介護事業者には、従業員に対して特定のテーマの研修を定期的に実施する義務が課せられている。

それを踏まえて介護事業者は従業員研修の年間スケジュールを立てて、義務研修を漏れなく従業員に受講させるように努める必要がある。それをしていなければ運営基準違反で指導対象だ。

僕が顧問を務める介護事業者では、それらの法定研修を僕が講師となって行っている。

感染症予防・身体拘束廃止・認知症のケアなど介護実務に即した研修テーマのほか、介護事業経営・労務管理等に関連するテーマまで幅広い法定研修のすべての講義を行うことができるのは、相談援助職の実務から管理職〜介護事業経営まで全ての実務を経験した僕ならではの特技と言ってよいかもしれない。

そんな講演の一環として先週末の土曜日から、自然災害対応BCP業務継続計画)策定の要点をテーマにした講演スライドを作成中である。
BCPシミュレーション
今回の講演アジェンダ(進行計画)は以下の6つのセクションに分けている。
BCPの基礎知識と策定義務
BCP未策定減算の具体的内容と対象サービス
自然災害対応BCPの共通コア・コンテンツ
サービス別要点(通所介護・訪問介護・居宅介護支援・施設居住系サービス)
BCPの運用:様式例・研修・訓練・関係機関との連携
重要業務の継続記入例
自然災害対応BCPの講演スライド
ちょうどそのスライドを作成している最中の一昨日(4/20)午後4時52分、「北海道・三陸沖後発地震注意」が起こった。僕が住む登別市は震度3で、かなりの横揺れを結構長く感じた。(実際には数秒だったのだろう)。津波注意報も出たが避難指示はなく、何事もなく自宅で過ごすことができた。

しかし津波警報が出た地域では、介護施設の入所者等も一時避難を余儀なくされた。その時にBCPは役に立ったであろうか・・・。

BCPを最初に策定する際は厚生労働省のWEBサイトにて「介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドライン」および、穴埋め式のExcel・Word様式が無料で公開されているので、それをそのまま利用すればよくゼロから作る必要はない。

だがひな形を埋めるだけでは実効性があるBCPとはならない。

その為自事業者向けの実質化魂を入れるという作業が不可欠で、厚労省サイトのひな型で作成した当初BCPについては、「事業者周辺のハザードマップ」・「従業員の連絡網」・「実際の備蓄量」などのリアルな数字と手順に書き換える作業が不可欠だ。

さらに実際の訓練(シミュレーション)によって不具合の修正を繰り返して、自然災害が起こった際に実効性のあるBCPに進化させる必要がある。

一昨日の地震の際に、避難を経験した事業者においては、その際の教訓を大いに生かしていただきたい。

なおBCPについては2024年3月末をもって策定を猶予する経過措置期間が切れ、全ての介護事業者において自然災害と感染症に対するBCPの両方を策定していないと、「BCP策定未実施減算」が適用されることになる。

このことについて令和6年度介護報酬改定に関するQ&A vol.1では次のように示されている。
感染症若しくは災害のいずれか又は両方の業務継続計画が未策定の場合や、当該業務継続計画に従い必要な措置が講じられていない場合に減算の対象となる。
なお、令和3年度介護報酬改定において業務継続計画の策定と同様に義務付けられた、業務継続計画の周知、研修、訓練及び定期的な業務継続計画の見直しの実施の有無は、業務継続計画未策定減算の算定要件ではない。

このように周知・研修・訓練・計画見直しは実施できていなくとも減算対象ではないが、運営基準違反となる。それは地域の信頼を失うこととイコールなので、確実に研修や訓練等を繰り返していただきたい。

なお「当該業務継続計画に従い必要な措置が講じられていない場合」とは、例えばBCPにおいて、「飲料水や非常食について、3日分の備蓄を行う」と定めている場合に、その備蓄が行われていなければ、「必要な措置が講じられていない」として減算対象になると解釈できる。

くれぐれもそのようなことがないように、BCPに沿った対策を講じてもらいたい。
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