介護保健施設の居住費と食費が自己負担化されたのは2005年10月からのことである。

その際、所得が低い要介護者の施設利用に際し、居住費や食費の負担を軽減するために、「特定入所者介護サ−ビス費」という給付制度が設けられた。

そのため例えば食事提供にかかった費用は、基準費用額と利用者の所得に応じた負担限度額の差額を施設へ支給するという仕組みになっている。

この基準費用を超えて食費額を設定した場合、特定入所者介護サ−ビス費は支給されなくなり、低所得者の自己負担額が大きくなるため施設利用ができないケースも生じてくる。

そのためほとんどの介護保険施設では、特定入所者介護サ−ビス費の対象となる利用者負担3段階以下の対象者の食費を基準額と同額に設定している。つまり3段階以下の対象者の利用者負担額はゼロで、基準費用額が食費分の特定入所者介護サ−ビス費として施設に支払われることになる。

このため利用者基準額とは、施設の収入に大きく影響する費用ともいえるのである。(居住費の標準費用も同じ考え方

ところで令和7年度介護事業経営概況調査の結果では、令和6年度(2024年度)決算における介護施設の入所者1人あたりの食費は平均で月額4万6.938円となっている。
介護保険施設の食事
この金額は現行の基準額(4万3.928円)を3.010円上回っており、介護施設の持ち出しが増えていることを表している。そのため2026年8月〜食費基準額の増額を1日100円引き上げることが決まっている。

これによって食費の実質支出と基準費用額がほぼ同じとなるので、施設の持ち出しはなくなるという理屈である・・・だが多くの施設関係者は、食費の高騰はそんな程度ではないという実感を持っている。食材料費は特に主食である米価格の上昇が大きく影響して、月額支出が前年度比3.000円どころか、5.000円以上高騰している実感がある。

介護事業経営概況調査の結果とは大きく時間が異なるのであるが、それは何故だろう。そもそも介護事業経営概況調査結果とは、どれだけのサンプルのどのような事業者が対象なのだろう。大いなる疑問である。

また食事基準額が引き上げられる一方で、居住費の基準費用額は据え置きとされている。その理由は家計調査が根拠とされており、高齢者世帯一人あたりの光熱・水道費は、令和4年以降横ばいとなっていることによるものである。(居住費は、家賃相当分以外に食事提供に関する以外の、光熱水費が含まれる費用である

家計調査とは総務庁統計局が毎月調査するもので、一定の統計上の抽出方法に基づき選定された全国約9千世帯の方々を対象としている。

だが我が家の家計を考えると光熱・水道費支出が令和4年から変化がないということはない。電気代と水道代は確実に上がっているので、間違いなく支出は増加している。ほとんどの一般家庭は光熱・水道費支出が令和4年以降の3年間で上がっていないなんて言うことはあり得ないのではないか・・・どうもこの家計調査は信用できない。

そもそも食費を介護事業経営概況調査で確認しているのに、光熱水費をそれとは別にして家計調査で見るというのは何故だろう。介護保険施設をはじめとした事業者の光熱水費も介護事業経営概況調査の項目に入れて、それを根拠にすればよいと思うのは僕だけだろうか・・・。

国は財源支出をしなくてよいための都合の良いデータを抽出するという意図を持っているとしか思えない。

介護事業関連諸団体は、報酬改定議論ではもっとこの点に深く切り込んでほしいものである。
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