訓練が必要不可欠であるし、その教育の中に定期的に「人の尊厳を護るためにサービスマナー教育」というものを入れていかねばならない。

そういう意味では、事件があった名古屋の特養に利用者に対する考え難い暴力をふるう職員がいたという背景を探るために、利用者の尊厳を護るための教育が欠けていなかったかという検証が必要になると思う。

さらに利用者に対する普段からのぞんざいな態度が許されるような職場環境がなかったのかなどの検証も不可欠になるだろう。

こうした事件が起きると、すべての特養が虐待体質を抱えているとみられてしまう。今回の事件は氷山の一角が表面化したに過ぎないというやり取りも、SNS等あちらこちらで行われている。まったく迷惑なことである。

そうでなくともコロナ禍で長期間の面会制限が続いている介護施設に対しては、密室化する中で適切なサービス提供が行われているのかという疑念の声が聴こえている時期だ。

「介護施設の面会制限で、中に入れないだけに、どんな対応をしてもらっているのかわからなくて不安」という声が聴こえる中での、今回の傷害致死事件である。どうせ何でもありの介護施設という悪評が世間に充満しかねない。

多くの介護施設は虐待とは無縁の、人を護るケアサービスに徹しているということを証明しなければ、介護施設は必要悪なんていう烙印を押されかねない。

第3者の目が届きにくい場所でも、きちんと適切なケアサービスを提供できていることを証明しなければならない。サービスマナーの確立はそのための重要アイテムであることをすべての施設関係者が理解する必要がある。

閉ざされた扉の向こう側から、若い職員が年上の利用者の方々に、生意気な口調でタメ口で接している声が聴こえてくるだけで、「やっぱ介護施設って怖いところだ」・「表面化する虐待・不適切サービスは氷山の一角だ」と言われてしまうのである。

そんなことにならないように、第3者が見ていない・聴いていない場所でも、丁寧な態度と丁寧な言葉遣いをできる職員を育ててほしい。
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制限を当たり前と思う人と心苦しく思う人の差


僕が住む地域周辺の高齢者施設の中には、感染予防のために面会制限を続ける中で、オンライン面会を行っていることがマスコミに取り上げられて、そのことをを自慢していい気になっている施設がある。

僕の個人的感情で言えば、そんなふうにオンライン面会を自慢気に喧伝する施設の職員には胸糞が悪くなる・・・。
オンライン面会
制限下でオンライン等を使った面会の工夫をするのは当然であるし、オンライン面会システムがあっても、それを利用できない利用者が存在しており、その人たちのケアをどうするのかが一番の問題だろうと思うからである。

そもそも居住系施設が何の権限で、年単位あるいは月単位に及ぶ長期間の面会制限を行うことができるのだろうという疑問を持っている。だからこそ制限はできるだけ緩やかにして、オンラインで面会が難しい人の対策もしっかりと取らないとダメだと思う。

そのため3/10付の、「施設利用者の権利は本当に護られているのか」という記事では、一般のアパートでは決して行うことができない制限を、なぜ高齢者専用の居住系施設だという理由だけで行えるのだろうと疑問を投げかけた。

さらに先週の木曜日には面会制限を続けている施設等で暮らしている利用者の方々は、果たしてその暮らしに不満はないのかということと、不満があった場合に私たちは手をこまねいてみているだけでよいのだろうかという気持ちを込めて、「そこに春はやってきますか?」という記事を書いた。

そしてそのことに関連して、表の掲示板に、「皆さんの周囲の介護施設等の面会制限の情報を教えてください」というスレッドを建てて、現状はどうなっているのかを確認するための情報提供を呼び掛けた。

そのスレッドにはたくさんの介護施設関係者の方々が意見を書いてくださっている。

その書き込み内容を読んで感じたこととは・・・「日本の介護事業関係者は捨てたもんじゃない」ということだ。

書き込み内容を読んでわかることは、だれしも制限することの利用者に及ぼす影響を真剣に考えながら、やむを得ない状況であるという判断のもとに制限を行ったり、その制限を緩める方法を模索したり、実際に直接会って面会できる工夫をしているということである。

書き込んでくれた人の意見は、どれ一つとして不見識な意見はない。

制限せざるを得ない実情もきちんと説明されている。書き込みをしてくれた方々全員が頭が良くて、心が清々しい人たちであると感じられ、そんな方々が真剣に考えて書き込んでくれている。

同じ制限を行うにしても、世間の一般的風潮がそうなっているからと何の疑問も感じずに制限を行っている人と、本当にその状態が仕方がないのかと考えて制限を行っている人では、必ず以後の対応に違いが生ずるだろう。

利用者の方々に向ける眼差しも違ってくるのではないかと思う。制限することを心苦しく感じて、その分思いやりの心を伝えようとするのが対人援助の本質だ。科学できない心を排除しないケアこそが、こうした厳しい状況下で求められるものだと思う。

その差とはもしかしたら人間性の差とか、知性の差を表すものかもしれない。

科学的根拠に基づいた介護は必要だが、だからと言って介護のすべてを科学で割り切って考えようとすることは違うのではないかと思う。

人と関わるうえで何より大事なことは、私たち自身が介護を必要とする方々や、その家族の方々に関心を寄せることであり、私たちの知識と援助技術に愛情というエッセンスを加えることだと思う。

そういう意味では、人間愛というエッセンスを排除した科学的介護は何の意味もないと思う。

私たちにも、利用者の方々にも、そしてその家族にも、すべての人には感情があり、様々に感じ取る心があるということを忘れてはならないのが介護という職業ではないだろうか。

どうかそのことを忘れないでほしい。

高齢者施設のクラスター感染は、22日0時までの直近1週間では145件となり、前週から196件減って8週ぶりに100件台となっている。これもどうやら第6波のピークダウンを迎えたといってよいと思う。

こうした状況も踏まえたうえで、更なる制限緩和に努めていただきたいと切に願うのである。
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施設利用者の権利は本当に護られているのか


公営団地や民間のアパートなどの集合住宅で、「感染予防のために外出は禁止、集合住宅内への外来者の来訪も禁止」という決定がされた場合、間違いなくそれは大問題となり、大きな争いに発展するだろう。

ところがこれが高齢者施設となると話は別で、要介護者以外が暮らしているサ高住であっても、感染予防のための外出・面会制限ということがいとも簡単に決定され、それがさしたる抵抗も受けずに実行に移されている。

高齢者が大半を占めている公営団地と、サ高住のどこにその違いがあるのだろう。これが差別の構造の一つであると言われないのはなぜだろう・・・。

感染拡大のピークアウトが指摘される地域もあるなか、高齢者施設のクラスター件数も減少に転じているとはいえ、感染者の数は第5波と比べても何倍も多い状態であるということが、その理由になるということか・・・しかし僕はどうしてもそれが正論とは思えないのである。

高齢者施設が外出や面会を、これほど長い期間禁止している状態は、いずれ歴史の審判を受ける必要がある。そうしないと、「他者の権利侵害」が事業経営者の判断で、いとも簡単に行ってよいという悪しき前例になってしまうと思う。

これほど長期間にわたって高齢者施設の外出・面会制限が続いていることに対する対する社会の反応も決して肯定的意見ばかりではない。

実際に巷から聞こえてくる声は、「家族を今施設にいれると、まともに会えなくなって可哀想」・「オンライン面会は高齢な親ではできない】・「オンライン面会は人数が限られるし、対応してもらう職員さんにも気を遣うので頼みにくい」・「中に入れないだけに、どんな対応をしてもらっているのかわからなくて不安」というものだ。

そんなふうに、地域住民・利用者家族・居宅ケアマネなどから不安の声が挙がっている現状を、高齢者施設関係者はきちんと認識するべきである。
温かな手を差し伸べて
そういう不安を払しょくするためにも、密室化してしまって第3者の目が届きにくい高齢者施設の中で、きちんと適切なケアサービスを提供できていることを証明しなければならない。サービスマナーの確立は、そのための重要アイテムである。

それにしても高齢者施設の経営者・管理職などの立場の人に勘違いしている人が多いように思う。管理上必要だと言って、簡単に施設利用者の権利を奪うような行為が見られる。

施設関係者が勘違いしているんじゃないかと思う例として、施設入所したとたん、本人より家族の希望や意見が優先されることがある。

しかし施設利用者であっても、自分のことは自分で決められるのが原則だ。高齢者にとって、子は家族であっても保護者ではないのだから、利用者本人が、「自分にはこれだけ貯金があるので、通帳を金庫に保管しておいてほしい。だけど息子にそのことは内緒にしておいてほしい」と要望を受けた場合に、その要望は原則受け入れられるべきなのだ。

それなのに、「息子さんは、身元引き受け人になっているので、そのようなことはできません」などとそうした要望を拒否する施設があったりする。

施設入所の際の、「身元引受け」とは、成年後見人のように本人に代わって代理権を持つような性格のものではない。身元引受けによって財産管理や身上監護ができることにはならないのだ。

施設入所の際の身元引受けの意味とは、死亡時に遺体や遺留金品を引き取り、利用していた居室を速やかに退去できるようにする人を定めているに過ぎないものなのだ。そこを管理買いしてはならない。

またよくあり例として、高齢者夫婦世帯の夫もしくは妻の一方が施設入所した場合、連れ合いが死亡したとき子供から、「父(もしくは母)のショックを考えると、母(もしくは父)の死を知らせず、そっと葬儀を済ませたいので、亡くなったことを知らせないでください。」と要望されることがある。

そんな要望に応えてしまう施設があることも変なことだと思う。

長年連れ添った伴侶を失うショックは計り知れないが、だからといって施設に入所している人が、大切な伴侶の死も知らされず、葬儀にも列席できないことをおかしいと思わない感覚はどうかしている。(参照:「死」を告げる意味と責任

そうしたショックを乗り越える支援する責任も、家族や対人援助の専門家にはあるはずなのだから、世間一般的に許されている行為を、施設入所者に限って認められない状態を作ってはならないのである。

そういう意味では、施設入所者に対するバリアというのは、施設関係者の心の中にいまだに存在するものだといっても良いのではないかと思う。

そうした偏見を取り払っていかないと、「介護施設の常識は、世間の非常識」という状態もなくならないのではないだろうか・・・。
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夜間オンコールのアウトソーシングを考える


介護保険施設の夜間配置基準は、「看護職または介護職」の配置人数を定めたもので、それ以外の職種が夜勤を行っても配置人数としてカウントすることは出来ない。

職員が不足しているからといって、相談員や事務員を夜勤シフトに入れても、配置人数とされないわけである。そのために配置規定数以上の看護職員もしくは介護職員を毎日配置する必要があるのだ。

ところで特養の場合は、看護職員が毎日夜勤シフトに入っている施設はほとんどない。

なぜなら特養の看護職員の配置基準は、入所者数(前年平均)130人未満の場合で常勤換算3人以上でしかないのだから、その3人で毎日夜勤シフトを組むと、3日に一度の夜勤ということになり、日中は最高で2人しか看護職員配置がなくなってしまう。(※前年平均入所者数50人以下の場合の看護職員配置数は常勤換算2以上

配置規定人数より看護職員の実配置人数を二人や三人増やしたとしても、その事情は大きく変わらないのだから、実質的に特養では看護職員が毎日夜勤業務に入ることは困難であると言ってよい。

そのためほとんどの特養は、看護職員の夜間オンコール体制を敷いているわけである。例えば1週間ごとの当番制で夜間オンコール担当者及び副担当者などを定めて、その期間は当番に当たる看護職員に夜間いつでも緊急連絡をしてよいということになっている。

ところがこの緊急連絡の定義を巡って、看護職員と介護職員の間でトラブルになることも少なくはない。

介護職員からしてみれば、利用者のちょっとした変化でも心配になって、看護職員と連絡を取って対応の指示を受けたいと思う。看取り介護対象者の場合なら、特に少しの変化でも対応を指示してもらいたいと考えるのは、ある意味当然である。

しかしそのことを当然であると理解してくれる看護職員ばかりではない。「その程度のことも自分で判断できないの?」・「そんなことまでイチイチ連絡しないでよ。」という対応で、看護職員・介護職員の双方にわだかまりができて、職場の人間関係に重大な支障を与えることもないとは言えない。

特に「そんな程度のこと」というあいまいな基準で叱責を受ける介護職員は、夜勤中のオンコールすべき状態判断に迷い、そのことが大きなストレスとなって、燃え尽き退職に至るケースもしばしばある。

それは労務管理上の大問題であり、事業経営危機に直結しかねない問題でもある。

だからこそ夜間のオンコール体制を敷く際には、どのような些事でもオンコールしてよいというルールを定めて、コール待機する看護職員に十分な理解を得ておくとともに、そのことの徹底を図るという意味で、夜勤中の看護職員と介護職員の連携と連絡がスムースにされているのかという確認と仲介を行う役割の職員も定めおく必要がある。

だが夜間オンコールがあまりにも些事に渡り頻回である状態は、待機する看護職員のストレスにもつながっていくわけである。その中には第3者から見ても、「そんなことまで連絡しなくても良いだろう」と思う問題もあるが、夜勤当事者からすればそんなことはないという話になる。

特養の看護職員の中には、医療機関の看護職員を長く務めた後、夜勤をしなくてよい状態に魅力を感じて特養に務める人もいる。そういう人が、さして必要性がないと感じる夜間の頻回なオンコールに嫌気がさして退職してしまうとケースも問題視されるべきだ。

しかし連絡する方、される方の両者に言い分がある問題の線引きは事実上困難である。どちらも正しいのだ。

そこで考えたいのは夜間オンコールのアウトソーシングである。

指定介護老人福祉施設の運営基準では、「指定介護老人福祉施設は、当該指定介護老人福祉施設の従業者によって指定介護福祉施設サービスを提供しなければならない。ただし、入所者の処遇に直接影響を及ぼさない業務については、この限りでない。」と規定されている。

逆に言えば、「この限りでない」部分はアウトソーシング可能なのである。
夜間オンコール
夜間の看護職員のオンコール対応はこの例外規定に当たるために、アウトソーシングできるのだ。

そもそもオンコールの8割は看護師が駆けつけなくとも解決する問題なので、オンコール対応の負担で看護職員の募集に応募がなかったり、それを理由に看護職員が辞めてしまう施設にとっては、こうしたアウトソーシングは大いに魅力的であると言える。

しかもアウトソーシングの場合、連絡を受ける外部業者は夜間に連絡を受けることそのものが本体業務であるから、どのような小さな問題であっても、第3者から見て下らないと思える連絡であっても、徹底的にウエルカムである。そこで連絡した介護職員が叱責を受けたり、不満をぶつけられたりすることは一切ないわけだ。

コールセンターで夜間連絡を受ける職員も看護職員であるから、連絡を受けた上で、どう対応すべきかアドバイスするとともに、実際に看護職員の直接介入が必要であると判断した場合には、コールセンターから施設の夜間待機看護職員に連絡をして、対応を促すことになる。

すると待機している施設看護職は、オンコール対応の際より、連絡を受ける頻度が8割程度減ることにつながり、待機の負担やストレスも大幅に減ることになるのだ。

人材確保に益々困難性が増す介護施設経営を考えるのであれば、こうしたアウトソーシングを進めることで、看護職員・介護職員双方の業務負担軽減とストレス軽減を図っていくことは大事な視点ではないかと思う。

僕が施設経営に携わっているときに、そうしたアウトソーシングできる社会資源があってくれればよかったのにと思っているところだ。

現在はそれがあるのだから、活用を考慮しない手はないと思う。
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柔らかな笑顔と言葉のキャッチボールが見られる場所


つい先日まで関西の某県に、1週間滞在していた。

その際に感じたことであるが、食ブログの方にも書いたように、ホテルの宿泊料が非常に下落して安くなっている。旅先に居ることが多い僕にとってはそのことはありがたいことだ。

ただ1週間も同じホテルに滞在していると、従業員の方とも親しくなるので、その方々のことを考えると心苦しい思いにもなる。やはり適正価格というものは存在するんだろうから、そこまで戻る社会になってほしいものだと、つくづく思う。

それはさておき、同じホテルにそのように長く滞在していたのには理由がある。

数年前からサービスマナー研修講師として関わっている介護施設にお邪魔して、日勤者と同じ勤務時間内で一緒に行動させていただいていたからである。

その施設の基本サービスをチェックする役目を仰せつかっていたためである。

チェックといっても、厳しく上から目線であらさがしをする目的ではなく、今年のサービスマナー研修に備えて、職員の習熟度や基本サービスの在り方を確認し、気が付いた点を、この法人のサービス向上委員会の参考資料として提出するという目的を遂げるための仕事で、コンサル活動の一環というべき請負業務であった。

そのような外部の目を入れる方法を取り入れ、サービスの品質向上にもお金をかけている法人だから、この施設の現状のサービスの質は低くない。利用者対応もしっかりできているし、基本的な介護技術もできている。

当該施設はユニホームのない職場であるが、服装が自由化されているからと言って、職場にふさわしくない服装の職員はいない。華美になり過ぎず、清潔感のある服装で対応されているので、その部分の常識は皆持っているということだろう。しっかりした人間教育のたまものと言えそうだ。

介護施設のサービスの品質や介護レベルは、利用者の身だしなみが整えられているかどうかを見るとよくわかるが、この施設の利用者で身だしなみが乱れている人は見つからないし、整髪もきちんとできている。目やにがついたままの顔で、ホールの出ているような入所者もいない。

寝巻と日中着の着替えも、当たり前のようにできている。先日、「着たきり雀を正当化する劣悪ケアを許すな」という記事を書いて、着替えの支援を行わないことを正当化する屁理屈を批判したが、その記事に対して盛んにいちゃもんをつけてくる馬鹿がいた。当該記事で指摘した施設関係者と思しき人物の暴言でしかないが、僕のコンサル先の職員にはそのような知性と見識の低い介護職員は皆無である。

このように毎日の着替えなんて当たり前にできている施設はたくさんあるのだ。できないことの屁理屈を声高らかに主張する低能な介護職ばかりではないのだ。

このような施設に、あんまり指摘することもない。

しかし何もしないというわけにはいかないので、いくつかの改善すべき点を示すことは行ってきた。

しかしそれとて、仙骨座りになっている人がいて、正しい座位への修正と座位保持の方法を教えたり、車いすから家具椅子に移乗してもらって食事をした方が良い方について指導したり、歩行介助する際に、介助を受ける方がもっと歩きやすくなる、「コツ」を示したりする程度だ。

コツと言っても大したことではなく、意外と知られていないが、介助する人とされる人の、踏み出す足が左右逆だと、介助を受けている人は歩きづらくなる。

人は歩く際に踏み出す足の側にわずかに体が傾くのだ。それは骨盤の位置が移動するためであり、そのため利用者の左側で介助している職員が、利用者が右足を踏み出しているのに、介護者が左足を踏み出すと、両者の間隔は最も遠くなり、その逆に利用者が左足を踏み出し、介助者が右足を踏み出した際は、両者の間隔は最も縮まってしまう。(※利用者の右側について介助する場合は、その真逆の状態)

これを防ぐためには、両者の目に見えない距離感が変化しないように、出す足を同じ側の足とすることが必要になる。と・・・この程度の指導でしかない。

それに加えて、ホールに居る人が誰も見ていないテレビがつけっぱなしであったので、「あの音は騒音にしかならないので、誰も見ていないテレビは消しましょう」というくらいがせいぜいの指摘事項である。

ということで暇を持て余すほどなので、この施設の介護マニュアル目を通して、実際の新人教育等に使えるマニュアルになっているかなどをチェックした。

読んでみると回りくどい文章や、説明文が逆に介護の方法論を混乱させている部分などがあって、もっとシンプルにわかりやすくまとめる必要がある部分が多かった。ここは手を入れようと思い経ち、滞在中にすべて更新することができた。

介護主任からは、「やっと手に取って使えるマニュアルになった」と言われ、職員の皆様には、「これなら繰り返し読むのもさほど面倒ではない」と好評を博して嬉しかった。

どちらにしてもこの施設は職員が利用者に笑顔で丁寧に接しているので、利用者の表情も豊かに見えた。その利用者の豊かな表情を見ることで、職員の皆さんの介護労働に対するモチベーションが維持されているのだと思う。

しかしその基盤となっているのは、絶え間なく続けられている人材育成教育だ。僕のような外部講師を何人も呼んで定期指導を受けている状況は感心するしかない。

組織風土はよくなっていくのには時間がかかるが、悪化するのはあっという間なので、こうした不断の努力を続けないと、頂点から転がり落ちるのも早いし、その着地点はとんでもないところになりかねない。

ただサービスマナーに関して言えば、一旦その徹底が図られている場所では、そうした態度や言葉遣いが、ごく自然な態度として意識せずに護られているので、この部分に関して言えば、指導者の教育意識がなくとも、自然に新人もそうした態度や言葉遣いを身に着けていく状態になっている。

ここは強みである。そうした文化をすべての介護事業者が創ってほしい。すべての職場がそうした環境になることを目指してほしいものだ。
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着たきり雀を正当化する劣悪ケアを許すな


令和3年度の介護報酬改定で施設サービスに新設された、「自立支援促進加算」の算定要件に関連するQ&Aで、おもしろい内容が示されている。

おもしろいと言っても、それはファニーという意味ではなく、なんで今更こんなことを大げさに示さねばならないのかという意味で、「おもしろい」と思ったのである。

その内容とは、Q&A Vol10・問10の、『支援計画の実施にあたっては、原則として「生活全般において、入所者本人や家族と相談し、可能な限り自宅での生活と同様の暮らしを続けられるようにする」とされるが、具体的にはどのような取組を行うことが求められるのか。』という回答の中に、下記のような一文が示されていることである。

