茨城県古河市の介護老人保健施設で2020年、入所者2人の点滴用チューブに空気を注入して殺害したとして、殺人などの罪に問われた元職員の赤間恵美被告(40)に対し、水戸地裁は昨日午後に懲役20年の判決を下した。
(※参照:3月しか勤務していない老健で何があったのか?〜空気注入殺人事件 職場にサイコキラーが混じっていたらどうする?)
起訴状によると被告は20年5月、勤務先の老健施設で鈴木喜作さん(当時84)の点滴用チューブにシリンジで空気を注入し、空気塞栓で血液が循環しない状態にして殺害したとされる。さらに同年7月には同じ方法で吉田節次さん(当時76)も殺害したとされる。

ただし本件は物証の乏しさも指摘されていたところで、鈴木さんについては当初、心不全とみなされ司法解剖がなされておらず、吉田さんは体内の気体量が致死量に達していないことなどから、被告側は2人は病死した可能性があると反論していた。
これに対して検察側は、鈴木さんの容体が急変する約10分前、被告が鈴木さんがいる居室に出入りする姿が目撃されており、吉田さんの容体が急変した日も、その約10分前に、被告が吉田さんの居室に立ち入り、吉田さんの体のそばでシリンジを動かす様子を同僚が目撃していたことを証拠としている。さらに、吉田さん死亡後に見つかったシリンジから、吉田さんの点滴の輸液と整合する成分や、被告のDNA型と整合するものが付着していたことも指摘し、被告が犯人だとする根拠とした。
だが水戸地裁は今年4月、鈴木さんへの殺人罪については拘留取り消しの判断を下していた。そのため昨日の判決では、鈴木さんへの殺人罪は無罪とし、吉田さんの殺害についての罪のみを認定したものである。
点滴に他の薬液を入れる必要がない利用者の居室に、被告はシリンジを手にして出入りしていたという事実は動いていないのだから、有罪判決には一定の説得力があるように思える。
しかし身動きができない要介護高齢者の点滴に、看護師という立場を利用して空気を注入して死に至らしめるという恐ろしい犯行に対して、懲役20年という判決だったことを「軽すぎる判決」と感ずる人は少なくないだろう。体内気体という証拠がなかった1件を無罪としたことにも納得しがたいと感じている人もいると思う。
被告は犯行を否認し裁判では黙秘を続けていたことから、この判決は不服として控訴してくることは確実だろう。よって今回の地裁判決は確定判決とはならないと思われる。
事件から6年経った今、やっと地裁判決が出されたが、確定までにさらに長い年月を要すことになる。おそらく10年裁判となることだろう。
それまで亡くなられた利用者の遺族は、愛する家族の死の真相を知るには至らない。
特に鈴木さんの遺族は、体内に気体が残されていたということを確認できないために、病死として取り扱われてしまう結果をどう受け止めたらよいか悩みと怒りは尽きないだろう。
老健という場所が、このような死を招く恐ろしい場所に変えられた動機は何だったのか・・・それは真犯人が口を閉ざす限り明らかにはならない。
※メディカルサポネットの連載、「菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営」の最新記事がアップされました。

今回のテーマは、「改革と変化に適応できるケアマネジメント〜介護保険制度改正とAIが示す転換点―現場はどう変わるのか〜」です。文字リンク先を参照ください。
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起訴状によると被告は20年5月、勤務先の老健施設で鈴木喜作さん(当時84)の点滴用チューブにシリンジで空気を注入し、空気塞栓で血液が循環しない状態にして殺害したとされる。さらに同年7月には同じ方法で吉田節次さん(当時76)も殺害したとされる。

ただし本件は物証の乏しさも指摘されていたところで、鈴木さんについては当初、心不全とみなされ司法解剖がなされておらず、吉田さんは体内の気体量が致死量に達していないことなどから、被告側は2人は病死した可能性があると反論していた。
これに対して検察側は、鈴木さんの容体が急変する約10分前、被告が鈴木さんがいる居室に出入りする姿が目撃されており、吉田さんの容体が急変した日も、その約10分前に、被告が吉田さんの居室に立ち入り、吉田さんの体のそばでシリンジを動かす様子を同僚が目撃していたことを証拠としている。さらに、吉田さん死亡後に見つかったシリンジから、吉田さんの点滴の輸液と整合する成分や、被告のDNA型と整合するものが付着していたことも指摘し、被告が犯人だとする根拠とした。
だが水戸地裁は今年4月、鈴木さんへの殺人罪については拘留取り消しの判断を下していた。そのため昨日の判決では、鈴木さんへの殺人罪は無罪とし、吉田さんの殺害についての罪のみを認定したものである。
点滴に他の薬液を入れる必要がない利用者の居室に、被告はシリンジを手にして出入りしていたという事実は動いていないのだから、有罪判決には一定の説得力があるように思える。
しかし身動きができない要介護高齢者の点滴に、看護師という立場を利用して空気を注入して死に至らしめるという恐ろしい犯行に対して、懲役20年という判決だったことを「軽すぎる判決」と感ずる人は少なくないだろう。体内気体という証拠がなかった1件を無罪としたことにも納得しがたいと感じている人もいると思う。
被告は犯行を否認し裁判では黙秘を続けていたことから、この判決は不服として控訴してくることは確実だろう。よって今回の地裁判決は確定判決とはならないと思われる。
事件から6年経った今、やっと地裁判決が出されたが、確定までにさらに長い年月を要すことになる。おそらく10年裁判となることだろう。
それまで亡くなられた利用者の遺族は、愛する家族の死の真相を知るには至らない。
特に鈴木さんの遺族は、体内に気体が残されていたということを確認できないために、病死として取り扱われてしまう結果をどう受け止めたらよいか悩みと怒りは尽きないだろう。
老健という場所が、このような死を招く恐ろしい場所に変えられた動機は何だったのか・・・それは真犯人が口を閉ざす限り明らかにはならない。
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感動の完結編。
