政府は昨日(7/21)、高市早苗政権で初めて策定した日本成長戦略を閣議決定した。

その中には、家事支援サービスの国家資格を新たに創設する構想が含まれている。そして来年秋を目途に第1回の国家試験を実施できるよう、関係審議会での議論や試験問題の作成、試行試験の実施など必要な準備を進める方針を打ち出している。

この資格新設の理由について政府は、「現役世代が介護や子育てで仕事を辞めざるを得ない状況に追い込まれるのを防ぐため」としている・・・それは本当だろうか。
政府の密儀
というか政府が表向きに表明していることを闇雲に信じてはならないことは、一般教養のある人間なら常識として理解しており、その裏に隠された意図があることは明白である。

果たしてその意図とは深謀遠慮なのか、浅慮短見なのか・・・それは近い将来の結果でしか結論付けはできないが、政府の目指す方向に向かわせられることは間違いがない。それはどの方向なのか?

この度新設される家事支援の国家資格とは、現行の訪問介護の家事援助部分を特化してサービス提供する資格ではない。その資格によってサービス提供されるのは、保険外サービスの生活支援だ。

保険給付されない家事支援については、現行誰でもサービス提供できるが、それではサービスの質が保たれない懸念が生ずる。そのため保険外サービスの家事支援を国家資格保持者によってサービス提供させることで、家事支援サービスの品質向上と信頼性の確保を図り、その普及・浸透につなげることで、ビジネスケアラーを支え介護離職を防ごうというのが表向きの理由である。

本当にそれが介護離職の減少につながるかは疑問符が付くところであるが、政府はその結果には極めて関心が薄い。

なぜなら新資格創設の意図は別にあるからだ。

この資格創設によって、保険外サービスの家事支援を提供する有資格者が誕生・存在することになる。その数がどれほどになるのかはともかく、そういう存在が生まれることに意味がある。

なぜならそのことによって、国家資格の有資格者による家事支援が、全額利用者負担で提供されるケースが全国に存在することになるからだ。

一方で保険給付される訪問介護の家事援助は、国家資格者ではない単なる訪問介護員資格者初任者研修を受講するだけで得られる資格しか持たない者によって提供されることになる。

その状態によって、「国家資格を持つ者による生活支援が全額利用者負担なのに、国家資格を持たない者による生活援助に保険給付され、利用者自己負担が少ない状態は不公平である」という理屈が生まれることになる。

しかも有資格者による全額利用者負担の家事支援という蟻の一穴は、小さく見えにくい穴であってもそれが全国各地で生ずるのだ。それをすべて塞ぐことはできず、穴は広がり続けることになる。

つまり家事支援サービスの国家資格創設は、訪問介護から生活援助を外して、全額自己負担の保険外サービスにするための橋頭保(きょうとうほ)であるということだ。

だから政府は、「そのような資格は必要なのか」・「意味のない国家資格だ」という声を完全に無視して、資格創設に向けてまっしぐらに走っているのである。
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