2027年度の介護保険制度改正・介護報酬改定の大きなテーマの一つは住宅型有料老人ホームの在り方である。

住宅型有料老人ホームの登録制、登録型受託ホーム利用者のケアプラン有料化、それに伴う相談支援の新類型創設、既存の居宅介護支援事業所の新類型のみなし指定・・・住宅型有料老人ホームは、かつてないほどの変革の波を被ることになる。

株式会社マイナビが運営するポータルサイト・メディカルサポネットの連載、「菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営」の第21回連載記事では、その改革についての具体的内容、それに関連した課題や問題点を総合的にまとめて論評してみた。
菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営〜Vol.21
是非、「(第21回)住宅型有料老人ホームの登録制という改正の影響〜ケアプラン有料化やみなし指定、生活相談員配置など制度改正の主要論点を解説〜」を参照いただきたい。

この他、有料老人ホームを巡っては、併設されている居宅介護支援事業所がホーム利用者を囲い込んでケアプラン作成することの批判が強まっており、同一建物減算の強化などが議論の俎上に上っている。

また訪問介護について、有料老人ホーム等の集合住宅に併設されている事業所と、地域の利用者宅を一軒一軒訪ねる事業所とでは採算性が大きく異なることが問題として取り上げられ、訪問介護の次期報酬単価については全国平均の収支差率だけで現状を捉えず、立地や規模、事業形態といった個々の特性に着目して地域型と併設型のメリハリが検討されている。

これによって有料老人ホーム併設型の訪問介護費は、マイナス改定もあり得ると言えるかもしれない。

その様に大変革を迎える有料老人ホームであるが、そうした施設のトップが許されない犯罪を犯し起訴されるというニュースが流れてきた。

岐阜市芥見の有料老人ホームの施設長・倉知裕子容疑者(48)が、去年9月から今年2月の間に、同じ入居者の男性のキャッシュカードを使い15回にわたって計750万円を引き出した窃盗の罪で、8月31日に起訴された。さらに同容疑者は去年4月、女性職員(56)とともに、施設に入居する男性から預かっていたキャッシュカードを勝手に使い、現金50万円を引き出した疑いが持たれており、この56歳の女も起訴された。

有料老人ホーム入所者は、そこは自分の人生の最後の住み場所であると考えている人が多い。そこを選び住まいとするという判断の中には、その経営母体や施設長などの管理責任者が信頼できるという考えも含まれているはずだ。

入所者の財産を搾取するという行為は、そうした信頼を裏切る卑劣極まりない行為で、人として許されざる行為である。

介護事業を巡っては、カスタマーハラスメントが問題視され、毅然とした顧客対応を求める声も高まっている。8/28の介護給付費分科会では、介護従事者がカスハラを受けるケースを、サービス提供拒否の「正当な理由」と国が明確に示すようにすべきではないかという考え方が議論の俎上に上っている。

しかしそれもこれも全て、介護事業者が真摯に利用者対応していることが前提である。顧客に対して契約に基づいた適切なサービスができない者が、カスタマーハラスマント対策が重要だと訴えても、「どの口が言っているのだ」と笑われて終わりだ。

そもそもこのような事件が介護事業者内で繰りかえされることによって、世間から「介護事業は必要悪」だという声が挙がりかねない。大多数の介護事業者は適切なサービス提供を行い、不正や犯罪とは無縁だと云っても誰も信じてくれなくなる。

その様な状態にしてはならないのである。そのような介護があってはならないのである。
CBニュースの連載快筆乱麻!masaが読み解く介護の今(128)が8/31更新アップされています。
快筆乱麻masaが読み解く介護の今
今月のテーマは、「ケアマネを守る利用者との適度な距離感」です。是非そちらも参照ください。

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