起床後着替えを行い、利用者や職員、家族や来訪者とコミュニケーションをとること

↑この回答を読んで、「何を当たり前のことを書いているのか」とか、「こんなことが加算算定要件になり得るのか」と考えた人は、常識的で正常な判断能力のある人だと思う。

この加算で求めているのは、日中できるだけ離床して他者とコミュニケーション機会を持つことである。その理由は、「中重度の要介護者においても、離床時間や座位保持時間が長い程、ADLが改善すること(Q&A Vol10より)」であるとされている。

他者と交わるのが嫌いな人は、そんなコミュニケーション機会はいらないと言われるかもしれないが、そうであっても昼夜逆転を防いだり、日中の活動性を高めて心身活性化するために、きちんと寝床から離れて、日課活動を行うことができるように準備することは大事な支援である。

そうした日常支援が暮らしを営む人にとってメリハリとなり、生きる意欲につながることも少なくない。

そのために寝巻から日中着に着替えを行うことは、身だしなみという意味以上に大事な行為であり、ADL支援として重要視されなければならない行為である。

ところが寝巻と日中着の着替えを軽視し、着たきり雀を大発生させている介護施設は決して少なくない。

僕が大学卒業後に就職した特養は、僕が就職した年に新設された施設だったので、介護職員(当時は寮母と呼称されていた)は、短大の保育課の新卒者のほか、医療機関で付き添い婦として介護経験を持った人が雇用されていた。

そのため医療機関の入院患者に対する方法論が、そのまま用いられる傾向が強く、病衣で1日過ごす入院患者と、施設利用者が同じように考えらる傾向にあった。そのため寝巻と日中着の着替えが行われずに、着衣の交換は入浴介助の際の週2回のみで、着たきり雀状態で利用者が過ごしているのが普通の状態だった。

僕はそれは暮らしの場の方法論ではなく、世間一般の考え方では非常識であると考え改善に取り組んだ。しかし医療機関の方法論と価値観にどっぷりつかった当時の介護職員の考え方と、その方法論を変えるためには多大なエネルギーと時間を要し、寝巻と日中着の着替えを行うことが当たり前の支援方法となるには数年の期間を要した。

昭和の介護施設は、そんな施設が多かったのではないかと思う。

しかしそのような介護施設が昭和の遺物であるかと言えば、そうとも言えない。僕が総合施設長を務めていた社会福祉法人の特養では、入浴支援の際にしか着替えの支援を行わないということは、過去の遺物になっており、毎日の着替え支援は当たり前であったが、僕が5年ほど前に1年だけ務めた千歳市の老健施設は、ケアの品質が昭和のままだった。

老健だからリハビリテーションを行うため、利用者は動きやすいトレーニングウエア(ジャージやスゥエットスーツ)を着ている人が多かったが、そうした日中着から寝巻に着替えることなく、夜もそのまま眠らされる人が多かった。

着替えをしているのは自分で着替えができる人だけで、ひどいケースになると、着替えの介助が必要な人の利用契約時に、「老健はリハビリ施設だから、起きてそのまま訓練できるように、スゥエットスーツのまま寝ましょう」・「本人の負担になるので、夜と日中の着替えがなくて良いような楽な着衣を着せてください」なんて家族に説得することもあった。

本当に驚いたが、そういう施設はまだそこに存在したのである。着替えをしなくて楽なのは、利用者ではなく、「職員でしょう」と言いたくなるが、そういう理屈が通用しないほど、世間の常識とその老健の常識は乖離していた。

しかし寝巻から日中着への着替え支援を毎日行っていないという意味は、下着の交換も行っていないということだ。下着は汚れていなくとも、寝汗などを吸い込んで不潔になるものなので、毎日交換が当たり前であるが、その老健では下着も入浴時のみの交換という不潔な状態が当たり前になっていた。それは劣悪ケアと言ってよい状態だろう。

老健は特養と異なり、利用者の私物の洗濯は施設で行う必要はなく、家族等が行うことになっているのに、この劣悪さはただただ、「着替えの支援」という当たり前の支援行為を省いていることによるものだ。

つくづく老健とは、暮らしの場ではなく、医療機関と同じなんだなと感じたものである。(もちろん、そのようなケアの品質の低い老健ばかりではないと承知してはいるが・・・。)

こういう清潔支援の不徹底は、ウイルス予防の漏れにもつながりかねない問題である。その施設は、「きれいにする」という意味のクリアという言葉を施設名に入れてはいるが、どこをとってもクリアではなかった。

現在その施設は母体の精神科医療機関に隣接する場所に移転し、建物自体は新しくなっているが、どうやらケアソフト自体は旧態依然のままらしい。

そうした施設がまだ多いという意味で、Q&A Vol10・問10のような疑義解釈を発出しなければならないとしたら、この国の介護施設のケアレベルは決して世界に誇ることができるものではないと言えるのではないだろうか。

着たきり雀を正当化し、毎日の下着交換や、寝巻から日中着下の着替えを行わないという非常識が、介護施設からなくならないことには、本当の意味で利用者の暮らしは護ることができないのである。
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形骸化した施設プランは運営指導対象になり得る


今年度の報酬改定では数多くの加算にLIFE要件が課せられた。

このブログで何度も指摘しているように、LIFE要件とは単に国の介護データベース・科学的介護情報システム (Long-term care Information system For Evidence;LIFE ライフ)に情報を提出すればよいというものではなく、LIFEがその情報を分析して介護事業者にフィードバックされた内容を、PDCA活用しなければならない。

この流れについては、下記のようにイ〜二までとして示されている。
----------------------------------------------
イ .入所者の心身の状況等に係る基本的な情報に基づき、適切なサービスを提供するための施設サービス計画を作成す(Plan)

ロ. サービスの提供に当たっては、施設サービス計画に基づいて、入所者の自立支援や重度化防止に資する介護を実施する(Do)

ハ .LIFEへの提出情報及びフィードバック情報等も活用し、多職種が共同して、施設の特性やサービス提供の在り方について検証を行う(Check)

ニ .検証結果に基づき、入所者の施設サービス計画を適切に見直し、施設全体として、サービスの質の更なる向上に努める(Action)

----------------------------------------------
この流れがきちんとできていることを示さねば、加算算定不可とされるのだから、施設サービス計画や各サービス事業所の計画(通所介護計画等)はより重要となるのである。

ところが介護施設では、この計画が形骸化しているというところが少なからず存在している。作成義務があり実地指導で確認されるものだから、施設ケアマネが作成はしているが、介護職員がその内容を知らないまま日常介護にあたっているという状態こそがプランの形骸化といえるからだ。

この状態は施設サービスが、「施設サービス計画に基づき」行われなければならないという運営基準に違反しているが、施設サービス計画書におざなりのADLケアだけを書いておけば、ルーティンワークである基本サービスを実施してさえいれば、計画に基づいていると取ることもできるということで問題視されないことが多い。

つまり利用者の個別性に配慮しない、金太郎あめのような同じケアが機械的に行われているという意味だ。

しかし今後はLIFEからのフィードバックに沿った、個別の計画見直しと実行が常に求められてくるのだから、そうした金太郎あめケアは実地指導の対象となり得る。

よって今からその改善に努めておかねばならないが、その改善とは計画作成責任者である施設ケアマネだけでどうこうできる問題ではなく、直接サービス提供を行う看護・介護職員の意識改革と業務改善が不可欠な問題である。

また施設介護職員の中には、施設サービス計画がケアマネジャーの考え方の押し付けであり、介護に直接携わる職員が気づく利用者ニーズに即していないという訴えを聴かされることがある。本当にそうならば、それは施設サービス計画の作成の基本姿勢が問われる問題と言え、改善されなければならない問題だ。
施設サービス計画書って誰が作るの?
上の画像は、僕の講演スライドの1枚であるが、施設サービス計画の作成を主導・主管するのは施設ケアマネであり、アセスメントは施設ケアマネが直接利用者に面接して行わねばならないが、施設ケアマネが利用者ニーズのすべてを把握することができるわけがないので、担当者から専門的な見地からの意見を求める必要があることになっている。

つまり施設サービス計画書は、多職種協働作業で完成させるべきものであり、それぞれが専門的立場から意見を出し合って作り上げるものであるという施設内コンセンサスが何よりも求められるのである。

施設サービス計画に関する研修は昨年度まで、施設ケアマネを対象にした研修会がほとんどであった。しかし今年度以降は、施設サービス計画を実効性のあるものにして、LIFE加算のフィードバック要件に合致させるサービスを行うためにも、施設サービス計画の意味や必要性を、施設職員全員が理解する必要がある。そのため施設サービス計画を施設の日常介護に生かすための研修が行われるようになってきている。

今日の夕方も僕は大阪で講演を行うが、そこでのテーマは、「ケアプランに基づいたサービス実践の重要性〜本物の科学的介護を目指して」である。

この講演は、施設サービス計画書が職員ができないことを正当化し、しないことを当然とするアリバイ作りに使われるのではなく、施設サービスとして実現できることを増やすためのものであり、それぞれの専門分野を持つ多職種で話し合って可能性を広げていくツールであることを知らしめる講演である。

そのため介護職員等が専門的立場から、どのような意見を伝えるべきかを具体例を挙げて示す予定である。

この講演で伝えたいテーマは以下の3点である。
・施設サービス計画書は、心身に障害があったとしても、「できるかもしれないこと」に着目して、利用者の「希望」に繋げる宣言書である。
・できないことを取り挙げるのは素人でもできる。できる可能性に着目するのが専門的見地である。
・したいことを、できることに変えるための計画書にしてほしい。


そもそも多大な時間と労力をかけて作る施設サービス計画書が、行政指導の為の紙切れに過ぎなくなるのでは多大な業務損失である。

施設サービス計画書とは、利用者や家族にとって、「どのようなサービスを受けることができるかが明確になることによって、安心してサービス利用ができると共に、施設サービスを利用する目的や意味を認識できることに繋がるもの」であり、施設職員にとっては、「共通言語としてのサービス指針を持つことによって、チームとして必要な具体的支援方法を確認理解することができる。利用者の生活課題やサービスの目的を理解することで事後のサービス評価が可能となるもの」である。

その目的を果たすためには、施設ケアマネが施設サービス計画の作成方法を学ぶだけでは不十分で、施設ケアマネ以外の他の施設職員が、施設サービス計画の使い方を学ぶ必要があるのだ。

そうした研修のお手伝いもしているので、是非メール等でお気軽に問い合わせいただきたい。メールは、「北海道介護福祉道場あかい花」のサイトの右上のメールマークをクリックするか、上部のグレーンの帯に書かれたアドレスをクリックして連絡してほしい。
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暮らしの質に関する新たな示唆


あらためて求められたQOLを職員に知らせているかより続く)
自立支援促進加算では、おむつ交換について下記のような指摘も行われている。
・ おむつ交換にあたって、排せつリズムや、本人の QOL、本人が希望する時間等に沿って実施するものであり、こうした入所者の希望等を踏まえず、夜間、定時に一斉に巡回してすべての入所者のおむつ交換を一律に実施するような対応が行われていないことを想定している

このように排せつパターンに即さないおむつの定時交換・一斉交換は、「暮らしの質の向上ではない」と否定されているのである。

見守り機器などの利用を条件に、一人の夜勤者で60人もの利用者対応する時間を増やす「夜勤配置基準緩和」を実現させておいて、この対応を求めるのは理不尽だとは思う。しかし、「夜間だからと言って、個々の排せつ時間に配慮せず、おむつ交換を一斉定時に行うのは暮らしの質の豊かさとは言えない」という考え方は正論と言わざるを得ない。

排せつについての新たな示唆は、介護施設の排せつ支援加算でも行われている。
・リハビリパンツや尿失禁パッド等の使用は、おむつの使用に該当する
・おむつの使用が終日から夜間のみになったとしても、算定要件を満たすものではない。


このことについては、「全否定されたおむつゼロ運動と罪悪の歴史」で指摘した通り、尿取りパットをおむつの代用として使うことや、日中のみのトイレ排せつだけでは、暮らしの質の向上につながらないことを指摘したものである。

常軌の指摘事項について実現できるか・できないかにかかわらず、介護事業者の全職員が排泄ケアのあり方を考え直すためにも、これらの指摘事項をきちんと事業者責任として、職員に伝えておく必要がある。

そのほか自立支援促進加算では、暮らしの質の向上と関連して様々な考え方が示されている。

食事についての指摘事項は以下の通りである。
・食事は、本人の希望に応じ居室外で、車椅子ではなく普通の椅子を用いる等、施設においても、本人の希望を尊重し、自宅等におけるこれまでの暮らしを維持できるようにする。食事の時間や嗜好等への対応について、画一的ではなく個人の習慣や希望を尊重する。
・経管栄養といった医学的な理由等により、ベッド離床を行うべきではない場合を除き、ベッド上で食事をとる入所者がいないようすること


普通の椅子とは家具椅子を指すものと思えるが、家具椅子に座っての食事は、誤嚥しない食事姿勢として求められるものであり、是非そうした視点とともに実現を図ってほしい。

なおこのことは僕の介護実務講演を聞いている事業者や個人は、僕の指摘と同様と気が付いていると思う。(※すでに僕の講演を聴いて、取り組みを行っている介護事業者も多い。)

入浴については、「すべての入所者が、特別浴槽でなく、個人浴槽等の一般浴槽で入浴していることが原則である。」としているが、これは在宅復帰を睨んで、自宅で入浴できる方法を促しているものであろう。通所サービスの「入浴介助加算供廚箸皀螢鵐した考え方と言えるかもしれない。

また次の点も注目すべき指摘である。
・本人の希望に応じて、流れ作業のような集団ケアとしないため、例えば、マンツーマン入浴ケアのように、同一の職員が居室から浴室までの利用者の移動や、脱衣、洗身、着衣等の一連の行為に携わること

僕の講演を聞いたことがある人ならわかると思うが、この方法も僕が勧めている、「業務分担しない生活支援型ケア」である。一人の職員がマンツウマン対応することで、職員が一人いれば、利用者ひとりに対応できるようになる。そして業務分担するよりしない方が、分担作業の繋がりロスがなくなる分、ケアがスムースになるという利点が出てくるのでぜひ実行してほしい。

また同加算では、「中重度の要介護者においても、離床時間や座位保持時間が長い程、ADLが改善すること」として、「離床、座位保持又は立ち上がりを計画的に支援する」「計画的に行う離床等の支援を一定時間実施する」ことを求めているが、その目的はあくまで、「日中の過ごし方を充実したものとすること」であり、座ったきり老人を創っても始まらないという理解も必要だ。

「本人の生きがいを支援し、生活の質を高めていく観点から、離床中行う内容を具体的に検討して取り組むことも重要である」と指摘されていることを、全職員に正確に伝えてほしいと思う。
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あらためて求められたQOLを職員に知らせているか


改定報酬体系・加算要件は職員全員に伝えるべきですより続く)
最初にお知らせです。東京の感染拡大が予測以上です。このため10/5(火)に予定して会場も抑えていた出版記念シンポジウムを行うことは難しい状態と判断しました。現在10月のシンポジウムを延期して、年内に実施できないか検討中です。予定に組み入れていた方には申し訳ありませんが、こうした事情ですので、ご容赦くださいますようお願い申し上げます。

なお本の出版は予定通り、9月中に発売予定です。

お知らせは以上です。ということで本題に移ります。

介護保険制度の理念の一つが、「自立支援」であることは今更言うまでもない。

しかし介護保険法総則においてこの法律の目的は、「国民の保健医療の向上及福祉の増進」であるとされているのだから、自立支援もその目的を達成するための理念の一つであると言える。

福祉とは、「しあわせ」や「ゆたかさ」を表す言葉なのだから、国民の幸せが増して進まない自立支援は求められていないということになり、介護を要する人に対して、「自立して暮らさないと悲惨な暮らしになってもしょうがないよ」と脅しながら、自己責任を強いることを意味しているわけではないのである。

そのため介護保険制度には、「自立支援」と並んでもう一つの理念が存在する。それが「生活の質(QOL)の向上」である。

しかし過去の制度改正や報酬改定では、「自立支援」を重視した方策に偏った議論が見られ、そのために「生活の質の向上」はおざなりに扱われる感も否めなかった。

しかし今年度の報酬改定においては、「暮らしの質」に着目した、新たな視点が数多く示唆されている。

例えば、排せつについて多床室のポータブルトイレ利用を戒める指摘が行われている。

特定施設と介護保険施設の、「サービス提供強化加算」の新要件として以下の考え方が示された。
・ケアに当たり、居室の定員が2以上である場合、原則としてポータブルトイレを使用しない方針を立てて取組を行っていること

介護施設の「自立支援促進加算」でも次のような考え方が示されている。
・排せつは、入所者ごとの排せつリズムを考慮しつつ、プライバシーに配慮したトイレを使用することとし、特に多床室においては、ポータブルトイレの使用を前提とした支援計画を策定してはならない。

このことに関連してQ&Aでは、多床室でポータブルトイレを使用してよい特例を、「在宅復帰の際にポータブルトイレを使用するため、可能な限り多床室以外での訓練を実施した上で、本人や家族等も同意の上で、やむを得ず、プライバシー等にも十分に配慮して一時的にポータブルトイレを使用した訓練を実施する場合」としており、一時的な使用にとどめ、恒常的に多床室でポータブルトイレ利用することを認めていないのである。

そのうえで、「原則として排せつは、入所者ごとの排せつリズムを考慮しつつ、プライバシーに配慮したトイレを使用すること」とされているのである。

オムツをはずしさえすればよくて、おむつ交換しなくて済むなら、それ以外の排泄方法の質は問われなかった従前の考え方から、大きく一歩を踏み出した考え方だと言えよう。

僕は以前グループホームの外部評価を行っていたが、GHでもポータブルトイレの不適切な使い方を何度か指摘したことがある。例えば(家具調ではない)便器そのもののポータブルトイレが無造作にホールに置かれ、便器が丸見えの状態で利用者が食事している姿を見て、食事場所から見えるところにポータブルトイレを置かないように指摘したこともある。

ケアとは何かという本質を忘れて、排泄動作だけを支援すればよいと考える先には、利用者が便器を見ながら食事をさせられていても、何も問題を感じないという感覚麻痺が生まれ、それがやがて様々な場面で、プライバシーと羞恥心に配慮のない不適切ケアを生み出すのではないか。

他人が自分のベッドのすぐ横で、日常的に排泄する姿を見せられるというのは、暮らしの質としては最低である。いくらトイレスクリーンで、ポータブルトイレを隠しても、音やにおい、排せつの気配までは消せない。そういう意味で、多床室のポータブルトイレ使用の戒めは非常に良い示唆だと思う。

排泄自立とは、他人の目の前で、ポータブルトイレに座って排せつすることではないことを、今回の新規程は示しているように思える、このことは全職員に伝えておかねばならない示唆であろう。

今回の改定では、排せつに関する示唆はさらにあるし、日中の過ごし方や、食事介助の方法に関する新たな視点も示されている。字数が長くなったので、そのことは明日の更新記事で改めて示すことにしよう。(暮らしの質に関する新たな示唆に続く)
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コロナ禍でも特養の収益は減っていないのだから・・・。


福祉医療機構が7/16付で、「社会福祉法人経営動向調査の概要」を公表した。

それによると昨年度、収益が前年度比で減少した特養は18.9%であった。それに対して、「横ばい」が51.4%、「増加」が29.3%となっている。

昨年度(2021年度)は、2018年に改定された介護報酬3年目にあたり、その3年の中では最も収益が減ることが想定される年度だ。定員が定まっている特養にとって、3年間法定給付費が変わらないのだから、職員の定着率が高ければ高いほど昇給分による人件費高騰が収益に影響してくるので、改定3年目は改訂1年目と2年目と比較して、一番収支差率が低くなって当然だからである。

そうであるにもかかわらず8割以上の特養の収益が横ばいかアップというこの結果は、感染対策補助金や介護報酬の感染特例算定が大きな影響を与えていると考えられる。

特にコロナ禍で退所者のベッドを埋めるための新規利用受け入れができない期間や、ショートステイの受け入れができない期間があったこと及び感染対策費が大幅に増えたことを考えると、前年比減益の特養が2割未満でしかないという状況は、国の感染対策が効果的に機能していると言ってよいと思う。

支出面では、コロナ禍の影響で通常支出で減っているものがあると思え、それも収益確保に多少は影響しているかもしれない。

例えば教養娯楽費の支出が減っている特養が多いのではないだろうか。密を避けるために集団活動が制限されたため、イベントやレクリエーションができなかったことによって、そこに掛けていた経費がそっくりなくなったり、外出制限の影響で、利用者を外に連れ出して行うレクリエーションがなくなり、その面の経費もゼロとなっているかもしれない。

外部研修が軒並み中止になって、職員の派遣費用や参加費支出がなくなったり、事業所内研修も開催できず、講師料支出が無くなったりして、研修費が大幅に余った事業者も多いだろう。しかし職員のスキルアップは、事業経営を左右する問題につながるので、今年度以降の研修の充実のために、それらの費用支出は復活させる必要がある。

このように特養に関して言えば、コロナ禍が収益面では決してマイナス要因にはなっていないと言えよう。この傾向は施設サービス全般に言えることで、通所サービスのように収入が一切途絶えた時期のあるサービスとは異なり、ある意味恵まれていたと言えるかもしれない。

しかも今年度はプラス改定の影響で、丁寧に加算を拾っていくことで、収入アップが期待できる年である。

そうであるからこそ、感染対策に万全を期した体制作りに投資したいところだ。コロナ禍が終息しても、今後は数年ごとに何らかの感染症対策を必要とする可能性が高いからだ。

例えば面会制限については、国も緩和するようにたびたび通知を出しているが、緩和対策のための感染予防策に少しお金をかけるという考え方はあって当然だ。面会のための専用スペースの整備コストはかかって当然だ。

そのほか面会専用スペースの空間除菌設備も導入したい。次亜塩素酸水による空間除菌は、体に害があるというフェイクニュースが流されているが、「次亜塩素酸水溶液普及促進会議」が昨年記者会見を行い、次亜塩素酸水による空間噴霧は毒性なしとして、『政府は国民の命と健康を守るため医療機関、高齢者施設などを始めとする必要な個所への次亜塩素酸水の配布と備蓄を進めていただきたい』と呼びかけている。その後、国は空間除菌が健康被害を引き起こす恐れがあると公言しなくなった。

