来年度の介護報酬改定については、社会保障審議会・介護給付費分科会での議論が進行中である。

果たしてその議論は、物価高を反映した基本サービス費の大幅な引き上げにつながるであろうか。

先に閣議決定した骨太の方針2026には、来年度の介護報酬改定に関連して、「多職種と遜色のない処遇改善の実現を図る」と明記し、なおかつ、「物価の変動に適切に対応する」と書かれている。

これをそのまま受け取ると、介護職員等処遇改善加算の更なる引き上げはおこなわれるだろうし、インフレ対応やサービス提供コストの膨張を考慮したプラス改定も間違いのないところだと読める。

しかし骨太の方針にはそのほか、「現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていくことを目指す」や「社会保障負担率(※社会保険料負担(事業主拠出含む)÷国民所得)について2027年度の負担率を2025年度比で上昇させない」といった、社会保障費の抑制につながる方針も明記されているのだ。

積極財政派が主流を占める現政府・内閣がそのどちらに大きく舵をとるのかはいまだに不透明だ。

しかも財務省は、令和7年度介護事業経営概況調査結果の概要(令和6年度決算)の数値を根拠に、介護事業者がもうけ過ぎであるという主張を変えていない。

その様な中で、全産業平均より所得が低いとされる介護職員等の給与改善につながる処遇改善加算の上乗せは間違いなく実施されるだろう。ただしそれが全産業平均所得と並ぶ所得レベルまで引き上げられる可能性は極めて低い。

そして物価高対策については、介護事業関係者が期待したものとはかけ離れたものになるのではないかと懸念する。

それというのも、今年8月に行われた介護保険施設の食費基準額の変更結果が、あまりにも実態とかけ離れたものであったからである。食材料費の高騰を受けて行われた食費基準額は、1日あたり1,445円から1,545円の引き上げに終わっている。

米価格をはじめとした食材料費の高騰は、とてもではないか100円/日のアップで対応できる額ではないだろう。しかし国はその額が総務庁統計局の家計調査の結果であり、根拠ある額であるという・・・。

国が抱えるビッグデータは、介護事業者からすればブラックボックスだ。それが正しくないという根拠を持たない事業者は、国が根拠としたデータに基づく金額であれば受け入れるしかないのである。

よって次期介護報酬改定では、全産業平均より月額8万円の差があると云われる介護職員等の給与改善のために処遇改善加算はそれなりに大きな額の引き上げがされると思うが、物価高対応の経費を含めて基本サービス費が大幅に引き上げられるという期待はしない方が良いと思う。

その為に国の施策の方向を見誤らず、その延長線上にある加算をとり逃さないことが重要である。

特に2巡目の議論に入った介護給付費分科会では今後、居宅介護支援事業所も含めた訪問・通所サービスでの生産性向上加算新設議論が行われることになっている。

ケアプランデータ連携システムの使用は当然としたうえで、ICTやAIツールなどの活用により、在宅領域でも介護DXによる生産性向上がより強く求められてくるのである。

そのため今週金曜日(9/4)に配信する無料視聴できるオンラインセミナー、「次期介護報酬改定の方向性と介護事業者が取るべき経営戦略」では、報酬改定の方向性と生産性向上の取り組み事例について詳しく解説する予定だ。
次期介護報酬改定の方向性と介護施設が取るべき経営戦略
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CBニュースの連載・快筆乱麻!masaが読み解く介護の今(128)が8/31更新アップされています。
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今月のテーマは、「ケアマネを守る利用者との適度な距離感」です。是非そちらも参照ください。
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