masaの介護福祉情報裏板

介護や福祉への思いを中心に日頃の思いを綴ってみました。表の掲示板とは一味違った切り口で、福祉や介護の現状や問題について熱く語っています!!表板は業界屈指の情報掲示板です。

介護保険制度

行方不明者が増える社会

先週火曜日(9/8)に発出された介護保険最新情報 Vol.1541は、65歳以上の第1号被保険者が行方不明となった場合の介護保険資格の喪失手続きと、保険料の減免・返還の取扱いを通知するものだ。

それによると、「第一号被保険者が行方不明となった場合には、原則として、関係部署(住民基本台帳担当課等)と連携し、行方不明が確認され住民票が消除されたことにより被保険者資格を喪失させることが考えられる。」としたうえで、「住民票の消除の手続は長期に及ぶ可能性もあることから、行方不明者の家族の負担に鑑み、法第142条に規定する減免の取扱いの中で、行方不明者に係る保険料を減免して差し支えない。」としている。

さらに失踪宣告などで過去にさかのぼって死亡したとみなされた場合、市町村は払い過ぎた保険料を返還する必要があるとの解釈も示している。

減免申請に際しては以下の書類を求めることも例示されている。
・警察が発行した行方不明者届の受理を証明する書類
・公的年金の支給停止を証明する書類

減免については、家族の負担を考慮し、市町村判断で全額免除も可能との認識も示している。
認知症の行方不明者増加
こうした内容の通知が発出された理由として、認知症の人が増えるにつれ、街中を徘徊した末、家に戻れずに行方不明となる高齢者が増えていることが一因として挙げられる。

令和7年の全国の行方不明者は80.486人。そのうち認知症が原因とされる人は17.345人である。しかし行方不明者のうち20.653人の人は原因不詳とされており、その中にも相当数の認知症あるいは軽度認知障害(MCI)の人が含まれていると思われる。

このように家族が「家に帰れなくなるとはお思わなかった」という軽度の認知機能低下の人が多数含めれているのである。そして一旦行方不明となった場合、ほとんどの人が二度と家に戻れない=どこかで誰とも知れずに死んでいるのである。

それはあまりにも哀しく寂しい死に糧ではないのだろうか。

そもそもアルツハイマー認知症は、目に見えないほど緩やかに、しかし確実に進行するのである。

今、外歩きしても自宅に帰りつける人も、1時間後に同じ状態とは言い切れないわけである。

だからこそ軽度認知障害(MCI)の人も含めて、何らかの対策が必要とされており、来年度の介護報酬改定では、福祉用具貸与の給付対象を拡大して、利用者が屋外へ携行するタイプの徘徊感知機器を貸与物品に追加することになっている。

これを身につけてもらってさえいれば、徘徊している人の位置情報を常に受け取ることができ、行方不明となることを防ぐことができる。

居宅介護支援事業所の介護支援専門員の方々は、こうした福祉用具を積極的に貸与することを居宅サービス計画書に組み入れ、行方不明者を一人でも少なくすることに力を貸していただきたい。

その際に、行方不明となる可能性がある人は、軽度認知障害(MCI)の人も含まれることを理解して、救済の網の目を広げる意識を持っていただきたい。
ケアテック札幌看取り介護講演
※9/17(木)午後3時〜4時まで、アクセス札幌で行われているケアテック札幌の特設会場で、「すべての介護職に求められる看取り介護スキルとは〜どのように命と向き合い、どう支えるか〜」を行います。事前登録で無料入場できますので、是非会場までお越しください。
※メディカルサポネットの連載、「菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営」の第21回連載記事が9/3に更新アップされました。
菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営〜Vol.21
今月のテーマは、「住宅型有料老人ホームの登録制という改正の影響〜ケアプラン有料化やみなし指定、生活相談員配置など制度改正の主要論点を解説〜」です。ぜひ参照ください。
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有料老人ホームを巡る諸問題

2027年度の介護保険制度改正・介護報酬改定の大きなテーマの一つは住宅型有料老人ホームの在り方である。

住宅型有料老人ホームの登録制、登録型受託ホーム利用者のケアプラン有料化、それに伴う相談支援の新類型創設、既存の居宅介護支援事業所の新類型のみなし指定・・・住宅型有料老人ホームは、かつてないほどの変革の波を被ることになる。

株式会社マイナビが運営するポータルサイト・メディカルサポネットの連載、「菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営」の第21回連載記事では、その改革についての具体的内容、それに関連した課題や問題点を総合的にまとめて論評してみた。
菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営〜Vol.21
是非、「(第21回)住宅型有料老人ホームの登録制という改正の影響〜ケアプラン有料化やみなし指定、生活相談員配置など制度改正の主要論点を解説〜」を参照いただきたい。

この他、有料老人ホームを巡っては、併設されている居宅介護支援事業所がホーム利用者を囲い込んでケアプラン作成することの批判が強まっており、同一建物減算の強化などが議論の俎上に上っている。

また訪問介護について、有料老人ホーム等の集合住宅に併設されている事業所と、地域の利用者宅を一軒一軒訪ねる事業所とでは採算性が大きく異なることが問題として取り上げられ、訪問介護の次期報酬単価については全国平均の収支差率だけで現状を捉えず、立地や規模、事業形態といった個々の特性に着目して地域型と併設型のメリハリが検討されている。

これによって有料老人ホーム併設型の訪問介護費は、マイナス改定もあり得ると言えるかもしれない。

その様に大変革を迎える有料老人ホームであるが、そうした施設のトップが許されない犯罪を犯し起訴されるというニュースが流れてきた。

岐阜市芥見の有料老人ホームの施設長・倉知裕子容疑者(48)が、去年9月から今年2月の間に、同じ入居者の男性のキャッシュカードを使い15回にわたって計750万円を引き出した窃盗の罪で、8月31日に起訴された。さらに同容疑者は去年4月、女性職員(56)とともに、施設に入居する男性から預かっていたキャッシュカードを勝手に使い、現金50万円を引き出した疑いが持たれており、この56歳の女も起訴された。

有料老人ホーム入所者は、そこは自分の人生の最後の住み場所であると考えている人が多い。そこを選び住まいとするという判断の中には、その経営母体や施設長などの管理責任者が信頼できるという考えも含まれているはずだ。

入所者の財産を搾取するという行為は、そうした信頼を裏切る卑劣極まりない行為で、人として許されざる行為である。

介護事業を巡っては、カスタマーハラスメントが問題視され、毅然とした顧客対応を求める声も高まっている。8/28の介護給付費分科会では、介護従事者がカスハラを受けるケースを、サービス提供拒否の「正当な理由」と国が明確に示すようにすべきではないかという考え方が議論の俎上に上っている。

しかしそれもこれも全て、介護事業者が真摯に利用者対応していることが前提である。顧客に対して契約に基づいた適切なサービスができない者が、カスタマーハラスマント対策が重要だと訴えても、「どの口が言っているのだ」と笑われて終わりだ。

そもそもこのような事件が介護事業者内で繰りかえされることによって、世間から「介護事業は必要悪」だという声が挙がりかねない。大多数の介護事業者は適切なサービス提供を行い、不正や犯罪とは無縁だと云っても誰も信じてくれなくなる。

その様な状態にしてはならないのである。そのような介護があってはならないのである。
※CBニュースの連載・快筆乱麻!masaが読み解く介護の今(128)が8/31更新アップされています。
快筆乱麻masaが読み解く介護の今
今月のテーマは、「ケアマネを守る利用者との適度な距離感」です。是非そちらも参照ください。

※9/10(木)14:00〜15:00に身体拘束・虐待防止研修〜在宅の「SOS」を見逃さない!チームで支える権利擁護と家族支援〜を無料オンライン配信します。
身体拘束・虐待防止研修
事前申し込みは不要なのでポスター画像に掲載されているIDとパスコードでZoomに入室してください。
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経営モデルが成立し難い登録施設介護支援

6月に成立した社会福祉法等の一部を改正する法律は、介護保険法以外の他の法律改正も含まれている。

その内の一つ老人福祉法の改正の中で、保護の必要性が高い方を入居対象とするホームは開設前に都道府県への登録が義務化されることになっている。そのことについて先週更新した、「住宅型有料老人ホームの登録制の影響は思った以上に大きい」で解説した。

そこでも指摘したが、登録制となる住宅型ホームの入所者が外部サービスを利用する際の居宅サービス計画書は、新たな相談支援類型、「登録施設介護支援」が担当することになり利用者1割負担も導入される・・・これは介護保険法の改正によって実現することである。
登録施設介護支援
しかしこの登録施設介護支援を新設する事業者は果たしてどれほどの数になるだろう。

来年度中に新設する事業者はかなり少ないのではないだろうか・・・。

そもそも登録施設介護支援の報酬体系がどうなるかわからないという理由がまず第一に挙げられる。住宅型ホーム利用者のケアプラン作成の報酬は月額定額制になることが決まっているだけで、現行の居宅介護支援並みの報酬が支払われえるのかどうかも不明瞭だ。

それとは別に地域相談支援部分の報酬が発生するのかも不透明である。

しかもケアプラン作成は、登録制の住宅型ホームの利用者に限って認められるもので、それ以外の居宅サービス利用者のケアプランは担当できない。つまりケアプラン作成対象者が極めて限られてくるのだ。しかも現行の住宅型ホームの大半が登録制になるとはいっても、当面は既存の居宅介護支援事業所が、登録施設介護支援のみなし指定を受けることで引き続きケアプラン作成担当を継続できる。

つまり新規に立ち上げる登録施設介護支援が担当できる顧客については、来年度から新たに居宅サービスを利用する顧客に限られる可能性が高く、そうした新規利用者を自ら開拓し確保せねばならない。

そのような新規の顧客掘り起しがどれだけ可能なのかは不透明であるが、決して容易ではないことは予想がつく。

しかも登録施設介護支援の人員配置は、介護支援専門員(※以下、ケアマネと略)と生活相談員の両職種の配置が求められる。それは既存の居宅介護支援事業所より人件費コストがかかることを意味しており、それだけの収益を挙げられる事業なのかという疑問符もつく。

さらに昨今のケアマネ不足を鑑みると、山のものとも海のものとも知れない新相談類型の機関の募集に応募するケアマネが居るのかどうかも不安だ。

このように収益化できる事業なのかも不透明で、人材確保の不安もぬぐえない状況で、登録施設介護支援を立ち上げるのには相当の勇気と決断が必要である。

そうであれば多くの介護事業経営者は当面、新規事業を立ち上げるのは見送って、介護報酬の設定状況、登録施設介護支援のみなし指定の居宅介護支援事業所の登録制住宅ホーム利用者のケアプラン作成状況、生活相談員の配置要件と人件費対策等を確認・検証してから方針を定めようとする介護事業経営者が多くなるのではないだろうか。

ただし地域相談支援事業を行うことは、将来要介護者となる人を含めて広く地域の高齢者に信頼を得られ、将来的な介護事業の顧客につながることを見越して、多角経営を行っている事業規模が大きい事業者の場合は、収益を見込まずに登録施設介護支援に手を挙げる判断は有りだろうと思う。

この場合は、要介護者の数のピークは2042年頃になることを見越したうえで、地域の高齢化事情を考慮しながら先行投資の必要性を判断することになるだろう。
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住宅型有料老人ホームの登録制の影響は思った以上に大きい

来年度の介護保険制度改正によって、住宅型有料老人ホームのうち、中重度要介護者や医療ケアが必要とする方など、特に入居者保護の必要性が高い方を入居対象とするホームは開設前に都道府県への登録が義務化されることになっている。

従来の届出制に代わり登録制にする意味は、行政が事前に施設の基準適合性を審査することで、入居者の安全性やサービスの質を確保する狙いがある。登録は5年ごとに更新されることから、定期的な行政チェックも可能となると考えられている。

具体的には住宅型ホームの独立性を確保するため、特定の介護サービス事業者の利用を入居要件とすることの禁止、ケアマネジメントの独立性確保に係る方針の策定・公表、会計の区分経理等のルールを明確化する。

運営・人員基準については、現行の標準指導指針を遵守しているホームにとって、過度な負担とならない水準とすることを想定して定め、利用者保護に関する規制も導入するとしている。

問題はその対象となる住宅型有料老人ホームが、どの程度に渡るかという問題であった。

このことについて5日に開かれた介護給付費分科会で厚労省は、登録制となる住宅型有料老人ホームについて、現に中重度の要介護者が入居しているホームだけでなく、やがて中重度になっても住み続けられるホーム、一定の認知症や医療ニーズがある高齢者を受け入れるホームであれば、登録制の対象になるとの考えを示し、現存する住宅型有料の大半が対象となるとの考えを示した。
住宅型有料老人ホームの見直し
(※資料の【資料2】高齢者住まいに対するサービス提供の在り方・19頁参照)

大半の住宅型有料老人ホームが登録制に移行するといっても、まともに運営しているホームであれば、届け出が登録に替わるだけだから特段問題にはならないだろう。

しかし登録制に移行した場合、住宅型ホームの利用者が、介護保険の居宅サービスを利用する際のケアプラン作成については、新設される「登録施設介護支援」が居宅サービス計画を立案することになるが、「介護付きホーム」等との均衡の観点から、原則1割の利用者負担を求めることになっている。

利用者の懐から支出するお金が増えるのだから、今から登録制に移行する住宅型ホームの利用者には丁寧な説明が必要だ。

また大半の住宅型ホームが登録制となることで、ケアプラン作成できる登録施設介護支援の新設が追いつかないことが考えられる。その為、既存の居宅介護支援事業所を登録施設介護支援みなし指定として、引き続き登録制対象の有料老人ホーム利用者のケアマネジメントを担当できるようにするわけであるが、そのことについては居宅介護支援費の自己負担導入の布石でもあるということは、『登録施設介護支援の「みなし指定」に隠された深謀遠慮』という記事で解説しているので参照してほしい。

ところで登録施設介護支援については、ケアプラン作成と生活相談を行うために、介護支援専門員と生活相談員の2職種を配置することとされている。昨年12/15の介護保険部会の資料3補足資料の22頁に、「新たな相談支援の類型のイメージ」にそのことが示されているので参照してほしい。

だがみなし指定となる居宅介護支援事業所については、生活相談員が配置されていない。これをどう考えるのかという問題がある。

このことについて新たな相談支援の類型のイメージ(案)では次のような考えが示されている。
1.新類型の基本的な考え方
(3)サービス提供を行う事業所
・居宅介護支援事業所(同一・併設か地域の居宅であるかを問わない)を想定。
・見なし指定や経過措置など、既存の居宅介護支援事業所が新たな類型の指定を受けやすくする仕組みを検討。
・地域生活相談を担う人員は介護支援専門員が兼務できるようにすることを検討。一方で別途配置する事業所については特定施設の生活相談員を参考に一定の資格を求めることを検討。


地域生活相談を担う人員は介護支援専門員が兼務って、現在のケアマネジメント業務に加えて、あらたに地域支援相談業務が加わるということだろう。居宅ケアマネは現在でもケアマネジメント業務で手いっぱいだ。それに加えて新類型のみなし指定を受けた居宅介護支援事業所のケアマネは、それに加えて地域支援相談業務を担わねばならないとしたら業務多忙で死んでしまいかねない。

そうなると居宅ケアマネの集団退職という事態もあり得る。このあたりは慎重な議論が必要だと思う。
※メディカルサポネットの連載、「菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営」の最新記事がアップされました。
菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営
今回のテーマは、「カスタマーハラスメント対策の基盤は誠実な顧客対応〜利用者との距離感をどう考えるべきか?サービスマナーから考える介護支援のあり方」です。文字リンク先を参照ください。
※9/4(金)13:30〜15:00、ビズアップ人事コンサルティング株式会社(株式会社吉岡経営センター)主催の福祉経営/無料Webセミナーで、次期介護報酬改定の方向性と介護事業戦略について解説します。
次期介護報酬改定の方向性と介護施設が取るべき経営戦略
講演テーマは、「次期介護報酬改定の方向性と介護施設が取るべき経営戦略」です。文字リンク先をクリックして詳細を確認の上、お申し込みください。申し込みいただくと無料視聴できます。
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複雑化する給付管理に見合った報酬改定を望みたい

今年度6月からの介護報酬臨時改定によって、はじめてケアマネジャーを対象にした処遇改善加算が居宅介護支援事業に対して設けられた。

それは多くのケアマネジャーが望んだものであったとはいえ、その額(加算率)は十分とは言えない。

有効求人倍率が8倍を超えるなどケアマネの確保がより困難になっていることや、赤字の居宅介護支援事業所が4割に達する実情を鑑みると、来年度の介護報酬改定が非常に重要となる。

ケアマネジャーの平均年収引き上げにつながる処遇改善加算の更なる引き上げが必要であるが、処遇改善加算だけが上がってもどうにもならない。居宅ケアマネジャーが働く事業所が倒産しては元も子もないのだから、居宅介護支援費の引き上げは必須である。

関係者はそをのことを強く訴えて、運動をしていく必要がある。

そもそも来年度の制度改正・報酬改定後は、居宅サービスの給付管理は益々複雑化する。
地域をかけまわるケアマネジャー
なぜなら地域分類によって、特定地域の設定を受けた地域の訪問介護は、サービス提供事業者の判断で出来高払いか、月額定額払いかを選択できることになる。そうした地域が市町村全域で設定されるわけではなく、市町村の一部地域のみが設定される場合もあり、数多くの特定地域が生まれる。(参照:注目される特定地域設定)

居宅ケアマネは、その地域にサービス提供する訪問介護事業所が、どちらの報酬算定方式を選ぶのかという確認のうえで給付管理する必要がある。

さらに訪問介護費については、特定地域以外でも複雑化する可能性が高い。6/29の介護給付費分科会では、訪問介護の経営状況は事業所の立地、規模、事業形態によって様々であり、都市部と地方の環境の違いに加え、集合住宅に併設されている事業所と地域の利用者宅を一軒一軒訪ねる事業所とで、採算性が大きく異なることから、事業所の特性を踏まえて検討を進めるとしている。

これは訪問介護の基本サービス費の細分化につながる問題で、○○地域の○○規模の集合住宅併設事業所の身体介護なんじゃら・・・こんなふうに給付管理にも影響が出る問題だ。

加えて埼玉県川口市で起きたケアマネジャー殺害事件によって、ケアマネジャーの仕事に不安を感じている人が増えており、ケアマネ人材不足は深刻化する恐れがある。

こうした状況を鑑みたうえでケアマネジャーの待遇改善を早急に進めなければ、ケアマネジャーの仕事に嫌気さして辞めたり、ケアマネジャー以外の仕事を選ぶ人が増える結果となり、ケアマネジャーが存在しない地域が増えてしまう。そうなれば大量のケアマネジメント難民が発生しかねない。

それらのことを念頭に置いたうえで、居宅介護支援事業所の経営改善とケアマネジャーの待遇改善を勝ち取る不断の努力が求められる。

今いる場所で挙げられる声、今いる場所でできる行動・・・一人一人の関係者が発信し続けることが重要となる。
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菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営〜Vol.19
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注目される特定地域設定

6月19日に国会で成立した改正介護保険法は、6月25日に公布された。

これを受けて厚労省は介護保険最新情報Vol.1518を発出して、改正法の内容を現場の関係者に改めて周知している。

今回の改正で一番注目すべきことは、一部の団体の反対を受けながら、それらの声を全く無視する形で取り入れられた、「特定地域サービス」である。

来年度以降、中山間・人口減少地域については、「特定地域」に指定したうえで、「特定地域サービス」・「特定地域居宅サービス等事業」が提供可能となる。
特定地域サービス・特定地域居宅サービス等事業の創設
これらのサービスは、介護ニーズの縮小や人手不足が顕著な地域の介護保険サービスを維持できるよう、現場の実情に合ったより効率的な体制の整備につなげるために新設されたものである。

特定地域では人材不足に対応して、運営ルールを弾力化するとされているが、それは即ち配置基準等を国基準より引き下げてサービス提供できるとするものだ。

また特定地域に訪問介護サービスを提供する場合は、経営の安定化に向けて月々の定額報酬(包括評価)を選択することも可能となる。

さらに特定地域では、市町村が地域の実情に応じて、介護サービスを、給付に代わる新類型の事業として特定地域居宅サービス等事業を実施することが可能となる。

それは介護保険財源を活用して実施できるもので、市町村がサービス提供の対価として事業者に委託費を支払う仕組みであるが、そのサービスについては人員基準がなく、市町村判断で可能と思える人材と人員でサービスが提供できる。

例えば通所サービスに従事するスタッフが、利用者宅を訪問してサービス提供する、「複合型サービス」も可とされる可能性が高い。しかも特定地域以外の地域から、特定地域を訪問することも認められる。

よって通所介護事業所は、そうしたサービスへの参入を新たな事業戦略として考える必要があるだろうし、そのほかの居宅サービス事業所も、特定地域でのサービス提供を事業戦略として考え直さねばならない。

こうした特定地域を定める基準の素案が、6/29の社保審・介護保険で国から示された。

その案によると、市町村単位の基準として以下の2点のいずれかを満たす案を示した。
��75歳以上の人口密度が5人/km2未満
��75歳以上の人口が1000人未満かつ減少している

この案が通ると約2割の市町村が該当することになるという。

またこうした市町村単位の基準に該当しないケースであっても、一部の地域が上記の基準を満たしていれば、行政区単位、日常生活圏域単位などで「特定地域」に指定できるようにすることも提案した。

するとかなり多くの地域が柔軟な基準でサービス提供できる特定地域に該当することになる。

それは介護事業経営戦略にも大きく影響する問題になってくるため、今後の特定地域設定議論に注目しながら、新たな経営戦略を練っていかねばならない。
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特定地域の基準緩和是非論議は意味なし

介護保険制度改正の目玉は地域3区分であることは、このブログ記事で何度か指摘してきた。

このうち中山間・人口減少地域については、市町村が「特定地域」と指定して、その地域に対して介護保険サービスを提供する事業者の人員配置基準等を緩和する措置がとられることになっている。

このルール(※特定地域サービス)を含めた改正介護保険法が19日、参議院本会議で可決・成立した。
特定地域サービス、特定地域居宅サービス等事業の創設
基準緩和される「特定地域サービス」については、認知症の人と家族の会が反対意見を盛り込んだ緊急要望書を提出していた。(参照:認知症の人と家族の会が制度改正案に異議申し立て)

この他5/20の衆議院・厚生労働委員会では、NPO法人「暮らしネット・えん」の小島美里代表理事が意見陳述を行い、「社会保険の原則を破壊する」・「労働環境のさらなる悪化を招く」と反対の声を挙げていた。

しかし6/16の参議院・厚生労働委員会では、早稲田大学の菊池馨実教授が、「医療と介護の複合ニーズを抱える高齢者、単身の高齢者らが増加し、多様かつ複雑な福祉ニーズが顕在化している」・「とりわけ中山間・人口減少地域では既に深刻な課題となっており、地域の実情に応じたサービス提供体制の構築や人材の確保が急務」と基準緩和に賛同の意見陳述を行っている。

このように反対・賛成の様々な意見が交差する中、国会ではさして審議もされずに改正案がすんなり成立した。さすれば特定地域サービスに対する反対意見陳述も、ただ単にガス抜き・アリバイ作りの場でしかなかったことが明らかで、法案成立は既定路線であったことがわかる。

反対意見を述べた方は、サービスの質の低下や労働環境の悪化懸念の意見をお持ちであるようだが、では人口が減り続け、要介護高齢者が広い地域に点在して移動時間がかかる地域にまで隈なく介護支援の手を届ける手立てをお持ちかというとそうではないようだ。