そしてたくさんの医療施設や介護事業者でクラスター感染を防ぐ観点から空間除菌が行われるようになっているのだ。例えば、「使用後95.5%の医師が継続使用を希望する空間除菌法」で紹介している安全で効果の高い除菌水は、クラスター感染を防ぐ決め手となり得るのである。

ところで面会制限に関して言えば、入所者や職員全員がコロナワクチンの2回目の接種を終えた施設については、もう全面的な面会制限はあってはならないと思う。それは人権侵害でしかない。

ただし社会全体でみると緊急事態が続いている地域があるので、感染対策を施したうえでの面会制限緩和が求められており、国は次のような対策を例示している。

・ 面会時間は必要最小限とし、1日あたりの回数を制限すること

・寝たきりや看取り期以外のケースでは居室を避け、換気可能な別室で行うこと(※逆に言えば、寝たきりや看取り期の方は、居室での面会でも構わないとしている点に注目してほしい)

・来訪者が施設内のトイレを極力使わないようにすること


このほか熱があったら来訪を断る(過去2週間以内に発熱していないこと・同居家族にも症状が出ていないこと。)、名前や連絡先を記録する、マスク・手指消毒を求める、大声での会話は控えてもらう、といった基本の徹底も呼びかけている。

介護施設や居住系施設の利用者の方々が、一日も早く家族の手を握って話ができる機会をつくろうという体制づくりに興味がない人は、対人援助の職業から身を引いた方が良いと思う。
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夜間配置の試行期間が終わりますが・・・。


今週木曜日には、いよいよ暦も7月に変わる。

夏本番と言ったところだが、その時期はちょうど介護報酬改定・基準改正から3月を経た時期でもあり、大きな変化が全国の特養で予測される時期でもある。

というのもその時期に特養での二つの夜間配置基準緩和の試行期間が終わって、完全実施されるからだ。

その一つは、介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護・短期入所者生活介護の夜間配置加算の算定要件変更である。

今年度から見守り機器を入所者全員に設置した場合、「夜勤職員全員がインカム等のICTを使用していること及び安全体制を確保していること」の2つの条件をクリアすれば、最低基準に加えて配置する人員が従前の0.9から、「人員基準緩和を適用する場合0.8人、適用しない場合(利用者数25名以下の場合等)0.6人」まで引き下げることが可能となっており、その試行期間が終了する。

二つめは、介護老人福祉施設(従来型)について、見守り機器やインカム等のICTを導入する場合における夜間の人員基準緩和(参照:特養で夜勤する人がいなくなるかもしれない緩和策)についての試行期間の終了である。この配置基準緩和は、夜間配置加算の追加する職員の緩和ではなく、夜間配置基準そのものの規定人数が減らされるのだから、加算算定基準の緩和策より重大な問題である。職員は今まで経験したことがない、最も少ない人数で夜勤を行わなければならないからだ。

試行期間とは、実際に見守り機器やインカム等のICTを活用しながら、それで配置人数が減らせるのかを確認する期間であり、この期間は夜勤者数を従前からの基準通り減らすことなく配置しながら試していた期間である。

つまり実際に人を減らして、夜間ケアを行うのは7月が最初となるのだ。

試行期間中に実際に夜勤者数が減ることに不安を感じていた職員は、全国にたくさんおられるはずだ。実際に僕のところには、そうした職員の方々が多数不安の声をメールで送ってくださっている。その中にはその不安が解消しないとして、夜間配置基準を緩和しない特養や、緩和基準が導入されなかった老健に職場を変えたという人が居られる。

試行期間が終わり、実際に夜間配置人員が減らされた中で仕事をする人で、今後同じように職場を変えようとする人の動きが活発化するかもしれない。

見守り機器等は、とても優れた性能があり、その導入はぜひ進めるべきだと思う。それによって夜勤者の業務負担は間違いなく軽減できるからだ。

だからと言って人を減らして夜勤を行うということは別問題だ。せっかく見守り機器やインカム等のICTを導入して、業務負担が軽減しても、配置人員を減らしてセンサー対応する職員の数が減ってしまえば、業務負担は逆に従前よりも増えることになりかねない。

実際に機械の反応で対応するのは人間なのに、その対応者が減れば、そこで業務負担が増えるだけではなく、その他のルーティンワークにも支障を来すのは極めて容易に想像できることだ。

試行期間でそのことを確かめて、やはり夜間配置人員は、従前どおりにしないと業務が回らないという判断があってもよいと思うのだが、実際には試行期間を通過儀礼と考えて、その期間が終わったならば自動的に配置人員を減らそうと思ている特養経営者や管理職が多いのには閉口してしまう。

26日に厚労省が介護ロボット等の安全使用を呼びかける事例集を公表したが、その中には昨年11月までの1年間で、見守り機器を導入していたが、利用者がベッドから起き上がったことを知らせる警告に職員が気付かずに骨折した事故などが70件以上発生していることが示されている。

職員を減らして配置すると、センサー反応に気づかない事故も増えるし、気づいても対応ができない場面も増え、事故は確実に増えることは容易に想像がつく。そうした事故対応にも職員の身体と精神は疲弊していくのではないだろうか・・・。

職員の健康や業務負担を考えることなく、利用者の安全な暮らしを護れなくなるリスクも考慮せず、変更基準に合わせた人員削減に躍起になる経営者や管理者のいる場所で、将来にわたって職員が安心して働くことが出来るわけがない。そういう事業者は見限って、一日も早く良い転職先を探すということも、賢い従業員の選択肢の一つだと思う。

これから緩和された配置基準で夜勤業務を行わなければならない介護職員の方々は、くれぐれも身体的・精神的な健康を害しないように、不安と不満を抱えたまま過酷な労働環境に耐えて働き続けることがないようにしていただきたい。

時と場合によっては、自分の身は他に誰も守ってくれる人がないのだから、自分自身で守るしかないのである。その時の判断は、「もっと良い職場を探してみよう」でも良いわけである。
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加算別 LIFE 情報提出等のまとめをDLできるようにしてみた


厚生労働省の介護データベース「科学的介護情報システム」(LIFE)で、4月の運用開始に合わせた利用申し込みが殺到し、一時は約2万の事業所がデータを提出できない状態に陥っているというニュースが流れている。

これは厚労省内のコロナクラスター感染による作業遅れと、LIFEの不具合によるシステムエラーの両方が原因であると思える。

システムエラーに関連してはFAQ(よくある質問)が19日付でダウンロードできるようにされているので、インポートできない理由などの対応方法を確認していただきたい。

ここでは暗号化キーを設定した端末と異なる端末で情報入力するには、バックアップファイルを共有して情報を登録したい端末にインポートする必要性などが示されているが、そもそも他のPCにバックアップファイルを渡せない状態が出ていたりして、システムそのものの障害が疑われる。

それらの情報については表の掲示板の、「 LIFEの新規登録について」で随時情報交換がされており、ここでしか知り得ない貴重な情報も掲載されているので、そちらを常にチェックしておいていただきたい。

このシステム障害に加えて、IDやパスワードをはがきで送付する作業も滞っているようだが、それには厚労省のコロナウイルスクラスター感染が影響していることは間違いない。昨日も新たに10人の感染者が出て、この中には問題となっている宴会参加者が5名含まれており、感染者は合計27人(宴会参加者は12名)となっている。Q&A発出も益々遅れることだろう。

科学的介護推進体制加算等の情報提出猶予のある4つの加算以外は、4月から加算算定する場合の最初の情報提出期限が5/10になっているが、この時期を延期するのは当たり前のことだと思う。そのアナウンスもされていないのは、自宅待機者などが増えて決済処理ができないためだろう。何とも恥ずべき状況である。

ところでLIFEへの情報提供については、その頻度と提出しなければならない情報については、「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」で示されており、LIFEからのフィードバック情報をPDCA活用すべき計画書等については、老企36号及び老企40号の各解釈通知でサービス種別ごとに示されている。

それらを表にまとめ、ダウンロードできるようにしたので、文字リンクをクリックして参照していただきたい。【加算別 LIFE 情報提出のまとめ 】※どのような表なのを示した参考画像は下記である。
LIFE情報提出のまとめ
加算別に情報提出の頻度、提出しなければならない情報、フィードバックを受けた情報を活用すべき対象様式を示しているが、今朝あわただしく作成して、十分な確認も済ませていない状態でアップしたので、今後修正しなければならない箇所があるかもしれない。

修正すべき点に気が付いた方は、ご一報いただきたい。
修正箇所
※4/23 AM7:40 22日発出の正誤表に対応した修正と情報提出猶予期間を追加して、修正アップしました

表を見てわかると思うが、ADL維持等加算については報告頻度が他の加算とはかなり異なっている。これはバーセルインデックス測定月のADL値を情報として提出するためである。

その他の加算は、初回以外の情報提出については定期的な報告も求められ、科学的介護推進体制加算以外の加算は、その頻度が少なくとも3月に1回とされている。その頻度で計画の見直し等が求められているので、施設サービス計画や各居宅サービス事業所の計画も、3月に一度の見直しを行わねばならなくなったと考えるべきだろう。

特に特養は、昨年度まで施設サービス計画書の定期見直しを、半年に一度としている施設が過半数を超えていたので、その体制を見直さねばならない。

なお科学的介護体制推進加算の定期的な情報提出が、「少なくとも6月に1回」とされ、他の加算より報告頻度が少なくなっている理由は、報告すべき情報が多いことによるものと思われる。

どちらにしても請求ソフトの情報の自動反映では対応できない情報も多く、手作業での入力が必要となる項目が多々あるので、情報提出担当者を明確にしておき、作業に一日も早くなれるようにしていただきたい。
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厚労大臣が定める基準を見逃さないように


昨日、介護報酬の解釈通知から(案)の文字が消え、正式文書として発出されたことを受け、各事業者では担当者が加算届等に関連して、算定要件等を確認するために資料の読み込み作業を進めていることだろう。

ただし現行ではQ&Aが発出されていないので、まだ不明の部分も残されている。

例えば通所介護と通所リハビリに新設された、「入浴介護加算」については解釈通知で、『入浴計画に基づき、個浴その他の利用者の居宅の状況に近い環境にて、入浴介助を行う。なお、この場合の「個浴その他の利用者の居宅の状況に近い環境」とは、手すりなど入浴に要する福祉用具等を活用し利用者の居宅の浴室の環境を個別に模したものとして差し支えない。」とされているが、それは例えば4〜5人が同時に入浴できるような大きな浴槽であっても認められるという意味なのかは現時点で誰も正しい判断はできない。

こうした解釈は、あれこれ想像で議論するのは無駄でしかなく、Q&A発出を辛抱強く待つしかないのである。

ただし8割がた算定要件は既に解釈できると考えてよい。その部分は十分な読み込みと、正確な判断が求められるわけである。そのためには報酬告示と解釈通知を読みこむだけではだめなのだ。意外と見落とされている、「厚生労働大臣が定める基準」であるが、ここに答えがあるものも多いのである。

例えば施設関係者の間で、「算定要件の管理栄養士配置規準がわからない」という声が多く聞かれる、「栄養マネジメント強化加算」がその典型である。

この加算を説明するために介護給付費分科会に提出された資料では、「管理栄養士を常勤換算方式で入所者の数を50(施設に常勤栄養士を1人以上配置し、給食管理を行っている場合は70)で除して得た数以上配置すること」とされていたため、これをどう解釈すべきなのかという疑問の声が挙がっていた。

しかし報酬告示では、「別に厚生労働大臣が定める基準に適合するものとして都道府県知事に届け出た指定介護老人福祉施設において、入所者ごとの継続的な栄養管理を強化して実施した場合、栄養マネジメント強化加算として、1日につき所定単位数を加算する。ただし、イ及びロの注6を算定している場合は、算定しない。」としか書かれておらず、その謎は解けなかった。

そこで解釈通知が待たれていたわけであるが、その内容は以下の通りであった。

『大臣基準第 65 号の3イに規定する常勤換算方法での管理栄養士の員数の算出方法は、以下のとおりとする。なお、当該算出にあたり、調理業務の委託先において配置される栄養士及び管理栄養士の数は含むことはできないこと。また、給食管理を行う常勤の栄養士が1名以上配置されている場合は、管理栄養士が、給食管理を行う時間を栄養ケア・マネジメントに充てられることを踏まえ、当該常勤の栄養士1名に加えて、管理栄養士を常勤換算方式で、入所者の数を 70 で除して得た数以上配置していることを要件とするが、この場合における「給食管理」とは、給食の運営を管理として行う、調理管理、材料管理、施設等管理、業務管理、衛生管理及び労働衛生管理を指すものであり、これらの業務を行っている場合が該当すること。なお、この場合においても、特別な配慮を必要とする場合など、管理栄養士が給食管理を行うことを妨げるものではない。』

これを読んでも良くわからないわけである。なぜならもともとの管理栄養士の配置規定が示されていないからだ。それはどこにあるのかと言えば、それが厚生労働大臣が定める基準なのである。下記画像がその部分だ。
栄養マネジメント強化加算の要件
厚労大臣が定める基準六十五の三地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護費における栄養マネジメント強化加算の基準※こちの資料「参考2−15:厚生労働大臣が定める基準」の474頁を参照のこと。

つまり栄養マネジメント強化加算の算定に必要な配置要件とは、「管理栄養士」を常勤換算方法で入所者の数を50で除して得た数以上配置しておれば算定できるということが基本になっているのである。

しかし介護施設の栄養士配置要件は、「管理栄養士」ではなく「栄養士」であってもよいために、栄養士を1名しか配置していない施設も全国にはまだ多いのである。上に記した解釈通知・老企40号規定は、この場合の管理栄養士が常勤である場合について可能となる上乗せ配置条件を説明した文章である。つまり管理栄養士ではなく栄養士しか配置されていない場合は、その栄養士が給食管理を行っているという条件の下で、それに加えて管理栄養士を常勤換算方式で入所者の数を70 で除して得た数以上配置しておればよいという規定になっている。

例えば入所者70名の施設を例にとれば、管理栄養士を常勤換算1.4人配置しておれば配置要件はクリアするのである。

同じ利用者数で栄養士の配置しかない場合は、配置基準をクリアするためには栄養士+常勤換算1.0の管理栄養士が必要になるという意味だ。

こんなふうに報酬告示・解釈通知・厚労大臣が定める基準を一体的に読み込んで算定要件等の理解に努めていただきたい。

なお栄養マネジメント強化加算で講演等で質問が多かった、「食事の観察(週3回以上)」については、「管理栄養士が行うことを基本とし、必要に応じ、関連する職種と連携して行うこと。やむを得ない事情により、管理栄養士が実施できない場合は、介護職員等の他の職種の者が実施することも差し支えないが、観察した結果については、管理栄養士に報告すること。なお、経口維持加算を算定している場合は、当該加算算定に係る食事の観察を兼ねても差し支えない。」とされ、観察内容も示されているので、この部分の疑義はほぼ解消されたと言ってよいと思われる。

栄養マネジメント強化加算は、一人の利用者に対し毎日11単位を算定できる単位数の大きな加算と言える。それだけに算定ハードルは低くない。それにしてもこの記事で解説した通り、管理栄養士の配置基準は高いハードルだ。80人施設で利用者全員にこの加算を算定できるとしても264.000円/月の収益にしかならない。この場合栄養士しか配置していない施設であれば、別に管理栄養士を1.1人加配せねばならない。そう考えるとこの収益は人件費にもならない額ではないかと思う。

そうしたことを含めて、加算算定に向けて動くのかどうかなどの判断をしていくのが経営者や管理職の今求められている一番重要な役割である。
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褥瘡マネジメント・排泄ケアのアウトカム評価の詳細


施設サービスにおいて、計画実施加算であった褥瘡マネジメント加算と排せつ支援加算については、それぞれアウトカムを評価する上位加算(褥瘡マネジメント加算13単位/月・排せつ支援加算15単位/月及び20単位/月)が新設されたが、その算定要件が明らかになった。

両加算の最初の利用者状況評価は、届出の属する月及び当該月以降の新規入所者については、当該者の施設入所時に評価を行うこととし、届出の日の属する月の前月において既に入所している者(以下「既入所者」という。)については、介護記録等に基づき施設入所時における評価を行うとされた。

その為、この二つの加算の新設上位区分算定のためには、既入所者のケース記録等から入所時点の褥瘡リスク評価と排せつ機能評価を行う必要がある。4月から上位区分を算定するためには、今からその作業を進めておく必要がある。

褥瘡予防のアウトカム評価の上位区分として新設された褥瘡マネジメント加算兇蓮∬黶譽泪優献瓮鵐伐短鮫気了残衢弖錣鯔たす施設において、施設入所時に褥瘡が発生するリスクがあるとされた入所者について、施設入所日の属する月の翌月以降に別紙様式5を用いて評価を実施し、当該月に別紙様式5に示す持続する発赤(d1)以上の褥瘡の発症がない場合に、所定単位数を算定できるものとするとされている。様式5の「褥瘡対策に関するスクリーニング・ケア計画書」は下記画像の通りである。
褥瘡対策に関するスクリーニング・ケア計画書
この様式を用いた評価によって、入所月の翌月から褥瘡発生が予防されている場合は加算算定できるわけである。

このブログで何度も指摘したように、特養は褥瘡をつくらない施設として、医療系サービスに負けないケアを実践してきた経緯がある。よってこの加算は是非褥瘡リスクが高いとされた入所者全員に算定したい加算であるし、算定率の高さは、後々地域の方々から選択される施設の評価につながっていくことになるのではないかと考える。

次に排せつ支援加算である。入所時点等の評価については褥瘡マネジメント加算と同様である。

アウトカム評価の上位加算ううち排せつ支援加算兇蓮∋楡瀑所時と比較して、排尿又は排便の状態の少なくとも一方が改善し、かつ、いずれにも悪化がない場合又はおむつ使用ありから使用なしに改善した場合に、算定できることとするとされた。

最上位区分の排せつ支援加算靴蓮排せつ支援加算()の算定要件を満たす施設において、施設入所時と比較して、排尿又は排便の状態の少なくとも一方が改善し、いずれにも悪化がなく、かつ、おむつ使用ありから使用なしに改善した場合に算定できる。

評価は別紙様式6を用いて行うとされたが、様式6は「排せつの状態に関するスクリーニング・支援計画書」であり、下記の画像である。
排せつの状態に関するスクリーニング・支援計画書
この計画書によって排尿・排便の状態及びおむつ使用の有無並びに特別な支援が行われた場合におけるそれらの3か月後の見込みについて実施するとされ、この評価で改善が認められた場合に初めて算定できる。

両加算とも、LIFEへの提出情報及びフィードバック情報を活用することが算定要件となっているので、フィードバックを受けた内容を画像で示した2つの様式にそれぞれ反映せねばならない。

なお、『LIFEへの提出情報、提出頻度等については、「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」を参照されたい。』とされ、それを見ると両加算とも加算算定月と最低3月に1回行われる計画見直し時に情報提出が必要とされているが、令和3年度については猶予期間が設けられており、「LIFEに対応した介護記録システム等を導入するために時間を要する等の事情のある事業所・施設については」という条件付きで令和4年4月10日までに提出するとされ、まるまる1年以上情報提出が猶予されている。

そのほか提出情報の詳細(それぞれ様式5・6の情報の一部)も示されているので、同通知を必ず漏らさず確認していただきたい。

こんなふうにここしばらくは、国の発出情報を確認しながら、新加算の算定に向けての準備を着実に進めていく必要がある。要件の見落とし、解釈の間違いが即報酬返還につながるので、表の掲示板で情報交換しながら、確実に前に進んでいってほしい。
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施設サービス計画の更新は3月毎が当然になる


施設の介護支援専門員の主要業務として、施設サービス計画の作成・更新作業が挙げられる。

当然この業務の中には利用者に対する個別のアセスメントやモニタリングを行なうことや、多職種合同でのケアカンファレンスを主管することのほか、作成したケアプランの周知連絡など様々な業務負担が伴うわけである。

施設ケアマネにとって施設サービス計画書の作成作業は、重要かつ負担が大きい業務と言え、定期的な更新作業が年に何回行わなければならないのかということは大きな問題でもある。

老健の場合、利用者ごとに3月に一度在宅復帰検討をしなければならないために、それに合わせて施設サービス計画書を更新しているところが多く、定期更新は年4回というのが普通だろう。

しかし特養の場合、施設サービス計画の短期目標期間を6月間、長期目標期間を12月間としたうえで、定期の計画見直しを短期目標の更新時期に合わせて、一人の利用者につき年2回という施設が多いのではないか。現に僕が総合施設長を務めていた特養は、その頻度で施設サービス計画を定期更新していた。

施設サービス計画書の目標期間を固定することは悪いことではなく、むしろ合理的方法と言える。そのことはケアプラン目標期間は一律機械的でなぜ悪いというブログ記事でも指摘・提言しているところでもあり、この方法や頻度に何の問題もなかった。

例えば特養の個別機能訓練加算については、3月ごとに訓練内容等を利用者に説明しなければならないという3月ルールがあるが、この際に個別機能訓練計画の見直し・更新が求められているわけではないので、短期目標を3月とする必要もなかったわけである。

しかし年2回の施設サービス計画の更新という頻度は、新年度からは非合理的になり、老健と同じく特養でも3月ごとの定期更新作成が必要になってくると思う。

なぜなら新設加算や現行加算の新上位区分などでは、計画の見直しが3月に一度必要とされる要件となっており、見直した計画書をLIFEに提出しなければならなくなるからだ。

