埼玉県川口市で居宅介護支援事業所の介護支援専門員(以下、居宅ケアマネと略)が訪問先で殺害された事件を受けて、関係者の間から、「複数訪問に対する加算報酬」を新設してほしいとの声が挙がっている。

ハッキリ言って、そのように考えるのは相当浅はかであると思え、考え方の方向性が間違っていると思う。

居宅ケアマネの人数は不足しており有効求人倍率も高くなる一方の中で、自分の担当利用者以外の面接訪問に同行できるような時間を持て余している居宅ケアマネはいない。

無理して時間をつくって同行するにしても、それは極めて限られた件数となり、訪問面接の危険性を測りながらリスクの高い利用者宅を選別して複数訪問をすることにならざるを得ないし、一人親方事業所では不可能な事でもある。

そもそもそのような危険を冒してまでも利用者宅を訪問せねばならないとでもいうのだろうか。

そうした危険な訪問に対して加算を求めるということになれば、自分の身を犠牲にする行為に対価を与えろという要求になる。自分の身を危険にさらした値段は、いったいいくらならよいというのだ?

そんな危険な仕事に就きたいという若者は増えるだろうか・・・増えるわけがない。

複数訪問ができるとしても、せいぜい二人による訪問だろう。たった二人程度で訪問したとしても、頭がいかれて刃物を持っている力の強い狂暴な成人男性に、その人数がどれほどの抑止力と防衛力になるのだろう。
ケアマネ複数訪問
それとも大人数で隊列を組んで訪問しろとでもいうのだろうか。それはもう戦闘でしかない。

そもそもなぜモニタリングを利用者宅訪問によって実施することにこだわるのか、その理由も意味も分からない。

利用者に直接面会できれば、虐待をはじめとした利用者の問題は把握できるし、利用者としっかりと信頼関係を構築してコミュニケーションが取れれば、利用者の住環境に潜む問題だって表出可能だ。ケアマネジャーってそうした専門家ではないのか・・・。

だからこそ今求めるべきは、複数訪問加算ではなく、基準省令におけるモニタリング規定の改正であり、モニタリング訪問をしなくてよい特段の理由の解釈拡大であり、カスハラ気質のある利用者もしくは家族の存在が正当な理由によるサービス提供拒否と出来ることの明確化である。(参照:居宅介護支援の基準省令改正を急げ

居宅ケアマネやその関係者は、訴えと運動の方針の方向性を間違えてはならないのである。
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