埼玉県川口市で発生したケアマネジャーの女性の刺殺事件を受け、同県はケアマネが複数人で利用者宅を訪問する際の人件費などを補助する制度を新設する方針を決め、今年度の追加の補正予算案に事業費として2985万円を計上したそうである。

補助額はケアマネや介護福祉士ら有資格者が同行する場合は1回5千円、事務スタッフなどそれ以外の人の場合は同3170円。申請回数に制限を設けるかどうかは今後検討するとのこと。

県は併せて、防犯ブザー通話録音装置(ICレコーダー)防刃チョッキなどの購入費用についても、1事業所あたり10万円まで全額補助する方針だと報じられている。

複数人数での訪問といっても、全てのケースでそれができるわけではない。ある程度危険予測ができる利用者宅をピックアップして複数人数で訪問することになると思われる。

しかし複数人数の訪問によって事件を防ぐことができたであろうか。「アリバイ作りの取り組み通知で『命』は護れない」という記事に書いた通り、刺殺された女性ケアマネジャーは、利用者の息子の危険性に気がついていなかったと思われ、何の警戒感も持たない状態で、ある日突然襲われているのである。

そもそも同じ埼玉県で2022年に訪問診療医師が利用者の息子に殺害された、「ふじみ野市散弾銃男立てこもり事件」は、7名で利用者宅を訪問しながら被害に遭っている・・・狂気の殺人者に対して、複数人訪問なんて意味はないし、かえって被害人数を増やすことになりかねないと思う。
ケアマネ複数人訪問によるモニタリング
滑稽なことに埼玉県は、防刃チョッキを着用しての訪問まで想定している・・・。

複数のケアマネが防刃チョッキを身に着けて、利用者宅を訪問することを想像してみてほしい。それはあまりに異常な光景と言えるのではないのか・・・。

そこまでして危険性のある利用者宅に訪問する必要があるというのだろうか。ケアマネジャーとは、命の危険を顧みないで、そこまで責任を負わねばならないほどの職業なんだろうか。

日ごろ犯罪や暴力に対抗する訓練を受けている警察官であっても、それほどの装備でどこかを訪ねることは、よほどのことだろう。

ましてや暴力に対して抵抗する術や力を持たない人が、防刃チョッキを身に着けなければならないほどの危険性を察知している利用者宅を訪ねるなんてどうかしている。

利用者への面接のためのモニタリング訪問とは、そうした危険性を顧みず行うべきものではないだろう。そてに変わる方法でアセスメントもモニタリングもできるのだ。

だからこそ利用宅への訪問による面接を、唯一絶対のルールとしないで、居宅介護支援事業所や通所サービス事業所での面接も可とすべきだと思う。

どうして頑なに利用者宅訪問にこだわるのか理解できない。

現行ルールに縛り付けられた硬直脳の連中が、ケアマネジャーの生命と安全を脅かす一番の元凶であると云いたい。
メディカルサポネットの連載、菊地雅洋の一心精進の第18回連載記事、令和8年度介護報酬定期改定に立ちはだかる財務省の高い壁〜「利益が高い」とされる根拠は適切か―収支差率の構造と介護経営の実情から改定議論を読み解く〜が本日午前中にアップされました。
激動時代の介護経営
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