例えば施設サービスに新設され、算定できれば大幅な収益増が見込まれる、「自立支援促進加算:300単位/月」については、必ず算定すべきであることを、「壁は高いが算定しなければならない自立支援促進加算」という記事を書いて指摘しているが、作成が必要とされる、「医学的評価に基づく自立支援計画」については、「少なくとも3月に1回、入所者ごとに支援計画を見直していること。」が算定要件になっている。

褥瘡マネジメント加算については、「少なくとも3月に1回、評価を行い、その評価結果等を厚生労働省に提出し、褥瘡管理の実施に当たって当該情報等を活用していること」というふうに、LIFEへの情報提出とフィードバック活用の要件が加えられたうえで、「評価に基づき、少なくとも3月に1回、入所者等ごとに褥瘡ケア計画を見直していること。」とされている。

排せつ支援加算についても、褥瘡マネジメント加算と全く同様の要件が加えられた。

栄養マネジメント加算は廃止されるが、その要件は基本サービス費の算定要件とされるため、3月に1回、栄養スクリーニングの実施と栄養ケア計画の見直しが求められることに変わりはない。

このように2021年度以降は各加算毎にそれぞれの目的に沿った支援計画が必要とされ、それを3月ごとに見直していく必要があるのだが、これらを施設サービス計画と別個に作成していては仕事が回らなくなる。よって施設サービス計画にすべての加算に必要な支援計画を項目別に盛り込んで、一括作成する方法が最も合理的となる。

その為、各項目ごとの短期目標期間は、支援計画の見直し時期に合わせて3月とする必要があり、全利用者の施設サービス計画は、それぞれの短期目標の終了期間に合わせて3月ごとに行うことが必然となってくるのである。このように全利用者の施設サービス計画は、年4回更新するのがスタンダードとなるだろう。

そうしておかないと、加算算定の要件漏れで返還請求されるケースが増えかねない。

施設サービス計画の定期見直しを年2回しか行っていない介護施設のケアマネジャーは、今から4月以降の施設ケアプラン更新時期の見直しに備えた準備を進める必要がある。

施設サービス計画の更新回数が増えるということは、そのための担当者会議も増えるという意味であり、他職種の業務負担も増すことにつながるのだから、他職種への周知と理解を求めることも不可欠である。

なお施設におけるサービス担当者会議(ケアカンファレンス)については、照会と同列とされ、居宅サービス計画のように、「やむを得ない事情がある場合に限って」照会できるということになっていない。よって最初から、「会議を行う必要はないケースですから、照会だけで更新します」という方法が認められているのだから、照会のみで施設サービス計画を作成・更新できるルールを大いに利用すべきである。(参照:ケアプランはサービス種別によって作成ルールが異なる

施設ケアマネジャーの業務とは、施設サービス計画を作成することではなく、計画を活用して利用者の暮らしの質を向上させることであることを忘れずに、計画作成作業の合理化に意を用いてほしい。
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壁は高いが算定しなければならない自立支援促進加算


来年度の報酬改定議論の主要テーマの一つに、介護支援専門員の処遇改善問題があった。特に特定加算の、「その他の職種」にも該当しない居宅介護支援事業所の介護支援専門員の待遇を向上させなければならないという声が高まっていた。

結果的に介護支援専門員に対する処遇改善加算は実現しなかったが、居宅介護支援費は他のサービスと比較しても上げ幅が大きく、特定事業所加算のアップ分や基準改正による担当者件数の増加などを含めて、居宅介護支援事業所の収益増がを期待できる結果になった。その収益を事業所に内部留保せず、きちんと介護支援専門員に還元してほしいというのが国メッセージなのだから、居宅介護支援事業所の経営者の方は、そのことを十分に理解したうえで、事業所内の介護支援専門員の給与アップ等を図っていただきたい。

ところで介護施設や通所サービスは、基本部分の報酬アップがさほどでもなかった。僕が講演スライドとして作成した次の図表を参照してほしい。
介護施設の基本報酬
通所サービスの基本報酬
このように施設サービスは算定区分によっては、基本部分はマイナス改定だ。通所サービスは額面で上げ幅が大きい通所リハの実質的な引き上げ幅は、通所介護を下回っていると思える。両者ともプラス改定になっているがそれも大きな額ではなく、この部分だけの収益で高騰する人件費を手当てすることは出来ない。

そこで昨日も書いたが、新たに設けられたLIFEへのデータ提出とフィードバックの活用によるPDCAサイクルの推進を評価する、「科学的介護推進体制加算」は、すべての事業所が算定したい加算であるといえる。

ところでこの加算に必要なデータ提出の頻度については、今のところ明確に示されていない。しかし表の掲示板で情報提供を求めたところ、コンサル会社に所属されている方から、昨年五月に厚労省老人保健課から出された事務連絡についている仕様書の6ページには「連携頻度について」という項目で月1回を想定と書かれているという情報をいただいた。

この加算が毎月算定できる加算であることを考えても、毎月情報提出ということになるのではないかと予測せざるを得ない。大変な業務負担であるが頑張ってほしい。なお具体的に提出する情報については、参考資料の109頁に通所リハ・訪問リハの提出情報案が示されているので参考にしてほしい。

ところで今回施設サービス(介護療養型医療施設を除く)に新設された加算の中には、「自立支援促進加算」がある。その算定単位は300単位/月と非常に高い単位となっている。

この加算算定だけで100人定員の施設なら年間360万円の収益アップであり、若い介護職員を一人分雇用できる人件費に相当させても余りある額になる。よってこの加算が算定できるか否かが事業経営上の分かれ道ともなりかねない。

しかしこの加算の要件は、医師が常勤配置されている老健等ならさほど問題なくクリアできるが、特養にとってはかなりハードルが高くなっている。

というのも算定要件として、次の4項目をクリアせねばならないからだ。
. 医師が入所者ごとに、自立支援のために特に必要な医学的評価を入所時に行うとともに、少なくとも6月に1回、医学的評価の見直しを行い、自立支援に係る支援計画等の策定等に参加していること。
. イの医学的評価の結果、特に自立支援のために対応が必要であるとされた者毎に、医師、看護師、介護職員、介護支援専門員、その他の職種の者が共同して自立支援に係る支援計画を策定し、支援計画に従ったケアを実施していること。
.イの医学的評価に基づき、少なくとも3月に1回、入所者ごとに支援計画を見直していること。
. イの医学的評価の結果等の情報を厚生労働省に提出し、当該情報その他自立支援促進の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること。(CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用)


配置医師が嘱託医師で、週1〜2回・数時間の診察にしか来ない特養が多い現状で、入所時とその後半年ごとに医学的評価を全入所者に行うことは決して簡単なことではない。しかし今後の特養経営の安定化及び従業員の雇用と待遇を護るためにも、医師の理解を得て、この要件をクリアしたうえで加算算定する努力をしなければならない。

「そんなの俺の仕事じゃない」とお医者さんから言われないように、くれぐれも丁寧に、お医者様を持ち上げて首を縦に振ってもらわねばならないのである。

もう一つ注目してほしいのは、医師評価に基づいて支援計画は3月ごとに見直さねばならない点である。

今回施設サービスでは、支援計画の3月ごとの見直しが他の加算でも求められている。毎月算定できるようになり、かつアウトカム評価の上位区分が創られた褥瘡マネジメント加算排せつ支援加算は算定しなければならない加算であるが、これらの支援計画も3月ごとに見直しを行うことが条件になっている。

これらの支援計画は計画書を別々に作成するのではなく、施設サービス計画の中にその項目が入っておればよいものだが、そうなると来年度以降、施設サービス計画書は3月ごとに見直していく必要も生ずるということになる。

老健の場合は在宅復帰検討を3月ごとに行わねばならないため、施設サービス計画書も3月ごとに見直し・再作成が行われているところが多い。しかし特養の場合はそうした規定がなかったために、長期目標期間を1年とし、短期目標期間を半年としたうえで、半年ごとに計画書の見直しと再作成が行われている場合が多い。この頻度の見直しが必須とされるのが、来年度からの新報酬対応の要点の一つでもある。

なおここではLIFEへの情報提出は、「医学的評価の結果等の情報」となっているので、評価ごとに送ればよいのかもしれない。ここは解釈通知待ちである。

医学的評価や計画などに用いる書類の様式については、国が新年度までに提示する予定になっている。

どちらにしても、この加算を算定できるか否かが施設サービスの生き残り戦略に強く影響してくるので、石にかじりついても算定できるように、今から準備を進めなければならない。

そのため職員すべてに、今の時点かこの加算の意味と内容を説明し、組織を挙げて算定に向けた取り組みを行う機運を盛り上げていくのが、施設経営者や管理職の役割となる心し。心して取り組んでいただきたい。
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特養で夜勤する人がいなくなるかもしれない緩和策


2021年度・介護報酬改定の5本の柱の4番目に、「介護人材の確保・介護現場の革新」が位置付けられている。

しかし改定結果を見ると、「介護人材の確保」は十分に対策されておらず、「空振り」の様相を呈し、「介護現場の革新」は、革新と言えるほどの技術の向上が伴っていない機器に頼る形で、無理やり人手をかけないでサービスを提供する方策を取り入れ、極めて乱暴な形のサービス資源確保策を取り入れている。

例えば個室ユニット型施設の1ユニットの定員は、現行の「おおむね 10 人以下」から「原則としておおむね 10 人以下とし、15 人を超えないもの」とするという規定に変更されている。ここでは、「実態を勘案した職員配置に努めることを求めつつ」という文言が書かれてはいるが、経営者の考え方一つで、現行の職員配置のまま、対応する利用者数だけが増える施設も多いことだろう。経営的にはありがたい規定変更だが、職員にとっては労務負担が増えるだけの辛い改定になりかねない。

また育児・介護休業法による時短勤務を行っている職員については、週 30 時間以上の勤務で「常勤」として扱うことを認めたうえで、「常勤換算方法」の計算に当たる際にも、同法による時短職員については、週 30 時間以上の勤務で常勤換算での計算上も1(常勤)と扱うことを認めるとしている。

本来の常勤は、最低32時間の勤務時間が必要なのだから、これを2時間下回ることを認めたわけである。このことは介護事業者にとっては、常勤にわずかに満たない勤務時間分を、パート職員などを募集して常勤換算を満たす必要がなくなることでメリットはあるが、他の勤務者にとっては、その分の業務負担が自分の身に降りかかってくるわけである。わずか2時間でも、されど2時間である。毎週長期間にわたって、その負荷をかけられることによる疲弊は、身体面だけではなく精神面まで深く及ぶかもしれない。

テクノロジーを活用する条件が付けられた配置基準緩和も、働き手にとっては大きな問題である。

特養と短期入所生活介護の夜間職員配置加算について、見守りセンサーを導入し、夜勤職員がインカム等の ICT を使用する場合の配置基準緩和策については、前回の基準緩和をさらに緩和する2段階の策がとられているが、このことに関して言えば加算を算定できるかどうかという問題で、職員の業務負担には直接結びつかない場合が多いかもしれない。しかしこれとは別に、「見守り機器等を導入した場合の夜間における人員配置基準の緩和」が大きな問題である。

特養と短期入所生活介護について、以下の表のように配置基準が緩和されることになった。
緩和される夜勤配置基準
このように利用者60人以下の配置基準が整数2を切っている。そのためこの基準緩和をそのまま勤務時間の削減に結び付けようと考える特養では、夜勤時間帯に一人で60人もの利用者に対応しなければならない時間帯が増えることになる。見守りセンサーは、その対応を手助けする機器だとでもいうのだろうか・・・。

グループホームの夜勤者一人が対応する利用者数は9人である。今回2ユニットの夜勤者を一人に緩和してほしいという要望は、ケアの質が低下するとして却下され、その替わりに新たに通常指定として認められた3ユニットの場合に、2人夜勤を認めるルールが設けられた。しかしこの場合も、一人の夜勤者が担当する利用者数は13.5人に過ぎない。

それに比べると特養の夜間配置基準はあまりにも少ないといえる。2人で60人に対応するとしても、一人の担当人数は30人なのだからそれだけでも過酷なのに、その対応人数が倍の60人とされる時間帯が増えることになるのである。

要介護3以上の方がほとんどの特養で、それらの人が夜間は一人も動き回らずに、寝てくれていたら問題ないのだろうが、そんなことはあり得ない現状で、一人の夜勤者が60人の対応をこなすときに、何が起こるのかを考えただけで背筋が寒くなる。

そこで安全第一に対応しようとすれば、夜間の排泄ケアは、すべての利用者にオムツを着用を強いて、そこに排泄させるだけで手いっぱいで、ポータブル介助やトイレ介助なんてできなくなるだろう。そして無理やり着用させられたオムツが濡れていようと構わずに、決められた時間だけしかオムツ交換もせず、しかもその回数は極めて少なくせねばならないだろう。体位交換も「なおざり」にしかできない。

それでも60人に対して、一人の職員での夜間対応は過酷である。そうしなければならない時間帯があるだけで不安で働けなくなる職員もいるだろう。いくらテクノロジーを導入していたとしても、そうした特養では働きたくないと考える職員が増えるだろうし、少なくとも夜勤はしたくないと考える職員は増えるだろう。

この基準緩和を良いことに、夜間勤務時間を減らしたり、夜間時間帯の勤務者を少なくして、日勤勤務の調整を図ろうとする特養では、決して職員の労働環境が今より良くなることはないと思う。

日勤専門職なら問題ないかもしれないが、夜間の業務負担で疲弊する職員が多くなるだろう。

その為、特養で働くより、夜間配置職員の緩和規定がなく、看護職員の夜勤者がいる場合が多い老健等で働きたいと思う人が増え、特養の働き手はますます減る可能性がある。

だからこんな緩和策が認められたとしても、特養の経営者や管理職は、施設の定めた夜勤時間帯において、60人もの職員を一人で対応させることがないように自主規制すべきだと思う。最低でも30:1の基準の中で、夜間業務ができるように勤務シフトを作成すべきではないだろうか。そんな風にして職員の身体と精神の健康も護るという配慮こそが、人材確保策として求められることではないのだろうか。

職員の立場で考えると、施設経営者や管理職にそうした配慮がない特養であるとしたら、そこで働き続ける必要はないと思う。心と体を壊してしまう前に、そういう施設からは一刻も早く脱出するのも、自分を護るための方策だと思う。

その際は、下記に紹介している転職支援サイトなどを利用して、職員の身体と心を護る介護事業者を探すべきではないだろうか・・・。
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昭和は遠きになりにけり


昭和を代表する消毒薬「赤チン」の製造が終了するそうである。

最盛期の昭和60年代、全国約100社が製造していた赤チンも、現在では東京都世田谷区の1社のみが製造しているがだけになっていたらしいが、24日をもってそこも製造中止する。

そういえば僕が大学卒業後に、特養で仕事を始めたのは昭和58年だったが、そのころはまだ赤チンは全盛期だった。さすがに特養の常備薬として医務室に赤チンを置いているところはなかったと思うが、入所者個人で赤チンを持っている人は多かった。

オロナイン軟膏と並んで、赤チンは家庭でも常備薬として必ず置かれていたのではないだろうか。

しかし僕の自宅からも、赤チンやオロナイン軟膏やキンカンが消えて久しい。昭和は昔話の中に溶けつつある・・・。

ところでそんな話題に触れたからかもしれないが、就職した当時のことを思い出しているところだ。

僕は新設された社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームの生活指導員として新社会人のスタートを切ったが、採用された特養はその年の4/1オープンで、僕はまさにオープニングスタッフとして採用されたわけである。

しかしオープン当日から業務が始まったわけではなく、その2週間前から研修という名目で業務に就き、まだ誰も入所していない新設施設の中で、様々なオープン準備業務をこなしていた。

オープン初日からの日課活動予定や、業務分掌、当時寮母と呼ばれた介護職員の最初の勤務表の様式を作成したのも僕である。

その中でも一番重要とされた仕事が、オープン初日からの入所者の受け入れ予定表を組むことであった。送迎車の配車から、受け入れ事務等、ほぼすべての差配を担当させられた思い出がある。

当時の特養は、介護保険以前の措置施設であり、措置費で運営されていた。措置費の中身は大きく分けると2つに区分され、事業運営費やスタッフの給与となる原資は、「事務費」とされ、利用者の食費や毎日の生活に関わる原資は、「生活費」とされており、事務費の占める割合が大きかった。

現在の介護給付費との大きな違いは、運営費として必要な事務費が「日割り」されないということである。毎月初日の在籍人数しか事務費が支払われなかったのである。例えば4/2に入所した利用者については、利用者の暮らしの支出としてすべて使い切らねばならない生活費は29日分の日割りで支給されるが、運営費として必要な事務費(当時一人につき約20万円程度だったであろうか・・・。)は、ゼロになるのだ。

だからこそ施設運営上は、月の初日に利用者定員を埋めておく必要があり、新設施設でも悠長にその月の中で定員を埋めるのではなく、オープン初日にできるだけベッドを埋める必要があったわけである。

大学の卒業式を終えた足で、あわただしく引っ越しを行い、業務に就いていたという理由は、そのための準備が必要だったという経緯がある。

ただ当時の裏ワザとしては、利用者もしくはその家族と行政が認めれば、仮に2日に入所したとしても、「1日に入所したという扱いとする」として実際に入所した日と、措置開始日が違う扱いにするということは広く認められていた。それは施設都合ではなく、利用者都合であるとして許されていたのである。

そうであってもそれはせいぜい2日〜5日以内の入所に限られ、それ以降は事務費ゼロ円でその月の運営を強いられたわけである。

今考えると何とも不思議なルールであった。

どちらにしても、できるだけ運営費用に支障が来さないように、オープン初日の入所もしくは初日入所扱いにできる5日以内の入所を促すよう求められていたので、素人同然のオープニングスタッフしかいない特養に、オープン初日から5日間で約40名近い人が入所してきた。

そうなると真新しく新築の臭いがして、生活臭がまったくない建物が、4/1のオープン初日から、様々な生活臭に満ちていくことになった。

その時のことを今でもはっきり覚えているが、特に僕の印象に残っているのは、入所者が増えていくにしたがって、居室(当時は個室はなく、4人部屋と2人部屋のみ)や廊下に漂う湿布の臭いであった。

女性入所者が8割以上を占める中でも、体中に湿布を貼って、その匂いをぷんぷんと漂わせている人がたくさんいたわけである。

ただいま考えると、湿布臭が強く漂うということには意味があり、その意味を僕たち介護施設のスタッフが理解することはとても重要なことであると気が付くが、当時は残念ながら、その意味に気づくことはなかった。

そんな話題を記事にしようと思ったが、前段が長くなりすぎて、時間も無くなってきたので、この続きは明日書くことにしようと思う。明日も是非続きを読んでください。
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報酬改定で施設介護職員は業務負担増加へ


介護報酬改定議論は最終盤を迎えつつある。そこから見えてきた施設サービスの方向性は、介護職員の業務負担増加が確実視されるものだ。

すべての施設サービスと通所サービスは、CHASE(チェイス)への情報提供が報酬評価となることが確実になっている。

CHASEは、高齢者の状態やケアの内容など幅広い情報を蓄積して、「科学的介護」の基盤となるデータベースである。すでに来年4月からは、通所リハビリなどのリハビリ情報に特化した「VISIT」と一体的に本格運用されることが決まっていたが、VISIT以外の情報にも範囲を広げ、施設・通所全サービスを対象にするというものである。

報酬評価の形は新設加算ではなく、既存加算の新区分として繁栄するとのことで、11/5の同分科会では、個別機能訓練加算や口腔衛生管理加算、栄養マネジメント加算などを対象に新区分を設ける案が示されていた。

しかし昨日の介護給付費分科会資料では、『サービス提供体制強化加算が、質の高い介護サービスの提供を目指すものであることを踏まえ、施設サービスや入所系サービスにおいては、サービスの質の向上につながる取組の実施(ICTやロボットの活用、介護助手等の元気高齢者の活躍、CHASE等への参加、多床室でのポータブルトイレの不使用など)を算定に当たっての要件とすることを検討してはどうか。』という形で、サービス提供体制強化加算の上位区分という考え方が示されている。

CHASEへのデータ送信は、事務職員によって行われるだろが、データは介護の場の実務上の数値が求められるので、介護職員等には情報を集めて事務担当者に伝えるという作業が加わることになる。それは大した業務ではないなんて言える人は誰もいないだろう。今現在だって、施設の介護職員はフルスロットルで業務を回している状態なのに、これ以上どうすればよいのだろうと戸惑う人が多くなるのではないだろうか。

次に介護人材不足への対応として、特養においては入所者の処遇に支障がないことを条件に次の兼務が認められる。
・従来型とユニット型を併設する場合における介護・看護職員
・広域型特養と併設する小規模多機能型居宅介護における管理者・介護職員
・本体施設が特養である場合のサテライト型居住施設における生活相談員

さらに地域密着型特養(サテライト型を除く。)については栄養士を置かないことを認める方針だ。

介護施設すべてと短期入所生活介護の個室ユニット型施設については、1ユニットの定員を現行の「おおむね10人以下」から15名程度以内に緩和し、ユニットリーダーについて原則常勤を維持しつつ、出産・育児などやむを得ない場合については、一時的に非常勤職員で代替することを認めるとともに、本人が復帰した際は短時間勤務を認めることとしている。

このように現在と同じ配置人員で、対応する利用者数が5人程度増えるのだから、その分職員負担は増すことになる。さらに時短職員を認めるということは、それ以外の職員の業務負担が増えることにもつながることも覚悟しなければならない。

また特養と老健の、「排せつ支援加算」については、取組を促進する観点から、毎月算定できるようにすべきという考え方に加えて、現在はプロセスを評価する加算であり、結果的に排泄動作の改善がなくとも算定できる加算であるが、これに加えて、おむつから卒業しトイレで排せつできるというアウトカムを評価するという考え方も示され、上位算定区分がつくられる可能性がある。

しかしその考え方は、「おむつはずし加算に隠された陰謀」で指摘した、、介護報酬から『オムツ代』を除外して自己負担化し、給付費を下げるという考え方に先祖返りさせようとするものである。関係者はこのことに十分注意して、監視し続けなければならない。