国に手当てしろと叫ぶだけで、広い地域に少ない住民しかいない場所隅々に支援の手を差し伸べるための人材確保策は持っていない。それで今までのサービスを未来永劫維持しろというのは無茶だ。

現実には今以上に介護人材は確保が難しくなるため、人口減少地域の隅々まで行き届いた介護支援を届ける方策は存在しない。だから介護サービスの質が低下しようとも、人員配置等の基準を下げてサービスを維持しなければならない。

よって今回の特定地域ルールの導入はやむを得ない措置と言っても良いだろう。

だが菊池馨実教授の賛同意見も見込みは甘いと言わねばならない。なぜならこれによって特定地域の介護サービスが護られるかと言えば、そうならないからである。

人員配置を緩和して、包括報酬を選択できるようにしても、介護事業者から見ると特定地域は極めてコスパの悪いサービスエリアということになる。そうした地域から撤退する事業者も増えるだろうし、そうした地域で経営している事業者の廃業も増えるだろう。

よって特定地域サービスに賛成した人々、反対した人々、双方の思惑とは別個に厳しい情勢が日本社会に作られていくことになる。

そしてその解決策は見えておらず、人口減少地域に住み続けようとする要介護高齢者は野垂れ死にを選ばずを得なくなるだろう。(※参照:高齢者が特定地域に住み続けるためには覚悟が必要になる仕組み)

そういう意味では基準緩和はその結果に何も影響を与えず、特定地域サービスの是非論議は結局意味のない議論に終わることは間違いがない。

このように特定地域では明るい老後という言葉は、すでに死語と化し、暗い厳しい老後を強いられるのである。

それを解決するには、思い切った住み替え政策に舵を切るしかない。
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厚労大臣の国会答弁を分析してみた

衆議院ですでに可決・通過している介護保険法や社会福祉法などの改正案の審議が10日、参議院でも始まった。

法案自体の成立は間違いのないところだが、関連質問に対する上野厚労相の発言に注目が集まっており、それについて真意を想像してみたい。

10日の本会議では、24年にマイナス改定となり、小規模事業所の廃業が相次いでいる訪問介護について、事業所の立地や規模、集合住宅に併設されているか否かといった事業形態などを、今年度に実施する「経営実態調査」できめ細かく把握すると説明。「適切な単価設定を検討する」と明言し、訪問介護のビジネスモデルの違いも考慮して議論を深める意向を示した。

訪問介護事業については事業規模による収支差率の差が大きくなっている。全国に事業展開しているような大規模事業所においては、自社のサ高住などに訪問介護事業所を併設し、サ高住に居住している要介護者に効率よく訪問介護を提供することで収支差率を高めている。

これに対してサ高住などを持たない小規模の訪問介護事業所は、地域をこまめに回ってサービス提供していても、移動時間などのロスが増えて収支差率が下がる傾向にある。

しかし経営実地調査では、数の多い大規模事業所の収支差率が平均値として出されてくるため、それに合わせてマイナス改定された場合、小規模事業所の経営は厳しいものとなる。

次期報酬改定ではこうしたことがないように、事業形態別にきめ細かな実態把握をするというが、果たして小規模事業所が救済されるような単価設定になるだろうか・・・どうもそうは思えない。大臣発言はむしろ、サ高住や住宅型有料老人ホームに併設して、そこを中心にサービス提供する大規模訪問介護事業所の単価を下げるという方向に向かうことを示唆した発言のように思えてならない。
政治的発言
11日の厚生労働委員会では、住宅型有料老人ホームの入居者に特化した「登録施設介護支援」に原則1割の利用者負担を導入することについて、上野厚労相は、介護付きホームなど他のサービスとの「制度的な均衡を確保する」観点から具体化したいと説明している。

さらに、「自宅などの一般的な在宅で介護サービスを受ける方に対して利用者負担を求めることは予定していない」と明言し、居宅介護支援への利用者負担の導入を重ねて否定した。

この発言をどれだけ信用して良いだろうか・・・。

政治家の発言は軽くはないが、信用もできない。現に選挙の際に掲げられる公約など、簡単に破棄されているという事実がある。

居宅介護支援費に自己負担を導入しないという大臣発言も嘘ではない。しかしそれは2027年度改定に限った発言と受け取るべきだと思う。登録施設介護支援のケアプラン作成に自己負担導入というドアが開くのが2027年度介護報酬改定である。

壁しかなかったところに設けられたドアは、閉めて鍵をかけたとしても、その鍵を開錠すれば開けられるのだ。一度開いたドアは、閉めた後に二度と開けないということはない。2030年度以降の報酬改定では、登録施設介護支援のケアプランに自己負担があることを理由にして、居宅介護支援の利用料も自己負担導入という議論が展開されるだろう。

ということで参議院での厚労大臣発言を、あまりポジティブに受け取らないように注意してほしい。

介護関係者の叫びと戦いは、これからずっと続いていくのである。
※メディカルサポネットの連載、「菊地雅洋の一心精進」の第18回連載記事、「令和8年度介護報酬定期改定に立ちはだかる財務省の高い壁〜「利益が高い」とされる根拠は適切か―収支差率の構造と介護経営の実情から改定議論を読み解く〜」が本日午前中にアップされました。
激動時代の介護経営
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過重兼務で疲弊する管理者

2024年度の介護報酬改定と同時に行われた基準改正では、管理者の果たすべき役割を明確化したうえで、管理者がその責務を果たせる場合には、同一敷地内の事業所に限らず、他事業所の職務との兼務も可能とされた。

兼務する職種の数も特段制限はなく、管理業務に支障がないと判断すれば事業者裁量で兼務職種数も決定可能だ。

兼務が可能という意味は、兼務するすべての職種で常勤者とみなせるという意味であり、人材不足が加速する介護事業においては、配置基準を満たすことができなくなって経営を続けられなくなるリスクを回避できることにもつながる。

だがそれによって兼務を命じられた人々はどのような状態で働いているのだろう。

このことに関連して日本介護クラフトユニオン(NCCU)が今年4月に実施した「管理者の兼務に関する実態把握アンケート」を公開している。

それによると管理者以外の職種を兼務している管理者のうち、管理業務に「支障がある」とした割合は78.8%にも上っており、なおかつ所定労働時間内に業務が「収まらない」とした割合は77.6%にのぼっている。
兼務過多で疲弊する管理者
つまり、「管理者がその責務を果たせる場合」という兼務状況に疑問符がつく状態で他職種との兼務を行っている管理者が多いという実態が明らかにされているのだ。

主業務である管理業務がそのような状態だから、兼務した他事業所の職務等はもっと悲惨な状態ではないのか。兼務を強いられた管理者は、管理業務と兼務業務の両方で心身を削るように働き続けているとしたら、これはもう現代版強制労働そのものとしか言えない。

その状態はメンタルヘルスに大きな影響を与えかねず、一時的に一人の労働者を複数業務に兼務させることで業務を回しても、それによって当該労働者がメンタルヘルス不調に陥った場合、職場復帰はかなり困難になる。結果的にはそうした兼務は、労働力をさらに減らしかねないのである。

介護事業経営者は、そのことを十分に理解して、本当の意味で、「管理者がその責務を果たせる場合」・「管理業務に支障が出ない範囲」であることを確認したうえで兼務発令していただきたい。

そう考えると来年度の介護保険制度改正後の過重勤務状態が益々心配となる。「高齢者が特定地域に住み続けるためには覚悟が必要になる仕組み」でも指摘したが、来年度からは都道府県が定める「特定地域」では、事業所・施設の管理者や専門職らの人員配置基準、常勤・専従要件、夜勤要件などの緩和が認められる。

基準・要件緩和ということは、兼務がさらに広く認められるほか、今までより少ない従業員配置で今までと同じ仕事をし、今までと同じレベルの仕事の結果を求められるということだ。

それに耐えられ従業員は果たしてどれだけいるのだろうか。それは事実上無理ではないのか。

そう考えたとき、やはり特定地域特例は人材不足対策の切り札とは言えないように思う。人口減少する特定地域までくまなく介護サービスを提供することは、事実上不可能に思える。

要介護高齢者に対する医療・介護・福祉・住まいの供給資源が豊富な地域への住み替え政策が必要不可欠と考えるのである。
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高齢者が特定地域に住み続けるためには覚悟が必要になる仕組み

介護保険制度改正が3年ごとに行われているが、それは制度の持続性を担保するためのものである。

よって制度改正は必ずしも豊かな国民生活に結びつくものではない。

2027年4月〜の介護保険制度改正は今まで以上の大改正となり、どこに住んでいようと全国一律で等しく介護サービスを受けられるという今までの制度の根幹を覆して、地域によってサービスの質や価格に差ができて当然であると公言する改正でもある。

具体的には、中山間地域などの人口減少が著しい地域を、「特定地域」として、特例的な介護サービスを認める対象エリアと指定するのである。

結果的にそれらの特定地域に住む要介護高齢者等には、その地域で暮らし続けるために覚悟を求めることになる。
特定地域に要介護高齢者が住み続けるには覚悟が必要
なぜなら特定地域では、介護サービスを提供する職員の人員配置基準を緩めるからだ。そこではICT等を活用してサービスの質を保つように努力するというが、人に替わる介護ロボットが存在しない以上、介護サービスの質は低下せざるを得ないことは明らかだ。

それらの特定地域では、市町村が直接訪問介護や通所介護などの居宅サービスを提供できる「特定地域居宅サービス等事業」も実施可能となるが、それは従来の全国一律の保険給付から外れ、地域の実情に応じた柔軟な運営が可能となるとはいっても、介護保険サービスに似て非なる品質の低い介護サービスにならざるを得ない。

しかも特定地域に限って訪問介護の報酬算定構造を変更し、現行の出来高払いに加えて月額定額報酬を加え、事業者判断による選択制を導入する。これは人口が少なく事業効率の悪い地域を巡回する訪問介護の収益を少しでも高くして、事業継続を促す対策であるが、事業者が収益の高い報酬を選ぶ以上、これによって利用者負担は現在より重くなることは確実だ。

このように特定地域に住む要介護高齢者にとって、次期改正は豊かな暮らしどころか、暮らしを支える介護の質が低下するにも関わらず、利用料金は上がるというデメリットしか感じられない結果となるだろう。

そのことを懸念して、「暮らしている地域によって受けるサービスが違ってくるというのは、全国標準の保険としてあり得ない」とか、「必要な人材を確保するための施策に一段と力を注ぐことで、全国の高齢者への公平・平等な給付を維持すべきだ」という批判・反対の声が挙がっている。

それらの声を無視して改正法案を成立させる理由は、全国一律の人員配置が不可能なほど、労働力が不足するのが確実だからである。必要な人材を確保するための施策など実際には存在しないのである。

今月3日厚労省が公表した人口動態統計(概数)によると、昨年の日本人の出生数は過去最少を10年連続で更新し、合計特殊出生率も1.14(前年比0.01ポイント低下)となって過去最低を記録した。これによって少子化は国の想定より15年ほど早いペースで進んでいることもわかり、我が国の社会保障は、財源・人材面でさらに厳しい状況を迎えることになるのだ。

公費を主な収入源としてる介護事業は、社会保障の一翼を担う責任があるが、だからと言って収益を無視した経営は不可能だ。物価高や人件費高騰という状況の中で経営を続けるためには、相当な工夫をして収益を確保せねばならない。

それを考えると人口減少が進む特定地域に、くまなくサービスを届けようとしても、少ない要介護者が分散して移動距離も長くなり、介護事業者にとって収益が挙げられない状態に陥る。そうした地域から事業撤退しなければ経営が続けられなくなる恐れがあるために、それらの地域にサービス提供するメリットを与えねばならないとして特定地域特例は設けられたのである。

だからと言ってそれらの地域に対して介護サービスが十分供給されるかは不透明だ。特定地域特例でも収益がさほど挙がらないから、特定地域の介護サービスは先細りすると思われる。

だからこそ特定地域で暮らし続けるためには、介護サービスが十分届かず、届いたサービスも必ずしも質が高くないということを想定したうえで、それでもなおかつそこで暮らし続けようという覚悟が求められるのだ。

滞りなく必要な介護サービスを受けたいとか、利用するサービスの質を求めたいと考えるならば、介護サービスが十分に供給されて、選択肢が豊富な地域への住み替えを決断する必要があるのが、2027年度以降の日本社会であることを理解せねばならない。
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手引きだけではなく限度額も見直してほしい住宅改修費

厚生労働省の昨年度の調査・研究事業(老健事業)で、介護給付費の適正化に向けた「住宅改修等の点検および福祉用具購入・貸与調査の取組促進に向けた手引き 第2版」が公表された。

この手引きは自治体の担当者向けに、給付の妥当性をチェックする際の着眼点や、判断に迷いやすい住宅改修の施工事例などが詳細に整理されている。

そのため居宅ケアマネなど、住宅改修の計画に関わる担当者は必ずチェックしておく必要があろうかと思う。

だが手引きが改定されるだけでは不十分ではないだろうか。というのも介護保険制度が誕生して26年も経っているのに、住宅改修費の支給限度額が一度も引き上げられていないことにより、十分な改修ができなくなっているケースが増えているからである。
住宅改修の相談にのるケアマネジャー
住宅改修の支給限度額は20万円である。(※ただし要介護度が3段階以上重くなったとき、あるいは引っ越しをした場合は、再度20万円を限度として住宅改修費の支給を受けられる)

しかし介護保険給付の対象となる住宅改修費の支給については、消費税法上、非課税となる介護保険に係る資産の譲渡等には該当しないことから、非課税とはなっていない。(※根拠法:消費税法別表第二第7号、消費税法施行令第14条の2)

つまり住宅改修費の支給限度額20万円とは消費税を含めた金額なのである。

介護保険制度が誕生した2000年の消費税率は5%であった。それが今や倍の10%になっているのだ。消費税が倍になった分、住宅改修費に掛けることができる実費限度額は減っているということになる。

それに加えてここ数年の物価高による資材高騰が住宅改修費用に転嫁されており、20万円以内で可能となる改修の選択肢は減ってきている。

ここがケアマネジャーの最大の悩みの種であり、僕の顧問先のケアマネもからも、必要な住宅改修が出来ないケースが出てきているという声を聴いている。

心身の状態に応じた十分な住宅改修は、在宅生活を継続するための重要な要素である。そうした改修が出来ないために施設入所せざるを得ない人が出ないように、この限度額の見直しが必要ではないだろうか。

支給限度額を物価スライドにせよとはいわないが、制度創設から四半世紀が経ったことを踏まえた見直しを行うことに、異を唱える人はいないのではないだろうか・・・。

勿論、財務省官僚は別にしての話である。
※CBニュースの連載、「快筆乱麻・masaが読み解く介護の今」の最新記事がアップされました。
快筆乱麻masaが読み解く介護の今
今回のテーマは、「介護報酬改定サイクルの見直しへの期待」です。文字リンク先を参照ください。
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認知症の人と家族の会が制度改正案に異議申し立て

認知症の人と家族の会が12日、国会で審議が本格化する介護保険法などの改正案をめぐり緊急要望書を提出したが、その内容は改正法案の一部に異議を唱えるものとなっている。

同会が異議を唱えたのは、介護ニーズの縮小やサービスの担い手の不足などが顕著な中山間・人口減少地域を対象に、事業所・施設の人員配置基準の緩和などを認める新たなスキームを設けることについて。
認知症の人と家族の会緊急要望書提出
新たなスキームとは、「基準該当」や「離島相当」といった既存の「特例介護サービス」の中に、新たな類型として「特定地域サービス」を創設するというもの。国が一定の基準を示しつつ、都道府県が市町村の意向を聞いて対象となる「特定地域」を定める仕組みとする。改正案では2027年度からの施行とした。

都道府県が定める「特定地域」では、事業所・施設の管理者や専門職らの人員配置基準、常勤・専従要件、夜勤要件などの緩和が認められる。あわせて、訪問介護事業所の経営の安定性・予見性を高める観点から、現行の出来高払いだけでなく包括評価(定額報酬)も選択可能となる。

これによってそれぞれの実情に合ったより効率的な体制を構築し、中山間・人口減少地域でもサービスを維持していけるようにすることが狙い。

だが特定地域に住む介護サービス利用者の立場から見ると、他の地域より人員配置が少ない事業所からサービスを受けることになるため、今までよりサービスの質が下がり、それによって生ずる不便や不満を我慢しながらサービス利用をしなければならないのではないかと不安にあるのは当然だ。

特定地域では人員配置緩和のほか、訪問介護について、現行の出来高払いだけではなく、月額定額報酬を選択できるように改正される。

特定地域は、訪問介護事業者から見ると利用者が少なく移動コスト等の支出が多くなり、コスパが非常に悪いサービスとなっている。そうした地域から撤退する事業所が増えることで、制度あってサービスなしという状態にならないように、より収益が得られる介護報酬算定方式を選択できるようにするものだ。

それは利用者からみると今までより自己負担支出自己負担が増えるということになる。人員配置緩和により品質が劣る可能性があるサービスを、今以上の自己負担支出で利用するという矛盾と向き合うことにもなりかねない。

認知症の人と家族の会の要望書はそうした不安を訴えたものであり、「どこで暮らしていても等しいサービスを保障するという介護保険の理念がなし崩しになる恐れがある。」と問題を提起。「特定地域」を設けて事業所・施設の職員を減らすのではなく、必要な人材を確保するための施策に一段と力を注ぐことで、全国の高齢者への公平・平等な給付を維持すべきだと訴えた。

これに対し上野賢厚労相は15日の衆議院・厚労委員会で、「サービスの質の確保に配慮することが重要」と強調したうえで、「事業所間の連携やICT機器の活用などを前提としつつ、利用者へのケアの質に影響がない範囲で行うことが必要」との意向を示した。

だがそれは介護実務の場を知らない人の戯言のように聴こえる。なぜなら事業所間の連携やICT機器の活用などによって、介護実務が省力化されているという事実は証明されていないからだ。

介護事業においても、ICT機器やAIによって事務作業の省力化は劇的に進んでいる。しかしそれは介護実務=利用者ケアに波及していないのが本当のところではないだろうか。

だからといって、認知症の人と家族の会が要望するような、「必要な人材を確保するための施策」がとれるかどうかというと、生産年齢人口が減り続け、外国人材の活用にも限界が生じている現状では、それも難しい。

そのため僕は、中山間地対策は間違っていないかの中で、思い切った地域再編という政策に舵を取るべきであると提言しているところだ。

次期改正では今回の要望書の存在に関わらず、特定地域の介護基盤を維持するために事業所・施設の人員配置基準緩和は行われるだろう。

そこではどんなに事業所間の連携やICT機器の活用などを前提としたとしても、今以上の良いサービスは受けられないことだけは覚悟しなければならない。

良いサービスを受けたい要介護者は、良いサービスを選択できる地域への住み替えが必要とされるだろう。
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介護報酬改定サイクル変更の提言について

来年度(2027年度)の介護報酬の定期改定に向けた議論が、4/27に開催された社保審・介護給付費分科会からが始まっている。

介護事業者からは、物価高等による経費高騰の影響からの経営悪化・人材不足に関して悲鳴のような声が相次いでいるが、その対策が抜本的に講じられるのかが一番の注目点である。

ところで同日の審議の中で、日本医師会の委員が介護報酬改定のサイクルを変更するように意見が述べられ、現行では介護報酬の定期改定は3年に1度であるが、それを2年に1度とすることが提案されている。

その理由として、診療報酬が2年に1度のサイクルで改定されることを踏まえ、医療と介護が必ず同時改定となって施策の連動性を高められることを挙げ、さらに物価高騰や賃金上昇への対応については、「別枠で毎年実施すべき時代に突入している」との認識を示した。

僕はこの意見に全面的に賛同する。

もともと介護報酬改定を3年に1度しか行わないという法令は存在しない。このサイクルの根拠は、介護保険制度創設時の関係者合意によるものとされているが、その関係者とは誰なのか、どのような合意だったのかという詳細は、今となっては誰もわからないという状態である。

よってこのサイクルを変更するのに法的なハードルは存在しないのである。

むしろ診療報酬と介護報酬の改定サイクルを同じくすることはメリットの方が多い。なぜならサイクルが異なることで、整合性を取るための期中改定が余儀なくされている現状があるからだ。
オンライン診療補助の訪問看護
先週木曜日に更新アップした「介護保険訪問看護でオンライン診療の補助が可能に」で解説した通り、オンライン診療補助を訪問看護師が行った際に、介護保険訪問介護費が算定できるようになったのも、本年6月〜の診療報酬改定で、看護師らのオンライン診療の補助の評価が新設されたことと整合性を取るためである。

この他、突発的で想定が困難なやむを得ない事情により、事業所・施設で欠員が生じてしまったケースについては1年に1回に限り、最大で3ヵ月まで(欠員が生じた月の翌々月まで)減算の適用が猶予されるという新ルールも診療報酬の改定ルールにあわせたものである。
(※ただし介護職員、看護職員が人員配置基準から1割を超えて減っている場合は対象外。)

さらに、介護保険施設の協力医療機関連携加算の会議の開催頻度を緩和するというものについても、診療報酬の加算ルールの会議開催回数の緩和が行われたことと合わせるものである。

このように診療・介護報酬の改定サイクルが異なることによって、ダブル改定時以外の時期に新しい報酬体系の整合性を取るための臨時改定を行う必要があるが、それは請求ソフトの改修なども必要となり、臨時出費が伴う問題でもある。

何より期中改定として一部のルールのみが変更されることは、利用料金を支払う利用者にとって非常に複雑でわかりにくい問題となっている。

だからこそ、診療報酬改定とのサイクルをあわせる提案は介護事業者のみならず、医療関係者やサービス利用者にもメリットがあるものと言えるのではないだろうか。

世の中の流れは年々早まっており、時代は急速に変化している。それに沿ってあらゆるもののニーズも急激・急速に変化しているのである。

それに合わせたサイクル変更は大いに歓迎すべきであるし、急激な物価高等に対する経費増大への対応を別枠で毎年実施すべきという意見も大いに賛同できるものである。
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特定地域の緩和基準などが書かれた法律案要綱

2027年度の介護保険制度改正案が含まれている社会福祉法等の一部を改正する法律案要綱が3日に閣議決定されている。

先週木曜日に更新アップした記事、「制度を読み解き人を残す」でアナウンスした通り、明日16日(木)午後2時〜「制度を読み解き人を残す〜介護報酬改定のリアルと現場の処方箋」というオンライン講演を無料配信するが、そこではその内容も解説する予定だ。

明日の午後2時にお時間のある方は、ID:837 274 8726  パスコード:279279で、Zoomに入室して視聴いただきたい。
オンライン講演配信準備
介護保険制度改正案には中山間・人口減少地域を特定地域と称したうえで、当該特定地域に限った特別ルール(※配置基準緩和や市町村が報酬単価を決定するなど)が示されている。

また介護認定の代行申請に関連して、現在代行できる事業者は、居宅介護支援事業所・介護保険3施設(特養、老健、介護医療院)・地域密着型特養・地域包括支援センターだけであるが、それに加えて新たに介護付き有料老人ホーム・地域密着型介護付き有料老人ホーム・グループホーム・小規模多機能型居宅介護・看護小規模多機能型居宅介護が申請を代行できるようにすることも記されている。

相変わらず読みずらい法令分であるが、これらは今国会で審議・可決される予定なので、今のうちからその内容を確認しておいた方が良いだろう。ただし明日の講演を聴いた後に当該資料を読んだほうが、制度改正部分の理解がより進むことと思う。

