衆議院ですでに可決・通過している介護保険法や社会福祉法などの改正案の審議が10日、参議院でも始まった。
法案自体の成立は間違いのないところだが、関連質問に対する上野厚労相の発言に注目が集まっており、それについて真意を想像してみたい。
10日の本会議では、24年にマイナス改定となり、小規模事業所の廃業が相次いでいる訪問介護について、事業所の立地や規模、集合住宅に併設されているか否かといった事業形態などを、今年度に実施する「経営実態調査」できめ細かく把握すると説明。「適切な単価設定を検討する」と明言し、訪問介護のビジネスモデルの違いも考慮して議論を深める意向を示した。
訪問介護事業については事業規模による収支差率の差が大きくなっている。全国に事業展開しているような大規模事業所においては、自社のサ高住などに訪問介護事業所を併設し、サ高住に居住している要介護者に効率よく訪問介護を提供することで収支差率を高めている。
これに対してサ高住などを持たない小規模の訪問介護事業所は、地域をこまめに回ってサービス提供していても、移動時間などのロスが増えて収支差率が下がる傾向にある。
しかし経営実地調査では、数の多い大規模事業所の収支差率が平均値として出されてくるため、それに合わせてマイナス改定された場合、小規模事業所の経営は厳しいものとなる。
次期報酬改定ではこうしたことがないように、事業形態別にきめ細かな実態把握をするというが、果たして小規模事業所が救済されるような単価設定になるだろうか・・・どうもそうは思えない。大臣発言はむしろ、サ高住や住宅型有料老人ホームに併設して、そこを中心にサービス提供する大規模訪問介護事業所の単価を下げるという方向に向かうことを示唆した発言のように思えてならない。

11日の厚生労働委員会では、住宅型有料老人ホームの入居者に特化した「登録施設介護支援」に原則1割の利用者負担を導入することについて、上野厚労相は、介護付きホームなど他のサービスとの「制度的な均衡を確保する」観点から具体化したいと説明している。
さらに、「自宅などの一般的な在宅で介護サービスを受ける方に対して利用者負担を求めることは予定していない」と明言し、居宅介護支援への利用者負担の導入を重ねて否定した。
この発言をどれだけ信用して良いだろうか・・・。
政治家の発言は軽くはないが、信用もできない。現に選挙の際に掲げられる公約など、簡単に破棄されているという事実がある。
居宅介護支援費に自己負担を導入しないという大臣発言も嘘ではない。しかしそれは2027年度改定に限った発言と受け取るべきだと思う。登録施設介護支援のケアプラン作成に自己負担導入というドアが開くのが2027年度介護報酬改定である。
壁しかなかったところに設けられたドアは、閉めて鍵をかけたとしても、その鍵を開錠すれば開けられるのだ。一度開いたドアは、閉めた後に二度と開けないということはない。2030年度以降の報酬改定では、登録施設介護支援のケアプランに自己負担があることを理由にして、居宅介護支援の利用料も自己負担導入という議論が展開されるだろう。
ということで参議院での厚労大臣発言を、あまりポジティブに受け取らないように注意してほしい。
介護関係者の叫びと戦いは、これからずっと続いていくのである。
※メディカルサポネットの連載、「菊地雅洋の一心精進」の第18回連載記事、「令和8年度介護報酬定期改定に立ちはだかる財務省の高い壁〜「利益が高い」とされる根拠は適切か―収支差率の構造と介護経営の実情から改定議論を読み解く〜」が本日午前中にアップされました。

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法案自体の成立は間違いのないところだが、関連質問に対する上野厚労相の発言に注目が集まっており、それについて真意を想像してみたい。
10日の本会議では、24年にマイナス改定となり、小規模事業所の廃業が相次いでいる訪問介護について、事業所の立地や規模、集合住宅に併設されているか否かといった事業形態などを、今年度に実施する「経営実態調査」できめ細かく把握すると説明。「適切な単価設定を検討する」と明言し、訪問介護のビジネスモデルの違いも考慮して議論を深める意向を示した。
訪問介護事業については事業規模による収支差率の差が大きくなっている。全国に事業展開しているような大規模事業所においては、自社のサ高住などに訪問介護事業所を併設し、サ高住に居住している要介護者に効率よく訪問介護を提供することで収支差率を高めている。
これに対してサ高住などを持たない小規模の訪問介護事業所は、地域をこまめに回ってサービス提供していても、移動時間などのロスが増えて収支差率が下がる傾向にある。
しかし経営実地調査では、数の多い大規模事業所の収支差率が平均値として出されてくるため、それに合わせてマイナス改定された場合、小規模事業所の経営は厳しいものとなる。
次期報酬改定ではこうしたことがないように、事業形態別にきめ細かな実態把握をするというが、果たして小規模事業所が救済されるような単価設定になるだろうか・・・どうもそうは思えない。大臣発言はむしろ、サ高住や住宅型有料老人ホームに併設して、そこを中心にサービス提供する大規模訪問介護事業所の単価を下げるという方向に向かうことを示唆した発言のように思えてならない。

11日の厚生労働委員会では、住宅型有料老人ホームの入居者に特化した「登録施設介護支援」に原則1割の利用者負担を導入することについて、上野厚労相は、介護付きホームなど他のサービスとの「制度的な均衡を確保する」観点から具体化したいと説明している。
さらに、「自宅などの一般的な在宅で介護サービスを受ける方に対して利用者負担を求めることは予定していない」と明言し、居宅介護支援への利用者負担の導入を重ねて否定した。
この発言をどれだけ信用して良いだろうか・・・。
政治家の発言は軽くはないが、信用もできない。現に選挙の際に掲げられる公約など、簡単に破棄されているという事実がある。
居宅介護支援費に自己負担を導入しないという大臣発言も嘘ではない。しかしそれは2027年度改定に限った発言と受け取るべきだと思う。登録施設介護支援のケアプラン作成に自己負担導入というドアが開くのが2027年度介護報酬改定である。
壁しかなかったところに設けられたドアは、閉めて鍵をかけたとしても、その鍵を開錠すれば開けられるのだ。一度開いたドアは、閉めた後に二度と開けないということはない。2030年度以降の報酬改定では、登録施設介護支援のケアプランに自己負担があることを理由にして、居宅介護支援の利用料も自己負担導入という議論が展開されるだろう。
ということで参議院での厚労大臣発言を、あまりポジティブに受け取らないように注意してほしい。
介護関係者の叫びと戦いは、これからずっと続いていくのである。
※メディカルサポネットの連載、「菊地雅洋の一心精進」の第18回連載記事、「令和8年度介護報酬定期改定に立ちはだかる財務省の高い壁〜「利益が高い」とされる根拠は適切か―収支差率の構造と介護経営の実情から改定議論を読み解く〜」が本日午前中にアップされました。

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感動の完結編。