介護ロボット、ICT等のテクノロジーの活用により介護サービスの質の向上及び業務効率化を推進していく観点から、平成30年度介護報酬改定で導入された見守り機器を導入した場合の夜勤職員配置加算や、夜間における人員配置について、さらなる見直しが進められることも、業務負担の増加に結び付くと思われる。

夜勤職員配置加算は、1 日平均夜勤職員数を算出するための延夜勤時間数が配置基準を1.0以上上回った場合に算定できる加算だが、見守りセンサーを対利用者比15%設置しておれば、配置基準を上回る延べ時間数が0.9以上となれば算定できることになっている。この15%のセンサー設置を10%に緩和することが決まっている。

さらに全ての入所者について見守りセンサーを導入した場合の新たな要件区分を設け、この場合は述べ勤務時間数が配置基準より0.5以上となれば算定できることとされる。下記がそれを示した表である。
夜間における人員・報酬(テクノロジーの活用)
この基準は特養のほか、介護老人保健施設、介護医療院及び認知症型共同生活介護についても拡大適用されることになる。

しかしこのブログで何度も指摘してきたが、センサーの反応で対応するのは夜勤職員である。機会が人に替わって対応してくれるわけではないのだ。そうであるにもかかわらず、センサーの設置で配置数の基準を下げることは即ち、実際に夜勤業務に就いている職員の労務負担増につながる問題で、この変更による過重労働が懸念されるところである。

これが生産性の向上であると言われても、現場の職員にとっては何の意味もないだけではなく、疲弊するだけである。テクノロジーを導入しても仕事はきつくなるばかりで、労働環境はさらに悪化するのではないだろうか・・・。

さらに次の見直しも通常勤務の職員にとっては頭の痛い問題となりかねない。

離職防止(定着促進)を図る観点から、人員配置基準が見直され以下の取扱いが可能になる。
1.「常勤換算方法」の計算に当たり、育児・介護休業法による短時間勤務制度等を利用する場合、32時間を下回る場合でも常勤換算での計算上も1と扱うことを可能とする。
2.「常勤」の計算にあたり、育児の短時間勤務制度に加え、介護の短時間勤務制度等を利用した場合に、30時間以上の勤務で常勤として扱うことを可能とする。
3.「常勤」での配置が、人員基準や報酬告示で求められる職種において、配置されている者が、産前産後休業や育児や介護休業等を利用した場合、同等の資質を有する複数の非常勤職員を常勤換算で確保することを可能とする。
 
この方針は施設経営上は、時短勤務で配置基準を下回ることがないという点でメリットと認めるだろうが、職員には負担感が増すものだ。3はともかく、1と2についていえば、時短職員が常勤とみなされることで、介護の場で実務に就く職員が減ることにつながりかねず、時短勤務以外の職員負担は増すことにつながるからだ。

また運営基準の改正の中では、高齢者虐待防止の取組を強化する観点から、障害福祉サービスにおける対応を踏まえながら、介護保険サービスの各運営基準において、虐待防止委員会の設置、責任者の研修受講などの体制強化に関する規定が設けられる。

今まで設置していなかった委員会の設置と運営、義務研修の実施なども業務負担増につながっていくだろう。

報酬体系の簡素化という論点では、介護保険制度の創設時と比較すると、加算の種類は増加している状況にあり、訪問介護は3から20に、通所介護は5から24に、特養では8から55に、老健では8から54に増加している問題が取り上げられているが、それらは具体的にどう整理するのか明らかになっていない中で、新設加算や上位区分加算の創設がしきりに議論されている。

このように業務負担が増す施設サービスは、ますます重労働のわりに対価が低いというイメージが広がりかねない改定になっていることを懸念せざるを得ない。
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人手不足を法令違反の言い訳にするな


北海道では大手の電力会社とガス会社の全面戦争が始まりつつある。二男は北電勤務なので、親としてはそちらを応援せねばならないだろうか・・・。

介護事業者にとってもランニングコストとしての比重が大きい電気・ガスの料金が下がるのは、事業収益上大きなことである。「電気・ガスの料金比較はお済ですか〜コストカットは毎日使うものから」も参照してほしい。

話は変わるが、またぞろ介護施設の不適切運営がお菊報道されている。その不適切レベルも半端ではない・・・。

神戸市灘区の特別養護老人ホーム「きしろ荘」で、長期間にわたって不適切ケアと法令違反の疑いのあるサービス提供体制がとられていたことが明らかになり、市が調査していることが明らかになった。

問題となっているのは以下のような行為及びサービス体制である。

〇餝覆里覆たΠが胃婁の利用者に濃厚流動食や薬剤を補給させていた。各痰吸引も資格のない職員に行わせていた。

一人の利用者に対して最低週2回は実施しなければならない入浴支援を、数年前から週1回しか行っていなかったことに加え、今年7月ごろまでの1年は2週間に1回程度のこともあった。

昨年1年間、全入所者約50人分の施設サービス計画書が作成されていなかったことに加え、今年5月に同じ法人内で他施設に勤務する職員に指示し作成させたが、介護支援専門員でない人もその作成にあたっていた。
(※仮に作成した人が介護支援専門員の資格を持っていたとしても、施設の介護支援専門員でない限り、そのような行為は許されていない)

悪いと思っていたが人手不足で改善できなかった」と言い訳をしている施設長は、この数年間、休みが取れない状況で、兵庫県内に新型コロナウイルスの感染が拡大した3月以降は、自宅に帰っていないそうであるが、コロナ禍以前から長期にわたってこのような不適切な状態を続け、法人に善処を求められなかったことに同情の余地はない。

自分が誰よりも働かなければならないという状態が、運営基準を護れなくともやむを得ない状態であるとの言い訳にしてしまうことも一種の感覚麻痺だ。このような状態の改善を、法人に強く訴え出ることができなかったこと自体が大問題であり、そもそも施設長としての器にかけていたのではないかと言われても仕方がない。

一部の報道では、「入所者は要介護度が高く、家族を含めて苦情などの指摘はない」という情報が書かれているが、馬鹿を言うなと言いたい。劣悪な処遇で被害を受けるのは家族ではなく、利用者本人だ。要介護度が高く、認知症の人も多い利用者本人が被害を訴えられないことをよいことに、そんな状態を何年も続けていたということは虐待そのものである。

そんな状態に家族の不平不満があったかどうかは関係のないことだ。自分自身が、週1回しか入浴できない状態を数年間続けていたらどう思うかを考えてほしい。しかもそうされているのは、排泄をオムツにしていたり、失禁があるかもしれない要介護者なのである。

人手不足で対応困難ならば、ショートの休止・入所の受け入れの一時停止を市に訴えなければならない。そのうえで人手不足を解消するための対策を法人全体で練る必要がある。法人自体は多角経営をしているようだから、これらの対策を早く講じていれば、このような不適切サービスが長期間続くことはなかったはずだ。人事は1施設において行うものではなく、法人全体で行うという原則が護られていなかったのではないか。

そもそもこの法人の理事会や評議委員会は全くこのことを察知していなかったとしたら完全な機能不全だ。知っていて放置していたとしたら、その役職の適格性に欠けるだけではなく、人としての品性が疑われるというべき問題だ。

理事長の責任は免れないが、全理事も責任を取る必要がある。評議員会の全委員も入れ替えが必要だ。

こうした状態を知れば知るほど、この施設にはまだ隠された問題が多く存在するように思えてならない。週1回しか入浴介助を行っていないのなら、そこで体調が悪かった人は、2週間入浴支援を受けられていないだけではなく、もっと長期間にわたって入浴支援を受けられなかった人もいたのではないか?排泄ケアはきちんとされていたのか?体位交換や清拭といった支援も不十分だったのではないか?夜間のケアは十分できていたのか?

市の調査(監査にしてしまえばよいと思うが・・・。)では、この施設利用者の皮膚状態をきちんとチェックしてもらいたい。そのことで新たな不適切ケアが明らかになる可能性があるからだ。

不適切行為が一つでも明らかになれば、きちんとできていた部分もこのように疑われて仕方がないのである。だからこそ法令基準は最低限護らねばならないのだ。

というのも、法令基準を遵守していたとしてもケアサービスは高品質と言えないからだ。週2回の入浴支援を行っていれば法令基準は護っていることになるが、世間一般的な常識から言えば、週2回しか入浴できないこと自体が、QOLの低い暮らしぶりである。

老人福祉法の制定直後からできた運営基準が、そのまま介護保険制度創設以後も引き継がれている低いレベルの基準さえ守ることができない施設は、廃止届を出すのが本来である。

一方で、介護の方法を工夫して、人員配置がさほど多くなくとも入浴支援を毎日行っているところもあるのだ。(参照:介護の質を上げる工夫の具体例:入浴支援1

そもそも人手が少ないからと言って、法令を無視し、利用者の暮らしを劣悪にしているところに、人の役に立つ仕事をしたいという人が集まってくるわけがない。対策を短絡的に考えれば考えるほど、墓穴を掘る例は枚挙にいとまがないのだから、問題や課題解決は、長期的視点に立った根本対策が必要なのだ。

そのことに意を用いることができなかったこの施設のトップは、やはりその器にかけるのだと言わざるを得ない。

このような施設に勤めている職員は我慢して勤め続けないで、厚労省も許可している信頼できる就職サイトなどに登録して、別事業所に転職することを模索すべきだ。


だらだらと法令違反を続け、劣悪な環境に利用者を置き続けるより、そんな事業者の経営ができなくなるくらいに人がいなくなった方がよい。そういう状態になれば、行政が素早く動いて利用者の行き場も確保してくれる可能性が高い。その方がよっぽどましだ。

こんな施設が出てくると、またぞろこうした状態が、「氷山の一角」などと思われ、高品質のケアサービスを実現している特養まで、斜め目線で見られてしまうことが悔しくてならない。

豊かな暮らしの実現を図る視点がない人は、介護の職業に携わるべきではないのである。そのことを声を大にして言いたい。
下記アンケートにご協力ください。

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セカンドオピニオンを保証する介護関係者の責任


特養に入所している人の健康管理は、原則として特養に配置されている施設配置医師によって行われる。

だからと言って特養は医療機関ではないので、利用者に対する医療行為について特養が診療報酬を請求することは出来ない。そのため配置医師による利用者の医療処置が必要になる際の治療については、施設配置医師が所属する医療機関の外来診療扱いとして、医療機関から診療報酬を請求することになるわけだ。

よって医療機関に勤めていた医師が退職し、医療機関に籍がない状態であっても、医師という資格に基づいて特養の施設医師として配置されることに問題はないが、その際に利用者に必要な治療行為やその際の薬剤等について、診療報酬を請求する手立てがなくなってしまうため、実質医療機関に籍のない医師を施設配置医師とするケースはほとんどないのである。

利用者に対する治療を行った際に、外来扱いで診療報酬を請求するためのルールについては、「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」という医政局通知が各診療機関に向けて発出されている。

その最新のルールについては、「短期入所生活介護の診療に対する誤解をなくそう」という記事の中で解説しているが、特養利用者が医療機関を外来受診するなどして、施設配置医師以外の治療を受ける際には、「配置医師の専門外」・「配置医師の求め」・「緊急の場合」のいずれかに該当する必要があるという規定がある。これは短期入所生活介護についても同様に適用されるルールである。

よって自宅で暮らしていた際に、「かかりつけ医師」がいた方であっても、特養に入所する際には特養の配置医師が主治医となるために、原則として日常的な疾患管理のために、かかりつけ医師のいる医療機関に外来受診することは出来なくなるわけである。

だがそうしたルールを定めている医政局通知の強制力がどこまで、どれほど及ぶのかということになると、これはまた別の話である。

そもそもこの通知は医療機関に向けて発出されている通知であり、特養の関係者がその内容を知らなくても施設運営上の責任は生じない。自分の所属事業を利用している方々の医療にかかわるルールを知らないことについては、専門家としての責任感が低いのではないかという誹りは免れないとしても、法令上の罰則を受ける立場にはならないわけである。

よって特養に入所した人が、以前からのかかりつけ医師の診断しか信じないというような信者的患者で、家族もそれを望んで、利用者を定期的に特養入所前のかかりつけ医師の所属する医療機関の外来受診のために定期的に家族送迎で利用者を外出をさせようとする場合、それを完全に拒むことは難しい。勿論、この場合は特養に外来受診の送迎を行うという責任が課せられている部分は適用されず、送迎は家族等が行うことになる。

そもそも外来受診をすることを隠して、外出希望が出されたら拒みようがないわけである。その際に、「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」についてのルール違反を問われるのは、外来受診した医療機関側だけであり、特養が違反を問われることにはならない。

しかしこうした受診を行った結果、医療機関が診療報酬の支払いを拒まれたとか、保健所の運営指導を受けたというケースを僕は聴いたことがない。実質、それはチェック不可能で、医療機関に善処を求めることしかできないと言えるのではないだろうか。

さてこうした利用者等の強い希望によって施設配置医師以外の医療機関受診する行為とは別に、「セカンドオピニオン」の問題が今後クローズアップされてくる可能性がある。

セカンドオピニオンとは、患者が検査や治療を受けるに当たって主治医以外の医師に意見を求める行為を指す。この考え方は、主治医に「すべてを任せる」という従来の医師患者関係を脱して、複数の専門家の意見を聞くことで、より適した治療法を患者自身が選択していくべきと言う考え方に沿ったものである。

そうすると特養の利用者にもその権利は当然認められてしかるべきであり、施設配置医師ではない医師の意見を聞くために、他の医療機関を外来受診したいと希望する人は今後増えることが予測される。

特に人生会議(ACP)がの重要性が叫ばれる今日、自分の終末期の医療や介護の最善の在り方についてどのように考えるかという過程で、リビングウイルへの関心が高まることで、施設配置医師以外の医師によるセカンドオピニオンを求める人が増えてきてもおかしくはない。

看取り介護に関連して考えると、施設配置医師の終末期診断が正しいのかという確認のためのセカンドオピニオンニーズも増すだろう。回復不能の終末期と診断され、看取り介護に移行することを打診された対象者の家族が、本当に自分の身内が治療効果がなく、そのまま看取り介護とされて良いのだろうかというセカンドオピニオンを求めるケースがいつあってもおかしくないのではないのである。

こうしたセカンドオピニオンは、それを受ける権利が保障されなけれなならず、「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」の制限規定を縦に認めないという行為は、利用者の権利侵害として賠償請求などの対象行為となり得るので、十分な理解と注意が必要だ。

利用者やその家族がセカンドオピニオンを求めた場合は、同通知に言う「配置医師の専門外」・「配置医師の求め」に準する扱いとして認められると考えなければならない。

特養の相談援助職は、そうしたニーズへの支援も重要な役割になっていくことを自覚しなければならない。

同時にすべての介護関係者に新たな覚悟が求めらえることも自覚しなければならない。それは、「人生会議」という愛称が浸透し、アドバンス・ケア・プランニングの意識が国民全体に高まる先には、セカンドオピニオンはより重要な課題となり、介護関係者もそれを保証する役割が求められていくという覚悟である。
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コロナ禍の面会制限はwithコロナでどうなっていくのか


僕は新千歳空港発の機内にいる。これから羽田に向かう予定だ。

4月の福岡出張中に緊急事態宣言が発令され、航空各社が大幅な減便を行ったため、北海道に戻れなくなりそうになったことから急遽、福岡から地元に戻って以来、約4カ月ぶりの道外出張である。こんなに長く道内にとどまっていたのは何年ぶりだろう。記憶にないくらい長い雌伏の時だった。

新規感染者が10人前後で推移している北海道から、三桁の新規感染者が出ている東京への移動だから、十分注意しなければならないことは自覚している。今日から3日間秋葉原に滞在するが、メイドカフェにも行かず(注:行ったことはありません)、夜の街にも出ないで仕事以外ではホテルに引きこもって執筆作業に専念するつもりだ。

新千歳空港も以前の賑わいとは異なり閑散としている感は否めない。快晴なのに欠航便が多いのは旅客が少ないからだろう。結構便に乗る予定だった乗客が運行便に乗り換えているので、飛行機内は決してスカスカで空いているわけではない。他者との距離は結構近いので心配ではある。

こんなふうにコロナウイルスの影響はまだ続いているが、介護施設の面会制限はいつまで続けられるのだろう。リモート面会が一般化して、それで良しとしている施設があるが、利用者が家族などの親しい人と、いつまでも直接面会ができない状態で良いわけがない。

介護施設の経営者や管理職は、一日でも早く条件付きであっても、外出や面会を認められるように対策を急ぐべきである。永遠に続く制限は人権侵害そのものだという理解が必要だ。そもそも自分たちは自由に外出し、外から施設に通ってきていることを忘れないでほしい。

同時にこれからの介護施設の面会の在り方も考えていかねばならない。

コロナ禍以前の介護施設の面会は、基本的に自由が当たり前であった。

面会時間に制限はあったとしても、面会可能時間であればどこから誰が何人施設を訪れようと自由で、玄関は面会記録さえ書けばフリーパスで通ることができ、施設内で面会者の導線が制限されることもないのが当たり前だった。

しかしコロナ禍が終息しても、その社会とはそれまでとは違う社会になるだろう。そこは常にwithコロナ・with感染症の視点が求められる新しい社会である。

介護施設の面会もフリーパスで基本自由という訳には行かなくなると思う。

面会記録簿をつければ、誰でも玄関を通って施設内に入ることができるということはなくなるだろう。非接触型体温計が入口受付に常備され、体温チェックと簡単な健康状態の聞き取りを行ったうえで面会が許可されることが当たり前になっていくだろう。

面会人数はできるだけ少人数で、時間もある程度制限される可能性も高くなる。

面会場所も居室以外の決められたスペースで行うことが望ましいが、この場合、その部屋が使えないと困るので、面会は事前予約性にせねばならない。しかし事前予約がないと面会を許さないというのは、感染症が広がっている最中以外はやりすぎで、人権問題に関わって問題になる可能性があるので注意が必要だ。

施設側としては、多床室のみ面会不可として、個室については面会を認めざるを得ないのではないかと思う。どちらにしても面会室を別に設けることは当たり前になるだろうし、それも複数スペースを設置することが求められていくだろう。

今後新設される施設については、家族等の面会者の導線を別に確保し、面会する利用者以外とできるだけ接触しないようにすることも設計思想として求められてくるだろう。

このように介護施設の面会方法は、大きく変わってくるだろう。そこで問題となるのは、「看取り介護対象者」の家族面会をどうするのかということである。そのことについては明日、改めて提案しようと思う。
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withコロナで変わる介護施設の面会事情


先週末、地元の地方新聞を読んでいると驚くべき記事を目にした。

その記事とは、とある医療でタブレットを利用したリモート面会を始めたという記事だ。

何が驚くことかと言えば、この時期までに面会制限を続けているのはともかく、面会制限を行う中でリモート面会に踏み切る時期が今であるということに驚くとともに、そんなニュースが新聞紙面に掲載されるということに二度驚いた。

医療機関や介護施設等で面会制限が行われるようになったのは、おそらく2月からだと思う。それからすでに半年近くが過ぎようとしているこの時期まで、漫然と面会制限だけを続けているというところはおそらく少数派で、多くの介護施設ではリモート面会の仕組みは整えているはずである。

僕の知る限りでは、早いところでは2月の面会制限と同時にシステムを整えていたし、4月中にはそのシステムがあるのが当たり前という風潮になっていたはずだ。

遅くとも緊急事態宣言が解除されたころには、多くの介護施設はリモート面会を行なえるようになっていた。医療機関はそうではないのだろうか・・・。

むしろ現在は、面会制限をいつまで続けるのかということや、リモート面会だけで良いのかという議論が、面会制限中の各機関で行われなければならない時期である。

特に、「看取り介護」の対象者については、面会制限をしている中でも、例外的に直接面会を認めるようなルール作りに取り組まねばならない。

施設内での家族の宿泊はできないことには理解を求めながら、面会は予約制として、人数や時間を限った面会は認めるべきだ。その際に、複数の利用者に複数の家族が同時に面会をする時間が出ないようにするなど、施設側が面会スケジュールを管理する必要はあるだろう。

同時に面会者の2週間以内の健康状態の聞き取りを行うとともに、面会当日の検温を必須として、平熱より少しでも体温が高い方には面会を遠慮していただくことに加え、感染症多発地帯からの訪問は避けていただくようにお願いする必要もあるだろう。

また面会者の導線を、施設利用者と区分することが大事であり、面会の際は非常口等から出入りして他の入居者と接触しないよう個室に入るなどの工夫をする必要もあるだろう。

ここで大切なことは、面会させないことが前提ではなく、できるだけ面会できる方向で考えることだ。「特例」をめったにないことと考えるのではなく、特例を適用できる条件をできるだけ柔軟に考え出すことである。そのためには機械的にルールを定めるのではなく、個別の事情に配慮した特例を、ケースごとに検討することも大事だ。

人生の最期の時間を過ごす人との、お別れに時間を持つことは、逝く人・残される人、双方にとても重要なエピソードなのだから、そうしたエピソードをつくる機会を奪わないという考え方が必要で、できる限り最大限の努力を行うべきであり、知恵を絞るべきである。

少なくとも、「規則ですから」という冷たいフレーズだけで、最期の別れの時間を奪ってはならないと考えるべきだ。そこは、職員が外から自由に通ってきている場所でもあるという一面も考慮すべきである。

ところでコロナ以前は、介護施設の面会といえばフリーが当たり前であった。特養の場合は、面会時間を制限することさえ、暮らしの場の論理に反するとさえ言われたものだ。

そのため日曜や祝日には、多くの家族が施設に訪れ、いつもより施設内がにぎやかになるのも当たり前であった。複数の家族が多人数で、同時間に施設に滞在する光景も当たり前に見られた。しかしコロナ禍が落ち着きを見せたとしても、この風景は復活しないかもしれない。

