昨年末から今年年頭にかけて、介護業界では介護支援パッケージ補助金と来年度の介護報酬臨時改定が一番の話題であった。

処遇改善や物価高対応の補助金支給・臨時報酬改定が行われるのは歓迎であるが、その額は期待より少なく、他産業との給与差は埋まらないし、運営コストの上昇には対応できていないと考える関係者も少なくない。

確かにそのとおりであり、今後も継続的に社会のセーフティネットである介護事業を護るために、介護報酬の更なる引き上げを訴えることは必要である。

だがその財源は国民の血税と社会保険料が主であることを忘れてはならない。本当の意味で介護事業が社会のセーフティネットであり、必要不可欠なものであると国民全体が支持してくれないと、介護報酬のアップも望めなくなるのだ。

特に介護事業における虐待・不適切行為が月単位で報道される状況は、求められる介護報酬を勝ち取るための大きな足かせである。

だからこそ良い介護サービスを実現する以前に、当たり前の介護サービスを日々、粛々と提供する介護事業を実現させねばならない。介護サービス利用者が人としての尊厳を失わずに暮らしを送ることができるよう知恵を使い、手を差し伸べるのが介護という職業であることを、全ての従業員が自覚して利用者に関わる必要がある。

だが新年早々またもや介護保険施設での虐待報道が流れている。
雪山
先週1/18の報道によると、埼玉県宮代町の公設宮代福祉医療センターの介護老人保健施設「 六花りっか) 」で、入所者11人に対する虐待が2019年から常態化していたことが明らかにされた。

虐待認定を受けたのは、30〜40歳代の男性職員4人。昨年4月以降、75歳以上の入所者11人への食事介助の際、指示通りに体を動かさなかったとして「もう食べなくていい」と強い口調で言って食事を制限したり、「気持ち悪いから(職員を)見ないで」と暴言を吐いたり、ベッドから車いすに移す時に、乱暴に扱ったことが虐待とされた。

この報道を受けて事件当事者である介護老人保健施設・六花が、公式サイトに謝罪文を掲載している。(介護老人保健施設六花 の謝罪文

事件が起きてからこうした謝罪文を公表してもほとんど意味はない。傷つけられた人々の心は元には戻せないのである。

だからこそ日ごろのサービスマナー教育が欠かせないのだ。いくら人権尊重をうたい文句にして、そのことを指導しても、タメ口対応が家庭的で親しみやすい関係性を築くなんていう馬鹿げた日常対応をしておればプロ意識は欠如する。その結果、感覚はどんどん麻痺して利用者への暴言さえ許されるべき指導であると勘違いする従業員が出てくるのだ。

介護老人保健施設・六花でも複数の従業員の日常的な暴言が常態化していた。そのような暴言を虐待当事者以外の従業員が耳にしないわけがない。さればその態度や暴言を周囲が見て見ぬふりをするか、許容していたという意味だ。そういう意味では、虐待認定を受けた男性介護職員以外の従業員も、同じように罪の意識を感じなければならない。

この施設の管理者責任も当然問われるだろう。施設全体が罪を負うべき問題だ。

せめてもの救いは、この虐待事案の発覚が内部通報によるものであるらしいことである。虐待発覚の経緯は昨年11月、町に通報があり、町が高齢者虐待防止法に基づき立ち入り調査などをした結果、職員4人について身体的・心理的・性的な虐待行為が確認されたとのことだ。

通報したのが従業員であれば、その人は常態化した虐待行為に心を痛めていたということだろう。

繰り返しになるが、利用者に対するタメ口対応を許している介護事業者では、このような虐待がいつ送手も不思議ではない。事件が起きてから慌てて対応するのではなく、日ごろから予防的教育と対応が不可欠である。

定期的なサービスマナー教育は、その中でも特に重要となることを忘れてはならない。
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