僕がまだ社福の総合施設長だった頃のことであるが、2012年の介護事業経営実態調査の結果、収支差率が+10%を大きく超えていた特養は、非課税法人であることを利用して多額の留保金を抱えていると批判された。

そのため介護給付費が大幅に削減されただけではなく、社会福祉法も改正され、社会福祉法人の一定額以上の繰越金は社会福祉充実残額と規定され、それが生じた場合には、社会福祉充実計画に基づく社会福祉事業および公益事業もしくは地域貢献事業などの実施が義務付けられた。

ところが今年2/20に福祉医療機構(WAM)が公表した、「特別養護老人ホームの2024年度決算に基づく経営状況」によると、従来型の45%が赤字経営となるなど、特養の経営状況の悪化が深刻化している。
特別養護老人ホームのサービス活動収益対サービス活動増減差額比率と赤字施設割合の推移
(※ワムネット:2024年度 特別養護老人ホームの経営状況について より)
社会福祉充実残額が生ずる社会福祉法人などほとんど存在しなくなりつつあるのだ。

それはある意味当たり前で、収支差率が高いことを理由に介護給付費を乱暴に削減した結果がここに現れているわけである。そしてプラス改定といっても、処遇改善加算の改定率だけを高くして、基本サービス費を極力押さえてきたことによって、特養は物価高の経費増に耐えられなくなっているのだ。

だからといって国が早急にその姿勢を改めて、大幅な給付費増となるわけはないのだから、介護事業経営者は知恵を振り絞って事業経営に取り組まねばならない。給付費アップの正当性を主張しつつ、今現在の費用算定状況などを見直して、最大限の収入を確保する努力は必須だ。

特に労働人口の減少に伴って人件費負担増と人材不足にも対応するためにシフトしていくことを考えていかねばならないことを考えると生産性向上推進体制加算の算定は、収益を挙げるという意味で経営上も必要であるし、生産性を高める取り組みを行っていることをアピールして人材を集めるという意味でも必要であることが理解できる。

生産性向上の成果を挙げていることをアピールし、さらに高い収入を得るという意味で最上位加算��の算定が求められることは言うまでもない。

ところが特養と老健で生産性向上推進体制加算(�機�の取得率は、特養で2.8%、老健で3%と極めて低い率になっている。(※生産性向上推進体制加算(�供�の取得率は3割強。)

これでは本気で介護生産性向上に取り組んでいると思ってもらえないし、介護給付費引き上げの要望にも水を差しかねない。

�兇了残蟷楡澆�3割でしかないというのも情けないが、�気鮖残蠅靴討い觧楡澆�1割に満たないことにも危機感を持ってほしい。まずは加算�兇魍亮造忙残蠅垢襪海箸鮨干櫃韻討曚靴ぁ�

加算�兇鮖残蠅靴討い觧楡澆法⊂絨眠短鮫気�算定できない理由を尋ねると、「見守り機器を利用者全員分導入することが難しい」(61.6%)・「インカムなどを全職員分導入することが難しい」(56.3%)となっている。

その理由には唖然とせざるを得ない。就業中の全従業員がインカムを装着するなんて言うことは、当たり前に行っていかねばならない。連絡・呼び出しのための無駄な労力と時間を削っていくのが生産性向上には欠かせないからだ。

インカムを装着することによって、マイクに直接呼びかければすぐに特定の職員につながり、フロアやユニット内外の情報共有がスムーズになる。申し送りや介助の応援を呼ぶ際に、職員を探し回っていた時間の削減にもつながるという効果を最大化するのが経営者の務めである。

そもそもインカムを必要台数購入したとていくら経費がかかるというのだ・・・という問題である。大した金額にはならない。このような経費をケチっている介護施設に未来はないのである。

見守り機器は確かに高価だが、それを全室に設置することによって見廻り回数は大幅に減らすことができる。また介護事故の発生件数は居室が一番多いことを考えると、全室のセンサー設置は事故を減らしてその対応件数も減らすだけではなく、介護職員の安心感にもつながるものだ。それは即ち働きやすい職場環境・求職者から選ばれる職場環境にもつながるものと考える必要がある。

現に介護福祉士養成校の進路指導担当教員は、かつて見守りセンサーが設置されていない介護施設に学生紹介はしないといっていたが、現在は生産性向上加算�気了残蟷楡澆鮴古名匆陲虜蚤舁彖任箸垢襪箸い辰討い襪里澄�

介護事業経営者はそうした状況もしっかり理解してほしいし、公費に胡坐をかいて運営すればよい時代は、とうの昔に過ぎ去っていることを自覚せねばならない。

そして経営とは節約することではなく、無駄な支出は防ぎつつ、必要な部分には適切にお金をかけるということを知らねばならない。

中長期的な投資の視点がない経営などあり得ないのだ。

ただ生産性向上加算�気鮖残蠅任�ない理由は他にもあると思う。そしてその要件の一部は見直しの必要性もあると思っている。そのことは明日論ずることにしたい。(※生産性向上加算�気陵弖鏨墨造砲和膸神�に続く)
快筆乱麻masaが読み解く介護の今
※CBニュースの連載、「masaが読み解く介護の今122〜27年介護報酬改定の時期はどうなるのか」がアップされました。文字リンク先をご覧ください。
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