先週木曜日に書いた、「知識不足で向精神薬投与?」という記事でも論じたが、介護事業における虐待をゼロにするためには、介護サービスを利用する人は単なるユーザーではなく、「顧客お客様」であるという意識づけを忘れないことが重要である。

お客様に対して、サービス提供者が失礼な態度をとってはならないということは、小学生でも理解できる社会常識である。

だからこそ介護事業に携わるすべての者には、お客様に対して失礼ではないサービスマナーを身に着けさせなければならないのである。それが出来なければ小学生以下と云われても仕方がない。

だからこそ介護事業者では定期的にサービスマナー研修を従業員研修の中に組み込んで、常にその意識が低下しないように注意する必要がある。

そこでは顧客に対するタメ口ほど失礼なものはなく、それを親しみやすい口調と勘違いしない意識作りが重要となる。

アットホームとか家庭的という言葉を冠している介護事業者では、えてしてその言葉を勘違いし、利用者に対してぞんざいな態度に終始し、だらしのない日常対応を許してしまう傾向が強まる。

その結果、介護事業者としての職場環境の乱れに気が付かない状態に陥っていたりする。
アットホームという言葉で堕落する介護
アットホームをうたい文句とする介護事業者で、従業員が横柄な態度で利用者対応することが日常化し、介護をはじめとしたサービス全般にゆるみが目に付く状態となり、いつも間にか目も当てられないほど、乱雑で不潔な環境に陥ったりする例も見受けられる。

介護事業者がそのような状態に陥らないためには、従業員に対して介護サービスのプロとして利用者に向かい合うのだということを徹底的に自覚させなければならない。プロフェッショナルの矜持を持って、専門知識と技術を援助に生かさねばならないことを徹底的に刷り込まねばならない。

利用者の家族ではない介護サービス提供者は、利用者に対して家族のように馴れ馴れしく、あるいはぶしつけな対応が許されるような勘違いはしないように、サービスマナー意識を徹底的に浸透させなければならないのである。

だがこうした意識を全従業員に理解させるのは、一度の研修受講だけでは無理である。従業員の数が多ければ多いほど、研修内容を理解できずに落ちこぼれる従業員も出てくる。それらの従業員に対して、管理職や直属の上司が根気よくマナー意識のある対応に終始するように指導し、なおかつサービスマナー研修も一定期間ごとに繰り返し行うことが必要になる。

例えば、一部の従業員は利用者に対して「くだけた」話し方をしているが、利用者から「面白い」等と言われたり、信頼関係は作れているので、「くだけた」話し方の中にも丁寧さや思いやる感じはあるからそれは認めても良いのではと考える上司がいたりする。

しかしそこで、「信頼関係は作れている」というその信頼は、「ガラスの信頼」でしかない。

「くだけた」話し方の中にも、丁寧さや思いやる感じはあるとして例外的に認めている場所でサービスマナーなど浸透するわけがない。

それらの人には、「よそよそしさを恐れるより、無礼で馴れ馴れしい対応で、利用者の尊厳や誇りを奪い、心を殺してしまうことを恐れる人でいてください」という言葉を投げかけたい。そもそも丁寧な言葉でもジョークは口にできる。そうしたコミュニケーションスキルを身に着けられない人は、介護に向かないと思う。

一人一人に寄り添った対応(ご利用者様との会話の時間をつくる、そのなかで生活や体調に関しての不安や悩みが話せる環境、関係づくり)を大切にして運営しているため、家庭的・アットホーム感は必要になるのではないかと考える上司もいたりする。

その言葉を勘違いする弊害によって、たくさんの利用者の尊厳が奪われてきた事実を観たときに、その言葉に変わる介護のプロとして利用者対応できる理念に置き換えるべきだと思う。

それができないという管理者は、介護事業の管理能力に欠けるといっても過言ではない。
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