面会の場所制限や、時間・人数制限は、今後のwithコロナでは、当たり前のルールとなっていくのではないだろうか。面会者用のフェイスシールドも常備しておく必要があるだろう。


さすれば施設建設時にその対応に即したハードの工夫も必要になる。

多床室の新築・増築は難しくなるだろうし、施設基準にはない家族との面会室も設置する施設が多くなるだろう。看取り介護を行うことが前提の施設は、外から居室に直接入ることができる出入り口を設置しておく工夫も行われてよいはずだ。

介護施設が、家族や親族・知人や地域住民と切り離されたブラックボックスになってはならないが、利用者の命と暮らしを護るための、「安全と安心」が失われてはならないので、withコロナの新生活様式のルールやシステムづくりを急がねばならない。

そのためには今から知恵を絞って、何が必要で何が必要ないのかという議論が不可欠となるが、私たちが創り出すルールとは、人の暮らしに直結するものであり、人の暮らしと心を護るためのものであるという基本を忘れてはならない。

そのためにも、血の通った情(なさけ)のあるシステムを作り上げるという考え方が必要ではないだろうか。
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思いが知恵に、知恵が工夫に、工夫が品質に。


新型コロナウイルスの感染状況がいったん小康状態になったことを受け、介護施設等の制限対応の緩和が進んでいる。

そのような中で、居宅サービス事業所の受付窓口や介護施設の共用スペースなどをシートで覆って、飛沫感染予防策をとっているケースがみられる。しかしここで注意してほしいことはシートの素材である。不燃性シートを使うなど防火対策をしないと、火災事故のリスクが高まってしまうことをご存じだろうか。

ビニールシートの多くは発火リスクの高い素材で燃えやすくなっており、白熱電球など熱源となる物から距離を取らない場所に張り付けると燃え上がる。そのような失火事故が増えないように十分に対策してほしい。くれぐれもその辺にあるビニールシートを使おうという安易な発想で終わらないようにしてほしい。

十分な感染予防対策をしたうえで、面会制限も徐々に緩和しなければならない。

例えば今僕が住んでいる登別市は、隣の室蘭市と合わせた地域が生活圏域である。この地域における新型コロナウイルスの感染者は、室蘭市が1名・登別市が7名となっていたが、現在は全員回復し経過観察期間も過ぎている。4/28以降の新規感染者もおらず、1月以上新規感染者が出ていないのだから、介護施設等の面会・外出制限は当然緩和されなければならない。

遠方に住む家族のために、ネット回線等を利用したリモート面会のシステムは、今後もずっと続けるべきではあるが、直接会って面会する機会も作っていく必要がある。予防ワクチンができるまでは、従前のように何の対策もない面会は難しいだろうが、感染予防対策を施したうえでの面会は許されなければ人権問題である。

家族が制限なく居室に自由に出入りする面会は難しいだろうが、面会場所を居室から離れた場所に設置して、面会人数と時間を決めたうえで、入り口での検温と健康チェックを行いながら予約制で1組ずつ時間をずらして面会を行うことは、もうしなければならないと考えたほうが良い。

利用者と家族の人間関係を紡いだり、護ったりすることは、対人援助ではとても重要なことなのである。その原点を思い出しながら、今できることを探していかねばならない。

それにしても今回の制限対応において、サービスの品質の差が至る所で明らかになった。制限するという小権力が自分に備わっていると勘違いしている事業経営者や管理者は、何の工夫もせずにできないことのルールだけを勝手に決め、制限による利用者の不便や不都合には、完全に目や耳を閉ざしてしまったケースも見られた。そういう施設の利用者は可哀そうだった。

一方では制限される暮らしの中でも、できるだけ利用者のストレスがないように配慮して、例外対応などの工夫を様々な場面で行っている介護関係者もおられた。

面会制限が2月以上続いたある特養では、緊急事態宣言後に休業した街のカフェを、そっくりそのまま施設内の地域交流スペースで営業させるという取り組みを行って、利用者から大歓迎された。

カフェのオーナーは、介護とは全く関係のない地域住民であるが、そこの常連客であった施設長のアイディアで施設内カフェが実現した。当初はそれに反対する職員も多かったそうである。外部の人間が施設内でカフェを営業するなんてとんでもないという意見が多いなかで、職員が外部から施設に通って利用者と濃厚接触しているのに、それらの職員と同じように感染予防対策を行うカフェオーナーを、施設に入らせない理由はないとして、施設長の英断と責任においてカフェが開設された。

感染予防対策として、カフェのオーナーには施設内カフェの営業期間は、できるだけ不要不急の外出などを避けていただくようにする契約を結び、施設の出入りの際には、健康チェックや手洗いと消毒を徹底するなどの措置がとられた。

そのうえで街中でカフェ営業している際のメニューと、ほぼ同じものを施設内で提供し、施設利用者が自由にそこで飲食できるようにして、ストレス解消に一役買っている。

施設の設備を使い、光熱水費も施設負担なので、料金は街で営業している際の3割〜6割引きの値段である。コーヒーは1杯150円で提供されていた。カフェ利用できるのは利用者に限られ、飲食料金は利用者の自己負担であるが、ランチメニューもあるので、利用者の中にはあらかじめ施設の昼食提供を止めてもらって、その日はカフェでランチを摂る人もいた。

認知症の人で自分でカフェ利用できない人は、家族の承諾を得たうえで、職員の介添えでカフェ利用し、喜ばれている姿も見られた。

感染予防対策中に、感染リスクだけを考える場所では、このような対応は不可能だ。しかしそのような中でも、私たちの職業は対人援助であることを忘れない人によって、こうした工夫と対応が可能になるのだ。対人援助とは、人の暮らしに真正面から向かい合う仕事なのだから、何かを制限するために勝手にルールを創り、それに従わせるだけで良いと考える方が間違っているのだ。

そこでは人に対する細やかな愛情を持つ人の思いが存在している。その人たちの思いが、介護サービスの品質そのものにつながっているのだ。

だからこそ介護という職業は、知識と技術だけがあれば良いわけでは何のである。そこに人間愛というエッセンスが加わらない限り、介護は人を幸せにできないのである。

介護には科学性が必要だと唱える人たちは、果たしてそれだけで、人を幸せにする介護に手が届くだろうか。
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クラスター感染発生施設の悲惨な現状に触れて


今朝付の北海道新聞朝刊・三面記事では、クラスター感染が発生している札幌市の老健施設、「茨戸アカシヤハイツ」の悲惨な現状を報道している。

定員100人の同施設での感染者は、昨日まで入所者64人・職員21人に達しており、施設での死亡者は11名に達している。このうち医療機関に入院できた人はわずかで、現在施設にいる利用者数は71人。このうち40人がウイルス検査で陽性となっている。

同施設の居室はすべて多床室(2人部屋8室・4人部屋21室)なのだから、感染が拡大しやすい環境にあるが、報道によると感染拡大防止策は、「カーテンを閉めるくらいしかできない」(施設関係者)とされている。

カーテンを閉めるだけで新型コロナウイルス感染防止になるわけがなく、なぜ空間除菌などの対応を早急にとらないのか疑問である。空間除菌については効果を疑問視する人がいるが、インフルエンザウイルスでの感染拡大防止効果は示されているし、コロナウイルスのエアロゾル感染の危険性を低下させる効果も実証されているのである。今からでも急いで対応すべきだ。

はっきり言って、ウイルス検査陽性の人をとどめおく施設としての体制が整っていないと思う。利用者や職員をウイルスから護る最大限の努力がないところで、利用者と職員が放り出されていると思う。その責任は札幌市にあるのか経営法人にあるのか、はたまた両者なのかは、後々十分に検証すべきだと思う。

感染拡大防止策がこれだけ不十分なのだから、当然職員の勤務状態も過酷になっている。道新の報道記事でその悲惨な状況が明らかにされているが、『これまで介護士40人、看護師10人ほどが勤務していたが、感染や退職で看護師は全員不在に。現在は、札幌市から派遣された看護師ら計4人で対応し、介護士も通常の3分の1だ。』と書かれている。

報道記事にはこのほかに、『感染を恐れ、車中で寝泊まりする介護士もいる。』とされているが、この意味は自分の感染を恐れてという意味ではなく、自分が施設からウイルスを自宅に持ち込んで家族に感染させることを恐れて、家に帰らないように車中泊しているという意味ではないだろうか。たいへんなことであり、体も十分休められないのではないかと心配になる。

これらの職員の方々も、そこから逃げ出したいと思っているのだろうが、『自分まで抜けたら誰が入所者のお世話をするのか(道新記事より)』という思いで頑張っているそうである。頭が下がるという言葉では言い表せないくらいすごいことをしていると思う。誰にでもできることではなく、その使命感と責任感は尊敬に値する。

しかし残念なことに、札幌市も経営法人もこうした職員の特攻精神に頼り切って、全く職員を護る対策を取っていない。だから感染拡大は防止できていないのだ。

こうした過酷な職員配置状況だから、利用者に対する日常支援も大変なことになっているようだ。報道記事によると、『人手不足から、入所者の食事は3回から昼夜2回に減らした。感染を広げないため、2週間以上風呂にも入れない状況が続く。』

これは予想をはるかに超えた状況である。入浴支援が満足にできなくなるのは想定範囲であるが、1日の食事回数が3食ではなく、2食の提供しかできなくなることを想定していた関係者はいただろうか。僕はかねてより、『食事だけは必ず1日3食提供されなければならないのだから〜』と言っていたので、この状況は想定できなかったし、そうした状況になっているというのは危機的状況をはるかに超えたものと思ってしまう。

僕は先月福岡市に2週間ほど滞在していて、その際は北海道の感染拡大は落ちつき、クラスターも発生していなかった。その際、福岡市の老健でクラスター感染が発生し、5月初めまで40人以上の利用者が感染したという報道に触れていたが、ここまでの危機的状況には陥らなかったように聞いている。しかも福岡市では今、新規感染発症者ゼロが2日間続いている。福岡市と札幌市のこの違いはどこから生じているのだろうか。後の検証が必要だと思う。

札幌市は、陰性の入所者を別の施設に移す検討に入ったと言うが、今陰性だからと言って、陽性反応する利用者が日に日に増えている施設の利用者を受け入れようとする他施設があるのだろうか?他の施設からすれば、その施設から受け入れた利用者に隠れていたウイルスが陽性化して、自施設にクラスター感染が発生するのではないかと疑心暗鬼になるのは当然だと思え、受け入れは容易ではない。

とすれば受け入れ可能なのは、法人内の他施設となるのであろうか?

どちらにしても1日も早く、このクラスター感染が収束することを望むとともに、同施設の職員の皆さんの身体と心が護られることを強く願う。

何もできないが、せめて心よりの尊敬の念を込めてエールを送り続けたいと思う。
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削除すべき介護施設の食事提供規定


1983年に封切りされた映画、「家族ゲーム」(森田芳光監督作品)は、故・松田優作扮する三流大学の7年生という風変わりな家庭教師が、高校受験生を鍛え上げる様をコミカルに描いた傑作で、この年のキネマ旬報ベスト・テン第57回、日本映画ベストワンなどを受賞している。

この作品を見ると、やはり松田優作という役者はすごいと思うし、まだこれからという時期に夭折したことは、返す返すも残念でならない。(関連参照:若者よ。君たちは松田優作を知っていますか?

この映画は当時として画期的な演出が随所に取り入れられていた。例えば音楽なしの誇張された効果音もその一つであるが、僕にとって最も印象に残っているシーンは、家族が向かい合わせではなく、テーブルに横一列に並び食事をする演出である。下記画像がその場面である。
家族ゲーム
当時としてはコミカルにも感じたこのような食事風景であるが、もしかしたら私たちのこれからの食事風景は、このような形が当たり前になるかもしれない。

というのも、先日開催された政府の新型コロナウイルスの専門家会議において、今後、国民が実践すべき「新しい生活様式」として提言する内容が話し合われたが、その内容は以下のようなものである。
・人との間隔を極力2メートルあける
・手洗いや換気を小まめに行う
・毎朝、家族で体温を測定する
・公園はすいている時間を選ぶ
・食事では横並びに座る
・帰省や旅行を控えめにする
・誰とどこで会ったかをメモする」


このように、「食事では横並びに座る」と提言されるのである。すると家庭の食事場面よりむしろ、医療・介護における食事提供シーンで、このような方法が推奨されていくようになるのではないだろうか。

介護施設をはじめとした居住系施設(GHやサ高住等)だけではなく、通所サービスにおける食事など、複数の利用者が同時に食事を摂る際に、利用者同士が向かい合わせで食事をするという形は徐々に少なくなり、家族ゲームのような横並びの形で食事を摂ることが当たり前になってくるのかもしれない。

特に通所介護は、利用者の個別の居室があるわけではなく、食堂で一斉に食事をするのが当たり前なのだから、こうした場面は早々と生まれるだろうし、クラスター感染を恐れてとり得る対策を最大限に取ろうとして、もうすでに実施している事業所もあるかもしれない。それは決して悪いことではなく、できるならばそうしたほうが良いだろう。

ところで介護施設ではどうしたらよいだろう。勿論、食事を食堂で一斉に摂るのであれば、通所サービス同様に、向かい合わせのシーンをなくして、横並びに食事できる配置に切り替えるべきだが、そもそ自分の部屋がある施設なら、そこで個々に食事を摂っても良いと思う。

特に現在の居住系施設は、介護保険施設も含めて個室が増えているのだから、それぞれのお部屋で食事を摂るのがスタンダードになって良いように思う。感染リスクを考えると、そうした方法の方が予防効果は高いし、自分の空間で他の人の食事シーンを見ながらではない状態で食事を摂りたいというニーズは、考えられている以上に多いはずだ。そして各居室に配膳するなんて業務は、ルーチンワーク化すればさほど難しくもないし、手間ではない。それが証拠に有料老人ホームの一部は、それが当たり前になっている。

僕自身が介護施設に入所したらと考えると、せめて食事くらいは、自分の好きな場所で、ゆっくりお酒を呑んでテレビでも見ながら摂りたいと思うだろう。

しかし介護施設でそのことがほとんどそのような方法が浸透していない理由は、運営基準そのものに原因がある。

特養の運営基準(平成十一年厚生省令第三十九号)を例に挙げると、次のような規定があるのだ。(これは老健等も同じである)
(食事)
(一般型特養)第十四条2 指定介護老人福祉施設は、入所者が可能な限り離床して、食堂で食事を摂ることを支援しなければならない
(ユニット型特養)第四十四条4 ユニット型指定介護老人福祉施設は、入居者が相互に社会的関係を築くことができるよう、その意思を尊重しつつ、入居者が共同生活室で食事を摂ることを支援しなければならない


↑このように運営基準として、食堂(ユニット型の場合は共同生活室)で食事を摂ることを規定しているので、利用者の部屋に食事を提供する方法は、実地指導で、「不適切だ」と運営指導を受けることになり、「やりたくてもできない」のが現状なのである。

そもそもこのような規定がなぜ存在するのかと言えば、それは役人が食事を、離床機会と考えており、食事も居室で摂るような状態では、引きこもりが助長され自立支援を阻害するという偏見があるからに他ならない。

昭和40年代に、寝たきり老人の問題がクローズアップされ、特養でも離床が最大の目標にされた時期があるため、このような規定が生まれたものと思う。

しかし現在は、離床は食事時間だけに行うという時代ではなくなっているし、居室における食事であっても、ベッド上で食事をするような誤嚥の危険性が高い食事方法を否定するだけで、自分の部屋で離床して、自分のペースで好きなテレビでも見ながら食事を愉しむというライフスタイルが実現できるわけだ。

それは引きこもりにはつながらないし、自立支援を阻害する問題ともまらない。むしろQOLの向上につながる、多様なラーフスタイルを認めるということに他ならない。

よって利用者ニーズの変化に合わせて、食事提供に関する運営規定は変えられるべきであるし、それは感染予防という、新たに必要な対策にも合致することだと言えるわけである。

早急に規定改正を行い、第十四条2と第四十四条4を削除してほしいと思うのである。
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感染予防を理由にした制限はどこまで許されるのか


新型コロナウイルスの感染予防対策は、時として様々な迷走を生んでいる。

例えば某地域では次のようなケースがあった。

住宅型有料老人ホームで生活している要支援者の方に、面会に訪れた家族が玄関先で面会を止められたというのだ。この利用者には外部からヘルパー支援が入っており、担当のケアマネジャーも施設内で面接しているのに、いきなり家族だけが面会を断られたわけである。しかも面会制限は事前連絡なしだ。

その利用者の方は90歳を超えた女性で、重度の心不全を持病に持っており、無理できないためにヘルパー支援で足りない部分や、ヘルパーの支援対象となっていない部分を、家族が替わって行うことで日常生活が成り立っているそうである。それなのにその大切な家族支援を拒否されているのだ。

ヘルパーとケアマネが入れるのに、実質日常支援を行う家族が施設に入れない理由は、前者は仕事できているので、何かあれば事業所が責任を取ってくれるが、家族の場合は、責任を取る主体がないからだという・・・。こう書いても意味が全く分からない人が多いだろう。そんなふうに筋が通らない理由で面会拒否されたそうである。

憤慨した家族が施設長に講義を申し出たところ、翌日から家族支援を受けている家族は、細心の注意を払い面会できる様になったということである。

面会制限自体は、この時期だから仕方がないだろうが、「施設を強制収容所に化す工夫のない面会制限」という記事でも指摘した通り、制限には一定の配慮と工夫が伴わねばならない。ましてや事前連絡なしで、玄関口で一方的に入館を禁ずるのは配慮不足と言われても仕方がない。外部ヘルパーの訪問を許して、ヘルパーでは足りない支援を行う家族の訪室を許さないことの根拠も乏しい。

こうした状況が起きる問題の本質とは、感染予防という名のもとに、施設側の責任を誰かに転嫁するような根拠のない対策が取られているということだろう。まったく情けない話である。

ここで一つ考えておかねばならないことがある。面会を禁止にした場合、それではということで、家族が居住系施設に入所利用している方を、気分転換のために外出に連れ出したいと申し出た場合、それを拒否できるかという問題である。

勿論、不要不急の外出はなるべく控えるようにお願いしている最中であるから、人混みが想定される場所に利用者を連れ出さないようにお願いすることはできるだろう。しかしそれはあくまで要請レベルにとどまるし、外出そのものを禁ずることは出来ない。

そもそも職員は施設以外の場所から通ってきており、その際には満員電車に揺られる中、周囲の人たちと濃厚接触しているわけであるし、自由に外出しているわけでもある。利用者だけを外出禁止にするわけにはいかないのである。

家族から利用者を気分転換のために、外食に連れ出したいと求められたら、それを認めるしかない。その際にできれば感染予防の観点から、お店で外食するのではなく、家で食事してくれませんかと頼むのがせいぜいだろう。

施設側の依頼や要請に対して、家族がどう応えるのかは日ごろからのコミュニケーションと関係性がベースになって決まってくる問題だろう。感染予防に関して施設側、家族側双方がベターな選択をするためには、施設と家族の信頼関係が大切だという一言に尽きるのである。

面会に来た家族を玄関口でいきなり面会禁止を宣言するような施設が、家族との信頼関係を築くことができるかを考えてほしい。大変な時期をそれぞれの立場の人が、様々な対策を取って乗り切らないとならないのであるから、お互いがそれぞれの立場を慮るということが何よりも大切だということを忘れてはならないのである。

そもそも面会を制限している今だからこそ、居住系施設の責任で利用者の外出機会は確保してほしい。

面会制限と外出制限はセットではないのだ。面会を制限する分、安全な外出支援に力を入れるべきである。

東京都の小池知事は3/27の定例記者会見で、「来年も桜はきっと咲きます。お花見はまた来年も咲きますので、楽しみにとっておいて、ここはみんなで難局を乗り越えることでご協力をいただきたい。」と語ったが、介護施設の高齢者の事情は異なる。

特養だと1年間で最低1割、多い年で3割程度の人が死亡しているのだ。今年の桜がこの世で最期に見ることができる桜なのかもしれないのだ。そういう人たちから、今年の桜を見る機会を奪ってはならない。弁当を持参してお花見を行うのは適切ではないが、桜を見る機会を創ること自体は行ってよいことだと思う。

面会制限をしているならなおさら、気分転換が必要だ。桜の周りで飲み食いするお花見は自粛するのは当然だが、例えばドライブがてらに車内から桜を眺めても感染リスクが高まることはないだろう。面会制限をしている施設であっても、利用者を少人数のグループに分けて、桜がみられる時期と場所を選んで、ドライブがてらに車内からでも桜を愛でる機会を創ろうと努力するのが、今この時期だからこそ求められることではないのだろうか。

知恵と愛のない感染予防対策ほど、人の権利を侵害するものはないことを自覚して、利用者の方々の健康と暮らしを同時に護る介護サービスを実現することを願ってやまない。
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施設を強制収容所に化す工夫のない面会制限


北海道の中でも新型コロナウイルス感染者がゼロだった胆振中部・西部地域で昨日、感染者が1名出た。患者はハワイから帰国したばかりの20代女性で、室蘭市内の医療機関の受付事務をしていたとのこと。

室蘭市長が発症者が出たことを報告する記者会見では、「公共性がある機関であり、医院名を公表すべきではないか」という記者からの質問が相次いだが、「医療機関のご意向」として、市長はこれを拒否した。

しかし市民の間では当該医療機関名は既に、「情報」として広がっており、室蘭市内の小児科医療機関であることが特定されている。それにしても当該医療機関が医院名を公表しないという態度は全く納得できない。市民に対していたずらに不安与える無責任な態度であると批判されて当然だろう。秘密にするという危機管理はあり得ないことを自覚しているのか疑問である。おそらく数日中に、ネット上では当該医療機関名が広く流布されると思えるが、その時この医療機関が、どう対応するのかが注目されるところである。市民に対して真摯に説明しなかったつけは、どこかで必ず支払わねばならないだろう。

