従業員の退職が続き事業継続が困難となる、「従業員退職型倒産」が増えている。
帝国データバンクが調査した「人手不足に対する企業の動向調査(2025年10月)」(2025年11月17日発表)によると、2025年に判明した人手不足倒産427件のうち、従業員の退職が直接・間接的に起因した倒産件数は124件となり過去最多を更新した。
生産年齢人口が減り続ける我が国では、従業員退職型倒産だけではなく、そもそも採用募集に応募がなく、必要な労働力が確保できずに事業廃止せざるを得ない企業が増えていく。
これからの我が国は8掛け社会であり、労働人口も現在の8割に減るのだから、この状況はさらに深刻化するのである。
よって人手不足による倒産は介護業界も他人ごとではない。

というよりこの数字以上に深刻な人手不足倒産が相次いているのが介護業界ではないのか・・・現に訪問介護事業所は、顧客がいるのに訪問介護員が確保できずに事業継続を断念するケースが全国で続出している。
年単位ではなく月単位でもなく、日単位で人材不足は深刻化する介護業界・・・人手が足りない介護保険施設などでは、すきま時間を使った単発バイトなどの「スポットワーク」で何とか業務を回している。
施設の介護職員には資格は不要だから、スポットワークの担い手は探しやすいのかもしれない。だが特定の日に短時間しか働かない人が、介護実務に精通するとは思えない。
それらの人が助手的仕事をこなして、介護職員をフォローするという形ならともかく、知識も援助技術も未熟な人が、人手がないからといって介護職員と同じ仕事をする結果はどうなるだろう。様々な場面で重要な仕事の手順や方法が抜け落ちて介護の質の低下につながる可能性は否定できない。
そうした未熟な人をフォローする介護職員は、スポットワークの担い手が増えて仕事が楽になっているのだろうか・・・むしろ指導や助言、やり残した仕事のカバーに疲れてバーンアウトしかねない。
その為、スポットワークの担い手で介護業務をカバーするよりも、外国人材を積極的に雇用しようという動きも加速しているが、当の外国人材にとって日本は一番魅力のある国ではないという現状がある。その為、求めるほど外国人材は増えていないのである。
だからこそ特定技能介護の資格で来日する外国人を積極的に受け入れ、在留期間の5年のうちに介護福祉士資格を取得できるように、教育面でもフォローして、長い期間職場に定着するような環境づくりは欠かせなくなっている。
しかしそれだけでは人材は充足しない。だからと言って介護職員が増える手立てはないのだから、介護DXを進めて生産性を向上させる取り組みは必須だ。だがここで間違えてはならないのは、介護実務に精通していない官僚や評論家、オールドメディアの口車に乗っても意味はないということだ。
事務負担を軽減するだけのICT導入にばかり目を奪われずに、介護実務が軽減でき、従前より人手をかけなくとも介護実務が回るテクノロジーの導入等に意を用いるべきだ。(参照:介護業務負担軽減のためのテクノロジー使用法 ・ 介護生産性向上は5S活動が肝)
職場環境の改善も早急に実現する必要がある。
ハラスメントの横行や過度な業務負担、低賃金など、労働環境の悪化が「個人の我慢」で蓋をされてきた歴史を繰り返してはならない。
介護事業経営者は、そのような悪習が転職市場の活況により「嫌な職場からは去る」という選択肢が一般化していることに気が付かねばならない。
給与レベルの改善も大きな課題であるが、それだけではなく複合的な要素が人を貼り付け定着させる点を考慮して、早急に出来ることから始めなければならない。
この部分でスピード感を持つことができない介護事業者は、廃業予備軍と化すだろう。
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感動の完結編。