そういう意味でも是非、明日午後2時からの60分講演をご視聴願いたい。

ところで明日のオンライン講演は、札幌市西区発寒の居宅介護支援事業所から配信するため、午前中のうちに自宅を出て自家用車で札幌に向かう。

発寒は札幌の西の端で、小樽に近い場所であるから、登別からはかなりの時間がかかる。高速道路を使えば2時間少しで到着できるが、一般道だと4時間弱の時間を要する。そのうち登別〜千歳の一般道は、10年前に1年間だけ勤めた老健施設に通勤するために走り慣れた道路なので、明日もその懐かしいルートを通りながら移動予定だ。

途中で昼ご飯などを食べて休憩を摂りながらこのブログに更新記事をアップしていることだろう。

その前に今日は午後6時から、札幌市とは別の僕の顧問先・沖縄市の通所介護事業所の従業員の皆さんに対してオンライン講演を配信する。こちらは事業所内研修なのでクローズとなっている。

それでは今日の夕方と明日午後、画面を通じてお愛する皆様、よろしくお願いいたします。
介護報酬改定のリアルと現場の処方箋
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遅れる介護認定問題にどう対処すればよいのか

今日の北海道新聞・朝刊2面では、北海道第2の都市・旭川市で要介護認定が大幅に遅れているという問題を大きく報じている。

認定結果が出ないために暫定プランでサービス利用した人が、予想外に要介護状態区分が下がってしまったため、区分支給限度額を超えてサービス利用してしまう結果となり、4万円以上自己負担するなどの混乱が生じているケースなどが紹介されている。(※道新Web配信記事はこちら)

要介護認定の法定期間は30日以内なのに、2025年度の旭川市の平均は70日以上と、法定機関の2倍以上かかっているそうである。その理由は外部委託調査員の数が減ったことによるものであるとし、今後調査員を増やすために調査委託費も上げる方針だと報じられている。

法定期間を大きく超える認定遅れは問題であるし、要介護者には大きな不利益が生ずる結果は看過できない。

だが果たしてそれが旭川市だけの問題かと言えば、そのようなことはない。

このブログで過去に、『伊達市介護保険課の「通知」は世間の非常識』で指摘したように、伊達市というさして大きな市ともいえない地域でも、要介護認定の法定期間を超える遅延が出ているのだ。

東京・大阪などの都市部では、そのような認定遅れは決して珍しくないことだろう。

継続したサービス利用が必要な方々にとって、結果が出ない間も暫定的なサービス利用ができるといっても、配信記事に書かれているように、認定結果が予想と異なって自己負担が増えることもあるのだからこうした遅れは確かに問題である。

だが果たしてこうした問題は、認定調査員を増やして解決することなのだろうか。仮に増やすとしても役所内の人員を闇雲に増やすわけにはいかないので、外部調査員に調査委託するケースを増やすことが考えられる。
介護認定調査
しかし誰でもが介護認定の外部調査員になれるわけではない。

保険者の職員でない者が認定調査員となるためには、介護支援専門員等の特定の資格を取得し、実務経験を満たした上で指定の研修を受ける必要がある。そのハードルは決して低くはない。

調査員研修を受講している職種としては介護支援専門員が多数を占めているが、居宅介護支援事業所の介護支援専門員自体が不足しているのだから、外部調査を受託できるキャパが地域にあるかどうかが一番の問題と云える。

そうした問題を複合的に考えた場合、調査員を増やして認定遅れを防ごうと考える前に、そもそも認定期間が必要なのかということを考えてほしい。

認定期間は介護保険制度開始時には原則6カ月としてスタートしたが、現行では原則12カ月、最大延長は48カ月に定められている。4年間更新申請がされないケースも大きく増えているのだ。それで何か支障が出ているだろうか。支障はないと結論付けて良いと思う。

なぜなら介護認定に関しては、区分変更申請という制度があるからだ。状態像が変化したならいつでも区分変更を申請できるのだ。そのほかにも保険者の職権による区分変更というレールも備えている。

よって定期更新しないとリアルタイムの状態像に合わなくなるという懸念は生じない。制度の主旨に見合わないデメリットが生ずることもないのだ。

むしろ必要性の薄い定期的な更新認定をしないことで、保険者の認定に関わる事務費支出は大幅に削減できる。特に医師意見書の財源支出は年間数十億に上ると云われているが、認定結果に影響を及ぼすような内容が書かれている医師意見書はほとんどない。こうした無駄な支出も認定期間がなくなり、定期的な更新申請が必要無くなると大幅に削減できるのである。(※やっぱり医師意見書は必要ない?)

認定期間廃止については、かねてよりこのブログで意見具申しているところでもある。(※要介護認定期間の撤廃要望には大いに賛同したい)

来年度からの介護保険制度改正はこの問題をスルーしているが、認定期間は本当に必要なのかということを議論の俎上に乗せてほしいと強く望むのである。
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第3段階の食費・居住費引き上げは施設収入になりません

今月13日に介護保険最新情報がvol.1475〜1481まで7本も同時に発出された・・・近直に迫った改正ではないと言っても、1日にこの数の通知発出は勘弁してくれと言いたくなる。

このブログ読者の皆さんは、これらの通知をすべて確認し終えただろうか。

僕は先週末までに何とか通読したうえで、内容確認を終えたばかりである。

面倒くさかったなあ〜。

このうち介護保険最新情報Vol.1481は、補足給付に関連するもので、8/1〜居住費と食費の負担限度額が変更されることを通知したものである。

負担限度額が変更されるのは一定の所得がある「第3段階」の対象者。「第3段階��」の食費が1日30円(月1000円弱)上がり、居住費負担の負担増はない。

一方で、「第3段階��」では食費が1日60円(月2000円弱)、居住費が1日100円(月3000円程度)の増額となる。

第3段階�,鉢△琉磴い蝋膩彌蠧清盂曚�120万円を超えているか、それ以内かによるものだ。
介護施設の食事風景
さてここで混乱する人がいる。8月から見直されるのは食費のみで、居住費は変わりなかったのではなかったかという勘違いが起きるのである。

食費しか変更がなかったのは、負担限度額ではなく基準費用である。「居住費の基準費用は何故見直されないのか?」で解説したように、施設の収入に直結する食費の基準費用は引き上げられたけれど、居住費の基準費用は据え置かれているのである。

そのうえで一部の利用者の自己負担額が変更になっているのだ。

つまり今回の負担限度額の引き上げとは、第3段階の対象者に補足給付される額が下げられたという変更であり、食費の基準費用を引きげた分を第3段階の方々の負担増によって少しでも補填しようというものでしかなく、介護保険施設の収入には全く関係がない変更である。

だが第3段階��の方にとっては、8月から月額5000円近くの自己負担増となるわけであり、決して軽い負担増ではない。

しかも個人事情により家族が年金管理している方の中には、小遣い銭にも困っている人がいたりする。これらの人の家族が自己負担増に納得して滞りなく自己負担金を支払ってくれるなら良いが、そうとは限らないのが難しいところであり、滞納金は発生・増加することだろう。

そうなると介護保険施設は滞納金の支払い促しという業務負担が増加するし、回収できない滞納金による収入減も懸念されることになる。

ということで基準費用の変更では、第4段階の対象者の食費自己負担が増加し、負担限度額の変更では第3段階�,梁仂歇圓凌�費自己負担と、第3段階�△梁仂歇圓凌�費と居住費自己負担が増加となるので、7月中にこの部分の変更同意を取っておく必要がある。

どちらにしても介護保険施設にすれば業務負担が増加し、収入減の懸念がぬぐえない問題で、決して歓迎できる変更ではないというのが本当のところである。

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役人の言ったことのみを根拠にしないでください

僕が管理する介護福祉情報掲示板は、介護保険制度や介護報酬に関する質問が多数書き込まれる場所であり、法令や報酬算定について確認する質問も少なくない。

それに対して根拠をもって回答する必要がある。

そこで必要とされる根拠とは法令であり報酬算定ルールである。よって介護保険法・各種法令通知・解釈通知・Q&Aなどからそれらの正しいルールを探し出さねばならない。

ところがそういった根拠ではなく、「役人が言ったこと」を根拠にしようとする輩がいなくならない。(※管理人としては心の底からいなくなってほしいと思っている。)

考えてみてほしい・・・役人は行政の専門家ではあっても介護保険の専門家ではないのである。数年ごとに移動する役人が、長年介護保険事業に携わっている我々より、介護保険事業や介護保険法に精通しているなんて言うこともない。
小樽運河
役人が持っている法令知識も、今現在の法令知識でしかない。

しかし我々のように介護保険制度が誕生した2000年以前から介護事業に携わっている者は、措置制度から介護保険制度への変換という歴史や、介護保険制度改正の度に変えられてきた諸ルールの変換など、全ての歴史を知る立場にあるわけで、現行の法令ルールがなぜそのような形になっているかという理由や意味にも精通しているはずである。

そう考えると、介護保険制度の専門性が高いのはどっちだという問いにも、自ずと答えが出されるはずである。

そうであるにもかかわらず、法令等より役人の言葉を根拠にしようとする輩がいなくならないのは何故だろう。民間人はそれほどお役人様を拝み奉っているということなのだろうか・・・。

自分が信じる答えを書き込むのは自由であるが、その根拠は役人の言葉とかコールセンターに確認ではなく、きちんと法令等に求めてほしい。

役人等から回答を受けた場合も、「その答えの根拠となる法令はどれに当たりますか?」という一言を加えて、そこの答えも引き出してほしい。そうしなければ根本的な理解や問題解決にはつながらないのである。

そういう姿勢がない輩は、僕の管理する板に入ってくるなと言いたくなる。
※メディカルサポネットの連載、「菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営」の第15回連載記事がアップされました。
一心精進・激動時代の介護経営
今回のテーマは、「診療報酬定期改定と同時期に行われる介護報酬の臨時改定について― 臨時改定が示す制度の限界と、2027年改定に向けた課題」です。文字リンク先を参照ください。
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2割負担対象拡大決定は年内見送り



介護保険制度改正を議論する社会保障審議会・介護保険部会は、12月に入って1日・15日・22日と立て続けに開催されたが、いよいよ25日が年内最後の開催となる。

最終審議の場では、「介護保険制度の見直しに関する意見」の諮問案が示されて、それが承認さて諮問〜答申に繋がっていき、その内容が反映される形で介護保険制度改正関連法案として来年1月召集の通常国会に提出されて審議されることになる。

昨日の審議では、「居宅介護支援費に利用者負担は導入せず」で解説した住宅型有料老人ホームの入居者に特化した新たな相談支援のサービス類型を創設する方針が承認されている。

新たなサービス類型は、事前規制の「登録制」が適用される住宅型有料老人ホームの入居者のケアプラン作成と生活相談のニーズに一体的に対応し、そこで一定の利用者負担を徴収するというもの。

これによって次期改正時の居宅介護支援費の自己負担導入は見送られることが確実となった。

ただし実際に新たなサービス類型を創設する時期について、「未定」とされており、制度改正・報酬改定が予定される2027年度当初からの施行とならない可能性もあるとのことで、今後の動向に注目する必要がある。
美瑛町の冬
今年中に結論を出さずに、来年の通常国会に提出する法案には載せられない検討事項も明らかになっている。補足給付の見直し、老健と医療院の多少室料有料化拡大なども来年の介護保険部会で継続審議となる。

さらに先日(12/4)、「影響が大きい2割負担者の拡大」という記事で、介護保険サービス利用時の自己負担の2割対象拡大は利用者・介護事業者双方に影響が大きいことを指摘したが、その対象拡大も結論が先送りされた。

今年中に結論を出さなかった理由は、公的医療保険制度で高齢者の負担増につながる改革を行う見通しのため、生活に過度な影響が出ないよう配慮したというものだ。

だがこれで次期介護保険制度改正における2割負担対象者の拡大はなくなったのかというと、決してそうではない。この問題も来年以降の介護保険部会で継続審議して、対象拡大が承認されれば、再来年2027年1月の通常国会で法案提出〜成立となれば、2027年4月以降の対象拡大は可能となる。

以前に指摘した通り連立与党を組む日本維新の会は、選挙公約等で介護関連の具体的政策をほとんど示していないが、唯一といってよい関連政策として、現役世代の社会保険料の引き下げを掲げており、介護保険利用者の負担拡大はその政策に結びつくもので、その実現を図ろうとする勢力は少なくない。

ただ来年度は診療報酬の引き上げに加え、介護報酬の臨時改定での引き上げが控えており、利用者負担はそれによって増加する。そのような中で2割負担者を拡大した場合、政権批判が噴出して現在高いまま推移している内閣支持率にも影響することを懸念しての見送りだろう。

特に来年はいずれかの時期に衆議院の解散・総選挙が行われる可能性が高い。それまでは国民の支持を失いたくないというのが本音ではないだろうか。

どちらにしても介護保険制度改正は2027年度からであり、それまでは積み残された課題として検討議論が続けられていくので、その動向に注目をしておかねばならない。
※
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居宅介護支援費に利用者負担は導入せず



介護保険制度改正で検討されていた居宅介護支援費の利用者負担導入問題が決着に近づいている。

厚労省は、11/20の介護保険部会では所得に応じた自己負担などの3案を示した後、12/1の部会では、そのうち住宅型有料老人ホームの入居者に対するケアマネジメントにのみ利用者負担を求める案を示していた。(※参照:ケアマネジメント有料化の一丁目一番地)

しかし昨日12/15に開かれた介護保険部会では下記のイメージ図を示して、今後の導入が検討されている「登録制(事前規制)」が適用される住宅型ホームの入居者に特化した仕組みとして、ケアプランの作成や生活相談を担う新たなサービス類型を創設することを提案したうえで、新類系サービスによるケアマネジメントにのみ自己負担を導入する考え方を説明した。
新たな相談支援の類型イメージ
(※介護保険部会12/15補足資料22頁より抜粋)

登録制(事前規制)が適用される住宅型ホームとは、中重度の要介護者(※要介護3以上)や医療ケアを要する高齢者らを受け入れる住宅型有料ホームが対象とされている。

そこの入居者が介護保険サービスを利用する場合、ケアプラン作成と相談援助機能を併せ持った新類系相談支援サービスがケアマネジメントを担うこととし、その際の報酬について現在の居宅介護支援のような出来高払いではなく、介護付きホームのような定額報酬とする案を提示。利用者負担は定率(原則1割)としてはどうかと提案している。

これによって居宅介護支援費の利用者負担導入という形はとらないことになる。既存の居宅介護支援事業所が、登録制から除外される住宅型有料老人ホームの入居者のケアマネジメントを担当した場合も全額保険給付されるわけである。

この提案が実現すれば、居宅介護支援事業所が利用者負担分の徴収業務を行うようになって、業務負担増になるという心配はなくなるわけである。

だが中重度の要介護者(※要介護3以上)や医療ケアを要する高齢者らを受け入れる登録制(事前規制)が適用される住宅型ホームの利用者は、居宅介護支援事業所の顧客からは外されるわけであり、この部分は収入減につながる恐れがある。

それにしても新たな相談支援の類型サービスって、経営が立ちいくだろうか?

この新類型事業の人員配置基準については、ケアマネジャーだけでなく生活相談員の配置を求める構想が示されている。しかし全国でケアマネの人材不足が叫ばれ、有効求人倍率も訪問介護員を除く介護職員より高くなっている状況で、新類系サービス事業にケアマネジャーを配置できるだろうか。

そもそも新たな相談支援の類型サービスの顧客は、登録制(事前規制)が適用される住宅型ホームの利用者の身である。それは事業の発展性が著しく阻害される延びない事業そのものである。

それとも新類型相談支援サービスは、居宅介護支援事業所が行っているケアマネジメント業務も行えるようにするのだろうか。そうであってもケアマネジャー以外に相談援助職を配置せねばならないとなると、相当な人件費がかかる。公費はそれに対応するほど支出されるというのだろうか。それは期待薄で、どちらにしても収益性が低いサービスとならざるを得ないと思われる。

誰がそんな事業を経営したいと思うだろうか。僕なら手を出さない。

そうであれば新たな相談支援の類型サービスも、登録制(事前規制)が適用される住宅型ホームの経営主体が、そこの利用者のためだけに立ち上げることになり、結果的に囲い込みの新類型サービスが誕生するだけの結果に陥るのではないだろうか。

そんな事業所に就職したいと思うケアマネや相談員は、果たしているのだろうか・・・。
※
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トップマネジメントとして最も重要なことは何か



今年度も函館市の介護人材確保・育成促進事業として、スキルアップセミナー「函館介護福祉道場あかい花」を開講する。

このセミナーは、キャリアバンク株式会社函館支店受託事業として行われているもので、3年前から講師を務めさせていただいている。

今年度も12月と1月に分けて、介護事業者の管理職・リーダー向け研修と、居宅・施設双方のケアマネジャー向け研修を2回ずつ実施する予定だ。

最初のセミナーは12/17(水)が管理職・リーダー向け研修、12/18(木)がケアマネジャー向け研修である。
函館市ケアマネジャー、管理職向けスキルアップセミナー
初日(12/17)の「介護事業における管理職の役割〜トップマネジメント」では、各事業部門のトップの役割として、経営者から任された部署や組織、あるいは事業所の成果を最大化する役割に沿った話をする予定だ。

モチベーション管理・経営理念やビジョンの浸透・人材育成・社内調整といった様々な役割があるが、それらはすべて事業所の成果を上げるために与えられた役割であり、部門トップの評価は役割に沿って動いているかではなく、成果を上げているかによって判断されるという当たり前のことを確認することから始めたいと思う。

そのためには、それぞれの部門トップは何よりも正確な情報を先取りして、戦略的に業務を遂行する必要がある。

ということで今回は、介護保険制度改正の諮問案が出される直前の時期ということもあり、補正予算による介護支援パッケージと臨時報酬改定の流れ、制度改正と2027年度報酬改定・基準改正の要点などを中心に話す予定だ。そして次回の1/22(木)の人材マネジメント(※外国人材も含む)につなげていきたい。

翌日(12/18)のケアマネジャー向けセミナーは、基本ケアと疾患別ケアで構成するケアマネジメントについて解説する予定だ。

自民党と連立政権を組む日本維新の会は、病床削減に積極的な政党で、岩谷幹事長は23日の自民・公明両党との協議の後、「約11万病床が余剰となっており削減に向けた理解が得られた」と述べている。

その為今後ますます、長期入院の是正〜療養の場は医療機関ではなく暮らしの場へという流れが生まれ、居宅サービス・施設サービス双方で、急性期以外の疾患を抱えた方が、居宅や介護施設で暮らすためのマネジメントが重要となってくる。

12/18はそうした観点から、「適切なケアマネジメント手法〜求められる疾患別マネジメント」というテーマで話をするが、1/23(金)の「ケアマネジャーが押さえておきたい法令」については、ケアマネジャーの処遇改善の方向性や、ケアマネジメントに関連する制度改正の動きについても詳しく解説する予定である。

今年度のセミナーは、4回とも90分講演+GW30分という形式になっており、参加者同士で意見交換もできるので、昨年度までとは違った形で受講者同士の関係づくりができると思う。函館市周辺の方は是非、講演会場の函館市亀田交流プラザまでお越しいただきたい。

さて話は変わるが、先週11/28更新記事「ハラスメントを整理・対策しよう」でお知らせした無料オンラインセミナー「ハラスメント」の配信日が来週に迫っている。
無料オンラインセミナー「ハラスメント」
事前申し込みなしで、どなたでも無料視聴できるセミナーなので、チラシ画像に掲載されているIDとパスコードで、Zoomに入っていただきたい。

介護事業におけるハラスメント事例も紹介しながら、ハラスメントを起こさない・ハラスメントに負けないための情報を伝えたいと思うので、こちらもぜひご視聴いただきたい。

それではよろしくお願いいたします。函館市及び画面を通じて愛ましょう。
※メディカルサポネットの連載、「菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営」の最新記事が更新アップされました。
菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営
第12回のテーマは、「外国人介護人材受け入れの必然と課題」です。文字リンク先をクックしてご覧ください。


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影響が大きい2割負担者の拡大



介護保険サービスを利用する際に支払う自己負担金の2割負担の対象者を拡大する議論が佳境を迎えている。

12/1に開催された社保審・介護保険部会では、現行、単身世帯で「年収280万円以上」となっている2割負担の対象者を、「年収230万円以上」〜「年収260万円以上」の範囲で拡大することを選択肢として提示した。

このうち「年収230万円以上」とした場合、高齢者の所得上位30%、およそ35万人が新たに負担増になるため、2割負担者を現行の20%〜30%に拡大するという厚労省の当初目標にも合致し、後期高齢者医療の2割負担者が30%であることとも歩調が合うことになる。

最終的にはここに持っていきたいのが国の思惑だろうが、大きな国民負担増加には反発も予測され、ソフトランディングのために幅をもたせて案を示したということだろう。

そのため激変緩和策として2割負担対象者を拡大する場合、当分の間は月7000円を負担増の上限としたり、預貯金が少ない高齢者を1割に戻したりする選択肢も示された。
2割負担者の拡大
ご存じかと思うが、介護保険部会は審議の場ではなく、国が審議していることをアピールするアリバイ作りの場である。そのためここで何かを決められることはないため、この問題は政治決着されることになる。

そうなると現行政権が、自民党と日本維新の会の連立政権であることが大きく影響してくる。日本維新の会は、選挙公約などで介護政策の提言をほとんど行っていないが、唯一行っているのが現役世代の社会保険料の引き下げである。

すると要介護者自身の利用者負担増は、この政策とマッチするものである。よって2割負担増の拡大は実現可能性がかなり高く、政治判断は示された幅のどこをとるかという部分に比重がかかるように思う。

だがこの負担層の拡大は、介護サービス利用者のみならず、介護事業者にも大きな影響を与える問題である。

新たに2割負担となる層について、年収260万以上〜年収230万円以上のどこに線引きするとしても、その対象者は決して高い年収であるそうとは言えず、裕福ではないといえるからだ。

仮に年収230万円以上の人が2割負担となるとしたならば、月額収入が20万円に満たないの人が、今より倍の費用負担をすることになる。食費・光熱水費などあらゆる生活必需品が値上がりしている昨今、そのような負担増に耐えられるのだろうか・・・。

要介護者の方々は持病を抱えて、毎月医療費もかかる人が多いだろうが、そこは削ることができない部分だ。であれば介護サービスの支出をできるだけ押さえようとする機運が生まれるのではないだろうか。

特に軽介護者の方で、介護予防のために通所介護などに通っている人は、その効果が観えずらいとなると、利用者負担増を境にして、利用回数を抑制したり、利用そのものをやめてしまう人が多くなる可能性がある。目に見える形の介護予防、数値で示すことができる機能訓練効果を示すことができない通所介護は経営に大きな支障が生ずるかもしれない。

このように2割負担者の対象者を、今より年収の低い層に引き下げる影響は計り知れない。その為の対策も早急に求められることを忘れてはならない。
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中山間地対策は間違っていないか



今日書くことはやや乱暴な意見と批判されても仕方のない内容だと思う。(※というかいつも乱暴だから、いいっか・・。)

少子高齢化が止まらない中で、2042年頃までは要介護者の数が増え続ける我が国で、大きな政策転換をしないままで、自然と社会問題としての医療・福祉・介護の課題が解決していくのかということに大いなる疑問を抱いている。