このような状況だから、登別・室蘭地域の介護事業者も一層の警戒が必要だ。

特に介護施設やサ高住・GH等の居住系施設住む高齢者は、新型コロナウイルスに感染すると重篤化するリスクが高いだけではなく、場合によってそれは死に直結しかねないのだから、そうしないために面会制限をするのは、この時期であれば至極当然のことである。

しかし制限だけして終わりではあまりに無責任である。本来介護施設をクローズして、家族と会わせない権利は誰にもないはずであり、例外的に医学的見地から一時的な制限が認められているに過ぎない。

感染予防は施設を社会から隔離した密室と化すために行うものではなく、感染を予防して安全な環境を保つために行うものであるのだということを忘れないでほしい。居住系施設を外部の家族とのコミュニケーションさえ取れない場所にしてしまえば、それは冷たいブラックボックスでしかなくなる。

特に特養は介護施設であると同時に、利用者のとっては暮らしの場であることを標榜しているのだから、制限と配慮はセットで考えられねばならない。

今の時代はICT技術で、対面しなくてもコミュニケーションをとる方法はいくらでもあるのだから、そうした工夫をしないで面会制限だけを行うのは、いかにも知恵と配慮のない施設運営だというべきだろう。

例えばネット環境さえあれば、Google等でビデオ会議・チャットサービスの無料アプリが提供されているので、簡単に画面を通じて相手と対面しながらコミュニケーションが取れるのである。そうした技術はすでに特殊技術ではなく、スマホやタブレットを日ごろから使い慣れている人にとっては一般的なアプリ利用に過ぎない。誰でも使える方法なのである。そうしたアプリを活用しないで、面会制限だけをダラダラと続けている施設は、強制収容所と同じである。

施設の利用者の姿かたちが見えない状態で、情報だけ送っても家族にとっては不安が大きい。それは幻の音信にしか過ぎず、真実とは異なるものだ。面会を制限している密室で自分の親がどのように暮らしているかを見て、本当の姿を確認したいと思う家族は多いだろうし、その気持ちはあって当然である。そうした思いにも寄り添うのが対人援助として求められるサービスの品質である。

各サービスステーションに、PCもしくはタブレットやスマートホンを置いておくだけで、それを通じて自宅にいる家族と簡単にコミュニケーションをとれるのだから、面会制限中は施設側から積極的に家族の持っている末端と施設をつないで、画面を通じて姿が見える形のコミュニケーションをとれるようにすべきだ。

しかしこうした方法を、わざわざ施設に訪ねてとらせるのもどうかしている。

チャットサービスは、距離が離れていても可能なのに、施設の受付に末端を置いて、そこに訪ねてきた家族が、館内に入らない状態で、施設内の利用者とコミュニケーションを取らせているような馬鹿げた使い方をしている施設がある。デジタル機器をアナログ化しているような使い方だ。

勿論、たまたま面会制限を知らずに訪ねてきた家族にそういう方法を取ることはあってよいだろうし、ITやICT利用が苦手である人にサービスとして、施設の玄関口でそういう対応をしていただくことはありだろう。しかしそれで終わってどうするのかと言いたい。

それはごく限られた人に対するサービスにすべきで、それを広げて利用者家族が自宅から施設利用者とコミュニケーションを取れるように支援するのが本当の意味での行き届いたサービスではないのか。なぜなら施設利用者の家族の大半が、スマホもしくはPCを使いこなしているからである。

施設利用している人自身は、それらの機器を使い慣れておらず、画面の前で緊張するかもしれない。そんな方には、僕の顧問先である、「ワーコン」が見守りシステムでも活躍している、「在宅医療用対話ロボットanco:アンコ」を利用してはいかがだろう。
在宅医療用対話ロボット「anco」
コミュニケーションロボットanco
見守り看護師に緊急通報もできるアンコを通じてのコミュニケーションなら、愛らしいスタイルに緊張も覚えることなく、自然に家族との会話が可能になるかもしれない。

各サービスステーションに備品としてアンコを1台置いておくだけで、複数の家族とつなげてコミュニケーションが可能になるというものだ。

なお面会制限に関して注意してほしいことは、制限を行う場合は、必ず医師の指示もしくは意見をきちんと記録にとって、面会制限を行う理由や時期などを明らかにしておくべきだ。

これを行っていない場合、制限に不満を持つ家族とトラブルから訴訟になった場合、施設側は根拠のない権利侵害もしくは逮捕・監禁罪の疑いを問われて損害賠償を命じられるリスクがある。それを防ぐために、医師の判断を明確に記録しておく必要がある。

特に問題なのは、老健施設等では看護師の指示命令において面会制限を行っているケースがあるが、看護職員にはそのような指示・命令ができるという報的根拠はないので、それは大問題であるし、やってはいけないことだということを肝に銘じてほしい。
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短期入所生活介護の診療に対する誤解をなくそう


特養の利用者等に対する診療報酬の扱いを定めた医政局通知、「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」は、基本的に医療機関に向けられた通知である。

よって特養関係者で、この通知の確認を怠っている人がいるが、これは特養の関係者にとっても、「施設サービス」・「短期入所生活介護」両面で重要な対応につながる規定(ルール)が含まれている通知なので、常に最新版の確認が必要だ。

例えば2016年には、特養の所属医師の診療行為の際に長年ネックとなっていた、『特別養護老人ホーム等の職員(看護師、理学療法士等)が行った医療行為については、診療報酬を算定できない。』という規定が改正され、施設医師が勤務していない日でも、施設医師の指示を受けた特養の看護職員が行う看護処置については、診療報酬の算定が可能になったことは、特養にとっても大きなメリットとなって今日に至っている。(参照:この通知改正は、特養関係者が待ち望んだものだ

それ以降にも改正は行われており、かつてこの通知では、「保険医が、配置医師でない場合については〜(中略)入所している患者に対し、みだりに診療してはならない」という規定があったが、2018年度の改正では、「みだりに診療してはならない」という文言は削除されており、配置医師以外が入所している患者を診療してよい条件が書かれているだけの文章に置き換えられている。修正された文章は以下の通りである。
-----------------------------------------------------
3 配置医師以外の保険医が、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、指定短期入所生活介護事業所、指定介護予防短期入所生活介護事業所、指定障害者支援施設(生活介護を行う施設に限る。)、療養介護事業所、救護施設、乳児院又は児童心理治療施設(以下「特別養護老人ホーム等」という。)を診療する場合については、次の(1)又は(2)の取扱いとすること。
(1)患者の傷病が配置医師の専門外にわたるものであり、入所者又はその家族等の求め等を踏まえ、入所者の状態に応じた医学的判断による配置医師の求めがある場合に限り、医科点数表第1章第1部の初・再診料、医科点数表区分番号C000の往診料、医科点数表第2章第3部の検査、医科点数表第2章第9部の処置等に係る診療報酬を算定できる。
(2)(1)にかかわらず、入所者又はその家族等の求めや入所者の状態に応じた医学的判断による配置医師の求めが明らかではない場合であっても、緊急の場合であって、特別養護老人ホーム等の管理者の求めに応じて行った診療については、医科点数表第1章第1部の初・再診料、医科点数表区分番号C000の往診料、医科点数表第2章第3部の検査、医科点数表第2章第9部の処置等に係る診療報酬を同様に算定できる。
------------------------------------------------------
みだりに〜」規定があった当時と、配置医師以外の保険医が入所患者に診療を行って診療報酬を算定できる行為自体に変わりはないとに思えるが、表現がソフトになっているため、「配置医師の専門外」・「配置医師の求め」・「緊急の場合」の判断基準がずいぶん広く解釈できるような感があることも事実だ。

だが言葉のソフトさに惑わされて、法令規定を拡大解釈してはならない。

例えば特養関係者の中には、併設ショートスティについて、利用者には別に、「かかりつけ医」がいることが多いのだから、ショート期間中に診療が必要になった場合も、当該利用者の、「かかりつけ医」の診療を求めるべきだと考えている人がいる。ショート利用者の通院支援は行わなくてよいという考え方もここから生まれている。

しかしそれは間違った考え方である。短期入所生活介護の基準省令では、「第百二十一条 一 医師 一人以上」として医師配置義務が規定されている。

つまり短期入所利用者の健康管理について、第一義的に責任を負うべきは、短期入所生活介護事業者であり、配置医師による診療が求められているのである。場合によっては、ショート事業所の職員が、配置医師の所属する医療機関へ受診するショート利用者に同行支援する必要はあるのだ。

そもそも、「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」の改正版でも、短期入所生活介護利用者が、その事業所の医師以外の診療を受けて診療報酬を算定できるのは、「患者の傷病が配置医師の専門外にわたるものであり、入所者又はその家族等の求め等を踏まえ、入所者の状態に応じた医学的判断による配置医師の求めがある場合に限り」認められているほかは、特例として「医学的判断による配置医師の求めが明らかではない場合であっても、緊急の場合であって、特別養護老人ホーム等の管理者の求めに応じて行った診療について」が認められているに過ぎない。

これ以外は、短期入所生活介護事業者の配置医師が診療して、当該医師の所属する医療機関が診療報酬を算定せねばならないのである。

持病を持っている利用者が、日常的に服薬している薬は、ショート期間中に足りなくならないように事前に処方してもらって持参してもらうべきだが、ショート利用中に処方薬が切れた場合の原則も、普段受診している医療機関を受診して処方してもらうのではなく、「かかりつけ医」から診療情報提供を受けて、ショート配置医師が診察・処方するのが法令に則った方法である。

例外的にショート事業所以外の医師による診療を受ける際に、受診対応を家族にお願いする場合は、ショートステイの契約時にそのことを十分説明して、ご家族にお願いしておかねばなりらない。ショートステイだから必然的に、診療が必要になった際の外部受診の支援は、家族対応が当たり前ということではないからである。ここを勘違いしてはならない。

むしろ法令規定を読む限り、ショート期間中に病状変化等があり、ショート配置医師の専門外の病状のために外部医療機関を受診する場合も、施設入所者との対応と同様に、一義的にはショート事業者に受診支援義務があるとさえ解釈できるのである。

だからこそ、家族の受診対応支援は慎重かつ丁寧にお願いしないとトラブルになりかねないのである。

例えばショート利用中に、突然に熱発する方については、利用中止が当たり前で、その時点で家族が医療機関に受診させるべきだと考えているとしたら、それも違うということが上記までの説明で理解できると思う。

しかしショート利用者がもともと菌やウイルスを持っていて、それがもとで発熱したならともかく、そうではないケースも多々あるし、施設内感染が疑われるケースも多い。そもそもどちらか判断できないケースの方が多いわけである。

その時に短期入所生活介護事業所の職員が、「ショートステイ」だから外部受診を家族が行うことが当然だという上から目線で対応すると、「そっちが感染させたんだろう」という話になって、損害賠償という話にもなりかねない。

くれぐれもそうした大きな問題に発展しないように、真摯に丁寧な対応が求められるのである。

その点、老健の短期入所療養介護はマルメ報酬で、短期入所利用中に外来診療してしまえば、その分が老健の負担になるので、そういうことがないようにしている施設がほとんどで、短期入所生活介護のような誤解は生じていないことは幸いなことだろう。

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施設サービスの一部もアウトソーシングできる時代


10日(月)に福岡入りして、今日まで福岡に滞在していたが、明日小樽市で講演を予定しているために今日は一旦北海道に戻る。そのために今、福岡空港で搭乗待ちをしているところだ。

今回の福岡での仕事は顧問先での仕事だった。博多駅筑紫口を出てほど近いビルの3階にある株式会社ワーコンという会社は、見守り看護師(ウオッチ・コンシェルジェ)が、遠隔から在宅高齢者等の生体情報などを24時間確認し、必要な連絡を提携機関に送るという仕事をしている会社だ。

その延長線上には当然のことながら、在宅の看取り介護支援がある。

在宅で看取り介護を希望する人の中には、「一人暮らし」の方も含まれており、住み慣れた自宅で最期の時を過ごしたいと考えていても、家族がいないか、ずっとそこに居れないなどの理由で、死ぬためだけに居所を移さなければならないような人がいたりする。そうした人の人生の最終ステージを自宅で支えるために、見守り看護師と看取り介護対象者の近くの医療機関や訪問看護ステーションなどが連携し、必要な時間帯に利用者宅を訪問してもらいながら、最期の瞬間を看取ることが出来るように支援している。

生体情報により、旅立ちの日や時間が予想できることで、看取る家族がずっとそこに居続ける必要もなくなる。そのために様々な情報通信機器を利用して、テクノロジーを人につなげるのが、その会社の仕事でもあるといえる。

だからこそ、「見守り」が単なる、「監視」にならないように最大限の配慮を行い、看取り介護対象者が最期の瞬間まで、尊厳やプライバシーを損なわれることなく、安心と安楽のうちに旅立っていけるようにしなければならない。

僕が顧問として行う仕事とは、その部分のアドバイスや方法論の構築に重点を置いたものである。同時にこうした社会資源があることを、福岡市の関係者に知っていただき、社会資源の一つとしてうまく利用いただいて、看取り介護の質の向上を図るという目的と意味がある。

こうしたシステムに興味がある方は、その内容をわかりやすく説明させていただくので、是非気軽にワーコンか僕に連絡いただきたい。いつでも会社見学に来ていただいて、設備等も見ていただくことが可能だ。
生体情報の受信は24時間
見守り看護師は、このように24時間365日、遠隔で随時更新される様々な情報を読み取っている。向こう正面の壁一面がモニターとなっており、この一面だけで200件の生体情報を映し出すことが出来る。
見守りセンサー
センサーはベッドや部屋の様々な場所に取り付けることが出来、見守り対象者に装着する必要がない、非接触型のセンサーだから、まったく体に負担をかけなくて済む。しかもこれは福祉用具貸与の対象にもなっている。
生体情報モニター画面
生体情報画面の一部である。独自の活力指数で、看取り介護の時期なども予測することが可能である。
AI搭載ロボット アンコ
アンコという見守りロボットは、遠隔診療やバイタル測定が可能になるだけではなく、家族等とのテレビ電話にも利用でき、その人に合わせたコミュニケーションツールとして活用の幅が広がっている。

こんなふうに在宅医療・在宅介護・在宅看取り介護の可能性は以前よりずっと広がっており、その方法論も多様化しているわけだ。そしてこうした見守り通信技術は、居住系サービスでも取り入れられつつあり、サ高住・有料老人ホーム等では、最初からこうした見守りセンサー等を設置した部屋を用意して、見守りシステムと込みで、お部屋の利用ができるようにしているところが出始めている。

そうであれば人材不足で、従業員の介護労働の省力化が求められている介護施設でも、こうしたテクノロジーを活用することが求められてくると思う。

こういったセンサーを利用し、見守りの業務をアウトソーシングすることで、施設の業務負担は大幅に軽減できる。

そうすれば施設職員は、夜間にすべてのフロアを巡回する必要はなくなる。見守ってくれるのは外部の看護師だから、対応の必要背がある場合は連絡してくれるだけではなく、夜間に看護職員がいない特養などの場合は、看護の専門家の視点から必要なアドバイスもしてもらえることになり、医療・看護職が配置されていない時間の勤務に不安を抱えている職員の心の支えになることもできる。

ここが警備会社の単なる見守りシステムとの違いである。そのことが他施設との差別化となり、職員募集に応募も増えるというものだ。

看取り介護の方の部屋にそうした設備を導入すれば、看取り介護と称した、「施設内孤独死」も防ぐことが出来る。生体情報を見守る看護師から、最期の瞬間が訪れるという情報が送られてくるので、その情報に基づいて対応すればよい。生体情報は24時間前くらいから変化が見とれるので、家族も最期の瞬間に間に合わずに悔いを残す可能性も限りなく低くなる。

ところでここで問題になるのは、特養の運営規定の中で次のような文章があり、施設職員以外の施設サービスへの介入は制限されていることだ。その規定は以下のようなものである。
第二十四条2.指定介護老人福祉施設は、当該指定介護老人福祉施設の従業者によって指定介護福祉施設サービスを提供しなければならない。ただし、入所者の処遇に直接影響を及ぼさない業務については、この限りでない。

しかしこの規定は、見守りをアウトソーシングすることまでは禁じていない。それは、「入所者の処遇に直接影響を及ぼさない業務」と解釈できる。よって見守りの結果、その報告を受けて対応するのが施設従業員であれば全く問題ないわけである。

ワーコンの場合、この24時間見守りシステムを1月29.800円(一人)という安価で対応し、求められる情報を常に送っている。初期費用は掛からず、センサーとコミュニテーションロボットは、それぞれ5千円(月)でレンタルできる。しかしそれらの機器は買い取っても3年もかからずペイできるので、大きな施設なら備品として買い取ったほうがお得かもしれない。なおセンサーは、在宅者の方なら福祉用具貸与対象となっているので、短い期間の利用なら、そちらを利用するほうがお得である。

ということで、施設関係者の方も是非一度、『株式会社ワーコン』に訪問していただき、システムの説明を受けていただきたい。僕は次に21日(金)に再々来福して、26日(水)まで顧問業務を行っている予定なので、その間ならば僕も一緒に説明の場に同席できる。

なおその間なら、福岡市内でいつの時間でも職場内研修等の講師もお受けできる。看取り介護・サービスマナー・介護実務・制度改正・報酬改定等に関連した講義をお望みの方も、是非気軽に連絡いただきたい。

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暮らしの場という看板を汚す館内放送


今日僕は福岡に向かうために、今新千歳空港で搭乗待ちをしながらこの記事を更新している。今日は初めてLCCに乗るので少し緊張気味だ・・・。

今日からしばらく福岡に滞在して、博多を中心に在宅一人暮らしの方の、「看取り介護」対応などを支援する「株式会社ワーコン」の顧問としての仕事に携わる予定だ。

ウォッチコンシェルジュ」の方々との関わりの中で新しい支援法の可能性を見極めたいと思う。ただしこの間に北海道でも仕事があるため、福岡と北海道を行ったり来たりすることになる。福岡から新千歳空港に飛んで、そこから函館や小樽への移動を行う日が出てきたりする。
※リンクを貼りつけた記事の中で、福岡での講演会を当初16日(木)と書いていましたが、13日(木)の誤りでしたので、訂正いたしました。

その時に僕がJRを利用する際に乗る路線は、北海道の大動脈ともいえる、「函館本線」である。

この路線は利用者客も多く、外国からの観光客も数多く乗っている。そのため特急が止まる駅や、乗り換え情報を伝える社会アナウンスも、日本語だけではなく英語と中国語の3カ国語で行っている。

この車内放送は、僕にとっては騒音以外の何ものでもない。一つの駅に停まるたびに、そのかなり前の場所から3つの言語での放送が流れ続けているわけで、読書にも支障を来すので、この移動時間が快適な旅とは言えなくなる一番の要素になっている。

しかしそれは観光客にとっては無くてはならないものだろうし、僕にとってもわずかな距離と時間の中だけの我慢なので、被害を受けているというほどの問題ではない。多少の我慢を強いられるという程度のことである。

しかしこうしたアナウンスが、日常生活の場所と場面で頻回に行われるとしたら、それはかなりのストレスになるだろうと思う。あるいはそれは、「生活障害」そのものと言えるかもしれない。

僕たちはそんな生活障害を、自らの鈍感さの中で無意識のうちに生み出してしまっていることがないだろうか。

例えば特養は利用者にとっての暮らしの場であると言いながら、そこで暮らす人々の生活環境を無視して、従業員の業務優先の環境とされてしまっているところがある。業務優先の暮らし無視の具体例はいろいろ考えられるが、生活の場であるはずの特養で、頻繁に行われている館内放送もその一つである。従業員の業務のことしか考えられていない特養では、業務連絡のための館内放送という騒音が当たり前のように繰り返されているのである。

私たちの暮らしの中で、突然天井から声が降ってくることはない。しかし特養では、テレビをみたり、食事をしたり、眠っている最中でさえ、天井から突然声が聴こえてくる。天の声でもあるまいし、それは単なる騒音でしかない。

それは本当に特養の運営上、必要不可欠なことなんだろうか。勿論、非常時の避難誘導等の放送は必要不可欠だろう。だからと言ってそれ以外の館内放送が絶対に必要だとは思えない。

そもそもデスクにいない職員を、放送で呼び出してまで伝えなければならない重要事項が、毎日頻回にあるなんて考えられない。これだけICTが発達した世の中で、職員の呼び出しや業務連絡が、なぜ放送という利用者にとっての騒音によって行われなければならないのか。広い職場の中で、いつも入り場所が決まっているわけではない職員で、日常的に連絡を取る体制を作るのなら、PHSやスマートホンを利用すればよいだけの話だ。

ペースメーカーなどの医療器具の不良につながる電波を出さないICT機器など、すでに当たり前に存在しているんだから、それを使えばよいだけの話である。

利用者に対するアナウンスだって館内放送はそぐわない。耳の遠い人だけではなく、高齢者にとって放送は聞き取りにくい情報ツールの最たるものだ。ワ〜ンワ〜ンと音がうるさく響くだけで、内容が聞き取れないという高齢者の方は実に多い。そんな伝わりにくい館内放送に、大事な情報伝達を頼らずに、直接職員から伝えればよい。その方が職員と利用者の関係性も深まり、お客様である利用者に、職員としての信頼を得られるというものだ。

まだ館内放送を無神経に使っている介護施設は、そのデメリットに早く気づいて、非常時の避難誘導以外の館内放送を一切やめるという配慮をすべきだ。

そもそも館内放送に使っている整備自体が、非常用の放送設備であるということに気が付くべきである。

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施設ケアマネジャーの実務の在り方


介護支援専門員を対象としたセミナーは数あれど、介護保険施設の介護支援専門員を対象にした、「施設ケアマネジメント」に特化したセミナーは意外と少ない。

仮にそうしたセミナーが開催されたとしても、受講者が期待する内容とは全く異なり、施設ケアマネジメントの実務に応用できない、「あっち向いてホイ」的な内容であることもしばしばである。そうであっては施設の介護支援専門員の皆さんはあまりにも可哀想だ。

