来年度の介護保険制度改正によって、住宅型有料老人ホームのうち、中重度要介護者や医療ケアが必要とする方など、特に入居者保護の必要性が高い方を入居対象とするホームは開設前に都道府県への登録が義務化されることになっている。

従来の届出制に代わり登録制にする意味は、行政が事前に施設の基準適合性を審査することで、入居者の安全性やサービスの質を確保する狙いがある。登録は5年ごとに更新されることから、定期的な行政チェックも可能となると考えられている。

具体的には住宅型ホームの独立性を確保するため、特定の介護サービス事業者の利用を入居要件とすることの禁止、ケアマネジメントの独立性確保に係る方針の策定・公表、会計の区分経理等のルールを明確化する。

運営・人員基準については、現行の標準指導指針を遵守しているホームにとって、過度な負担とならない水準とすることを想定して定め、利用者保護に関する規制も導入するとしている。

問題はその対象となる住宅型有料老人ホームが、どの程度に渡るかという問題であった。

このことについて5日に開かれた介護給付費分科会で厚労省は、登録制となる住宅型有料老人ホームについて、現に中重度の要介護者が入居しているホームだけでなく、やがて中重度になっても住み続けられるホーム、一定の認知症や医療ニーズがある高齢者を受け入れるホームであれば、登録制の対象になるとの考えを示し、現存する住宅型有料の大半が対象となるとの考えを示した。
住宅型有料老人ホームの見直し
資料の【資料2】高齢者住まいに対するサービス提供の在り方・19頁参照)

大半の住宅型有料老人ホームが登録制に移行するといっても、まともに運営しているホームであれば、届け出が登録に替わるだけだから特段問題にはならないだろう。

しかし登録制に移行した場合、住宅型ホームの利用者が、介護保険の居宅サービスを利用する際のケアプラン作成については、新設される「登録施設介護支援」が居宅サービス計画を立案することになるが、「介護付きホーム」等との均衡の観点から、原則1割の利用者負担を求めることになっている。

利用者の懐から支出するお金が増えるのだから、今から登録制に移行する住宅型ホームの利用者には丁寧な説明が必要だ。

また大半の住宅型ホームが登録制となることで、ケアプラン作成できる登録施設介護支援の新設が追いつかないことが考えられる。その為、既存の居宅介護支援事業所を登録施設介護支援みなし指定として、引き続き登録制対象の有料老人ホーム利用者のケアマネジメントを担当できるようにするわけであるが、そのことについては居宅介護支援費の自己負担導入の布石でもあるということは、『登録施設介護支援の「みなし指定」に隠された深謀遠慮』という記事で解説しているので参照してほしい。

ところで登録施設介護支援については、ケアプラン作成と生活相談を行うために、介護支援専門員と生活相談員の2職種を配置することとされている。昨年12/15の介護保険部会の資料3補足資料の22頁に、「新たな相談支援の類型のイメージ」にそのことが示されているので参照してほしい。

だがみなし指定となる居宅介護支援事業所については、生活相談員が配置されていない。これをどう考えるのかという問題がある。

このことについて新たな相談支援の類型のイメージ(案)では次のような考えが示されている。
1.新類型の基本的な考え方
(3)サービス提供を行う事業所
・居宅介護支援事業所(同一・併設か地域の居宅であるかを問わない)を想定。
・見なし指定や経過措置など、既存の居宅介護支援事業所が新たな類型の指定を受けやすくする仕組みを検討。
・地域生活相談を担う人員は介護支援専門員が兼務できるようにすることを検討。一方で別途配置する事業所については特定施設の生活相談員を参考に一定の資格を求めることを検討。


地域生活相談を担う人員は介護支援専門員が兼務って、現在のケアマネジメント業務に加えて、あらたに地域支援相談業務が加わるということだろう。居宅ケアマネは現在でもケアマネジメント業務で手いっぱいだ。それに加えて新類型のみなし指定を受けた居宅介護支援事業所のケアマネは、それに加えて地域支援相談業務を担わねばならないとしたら業務多忙で死んでしまいかねない。

そうなると居宅ケアマネの集団退職という事態もあり得る。このあたりは慎重な議論が必要だと思う。
メディカルサポネットの連載、菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営の最新記事がアップされました。
菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営
今回のテーマは、「カスタマーハラスメント対策の基盤は誠実な顧客対応〜利用者との距離感をどう考えるべきか?サービスマナーから考える介護支援のあり方」です。文字リンク先を参照ください。
9/4(金)13:30〜15:00、ビズアップ人事コンサルティング株式会社(株式会社吉岡経営センター)主催の福祉経営/無料Webセミナーで、次期介護報酬改定の方向性と介護事業戦略について解説します。
次期介護報酬改定の方向性と介護施設が取るべき経営戦略
講演テーマは、「次期介護報酬改定の方向性と介護施設が取るべき経営戦略」です。文字リンク先をクリックして詳細を確認の上、お申し込みください。申し込みいただくと無料視聴できます。
筆者の講演予定はこちらからご覧ください。講演依頼はあかい花公式Web右上のをクリックしてお気軽に相談・お申し込みください。

※別ブログ「masaの血と骨と肉」もあります。お暇なときに覗きに来て下さい。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。

masaの看取り介護指南本看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。