介護政策も少子高齢化が止まらない社会のセーフティネットの再構築という視点から、もっと政治主導の根本的解決策がとられなければならないのではないかと思う。

社保審で様々な団体を代表する委員が、制度の持続性を高める議論を行うのと並行して、それよりもっとマクロな視点から政治家が天下国家を論ずる立場で、この国の社会システムの変換を図る政策転換議論が行われてしかるべきではないのか・・・だがそれは票には結びつかず、むしろ政治家が地元の支持票・基礎票を奪いかねない提言になるやもしれず、だから二の足を踏む政治家が多いのかもしれない。

具体的にはどういうことか。

次期介護保険制度改正の最大のテーマは、地域包括ケアシステムの深化の具体策として、地域類型を導入することだ。全国を「中山間・人口減少地域」・「大都市部」・「一般市」の3類型に分けて、それぞれの類型ごとに見合った介護サービスの新しい在り方を導入しようとしている。

そのうち「中山間・人口減少地域」における訪問介護事業については、サービス提供の効率が悪いことから収益に結びつかずに介護サービス事業所がなくなることを防ぐために、介護報酬の算定方法を現行の出来高払いと、新設の月額定額報酬の選択ができるようにするとしている。

またこれらの地域では人員配置基準などの特例を新設し、管理者や専門職の兼務を広く認めるともしている。
中山間地
つまり人口減少が進む過疎地域については、今まで以上の財源をかけ(※収益が上がる報酬算定方式を事業所が選択できるのだから、介護給付費は今以上に増える)、それにもかかわらず人手は減らすという意味となる。

管理職や専門職の兼務を広げるにあたって、ICT活用などで質の低下を防ぐというが、人員を減らしても同じレベルのサービス水準が維持できるようなICT実績もエビデンスもない中では、サービスの品質保持は極めて難しいと云えるし、減らされた人員でサービス提供する事業所の労働環境は、悪くなることはあっても良くなることはない。

そのような中で、介護給付費を今以上にかけてサービスを維持しようとするのだが、それはそのまま国民負担と利用者負担の増加に直結することになる。

これは国・サービス提供事業者・サービス利用者という3者の、どの立場から見ても極めてコスパの悪いサービスと云えるのではないだろうか。

そのようなサービスを続けることが介護保険制度の持続可能性が高まることにつながるとは思えない。財源支出が増えるわりに効果が乏しい方向性にしか思えないからだ。

さすればここは政治的に英断を下して、中山間・人口減少地域から一般市への住み替えを強力に推し進める対策が求められるのではないのか。中山間・人口減少地域に住んでいれば、いずれ必要な医療や介護サービスが受けられなくなるという覚悟を促しつつ、そこから住み替えて創る地域社会というビジョンを示すべきではないのか。

そうして住み替えた地域住民の新しい住まいの近くで、行政サービス及び医療・介護サービスが集中的に利用できるコンパクトシティー化に向けた地域再編が必要ではないのだろうか。

そうした形で財源と人材を集中させる政策が不可欠であるような気がしてならない。

どちらにしても財源・人材共に厳しい時代に突入している中で、我が国は超高齢化のピークを10年以内に迎えると予測されている。(※要介護者数のピークは2042年とされている)

この時代の介護事業経営も益々知恵と戦略が必要になるが、今週の金曜日(11/14)にはいよいよC-MAS 全国大会2025が行われる。

日本の介護事業経営の先頭に立つリーダー的経営者や管理職、コンサルタントの方々など錚々たるメンバーが集う会であり、ここでつながりが出来た人は、必ず介護事業経営の手助けをしてくれる人たちなので、是非そう言う方々との人脈づくりのためにも会場を訪れてほしい。詳しくは文字リンク先をクリックしてご覧ください。

それでは11/14午後からTKP東京駅カンファレンスセンターで愛ましょう。
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軽度者の訪問・通所介護の地域支援事業化は見送りへ



月暦カレンダーが残り2枚となり、なんだか頼りない薄さになってきた。

残り二月となった今年が、意味のない時の流れにならないように、しっかりと今できることを全力で行いたいと思う。

そんな師走が近づいたこの時期に、介護事業者にとっては明るいニュースが3連休前に飛び込んできた。

今年中に結論を示すとされていた軽介護者(※要介護1と要介護2の方が対象)訪問・通所サービスの市町村の総合事業化(※市町村の総合事業への移行)は、訪問介護の生活掃除を先行して実施することが検討されていたが、10/31時点で厚労省はこの方針を見送ることを明らかにした。
軽介護者サービスの地域支援事業化見送り
見送りの理由は、自治体による支援の質の確保に課題があり、その解決見込みがないことを上げている。

訪問介護と通所介護の総合事業化の先行実施として考えられていた生活援助の意向が見送られたのだから、後に続く訪問介護の身体介護や通所介護の地域支援事業化の見送りも決定したといってよい。

前述したようにこれは介護事業者にとって歓迎すべきニュースだ。介護サービスの総合事業化の本質とは、決して地域包括ケアシステムの深化ではなく、単に給付抑制だからだ。

国定費用の介護給付サービスから、市町村の総合事業に移行することによってサービスの単価は下げられるのだ。だからと言ってそのようなサービスのすべてを市町村が独自事業を新設して担えるわけがない。

そのため多くの場合、軽介護者の総合事業も既存のサービス事業所に事業委託して、現行と同様のサービスを、現行より低いサービス単価で受けられるようにするだけだ。

居宅介護サービス事業所は、そのようなコスパが悪く、生産性の低くなるサービスは提供したくはないが、居宅サービス利用者の中心層である要介護1と2の方々にサービス提供できないならば、顧客確保が難しく事業経営の危機に直結する。その為、現行より利益率が下がることがわかっている市町村委託事業でも、泣く泣く受託しなければならないのである。

そうしなくてよくなったという意味で、大朗報である。介護事業経営者は喜ぶべきだ。

だが諸手を上げて喜ぶことができない部分が残されている。国が今年中に結論を出すとしている検討課題は、まだ二つ残っているからだ。

それはケアプラン有料化と云われている居宅介護支援費の利用者自己負担導入と、自己負担2割の対象者拡大案である。これらは実施の是非の検討を続け、年内に結論を出すとしている。

このうち居宅介護支援費の自己負担導入は、居宅ケアマネの処遇改善と紐づけで考えられているという側面もあり、その動向に目が離せない。

その動きについては、今後もこのブログで情報発信と意見発信を続けていきたいと思う。是非ここも注目していただきたい。
※CBニュースの連載・「快筆乱麻masaが読み解く介護の今」の最新記事が10/30にアップされています。
快筆乱麻masaが読み解く介護の今
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シャドウワークは解消に努めるものなのか?



次期介護保険制度改正のテーマの一つに、「ケアマネジャーのシャドウワーク」が挙げられている。

そのため10/9に行われた社保審・介護保険部会の資料2では、ケアマネジメントの諸課題が整理されたうえで、地域ケア会議などを生かし地域包括支援センターを中心に居宅介護支援のケアマネジャーら関係者も協力する枠組みを今後さらに推進する必要があるとしており、これもケアマネジャーのシャドウワークを解消するための取り組みの一つだと説明された。

しかしシャドウワークってなくすべきものなのか?失くしてしまって本当に良いのか?

シャドウワークの本来の意味とは、無報酬の労働ではあるが、報酬や対価が発生する労働のために不可欠な労働であり、その意味で間接的には報酬が発生しているとみなすことのできるものという意味である。

つまりシャドウワークとは単なる、「ただ働き」ではなく、ある意味あって当然のことであるという理解も必要なのだ。

例えば居宅介護支援事業所の介護支援専門員(以下、居宅ケアマネと略)。彼らは担当者の在宅生活を支えるために、自立支援や生活の質の向上を目的として居宅サービス計画を立案するなどの一連のケアマネジメントに対する報酬を得ている。

そこにおける顧客とは担当利用者であり、その利用者の暮らしを支えている家族等のキーパーソンは顧客ではない。よって家族支援は居宅ケアマネの本来業務には含まれないと云える。

だがそうだからと言って、家族が在宅介護を行う上で様々な悩みを持っている状態を、居宅ケアマネは、「自分の仕事ではない」として放置できるだろうか。
誰かの心に咲く花
そんなことはできないと考えるのが普通だし、むしろ悩みを抱える家族の相談にも応じて、介護者の心の負担を取り除くことによって、その家族は在宅で利用者を支え続けることにつながるかもしれない。そうなれば居宅介護支援も継続でき、そのことで居宅介護支援事業所は収益を挙げ続けられるわけである。このように利用者のみならず、その家族の相談援助行為が間接的な報酬の発生につながるのだ。これこそがシャドウワークの本来の意味だ。

それは極めて重要であって、シャドウワークは決してなくして良いものではないと思う。

そもそも国がシャドウワークという言葉を持ち出したのは2024/3/10回開催のシンポジウムで、当時の厚労省老健局長が、「ケアマネジャーの皆さんはシャドウ・ワークが非常に多い」と述べ、無償で行うケアマネ業務があることを指摘したことがきっかけだ。

この際に老健局長とあろう者が、シャドウワークの本来の意味を知らないわけがない。

そうであればこの発言の背景には、明確な意図があると考えるべきだ。その意図とは介護給付費を要望通りに引き上げできない代わりに、シャドウワークと思われる部分を保険外費用請求=利用者自己負担で賄おうという考え方だろう。

居宅ケアマネの待遇改善や、物価高等に対応した居宅介護支援事業所の経営改善のために居宅介護支援費を引き上げるような財源支出は難しいので、それに代わって保険外費用を算定しやすいようにして収益確保できるようにしたいという思惑が見え隠れしているのである。

そのような国の尻馬に、ケアマネジャーが乗ってほしくない・・・。

そもそも保険外サービスを明確にして収益を確保させようという政策に実効性はあるのか。例えば介護認定申請代行は料金徴収できるのに、それを無償サービスとしている居宅ケアマネが圧倒的に多い現状を考えると、保険外サービスがケアマネの収入増に結びつくという考え方には疑問符をつけざるを得ない。

それ以上に懸念されることは勘違いするケアマネが増えてしまうことだ・・・直接的な報酬を算定できないシャドウワークが悪者で、保険外費用を請求できないケアマネジメント関連業務は行う必要がないと考えてしまえば、すべき支援も見失われ、裕福な人しか救われなくなってしまう世の中になる恐れがある。

居宅介護支援及びケアマネジメントが、そのような社会的風潮を生み出すとしたら、ケアマネジャーの仕事そのものが人を救えず人に誇れないものに貶められてしまう。

僕はそれを決して望まない。
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事業者連携の旗振り役にインセンティブという愚策



次期制度改正では、資源の乏しい地方で介護サービス提供体制をどう維持するかがテーマの一つになってくる。

そのため1法人1拠点といった小規模経営をしている介護施設・事業所が安定的に必要な事業を継続し、地域におけるサービスを確保し複雑化したニーズに対応するために協働化・大規模化等による経営改善の取組が必要ではないかと問題提起されている。

それは中小の事業者合併ではなく事業所同士の連携という形で実現できないものかと模索が始まっている。例えばバックオフィスの共同化やアウトソーシングという形が考えられないかということが課題の一つだ。

その為10/9の介護保険部会では、論点�イ箸靴堂雜郢�業者の連携強化がテーマに掲げられた。(※資料15頁〜参照。)

注目すべきは、この資料の17頁に次のような論点が示されていることである。
----------------------------------------------------
・中山間・人口減少地域において、都道府県及び市町村と連携しながら、地域のニーズに応じた事業継続を担うとともに、介護事業者間の連携において中心的な役割を果たす法人・介護事業所に対し、インセンティブを付与することが考えられるのではないか。
・インセンティブの内容としては、例えば、法人間での人材の連携等を前提とした配置基準の弾力化、ICT等テクノロジー導入補助金の補助率引き上げや介護報酬の加算における更なる評価などが考えられるのではないか(※)。
(※)詳細については、今後、上記を前提に、介護給付費分科会等で議論。
----------------------------------------------------
人材の柔軟な活用、施設・設備の共同利用、研修・採用の共同実施、物品の共同購入、ICTの共同導入、報酬請求や記録作成といったバックオフィスの集約などという形で、複数の小規模事業者が連携を図ることは求められることであり、それに対して何らかのインセンティブ(※補助金や報酬加算など)を与えることも良いことだ。

だがそのインセンティブが、連携の旗振り役=中心的な役割を果たす法人・介護事業所だけに与えられるとしたら、これは連携をぶっ壊す要素にしかならない。
空中分解
なるほど連携には要(かなめ)が必要だ。居宅サービスチームも居宅ケアマネという要の存在によってチームが構成され機能してくる。しかしそこには居宅介護支援(ケアプラン作成)とサービス提供という役割区分が明白であるために、旗振り役がケアマネジャーであって問題ないわけである。

しかし事業者間の連携は、同じ地域内の同じサービス種別を担う事業所との連携も考えられる。連携して受ける恩恵も皆同じであり、そこに不平等はないし、あってはならない。

そうであるにも関わらず、そこに旗振り役を置いて、その役割を担う事業者だけにインセンティブを付与するというのは、他の連携メンバーからすれば腑に落ちないことである。

インセンティブ付与に対し、嫉妬するのはケツの穴が小と非難する向きもあろうが、同じ仕事を同じように行うことに対価が異なるのは不公平感を生んで当然だ。

連携する事業者は、それぞれその地域で介護事業経営をしているのだから、どこが旗振り役を担っても大差ないと思える。それは持ち回りで行えばよく、インセンティブを付与するのであれば、連携する全事業者を対象にすべきだろう。

連携チームを空中分解させかねない不公平インセンティブなら、ない方がマシである。
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過疎地を救えでは日本を救えない



厚労省は10/9に開かれた社会保障審議会・介護保険部会で、中山間・人口減少地域を対象に介護事業所・施設の人員配置基準などの特例を新設する提案を行った。

それによるとテクノロジーの活用や関係者間の連携体制を前提に、管理職や専門職の常勤・専従要件、夜勤要件などを緩和できるようにするというものだ。さらに「中山間・人口減少地域」の範囲も広めて、今後都道府県が特定判断を下すことになる。

しかしこのような人員配置緩和は諸刃の刃だ。
中山間・人口減少地域
いくらテクノロジーの活用や関係者間の連携体制整備を図っても、人員が削られた中で労働環境は厳しいものにならざるを得ないし、なおかつサービスの質も低下せざるを得ない。

仕事が今よりきつくなり、相談する相手も減る。

その中でサービスの質の低下が綻びを生み、介護事故発生の増加も懸念される。何より十分なケアを受けられない利用者の表情は乏しくなり、場合によってはそれらの利用者に我慢を強いる場面も生まれてくる。

介護の職業を通じて、人の役に立ちたいという動機づけを持つ人にとって、それは耐えがたいことになりかねない。

人員配置の緩和とは、このようにひとり一人の従業員の心身に大きく影響する問題である。

その結果そこで働きたいと思う人が減ることも懸念される。つまり人員準緩和地域は、さらに人材確保が難しくなるという負のループに陥る結果を招くと危惧せざるを得ない。

また、先日書いた地域差が介護価格差に・・・。で示した通り、中山間・人口減少地域の訪問サービスに対しては、今以上に保険収入を上げられるような対策も取ろうとしている。それは財源支出が増えるという意味でもある。

その財源はどこから捻出するのか?

そもそも我が国は人口が減り続けることがわかっている。中山間・人口減少地域は今よりもっと数が増えるのだ。そこに住む住民全てに介護保険サービスを届けるために、巨額の税金と保険料をかけることができるのだろうか。

そうできるに越したことはないが、それは極めて非現実的であるし、少子高齢化で今以上に財源が厳しくなる中で、それは理想論に過ぎないとも云えなくもない。

それよりもっとマシな政策はとれないものか・・・それは人口が減り続けている全市町村がコンパクトシティー化を目指して、病院や福祉・介護施設・居宅サービス事業所などを集約した地域に住民の住み替えを促進する政策だ。

つまり中山間・人口減少地域といった過疎地域にくまなくサービスを届けるのではなく、過疎地域をなくす対策だ。

勿論そのことに抵抗感を持つ人は少なくないだろう。先祖代々の墓所がある場所から離れ、故郷を捨てることは身を切る思いだろう。だがそうしないと解決できない問題があるのだ。

それは介護保険制度改正という範囲で議論できる問題ではなく、社会構造の変革という政治課題であるが、だからと言って社会保障審議会がこの問題に口をつぐんだままで良いわけがない。

制度改正でカバーできない少子高齢社会問題という視点から、厚労省を通じて政府や内閣に提言する姿勢があってしかるべきと思うのは僕だけだろうか・・・。
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居宅介護支援が予防マネジメントを直接実施の意味



10/9に行われた社保審・介護保険部会の、(資料2)地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)には、「 居宅介護支援事業所において介護予防ケアマネジメントの一部委託が一定進んでいる実態を踏まえ、地域包括支援センターのさらなる業務負担軽減や、居宅介護支援事業所における円滑なケアマネジメントを促進する観点から、利用者の属性を問わず、介護予防ケアマネジメントについても居宅介護支援事業所が直接実施できる体制を検討してはどうか」という論点が示されている。

このことについてネットニュースなどでは、『介護予防ケアマネジメントについて、厚生労働省は居宅介護支援事業所が直接実施できるルールを新設する方針を固めた』という見出しが躍っていた。

それを見て僕は首を傾げた。2023年度制度改正で、要支援者の居宅サービス計画は、地域包括支援センターから委託されなくても、直接居宅介護支援事業所が利用者と契約してプランニングできるようになっているからだ。

なぜそれが改めて論じられているのか意味が分からないとSNSで情報を求めたところ、静岡県の独立中立型居宅介護支援事業所の経営者A氏から次のようなアドバイスをいただいた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
要支援者への「介護予防支援(訪問看護・リハビリ・福祉用具貸与・ショートステイが含まれる場合)」は居宅介護支援事業所が直接実施できるようになった一方、総合事業(デイサービス・ホームヘルプ)のみの「介護予防ケアマネジメント」は現在のところ地域包括支援センターから委託を受けないと実施できません。それに言及したものではないかと思います。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
なるほどそういうことかと得心した。これによって市町村の総合事業・介護予防支援・要介護者の居宅介護支援が居宅介護支援事業所の直接業務になるわけで、介護保険制度施行時のワンストップサービスが復活することになる。それ自体は良いことだ。

だがこの改正により、総合事業(デイサービス・ホームヘルプ)を利用する人を直接担当する居宅介護支援事業所が大幅に増えるとは思えない。

なぜなら昨今の状況は、多くの地域でケアマネの求人倍率が上がっている。つまりケアマネの人材不足が深刻化し、居宅介護支援事業所のケアマネジャーも足りない地域が多く、地方部では要介護者のケアプラン作成担当者を探すのも一苦労だという市町村が増えている。

しかも特定事業所加算の担当人数に上限があり、それを超えると加算が取れず、大幅な減収となってしまう。総合事業の利用者も要支援者と同じように担当人数のカウントに含まれてくれば、それらの人を直接受ける居宅介護支援事業所は少なくなるだろう。

よって思ったほ地域包括支援センターの業務負担軽減にはつながらないような気がしているのは僕だけではないだろう。

さて話は変わるが、先週金曜日に東京ビックサイトで行われていた国際福祉機器展&フォーラムで講演を行った。(※参照:国際福祉機器展&フォーラムが開催されています。)

展示物に関しての情報は参照記事をご覧いただきたいが、講演の報告とお礼をこの場で申し述べたい。
ビーシステムブース2
ビーシステムブース
講演場所は、上の画像の通りで、展示ブースの前に演壇を置いて話すスタイルで、受講者の方々は立ったまま聴かなければならなかった。

その為、他のブースで行われていた講演等では、一旦立ち止まって耳を傾けた方でも、数分でその場を立ち去るという方が多かった。

ところが僕の講演が始まると演壇の前に続々と人が集まり、その数は100人を超えて、通行にも支障が出るほどだった。そのほとんどの方が45分間、その場を離れず最後まで僕の講演を聴いて下さった。ありがとうございます。

今後も様々な場所で科学的介護について話す機会があると思うので、是非その際は講演会場まで足を運んでください。

ところで今日は体育の日の祝日。自宅でのんびりしている人も多いだろう。そんな方々のために、僕が昨日食べてきたラーメン画像をプレゼントしたい。
それでは皆様、良い祝日をお過ごしください。
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介護保険制度誕生秘話



介護保険制度が2000年4/1より開始されて以来、今年でもう25年も経つ。25年と云えば四半世紀であり、それなりに長いスパンであると云える。そのため介護関係者の中には、介護保険制度移行以後にこの業界に入り、介護保険制度以前の介護事業を知らない人も多い。

それらの過去を知っていたとしても、介護保険制度が誕生するに至った経緯を知らない人も少なくない。

このブログではいくつかの記事に分けて、その経緯を伝えてきたが、今日はそれらを一つの記事としてまとめ、読みやすいように小見出しもつけて再編集して伝えたいと思う。

ということで極めて長い記事になるので、途中で読むのが飽きた方は、小見出しごとに分割して読むなどしていただきたい。
メルヘンの丘(大空町)
(介護保険制度設立の機運)
我が国の高齢者福祉対策は1963年に制定された「老人福祉法」に基づいて行われ、老人保健医療対策も同じく「老人福祉法」に基づいて行われてきた。その中で1973年から高齢者の医療費を公費負担する「老人医療費支給制度」が発足し、70歳以上の一定所得以下の高齢者医療費の無料化が実現した。これにより高齢者の受診率が大幅にアップした。

しかしこの時期オイルショックにより実質経済成長率が戦後初のマイナスとなり、健康保険料収入は大幅に落ち込んだ。これにより高齢者の加入率が高い国民健康保険財政は急激に悪化した。

このような情勢下で、旧厚生省は1976年から省内に「老人保健医療対策室」を設置し、高齢者医療の患者負担を復活させようとしたが、当時の三木内閣、福田内閣では世論の反発を恐れ選挙対策としの戦略上の見地から高齢者医療費の有償化は見送られ続けた。

1980年、行政管理庁が高齢者の過剰な多受診傾向を監査結果として示し「老人医療費支給制度」の早期見直し勧告を出すことにより潮目が変わった。そして1983年、老人保健法が施行されることにより我が国の老人保健医療対策は、老人福祉法から離れ同法に移行し「老人医療費支給制度」も廃止された。

1986年には国保財政の一段の悪化を背景に、老人保健法改正議論が大きく取り上げられ、高齢者対策企画推進報告として
1.自立自助と支援システムの構築
2.社会の活力の維持
3.地域における施策の体系化と家族への支援システム強化
4.公平と公正の確保
5.民間活力の導入

以上の5つの基本原則が示された。これをみると、このころから介護保険制度に繋がる基本原則の考え方が萌芽しているといえる。そしてそれは1988年の「高齢社会の福祉ビジョン」の国会提出へと繋がり、2000年度末までホームヘルパーを50.000人、ショートステイを50.000床、デイサービスセンターを10.000箇所、特養と老健を500.000床増やすという在宅サービスと施設サービスの緊急整備目標が示される流れに繋がっている。(1989年高齢者保健福祉推進10ヵ年戦略:ゴールドプラン)

1993年厚生省内に「高齢者介護問題に関する省内検討プロジェクトチーム」が設置され1994年には「21世紀福祉ビジョン」を示し、新ゴールドプラン策定と新介護システムの構築が提言された。この背景には厚生官僚の中に「租税・社会保障負担率」(対国民所得比)は当時35%位であったが、このまま何の対策もとらねば、これが50%を超えることは時間の問題で、そうなればヨーロッパ先進国のように先進諸国病に取りつかれ社会の活力を失うという危機感があった。つまりサービスは増やすが、その利用については「自己責任」原則を導入し、国民に新たな負担を求めざるを得ない、という考え方が根底にあったものである。

