厚労省の2027年度予算の概算要求額は36兆5.803億円となっているが、このうちケアマネジャーの安全確保や防犯対策に49億円を計上しているそうだ。

特定職種の安全確保と防犯対策に、厚労省がこれほど大きな予算要求するのはかなり異例のことかと思うが、その理由は6月に埼玉県川口市で女性ケアマネジャー(63歳)が訪問先の住宅で、利用者の息子に首を切られ殺害された事件が起きたことが最大の理由だろう。
川口市女性ケアマネジャー殺害事件
仮に49億円という予算がそのまま認められたとして、それはどのような形で使われ、ケアマネを護ってくれる結果につながるというのだろうか。

おそらくその予算は、利用者宅に複数名で訪問する場合の経費や、防刃チョッキの購入費など、介護保険最新情報Vol.1508で通知された「介護支援専門員等の在宅介護従事者の安全確保の徹底」策に沿ったものとなるのだろう。

だが49億円もの予算をつけて対策を講じても、それがケアマネジャーの身の安全を保障してくれるにかは大いに疑問だ。勿論それらの対策はまったく無効だとは云わない。

ハラスメントや暴力等への対応を、担当ケアマネジャーだけに任せることなく、事業所全体の問題としてとらえ、管理者が中心となって組織全体で早めに問題共有し対策を講じねばならないことはその通りだ。

そしてケアマネジャーが「少し怖い」「一人で訪問するのは不安」「家族の言動がエスカレートしている」と感ずること自体が重要なリスクサインであるのだから、その際には管理者が居宅ケアマネに同行して訪問するのことも対策として有効になる場合もあるだろう。

だが複数訪問で狂気の暴力をすべて防ぐことができることあり得ず、いたずらに被害者を増やしかねないという一面を忘れてはならない。

むしろケアマネジャーが危機感を感じたケースは、迷いなく訪問面接を中止し、訪問面接を行わずとも基準違反とならない「特段の事情」とすべきだろう。

そもそも事前に対策を講じて、安全策をとることができるのは、危険性を察知できるケースのみである。6月に起きた川口市の被害者ケアマネジャー―は、そのような危険性を察知しておらず、利用者宅に訪問することに何の不安も持たない状況で、ある日いきなり襲撃を受けたのである。

よって今後対策される安全措置を講じたとしても、川口市で起きたような事件は起こる可能性が高い。

そうであるからこそケアマネジャー自身が日ごろから自分の身をできるだけ危険にさらさないためには何をすべきかを、事業所全体で検討・協議していかねばならない。

その方策の一つをCBニュースの連載・快筆乱麻!masaが読み解く介護の今(128)に更新アップしている。ということで今月は、「ケアマネを守る利用者との適度な距離感」というテーマ記事を書いたので、是非そちらを参照いただきたい。
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