介護サービスの提供中に、利用者が身体的・精神的被害(骨折・外傷・誤飲・誤嚥等)を受けることを、「介護事故」と呼んでいる。
介護事故が起きた場合、事業者は必ず行政官庁に報告を行う義務が課せられている。
そのほか介護保険施設と居住系サービスでは、介護事故対応について運営基準上、次のような規定がされている。
・指針の整備(事故発生時の対応・報告方法等を含む)
・報告、分析、周知の体制整備(事故・ヒヤリハットの報告体制)
・事故発生防止委員会の開催 + 従業者研修の定期実施
・安全対策担当者の配置
居宅サービスにおいては指針や委員会の規定はない。その代わりに厚生労働省の「介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン」や各サービスの運営基準に基づき、事業所ごとに事故防止体制やマニュアル整備が求められている。
そのことに関連して、顧問先からの依頼を受けて、「介護事故予防と介護事故発生時の対応〜リスクの予知・迅速な情報共有・組織的対応と再発防止の徹底」というテーマの従業員研修を実施することとし、昨日オンライン配信した。
その為、先週末はその講演スライド作成を行っていたが、そこでは過去の介護事故事例を数多く紹介している。
そのようなスライドを作成中に考えたことがある。それは似たような事故が数多く起きており、それによって介護サービス利用者が死亡したケースも少なくないが、それらはちょっとした注意で防ぐことができた事故であるということだ。
人命が失われた原因が、サービス事業者や担当者の不注意であり、それは十分防ぐことができた介護事故であったということを非常に残念に思うのである。
例えば通所介護では、送迎中の交通事故が多発している。それらはいちいちケース紹介できないほどの数に昇ってはいるが、高齢ドライバーの認知機能の低下若しくは体調不良によるものであり、事前にその兆候も表れており、そこで対応すれば事故防止できたものだったケースがある。

2023年9月、さいたま市の通所介護事業所の駐車場で、送迎車が3人をはね、利用者2人が死亡するという事故が起きた。事故車両を運転していたのはアルバイトの75歳の運転手。当該ドライバーは、これまで敷地内で他の車にぶつけるなどの物損事故を2、3回起こしていたが、当該事故も「玄関付近で送迎車両を(利用者が)待っていたところノンストップでスロープに突っ込んできた」という状況。
↑この事故を起こす前から、運転手は認知機能の低下が原因が疑われる小さな事故を起こしていた。それを重大な問題と考えずに、送迎運転を続けさせていたという意味で、事業者の責任は大きいだろう。
ハインリッヒの法則(※1件の重大事故(死亡・重傷)の裏には、29件の軽微な事故があり、さらにその下には300件のひやりはっとが隠れているという法則)を学びなおしてほしい。
また2024年4月、茨城県八千代町平塚の県道で、同町の社会福祉法人の通所介護送迎車が道路脇の住宅の塀と電柱に衝突し、同乗していた利用者の女性(92歳)が下大静脈損傷で死亡したほか、70〜92歳の利用者5人が両足を骨折するなどの重傷を負い、介護職員の女性(23)と運転手の男性(69)が打撲などの軽傷を負った。運転中に運転手の意識がもうろうとなり、同乗していた介護士が「止まりましょう」と声をかけたが、その直後に事故を起こした。出発前に運転手は「調子が悪い」などと話していたが、同会は「健康診断でも問題がなく重大な疾病はなかった」としている。複数の目撃者によると、運転手は事故後、路上に倒れ込んで嘔吐(おうと)していた。
↑過去の健康診断の結果がどうあろうとも、当日運転前に体の不調を訴えていたにも関わらず、それを重大な問題と考えずに送迎業務に就かせていることが大問題。通所介護利用である要介護高齢者を送迎するという安全第一の業務であることを鑑みて、少しでも体調不良のある者を送迎業務に就かせないという意識が必要である。
その他、送迎に関する重大事故や、介護施設で繰り返し起こっている悲惨な死亡事故なども例示しようと思うが、長くなるのでそれについては明日更新の記事に書こうと思う。(※後編に続く。)
※CBニュース主催・無料視聴できるオンラインセミナー。