そしてこの「新介護システムの構築」提言がきっかけで、1995年2月老人保健福祉審議会において「新介護システムの審議」が開始され、同年7月「介護保険制度の創設」が勧告された。

(法案提出の原動力となった「自・社・さ連立政権」と村山内閣)
1994年6月25日に羽田内閣総辞職を受けて、自由民主党総裁・河野洋平が日本社会党委員長首班の連立政権を打診し、新党さきがけを含めた自社さ共同政権構想に合意した。この際に首班指名されたのは、旧社会党の村山富市党首だった。そして村山政権誕生から約1年後に「介護保険制度の創設」が勧告されたのである。

「自・社・さ連立政権」では最大議員数を自民党が握っているものの、社会党の村山内閣ということで、同党が都市部のサラリーマン層を中心に支持されていた経緯があり、「公的介護保険制度創設」は共働き世帯を支援する同党の政権構想とマッチし、これを指示していた。一方連立政権内部では、新党さきがけも法案支持の立場であったが、農村部の第1次産業を支持基盤とする議員が多い自民党が、家族介護にこだわる傾向が強く、公的介護保険制度より、介護する家族などに現金給付を行う政策を支持する議員の力も強く、介護保険制度創設には反対論も多かった。これに介護保険制度を創設すれば将来の財政支援が必ず必要になり財政悪化の要因になるとして大蔵省や自治省が同調し、自民の反対勢力を支持してきた経緯がある。

(橋竜新首相の義理立て)
1996年1月5日、公的介護保険制度創設を支持してきた社会党の村山富市首相が突然の退陣表明。同日、自・社・さ政権協議にて、自民党総裁・橋本龍太郎を首班とする連立で合意。前述したように自民党内には公的介護保険制度創設反対論も根強く、その動向が注目された。

1月8日、自・社・さ連立政権で村山首相退陣後のあとを受ける橋本龍太郎自民党総裁は年頭の記者会見で「高齢化社会対策として介護保険制度創設の必要性」を訴え、通常国会への公的介護保険制度関連法案提出への意欲を示した。首相の座を村山から禅譲される形で受けた橋竜の義理立てがこの発言につながったものと噂された。

1月11日、村山内閣総辞職。第1次橋本連立内閣発足。注目の厚生大臣は、介護保険制度導入に前向きな新党さきがけの菅直人が指名される。(※菅は同年9月、さきがけの鳩山由紀夫が民主党を設立すると鳩山と共同代表として同党に参加し、後に政権離脱した。)

社会党はこの月、党名を「社民党」に変更した。

(新制度開始は1997年で在宅サービスのみ先行実施とされていた)
1月24日、厚生省は通常国会に法案提出を予定している「公的介護保険」について保険の運営主体として市町村案を検討していることを表明。なお最初の法案では制度の実施時期は1997年〜とされていた。

2月8日、老人保健福祉審議会第2次中間報告。

2月15日、同審議会では保険の主体をどこにするかについて、実施主体とされた市町村が財政的裏付けがないと猛反発。大揉めに揉め、決着を先送りし3月中の法案提出が困難となった。この間、与党内部には自民党を中心に「国民の新たな負担を強いる保険の導入は総選挙に不利」として法案提出見送りの慎重論も生まれた。

3月14日、自民党・丹羽雄哉元厚生大臣は「ヘルパーなど在宅サービスだけを対象とする介護保険を前提的に導入する」という私案を与党のプロジェクトチームに示した。

4月22日、老人保健福祉審議会は 菅直人厚生大臣(菅は1996年1月、村山内閣総辞職後成立した第1次橋本内閣で厚生大臣として入閣した後、1996年9月28日、新党さきがけの鳩山由紀夫が民主党を旗揚げすると、これに参加。後に野に下り介護保険制度の議論では菅は与党の担当大臣〜野党の有力議員として関わる結果になった。)に最終報告書を示した。この中では1997年実施を目指した「介護保険制度」について準備期間を置くように求めたほか、家族介護に現金給付をすることの是非について賛成と反対の両論を併記した。

4月23日、丹羽私案。制度は1998年からとし、在宅サービスを先行させる保険制度の段階導入方式を求めた。

4月26日、社民党により「1998年度からの在宅、施設の介護サービスを供給するとし、2002年を目途に供給対象を20歳以上とする」とした意見が出される。

5月16日、厚生省は老人保健福祉審議会に「サービスの受給対象、保険料負担対象年齢は40歳以上とする」私案を示した。制度開始時期は在宅が1999年、施設が2001年からという段階実施案であった。しかし同日、自民党・梶山静六官房長官が、法案提出に積極的な菅直人厚生大臣に、住専への財政資金投入問題を抱える状況で、1997年の消費税引き上げ(3%〜5%へ)と介護保険を導入することによる国民負担が増加すれば「国民の逆鱗」にふれ選挙が戦えないとして慎重対応を求め、自民党の加藤紘一幹事長も梶山発言に理解を示した。橋本首相もこのことについて「異論があることは事実」として内閣と与党の不統一を認めた。同日、丹羽元厚相が首相官邸を訪ね、介護保険制度の必要性を訴えたが、首相は「市町村の理解を得なければならない問題だ」と協力の明言を避けた。

5月17日、新党さきがけの鳩山由紀夫代表幹事は自民党内の慎重論について「薬害エイズ問題で国民の注目と支持を集めた菅厚生大臣への反発である。」と認識を示し不快感を表した。この間、大蔵省は「介護保険は将来の公費負担の増加に結び付く」として自治省とともに異論を唱えた。

5月22日、橋本首相と菅厚相の会談。首相が厚相に「今国会の法案提出は難しい」と見通しを伝え理解を求めたという報道がされるが、菅厚相は「難しいが互いに努力しようと、ということ」と解説した。同日、厚生省は全国市長会と町村会に市町村の財政負担を軽くする「介護保険運営安定方策」を示し、市町村が保険者を受けるように強く要請した。しかし両会とも財政的裏付けが乏しいと、これを拒否。

5月24日、「高齢社会をよくする女性の会」の樋口恵子代表が、千代田区の主婦会館で「介護の社会化を1歩も緩めるな」とアピール。しかし同会の中でも本国会への法案提出に対する反対論も出て、機運としては法案の国会提出が難しくなるという状況であった。

6月6日、介護保険制度の骨格となる「新制度案大綱」を老人保健福祉審議会と社会保障審議会に諮問。
1.関係者の意見に基づき介護保険制度要綱案を基本とする
2.懸案事項について解決を図り必要な法案作成作業を行う
3.次期国会に法案を提出する
という与党合意事項が示された

(丹波私案の方向転換)
6月10日、医療審議会が、介護保険関連法案として諮問していた医療法改正要領を諮問通り答申。療養型病床群が19ベッド以下の診療所にも設置可能とした。この間連立与党プロジェクトチームの強い要請で厚生省私案が方向転換し
1.保険料負担・受給は共に40歳から
2. 制度は在宅、施設の同時実施。
という修正方針を示した。これに対し「負担は20歳、受給は65歳から、在宅、施設の段階実施」という案でまとまっていた老人保健福祉審議会は「一夜で内容が変わるなんて無節操」と猛反発した。

6月12日、自民党社会部会では結論が出ず「継続審議」。しかし社民党・新党さきがけ両党は法案の今国会提唱を了承した。これを受け厚生省は「介護保険法及び介護保険法施行法案要旨」を与党福祉プロジェクトチームに示した。このころ既に新党さきがけの鳩山由紀夫は、さらなる新党構想を掲げ、菅厚生大臣もこれに参加する意思を示しており、閣内にいては政治行動がとりにくので、介護保険法案の国会提出が見送られた場合、これを理由に辞表を提出するのではないかという憶測が流れ、自民党内に「自民党だけが悪者にされ選挙で負ける」という空気が広がり、加藤紘一が菅に電話で辞任する意向がないことを確かめたりした。連立与党の内情は大揺れであったのである。

6月13日、与党調整会議。法案提出賛成派は社民・さきがけ・厚生省。反対派は自民党・自治省。

6月15日、政府・与党は介護保険法案の国会提出を見送る方針を固めた。この際、連立与党3党は秋の臨時国会に法案を提出するとの合意文書を交わしたが、関係閣僚の署名が中止され早くも暗雲が漂った。

6月23日、読売新聞の世論調査で83%の国民が介護保険制度の導入に賛成と高い支持が集められた。しかしこの時期、国民には介護保険制度が強制加入の掛け捨て保険であり、40歳以上の国民から「介護保険料」を税金とは別に強制徴収するなどの情報は十分に伝えられておらず、調査に回答した国民は、単に新たな介護サービスの制度が創設される、という片肺情報により、新制度の内容をよく理解しないまま賛成した傾向が強い。

6月25日、「与党介護保険制度の創設に関するワーキングチーム」設置

(厚労省のエース登場と、その思わぬ失脚)
7月3日、介護保険制度の推進の旗振り役として厚生労働省保健局長の岡光序冶が事務次官に就任。厚生省内には「岡光ならやるだろう。手腕を発揮して介護保険制度はものになる」という空気が生まれた。まさに颯爽とエース登場という雰囲気であった。

7月13日、与党公的介護保険制度創設ワーキングチームの第1回地方公聴会。橋本首相は、社民党に沖縄米軍基地問題でも譲歩協力を得ようと、介護保険法案の秋の臨時国会への法案提出に前向きの姿勢を示したが、与党内には自民党を中心にした根強い反対勢力があり、その溝は大きかった。

8月9日、全国町村会は、都道府県単位での65歳以上保険料の統一化、保険料未納分の国費補てん、家族介護への現金給付を骨子とした「公的介護保険制度に関する要望」を発表。この時期以前から町村会は制度反対の方向を条件闘争へと転換している。さらに経団連も事業主負担の在り方に異議を示しながらも、制度創設自体には反対しないという姿勢を示していた。

9月6日、将来の老後に不安を持った50代の人々が中心となって「介護の社会化を進める1万人委員会」発足。世論は介護保険制度創設に向かい、全国市長会や全国町村会でも制度反対より、財源手当てを見据えた議論に向かいつつあった。

9月16日、与党ワーキングチーム(座長・山崎拓自民党政調会長)は、在宅と施設のサービスを同時実施する座長試案をまとめた。

9月18日、在宅と施設の段階実施案であった厚生労働省は、岡光次官が橋本首相に「与党案の同時実施案に沿って政府案を出したい」と報告。翌19日、政府与党首脳連絡会議で介護保険法案の国会早期提出で合意された。
法案提出に反対論が強かった自民党も、小選挙区制の導入を控え、市町村長の影響力が強まることを無視できず、さらに選挙後の連立体制を考えれば、制度導入に積極的だった社民・さきがけ・民主党との深刻な対立は避けたく、介護問題への積極姿勢を示さざるを得なかった。

11月5日、介護保険法案全容が明らかになる。ここでは市町村負担に配慮して市町村関連事務費の1/2を国負担とし、都道府県の関与を拡大し、実施時期を2000年4月から在宅・施設のサービスの同時開始と当初案より先延ばしし、保険料も同年4月から徴収とした。

選挙を控え、自民党内では「法案をつぶしたら選挙で批判される」派と、「負担の話になれば票にならない」とする派の対立で混乱し、一方、社民・さきがけ両党も、民主党旗揚げに伴う離党問題を抱え「介護の議論どころではない」という空気が生まれ、この間隙をついて厚生省官僚主導の法案創りが進んだ。

11月7日、内閣改造、第2次橋本内閣発足。厚生大臣は菅から自民党の小泉純一郎へと引き継がれる。
(※菅は後に民主党共同代表として野に下る。)

11月16日、岡光次官の関与した「彩(あや)福祉会汚職事件」が明るみになり、同次官は小泉純一郎厚相に辞表提出。この事件は彩福祉会が運営する特別養護老人ホームの建設補助金をめぐって、不正な水まし請求が行われ、建設補助金が不正受給されたもので、当時許認可権を持つ老人保健福祉部長という立場にいた岡光が深く関与し、金品を受け取っていたとされ、11月18日、警視庁と埼玉県警は厚生省課長補佐の茶谷滋と社会福祉法人「彩福祉」グループ代表の小山博史を贈収賄の容疑で逮捕し、12月4日、小山代表から6.000万円を受け取っていた疑惑で岡光序治も収賄容疑で逮捕した。後に岡光は懲役2年の実刑判決を受け服役している。この時期、小泉厚生大臣も、岡光次官の辞表を受け取り退職金が支払われる形での退任を認めたことで世論の批判を受けた。
エースの大暴投で法案の行方にまたもや暗雲がたちこめた。

もしこの事件がなかったら岡光は介護保険を作った人として、我が国の歴史に名を残したかもしれないが、逆にこの事件によって厚生省の「たかりの象徴」として逮捕実刑判決を受けた事務次官経験者として歴史に汚名を残すことになった。そして非常に悲しいことではあるが事件当時、中学生という多感な時期にあった小山の長女が、この時期から精神不安定となり、2004年の9月に自殺してしまった。事件は様々な人を巻き込んで、その後の人生を狂わせている。合掌。

(2度の法案提出もいずれも継続審議に)
11月21日、自民党総務会で法案了承。

またまた脱線するが、この時期、介護保険法案の原文を読んだ小泉厚相は、その中にたくさんのカタカナが記載されていることを発見し、「日本の法文は日本語で書け」と事務当局に指示を出した。これによりグループホームは「痴呆対応型共同生活介護」に、ホームヘルプは「訪問介護」に、ショートステイは「短期入所」に変えられるなどの作業が行われたが、さすがに「通所リハビリテーション」「訪問リハビリテーション」まで「通所機能訓練」「訪問機能訓練」に変えろという指示は出なかった。このことから考えるに、僕個人の意見としては、グループホームはグループホームのままでよかったのではないかと思っている。

11月29日、国会に法案提出。しかし野党・新進党の西岡幹事長は、厚生省汚職(彩福祉会事件)に触れ「厚生関係議員のトップ」としての首相の責任を追及するとともに、厚生省に対しても介護保険制度の旗振り役の事件を引き合いに出し「法案提出自体が不見識」「汚職事件の中心人物が法案作成にかかわったのであり、撤回すべし」と審議入りそのものを拒否し、通常国会に新たな法案を提出するように求めた。

12月13日、橋本首相は衆議院本会議において「介護保険法案は内閣の最重要課題の一つ。厚生省の不祥事を理由にして法案成立を先送りすべきでない。」として「介護保険関連3法案」は衆議院厚生委員会に付託され、17日に同会で提案理由を説明したが、時間切れで19日臨時国会は閉会し、同法案は継続審議となった。

翌1997年1月20日、通常国会開会。26日、介護保険3法案審議再開。

5月9日、自民党・村岡国会対策委員長と民主党・赤松国会対策委員長会談。翌週、介護保険法案を衆議院本会議で採決することに合意した。与野党合意ができたことで法案成立は間違いなしと思われた。

5月22日、介護保険法案は衆議院厚生員会で、自民・民主・社民の3党と無所属議員で構成する「21世紀」の賛成多数で可決。午後に衆議院本会議可決。参議院送致。反対は新進党と共産党であった。しかし参議院厚生委員会では医療保険制度改革関連法案の修正問題で審議が遅れ、介護保険法の審議に時間が取れなくなった。

6月18日、会期切れ。介護保険法案は臨時国会まで再度継続審議となる。

(介護保険法案の成立)
7月、厚生省内に「介護保険制度準備室」が発足。この時期は、通常国会で介護保険法案は継続審議となったものの、論議が尽くされた感があり、野党民主党の合意を得ていることもあって、秋の臨時国会で可決成立することは間違いないという空気ができていた。

10月21日、介護保険法案参考人質疑(参議院厚生委員会)で、看護師・医療ソーシャルワーカー・自治体首長などが意見を述べた。

12月2日、同委員会で政府責任を明確にする修正を加えたうえで自民・社民・民主・太陽党の賛成多数で法案可決。反対は、全額税制方式を主張した平成会(新進党と公明党の参議院院内合同会派)と、現行老人福祉制度と保険方式の組み合わせを訴えた共産党。

12月23日、衆議院で2ヶ所の法案修正と16の付帯決議が行われ、参議院で1ヶ所の法案修正と19の付帯決議が行われ採決・成立した。新進党は欠席し採決に加わっていない。

このように1996年の通常国会では法案提出が見送られ、その秋の臨時国会で法案提出された後、2度の継続審議を経て、1997年秋の臨時国会終盤の同年暮れに介護保険法案は国会を通過し2000年4月からの同法施行が決まったのである。

(介護保険特別会計を握った厚生省の勝利?)
介護保険法の成立の背景には、自民党の一党支配時代の終焉が大きく影響している。旧態勢力として厚生省に深く根をおろしてきた「厚生族議員」の力が、政界再編と連立政権下で衰えて行った過程で、政権与党〜野党に横断的に戦略的なメリットがあった新制度創設議論と相まった。これによって厚生官僚の模索する新たな介護システムとしての制度が日の目を見る間隙が生まれていたということが大きいであろう。自民単独政権下で族議員が跳梁跋扈していた状況であれば、この制度は議論段階でつぶされていたであろう。

なお旧大蔵省(現財務省)は、介護保険制度について税方式を主張していた。これに対して厚生省は「介護報酬による収入の6〜8割は人件費として支出されるのだから、経済状況によって歳入が大きく左右される税によらず、安定した財源として保険料方式が望ましい」と対峙した。

この背景には税方式とすれば一般会計となり、大蔵省が財源を持つことに変わりはなく、大蔵省主導により財政状況で常に介護保険財源が削減対象になり、厚生省の所管が及びがたくなるのに対して、保険料方式の場合は、大蔵省の厳しい査定を受ける一般会計ではなく、特別会計に計上されるので、その場合、厚生省として独自財源となり省の裁量権を大きく確保することになることが主たる理由であったろうことは想像に難くない。そして決して力の強くない厚生省の主張が、巨大権力を持つ大蔵省の主張を押しのけて通った理由は、税という形の負担を増やせない政治事情があったということで、そのことは前述したとおりである。

つまり結果として言えば、厚生省は介護保険特別会計という独自の財源をこれにより確保することになるわけである。

こうした各省の独自財源となっている特別会計に、政治力でどこまで切り込めるかが、グローバルな視点からの政府の財源運営には必要であるが、そこに踏み込む政治家はどうやら皆無というのが現状である。
※メディカルサポネットの連載、「菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営」の第10回連載がアップされました。
激動時代の介護経営
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有料老人ホームの囲い込みに釘は効くのか



介護保険制度改正議論でも俎上に挙がっている、「有料老人ホームの囲い込み」について、厚労省の検討会が先週、「素案」を提示した。

囲い込みとは、住宅型有料老人ホームに入所する利用者に対し、入所条件として、かかりつけ医師や担当ケアマネジャーを有料老人ホームの経営母体内の事業所の者に変更しなければならないと条件付け、外付けの居宅サービスもグループ内のサービスに限定するというものだ。

この問題はケアマネジメントの適正化議論とも相まって問題とされているが、今回の素案では、契約締結、ケアプラン作成といったプロセスの手順書、ガイドラインを整備して、入所契約時にホームの関連法人による介護サービスの提供が選択肢として示される場合について、実質的な誘導が行われないよう、入居契約とケアマネジメント契約が独立していることを重要事項説明書などで中立的かつ正確な説明を行うよう求めるとしている。

さらに有料ホームが居宅介護支援事業所、介護サービス事業所と提携する場合に、その提携状況を前もって行政に報告・公表するよう求めることで、運営の健全性を行政がチェックしやすい仕組みを作り、透明性の確保や適切な指導・監督につなげるとしている。

このことが囲い込みを防ぐだろうか・・・そのような効果は期待できないと思う。
糠に釘
ガイドラインはお願い程度の効力しかなく、罰則はない。

そもそも住宅型有料老人ホームは、特定施設の指定を受けていない有料老人ホームなので、介護保険法による運営指導の対象外のため、重要事項説明書の内容もチェックできない。

都道府県や指定都市・中核市には有料老人ホームに対して定期的な立入調査権があり、老人福祉法に基づく事業の制限又は停止を命ずる権限はあるが、そのような命令が行われた前例は多くない。

介護保険の定期的な運営指導が滞っている自治体では、それに加えて有料老人ホームの運営指導に割く人員も時間もないだろう。

そのためガイドラインに沿った重要事項説明書になっているかどうかは、実質的にホームの道義的責任として遵守することを期待するしかない。

また重要事項説明書がガイドラインに沿った内容になっていたとしても、そのまま入所契約時に利用者に伝えているとは限らない。「国の指導でこのようになっていますが、今後の○○さんの暮らしを考えたとき、当社のケアマネに交代してもらわないと、適切なサービスに支障を来します」などと誘導することを取り締まることは不可能だ。

そのため今回の素案が正式なものとして通知されたとしても、その効力には期待できない。

しかしこのように国が問題視し検討会まで創って議論している問題に、介護事業者がそっぽを向き、自浄作用が働かないとしたら、国はおとなしく手を引っ込めることはないだろう。

今回の対策に無視を決め込んだら、どこかで必ずしっぺ返しを食らうので、そうならないようにガイドラインで指摘された内容に沿った対応を心掛けなければならない。

特に住宅型有料老人ホームに併設されている居宅介護支援事業所のケアマネジャーは、ケアマネジメントの専門家としての矜持に基づいて、事業者本意ではなく利用者本位の計画作成を貫いてほしい。

その結果、計画書に載せるサービス事業者が自分の所属法人等に偏ることはあって当然だ。そのことを胸張って主張できるケアマネジメントであってほしい。
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地域差が介護価格差に・・・。



介護保険制度改正を議論する社保審・介護保険部会の議論は、毎回9月に入って佳境を迎える。

案の定、8日に行われた第124回社会保障審議会介護保険部会では、今回の改正の最大のテーマである地域の類型に応じたサービス提供体制や支援体制を構築するための具体策として、「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築」が議題として取り上げられた。
地域の類型の考え方
既に来年度予算の概算要求では、訪問介護事業所が存在しないか、あるいは訪問介護サービスの提供が事実上困難な中山間地域・人口減少地域などの既存の通所介護事業所から訪問サービスを提供する補助制度財源要求がされる予定であることは、「新複合型サービスは先行実施か」でお知らせしている。

それに加えて2027年度からの中山間・人口減少地域のサービスの在り方が今回具体的に示されたわけである。

それによると中山間・人口減少地域で、必要な介護サービスの提供体制を維持していくために、人員配置基準を国の基準に縛られずに、自治体が地域の実情を踏まえ独自に定められる、「特別ルール」を設ける提案をしている。

おそらくこの案に沿って、「基準該当サービス」や「離島等相当サービス」のように、国の基準より少ない人員配置でサービス提供がお行われる方向となるのだろう。

またこれらの地域の訪問介護に限った措置として、事業所が出来高報酬と定額報酬(包括評価)を選択できる新たな仕組みの創設が提案された。

人口が少ない地域のサービス利用者も当然のことながら少ないわけであり、移動時間が長く、1日の訪問回数が限られる地域では、急なキャンセルによる機会損失の影響も大きくなるという理由で、収入が利用状況に左右されることがないように定額報酬(包括評価)を選択できるようにするというのである。