施設内のケアマネの数は多くて二人程度であり、一人ケアマネジャーも多い。そうなると施設内でスーパービジョンを受ける機会がないどころか、OJTもされないままで現場に放り出されて手探りでケアマネ実務に携わっている人も多い。そういう人たちは、施設のケアマネジメント実務を指導してくれる人もおらず、日々このやり方でよいのかという悩みを抱えながら、その疑問を解決する手段を持たずに業務にあたっている。

そんな施設ケアマネも多いはずである。それらの人たちの羅針盤となる、「施設ケアマネジメントセミナー」を多くの施設ケアマネジャーが求めているのに、適切な指導者が見つからないという理由で開催できない地域も多いと聞く。

その点、僕は自分が施設ケアマネとして実践してきたこと、施設長として施設ケアマネに求めてきたことを話すことができる。介護保険法をはじめとした制度や関連法令を解説するセミナーも行っているので、ケアマネジメント実務に関連する法令根拠なども示すことができる。そんなわけで施設ケアマネジャーを対象にした、「施設ケアマネジメントセミナー」を全国の様々な場所で実施してきた実績がある。

来る1月24日(金)10:00〜15:00に愛媛県総合社会福祉会館2階「多目的ホール」 (愛媛県松山市)で行われる、愛媛県老施協主催のセミナーも、対象は施設の介護支援専門員である。

当日は、「施設ケアマネの役割り〜PDCAサイクルを意識した施設ケアマネジメント」をテーマに、午前と午後にそれぞれ2時間、合計4時間の講演を行なうことになっている。その講演スライドを昨日までに作成し終え、今日最終校正を行って、さきほど講演事務局に送ったところだ。

当日のセミナーでは、最初にタイムリーな話題として、2020年度控えている介護保険制度改正の動向を示したうえで、そのことが2021年度の介護報酬改定と、2023年度の次期介護保険制度改正にどのようにつながっていくのかを解説する。

そのうえで施設ケアマネジャーとはどのような存在で、施設ケアマネンジメントの展開過程はどのように考えればよいのかを明らかにする。生活相談員と施設ケアマネの関係性、他職種との連携の在り方もしっかり示す予定だ。

そして施設サービス計画の作成の要点を、法令根拠に沿ってお知らせする。そこでは僕が過去に作成した施設サービス計画から、様々なケースを取り上げて、具体的なプラン内容を例示する予定としている。第1表の総合的援助方針も、新規入所・認知症高齢者・重度の身体障害者・看取り介護対象者に分けて明示したうえで、そこに書くべき要点整理を行う。

さらに今後より強く求められる施設ケアマネジャーとしての役割という観点から、何をすべきかという具体例を示すことにしている。

一番に強調したいことは、施設ケアマネジメントの本質は、様々に存在する施設のサービス資源を利用者に有機的に結びつける手法であるということである。

利用者のニーズを考えると、当然備わっていなければならない施設の機能があるはずなのに、それがない場合もある。そうであれば施設介護支援専門員は、ケアプランというツールを使ってトータルにケアサービスの品質を管理する役割を持つのであるのだから、施設サービス計画を作って終わりではなく、現場でプランを実践状況のチェックを行い、必要なサービスがない場合は、それを創り出す役割をもたねばならない。サービスの品質管理の役割だ。

そうであれば利用者ニーズに即した必要なサービスの方法論が存在していないならば、それ実現するために様々なシステムを変更できる「職務権限」が施設ケアマネに与えられていなければならないということだ。そうでなければサービスの品質向上はないし、施設サービス計画書は単なるお飾りで実効性のないものになる。

施設サービス計画書が、そんなふうに貶められるとしたら、時間と労力をかけて作るケアプランが単なる行政指導の為の紙切れに過ぎなくなる。そうなればケアマネジメントという労力は多大な無駄でしかなくなる。

使われないケアプランは事業損失だという観点からも、施設ケアマネジメントを見直してもらいたい。

どちらにしても他では聞くことができない、「本物の施設ケアマネジメント実践論」を伝えてきたい。愛媛県老施協の会員施設の介護支援専門員の皆さん、当日は会場でお愛しましょう。愉しみにしておいてください。
無題

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介護施設で年を越す人たちの暮らし


介護施設に入所している方々が、施設に籍を置いたまま一時的に自宅に帰省することがある。

そのことを多くの施設で、「自宅への外泊」と表現している。現在の居所はあくまで施設であるから、元の自宅は現在の居所ではなく外泊先とされているのだろうが、本来それは帰宅だろう。

そんな帰宅先のない人も多い。かつて暮らしていた自宅がなくなってしまっている人、自宅はあっても他に家族がそこに住んでおらず身の回りの世話をしてくれる人がいない人、家族が住む自宅があっても何らかの理由でそこに帰れない人・・・。様々な事情で今日、大晦日にも帰宅できない要介護高齢者の方が特養やGH、特定施設で新たな年を迎えようとしている。

勿論、この時期を自宅で迎えるために施設に届け出を出して、帰省する人はいる。しかし北海道の場合、この時期の道の悪るさを理由に外出を避ける傾向にあったり、自宅より施設の方が温かいという理由でお盆ほど自宅に帰る人は多くない。さらに昨今の高齢化と重度化によって、自宅での介護は短期間でも難しいとして特養から自宅に帰宅する人は年々減る傾向にある。

加えて特養のショートステイは、この時期に利用が増える傾向にある。一人暮らしの要介護高齢者が、普段訪問介護利用で暮らしが支えられているが、正月のこの時期に、登録ヘルパーの勤務時間が減ったり、正社員のヘルパーが有休をとるなどしてサービス提供ができないという理由で、この時期だけ特養のショートを利用して過ごさねばならない人がいるからだ。

これも人材不足・人員不足のひずみが要介護高齢者の暮らしに、ひずみを生じさせている一面ともいえるが、そんな理由のショート利用はおかしいと正論を唱えても、そのことで不利益を生ずるのは、サービスを何も利用できずに、不便で孤独な時間を過ごさねばならない要介護高齢者の方々である。だからこそ特養側としては、それらの人たちもきちんと受け入れて、できるだけ年末・年始という特別な時間を、豊かに過ごしていただかねばならない。

年末・年始は日本人にとっては特別な日であるから、年越しそばやおせち料理も味わってもらいながら、正月気分に浸っていただきたい。

特養では最近、お酒を呑む人が減っているが、この時期にはお神酒を振舞うことも当然あってよいだろう。のどつまりの危険があるから餅を出さない介護施設もあるが、お雑煮を食べていただく工夫を放棄してどうするんだと言いたい。

介護施設であるからこそ、日常と変わらずケアを受けながら、年を越してお正月気分を味わうこともできるという安心感を与えられることを信じて、この時期に休みなく働く皆さんには、それを支える自分と、自分の職業に誇りを持ってもらいたい。

だからと言って、年末年始を介護施設で過ごさねばならない人たちに向かって、介護施設が自宅以上に良い場所であると喧伝する必要はない。専門家の介護が、家族の介護よりも優れているとアピールする必要もなく、ただただ真摯に、目の前に居られる利用者が幸福感を持って暮らすことができる日常を追求するだけで良いと思う。

対人援助の専門家は、利用者の住み慣れた自宅や家族と勝負してはならないのである。私たちが勝ち負けを争うべきは昨日までの自分のみである。

介護という職業についている人は、他人との争いごとの結果として、何かを手に入れる必要はないのだ。他人に勝って得るものがあっても、負ける人がいること自体、介護の職業の目的に反するのだということを忘れてはならない。

世の中の幸せの量に定量規制があるわけではないのだから、介護という職業に携わっている人は、すべての人々の幸福を願うことが大事だということを忘れてはならない。

私たちが目の前の一人一人のお客様が笑顔になれる豊かな暮らしを実現しようという取り組みの先には、世界中の人の幸せがあるのだと信じてほしい。

Think Globally Act Locally(スインクグローバリー・アクトローカリー)の精神は、介護の精神そのものである。

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食事介助で大切なこと


食事を摂るという行為は、人間にとって最も大切な行為と言っても良い。

それは人間の命をつなぐために、必要な栄養を摂るという意味で重要となってくるが、だからと言って人は毎日、命をつなぐために栄養を摂らねばならないと考えながら、いやいや食事を摂っているわけではない。

食べることは人にとって一番の愉しみである。毎日3食おいしいく食事を摂ることは人にとって最大の喜びでもあるわけだ。健康のため、命をつなぐためだけの目的をもって、人は毎日食事を繰り返しているわけではないのである。

だからこそ介護サービスに携わる人には、「食事は栄養以前に、人の最大の愉しみである」という至極当たり前の感覚を忘れないようにしてほしい。栄養状態を良好にして健康を保つということは重要であるけれども、食の愉しみを忘れてしまえば、食事という行為自体が苦行になりかねないのである。

自力で食事を摂れない方に対する食事摂取の支援という行為は、おいしく食事を摂れて、食事の喜びを感じていただけることを第一に考えなければならない。そのことを介護に携わるすべての人に理解していただきたい。

食事を摂るという行為が、単に栄養のためだけならば、食卓に出されたものを機械的に口に入れて、一定時間内にそれをすべて摂取させるだけで良いだろう。しかしそれでは食事の愉しみも喜びもなくなってしまう。

栄養のために食事を摂取させるだけなら、おかゆに刻んだ副食をごちゃまぜにして、機械的にそれを飲み込ませるだけで良いのかもしれない。しかしそのような行為は、人の最大の愉しみである、「食事を味わう」という行為を奪うことになってしまうし、食事を餌に貶める行為ともいえる。

いかに食事をおいしく食べていただけるかが、食事摂取介助を行う際にも重要な視点となるのだ。食べてもらおうとしている物に対して食欲がわく、「見た目」も大切である。ましてやお茶碗の中身がなんだかわからないような、主食と副食のごちゃまぜなどあってはならないし、口にするために介助者から差し出されたスプーンの上に乗せられたものが、自分の口に入れてほしくないと思えるどろどろのなんだかわからないものであってはならないのだ。

食事として毎日食べるものの見た目、臭い、環境にも注意を払う必要があるのだ。そのうえで食べやすさとは何ぞやという視点が加えられなければならない。

特に食事の姿勢には注意が必要だ。食事は単に口に入れるだけでは適切に呑み込めない。食物をごく自然に飲み下すためには、前傾姿勢となることができる食事姿勢が不可欠なのだ。車椅子という座位に適さない移動ツールに乗せたまま、フットレストから足を下ろさずに、膝より前に足の位置を置き、前傾姿勢の取りずらい座位で食事を摂取することの危険性に気が付いてほしい。

あまり知られていないことだが、介護施設で食事介助中に亡くなった人がいない年は、この10年間で1年もないのである。つまり毎年食事介助中に窒息死している人がどこかにいるということだ。

勿論食事中に窒息する人とは、食事摂取介助を受けている人より、自力摂取している人の方が多い。しかも窒息の原因となる食材として一番に挙げられるのは米飯であり、常食の人がご飯をのどに詰まらせて死に至っている例が多いのだ。それは食事姿勢が起因している問題ともいえるわけである。

さらに食事介助が必要な人が窒息死する原因は、不適切な食事介助方法であることの理解も必要だ。介助を受ける人が上を向いて食物を口に受け、そのままの姿勢で飲み下そうとすれば誤嚥が起こるのは当たり前である。そうしないために大事なことは、食事介助を行う人は座って利用者と目線を合わせて介助しなければならないということなのだ。立ったまま食事介助を行い、ましてやその介助が複数の利用者に同時に行われるような、危険で食の愉しみを奪う食事介助であってはならないわけである。

介護職員向けに僕が行う介護実務講演では、必ず正しい食事介助方法について具体的に説明している。このブログの読書の皆さんは、食事介助の正しい方法や窒息に至る原因について、職員に正しく教育しているだろうか?そもそも、「刻み食」は嚥下食とは言えないという理解を職員に促しているだろうか?

食事をおいしく食べていただく前提は、安全で適切な食事摂取介助の方法論がきちんと浸透していることである。これらのことも基本知識・基本技術としてきちんと伝えていく必要がある。

そういう介護技術を含めて、介護に携わる専門職としての使命と責任、介護という職業の誇りについて伝えたいと思う方は、ぜひ一度連絡していただきたい。全国どこでも駆けつけていくので、お気軽に相談いただきたい。

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老健の在宅復帰機能が問われていることを理解してほしい


老健の今後の役割を考える上では、老健の創設に至る経緯や、根拠法が老人保健法から介護保険法に変更されたことにより役割混乱が生じた歴史を振り返って考えなければ理解できない点がある。

そのことについては、「老健の今後は、その歴史から考えたほうがわかりやすい」という記事の中で解説している。

そこでも指摘しているが、老健施設の報酬改定を振り返ると、繰り返し在宅復帰機能の問い直しが行われてきた歴史が見て取れる。リンクを貼った記事に書いた、「中村秀一ショック」もその一つであるが、その後も役割混乱はところどころに見られてきた。

2012年3月までに介護療養型医療施設が廃止されることになり(実際には廃止は2018年3月まで延長された)、その転換先として2008年5月に、「療養型老健(新型老健)」が誕生したことで、再び老健の役割混乱が生じた。そして中間施設である老健にも、「ターミナルケア加算」が新設されたことによって、在宅復帰施設としての老健の性格がさらにわかりづらくなった。

そのため2012年4月の報酬改定では、在宅復帰支援型の介護老人保健施設を強化する観点から、在宅復帰の状況及びベッドの回転率を指標とした報酬体系の見直し等を行い、その報酬単価を高く設定した。

しかし2012年4月から2015年3月までの間の在宅強化型老健の収益は、一般型老健の収益を下回るという逆転現象がみられた。

なぜ介護報酬の高い強化型老健が、報酬の低い一般型老健の収益を下回ったかと言うと、その理由はベッド回転率と在宅復帰率を上げようとするあまり、ベッド稼働率が減るのに加えて、在宅復帰のための支援をする人材(セラピスト等)の人件費が高くなるという現象がみられたからであることが分かった。

そのため 2015年4月〜の報酬改定では、在宅強化型老健の更なる評価を行い、報酬単価をさらに引き上げた。

それ以降、在宅強化型老健の収益率は改善し、一般型老健を下回るということはなくなったのであるが、そこで起きたこととは、一般型老健から在宅強化型への転換を図る老健が増え、その過程で在宅復帰のためのリハビリテーションの効果を上げることなく、入所契約時にあらかじめ入所期間を、「3月」などと区切り、その期間が近づくと利用者に対して強制的に退所を迫る老健が増えたのである。

つまりリハビリ効果による身体状況の改善という結果に関係なく、一定期間で老健を強制退所させて、在宅復帰率とベッド回転率を上げようとする老健が増えてしまったのである。

これでは老健が本当の意味で在宅復帰機能を果たしているとはいえず、その改善をもくろんで2018年4月〜の報酬改定は、老健の報酬体系の抜本見直しが行われたわけである。

具体的には報酬改定に先立つ2017年に、介護保険法第8条第28項が、「介護老人保健施設とは、要介護者であって、主としてその心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である者に対し、 施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設。」と改正され、老健の機能は居宅における生活を営むことを目的にリハビリテーション等を提供する施設であることを明確にした。

そのうえで2018年4月〜の報酬改定では、療養型と療養強化型の評価を療養型に一元化したうえで、それ以外の老健については、在宅復帰・在宅療養支援等指標のポイントによって、在宅強化型・基本型・その他と区分した。

その真の意味とは、療養型老健は介護医療院の創設で歴史的使命を終え、いずれ介護医療院兇謀彰垢図られることを意味すると同時に、在宅復帰・在宅療養支援等指標が20未満の「その他」に区分される老健については、重要な15の加算を算定できなくなることにして、実質老健施設からの撤退を図り、一定の在宅復帰機能を持つ老健だけが生き残りができるようにしているのである。

さらに宅復帰率が50%に達していなくとも在宅強化型が取れることにした反面、介護保健施設サービス費()の介護保健施設サービス費()又は()を算定すべき介護保健施設サービスの施設基準には、「入所者に対し、少なくとも週三回程度のリハビリテーションを実施していること」という規定を盛り込んだ。

その解釈はQ&Aで、「入所者に対し、少なくとも週三回程度のリハビリテーションとは、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が個別リハビリテーション 20 分程度を週3回以上行うこと。」としている。

その意味は20分程度の個別リハビリを週3回実施できない老健は、在宅強化型の報酬算定ができなくなることを示している。

このように2018年4月以降の在宅強化型老健は、単に入所期間を区切って契約し、その期間内に強制退所させるような形を否定し、在宅復帰のために個別リハビリに取り組むとともに、入所前後や退所前後の訪問指導の強化や、退所後の居宅サービスでのフォローや、退所相談にのる相談援助機能の強化など、実際に在宅復帰できる身体機能・環境要因の充実を図る改定が行われたわけである。だからこそ在宅復帰率の要件は、ハードルを低くしたわけである。

そこでは一部の老健の相談援助職の実態が、「老健からの追い出し役」となっていることにも警鐘が鳴らされていることにも気が付かなければならない。

そして老健とは一度きりの利用施設ではなく、同じ利用者が何度も利用する施設であることの理解も必要だ。

老健に求められる役割とは、在宅で廃用が進んだ方々に何度か繰り返してリハビリテーション効果による機能回復を図り、それが難しくなった最終段階では、「ターミナルケア」を実施することも含めて、その機能を発揮する施設であることも理解しなければならない。(参照:老健施設におけるターミナルケアの在り方

老健の相談援助職は、そのために老健の中だけで業務を行うのではなく、もっと地域に足を運んで、地域の社会資源と密接に関係性を結んで活動しなければならない。

また老健のセラピストは、老健の訓練室だけで自立できることに何の価値もないことに気が付いて、暮らしの場に活用できる機能回復に着目して、生活機能を高まるためのリハビリテーションの在り方の工夫が求められていることを意識すべきである。

どちらにしても期間を区切った入所契約を続けているという実態がある老健施設には、そのことに対し、いずれ鉄槌が振り下ろされる可能性が高まっていることを覚悟してもらわねばならないだろう。

老健の今後の事業展開のための戦略は、そうした求められる役割を理解したうえで練られる必要があるのだ。

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特養が閉鎖される時代の介護


有料老人ホームが経営難となって、突然閉鎖されて利用者の行き場がなくなり困っているというニュースを時折聞くが、特養も経営難から閉鎖を検討するケースがみられるようになった。

先週報道されたのは、愛知県岡崎市に本部を置く社会福祉法人が、静岡市で経営している特養3施設の閉鎖を検討しているというものだ。閉鎖の理由は、「人材不足で、入所者受け入れに制限が生じて経営難に陥った」というもので、現在もぎりぎりの職員配置で運営を何とか続けているという状況だそうである。

この法人は2017年にも三重県で運営していた保育所を突然閉鎖するなどの方針を示し、他の社会福祉法人が引き継ぐなどした経緯があり、経営方針の無計画性や無軌道ぶりが暗に批判されるような報道がされているところだが、それが真実かどうかは、一連の報道だけでは判断できない。

閉鎖を検討している3施設の10月2日現在の合計利用者数は132名ということであるが、同市内の特養と老健施設で、全員を受け入れることは可能という情報も伝えられている。そうであれば社会福祉法人としての姿勢に疑問を持たれ、先々経営に不安要素が満載のこの法人の施設からは一日も早く退所して、別な施設の中で新たな暮らしを再構築した方がよいように思う。ただその行く先の一部が、老健施設という中間施設であることには一抹の不安を感じざるを得ない。

特養に入所している人は、そこを終生施設と思っている人も多いので、利用者やその家族の不平や不安は容易に想像できる。本当にお気の毒だと言わざるを得ない。

それにしても人材不足・人員不足は決して対岸の火事ではないので、今後も似たようなケースが全国のどこでも起こりかねないと言わざるを得ない。現に特養の一部ユニットが人員不足で開設できなかったり、ショートステイを開始できない特養は決して少なくない。

施設を建てさえすれば、サービス提供に必要な人材が集まるという時代ではないことは当たり前のことであり、この部分の事業戦略は練りに練っても満ち足りることはないので、事業拡大を検討している法人等の担当者は、このことを他人ごとと思わずに、反面教師として新たな戦略を考えていく必要がある。

特養という暮らしの場は、地域福祉の柱の一つで、最終的なセーフティネットともいえるものなのに、そのネットの網の目が破れてしまう人材問題に、有効な一手がなかなか見せない状況は深刻である。

しかしそのネットの崩壊とは、介護業界の崩壊を意味するだけではなく、社会全体のセーフティネットの崩壊を意味するのだから、この部分はもっと政治的に考えられてよいと思う。経済市場を支えるのも、安心して高齢期も暮らすことが出来る地域社会があってのことだからである。

今のままでは真面目に介護事業経営している法人でも、人材不足で事業拡大は難しくなり、増え続ける介護ニーズに対応したサービスの量の確保はますます難しくなるだろう。しかし量の確保だけを考えてしまえば、自ずとサービスの品質の格差は広がり、劣悪な介護しかできない介護施設も増えてしまうことだろう。

そう考えると国全体の介護の在り方を根本から考え直さないとならない思う。

特に人材難は、カンフル剤が必要だ。介護を職業とする人が増えるように、国費はもっとこの部分にかけてもよいのではないだろうか。

ただしそのことは簡単に実現しないであろうことも容易に想像がつく。そうであるからこそ介護事業者とすれば、職員が定着する職場環境を整え、人材が張り付き育つシステムを独自で整備する必要がある。

その対策は、待った無しである。

明日はそのことに関連して、『介護施設の人手不足に打ち勝つ〜定着率の向上とより良い介護』というテーマで、大阪グランフロントで講演を行う。受講予定人数は140名を超えているが、そこで人材確保に結びつく具体策を示してきたいと思う。

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