株式会社CBヘルスケア主催の「制度改定を経営戦略に変える!医療・介護経営アップデートセミナー」 ―診療報酬・介護報酬改定の動向から考える、持続可能な経営と生産性向上―の配信日時は8/27(木)14:00〜16:30の予定となっていますが、筆者の講演、「介護保険制度改正の方向性から見える介護報酬改定動向 〜持続可能な介護経営に向けた生産性向上対策」は、15:02〜15:42の予定となっています。
※筆者の講演予定はこちらからご覧ください。講演依頼はあかい花公式Web右上の✉をクリックしてお気軽に相談・お申し込みください。
※別ブログ「masaの血と骨と肉」もあります。お暇なときに覗きに来て下さい。
北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。
・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。
・masaの看取り介護指南本「看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
介護事故が起きた場合、事業者は必ず行政官庁に報告を行う義務が課せられている。
そのほか介護保険施設と居住系サービスでは、介護事故対応について運営基準上、次のような規定がされている。
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・事故発生防止委員会の開催 + 従業者研修の定期実施
・安全対策担当者の配置
居宅サービスにおいては指針や委員会の規定はない。その代わりに厚生労働省の「介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン」や各サービスの運営基準に基づき、事業所ごとに事故防止体制やマニュアル整備が求められている。
そのことに関連して、顧問先からの依頼を受けて、「介護事故予防と介護事故発生時の対応〜リスクの予知・迅速な情報共有・組織的対応と再発防止の徹底」というテーマの従業員研修を実施することとし、昨日オンライン配信した。
その為、先週末はその講演スライド作成を行っていたが、そこでは過去の介護事故事例を数多く紹介している。
そのようなスライドを作成中に考えたことがある。それは似たような事故が数多く起きており、それによって介護サービス利用者が死亡したケースも少なくないが、それらはちょっとした注意で防ぐことができた事故であるということだ。
人命が失われた原因が、サービス事業者や担当者の不注意であり、それは十分防ぐことができた介護事故であったということを非常に残念に思うのである。
例えば通所介護では、送迎中の交通事故が多発している。それらはいちいちケース紹介できないほどの数に昇ってはいるが、高齢ドライバーの認知機能の低下若しくは体調不良によるものであり、事前にその兆候も表れており、そこで対応すれば事故防止できたものだったケースがある。

2023年9月、さいたま市の通所介護事業所の駐車場で、送迎車が3人をはね、利用者2人が死亡するという事故が起きた。事故車両を運転していたのはアルバイトの75歳の運転手。当該ドライバーは、これまで敷地内で他の車にぶつけるなどの物損事故を2、3回起こしていたが、当該事故も「玄関付近で送迎車両を(利用者が)待っていたところノンストップでスロープに突っ込んできた」という状況。
↑この事故を起こす前から、運転手は認知機能の低下が原因が疑われる小さな事故を起こしていた。それを重大な問題と考えずに、送迎運転を続けさせていたという意味で、事業者の責任は大きいだろう。
ハインリッヒの法則(※1件の重大事故(死亡・重傷)の裏には、29件の軽微な事故があり、さらにその下には300件のひやりはっとが隠れているという法則)を学びなおしてほしい。
また2024年4月、茨城県八千代町平塚の県道で、同町の社会福祉法人の通所介護送迎車が道路脇の住宅の塀と電柱に衝突し、同乗していた利用者の女性(92歳)が下大静脈損傷で死亡したほか、70〜92歳の利用者5人が両足を骨折するなどの重傷を負い、介護職員の女性(23)と運転手の男性(69)が打撲などの軽傷を負った。運転中に運転手の意識がもうろうとなり、同乗していた介護士が「止まりましょう」と声をかけたが、その直後に事故を起こした。出発前に運転手は「調子が悪い」などと話していたが、同会は「健康診断でも問題がなく重大な疾病はなかった」としている。複数の目撃者によると、運転手は事故後、路上に倒れ込んで嘔吐(おうと)していた。
↑過去の健康診断の結果がどうあろうとも、当日運転前に体の不調を訴えていたにも関わらず、それを重大な問題と考えずに送迎業務に就かせていることが大問題。通所介護利用である要介護高齢者を送迎するという安全第一の業務であることを鑑みて、少しでも体調不良のある者を送迎業務に就かせないという意識が必要である。
その他、送迎に関する重大事故や、介護施設で繰り返し起こっている悲惨な死亡事故なども例示しようと思うが、長くなるのでそれについては明日更新の記事に書こうと思う。(※後編に続く。)
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感動の完結編。