これが実現した場合、訪問介護事業者はサービス利用状況を鑑みて、自社にとって利益が高い方の報酬体系を選択するだろう。それによって利用者負担は当然増えることになる。

すると現行でも中山間地加算の自己負担がある中山間・人口減少地域の利用者は、改正後は従前より少ない人員配置の事業者からサービスを受け、なおかつ自己負担額はさらに高くなるということになり、都市部やその他の地域より、サービス利用時の割高感が増す恐れがある。

その為、サービス提供事業者のみならず、当該地域の利用者を担当する居宅ケアマネも、利用者に対してより丁寧な説明が求められてくるだろう。

なおこうした特別ルールを適用する対象地域も明確に定める方針であることも明らかにされた。

また当日の議論では、中山間・人口減少地域では上記の二つの策をとったとしても、サービス需要が縮小し、既存の仕組みだけでは体制の維持が難しくとして、市町村が地域の実情に応じて、介護サービスを、給付に代わる新類型の事業として、介護保険財源を活用して実施できる仕組みを設けることが考えられないか」と提案された。

新事業は、従来の利用者ごとの出来高払いではなく、市町村がサービス提供の対価として事業者に委託費を支払う仕組み。市町村内に十分な事業所が存在しない場合は、周囲の市町村の事業所に委託すること、複数のサービス類型を組み合わせて委託することも想定されるとのこと・・・財源確保に頭を悩ませている自治体が多い状況で、自治体負担が重くなるような新事業が果たして寺可能なのかという問題があり、この提案は簡単には通らないだろう。

だが介護サービス資源を民間サービスだけに任せておれば、市場論理で切り捨てられる地域が出てくるのは当然なので、自治体サービスの在り方として検討する価値は大いにありだ。

今後の議論に注目といったところである。
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新複合型サービスは先行実施か



厚労省が8/26に公表した来年度予算の概算要求の中には、通所介護事業所の訪問機能の追加を支援する新たな補助制度を来年度から設ける内容が含まれている。

通所介護事業所の訪問機能の追加とは、訪問介護事業所が存在しないか、あるいは訪問介護サービスの提供が事実上困難な中山間地域・人口減少地域などの既存の通所介護事業所から訪問サービスを提供するというもの。

訪問サービスの開始前・開始時・開始後の各段階にそれぞれ補助を実施するとしており、サービス資源の少ない中山間地域等の通所介護事業所を多機能化することで、住民が必要なサービスを受けられる環境を整備する狙いがあるとしている。

このような訪問サービスは、現行の通所介護では行われていないが、しかし・・・コロナ禍の際に特例として通所サービス事業所からの訪問サービスが認められていた。

そうした通所サービス事業所からの特例訪問サービスを、通常のサービスにしようとして複合型サービスの新設が検討されたのが前回2023年度の制度改正議論でのことであった。
誰かのあかい花になるために
つまり前回制度改正で議論の俎上に上ったものの、実現しなかった複合型サービスが、地域限定という形で実現される可能性が高まったと云えるのではないだろうか。

それも2027年度の制度改正を待たずに、来年度から先行実施される可能性が高い。

問題は設備・人員基準である。「お騒がせの複合型サービスはこのままお蔵入りか。」という記事で指摘したとおり前回複合型サービスが実現しなかったのは、通所介護と訪問介護を単純に合算させた人員配置基準が高いハードルとなったためである。

今回地域限定での通所介護事業所の訪問機能の追加サービス必要であるとするなら、人員配置基準の思い切った緩和が必要だろうと思う。

訪問サービスを行う職員に、初任者研修受講などの資格要件をつけずに、サービス提供できるようにしなければならない。

現在、外国人材に解放された訪問介護では、初任者研修要件以外にも1年以上の実務経験や国際厚生事業団からの適合確認書の発行要件等があるが、これらも全て撤廃して、通所介護事業所の職員であれば外国人を含めて誰でも訪問できるようにしなければ新サービスは浸透しない。

その特例の実施状況を見ながら、通常地域でもそのような形の新複合サービスを新設できないかを検討すればよいのではないだろうか。

どちらにしても概算要求の通所介護事業所の訪問機能の追加補助金が認められるのかどうか、認められた場合どのような基準でサービス提供できるのかなどを注目しておく必要があるだろう。
※メディカルサポネットの連載・菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営の第9回更新記事は、「介護生産性向上のための人材活用と業務改革」をテーマに9/1更新アップされています。
菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営Vol.9目次
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介護保険制度は今だ成熟を見るにあらず



介護保険制度が誕生して今年で25年・・・四半世紀しか経っていないこの制度が既に硬直的だと批判する人がいる。

しかし僕はそう思わない。むしろ成熟していないからこその混乱や迷走が見られているのであって、決して制度疲労や動脈硬化を起こしているわけではないと思う。

介護保険制度が目指すものは国民の福祉の向上である。その為の理念として要介護者等の自立支援と暮らしの質(QOL)の向上が挙げられている。

制度開始当初は、この理念のうち自立支援に偏った報酬体系になっていたように思う。個別リハビリテーション及び機能訓練に関する加算が次々と新設されるとともに、算定要件も再三加えられてきた。

その流れに少しだけ変化が生じて、自立支援と共にQOL向上が重視されるようになったのが2021年度の報酬改定であったと考える。

その際に新設された自立支援促進加算では、単に自分でできることを増やすのではなく、食事は車椅子ではなく出来るだけ普通の椅子に座って摂る、ベッド上での食事摂取は避ける、流れ作業のような集団ケアを避けるために入浴支援は移動や浴室介助といった行為を分業せずマンツウマン対応する、多床室においてはポータブルトイレの使用を前提とした支援計画を策定してはならないといった算定要件が示されている。

このような要件は、利用者のQOLを無視した形の自立支援を完全に否定するものであり、正しい方向といえる。
竹の道
だがそれらのことは僕自身は、自分が所属していた社福で、今から20年以上前から実践してきたことである。それらのことは、「暮らしの質が求められた介護報酬改定より10年先を走っています」という記事の中で解説しているので、今一度参照してほしい。

そして近直の2024年度報酬改定では、「生産性向上推進体制加算」が新設され、介護業務の省力化・より少ない介護職員で業務を回す方策を模索する取り組みの評価が加えられた。

そこでは施設サービスでは全室に見守りセンサーを設置することや、勤務している看護・介護職員全員がインカムを使用すること、介護記録ソフトウェアやスマートフォン等の介護記録の作成の効率化に資するICT機器を導入することがスタンダードとされるような誘導策がとられている。

さらに処遇改善加算�亀擇哭兇鮖残蠅垢訃豺腓凌�場環境与件として、生産性向上の取り組みを実施することが加えられている。

このように介護保険制度の向かう方向は、制度改正・基準改正・報酬改定においてマイナーチェンジあるいはメジャーチェンジが図られてきており、制度はいまだに走りながら考えられてきており決して硬直化していないのである。

ただそのために加算や減算の数が増え、その要件も様々に加えられてきており、そのことが制度が複雑怪奇なものとなる要因にもなっている。

この状態を放置しておけば、介護保険制度は国民にとってわかりずらく、使いづらい制度になる危険性も内包してくる。

そうならないように2027年度以降の報酬改定では、加算・減算項目やその要件整理といった方向性も視野に入れた議論が不可欠ではないかと思う。

まだ若い制度なのだから、熟して代謝が低下する前に不必要なぜい肉を削るとるという視点があっても良いのではないだろうか。
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一号被保険者の始まりの日



このブログ読者の皆様は今日8/12という日は何の日だと思うだろうか。

40年前のこの日に日航ジャンボ機が御巣鷹の尾根に墜落した日本航空123便墜落事故があった日であることを思い出す人も少なくないだろう。僕もその事故のことと、その事故でお亡くなりになった北海道の福祉業界とは縁が深かった坂本九氏のことなどを何度かこのブログ記事として書いている。

ただ僕にとってこの8/12という日は別の意味の日でもある。何を隠そう僕の誕生日なのだ。
(※僕以外の他者にとっては、それはどうでもよいことと承知している。)

とはいってもこの年になると誕生日を祝うという気にはならないし、何歳になったのかを数える気もしない。だが今年については外から自分の年齢を思い知らされる通知がいくつか届いている。

その最たるものが介護保険被保険者証だろう。
介護保険被保険者証
思えば介護保険制度が始まった年は自分が40歳になる年であった。その時は自分が1号被保険者になる日を想像もしていなかった・・・時の流れとはかくも速く、振り返ればあっという間である。

ところでこの介護保険被保険者証。僕はかねてから65歳到達で一律交付するのは公費の無駄であると思っていた。現に僕自身も届けられた保険者証に何の意味も感じず、ただゴミ箱に投げ捨てるだけである。

要介護状態になって保険証を使う段になって交付を受ければ良いだけの話だ。事務処理と郵送料と紙の無駄である。

と思っていたところ厚労省も今お見直しに舵を切った。65歳になったタイミングで全ての高齢者に介護被保険者証を交付する運用の廃止し、要介護認定の申請時に個別に交付する運用へ切り替えることを検討しているのである。

それはとても良いことだと思う。

ただ同時に検討されている別件は首をかしげる・・・本人の氏名や被保険者番号など基本的に変わらない情報と、要介護度や負担割合、負担限度額といった定期的に変わり得る情報を分け、別々に交付することを検討しているのである。

基本情報保険証と変化情報の保険証が分けられて、変化情報だけその都度送られてくるとされるのだろう。それはどうだろうか。情報の混乱・錯そうにつながるだけではないのだろうか。基本情報の保険証をなくしてしまう人も続出するような気がする。

これらの変更は、必要な情報に関係者がいつでもアクセスできる新たなインフラ「介護情報基盤」の構築と並行して検討される方針のようだ。つまり介護情報基盤の普及促進の方策の一つとして、介護保険証を利用しようという意図があるのだと思う。

一方で健康保険証はマイナンバー保険証に切り替わっている。介護保険証も介護情報基盤と一体化するより、マイナンバーとリンクさせた方が便利だと思うのは僕だけだろうか・・・。

さてさて、それやこれやを考えながら過ごしている第1号被保険者到達の日の僕である。今日の午後も顧問先の職員研修として、「介護人材マネジメント」をテーマにしたオンライン講演の予定が入っている。

このような研修講師・作家としての原稿書き・他の方が書いた原稿の監修・他者顧問としての仕事など、この年になっても忙しく働くことができているのは嬉しいことである。

このブログ記事もまだしばらく更新し続けるつもりだ。僕の勝手な思いをぶちまけているだけのブログ記事であるが、それを不快と感じない方は今後ともご愛顧いただきたい。
※メディカルサポネットの連載、「菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営」の最新記事が8/4更新アップされています。
菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営〜Vol.8
今回のテーマは、「(第8回)介護事業の命運を左右する職員研修の在り方」ですので参照ください。


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人員配置基準は素直に読めば理解困難ではない



僕が管理する介護福祉情報掲示板に昨日、「ショートステイでの人員配置に関して」というスレッドが建てられ、短期入所生活介護の相談員は配置がない日があっても良いのか否かという質問が書き込まれた。

張り付いた文字リンク先のスレッドを読んで気づくと思うが、そこでは僕は辛らつと言われても仕方がないレスポンスをつけている。

というのも質問の回答は、基準省令を読めば一目瞭然であると思うからだ。質問者はそうした基本確認を怠って、安易にネットでの質問に答えを求めているか、あるいは基準法令文章を読みとれないほどの知識しか持たないのか、どちらにしても勉強不足の人だと思うので、叱咤激励の意味であえて強い言葉で反省を促しているのである。

僕の管理するネット掲示板はそういうところだ。なんでもかんでも優しく教えるのが親切ではないと思い、時には罵声を浴びせ、それに対してなにくそ!!と奮起する人だけ利用すればよいと思っている。

優しく手取り足取り、小学生を導くようにレスポンスをつけてくれる掲示板は他にたくさんあるのだから、怠けた態度を叱られるのが嫌いな人は、そちらを利用すればよいと思う。

そもそも介護事業者に勤めている人が、自分が所属する事業の基準省令に書かれている人員配置数を理解できないレベルでは仕事にならないと思う。法令といったって、人員配置基準なんてさほど難しく書かれているわけではない。

素直に法令分を読めばわかるレベルだと思うのだ。
夕暮れ
例えば質問スレッドで問題となっている短期入所生活介護の相談員配置基準・・・それは指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成十一年厚生省令第三十七号)の第百二十一条に次のように示されている。

二.生活相談員 常勤換算方法で、利用者の数が百又はその端数を増すごとに一以上

↑これだけである。これ以上でもなくこれ以下でもない。つまり100人以下の定員の短期入所生活介護事業所には、常勤換算で1以上の相談員が配置されておれば良いだけの話で、その相談員が休みで不在の時が当然あるけれど、常勤加算�軌幣紊竜�定さえ下回ることがなければ問題ないということになる・・・この程度の読み取りができないでどうするのかという問題である。

一方で通所介護の配置基準はこれとは異なっている。

第九十三条一.生活相談員 指定通所介護の提供日ごとに、当該指定通所介護を提供している時間帯に生活相談員(専ら当該指定通所介護の提供に当たる者に限る。)が勤務している時間数の合計数を当該指定通所介護を提供している時間帯の時間数で除して得た数が一以上確保されるために必要と認められる数

↑このように常勤とか常勤換算という考え方はここでは示されておらず、サービス提供時間に応じた配置(※提供時間6時間ならば、相談員も6時間の配置が必要になるという考え方)が必要とされている。

ただし省令で次の時間は配置時間として計算して良いことになっている。
・サービス担当者会議や地域ケア会議に出席するための時間
・利用者宅を訪問し、在宅生活の状況を確認した上で、利用者の家族も含めた相談・援助のための時間
・地域の町内会、自治会、ボランティア団体等と連携し、利用者に必要な生活支援を担ってもらうなどの社会資源の発掘・活用のための時間

上記の場合は相談員がサービス提供時間に通所介護事業所に配置されていると同様の取り扱いとなる。そうでない場合で相談員が不在でサービス提供されることは基準違反という意味になる。(※ただし生活相談員が報酬上の人員欠如対象ではないため欠員であっても算定可能であるが、運営基準違反の対象である。)

関連して同条の機能訓練指導員の配置基準を見ていただきたい

四 機能訓練指導員 一以上

↑この規定は常勤換算でもなければ、サービス提供時間専従でもない。つまりその通所介護事業所に機能訓練指導員が配置されてさえおればよいという規定で、勤務時間も何時間以上という規定もない。だから週1回1時間のみしか勤務していない機能訓練指導員であっても良いわけである。

特養(介護老人福祉施設)の相談員はどうなっているだろう。

指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準
第二条二.生活相談員 入所者の数が百又はその端数を増すごとに一以上
5 第一項第二号の生活相談員は、常勤の者でなければならない。


↑このように特養の相談員は入所者100名までは常勤換算ではなく、常勤で1名以上の配置が必要とされており、短期入所生活介護とは異なっている。だがこの場合も、当然のことながら休みや出張などで施設に勤務していない日があっても配置されているとして問題ないわけである。

このように素直に配置基準を読めば、解釈は困難ということではない。こうした基本省令とあわせて、解釈通知(特養なら老企43号、居宅サービスなら老企25号)を読み込めばさらに理解は深まるだろう。

そうした読み込むという手間をおざなりにしてはならない。こうした作業を地道に続けられるのかどうかが、将来的に専門家と言われるか否かの分かれ道である。
※CBニュースの連載、「快筆乱麻masaが読み解く介護の今」の最新記事が7/31に更新アップされました。
快筆乱麻masaが読み解く介護の今
今回のテーマは、「制度改正は必ずしも国民や事業者のニーズとは一致せず」です。文字リンク先より参照ください。


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類型という名の檻(おり)



※津波警報が出されている地域の方は、くれぐれもお気を付けください。僕も避難先で、この記事を更新しています・・・ということで本題に移ります。

7/24に行われた、「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会(第9回)では、まとめ(案)が示されている。

だがその中身を読むと、社保審・介護保険部会での介護保険制度改正議論の内容とさして変わらず、改めて目を見張るものはない。

メインとなるのは、人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制であり、「地域軸」という考え方を取り入れて、戦略的・弾力的に制度を運用していくというもの・・・いわゆる全国の地域を3類型に区分する考え方だ。

3類型とは、「中山間・人口減少地域」・「大都市部」・「一般市」とされている。

このうち中山間・人口減少地域については、サービスを維持・確保するための柔軟な対応 策として、「訪問介護と通所介護等における配置基準等をより弾力化してサービス間の連携・柔軟化を図り、双方における人材等の行き来を柔軟化することを検討することも考えられる。」として、前回(2024年度)の改正議論でも取り上げられたものの、結局見送られた複合型サービスの新設も議論の俎上に乗せている。

前回複合型サービスの創設がお蔵入りした理由は、それが柔軟な人員配置とは言えず、ただ単に現行の通所介護と訪問介護の人員を合算させて合体させたものに過ぎなかったからである。(参照:お騒がせの複合型サービスはこのままお蔵入りか。)
能登の火祭
その轍を踏まないようにする必要がある。特に中山間・人口減少地域については、高齢者人口が減少し、サービス需要が減少する中、利用者への介護サービスが適切に提供されなければならないのだから、コロナ禍特例のように、通所介護事業所の職員が訪問サービスを行っても良いとするような大胆な人材活用策を図っていかねばならない。

だがそれは必ずしも中山間・人口減少地域だけに必要なサービスとは言えないと思う。

大都市部における需要急増を踏まえたサービスを考えた場合も、こうしたより柔軟な人員活用策が検討されてしかるべきだ。お蔵入りした複合型サービスとは異なる、配置基準が大幅に緩和された新複合型サービスなら、全国どこの地域でもニーズがあろうというものだ。

また大都市部については、1人暮らしや認知症の高齢者・老老世帯などの急増を想定し、ICTやAI技術を活用した24時間365日の見守りで、緊急時やニーズが生じた際に機動的に応えるサービスモデルの構築が唱えられている。しかしそうしたニーズは中山間地でも十分あるのだから、それも全国展開すべきモデルではないのか。

まとめ(案)では、『一般市等においても、既に、中山間や人口減少エリアを抱えている地域もあると考えられる。近い将来に「中山間・人口減少地域」になることを見越して、早い段階から準備を進め、必要に応じた柔軟な対応を図っていく必要がある。』としており、そもそも一般市と中山間・人口減少地域は分類する必要がないことも示唆されている。

つまり(※前にも地域3分類は本当に必要なのか?という記事を書いて指摘したが)地域分類・3類型など必要なく、それぞれの地域ごとに保険者の判断で、人員配置の柔軟化が可能となる施策こそが必要ではないのか。

地域を「中山間・人口減少地域」・「大都市部」・「一般市」に分けてしまうことで、その類型という檻に閉じ込められて、そこでしかできないことにとらわれてしまう状態となり、制度運用は益々硬直化してしまうように思う。

すなわち地域分類・3類型は、あらたな制度の動脈硬化しか生まないと思うのである。
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制度改正の本質に向かい合う姿勢



介護関係者の中に、介護保険制度改正はこの制度を進化・成熟させるものだと勘違いしている人がいる。

制度改正はこの制度の持続可能性を高めるために行っているものでしかなく、そこで重視されることは限られた財源をより必要はところに重点的に手当てすることである。

2021年の改正以降は、人材が足りなくなる対策として生産性をいかに向上できるかという視点から、その方法を創り出すために費用をかけている。LIFE(科学的介護情報システム)に関連した加算や、生産性向上寿司新体制加算の新設されたこともその一環だ。

すなわち制度改正は、制度を持続させる目的を第一としており、必ずしも国民や介護関係者が望むものにはならない。むしろそれは国民の痛みを伴うものでもある。

現に介護保険制度が創設された後に、予防給付が新設追加された意味は、介護予防推進力が強化されたわけではなく、介護給付より少ない財源支出サービスを新設したという意味にしか過ぎない。国民にとってそれは給付抑制策と言って過言ではないのだ。
介護保険制度改正の本質
よって介護保険部会で厚労省が新たに提案する方策が、すべて国民や介護事業者にとって、明るい未来につながると考えるのは大きな間違いである。

だがその間違った考え方にどっぷりと浸かって、国の罠にはまっている専門家も少なくない。その為、制度改正策の一環として打ち出された、要介護認定一次判定ソフトの改正案についても、ソフトが更新されれば、より正確な判定につながると無批判に賛同する関係者が多くなるのである。

それがいかに間違った考え方であり、むしろ国民にとって不利益となる可能性が高いことについては、介護認定一次判定の見直しは必要なのか?という記事を書いて警告しているところである。

ケアマネをはじめとして対人援助のプロなら、国が敷いたレールに乗ることばかり考えずに、この国の介護事業というものがどうあるべきかという理念を思い浮かべ、その理念を果たすべき実践論を創り出す気概を持ってほしい。

その為には、時には国が打ち出した政策を打ち砕く覚悟も持っていてほしい。国の政策を喧伝し、その方向に世論を誘導するような提灯記事しか書かないマスゴミをきちんと見分けて、そのプロパガンダに乗るようなことがないようにしてほしい。

対人援助のプロたる者に求められるソーシャルアクションとは、己の利害や所属組織の利害を超えて、援助を受ける人々に真に必要となる光を追求することだ。

それは己(おのれ)の心の目を見開いて、己自身が見つけ出さねばならないものである。

官僚やマスゴミには見えない光を、私たちが見つけ出さねばこの世は闇である。
※CBニュースの連載記事・快筆乱麻masaが読み解く介護の今(114)が6/30更新アップされました。
快筆乱麻・masaが読み解く介護の今
今月のテーマは、「信頼を失いかねない介護事業での人権侵害」です。文字リンク先を参照ください。
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法令ルールが実務に追いつかない例は多々ある



僕が管理する介護福祉情報掲示板に先日、「老健の訪問リハビリ 難病医療費助成制度について」というスレッドが立てられた。

ここで情報提供しているように、老健施設からの訪問リハビリテーションは、難病医療費助成制度の対象外となっている。

だがインターネット情報では、介護保険サービスである訪問リハビリテーション(※介護予防も含む)については、「54難病公費」の助成対象となっていると書かれていることも事実だ。

これはそうした情報サイトが間違っているのだろうか・・・いや恐らくそうした情報を載せているサイト管理者の側から言えば、それは必ずしも間違った情報ではないと云うだろう。

介護保険訪問リハ自体は確かに、「54難病公費」の助成対象なのである。しかしいくら難病公費の対象となっているサービスであっても、そのサービスを提供する機関自体が難病医療費助成制度対象外施設であれば、その費用は請求できないということになる。

保険医療機関ではない老健はまさにその対象外施設なのだから、指定難病患者に介護保険訪問リハを提供しても助成されないということになるのだ。

よって介護保険訪問リハビリを行って、難病医療費助成を受けることができるのは、医療機関である病院(訪問看護ステーションを含む)や診療所に限られるということになる。

その為、情報提供サイトに介護保険サービスである訪問リハビリテーション(※介護予防も含む)が、「54難病公費」の助成対象と書かれていたとしても間違いとは言えない。単なる言葉足らずとされるだけだ。

だがそれはあまりにも不親切な情報とも言えなくもない。ネット検索して情報を探す人は、専門知識に乏しい人も少なくないのだから、出来るだけ親切に詳しく解説するに越したことはない。

どちらにしてもネット情報は、間違いではないが不親切な記述や、「抜け」が多いことも事実だ。

例えば、居宅サービス計画がないと介護保険給付サービスが受けられないとか、認定期間の概ね半数を超える期間のショートスティは保険給付されないとか言うのも間違った情報だ。

前者は償還払いで保険給付が受けられるし、後者は介護支援専門員がショートを計画する際には認定期間の概ね半数を超えてはならないというルールがあるだけで、セルフプランやケアプランなしの償還払いサービスにこうしたルールは適用さえされない。

その為、僕が監修者として関わっているマイナビあなたの介護というサイト情報で、実際に僕が監修している介護保険関連記事については、介護の専門知識がない一般の方が読んでもわかりやすいように、丁寧に詳細に解説するように心がけている。

介護関連の情報を確認する際には、是非そちらを参照いただきたい。
不公平ルールにアクションを起こす条件
ところで最初に解説した老健の訪問リハビリルール・・・これは不公平ルールとも言えなくもない。

同じ訪問リハビリであるにも関わらず、なぜ老健だけが難病公費助成を浮かれれないのだろうか・・・おそらくそれは法令ルールが実務に追いついていないからだと思う。

2000年の介護保険施行当時は、老健からの訪問リハビリは認められていなかった。その後、老健の在宅復帰機能を最大限に生かす目的で、老健からの対象者の自宅でのリハビリ機能を高めるために老健からの訪問リハビリが新設された経緯がある。

その際に保険医療機関ではない老健は、難病医療費助成を受けることができないというルールを変えることなく、訪問リハビリというサービスだけ新規に行えるようにしたことから生じた不公平だと思う。

そのことを知ったうえで関係者がこの不公平を問題視して声を挙げたときに、初めてこのルールは変更されるのではないだろうか。
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さんふくきょうそう・・・?



財政制度等審議会(財政審)で、財務省がケアマネジャーのシャドウワークについて、保険外サービスで対応して対価を得ることを推奨する考え方が示したことについて、「財務省の苦言・横槍は毎度おなじみ・・・。」という記事の中で解説した。

その記事で指摘したように、その考え方は財務省がケアマネに好意的姿勢を示したものではなく、給付制限を拡大するための布石でしかない。

現に財政審が5/27に政府に提出した建議では、居宅介護支援費の自己負担導入、要介護1・2の訪問介護・通所介護を市町村の事業へ移管(※生活援助から先行実施)を強く求めている・・・さらに利用者2割負担の対象者の範囲を早急に拡大すべきと重ねて主張するとともに、1割負担の原則を改め2割負担を原則にすることを見据えるように提言している。

これらは2018年度の制度改正あたりから財務省が何度も主張しているものだ。仮に居宅介護支援費の自己負担導入や軽介護者の訪問・通所介護の市町村事業への移管が実施された後は、さらに給付が制限できる対象を拡大して提案するだろう・・・そうした延長線上に介護事業者が保険外サービスに対応して収益を挙げるという考え方があることを忘れてはならない。
産福共創
このことに関連して経済産業省が28日公表した報告書の中で、「産福共創」というコンセプトが打ち出されている。

さんふくきょうそう・・・あるいは、さんぷくきょうそうと読むのだろうか?

その考え方は、「地域の高齢者福祉課題の解決」と「介護事業者等の事業収益性確保」の両立を実現するためであるとしている。

詳細は文字リンクを張った報告書を読んでほしいが、その内容を簡単にまとめると、2040年問題と関連して今後急速に高まっていく高齢者の生活支援などのニーズの受け皿として保険外サービスの必要性が増す。その部分を「高齢者・介護関連サービス」として新たに括り直す。そして高齢者・介護関連サービス事業者も、高齢者福祉関係者も互いに歩み寄りながら、地域の実情に応じた新しいビジネスモデルを創っていくという考え方である。

そこではサービス事業者は、収益性だけを追い求めるのではなく、地域の実情やエンドユーザーである高齢者が抱える課題・ニーズ等を踏まえた地域課題への貢献意識を持つこと、そして、自治体をはじめとした高齢者福祉関係者においては、サービス事業者を「連携先」ではなく、地域づくりを共に行う「仲間」として捉え直すことで、サービス事業者が継続的に地域で活動するために必要な経済活動に対して、自治体が有するアセット(資源)等を提供していくことが必要であると指摘している。

要するに、高まる高齢者の介護ニーズに対してすべて公費対応はできないので、それぞれの地域での介護ニーズに対応して、介護事業者は独自の保険外サービスサービスモデルを創りなさい。でもサービス提供する事業者が収益だけ求めては富裕層しかサービス利用できなくなり、大量の介護難民が出現する恐れがあるため、福祉の精神を忘れずに低額対応してね・・・その代わり、地方自治体も融通を効かせて行政対応支援するからね・・・といったところだ。

つまるところ「産福共創」は、究極の介護サービス地域丸投げシステムといったところである。

これを経産省が提言しているわけだ。財務省・厚労省との足の引っ張り合いが激化することも予想に難くない。

そのために高齢者介護制度は魑魅魍魎が跋扈し、益々複雑怪奇なものに変貌していくだろう。
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快筆乱麻masaが紐解く介護の今
※CBニュースの連載「快筆乱麻masaが紐解く介護の今」の最新記事「ケアマネ不足の原因は国策の誤り」が5/30アップされました。文字リンク先から参照ください。


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地域3分類は本当に必要なのか?



介護保険制度改正を議論する社保審・介護保険部会での論点として挙げられている地域3分類。(参照:全国3分類の施策を明示した検討会資料)

それは全国を「中山間・人口減少地域」・「大都市部」・「一般市」に3分類し、それぞれの実情に合う過不足のないサービスモデルを整備する考え方であり、次の改正のメインテーマともいえる。

それによって究極の地域包括ケアシステムの構築につながるだろうか・・・。

先週5/19に行われた社保審・介護保険部会では、高齢者の人口が増え続ける大都市部のサービスの在り方について、「ICTやAIも活用し、24時間365日の見守りを前提として、緊急時や利用者のニーズがある場合に、訪問や通所などの在宅サービスを組み合わせるような、包括的で利用者のニーズに応えるサービスのあり方を検討することも考えられる」という考え方が示された。

ここで云う、「訪問や通所などの在宅サービスを組み合わせるような、包括的で利用者のニーズに応えるサービス」とは何か?その内容からは前回の制度改正で新設が議論された新複合型サービスを思い起こさせる。

前回議論で提案された新複合型サービスの具体案は、訪問介護と通所介護を組み合わせた上で、両者の人員配置基準も合算させるという単純な合体サービスでしかなく、人材確保が最大の課題とされている中で、人員配置基準があまりにも厳しく、サービス提供の融通性もないサービスであった。

そのため現状にそぐわず、かつ小規模多機能型居宅介護との差別化も明確ではないために、求められないサービスということで実現されなかったわけである。(参照:お騒がせの複合型サービスはこのままお蔵入りか。)

今回はそうしたことがないように、人員配置やサービス提供者要件(※例えば資格なしに訪問サービスを行うことができる等)が柔軟性をもって示されるのだろうか・・・。

だが仮にそうした訪問や通所などの在宅サービスを組み合わせるような包括的サービスが示されるとしても、果たしてそれは大都市部でだけ求められるサービスといえるだろうか。

例えば「中山間・人口減少地域」では、そのようなサービスは必要ないのだろうか。
中山間地
そんなことはない。現に19日の資料にも、「中山間・人口減少地域では、事業所・施設の人員配置基準の緩和、訪問・通所を柔軟に組み合わせたサービスの提供、包括的な評価の仕組みの導入」という考え方を示している。

人口が減少し続けている中山間・人口減少地域では要介護者も減っており、介護事業者から見れば、その地域だけのサービス提供では収益が上がらないというコスパの悪い地域となりつつある。

特に点在するわずかな数の利用者宅を訪問するサービスは、移動距離が長く収益を挙げられないということで訪問介護事業所などが撤退してしまっているところもある。そうした地域の利用者に対して、近隣の通所介護事業所から臨機に訪問ができれば居宅サービス難民を生まなくて済むかもしれない。

そういう意味で、融通を効かせて通所介護事業所の職員が臨機に訪問サービスができるという形の新サービスは中山間・人口減少地域でも求められてくる。

そもそもICTやAIは、人口密集地域で要介護高齢者が増え続ける地域のみで活用が求められるものではなく、過疎化が進み人口が減って、介護サービス提供できる従業員も集めることが困難となる地域でこそ必要とされるのではないのか・・・一般市についても、それは中山間地になり得る途上の地域かもしれず、同じニーズがあると云えるだろう。

地域を3分類に分けるという意味は、その地域の特性に合わせた柔軟なサービス提供を目指すということであり、究極の地域包括ケアシステムにもつながると期待する向きもある。

だがその分類は主に人口密集度・要介護者数によって決まるといってよい。果たして地域特性はそのような問題に限定して考えて良いのだろうか。

地域分類で柔軟なサービス提供を可能にするというが、例えば都市部で柔軟化された形態のサービスが中山間地では認められないとしたら、それによって柔軟性の利益を全く得られないことになる。それは不平等ではないと言えるのだろうか。

そう考えると、地域分類などせずに、一定条件下での柔軟なサービスを全国的に提供する仕組みを考えた方が良いのではないかと思う。

少なくとも地域分類ありきの制度改正論議にはしてほしくない。
※メディカルサポネットの連載・菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営〜Vol.5の最新記事が5/14にアップされました。菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営

待ったなしの生産性向上
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介護保険制度の行方



今週月曜日(4/28)に、「GW中に確認してほしい介護保険制度設立経緯」を書いて、介護保険制度創設に関連する4つの記事を紹介した。

その一つ、「介護保険・夜明けの雷鳴1」を読むとわかるように、介護保険制度の当初案では、「負担は20歳、受給は65歳から、在宅サービスを先行実施し、段階的に施設サービスも後発実施する」とされていたのである。

しかし収入のない学生を含めた20歳以上の国民に、受給権も与えずに負担だけを強いることに理解は得難いということと、同じ高齢者介護であるのに在宅と施設で制度が違っては混乱するという意見が強くなり、法案提出直前になって、「保険料負担・受給は共に40歳から。制度は在宅、施設の同時実施。」と軌道修正された。

そのうえで保険料負担については、1号被保険者(65歳以上)と2号被保険者(40歳以上65歳未満)に区分したうえで、2号被保険者については特定疾病に起因する障害に対してのみ介護認定と給付を行うという条件を付けた。

2号被保険者を40歳以上とした理由は、その年齢になると自分の親の介護問題が身近になり、理解を得やすいとされたものである。

だが将来的には保険料負担年齢を当初案と同じ20歳まで拡大しなければ介護保険制度は維持できないと考える人も居り、制度が浸透した現在がその時期ではないかと考える人も少なくない。

さらに定年延長で70歳まで現役として働く人が増えている中で、1号被保険者の対象年齢も65歳から段階的に70歳まで引き上げてはどうかという意見もちらほら見え隠れしている。そして長期的には、1号被保険者の対象年齢引き上げと、2号被保険者の対象年齢引き下げは避けられないと考える人が多くなっている。

これらの給付制限・国民の痛みを伴う改革については、85歳以上の後期高齢者数と要介護者数がピークとなる2040年問題を見据えて議論の俎上に上ってくることが考えられるが、その時期は夏の参院選が終わった後から行われる可能性もある。

少なくとも国政選挙前にそうした問題は表立って議論の俎上には昇らない。
黄昏
今現在は、地域3分類化と地域特性あわせたサービスの柔軟化が議論の中心で、時にそれぞれの地域で人材不足が深刻化してくることから配置基準緩和が議論の中心となっている。

この配置基準緩和論は、更なる人材不足に拍車をかける悪循環を生みだすことを、「配置基準緩和を誰が歓迎するのか。」という記事を書いて警告しているが、もう一つ問題点を指摘しておきたい。

それは配置基準が緩和された先には、必ず報酬削減が待っているということだ。少なくとも財務省は、配置人員を減った状況で、今までと同等対価で介護事業経することを認めるような甘い考えは持っていない。緩和された配置職員数で運営している場合は、それまでの対価を引き下げることを念頭に置いている。

つまり人員配置を緩和してなお、報酬引き上げを求める声が通るという期待してはならないということだ。

基準緩和に賛同の声を挙げている関係者は、このことも理解したうえで、マイナス改定もやむ無しとして緩和策を歓迎しているのだろうか・・・そうだとしたら、介護事業経営センスが疑われると思う。
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GW中に確認してほしい介護保険制度設立経緯



今年のGWは、カレンダーの並びが悪く大型連休とはならない人が多いようだ。

世間一般的には、先週土曜日から明日みどりの日までが連休前半で、今週土曜日から来週火曜日のこどもの日振り替え休日までが連休後半とされているらしい。

しかし今日月曜日は平日なので仕事に出ている人が多いだろうから、連休前半という感じはしないのではないだろうか。

僕の地元登別市には有名な観光地として登別温泉があるが、GW期間中でホテルが満室になっているのは3、4の両日のみだそうである。しかも26〜2日の客室稼働率は平均6割程度にとどまり、物価高の影響による、『巣ごもりGW』も相まって前年より宿泊客は大幅に減少しそうだ。

介護事業関係者の方は、そのような世間の暦に関係なくシフト勤務している人も少なくないだろう。この時期に不平を言わず働いてくれる人々のおかげで、この国は成り立っているのだという誇りを持ってほしい。

そういう人たちが待遇面でもっと報われるような日本社会にしていきたい。その為に、僕も自分ができる範囲で、最大限の努力を惜しまないつもりだ。
桜
ところで介護保険制度が施行されたのは2000年4/1。ということは今年4月で制度誕生から四半世紀を経ていることになる。走りながら考えると言われた制度も随分長く走り続けたものだ・・・このあたりで一度立ち止まって、本当にこの制度が国民の福祉の向上につながっているのかを確認する必要があるのではないだろうか。

誕生から25年もの月日が経っている介護保険制度・・・このくらいの歴史を経ると介護事業関係者の中にも制度誕生時のドタバタを知らない人が多くなっているだろう。そして介護保険制度の創設の経緯を知らない人も増えていると思う。

そのようなことを知らなくとも仕事に支障は出ないかもしれないが、この制度の創設経緯を知っておくことで、今後の事業戦略を立てるうえで参考になることも多いはずだ。

特にこの春に移動等で初めて介護関連の職場に就く人や、介護関連は初めてではないが介護保険サービスは初めてという人には、是非そのことを知ってほしいと思う。

その為、僕が過去に書いたブログ記事を紹介したい。
・介護保険・夜明けの雷鳴1
・介護保険・夜明けの雷鳴2
・介護保険制度へと続く道
・介護保険制度誕生前に吹き荒れた嵐
以上の4記事は、政治的動きを中心にした介護保険制度創設前後の社会情勢を、どこよりも誰よりもわかりやすく解説しているつもりなので、是非この機会に目を通していただきたい。

そしてこの制度を今後どう維持・改革していく必要があるのかを僕と共に考えてほしい。

このような知識は決して無駄にならない。だからこそ今日以降のGWの貴重な時間を少しだけ解説記事を読む時間に使っていただきたい。
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※CBニュースの連載・快筆乱麻masaが読み解く介護の今112,「新人が成長・定着できる職場づくりは不断の努力で」が4/28・10時にアップされました。
masaが読み解く介護の今112
人材確保のポイントは、人集め以前に定着する職場づくりです。こちらをクリックして参照ください。


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財務省の苦言・横槍は毎度おなじみ・・・。



介護保険制度改正の議論は社保審・介護保険会で審議され、介護報酬改定は介護給付費分科会に舞台を移して審議される。

それとは別に財務省が主管する財政制度分科会(財政審)が並行して行われているが、ここでは介護保険制度改正・介護報酬改定に関しての提言が数多く行われていく・・・しかしその提言とは、ほとんど財源支出を増やさないための給付抑制策・国民及びサービス利用者の負担増という方向性を示すものばかりだ。

昨日4/23に行われた財政審でも、財務省は、介護報酬を仮に1%引き下げれば、およそ1420億円の費用を抑制できるという試算を示したうえで、全国一律の介護報酬の引き上げには否定的な提言を行っている。

さらに介護職等の処遇改善についても、「今後の生産年齢人口の減少を踏まえれば、介護分野にばかり人材が集中するのは適切でない」と指摘し、「処遇改善のみで新たな人材を求めるのではなく、既存の人材を大切にしながら、生産性の向上や職場環境の整備などに取り組む事業者が、利用者・職員に選ばれていくことが重要」と難色を示している。
財務省の権力
全産業の平均給与と介護職員の平均給与格差が2023年度には月8.3万円と広がっている現状を顧みることなく、介護職員の給与改善は必要なしと決めつけているのだ。(※2022年度の給与格差は月6.9万円であったから、他産業の給与改善でその差はさらに広がっている。)

だからと言って、そうした提言を気にする必要はあまりない。財政審とは財務省の権力を厚労省にちらつかせながら圧力をかけるための審議会だ。横暴な横槍はいつものことである。

そもそも介護保険制度については、財務省は社会保険方式ではなく税方式で施行することを主張していた。当然その際は当時の税率5%を10%以上に引き上げる条件を付けていた。

しかし消費引き上げという高いハードルに当時の内閣や与党がこぞって腰を引いて、政治的思惑が大きく働く形で社会保険方式になったことが面白くないのが財務省である。

なぜなら税方式だと一般財源の中で制度運営するため、財務省の掌で制度を転がすことができるからだ。しかし社会保険方式になったことにより、この制度は介護保険特別会計という新たな会計の中で運営されることになってしまった。そこは厚労省の所管となっており、財務省の権限の及ぶ範囲が縮小されてしまっているという理由がある。

だから厚労省の制度運営にいちゃもんをつけずにいられないのだ・・・そのための権力見せつけ機関が財政審である。

ところで23日の財政審では、担い手の不足や高齢化が顕在化しているケアマネジャーにも言及し、「人材確保が課題」との認識を明示したうえで、「従来ケアマネジャーがシャドウワークで担ってきた業務を保険外サービスに位置付けることで、収入増や負担軽減が可能となる」と指摘した。

ケアマネジャーのシャドウワークの対価を発生させるように提言しているわけだが、これをケアマネ支援と勘違いしてはならない。

財務省が一番恐れていることは、ケアマネのシャドウワークと言われる部分が保険給付対象になることである。シャドウワークが多いことを居宅介護支援費を引き上げる理由にしたり、何らかの加算新設につながることを防ぐために事前に策を打ったというのが、保険外サービスで費用を得られるようにせよという提言の意味だ。

つまり、「人手が不足していようと仕事が大変であろうと、国に財源はないのでケアマネにこれまで以上に財政支出するつもりはない。よって仕事の対価は国費に期待せず自分で稼ぎ出せ」と言っているに過ぎない。決して財務省がケアマネに味方になったということではないのである。

ケアマネ諸氏は、くれぐれもこのところを勘違いしないようにしていただきたい。
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配置基準緩和を誰が歓迎するのか。



次期(2027年度〜)介護保険制度改正の最重要テーマは地域3分類である。

地域の実情に応じて、可能な限り住み慣れた地域で高齢者自身が自立して日常生活を営むことができるよう、地域における人口減少・サービス需要の変化に応じ、全国を「中山間・人口減少地域」、「大都市部」、「一般市等」と主に3つの地域に分類して、テクノロジー等も活用し、その地域の状況に応じたサービス提供体制や支援体制を構築していくことを目指すとしている。

その具体策として、「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方に関する中間とりまとめ」の7頁には、「中山間・人口減少地域においては、生産年齢人口の減少が全国に比して進んでおり、介護人材や専門職の確保が困難な中、常勤・専従要件や夜勤など、様々な配置基準について弾力化していくことが考えられる。」と書かれている。

弾力化とはすなわち配置基準緩和という意味である。人口が減少して高齢者の数も、労働者の数も減る地域においては、人員配置基準を一般市や大都市部と同じく考えずに、柔軟に配置基準を緩和して、少ない人数で利用者対応を行うということを主張した内容だ。

しかし高齢者数が減る地域において特養やGH等の数が減ったとしても、それぞれの特養やGH等で対応すべき利用者数が減るわけではない。そこで職員配置基準が減った場合に何が起きるだろう。

減らされた配置基準に合わせた最低限の配置で利用者対応を強いられるという状況が起きたとき、当然のことながら介護職員が減った分、利用者に介護職員が直接かかわる時間は減る。それに対応してテクノロジーが十分機能して、利用者対応の質が落ちないほど技術革新は進んでいない。

よって介護の質は当然落ちる。必要不可欠な介護も受けられない人も出てくるかもしれない。志の高い介護職員ほどそうした状態に心を痛め、メンタルを傷つけてバーンアウトする恐れがある。
配置基準緩和で過酷労働を強いられる介護職
知識が乏しく知性にかける経営者の中には、緩和された配置基準ぎりぎり従業員が居ればよいと考え、人材確保努力を怠る輩が出てくるかもしれない。そのような事業者で働かせられる介護職員は、配置人員が削られた分、業務負担は増すことになる。身体的負担は蓄積されていくことだろう。

このような精神的・身体的負担増を嫌って、介護職員は基準緩和していない地域の事業所に転職するか、介護以外の仕事を探すことになる。そのようにして介護職員は益々減少の一途をたどり、介護人材難は加速することになる。

このように配置基準緩和は介護人材を疲弊させ、介護人材を益々減少させる結果につながるという負のスパイラルに陥らせる結果しか生まない。

すると介護職員不足によって経営困難となる事業者も増えるわけだから、配置基準緩和は介護事業経営者にとっても歓迎できない改革である。

誰一人として喜ばない政策、最も愚策と言えるのが配置基準緩和策である。これを柔軟配置という言葉でごまかそうとするのが、愚策しか逓減できない厚労省の誤魔化しと言えなくもない。

今週月曜日(4/21)の社保審・介護保険部会では、配置基準緩和によるデメリットを鑑みて、懸念を表明する複数の委員が意見を述べる一方で、配置基準緩和策が人材の有効活用につながると賛意を示す委員も複数存在した・・・。

これが社保審・介護保険部会の実態だ・・・介護サービスの実務を知らない、頭でっかちが議論の場であんぽんたんな意見を述べているのだ。

その結果は目に見えている。厚生官僚に言いくるめられて、その思惑の通りの結果に導かれていくのは明白だ。だから介護保険制度は良くならない。

この制度は国民のためでも、介護事業者のためでもなく、介護保険特別会計という予算権限を握った厚労省のためにある制度である。
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2027年度改正議論の進行具合から見えること



次期介護保険制度改正と介護報酬改定は、2027年度〜行われる予定だ。

このうち報酬改定については24年度の診療とのダブル改定と異なり、介護単独改定である。

診療報酬改定は2年に1度行われるため時期改定は26年度となる。つまり介護報酬より1年早く改定されるわけであるが、そこには近直の国の政策方針が盛り込まれることになり、当然その流れは介護報酬改定も巻き込んでいくことになる。

つまり介護報酬改定は、診療報酬改定の川下に位置すると考えてよいわけで、来年度の診療報酬改定について、「介護とは関係のない話」と介護関係者が無関心で良いわけがなく、しっかりその流れを見ておかねばならない。

ところで今現在、社保審・介護保険部会では、2027年度からの介護保険制度改正議論が進行している。

この議論は今年の年末まで続き、クリスマスの直前に諮問・答申が行われる。
(※そこで決まった改正内容が、来年1月の通常国会に法案として挙げられるわけである。)
今後の介護保険制度改正スケジュール
介護保険部会に答申がされた後は、介護給付費分科会に審議の場が移って、介護報酬改定・基準改正に関する議論がされることになる。その諮問・答申は来年12月に行われ、必要なものは国会審議を経て、2027年4月からの法改正・基準改正・報酬改定となっていくわけである。

ところで冒頭近くで述べた介護保険部会の本格審議であるが、今回は昨年12/23の第116回社会保障審議会介護保険部会から始まっている。

これは過去にない異例の速さだ。過去の制度改正議論は、12月諮問・答申というスケジュールに沿って、その年の4月から本格化するのが通例だった。ところが今回の議論開始時期は、通例より4か月も早い時期に始まっている。

これは何を意味するのかははっきりしている。それだけ議論すべき領域が多岐にわたっているということであり、2027年度介護保険制度改正は今までにない大改正になることが容易に予測できる。

2040年代に要介護者数はピークを迎えるが、その「支え手」が財政・サービス両面で急速に縮小していく。それは医療にも介護にも、今まで以上に人手や財源をかけることは不可能になることを意味している。

介護保険制度の次期改正は、既得権をはじめとした今までの給付実践にとらわれずに、制度を縮小していくための第一歩を踏み出す方向で議論が進んでいく。

例えばそれは、1法人1拠点といった小規模経営をしている介護施設・事業所に対して、スケールメリットが働く協働化・大規模化等による経営改善の取組を求めるものであるかもしれない。

さらに地域を、「中山間・人口減少地域」・「一般市」・「大都市部」に3分類して、その特性に応じた運営基準等の弾力化を図る取組であったりするわけだ。

当然前回改正で積み残された課題も再検討される。利用者負担割合2割の対象者の拡大は確実に実施されるだろう。居宅介護支援費の自己負担導入と、訪問・通所介護の軽介護者サービスを地域支援事業に移行させることについても結論が出されることになっている。

どちらにしても介護事業者及び関係者には、より大きな改革と発想転換が求められることになる。

だから次の改正は、「チェンジ」がテーマであり、そこについて行くことが出来なければ事業撤退も視野に入れなければならなくなるという厳しい状況であるという理解が必要だ。

今後続々と示される情報にアンテナを張りながら、素早くその備えに取り掛かることが重要になる。


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全国3分類の施策を明示した検討会資料



4/7に行われた、「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会(第5回)で示された中間とりまとめ(案)。

この中で、3/10のこのブログの解説記事で示した、全国を3つの分類に分けて、それぞれの特性に応じて効率化や事業者の連携強化といった対策を検討するという考え方が具体的に明記された。

おそらく2027年度の介護保険制度改正の目玉は、この改革になるだろう。
さくら
資料によると、全国を「中山間・人口減少地域」・「大都市部」・「一般市」の3つに分類し、それぞれの状況に合った施策を展開するとしている。

介護ニーズが縮小していく中山間・人口減少地域については、利用者への介護サービスが適切に提供されるよう、その需要に応じて計画的にサービス基盤の維持・確保を図っていく必要があるとし、下記の二つの件の取り組み事例を示している。

・高知県では「集い」・「相談」・「訪問」・「生活支援」・「つなぎ」といった機能を中心として必要なサービス提供を行う連携拠点が機能している。
・鳥取県では「買物」・「交通」・「医療・福祉」・「子育て・教育」等を重点分野とし、それぞれを組み合わせた取組を行っている。

そのうえで訪問介護と通所介護の運営基準の弾力化を盛り込み、サービス間の連携を深めるほか、双方の人材が柔軟に行き来できる仕組みの整備を図ると書かれている・・・この時、思い浮かぶのは23年度改正で当初目玉とされ検討されたが、結局創設が見送られた複合型サービスである。

その際に創設が検討された複合型サービスは、結局のところ訪問介護と通所介護をふっつけただけのサービスで、人員配置基準の緩和もされず、柔軟なサービス提供も実質出来ない硬直的なサービスであったことで、創設が見送られた経緯がある。(参照:お騒がせの複合型サービスはこのままお蔵入りか。)

今回の資料では、「介護人材や専門職の確保が困難な中、様々な人員配置基準について弾力化していくことが考えられる」と記されているので、前回の轍を踏まないように期待したい。

高齢者人口が減り、介護サービスのコスパも低下する「中山間・人口減少地域」については、地域に残ってサービスを維持していく事業者へのインセンティブを検討する意向も示されているので、中山間地加算は間違いなく増えるだろう。

一方で、「大都市部」については、要介護者の数も2043年頃まで増え続け、今以上に介護ニーズが高まることが想定されている。ところがそのニーズに応えることができる人材の確保が非常に難しくなっている。介護生産性向上はそのためにも急務になっているわけだが、人手をかけないと解決しないニーズも少なくない。

その為、高齢者のニーズに沿った多様な住まいを充実していくとともに、多様な住まいに対応した様々なサービスをICTやAI技術も活用しながら組み合わせ、利用者のために提供する体制整備が必要であるとしている。

だがテクノロジーで代替できる部分はさほど多くはないという現状があり、大都市部では中山間地とは異なった意味で人材活用を図っていかねばならない。

具体的には、ひとりの人材を一つの事業に縛り付けていては介護サービスは回らなくなるという意味だ。兼業・兼務が進むように大幅な人員配置基準の緩和が求められるのではないだろうか。

その為、今回の中間報告でも「人材のシェア」を進めていくことが肝心である旨の記述がある。これは大いに求められることだ。

そのような人材シェアが具体的にどういう形で制度反映されるのかが、今後の注目点となろう。


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2007年度の制度改正で求められる介護支援専門員の正当評価



介護保険制度改正については、社保審・介護保険部会で議論されているが、次期改正(2027年度〜)の本格的な改正議論が始まったのは、昨年12月23日の第116回社会保障審議会介護保険部会からである。(参照:議事録) 

次期制度改正内容の諮問・答申は今年の年末となる予定だが、過去の本格改正議論は、諮問・答申が行われる年度初めの4月から行われるのが通例となっていた。ところが今回の議論開始時期は、それより4カ月も早い異例の時期からとなっている。

その理由はとりもなおさず議論すべきテーマが多岐にわたり、過去の流れと同様ではすべてのテーマを議論の俎上に昇らせることができないからだろう・・・とすれば、2027年度〜の制度改正は、過去に例を見ない大改正となる可能性が高い。

特に生産年齢人口が減り続けるなかで、要介護者や85歳以上の人口がピークとなる2040年以降に向けた対策が求められる。

介護人材がさらに減る中での対策だから、待ったなしの生産性向上策もそこで取り上げられていくだろう。

2/20の介護保険部会資料の、「地域包括ケアシステムの推進、相談支援、認知症施策の推進について」によると、議論すべきテーマは下記の通り示されている。
��.地域包括ケアシステムの構築について
��.今後の人口減少・高齢化の進展について
��.多様なニーズに対応した介護の提供・整備について
��.地域包括ケアシステムにおける相談支援等の在り方について
��.認知症施策の推進について


このうち��については、「複合的な課題を抱える高齢者の増加等により、ケアマネジャーの役割の重要性は増大する一方で、ケアマネジャーの従事者数は横ばい・減少傾向。」としたうえで、「利用者のために質の高いケアマネジメントを実現する観点から、ケアマネジャーがケアマネジメント業務に注力することができるよう、業務の整理やICT等の活用により負担を軽減しつつ、なり手を確保していくことが喫緊の課題」としている。

この指摘は即ち、介護保険制度において重要な役割を担う介護支援専門員の成りて不足を解消するために、待遇改善等の対策を講じていく必要があるという意味だと思う。目に見える形の給与改善などが可能になるような対策を求めたい。

ケアマネサポーターを自称する僕も、その後押しをしたいと思い、CBニュースの連載、「快筆乱麻masaが読み解く介護の今」の今月のテーマは、「ケアマネの処遇改善が期待される次期改正」として記事を書いた。
快筆乱麻・masaが読み解く介護の今
昨日午前11時にアップされた記事では、ケアマネの待遇改善につながる具体策の提案もしているので、是非参照していただきたい。

介護報酬はアウトカム評価が重要だと言われるが、全国津々浦々の要介護者で、介護サービス利用が必要なほとんどの方に担当ケアマネがいて、何でも相談し、サービス調整をしてくれている・・・それ以上のアウトカムが存在するのだろうか。

自分を担当してくれる相談援助の専門家がいるということ自体が、要介護者の方々にとっても安心感であるし、それによって地域で暮らし続けられるという人がたくさんいるという事実がある。

そのことを評価せずして、他に何を評価するというのだろうか。
※メディカルサポネットの連載、「菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営」の第4回連載、「若い芽を摘まない職場環境づくりが急務」が3/25にアップされています。
菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営
菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営〜Vol.4目次
4月に入職する新人が定着するために何が求められているのかを解説しています。文字リンクをクリックして参照ください。


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一から一しか読み取れない専門職は情けない



僕の住む北海道登別市は、今週初めに降り積もった雪も融けた。

春分の日の祝日を迎えた今日も、朝わずかに湿った雪が降ったが積もることはなく、道路はアスファルトが出ている。いよいよ春に向かっていると感じさせる季節になった。

昨日は普段雪が降らない東京都心でも季節外れの雪が降り積もる様子が報道されていたが、その雪も溶けてこれから一気に春めいていくだろう。

そんな祝日であるが、皆さんはどのように過ごしておいでだろうか。新年度を間近に控えて、何かと慌ただしい業務をこなしている人も多いことだろうが頑張ってほしい。

介護業界は慢性的な人手不足であるが、だからこそ新年度に学卒者などが気持ちよく入職して、社会人として成長できる職場環境が必要とされている。それができているかを隈なくチェックして万全の準備を整えておかないと、他事業者に人材確保競争で負けてしまう。それは即ち介護事業経営の継続にも影を落とす問題であることを自覚して、全職員を挙げての取り組みが求められている。

さて話はかっわるが、僕が管理する介護・福祉情報掲示板に、昨日(3/19)法人内部の居宅介護支援事業所の統合に関する質問スレッドが建てられた。

現在2つある居宅介護支援事業所のうち、一つの事業所を廃止して統合しようとしているが、その際に廃止された事業所の利用者について、担当ケアマネが変更されなくとも、統合された新たな居宅介護支援事業所と新規契約を交わして、居宅サービス計画を作成しなおさねばならないかという質問である。

これに対して僕は、平成2年8月3日付で発出されている介護保険最新情報Vol.862「事業所の吸収分割等に伴う事務の 簡素化について」を根拠資料として示したうえで、下記の取り扱いが認められているため、再契約やケアプランの作成しなおしは必要ないという考えを示した。
事業所と利用者が行う手続
・ 介護事業所の利用契約の再締結を不要とすること(会社法に基づく吸収合併については、合併後の法人は合併前の旧法人の権利義務を承継する)
・ ケアプランの変更を不要とすること(利用者の希望による軽微な変更扱いが可能)


ところが質問者はその回答に対して、『資料内では「別法人」への吸収合併等で記載されてましたが、今回のケースである「同法人内」の場合も同様の考え方でいいと解釈してよろしいでしょうか。』という質問を重ねてきた。

・・・はっきり言って馬鹿かと云いたくなる。なんという理解力のなさであろうか。
理解力とは?
別法人との合併でさえ、利用契約の再締結を不要とするなどの事務簡素化が認められているのに、どうして内部の事業所の統合にそのルールが適用されないと思うのだろうか。

世の中のすべての事象を取り上げてQ&Aを作成するなんてことはあり得ないので、一つのQ&Aからそれと同様あるいは、その範囲内であろうと思われる事象に及ぶ問題は同様の取り扱いをするという、ごくごく当たり前の理解が必要である。

そもそも根拠資料のタイトルは、「事業所の吸収分割等に伴う事務の 簡素化について 」とされているのだから、等の中には法人内の事業所の吸収=統合も含まれて、同様の取り扱いであると理解できない方がどうかしている。

こうした理解力のなさは、融通性の欠如に通ずるような気がしてならない・・・ケアマネジャーの仕事は、多様性のある人間個人個人の暮らしに介入していく仕事であって、そこでは定型ができにくい暮らしの支援が求められてくる。その際に多様な価値観を持って、融通性のある考え方で利用者対応することが必要不可欠だ。

一から一しか読み取れないようなケアマネでは駄目だ。もっと理解力を高めて、一から複数のものを読み取って理解することが融通性にもつながる。融通性に欠ける人はケアマネジャーに向かないのである。

文字リンクを貼り付けたスレッドを建てたケアマネは、果たして求められるスキルを持った人だろうか・・・。

きわめて心配であるというのが僕の本音だ。
※3/21(金)13:30〜15:00の予定で無料視聴できるオンライン講演、「安定的成長を目指す介護事業の経営戦略」の配信は、いよいよ明日に迫りました。文字リンク先からお申し込みください。
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ケアマネの待遇改善は実現するのか〜次期改正



2027年度からの介護保険制度改正に向けた議論を進めている社保審・介護保険部会。

先週2/20の審議では、介護支援専門員が不足する深刻な現状が議論の俎上に挙がった。(参照:第117回社会保障審議会介護保険部会の資料について)

高齢者数がピークを迎える2040年頃に向けて地域で求められることが想定される相談支援のあり方の中で、「現在のケアマネジャーの年齢構成等を踏まえると、10年以内には、ケアマネジャーの担い手は急激に減少していくことが見込まれ、幅広い世代に対する人材確保・定着支援に向けて、様々な取組を総合的に実施することが必要。」として問題提起したうえで、ケアマネの職責に見合う処遇の確保、業務範囲の整理、ICTの活用、法定研修の見直しを論点として挙げている。
ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会中間整理概要
制度改正議論は年明けから本格化しているが、この早い段階で介護支援専門員の処遇改善が論じられるのは過去にないことだと思う。

それだけケアマネ不足が深刻化して目に見えてきたということだろう。

現役ケアマネの高齢化は僕も肌で感じている。全国各地のケアマネ関連団体から講演依頼を受けて会場に出向くが、そこでお会いするケアマネの方々のうち、僕より人生の先輩が決して少なくない。

今年1号被保険者となる僕以上の年齢の方が、ケアマネジメントの第一線で活躍していることは悪いことではないが、将来を見据えると未来永劫その方々が現役で働き続けるわけでもなく、それらの人々がバトンを渡すことができる後身、それもできるだけ若い人々にバトンを渡す土壌を創っていかねばならない。

そうであれば若者がケアマネジャーを目指す動機づけを高めねばならないし、ケアマネジャーになった後に、将来を不安に思うような要素をできるだけ減らす必要がある。

よってケアマネの処遇改善は、目に見える年収のアップで、他産業平均給与と比較してもそん色のない水準とする必要がある。

いつまでも処遇改善加算の対象からケアマネを除外していてはならないし、むしろケアマネを対象として新しい処遇改善加算を新設すべきだろうと思う。それが出来なければケアマネの担い手の急激な減少は止められない。

また業務範囲の整理というなら、居宅介護支援事業所のケアマネの業務負担を今以上に重くする改悪は許されない・・・居宅介護支援費の利用者自己負担導入は、利用者負担金の徴収業務と、延滞金の督促業務という新たな業務負担をケアマネに課すことにつながるために、そのような改悪も許されないということになる。

居宅介護支援事業所の関係者のみならず、介護関係者はこのことも強く訴えていくべきだと思う。
※メディカルサポネットの連載、「一心精進・激動時代の介護経営」の最新記事が2/21アップされました。
一心精進・激動時代の介護経営
今回のテーマは、「離職防止〜従業員の定着率が向上する職場環境」です。文字リンクをクリックして参照ください。


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今更介護認定遅れにメス?



僕は介護保険制度開始から丸2年を経た2002年4月〜登別市の介護認定審査委員を拝命しており、合議体の副長として毎回審査会での司会進行役をつとめている。
(※正長と副長は同じ審査会に参加せず、交代で別々に審査会に参加し司会進行役を務めることになっている)

登別市の介護認定審査委員会は4合議体あり、毎週木曜日の18時から2つの合議体によって審査会が行われることになっている。だが前述したように正長と副長が交代で審議の進行役を務めるため、僕が審査に参加するのは4週に1回ペースである。(※他の委員も同様である。)

今日はその審査会の予定日であったが、審査数が少なく僕の合議体は開催しないことになった。

実は先月も開催予定の審査会が中止とされた。理由は今回と同じく判定件数が少ないために、1つの合議体のみで審査ができるからである。
介護認定審査会
2024年11月末現在の登別市の人口は43.691人で、高齢化率は令和3年3月31日現在で37%であったから、今現在は40%を超えていると推察される。当然要介護認定者数も増えていると思われるが、ここにきてなぜ介護認定申請件数が減っているのだろう。

これはおそらく2021年4月〜介護認定期間の最大延長が4年(48カ月)に引き延ばされた影響によって、更新認定の審査数が減っているためであろう。

このことは決して悪いことではない。むしろ更新件数が増えて、審査が間に合わずに申請から30日を超えても認定が下りないケースが増えると、申請者が要介護状態区分が不明のまま、サービスを暫定利用しなければならなくなるなどの不利益が生ずるのだから、こうしたケースの減少につながる審査件数の減少はよいことだ。

介護保険法では、介護認定の基本原則は申請から30日以内にしなければならないとされている。ただし特別な理由がある場合は延期することも可能としており(介護保険法第27条第11項)、介護認定者数が多い都市部では、認定有効期間を過ぎてから認定審査結果が出される例も少なくない。

この問題が9日の社保審・介護保険部会で取り上げられた。特別な理由による認定遅れが常態化して申請から認定までの期間が長期化しているというのである。

2022年下半期の直近データによると、利用者の申請から認定までにかかる期間は平均で40.2日となっており、法律で定められている原則30日以内を大幅に上回っている。平均が30日以内の市町村は、全体の5.6%(97市町村)にとどまることも明らかにされた。

これらの状況を改善するために審査会(合議体)の数を増やしても、保険者の事務処理が回らなくなるので、それは現実的ではない。さすれば認定期間の更なる延長という案が出てくるかもしれないが、度重なる延長の結果は何を示しているのだろう。(※当初は認定期間は半年が最長で延長はなしだった。それが20年という長い月日をかけて12カ月、24か月、36か月、48か月と段階的に延長されてきた。)

それは期間がいくら長く延長されても、利用者の不利益にはならないし、何の支障もないということだ

そうであれば要介護認定廃止議論に欠けている視点で指摘しているように、認定期間そのものを廃止すればよいのである。

区分変更申請できるのだから、介護保険施設もしくは居宅サービス事業所、あるいは担当介護支援専門員が区分変更申請が必要か否かをこまめにチェックすれば認定期間なんて必要ないのである。

また申請者数が減って、認定審査会の回数が減っているにもかかわらず、相も変わらず認定遅れが生ずる最大の理由は「医師意見書」の提出遅れである。だが医師意見書が審査結果を左右するケースなんてほとんどない。審査に不必要な書類とさえ言ってよい。(参照:やっぱり医師意見書は必要ない?)

つまり医師意見書を審査に必要としなければ、申請から認定にかかる期間は劇的に短縮できるのだ。

お金がかかるのに大した意味がない医師意見書・・・この廃止が議論の俎上に挙げられる必要があるのだと思う。

厚労省からそうした意見がまったく出ない理由は、医師会を恐れているということなんだろうか・・・そうであるとしたら厚労省は国民に向けるべき視線を失っているということになる。

まったく情けないことである。


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協力医療機関指定義務によって変わらずを得ない施設対応



今年度の基準改正では、介護保険施設に協力医療機関指定義務が課せられた。

これによって介護保険施設は、在宅療養支援病院や在宅療養支援診療所、地域包括ケア病棟(200 床未満)を持つ医療機関、在宅療養後方支援病院等の在宅医療を支援する地域の医療機関(以下、在宅療養支援病院等)と、入所者の急変時対応などの要件を満たす協定を交わす必要が生ずる。

在宅療養支援病院等とは入院対応は極めて短期間として、できるだけ早く退院させ在宅で療養することを支援する医療機関だ。基本的には入院は7日間、最長でも14日間とされているのだ。

勿論、そのような短期間で病気が完全治うするとは限らない。むしろ完治しない場合が多いだろう。だがそれも想定済みで、今後の医療機関は病気を完治させるまで患者を入院させるのではなく、急性期対応を終えた患者をできるだけ早期に在宅復帰させて、暮らしの場で療養を支援する機能を併せ持つことが求められているのだ。

介護保険施設もその流れの中で、が求められており、入所者が一旦入院しても、急性期治療が終わった後は、必ず施設に戻って施設内で完治までの治療と療養を行うことが求められているという意味だ。

その為、指定義務化される協力医療機関として満たすべき要件の一つに以下のものがある。
・入所者が協力医療機関等に入院した後に、病状が軽快し、退院が可能となった場合においては、速やかに再入所させることができるように努めることとする。

これは努力義務でしかないとは言っても、指定協力医療機関との間での協定内容ともいえるわけだから無視するわけにはいかない。

すると老健施設の対応が今までと大きく変わってくる・・・老健施設は入院の際に外泊時費用が算定できず、入院=退所という扱いであった。その為、治療が短期間で終わって退院できるケースでも、再入所に当たっては最初の入所と同じ手続き手順を踏む必要があり、場合によってはかなり長期の待機を余儀なくされることもあった。

しかし今後は、いったん退所したのだから即再入所はできないという対応はできなくなる。老健の責任として、入院した人が短期間で施設に再入所できるようにベッドを空けて待つことも必要になる。

これと関連して、特養の3月ルールも形骸化すると想定される。なぜなら指定協力医療機関は3月もの長期間入院をさせてくれないからだ。

今後の施設入所者は、一旦入院しても必ず短期間で施設に戻って、施設内で病気の治療を継続するということが当たり前になるのだ。
秋の風景
このことと関連しているのが、介護支援専門員の法定研修カリキュラムの見直しである。24年4月〜の法定研修では、日常的な生活支援等の基本ケアに加えて、脳血管疾患・大腿骨頸部骨折・心疾患・認知症・誤嚥性肺炎の予防というケアマネジャーが取り扱う可能性が高い5つの疾患別に、想定される支援内容やアセスメント・モニタリングの視点をまとめる内容を組み入れている。

このように基本ケアと疾患別ケアで構成するケアマネジメントの実現を目指しているが、それはとりもなおさず居宅サービス及び施設サービス両者ともに、暮らしの場で病気療養する利用者に相対する介護職員が疾患別ケアの意識をもって対応することをも意味している。

例えば心不全。心不全発作を一度でも起こした人は、心臓の機能は元通り取り戻すことはない。ADLが低下していなくとも、心臓の機能は低下しているのだ。その為、発作前と発作後のアセスメント上に変化がないからといって、同じ生活をさせていると心不全発作は短期間で再発し命の危険性を増すことになる。

だから発作前のように何でも自分でするのではなく、人の手助けを受けながら無理しない暮らしを送ることが重要で、在宅者であれば生活援助を増やして、家事を休むことが必要になる。施設利用者も長い距離は無理して歩行せずに、上手に車椅子を使うことなども必要になる。

そして何より心不全は、「塩分過多」と「水分過多」に気を付ける必要があることを、全従業員が認識して、「健康な人と同じ食事にしてはいけない(※塩分摂取には特に注意が必要)」・「水分は必要最低限に制限が必要」という意識を持つことが大事だ。

カルト宗教のような竹内理論による馬鹿げた考え方で、心不全発作を起こした人にも、食事以外に1.500mlもの大量の水分を摂取させるようなことが決してあってはならない。それは殺人行為に等しい行為と言えるからだ。

心不全発作を一度でも起こした人には、我々介護支援者は寄り添うだけではダメなのである。そうした人には、「介護もしながら、医療対応も重要」という意識を持ちながら、基本的な医療の知識も併せ持って対応していかねばならない。

その為の学びの場が特に重要となるだろう。それを創り出すのが経営者や管理職の役割として重要となってくる。


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